JP2014531030A - ディスク遠心分離による試料の定量化 - Google Patents

ディスク遠心分離による試料の定量化 Download PDF

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Abstract

既存の粒子定量化法の限界を克服するために、本発明者らは、ディスク遠心分離を検出器と組み合わせて用いて、粒子、特に、ウイルス粒子を定量化した。また、ディスク遠心分離機を用いて粒子密度を決定するための方法も提供される。この方法は、ウイルス粒子密度を決定するのに特に有用である。また、粒子密度に基づき粒子サイズを推定する方法も提供される。上記方法は、(a)試料中の粒子をディスク遠心分離により分離する(例えば、密度勾配、好ましくはスクロース密度勾配を用いて)ステップと、(b)粒子検出器を用いて粒子を検出するステップと、(c)粒子サイズ分布を測定するステップと、(d)(i)単一モードのサイズ分布の存在に基づき、非凝集ウイルス粒子の存在または非存在を同定し、かつ/または(ii)多モードのサイズ分布の存在に基づき、凝集ウイルス粒子の存在または非存在を同定するステップなどとを含む。

Description

本発明は、試料の定量化の分野、特に、ウイルスの定量化の分野にある。
当技術分野では、ウイルスを定量化するための方法が周知である。ウイルスおよびそれらの凝集体をカウントおよびサイズ決定する能力は、ウイルスの作製およびウイルスワクチンの開発においてますます重要となりつつある。ワクチンの作製において遭遇することが多い問題は、ウイルスの凝集であり、試料中の非凝集(単量体)ウイルス材料および凝集ウイルス材料の相対濃度を決定することが重要である。純度および濃度を知ることは、例えば、作製プロセスの最適化および最終生成物中のウイルス投与量のより正確な計算を可能とする。
ウイルス定量化のためには、多数の方法が利用可能であるが、限界は各々の方法と関連する。さらに、非凝集ウイルス材料および/または凝集ウイルス材料を定量化するための迅速で簡便な手段も提供されていない。
従来のウイルス定量化技法は、緩慢で労力集約的であった。ウイルス滴定アッセイおよびプラークアッセイなどの感染性アッセイは、ウイルスを定量化するための標準的な方法であるが、最大で3〜4日間を要する可能性があり、労力集約的な手作業によるカウント作業を必要とする。蛍光フォーカスアッセイ(fluorescent focus assay)など、プラークアッセイの変法は、インキュベーション時間の短縮を可能とするが、やはりほぼ24時間を要する。感染性アッセイに関する別の問題は、それらに、凝集ウイルスと非凝集ウイルスとを識別することが不可能なことである。例えば、プラーク形成単位は、単一のビリオンに由来する場合もあり、複数の感染性ウイルスを含有する単一の凝集体に由来する場合もある。したがって、感染性アッセイは、調製物中の感染性ウイルス含量を過小評価する可能性があり、ウイルス粒子の量(感染性ウイルス粒子および非感染性ウイルス粒子)を決定できない可能性がある。
一部の代替的な技法は、これらの従来の技法より迅速であるが、それらもまた、多数のさらなる欠点と関連する。例えば、一元放射免疫拡散アッセイ(SRD)またはヘマグルチニンアッセイなどのタンパク質アッセイは、ウイルス定量化のための迅速な手段を提供しうるが、タンパク質を測定するものであり、ウイルス粒子を測定するものではないという点で、ウイルス濃度の間接的な測定を提供するにとどまる。それらはまた、凝集ウイルスと非凝集ウイルスとを識別することも不可能である。透過電子顕微鏡法(TEM)を用いて、ウイルスを定量化することができ、また、凝集ウイルスと非凝集ウイルスとの比率も決定することができるが、測定器の費用が高額であり、その操作には大規模な場所および人員が要求されることにより、その一般的な適用は限定されている。
定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)は、ウイルス定量化のための現行の「ゴールドスタンダード」を表す。qRT−PCRは、存在度の低い試料の定量化が可能なことの利益を有するが、比較的緩慢であり、特に、存在度の低い試料では、少なくとも2時間を要することが典型的である。PCRベースの技法はまた、標的核酸だけを測定するものであり、ウイルス濃度を直接測定できないという点でも限定されている。多くの状況では、ウイルスタンパク質の量だけが重要であり、これは、ウイルス粒子の総量と常に関係するわけではなく、核酸の濃度と常に関係するわけでもない。さらに、PCRベースの技法は、無傷のビリオンと溶液中の「遊離」核酸とを弁別することができず、qRT−PCRにより得られる測定値と、例えば、プラークアッセイにより得られる測定値との間に矛盾をもたらすことが多い。実際、無傷のビリオンと遊離核酸との比が一定であることは稀であるので、qRT−PCRにより得られる測定値は、試料を得る方法に応じて変動しやすい可能性がある。例えば、複数の破壊された生存不可能なウイルスを含有する試料は、qRT−PCRにより測定されると、人為的に高値の結果をもたらすであろう。これに対し、ウイルスの不活化(例えば、ベータ−プロピオラクトンによる)は、ウイルスRNAを損傷する可能性があり、これは、測定されるウイルス濃度をはるかに低くする。qRT−PCRはまた、凝集ウイルスと非凝集ウイルスとを識別することも不可能である。したがって、ウイルス定量化のためのゴールドスタンダードの技法であってもなお、多数の重大な限界に阻まれている。
上記の限界を考慮して、試料中の非凝集ウイルス材料および/または凝集ウイルス材料を定量化するためのさらなる改善された方法を提供することが本発明の目的である。
既存のウイルス定量化技法の限界を克服するために、本発明者らは、ディスク遠心分離を検出器と組み合わせて用いて、ウイルス粒子を定量化した。したがって、本発明は、ディスク遠心分離機を用いて試料中のウイルス粒子を定量化するための方法を提供する。
一実施形態では、ウイルス試料が、非凝集ウイルス粒子および/または凝集ウイルス粒子を含む。
一実施形態では、上記方法は、(a)試料中の粒子をディスク遠心分離により分離する(例えば、密度勾配、好ましくはスクロース密度勾配を用いて)ステップと、(b)粒子検出器を用いて粒子を検出するステップと、(c)粒子サイズ分布を測定するステップと、(d)(i)単一モードのサイズ分布の存在に基づき、非凝集ウイルス粒子の存在または非存在を同定し、かつ/または(ii)多モードのサイズ分布の存在に基づき、凝集ウイルス粒子の存在または非存在を同定するステップと、(e)非凝集ウイルス粒子を含む試料について、(i)サイズ分布の最大重量および/もしくは(ii)サイズ分布の積分重量を決定するか、または凝集ウイルス粒子を含む試料について、サイズ分布の積分重量を決定するステップと、(f)(i)試料についてのサイズ分布の最大重量を、参照のサイズ分布の最大重量と比較し、かつ/または(ii)試料についてのサイズ分布の積分重量を、参照のサイズ分布の積分重量と比較し、これにより、試料中のウイルス粒子を定量化するステップとを含む。密度勾配は、塩、好ましくは塩化ナトリウムおよび/またはバッファー、好ましくはリン酸ナトリウムをさらに含みうる。一部の実施形態では、分離流体のpHが、pH3〜9の間である。
一部の実施形態では、試料を、生物学的分子に対して増強した特異性を有し、かつ検出可能な標識を含む化合物で処理する。検出可能な標識が蛍光標識である場合、粒子検出器は、蛍光検出器であることが好ましい。
一部の実施形態では、ディスク遠心分離機が光沈降速度計である。一部の実施形態では、粒子検出器が、300〜600nmの範囲の検出波長を用いる。
一部の実施形態では、ウイルスがインフルエンザウイルスである。
一部の実施形態では、上記方法を用いて、元のウイルス出発材料より小さい粒子サイズの比率において相対的増大を検出することにより、ウイルス粒子全体が破壊されたのかどうかを検出する。
一部の実施形態では、上記方法を用いて、試料中の汚染ウイルス粒子の存在または非存在を検出する。
一部の実施形態では、上記方法を用いて、試料中の汚染微生物粒子の存在または非存在を検出する。
一部の実施形態では、試料が、分割剤で処理されている。このような場合、上記方法により、試料が、分割された粒子を含むのかどうかを決定することができる。上記方法はまた、化合物の分割効率を決定するのにも用いることができる。上記方法はまた、生物学的粒子の分割に対する感受性を決定するのにも用いることができる。
一部の実施形態では、上記方法は、(1または複数の)抗原粒子が、(1または複数の)アジュバント粒子へと吸着されているのかどうかを同定するための方法である。上記方法は、試料中の(1または複数の)アジュバント粒子へと吸着されている抗原粒子の比率を同定するために用いることができる。
例えば、上記方法は、(a)アジュバント粒子および抗原を含む試料へと、(i)アジュバント粒子には結合するが、(ii)可溶性抗原には結合せず、(iii)検出可能な標識を含む(1または複数の)化合物を導入するステップと、(b)試料中の粒子をディスク遠心分離により分離するステップと、(c)(1または複数の)検出可能な標識を検出するのに適する粒子検出器を用いて粒子を検出するステップと、(d)粒子サイズ分布を測定するステップと、(e)(i)抗原へと吸着されていないアジュバント粒子、および/または(ii)抗原が吸着されているアジュバント粒子に対応する(1または複数の)粒子サイズ分布の存在または非存在を同定するステップと、場合により、(f)抗原が吸着されているアジュバント粒子の比率を同定するステップとを含む。アジュバントは、アルミニウム塩であることが好ましい。
上記方法はまた、(a)アジュバント粒子および抗原を含む試料へと、(i)抗原には結合するが、(ii)アジュバントには結合せず、(iii)検出可能な標識を含む(1または複数の)化合物を導入するステップ、(b)試料中の粒子をディスク遠心分離により分離するステップ、(c)(1または複数の)検出可能な標識を検出するのに適する粒子検出器を用いて粒子を検出するステップ、(d)粒子サイズ分布を測定するステップ、(e)(i)アジュバントへと吸着されていない抗原、および/または(ii)アジュバント粒子へと吸着されている抗原に対応する(1または複数の)粒子サイズ分布の存在または非存在を同定するステップ、ならびに、場合により、(f)アジュバントへと吸着されている抗原の比率を同定するステップも含みうる。(i)抗原には結合するが、(ii)アジュバントには結合せず、(iii)検出可能な標識を含む(1または複数の)化合物は、タンパク質特異的および/または核酸特異的であることが好ましい。
一部の実施形態では、上記方法は、ワクチンの製造における使用のための方法であり、ウイルス粒子の定量化をリアルタイムで実施することができる。
別の実施形態では、本発明は、ワクチンを製造するための方法であって、(i)バルク材料から採取される試料中の非凝集ウイルス粒子および/または凝集ウイルス粒子を、本発明の方法を用いることにより定量化するステップと、(ii)場合により、バルク材料中のウイルス粒子濃度を、試料中のウイルス粒子の量に基づき、ワクチン組成物中で用いるのに適する濃度へと調整するステップと、(iii)ワクチンをバルク材料から調製するステップとを含む方法を提供する。本発明はまた、ワクチン組成物も提供する。
また、ディスク遠心分離機を用いて粒子密度を決定するための方法、および粒子密度に基づき粒子サイズを推定する方法も提供される。別の実施形態では、本発明は、ディスク遠心分離機を用いて粒子密度および/または粒子サイズを決定するための方法であって、(a)少なくとも2つの異なる分離流体中の試料の沈降速度(settling velocity)を測定するステップであって、前記流体が、異なるレオロジー特性を有する、ステップと、(b)回帰分析、好ましくは線形回帰分析を実施するステップとを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、粒子の沈殿速度(sedimentation velocity)を決定するための方法であって、(a)沈降出発点から検出器までの距離を測定するステップと、(b)保持時間を決定するステップと、(c)ステップ(a)から得られる値を、ステップ(b)から得られる値で除するステップとを含む方法が提供される。
本発明の方法は、例えば、密度および/またはサイズの変化において現れる精子形態(下記を参照されたい)を、ディスク遠心分離機を用いて決定するのに有用であり、(a)少なくとも2つの異なる分離流体中の、精液試料中の精子粒子の沈降速度を測定するステップであって、前記流体が、異なるレオロジー特性を有する、ステップと、(b)回帰分析、好ましくは線形回帰分析を実施するステップとを含む。精液試料中の精子の密度および/またはサイズを、参照(例えば、典型的な精子の寸法および/もしくは密度についての教科書中の参照、および/または対照の精液試料などの参照試料)と比較することにより、非典型的な精子の密度および/またはサイズの同定が可能となる。
一部の実施形態では、上記方法は、密度および/またはサイズの変化において現れる精子形態の同定における使用のための方法である。このような方法は、(i)精液試料中の精子の密度および/またはサイズを参照と比較するステップと、(ii)精液試料中の非典型的な精子の密度および/またはサイズの同定とを含みうる。
一部の実施形態では、精液試料中の精子粒子を特徴付ける方法であって、(a)精液試料中の粒子を、ディスク遠心分離により分離するステップと、(b)粒子検出器を用いて粒子を検出するステップと、(c)粒子サイズ分布を測定するステップと、(d)i.単一モードのサイズ分布の存在に基づき、非凝集精子粒子の存在または非存在を同定し、かつ/またはii.多モードのサイズ分布の存在に基づき、凝集精子粒子の存在または非存在を同定し、ならびに/あるいはiii.非凝集精子粒子を含む試料について、サイズ分布の最大重量および/もしくはサイズ分布の積分重量を決定するか、またはiv.凝集精子粒子を含む試料について、サイズ分布の積分重量を決定するステップと、v.試料についてのサイズ分布の最大重量を、参照のサイズ分布の最大重量と比較するか、またはvi.試料についてのサイズ分布の積分重量を、参照のサイズ分布の積分重量と比較し、これにより、試料中のウイルス粒子を定量化するステップと、場合により、(A)精子粒子のサイズの変動および/または精子粒子の密度の変動を測定するステップと、(B)前記精子粒子のサイズの変動および/または精子粒子の密度の変動を、参照の精子粒子のサイズの変動および/または精子粒子の密度の変動と比較し、これにより、試料中の均質でない精子集団の存在または非存在を同定するステップとを含む方法が提供される。
一部の実施形態では、密度および/またはサイズの変化において現れる精子形態を、ディスク遠心分離機を用いて同定する方法であって、a.精液試料中の精子粒子の沈降速度を測定するステップと、b.精液試料中の精子粒子の沈降速度を、沈降速度が公知である参照の沈降速度と比較するステップと、c.精液試料中の精子粒子の観察された沈降速度が、精液試料中の精子粒子の、参照に基づき予測される沈降速度と異なるのかどうかを同定するステップとを含む方法が提供される。
一部の実施形態では、生物学的試料中の異常な粒子サイズ、異常な粒子密度、および/または異常な粒子量を、ディスク遠心分離機を用いて同定する方法であって、a.生物学的試料の粒子サイズ分布を測定するステップと、b.生物学的試料の粒子サイズ分布を、対照の粒子サイズ分布と比較するステップと、c.生物学的試料中の粒子の粒子サイズ分布が、対照試料の粒子サイズ分布と異なるのかどうかを同定するステップと、d.生物学的試料が、対照と比較して、異常に高レベルの粒子を含有するのか、異常に低レベルの粒子を含有するのか、正常レベルの粒子を含有するのかを決定するステップとを含む方法が提供される。生物学的試料は、精子試料、血液試料、または唾液試料であることが好ましい。
密度および/またはサイズの変化において現れる精子形態もまた、ディスク遠心分離機を用いて、精液試料中の精子粒子の沈降速度を、沈降速度が公知である参照(例えば、対照の精液試料)の沈降速度と比較し、精液試料中の精子粒子の観察された沈降速度が、精液試料中の精子粒子の、参照に基づき予測される沈降速度と異なるのかどうかを同定することにより決定することができる。
本発明はまた、本発明の方法による使用のためのディスク遠心分離機も提供する。
試料
試料は、ディスク遠心分離機へと導入される。典型的に、試料は、定量化されるべきウイルス粒子を含む。試料中のウイルス粒子濃度は、典型的に未知である。ウイルス粒子は、凝集していない(単量体)場合もあり、かつ/または凝集している場合もある。一部の実施形態ではまた、試料が、ウイルス粒子に加えて、無傷の細胞、細胞破砕物、ならびに/または可溶性タンパク質およびDNAなど、他の細胞構成物質など、細胞の構成要素も含む。無傷の細胞および細胞破砕物は、感染後における細胞培養培地中に存在する可能性があり、細胞の細胞内内容物は、例えば、ウイルス感染後における自発的な細胞溶解に起因して、培地へと放出されうる。加えて、試料は、他の物質、例えば、細胞基質またはそれらの残留物、細胞性核酸(例えば、DNA)、卵タンパク質なども含有しうる。ウイルスがインフルエンザウイルスである場合、試料は、ウイルスタンパク質、例えば、NS1、PB−1−F2、ヘマグルチニン、ノイラミニダーゼ、マトリックスタンパク質(M1および/またはM2)、リボ核タンパク質、核タンパク質、ポリメラーゼ複合体(PB1、PB2、PA)、またはそのサブユニット、核外搬出タンパク質などを含みうる。ウイルスタンパク質は、凝集していない場合もあり、かつ/または凝集している場合もある。インフルエンザウイルスタンパク質の凝集体は典型的に、マトリックスタンパク質、例えば、ヘマグルチニン−マトリックスタンパク質の凝集体などを含む。試料はまた、非生物学的粒子も含む。
本発明の方法はまた、例えば、試料にウイルスによる汚染が疑われる場合に、試料中のウイルス粒子の可能性のある存在を検出および/または定量化するためにも有用である。このような場合、試料は、ウイルス粒子を含まない可能性がある、すなわち、ウイルスによる汚染を疑われる試料は、汚染されていない。
本発明の方法はまた、ウイルス試料中の微生物汚染、例えば、汚染する細菌、酵母、真菌などの可能性のある存在を検出および/または定量化するためにも有用である。直径が1μm以上の粒子の検出は、試料の微生物汚染を示しうる。また、微生物粒子とウイルス粒子とのサイズの差異も、単一の粒子サイズ分布からのウイルスの決定を可能とし、場合により、単一の粒子サイズ分布からの微生物粒子の決定を可能とすることが典型的である。試料中の非ウイルス粒子の定量化は、本明細書で記載される検出法を用いて達成することができる。試料に微生物による汚染が疑われる場合、このような汚染の確認は、異なる時間、例えば、0.25、0.5、0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間またはそれより長い時間を隔てた時点において採取される試料の粒子サイズ分布を測定および比較することにより達成することができる。試料が成長する非ウイルス微生物の集団で汚染されている場合、後者の試料から得られる粒子サイズ分布は、直径が1μm以上の粒子量の相対的増大を示すことが典型的である。
試料がウイルス粒子を含む場合は、試料が、1ml当たり少なくとも1E07コピーの保護ウイルス、例えば、1ml当たり約1E08、1E09、1E10、1E11、1E12、1E13、1E14、1E15、1E16、1E17コピーなどの保護ウイルス(すなわち、試料1ml当たりの無傷のウイルス粒子)を含むことが好ましい。1ml当たりの保護ウイルスのコピー数は、例えば、qRT−PCRなど、当技術分野で公知の方法を用いて決定することができる。試料がウイルス粒子を含む場合、本発明の方法の検出閾値は、1ml当たり約5E09コピーの保護ウイルスであるので、試料は、1ml当たり少なくとも5E09コピーの保護ウイルスを含むことが最も好ましい。したがって、例えば、1ml当たりの保護ウイルスが5E09コピーより少ない場合は、濃縮が有用でありうる。
