JP2015003970A - 導体パターン形成用インク - Google Patents

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裕一 坂西
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Abstract

【課題】脱溶媒する際にクラックの発生を防止することができ、比抵抗が小さく、断線の発生が極めて低い導体パターンを形成することができるインクを提供する。【解決手段】本発明の導体パターン形成用インクは、基板上に塗布することにより導体パターンを形成するためのインクであって、金属粒子を溶媒に分散してなる分散液中に(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを含有することを特徴とする。前記(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルとしては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。RO−(C3H6O2)n−H (1)(式中、Rはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す。nは1〜20である)【選択図】なし

Description

本発明は、基板上に塗布することにより導体パターンを形成するための導体パターン形成用インクに関する。
電子回路や集積回路等に使われる配線の製造方法としては、フォトリソグラフィ法やインクジェット法等が知られている。前記フォトリソグラフィ法は、予め導電膜を塗布した基板上にレジストと呼ばれる感光材を塗布し、回路パターンを照射して現像し、レジストパターンに応じて導電膜をエッチングすることにより導体パターンからなる配線を形成するものである。フォトリソグラフィ法は真空装置等の大掛かりな設備と複雑な工程を必要とする上、材料使用効率が悪いため、製造コストが高いことが問題であった。
これに対して、インクジェット法はインクジェットプリンターを用いて導電性塗膜を形成し、その後溶媒を蒸発させて導体パターン(配線)を形成するものである。インクジェット法では、導電性微粒子を分散させた導体パターン形成用インクを基板に直接塗布し、その後、溶媒を蒸発させて、焼成処理を施すことにより配線に変換するため、フォトリソグラフィーが不要となり、プロセスが大幅に簡潔化されるとともに、原材料の使用も少なくてすむというメリットがある。
しかし、インクジェット法に用いられる従来の導体パターン形成用インクは、溶媒の蒸発過程においてクラックが生じ易く、これにより導体パターンの比抵抗が上昇したり、導体パターンが断線するおそれがあった。特に、導体パターンの厚みの増大に伴ってクラックの発生が顕著であった。
米国特許第5132248号明細書
従って、本発明の目的は、脱溶媒する際にクラックの発生を防止することができ、比抵抗が小さく、断線の発生が極めて低い導体パターンを形成することができるインクを提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、導体パターン形成用インクに(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを添加すると、脱溶媒時におけるクラックの発生を有意に抑制することができ、比抵抗が小さく、断線の発生が極めて低い導体パターンを形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、基板上に塗布することにより導体パターンを形成するためのインクであって、金属粒子を溶媒に分散してなる分散液中に(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを含有することを特徴とする導体パターン形成用インクを提供する。
本発明は、また、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルが下記式(1)
RO−(C362)n−H (1)
(式中、Rはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す。nはグリセリンの平均重合度を示し、1〜20である)
で表される化合物である前記の導体パターン形成用インクを提供する。
本発明は、また、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを導体パターン形成用インク全量の3〜25重量%含有する前記の導体パターン形成用インクを提供する。
本発明は、また、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルの重量平均分子量が300〜3000である前記の導体パターン形成用インクを提供する。
本発明は、また、液滴吐出法による導電パターンの形成に用いられる前記の導体パターン形成用インクを提供する。
本発明は、また、セラミックス粒子とバインダーとを含む材料で構成されたシート状のセラミックス成形体上に導体パターンを形成するのに用いられるインクである前記の導体パターン形成用インクを提供する。
