JP2015000833A - ケイ酸を含有する次亜塩素酸の製造方法 - Google Patents

ケイ酸を含有する次亜塩素酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、酸を使用することなく、かつ実質的に塩素ガスを発生することなく次亜塩素酸水溶液を製造するための装置および方法を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明は、次亜塩素酸の製造方法であって、次亜塩素酸塩溶液をシリカゲルで処理する工程を含む製造方法を提供する。また、シリカゲルを備える次亜塩素酸の製造装置を提供する。さらに、次亜塩素酸カルシウムと塩素ガスが発生するpH以下の酸として作用しないシリカゲルとを含む、次亜塩素酸の製造のための容器を提供する。さらに、上記方法によって得られた次亜塩素酸を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、次亜塩素酸水溶液の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、酸を使用することなく、かつ実質的に塩素ガスを発生することなくケイ酸を含有する次亜塩素酸を製造するための方法に関する。
農業分野では、ケイ酸質が肥料として有効であることが分かっている。たとえば、シリカゲルは、普通肥料の公定規格においてシリカゲル肥料として定められている。シリカゲルは、二酸化ケイ素を主成分とし、他の元素による悪影響がなく安全性の高い物質であることから、有害成分の規制は行われていない。また、シリカゲルは、不活性物質であることから、他の肥料と混合しても反応は想定されないので、指定配合肥料の原料に使用出来るものとされている。ケイ酸質を植物により容易に取り込ませるためには、液状のケイ酸質であることが望ましい。しかし、シリカゲルは、固体であり、水への溶解性も低い。
一方、農業分野では、種々の殺菌剤が使用されている。しかし、従来使用されている殺菌剤は、天然に存在しない化学物質を含有しているものが多く、必ずしも安全性が十分であるとは言えない。以前より、次亜塩素酸が殺菌作用を有することが知られている。このため、次亜塩素溶液は、多種多様な分野において利用されており、農業分野のみならず、水道水の殺菌および食品の殺菌などにも利用されてきた。
この次亜塩素酸の殺菌効果は、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩、水および酸の反応により、次亜塩素酸イオンと水素イオンが結合して生成される分子状の次亜塩素酸によって発揮される。
次亜塩素酸を殺菌目的で使用する場合、一般に、非解離の分子状の次亜塩素酸の状態が最も殺菌効果が高いことが知られている。また、次亜塩素酸ナトリウムなどから製造される次亜塩素酸塩溶液は、その溶液のpHにより、殺菌効果が著しく変動することが知られている。一般に、アルカリ性のpHでは、次亜塩素酸が次亜塩素酸イオンとして存在し、殺菌効果は低い。一方、酸性のpHでも、殺菌効果は低く、さらに塩素ガスを発生してしまう。通常、次亜塩素酸において、そのpHがおよそ3.5〜8.5、特におよそ3.5〜7.5のときに、分子状の次亜塩素酸の存在率が高いと考えられている。
一方、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、アルカリ性の溶液として製造される。また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、一般的に殺菌水とて使用される濃度である200〜400ppmまで希釈しても、pHは、9.0〜10.0程度までしか下がらない。このため、次亜塩素酸を殺菌目的で使用する場合、より殺菌効果の高いpHまでpHを下げる必要がある。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHを下げる方法として、電解法および二液法などが知られている。しかし、電解法は、電解槽を備えた装置を必要とし、メンテナンス費が高価である。また、電極を必要とし、コストもかかる。さらに、電解法では、低濃度の弱酸性次亜塩素酸しか製造することができない。一方、二液法は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を塩酸と混合することにより、pHを酸性側に調製する方法である。