JP2015007434A - エンジンマウント制御装置及び車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン始動信号がエンジンマウント制御装置に届かなかった場合でも、防振性能を発揮することが可能なエンジンマウント制御装置及び車両を提供する。【解決手段】車両10のエンジンマウント制御装置304は、エンジン始動信号を受信しない状態においてクランクシャフトが回転しているか否かを監視し、クランクシャフトが回転していると判定した場合、アクチュエータ306を制御して、振動抑制制御の開始前に第1及び第2エンジンマウント302f、302rの少なくとも一方の加振板308を初期位置に向かって移動させ、その後、ロール共振発生タイミングで振動抑制制御を開始する。【選択図】図4
Description
本発明は、エンジンを車体に支持させる第1及び第2エンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制するエンジンマウント制御装置及び車両に関する。
特許文献1では、エンジン始動時等に発生する過渡振動を、その振動の始まりから効果的に抑制できる能動型防振支持装置を提供することを目的としている([0005]、要約)。この目的を達成するため、特許文献1では、図7のステップS13においてアクティブ・マウントMF、MRに所定のDC電流が印加される。ステップS18では仮想電流波形が設定され、ステップS19、S20では初発インジェクション気筒の点火タイミングに対応する制御が開始される(要約)。
より具体的には、特許文献1では、スタータが回転を始めると、エンジンECU73からACMECU71に対して通信回線を介してエンジン始動信号を出力する(図7のS12、[0065])。ACMECU71は、初発インジェクション気筒を判別したタイミングで、アクティブ・マウントMF、MRにDC電流を印加する(S13、[0066])。
アクティブ・マウントMFに対するDC電流は、アクティブ・マウントMFの第2弾性体(加振板)27(図3)を、押し側動作をさせるための初期位置IiFに移動させるために印加される。また、アクティブ・マウントMRに対するDC電流は、アクティブ・マウントMRの第2弾性体(加振板)27を、引き側動作をさせるための初期位置IiRに移動させるために印加される([0066])。
その後、ACMECU71が、アクティブ・マウントMF、MRに印加する駆動電流を特許文献1の図8(c)及び図9(c)に示すように変化させて可動部材28(第2弾性体27)を上下動させることにより、車体フレームに対するエンジン102のロール固有振動(ロール共振)の伝達を防止する([0070]、[0049]〜[0052])。
上記のように、特許文献1のACMECU71(エンジンマウント制御装置)は、エンジンECU73からのエンジン始動信号をトリガとして、アクティブ・マウントMF、MRに対する駆動電流(DC電流)を印加する。
しかしながら、特許文献1では、信号線の断線やエンジンECU71(エンジン制御装置)の故障等の原因により、エンジン始動信号が、エンジンECU73からのACMECU71に届かなかった場合、第2弾性体27(加振板)を移動させる開始タイミングが不明となるおそれがあった。
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、エンジン制御装置からのエンジン始動信号がエンジンマウント制御装置に届かなかった場合でも、防振性能を発揮することが可能なエンジンマウント制御装置及び車両を提供することを目的とする。
本発明に係るエンジンマウント制御装置は、エンジンを車体に支持させる第1及び第2エンジンマウントに組み込まれたアクチュエータに固定された加振板に往復運動を繰り返させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うものであって、前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジンの始動又は再始動の開始を示すエンジン始動信号をエンジン制御装置から受信したとき、前記アクチュエータを制御して、前記振動抑制制御の開始前に前記第1及び第2エンジンマウントの少なくとも一方の前記加振板を初期位置に移動させ、その後、前記エンジンのロール共振が発生するタイミングであるロール共振発生タイミングで前記振動抑制制御を開始し、さらに、前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジン始動信号を受信しない状態において、前記エンジンのクランクシャフトの回転位置であるクランク回転位置を検出するクランクセンサからの入力に基づいて前記クランクシャフトが回転しているか否かを監視し、前記エンジン制御装置からの前記エンジン始動信号を受信しない状態において、前記クランクシャフトが回転していると判定した場合、前記アクチュエータを制御して、前記振動抑制制御の開始前に前記第1及び第2エンジンマウントの少なくとも一方の前記加振板を前記初期位置に向かって移動させ、その後、前記ロール共振発生タイミングで前記振動抑制制御を開始することを特徴とする。
本発明によれば、エンジン制御装置からのエンジン始動信号を受信しない状態において、クランクシャフトが回転していると判定した場合、アクチュエータを制御して、振動抑制制御の開始前に第1及び第2エンジンマウントの少なくとも一方の加振板を初期位置に向かって移動させ、その後、ロール共振発生タイミングで振動抑制制御を開始する。このため、何らかの異常(断線等)によりエンジン制御装置からのエンジン始動信号が受信できない場合でも、エンジンマウント制御装置は振動抑制制御を実行することができる。従って、エンジンマウント制御装置の防振性能を向上することが可能となる。
前記エンジンマウント制御装置は、前記振動抑制制御において、前記ロール共振に対応した目標電流波形に基づく電流を前記第1及び第2エンジンマウントの前記アクチュエータに出力し、前記エンジン始動信号なしに前記振動抑制制御を開始した場合、前記エンジン始動信号を受信して前記振動抑制制御を開始した場合と比較して、前記目標電流波形の振幅を増大させてもよい。
クランクシャフトが回転しているか否かを判定する処理が介在するため、エンジン始動信号なしの場合(異常時)のアクチュエータに対する事前通電の開始時点は、エンジン始動信号ありの場合(正常時)の事前通電と比較して、遅くなる可能性がある。通常時よりも事前通電の開始時点が遅くなる場合、振動抑制制御の開始前における初期位置への加振板の移動が間に合わないこと(換言すると、第1エンジンマウントのアクチュエータに入力されていたはずの電流(積分値)の一部欠如)が発生し得る。
本発明によれば、エンジン始動信号なしに振動抑制制御を開始した場合、エンジン始動信号ありの場合と比較して、目標電流波形の振幅を大きくする。このため、初期位置への加振板の移動が間に合わない場合であっても、振動抑制制御の開始後にこれを補うようにアクチュエータを駆動することが可能となる。従って、エンジン始動信号なしの振動抑制制御をより効果的にすることができる。
