JP2015004686A - 光特性測定用のフィルム、及び、光特性測定用の物質。 - Google Patents

光特性測定用のフィルム、及び、光特性測定用の物質。 Download PDF

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Abstract

【課題】正確な日射反射率を予測計算できること。【解決手段】塗膜を支持し、前記塗膜による光の吸収又は散乱の測定に用いられるフィルムであって、350nmから1600nmの全ての波長の光を、75%以上の透過率で透過させる。【選択図】図2

Description

本発明は、光特性測定用のフィルム、及び、光特性測定用の物質に関する。
建築物等においては、耐久性、美粧性から塗装されている。塗装に塗料の色について、所望の色を得たい場合には、CCM(Computer Color Matching)によって塗料配合を検索する技術が知られている。
近年、さらに、省エネの視点から塗料の遮熱性が注目されている。例えば、建築物等の遮熱性等を向上させるために、建築物等に塗装することが多くなってきている。そして、塗装に用いられる塗料の光特性を測定する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、下地の分光反射率ρ g (λ )に基づいて下地の反射率R g (λ )を算出する下地反射率算出手順と、下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手順と、下地反射率算出手順で取得した下地の反射率R g (λ )、及び、塗膜データ取得手順で取得された塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R (λ )を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ (λ )を算出する塗膜構造体分光反射率算出手順とを有する分光反射率予測計算方法が記載されている。
特開2007−316829号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、分光反射率を計算する際に、JIS K 5600に規定された白黒隠蔽紙を用いている。この白黒隠蔽紙は、可視光領域での分光反射率の測定を対象としたものであり、紫外線又は赤外線を透過又は吸収してしまう。
つまり、特許文献1に記載の技術では、原色やその組合せの塗料の正確な吸収係数及び散乱係数を計算できず、日射反射率を予測計算できない場合があるという欠点があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、正確な日射反射率を予測計算できる光特性測定用のフィルム、及び、光特性測定用の物質を提供する。
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、塗膜を支持し、前記塗膜による光の吸収又は散乱の測定に用いられるフィルムであって、
350nmから1600nmの全ての波長の光を、75%以上の透過率で透過させることを特徴とする光特性測定用のフィルムである。
(2)また、本発明の一態様は、上記光特性測定用のフィルムにおいて、350nmから1600nmの全ての波長の光を、85%以上の透過率で透過させることを特徴とする。
(3)また、本発明の一態様は、塗膜による光の吸収又は散乱の測定に用いられる塗膜の下地と、請求項1又は2に記載のフィルムと、を密着させる物質であって、350nmから2000nmの全ての波長の光を透過させ、1.3以上1.7以下の屈折率を有していることを特徴とする光特性測定用の物質である。
本発明によれば、正確な日射反射率を予測計算できる。
本発明の第1の実施形態に係る塗料測定装置の構成を示す概略図である。 本実施形態に係る試料塗板の構造を示す模式図である。 本実施形態に係る重価係数の一例を表すグラフである。 白素地の反射率の一例を示すグラフである。 黒素地の反射率の一例を示すグラフである。 支持フィルムの透過率の一例を示すグラフである。 本実施形態に係る演算装置の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る可視光領域での試料の吸収係数K及び散乱係数Sを計算する動作の一例を示すフローチャートである。 本実施形態に係る可視データテーブルの一例を示す概略図である。 本実施形態に係る赤外光〜紫外光領域での試料の吸収係数K及び散乱係数Sを計算する動作の一例を示すフローチャートである。 本実施形態に係る赤外〜紫外データテーブルの一例を示す概略図である。 本実施形態に係る日射反射率及び予測色度値を計算する動作の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る演算装置の構成を示す機能ブロック図である。 本実施形態に係る塗料測定装置の動作の一例を示したフローチャートである。 本変形例に係る試料塗板の構造を示す模式図である。 本実施例に係るピンク原色塗膜の可視光領域での反射率を表すグラフである。 本実施例に係るピンク原色塗膜の可視光領域での吸収係数Kと散乱係数Sを表すグラフである。 本実施例に係るピンク原色塗膜の紫外光〜赤外光領域での反射率を表すグラフである。 本実施例に係るピンク原色塗膜の紫外光〜赤外光領域での吸収係数Kと散乱係数Sを表すグラフである。 本実施例に係る青下地の場合の可視光領域での反射率を表すグラフである。 本実施例に係る青下地で混色PY塗膜の可視光領域での反射率を表すグラフである。 本実施例に係る青下地の場合の紫外光〜赤外光領域での反射率を表すグラフである。 本実施例に係る青下地で混色PY塗膜の可赤外〜紫外光領域での反射率を表すグラフである。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
本実施形態に係る塗膜測定装置1は、試料塗板1041に対して可視光の波長域(可視光領域とも称す)の光、試料塗板1042に対して紫外光〜赤外光の波長域(紫外光〜赤外光領域とも称す)の光、を用いて、各波長λにおける試料塗板1041及び試料塗板1042の反射率を測定する。日射反射率は、地表に到達する太陽光線の反射率である。太陽光線の反射光は、正反射光(光沢成分)と拡散光によって構成されている。その反射率の測定方法は、一般にSCI(正反射光を含む測定、Specular Component Include)と呼ばれる。測定の規格としては、JISZ8722色の測定方法の幾何条件C(積分球方式の正反射光を含むdi:8度)方式で測定される。塗膜測定装置1は、測定した反射率に基づいて、試料(塗料の塗膜)による光の吸収係数と散乱係数を計算する。
塗膜測定装置1は、予測対象の塗料(予測対象塗料という)について試料(後述する基礎塗料)の配合比率情報が入力されると、計算した吸収係数と散乱係数に基づいて、予測対象塗料についての日射反射率の予測値である予測日射反射率ρ、及び予測色度値L*a*b*を計算する。なお、日射反射率とは、試料塗板1042からの反射光の総量を、試料塗板1042に入射された太陽光の総量で除算したものである。日射反射率が高いほど、遮熱性能が高いことを示す。なお、本実施形態における日射反射率とは、赤外光、可視光、紫外光を含む波長域(例えば、300nm−2500nm)についての日射反射率をいう。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る塗膜測定装置1の構成を示す概略図である。図1に示す一例では、塗膜測定装置1は、測色機器101、自記分光光度計102、入力部103、試料塗板1041、1042、校正板(Spectraron)105、演算装置16、及びモニター107を含んで構成される。
測色機器101は、演算装置16からの命令に従って、可視光(400〜700nm)を、試料塗板1041に対して出力する。この試料塗板1041は、CCMのための基礎データ(各種色材の吸収係数と散乱係数)を得るための塗料(基礎塗料という)の塗膜が下地に載せれらたものである(図2参照)。測色機器101は、波長λ(nm)毎に試料塗板1041から反射された光(反射光とも称す)を測定し、反射率Rext(λ)を計算する。例えば、測色機器101は、400nm〜700nmの間で10nm間隔で反射光を測定する。なお、反射率Rext(λ)は、白素地の反射率Rg1(λ)、黒素地の反射率Rg2(λ)、白素地上の基礎塗料の塗膜の反射率R(λ)、黒素地上の基礎塗料の塗膜の反射率R(λ)を表す(図2参照)。