この方法は、塩酸などの酸によりpHを調整しているため、次亜塩素酸ナトリウムと酸とを混合するという工程を含み、安全性の問題が生じる。特に、次亜塩素酸ナトリウムと塩酸とを混合すると塩素ガスを発生してしまい、非常に危険である。弱酸性次亜塩素酸の製造において、高濃度の次亜塩素酸ナトリウムと酸を原料として使用する限り、危険であることに変わりはない。このため、pHを下げると殺菌力が上がるとわかっていても、pHの調節が難しく、pH値を下げすぎると塩素ガスが発生することから気軽に応用できないという問題がある。したがって、根本的に塩素ガス発生の危険を伴わない製造方法が望まれている。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHを下げるために、塩酸を使用しない方法として、特許文献1および特許文献2には、イオン交換樹脂を使用した方法が開示されている。特許文献1には、塩酸の代わりに、ミネラルなどの陽イオンを含む水を水素置換型イオン交換樹脂でイオン交換することによりpHを低下させた溶液を使用して、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH値を下げる方法が開示されている。しかし、この方法では、得られた酸性溶液を次亜塩素酸ナトリウムと混合した後に、pHが塩素ガスを発生してしまう値まで低下しており、塩素ガスの発生を避けられない。特に、全量をイオン交換した場合は、pHが2.7まで低下されることが記載されている。このため、イオン交換により酸性溶液を得た後に、次亜塩素酸ナトリウムと混合する工程を必要とするため、手間がかかってしまう。また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、高いpHを有するため、イオン交換樹脂の使用は推奨されていない。
特許文献2には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液をイオン交換樹脂と接触させると、イオン交換樹脂の担体が分解されてしまい、不純物および臭いを生じてしまう。また、不純物と長時間接触していると、生成した次亜塩素酸の分解を促進してしまう。したがって、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と長時間接触させても次亜塩素酸の分解を生じない材料が望まれる。さらに、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と接触させても、不要な分解生成物を生成しない材料が望まれる。次亜塩素酸は、その殺菌力により、農業においても殺菌剤として使用されている。このため、次亜塩素酸を生成する際に植物に悪影響を与える生成物を生じてしまうと、農業分野において殺菌剤として使用することができない。
特開平6−206076号公報 国際公開第2011/136081号
したがって、本発明は、実質的に塩素ガスを発生することなくケイ酸を含有する次亜塩素酸を製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者は、シリカゲルを次亜塩素酸ナトリウム水溶液と接触させることにより、実質的に塩素ガスを発生することなく、ケイ酸を含有する溶液を生成することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次亜塩素酸の製造方法であって、次亜塩素酸塩溶液をシリカゲルで処理する工程を含み、前記次亜塩素酸塩溶液は、塩素ガスが発生するpH以上、かつ前記次亜塩素酸塩溶液のpH以下に調整され、かつ前記シリカゲルに由来するケイ酸を含有する、次亜塩素酸の製造方法を提供する。
また、本発明は、次亜塩素酸の製造装置であって、次亜塩素酸塩溶液をシリカゲルで処理する手段を備え、前記次亜塩素酸塩溶液は、塩素ガスが発生するpH以上、かつ前記次亜塩素酸塩溶液のpH以下に調整され、かつ前記シリカゲルに由来するケイ酸を含有する次亜塩素酸の製造方装置を提供する。
本発明によれば、塩素ガスを発生するようなpH以下にpHを低下させることなく、弱酸性〜弱アルカリ性の、ケイ酸を含有する次亜塩素酸水溶液を製造することができる。すなわち、肥料としても有用であり、かつ殺菌剤および消臭剤としても有用な次亜塩素酸水溶液を製造することができる。また、本発明によれば、高濃度の次亜塩素酸水溶液を製造することができる。さらに、本発明によれば、従来の製造方法のように、塩素ガスを発生するようなpH以下にpHを低下させることなく次亜塩素酸を製造することができるため、従来の次亜塩素酸よりも漂白効果の少ない次亜塩素酸を製造することができる。また、本発明によれば、従来の製造装置のように、次亜塩素酸塩溶液に由来するミネラル成分による白化現象を防止することができる。