一部の実施形態では、試料が「バルク材料」のアリコートである。したがって、このような場合には、試料中のウイルスの濃度が、バルク材料中の濃度を表す。典型的に、試料の体積は、バルク材料の体積より小さい。
バルク材料は典型的に、ウイルスの作製、例えば、実験室規模または産業規模のウイルスの作製に由来するウイルス材料を含む。バルク材料は、未加工の場合もあり、1または複数の下流の加工ステップ、例えば、収集、限外濾過および透析濾過、クロマトグラフィーによる精製、密度勾配による精製などを経ている場合もある。
本発明の一部の実施形態では、試料が、同様に粒子サイズ、密度、量などを決定することが有用な、他の生物学的粒子を含む。このような生物学的試料には、例えば、精液、唾液、尿などが含まれる。このような身体的情報は、例えば、このような生物学的粒子の生物学的機能(または機能異常)を決定するために用いることができる。このような身体的情報はまた、生物学的試料が、例えば、異常に高い微粒子レベルまたは異常に低い微粒子レベルを含有するのかどうかを同定するのにも用いることができる。「異常に高い」レベルは、被験生物学的試料中に通常存在しない粒子(例えば、血液試料または尿試料中の細菌粒子)が単に存在することを包含する。試料中の異常に高い微粒子レベルは、疾患状態、例えば、腎疾患を表しうる尿円柱を示しうる。試料中の異常に低い微粒子レベルもまた、疾患状態を示しうる(例えば、低レベルの網状赤血球は、貧血を示しうる)。
生物学的試料が精液試料である場合は、本発明の方法を、例えば、試料の精子カウントが大きいのか、小さいのか、もしくは平均的であるのか、かつ/または試料に、密度の変化もしくは精子の不均質において現れる精子形態(精子の粒子サイズの変動が大きいこと、および/または密度の変動が大きいことを特徴とする)などが見られるのかどうかを決定することにより、例えば、受精能研究に用いることができる。したがって、本発明はまた、ディスク遠心分離機を用いて、試料中の精子細胞を定量化するための方法も提供する。精子細胞は、幅が約5μmで、長さが約50μmであるので、それらの粒子サイズ分布は、例えば、試料中のウイルス粒子(これらは大幅に小さい)から容易に識別可能である。したがって、試料中の精子粒子の定量化は、試料がウイルス粒子も含む場合にも実施することができ、試料がウイルス粒子を含まない場合にも実施することができる。正確な測定を確保するためには、試料中の粒子濃度に応じて、ディスク遠心分離による解析の前に試料を希釈または濃縮することが必要でありうる。濃度が高過ぎると、沈殿の不安定性および分解能の低下が引き起こされる。試料は、固体含量0.5%未満まで希釈し、多くの場合、固体含量0.1%未満まで希釈することが典型的である。必要とされる希釈は、粒子分布の平均的なサイズ、粒子の屈折率、および粒子サイズ分布幅(または分散度)に依存する。粒子サイズ分布は、粒子の重量(y)に対する粒子サイズ(x)として表されることが典型的である。粒子サイズおよび/または粒子の重量は、絶対的な場合もあり、相対的な場合もある。広範囲にわたる粒子サイズを含有する広い粒子サイズ分布では、解析時に粒子が拡散して、任意の所与の時点に試料中の粒子の総重量のうちの小さな割合しか検出されなくなるため、狭い分布の場合より少ない希釈が必要とされる。粒子分布のピークが少数で狭い試料は、固体含量が0.1%を下回るまで希釈する必要がありうる。これは、遠心分離時に、各ピーク内の粒子がその程度まで拡散しないと、試料中の完全な粒子のうちの大きな割合が、光線の経路内に一度に存在しうるためである。屈折率の大きな粒子を含む試料は通例、濃度が等しくても濁度が大きくなるため、屈折率の小さな粒子を含む試料より多くの希釈を必要とする。一実施形態では、希釈は、試料をディスク遠心分離機へと導入する前に行う、例えば、希釈は、試料をディスク遠心分離機へと導入するのに用いられるシリンジ内で行う。
希釈剤は、バッファーであることが好ましい。希釈剤はまた、水または「CDM」(既知組成培地)などの細胞成長培地でもありうる。代替的に、希釈剤は、上記のうちの2つまたは3つの組合せを含みうる。希釈剤として用いられる典型的なバッファーには、例えば、リン酸緩衝食塩水、炭酸水素ナトリウム、シトレート、トリス緩衝食塩水、アミノ−メチル−プロパンジオール、シトレート−ホスフェート、ジエタノールアミン、リン酸ナトリウム、トリス緩衝食塩水、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム食塩水、グリシン−HCl、酢酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPSO)、イミダゾール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール(ビス−トリス)、1,3−ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン(ビス−トリスプロパン)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、4−(N−モルホリノ)ブタンスルホン酸(MOBS)などが含まれる。バッファーは、リン酸バッファー、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウムなどであることが好ましい。各バッファーの濃度は、試料に応じて最適化することができ、0〜2Mの間、例えば、約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、120mM、140mM、160mM、180mM、200mM、220mM、240mM、260mM、280mM、300mMなどであることが典型的である。バッファーの濃度は、約50mM、すなわち、30〜70mMの間、好ましくは40mM〜60mMの間、より好ましくは45mM〜55mMの間であることが好ましい。
また、希釈剤のpHも変化させて、試料との適合性を維持することができる。典型的に、希釈剤のpHは、pH3〜pH11の間である。pHは、pH5〜pH9の間、例えば、約pH5、6、7、8、または9であることが好ましい。pHは、pH6〜pH8の間(例えば、pH7、pH7.5、またはpH8)であることがより好ましい。
試料中のウイルス粒子の濃縮は、先行技術における任意の適切な方法を用いて、例えば、限外濾過膜の使用、試料の蒸発などを介して達成することができる。
したがって、試料は、バルク材料と比べて濃縮されている場合もあり、希釈されている場合もある。このような場合には、希釈係数または濃縮係数を考慮に入れ、試料中のウイルス粒子濃度を用いて、バルク材料中のウイルス粒子濃度を逆算することができる。
ウイルスの凝集
ウイルス粒子は一般に、単量体、「凝集していない」粒子として存在する。ウイルス粒子はまた、凝集体も形成しうる。凝集体は、ウイルス粒子だけを含む場合(すなわち、2つ以上のウイルス粒子)もあり、他の物質、例えば、無傷の細胞、細胞破砕物または細胞断片など、細胞の構成要素を含む場合(すなわち、他の物質へと付着した1または複数のウイルス粒子)もある。これらは、凝集粒子、ウイルス凝集体、凝集ウイルス、またはウイルス性凝集体と様々に称する。ウイルス凝集体のサイズおよび質量は、単量体の非凝集ウイルス粒子のサイズおよび質量より大きい。
本発明の方法は、凝集ウイルス粒子および/または非凝集ウイルス粒子を含有する試料へと適用することができる。本発明の方法は、特異的相互作用によるのであれ、非特異的相互作用によるのであれ、凝集体がどのようにして形成されるのかに関わらず用いることができる。凝集は、ウイルスの固有の特性でありうる。凝集は、ある特定の状況下で生じる一般的な非特異的イベントとして好適でありうる。例えば、流体内のウイルス濃度が上昇すると、粒子間におけるランダムな衝突の機会の増大に起因して、非特異的凝集体の形成がもたらされうる。温度もまた、ウイルスの凝集に影響しうる。
ウイルス含有流体中にある特定の成分が存在すると、ウイルスの凝集を引き起こす可能性がある。例えば、亜鉛またはマンガンなどの成分は、インフルエンザウイルスの凝集を誘導しうる。宿主細胞タンパク質、例えば、ウイルスの複製およびアセンブリーに関与するタンパク質は、自発的な細胞溶解に起因して培地へと放出される可能性があり、また、ウイルスの凝集を誘導する一因ともなりうる。
ウイルスの精製における一部のステップはまた、ウイルスの凝集も促進しうる。例えば、ヌクレアーゼを用いて、試料中に存在する核酸を分解させることができる。これらの酵素は、凝集を誘導しうるマグネシウムなどの元素を要求することが多い。例えば、ホルムアルデヒドは、ウイルスを不活化するのに用いられることが多いが、また、ウイルスの凝集も引き起こしうる。限外濾過は、精製プロセスの早期においてウイルスを濃縮するのに頻繁に用いられ、また、凝集の増大ももたらしうる。
ディスク遠心分離
ディスク遠心分離は、粒子サイズ分布の迅速な決定を可能とする(3〜15分間以内であることが典型的)。ディスク遠心分離は、直径約2nm〜約80μmの間の粒子を解析し、100ng未満まで秤量することが可能である。ディスク遠心分離は、サイズの差が約2%というわずかな差の粒子を分解しうる。ディスク遠心分離は、例えば、化学物質、医薬(例えば、薬物送達用粒子、診断用粒子、細胞破壊のモニタリング、タンパク質クラスター、リポソーム、マイクロカプセル化された薬物)、半導体、印刷および塗装、ナノ粒子開発など、広範囲にわたる適用において用いられる。先行技術では、ディスク遠心分離を用いて試料中のウイルス粒子を定量化しうることが開示されていない。小型粒子サイズ分布に対するディスク遠心分離の適用可能性から、試料中の凝集しないウイルス粒子および/または凝集するウイルス粒子の存在の決定(しかし、定量化ではない)におけるその使用がもたらされている(例えば、参考文献1を参照されたい)。ナノ粒子(しかし、ウイルス粒子ではない)についての研究は、粒子サイズ分布には、相対データおよび定量データをもたらす可能性があることを見出した(参考文献2を参照されたい)。
ディスク遠心分離による粒子の分離は、試料中の粒子の異なる沈殿速度に基づく。沈殿率は、重力場の強さ(すなわち、遠心分離機ディスクの回転速度)、粒子間の密度差、分離流体の粘性、粒子形状および粒子サイズによって異なる。ストークスの法則に従い、粒子は、重力場の下で(分離)流体中を沈降し、沈殿速度は、粒子直径の二乗に比例して増大する。分離流体を通る粒子の沈降は、それらが検出器を通過するときに検出する。したがって、サイズおよび密度の大きな粒子の沈降速度は大きく、したがって、サイズおよび密度の小さな粒子より速く検出器に達する。粒子の注入と検出との間の時間は、沈降速度を計算することを可能とし、この沈降速度は、粒子サイズと相関しうる。
分離流体は、密度勾配を含むことが好ましい。密度勾配は、ストリーミング効果を伴わない粒子の安定的な沈殿を可能とする。密度勾配は、広い重複ピークを発生させるのではなくて、粒子サイズの狭いバンドの各々について分離したピークを伴う、より高い分解能を可能とする。当技術分野では、密度勾配の作製法が周知であり、手作業で実施することもでき、自動で実施することもできる。
密度勾配は、スクロース、デキストラン、NaBr、Ficoll(親水性の多糖)、セシウム塩、例えば、CsCl、CsSO、ギ酸Csなど、可溶性物質の任意の適切な組合せを含みうる。密度勾配は、水ベース(水性)であることが典型的であるが、有機物質、例えば、トルエンおよびメチルエチルケトン(MEK)、炭化水素油、ポリメタクリル酸メチル、N−プロパノールおよび/またはN−ブタノールの場合もある。密度勾配内の濃度勾配は変化しうるが、試料中の粒子の分離を最適化するように、例えば、2〜8%、4〜12%、8〜24%、14〜20%、20〜80%、31〜37%、または51〜57%(w/v)で日常的に調整することができる。密度勾配内の濃度下限は、0〜10%の間であることが典型的であり、濃度上限は、5〜30%の間であることが典型的である。濃度下限と濃度上限との間には、2〜5倍の間の差が存在することが典型的である。密度勾配内への標的粒子の捕捉を回避するために、検出点における密度勾配の密度は、標的粒子の密度より小さくすることが典型的である。
水ベースの勾配は、スクロースおよび/またはデキストラン、好ましくは、スクロースを含むことが典型的である。密度勾配は、光学的に透明であることが好ましい。
試料中の粒子が沈殿時に凝固しないことを確保する一助とするために、密度勾配は、場合により、界面活性剤をさらに含む。界面活性剤は、例えば、アニオン性の場合もあり、カチオン性の場合もあり、非イオン性の場合もあり、両性イオン性の場合もある。用いられる界面活性剤の種類は、試料に依存しうる。界面活性剤はまた、試料中にも存在させることができる。
界面活性剤の濃度は、0〜1%の間(w/v)、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、または2%(w/v)であることが典型的である。界面活性剤の濃度は、0.02〜0.08%(w/v)、例えば、0.05%(w/v)であることが好ましい。
アニオン性界面活性剤には、例えば、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、カルボキシレート、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルアリールエーテルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、脂肪酸塩、ステアリン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ペルフルオロノナノエートなどが含まれる。
カチオン性界面活性剤には、例えば、一級アミン、二級アミン、または三級アミン、オクテニジンジヒドロクロリド、四級アンモニウムカチオン、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、ポリエトキシ化獣脂アミン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミドなどが含まれる。
非イオン性界面活性剤には、例えば、セチルアルコール、ステアロイルアルコール、セトステアロイルアルコール、オレイルアルコール、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル、Triton X−100、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、ノノキシノール−9、グリセロールアルキルエステル、ラウリン酸グリセリル、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ポリソルベート、ソルビタンアルキルエステル、コカミドMEA、コカミドDEA、ドデシルジメチルアミンオキシド、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロックコポリマーなどが含まれる。
両性イオン性界面活性剤には、例えば、Zwittergent 3−10、Zwittergent 3−12、Zwittergent 3−14、Zwittergent 3−16、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、アミノ酸、イミノ酸、コカミドプロピルベタイン、レシチンなどが含まれる。
粒子と密度勾配流体との間には通例、屈折率の差異が存在するであろう。屈折率が正確に同じであり、粒子による光吸収が見られない場合、屈折率が密度勾配と等しい粒子は、光を散乱させないので、粒子は「見えなく」なる。大半の固体物質の屈折率は、大半の流体より大きいので、これが本発明の方法に重要となる可能性は低い。
ディスク遠心分離機は、蒸発防止カバーを含むことが典型的である。場合により、例えば、ドデカン、テトラデカン、鉱油などのさらなる薬剤を用いて、分離流体の蒸発を制限する。蒸発防止カバーの使用および/またはこのようなさらなる薬剤の添加は、分離流体の蒸発および劣化を最小化するので、その完全性を維持しうる。蒸発防止カバーはまた、流体に対する空気の運動に由来する流体表面上の抵抗も消失させる。
分離流体は場合により、例えば、ウイルス粒子の分解、破壊、または脱水を最小化するために、例えば、塩および/またはバッファーもさらに含む。
分離流体が塩を含む場合、1または複数の塩を変化させて、試料との適合性を維持することができる。本明細書で記載される通り、分離流体への塩の添加は、ウイルス粒子の凝集を最小化または防止しうる。分離流体において用いられる典型的な塩には、例えば、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム、および/または塩化マグネシウムなどが含まれる。分離流体中では、他の塩も用いることができる。1または複数の塩を用いる場合は、塩化ナトリウムが好ましい。塩濃度は、分離流体および試料に応じて最適化することができる。分離流体中の各塩の濃度は、0〜1Mの間、例えば、20mM、40mM、60mM、80mM、100mM、120mM、140mM、160mM、180mM、200mM、220mM、240mM、260mM、280mM、300mMなどであることが典型的である。塩濃度は、100mM〜140mMの間、例えば、110mM〜130mMの間、好ましくは115mM〜125mMの間、最も好ましくは120mMであることが好ましい。
分離流体がバッファーを含む場合はまた、バッファーも変化させて、試料との適合性を維持することができる。分離流体において用いられる典型的なバッファーには、例えば、リン酸緩衝食塩水、炭酸水素ナトリウム、シトレート、トリス緩衝食塩水、アミノ−メチル−プロパンジオール、シトレート−ホスフェート、ジエタノールアミン、リン酸ナトリウム、トリス緩衝食塩水、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム食塩水、グリシン−HCl、酢酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPSO)、イミダゾール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール(ビス−トリス)、1,3−ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン(ビス−トリスプロパン)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、4−(N−モルホリノ)ブタンスルホン酸(MOBS)などが含まれる。バッファーは、リン酸バッファー、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウムなどであることが好ましい。分離流体中の各バッファーの濃度は、0〜2Mの間、例えば、約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、120mM、140mM、160mM、180mM、200mM、220mM、240mM、260mM、280mM、300mMなどであることが典型的である。バッファーの濃度は、30〜70mMの間、より好ましくは40mM〜60mMの間、最も好ましくは45mM〜55mMの間、例えば、50mMであることが好ましい。
また、分離流体のpHも変化させて、試料との適合性を維持することができる。pHは、分離流体全体で同じであることが典型的である。分離流体のpHは、pH3〜pH11の間であることが典型的である。pHは、pH5〜pH9の間、例えば、pH5、6、7、8、または9であることが好ましい。pHは、pH6〜pH8の間(例えば、pH7、pH7.5、またはpH8)であることがより好ましい。代替的に、分離流体全体にpH勾配を存在させることもできる。
