JP2014530603A - Hiv感染を制御するための方法および組成物 - Google Patents

Hiv感染を制御するための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

ヌクレアーゼを使用して、抗HIV導入遺伝子が細胞のゲノム内に組み込まれる、HIV感染のおよび/または複製を制御するための方法および組成物。細胞におけるHIVの感染または複製を阻害する方法が提供され、この方法は、前記細胞のゲノム内の標的部位に抗HIV導入遺伝子を導入することを含み、前記抗HIV導入遺伝子は、天然には存在しないジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)による標的部位の二本鎖切断の後に前記ゲノム内に組み込まれ、さらに、抗HIV導入遺伝子は、前記細胞内で発現され、それによってHIVの感染または複製を阻害する。【選択図】 なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2011年10月6日に出願された米国特許仮出願第 号の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、抗HIV分子のゲノムへの組込みを含む、ゲノム編集の分野に関する。
ゲノムDNAの標的切断のための種々の方法および組成物が記載されている。そのような標的切断事象は、例えば、所定の染色体座において、標的変異誘発を誘導するため、細胞DNA配列の標的欠失を誘発するため、および標的組換えを促進するために使用することができる。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6を参照されたい(それらの開示は、あらゆる目的のために、参照によりその全体が組み込まれる)。
そのような方法は、HIVの感染および複製を調節するために、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)受容体CCR5およびCXCR4のジンクフィンガーヌクレアーゼによって媒介される不活性化に適用されてきた(例えば、特許文献7および特許文献8をそれぞれ参照のこと)。
米国特許出願公開第2003/0232410号明細書 米国特許出願公開第2005/0208489号明細書 米国特許出願公開第2005/0026157号明細書 米国特許出願公開第2005/0064474号明細書 米国特許出願公開第2006/0188987号明細書 国際公開第2007/014275号 米国特許第7,951,925号明細書 米国特許出願公開第2010/0291048号明細書
しかしながら、HIVの感染および/または複製を調節するために、導入遺伝子、特にHIV阻害剤を発現させるために使用することのできるさらなる方法および組成物の必要性が依然として存在する。
本明細書に開示されるのは、抗HIVの方法および組成物である。したがって、一態様において、標的部位(複数可)における1つ以上の抗HIV導入遺伝子の組込みを促進するために、DNA結合タンパク質と、1つ以上の標的部位でゲノムを切断する際に使用するための切断ドメインまたは切断ハーフドメインとを含むヌクレアーゼが本明細書に記載される。特定の実施形態において、DNA結合ドメインは、ヌクレアーゼが、細胞のゲノム内の関心領域(例えば、CCR5もしくはCXCR4遺伝子等のHIV受容体遺伝子および/またはセーフハーバー遺伝子)に結合して切断するジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)であるように、ジンクフィンガータンパク質を含む。例えば、米国特許第7,951,925号を参照されたい。他の実施形態において、DNA結合ドメインは、ゲノム内の関心領域(CCR5もしくはCXCR4遺伝子等のHIV受容体遺伝子および/またはセーフハーバー遺伝子)内の標的部位に結合するTALEタンパク質(転写活性化因子様)を含み、TALEは、1つ以上の遺伝子操作されたTALE結合ドメインを含む。一実施形態において、TALEは、対象とする標的ゲノム領域を切断するヌクレアーゼ(TALEN)であり、TALENは、1つ以上の遺伝子操作されたTALE DNA結合ドメインと、ヌクレアーゼ切断ドメインまたは切断ハーフドメインとを含む。切断ドメインおよび切断ハーフドメインは、例えば、種々の制限エンドヌクレアーゼおよび/またはホーミングエンドヌクレアーゼから得ることができる。一実施形態において、切断ハーフドメインは、IIS型制限エンドヌクレアーゼ(例えば、Fok I)に由来する。特定の実施形態において、ジンクフィンガーおよび/またはTALE DNA結合ドメインは、HIV受容体遺伝子、例えばCCR5またはCXCR4内の標的部位を認識する。他の実施形態において、ジンクフィンガーおよび/またはTALE DNA結合ドメインは、セーフハーバー遺伝子、例えば、CCR5遺伝子、PPP1R12C(AAV S1としても知られている)遺伝子−Rosa26遺伝子、HPRT遺伝子(米国仮特許出願第61/556,691号)、またはアルブミン遺伝子を認識する。例えば、米国特許第7,951,925号、ならびに米国特許公開第20080159996号、同201000218264号、ならびに米国特許出願第13/624,193号および同13/624,217号を参照されたい。本明細書に記載されるようなZFNおよび/またはTALENは、遺伝子内のまたは遺伝子に隣接するコード領域もしくは非コード領域内の関心領域、例えば、リーダー配列、トレーラー配列、もしくはイントロン等、あるいはコード領域の上流または下流のいずれかの非転写領域内の関心領域に結合および/または切断することができる。
別の態様において、本明細書に記載されるジンクフィンガーおよび/またはTALEヌクレアーゼのうちの1つ以上を含む組成物が本明細書に記載される。特定の実施形態において、組成物は、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて1つ以上のジンクフィンガーおよび/またはTALEヌクレアーゼを含む。いくつかの実施形態において、組成物はZFNおよび/またはTALENを含む。他の実施形態において、組成物は、ZFNおよび/またはTALENをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、前記組成物中の核酸はmRNAであり、他の実施形態において、核酸はDNAである。
別の態様において、本明細書に記載される1つ以上のZFNおよび/またはTALENをコードするポリヌクレオチドが本明細書に記載される。ポリヌクレオチドは、例えば、mRNAであってもよい。
別の態様において、プロモーターに作動的に連結された本明細書に記載される1つ以上のZFNおよび/またはTALENをコードするポリヌクレオチドを含むZFNおよび/またはTALEN発現ベクターが本明細書に記載される。一実施形態において、発現ベクターは、ウイルスベクターである。一態様において、ウイルスベクターは、組織特異的な指向性を示す。
別の態様において、1つ以上のZFNおよび/またはTALEN発現ベクターを含む宿主細胞が本明細書に記載される。宿主細胞は、1つ以上のZFNまたはTALEN発現ベクターを用いて安定に変換されるか、または一過性にトランスフェクトされるか、またはそれらの組み合わせであり得る。一実施形態において、宿主細胞は、幹細胞、例えば、造血幹細胞/前駆細胞(例えば、CD34+)である。他の実施形態において、1つ以上のZFNおよび/またはTALEN発現ベクターは、宿主細胞において1つ以上のZFNおよび/またはTALENを発現させる。別の実施形態において、宿主細胞は、外因性ポリヌクレオチドドナー配列をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼは、精製されたタンパク質として宿主細胞に送達される。
別の態様において、ZFNおよび/またはTALENを用いた標的切断の後に抗HIV導入遺伝子(「ドナー」配列)がゲノムに挿入されるように、本明細書に記載されるようなZFNもしくはTALEN(または前記ZFNもしくはTALENをコードするベクター)を使用して細胞のゲノムに抗HIV導入遺伝子を挿入するための方法が本明細書に記載される。ドナー配列は、ZFNもしくはTALENベクターに存在してもよいか、別個のベクター(例えば、Ad、AAV、もしくはLVベクター)に存在してもよいか、または代替として、異なる核酸送達機構を使用して細胞に導入されてもよい。標的遺伝子座(例えば、CCR5、CXCR4、他のセーフハーバー遺伝子等)へのそのようなドナーヌクレオチド配列の挿入は、標的遺伝子座(例えば、CCR5、CXCR4)の遺伝子制御要素の制御下における導入遺伝子の発現をもたらす。他の実施形態において、ドナー配列は、抗HIV遺伝子を駆動するためのプロモーターを含む。プロモーターは、構成的であってもよいか、または制御可能(誘導的)であってもよい。いくつかの実施形態において、ドナーは、相同性依存型組換え(HDR)を介して挿入され、他の実施形態において、ドナーは、ヌクレアーゼによって誘導される切断後に、非相同末端結合(NHEJ)の間に捕捉される。他の実施形態において、ドナーは、組成物中に供給される。いくつかの実施形態において、組成物はドナーおよびヌクレアーゼを含み、他の実施形態において、組成物はヌクレアーゼを含まずにドナーを含む。
別の態様において、細胞におけるHIVの複製および/または感染を阻害する方法が本明細書に記載され、該方法は、細胞において導入遺伝子が発現され、HIVの複製および/または感染を阻害するように、ヌクレアーゼを使用して細胞に抗HIV導入遺伝子を組み込むことを含む。いくつかの実施形態において、細胞を処理するために、ヌクレアーゼおよび/またはドナーを含む組成物(複数可)が使用される。ドナー組成物は、ヌクレアーゼ組成物とともに与えられてもよいか、または連続的に与えられてもよい。HIVの感染および/または複製を治療または予防する方法も提供される。
本明細書に記載される方法のいずれにおいても、抗HIV導入遺伝子は、HIVポリタンパク質を抑制するジンクフィンガー転写因子をコードする配列、HIV受容体の発現を抑制するジンクフィンガー転写因子をコードする配列、CCR5リボザイム、HIVポリタンパク質を標的とするsiRNA配列、Trim5アルファ(Trim5α)制限因子をコードする配列、APOBEC3G制限因子をコードする配列、RevM10タンパク質をコードする配列、他の抗HIV遺伝子、自殺カセット、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
いくつかの態様において、導入遺伝子は、RNA分子、例えば、HIVの感染および/または複製を阻害する低分子干渉RNA(siRNA)または低分子ヘアピン型RNA(shRNA)をコードする。他の態様において、導入遺伝子は、対象とする治療タンパク質(例えば、ジンクフィンガータンパク質転写因子、制限因子、HIVタンパク質、またはHIV変異タンパク質(例えば、RevM10)等)をコードし得る。導入遺伝子は、本発明の方法をタンパク質置換のために使用することができるように、タンパク質をコードし得る。他の態様において、導入遺伝子は、配列(RNAまたは発現されたタンパク質)が、発現されたタンパク質またはRNAに新規の望ましい特徴(半減期の延長、血漿クリアランス特性の変化等)を与える特徴を有するように、遺伝子操作された配列を含み得る。