測色機器101は、計算した反射率Rext(λ)を示す可視光線反射率情報を演算装置16に出力する。
自記分光光度計102は、演算装置16からの命令に従って、紫外光(300nm〜400nm)、可視光(400〜700nm)、及び、赤外光(700nm〜2500nm)を、試料塗板1042に対して出力する。自記分光光度計102は、波長λ毎に試料塗板1042から反射光を測定し、反射率R’ext(λ)を計算する。例えば、自記分光光度計102は、300nm〜2500nmの間で1nm間隔で反射光を測定する。なお、白素地の反射率R’g1(λ)、黒素地の反射率R’g2(λ)、白素地上の基礎塗料の塗膜の反射率R’(λ)、黒素地上の基礎塗料の塗膜の反射率R’(λ)を反射率R’ext(λ)で表す(図2参照)。
自記分光光度計102は、計算した反射率R’ext(λ)を示す赤外〜紫外線反射率情報を外部反射率測定部201に出力する。
入力部103は、マウスやキーボード等の入力機器である。入力部103は、利用者の操作によって入力された情報を演算装置16に出力する。
例えば、入力部103は、試料(本実施形態では、原色エナメル番号)の識別情報、及び試料の膜厚Xを示す膜厚情報を、利用者から入力される。入力部103は、試料の測定を開始する測定開始命令を、利用者から入力される。また、入力部は、予測対象塗料について、その塗料の識別情報(例えば、塗料の番号、塗料名)、原色エナメルの配合比率を示す配合比率情報を、利用者から入力される。
試料塗板1041は、支持体(例えば、鋼板、プラスチック板)に白塗料及び黒塗料を塗装した白黒素地に、試料(基礎塗料)が塗装されているものである。
試料塗板1042は、試料(基礎塗料)が塗装されているフィルムが、白黒素地(パネル)に載せられているものである。白黒素地は、測定される波長域において、白色(入射光を強く反射)、及び黒色(入射光を強く吸収)の部分からなる。
校正板105は、米国Labsphere社製の標準反射板であり、自記分光光度計102の校正に用いられる。校正板105は、発泡フッ素樹脂が固められたものである。
演算装置16は、入力部103から測定開始命令が入力されると、測色機器101及び自記分光光度計102に反射率を測定させる命令をする。命令の結果、演算装置16は、測色機器101から可視光線反射率情報を取得し、自記分光光度計102から赤外〜紫外線反射率情報を取得する。
演算装置16は、取得した可視光線反射率情報及び入力部103から入力された膜厚情報に基づいて、試料による光の吸収係数Kと散乱係数Sを計算して記憶する。演算装置16は、取得した赤外〜紫外線反射率情報及び入力部103から入力された膜厚情報に基づいて、試料による光の吸収係数K’と散乱係数S’を計算して記憶する。なお、本実施形態では、試料は基礎塗料である。
演算装置16は、入力部103から入力された配合比率情報と、記憶した吸収係数K及び散乱係数Sと、を用いてCCM(Computer Color Matching)計算を行うことで、予測対象塗料の予測色度値L*a*b*を計算する(この計算を色CCM計算という)。演算装置16は、入力部103から入力された配合比率情報と、記憶した吸収係数K’及び散乱係数S’と、を用いて、予測対象塗料の予測日射反射率ρを計算する(この計算を日射反射率CCM計算という)。
演算装置16は、予測対象塗料の識別情報、基礎塗料の識別情報、混合比率情報、吸収係数K、K’、散乱係数S、S’、予測日射反射率ρ、予測色度値L*a*b*、等の表示情報をモニター107に出力する。
モニター107は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。モニター107は、演算装置16から入力された表示情報を表示する。
なお、塗膜測定装置1では、反射率の測定について、色CCM計算に用いる反射率Rext(λ)を測定する測色機器101(測色計)と、日射反射率CCM計算に用いる反射率R’ext(λ)を測定する自記分光光度計102(日射反射測定器)と、の2つに分けている。測色計は、日射反射測定器と比較して、安価で処理スピードが速く、小さい筐体のものもある。例えば、測色計は、2、3秒で測定できる。また、測色計は、目視の色と一致性の高い45/0度タイプや積分球タイプ等、調色する試料に応じて様々な種類の測色計を簡易に選択できる。
一方、日射反射測定器は、測色計と比較して、高価で処理スピードが遅く、筐体も大きい。例えば、日射反射測定器は、光源の波長をモノクロメータで単波長にして、試料に照射して測定するので、1回の測定に当たり数分の測定時間を要する。
塗膜測定装置1では測色計と日射反射測定器とを分けることにより、調色に利用する反射率の測定は測色計で測定し、日射反射率は日射反射測定器で測定することができ、一方の処理待ち等による処理負荷の増大の防止や、並列処理によって測定時間を短縮することができる。
<試料塗板1041及び1042の構造について>
図2は、本実施形態に係る試料塗板1041、1042の構造を示す模式図である。
この図において、試料塗板1041、1042には、試料が塗装されている塗膜104aが、白黒素地1041b(第1の下地)及び白黒素地1042b(第2の下地)それぞれの上に載せられている。塗膜104aは、厚さ(膜厚)がXμmの塗膜である。
試料塗板1042において、塗膜104aは、支持フィルム104c上に塗装されている。また、符号104dを付した鎖線は、液体104d(光学接触用液体)を示す。液体104d(光学接触用液体)は、支持フィルム104cと白黒素地1041bとの間にある。この液体104dは、支持フィルム104cと白黒素地1041bとを密着させるものであり、液体に限られない。
白黒素地1041b、1042bは、白色(white)の部分(白素地)及び黒色(black)の部分(黒素地)から成る。
試料塗板1041の白黒素地1041bには、JISで規定された白黒隠蔽紙(JIS K5600−4−1:1999)が用いられる。
試料塗板1042の白黒素地1042bには、後述するように、紫外光〜赤外光の波長域に渡って、反射率の高い白色、及び、反射率の低い黒色の白黒素地が用いられる。
図2において、Rは白黒素地1041bの白素地上の塗膜による光(電磁波)の反射率(以下、光の反射率を単に反射率とも称す)を表し、Rは白黒素地1041bの黒素地上の塗膜の反射率を表す。R’は白黒素地1042bの白素地上の塗膜の反射率を表し、R’は白黒素地1042bの黒素地上の塗膜の反射率を表す。
g1、Rg2は、それぞれ、白黒素地1041bの白素地、黒素地の反射率を表す。R’g1、R’g2は、それぞれ、白黒素地1042bの白素地、黒素地の反射率を表す。
例えば、反射率R’g1、R’g2は、それぞれ、符号P11、P12を付した一点鎖線で示した部分(反射部分)で反射された光の反射率である。この反射部分は、塗膜で反射される光以外の光を反射する。
<試料の吸収係数、散乱係数の計算>
以下、本実施形態に係る吸収係数K、K’、及び散乱係数S、S’の計算手法について詳細を説明する。
演算装置16は、反射率R(λ)及びR’(λ)(外部反射率)を、反射率Rint(λ)及びR’ int(λ)(内部反射率という)に変換し、変換した内部反射率を用いて、吸収係数K、K’、及び散乱係数S、S’を計算する。これにより、塗膜内部の反射率(内部反射率)を用いる、色CCM及び日射反射率CCM(単にCCMという)の数式を計算に利用することができる。
具体的には、演算装置16は、以下の式(1)を用いて、反射率R(λ)を内部反射率Rint(λ)に変換する。演算装置16は、次式(2)を用いて、反射率R’(λ)を内部反射率R’int(λ)に変換する。
Figure 2015004686
ここで、kはフレネル反射率である。例えば、k=0.04である。また、kは、内部拡散反射係数である。例えば、k=0.555である。式(1)は、演算装置16が試料塗板1041の表面で鏡面反射した光を除いた光を反射光として計算する(SCE;Specular Component Exclude)ことを示す。式(2)は、演算装置16が試料塗板1042の表面で鏡面反射した光を含むすべての光を反射光として計算する(SCI;Specular Component Include)ことを示す。