分離流体は、回転ディスクへと導入することが典型的である。標的の回転速度は、ディスク遠心分離機が設定される回転速度である。例えば、ディスクの回転速度が標的の回転速度へと加速化されるか、または標的の回転速度から減速される場合、本発明の方法における実際のディスクの回転速度は、標的の回転速度と異なる可能性がある。標的のディスクの回転速度は、約15000、16000、17000、18000、19000、20000、21000、21000、23000、24000、25000、26000、27000、28000、29000、30000RPM以上でありうる。密度勾配の直線化を可能とすることが典型的である。これは、一般に好ましくないが、標的のディスクの回転速度もまた変化させることができる。代替法として述べると、分離流体を、回転していないディスクへと導入した後、前述の標的回転速度のうちのいずれかでディスクを回転させることもできる。分離流体は、ディスクが標的の回転速度で回転しているときにディスクへと導入することもでき、標的の回転速度未満で回転しているときにディスクへと導入することもでき、標的の回転速度を超えて回転しているときにディスクへと導入することもできる。分離流体は、試料を添加する前のある時間にわたり、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60分間などにわたり回転させることが典型的である。分離流体が密度勾配を含む場合、試料を導入する前に密度勾配の直線化を可能とすることが典型的である。
ディスクが回転しているとき、試料は、ディスクの中央部へと挿入することが典型的である。代替法として述べると、ディスクが回転していないとき、試料をディスクの中央部へと挿入する。代替法として述べると、試料は、ディスクの中央部とディスクの外縁部との間に導入する。試料中の一部の粒子は、分離流体より密度が小さいので、通常、「底面」(すなわち、相対密度が最も大きくなるディスクの表面であって、回転軸から最も遠く、また、これと平行でもあるディスクの表面であることが典型的な表面)へと沈降する代わりに、流体「表面」(すなわち、相対密度が最も小さいディスクの表面であって、回転軸に最も近く、また、これと平行でもあるディスクの表面であることが典型的な表面)へと沈殿する。密度の低い試料を、流体表面ではなくて、遠心分離機チャンバーの底面へと送達する技法が開発されている(参考文献3を参照されたい)。これらの密度の低い粒子もまた、ストークスの法則に従い沈殿するが、負の方向(上方)に(すなわち、流体表面へと)沈殿する。
試料は、他の方法もまた用いうるが、例えば、シリンジを用いる注入によりディスクへと導入することが典型的である。シリンジは、例えば、「Hamiltonシリンジ」(Hamilton Company製)、「BDシリンジ」(Beckton,Dickinson and Company製)などでありうる。試料のディスクへの導入は、例えば、試料のディスクへの自動注入を実施するようにプログラムされうる「オートサンプラー」または「オートインジェクター」を用いることにより自動化することができる。オートサンプラーは、試料をバイアルからオートサンプラーのバイアルトレーへと移動させる。オートインジェクター(例えば、CPS Instruments製)は、試料をあらかじめ充填された多数(典型的には20)のシリンジを保持するカルーセルを含む。
粒子を分離するために、ディスクは、一定の標的速度、例えば、約15000、16000、17000、18000、19000、20000、21000、21000、23000、24000、25000、26000、27000、28000、29000、30000RPM以上で回転させることが典型的である。また、より速いディスクの標的回転速度も、本発明と共に用いることができる。ディスクの標的回転速度は、試料に応じて最適化することができる。粒子の分離時にはまた、1または複数のディスクの標的回転速度を変化させることもできる。試料は、ディスクが標的の回転速度で回転しているときに挿入することもでき、標的の回転速度未満で回転しているときに挿入することもでき、標的の回転速度を超えて回転しているときに挿入することもできる。粒子サイズ分布が広い試料では、ディスクに、密度勾配を破壊することなく解析時のディスクの速度を変化させる特製の速度ランピングインサート(CPS Instruments)を装備することができる。これらの速度ランピングインサートは、解析時のディスクの速度を、低速度(例えば、約600RPM)から高速度(例えば、約24000RPM)へと増大させる(勾配づける)ので、実用的なダイナミックレンジを約70から約1000へと増大させる。
分離流体を介する粒子の沈降は、それらが検出器を通過するときに検出する。粒子の検出は、光学的検出であるかまたはX線を用いることが典型的である。検出にX線を用いる場合は、低感応性のX線を用いることが好ましい。光学的検出は、ミー理論による光散乱補正を伴うことが典型的である。光学的検出を用いるディスク遠心分離機は、ディスク遠心分離機光沈降速度計と呼ばれる。X線を用いるディスク遠心分離機は、X線ディスク遠心分離機と呼ばれる。
粒子の検出は、光学的であることが好ましい。検出は、ある特定の1または複数の波長における光吸収により実施することが好ましい。本発明による使用のために好ましい粒子の検出波長は、185〜750nmの範囲である。粒子の検出波長は、185〜400nm(例えば、254)、185〜280、250〜290、280〜315、315〜400、380〜750、380〜450(例えば、405)、450〜475、476〜495、495〜570、570〜590、590〜620、620〜750nmの間であることが好ましい。この光度測定は、ベール−ランバートの法則に基づく。検出器は、ディスクの中央部からある一定の距離に配置する。各サイズでの粒子濃度は、検出器を通過するときの流体の濁度を連続的に測定することにより決定する、すなわち、検出器を通過する粒子濃度が大きいほど、より多くの光が吸収される。検出器を通過する粒子の重量は、光の回折についてのミー理論およびストークスの法則を適用することにより、公知の粒子の密度から計算することができる。必要とされる場合は、重量分布を、表面積または数の分布へと変換する。
一部の実施形態では、粒子の検出が、粒子に結合し、粒子自体より容易に検出可能な(1または複数の)化合物の使用を伴う。例えば、粒子がウイルス粒子である場合、このような化合物を、例えば、ウイルスDNAおよび/またはウイルスタンパク質へと結合させることができるので、ウイルス粒子を検出する一助とすることができる。このような化合物を用いて、試料中の(1または複数の)低濃度の粒子の検出を改善する一助とすることが典型的である。試料が、(a)1または複数の目的の粒子集団(例えば、ウイルス粒子)、および(b)1または複数の非標的粒子集団であって、標的粒子と同様のレオロジー特性を有するが、(1または複数の)化合物には結合しない集団を含有する場合はまた、(1または複数の)化合物を用いて、試料中の標的粒子を検出する一助とすることもできる。当技術分野では、このような(1または複数の)化合物が公知であり、例えば、タンパク質特異的抗体、DNA特異的プローブ、Hoechst(ビスベンズイミド)色素、Quant−iT PicoGreen試薬(Molecular Probes)、YO−PRO−1(Molecular Probes)、フルオレセイン色素、例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、イソチオシアン酸テトラメチルローダミン(TRITC)、酢酸アミノメチルクマリン(AMCA)など、染料または色素の使用を伴うことが典型的である。このような(1または複数の)化合物には、(1または複数の)蛍光標識、および/または(1または複数の)生物発光標識などが含まれる。このような化合物は、ディスク遠心分離による解析の前に、試料へと添加することが典型的であり、例えば、(1または複数の)生物学的分子と(1または複数の)化合物との結合を可能とするインキュベーション時間を解析の前に必要とし得る。粒子の検出を改善する一助となる(1または複数の)化合物の使用を伴う本発明の方法はまた、化合物を検出するのに適する検出器の使用も必要とすることが典型的である。例えば、化合物が蛍光標識を含む場合、検出器は、蛍光検出器、好ましくはフィルター蛍光光度計または蛍光分光計であることが好ましい。蛍光検出器は、単一チャネル型の場合もあり、多重チャネル型の場合もある。本発明が蛍光標識の使用を伴う場合、本発明はまた、例えば、レーザー、光ダイオード、ランプ、キセノンアーク、水銀灯など、励起供給源の使用も伴うことが典型的である。(1または複数の)フルオロフォアの励起および共時的な発光の検出に適する波長は、容易に決定することができる。
例えば、一部の実施形態では、本発明は、DNA会合粒子、例えば、ウイルス粒子を検出するための蛍光検出器と組み合わせた(1または複数の)DNA特異的色素、例えば、PicoGreenの使用を伴う。同様に、一部の実施形態では、本発明は、タンパク質会合粒子、例えば、ウイルス粒子を検出するための蛍光検出器と組み合わせた(1または複数の)タンパク質特異的色素、例えば、FITCの使用も伴う。
生物学的分子に対する特異性を増強させ、検出可能な標識を含む(1または複数の)化合物の使用は、試料中の非ウイルス粒子(例えば、微生物汚染)の可能性のある存在を検出および/または定量化するための方法に好ましい。
大半の粒子分布解析は、例えば、「CPS ソフトウェア」(CPS Instruments)であるがこれらに限定されない、特許権のあるソフトウェアにより実施する。粒子分布解析は、特許権のないソフトウェアを用いて実施することもでき、データの手作業による解析またはコンピュータによる解析を介して実施することもできる。
本発明の方法による使用に有用なディスク遠心分離機は、CPSディスク遠心分離機(CPS Instruments)である。本発明の方法ではまた、他のディスク遠心分離機も用いることができる。
非凝集ウイルス粒子および/または凝集ウイルス粒子の識別
単独の非凝集粒子を含む試料は、単一モードのサイズ分布を提示する(例えば、図1を参照されたい)。したがって、単一モードのサイズ分布の存在は、非凝集粒子の存在を表す。
凝集粒子を含む試料は、多モードのサイズ分布を提示する(例えば、図2を参照されたい)。多モードの試料は、2つ以上のモード、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のモードを含みうる。したがって、多モードのサイズ分布の存在は、凝集ウイルス粒子の存在を表す。
サイズ分布は、単量体のウイルス粒子および/または凝集体(例えば、ウイルス粒子)について予測されることが妥当な近似のサイズ範囲内で測定されることが好ましい。予測される近似のウイルス粒子サイズ範囲内でサイズ分布を測定することにより、非標的粒子(サイズが異なる)の、ウイルス粒子サイズ分布データに対する影響を最小化することが可能である。単量体のウイルス粒子および/または凝集体について予測されるサイズは、例えば、実験により得ることもでき、文献から得ることもできる。代替的に、ウイルス粒子サイズは、本明細書で提示される方法を用いることにより、粒子密度、例えば、浮遊密度から計算することもできる。ウイルス粒子サイズは、例えば、平均粒子サイズまたは粒子サイズの範囲として提示するかまたは得ることができる。
本発明の方法は、粒子サイズ分布特徴に基づき、ウイルス粒子の定量化を可能とする。試料は、非凝集ウイルス粒子だけ、または凝集ウイルス粒子だけを含む必要はない。実際、「凝集」試料は、凝集粒子を含むが、また、非凝集粒子も含む。したがって、凝集粒子を含むと称する試料は、100%の凝集粒子を含む場合もあり、例えば、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%を超えるなどの凝集粒子を含む場合もある。これは、粒子に対応する、サイズ分布における単一モードピークであって、粒子分布内に、例えば、99%、97%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%を超えるなどの粒子を含む単一モードピークの存在により決定することができる。
本発明の方法はまた、例えば、ウイルスタンパク質の凝集体について推定されるサイズ範囲内の多モードのサイズ分布の存在または非存在を検出することにより、試料中の凝集ウイルスタンパク質の可能性のある存在を検出および/または定量化するにも有用である。凝集ウイルスタンパク質のサイズおよび質量は、非凝集ウイルスタンパク質のサイズおよび質量より大きいことが典型的である。一実施形態では、ウイルスタンパク質の凝集体が、ウイルス粒子を含まない。
本発明の方法はまた、例えば、加工ステップが、ウイルスタンパク質の凝集に影響を及ぼすのかどうかを検出するのにも有用である。ウイルスタンパク質の凝集は、例えば、単量体ウイルスタンパク質について予測されるサイズおよび質量を伴う粒子の比率の相対的低下により検出することもでき、かつ/または凝集ウイルスタンパク質について予測されるサイズおよび質量を伴う粒子の比率の上昇により検出することもできる。
サイズ分布の最大重量の決定
サイズ分布の最大重量(すなわち、最大値)は、試料中の、大部分が凝集していない粒子の量と相関する。サイズ分布の最大重量は、例えば、図1上の垂線により示され、また、図5および8によっても示される(「最大値」と表示される)、粒子サイズ分布データ内のピークから決定することができる。サイズ分布の最大重量は、定量化する(例えば、参照と比較することにより)こともでき、相対的に規定することもできる。
サイズ分布の積分重量の決定
サイズ分布の積分重量は、試料中の、大部分が凝集していない粒子の量および/または大部分が凝集している粒子、例えば、ウイルス粒子の量と相関する。サイズ分布の積分重量は、図2の曲線下の影を付した面積により示されるサイズ分布データから決定することができ、また、図5および8の曲線下の影を付した面積により示されるサイズ分布データから決定することもできる(「ピーク積分」と表示される)。サイズ分布の積分重量は、定量化することもできる(例えば、参照と比較することにより)、相対的に規定することもできる。凝集粒子は、複数のモードを引き起こしうるので、積分重量は、近似粒子サイズ範囲内で決定して、非標的凝集体の影響を最小化することが好ましい。凝集体は、複数の単量体粒子、例えば、複数のウイルス粒子を含みうる。例えば、単量体粒子(例えば、ウイルス粒子)について予測されるサイズに、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上を乗じることにより、凝集体サイズの範囲を推定することが可能である。
試料の定量化
定量化は、絶対定量化の場合もあり、相対定量化の場合もある。
ディスク遠心分離機により得られる生データは通例、吸収に対する時間のフォーマットにある。その粒子サイズ分布を参照のサイズ分布と比較することにより、試料中のウイルス粒子を定量化することが可能である。参照は、公知の粒子濃度を有し、試料と同じ様式で解析されることが好ましい。粒子サイズおよび粒子密度が公知の参照を用いて、解析時間を粒子サイズへと変換することができる。参照についての粒子サイズ分布データは、本明細書で記載される方法のうちのいずれかにより得られる。参照中の粒子は、物理的に均質である、例えば、参照中の粒子のうちの少なくとも95%は、サイズおよび/または重量が、平均の±0〜60%、例えば、±1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60%であることが好ましい。
参照は、試料の前に試行されることが典型的である。代替法として述べると、参照は、試料の間で試行することができる。代替法として述べると、参照は、試料の後で試行することができる。代替法として述べると、参照は、試料と同時に試行することができる。例えば、試料が内部較正されるように、参照を試料へと添加する。好ましくは、これらの手法の組合せを用いる、すなわち、参照を試料の前に試行し、かつ、試料の間で試行するか、または参照を試料の間で試行し、かつ、試料の後で試行するか、または参照を試料の前に試行し、かつ、試料の間で試行し、かつ、試料の後で試行する。上記方法をあらかじめ較正してある場合は、参照を試行することが必ずしも必要ではない。上記方法を準備する場合は、試料中のウイルス粒子の正確な定量化を達成しうるように、参照を試行することが典型的に必要である。上記方法をあらかじめ較正してある場合、参照を試行し、精度を増大させることができる。
参照は、非生物学的および/または生物学的粒子を含みうる。
参照中では、例えば、PVC粒子、ポリスチレン粒子、ポリブタジエン粒子、単結晶ダイアモンド粒子、ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリビニリデンクロリド粒子、PVCホモポリマー粒子など、任意の適切な非生物学的粒子を用いることができる。
参照中では、任意の適切な生物学的粒子、例えば、ウイルス粒子を用いることができる。試料がウイルス粒子を含む場合、参照中のウイルス型は、試料中のウイルス型と同じ型であることが好ましい、例えば、参照および試料の両方は、インフルエンザウイルス粒子を含む。参照は、試料中のインフルエンザウイルス粒子と同じ株であるインフルエンザウイルス粒子を含むことが好ましい。代替法として述べると、参照は、2つ以上のウイルス型および/またはウイルス株を含みうる。
参照中の1または複数のウイルスの濃度は、例えば、感染性アッセイ、FFA(fluorescent focus assay)、タンパク質アッセイ、TEM、ELISAアッセイ、qRT−PCRなど、当技術分野で公知のウイルス定量化法のうちのいずれか1つを用いることにより決定することができる。参照中の1または複数のウイルスは、TEMまたはqRT−PCRを用いて定量化することが好ましい。
粒子サイズ分布は、粒子濃度の関数であるので、粒子サイズ分布の最大重量および/または積分重量を粒子濃度と相関させることができる。非凝集粒子では、サイズ分布の最大重量および/または積分重量が、粒子濃度と相関する。凝集粒子の場合、サイズ分布の積分重量が、粒子濃度と相関する。この相関を知り、(1または複数の)最大重量および/または(1または複数の)積分重量を、参照の(1または複数の)最大重量および/または(1または複数の)積分重量と比較することにより(すなわち、粒子濃度未知の(1または複数の)試料のサイズ分布特徴を、参照のサイズ分布特徴と比較することにより)、粒子濃度が未知の1または複数の試料中の粒子濃度を計算することが可能である。
また、サイズ分布の最大重量と積分重量との直接的な相関も予測される。凝集粒子の非凝集粒子に対する同じ分解能および比率(異なる濃縮試料のサイズ分布をcf(x)とすると[式中、f(x)は、元のサイズ分布であり、cは、濃度係数である])、サイズ分布の直線性の最大重量および積分重量(総重量)は、
に等しい。
粒子サイズおよび粒子密度はまた、例えば、沈降出発点から検出器までの距離を、保持時間で除することにより、粒子集団の沈殿速度を決定するのにも用いることができる。沈殿速度の決定は、例えば、速度ゾーン遠心分離による粒子集団の調製的分離を可能とし、試料に由来する物質または他の粒子集団に干渉することなく、さらなる解析を可能とする。
このような本発明の方法は、例えば、密度および/またはサイズの変化において現れる精子形態を決定するのに有用である。精液試料中の精子の密度および/またはサイズを、参照(例えば、典型的な精子の寸法および/もしくは密度についての教科書中の参照、および/または対照の精液試料などの参照試料)と比較するステップは、非典型的な精子の密度および/またはサイズの同定を可能とする。
ウイルス
本発明は、エンベロープウイルスおよび非エンベロープウイルスの両方を含めた多様な型のウイルスを定量化するのに有用である。本発明は、RNAゲノム(一本鎖または二本鎖の)を有するウイルスと共に用いることもでき、DNAゲノム(一本鎖または二本鎖の)を有するウイルスと共に用いることもでき、一本鎖ゲノムは、+センス鎖の場合もあり、−センス鎖の場合もある。本発明は、分節化ゲノムを有するウイルスと共に用いることもでき、非分節化ゲノムを有するウイルスと共に用いることもできる。本発明は、カプシド(単一または複数の)を有するウイルスと共に用いることもでき、カプシドを有さないウイルスと共に用いることもできる。したがって、試料は、以下のうちの1または複数を含有しうる。