シリカゲルによる次亜塩素酸ナトリウム溶液のpH低下を示す図。 本発明の装置の一例を示す概略図。 本発明の装置の一例を示す概略図。
本発明者らは、強アルカリ性を有する次亜塩素酸ナトリウム溶液をシリカゲルで処理することにより、塩素ガスを実質的に発生させずにpH3.5〜7.5程度の次亜塩素酸水溶液を得ることができることを見いだした。また、通常の液体酸または固体酸を使用して次亜塩素酸水溶液のpHを調整するときには、塩素ガスを発生するpH以下にpHを低下させないように、互いの量を調整しなければならなかったが、シリカゲルを使用する場合、過剰のシリカゲルで次亜塩素酸水溶液を処理しても、pHが塩素ガスを実質的に発生させるpH以下には下がらないことを見いだした。
本明細書において、塩素ガスが発生するpH以上とは、次亜塩素酸塩溶液のpHを低下させたときに、塩素ガスを実質的に発生しないpHの範囲をいう。また、本明細書において、弱酸性〜弱アルカリ性には、アルカリ性の次亜塩素酸塩溶液のpHを低下させたときに、塩素ガスを実質的に発生しないpHの範囲を含む。たとえば、弱酸性〜弱アルカリ性の範囲は、pHが約3.5〜9.0の値の範囲、特に4.0〜7.5の値の範囲であることをいう。塩素ガスを実質的に発生しないとは、生体にとって危険なレベルで塩素ガスを実質的に発生しないこと、次亜塩素酸塩溶液のpHを低下させたときに溶液から塩素の気泡が発生していることを実質的に確認することができないこと、または次亜塩素酸塩溶液のpHを低下させたときに塩素による漂白作用が実質的にないことをいう。当該技術分野において、一般的にpH4.0であっても塩素ガスを実質的に発生せず、pH3.5程度までは塩素ガスをしないと考えられている。したがって、本発明に使用されるシリカゲルは、酸として作用するが、溶液中においてpH3.5以下の酸性溶液を生じない。
以下、本発明の次亜塩素酸の製造方法について、詳細に説明する。本発明の次亜塩素酸の製造方法は、次亜塩素酸塩溶液をシリカゲルで処理する工程を含む。本明細書において、次亜塩素酸塩溶液とは、当業者に一般的に認識されるとおり、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、次亜塩素酸カリウム(KClO)および次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO))などの任意の次亜塩素酸の塩を含む溶液をいう。次亜塩素酸塩は、市販の材料および当業者に周知の方法によって製造された材料を使用することができる。また、溶液は、水などの任意の溶液中のものであることができる。また、緩衝液中の溶液であることもできる。さらに、次亜塩素酸塩溶液には、任意の添加物を含むことができる。たとえば、次亜塩素酸塩溶液には、炭酸水素ナトリウムおよび乳酸カルシウムなどの任意の弱酸塩を含むことができる。このような添加物を含むことにより、次亜塩素酸塩溶液をより殺菌活性の高いpHに調整することができる。
本発明の方法において、次亜塩素酸塩溶液は、任意の濃度の溶液を使用することができる。たとえば、市販されている12%次亜塩素酸ナトリウム溶液を希釈して、10〜120000ppm以上の濃度、たとえば100、200、500、1000、10000および120000ppmで使用することができる。本発明の方法によれば、10000ppmといった従来の方法では製造することができない濃度の次亜塩素酸を製造することができる。また、殺菌目的で実際に使用される濃度である50〜1000ppmの濃度の次亜塩素酸を直接製造することもできる。
次亜塩素酸塩溶液は、本発明の製造方法を実施する際に、調製することもできる。次亜塩素酸ナトリウムのように溶液として製造される塩だけでなく、固体の塩を使用することもできる。たとえば、次亜塩素酸カルシウムなどの固体を水に添加することにより、次亜塩素酸塩溶液を調製することができる。
