JP2015002492A - 非線形系モデリング装置および非線形補償装置 - Google Patents

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高橋 英紀
Hidenori Takahashi
英紀 高橋
正俊 永安
Masatoshi Nagayasu
正俊 永安
幸治 吹野
Koji Fukino
幸治 吹野
修史 新福
Yoshifumi Shinfuku
修史 新福
康正 小礒
Yasumasa Koiso
康正 小礒
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Abstract

【課題】本発明は、非線形系モデリング装置と非線形補償装置とに関し、従来例に比べて精度が大幅に低下することなく応答性が向上し、かつ系の特性の偏差とその特性の環境や経年に応じた変化とに精度よく安定に適応できることを目的とする。
【解決手段】非線形性を有する系の出力信号に対する複数の基底関数の値と前記複数の基底関数に個別に対応した係数との積和と、前記系の入力信号との差を圧縮する自動制御または適応制御の下で前記係数を更新する非線形モデリング装置であって、前記複数の基底関数に代えて、前記複数の基底関数の代替候補である複数通りの基底関数の組み合わせの内、前記系について予め得られ、かつ前記非線形性を含む入出力特性を前提として前記自動制御または適応制御に基づく前記係数の更新の模擬の下で、前記差の電力が最少となり、または既定の上限値以下となる特定の組み合わせを適用する基底最適化手段を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、非線形性を有する系の出力信号から入力信号を推定する非線形系モデリング装置と、フィードバック制御が適用されたプリディストーション法に基づいて、その系の入出力特性の非直線性を補償する非線形補償装置とに関する。
無線装置等では、送信されるべき送信波のレベルを既定の値に設定するために電力増幅器が備えられ、その電力増幅器の非直線性は、例えば、プリディストーション法に基づいて補償される。
図7は、プリディストーション法が適用された電力増幅装置の構成例を示す図である。
図において、プリディストーション部70には、時系列nの順の離散値の列として入力信号u[n]が与えられる。そのプリディストーション部70の出力は、制御部80の第一の入力と、直交変調部91の入力とに接続される。直交変調部91の出力は増幅器92の入力に接続され、その増幅器92の出力には送信波が得られる。増幅器92の出力は、直交復調部93を介して上記制御部80の第二の入力に接続される。制御部80の出力は、プリディストーション部70の制御入力に接続される。
制御部80は、以下の要素から構成される。
(1) 直交復調部93が時系列nの順に離散値の列として出力する帰還信号y[n]が入力される基底生成部81
(2) 基底生成部81の3つの出力にそれぞれ接続された第一ないし第三の入力と、プリディストーション部70の制御入力に接続された第一の出力とを有する適応制御部82
(3) 適応制御部82の第二ないし第四の出力のそれぞれと、その適応制御部82の第五ないし第七の出力のそれぞれとに接続された乗算器83-1、83-2、83-3
(4) 乗算器83-1、83-2、83-3の出力にそれぞれ接続された第一ないし第三の入力を有する加算器84
(5) 加算器84の出力に接続された減数入力と、加算器74の出力に接続された被減数入力とを有し、かつ出力が適応制御部82の第四の入力に接続された減算器85
このような構成の電力増幅装置では、プリディストーション部70は、入力信号u[n]に応じて、増幅器92の非直線性を含む入出力特性の逆特性による応答を模擬することにより、前置歪み信号x[n]を生成する。
直交変調部91は、その前置歪み信号x[n]に基づいて所定の搬送波信号を変調することにより既述の送信波を生成する。
このような送信波は、増幅器92によって増幅された後、図示されない系を介して送信され、かつ直交復調部93によって復調されることによって、既述の帰還信号y[n]に変換される。