本明細書に記載される方法および組成物のいずれにおいても、細胞は、例えば、造血幹細胞/前駆細胞(例えば、CD34細胞)、T細胞(例えば、CD4T細胞)、マクロファージ、樹状細胞、もしくは抗原提示細胞、またはK562(慢性骨髄性白血病)、HEK293(胚性腎臓)、PM−1(CD4T細胞)、THP−1(単球性白血病)、SupT1(T細胞リンパ芽球性リンパ腫)、もしくはGHOST(骨肉腫)等の細胞株であり得る。特定の実施形態において、細胞は幹細胞である。本発明の方法および組成物とともに使用され得る特定の幹細胞の種類は、胚性幹細胞(ESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、および造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)を含む。iPSCは、患者試料または正常対照に由来してもよく、患者由来のiPSCは、対象とする遺伝子において野生型配列を得るように遺伝子組み換えすることができるか、または正常細胞は、対象とする遺伝子において既知の疾患の対立遺伝子に改変することができる。同様に、HSPCは、患者から単離することもできる。これらの細胞は、次いで、対象とする導入遺伝子を発現するように遺伝子操作され、増殖され、次いで、患者の中に再導入される。
本明細書に記載される方法のいずれにおいても、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(複数可)および/またはTALEN(複数可)をコードするポリヌクレオチドは、DNA、RNA、またはそれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドはプラスミドを含む。他の実施形態において、ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドはmRNAを含む。
抗HIV導入遺伝子、ZFNおよび/またはTALENを含むキットも提供される。キットは、ZFNまたはTALENをコードする核酸(例えば、好適な発現ベクターに含有される遺伝子をコードするRNA分子またはZFNまたはTALEN)、ドナー分子、好適な宿主細胞株、本発明の方法を実行するための指示等を含んでもよい。
当業者は、本開示を全体として考慮すると、これらおよび他の態様を容易に理解するであろう。
ゲノム修飾、特に、抗HIV組成物および方法(すなわち、HIVの感染力および/または複製を調節する組成物)のための外因性配列の挿入が、本明細書に開示される。
したがって、CCR5またはCXCR4遺伝子座のヌクレアーゼによって媒介される不活性化(例えば、米国特許第7,951,925号)に加えて、本発明は、CCR5もしくはCXCR4が修飾された細胞に改善された抗HIV特性を提供するため、移植前もしくは移植後の修飾細胞を積極的に選択して濃縮するための能力を提供するため、および/または、例えば、小分子薬を使用して、修飾細胞の陰性選択を可能にするために改善された安全措置を組み入れるための、1つ以上の導入遺伝子の挿入に関与する。T細胞またはヌクレアーゼ修飾HSPCの子孫において、レトロウイルスの生活環のいくつかの段階でHIVを標的とするための多岐に渡るアプローチを使用することにより、CCR5栄養性もしくはCXCR4栄養性である状態から両方の共受容体に対する二重指向性を有するように進化するか、または共受容体指向性を変化させる(例えば、CCR5栄養性が進化してCXCR4指向性になる)単一の治療的物質またはウイルスへの長期または反復暴露の後にしばしば観察される耐性ウイルスの出現に関連する問題を克服することができる。また、組込み前の段階でウイルスを阻止する進入経路および進入後経路内の複数段階を標的とすることにより、これら細胞に、ウイルス感染が疾患の初期段階および後期段階において生じると考えられてきた免疫系の末梢血および組織(例えば、腸管リンパ節および胸腺)における大きな選択的または長期の生存優位性を提供することができる。
さらに、最終的な対象への移植に使用するために、いずれの抗HIV導入遺伝子が、患者由来細胞、例えば、患者由来の造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)または他の種類の幹細胞(非限定的なセットとして、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、神経幹細胞、または間葉系幹細胞)に導入されてもよい。導入遺伝子は、限定されないが、好ましくは、CCR5および/またはCXCR4が不活性化される細胞内のCCR5遺伝子または他のセーフハーバー遺伝子を含む、これらの細胞内の任意の関心領域に導入されてもよい。これらのex vivo改変幹細胞は、例えば、分化の前または後に、対象に再注入することができる。また、抗HIV導入遺伝子は、最終的な対象への注入に使用するために、患者由来T細胞に導入することができる。導入遺伝子は、限定されないが、好ましくは、CCR5および/またはCXCR4が不活性化される細胞内のCCR5遺伝子または他のセーフハーバー遺伝子を含む、これらの細胞内の任意の関心領域に導入されてもよい。これらの改変されたT細胞は、次いで、ex vivoで増殖させ、必要とする対象に注入することができる。代替として、導入遺伝子は、特定の組織を標的とするウイルスまたは他の送達系の使用によって、所望の通りにin vivoで対象に定方向であってもよい。
概要
本明細書に開示される方法の実践ならびに組成物の調製および使用は、別途指示のない限り、分子生物学、生化学、クロマチン構造および分析、計算化学、細胞培養、組換えDNA、ならびに当該分野の技術の範囲内である関連分野における従来の技術を用いる。これらの技術は、文献に完全に説明されている。例えば、Sambrook et al.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989およびThird edition,2001、Ausubel et al.CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,New York,1987および定期改訂版、METHODS IN ENZYMOLOGYシリーズ、Academic Press,San Diego、Wolffe,CHROMATIN STRUCTURE AND FUNCTION,Third edition,Academic Press,San Diego,1998、METHODS IN ENZYMOLOGY,Vol.304,“Chromatin”(P.M.Wassarman and A.P.Wolffe,eds.),Academic Press,San Diego,1999、ならびにMETHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol.119,“Chromatin Protocols”(P.B.Becker,ed.)Humana Press,Totowa,1999を参照されたい。
定義
「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、交換可能に使用され、線状または環状構造であり、かつ一本鎖または二本鎖形態のいずれかである、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーを指す。本開示の目的のために、これらの用語は、ポリマーの長さに関して限定的であると解釈されるべきではない。この用語は、天然ヌクレオチドの既知の類似体、ならびに塩基部分、糖部分および/またはリン酸部分において修飾されるヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート骨格)を包含することができる。一般に、特定のヌクレオチドの類似体は、同じ塩基対形成特異性を有する:すなわち、Aの類似体は、Tと塩基対形成する。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために交換可能に使用される。この用語はまた、1つ以上のアミノ酸が、対応する天然に存在するアミノ酸の化学的類似体または修飾誘導体である、アミノ酸ポリマーにも適用される。
「結合」は、高分子間(例えば、タンパク質と核酸との間)の配列特異的、非共有結合的な相互作用を指す。相互作用が全体として配列特異的である限り、結合相互作用の全ての構成要素が配列特異的である必要はない(例えば、DNA骨格内のリン酸残基との接触)。そのような相互作用は、一般に、10−6−1以下の解離定数(K)によって特徴付けられる。「親和性」は、結合の強度を指す:結合親和性の増加は、Kの低下と相関している。
「結合タンパク質」は、別の分子に非共有結合的に結合することができるタンパク質である。結合タンパク質は、例えば、DNA分子(DNA結合タンパク質)、RNA分子(RNA結合タンパク質)、および/またはタンパク質分子(タンパク質結合タンパク質)に結合することができる。タンパク質結合タンパク質の場合、それは、自身に結合することができ(ホモ二量体、ホモ三量体等を形成するため)、かつ/または、それは、異なるタンパク質(単数または複数)の1つ以上の分子に結合することができる。結合タンパク質は、1つより多くの種類の結合活性を有することができる。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA結合活性、RNA結合活性、およびタンパク質結合活性を有する。
「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」(または結合ドメイン)は、亜鉛イオンの配位によってその構造が安定化される結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である1つ以上のジンクフィンガーを介して配列特異的な様式でDNAに結合する、タンパク質またはより大きなタンパク質内のドメインである。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語は、しばしば、ジンクフィンガータンパク質またはZFPと省略される。
「TALE DNA結合ドメイン」または「TALE」は、1つ以上のTALE反復ドメイン/単位を含むポリペプチドである。反復ドメインは、TALEの、その同族の標的DNA配列への結合に関与する。単一の「反復単位」(「反復」とも称される)は、典型的には33〜35アミノ酸長であり、天然に存在するTALEタンパク質内の他のTALE反復配列に少なくともある程度の配列相同性を示す。例えば、米国特許公開第20110301073号(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