本発明は、また、前記金属粒子を構成する金属が、銀、銅、パラジウム、白金、及び金から選択される少なくとも1種の金属である前記の導体パターン形成用インクを提供する。
本発明は、また、前記金属粒子を導体パターン形成用インク全量の1〜60重量%含有する前記の導体パターン形成用インクを提供する。
本発明は、また、前記金属粒子を溶媒に分散してなる分散液がコロイド溶液である前記の導体パターン形成用インクを提供する。
本発明の導体パターン形成用インクは(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを含有するため、脱溶媒時におけるクラックの発生を防止することができ、基板上に塗布し、脱溶媒して焼成することにより比抵抗が小さく、断線の発生が極めて低い導体パターンを製造することができる。また、前記(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルは従来使用されてきたポリグリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール等のクラック発生防止剤と比べて低温で焼成可能なため、焼成に要するエネルギーを抑制することができ、低コストで、前記導体パターンを形成することができる。
配線基板の概略構成を示す側断面図である。
[導体パターン形成用インク]
本発明の導体パターン形成用インク(以後、「インク」と称する場合がある)は、基板上に塗布し、脱溶媒して焼成することにより導体パターンを形成(=パターニング、特に好ましくはダイレクトパターニング)するためのインクであって、金属粒子を溶媒に分散してなる分散液中に(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを含有することを特徴とする。
((ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテル)
本発明の(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルは脱溶媒時におけるクラックの発生を防止する機能を有する化合物である。より具体的には、導電性塗膜(導体パターンの前駆体)に柔軟性を付与することにより脱溶媒時に導電性塗膜が収縮する際にクラックが発生するのを防止する機能を有する化合物である。(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。尚、本明細書において「(ポリ)グリセリン」は「ポリグリセリン若しくはグリセリン」を示す。
本発明の(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
RO−(C362)n−H (1)
(式中、Rはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す。nはグリセリンの平均重合度を示し、1〜20である)
式(1)の括弧内のC362は、下記式(2)及び(3)で示される両方の構造を有する。
−CH2−CHOH−CH2O− (2)
−CH(CH2OH)CH2O− (3)
式(1)中、Rはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す。炭素数8〜22の直鎖状アルキル基としては、例えば、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ラウリル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−パルミチル、n−ヘプタデシル、n−ステアリル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘンエイコシル、n−ドコシル基等を挙げることができる。炭素数8〜22の直鎖状アルケニル基としては、例えば、n−オクテニル、n−ノネニル、n−デセニル、n−ウンデセニル、n−ドデセニル、n−トリデセニル、n−テトラデセニル、n−ペンタデセニル、n−ヘキサデセニル、n−ヘプタデセニル、n−オレイル、n−ノナデセニル、n−エイコセニル、n−ヘンエイコセニル、n−ドコセニル基等を挙げることができる。
ヒドロキシル基を有する炭素数8〜22の直鎖状アルキル基又はアルケニル基としては、上記炭素数8〜22の直鎖状アルキル基又はアルケニル基の1個以上の水素原子がヒドロキシル基で置換された基を挙げることができる。
炭素数8〜22の分岐鎖状アルキル基としては、例えば、イソオクチル、s−オクチル、t−オクチル、イソノニル、s−ノニル、t−ノニル、イソデシル、s−デシル、t−デシル、イソウンデシル、s−ウンデシル、t−ウンデシル、イソラウリル、s−ラウリル、t−ラウリル、イソトリデシル、s−トリデシル、t−トリデシル、イソテトラデシル、s−テトラデシル、t−テトラデシル、イソペンタデシル、s−ペンタデシル、t−ペンタデシル、イソパルミチル、2−ヘキシルデシル、s−パルミチル、t−パルミチル、イソヘプタデシル、s−ヘプタデシル、t−ヘプタデシル、イソステアリル、s−ステアリル、t−ステアリル、イソノナデシル、s−ノナデシル、t−ノナデシル、2−オクチルラウリル、イソエイコシル、s−エイコシル、t−エイコシル、イソヘンエイコシル、s−ヘンエイコシル、t−ヘンエイコシル、イソドコシル、s−ドコシル、t−ドコシル基等を挙げることができる。