前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジン始動信号なしに前記振動抑制制御を行う場合、前記ロール共振発生タイミングまでの残存時間を算出し、前記残存時間が短い程、前記目標電流波形の振幅の増大量を大きくしてもよい。
これにより、ロール共振発生タイミングまでの残存時間に応じて目標電流波形の振幅の増大量を変化させることで、アクチュエータに必要な出力の確保がより確実に行えるようになる。従って、エンジン始動信号なしの振動抑制制御をさらに効果的にすることが可能となる。
前記エンジンマウント制御装置は、前記残存時間が所定の期間閾値よりも短い場合、前記振動抑制制御を中止してもよい。これにより、残存時間が短すぎるため、振動抑制制御を実施しても十分な防振性能を発揮できない場合に対応することが可能となる。
本発明に係る車両は、前記エンジンマウント制御装置を備えることを特徴とする。
本発明に係る車両は、エンジンと、前記エンジンの出力を制御するエンジン制御装置と、前記エンジンのクランクシャフトの回転位置であるクランク回転位置を検出するクランクセンサと、前記エンジンの振動を抑制するアクチュエータを備えると共に前記エンジンを車体に支持させる第1及び第2エンジンマウントと、前記アクチュエータに固定された加振板に往復運動を繰り返させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置とを備えるものであって、前記エンジン制御装置は、前記エンジンの始動又は再始動の開始を示すエンジン始動信号を前記エンジンマウント制御装置に送信し、前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジン制御装置から前記エンジン始動信号を受信したとき、前記第1エンジンマウントの前記アクチュエータを制御して、前記振動抑制制御の開始前に前記第1エンジンマウントの前記加振板を初期位置に移動させ、その後、前記エンジンのロール共振が発生するタイミングであるロール共振発生タイミングで前記振動抑制制御を開始し、さらに、前記エンジンマウント制御装置は、前記エンジン制御装置からの前記エンジン始動信号を受信しない状態において、前記クランクセンサからの入力に基づいて前記クランクシャフトが回転しているか否かを監視し、前記エンジン制御装置からの前記エンジン始動信号を受信しない状態において、前記クランクシャフトが回転していると判定した場合、前記第1エンジンマウントの前記アクチュエータを制御して、前記振動抑制制御の開始前に前記加振板を前記初期位置に向かって移動させ、その後、前記ロール共振発生タイミングで前記振動抑制制御を開始することを特徴とする。
本発明によれば、エンジン制御装置からのエンジン始動信号を受信しない状態において、クランクシャフトが回転していると判定した場合、アクチュエータを制御して、振動抑制制御の開始前に第1及び第2エンジンマウントの少なくとも一方の加振板を初期位置に向かって移動させ、その後、ロール共振発生タイミングで振動抑制制御を開始する。このため、何らかの異常(断線等)によりエンジン制御装置からのエンジン始動信号が受信できない場合でも、エンジンマウント制御装置は振動抑制制御を実行することができる。従って、エンジンマウント制御装置の防振性能を向上することが可能となる。
A.一実施形態
1.構成
[1−1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両10の概略構成図である。図1に示すように、車両10は、駆動源としてエンジン12及び走行モータ14を有するいわゆるハイブリッド車両である。後述するように、車両10は、走行モータ14を有さないいわゆるエンジン車両であってもよい。
1.構成
[1−1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両10の概略構成図である。図1に示すように、車両10は、駆動源としてエンジン12及び走行モータ14を有するいわゆるハイブリッド車両である。後述するように、車両10は、走行モータ14を有さないいわゆるエンジン車両であってもよい。
エンジン12は、その回転軸が車幅方向とされた状態において、エンジンマウント302f、302rを介して車体16に支持されている。後に詳述するように、エンジンマウント302f、302rは、アクチュエータ306に固定された加振板308に上下動(往復運動)を繰り返させることによりエンジン12からの振動(以下「エンジン振動」ともいう。)を能動的に抑制する能動型防振支持装置300の一部を構成する。
本実施形態の走行モータ14は、バッテリ18からの電力に基づいて車両10の走行駆動力を生成する(すなわち、図示しない車輪に駆動力を伝達する)ことに加え、エンジン12のモータリング(クランキング)に用いられるモータ(電動機)である。
車両10は、能動型防振支持装置300に加え、イグニションスイッチ20(以下「IGSW20」という。)と、エンジン12の制御に関連するエンジン制御系100と、走行モータ14の制御に関連するモータ制御系200とを有する。さらに、車両10は、アクセルペダル24の操作量(以下「アクセルペダル操作量θap」という。)を検出するアクセルペダルセンサ22と、ブレーキペダル28の操作量(以下「ブレーキペダル操作量θbp」という。)を検出するブレーキペダルセンサ26とを有する。なお、車両10の基本的な構成要素については、例えば、特許文献1又は特開2011−252553号公報と同様のものを用いることができる。
本実施形態のIGSW20は、ロータリ式であり、図示しないインスツルメントパネルに向かって左側から「オフ」、「ACC」(アクセサリ)及び「オン」の位置を選択可能である。また、IGSW20は、「オン」の位置からさらに右側(時計回り)に回すと、「ST」(エンジン始動)の位置となり、エンジン12が始動する。
[1−2.エンジン制御系100]
エンジン制御系100は、エンジン12に関連する構成要素として、クランクセンサ102と、上死点センサ104(以下「TDCセンサ104」ともいう。)と、スタータモータ106と、燃料噴射電子制御装置108(以下「FI ECU108」という。)とを有する。
エンジン制御系100は、エンジン12に関連する構成要素として、クランクセンサ102と、上死点センサ104(以下「TDCセンサ104」ともいう。)と、スタータモータ106と、燃料噴射電子制御装置108(以下「FI ECU108」という。)とを有する。