演算装置16は、内部反射率Rint(λ)及び膜厚Xに基づいて、吸収係数Kと散乱係数Sを計算する。内部反射率R’int(λ)及び膜厚Xに基づいて、吸収係数K’と散乱係数S’を計算する。ここで、演算装置16は、以下に示す絶対値KS法を用いて吸収係数と散乱係数を計算する。しかし、本発明はこれに限らず、試料塗板104の白原色の散乱係数を1.0として計算する相対値KS法を用いてもよい。ただし、演算装置16は、絶対値KS法を用いることにより、色の計算を任意の下地の色の上に非隠蔽(下地の色が塗膜を透過し、観察した塗膜の色に影響を与える場合)で塗装した場合の塗膜の色を推定できる。
演算装置16は、次式(3)〜(7)を用いて、吸収係数K及び散乱係数Sを計算する。なお、以下の式(3)〜(7)において、変数はすべて波長λの関数であるが、λの関数であることを示す記号は省略している。また、式(3)〜(7)において、反射率に関するパラメータ(Rg1 int、Rg2 int、R int、R int)は、外部反射率(Rg1、Rg2、R、R)を変換した内部反射率である。
Figure 2015004686
式(3)〜(7)では、吸収係数Kと散乱係数Sを計算をする場合について示しているが、ダッシュ(’)がない記号の式が色計算の吸収係数Kと散乱係数Sを表し、ダッシュを付けた記号の式が日射反射率の吸収係数K’と散乱係数S’を表す。
なお、式(4)は、以下の式でも表すことができる。
Figure 2015004686
<塗料の予測日射反射率ρの計算>
演算装置16は、原色エナメルの配合比率P(重量濃度比率)を示す配合比率情報が入力されると、ダンカン(Duncan)の混色式(式(10))を用いて、混合後の吸収係数K’と散乱係数S’の比(混合KSという)を計算する。
Figure 2015004686
ここで、K’は、i(原色エナメル番号)番目の原色エナメルの吸収係数K’である。S’は、i(原色エナメル番号)番目の原色エナメルの散乱係数S’である。式(10)では、各色材(原色エナメル)のK’、S’の配合量と混合後のK’、S’との間に線形関係が成り立つため、簡単な計算で混合KSを予測することができる。
式(10)は、吸収係数K’と散乱係数S’から混合KSを計算する場合について示しているが、各パラメータから’(ダッシュ)を除いた式(10)が、吸収係数Kと散乱係数Sから混合KSを計算する場合に用いられる。
<混合KSから外部反射率への変換>
演算装置16は、混合KS((K’/S’)mix)を用いて、予測対象塗料の内部反射率R’mix intを計算する。具体的には、演算装置16は、式(11)に示す関係式を用いて、内部反射率R’mix intを計算する。
Figure 2015004686
式(11)は、内部反射率R’mix intを計算する場合について示しているが、各パラメータから’(ダッシュ)を除いた式(11)が、内部反射率R’mix intを計算する場合に用いられる。
演算装置16は、式(12)を用いて、内部反射率Rmix intを外部反射率Rmix extに変換する。演算装置16は、式(13)を用いて、内部反射率R’mix intを外部反射率R’mix extに変換する。
Figure 2015004686
演算装置16は、予め記憶する重価係数と外部反射率R’mix extとに基づいて、式(14)を用いて、予測日射反射率ρを計算する。ここで、重価係数は、例えば、JISに規定された基準太陽光の地表面での強度の波長依存性を示す重価係数が用いられる(図3参照)。
Figure 2015004686
図3は、本実施形態に係る重価係数の一例を表すグラフである。このグラフは、JIS K5602に規定された重価係数のグラフである。縦軸は相対強度を示し、横軸は波長である。重価係数は、300nm以下では「0」であり、300nmから600nmにかけて次第に大きくなり、その後1000nm付近までいくつかの極大値及び極小値をとりながら減少していく。重価係数は、その後も1050nm、1300nm、1600nm、及び2350nm付近に極大値及び極小値をとりながら減衰していく。
図3に図示するように、重価係数は、波長が400nm以下と2000nm以上の値が小さい。したがって、400nmから2000nmまでの反射率を精度を高くすることで、日射反射率の精度を高くすることができる(式(14)参照)。塗膜測定装置1は、赤外光、紫外光の反射率の精度を上げることができるので、日射反射率の精度を高くすることができる。
<色度値L*a*b*の計算>
演算装置16は、予め記憶する情報と外部反射率Rmix extとに基づいて、JIS Z8701に規定された計算手法(式(15)〜式(17))を用いてD65光源10度視野のXYZ(X10,Y10,Z10)を計算する。
Figure 2015004686
ここで、S(λ)は、色の表示に用いる標準の光の分光分布である。x(λ)、y(λ)、z(λ)は、XYZ表色系における等色関数である。kは、三刺激値のYの値が測光量に一致するように定めた係数である。演算装置16は、S(λ)、x(λ)、y(λ)、z(λ)、kを予め記憶する。
演算装置16は、計算したXYZ(X10,Y10,Z10)を、JIS Z8729に規定された式を用いて色度値L*a*b*に変換する。
<白黒素地の反射率について>
演算装置16が有意な吸収係数と吸収係数を計算するためには、式(5)が実数解となる必要がある。式(5)が実数解となるためには、Rg1>R及びR’g1>R’、つまり、白素地の反射率は塗膜104aの反射率よりも大きい(条件1)必要がある。また、Rg2<R及びR’g2<R’、つまり、黒素地の反射率は塗膜104aの反射率よりも小さい(条件2)必要がある。
例えば、従来のJISで規定された白黒隠蔽紙は、可視光領域において上記の条件1、2を満たす。この白黒隠蔽紙は、白素地の明度はD65光源のY値が80±2、黒さのY値が5以下であると規定されている。Y値は、目視の波長領域における3刺激値X、Y、Zにおける明るさを示す値である。
しかしながら、JISで規定された白黒隠蔽紙のY値では、可視光域以外の紫外光域や赤外光域では、式(5)が実数解でなくなる。
本実施形態では、試料塗板1042が、以下のような構成を備えることによって、演算装置16は、有意な吸収係数Kと吸収係数Sを計算することができる。
<白素地について>
試料塗板1042の白素地は、ホウケイ酸ガラスを素材とする白素地である。しかし、本発明はこれに限らず、試料塗板1042の白素地は、波長350nmから1600nmの領域が80%以上、より好ましくは90%以上となる白素地であってもよい。
図4は、白素地の反射率の一例を示すグラフである。この図の縦軸は反射率(%)、横軸は波長(nm)を表している。図示する例では、ever−white(エバーズ社製セラミック白素地板、ホウケイ酸ガラス),paint−white、及びhp(隠蔽力、Hiding power)−whiteの3種類の白素地の反射率を示している。
ever−whiteは、他の白素地に比べて紫外域での反射率が最も高く、赤外域での反射率も1500nmより短波長の領域では、ほぼ100%に近い。また、1500nmより長波長側でも、他の白素地と比較して高い反射率を示している。本実施形態では、ever−whiteを試料塗板1042の白素地として用いている。
また、hp−whiteは、白黒隠蔽紙の白素地として用いている。図4では、●(黒塗りの丸)の白塗料の反射率と、△(白塗りの三角)の白黒隠蔽紙の白素地(hp−white)の反射率と、を比べると、波長の範囲によって反射率の値の上下が入れ替わっている箇所(波長)があるので、KS値の計算に適用できないことを示す。一方、ever−whiteは、白塗料よりも反射率が常に(全波長で)高いので、正しくKS値を求めることができる。
<黒素地について>
試料塗板1042の黒素地は、黒板ガラス(ガラスの底面にカーボン黒を塗ったもの)、又は、カーボンブラックの板である。ただし、本発明はこれに限らず、試料塗板1042の黒素地は、波長350nmから1600nmの領域が6%以下、より好ましくは5%以下となる黒素地であってもよい。
図5は、黒素地の反射率の一例を示すグラフである。縦軸は反射率(%)、横軸は波長(nm)を表している。図示する例では、ever−black(エバーズ社製セラミック黒素地板),paint−black、及びhp−blackの3種類の黒素地の反射率を示している。本実施形態では、ever−blackを試料塗板1042の黒素地として用いている。
<塗膜104aについて>
試料塗板1042の白黒素地(セラミック製)は、一般の塗板よりも高価である。本実施形態に係る試料塗板1042では、試料を白黒素地に塗装せずに、試料を白黒素地に載せて測定するので、白黒素地を繰り返して使用でき、試料を直接塗装して測定毎に白黒素地を交換する場合と比較して、測定に掛かる費用を削減できる。