炭素数8〜22の分岐鎖状アルケニル基としては、例えば、イソオクテニル、s−オクテニル、t−オクテニル、イソノネニル、s−ノネニル、t−ノネニル、イソデセニル、s−デセニル、t−デセニル、イソウンデセニル、s−ウンデセニル、t−ウンデセニル、イソドデセニル、s−ドデセニル、t−ドデセニル、イソトリデセニル、s−トリデセニル、t−トリデセニル、イソテトラデセニル、s−テトラデセニル、t−テトラデセニル、イソペンタデセニル、s−ペンタデセニル、t−ペンタデセニル、イソヘキサデセニル、s−ヘキサデセニル、t−ヘキサデセニル、イソヘプタデセニル、s−ヘプタデセニル、t−ヘプタデセニル、イソオレイル、s−オレイル、t−オレイル、イソノナデセニル、s−ノナデセニル、t−ノナデセニル、イソエイコセニル、s−エイコセニル、t−エイコセニル、イソヘンエイコセニル、s−ヘンエイコセニル、t−ヘンエイコセニル、イソドコセニル、s−ドコセニル、t−ドコセニル基等を挙げることができる。
ヒドロキシル基を有する炭素数8〜22の分岐鎖状アルキル基又はアルケニル基としては、上記炭素数8〜22の分岐鎖状アルキル基又はアルケニル基の1個以上の水素原子がヒドロキシル基で置換された基を挙げることができる。
式(1)中のRとしては、脱溶媒時のクラック発生を防止する効果に特に優れる点で、炭素数8〜20の分岐鎖状アルキル基又はアルケニル基(特に好ましくは炭素数10〜20の分岐鎖状アルキル基又はアルケニル基、最も好ましくは炭素数10〜17の分岐鎖状アルキル基又はアルケニル基)が好ましい。
式(1)中、nはグリセリンの平均重合度を示し、例えば1〜20、好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜12である。nの値が上記範囲を下回ると疎水性が高まり、水に対する可溶化力が低下するため、クラック発生を防止する機能が低下する傾向がある。一方、nの値が上記範囲を上回ると、粘度が高くなりすぎるため、インク組成物としての塗布性に問題が生じる場合がある。
式(1)で表される(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルの重量平均分子量としては、例えば300〜3000、好ましくは300〜2000、特に好ましくは300〜1500、最も好ましくは300以上1000未満である。重量平均分子量が上記範囲を外れると、脱溶媒時のクラック発生を防止する効果が低下する傾向がある。
式(1)で表される(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、塩基性触媒の存在下、アルキル又はアルケニルアルコールに、該アルコールとグリシドールの存在比(モル比)が特定の値となるようにグリシドールを添加して反応させる方法;(ポリ)グリセリンにα−オレフィンエポキシドを反応させる方法;酸触媒もしくはアルカリ触媒の存在下でアルキル又はアルケニルグリシジルエーテルを、(ポリ)グリセリンを用いて開環させる方法等が挙げられる。
(分散液)
本発明の分散液は、金属粒子を溶媒に分散してなる。本発明の分散液としては、なかでも、ナノサイズの金属粒子を含むコロイド溶液であることが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒;ピリジン、ピラジン、ピロール等の芳香族複素環化合物系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;アセトアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の分散液は、例えば、分散剤と還元剤を含む溶液に金属塩水溶液を滴下することにより製造することができる。前記溶液に滴下された金属塩は還元剤により還元されて金属粒子を形成し、さらに、該金属粒子の表面に分散剤が吸着することで、溶液中に前記金属粒子が高分散した分散液(=コロイド溶液)が得られる。
前記金属としては、例えば、銀、銅、パラジウム、白金、金、又はこれらの合金等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。金属が合金である場合、銀、銅、パラジウム、白金、及び金から選択される少なくとも2種の金属を任意の割合で含有する合金であってもよく、前記金属から選択される少なくとも1種の金属と共に銀、銅、パラジウム、白金、及び金以外の金属を含む合金であってもよい。これらの金属は、抵抗率が小さく、且つ加熱処理によって酸化され難い安定性を有する。そのため、これらの金属を用いることにより、低抵抗で安定な導体パターンを形成することができる。
前記金属と共に金属塩を形成する酸としては、例えば、酢酸、炭酸、塩酸、硫酸、亜硝酸、塩素酸、硫化水素、クロム酸、硝酸、二クロム酸等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、なかでも、水への溶解度が大きい金属塩を形成することができる点で、硝酸を使用することが好ましい。