クランクセンサ102は、図示しないクランクシャフトの回転位置(以下「クランク回転位置θcrk」という。)を検出し、クランク回転位置θcrkを示す信号(クランクパルス信号Scrk)をFI ECU108及び能動型防振支持装置300のACM電子制御装置304(以下「ACM ECU304」という。)に出力する。TDCセンサ104は、図示しないエンジンピストンが上死点に来たこと(上死点タイミング)を検出し、上死点タイミングを示す信号(以下「TDC信号Stdc」という。)をFI ECU108及びACM ECU304に出力する。なお、各センサ102、104の出力は、FI ECU108及びACM ECU304以外のECU(例えば、後述するモータ電子制御装置206)に直接出力してもよい。
スタータモータ106は、エンジン12のモータリングに用いられるモータ(電動機)であり、図示しない低電圧バッテリからの電力に基づいてエンジン12に対してのみ駆動力を伝達する。本実施形態のスタータモータ106は、直流式であるが、交流式であってもよい。エンジン12のモータリング時には、走行モータ14及びスタータモータ106のいずれか一方が選択されて用いられる。
FI ECU108は、クランクパルス信号Scrk、TDC信号Stdc等の各種入力信号に基づいてエンジン12を制御する。例えば、FI ECU108は、クランクパルス信号Scrkに基づいてエンジン12の回転数(以下「エンジン回転数Ne」という。)[rpm]を算出して用いる。後述するACM電子制御装置304と同様、FI ECU108は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
[1−3.モータ制御系200]
図1に示すように、モータ制御系200は、走行モータ14に関連する構成要素として、レゾルバ202と、SOCセンサ204と、モータ電子制御装置206(以下「モータECU206」又は「MOT ECU206」という。)とを有する。
図1に示すように、モータ制御系200は、走行モータ14に関連する構成要素として、レゾルバ202と、SOCセンサ204と、モータ電子制御装置206(以下「モータECU206」又は「MOT ECU206」という。)とを有する。
レゾルバ202(回転位置センサ)は、走行モータ14の図示しないロータの回転位置(以下「走行モータ回転位置θmot_d」、「モータ回転位置θmot_d」又は「回転位置θmot_d」という。)を検出し、回転位置θmot_dを示す信号(以下「走行モータ回転位置信号Sθmot_d」という。)をMOT ECU206に出力する。本実施形態におけるレゾルバ202の角度分解能は、クランクセンサ102の角度分解能よりも高い。すなわち、クランクセンサ102がD1°毎に回転位置θcrkを検出し、レゾルバ202がD2°毎に回転位置θmot_dを検出できる場合、D1>D2となる。
SOCセンサ204は、バッテリ18の残容量(SOC)を検出してMOT ECU206に出力する。
モータECU206は、回転位置θmot_d、SOC等の各種入力情報に基づいて走行モータ14を制御する。後述するACM電子制御装置304と同様、モータECU206は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
なお、本実施形態では、例えば、車両10の車速V、要求加速度、走行モータ14用のバッテリ18のSOC等の指標に応じてエンジン12及び走行モータ14の駆動の要否を判定する。例えば、車速Vが低速域(例えば、0〜20km/h)であるとき、走行モータ14のみを用いることを通常とする。また、車速Vが中速域(例えば、21〜80km/h)又は高速域(例えば、81km/h以上)であるとき、エンジン12を用いることを通常とし、要求加速度が高い場合、エンジン12に加えて走行モータ14を駆動させる。但し、例えば、バッテリ18のSOCが低い場合は、図示しないオルタネータを作動させるため、車速Vが低速域であっても、エンジン12を作動させてもよい。
[1−4.能動型防振支持装置300]
前述のように、能動型防振支持装置300は、エンジンマウント302f、302r及びACM ECU304を有する。
前述のように、能動型防振支持装置300は、エンジンマウント302f、302r及びACM ECU304を有する。
エンジンマウント302f、302rは、例えば、特許文献1の図1と同様、車両10の前後方向に互いに離間して配置される。各エンジンマウント302f、302rは、例えば、特許文献1の図2と同様、その内部にアクチュエータ306を有する。アクチュエータ306は、例えば、ソレノイドにより構成することができる。或いは、アクチュエータ306は、エンジン12の負圧を図示しない弁により調節する構成とすることも可能である。
アクチュエータ306には、弾性体からなる加振板308が固定されている。アクチュエータ306が上下動(往復運動)を繰り返すことにより、加振板308も上下動(往復運動)を繰り返す。エンジンマウント302f、302rの具体的な構成については、例えば、特許文献1又は特開2011−252553号公報と同様のものを用いることができる。
以下では、エンジンマウント302f、302rを、能動的にエンジン振動を抑制するアクティブ・コントロール・マウントの意味でACM302f、302rともいう。ACM ECU304における「ACM」もアクティブ・コントロール・マウントの意味である。
ACM ECU304は、エンジンマウント302f、302rのアクチュエータ306を制御するものであり、入出力部310、演算部312及び記憶部314を有する。ACM ECU304がアクチュエータ306を駆動させることにより、車体16へのエンジン振動の伝達を抑制するための振動抑制制御を行う。
2.エンジン振動抑制のための各種制御
以下では、振動抑制制御に関連してFI ECU108、モータECU206及びACM ECU304が行う制御について説明する。本実施形態のACM ECU304は、振動抑制制御に関連して始動時制御と通常制御の両方を行う。始動時制御は、エンジン12の始動時又は再始動時に発生するいわゆるロール固有振動(ロール共振)を抑制するための制御である。通常制御は、エンジン12が爆発工程を伴って作動中である際のエンジン振動を抑制するための制御である。以下では、振動抑制制御に関連しない制御について省略していることに留意されたい。
以下では、振動抑制制御に関連してFI ECU108、モータECU206及びACM ECU304が行う制御について説明する。本実施形態のACM ECU304は、振動抑制制御に関連して始動時制御と通常制御の両方を行う。始動時制御は、エンジン12の始動時又は再始動時に発生するいわゆるロール固有振動(ロール共振)を抑制するための制御である。通常制御は、エンジン12が爆発工程を伴って作動中である際のエンジン振動を抑制するための制御である。以下では、振動抑制制御に関連しない制御について省略していることに留意されたい。
[2−1.FI ECU108]