ジンクフィンガーおよびTALE結合ドメインは、例えば、天然に存在するジンクフィンガーまたはTALEタンパク質の認識へリックス領域の遺伝子操作(1つ以上のアミノ酸をの改変)を介して、所定のヌクレオチド配列に結合するように「遺伝子操作」することができる。したがって、遺伝子操作されたDNA結合タンパク質(ジンクフィンガーまたはTALE)は、天然には存在しないタンパク質である。DNA結合タンパク質を遺伝子操作するための方法の非限定的な例は、設計および選択である。設計されたDNA結合タンパク質は、その設計/組成が、主として合理的基準によってもたらされる、天然には存在しないタンパク質である。設計のための合理的基準は、置換規則の適用、ならびに既存のZFPおよび/またはTALEの設計および結合データの情報を格納するデータベース内で情報を処理するためのコンピュータアルゴリズムの適用を含む。例えば、米国特許第6,140,081号、同第6,453,242号、および同第6,534,261を参照されたく、また、国際公開第WO98/53058号、同第WO98/53059号、同第WO98/53060号、同第WO02/016536号、および同第WO03/016496、ならびに米国特許公開第20110301073号も参照されたい。
「選択された」ジンクフィンガータンパク質またはTALEは、その生成が、主としてファージディスプレイ、相互作用トラップ、またはハイブリッド選択等の実験プロセスからもたらされる、天然には見られないタンパク質である。例えば、米国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,200,759号、国際公開第WO95/19431号、同第WO96/06166号、同第WO98/53057号、同第WO98/54311号、同第WO00/27878号、同第WO01/60970号、同第WO01/88197号、同第WO02/099084号、および米国特許公開第20110301073号を参照されたい。
「組換え」は、2つのポリヌクレオチド間における遺伝子情報の交換のプロセスを指す。この開示の目的のために、「相同組換え(HR)」は、例えば、相同性指向性の修復機構を介して細胞内の二本鎖切断の修復中に起こる、そのような交換の特殊な形態を指す。このプロセスは、ヌクレオチド配列相同性を必要とし、「標的」分子(すなわち、二本鎖切断を経験した分子)の鋳型修復のために「ドナー」分子を使用し、ドナーから標的への遺伝子情報の伝達をもたらすため、「非交差遺伝子変換」または「ショートトラクト遺伝子変換」として様々に知られている。いずれか特定の理論に拘束されることを望むものではないが、そのような伝達は、切断された標的とドナーとの間に形成するヘテロ二重鎖DNAのミスマッチ修正、および/または、標的の一部になる遺伝子情報を再合成するためにドナーが使用される「合成依存鎖アニーリング」、および/または関連プロセスに関与し得る。そのような特殊なHRは、しばしば、ドナーポリヌクレオチドの配列の一部または全てが標的ポリヌクレオチドに組み込まれるように、標的分子の配列の改変をもたらす。
本開示の方法において、本明細書に記載されるような1つ以上の標的ヌクレアーゼは、所定の部位において標的配列(例えば、細胞クロマチン)に二本鎖切断を作製し、該切断領域内のヌクレオチド配列と相同性を有する抗HIV導入遺伝子(「ドナー」ポリヌクレオチド)を細胞に導入することができる。二本鎖切断の存在は、ドナー配列の組込みを促進することが示されている。ドナー配列は、物理的に組み込まれてもよいか、または代替として、ドナーポリヌクレオチドは、相同組換えを介した切断の修復のための鋳型として使用され、その結果、ドナー内のヌクレオチド配列の全てまたは一部の細胞クロマチンへの導入をもたらす。したがって、細胞クロマチン内の第1の配列は、改変することができ、特定の実施形態において、ドナーポリヌクレオチド内に存在する配列に変換することができる。したがって、「置換する」または「置換」という用語の使用は、あるヌクレオチド配列の、別のヌクレオチド配列による置換(すなわち、情報の意味における配列の置換)を表すと理解されてもよく、あるポリヌクレオチドの、別のポリヌクレオチドによる物理的または化学的置換は必ずしも必要ではない。
本明細書に記載される方法のいずれにおいても、細胞内のさらなる標的部位のさらなる二本鎖切断のために、ジンクフィンガーまたはTALENタンパク質のさらなる対が使用され得る。
細胞クロマチン内の関心領域内の配列の標的組換えおよび/または置換および/または改変のための方法の特定の実施形態において、染色体配列は、外因性抗HIV導入遺伝子または「ドナー」ヌクレオチド配列を用いた相同組換えによって改変される。切断領域に対する配列相同性が存在する場合、そのような相同組換えは、細胞クロマチン内の二本鎖切断の存在によって刺激される。
本明細書に記載される方法のいずれにおいても、抗HIV導入遺伝子(「ドナー配列」としても知られる)は、関心領域のゲノム配列と相同ではあるが同一ではない配列を含有することができ、それによって、関心領域内に非同一配列を挿入するための相同組換えを促進する。したがって、特定の実施形態において、関心領域内の配列と相同なドナー配列の一部は、置換されるゲノム配列に約80〜99%(またはその間の任意の整数)の配列同一性を示す。他の実施形態において、例えば、100を超える連続的な塩基対のドナー配列とゲノム配列との間で1つのヌクレオチドのみが異なる場合、ドナー配列とゲノム配列との間の相同性は99%よりも高い。特定の場合、新しい配列が関心領域に導入されるように、ドナー配列の非相同部分は、関心領域には存在しない配列を含有することがでる。これらの場合、非相同配列は、一般に、50〜1,000塩基対(もしくはその間の任意の整数値)の配列、または関心領域内の配列と相同もしく同一である1,000を超える任意の数の塩基対によって隣接される。他の実施形態において、ドナー配列は、第1の配列と非相同であり、非相同組換え機構によってゲノム内に挿入される。
また、抗HIV導入遺伝子が組み込まれる本明細書に記載される細胞は、例えば、1つ以上の対象とする遺伝子の発現を妨害する導入遺伝子の標的組込みによる、細胞内の1つ以上の標的配列の部分的または完全な不活性化によって修飾されてもよい。部分的または完全に不活性化された遺伝子を含む細胞株もまた提供される。
さらに、本明細書に記載されるような標的組込みの方法は、1つ以上の外因性配列(「導入遺伝子」または「ドナー」とも称される)を組み込むためにも使用することができる。外因性核酸配列は、例えば、1つ以上の遺伝子もしくはcDNA分子、または任意の種類のコードもしくは非コード配列、および1つ以上の制御要素(例えば、プロモーター)を含むことができる。また、外因性核酸配列(「導入遺伝子」とも称される)は、1つ以上のRNA分子(例えば、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、阻害性RNA(RNAis)、マイクロRNA(miRNA)等)を生成し得る。
「切断」は、DNA分子の共有結合骨格の破壊を指す。切断は、限定されないが、リン酸ジエステル結合の酵素加水分解または化学的加水分解を含む、様々な方法によって開始することができる。一本鎖切断および二本鎖切断の両方が可能であり、二本鎖切断は、2つの別個の一本鎖切断事象の結果として生じる可能性がある。DNA切断は、平滑末端または付着端のいずれかの生成をもたらし得る。特定の実施形態において、融合ポリペプチドが、標的とする二本鎖DNA切断に用いられる。
「切断ハーフドメイン」は、第2のポリペプチド(同一または異なる)と組み合わさって、開裂活性(好ましくは、二本鎖開裂活性)を有する複合体を形成するポリペプチド配列である。「第1および第2の切断ハーフドメイン」、「+および−切断ハーフドメイン」、ならびに「右および左切断ハーフドメイン」という用語は、二量体化する切断ハーフドメインの対を指すために交換可能に使用される。
「遺伝子操作された切断ハーフドメイン」は、別の切断ハーフドメイン(例えば、別の遺伝子操作された切断ハーフドメイン)とともに偏性ヘテロ二量体を形成するように修飾された切断ハーフドメインである。米国特許公開第2005/0064474号、同第20070218528号、同第2008/0131962号、および同第2011/0201055号(参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
「配列」という用語は、任意の長さのヌクレオチド配列を指し、DNAまたはRNAであってもよく、線状、環状、または分岐状であってもよく、一本鎖または二本鎖のいずれかであってもよい。「導入遺伝子」または「ドナー配列」という用語は、ゲノムに挿入されるヌクレオチド配列を指す。ドナー配列は、任意の長さであり得、例えば、2〜10,000ヌクレオチド長(または、その間もしくはそれ以上の任意の整数値)、好ましくは、約100〜1,000ヌクレオチド長(または、その間の任意の整数)、より好ましくは、約200〜500ヌクレオチド長であってもよい。
「クロマチン」は、細胞ゲノムを含む核タンパク質構造である。細胞クロマチンは、核酸、主としてDNA、ならびにヒストンおよび非ヒストン染色体タンパク質を含むタンパク質を含む。真核細胞クロマチンの大半は、ヌクレオソームの形態で存在し、ヌクレオソームコアは、ヒストンH2A、H2B、H3、およびH4のうちのそれぞれ2つを含む八量体と会合した約150塩基対のDNAを含み、(生物に依存して可変長の)リンカーDNAは、ヌクレオソームコアの間に延在する。ヒストンH1の分子は、一般に、リンカーDNAと会合している。本開示の目的のために、「クロマチン」という用語は、原核および真核の両方の、あらゆる種類の細胞核タンパク質を包含することが意図される。細胞クロマチンは、染色体クロマチンおよびエピソームクロマチンの両方を含む。
「染色体」は、細胞のゲノムの全てまたは一部を含むクロマチン複合体である。細胞のゲノムは、該細胞のゲノムを含む全ての染色体の集合であるその核型によって特徴付けられることが多い。細胞のゲノムは、1つ以上の染色体を含むことができる。
「エピソーム」は、複製する核酸、核タンパク質複合体、または細胞の染色体核型の一部ではない核酸を含む他の構造である。エピソームの例は、プラスミドおよび特定のウイルスゲノムを含む。
「標的部位」または「標的配列」は、結合のための十分な条件が存在する場合に結合分子が結合する核酸の一部を定義する核酸配列である。
「外因性」分子は、通常は細胞内に存在しないが、1つ以上の遺伝学的方法、生化学的方法、または他の方法によって細胞内に導入することができる分子である。「通常は細胞内に存在する」は、細胞の特定の発達段階および環境条件に関して判定される。したがって、例えば、筋肉の胚発生の間だけ存在する分子は、成体筋細胞に対する外因性分子である。同様に、熱ショックによって誘導される分子は、非熱ショック細胞に対する外因性分子である。外因性分子は、例えば、機能不全型内因性分子の機能型、または正常機能型内因性分子の機能不全型を含むことができる。