・オルトミクソウイルス:本発明を用いて、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、またはC型インフルエンザウイルスなどのオルトミクソウイルスを不活化することができる。A型インフルエンザウイルスまたはB型インフルエンザウイルスは、大流行間期(年ごと/季節ごと)株の場合もあり、大流行の発生を引き起こす可能性を伴う株に由来する場合もある(すなわち、現在循環する株におけるヘマグルチニンと比較して新たなヘマグルチニンを伴うインフルエンザ株、または鳥類被験体において病原性であり、ヒト集団にも水平伝播する可能性を有するインフルエンザ株、またはヒトに対して病原性のインフルエンザ株)。特定の季節および株の性質に応じて、A型インフルエンザウイルスは、以下のヘマグルチニン亜型のうちの1または複数:H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16に由来しうる。
・Paramyxoviridae科のウイルス:本発明を用いて、肺炎ウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、およびモルビリウイルス(麻疹)など、Paramyxoviridae科のウイルスを不活化することができる。
・肺炎ウイルス:本発明を用いて、肺炎ウイルスまたはメタニューモウイルス、例えば、RSウイルス(RSV)、ウシRSウイルス、マウスの肺炎ウイルス、およびシチメンチョウ鼻気管炎ウイルスを不活化することができる。肺炎ウイルスは、RSVまたはヒトメタニューモウイルス(HMPV)であることが好ましい。
・パラミクソウイルス:本発明を用いて、1型パラインフルエンザウイルス(PIV)、2型PIV、3型PIV、または4型PIV、ムンプスウイルス、センダイウイルス、5型サルウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス、およびニューカッスル病ウイルスなどのパラミクソウイルスを不活化することができる。パラミクソウイルスは、PIVまたはムンプスウイルスであることが好ましい。
・モルビリウイルス:本発明を用いて、麻疹ウイルスなどのモルビリウイルスを不活化することができる。
・ピコルナウイルス:本発明を用いて、エンテロウイルス、ライノウイルス、へパルナウイルス、カルジオウイルス、およびアフトウイルスなどのピコルナウイルスを不活化することができる。
・エンテロウイルス:本発明を用いて、1型ポリオウイルス、2型ポリオウイルス、または3型ポリオウイルス、A1型コックサッキーウイルス〜A22型コックサッキーウイルス、およびA24型コックサッキーウイルス、B1型コックサッキーウイルス〜B6型コックサッキーウイルス、1型エコーウイルス(ECHOウイルス)〜9型ECHOウイルス、11型ECHOウイルス〜27型ECHOウイルス、および29型ECHOウイルス〜34型ECHOウイルス、ならびに68型エンテロウイルス〜71型エンテロウイルスなどのエンテロウイルスを不活化することができる。エンテロウイルスは、ポリオウイルス、例えば、Mahoney株またはBrunenders株などの1型株、MEF−I株などの2型株、またはSaukett株などの3型株であることが好ましい。
・へパルナウイルス:本発明を用いて、A型肝炎ウイルスなどのへパルナウイルス(また、ヘパトウイルスとも称する)を不活化することができる。
・トガウイルス:本発明を用いて、ルビウイルス、アルファウイルス、またはアルテリウイルスなどのトガウイルスを不活化することができる。風疹ウイルスなどのルビウイルスが好ましい。不活化が有用なアルファウイルスには、サケ膵臓病ウイルスおよび睡眠病ウイルスなどの水生アルファウイルスが含まれる。
・フラビウイルス:本発明を用いて、ダニ媒介性脳炎(TBE)ウイルス、デングウイルス(1型、2型、3型、または4型)、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイル脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、ポワッサン脳炎ウイルスなどのフラビウイルスを不活化することができる。
・C型肝炎ウイルス:本発明を用いて、C型肝炎ウイルス(HCV)を不活化することができる。
・ペスチウイルス:本発明を用いて、ウシウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)、豚コレラウイルス(CSFV)またはボーダー病ウイルス(BDV)などのペスチウイルスを不活化することができる。
・ヘパドナウイルス:本発明を用いて、B型肝炎ウイルスなどのヘパドナウイルスを不活化することができる。
・ラブドウイルス:本発明を用いて、リッサウイルス(例えば、狂犬病ウイルス)およびベシクロウイルス(VSV)などのラブドウイルスを不活化することができる。
・Caliciviridae科:本発明を用いて、ノーウォークウイルス、ならびにハワイウイルスおよびスノーマウンテンウイルスなどのノーウォーク様ウイルス、ならびにブタ水疱疹ウイルスなどのベシウイルスなどのCaliciviridae科を不活化することができる。
・コロナウイルス:本発明を用いて、SARS、ヒト呼吸器コロナウイルス、ニワトリ伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、およびブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)などのコロナウイルスを不活化することができる。
・レトロウイルス:本発明を用いて、がんウイルス、レンチウイルス、またはスプマウイルスなどのレトロウイルスを不活化することができる。がんウイルスは、HTLV−1、HTLV−2、またはHTLV−3でありうる。レンチウイルスは、SIV、HIV−1、またはHIV−2でありうる。
・レオウイルス:本発明を用いて、オルトレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、またはコルチウイルスなどのレオウイルスを不活化することができる。
・パルボウイルス:本発明を用いて、B19型パルボウイルスまたはボカウイルスなどのパルボウイルスを不活化することができる。
・他の肝炎ウイルス:本発明を用いて、デルタ型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、またはG型肝炎ウイルスを不活化することができる。
・ヒトヘルペスウイルス:本発明を用いて、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、6型ヒトヘルペスウイルス(HHV6)、7型ヒトヘルペスウイルス(HHV7)、および8型ヒトヘルペスウイルス(HHV8)などのヒトヘルペスウイルスを不活化することができる。
・パポバウイルス:本発明を用いて、パピローマウイルスおよびポリオーマウイルスなどのパポバウイルスを不活化することができる。パピローマウイルスには、HPV血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63、および65が含まれる。
・Adenoviridae科:本発明を用いて、A型ヒトアデノウイルス、B型ヒトアデノウイルス、C型ヒトアデノウイルス、D型ヒトアデノウイルス、E型ヒトアデノウイルス、F型ヒトアデノウイルス、またはG型ヒトアデノウイルスのうちのいずれかを含めたアデノウイルスを不活化することができる。
ウイルスは、意図的に存在させる場合もあり(例えば、ウイルスを成長させた後に、ワクチンを調製するために)、かつ/または汚染物質として存在する場合もある。
ウイルスの作製
ウイルスは、任意の適切な基質上、例えば、細胞系培養物中、初代細胞培養物中、卵内などで増殖させることができる。細胞培養物では、ハムスター細胞、畜牛細胞、霊長動物(ヒトおよびサルを含めた)細胞、およびイヌ細胞など、哺乳動物細胞を用いることが多い。腎細胞、線維芽細胞、網膜細胞、肺細胞など、多様な細胞型を用いることができる。適切なハムスター細胞の例は、BHK21またはHKCCという名称の細胞系である。適切なサル細胞は、例えば、Vero細胞系などの腎細胞などのアフリカミドリザル細胞である(参考文献4〜6を参照されたい)。適切なイヌ細胞は、例えば、CLDK細胞系およびMDCK細胞系などの腎細胞である。したがって、適切な細胞系には、MDCK;CHO;293T;BHK;Vero;MRC−5;PER.C6;WI−38などが含まれるがこれらに限定されない。インフルエンザウイルスを成長させるのに好ましい哺乳動物細胞系には、メイディン−ダービーイヌ腎臓に由来するMDCK細胞(参考文献7〜10を参照されたい);アフリカミドリザル(Cercopithecus aethiops)腎臓に由来するVero細胞(参考文献11〜13を参照されたい);またはヒト胚性網膜芽細胞に由来するPER.C6細胞(参考文献14を参照されたい)が含まれる。これらの細胞系は、例えば、American Type Cell Culture(ATCC)コレクション(参考文献15を参照されたい)、Coriell Cell Repositories(参考文献16を参照されたい)、またはEuropean Collection of Cell Cultures(ECACC)から広く入手可能である。例えば、ATCCは、カタログ番号CCL−81、CCL−81.2、CRL−1586、およびCRL−1587の下で多様な異なるVero細胞を提供しており、カタログ番号CCL−34の下でMDCK細胞を提供している。PER.C6は、ECACCから、寄託番号96022940の下で入手可能である。哺乳動物細胞を用いるほかに、ウイルスは、アヒルに由来する細胞系(例えば、アヒル網膜)またはニワトリに由来する細胞系、例えば、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)などを含めた鳥類細胞または鳥類細胞系において成長させることもできる(例えば、参考文献17〜19を参照されたい)。例には、ニワトリ胚性幹細胞であるEB45、EB14、およびEB14−074(参考文献21を参照されたい)に由来するEBx細胞系を含めた鳥類胚性幹細胞(参考文献17および20を参照されたい)が含まれる。
1つの有用な細胞系は、メイディン−ダービーイヌ腎臓に由来するMDCK(参考文献22〜24を参照されたい)である。元のMDCK細胞系は、ATCCからCCL−34として入手可能である。MDCK細胞の派生細胞もまた用いることができる。例えば、参考文献7は、懸濁培養物中で成長させるために適合させたMDCK細胞系(「MDCK 33016」;DSM ACC 2219として寄託されている)について開示している。同様に、参考文献25は、MDCKに由来する細胞系であって、無血清培養物の懸濁液中で成長させる細胞系(「B−702」;FERM BP−7449として寄託されている)について開示している。参考文献26は、「MDCK−S」(ATCC PTA−6500)、「MDCK−SF101」(ATCC PTA−6501)、「MDCK−SF102」(ATCC PTA−6502)、および「MDCK−SF103」(PTA−6503)を含めた、非腫瘍原性MDCK細胞について開示している。参考文献27は、「MDCK.5F1」細胞 (ATCC CRL−12042)を含めた、感染に対する感受性が高いMDCK細胞系について開示している。これらのMDCK細胞系のうちのいずれかを用いることができる。
ウイルスは、懸濁培養物(例えば、参考文献7、28、および29を参照されたい)中で成長させることもでき、付着培養物中で成長させることもできる。懸濁培養物に適する1つのMDCK細胞系は、MDCK 33016である(DSM ACC 2219として寄託されている)。代替法として述べると、マイクロキャリア培養を用いることができる。
ウイルスは、無血清培養培地中で成長させることもでき、かつ/またはタンパク質非含有培地中で成長させることもできる。本発明の文脈では、培地がヒト由来または動物由来の血清からの添加物を含有しない場合、これを無血清培地と称する。タンパク質非含有とは、細胞の増殖が、タンパク質、成長因子、他のタンパク質添加物および非血清タンパク質を除外して生じるが、場合により、ウイルスの成長に必要でありうるトリプシンまたは他のプロテアーゼなどの外因性タンパク質を含む培養物を意味すると理解される。
一実施形態では、本発明の方法を、ウイルス粒子濃度のリアルタイムのモニタリングに用いる。リアルタイムのモニタリングは、自動式の場合もあり、手作業による場合もある。
本発明はまた、試料中のウイルス粒子の量が、例えば、加工ステップの後における試料中のウイルス粒子の量の減少により示される通り、加工ステップにより減少するのかどうかを決定するにも有用である。加工ステップの前後における試料中のウイルス粒子の量は、絶対的に決定することもでき、相対的に決定することもできる。一部の加工ステップ、とりわけ、それらのサイズに従う粒子の分離、例えば、濾過を伴う加工ステップは、とりわけ、試料が粒子サイズ分布を含む場合、試料中のウイルス粒子の量の減少をもたらしうる。例えば、フィルター内の孔の断面積が、単量体粒子の断面積よりも大きいかそれと同じであるが、凝集粒子の断面積より小さい場合、凝集粒子は、フィルターを通過しないであろう。このような場合、濾液は、供給物(feed)より少ないウイルス粒子を含有するであろう。したがって、試料中のウイルス粒子の量が、加工ステップ、例えば、濾過後にも実質的に同じまま(例えば、濾液中のウイルス粒子が、供給物の少なくとも85、87.5、90、92.5、95、96、97、98、99、99.5、または100%)である場合、これは、試料が、凝集ウイルス粒子を含まないことを示す。これに対し、加工ステップ、例えば、濾過の後における試料中のウイルス粒子の量の減少は、試料中の凝集ウイルス粒子の存在を表す。また、加工ステップの前後における試料中のウイルス粒子の量を比較することにより、加工ステップの前における試料中の単量体:凝集ウイルス粒子の比率を決定することも可能である。一部の実施形態では、加工ステップの前後における粒子サイズ分布を比較するだけで十分でありうる。加工ステップにより凝集ウイルスは除去されるが、分布の変化が見られない場合、元の試料は、凝集ウイルスを含有しなかったと結論することができる。
ウイルスの作製および/またはワクチンの作製はまた、微生物汚染を試料、例えば、ウイルス試料から除去するための1または複数の滅菌濾過ステップも伴いうる。このような場合、本発明はまた、このような(1または複数の)滅菌濾過ステップが成功したのかどうかを決定し、試料が、大きな微生物負荷を含有しない(濾過された試料は微生物汚染を実質的に含まないことが好ましい)ことを確認するにも有用である。上記で論じた通り、直径が1μm以上の粒子の検出は、試料の微生物汚染を示すことが典型的である。したがって、滅菌濾過後における、直径が1μm以上の粒子に対応する粒子サイズ分布の非存在は、濾液が微生物汚染を含有しないことを示す。この方法はまた、(1または複数の)滅菌濾過ステップの効率を決定するのにも用いることができる。
ワクチン
ワクチン組成物は、生ウイルス、不活化ウイルスを用いて調製することもでき、例えば、スプリットワクチンまたは表面抗原ワクチンをインフルエンザウイルスから調製する場合のように、(1または複数の)免疫原性タンパク質をウイルスから精製することにより調製することもできる。
本発明の定量化された材料は、インフルエンザワクチンを調製するのに理想的である。今日では、多様な形態のインフルエンザウイルスワクチンが入手可能であり(例えば、参考文献30の17および18章を参照されたい)、現行のワクチンは、不活化ウイルスまたは生弱毒化ウイルスに基づく。不活化ワクチン(ウイルス全体、スプリットビリオン、または表面抗原)は、筋内注入または皮内注入により投与されるのに対し、生ワクチンは、鼻腔内投与される。本発明は、これらのワクチン形態の全てと共に用いることができる。
本発明の一部の実施形態では、表面抗原(不活化された)インフルエンザワクチンを用いる。このようなワクチンは、スプリットワクチンまたは全ビリオンワクチンより少ないウイルス構成要素を含有する。それらの構成要素には、表面抗原であるヘマグルチニンが含まれ、また、ノイラミニダーゼも含まれることが典型的である。当技術分野では、これらのタンパク質を、インフルエンザウイルスからの精製形態で調製するためのプロセスが周知である。FLUVIRIN(商標)、AGRIPPAL(商標)、およびINFLUVAC(商標)といった製品は、表面抗原インフルエンザワクチンの例である。
本発明で表面抗原インフルエンザワクチンを用いる場合、このウイルスは、卵内または細胞培養物中で成長させておくことができる(上記を参照されたい)。ワクチン用のインフルエンザウイルスを成長させるための現行の標準的な方法では、SPF孵化鶏卵を用い、ウイルスは卵の内容物(尿膜腔液)から精製する。卵ベースのウイルス成長を用いる場合は、1または複数のアミノ酸を、ウイルスと併せて、卵の尿膜腔液へと導入することができる(参考文献36を参照されたい)。ウイルスはまず、卵内で成長させる。次いで、感染させた卵から、ウイルスを収集する。ビリオンは、尿膜腔液から、多様な方法により収集することができる。例えば、精製プロセスは、ビリオンを破壊するための洗浄剤を含む線形スクロース勾配溶液を用いるゾーン遠心分離を伴いうる。次いで、任意選択の希釈の後、透析濾過により抗原を精製することができる。ウイルスを不活化するための化学的手段には、有効量の、以下の薬剤:洗浄剤、ホルムアルデヒド、β−プロピオラクトン、メチレンブルー、ソラーレン、カルボキシフラーレン(C60)、バイナリーエチルアミン、アセチルエチレンイミン、またはこれらの組合せのうちの1または複数による処理が含まれる。当技術分野では、例えば、UV光照射またはガンマ線照射など、ウイルス不活化の非化学的方法が公知である。
本発明の方法を用いて、例えば、ウイルス不活化剤の投与の前後におけるウイルス試料の粒子サイズ分布を比較することにより、ウイルス不活化剤のウイルスの凝集に対する効果を決定しうる。不活化時または不活化の後に誘導される粒子の凝集は、例えば、不活化後濾過の後におけるウイルスの喪失をもたらしうるため、ウイルス不活化剤のウイルス粒子の凝集に対する効果を知ることは有用である。粒子の凝集を誘導しないウイルス不活化剤が典型的に好ましい。
ウイルス粒子を不活化する場合はまた、試料がウイルス粒子の凝集体を含むのかどうかを決定することも有用である。これは、本明細書で記載される本発明の方法により達成することができる。ウイルス不活化剤は、凝集体を透過し、内部のウイルス粒子を不活化することが可能でないので、(1または複数の)ウイルス粒子の凝集体を含む試料が、不活化に対してそれほど感受性でない場合がある。このような場合には、試料が生ウイルス粒子を依然として含有する危険性が存在し、これは、所望されない場合がある。したがって、試料が凝集ウイルス粒子を含む場合は、例えば、より高濃度の不活化剤を用い、侵襲性がより高い不活化剤を用い、不活化剤をより長時間にわたり投与することなどが必要でありうる。本発明の一部の実施形態では、ウイルス全体、スプリットウイルス、ウィロソーム、生弱毒化ウイルス、または組換えヘマグルチニンを用いることができる。これらのワクチンは、例えば、余分なインフルエンザウイルスタンパク質の存在についてそれらの抗原を調べることにより、表面抗原ワクチンから容易に識別することができる。
全不活化ウイルスは、ビリオンをウイルス含有流体から収集することにより得(例えば、卵または培養培地から得)、次いで、それらを上記の通りに処理することができる。