図2は、ACM ECU304の振動抑制制御に関連してFI ECU108が行う処理を示すフローチャートである。図3及び図4は、本実施形態に係る始動時制御において各種処理を行った場合の第1例及び第2例を示すタイムチャートである。具体的には、図3は、後述する始動時第1制御(通常時)において各種処理を行った場合の一例を示すタイムチャートであり、図4は、後述する始動時第2制御(異常時)において各種処理を行った場合の一例を示すタイムチャートである。
図2は、ACM ECU304の振動抑制制御に関連してFI ECU108が行う処理を示すフローチャートである。図3及び図4は、本実施形態に係る始動時制御において各種処理を行った場合の第1例及び第2例を示すタイムチャートである。具体的には、図3は、後述する始動時第1制御(通常時)において各種処理を行った場合の一例を示すタイムチャートであり、図4は、後述する始動時第2制御(異常時)において各種処理を行った場合の一例を示すタイムチャートである。
図2のステップS1において、IGSW20がオンにされるまで(S1:NO)、FI ECU108はオフ状態のままである。IGSW20がオンにされると(S1:YES)、FI ECU108への電力供給が開始されてFI ECU108はオンとなる(S2)。
ステップS3において、FI ECU108は、エンジン12の停止時のクランク回転位置θcrk(以下「停止時エンジン回転位置θstp」又は「回転位置θstp」という。)をACM ECU304に出力する。また、モータECU206において停止時エンジン回転位置θstpを用いる構成である場合(詳細は後述する。)、FI ECU108は、モータECU206にも回転位置θstpを出力する。
ステップS4において、FI ECU108は、エンジン12の始動条件が成立したか否かを判定する。エンジン12の始動条件としては、例えば、IGSW20が「ST」(エンジン始動)の位置まで回されたことがある。始動条件が成立しない場合(S4:NO)、ステップS4を繰り返す。始動条件が成立した場合(S4:YES)、ステップS5に進む。
ステップS5において、FI ECU108は、エンジン12が始動又は再始動することを通知する信号(エンジン始動信号Sst1)をACM ECU304に出力する(図3の時点t1、図4の時点t11)。但し、図4では、何らかの異常(FI ECU108の異常を含む。)によりエンジン始動信号Sst1がACM ECU304に届かない場合を示していることに留意されたい(詳細は後述する。)。
ステップS6において、FI ECU108は、エンジン12を始動させる。換言すると、FI ECU108は、走行モータ14又はスタータモータ106によるエンジン12のモータリング(クランキング)を開始させる(図3の時点t2、図4の時点t12)。なお、後述するステップS10において、エンジン12の再始動条件が成立した後にステップS6を行う場合、ステップS6において、FI ECU108は、エンジン12を再始動させる。
ステップS7において、FI ECU108は、エンジン12の停止条件が成立したか否かを判定する。ここにいうエンジン12の停止には、IGSW20がオフにされた場合のエンジン12の停止と、アイドリング停止(エンジン12への燃料供給の一時的な停止)の両方を含む。本実施形態におけるアイドリング停止の条件としては、例えば、車速Vが所定の車速閾値(第1車速閾値)を下回ること、又は運転者からの減速要求(例えば、ブレーキペダル28の踏込み操作若しくはアクセルペダル24の踏み戻し操作)があったことを用いることができる。
FI ECU108は、エンジン12の停止条件が成立していないと判定すると(S7:NO)、ステップS7を繰り返してエンジン12の作動を維持する。エンジン12の停止条件が成立したと判定すると(S7:YES)、ステップS8において、FI ECU108は、エンジン12を停止させる。
エンジン回転数Neがゼロになると、ステップS10において、FI ECU108は、記憶部314に記憶されている停止時エンジン回転位置θstpを更新する。
ステップS10において、FI ECU108は、エンジン12の再始動条件が成立したか否かを判定する。エンジン12の再始動条件としては、例えば、アイドリング停止時におけるアイドリング停止解除操作(例えば、アクセルペダル24の踏み込み操作)が行われたことがある。
FI ECU108は、エンジン12の再始動条件が成立したと判定すると(S10:YES)、ステップS5に戻る。FI ECU108は、エンジン12の再始動条件が成立していないと判定すると(S10:NO)、ステップS11において、IGSW20がオフであるか否か(換言すると、今回のエンジン12の停止がIGSW20のオフによるものであるか否か)を判定する。
IGSW20がオフでない場合(S11:NO)、ステップS10に戻る。IGSW20がオフである場合(S11:YES)、ステップS12において、FI ECU108への電力供給が停止されてFI ECU108はオフとなる。
[2−2.ACM ECU304]
(2−2−1.処理の全体的な流れ)
図5は、本実施形態におけるACM ECU304の処理を示すフローチャートである。図5のステップS21において、IGSW20がオンにされるまで(S21:NO)、ACM ECU304はオフ状態のままである。IGSW20がオンにされると(S21:YES)、ACM ECU304への電力供給が開始されてACM ECU304はオンとなる(S22)。
(2−2−1.処理の全体的な流れ)
図5は、本実施形態におけるACM ECU304の処理を示すフローチャートである。図5のステップS21において、IGSW20がオンにされるまで(S21:NO)、ACM ECU304はオフ状態のままである。IGSW20がオンにされると(S21:YES)、ACM ECU304への電力供給が開始されてACM ECU304はオンとなる(S22)。
ステップS23において、ACM ECU304は、FI ECU108から停止時エンジン回転位置θstpを受信(取得)する。
ステップS24において、ACM ECU304は、ステップS23で取得した停止時エンジン回転位置θstpに基づいてACM出力パラメータを設定する。ここにいうACM出力パラメータとは、エンジン12のロール固有振動(ロール共振)を抑制するためのアクチュエータ306の動作を実現するためのパラメータである。例えば、ACM出力パラメータには、ACM302f、302rへの出力電流Iacmの波形(目標電流波形)及び振動抑制制御(ACM302f、302rの作動)の開始タイミングが含まれる。
アクチュエータ306への目標電流波形は、ACM302f、302rへの出力電流Iacmの目標値(以下「ACM目標電流Iacmft、Iacmrt」という。)を規定するものである。目標電流波形の基本的な態様は、特許文献1又は特開2011−252553号公報と同様に設定することができる。
また、トリガタイミング(振動抑制制御(ACM302f、302rの作動)の開始タイミング)についても、特許文献1又は特開2011−252553号公報と同様に設定することができる。すなわち、振動抑制制御の開始タイミングは、エンジン12のロール共振が発生するタイミング(ロール共振発生タイミング)と一致させるように設定される。