本発明の方法において、次亜塩素酸は、非解離型のHOClをいう。次亜塩素酸溶液は、任意の媒体中に非解離型のHOClを含有する溶液をいう。次亜塩素酸水溶液は、水中に非解離型の次亜塩素酸を含有する溶液である。次亜塩素酸水溶液中には、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域において、高比率で非解離型のHOClが存在することが知られている。pHがさらに酸性側に傾くと、HOClの一部が溶存塩素(Cl2)に変化して、塩素臭を生じることが知られている。
本発明の方法では、塩素ガスが発生するpH以上で緩衝作用を持つシリカゲルを使用する。シリカゲルは、A形シリカゲルおよびB形シリカゲルおよびB型のいずれを使用することもできる。A形は、二酸化ケイ素の微粒子が緻密に集っていて、1gあたり約700m2という広大な表面積を持つシリカデルである。そして、この表面に無数のシラノール基がある為、水と性質の近い物質を選択的に吸着する性質を持つ。このように、A形は、シラノール基による化学的吸着力によって、各種の極性分子を選択的に吸着すると考えられる。一方、B形は、二酸化ケイ素の微粒子が緩やかに集まっている為、表面積は1gあたり約450m2とやや小さくなったシリカゲルである。この為、シラノール基による化学的吸着よりも、微粒子間の間隙への毛細管現象による物理的吸着の力が優先的に働句と考えられる。この物理的な吸着力は、緩やかであり、B形シリカゲルは、低湿度に置くと、吸着していた水分を徐々に放湿する「呼吸作用」を持っている。
重合反応により合成されたシリカゲル一次粒子の表面には、多量のシラノール基(Si-OH)を有していると考えられ、また弱酸性を呈する。
また、本発明に使用されるシリカゲルは、ケイ酸(SiO2)だけで構成される材料だけでなく、SiO2に加えて、その他の微量元素および成分を含む材料であってもよい。SiO2とその他の元素または分子とが結合した様々な分子が知られるが、次亜塩素酸水溶液を所望のpHに調整するために、種々の割合でその他の元素または分子を含有する材料を調整し、使用することができる。また、シリカゲルを使用することにより、次亜塩素酸塩溶液のpHを、弱酸性〜弱アルカリ性の範囲のpH、たとえば約3.5〜9.0の値の範囲、特に4.0〜7.5の値の範囲に調整することができる。
本発明の方法では、次亜塩素酸ナトリウムから次亜塩素酸を生成すると考えられる。また、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩は、pHが高いため、シリカゲルのシロキサン結合≡Si-O-Si≡を切断すると考えられる。したがって、本発明の方法では、シリカゲルからケイ酸を生じていると考えられる。ケイ酸は、溶液を希釈するための水の中にも含まれている成分である。次亜塩素酸ナトリウムとシリカゲルの反応では、次亜塩素酸およびケイ酸を生じるだけであり、次亜塩素酸の分解を促進してしまう成分は、生成されない。本発明の方法にでは、以下の反応により次亜塩素酸ナトリウムから次亜塩素酸を生成すると考えられる:
≡Si-OH + NaClO → ≡Si-ONa + HClO
また、ケイ酸が生成する反応としては、以下のようにシリカゲルのシロキサン結合Si-O-Siが切断されて、ケイ酸を生成すると考えられる:
≡Si-O-Si≡ + 2NaOH→ 2≡Si-ONa + H2O
従来の次亜塩素酸の製造方法のように、塩酸など使用して次亜塩素酸塩溶液のpHを下げる場合、塩素ガスを発生するpHの酸と次亜塩素酸塩溶液とを混合するため、混合過程において一時的または局所的に溶液のpHが塩素ガスを発生するpHにまで低下して塩素ガスを発生するものと考えられる。しかし、本発明のようにシリカゲルを使用する場合、弱酸性の酸で次亜塩素酸塩溶液を処理する場合と同様に、弱酸性のpH以下に次亜塩素酸塩溶液のpHを下がることがない。したがって、反応において、塩素ガスを生じさせることなく、また、塩素ガスの臭いを生じることなく、次亜塩素酸塩溶液のpHを下げることができる。さらに、希塩酸などを使用して次亜塩素酸塩溶液のpHを下げる場合には、水溶液中の次亜塩素酸の濃度が希釈されてしまうが、本発明の方法のようにシリカゲルを使用する場合、次亜塩素酸の濃度を希釈することなくpHを下げることができる。
また、本発明の方法において、シリカゲルは、任意の量で使用することができる。当業者であれば、製造する次亜塩素酸の濃度および量などに応じて、シリカゲルの量を調節することができるであろう。本発明の方法は、たとえ過剰量のシリカゲルを使用して次亜塩素酸塩溶液を処理しても、生成される次亜塩素酸のpHが低くなりすぎることはないため、非常に安全である。