基底生成部81は、上記帰還信号y[n]に応じて下式で示すように、互いに直交する3つの基底関数U1′、U2′、U3′の値を算出する。
適応制御部82は、このようにして算出された基底関数U1′、U2′、U3′の値に応じて、下式で示される誤差δを最小化するLMS(Least-Mean-Square)アルゴリズムに基づいて、これらの基底関数に対応した係数B、B、Bの更新値として係数B′、B′、B′を算出し、適応制御部82を介して乗算器83-1〜83-3に与える。
δ=x[n]−(B・U1′+B・U2′+B・U3′)
乗算器83-1、83-2、83-3および加算器84は、下式で示すように、上記基底関数U1′、U2′、U3′と、係数B′、B′、B′との積和として被判定信号x′[n]を求める。
x′[n]=B′・U1′+B′・U2′+B′・U3′
減算器85は、下式に示すように、上記前置歪み信号x[n]から被判定信号x′[n]を減じることによって、後続して行われる係数B、B、Bの更新の過程で適応制御部82によって参照されるべき誤差δを求める。
δ=x[n]−x′[n]
一方、適応制御部82とプリディストーション部70とは、所定の機能分散や負荷分散の下で、下記の処理を行う。
(1) 基底生成部81Aによって求められた基底関数U1′、U2′、U3′の値と、適応制御部82が既述の誤差δを最少化するアルゴリズムの下で求めた係数B、B、Bの更新値B′、B′、B′とに基づいて、直交変調部91、増幅器92および直交復調部93の総合的な入出力特性の逆特性を適宜算出し、かつ更新する。
(2)このような逆特性に基づいて増幅器92の非直線性を含む応答を模擬することにより、前置歪み信号x[n]を生成する
増幅器92の非直線性は、プリディストーション法に基づいて補償される。
なお、本発明に関連性がある先行技術としては、後述する特許文献1および特許文献2がある。
(1) 「増幅回路の非線形歪を補償する歪補償装置において、前記増幅回路の前段に接続され、前記増幅回路に入力される入力信号電力に応じて歪補償値が規定された参照テーブルに基づき、前記入力信号に歪補償値の複素乗算を行う歪補償部と、前記入力信号に対する前記増幅回路からのフィードバック信号の歪みの逆特性を、LMSアルゴリズムを用いて算出する歪逆特性算出部と、前記参照テーブルに規定されている歪補償値を、前記歪逆特性算出部の算出する歪みの逆特性に応じて新たな歪補償値に更新する歪補償値更新部とを備える」ことによって、「歪逆特性を算出する際の除算処理をなくすことで回路規模を縮小した」点に特徴がある歪補償装置…特許文献1
(2) 「ベースバンド信号に、リアルタイム多項式係数を用いて予備歪みを加え、歪みを加えられたベースバンド信号を変調してRF信号を生成し、これを電力増幅器によって増幅し、その出力をRF復調器により復調し、復調信号をリアルタイム多項式係数評価器に入力させてリアルタイム多項式係数を生成させ、これを予備歪みユニットに入力させ予備歪みをベースバンド信号に加える」点に特徴がある多項式予備歪み線形化装置…特許文献2
特開2010−136123号公報 米国特許6236837号公報
ところで、上述した従来例では、互いに直交する3つの基底関数U1′、U2′、U3′は、増幅器92の特性の経年や温度等の環境条件に応じて帰還信号y[n]が変化し得るにもかかわらず、一定に保たれていた。
したがって、歪補償性能が必ずしも最大あるいは良好には維持されるとは限らなかった。
本発明は、従来例に比べて精度が大幅に低下することなく応答性が向上し、かつ限られたリソースの下で、適用されるべき系の特性の偏差と、その特性の環境や経年に応じた変化とに精度よく安定に適応できる非線形系モデリング装置および非線形補償装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明では、非線形性を有する系の出力信号に対する複数の基底関数の値と前記複数の基底関数に個別に対応した係数との積和と、前記系の入力信号との差を圧縮する自動制御または適応制御の下で前記係数を更新する非線形モデリング装置において、基底最適化手段は、前記複数の基底関数に代えて、前記複数の基底関数の代替候補である複数通りの基底関数の組み合わせの内、前記系について予め得られ、かつ前記非線形性を含む入出力特性を前提として前記自動制御または適応制御に基づく前記係数の更新の模擬の下で、前記差の電力が最少となり、または既定の上限値以下となる特定の組み合わせを適用する。