或いは、エンジン始動(モータリング開始)からロール共振が発生するまでの時間は、モータリング開始からロール共振が発生するまでのクランク回転位置θの変化と相関がある。そこで、エンジン回転数Neがロール共振を発生させる周波数領域(以下「ロール共振領域Rr」という。)内又はそれよりも若干小さい値に対応するクランク回転位置θ(ここでは、クランクパルスの数)の閾値(以下「作動開始回転位置θstt」又は「回転位置θstt」という。)を予め設定しておく。そして、クランク回転位置θが回転位置θstt以上となったか否かに応じて、ロール共振が発生するタイミング(トリガタイミング)を判定してもよい。
図5のステップS25において、ACM ECU304は、FI ECU108からエンジン始動信号Sst1を受信したか否かを判定する。エンジン始動信号Sst1を受信した場合(S25:YES)、ステップS26において、ACM ECU304は、始動時制御のうち通常時に用いる始動時第1制御を実行する。ここにいう「通常時」とは、FI ECU108からエンジン始動信号Sst1を正常に受信できる状態を意味している。
ステップS25に戻り、エンジン始動信号Sst1を受信していない場合(S25:NO)、ステップS27において、ACM ECU304は、クランクセンサ102からクランクパルス信号Scrkを受信したか否かを判定する。エンジン12が停止した状態では、クランクパルス信号Scrkは出力されない(ロー又はハイのいずれか一方の値を連続してとり続ける)。従って、クランクパルス信号Scrkの出力が開始されたこと(ローからハイへの変化又はハイからローへの変化が生じたこと)を検出することにより、前記クランクシャフトが回転してエンジン12が始動又は再始動したことを監視又は判定することが可能となる。
ステップS27においてクランクパルス信号Scrkを受信しない場合(S27:NO)、エンジン12は停止状態を維持しているといえる。そこで、ステップS25に戻る。クランクパルス信号Scrkを受信した場合(S27:YES)、エンジン始動信号Sst1を受信していないものの(S25:NO)、エンジン12が始動又は再始動したといえる。そこで、ステップS28において、ACM ECU304は、始動時制御のうち異常時に用いる始動時第2制御を実行する(図4の時点t12)。ここにいう異常時とは、エンジン12が始動又は再始動しているにもかかわらず、FI ECU108からのエンジン始動信号Sst1をACM ECU304が受信できない状態を意味する。
始動時制御としての始動時第1制御(S26)又は始動時第2制御(S28)を終えると、ステップS29において、ACM ECU304は、通常制御を実行する。上記のように、通常制御は、エンジン12が爆発工程を伴って作動中である際のエンジン振動を抑制するための制御である。
ステップS30において、ACM ECU304は、エンジン12が停止したか否かを判定する。当該判定は、例えば、エンジン回転数Neが所定の閾値(エンジン停止判定閾値THeng)以下であるか否かに基づいて行う。エンジン停止判定閾値THengは、ゼロ又はその近傍値とすることができる。また、エンジン回転数Neは、例えば、クランクセンサ102からのクランクパルス信号Scrkに基づいてACM ECU304が算出する。
エンジン12が停止したと判定した場合(S30:YES)、ステップS31において、ACM ECU304は、通常制御を停止する。そして、IGSW20がオフにされていなければ(S32:NO)、ACM ECU304は、図5のステップS25に戻る。IGSW20がオフにされた場合(S32:YES)、ステップS33において、ACM ECU304への電力供給が停止されてACM ECU304はオフとなる。
ステップS30に戻り、エンジン12が停止していないと判定した場合(S30:NO)、IGSW20がオフにされていなければ(S34:NO)、ACM ECU304は、ステップS29に戻って通常制御を継続する。IGSW20がオフにされた場合(S34:YES)、ステップS33において、ACM ECU304への電力供給が停止されてACM ECU304はオフとなる。
(2−2−2.始動時第1制御(通常時))
図6は、通常時に用いる始動時第1制御のフローチャートである。上記のように、始動第1制御は、FI ECU108からのエンジン始動信号Sst1の受信を契機として実行される。ステップS41において、ACM ECU304は、一方のACM302f、302r(ここでは、前側のACM302f)に対して事前通電をして、ACM302f、302rの出力開始に備える。
図6は、通常時に用いる始動時第1制御のフローチャートである。上記のように、始動第1制御は、FI ECU108からのエンジン始動信号Sst1の受信を契機として実行される。ステップS41において、ACM ECU304は、一方のACM302f、302r(ここでは、前側のACM302f)に対して事前通電をして、ACM302f、302rの出力開始に備える。
すなわち、ACM ECU304は、FI ECU108からエンジン始動信号Sst1を受信したとき、前側のACM302fのアクチュエータ306を制御して、振動抑制制御の開始前にACM302fの加振板308を初期位置(以下「通常初期位置Pin」という。)に移動させる。通常初期位置Pinは、始動時第1制御において用いる加振板308の初期位置である。
ステップS42において、ACM ECU304は、振動抑制制御の開始タイミングが到来したか否かを判定する。当該開始タイミングは、図5のステップS24で設定したものである。開始タイミングが到来していない場合(S42:NO)、ステップS42を繰り返す。開始タイミングが到来した場合(S42:YES)、ステップS43において、ACM ECU304は、振動抑制制御(ACM302f、302rの作動)を実行する(図3の時点t3)。
(2−2−3.始動時第2制御(異常時))
図7は、異常時に用いる始動時第2制御のフローチャートである。始動時第2制御の説明に当たっては、図4も合わせて参照する。図4において、実線で示される目標ACM電流Iacmft、Iacmrtは、始動時第2制御の波形である。一方、破線で示される目標ACM電流Iacmft、Iacmrt及びエンジン始動信号Sst1は、始動時第1制御(図3)の波形を示したものであり、始動時第2制御の波形との比較用に示されている。
図7は、異常時に用いる始動時第2制御のフローチャートである。始動時第2制御の説明に当たっては、図4も合わせて参照する。図4において、実線で示される目標ACM電流Iacmft、Iacmrtは、始動時第2制御の波形である。一方、破線で示される目標ACM電流Iacmft、Iacmrt及びエンジン始動信号Sst1は、始動時第1制御(図3)の波形を示したものであり、始動時第2制御の波形との比較用に示されている。