外因性分子は、とりわけ、小分子(コンビナトリアル化学プロセスによって生成されるもの等)、または高分子(タンパク質、核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、多糖、上記分子の任意の修飾誘導体)、または上記分子のうちの1つ以上を含む任意の複合体等であってもよい。核酸は、DNAおよびRNAを含み、一本鎖または二本鎖であってもよく、線状、分岐状、または環状であってもよく、任意の長さであってもよい。核酸は、二重鎖を形成することができるもの、および三重鎖形成核酸を含む。例えば、米国特許第5,176,996号および同第5,422,251号を参照されたい。タンパク質は、限定されないが、DNA結合タンパク質、転写因子、クロマチン再構成因子、メチル化DNA結合タンパク質、ポリメラーゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、アセチラーゼ、デアセチラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、リガーゼ、トポイソメラーゼ、ジャイレース、およびヘリカーゼを含む。
外因性分子は、内因性分子と同じ種類の分子、例えば、外因性タンパク質または核酸であってもよい。例えば、外因性核酸は、感染ウイルスゲノム、細胞内に導入されたプラスミドもしくはエピソーム、または通常は細胞内に存在しない染色体を含むことができる。細胞内に外因性分子を導入するための方法は、当業者に既知であり、限定されないが、脂質介在性導入(すなわち、中性脂質および陽イオン性脂質を含むリポソーム)、電気穿孔、直接注入、細胞融合、粒子衝突、リン酸カルシウム共沈、DEAE−デキストラン介在性導入、およびウイルスベクター介在性導入を含む。また、外因性分子は、内因性分子と同じ種類の分子であってもよいが、細胞が由来するものとは異なる種に由来してもよい。例えば、ヒト核酸配列が、もともとマウスまたはハムスターに由来する細胞株に導入されてよい。
対照的に、「内因性」分子は、特定の環境条件下で特定の発達段階にある特定の細胞中に通常存在する分子である。例えば、内因性核酸は、染色体、ミトコンドリア、クロロプラスト、もしくは他の細胞小器官のゲノム、または天然に存在するエピソーム核酸を含むことができる。さらなる内因性分子は、タンパク質、例えば、転写因子および酵素を含むことができる。
「融合」分子は、好ましくは共有結合的に、2つ以上のサブユニット分子が連結した分子である。サブユニット分子は、同じ化学型の分子であってもよいか、または異なる化学型の分子であってもよい。第1の型の融合分子の例として、限定されないが、融合タンパク質(例えば、ZFPまたはTALE DNA結合ドメインと1つ以上の活性化ドメインとの間の融合物)および融合核酸(例えば、上述の融合タンパク質をコードする核酸)が挙げられる。第2の型の融合分子の例として、限定されないが、三重鎖形成核酸とポリペプチドとの間の融合物、および副溝結合剤と核酸との間の融合物が挙げられる。
細胞における融合タンパク質の発現は、融合タンパク質の細胞への送達から、または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの細胞への送達によって生じ得、融合タンパク質を生成するために、ポリヌクレオチドが転写され、転写物が翻訳される。トランススプライシング、ポリペプチド切断、およびポリペプチド連結も、細胞におけるタンパク質の発現に関与する可能性がある。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの細胞への送達方法は、本開示内の他の場所に提示する。
本開示の目的のために、「遺伝子」は、遺伝子産物(以下を参照のこと)をコードするDNA領域、および遺伝子産物の産生を調節する全てのDNA領域(そのような調節配列がコード配列および/または転写配列に隣接しているかどうかに関わらず)を含む。したがって、遺伝子は、プロモーター配列、ターミネーター、翻訳調節配列(リボソーム結合部位および内部リボソーム進入部位等)、エンハンサー、サイレンサー、インシュレーター、境界要素、複製起点、マトリックス付着部位、および遺伝子座制御領域を含むが、必ずしもこれらに限定されない。
「遺伝子発現」は、遺伝子内に含まれる情報の遺伝子産物への変換を指す。遺伝子産物は、遺伝子の直接転写産物(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、構造RNA、もしくは任意の他の種類のRNA)、またはmRNAの翻訳によって生成されるタンパク質であり得る。遺伝子産物はまた、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化、および編集等のプロセスによって修飾されたRNA、ならびに、例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADPリボシル化、ミリスチン化、およびグリコシル化によって修飾されたタンパク質も含む。
遺伝子発現の「調節」は、遺伝子の活性における変化を指す。発現の調節は、限定されないが、遺伝子の活性化および遺伝子の抑制を含み得る。ゲノム編集(例えば、切断、改変、不活性化、ランダム変異)を使用して発現を調節することができる。遺伝子の不活性化は、本明細書に記載されるようなZFPまたはTALENを含まない細胞と比較した場合の遺伝子発現における任意の低下を指す。したがって、遺伝子の不活性化は、部分的または完全であり得る。
「関心領域」は、細胞クロマチンの任意の領域であり、例えば、外因性分子に結合することが望ましい、遺伝子、または遺伝子内のもしくは遺伝子に隣接する非コード配列等である。結合は、標的DNA切断および/または標的組換えの目的のためであってもよい。関心領域は、例えば、染色体、エピソーム、細胞小器官のゲノム(例えば、ミトコンドリア、クロロプラスト)、または感染ウイルスゲノム内に存在し得る。関心領域は、遺伝子のコード領域内、転写された非コード領域(例えば、リーダー配列、トレーラー配列、もしくはイントロン等)内、またはコード領域の上流もしくは下流のいずれかの非転写領域内にある場合がある。関心領域は、単一のヌクレオチド対ほど小さいか、または最大2,000ヌクレオチド対長であるか、またはヌクレオチド対の任意の整数値であってもよい。
「真核」細胞は、限定されないが、真菌細胞(酵母等)、植物細胞、動物細胞、哺乳類細胞、およびヒト細胞(例えば、T細胞)を含む。
「分泌組織」は、個々の細胞から、典型的には上皮に由来する何らかの種類の管腔に生成物を分泌する動物の組織である。消化管に局在化する分泌組織の例として、腸管、膵臓、および胆嚢を裏打ちする細胞が挙げられる。他の分泌組織は、肝臓、目および粘膜に関連する組織、例えば、唾液腺、乳腺、前立腺、下垂体、および他の内分泌系のメンバーを含む。さらに、分泌組織は、分泌することが可能な組織型の個々の細胞を含む。
「作動可能な連結」および「作動可能に連結した」(または「作動的に連結した」)という用語は、両方の構成要素が正常に機能し、構成要素のうちの少なくとも1つが、他の構成要素のうちの少なくとも1つに対して発揮される機能を媒介できる可能性を許容するように構成要素が配置された、2つ以上の構成要素(配列要素等)の並列を指して交換可能に使用される。例として、転写調節配列が、1つ以上の転写調節因子の有無に応じてコード配列の転写レベルを制御する場合、プロモーター等の転写調節配列がコード配列に作動可能に連結される。転写調節配列は、一般に、コード配列とともにシスに作動可能に連結されるが、それに直接隣接する必要はない。例えば、エンハンサーは、たとえそれらが近接していない場合でも、コード配列に作動可能に連結された転写調節配列である。
融合ポリペプチドに関して、「作動可能に連結した」という用語は、構成要素の各々が、そのように連結されていない場合に実行したであろう機能と同じ機能を、他の構成要素との連結において実行するという事実を指すことができる。例えば、ZFNまたはTALE DNA結合ドメインが活性化ドメインに融合された融合ポリペプチドに関して、融合ポリペプチドにおいて、ZFNまたはTALE DNA結合ドメイン部分が、その標的部位および/またはその結合部位に結合することができる一方で、活性化ドメインが遺伝子発現を上方制御することができる場合、ZFNまたはTALE DNA結合ドメインと活性化ドメインとは作動可能に連結している。ZFNまたはTALE DNA結合ドメインが切断ドメインに融合された融合ポリペプチドである場合、融合ポリペプチドにおいて、ZFNまたはTALE DNA結合ドメイン部分が、その標的部位および/またはその結合部位に結合することができる一方で、切断ドメインが、標的部位の近傍でDNAを切断することができる場合、ZFNまたはTALE DNA結合ドメインと切断ドメインとは作動可能に連結している。
タンパク質、ポリペプチド、または核酸の「機能的断片」は、その配列が、完全長のタンパク質、ポリペプチド、または核酸と同一ではないが、完全長のタンパク質、ポリペプチド、または核酸と同じ機能を保持するタンパク質、ポリペプチド、または核酸である。機能的断片は、対応する天然の分子よりも多いか、少ないか、もしくは同じ数の残基を有することができ、かつ/または、1つ以上のアミノ酸もしくはヌクレオチド置換を含有することができる。核酸の機能(例えば、コード機能、別の核酸にハイブリダイズする能力)を判定するための方法は、当該技術分野において周知である。同様に、タンパク質の機能を判定するための方法も周知である。例えば、ポリペプチドのDNA結合機能は、例えば、フィルター結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、または免疫沈降アッセイによって判定することができる。DNA切断は、ゲル電気泳動によって評価することができる。上述のAusubel et alを参照のこと。タンパク質が別のタンパク質と相互作用する能力は、例えば、免疫共沈降、ツーハイブリッドアッセイ、または相補性(遺伝子的相補性もしくは生化学的相補性の両方)によって判定することができる。例えば、Fields et al.(1989)Nature 340:245−246、米国特許第5,585,245号、およびPCT第WO98/44350号を参照されたい。
「ベクター」は、遺伝子配列を標的細胞に導入することができる。典型的には、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、および「遺伝子導入ベクター」は、対象とする遺伝子の発現を司ることができ、かつ、遺伝子配列を標的細胞に導入することができる、任意の核酸構築物を意味する。したがって、この用語は、クローニング、および発現ベヒクル、ならびに組込みベクターを包含する。

ヌクレアーゼ
組成物、具体的には、抗HIV導入遺伝子の挿入のために遺伝子を標的とするのに有用なヌクレアーゼ、例えば、CCR5等のHIV受容体に特異的なヌクレアーゼが、本明細書に記載される。特定の実施形態において、ヌクレアーゼは天然に存在する。他の実施形態において、ヌクレアーゼは天然には存在しない、すなわち、DNA結合ドメインおよび/または切断ドメインにおいて遺伝子操作される。例えば、天然に存在するヌクレアーゼのDNA結合ドメインは、選択された標的部位(例えば、同族の結合部位とは異なる部位に結合するように遺伝子操作されたメガヌクレアーゼ)に結合するように改変されてもよい。他の実施形態において、ヌクレアーゼは、異種のDNA結合ドメインおよび切断ドメイン(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ;TAL−エフェクターヌクレアーゼ;異種の切断ドメインを有するメガヌクレアーゼDNA結合ドメイン)を含む。