金属が銀である場合の金属塩としては、例えば、酢酸銀、炭酸銀、酸化銀、硫酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀、クロム酸銀、硝酸銀、二クロム酸銀等を挙げることができる。金属が上記例示された金属のうち銀以外の金属である場合の金属塩としてはそれぞれ対応する化合物を挙げることができる。
金属塩水溶液(例えば、硝酸銀水溶液)に含まれる金属塩の濃度は、例えば15〜70重量%程度である。金属塩水溶液は、上記金属塩を水に溶かすことにより調製することができる。
前記分散剤としては、COOH基とOH基とを合わせて3個以上有し、且つCOOH基の数がOH基の数と同じか、それより多いヒドロキシ酸塩を使用することが好ましい。前記分散剤は金属粒子の表面に吸着し、COOH基の電気的反発力によって金属粒子を溶液中に均一に高分散させる働きを有し、それにより分散液を安定化することができる。分散剤中のCOOH基とOH基の数が3個未満であったり、COOH基の数がOH基の数よりも少ないと、金属粒子の分散性が低下する傾向がある。
分散剤としては、例えば、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、クエン酸三アンモニウム、リンゴ酸二ナトリウム、タンニン酸(例えば、五倍子タンニン酸)、ガロタンニン酸等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
分散剤は、金属塩中の金属と分散剤のモル比(前者:後者)が例えば1:1〜1:100程度となるように配合することが好ましい。分散剤を上記範囲で配合することにより、粒径の小さい金属粒子を形成することができ、金属粒子同士の接触点を増やすことができ、体積抵抗値の低い導体パターンを得ることができる。
前記還元剤は、金属塩(例えば、AgNO3)中の金属イオン(例えば、Ag+)を還元して金属粒子(例えば、Ag)を生成するという働きを有する化合物であり、例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン;水酸化ホウ素ナトリウム、水素ガス、ヨウ化水素等の水素化合物;一酸化炭素、亜硫酸等の酸化物;Fe(II)化合物、Sn(II)化合物等の低原子価金属塩;D−グルコース等の糖類;ホルムアルデヒド等の有機化合物;クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、クエン酸三アンモニウム、リンゴ酸二ナトリウムやタンニン酸等のヒドロキシ酸又はその塩等を挙げることができる。前記ヒドロキシ酸やその塩は還元剤として機能すると同時に分散剤としての機能も有する。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの化合物を使用する際には、光や熱を加えて還元反応を促進させてもよい。
還元剤の配合量としては、上記金属塩を完全に還元できる量が必要であるが、過剰な還元剤は不純物として分散液中に残存し、成膜後の導電性を悪化させる原因となるため、必要最小限の量を使用することが好ましい。還元剤の配合量は、上記金属塩と還元剤とのモル比(前者:後者)は、例えば1:1〜1:3程度となる量が好ましい。
本発明においては、分散剤と還元剤を含む溶液のpHを6〜10に調整することが好ましい。pHが上記範囲を下回ると、下記式(4)で表される反応の平衡が右辺に移動してCOOHの量が多くなり、金属塩溶液を滴下して得られる金属粒子表面の電気的反発力が減少し、金属粒子の分散性が低下する傾向があるためである。一方、pHが上記範囲を上回ると、残存している還元剤の水酸化物等が沈殿し易くなる傾向がある。
−COO-+H+ → −COOH (4)
前記pHの調整に使用するpH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水等の塩基や、塩酸、硫酸、リン酸等の酸を挙げることができる。
本発明の分散液(好ましくは、コロイド溶液)は、上記分散剤と還元剤を含む溶液に金属塩水溶液を滴下することにより製造することができる。分散液に含まれる金属粒子の濃度は、例えば1〜60重量%程度、好ましくは10〜45重量%である。金属粒子の濃度が上記範囲を下回ると、導体パターンを形成した際、比較的厚い膜を形成する場合に、複数回重ね塗りする必要が生じる。一方、金属粒子の濃度が上記範囲を上回ると、金属粒子が凝集し易くなり、これを防ぐためには頻繁に撹拌する必要が生じる。
また、金属粒子の平均粒径は、例えば1〜100nm程度が好ましく、より好ましくは10〜30nmである。
更に、分散液の不揮発分の熱重量分析における500℃までの加熱減量は、例えば1〜25重量%程度が好ましい。分散液を500℃まで加熱すると、分散剤、残留還元剤等が酸化分解され、大部分のものはガス化されて消失する。残留還元剤の量は、僅かであると考えられるので、500℃までの加熱による減量は分散液中の分散剤の量にほぼ相当すると考えてよい。加熱減量が上記範囲を下回ると、金属粒子に対する分散剤の量が少く、金属粒子の充分な分散性が得られにくくなる傾向がある。一方、加熱減量が上記範囲を上回ると、金属粒子に対する残留分散剤の量が多なり、得られる導体パターンの比抵抗が高くなる傾向がある。また、比抵抗は導電性塗膜体の形成後に焼成して有機分を分解消失させることである程度改善することができるが、焼成温度が高過ぎると導体パターンにクラックが発生しやすくなる。