すなわち、非線形性を有する系のモデリングのために適用される基底関数の組み合わせは、その系の非線形性の実体に適した特定の既定関数の組み合わせに適宜更新され、かつ維持される。
請求項2に記載の発明では、非線形性を有する系の出力信号に対する複数の基底関数の値と前記複数の基底関数に個別に対応した係数との積和と、前記系の入力信号との差を圧縮する自動制御または適応制御の下で前記係数を更新する非線形モデリング装置において、監視手段は、所定の契機に前記非線形性を含む前記系の入出力特性を監視する。基底最適化手段は、前記複数の基底関数に代えて、前記複数の基底関数の代替候補である複数通りの基底関数の組み合わせの内、前記入出力特性を前提とする前記自動制御または適応制御に基づく前記係数の更新の模擬の下で、前記差の電力が最少となり、または既定の上限値以下となる特定の組み合わせを適用する。
すなわち、非線形性を有する系のモデリングのために適用される基底関数の組み合わせは、その系の非線形性について適宜監視された実体に適した特定の既定関数の組み合わせに適宜更新され、かつ維持される。
請求項3に記載の発明では、フィードバック制御が適用されたプリディストーション法に基づいて、非線形性を有する系の入出力特性の非直線性を補償する非線形補償装置において、非線形系モデリング装置は、請求項1または請求項2に記載され、かつ前記系に適用される。前置歪み最適化手段は、前記系に入力される入力信号に重畳されるべき前置歪みの生成に、前記非線形系モデリング装置によって適用された基底関数の組み合わせと、前記非線形系モデリング装置によって更新された係数とを適用する。
すなわち、非線形性を有する系に入力される入力信号には、非線形系モデリング装置によって適用された基底関数だけではなく、その非線形系モデリング装置によって更新された最新の係数の値にも適合した前置歪みが高い精度で重畳される。
請求項4に記載の発明では、フィードバック制御が適用されたプリディストーション法に基づいて、非線形性を有する系の入出力特性の非直線性を補償する非線形補償装置においであって、非線形系モデリング装置は、請求項1または請求項2に記載され、かつ前記系に適用される。前置歪み最適化手段は、前記系に入力される入力信号に重畳されるべき前置歪みの生成に、前記非線形系モデリング装置によって適用された基底関数の組み合わせと、前記非線形系モデリング装置によって更新された係数とで与えられる前記入出力特性の逆特性を適用する。
すなわち、非線形性を有する系に与えられるべき前置歪みは、上記フィードバッグ制御の帰還路に設けられた非線形系モデリング装置によって行われたモデリングの結果の有効な活用の下で精度よく得られる。
本発明によれば、モデリングの対象となる系の非線形性の実体の如何にかかわらず1通りの基底関数が適用される場合に比べて、そのモデリングの精度が、該当する系の稼働状況や環境条件に柔軟に適応して高く維持される。
また、本発明では、系の非線形性は、構成が従来例より大幅に複雑化することなくその系の特性の偏差や変化に柔軟に追従し、プリディストーション法に基づいて精度よく安定に補償される。
したがって、本発明が適用された系や装置では、応答性が向上し、かつ入力される信号の多様な形態と広範な環境条件とに対する柔軟な適応が可能となり、信頼性および性能が高められる。
本発明の第一の実施形態を示す図である。 本発明の第一の実施形態の動作フローチャート図である。 本発明の第二の実施形態を示す図である。
条件レジスタおよび基底セットテーブルの構成を示す図である。 基底セットの選定に際して参照されるべき条件の一例を示す図である。 本発明の第三の実施形態を示す図である。 プリディストーション法が適用された電力増幅装置の構成例を示す図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔第一の実施形態〕
図1は、本発明の第一の実施形態を示す図である。