A.DNA結合ドメイン
特定の実施形態において、ヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ(ホーミングエンドヌクレアーゼ)である。天然に存在するメガヌクレアーゼは、15〜40塩基対の切断部位を認識し、一般的に、LAGLIDADGファミリー、GIY−YIGファミリー、His−Cystボックスファミリー、およびHNHファミリーの4つのファミリーに分類される。例示的なホーミングエンドヌクレアーゼは、I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−Sce、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevII、およびI−TevIIIを含む。これらの認識配列は既知である。米国特許第5,420,032号、米国特許第6,833,252号、Belfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379-3388、Dujon et al.(1989)Gene 82:115-118、Perler et al.(1994)Nucleic Acids Res.22,1125-1127、Jasin(1996)Trends Genet.12:224-228、Gimble et al.(1996)J.Mol.Biol.263:163-180、Argast et al.(1998)J.Mol.Biol.280:345-353、およびNew England Biolabsカタログも参照されたい。
特定の実施形態において、ヌクレアーゼは、遺伝子操作された(天然には存在しない)ホーミングエンドヌクレアーゼ(メガヌクレアーゼ)を含む。I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−Sce、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevII、およびI−TevIII等のホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼの認識配列が既知である。米国特許第5,420,032号、米国特許第6,833,252、Belfort et al.(1997)Nucleic AcidsRes.25:3379-3388、Dujon et al.(1989)Gene 82:115-118、Perler et al.(1994)Nucleic AcidsRes.22,1125-1127、Jasin(1996)Trends Genet.12:224-228、Gimble et al.(1996)J.Mol.Biol.263:163-180、Argast et al.(1998)J.Mol.Biol.280:345-353、およびNew England Biolabsカタログも参照されたい。また、ホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼのDNA結合特異性は、天然には存在しない標的部位に結合するように遺伝子操作することができる。例えば、Chevalier et al.(2002)Molec.Cell 10:895−905、Epinat et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:2952−2962、Ashworth et al.(2006)Nature 441:656−659、Paques et al.(2007)Current Gene Therapy 7:49−66、米国特許公開第20070117128を参照されたい。ホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼのDNA結合ドメインは、ヌクレアーゼ全体という意味で改変されてもよいか(すなわち、ヌクレアーゼが同族の切断ドメインを含むように)、または異種の切断ドメインに融合されてもよい。
他の実施形態において、DNA結合ドメインは、天然に存在するかまたは遺伝子操作された(天然には存在しない)TALエフェクターDNA結合ドメインを含む。例えば、米国特許公開第20110301073号(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。キサントモナス属の植物病原性細菌は、重要な作物に多くの病害を引き起こすことが分かっている。キサントモナスの病原性は、植物細胞内に25を超える異なるエフェクタータンパク質を注入する保存された3型分泌(T3S)系に依存する。これらの注入されるタンパク質の中には、植物の転写活性化因子を模倣し、植物のトランスクリプトームを操作する転写活性化因子様エフェクター(TALE)がある(Kay et al(2007) Science 318:648−651を参照のこと)。これらのタンパク質は、DNA結合ドメインおよび転写活性化ドメインを含有する。最も特徴付けされたTALEの1つは、キサントモナス・カンペストリス病原型ベシカトリアに由来するAvrBs3である(Bonas et al(1989)Mol Gen Genet 218:127−136および国際公開第WO2010079430号を参照のこと)。TALEは、タンデム反復の集中ドメインを含有し、各反復が、これらのタンパク質のDNA結合特異性の手掛かりである約34個のアミノ酸を含有する。また、これらは、核局在化配列および酸性転写活性化ドメインを含有する(概説についてはSchornack S,et al(2006)J Plant Physiol 163(3):256−272を参照のこと)。さらに、植物病原性細菌である青枯病菌において、brg11およびhpx17と表記される2つの遺伝子が、青枯病菌の次亜種1系統GMI1000および次亜種4系統RS1000において、キサントモナスのAvrBs3ファミリーと相同であることが分かっている(Heuer et al(2007)Appl and Envir Micro 73(13):4379−4384を参照のこと)。これらの遺伝子は、ヌクレオチド配列において互いに98.9%同一であるが、hpx17の反復ドメインにおいて1,575bpの欠失分だけ異なる。しかしながら、両方の遺伝子産物が、キサントモナスのAvrBs3ファミリータンパク質と40%以下の配列同一性を有する。
したがって、いくつかの実施形態において、標的遺伝子座(例えば、CCR5またはセーフハーバー)内の標的部位に結合するDNA結合ドメインは、植物病原菌キサントモナス(Boch et al,(2009)Science 326:1509−1512およびMoscou and Bogdanove,(2009)Science326:1501を参照)ならびにラルストニア(Heuer et al (2007)Applied and Environmental Microbiology 73(13):4379−4384、米国特許公開第20110301073号、および米国特許公開第20110145940号参照)に由来するものと同様のTALエフェクターに由来する遺伝子操作されたドメインである。
特定の実施形態において、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガータンパク質(例えば、CCR5または他のセーフハーバー遺伝子等のHIV受容体内の標的部位に結合するジンクフィンガータンパク質)を含む。好ましくは、ジンクフィンガータンパク質は、選択された標的部位に結合するように遺伝子操作されているという点で天然には存在しない。例えば、例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135−141、Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313−340、Isalan et al.(2001)Nature Biotechnol.19:656−660、Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632−637、Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411−416、米国特許第6,453,242号、同第6,534,261号、同第6,599,692号、同第6,503,717号、同第6,689,558号、同第7,030,215号、同第6,794,136号、同第7,067,317号、同第7,262,054号、同第7,070,934号、同第7,361,635号、同第7,253,273号、および米国特許公開第2005/0064474号、同第2007/0218528号、同第2005/0267061号(全て、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
遺伝子操作されたジンクフィンガー結合ドメインまたはTALEドメインは、天然に存在するジンクフィンガータンパク質と比較して新規の結合特異性を有することができる。遺伝子操作の方法は、限定されないが、合理的設計および種々の種類の選択を含む。合理的設計は、例えば、3つ組(または4つ組)のヌクレオチド配列および個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースを使用することを含み、各3つ組または4つ組のヌクレオチド配列は、特定の3つ組または4つ組の配列に結合するジンクフィンガーの1つ以上のアミノ酸配列と会合している。例えば、共有米国特許第6,453,242号および第6,534,261号(参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
ファージディスプレイおよびツーハイブリッドシステムを含む例示的な選択方法は、米国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,410,248号、同第6,140,466号、同第6,200,759号、および同第6,242,568号、ならびに国際公開第WO98/37186号、同第WO98/53057号、同第WO00/27878号、同第WO01/88197号、そして英国特許第GB2,338,237号に開示されている。また、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の増強は、例えば、共有される国際公開第WO02/077227号に記載されている。