上記のように、始動時第2制御は、FI ECU108からエンジン始動信号Sst1を受信しないにもかかわらず(図5のS25:NO)、クランクパルス信号Scrkを受信した場合(S27:YES)に実行される。
ステップS51において、ACM ECU304は、振動抑制制御の開始タイミングまでの残存時間Trを算出する。例えば、クランクパルス信号Scrkに基づいてクランク回転位置θの時間微分値(以下「クランク回転数Ncrk」という。)[rpm]を算出する。クランク回転数Ncrkは、エンジン回転数Neと等しい。さらに、クランク回転数Ncrk(又はエンジン回転数Ne)の時間微分値(クランク回転位置θの二階微分値)(以下「クランク回転数変化量ΔNcrk」又は「エンジン回転数変化量ΔNe」という。)[rpm/s]を算出する。
そして、現在のクランク回転数Ncrk(又はエンジン回転数Ne)とクランク回転数変化量ΔNcrk(又はエンジン回転数変化量ΔNe)に基づいてロール共振領域Rrまでの推定到達時間を残存時間Trとして算出する。
振動抑制制御の開始タイミングは、ロール共振発生タイミングに合わせて設定される。このため、残存時間Trは、ロール共振発生タイミングまでの時間ということもできる。
ステップS52において、ACM ECU304は、ステップS51で算出した残存時間Trが、始動時第2制御における振動抑制制御を実行することが許容可能な範囲(許容範囲)内であるか否かを判定する。具体的には、ACM ECU304は、当該許容範囲内であるか否かを判定するための時間閾値(残存時間閾値THtr)を事前に記憶部314に記憶しておき、ステップS51で算出した残存時間Trが残存時間閾値THtr以上であるか否かを判定する。
残存時間Trが許容範囲内でない場合(S52:NO)、始動時第2制御における振動抑制制御を実行するために十分な時間が存在しない。このため、振動抑制制御を行わずに(中止して)、図7の処理を終了する(図5のS29に進む。)。
残存時間Trが許容範囲内である場合(S52:YES)、ステップS53において、ACM ECU304は、一方のACM302f、302r(ここでは、前側のACM302f)に対して事前通電をして、ACM302f、302rの出力開始に備える。
すなわち、ACM ECU304は、前側のACM302fのアクチュエータ306を制御して、振動抑制制御の開始前にACM302fの加振板308を通常初期位置Pinに向かって移動させる。上記のように、通常初期位置Pinは、始動時第1制御において用いる加振板308の初期位置である。始動時第2制御では、加振板308を通常初期位置Pinに向かって移動させるものの、加振板308が通常初期位置Pinに到達する前に振動抑制制御を開始する。加振板308がどこまで通常初期位置Pinに近づくか、換言すると、事前通電の時間は、残存時間Trに応じて設定される。すなわち、残存時間Trが長いほど、加振板308は通常初期位置Pinにより近い位置まで移動し、残存時間Trが短いほど、加振板308は通常初期位置Pinから遠い位置までしか移動しない。
なお、加振板308を通常初期位置Pinに向かって移動させるために、ACM302fに出力する電流(DC電流)を始動時第1制御の場合よりも増加させることも考えられる。しかしながら、DC電流を急激に増加させてしまうと、ACM302f自体が振動を発生させるおそれがある(特許文献1の[0066]参照)。このため、DC電流は緩やかに増加させることが好ましい。
ステップS54において、ACM ECU304は、残存時間Trに応じて出力電流波形を補正する(図4参照)。具体的には、残存時間Trが短いほど、出力電流波形の振幅の増大量を大きくし、残存時間Trが長いほど、出力電流波形の振幅の増大量を小さくする。これにより、残存時間Trに応じて目標電流波形の振幅の増大量を変化させることで、アクチュエータ306に必要な出力の確保がより確実に行えるようになる。従って、エンジン始動信号Sst1なしの振動抑制制御をさらに効果的にすることが可能となる。
ステップS55において、ACM ECU304は、振動抑制制御(ACM302f、302rの作動)を実行する(図4の時点t13)。
3.本実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、FI ECU108(エンジン制御装置)からのエンジン始動信号Sst1を受信しない状態において(図5のS25:NO)、クランクシャフトが回転していると判定した場合(S27:YES)、前側のACM302f(第1エンジンマウント)のアクチュエータ306を制御して、振動抑制制御の開始前に加振板308を通常初期位置Pin(初期位置)に向かって移動させ(図7のS53)、その後、ロール共振発生タイミングで振動抑制制御を開始する(S55)。このため、何らかの異常(断線等)によりFI ECU108からのエンジン始動信号Sst1が受信できない場合でも、ACM ECU304(エンジンマウント制御装置)は振動抑制制御を実行することができる。従って、ACM ECU304の防振性能を向上することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、FI ECU108(エンジン制御装置)からのエンジン始動信号Sst1を受信しない状態において(図5のS25:NO)、クランクシャフトが回転していると判定した場合(S27:YES)、前側のACM302f(第1エンジンマウント)のアクチュエータ306を制御して、振動抑制制御の開始前に加振板308を通常初期位置Pin(初期位置)に向かって移動させ(図7のS53)、その後、ロール共振発生タイミングで振動抑制制御を開始する(S55)。このため、何らかの異常(断線等)によりFI ECU108からのエンジン始動信号Sst1が受信できない場合でも、ACM ECU304(エンジンマウント制御装置)は振動抑制制御を実行することができる。従って、ACM ECU304の防振性能を向上することが可能となる。
本実施形態において、ACM ECU304は、振動抑制制御において、ロール共振に対応した目標電流波形に基づく電流をACM302f、302r(第1及び第2エンジンマウント)のアクチュエータ306に出力する。また、エンジン始動信号Sst1なしに振動抑制制御を開始した場合(図7のS55)、エンジン始動信号Sst1を受信して振動抑制制御を開始した場合(図6のS43)と比較して、目標電流波形の振幅を増大させる(図4)。
クランクシャフトが回転しているか否かを判定する処理(図5のS27)が介在するため、エンジン始動信号Sst1なしの場合(異常時)の事前通電(図7のS53)の開始時点は、エンジン始動信号Sst1ありの場合(正常時)の事前通電(図6のS41)と比較して、遅くなる可能性がある。通常時よりも振動抑制制御の開始時点が遅くなる場合、振動抑制制御の開始前における通常初期位置Pinへの加振板308の移動が間に合わないこと(換言すると、前側のACM302f(第1エンジンマウント)のアクチュエータ306に入力されていたはずの電流(積分値)の一部欠如)が発生し得る。