図において、図7に示すものと機能が同じものについては、同じ符号を付与し、ここでは、その説明を省略する。
本実施形態と図7に示す従来例との構成の相違点は、以下の点にある。
(1) 制御部80に代えて制御部80Aが備えられ、その制御部80Aには基底生成部81に代えて基底生成部81Aが備えられる。
(2) 直交復調部93の出力と、加算器74(プリディストーション部70)の出力とは、基底セット探索部11の対応する入力に接続され、その基底セット探索部11の出力は基底生成部81Aの制御端子に接続される。
図2は、本発明の第一の実施形態の動作フローチャートである。
以下、図1および図2を参照して本実施形態の動作を説明する。
本実施形態の特徴は、本発明では、基底セット探索部11と基底生成部81Aが後述する通りに連係する点にある。
基底セット探索部11は、始動時、あるいは特定の事象(操作者によって与えられる指示も含まれる。)が発生する度に、前置歪み信号x[n]の列と、その前置歪み信号x[n]の列に応じて直交復調部93から出力される帰還信号y[n]の列とを参照することによって、直交復調部91の入力から増幅器92を介して直交復調部93の出力に至る区間の総合的な入出力特性を取得する(図2ステップS1)。なお、以下、このような入出力特性を取得する処理を「モデリング処理」という。
さらに、基底セット探索部11は、上記モデリング処理が行われる期間以外には、以下の処理を所定の頻度で反復して行う。
(1) 例えば、グラム・シュミットの正規直交化法を適用することによって、既述の直交する3つの基底関数U1′、U2′、U3′の代替候補である基底関数の組み合わせ(以下、「基底セット」という。)を帰還信号y[n]に応じて複数通り生成する(図2ステップS2)。
(2) これらの複数通りの基底セットのそれぞれについて、制御部80A、直交変調部91および増幅器92を介して直交復調部93で行われる処理を模擬し(図2ステップS3)、その模擬の結果として直交復調部93の出力に仮想的に得られるべき帰還信号y′[n]に含まれる歪み成分を評価する(図2ステップS4)。
(3) 上記複数通りの基底セットの内、このようにして評価された歪み成分が最少(もしくら基底の上限値以下)である基底セット(以下、「特定の基底セット」という。)を識別し、かつ基底生成部81Aに引き渡す(図2ステップS5)。
基底生成部81Aは、基底関数U1′、U2′、U3′に代えて上記「特定の基底セット」適用する。
すなわち、基底生成部81Aによって適用される基底関数は、その基底生成部81A(制御部80A)の前段で基底セット探索部11が既述のモデリング処理の下で生成した複数の基底セットの内、好適な基底セットとして設定され、かつ維持される。
したがって、上記モデリング処理のきっかけや頻度が適切であるならば、温度その他の環境や実体が変化しても、増幅器92の歪(非線形性)は、プリディストーション法に基づいて高い精度で安定に行われる。
〔第二の実施形態〕
図3は、本発明の第二の実施形態を示す図である。
図において、図1に示すものと機能が同じものについては、同じ符号を付与し、ここでは、その説明を省略する。
本実施形態と図1に示す従来例との構成の相違点は、下記の点にある。
(1) 基底セット探索部11に代えて基底セット評価部21が備えられる。
(2) その基底セット評価部21は、加算器74および直交復調部93の出力には接続されず、図示されない何らかのセンサーや計測部によって与えられる以下の項目が入力される。
(2-1) 温度T
(2-2) 増幅器52によって出力される(べき)出力信号の電力P
(2-3) 増幅器52によって出力される(べき)出力信号の周波数軸上における電力の密度Pd
(2-4) 増幅器52によって出力される(べき)出力信号の周波数軸上における配置(以下、「信号配置」という。)S
以下、図3を参照して本実施形態の動作を説明する。
基底セット評価部21は、図4に示すように、以下の要素を含むレコードの列として構成された条件レジスタ12Rを有する。
(1) 既述の温度T、電力P、電力密度Pd、信号配置Sの全てまたは一部(以下、単に「条件」という。)の値域
(2) 後述する基底セットテーブル12tのレコードの内、上記値域の組み合わせの下で基底セット評価部21によって参照されるべきレコードを示すポインタ