さらに、これらおよび他の参考文献に開示されるように、DNAドメイン(例えば、マルチフィンガー型ジンクフィンガータンパク質またはTALEドメイン)は、例えば、5アミノ酸長以上のリンカーを含む任意の好適なリンカー配列を使用して一緒に連結されてもよい。6アミノ酸長以上の例示的なリンカー配列については、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、および同第7,153,949号も参照されたい。本明細書に記載されるDNA結合タンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の好適なリンカーのいずれの組み合わせを含んでもよい。また、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の増強は、例えば、共有される国際公開第WO02/077227号に記載されている。
標的部位の選択、DNA結合ドメイン、ならびに融合タンパク質(およびそれをコードするポリヌクレオチド)の設計および構築は、当業者に既知であり、米国特許第6,140,0815号、同第789,538号、同第6,453,242号、同第6,534,261号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,200,759号、国際公開第WO95/19431号、同第WO96/06166号、同第WO98/53057号、同第WO98/54311号、同第WO00/27878号、同第WO01/60970号、同第WO01/88197号、同第WO02/099084号、同第WO98/53058号、同第WO98/53059号、同第WO98/53060号、同第WO02/016536号、および同第WO03/016496号、ならびに米国特許公開第20110301073号に詳述されている。
さらに、これらおよび他の参考文献に開示されるように、DNA結合ドメイン(例えば、マルチフィンガー型ジンクフィンガータンパク質)は、例えば、5アミノ酸長以上のリンカーを含む任意の好適なリンカー配列を使用して一緒に連結されてもよい。6アミノ酸長以上の例示的なリンカー配列については、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、および同第7,153,949号も参照されたい。本明細書に記載されるタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の好適なリンカーのいずれの組み合わせを含んでもよい。
B.切断ドメイン
任意の好適な切断ドメインをDNA結合ドメインに作動可能に連結して、ヌクレアーゼを形成することができる。例えば、ZFP DNA結合ドメインをヌクレアーゼドメインと融合してZFNを作製している:これは、遺伝子操作された(ZFP)DNA結合ドメインを介してその目的とする核酸標的を認識し、ヌクレアーゼ活性を介してZFP結合部位付近でDNAの切断を引き起こすことができる機能的実体である。例えば、Kim et al.(1996)Proc Nat’l Acad Sci USA 93(3):1156−1160を参照されたい。より最近では、様々な生物におけるゲノム修飾のためにZFNが使用されている。例えば、米国特許公開第20030232410号、同第20050208489号、同第20050026157号、同第20050064474号、同第20060188987号、同第20060063231号、および国際公開第WO07/014275号を参照されたい。同様に、TALE DNA結合ドメインをヌクレアーゼと融合してTALENを作製している。例えば、米国特許公開第20110301073号を参照のこと。
上述のように、切断ドメインは、DNA結合ドメイン、例えば、ジンクフィンガーDNA結合ドメインおよびヌクレアーゼの切断ドメイン、またはTALEN DNA結合ドメインおよび切断ドメイン、またはメガヌクレアーゼDNA結合ドメインおよび異なるヌクレアーゼの切断ドメインに対して異種であってもよい。異種の切断ドメインは、いずれのエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼからも得ることができる。切断ドメインが由来し得る例示的なエンドヌクレアーゼとして、限定されないが、制限エンドヌクレアーゼおよびホーミングエンドヌクレアーゼが挙げられる。例えば、2002−2003 Catalogue,New England Biolabs,Beverly,MA、およびBelfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379−3388を参照されたい。DNAを切断するさらなる酵素が既知である(例えば、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、膵臓DNase I、小球菌ヌクレアーゼ、酵母HOエンドヌクレアーゼ:Linn et al.(eds.)Nucleases,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照されたい)。これらの酵素(またはその機能的断片)のうちの1つ以上を、切断ドメインおよび切断ハーフドメインの源として使用することができる。
同様に、上述のように、開裂活性のために二量体化を必要とする切断ハーフドメインは、任意のヌクレアーゼまたはその一部に由来し得る。一般的に、融合タンパク質が切断ハーフドメインを含む場合、切断のために2つの融合タンパク質が必要である。代替として、2つの切断ハーフドメインを含む単一のタンパク質が使用されてもよい。2つの切断ハーフドメインが同じエンドヌクレアーゼ(もしくはその機能的断片)に由来してもよいか、または各切断ハーフドメインが異なるエンドヌクレアーゼ(もしくはその機能的断片)に由来してもよい。また、2つの融合タンパク質のそれぞれの標的部位への結合が、例えば、二量体化によって、切断ハーフドメインが機能的切断ドメインを形成することを可能にする空間的定位にそれぞれ切断ハーフドメインを配置するように、2つの融合タンパク質のための標的部位は互いに対して好ましく配置される。したがって、特定の実施形態において、標的部位付近の端部は、5〜8ヌクレオチドまたは15〜18ヌクレオチド分だけ離れている。しかしながら、任意の整数のヌクレオチドまたはヌクレオチド対が、2つの標的部位の間に介在してもよい(例えば、2〜50ヌクレオチド対以上)。一般に、切断部位は、標的部位の間に位置する。
制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は、多くの種に存在し、(認識部位で)DNAに配列特異的に結合すること、および結合部位またはその付近でDNAを切断することができる。特定の制限酵素(例えば、IIS型)は、認識部位から除去された部位でDNAを切断し、分離可能な結合ドメインおよび切断ドメインを有する。例えば、IIS型酵素Fok Iは、一方の鎖上ではその認識部位から9ヌクレオチドで、また他方の鎖上ではその認識部位から13ヌクレオチドで、DNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号、同第5,436,150号、および同第5,487,994号、ならびにLi et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4275−4279、Li et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2764−2768、Kim et al.(1994a)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:883−887、Kim et al.(1994b)J.Biol.Chem.269:31,978−31,982を参照されたい。したがって、一実施形態において、融合タンパク質は、少なくとも1つのIIS型制限酵素に由来する切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)と、遺伝子操作されていてもよいかまたはいなくてもよい1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインとを含む。
結合ドメインから切断ドメインが分離可能である例示的なIIS型制限酵素は、Fok Iである。この特定の酵素は、二量体として活性である。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10,570−10,575。したがって、本開示の目的のために、開示される融合タンパク質において使用されるFok I酵素の一部は、切断ハーフドメインであるとみなされる。よって、ジンクフィンガー−Fok Iの融合物を使用した細胞配列の標的二本鎖切断および/または標的置換のために、各々がFokI切断ハーフドメインを含む2つの融合タンパク質を使用して、触媒的に活性な切断ドメインを再構築することができる。代替として、DNA結合ドメインと、2つのFok I切断ハーフドメインとを含有する単一のポリペプチド分子を使用することもできる。
切断ドメインまたは切断ハーフドメインは、開裂活性を保持するか、または多量体化(例えば、二量体化)して機能的切断ドメインを形成する能力を保持するタンパク質のいずれの部分であってもよい。
例示的なIIS型制限酵素は、国際公開第WO07/014275号(その全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。さらなる制限酵素も、分離可能な結合ドメインおよび切断ドメインを含有し、これらは本開示によって企図される。例えば、Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:418−420を参照されたい。
特定の実施形態において、切断ドメインは、例えば、米国特許公開第20050064474号、同第20060188987号、および同第20080131962号(これらの全ての開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、ホモ二量体化を最小限に抑えるかまたは防止する1つ以上の遺伝子操作された切断ハーフドメイン(二量体化ドメイン変異体とも称される)を含む。Fok Iの446、447、479、483、484、486、487、490、491、496、498、499、500、531、534、537、および538位のアミノ酸残基は、全て、Fok I切断ハーフドメインの二量体化に影響を与えるための標的である。
偏性ヘテロ二量体を形成するFok Iの例示的な遺伝子操作された切断ハーフドメインとして、第1の切断ハーフドメインがFok Iの490および538位のアミノ酸残基に突然変異を含み、第2の切断ハーフドメインが486および499位のアミノ酸残基に突然変異を含む対が挙げられる。