上記のとおり、本発明の方法では、過剰量のシリカゲルを使用してもpHを一定に維持することができる。したがって、本発明の方法によって次亜塩素酸塩溶液のpHを低下させた後に、シリカゲルを除去せずに次亜塩素酸溶液中に残したままにすることにより、長期間にわたってpHを安定に維持することができる。また、次亜塩素酸塩とシリカゲルを反応させても、生じる化合物は、次亜塩素酸およびケイ酸であると考えられる。したがって、イオン交換樹脂を使用した場合のように、高いpHによって担体が分解されてしまい、不純物および臭いを生じてしまうことがない。また、不純物と長時間接触していると、生成した次亜塩素酸の分解を促進してしまう。しかし、本発明の方法では、生成物が次亜塩素酸およびケイ酸であるため、次亜塩素酸を分解してしまう成分を含有しない。
一方、次亜塩素酸ナトリウムによる漂白は、溶存塩素による塩素化反応によると考えられる。また、漂白力は、溶存塩素>次亜塩素酸ナトリウム>次亜塩素酸の順序であると考えられる。本発明の方法によれば、溶存塩素を実質的に生成することなく次亜塩素酸を製造することができるため、漂白効果が少ない次亜塩素酸を得ることができる。また、上記の通り、溶存塩素が実質的に生成しないため、塩素化反応が生じない。溶存塩素が多い場合は、臭気も大変強いものとなるが、本発明の方法によれば、溶存塩素を実質的に生成することなく次亜塩素酸を製造することができるため、塩素による臭気も少ない。
対照的に、濃塩酸を使用して次亜塩素酸ナトリウム溶液を処理した場合、処理後の溶液のpHが3以下になってしまう。このため、殺菌効果も低下し、また塩素ガスも発生してしまう。
次亜塩素酸塩溶液のシリカゲルによる処理は、任意の方法で行うことができる。たとえば、シリカゲルが充填されたカラムに、次亜塩素酸塩溶液を通過させることによって処理することができる。また、次亜塩素酸塩溶液を含む容器内にシリカゲルを投入することにより、バッチ法で処理することもできる。次亜塩素酸ナトリウムとシリカゲルの反応では、次亜塩素酸およびケイ酸を生じるだけであり、次亜塩素酸の分解を促進してしまう成分は、生成されないと考えられるため、次亜塩素酸ナトリウムとシリカゲルを長期間接触させたままにしても次亜塩素酸の分解が促進されることはないと考えられる。また、ティーバッグのように任意の袋内にシリカゲルを充填し、次亜塩素酸塩溶液に浸漬することもできる。本発明の方法によれば、次亜塩素酸塩溶液をシリカゲルで処理するだけで、容易に殺菌効果の高い次亜塩素酸を得ることができる。
次に、本発明の次亜塩素酸の製造装置について、詳細に説明する。本発明の製造装置は、シリカゲルを備える。本発明の製造装置は、たとえば図2に示したような装置であることができる。図3の装置は、次亜塩素酸塩溶液を貯留し、および希釈するための希釈装置5を備える。希釈装置5は、シリカゲルが充填されたカラムなどのイオン交換体充填容器6に接続される。たとえば、希釈装置5は、希釈装置の次亜塩素酸塩溶液をシリカゲルが充填されたイオン交換体充填容器6に導入するためのポンプを備え、ポンプを介してイオン交換体充填容器6に接続される。ポンプにより、希釈装置からイオン交換カラムに次亜塩素酸塩溶液が導入され、シリカゲルで処理されて、次亜塩素酸を得ることができる。
また、本発明の製造装置は、たとえば図3に示したような装置であることができる。図3に示した装置では、次亜塩素酸塩溶液の希釈装置からシリカゲルが充填された容器6に接続された流路7と、シリカゲルが充填された容器6に接続されていない流路8を有する。また、それぞれの流路の流量を調節することができるように、構成することができる。たとえば、流路7および流路8に絞り弁または開閉弁などを設けることにより、それぞれの流路を通る溶液の混合比を調節することができる。このような装置の構成にすることにより、シリカゲルで処理後の次亜塩素酸溶液と、シリカゲルで処理前の次亜塩素酸塩溶液を任意の量で混合することができる。たとえば、中性のpH7の溶液を製造する場合、シリカゲルで処理後の次亜塩素酸溶液がpH6.5であるときに、イオン交換前の次亜塩素酸ナトリウム溶液(たとえば、pH12)を適切な量で混合することにより、pH6の溶液を得ることができる。
また、本発明の次亜塩素酸製造装置および製造方法により、一旦、たとえばpH8.5などの弱アルカリ性の次亜塩素酸溶液を調整した後、この溶液を使用時に希釈することによってpH7.0程度の溶液として使用することもできる。