スプリットビリオンは、「Tweenエーテル」による分割プロセスを含め、精製ビリオンを、洗浄剤(例えば、エチルエーテル、ポリソルベート80、デオキシコール酸塩、トリ−N−ブチルホスフェート、Triton X−100、Triton N101、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、Tergitol NP9など)で処理して、サブビリオン調製物を作製することにより得る。当技術分野では、例えば、インフルエンザウイルスを分割する方法が周知である。例えば、参考文献31〜36などを参照されたい。ウイルスの分割は、感染性の場合であれ、非感染性の場合であれ、ウイルス全体を、破壊濃度の分割剤で破壊または断片化することにより実行することが典型的である。破壊は、ウイルスタンパク質の完全または部分的な可溶化を結果としてもたらし、ウイルスの完全性を変化させる。好ましい分割剤は、非イオン性界面活性剤およびイオン性(例えば、カチオン性)界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、アルキルチオグリコシド、アシル糖、スルホベタイン、ベタイン、ポリオキシエチレン−アルキルエーテル、N,N−ジアルキル−グルカミド、Hecameg、アルキルフェノキシ−ポリエトキシエタノール、NP9、四級アンモニウム化合物、サルコシル、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)、トリ−N−ブチルホスフェート、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、リポフェクチン、リポフェクタミン、およびDOT−MA、オクチルフェノキシポリオキシエタノールまたはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えば、Triton X−100またはTriton N101などのTriton界面活性剤)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(Tween界面活性剤)、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンエステルなどである。1つの有用な分割手順では、デオキシコール酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの逐次効果を用い、最初のビリオン精製時に(例えば、スクロース密度勾配溶液中で)分割を起こさせることができる。したがって、分割プロセスは、ビリオン含有材料の清澄化(非ビリオン材料を除去するための)、収集されたビリオンの濃縮(例えば、CaHPO吸着などの吸着法を用いる)、全ビリオンの非ビリオン材料からの分離、密度勾配遠心分離ステップにおいて分割剤を用いるビリオンの分割(例えば、デオキシコール酸ナトリウムなどの分割剤を含有するスクロース勾配を用いる)、および、次いで、所望されない材料を除去する濾過(例えば、限外濾過)を伴いうる。スプリットビリオンは、リン酸ナトリウム緩衝等張性塩化ナトリウム溶液中に再懸濁させると有用である。スプリットワクチンの例は、BEGRIVAC(商標)、INTANZA(商標)、FLUARIX(商標)、FLUZONE(商標)、およびFLUSHIELD(商標)といった製品である。
ウィロソームとは、核酸非含有ウイルス様リポソーム粒子である(参考文献37を参照されたい)。ウィロソームは、ウイルスを洗浄剤で可溶化させた後で、ヌクレオカプシドを除去し、ウイルス糖タンパク質を含有する膜を再構成することにより調製することができる。ウィロソームを調製するための代替的な方法は、ウイルス膜糖タンパク質を過剰量のリン脂質へと添加して、それらの膜内にウイルスタンパク質を伴うリポソームをもたらすステップを伴う。
生弱毒化ウイルスは、ウイルス(卵内または細胞培養物中で成長させた)から得られるが、ウイルスを不活化するわけではない。不活化されるのではなくて、ウイルスは、例えば、ヒトインフルエンザ感染のフェレットモデルにおいてインフルエンザ様の疾病をもたらさないように弱毒化される(「att」)。生弱毒化ウイルスはまた、低温適応(「ca」)株でもありうる、すなわち、生弱毒化ウイルスは、多くの野生型インフルエンザウイルスの複製にとって制約的な温度である25℃で効率的に複製しうる。生弱毒化ウイルスはまた、温度感受性(「ts」)でもありうる、すなわち、多くの野生型インフルエンザウイルスが効率的に成長する温度(37〜39℃)ではその複製が制約される。ca表現型、ts表現型、およびatt表現型の累積効果は、弱毒化ワクチン中のウイルスが、鼻咽頭で複製されて、典型的なヒト患者における防御的免疫は誘導するが疾患は引き起こさない、すなわち、弱毒化ワクチン中のウイルスが標的のヒト集団に対する一般的な投与にとって安全なことである。これらのウイルスは、例えば、遠心分離による流体の清澄化、次いで、バッファー(例えば、スクロース、リン酸カリウム、およびグルタミン酸一ナトリウムを含有する)による安定化の後において、ビリオンを、ビリオン含有流体から精製することにより調製することができる。生ワクチンには、FLUMIST(商標)という製品が含まれる。
ワクチン組成物には通例、それらの抗原に加えて、構成要素を含む、例えば、ワクチン組成物には、(1または複数の)薬学的キャリアおよび/または(1または複数の)賦形剤を含むことが典型的である。このような構成要素についての完全な議論は、参考文献38において利用可能である。ワクチン組成物にはまた、例えば、参考文献39および40において開示されているアジュバント(例えば、1または複数のアルミニウム塩を含むか、またはサブミクロンの水中油エマルジョンを含むアジュバント)も含むことができる。
ワクチン組成物は、特に、投与の時点において水性形態であることが好ましいが、ワクチン組成物はまた、非水性の液体形態または乾燥形態でも存在することが可能であり、例えば、ゼラチンカプセルまたは凍結乾燥物などとしても存在しうる。
ワクチン組成物には、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなど、1または複数の保存剤を含むことができる。水銀非含有組成物が好ましく、保存剤非含有ワクチンも調製することができる。
ワクチン組成物は、例えば、張度を制御するために、ナトリウム塩などの生理学的塩を含むことができる。塩化ナトリウム(NaCl)が典型的であり、1〜20mg/mlの間で存在しうる。存在しうる他の塩には、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム無水物、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが含まれる。
ワクチン組成物の質量オスモル濃度は、200mOsm/kg〜400mOsm/kgの間、例えば、240〜360mOsm/kgの間、または290〜310mOsm/kgの間とすることができる。
ワクチン組成物には、1または複数のバッファーを含むことができる。典型的なバッファーには、リン酸バッファー;トリスバッファー;ホウ酸バッファー;コハク酸バッファー;ヒスチジンバッファー(特に、水酸化アルミニウムアジュバントを伴う);またはクエン酸バッファーが含まれる。バッファーは、5〜20mMの範囲で含まれることが典型的である。
ワクチン組成物のpHは、5.0〜9.5の間、例えば、6.0〜8.0の間であることが典型的である。
ワクチン組成物は、無菌であることが好ましい。
ワクチン組成物は、非発熱性である、例えば、1用量当たり<1EU(内毒素単位、標準的な尺度)を含有し、好ましくは1用量当たり<0.1EUを含有することが好ましい。
ワクチン組成物は、グルテン非含有であることが好ましい。
ワクチン組成物は、洗浄剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(「Tween」として公知の)、オクトキシノール(オクトキシノール−9(Triton X−100)またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノールなど)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(「CTAB」)、またはデオキシコール酸ナトリウムを含むことができる。洗浄剤は、痕跡量でのみ存在しうる。
ワクチン組成物は、単回投与用の材料を含むこともでき、複数回にわたる免疫化のための物質(すなわち、「複数回用量」キット)を含むこともできる。保存剤の含有は、複数回用量のための設定に有用である。複数回用量組成物中への保存剤の含有に対する代替法として(または加えて)は、組成物は、材料を取り出すための滅菌アダプターを有する容器に含有させることができる。
ワクチン組成物は、小児には半用量(すなわち、約0.25ml)を投与しうるが、約0.5mlの用量で投与することが典型的である。
ワクチン組成物は、多様な様式で投与することができる。最も好ましい経路は、筋内注入(例えば、腕部または脚部への注入)であるが、他の利用可能な経路には、皮下注入、鼻腔内、経口、皮内、経皮(transcutaneous、transdermal)なども含まれる。
ワクチン組成物は、動物(および、特に、ヒト)患者への投与に適し、したがって、ヒト使用および獣医科使用の両方を包含する。ワクチン組成物は、患者に免疫応答をもたらす方法であって、組成物を患者へと投与するステップを含む方法において用いることができる。
これらの方法によりもたらされる免疫応答には一般に、抗体応答、好ましくは、防御的抗体応答が含まれる。当技術分野では、ウイルスによるワクチン接種の後における抗体応答、中和能力、および防御を評価するための方法が周知である。インフルエンザウイルスでは、例えば、ヒト研究により、HAに対する抗体力価は、防御と相関することが示されている。
上記で言及した通り、ワクチン組成物は、組成物を施された患者において誘発される免疫応答(体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答)を増強するように機能しうる、1または複数のアジュバントを含むことができる。有用なアジュバントは、1または複数のアルミニウム塩を含みうる。別の有用なアジュバントは、水中油エマルジョンを含みうる。当技術分野では、他の有用なアジュバントも公知である。
水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムとして公知のアジュバントは、単独で用いることもでき、組み合わせて用いることもできる。これらの名称は従来のものであるが、いずれも、存在する実際の化学化合物についての正確な記載ではないので、簡便さだけのために用いられる(例えば、参考文献41の9章を参照されたい)。本発明では、アジュバントとして一般的に用いられる「水酸化物」アジュバントまたは「リン酸塩」アジュバントのうちのいずれも用いることができる。患者へと投与するための組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは5mg/ml未満、例えば、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3〜1mg/mlの間である。1用量当たり最大0.85mgが好ましい。
多様で有用な水中油エマルジョンアジュバントが公知であり、それらには、少なくとも1つの油および少なくとも1つの界面活性剤が含まれ、(1または複数の)油および(1または複数の)界面活性剤は生体分解性(代謝性)で生体適合性であることが典型的である。エマルジョン中の油滴は一般に、直径が1μm未満であり、これらの小さなサイズは、Microfluidizerにより達成され、安定的なエマルジョンをもたらす。液滴は、フィルター滅菌にかけるので、平均直径が<220nmであることが好ましい。有用なアジュバントには、スクアレンおよび/またはポリソルベート80が含まれうる。用いられうる適切なアジュバントには、MF59およびAS03として公知のアジュバントが含まれうる。
ワクチン組成物は、単回用量スケジュールで投与することもでき、複数回用量スケジュールで投与することもできる。複数回用量は、一次免疫化スケジュールにおいて用いることもでき、かつ/または追加免疫化スケジュールにおいて用いることもできる。複数回用量のスケジュールでは、多様な用量を、同じ経路で与えることもでき、または例えば、非経口初回刺激(prime)および粘膜追加刺激(boost)、粘膜初回刺激および非経口追加刺激など、異なる経路で与えることもできる。1よりも多い用量(典型的には2回の用量)の投与は、免疫学的にナイーブな患者において特に有用である。複数回用量は、少なくとも1週間(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)離して投与することが典型的である。
本発明の方法は、生物学的試料(例えば、ウイルス試料)が分割されたのかどうかを決定し、場合により、生物学的試料がどの程度分割されたのかを、例えば、分割の前後における粒子サイズ分布の変化により決定するのに有用である。本発明の方法はまた、分割剤の分割効率および/または生物学的粒子の分割に対する感受性を決定するのにも用いることができる。生物学的粒子を分割する方法は周知であり、上記で略述した。例えば、完全な分割は、生物学的粒子、例えば、ウイルス粒子に対応する粒子ピークの非存在により検出される。部分的な分割および完全な分割は、生物学的粒子、例えば、ウイルス粒子に対応する粒子ピークの減少により検出することができる。分割されていない生物学的粒子は、分割剤による処理後における粒子ピークに対する変化がみられないかまたは最小限であることにより同定される。
本発明の方法はまた、特に、不溶性アジュバント粒子、例えば、アルミニウム塩粒子について、試料中のアジュバント粒子の検出、特徴付け、および定量化にも有用である。
本発明の方法は、アジュバント粒子(例えば、アルミニウム塩)へと吸着されている抗原の比率を同定するのに有用である。これは、例えば、抗原、アジュバント粒子、およびアジュバントへと吸着されている抗原を含む粒子(このように吸着されたアジュバント粒子は、抗原が吸着されていないアジュバント粒子より大型であることが典型的である)の粒子サイズ分布を比較することにより達成することができる。典型的に、抗原のアジュバントへの吸着は、(i)アジュバントだけに対応する粒子の比率の減少、および(ii)アジュバントへと吸着されている抗原に対応する粒子の比率の増大をもたらす。
このような同定は、アジュバント粒子には結合するが、可溶性抗原には結合しない(1または複数の)化合物であって、アジュバント粒子自体より検出(例えば、検出可能な標識を介する)が容易な化合物の使用を伴いうる。したがって、(1または複数の)検出可能な標識は、抗原粒子が吸着されうるアジュバント粒子を「飾る」。(a)抗原がアジュバント粒子へと吸着されているのかどうか、および/または(b)試料中のいかなる比率の抗原がアジュバント粒子へと吸着されているのかの同定は、例えば、(i)アジュバント、好ましくはアルミニウム塩アジュバント;(ii)抗原;(iii)アジュバントには結合するが、可溶性抗原には結合せず、検出可能な標識を含む化合物の使用;および(1または複数の)検出可能な標識の検出を含みうる。例えば、上記方法は、(a)アジュバント粒子および抗原を含む試料へと、アジュバントには結合するが、可溶性抗原には結合せず、検出可能な標識を含む化合物を導入するステップと、(b)試料中の粒子をディスク遠心分離により分離するステップと、(c)(1または複数の)検出可能な標識を検出するのに適する粒子検出器を用いて粒子を検出するステップと、(d)粒子サイズ分布を測定するステップと、(e)(i)アジュバント粒子および/または(ii)アジュバント粒子へと吸着されている抗原に対応する(1または複数の)粒子サイズ分布の存在または非存在を同定するステップと、(f)抗原が吸着されているアジュバントの比率を同定するステップとを含みうる。
同定はまた、抗原には結合する(例えば、(1または複数の)タンパク質特異的試薬および/またはDNA特異的試薬などの(1または複数の)検出可能な標識を用いて)が、アジュバントには結合しない(1または複数の)化合物の使用も伴いうる。したがって、(1または複数の)検出可能な標識は、アジュバントへと吸着されうる抗原を「飾る」。(a)抗原がアジュバント粒子へと吸着されているのかどうか、および/または(b)試料中のいかなる比率の抗原がアジュバント粒子へと吸着されているのかの同定は、例えば、(i)アジュバント、好ましくはアルミニウム塩アジュバント;(ii)抗原;(iii)抗原には結合するが、アジュバントには結合せず、検出可能な標識を含む化合物の使用;および(1または複数の)検出可能な標識の検出を含みうる。例えば、上記方法は、(a)抗原およびアジュバント粒子を含む試料へと、抗原には結合するが、アジュバントには結合せず、検出可能な標識を含む化合物を導入するステップと、(b)試料中の粒子をディスク遠心分離により分離するステップと、(c)適切な粒子検出器を用いて(1または複数の)検出可能な標識を検出するステップと、(d)粒子サイズ分布を測定するステップと、(e)標識された、アジュバントへと吸着されている抗原に対応する(1または複数の)粒子サイズ分布の存在または非存在を同定するステップと、場合により、(f)アジュバントへと吸着されている抗原の比率を同定するステップとを含みうる。
このような同定はまた、(a)アジュバント粒子には結合するが、可溶性抗原には結合せず、検出可能な標識を含む(1または複数の)化合物、および(b)抗原には結合する(例えば、(1または複数の)タンパク質特異的試薬および/またはDNA特異的試薬などの(1または複数の)検出可能な標識を用いて)が、アジュバントには結合しない(1または複数の)化合物の使用も伴い、その後で、上記で概観したステップを行う。このような場合、抗原に結合する化合物およびアジュバント粒子に結合する化合物は、例えば、各々の検出可能な標識を検出するのに適する検出器を用いて、同じ試料について、好ましくは同時に検出を実施しうるように、異なる検出可能な標識を含むことが好ましい。抗原のアジュバント粒子への吸着は、粒子サイズ分布における検出可能な標識の共局在化により同定可能であることが典型的である。
本発明の方法はまた、アジュバント粒子の作製を最適化するのにも有用である。本発明の方法は、作製法(例えば、ウイルス粒子および/または(1または複数の)アジュバント粒子を作製するための)により、意図される(1または複数の)粒子サイズまたは所望される(1または複数の)粒子サイズが作製されるのかどうかを決定するのに有用である。