塗膜は、例えば、以下(ア)又は(イ)のようにして白黒素地に載せられている。
(ア)ポリプロピレンのような低表面張力のプラスチックの上に、試料を塗装した塗膜を剥離し、フリーフィルムとしての塗膜を白黒素地に載せる。
(イ)透明なフィルム(支持フィルム)の上に試料を塗装することで、透明なフィルムと塗料の積層体を白黒素地に載せる。
本実施形態に係る塗膜は、上記(イ)のようにして白黒素地に載せられている。なお、塗膜は、上記(ア)のようにして載せられていてもよい。(ア)の場合、支持フィルムを用いないため、支持フィルムに起因する誤差要因を排除できるという利点がある。しかし、(ア)の場合、塗膜は剛性がなく、塗膜に発生する静電気で塗膜が丸まってしまう。また、(ア)の場合、塗膜は、容易に切断されてしまい、測定が困難になる場合もある。
一方、(イ)の場合には、(ア)の場合と比較して、フィルム作成、測定、保存が容易である。また、本実施形態に係る積層体は、支持フィルム104cや、光学接触用液体104dを用いることによって、支持フィルム104cに起因する誤差要因を減少できる。本実施形態では、支持フィルム104cと白黒素地104bは、光学接触用液体104dを用いて密着されている。
<支持フィルム104c>
試料塗板1042における支持フィルム104cには、フッ素樹脂共重合体であるAflex(アフレックス、旭硝子製のフッ素樹脂フィルム)を用いている(なお、「Aflex」及び「アフレックス」は登録商標である。以下、同じ)。ただし、本発明はこれに限らず、支持フィルム104cは、350nm−400nmの領域の透過率が75%以上、なおかつ、350−1600nmの領域の透過率が85%以上であってもよい。
図6は、支持フィルム104cの透過率の一例を示すグラフである。このグラフは、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなるOHPフィルム、及び、Aflexの厚さ100μmのシートについて、300−2500nm領域の透過率を示すグラフである。この図の縦軸は透過率(%)、横軸は波長(nm)を表している。
図示する例では、波長300nmから2200nmにおいて、Aflexのシートは、OHPフィルムのシートと比較して透過率が高い。OHPフィルムのシートは、400nmより短波長側で急激に光を吸収している。一方、本実施形態に係るAflexのシートは、短波長側でOHPフィルムのシートの透過率が急激に低下する波長でも、高い透過率を示している。700nmより長波長側では、OHPフィルム、及びAflexのシートは、共に光を透過する。
支持フィルム104cには、光学特性以外に、耐溶剤性や、耐焼付け温度性があってもよい。支持フィルムの屈折率は、塗膜の屈折率に近い1.3−1.7の範囲のものでよく、より好ましくは、1.4−1.6の範囲であってもよい。支持フィルム104cは、塗装によって焼付け硬化する場合があるので、耐溶剤性(トルエン、キシレン等の強溶剤や、灯油系の弱溶剤系)や、耐熱性(80−140度)があるものであってもよい。
<光学接触用液体>
試料塗板1042の白黒素地104bと支持フィルム104cとを密着させている光学接触用液体104dは、ポリエチレングリコール(PEGと略す。分子量が200〜600のもの)である。PEGは、無色透明で、屈折率n=1.456と塗膜に近い。また、PEGは、安価に利用でき、しかも無毒であり、粘度が高い上に水洗できる。ただし、本発明はこれに限らず、光学接触用液体104dは、350−2000nmに渡って着色していないものであってもよい。また、光学接触用液体104dの屈折率は、n=1.3−1.7の範囲であってもよく、より好ましくは、塗膜の屈折率に近いn=1.4−1.6の範囲であってもよい。光学接触用液体104dは、適度な粘性を持ち、白黒素地板状に滴下したときに液滴として留まるものでもよい。光学接触用液体104dは、支持フィルム104cを光学接触させる間保持され、支持フィルム104cを覆ったときに、速やかに白黒素地104bと支持フィルム104cとの間に拡張濡れが起こるものでもよい。これにより、光学接触用液体104dは、塗膜104aと白黒素地104bとの間の接触を強固にできる。
<演算装置16の構成について>
図7は、本実施形態に係る演算装置16の構成を示す概略ブロック図である。
図示する例では、演算装置16は、外部反射率取得部1601、1602、内部反射率計算部1611、1612、可視KS計算部1621、赤外〜紫外KS計算部1622、KS記憶部163、混合KS計算部164、混合内部反射率計算部165、混合外部反射率計算部166、重価係数記憶部167、日射反射率計算部168、及び、色度値計算部169を含んで構成される。
外部反射率取得部1601は、入力部103からの入力に基づいて、測色機器101に反射率を測定させる命令をする。命令の結果、外部反射率取得部1601は、測色機器101から可視光線反射率情報を取得する。外部反射率取得部1601は、取得した可視光線反射率情報を内部反射率計算部1611に出力する。
内部反射率計算部1611は、外部反射率取得部1601から入力された可視光線反射率情報が示す外部反射率R(λ)を、内部反射率Rint(λ)に変換する。内部反射率計算部1611は、変換後の内部反射率Rint(λ)を可視KS計算部1621に出力する。
可視KS計算部1621は、内部反射率計算部1611から入力された内部反射率Rint(λ)、及び入力部103から入力された膜厚Xに基づいて、基礎塗料の吸収係数Kと散乱係数S(可視KSとも称す)を計算する。可視KS計算部1621は、計算した基礎塗料の吸収係数Kと散乱係数Sを、入力部103から入力された基礎塗料の識別情報及び基礎塗料に関する情報と対応付けた可視KS情報を生成する。
可視KS計算部1621は、生成した基礎塗料に関する可視KS情報をKS記憶部163の可視データテーブルに記憶させる。
外部反射率取得部1602は、入力部103からの入力に基づいて、自記分光光度計102に反射率を測定させる命令をする。命令の結果、外部反射率取得部1602は、自記分光光度計102から赤外〜紫外線反射率情報を取得する。外部反射率取得部1602は、赤外〜紫外線反射率情報を内部反射率計算部1612に出力する。
内部反射率計算部1612は、外部反射率取得部1602から入力された赤外〜紫外線反射率情報が示す外部反射率R’(λ)を、内部反射率R’int(λ)に変換する。内部反射率計算部1612は、変換後の内部反射率R’int(λ)を赤外〜紫外KS計算部1622に出力する。
赤外〜紫外KS計算部1622は、内部反射率計算部1612から入力された内部反射率R’int(λ)、及び入力部103から入力された膜厚Xに基づいて、基礎塗料の吸収係数K’と散乱係数S’(赤外〜紫外KSとも称す)を計算する。赤外〜紫外KS計算部1622は、計算した基礎塗料の吸収係数K’と散乱係数S’を、入力部103から入力された基礎塗料の識別情報及び基礎塗料に関する情報と対応付けた赤外〜紫外KS情報を生成する。赤外〜紫外KS計算部1622は、生成した基礎塗料に関する赤外〜紫外KS情報をKS記憶部163の赤外〜紫外データテーブルに記憶させる。
混合KS計算部164は、入力部103から予測対象塗料に関する配合比率情報、及び、KS記憶部163から読み出した基礎塗料に関する可視KS情報に基づいて、混合KS(可視混合KSという)を計算する(式(10))。混合KS計算部164は入力部103から入力された予測対象塗料に関する配合比率情報、及び、KS記憶部163から読み出した基礎塗料に関する赤外〜紫外KS情報に基づいて、混合KS(赤外〜紫外混合KSという)を計算する(式(10))。混合KS計算部164は、計算した可視混合KS及び赤外〜紫外混合KSを示す混合KS情報と、予測対象塗料の識別情報及び予測対象塗料に関する情報と、を対応付けて混合KS計算部164に出力する。
混合内部反射率計算部165は、混合KS計算部164から入力された混合KS情報が示す可視混合KSに基づいて、内部反射率Rmix intを計算する(式(13))。混合内部反射率計算部165は、混合KS計算部164から入力された混合KS情報が示す赤外〜紫外混合KSに基づいて、内部反射率R’mix intを計算する(式(13))。
混合内部反射率計算部165は、計算した内部反射率Rmix intを示す可視混合内部反射率情報と、内部反射率R’mix intを示す赤外〜紫外混合内部反射率情報を、混合外部反射率計算部166に出力する。