上記方法により得られた分散液中には、金属粒子の他に還元剤の残留物や分散剤が存在しており、液全体のイオン濃度が高くなっている。このような状態の液は、凝析が起こり、沈殿しやすい。そこで、分散液中の余分なイオンを取り除いてイオン濃度を低下させるために、洗浄を行うことが望ましい。
洗浄の方法としては、例えば、得られた分散液を一定期間静置し、生じた上澄み液を取り除いた上で、純水を加えて再度撹拌し、さらに一定期間静置して生じた上澄み液を取り除く工程を幾度が繰り返す方法、上記静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過等でイオンを取り除く方法等を挙げることができる。
本発明では上記工程の後、更に分散液にpH調整剤を添加し、最終的なpHを6〜11に調整することが好ましい。これは、分散剤として例えばクエン酸三ナトリウムを使用した場合、還元後に洗浄を行うため、電解質イオンであるナトリウム濃度が減少している場合があり、このような状態の溶液では、下記式(5)で表される反応の平衡が右辺へ移動してCOOHの量が多くなり、金属コロイドの電気的反発力が減少して金属粒子の分散性が低下する傾向があるためである。そこで、適当量のpH調整剤を添加することにより、反応式(5)の平衡を左辺に移動させ、金属粒子の分散性を安定化させるのである。
−COO-Na++H2O → −COOH+Na++OH- (5)
上記方法により得られた分散液(好ましくは、コロイド溶液)に上記(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを添加することにより本発明のインクが得られる。(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルの添加時期は、分散液の調製後であれば特に制限されることがない。例えば、還元反応後の洗浄工程において、添加する純水の代わりに(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを含む水溶液を用いてもよい。
本発明のインク中に含まれる(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルの含有量は、例えば3〜25重量%が好ましく、特に好ましくは3〜22重量%、最も好ましくは3〜20重量%である。(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを上記範囲で含有することにより、脱溶媒時におけるクラックの発生をより効果的に防止することができる。(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルの含有量が上記範囲を下回ると、クラックの発生を防止する効果が得られにくくなる傾向がある。一方、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルの含有量が上記範囲を上回ると、分散液中における分散性が低下する傾向がある。
本発明のインクには上記の他に、必要に応じて他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、1,3−プロパンジオール等の乾燥抑制剤、塩基性アミノ酸等を挙げることができる。他の成分の含有量はインク全量の例えば0.5〜10重量%程度である。
本発明のインクは、添加された(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルが金属粒子間に介在して、金属粒子同士の接近と凝集を抑制する。そのため、より多くの金属粒子を安定的に高分散させることができ、高濃度で成膜性に優れたインクを形成することができる。
更に、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルは比較的沸点が高いため、導体パターンを形成する過程において、溶媒が蒸発した後に(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルが蒸発或いは酸化分解する。このため、急激な体積収縮が避けられると共に、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルが金属粒子を包み込んだ状態が長く続き、金属粒子の成長を防止することができる。更にまた、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルは、溶媒(特に、水)への溶解度が高く、且つ加水分解され難いため、上記効果を安定的に発揮することができる。
本発明のインクは前記特性を有する(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを含有するため、脱溶媒する際にクラックの発生を防止することができ、比抵抗が小さく、断線の発生が極めて低い導体パターンを形成することができる。
[導体パターン]