また、本発明の製造装置は、図3に示したように、シリカゲルカラムを通過した次亜塩素酸を噴霧するための噴霧手段9をさらに備えることができる。このように、噴霧手段を備えることにより、殺菌効果を有する次亜塩素酸を空気中に拡散させることができる。このような噴霧手段を備えた装置は、たとえば空気清浄機および空調設備などの機器に組み込むことができ、殺菌装置として使用することができる。噴霧装置は、当業者に公知の任意の装置を使用することができる。たとえば、超音波を利用した噴霧装置を使用することができる。
上記のとおり、本発明の次亜塩素酸の製造方法および製造装置によれば、溶液のpHを、塩素ガスを発生する範囲に低下させることなく、容易に次亜塩素酸を得ることができる。また、生成される次亜塩素酸溶液には、シリカゲルに由来するケイ酸を含有する。したがって、本発明の方法によって生成される次亜塩素酸溶液は、次亜塩素酸およびケイ酸のみを含有するため植物に悪影響を与えることはない。特に、農業においては、ケイ酸質肥料としても有用である。
また、本発明の次亜塩素酸の製造方法および製造装置によれば、下記の実施例に示したように、1000ppm以上の高濃度の次亜塩素酸を得ることができる。さらに、本発明の次亜塩素酸の製造方法および製造装置によって得られた次亜塩素酸は、下記の実施例に示したように、従来の次亜塩素酸と比較して、漂白活性が低い。
1.材料および方法
特に明記しない限り、実験には以下の材料を使用した。シリカゲルは、シリカゲル(M.S.GEL D-300-60A)(AGCエスイアテック株式会社製)を使用した。次亜塩素酸ナトリウム(ツルクロン(登録商標)TW)(鶴見曹達株式会社製)は、精製水で1000ppmの濃度に希釈して使用した。
溶液pHは、ポータブルpH計HM-30P(東亜DKK株式会社)またはpH試験紙を使用して測定した。次亜塩素酸濃度は、アクアチェックHC(日産化学工業株式会社)を使用して、遊離残留塩素濃度として測定した。
2.次亜塩素酸のpH測定
精製水で1000ppmの濃度に希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液のpHを測定したところ、pH9.0であった。
500mlのこの溶液を50mlのシリカゲルと共にビーカー内で混合して接触させた。混合後、この溶液のpHは、pH6.9まで低下した。また、混合による塩素ガスの発生も見られず、塩素臭も生じなかった。
上記の接触後のシリカゲルを、pH5.5の希塩酸で処理して再生した(シリカゲル再生A)。また、上記の接触後のシリカゲルを、pH2.0の希塩酸で処理して、精製水によってpH5.5まで水洗した(シリカゲル再生B)。これらのシリカゲル再生Aおよび再生B(各50ml)を使用して、上記と同様に500mlの1000ppmの濃度に希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液とビーカー内で混合して接触させた。
以下の表1に結果の一部を示した。
また、図1は、上記結果を示すグラフである。
上記の手順を繰り返して、1000ppmの濃度の次亜塩素酸ナトリウム500mlとシリカゲル再生Aおよび再生B(各50ml)の接触、再生および水洗を20回繰り返したが、次亜塩素酸ナトリウム溶液のpHは、同様にpH9.0からpH6.9まで低下し塩素ガスの発生も見られなかった。
1・・・不織布
2・・・次亜塩素酸カルシウム
3・・・弱酸性イオン交換樹脂
4・・・次亜塩素酸の製造装置
5・・・希釈装置
6・・・イオン交換体充填容器
7・・・流路
8・・・流路
9・・・噴霧手段

Claims (2)

  1. 次亜塩素酸の製造方法であって、
    次亜塩素酸塩溶液をシリカゲルで処理する工程を含み、
    前記次亜塩素酸塩溶液は、塩素ガスが発生するpH以上、かつ前記次亜塩素酸塩溶液のpH以下に調整され、かつ前記シリカゲルに由来するケイ酸を含有する、
    次亜塩素酸の製造方法。
  2. 次亜塩素酸の製造装置であって、
    次亜塩素酸塩溶液をシリカゲルで処理する手段を備え、
    前記次亜塩素酸塩溶液は、塩素ガスが発生するpH以上、かつ前記次亜塩素酸塩溶液のpH以下に調整され、かつ前記シリカゲルに由来するケイ酸を含有する、
    次亜塩素酸の製造装置。
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