したがって、一実施形態において、490における突然変異はGlu(E)をLys(K)に置換し、538における突然変異はIso(I)をLys(K)に置換し、486における突然変異はGln(Q)をGlu(E)に置換し、499位における突然変異はIso(I)をLys(K)に置換する。具体的には、本明細書に記載される遺伝子操作された切断ハーフドメインは、1つの切断ハーフドメインにおいて490位(E→K)および538位(I→K)を突然変異させ、「E490K:I538K」と表記される遺伝子操作された切断ハーフドメインを形成することにより、また、別の切断ハーフドメインにおいて486位(Q→E)および499位(I→L)を突然変異させ、「Q486E:I499L」と表記される遺伝子操作された切断ハーフドメインを形成することにより、調製した。本明細書に記載される遺伝子操作された切断ハーフドメインは、異常な切断を最小限に抑えたまたは消滅させた偏性ヘテロ二量体変異体である。例えば、米国特許公開第2008/0131962号(参照により、その開示全体が、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
特定の実施形態において、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、483、486、487、499、496、および537位(野生型FokIに対する番号付け)に、突然変異、例えば、486位の野生型Gln(Q)残基をGlu(E)残基に、499位の野生型Iso(I)残基をLeu(L)残基に、および496位の野生型Asn(N)残基をAsp(D)またはGlu(E)残基(それぞれ、「ELD」および「ELE」ドメインとも称される)に置換する突然変異を含む。他の実施形態において、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、490、538、および537位(野生型FokIに対して番号付け)に、突然変異、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基に、538位の野生型Iso(I)残基をLys(K)残基に、および537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基(それぞれ、「KKK」および「KKR」ドメインとも称される)に置換する突然変異を含む。他の実施形態において、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、490および537位(野生型FokIに対する番号付け)に、突然変異、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基に、および537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基(それぞれ、「KIK」および「KIR」ドメインとも称される)に置換する突然変異を含む。米国特許公開第20110201055号を参照のこと。さらなる実施形態において、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、ヌクレアーゼ対が、1つのH537R−R487D−N496D(「RDD」)FokIハーフドメインと、1つのN496D−D483R−H537R(「DRR」)FokIハーフドメインとから作製されるように突然変異を含む。米国特許公開第20110201055号を参照のこと。
本明細書に記載される遺伝子操作された切断ハーフドメインは、任意の好適な方法を使用して、例えば、米国特許公開第20050064474号、同第20080131962号、および同第20110201055号に記載されるような野生型切断ハーフドメイン(Fok I)の部位特異的変異誘発によって調製することができる。
代替として、ヌクレアーゼは、いわゆる「スプリット酵素」技術を使用して、核酸標的部位においてin vivoで構築されてもよい(例えば、米国特許公開20090068164号を参照のこと)。そのようなスプリット酵素の構成要素は、別個の発現構築物上で発現させてもよいか、または、1つのオープンリーディングフレーム内に連結させることができ、個々の構成要素は、例えば、自己切断2AペプチドまたはIRES配列によって分離される。構成要素は、個々のジンクフィンガー結合ドメインであってもよいか、またはメガヌクレアーゼ核酸結合ドメインのドメインであってよい。
ヌクレアーゼは、例えば、国際公開第WO2009/042163号および同第20090068164号に記載されるような酵母菌に基づく染色体系において、使用前に活性化についてスクリーニングすることができる。ヌクレアーゼ発現構築物は、当該技術分野で既知の方法を使用して容易に設計することができる。例えば、米国特許公開第20030232410号、同第20050208489号、同第20050026157号、同第20050064474号、同第20060188987号、同第20060063231号、および国際公開第WO07/014275号を参照されたい。ヌクレアーゼの発現は、構成的プロモーターまたは誘導的プロモーター、例えば、ラフィノースおよび/またはガラクトースの存在下で活性化(抑制解除)され、グルコースの存在下で抑制されるガラクトキナーゼプロモーターの制御下にあってもよい。

標的部位
上に詳細に記載したように、DNAドメインは、遺伝子座、例えば、CCR5、CXCR4、または他のセーフハーバー遺伝子、例えば、AAVS1、HPRT、Rosaまたはアルブミン等における任意の選択された配列に結合するように遺伝子操作することができる。例えば、米国特許公開第20080159996号および同第201000218264号、米国仮特許出願第61/556,691号、ならびに米国特許出願第13/624,193号および同第13/624,217号を参照されたい。遺伝子操作されたDNA結合ドメインは、天然に存在するDNA結合ドメインと比較して新規の結合特異性を有することができる。遺伝子操作の方法は、限定されないが、合理的設計および種々の種類の選択を含む。合理的設計は、例えば、3つ組(または4つ組)のヌクレオチド配列および個々の(例えば、ジンクフィンガー)アミノ酸配列を含むデータベースを使用することを含み、各3つ組または4つ組のヌクレオチド配列は、特定の3つ組または4つ組の配列に結合するDNA結合ドメインの1つ以上のアミノ酸配列と会合している。例えば、共有米国特許第6,453,242号および第6,534,261号(参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。TALエフェクタードメインの合理的設計が行われてもよい。例えば、米国特許公開第20110301073号を参照のこと。
ファージディスプレイおよびツーハイブリッドシステムを含む、DNA結合ドメインに適用される例示的な選択方法は、米国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,410,248号、同第6,140,466号、同第6,200,759号、および同第6,242,568、ならびに国際公開第WO98/37186号、同第WO98/53057号、同第WO00/27878号、同第WO01/88197号、そして英国特許第GB2,338,237号に開示されている。
標的部位の選択、ヌクレアーゼ、ならびに融合タンパク質(およびそれをコードするポリヌクレオチド)の設計および構築は、当業者に既知であり、米国特許出願公開第20050064474号および同第20060188987号(参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる)に詳述されている。
さらに、これらおよび他の参考文献に開示されるように、DNA結合ドメイン(例えば、マルチフィンガー型ジンクフィンガータンパク質)は、例えば、5アミノ酸以上のリンカーを含む任意の好適なリンカー配列を使用して一緒に連結されてもよい。6アミノ酸長以上の例示的なリンカー配列については、例えば、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、および同第7,153,949号を参照されたい。本明細書に記載されるタンパク質は、タンパク質の個々のDNA結合ドメイン間の好適なリンカーのいずれの組み合わせを含んでもよい。米国特許公開第20110301073号も参照されたい。
好適な標的細胞の非制限定期な例として、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)、マクロファージ、間葉系幹細胞、ヒト胚性幹細胞(hES細胞)、造血幹細胞/前駆細胞(例えば、CD34細胞)、T細胞(例えば、CD4細胞)、樹状細胞、もしくは抗原提示細胞;またはK562(慢性骨髄性白血病)、HEK293(胚性腎臓)、PM−1(CD4T細胞)、THP−1(単球性白血病)、SupT1(T細胞リンパ芽球性リンパ腫)、もしくはGHOST(骨肉腫)等の細胞株が挙げられる。
ドナー
上述のように、例えば、不活性化された遺伝子座における抗HIV導入遺伝子の発現のための抗HIV導入遺伝子(「ドナー配列」または「ドナー」または「外因性配列」とも称される)の挿入。ドナー配列は、典型的には、それが配置されるゲノム配列と同一ではないことは容易に認識されるであろう。ドナー配列は、対象とする位置で効率的なHDRを可能にするように、2つの相同性領域によって隣接される非相同配列を含有することができる。さらに、ドナー配列は、細胞染色体内の関心領域と非相同な配列を含有するベクター分子を含むことができる。ドナー分子は、細胞染色体に対するいくつかの不連続な相同性領域を含有することができる。例えば、通常は関心領域内に存在しない配列の標的挿入の場合、前記配列は、ドナー核酸分子中に存在することができ、関心領域内の配列に対する相同性領域によって隣接されてもよい。
ドナーポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のDNAであってもよく、線状または環状形態で細胞内に導入することができる。また、一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチドが、ドナーのために使用されてもよい。例えば、米国特許公開第20100047805号、同第20110281361号、および同第20110207221号を参照されたい。線状形態で導入される場合、当業者に既知の方法によってドナー配列の末端を(例えば、エキソヌクレアーゼの分解から)保護することができる。例えば、1つ以上のジデオキシヌクレオチド残基が線状分子の3’末端に加えられる、および/または自己相補的オリゴヌクレオチドが一方もしくは両方の末端に連結される。例えば、Chang et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:4959−4963、Nehls et al.(1996)Science 272:886−889を参照されたい。外因性ポリヌクレオチドを分解から保護するためのさらなる方法は、限定されないが、末端アミノ基(複数可)の付加、および修飾されたヌクレオチド間結合、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロアミド酸、およびO−メチルリボースまたはデオキシリボース残基の使用を含む。