導体パターンは、上記インクを基板上に付与した後、脱溶媒(乾燥)させ、その後、焼成することにより形成される。脱溶媒は、例えば40〜100℃程度、好ましくは50〜70℃で行うことが、脱溶媒中にクラックが発生するのをより効果的に防止することができる点で好ましい。また、焼成は、160℃以上の温度で20分以上加熱することにより行われる。前記焼成は、例えば、インクを塗布する基板が、後述するようなセラミックス成形体である場合、セラミックス成形体の焼成とともに行うことができる。
前記基板としては特に限定されず、例えば、アルミナ焼成体、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂、ガラス等からなる基板;セラミックス粒子とバインダーとを含む材料で構成されたシート状のセラミックス成形体(例えば、セラミックスグリーンシート)等を挙げることができる。
上記基板上にインクを塗布する方法としては特に限定されることがなく、例えば、液滴吐出法、スクリーン印刷法、バーコート法、スピンコート法、刷毛による方法等を挙げることができる。液滴吐出法(特に、インクジェット方式)を用いた場合、より簡便な方法で、しかも微細で複雑な導体パターンを容易に形成することができる。
また、導体パターンを形成する際に、インクを塗布してから予備加熱して溶媒を蒸発させ、予備加熱後の導電性塗膜の上に再度インクを塗布する、といった工程を繰り返し行うことで、厚膜の導体パターンを形成することができる。
溶媒を蒸発させた後の導電性塗膜には、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルと金属粒子が残存しており、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルは比較的粘度が高いので、形成された膜が完全に乾燥しない状態でも塗膜が流失してしまう恐れがない。また、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルは比較的沸点が高いので、インクを塗布して乾燥してから長時間放置しても変質するおそれがない。そのため、一旦、インクを塗布して乾燥してから長時間放置し、その後、再度インクを塗布しても均質な膜を形成できる。これにより、導体パターン自体が多層構造になることがなく、層間の比抵抗が上昇して導体パターン全体の比抵抗が増大するおそれもない。更にまた、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルは比較的沸点が高いため、インクから導体パターンを形成する過程において、分散液の溶媒が蒸発してから(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルが蒸発又は加熱分解する。このため、(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルが金属粒子を包み込んだ状態が長く続き、急激な体積収縮が避けられるとともに金属粒子の粒成長が妨げられる。
そして、導体パターンを形成する過程において金属粒子の粒成長を妨げることで、導体パターンにおける金属粒子を相互に緻密に結合した状態にすることができる。特に、導体パターン表面においては金属粒子同士が隙間なく結合することにより凹凸を少なくして平坦性を向上することができ、表皮効果を発現して高周波特性を改善することができる。また、金属粒子同士を相互に緻密に結合した状態にすることで、導体パターンにクラックが発生することも防止することができ、断線の発生を防止することができ、且つ比抵抗を低くすることができる。
導体パターンの比抵抗は20μΩcm未満であることが好ましく、特に好ましくは15μΩcm以下である。尚、本発明における「比抵抗」とは、インクの塗布後、160℃で加熱、乾燥した際の比抵抗をいう。比抵抗が上記範囲を上回ると、導電性が要求される用途に用いることが困難となる。
本発明のインクを使用して形成された導体パターンは、従来のインクで形成された導体パターンに比べて厚膜に形成することが可能である。より具体的には5μm以上の厚みのものを形成することができる。本発明のインクを使用して形成された導体パターンは5μm以上の厚膜に形成してもクラックの発生が少なく、低比抵抗である。尚、厚みの上限については特に規定する必要はないが、過剰に厚くなると溶媒や(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルの除去が難しくなって比抵抗が増大するおそれがあるので、100μm以下程度にするのが良い。
更に、本発明のインクを使用して形成された導体パターンは基板に対する密着性が良好である。そのため、本発明のインクを使用して形成された導体パターンは、携帯電話やPDA等の移動通話機器の高周波モジュール、インターポーザー、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、加速度センサー、弾性表面波素子、アンテナや櫛歯電極等の異形電極、その他各種計測装置等の電子部品等に適用することができる。
また、本発明のインクによって形成された導体パターンを有する配線基板は、各種の電子機器に用いられる電子部品となるものであって、各種配線や電極等からなる回路パターン、積層セラミックスコンデンサ、積層インダクター、LCフィルタ、複合高周波部品等を基板上に形成してなるものである。