図1は、凝集しないインフルエンザウイルス(インフルエンザH3N2株)について、単一モードのサイズ分布を示す図である。 図2は、凝集するインフルエンザウイルス(インフルエンザH1N1株)について、多モードのサイズ分布を示す図である。 図3は、サイズ分布の積分重量を、水中の263nmのPVC粒子の濃度の変化と対比して示す図である。高い相関係数Rは、注入された粒子の濃度とサイズ分布の積分重量との線形相関を示す。測定は、3連で実施した。エラーバーは、標準偏差を示す。 図4は、サイズ分布の最大重量を、水中の263nmのPVC粒子の濃度の変化と対比して示す図である。高い相関係数Rは、注入された粒子の濃度とサイズ分布の最大重量との線形相関を示す。測定は、3連で実施した。エラーバーは、標準偏差を示す。 図5は、図3および4において異なる希釈率で調べたPVC粒子のサイズ分布を示す図である。測定は、pH7.5の50mM NaPO中に2〜8%(w/v)のスクロース勾配を用いて実施した。 図6は、サイズ分布の積分重量を、水中のインフルエンザH3N2粒子の濃度と対比して示す図である。高い相関係数Rは、注入された粒子の濃度とサイズ分布の積分重量との線形相関を示す。測定は、3連で実施した。エラーバーは、標準偏差を示す。 図7は、サイズ分布の最大重量を、水中のインフルエンザH3N2粒子の濃度と対比して示す図である。高い相関係数Rは、ディスクへと注入された粒子の濃度とサイズ分布の最大重量との線形相関を示す。測定は、3連で実施した。エラーバーは、標準偏差を示す。 図8は、図6および7において異なる希釈率で調べたH3N2インフルエンザウイルス粒子の代表的なサイズ分布を示す図である。測定は、pH7.5の50mM NaPO中に2〜8%(w/v)スクロース勾配を用いて実施した。 図9は、被験インフルエンザ粒子の作製に用いた下流プロセスの概要を示す図である。 図10は、サイズ分布の最大重量(最大値と表示される)の、1ml当たりの注入された保護コピーの数との相関、および図9にまとめられる下流プロセスを用いて精製した、異なるH3N2試料についてのヘマグルチニンレベルを示す図である。 図11は、サイズ分布の積分重量の、1ml当たりの注入された保護コピーの数との相関、および図9にまとめられる下流プロセスを用いて精製した、異なるH3N2試料についてのヘマグルチニンレベルを示す図である。 図12は、サイズ分布の最大重量(最大値と表示される)の、1ml当たりの保護コピーの数との相関、および図9にまとめられる下流プロセスを用いて精製した、異なるH1N1試料についてのヘマグルチニンレベルを示す図である。H1N1株は、一部のバッファーについて凝集を示し、サイズ分布の最大重量と注入された粒子の濃度との線形相関は、凝集時に低減される。 図13は、サイズ分布の積分重量(ピーク積分と表示される)の、1ml当たりの保護コピーの数との相関、および図9にまとめられる下流プロセスを用いて精製した、異なるH1N1試料についてのヘマグルチニンレベルを示す図である。 図14は、サイズ分布の最大重量(最大値と表示される)の、1ml当たりの保護コピーの数との相関、および図9にまとめられる下流プロセスを用いて精製した、インフルエンザのB株の試料についてのヘマグルチニンレベルを示す図である。 図15は、サイズ分布の積分重量(ピーク積分と表示される)の、1ml当たりの保護コピーの数との相関、および図9にまとめられる下流プロセスを用いて精製した、インフルエンザのB株の試料についてのヘマグルチニンレベルを示す図である。 図16は、図9にまとめられる下流プロセスを用いて精製した、インフルエンザの3つの被験株全てについて、サイズ分布の最大重量(最大値と表示される)の、1ml当たりの保護コピーの数との相関を示す図である。 図17は、図9にまとめられる下流プロセスを用いて精製した、インフルエンザの3つの被験株全てについて、サイズ分布の積分重量(ピーク積分と表示される)の、1ml当たりの保護コピーの数との相関を示す図である。 図18は、勾配密度流体として用いた純水の、生理学的バッファー(pH7.5の50mM NaPO)に対する凝集の影響を示す図である。 図19は、低pH密度勾配の、インフルエンザ試料のサイズ分布に対する影響を示す図である(pH7.5の50mM NaPOを、pH5.7の50mM NaPOと対比する)。 図20は、密度勾配中の塩の、H3N2インフルエンザ株のインフルエンザ試料のサイズ分布に対する影響を示す図である(pH7.5の50mM NaPOを、pH7.5の120mM NaCl、50mM NaPOと対比する)。 図21は、1500バールの高圧ホモジナイゼーションによるインフルエンザ凝集体の離解を、凝集インフルエンザ株の元の材料と対比して示す図である。 図22は、H1N1インフルエンザ株のサイズ分布を示す図である。曲線は、元の材料およびベータ−プロピオラクトンで不活化させた材料に関する。ディスク遠心分離機は、サイズ分布の最大重量を用いる定量化によるわずか7%の喪失、およびサイズ分布の積分重量を通した定量化による8%の喪失を示す。 図23は、MDCK細胞内で、感染後の異なる時点:24時間後、42時間後、48時間後、および69時間後において産生されたH3N2インフルエンザ株のサイズ分布を示す図である。 図24は、粘性および密度が異なる流体中の、2つの粒子溶液(インフルエンザ粒子およびPVC粒子)の沈降の例を示す図である。密度および粘性が大きいときは、重力が小さくなるために(流体密度が大きく、抵抗が大きいために(粘性が大きいために))、粒子の沈降時間が長くなる。 図25は、密度は異なるが粘性は一定の異なる流体について、密度1.385g/mlの粒子による沈降時間のシミュレーションを、流体密度と対比して示す図である。 図26は、流体密度に対する沈降時間の逆数変換により、線形相関がもたらされることを裏付ける図である。 図27は、トマトモザイクウイルスの粒子密度の推定についての回帰分析を示す図である。 図28は、PVC粒子の粒子密度の推定についての回帰分析を示す図である。全ての測定は3連で行い、エラーバーは、標準偏差を示す。回帰直線の横軸との交点は、粒子密度に対応する。 図29は、滅菌濾過の前(曲線A)および後(曲線B)における微生物汚染の検出(>1μmにおける)を示す図である。 図30は、完全な分割ステップの例を示す図である(分割の前における、ウイルス粒子全体を含有する試料(曲線B)と比較して、分割の後には、完全な粒子の残存を検出することができなかった(曲線A))。 図31は、不完全な分割ステップの例を示す図である。図30とは対照的に、分割作用の弱い薬剤を用いた(曲線AおよびB)ところ、ウイルス粒子全体の残存を検出することができたので、不完全な分割が結果としてをもたらされた。曲線Cは、分割されていない天然試料(対照)を示す。 図32は、各々の流体力学的径が約6μmであり、測定されたアジュバント粒子(水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム)の例を示す図である。
PVC標準物質の直線性および再現性
ディスク遠心分離により得られる粒子サイズ分布データを用いて、粒子濃度を計算しうるのかどうかを決定するために、本発明者らはまず、サイズおよび密度が公知の認定PVC標準粒子(CPS Instruments)を用いて研究を実施した。それらが、その後の実験において用いられるウイルス粒子とほぼ同じサイズであるため、263nmおよび225nmのPVC標準粒子を選んだ。
PVC粒子を、水中で、出発材料の80%、60%、40%、および20%(v/v)まで希釈した。非希釈のPVC出発材料もまた用いた。全ての測定を3連で実施して、再現性について調べた。測定値の標準偏差により示される通り、この方法は、高度に再現可能であることが示される(図3〜5を参照されたい)。
ディスク遠心分離機の操作
本研究において用いられるディスク遠心分離機は、CPS Instruments(モデル:24000UHR)により製造された。2%(w/v)スクロース溶液および8%(w/v)スクロース溶液を用いて、それぞれ、pH7.5の50mM NaPOならびにpH7.5の50mM NaPOおよび120mMのNaCl中で希釈して、手作業により密度勾配溶液を調製した。次いで、これらの溶液を混合して、2、2.75、3.5、4.25、5、5.75、6.5、7.25、8%(w/v)を含有する9つのスクロース溶液を得た。ディスク遠心分離機は、24000RPMに設定した。24000RPMに達し、蒸発防止カバーをかけた後に、8%(w/v)溶液で始めて2%(w/v)溶液で終わる1.6mlずつのスクロース溶液をディスクへと注入した。蒸発をさらに防止し、安定性を延長するため、0.5mlのドデカンを、確立された密度勾配へと適用した。密度勾配の直線性を可能とする20〜30分間の試行時間の後、正確な容量を注入するため、シリンジを用いて200μLの試料を注入した。測定パラメータは、粒子密度:1.16g/ml、最大サイズ:2μm、最小サイズ:0.04μm、粒子の屈折率:1.54、粒子の吸収:0.001であった。
結果
本発明者らは、粒子濃度と相関するPVCサイズ分布の2つの特徴:サイズ分布の最大重量(すなわち、最大値)およびサイズ分布の積分重量を同定した。結果を、図3〜5に示す。サイズ分布の積分重量および最大重量のいずれも、注入されたPVC粒子濃度に対する線形相関を示した。これは、注入されたPVC粒子濃度とサイズ分布の最大重量および積分重量との高い相関係数により示される(それぞれ、0.9979および0.9977)。全ての値は高度に再現可能であり、標準偏差の最大は5%未満であった。
ウイルス試料の直線性および再現性
ディスク遠心分離から導出されるサイズ分布と合成粒子濃度との間には相関を観察しうることを決定したので、本発明者らは、同様の相関が、ウイルス粒子を含む試料を用いて観察しうるのかどうかについても調べた。用いたウイルスは、凝集しないインフルエンザウイルスH3N2(A/Uruguay/716/2007X−175C)株であった(図1を参照されたい)。元のウイルス出発材料を、pH7.5の50mMリン酸ナトリウム中で、出発材料の80%、60%、40%、および20%(v/v)へと希釈した。また、非希釈のウイルス材料も用いた。多様な濃度のウイルス粒子を用いて、40nm〜2μmの範囲のウイルス粒子のサイズ分布の最大重量および積分重量の直線性について調べた。qRT−PCRにより決定される、1ml当たり1.37×1012の保護コピーを含む、元のウイルス調製物について調べた。また、元のウイルス調製物を、50mMのNaPO中で希釈して、元の材料と比較した80%、60%、40%、20%(v/v)希釈物も用意した。また、非希釈のウイルス調製物についても調べた。
結果
結果を図6〜8に示す。サイズ分布の積分重量および最大重量について、注入された粒子の濃度との高い相関係数が観察された(それぞれ、0.9843および0.987)。これは、(非凝集)ウイルス粒子濃度とサイズ分布特徴との驚くべき線形関係を示す。再現性を評価するために、全ての測定は、3連で実施したところ、最大の標準偏差は13%であった。推定粒子密度を1.16g/cmとしたところ、約95nmの流体力学的径が観察されたが、これは、80〜120nmの間の参照直径[参考文献45]と符合し、単独粒子を示す。測定バッファー中に、凝集体は観察されなかった。
したがって、サイズ分布の最大重量および積分重量は、試料中の非凝集ウイルス粒子の濃度と相関する。
多様な下流の加工ステップにより得られるインフルエンザ試料
次いで、本発明者らは、PVC標準物質および単一の非凝集ウイルスを用いて観察される相関が、異なる量のウイルス粒子ならびに培地、少量の塩、および生理学的バッファーを含めた異なるバッファー条件を含有するさらなる加工ステップを経たウイルス調製物を、試料中に翻訳するのかどうかについて探索した。本発明者らは、MDCK細胞内で成長させた3つの異なる株(H3N2、H1N1、およびB型)に由来する異なるインフルエンザ調製物について調べた。下流の加工ステップの概要を、図9に提示する。H3N2は凝集しない株であり(図1)、H1N1は凝集する株である(図2を参照されたい)。ウイルス調製物は、収集、限外濾過および透析濾過、クロマトグラフィーによる精製、または密度勾配による精製により得、ディスク遠心分離を用いて測定した。
ウイルス粒子を定量化するための外部測定値として、逆転写酵素qRT−PCRを用いて、保護コピーの数を決定した。処理前試料の一部として、RNアーゼA/T1ミックス(2mg/mlのRNアーゼAと5000U/mlのRNアーゼT1とのミックス)(1:11に希釈し、室温で30分間にわたりインキュベートした)を用いて、破壊されたウイルス粒子および遊離RNAの影響を取り除いた。定量化のために所望される範囲へとCDMにより希釈した後、QIAsymphony Virus/Bacteria Midi KitによるQIAsymphonyを用いてウイルスRNAを抽出した。次いで、5μLの抽出されたRNAを、マトリックス遺伝子保存領域の0.40μMのフォワードプライマー(ヌクレオチド配列:インフルエンザAが、5’−CAGGCCCCCTCAAAGC−3’(配列番号1)、インフルエンザBが、5’−GTTTGGAGACACAATTGCCTACC−3’(配列番号2))およびリバースプライマー(ヌクレオチド配列:インフルエンザAが、5’−GCGTCTACGCTGCAGTCC−3’(配列番号3)、インフルエンザBが、5’−GCAGATAGAGGCACCAATTAGTG−3’(配列番号4))、これに合致する0.2μmのTaqMan(登録商標)プローブ(ヌクレオチド配列:インフルエンザAが、5’−6FAM−AGGTGACAGGATTGGTCTTGTCTTTAGCC−BBQ−3’(配列番号5)、インフルエンザBが、5’−6FAM−AGATGGAGAAGGCAAAGCAGAACTAGC−BBQ−3’(配列番号6))、最終濃度1倍の反応ミックス12.5μL、0.5μLのSuperScript III RT/Platinum Taq Mix、ならびに6.35μLのPCRグレード水を含有する20μLのMaster Mixへと添加した。PCR反応は、一本鎖RNAの二本鎖cDNAへの逆転写を可能とする、50℃で15分間にわたる最初のステップと、95℃で2分間にわたる最初のTaq活性化とを包含した。次いで、94℃で15秒間および60℃で45秒間の45サイクルを実施した。蛍光の検出は、60℃の各ステップの後で実行した。解析のために、各反応物を、そのサイクル閾値により特徴付けした。これにより、蛍光があらかじめ定められたサイクル閾値を超えるときのサイクルが同定され、これは、20蛍光単位であった。サイクル閾値の上昇は、検量線を作成するために用いられる初期標準物質である、in vitroでの転写物の対数量の減少と相関しうるであろう。全ての反応物は、公知濃度のin vitro Transcription Kitによる転写物と対比して定量化される。
異なるウイルス試料は、9.5E10〜2.9E1012の範囲にある、1ml当たりの保護コピーの数により示される、異なる量のウイルス粒子を含有した。
ヘマグルチニンの定量化は、既に記載されている[参考文献42]一元放射免疫拡散アッセイを用いて実施した。ダルベッコPBS中に1%のアガロースと、National Institute for Biologial Standardization and Control(NIBSC、London)により提供されている特異的抗体とを含有する、4mmの孔を伴うゲルを調製した。凝集を防止するために、各試料を、1%(w/v)のZwittergent3−14溶液で処理した。試料は、ダルベッコPBSを用いて、元の材料に対して75%、50%、および25%(v/v)へと希釈した。また、非希釈の出発材料も用いた。20μLの試料をゲルの一切れへと導入した。18時間にわたるインキュベーションの後、ゲルをクーマシーブルー溶液(500mlの脱染色溶液中に1.5gのServa Blue R)中で10分間にわたり染色し、脱染色溶液中(水中に11.8%(v/v)の酢酸および30%(v/v)のメタノールを含有する)で少なくとも30分間にわたり脱染色した。次に、2つの直交方向にあるエッジの直径を測定することにより、抗原−抗体沈殿物によるリングの面積を決定した。解析は、希釈物上のリングの直径についての試料による傾きと参照標準物質による傾きとの関係によりヘマグルチニンの濃度を定量化しうる、傾き比モデルを用いて実施した。定量化の限界は、十分高く濃縮されたインフルエンザ試料のヘマグルチニンの定量化だけを許容した。
凝集しないインフルエンザ株(H3N2)についての結果
図10〜11は、H3N2株について、ウイルス/ヘマグルチニン濃度にわたるサイズ分布の最大重量および積分重量を示す。サイズ分布には凝集体が観察されず(図1を参照されたい)、ディスクへと注入されたウイルス粒子の量とサイズ分布の最大値との線形相関が観察された。注入されたウイルス粒子の量とサイズ分布の最大重量との間では、0.8897(qRT−PCR)および0.7252(SRD)という高い相関係数が観察された。また、注入されたウイルス粒子の量とピーク積分との間でも、0.7455(qRT−PCR)および0.8033(SRD)という高い相関係数が観察された。これらは、注入されたウイルス粒子の量とサイズ分布の特性係数との線形関係を示す。低濃度のインフルエンザ粒子を含有する試料については、ヘマグルチニン濃度が、SRDアッセイの定量化限界に達するほど十分には高くなかったために、xの範囲が狭くなり、より低いR2値が結果としてもたらされたことに注意されたい。さらに、SRDの値およびqRT−PCRの値は、それぞれ、10%未満および20%未満の典型的な標準偏差で測定され、このために、既知の値との相関に関連する相関係数の上限が低下したことについても考慮しなければならない。
したがって、本発明者らは、注入された非凝集ウイルス粒子の量とサイズ分布特徴(サイズ分布の最大重量およびサイズ分布の積分重量)との間に線形関係を観察した。
凝集するインフルエンザ株(H1N1)についての結果
試料は、収集、限外濾過/透析濾過、クロマトグラフィーによる精製、および密度勾配による精製を含めた異なる作製技法により得た(図9)。したがって、これらの試料は、異なるバッファーならびに凝集ウイルス粒子および非凝集ウイルス粒子の異なる比を含有した。H3N2株については、注入された粒子の量とサイズ分布の最大重量との線形相関が観察され、相関係数は0.9077(qRT−PCR)および0.8826(SRD)であった(図12および13を参照されたい)。注入された粒子の量とウイルスピークの積分重量との間では、0.9734(qRT−PCR)および0.989(SRD)の線形相関が観察された。
下記に示す通り、密度勾配調製物に用いられるバッファーの選択は、粒子のコンフォメーションに影響するので、単独粒子の量と比べて同量の凝集体を維持することが重要である。全ての粒子は非凝集性であることが理想的であり、したがって、全ての試料に対して1つの測定バッファーを用いることにより、等しいバッファー屈折率および凝集における等しい影響を確保することができる。前処理時に不可逆性の凝集条件を用いない限り、相関係数が大きければ、異なる(加工時に用いられたバッファー条件が異なる)インフルエンザ含有試料のサイズ分布は、主に、ディスク遠心分離機内の密度勾配バッファーの関数であることが示される。本発明者らは、凝集を誘導する条件下では、サイズ分布の最大重量と注入された凝集ウイルスの量との間の線形関係が失われることを見出した。これにも関わらず、本発明者らは、凝集粒子を包含するほどの十分に大きな積分区間を使用することを選択する。本発明者らは、驚くべきことに、サイズ分布は、試料中の注入されたウイルス粒子の量と依然として相関するが、これは、サイズ分布の積分重量だけについて成り立つことを見出した(図13)。これにより、非凝集ウイルス粒子と凝集ウイルス粒子との混合物を含有するウイルス粒子を含む試料を定量化する、驚くべき新たな様式であって、先行技術では容易に達成されなかった様式がもたらされる。
本発明者らはまた、単一モードのサイズ分布が、粒子凝集の非存在についての陽性対照をもたらしうることも観察した。これはまた、面積:体積比が、測定、例えば、ELISAに影響しうる他の定量的アッセイデータを検証するのにも用いることができる。
凝集するインフルエンザB株(B/Brisbane/60/2008)についての結果
勾配調製物にpH7.5の50mMリン酸ナトリウムバッファーを用い、収集、分離収集、限外濾過/透析濾過、および密度勾配またはクロマトグラフィーによる精製材料を用いたところ、このインフルエンザB株は凝集を示さなかった。異なるウイルス含有試料は、qRT−PCRにより測定される、1ml当たり1E10〜2E12の範囲の保護コピーの数により示される、異なる量のウイルス粒子を含有した。サイズ分布の最大重量と1ml当たりの保護粒子の注入された量との間では、高い相関係数(qRT−PCRによる0.8912およびSRDによる0.8801)が観察された(図14を参照されたい)。高い相関係数はまた、積分されたサイズ分布と注入された粒子の濃度との間でも観察され、0.9376(qRT−PCR)/0.7201(SRD)の値であった(図15を参照されたい)。これらの強い相関は、これらのサイズ分布パラメータと注入されたウイルスの濃度との間に強い線形関係を示す。
全ての被験インフルエンザ株についての結果
図16および17に実証される通り、全ての被験インフルエンザ株は、同じ種に属し、形態および構造におけるわずかな差異だけを有する。H1N1株は、pH7.5の50mMリン酸ナトリウムバッファー中で凝集を示したが、120mMのNaClを添加することにより凝集が低減され、サイズ分布の最大重量と注入された粒子の濃度との間に相関が可能となった。120mMのNaClの添加は、他の被験株のサイズ分布に影響を及ぼさなかったので、屈折率などの測定値に影響する他のパラメータは一定のままであった。全ての被験インフルエンザ株は、1ml当たりの保護コピーの濃度とサイズ分布の最大重量との間で、同様の傾きの線形関係を示し、また、積分重量についても、同様のことを示した。