混合外部反射率計算部166は、混合内部反射率計算部165から入力された可視混合内部反射率情報が示す内部反射率Rmix intを、外部反射率Rmix extに変換する(式(13))。混合外部反射率計算部166は、混合内部反射率計算部165から入力された可視混合内部反射率情報が示す内部反射率R’mix intを、外部反射率R’mix extに変換する(式(13))。
混合外部反射率計算部166は、変換後の外部反射率Rmix extを示す可視混合外部反射率情報を色度値計算部169に出力する。混合外部反射率計算部166は、変換後の外部反射率R’mix extを示す赤外〜紫外混合外部反射率情報を日射反射率計算部168に出力する。
重価係数記憶部167は、重価係数を示す重価係数情報を予め記憶する(図2参照)。
日射反射率計算部168は、混合外部反射率計算部166から入力された赤外〜紫外混合外部反射率情報が示す外部反射率R’mix ext、及び重価係数記憶部167から読み出した重課係数情報に基づいて、予測日射反射率ρを計算する(式(14))。日射反射率計算部168は、計算した予測日射反射率ρと予測対象塗料の識別情報及び基礎塗料に関する情報との表示情報をモニター107に出力する。
色度値計算部169は、混合外部反射率計算部166から入力された可視混合外部反射率情報を示す外部反射率Rmix extに基づいて、色CCMと同様の方法で色度値L*a*b*を計算する。具体的には、色度値計算部169は、混合外部反射率をJIS Z8701で規定された式を用いてD65光源10度視野のXYZ値に変換する。色度値計算部169は、XYZ値をJIS Z8729で規定する式を用いて色度値L*a*b*に変換する。色度値計算部169は、変換後の色度値L*a*b*の表示情報と予測対象塗料の識別情報及び予測対象塗料に関する情報とをモニター107に出力する。
以下、塗膜測定装置1の動作について説明をする。
まず、可視KSと赤外〜紫外KSを計算して記録する動作について説明し、次に、日射反射率ρ及び予測色度値L*a*b*を計算して表示する動作について説明する。
<可視KSの計算動作について>
図8は、本実施形態に係る可視光領域(400nm〜700nm)での基礎塗料(原色エナメル)の吸収係数K及び散乱係数Sを計算する動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS101)利用者は、支持体(例えば、鋼板、プラスチック板)に白塗料及び黒塗料を塗装した白黒素地1041bを作成する。ここで、塗装される白塗料は顔料が酸化チタンであり、黒塗料は顔料がカーボンブラックである。利用者は、作成した白黒素地1041bに、基礎塗料(原色エナメル)を等しい厚さで非隠蔽となるように塗装する(塗装後の基礎塗料が塗膜104aとなる)ことで、試料塗板1041を作成する。利用者は、塗膜の厚さ(膜厚X)を測定する。その後、ステップS102に進む。
(ステップS102)測色機器101は、可視光(400〜700nm)の反射率Rext(λ)を測定する。その後、ステップS103に進む。
(ステップS103)演算装置16は、ステップS102で測定した反射率Rext(λ)を、内部反射率Rint(λ)を計算する。その後、ステップS104に進む。
(ステップS104)演算装置16は、入力部103を介して、原色エナメル番号、及び試料塗板1041の膜厚情報を入力される。その後、ステップS105に進む。
(ステップS105)演算装置16は、ステップS103で計算した内部反射率Rint(λ)、及び、ステップS104で入力された膜厚情報が示す膜厚Xに基づいて、基礎塗料の吸収係数K及び散乱係数Sを計算する。その後、ステップS106に進む。
(ステップS106)演算装置16は、ステップS105で計算した基礎塗料の吸収係数K及び散乱係数Sを、ステップS104で入力された原色エナメル番号と対応付けた可視KS情報を生成する。演算装置16は、生成した可視KS情報をKS記憶部163の可視データテーブルに記憶する。その後、処理を終了する。
図9は、本実施形態に係る可視データテーブルの一例を示す概略図である。
可視データテーブルは、原色エナメル番号、及び、400nm〜700nmで10nm間隔で測定された吸収係数K及び散乱係数Sの各項目を有している。
図9は、例えば、波長「400」nmについて、原色エナメル番号「531」(white、白)の吸収係数Kが「0.00327」であり、散乱係数Sが「0.0694」であることを示す。
<赤外〜紫外KS値の計算動作について>
図10は、本実施形態に係る紫外光〜赤外光域(300nm〜2500nm)での基礎塗料(原色エナメル)の吸収係数K’及び散乱係数S’を計算する動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS201)利用者は、厚さ100μmのAflexフィルムの上に、基礎塗料(原料エナメル)を塗装する。利用者は、塗装したAflexフィルムを常温で1日以上放置することにより、サンプル塗装フィルムを作成する。利用者は、塗膜の厚さ(膜厚X)を測定する。その後、ステップS202に進む。
(ステップS202)利用者は、ステップS201で作成したサンプル塗装フィルムを、縦37mm×横37mmに裁断することで、塗膜104aと支持フィルム104cからなる積層体を作成する。利用者は、白黒素地1042b(ever−white、ever−black)上にPEGを滴下し、白黒素地1042bと積層体とを空気が入らないように密着させる。これにより、利用者は、試料塗板1042を作成する。
(ステップS203)自記分光光度計102は、可視光(300〜2500nm)の反射率R’ext(λ)を測定する。その後、ステップS204に進む。
(ステップS204)演算装置16は、ステップS203で測定した反射率R’ext(λ)を、内部反射率R’int(λ)を計算する。その後、ステップS205に進む。
(ステップS205)演算装置16は、入力部103を介して、原色エナメル番号、及び試料塗板1042の膜厚情報膜厚情報を入力される。その後、ステップS206に進む。
(ステップS206)演算装置16は、ステップS204で計算した内部反射率Rint(λ)、及び、ステップS205で入力された膜厚情報が示す膜厚Xに基づいて、基礎塗料の吸収係数K’及び散乱係数S’を計算する。その後、ステップS207に進む。
(ステップS207)演算装置16は、ステップS206で計算した基礎塗料の吸収係数K’及び散乱係数S’を、ステップS105で入力された原色エナメル番号と対応付けた赤外〜紫外KS情報を生成する。演算装置16は、生成した赤外〜紫外KS情報をKS記憶部163の赤外〜紫外データテーブルに記憶する。その後、処理を終了する。
図11は、本実施形態に係る赤外〜紫外データテーブルの一例を示す概略図である。
赤外〜紫外データテーブルは、原色エナメル番号、及び、300nm〜2500nmで5nm間隔で測定された吸収係数K’及び散乱係数S’の各項目を有している。
図11は、例えば、波長「300」nmについて、原色エナメル番号「531」(white、白)の吸収係数Kが「0.123」であり、散乱係数Sが「0.0573」であることを示す。
<日射反射率ρ及び予測色度値L*a*b*の計算動作について>
図12は、本実施形態に係る日射反射率ρ及び予測色度値L*a*b*を計算する動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS301)演算装置16は、入力部103から予測対象塗料に関する配合比率情報を入力される。その後、演算装置16は、ステップS302の処理及びステップS303の処理を実行する。なお、ステップS302の処理及びステップS303の処理は並列処理であるが、本発明はこれに限らず、順に処理をしてもよい。
(ステップS302)演算装置16は、ステップS301で入力された予測対象塗料に関する配合比率情報が示す配合比率P、膜厚情報が示す膜厚X、及びKS記憶部163に記憶された基礎塗料に関する可視KSに基づいて、予測対象塗料に関する可視混合KSを計算する(式(10))。演算装置16は、計算した可視混合KSを用いて、内部反射率Rmix intを計算する(式(13))。演算装置16は、計算した内部反射率Rmix intを、外部反射率Rmix extに変換する。その後、ステップS302に進む。
(ステップS303)演算装置16は、ステップS301で入力された予測対象塗料に関する配合比率情報が示す配合比率P、膜厚情報が示す膜厚X、及びKS記憶部163に記憶された基礎塗料に関する赤外〜紫外KSに基づいて、予測対象塗料に関する赤外〜紫外混合KSを計算する(式(10))。