具体的には、配線基板1は、基板2が多数(例えば、10〜20枚程度)積層されてなる積層基板3と、この積層基板3の最外層、すなわち一方の側の表面に形成された、微細配線等からなる回路4とを有する。積層基板3は、積層された基板2、基板2間に、回路(導体パターン)5を備え、回路5には、これに接続するコンタクト(ビア)6が形成される。このような構成によって回路5は、上下に配置された回路5、5間が、コンタクト6によって導通したものとなる(図1参照)。回路4、5は本発明の導体パターン形成用インクにより形成することができる。
上記配線基板の製造方法としては、特開2009−37880号公報に記載の製造方法等を採用することができる。配線基板の製造において、本発明のインクを基板上に塗布して導体パターンを形成するため、所望のパターン形状を良好に配置することができ、高精度の機能パターン(回路)を形成することができる。また、本発明のインクを使用すれば、電子機器の構成要素となる電子部品について、その小型化の要求に応えることができるのはもちろん、多品種少量生産についてのニーズにも十分に対応可能となる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
調製例1(ポリグリセリンラウリルエーテルの調製)
ラウリルアルコール186g(1モル)と水酸化ナトリウム8g(0.2モル)を4つ口フラスコに仕込み、反応系内の水分を除去する目的で90分間、80℃に加熱しながらアスピレーターで30mmHgまで減圧した。その後、反応系内を常圧にもどし、反応温度70℃、反応液の撹拌回転数120rpmの状態で、グリシドール148g(2モル)を12時間かけてゆっくり滴下した。次に、塩酸水溶液を使用して反応溶液をpH7に中和した後、再び加熱しながら反応系内を減圧にして低沸成分を留去して、ポリグリセリンラウリルエーテル(分子量:約400、グリセリンの平均重合度:3)を得た。
調製例2(ポリグリセリンラウリルエーテルの調製)
グリシドールの使用量を148g(2モル)から518g(7モル)に変更した以外は調製例1と同様にしてポリグリセリンラウリルエーテル(分子量:約900、グリセリンの平均重合度:10)を得た。
調製例3(ポリグリセリンステアリルエーテルの調製)
ラウリルアルコール186g(1モル)に代えてステアリルアルコール270g(1モル)を使用し、グリシドールの使用量を148g(2モル)から518g(7モル)に変更した以外は調製例1と同様にしてポリグリセリンステアリルエーテル(分子量:約1000、グリセリンの平均重合度:10)を得た。
実施例1(導体パターン形成用インクの調製)
10N−NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にした水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17g、タンニン酸0.36gを溶解した。得られた溶液に対して3.87mol/L硝酸銀水溶液3mLを添加し、2時間撹拌を行い銀コロイド水溶液を得た。得られた銀コロイド水溶液に対し、導電率が30μS/cm以下になるまで透析することで脱塩を行った。透析後、3000rpm、10分の条件で遠心分離を行うことで、粗大金属粒子を除去して、銀コロイド水溶液を得た。
得られた銀コロイド水溶液40重量部に、乾燥抑制剤として1,3−プロパンジオール5重量部を添加した後、調製例1で得られたポリグリセリンラウリルエーテル(分子量:約400、グリセリンの平均重合度:3)を5重量部添加し、更に濃度調整用のイオン交換水50重量部を添加して導体パターン形成用インク(1)(銀粒子を40重量%含有)を得た。
実施例2(導体パターン形成用インクの調製)
調製例1で得られたポリグリセリンラウリルエーテル(分子量:約400、グリセリンの平均重合度:3)に代えて調製例2で得られたポリグリセリンラウリルエーテル(分子量:約900、グリセリンの平均重合度:10)を使用した以外は実施例1と同様にして導体パターン形成用インク(2)(銀粒子を40重量%含有)を製造した。
実施例3(導体パターン形成用インクの調製)
調製例1で得られたポリグリセリンラウリルエーテル(分子量:約400、グリセリンの平均重合度:3)に代えて調製例3で得られたポリグリセリンステアリルエーテル(分子量:約1000、グリセリンの平均重合度:10)を使用した以外は実施例1と同様にして導体パターン形成用インク(3)(銀粒子を40重量%含有)を製造した。
比較例1(導体パターン形成用インクの調製)
調製例1で得られたポリグリセリンラウリルエーテル(分子量:約400、グリセリンの平均重合度:3)を使用せず、濃度調整用のイオン交換水の使用量を50重量部から55重量部に変更した以外は実施例1と同様にして導体パターン形成用インク(4)(銀粒子を40重量%含有)を製造した。
<配線基板の作製、及び評価>
平均粒径が1〜2μm程度のアルミナ(Al23)と酸化チタン(TiO2)等からなるセラミックス粉末と、平均粒径が1〜2μm程度のホウ珪酸ガラス等からなるガラス粉末とを1:1の重量比で混合し、バインダー(結合剤)としてポリビニルブチラール、可塑剤としてジブチルフタレートを加え、混合・撹拌することにより得たスラリーを、ドクターブレードでPETフィルム上にシート状に形成し、1辺の長さを200mmとする正方形状に裁断したものをセラミックスグリーンシートとして使用した。