ウイルス粒子のコンフォメーション状態が大部分で非凝集性(サイズ分布から容易に決定され得る)の場合は、インフルエンザ粒子の異なる株を、株特異的に較正することなく定量化することができる。しかし、異なる株を個別に評価する場合、わずかな株特異的差異に起因して、相関係数が大きくなる可能性がある。さらに、異なる株は、非凝集粒子の凝集粒子に対する異なる比または異なるサイズ範囲を有することから、幅が異なり、したがって、振幅が異なるピークをもたらしうる。例えば、同じ勾配溶液を全ての測定に用いる場合に、非凝集粒子の凝集粒子に対する同じ分解能および同じ比が確保されるならば、サイズ分布の最大重量に基づく定量化で十分な場合がある。1つの株の産生でのマスバランシング(mass balancing)など、一部の粒子定量化適用では、絶対量ではなくて相対量を用いることもできる。
バッファーの選択の凝集体の形成に対する影響
本発明者らは、分離流体(例えば、密度勾配)において用いられるバッファーの選択が、測定される粒子のコンフォメーションに影響しうるのかどうかについて調べた。
結果
本実施例では、生理学的バッファー(50mMのNaPO、pH7.5)により、H1N1株のわずかな凝集が誘導された(凝集体のほか、単独の非凝集粒子も観察された;図18)。
ウイルスサイズのサイズ分布の最大値の増大により示される通り、120mMの最終濃度までNaClを添加することにより、凝集体の減少および非凝集粒子の増大がもたらされた(図20)。これにより、本発明者らによる、密度勾配調製物に用いられるバッファーは、サイズ分布の測定に対して大きな影響を及ぼすという観察が再確認される。
参考文献43において記載される通り、純水中で(図18)、または低pHで(図19)密度勾配を調製したところ、強いウイルスの凝集が誘導された。これに対し、参考文献1において記載される通り、高圧ホモジナイザーを用いるホモジナイゼーションは、サイズ分布ピークの最大重量の上昇およびTCID50/mlの上昇により示される、凝集の低減および非凝集粒子数の増大をもたらした(図21)。
凝集粒子の場合、超音波処理、高圧ホモジナイゼーション(参考文献1を参照されたい)、または塩の添加などの離解条件/プロセスを用いれば、凝集を最小化する一助としうるであろう。主要なウイルスピークに対するサイズ分布の最大重量により、凝集するウイルスを定量化することが可能でありうる。これは、非凝集ウイルス(図10〜11)が、特異性のさらなる増大を提供し得るサイズ分布特徴とともに、凝集ウイルスより高い相関係数を示したため、有益である可能性がある。積分した重量分布を用いると、細胞性粒子または細胞の構成要素を伴うウイルス粒子の凝集体の包含に対する感受性が大きくなる。
先行技術における方法を凌駕するディスク遠心分離の利益
本発明者らは、本発明のディスク遠心分離方法が、ウイルス定量化のための現行のゴールドスタンダードであるqRT−PCRを含めた先行技術におけるウイルス定量化方法とどのようにして比較するかについて試験した。ベータ−プロピオラクトンによる不活化インフルエンザウイルス試料を、本発明のディスク遠心分離法、TEM、および現行のゴールドスタンダードであるqRT−PCRを用いて測定した。qRT−PCRおよびTEMを用いて測定されるウイルス粒子の量を表1に示し、本発明のディスク遠心分離法を用いて測定されるウイルス粒子の量を図22に示す。
ベータ−プロピオラクトンによる不活化は、インフルエンザウイルスのRNAを損傷する。qRT−PCRによる定量化は、元の試料中に実際に存在する粒子の数より43%小さな値をもたらす。時間がかかるが、TEMは、qRT−PCRより正確であり、元の粒子数の81%であるウイルスカウントを提示した。しかし、驚くべきことに、本発明のディスク遠心分離機ベースの方法は、従来の先行技術における技法よりはるかに容易で正確であることが判明し、サイズ分布の最大重量を用いた場合は元の粒子数の93%を検出し、サイズ分布の積分重量を用いた場合は元の粒子数の92%を検出した。
したがって、本発明は、ウイルス含量を定量化するための迅速で正確な方法であって、先行技術において利用可能な方法より優れた方法を提供する。本発明はまた、例えば、元のウイルス出発材料より小さい粒子サイズの比率において相対的増大により示される通り、ウイルス粒子全体が破壊されたのかどうかをモニタリングするのにも有用である。図23において示される通り、本発明はまた、バイオリアクター内のウイルスレベルをモニタリングするのにも有用である。図23はまた、本発明が、高力価の発酵を定量化するのに特に有用であることも裏付ける。図23に基づくと、本明細書で詳述される装置を用いる上記方法の検出限界は、qRT−PCRにより測定される1ml当たり約5E09の保護ウイルスコピーであると評価された。検出限界は、試料中の粒子の種類および粒子サイズ分布を決定するために用いられる装置によって異なりうる。
結論
本発明は、試料中の非凝集ウイルス粒子および/または凝集ウイルス粒子を定量化するための迅速な方法であって、物理的な粒子測定法に基づく方法を提供する。本発明の方法は、ウイルス粒子(例えば、インフルエンザ粒子)を含む試料を15分間以内に定量化することを可能とする。本発明者らは、驚くべきことに、光吸収検出器などの検出器と組み合わせたディスク遠心分離を用いて、インフルエンザウイルス粒子などのウイルス粒子を定量化しうることを見出した。本明細書で用いられる実験条件下では、インフルエンザのH3N2株およびB株が、非凝集ウイルスを表す単一モードのサイズ分布を示した。(qRT−PCRにより決定される)インフルエンザ粒子の量と、(SRDにより測定される)ヘマグルチニンの量と、サイズ分布の最大重量との間では、また、サイズ分布の積分重量との間でも、高い相関が観察された。
本明細書で用いられる実験条件下では、pH7.5の50mMリン酸ナトリウムバッファーを用いたところ、インフルエンザのH1N1株が凝集を示した。サイズ分布の積分重量(非凝集粒子および凝集粒子を含む)と、注入されたウイルス粒子の量との間では、強い相関が観察された。本発明者らはまた、120mMのNaClの添加により凝集を減殺することが可能であり、この結果として、サイズ分布の積分重量の、注入されたウイルス粒子/ヘマグルチニンの量との間に強い相関をもたらし、また、サイズ分布の最大重量の、注入されたウイルス粒子/ヘマグルチニン粒子の量との間に強い相関をもたらしうることを見出した。本発明の方法は、ウイルスの作製における使用に適する、例えば、ウイルス粒子の量をモニタリングするのに適する。
さらに、本発明の方法は、注入された粒子の量とサイズ分布の特性係数との間で直線性を示し、これにより、対数的な希釈ステップが力価の推定に必要とされ、それゆえ対数のスケーリングに起因する誤差の増大を結果としてもたらすELISAまたはウイルス滴定など既存のウイルス定量化法を用いる場合に遭遇することが多い誤差が最小化される。同様に、先行技術における定量化法に必要とされることが多い段階希釈ステップも、各希釈ステップと共に導入される誤差に起因する測定誤差を増進しうる。
ディスク遠心分離による粒子密度および粒子サイズの決定
本発明者らは、また、ディスク遠心分離を用いて、例えば、ウイルス粒子の粒子密度を決定することができ、また、例えば、ウイルス粒子の粒子サイズも決定しうるのかどうかについても調べた。これにより、外部で測定された(例えば、先行技術におけるウイルス定量化法のうちのいずれかによる)粒子密度、または文献から導出される粒子密度に対する必要が取り除かれるであろう。この方法は、例えば、粒子密度および/または粒子サイズを決定するのに有用である。粒子は、生物学的粒子、例えば、ウイルス粒子の場合もあり、非生物学的粒子の場合もある。
これらの実験は、複数の原理に基づいた。粒子の注入と粒子の検出との間の時間を用いて、粒子の沈降速度を決定することができる。沈降速度は、粒子サイズと相関しうる。特に、粘性および密度が大きい流体中の粒子は、検出器による検出までの沈降時間が長い(図24)。分離流体のレオロジー特性(密度、粘性など)は、公知の密度およびサイズ(流体力学的径)を有する標準物質、例えば、PVC標準粒子を用いて計算することができる。したがって、ディスク遠心分離により粒子密度および粒子サイズを測定するには、先行技術における他のサイズ測定技法、例えば、動的光散乱と比較して小さなパラメータセットだけが必要とされる。極めて重要なパラメータは、浮遊密度である。
本発明者らは、粘性および/または密度が異なる流体中の粒子についての沈降速度の変化が、粒子密度の計算のための回帰分析の実施を可能とするのかどうかについて調べた。
ディスク遠心分離機の操作
ディスク遠心分離により粒子密度および粒子サイズを決定するために、上部の濃縮された溶液を下部の濃縮された溶液と混合して、9つの溶液(それぞれ、2%、2.75%、3.5%、・・・8%のスクロースを伴う溶液、および14%、14.75%、・・・20%のスクロースを伴う溶液)を提供することにより、pH7.5の50mM NaPO中に2〜8%(w/v)および14〜20%(w/v)のスクロース勾配を調製した。非生物学的材料については、pH7.5の50mM NaPO中に31〜37%(w/v)および51〜57%(w/v)スクロース勾配によりさらなる測定を実施した。ディスクの回転は、生物学的粒子には24000RPMに設定し、非生物学的材料には10000rpmに設定した。設定されたRPMに達した後、最高濃度の溶液で始めて最低濃度の溶液で終わる1.6mlずつのスクロース溶液をディスクへと注入した。次いで、水の蒸発を防止するために、0.5mlのドデカンを注入した。20〜30分間にわたる平衡時間の後、測定を開始した。0.05%のPVCを含有する、226nmおよび263nmの標準物質PVC粒子溶液を較正に用いてから特徴付けを行った。その後のデータ解析のために、試料測定の前後に、100μLの標準物質粒子溶液を測定した。次いで、第2のスクロースバッファー勾配を用いる測定を実施した。全ての試料注射には、Hamilton製のシリンジを用いた。
粒子溶液
以下のウイルス粒子溶液:CDM/PF培地中のMDCK細胞(33016 PF)内で成長させた、1つのインフルエンザB株(株B/Brisbane/60/2008)および2つのインフルエンザA(H3N2)株(A/H3N2、株A/Uruguay/716/2007 X−175C、および株A/Victoria/210/2009 X−187);タバコ植物体内で成長させたタバコモザイクウイルス(TMV);タバコ植物体内で成長させたトマトモザイクウイルス(ToMV);ニワトリ胚線維芽細胞内で成長させた狂犬病(Flury LEP)ウイルスを用いた。以下のPVC標準物質:377nmのポリ塩化ビニル粒子溶液、および226nmのポリ塩化ビニル粒子溶液を用いた。また、酸化ケイ素も用いた。
結果
本発明者らは、試料中の粒子の浮遊密度の推定を可能とする、したがって、正確な絶対サイズ(流体力学的径)の推定を可能とするモデルを導出した。モデルは、異なるレオロジー特性を有する(少なくとも)2つの異なる流体中の試料の(少なくとも)1つの測定に続く回帰分析に基づく。粘性および密度が高い分離流体中の粒子は、検出までに長い沈降時間を呈示し、この逆も成り立つことが見出された(図27を参照されたい)。
PVC粒子およびウイルス粒子のサイズを決定するためのこのモデルの適用可能性は、推定浮遊密度および推定サイズを、文献中の参照値と比較することにより裏付けられる(表2)。
粘性を一定とする粒子密度および粒子サイズの測定プロセスのモデル化
定常状態における沈殿は、ストークスの法則による抵抗:
[式中、
=抵抗
D=直径
η=動的粘度
R=半径
t=沈降時間
v=沈降速度]
と、遠心力:
[式中、
=遠心力
Ρp=粒子密度
ρ=流体密度
ω=角加速度
R=半径]
が釣り合うことから、
を導くことにより記載される。これを積分して、
を得る。
例として、密度を1.385g/mlとする粒子について、流体密度に対する一定の沈降距離(検出点Rと最初の沈降点Rとの距離)、粘性、直径および角加速度、沈降時間tを図26に示す。粒子密度が流体密度と等しいとき、沈降時間は、遠心力の減少に起因してゼロに近づく。したがって、沈降時間は、無限大に収束する。
流体密度に対する沈降時間の逆数変換により、線形関係
が導かれる(図26を参照されたい)。したがって、流体密度に対して1/tをプロットし(例えば、1mlの分離流体を秤量することにより)、回帰分析を施し、回帰の絶対項を負の傾き:
で除することにより、一定の粘性について粒子密度を推定することができる。
したがって、異なる(しかし、公知の)密度および一定の粘性を有する2つの異なる分離流体中の同じ試料を同じ速度で測定し、ディスク内で同量の流体を測定することにより、浮遊密度を推定しうる回帰が導かれる。密度の異なる2つの流体に対する一定の粘性とは、強力な仮定である。次のステップは、レオロジー特性、とりわけ、粘性が異なる2つの流体中の試料測定を可能とするモデルによる一般化をもたらす。
粘性の外部での測定を回避する、可変の粘性での粒子密度および粒子サイズの測定プロセスのモデル化
粘性を可変とするが既知とすると、式(4)のモデルから、
を導出することができる。この場合、粘性を公知とすると、ρに対するη/tのプロットにより、上記と同様にして、未知の粒子密度の計算が導かれる。しかし、流体粘性は、多数のパラメータ、例えば、流体の温度および化学組成に高度に依存する。したがって、このようなデータがともかく入手可能であると仮定して文献中のデータにより作業すれば、大きな誤差が結果としてもたらされうる。したがって、分離流体の粘性については推定が必要とされる。較正には標準物質、例えば、PVC粒子が必要とされるので、流体の粘性は、
[式中、
Ρp,Std=較正標準物質の密度
Std=較正標準物質の直径
Std=較正標準物質の沈降時間]
により導出することができる。
(8)を(7)へと代入することにより、
が導かれる。したがって、標準物質の粒子密度と流体密度との差に、標準物質粒子の沈降時間を試料粒子の沈降時間で除した商を乗じて、流体密度に対してプロットし、線形回帰の傾きをy切片で除することにより、粒子密度を推定することができる。
公知でなければならないのは較正標準物質の密度だけであり、較正標準物質のサイズは、全ての被験流体密度について同じでなければならない。さらに、式(8)はまた、
により、較正標準物質のサイズと対比した粒子の流体力学的径の推定も可能とする。
このモデルを適用するのに必要な条件は、
・沈降の出発点〜粒子の検出点の沈降距離が一定であること、これは、実際には、適用される勾配流体について、ディスクへと注入される流体体積が同じとなるように適用することである
・少なくとも2つの分離流体のレオロジー特性(密度、粘性など)が異なること
・分離流体の密度は公知でなければならないこと
・密度が公知の標準物質粒子を適用すること
・1分間当たりの回転数が、全ての測定について一定であること
・両方の流体の間で直径の変化が見られないこと(例えば、バッファー1中で粒子の凝集がみられず、かつ、バッファー2中でも凝集がみられないこと)。これには、総密度がディスク密度勾配内の最小密度より大きな試料をディスク内に入れる場合に生じうるストリーミングが含まれる。試料自体または試料流体の部分が、粒子として挙動しうること
である。
これらの必要条件の全てはおそらく、最後の条件を除き、容易に満たされる。にも関わらず、凝集または少なくともサイズのシフトは、サイズ分布解析により容易に同定することができる。凝集が生じた場合、これは、分布サイズの大幅なシフトまたは高度に幅広のピークにより同定することができる。「不正確な」密度で作業しても、同じサイズの粒子は、異なる流体中で同じ「不正確な」サイズを有するはずである。そうでなければ、ストリーミング効果または他のサイズ変化プロセス、例えば、凝集が生じうる。
流体密度は比較的容易に決定され、粘性ほど温度変化の影響を受けやすくはない。しかし、外部密度を特徴付けするときの温度差およびディスク遠心分離時間における温度差は制御が困難であり、測定に影響を及ぼす可能性がある。代替的に、流体密度は、第2の較正標準物質の導入により決定することができる。この方法では、両方の較正標準物質について密度および直径が公知でなければならない。この場合は、線形回帰分析を可能とする遠心分離速度、流体密度、流体粘性、および沈降出発点〜検出点の距離は変化させず、流体密度の代わりに標準物質の粒子密度を変化させる。
ここでもまた、ρに対して1/tD2をプロットし、負のy切片を流体密度への線形回帰の傾きで除することにより、
が導かれる。
流体密度は容易に測定することができ、第2の較正標準物質は入手可能でなかったので、この方法をさらに評価することはなかった。にも関わらず、この方法によれば、2つの較正標準物質を用いるパラメータの外部測定に対する必要が完全に回避されるであろう。
結果
多様なウイルスおよび非生物学的粒子について測定される粒子密度を表2に示す。トマトモザイクウイルスの粒子密度の推定についての回帰分析を図22に示し、PVC粒子の粒子密度の推定についての回帰分析を図23に示す。参考文献45によれば、全ての測定される粒子についての、「実際の」密度と比較した推定密度の誤差が5%未満であったことから、ディスク遠心分離による最適サイズの近似が裏付けられる。
本発明は、ディスク遠心分離による粒子サイズの強力な近似を提供する。狂犬病ウイルス、TMV、およびToMVは棒状で長型の粒子であるので、文献では、流体力学的径が得られない。にも関わらず、参考文献44によれば、棒状粒子の流体力学的径は、
[式中、
Stokes=ストークスの直径
=円筒直径
l=長さ
β=長さ/軸比]
により推定することができる。
したがって、ToMVおよびTMVは、長さが300nmであり、直径が18nmであり(参考文献45を参照されたい)、したがって、流体力学的径は34nmであることが予測される。狂犬病ウイルスの長さは160nmであり、直径は75nmであることが報告されているので、流体力学的径は94nmであることが予測される。ToMVとTMVとは同じウイルス科に属するので、同様の密度およびサイズが予測される。
ToMV株とTMV株との間の推定密度および推定サイズの差異は2%未満であり、実際の密度に照らした誤差は5%未満であり、実際のサイズに照らした誤差は20%未満である。同様に、推定密度値と文献値との差異(参考文献45による)も3%未満であった。また、狂犬病ウイルスについても、推定密度と実際の密度との差異は4%未満の誤差であることから、計算された実際の流体力学的径に照らした13%未満の誤差を有する、同様のサイズが導かれる。
評価された非生物学的粒子は、ポリ塩化ビニル粉末および酸化ケイ素(IV)粉末であり、これらについての推定密度と参照密度との差異は2%未満(ポリ塩化ビニル)および15%(酸化ケイ素(IV))であった。粒子標準物質の使用は、ディスク遠心分離による最も重要なパラメータの直接的な測定を可能とする(参考文献46を参照されたい)ので、再現可能で正確なサイズ分布を得ることができる。ウイルス粒子を適用したところ、標準偏差により示される、測定されるサイズの再現性は、2%未満であることが見出された(3連で測定、データは示さない)。さらに、流体間の密度差が増大するほど、y方向の偏差によりもたらされる誤差の影響は小さくなる。最終的に、密度勾配内に粒子が捕捉されることを回避するためには、検出点における流体密度が、標的粒子密度より小さくなければならない。
したがって、粒子標準物質の使用と組み合わせたディスク遠心分離により、粒子サイズおよび粒子密度を決定するために必要とされるパラメータの大半が直接測定される(また、参考文献46も参照されたい)。したがって、本発明のこの方法を用いて、再現可能で正確なサイズ分布を得ることができる。本発明者らは、この方法が、ウイルス粒子の解析に特に有用であり、測定の標準偏差を2%未満とする(データは示さない)ことから、上記方法が高度に再現可能であることが示されることを見出した。また、この方法を介して得られるデータも、製造元の情報と符合する。
誤差の近似は実施しなかったが、ディスク遠心分離を用いる密度の推定を最適化するには、多数の因子を用いうるであろう、例えば、流体の密度の間の差異が大きくなれば、y方向の偏差によりもたらされるいかなる誤差の影響も減殺されるであろう。検出点における流体の密度は、測定される粒子の密度より低いことが理想的であり、そうでなければ、試料中の粒子は密度勾配内に捕捉され、検出器には達しないであろう。2つの異なる流体中のウイルス粒子の密度を推定するために実施した測定は1回だけであるが、良好な近似が観察された。ストークスおよび遠心力に基づいて提起されるモデルの正確さは、ポリ塩化ビニル(PVC)粒子および酸化ケイ素(IV)粒子を、4つの異なる勾配中、3連で測定することにより評価した。0.9993(PVC、図28)および0.9883(酸化ケイ素、データは示さない)という高い相関係数により、用いたパラメータの間の線形関係が確認され、これにより、提起されるモデルが検証された。小さな密度差(回帰ベースのx値)に対して最大で6.5倍の大きな粘性差(最大の場合は、式8を、標準物質粒子による、粘性の最も小さい流体の測定値で除することによる)だけを用いたが、標準偏差は、PVCおよび酸化ケイ素(IV)粒子について、それぞれ、0.9%および1.2%未満であった。