演算装置16は、計算した予測対象塗料に関する赤外〜紫外混合KSを用いて、内部反射率R’mix intを計算する(式(13))。演算装置16は、計算した内部反射率R’mix intを、外部反射率R’mix extに変換する。その後、ステップS304に進む。
(ステップS304)演算装置16は、ステップS303で計算した外部反射率R’mix extに基づいて、予測対象塗料の予測日射反射率ρを計算する(式(14))。演算装置16は、ステップS302で計算した外部反射率Rmix extに基づいて、予測対象塗料の予測色度値L*a*b*を計算する(式(15)〜式(17)参照)。
(ステップS305)モニター107は、予測対象塗料の識別情報と、ステップS304で計算された予測対象塗料の予測日射反射率ρ、及び予測対象塗料の予測色度値L*a*b*を表示する。
このように、本実施形態によれば、試料塗板1042の白素地は、塗膜104aによる光の吸収又は散乱の測定に用いられる塗膜104aの白素地であって、塗膜104aで反射される光以外の光を、350nmから1600nmの全ての波長について、90%以上の反射率で反射させる反射部分P11(例えば、ホウケイ酸ガラス素材)を有している。これにより、塗膜測定装置1では、白素地の反射率は塗膜104aの反射率よりも大きくなる(条件1を満たす)。
また、本実施形態によれば、試料塗板1042の黒素地は、塗膜104aによる光の吸収又は散乱の測定に用いられる塗膜104aの白素地であって、塗膜104aで反射される光以外の光を、350nmから1600nmの全ての波長について、吸収させる吸収部分又は5%以下の反射率で反射させる反射部分P12(ガラスの底面にカーボン黒を塗ったもの)を有している。これにより、塗膜測定装置1では、黒素地の反射率は塗膜104aの反射率よりも小さくなる(条件2を満たす)。
以上により、塗膜測定装置1では、条件1及び条件2を満たすことができ、式(5)を実数解にできる。換言すれば、塗膜測定装置1では、式(5)が実数解になるように、試料塗板1042の白黒素地1042bが作成されている。これにより、塗膜測定装置1では、正確な吸収係数Kと吸収係数Sを計算することができ、正確な予測日射反射率ρを計算できる。
また、本実施形態によれば、支持フィルム104cは、塗膜104aを支持し、塗膜104aによる光の吸収又は散乱の測定に用いられるフィルムであって、350nmから1600nmの全ての波長の光を、75%以上の透過率で透過させる。これにより、塗膜測定装置1では、塗膜104aの切断や変形を防止しつつ、条件1及び条件2を満たすことができる。換言すれば、塗膜測定装置1では、式(5)が実数解になるような支持フィルム104cが用いられている。
また、本実施形態によれば、光学接触用液体104dは、試料塗板1042の白黒素地1042bと支持フィルム104cと、を密着させる物質であって、350nmから2000nmの全ての波長の光を透過させる。光学接触用液体104dは、1.3以上1.7以下の屈折率を有しており、好ましくは、1.4以上1.6以下の屈折率を有している。これにより、塗膜測定装置1では、白黒素地1042bと支持フィルム104cを密着させつつ、条件1及び条件2を満たすことができる。換言すれば、塗膜測定装置1では、式(5)が実数解になるような光学接触用液体104dが用いられている。
また、本実施形態によれば、KS計算部162は、350nmから1600nmの全ての波長の光について90%以上となる白素地(白黒素地1042b)の反射率R’g1(λ)を用いて、塗膜104aの塗膜の吸収係数K’又は散乱係数S’を計算する。また、本実施形態によれば、350nmから1600nmの全ての波長について5%以下となる黒素地(白黒素地1042b)の反射率R’g2(λ)を用いて、塗膜104aの塗膜の吸収係数K’又は散乱係数S’を計算する。
これにより、塗膜測定装置1では、条件1及び条件2を満たすことができ、式(5)を実数解にできる。すなわち、塗膜測定装置1では、正確な吸収係数Kと吸収係数Sを計算することができ、正確な予測日射反射率ρを計算できる。
また、本実施形態によれば、測色機器101は、塗膜104a及び白黒素地1041bについて可視光での反射率Rext(λ)を測定する。自記分光光度計102は、塗膜104a及び白黒素地1042bについて紫外光及び赤外光での反射率R’ext(λ)を測定する。
演算装置16では、KS計算部162は、測色機器101と自記分光光度計102の測定結果に基づいて塗膜の吸収係数及び散乱係数を計算する。KS記憶部163は、塗膜の塗料の識別情報と、KS計算部162が計算した塗膜の吸収係数及び散乱係数と、を対応付けた係数情報を記憶する。
これにより、塗膜測定装置1では、測色機器101と自記分光光度計102とを分けることにより、調色に利用する反射率の測定は測色機器101で測定し、日射反射率は自記分光光度計102で測定することができ、一方の処理待ち等による処理負荷の増大の防止や、並列処理によって測定時間を短縮することができる。
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
本実施形態に係る塗膜測定装置2は、配合比率が分からない塗料(予測対象塗料)の反射率を測定し、測定結果と予め記憶する基礎塗料の吸収係数Kと散乱係数Sに基づいて、予測対象塗料に関する配合比率を計算する。塗膜測定装置は、計算した予測対象塗料に関する配合比率と予め記憶する基礎塗料の吸収係数K’と散乱係数S’に基づいて、予測対象塗料の予測日射反射率ρを計算する。
塗膜測定装置2は、第1の実施形態に係る塗膜測定装置1において、演算部16を演算部26に代えたものである。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る演算装置26の構成を示す機能ブロック図である。演算装置26と第1の実施形態に係る演算装置16(図7)を比較すると、測色色度値計算部260、配合比率色度値生成部261、及び配合比率選択部262が異なる。他の構成は、第1の実施形態のものと同じであるので、説明は省略する。
塗膜測定装置2は、可視KS及び赤外〜紫外KSの計算動作(図8、図10)を実行して、原色エナメル(基礎塗料)の可視KS及び赤外〜紫外KSを予め記憶している。
測色色度値計算部260には、測色機器101から可視光線反射率情報が入力される。この可視光線反射率情報は、予測対象塗料の塗膜104aが載せられた試料塗板1041についての可視光線反射率情報である。
測色色度値計算部260は、測色機器101から入力された可視光線反射率情報に基づいて、予測対象塗料の色度値L*a*b*を計算する。ここで、測色色度値計算部260は、外部反射率Rmix extに代えて可視光線反射率情報が示す反射率Rext(λ)を用いた式(15)〜式(17)を用いてXYZ(X10,Y10,Z10)を計算し、JIS Z8729規定の式を用いて予測対象塗料の色度値(測定色度値と称す)L*a*b*を計算する。測色色度値計算部260は、計算した測定色度値L*a*b*を配合比率選択部262に出力する。
混合比率色度値生成部261は、P+P+・・・+P=1を満たす、複数組の配合比率Pを記憶する。混合比率色度値生成部261は、一組(i=1〜n)の配合比率P毎に、その配合比率PとKS記憶部163から読み出した基礎塗料の可視KS情報に基づいて、可視混合KSを計算する(色(10))。混合比率色度値生成部261は、計算した可視混合KSに基づいて内部反射率Rmix intを計算し(式(13))、計算した内部反射率Rmix intを外部反射率Rmix extに変換する(式(13))。
混合比率色度値生成部261は、変換後の外部反射率Rmix extに基づいて、色度値(計算色度値と称す)L*a*b*を計算する(式(15)〜式(17)、JIS Z8729規定の式)。混合比率色度値生成部261は、計算した計算色度値L*a*b*を、配合比率Pに対応付けて配合比率選択部262に出力する。
配合比率選択部262は、一組の配合比率P毎に、混合比率色度値生成部261から入力された計算色度値L*a*b*と、測色色度値計算部260から入力された予測対象塗料の測定色度値L*a*b*と、の差を計算し、次式(18)で表される色差ΔEabを計算する。
Figure 2015004686
ここで、ΔLは、計算色度値のLから測定色度値のLを差し引いた値である。Δaは、計算色度値のaから測定色度値のaを差し引いた値である。Δbは、計算色度値のbから測定色度値のbを差し引いた値である。