実施例及び比較例で得られた導体パターン形成用インクをそれぞれ液滴吐出装置に搭載した。
60℃に昇温保持したセラミックスグリーンシート上に、各吐出ノズルからそれぞれ1滴当り15ngの液滴を順次吐出し、線幅が50μm、厚み15μm、長さが10.0cmのライン(金属配線)を20本描画した。
その後、ラインを描画したセラミックスグリーンシートを乾燥炉に入れ、60℃で30分間加熱して乾燥した後、各ラインにクラックがあるか否かを確認し、20本中のクラックの入っていない良品の数を求めた。結果を下記表1に示した。
上記のようにして、ラインが形成されたセラミックスグリーンシートを第1のセラミックスグリーンシートとした。
次に、別のセラミックスグリーンシートに上記のラインの両端位置に機械式パンチ等によって孔開けを行うことで計40箇所に直径100μmのスルーホールを形成し、金属粒子を導電成分とした厚膜導電ペーストを充填することでコンタクト(ビア)を形成した。さらに、このコンタクト(ビア)上に2mm角のパターンを、金属粒子を導電成分とした厚膜導電ペーストを用いてスクリーン印刷で端子部を形成した。
この端子部が形成されたセラミックスグリーンシートを第2のセラミックスグリーンシートとした。
次に、第2のセラミックスグリーンシートの下に第1のセラミックスグリーンシートを積層し、さらに無加工のセラミックスグリーンシートを補強層として2枚積層して積層体を得た。
得られた積層体を100℃の温度において、250kg/cm2の圧力で30秒間プレスした後、大気中において、昇温速度66℃/時間で約6時間、昇温速度10℃/時間で約5時間、昇温速度85℃/時間で約4時間といった連続的に昇温する昇温過程を経て、最高温度890℃で30分間保持するといった焼成プロファイルに従って焼成した。
冷却後、20本のライン上に形成された端子部間にテスタをあて、導通の有無により各ラインにクラックがあるか否かを確認し、良品数を総数で除して得られる焼成後導通率を算出した。結果を下記表1に示した。
Figure 2015003970
表1から、描画・乾燥後では、比較例で得られたインクで製造したラインは、多くのクラックが発生し、ライン形状自体が崩れやすい状況であった。一方、実施例で得られたインクで製造したラインは、全くクラックの発生が見られず、ライン形状が崩れることもなかった。
また、焼成後の導通によるクラックの確認においても、比較例で得られたインクで製造したライン間はほとんど導通が取れなかった。導通不良をX線で観察した結果、クラックによるものであることが確認され、焼成時にもクラックが発生していることが確認された。
一方、実施例で得られたインクで製造したラインは、導通のあるラインが非常に多く、極めて良好な金属配線が得られた。
1…配線基板
2…基板
3…積層基板
4、5…回路(導体パターン)
6…コンタクト

Claims (9)

  1. 基板上に塗布することにより導体パターンを形成するためのインクであって、金属粒子を溶媒に分散してなる分散液中に(ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを含有することを特徴とする導体パターン形成用インク。
  2. (ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルが下記式(1)
    RO−(C362)n−H (1)
    (式中、Rはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す。nはグリセリンの平均重合度を示し、1〜20である)
    で表される化合物である請求項1に記載の導体パターン形成用インク。
  3. (ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルを導体パターン形成用インク全量の3〜25重量%含有する請求項1又は2に記載の導体パターン形成用インク。
  4. (ポリ)グリセリンモノアルキル又はアルケニルエーテルの重量平均分子量が300〜3000である請求項1〜3の何れか1項に記載の導体パターン形成用インク。
  5. 液滴吐出法による導電パターンの形成に用いられる請求項1〜4の何れか1項に記載の導体パターン形成用インク。
  6. セラミックス粒子とバインダーとを含む材料で構成されたシート状のセラミックス成形体上に導体パターンを形成するのに用いられるインクである請求項1〜5の何れか1項に記載の導体パターン形成用インク。
  7. 前記金属粒子を構成する金属が、銀、銅、パラジウム、白金、及び金から選択される少なくとも1種の金属である請求項1〜6の何れか1項に記載の導体パターン形成用インク。
  8. 前記金属粒子を導体パターン形成用インク全量の1〜60重量%含有する請求項1〜7の何れか1項に記載の導体パターン形成用インク。
  9. 前記金属粒子を溶媒に分散してなる分散液がコロイド溶液である請求項1〜8の何れか1項に記載の導体パターン形成用インク。
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