適用された全ての粒子について、提起される方法による密度の決定は、決定された粒子密度と参照粒子密度との良好な近似を結果としてもたらし、差異は最大で15%であった。ウイルス粒子については、2つの測定流体(2〜8%(w/v)のスクロースおよび14〜20%(w/v)のスクロースを含有する)だけを用いたところ、粒子密度と流体密度の差異が小さいことに起因して、差異を4%未満とする密度の決定が可能となった。明らかに、用いられた条件は、粒子密度の推定を高い精度で可能とするのに適切である。さらに、式(7)の使用は、頑健で高度に再現可能な沈降速度の計算を可能とした。密度の変化は20%だけであるが、動的粘度の変化は650%である、4つの異なる密度勾配中で3連の測定は、各々1.2%未満の標準偏差を示した。再現性の大きさと併せた、線形回帰のための0.98を超える相関係数は、頑健性の大きさのほか、良好なモデル近似を示した。また、利用可能であっても、時間がかかり(ウイルス滴定または電子顕微鏡法の場合、最大で数日間にわたる)、誤差を生じやすい、ウイルス滴定、電子顕微鏡法、またはELISAなど、粒子定量化のためのさらなる方法の使用も回避することができる。測定されたウイルス粒子に対して、2つの異なる流体を用いる(ウイルス粒子サイズに依存する)密度の決定は、1時間以内で可能であった。したがって、この方法であれば、例えば、未知のウイルスについての粒子密度の決定に用いうるであろう。次いで、決定されたウイルス粒子密度を用いて、下流の加工ステップ、例えば、等密度画分化を伴う密度勾配による遠心分離のデザインおよび最適化を支援しうるであろう。
さらなる測定またはさらなる流体により、粒子密度の推定がさらに改善されうるであろう。
試料中の微生物汚染の評価
本発明者らはまた、ディスク遠心分離を用いて、試料中の微生物の存在を同定しうるのかどうかについても調べた。微生物粒子は典型的に、直径が1μm以上であり、したがって、大半のウイルス粒子よりはるかに大きい。したがって、それらの各々のピークは、ウイルス粒子および微生物粒子を含む粒子サイズ分布において、互いから容易に識別することができる。図29(曲線A)は、約1.1μmにおいて異なるピークを示し、これは、被験試料中の微生物粒子に対応する。
次いで、本発明者らは、この滅菌濾過ステップが、微生物汚染を除去するのに有効であるのかどうかを決定するために、汚染試料に対して滅菌濾過ステップを実施した。約1.1μmにおけるピークの無視できない低減により示される通り、図29(曲線B)は、滅菌濾過ステップにより、微生物汚染物が試料から有効に除去されたことを示す。
これらの結果は、本発明が、試料中の微生物汚染を同定するため有用であり、また、滅菌濾過ステップが成功したのかどうかを決定するためにも有用であることを裏付ける。
分割の評価
本発明者らはまた、分割剤を投与することにより、生物学的粒子を分割するのに成功しうるのかどうか、およびどのくらいの分割剤を投与すれば、生物学的粒子を分割するのに成功しうるのかを、ディスク遠心分離を用いて決定しうるのかどうかについても調べた。この場合、生物学的粒子は、ウイルス粒子であった。図30は、インフルエンザ粒子を含有する試料についての粒子サイズ分布を明確に示す(曲線B)。図30(曲線A)は、ウイルスの分割後における同じ試料についての粒子サイズ分布を示す。ウイルスの分割の成功は、ウイルス粒子に対応するピークの有効な除去により明確に明らかである。
ディスク遠心分離を用いて、不完全なウイルスの分割を同定しうるのかどうかを調べるために、本発明者らは、ウイルス試料を、分割作用の弱い薬剤で処理した(すなわち、図31の曲線AおよびB)。図31の曲線AおよびB(処理曲線)が対照曲線Cと同様であることから、分割作用の弱い薬剤による処理は、完全な分割を結果としてもたらさなかったことが裏付けられる。用いられた量の分割剤が、実質的に全てのウイルス粒子を分割したわけではなかったが(例えば、図30の曲線Aにおいて示される通り)、曲線AおよびBのサイズ分布の最大重量は、曲線Cのサイズ分布の最大重量より小さいことを見ることができ、これにより、ウイルス粒子全体の量がわずかに減少した(すなわち、スプリットウイルス粒子の量が増大した)ことが示される。
これらの結果は、試料(例えば、ウイルス試料)が、特に、分割剤による処理の後におけるスプリット(ウイルス)粒子を含むのかどうかを同定するために、本発明の方法が有用であることを裏付ける。この手法はまた、分割剤の有効性を決定するためにも用いることができ、また、分割に対する生物学的試料の感受性を決定するためにも用いることができる。この手法はまた、粒子分割プロトコールにおいて用いられる分割剤の最適量を同定するのにも用いることができる。
アジュバント粒子の評価
本発明者らはまた、ディスク遠心分離を用いて、アジュバント粒子などの無機粒子を再現可能に定量化しうるのかどうかについても調べた。図32は、各々の流体力学的径が約6μmである2つの異なるアジュバント粒子(水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム)についての粒子サイズの分布3連での測定を示す。図32は、ディスク遠心分離により、アジュバント粒子を正確に、かつ、再現可能に定量化しうることを示す。これらのデータはまた、ディスク遠心分離が、流体力学的径が大きな粒子を解析するのにもまた適することも示す(この場合、約6μm)。
結論
本発明者らは、ディスク遠心分離が、粒子サイズを決定するための迅速な方法であって、粒子の沈降速度および光度検出に基づく方法(参考文献46を参照されたい)もまたもたらすことを見出した。他の先行技術における方法、例えば、動的光散乱と比較して、ディスク遠心分離は、高分解能の結果をもたらす(参考文献47および48を参照されたい)。これは、例えば、流体のレオロジー特性の測定を再現可能で正確なものとする標準物質の適用に起因する。
さらに、測定プロセスについて推定するのが困難な粘性などのパラメータは、使用者が知らなくてもよい。粒子の正確な絶対サイズのために最も極めて重要な因子は、粒子密度である。かつて、使用者は、文献中のデータまたは外部の粒子密度測定に依存した。ここで、本発明者らは、粒子密度を推定するためのモデルを提供する。本発明のこの方法を適用することにより、本発明者らは、ディスク遠心分離を単独で用いて絶対粒子サイズを決定し、これにより、文献ならびに多数の外部測定および外部技法への依拠を排しうることを裏付けた。必要とされる唯一の外部測定パラメータは、少なくとも2つの分離流体の密度であり、これらは、先行技術において周知の方法を用いて容易に導出しうる。
さらに、本発明者らは、密度の異なる2つの粒子標準物質を用い、これにより、流体密度を含めたあらゆるパラメータの外部測定に対する必要を完全に排することにより、本発明のこの方法を改善しうることも見出した。
本発明の方法は、ウイルス粒子の密度およびサイズを決定するために特に有用である。密度が公知のウイルス粒子の解析は、本発明に、ウイルス粒子の密度を正確に推定することが可能なことを明らかにした。粒子密度のかつての測定は、上記で概観した多数の問題と関連する。本発明は、粒子密度を推定するための方法であって、迅速で正確で再現可能であり、外部測定に依存しない方法を提供する。この、本発明の方法は、ディスク遠心分離により得られる2つという少数の測定を用いて粒子の定量化を可能とするものであり、必要とされるのは、容易に測定可能なパラメータの小さなサブセットだけである。

Claims (37)

  1. ディスク遠心分離機を用いて試料中のウイルス粒子を定量化するための方法。
  2. 前記ウイルス試料が、非凝集ウイルス粒子および/または凝集ウイルス粒子を含む、請求項1に記載の方法。
  3. a.前記試料中の粒子をディスク遠心分離により分離するステップ;
    b.粒子検出器を用いて前記粒子を検出するステップ;
    c.粒子サイズ分布を測定するステップ;
    d.i.単一モードのサイズ分布の存在に基づき、非凝集ウイルス粒子の存在または非存在を同定し、かつ/または
    ii.多モードのサイズ分布の存在に基づき、凝集ウイルス粒子の存在または非存在を同定するステップ;
    e.i.非凝集ウイルス粒子を含む試料について、前記サイズ分布の最大重量および/もしくは前記サイズ分布の積分重量を決定するか、または
    ii.凝集ウイルス粒子を含む試料について、前記サイズ分布の積分重量を決定するステップ;
    f.(i)前記試料についての前記サイズ分布の前記最大重量を、参照のサイズ分布の最大重量と比較し、かつ/または(ii)前記試料についての前記サイズ分布の前記積分重量を、参照のサイズ分布の積分重量と比較し、これにより、前記試料中の前記ウイルス粒子を定量化するステップ;
    を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 請求項3の(a)において、密度勾配、好ましくはスクロース密度勾配を用いて前記粒子を分離する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記密度勾配が、
    a)塩、好ましくは塩化ナトリウム、および/または
    b)バッファー、好ましくはリン酸ナトリウム
    をさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  6. 分離流体のpHがpH3〜9の間である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記試料を、生物学的分子に対する特異性を増強させてあり、検出可能な標識を含む化合物で処理する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記検出可能な標識が蛍光標識である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記粒子検出器が蛍光検出器である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ディスク遠心分離機が光沈降速度計である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記粒子検出器が、300〜600nmの範囲の検出波長を用いる、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記ウイルスがインフルエンザウイルスである、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  13. 元のウイルス出発材料より小さい粒子サイズの比率において相対的増大を検出することにより、ウイルス粒子全体が破壊されたのかどうかを検出するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  14. 試料中の汚染ウイルス粒子の存在または非存在を検出するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  15. 試料中の汚染微生物粒子の存在または非存在を検出するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記試料が、分割剤で処理されている、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記試料が、分割された粒子を含むのかどうかを決定するための、請求項16に記載の方法。
  18. 化合物の分割効率を決定するための、請求項16または請求項17に記載の方法。
  19. 生物学的粒子の分割に対する感受性を決定するための、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 抗原が(1または複数の)アジュバント粒子へと吸着されているのかどうかを同定するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記試料中における、(1または複数の)アジュバント粒子へと吸着されている抗原の比率を同定するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  22. (a)アジュバント粒子および抗原を含む試料へと、(i)アジュバント粒子には結合するが、(ii)可溶性抗原には結合せず、(iii)検出可能な標識を含む(1または複数の)化合物を導入するステップと、
    (b)前記試料中の粒子をディスク遠心分離により分離するステップと、
    (c)(1または複数の)前記検出可能な標識を検出するのに適する粒子検出器を用いて前記粒子を検出するステップと、
    (d)粒子サイズ分布を測定するステップと、
    (e)(i)抗原へと吸着されていないアジュバント粒子、
    および/または
    (ii)抗原が吸着されているアジュバント粒子
    に対応する(1または複数の)粒子サイズ分布の存在または非存在を同定するステップと、場合により、
    (f)抗原が吸着されているアジュバント粒子の比率を同定するステップと
    を含む、請求項20または請求項21に記載の方法。
  23. 前記アジュバントがアルミニウム塩である、請求項22に記載の方法。
  24. (a)アジュバント粒子および抗原を含む試料へと、(i)抗原には結合するが、(ii)アジュバントには結合せず、(iii)検出可能な標識を含む(1または複数の)化合物を導入するステップと、
    (b)前記試料中の粒子をディスク遠心分離により分離するステップと、
    (c)(1または複数の)前記検出可能な標識を検出するのに適する粒子検出器を用いて前記粒子を検出するステップと、
    (d)粒子サイズ分布を測定するステップと、
    (e)(i)アジュバントへと吸着されていない抗原、
    および/または
    (iii)アジュバント粒子へと吸着されている抗原
    に対応する(1または複数の)粒子サイズ分布の存在または非存在を同定するステップと、場合により、
    (f)アジュバントへと吸着されている抗原の比率を同定するステップと
    を含む、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. (i)抗原には結合するが、(ii)アジュバントには結合せず、(iii)検出可能な標識を含む(1または複数の)前記化合物が、タンパク質特異的および/または核酸特異的である、請求項24に記載の方法。
  26. ワクチンの製造における使用のための、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  27. ウイルス粒子の定量化をリアルタイムで実施する、請求項26に記載の方法。
  28. ワクチンを製造するためのプロセスであって、
    (i)先行する請求項のいずれか一項に記載の方法を用いることにより、バルク材料から採取される試料中の非凝集ウイルス粒子および/または凝集ウイルス粒子を定量化するステップと、
    (ii)場合により、前記試料中のウイルス粒子の量に基づき、前記バルク材料中の前記ウイルス粒子の濃度を、ワクチン組成物中で用いるのに適する濃度へと調整するステップと、
    (iii)前記ワクチンを前記バルク材料から調製するステップと
    を含む、プロセス。
  29. ディスク遠心分離機を用いて粒子密度および/または粒子サイズを決定するための方法であって、
    a.少なくとも2つの異なる分離流体中の試料の沈降速度を測定するステップであって、前記流体が、異なるレオロジー特性を有する、ステップ;
    b.回帰分析、好ましくは線形回帰分析を実施するステップ、
    を含む方法。
  30. 粒子の沈殿速度を決定するための方法であって、
    a.沈降出発点から検出器までの距離を測定するステップ;
    b.保持時間を決定するステップ;
    c.ステップ(a)から得られる値を、ステップ(b)から得られる値で除するステップ、
    を含む、方法。
  31. 密度および/またはサイズの変化において現れる精子形態の同定に使用するための、請求項29または請求項30に記載の方法。
  32. (i)精液試料中の精子の密度および/またはサイズを参照と比較するステップと、(ii)前記精液試料中の非典型的な精子の密度および/またはサイズの同定とを含む、請求項31に記載の方法、
    精液試料中の精子粒子を特徴付ける方法であって、
    (a)前記精液試料中の粒子を、ディスク遠心分離により分離するステップと、
    (b)粒子検出器を用いて前記粒子を検出するステップと、
    (c)粒子サイズ分布を測定するステップと、
    (d)i.単一モードのサイズ分布の存在に基づき、非凝集精子粒子の存在または非存在を同定し、かつ/または
    ii.多モードのサイズ分布の存在に基づき、凝集精子粒子の存在または非存在を同定し、ならびに/あるいは
    iii.非凝集精子粒子を含む試料について、前記サイズ分布の最大重量および/もしくは前記サイズ分布の積分重量を決定するか、または
    iv.凝集精子粒子を含む試料について、前記サイズ分布の積分重量を決定するステップと、
    v.前記試料についての前記サイズ分布の最大重量を、参照のサイズ分布の最大重量と比較するか、または
    vi.前記試料についての前記サイズ分布の積分重量を、参照のサイズ分布の積分重量と比較し、
    これにより、前記試料中の前記ウイルス粒子を定量化するステップと、
    場合により、
    (A)精子粒子のサイズの変動および/または精子粒子の密度の変動を測定するステップと、
    (B)前記精子粒子のサイズの変動および/または精子粒子の密度の変動を、参照の精子粒子のサイズの変動および/または精子粒子の密度の変動と比較し、
    これにより、前記試料中の均質でない精子集団の存在または非存在を同定するステップと
    を含む、方法。
  33. 密度および/またはサイズの変化において現れる精子形態を、ディスク遠心分離機を用いて同定する方法であって、
    a.精液試料中の精子粒子の沈降速度を測定するステップと、
    b.前記精液試料中の精子粒子の前記沈降速度を、沈降速度が公知である参照の沈降速度と比較するステップと、
    c.前記精液試料中の前記精子粒子の観察された沈降速度が、前記精液試料中の前記精子粒子の、前記参照に基づき予測される沈降速度と異なるのかどうかを同定するステップと
    を含む、方法。
  34. 生物学的試料中の異常な粒子サイズ、異常な粒子密度、および/または異常な粒子量を、ディスク遠心分離機を用いて同定する方法であって、
    a.生物学的試料の粒子サイズ分布を測定するステップと、
    b.前記生物学的試料の前記粒子サイズ分布を、対照の粒子サイズ分布と比較するステップと、
    c.前記生物学的試料中の前記粒子の前記粒子サイズ分布が、対照試料の粒子サイズ分布と異なるのかどうかを同定するステップと、
    d.前記生物学的試料が、前記対照と比較して、異常に高レベルの粒子を含有するのか、異常に低レベルの粒子を含有するのか、正常レベルの粒子を含有するのかを決定するステップと
    を含む、方法。
  35. 前記生物学的試料が、精子試料、血液試料、または唾液試料である、請求項34に記載の方法。
  36. 先行する請求項のいずれか一項に記載の方法による使用のための、ディスク遠心分離機。
  37. 請求項26もしくは請求項27に記載の方法または請求項28に記載のプロセスにより作製されるワクチン組成物。
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