また、基底セット評価部21は、図4に示すように、上記ポインタで示され、そのポインタが示す条件の下で基底生成部81Aによって適用されるべき基底関数の組み合わせ(以下、「基底セット」という。)が予め登録されたレコードの列からなる基底セットテーブル12tを有する。
なお、このように基底セットテーブル12tの各レコードに登録される基底セットについては、上記値域毎に予め行われた実測、評価、模擬の全てまたは一部に基づいて求められる。
基底セット評価部21は、以下の処理を行う。
(1) 条件レジスタ12Rのレコードの内、既述の条件との相関性が最も高い特定のレコードを識別する。
(2) その特定のレコードの「ポインタ」フィールドの値pを取得する。
基底セット評価部21は、基底セットテーブル12tのレコードの内、上記値pに対応する特定のレコードを識別し、その特定のレコードに登録されている「基底セット」を取得して基底生成部81Aに引き渡す。
基底生成部81Aは、このようにして引き渡された「基底セット」を適用することによって、既述の数式1〜数式3に代わる基底関数の値を帰還信号y[n]に応じて算出する。
すなわち、図5に示すように、温度T、電力P、電力密度Pd、信号配置S等の環境や実体が変化しても、基底生成部81Aによって適用される基底関数は、これらの環境や実体に則した基底関数に維持される。
したがって、本実施形態によれば、増幅器92の歪(非線形性)は、環境条件が多様かつ広範に変化しても、プリディストーション法に基づいて高い精度で安定に行われる。
上述した第一および第二の実施形態では、適応制御部82と、プリディストーション部70と、これらの適応制御部82やプリディストーション部70と別体の信号処理部(図示されない。)とは、如何なる形態で機能分散や負荷分散が図られてもよい。
〔第三の実施形態〕
図6は、本発明の第三の実施形態を示す図である。
図において、本実施形態の構成は、以下の点で既述の第一の実施形態の構成と異なる。
(1) プリディストーション部70Aがプリディストーション部70に代えて備えられる。
(2) 基底セット探索部11の出力が基底生成部81Aの制御端子と共に、基底セット探索部31の入力に接続される。
プリディストーション部70Aは、以下の要素から構成される。
(1) 入力信号u[n]が入力される基底生成部31
(2) その基底生成部31の第一ないし第三の出力に個別に接続された第一の入力を有する乗算器32-1、32-2、32-3
(3) これらの乗算器32-1、32-2、32-3の第二の入力にそれぞれ係数B、B、Bを与える係数設定部33
(4) プリディストーション部70Aの最終段に配置され、かつ乗算器32-1、32-2、32-3の出力にそれぞれ接続された第一ないし第三の入力を有する加算器34
以下、図6を参照して本実施形態の動作を説明する。
プリディストーション部70Aでは、基底生成部31は、始動時には、基底生成部81Aによって適用されるべき基底関数(以下、「デフォルト基底関数」という。)を適用することにより、入力信号u[n]の基底関数を生成し、後段の乗算器32-1〜32-3および加算器34を介して、制御部80Aおよび直交変調部91以降の後段と速やかに連係を開始する。
また、このような基底生成部31は、基底セット探索部11によって「特定の基底セット」が更新される(図2ステップS5)度に、その「特定の基底セット」を上記デフォルト基底関数に代えて適用する。
すなわち、本実施形態では、第一および第二の実施形態とは異なり、前置歪み信号x[n]の生成にも「特定の基底セット」が適用される。
したがって、第一および第二の実施形態に比べて、精度よく安定に、増幅器92の歪み補正がプリディストーション法に基づいて実現される。
なお、本実施形態は、既述の第二の実施形態の変形例として構成されてもよい。
また、既述の第一の実施形態では、基底セットテーブル12tの各レコードに登録される基底セットは、実時間で求められなくてもよく、例えば、所望の頻度や周期で適宜求められてもよい。
さらに、このような基底セットは、グラム・シュミットの正規直交化法に限定されず、如何なる手法に基づいて求められてもよい。