本実施形態によれば、エンジン始動信号Sst1なしに振動抑制制御を開始した場合(図7のS55)、エンジン始動信号Sst1ありの場合(図6のS43)と比較して、目標電流波形の振幅を大きくする(図4)。このため、通常初期位置Pinへの加振板308の移動が間に合わない場合であっても、振動抑制制御の開始後にこれを補うようにアクチュエータ306を駆動することが可能となる。従って、エンジン始動信号Sst1なしの振動抑制制御をより効果的にすることができる。
本実施形態において、ACM ECU304は、エンジン始動信号Sst1なしに振動抑制制御を行う場合(図5のS27:YES)、ロール共振発生タイミングまでの残存時間Trを算出し(図7のS51)、残存時間Trが短い程、目標電流波形の振幅の増大量を大きくする(図4参照)。これにより、残存時間Trに応じて目標電流波形の振幅の増大量を変化させることで、アクチュエータ306に必要な出力の確保がより確実に行えるようになる。従って、エンジン始動信号Sst1なしの振動抑制制御をさらに効果的にすることが可能となる。
本実施形態において、ACM ECU304は、残存時間Trが残存時間閾値THtr(所定の期間閾値)よりも短い場合(図7のS52:NO)、振動抑制制御を中止する。これにより、残存時間Trが短すぎるため、振動抑制制御を実施しても十分な防振性能を発揮できない場合に対応することが可能となる。
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
1.適用対象
上記実施形態では、能動型防振支持装置300(ACM ECU304)をハイブリッド車両である車両10に適用したが、例えば、始動時第2制御に着目すれば、走行モータ14を有さないエンジン車両としての車両10に能動型防振支持装置300を適用してもよい。或いは、能動型防振支持装置300の適用対象は、車両10に限らず、エンジン12を備える移動体(船舶や航空機等)に用いることもできる。或いは、能動型防振支持装置300を、エンジン12を備える製造装置、ロボット又は家電製品に適用してもよい。
上記実施形態では、能動型防振支持装置300(ACM ECU304)をハイブリッド車両である車両10に適用したが、例えば、始動時第2制御に着目すれば、走行モータ14を有さないエンジン車両としての車両10に能動型防振支持装置300を適用してもよい。或いは、能動型防振支持装置300の適用対象は、車両10に限らず、エンジン12を備える移動体(船舶や航空機等)に用いることもできる。或いは、能動型防振支持装置300を、エンジン12を備える製造装置、ロボット又は家電製品に適用してもよい。
2.エンジン12
上記実施形態では、エンジン12を走行用(車両10の走行駆動力を生成するもの)としたが、例えば、走行モータ14を駆動力生成手段とする車両10であれば、エンジン12は、図示しない発電機を作動させるためのみに用いられるものであってもよい。
上記実施形態では、エンジン12を走行用(車両10の走行駆動力を生成するもの)としたが、例えば、走行モータ14を駆動力生成手段とする車両10であれば、エンジン12は、図示しない発電機を作動させるためのみに用いられるものであってもよい。
3.走行モータ14及びスタータモータ106(電動機)
上記実施形態では、走行モータ14及びスタータモータ106の両方をモータリング用の電動機として用いたが、例えば、スタータモータ106を省略することも可能である。また、走行モータ14を有さないエンジン車両として車両10を構成する場合、スタータモータ106のみを前記電動機として用いることができる。
上記実施形態では、走行モータ14及びスタータモータ106の両方をモータリング用の電動機として用いたが、例えば、スタータモータ106を省略することも可能である。また、走行モータ14を有さないエンジン車両として車両10を構成する場合、スタータモータ106のみを前記電動機として用いることができる。
4.クランクセンサ102及びレゾルバ202
上記各実施形態では、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202よりも低いものとした。しかしながら、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202と同じ又はそれ以上としてもよい。
上記各実施形態では、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202よりも低いものとした。しかしながら、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202と同じ又はそれ以上としてもよい。
5.ACM ECU304における制御
[5−1.クランク回転位置θcrk及びエンジン回転数Ne]
上記実施形態では、停止時エンジン回転位置θstp等のエンジン12の回転位置としてクランク回転位置θcrkを用いた。しかしながら、レゾルバ202が検出したモータ回転位置θmot_dをエンジン12の回転位置として用いてもよい。
[5−1.クランク回転位置θcrk及びエンジン回転数Ne]
上記実施形態では、停止時エンジン回転位置θstp等のエンジン12の回転位置としてクランク回転位置θcrkを用いた。しかしながら、レゾルバ202が検出したモータ回転位置θmot_dをエンジン12の回転位置として用いてもよい。
また、エンジン12と走行モータ14が連結している場合、始動時第2制御の開始を判定するため(図5のS27)、クランク回転位置θcrkの代わりに、レゾルバ202が検出したモータ回転位置θmot_dを用いて算出してもよい。
上記実施形態では、クランクセンサ102(エンジン12自体の回転位置センサ)よりもレゾルバ202の方が角度分解能が高い。このため、より精度の良い停止時エンジン回転位置θstp及びエンジン回転数Neを用いることが可能となる。
スタータモータ106にも回転位置センサが設けられる場合、同様のことを行ってもよい。
[5−2.事前通電]
上記実施形態では、一方のACM302f、302r(前側のACM302f)に対して事前通電を行った(図6のS41、図7のS53)。しかしながら、ACM302f、302rそれぞれの加振板308を初期位置(通常初期位置Pin)に配置する観点からすれば、特許文献1の図8(c)及び図9(c)のように、ACM302f、302r両方に事前通電を行う構成にも本発明を適用可能である。
上記実施形態では、一方のACM302f、302r(前側のACM302f)に対して事前通電を行った(図6のS41、図7のS53)。しかしながら、ACM302f、302rそれぞれの加振板308を初期位置(通常初期位置Pin)に配置する観点からすれば、特許文献1の図8(c)及び図9(c)のように、ACM302f、302r両方に事前通電を行う構成にも本発明を適用可能である。