配合比率選択部262は、計算した色差ΔEabが予め定めた値(本実施形態では「3」)以下となる計算色度値L*a*b*を選択し、選択した計算色度値L*a*b*と対応付けられた配合比率Pを選択する。つまり、配合比率選択部262は、測定した予測対象塗料の色(測定色度値L*a*b*)に、計算によって近い色となる配合比率Pを選択する。
配合比率選択部262は、選択した配合比率(予測対象塗料の配合比率の予想比率であり、予測配合比率とも称す)Pを示す配合比率情報を、混合KS計算部164に出力する。なお、この配合比率情報は、複数の組の配合比率Pの場合もある。
混合KS計算部164は、配合比率選択部262から入力された配合比率情報、及び、KS記憶部163から読み出した基礎塗料に関する可視KS情報、赤外〜紫外KS情報に基づいて、一組の配合比率P毎に、可視混合KS、赤外〜紫外混合KSを計算する。混合内部反射率計算部165、混合外部反射率計算部166、重価係数記憶部167、日射反射率計算部168、及び、色度値計算部169は、一組の配合比率P毎に、処理を実行することで予測日射反射率ρと予測色度値L*a*b*を計算する。
演算装置26は、配合比率選択部262が計算した色差ΔEabが小さい順に並べて、一組の配合比率P毎に、配合比率P、予測色度値L*a*b*、色差(予測色差とも称す)ΔEab、及び、予測日射反射率ρを、モニター107に表示させる。なお、演算部26は、色度値計算部169を備えなくてもよい。その場合、演算部26は、予測色度値L*a*b*として、混合比率色度値生成部261が計算した計算色度値L*a*b*をモニター107に表示させてもよい。また、演算部26は、塗料の光源メタリズム(Mi)や原料コスト、対候性などのデータを出力しても良い。
図14は、本実施形態に係る塗膜測定装置2の動作の一例を示したフローチャートである。
(ステップS401)利用者は、図8のステップS101と同様にして、白黒素地1041bを作成する。利用者は、ステップS101と同様にして、予測対象塗料を塗装した塗膜104aを作成する。なお、利用者は、白黒素地1042bを作成してもよい。利用者は、塗膜の厚さ(膜厚X)を測定して、測定した膜厚Xを演算装置16に入力する。その後、ステップS402に進む。
(ステップS402)測色機器101は、可視光(400〜700nm)の反射率Rext(λ)を測定する。演算装置16は、測色機器101が測定した反射率Rext(λ)、及び、ステップS401で入力された膜厚Xに基づいて、予測対象塗料の測定色度値L*a*b*を計算する。その後、ステップS403に進む。
(ステップS403)演算装置16は、予め記憶する複数組の配合比率P、及び、KS記憶部163から読み出した基礎塗料に関する可視KS情報に基づいて、計算色度値L*a*b*を計算する。その後、ステップS404に進む。
(ステップS404)演算装置16は、ステップS402で計算した測定色度値L*a*b*、及び、ステップS403で計算した計算色度値L*a*b*に基づいて、配合比率Pを選択する。その後、ステップS405に進む。
(ステップS405)演算装置16は、ステップS404で選択した配合比率P、及び、KS記憶部163から読み出した基礎塗料に関する赤外〜紫外KS情報に基づいて、一組の配合比率P毎に、赤外〜紫外混合KSを計算する。演算装置16は、ステップS404で選択した配合比率P、及び、KS記憶部163から読み出した基礎塗料に関する可視KS情報に基づいて、一組の配合比率P毎に、可視混合KSを計算する。その後、ステップS405に進む。
(ステップS405)演算装置16は、ステップS404で選択した配合比率PとステップS405で計算した赤外〜紫外混合KS及び可視混合KSをモニター107に表示させる。その後、処理を終了する。
このように、本実施形態によれば、演算装置16では、測色色度値計算部260は、測色機器101が測定した反射率Rext(λ)に基づいて、塗膜104aの測定色度値L*a*b*を計算する。混合比率色度値生成部261は、試料の混合比率Pの候補各々について、その混合比率Pの塗料の塗膜の計算色度値L*a*b*を計算する。配合比率選択部262は、測定色度値L*a*b*と計算色度値L*a*b*との差ΔEabに基づいて、前記混合比率Pの候補を選択する。日射反射率計算部168は、配合比率選択部262が選択した混合比率Pと、KS記憶部163が記憶する係数情報と、に基づいて、その混合比率で試料が混合された塗料の予測日射反射率ρを計算する。
これにより、塗膜測定装置1では、配合比率が分からない塗料についても、正確な予測日射反射率ρを計算できる。
<変形例>
上記各実施形態では、塗膜104aを白黒素地1041b又は1042の上に載せる(塗装を含む)場合について説明をした。実際の建築物に塗装をする場合には、下塗りの上に塗料を上塗りする場合も考えられる。本実施形態に係る塗膜測定装置3は、下塗りの上に塗料を上塗りする場合の予測日射反射率ρ、及び予測色度値L*a*b*を計算する。
塗膜測定装置3は、可視光領域及び赤外光〜紫外光領域での試料の吸収係数K及び散乱係数Sを計算する動作(図8、図10)を実行して、原色エナメルの吸収係数K及び散乱係数Sを予め記憶している。
利用者は、試料塗板204を作成して、塗膜測定装置3に試料塗板204を測定させる。
図15は、本変形例に係る試料塗板204の構造を示す模式図である。
この図において、第1の実施形態と同じ塗膜104aが、板204bの上に載せられている。板204bは、下塗り試料が、白素地(例えば、エバーズ社製セラミック白素地板、ホウケイ酸ガラス)又は黒素地(下地)に等しい厚さで非隠蔽となるように塗装されたものである。塗膜104aと板204bは、光学接触用液体を用いて密着されている。
図2において、Rは塗膜の反射率を表し、Rg3は板204の反射率を表す。
塗膜測定装置3は、第1の実施形態に係る塗膜測定装置1、又は第2の実施形態に係る塗膜測定装置2と同様の構成を備える。ただし、塗膜測定装置3では、KS計算部162は、内部反射率R int、R’ intに代えて、それぞれ、内部反射率R int、R’ intを用いて吸収係数Kと散乱係数Sを計算する。また、KS計算部162は、内部反射率Rg1 int、R’g1 intに代えて、それぞれ、内部反射率Rg3 int、R’g3 intを用いて吸収係数Kと散乱係数Sを計算する。ここで、内部反射率R int、Rg3 intは、それぞれ、反射率R、Rg3を式(1)を用いて変換したものである。内部反射率R’ int、R’g3 intは、それぞれ、反射率R’、R’g3を式(2)を用いて変換したものである。
このように、本実施形態によれば、塗膜測定装置3は、下塗りの上に塗料を上塗りされた塗膜について、正確な吸収係数Kと吸収係数Sを計算することができ、正確な予測日射反射率ρを計算できる。
<実施例>
以下に、上記各実施形態の実施例を示す。
1.使用した材料、及び測定機器
(1)原料エナメル
常乾2液型塗料であるレタンPGハイブリッドエコ(関西ペイント(株)製)の以下のエナメルを用いた。
製品番号 (顔料)
531 白(w) ホワイトベース(ルチル型酸化チタン)
400 黒(b) ディープブラック(カーボンブラック)
665 ピンク(p) クリムズンレッドベース(透明性マゼンダ)
662 黄色(y) パーシモンエローベース(不透明有機黄色)
582 チンチングブラック
631 レバノンエローベース
681 ライブオレンジベース
621 オリエンタルブルーベース
638 ディープブルーベース
(2)硬化剤
イソシアネート系硬化剤
(3)支持フィルム
旭硝子製フッ素樹脂共重合体フィルムAflex100NT(厚みが100μmで表面が無処理、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体)。本フィルムは、UV−Vis−IR(波長300−2000nm)に渡る広い波長領域において透明性が高い。
(4)セラミック白黒素地板104b
(株)エバーズ(EVERS)製ever−white(白素地板)、ever−black(黒素地板)。ever−whiteの材質はホウケイ酸ガラスである。板の大きさは、縦40mm×横40mm×厚さ5mmである。
(5)有彩色の板204b
CCMの精度を検証するために用いる有彩色の板204bであり、この板204bの上に塗料(塗膜104a)を半隠蔽(下地色が完全には隠れない状態)で塗装して用いた。
有彩色の下地は、次の2種類を用意した。
(i)低彩度オレンジ色の下塗り
レタンPGHBecoの色番531、582、631、681の各色を61:2:27:10の重量比で混合し、硬化剤を15g加えてアート紙に隠蔽まで塗装した。色度値を測定すると、L*=64.52、a*=19.48、b*=26.83であった。