また、上記基底セットに含まれる基底関数については、以下の要件が如何なるものであってもよい。
(1) 含まれるべき項に対応する時間軸上の配置とその組み合わせ
(2) 基底セットに含まれるべき基底関数の数および次数
さらに、基底セットの内、既述の「特定の基底セット」が選定される基準には、以下に列記する要件の何れが含まれてもよい。
(1) 帰還信号y[n]を参照する方法
(2) 許容される処理量、ハードウェア規模の限度
(3) 実時間性が確保できる限度
また、本発明は、プリディストーション法に基づく増幅器に限定されず、非線形性を有する回路や系であれば、同様に適用可能である。
さらに、上述した各実施形態では、既述の「LMSアルゴリズム」は、所望の精度や応答性が確保され、かつ想定される制約の下で適用が阻まれないならば、如何なる方式の自動制御や適応制御で代替されてもよい。
また、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
11 基底セット探索部
12R 条件レジスタ
12t 基底セットテーブル
21 基底セット評価部
31,75,81,81A 基底生成部
32,83 乗算器
33 係数設定部
34,84 加算器
70,70A プリディストーション部
80,80A 制御部
82 適応制御部
85 減算器
91 直交変調部
92 増幅器
93 直交復調部

Claims (4)

  1. 非線形性を有する系の出力信号に対する複数の基底関数の値と前記複数の基底関数に個別に対応した係数との積和と、前記系の入力信号との差を圧縮する自動制御または適応制御の下で前記係数を更新する非線形モデリング装置であって、
    前記複数の基底関数に代えて、前記複数の基底関数の代替候補である複数通りの基底関数の組み合わせの内、前記系について予め得られ、かつ前記非線形性を含む入出力特性を前提として前記自動制御または適応制御に基づく前記係数の更新の模擬の下で、前記差の電力が最少となり、または既定の上限値以下となる特定の組み合わせを適用する基底最適化手段を備えた
    ことを特徴とする非線形系モデリング装置。
  2. 非線形性を有する系の出力信号に対する複数の基底関数の値と前記複数の基底関数に個別に対応した係数との積和と、前記系の入力信号との差を圧縮する自動制御または適応制御の下で前記係数を更新する非線形モデリング装置であって、
    所定の契機に前記非線形性を含む前記系の入出力特性を監視する監視手段と、
    前記複数の基底関数に代えて、前記複数の基底関数の代替候補である複数通りの基底関数の組み合わせの内、前記入出力特性を前提とする前記自動制御または適応制御に基づく前記係数の更新の模擬の下で、前記差の電力が最少となり、または既定の上限値以下となる特定の組み合わせを適用する基底最適化手段と
    を備えたことを特徴とする非線形系モデリング装置。
  3. フィードバック制御が適用されたプリディストーション法に基づいて、非線形性を有する系の入出力特性の非直線性を補償する非線形補償装置であって、
    請求項1または請求項2に記載され、かつ前記系に適用された非線形系モデリング装置と、
    前記系に入力される入力信号に重畳されるべき前置歪みの生成に、前記非線形系モデリング装置によって適用された基底関数の組み合わせと、前記非線形系モデリング装置によって更新された係数とを適用する前置歪み最適化手段と
    を備えたことを特徴とする非線形補償装置。
  4. フィードバック制御が適用されたプリディストーション法に基づいて、非線形性を有する系の入出力特性の非直線性を補償する非線形補償装置であって、
    請求項1または請求項2に記載され、かつ前記系に適用された非線形系モデリング装置と、
    前記系に入力される入力信号に重畳されるべき前置歪みの生成に、前記非線形系モデリング装置によって適用された基底関数の組み合わせと、前記非線形系モデリング装置によって更新された係数とで与えられる前記入出力特性の逆特性を適用する前置歪み最適化手段を備えた
    ことを特徴とする非線形補償装置。
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