[5−3.始動時第2制御]
上記実施形態では、始動時第2制御を開始するトリガとして、クランクパルス信号Scrkの受信を用いた(図5のS27)。これにより、より迅速に始動時第2制御を開始することが可能となった。しかしながら、クランクシャフトが回転しているか否かを判定するとの観点からすれば、これに限らない。例えば、ACM ECU304が所定数のクランクパルスを取得した後に、エンジン回転数Neが上昇し始めていることが確認できた時点を、始動時第2制御を開始するトリガにすることも可能である。この場合、ノイズにより瞬間的にクランクパルスが検出された場合に、不必要に振動抑制制御が開始されるのを抑制することが可能となる。
上記実施形態では、始動時第2制御を開始するトリガとして、クランクパルス信号Scrkの受信を用いた(図5のS27)。これにより、より迅速に始動時第2制御を開始することが可能となった。しかしながら、クランクシャフトが回転しているか否かを判定するとの観点からすれば、これに限らない。例えば、ACM ECU304が所定数のクランクパルスを取得した後に、エンジン回転数Neが上昇し始めていることが確認できた時点を、始動時第2制御を開始するトリガにすることも可能である。この場合、ノイズにより瞬間的にクランクパルスが検出された場合に、不必要に振動抑制制御が開始されるのを抑制することが可能となる。
上記実施形態では、振動抑制制御の開始タイミング(ロール共振発生タイミング)までの残存時間Trを、始動時第2制御毎に算出した(図7のS51)。しかしながら、クランクパルス信号Scrkの受信からロール共振発生タイミングまでの時間にあまりばらつきがない場合、残存時間Trを予め設定した固定値としてもよい。残存時間Trを固定値とする場合、図7のステップS51〜S54に対応する処理は事前に準備が可能となる。このため、始動時第2制御を実行する際、直ちに事前通電(S53)を開始すると共に、簡易に目標電流波形を設定することが可能となる。
上記実施形態では、事前通電(S53)を残存時間Trの算出(S51)の後に行った(図7)。しかしながら、事前通電の開始を重視して、事前通電を残存時間Trの算出の前に行い、その後に算出した残存時間Trに基づいて事前通電の終了を判定することも可能である。
上記実施形態では、残存時間Trが短い程、目標電流波形の振幅の増大量を大きくした(図4参照)。しかしながら、例えば、クランク回転位置θを用いてエンジン12の始動又は再始動を判定する観点からすれば、これに限らない。例えば、残存時間Trに応じた目標電流波形の振幅調整は行わないことも可能である。
10…車両 12…エンジン
16…車体 102…クランクセンサ
108…FI ECU(エンジン制御装置)
302f…前側のACM(第1エンジンマウント)
302r…後ろ側のACM(第2エンジンマウント)
304…ACM ECU(エンジンマウント制御装置)
306…アクチュエータ 308…加振板
Sst1…エンジン始動信号 THtr…残存時間閾値(所定の期間閾値)
Tr…残存時間 θcrk…クランク回転位置
16…車体 102…クランクセンサ
108…FI ECU(エンジン制御装置)
302f…前側のACM(第1エンジンマウント)
302r…後ろ側のACM(第2エンジンマウント)
304…ACM ECU(エンジンマウント制御装置)
306…アクチュエータ 308…加振板
Sst1…エンジン始動信号 THtr…残存時間閾値(所定の期間閾値)
Tr…残存時間 θcrk…クランク回転位置
Claims (5)
- エンジンを車体に支持させる第1及び第2エンジンマウントに組み込まれたアクチュエータに固定された加振板に往復運動を繰り返させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジンの始動又は再始動の開始を示すエンジン始動信号をエンジン制御装置から受信したとき、前記アクチュエータを制御して、前記振動抑制制御の開始前に前記第1及び第2エンジンマウントの少なくとも一方の前記加振板を初期位置に移動させ、
その後、前記エンジンのロール共振が発生するタイミングであるロール共振発生タイミングで前記振動抑制制御を開始し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン始動信号を受信しない状態において、前記エンジンのクランクシャフトの回転位置であるクランク回転位置を検出するクランクセンサからの入力に基づいて前記クランクシャフトが回転しているか否かを監視し、
前記エンジン制御装置からの前記エンジン始動信号を受信しない状態において、前記クランクシャフトが回転していると判定した場合、前記アクチュエータを制御して、前記振動抑制制御の開始前に前記第1及び第2エンジンマウントの少なくとも一方の前記加振板を前記初期位置に向かって移動させ、その後、前記ロール共振発生タイミングで前記振動抑制制御を開始する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。 - 請求項1記載のエンジンマウント制御装置において、
前記エンジンマウント制御装置は、前記振動抑制制御において、
前記ロール共振に対応した目標電流波形に基づく電流を前記第1及び第2エンジンマウントの前記アクチュエータに出力し、
前記エンジン始動信号なしに前記振動抑制制御を開始した場合、前記エンジン始動信号を受信して前記振動抑制制御を開始した場合と比較して、前記目標電流波形の振幅を増大させる
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。 - 請求項2記載のエンジンマウント制御装置において、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン始動信号なしに前記振動抑制制御を行う場合、
前記ロール共振発生タイミングまでの残存時間を算出し、
前記残存時間が短い程、前記目標電流波形の振幅の増大量を大きくする
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。 - 請求項3記載のエンジンマウント制御装置において、
前記エンジンマウント制御装置は、前記残存時間が所定の期間閾値よりも短い場合、前記振動抑制制御を中止する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジンマウント制御装置を備える車両。
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JP2013131869A JP2015007434A (ja) | 2013-06-24 | 2013-06-24 | エンジンマウント制御装置及び車両 |
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