(ii)低彩度青色の下塗り
レタンPGHBecoの色番531、582、621、638の各色を92:2:2:8の重量比で混合し、硬化剤を15g加えてアート紙に隠蔽まで塗装した。色度値を測定すると、L*=67.14、a*=―18.19、b*=―22.13であった。
(6)日射反射率測定に用いる校正用白板105
米国labsphere社(ラブスフィア社)製Spectraron。発泡フッ素樹脂を固めたものであり、米国National Institute of Standards and Technology(NIST)によって校正されたものを用いた。
(7)光学接触用液体
和光純薬製ポリエチレングリコール400(以下PEG400とよぶ)。和光一級、屈折率1.465、透明、無色、水に可溶である。
(8)自記分光光度計
島津製作所の紫外可視近赤外分光光度計UV−3100に、積分球ISR−3100を取り付けたものを用いた。
(9)測色装置
米国x−rite社製積分球型分光測色計SP64を用いた。
2.塗料と塗膜作成
(2)表1は、KS値を求める原色エナメル塗料(W;白、P;ピンク、Y;黄色)の白、ピンク、黄色の配合と、混色の予測を検証する混色(WP、WY、PY)の白、ピンク、黄色の配合と、を示した表である。
Figure 2015004686
(2)塗装と膜厚測定
塗料を希釈しないで、厚さ100μmのフッ素樹脂共重合体のAflexフィルムの上にアプリケーターで塗装し、常温で1日以上放置し、サンプル塗装フィルムを得た。膜厚は、電磁式膜厚計で測定した。
(3)測定
サンプル塗装フィルムを縦37mm×横37mmに切断した。セラミック製白黒素地板の上にPEGを1滴滴下し、空気が入らないようにフィルムを密着させて測定した。
<可視光領域>
測色機器101に付属の白板で構成した後、400−700nmの波長領域を10nm間隔で測色し、反射率を得た。積分球型の測色計には、SCI(正反射光を含む測定で全反射光を積分した測色値)と、SCE(正反射光を含まない測定値で光沢成分を含まないため、目視に近い)がある。本実施例では、SCEの測定値を採用した。
<紫外光から赤外光領域>
赤外〜紫外光領域の反射率の測定は、JIS K5602:2008に従った。紫外可視近赤外分光光度計UV−3100をスペクトラロンで白校正した。波長300−2500nmの領域の反射率をSCIモードで1nm間隔で測定した。
3.エナメル測定結果
白黒素地上の反射率に基づいて、原色エナメルの吸収係数Kと散乱係数Sを求めた。
(1)ピンク原色塗膜の可視光での吸収係数Kと散乱係数S
図16は、本実施例に係るピンク原色塗膜の可視光領域での反射率を表すグラフである。
図17は、本実施例に係るピンク原色塗膜の可視光領域での吸収係数Kと散乱係数Sを表すグラフである。
ピンク原色はメタリック塗装用の透明性原色なので、白黒上の反射率の差は大きい。黒板状のフィルムの反射率はほとんど黒に近い。メタリック性顔料なので、散乱係数Sが小さく、吸収係数Kが大きい。ピンク原色は、波長500nm前後の光を吸収する。
(2)ピンク原色塗膜の紫外光から赤外光での吸収係数Kと散乱係数S
図18は、本実施例に係るピンク原色塗膜の紫外光〜赤外光領域での反射率を表すグラフである。
図19は、本実施例に係るピンク原色塗膜の紫外光〜赤外光領域での吸収係数Kと散乱係数Sを表すグラフである。
ピンク原色塗膜のこの顔料はメタリック性透明顔料なので、400−500nmの青から緑の吸収係数K(図19では、P_Kのグラフ)が大きい。ピンク原色は、赤外光領域でのKが小さく、吸収していることが分かる。波長の長い赤外線は、塗料の顔料サイズではほとんど散乱されないため、散乱係数S(図19では、P_Sのグラフ)は小さい。
(3)混合測定結果
表2は、得られた膜厚XにおけるK、S値を用いて予測した色、及び日射反射率と実際に測定した実測値を比較した表である。
Figure 2015004686
番号1で示されるWPは、白とピンクを混色し膜厚14μmで塗装たフィルムをever−whiteの白素地上で測定した色と日射反射率を示している。予測と実測との色差は3.2であり、実測の日射反射率は68.3、計算した日射反射率は71.2であり、その予測誤差は+4.2%であったことを示している。色差が小さい程、予測色と実際の色の差は小さく好ましいが、およそ色差が3以下であれば人間にとって同色の領域であり、工業的に使える。日射反射率の誤差は5%以下が目標であり、実用レベルである。
(4)有彩色下地の混色
実際に建築塗料分野で望まれる技術として、各色の下塗りの上に非隠蔽で塗装したとき色と遮熱特性の予測がある。
ここでは、青の下塗り上の混色の色と日射反射率の予測を行った。青下地の上にピンクと黄色を75:25で混色したエナメル塗料(PY)を膜厚15μmで塗装した。非隠蔽で塗装したため、透けている。
図20は、本実施例に係る下地の可視光領域での反射率を表すグラフである。青下地の反射率は、450−500nmの領域で高く、600nm付近では低くなっている。
図21は、本実施例に係る青下地で混色PY塗膜の可視光領域での反射率を表すグラフである。このグラフは、青下地の場合の可視光領域の混色PYの実測(mea)と計算値(cal)を示したグラフである。可視光領域の反射率は良く一致しており、予測精度は、表2に示すとおりΔEab=1.5である。
図22は、本実施例に係る青下地の場合の紫外光〜赤外光領域での反射率を表すグラフである。このグラフによれば、青下地は、可視光の700nmに比べると赤外線を吸収して熱くなることが分かる。
図23は、本実施例に係る青下地で混色PY塗膜の可赤外〜紫外光領域での反射率を表すグラフである。このグラフによれば、赤外〜紫外域に渡ってよい一致を示していることが分かる。表2に示すとおり、日射反射率の実測値(mea)と計算値(cal)は、それぞれ26.1%、及び26.6%であり、その誤差は1.9%であった。実測値と計算値は良い一致を示した。
なお、上記各実施形態において、原色エナメル番号(試料の識別情報)には、原色エナメルの名称等、原色エナメルに関する情報(試料に関する情報)が付与されていてもよい。この場合、演算装置16、26は、原色エナメル番号に原色エナメルに関する情報を対応付けて記憶してもよいし、モニター107に表示させてもよい。
また、上記各実施形態において、可視KS情報及び赤外〜紫外KS情報を記憶する対象が原色エナメルである場合について説明したが、本発明はこれに限られず、他の試料(塗料)であってもよい。例えば、演算装置16、26は、原色エナメルに代えて、混合に用いられる他の試料(塗料)の反射率を計算して、可視KS情報及び赤外〜紫外KS情報を記憶してもよい。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
1・・・塗膜測定装置、101・・・測色機器、102・・・自記分光光度計、103・・・入力部、1041、1042・・・試料塗板、105・・・校正板、16・・・演算装置、104a・・・塗膜、1041b、1042b・・・白黒素地(下地)、104c・・・支持フィルム、104d・・・光学接触用液体、1601、1602・・・外部反射率計測部、1611、1612・・・内部反射率計算部、1621・・・可視KS計算部、1622・・・赤外〜紫外KS計算部、163・・・KS記憶部、164・・・混合KS計算部、165・・・混合内部反射率計算部、166・・・外部反射率計算部、167・・・重価係数記憶部、168・・・日射反射率計算部、169・・・色度値計算部、260・・・測色色度値計算部、261・・・配合比率色度値生成部、262・・・配合比率選択部

Claims (3)

  1. 塗膜を支持し、前記塗膜による光の吸収又は散乱の測定に用いられるフィルムであって、
    350nmから1600nmの全ての波長の光を、75%以上の透過率で透過させることを特徴とする光特性測定用のフィルム。
  2. 350nmから1600nmの全ての波長の光を、85%以上の透過率で透過させることを特徴とする請求項1に記載の光特性測定用のフィルム。
  3. 塗膜による光の吸収又は散乱の測定に用いられる塗膜の下地と、請求項1又は2に記載のフィルムと、を密着させる物質であって、
    350nmから2000nmの全ての波長の光を透過させ、1.3以上1.7以下の屈折率を有していることを特徴とする光特性測定用の物質。

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