ポリヌクレオチドは、例えば、複製起点、プロモーター、および抗生物質耐性をコードする遺伝子等のさらなる配列を有するベクター分子の一部として細胞に導入することができる。さらに、ドナーポリヌクレオチドは、裸の核酸として、リポソームもしくはポロキサマー等の薬剤またはデンドリマー等の高分子と複合化された核酸として導入されてもよいか(Wijagkanalen et al(2011)Pharm Res 28(7)p.1500−19を参照)、あるいはウイルス(例えば、アデノウイルス、ヘルパー依存型アデノウイルス、AAV、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、およびインテグラーゼ欠損型レンチウイルス(IDLV))によって送達されてもよい。
ドナーは、その発現が、組込み部位で内因性プロモーターによって、例えば、内因性CCR5またはCXCR4遺伝子の発現を駆動するプロモーターによって駆動されるように挿入され得る。しかしながら、ドナーが、プロモーターおよび/あるいはエンハンサー、例えば、構成的プロモーターまたは誘導的もしくは組織特異的プロモーターを含んでもよいことは明白であろう。内因性遺伝子の全て、いくつかが発現されるように、またはいずれも発現されないように、ドナー分子は、いずれの内因性遺伝子に挿入されてもよい。特定の実施形態において、ドナー導入遺伝子は、CCR5遺伝子が不活性化されるように内因性CCR5遺伝子座に組み込まれる。例えば、米国特許第7,951,925号を参照のこと。他の実施形態において、外因性配列は、CCR5以外の内因性遺伝子座、例えば、セーフハーバー遺伝子、例えば、PPP1R12C(AAV S1としても知られる)遺伝子、Rosa26遺伝子、HPRT遺伝子、またはアルブミン遺伝子等に組み込まれる(例えば、米国特許公開第20080159996号および同第201000218264号、米国特許仮出願第61/556,691号、米国特許出願第13/624,193号、および同第13/624,217号を参照のこと)が、CCR5および/またはCXCR4遺伝子は、該細胞において(例えば、ヌクレアーゼを介して)不活性化される。
さらに、発現のために必要ではないが、外因性配列は、転写または翻訳調節配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、インシュレーター、内部リボソーム進入部位、2Aペプチドおよび/またはポリアデニル化シグナルをコードする配列を含んでもよい。
単独でまたは任意の組み合わせで使用され得る好適な抗HIV導入遺伝子の非制限的な例を以下に記載する。本明細書に記載される組成物および方法が、任意の数の遺伝子座に組み込まれるドナーの任意の組み合わせを含むことができること、例えば、1つ、いくつか、または全ての導入遺伝子がCCR5遺伝子に組み込まれ得る(そして不活性化し得る)ことは明白であろう。代替として、1つ、いくつか、または全ての導入遺伝子が、内因性CCR5遺伝子が(例えば、ヌクレアーゼを介して)不活性化される1つ以上の内因性遺伝子(例えば、セーフハーバー遺伝子)に組み込まれてもよい。
低分子干渉RNA(siRNA)およびshRNA
低分子干渉RNA(siRNA)は、遺伝子発現の強力な阻害剤であり、細胞転写物およびウイルス転写物の両方を切断することができるため、HIV遺伝子治療の適用において使用される魅力的なツールとなっている(Song et al.(2003)J.Virol.77(13):7174−81;Lee et.al(2002)Nat.Biotech 20(5):500−5)。本質的なHIV遺伝子(例えば、gag、nef、およびtat)を標的とするsiRNAを使用したいくつかの研究により、in vitroでのHIVの複製の阻止または減少が示されている(Han et.al(2004)Virology 330(1):221−32、Lee et.al(2003)J.Virol.77(22):11964−72、Das et.al.(2004)J Virol.78(5):2601−5)。例えば、revおよびtatの両方のオープンリーディングフレームに重複する配列を標的とするsiRNA遺伝子は、モデル細胞株PBMCおよびCD34+細胞に送達された場合にHIVの複製を減少させるのに効果的であることが示されている。例えば、Lee et.al.(2002)Nat.Biotech 20(5):500−5)を参照されたい。したがって、特定の実施形態において、導入遺伝子は、HIVポリタンパク質、例えば、rev、tat、gag、nef、pol、および/またはenvを標的とする1つ以上のsiRNA配列を含む。siRNAは、センスおよび/またはアンチセンス方向であってもよく、いずれのプロモーター、例えば、U6 RNAのpolIIIプロモーターの制御下にあってもよい。
しかしながら、長期培養において、HIVが突然変異してsiRNAの阻害効果から逃れることが示されている。例えば、Das et.al.(2004)J Virol.78(5):2601−5、Westerhout et.al.(2005)Nucleic acids Res.33(2):796−804を参照されたい。したがって、1つ以上のsiRNA分子および1つ以上のさらなる抗HIV治療薬をコードする組み合わせを含むドナーが本明細書に提供される。さらなる抗HIV分子の非限定的な例として、1つ以上のCCR5リボザイム、TARデコイ、ポリペプチド(例えば、転写因子、酵素等)、および/または1つ以上の低分子ヘアピン型(shRNA)分子が挙げられる。例えば、Li et al.(2003)Mol.Therapy 8(2):196−205を参照されたい。siRNAおよびさらなる分子(例えば、shRNA)は、同じかまたは異なるプロモーターの制御下にあってもよい。したがって、特定の実施形態において、shRNA発現カセット(例えば、U6−shRNA)が、CCR5遺伝子座への組込みのためにドナー導入遺伝子に含まれ、それによって、CCR5の破壊をHIVのtatおよびrevの両方の阻害剤の安定な発現に結び付ける。
遺伝子操作された転写因子
他の実施形態において、本明細書に記載されるような抗HIV導入遺伝子は、活性化因子または抑制因子等の転写調節ドメイン(例えば、KRAB、KOX等)に融合した遺伝子操作された(天然には存在しない)ジンクフィンガードメインを含む、1つ以上の遺伝子操作された(天然には存在しない)転写因子、例えばジンクフィンガー転写因子をコードする配列を含む。例えば、米国特許第6,453,242号、同第6,534,261号、同第6,599,692号、同第6,503,717号、同第6,689,558号、同第7,030,215号、同第6,794,136号、同第7,067,317号、同第7,262,054号、同第7,070,934号、同第7,361,635号、同第7,253,273号、および米国特許公開第2005/0064474号、同第2007/0218528号、同第2005/0267061号(全て、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
細胞に組み込まれた転写因子は、例えば、HIVコード配列のうちのいずれか、例えば、gag、env、tat、rev、nef、vpr、vpu、vif等を標的とし得る。特定の実施形態において、遺伝子操作された転写因子は、ウイルスのRNA発現を阻止するために、HIV−1の5’LTR、例えば、HIV株間で高度に保存された部位を標的とする。例えば、Reynolds et al.(2003)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 100(4):1615−1620;Eberhardy et.al.(2006)J Virol.80(6):2873−83を参照されたい。
さらなる実施形態において、導入遺伝子は、HIV受容体または共受容体(CCR5に加えて)を抑制する遺伝子操作された転写因子をコードする配列を含む。特定の実施形態において、抑制因子によって標的とされるHIV共受容体はCXCR4であり、それによりHIVのCCR5およびCXCR4受容体の両方の同時破壊がもたらされる。導入遺伝子は、いずれの内因性または外因性プロモーター(例えば、誘導的または組織特異的プロモーター)の制御下にあってもよい。したがって、幹細胞ホーミングおよびその後のB細胞の発達におけるCXCR4の必要条件を考慮すると、本明細書に記載されるようなCXCR4抑制因子の標的組込みは、適切な制御要素(例えば、RNAのpolIIプロモーター、および/またはCD4特異的プロモーター/エンハンサー)を選択することにより、選択された細胞型、例えば、HSPCおよび/またはCD4+T細胞に限定することができる。
レトロウイルス制限因子
標的組込みアプローチに組み込むことのできる抗HIV治療用導入遺伝子の別のクラスは、2つのヒトレトロウイルス制限因子Trim5アルファ(Trim5α)およびAPOBEC3Gの野生型および/または修飾変異体を含む。例えば、Malim et al.(2012)Cold Spring Harbor Perspect Med.May;2(5):a006940を参照されたい。
制限因子TRIM5は、三量体を形成し、進入直後にウイルスのカプシドに結合し、ひいては適切なウイルス脱殻に干渉して逆転写の前または最中のある時点で感染を阻止することによって機能すると考えられている。Keckesova et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:10780-10785、Stremlau et al.(2004)Nature 427:848-853、Ylinen et al.(2005)J.Virol.79(18):11580−7、Yap et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:10786-10791、Li et al.(2006)J.Virol.80(14):6738−44を参照のこと。
第2の制限因子APOBEC3Gは、シチジン脱アミノ化酵素の機能を有するタンパク質のファミリーの一部である。例えば、Chiu & Greene (2008)Annu Rev Immunol.26:317−53を参照のこと。APOBEC3Gは、ssDNAを編集し、マイナス鎖においてdC残基のdU残基への脱アミノ化を引き起こす。HIVの場合、このプロセスは段階的に起こり、RTの開始により近い残基がより大規模に編集されるが、全てのマイナス鎖dC残基の最大20%を編集することができる。この編集は、欠陥プロウイルスの生成を引き起こし得るプラス鎖におけるいずれかのGからAの高頻度変異をもたらす可能性がある。例えば、Harris et al.,(2003)Cell 113(6):803−9;Mangeat et al.(2003)Nature 424(6944):99−103、Yu et al.(2004)Nat.Strut.Mol.Biol.11(5):435−42、Zhang et al.(2003) Nature 424(6944):94−8を参照されたい。通常、HIVは、ユビキチン化を介してAPOBEC3Gを不安定化するVif結合、それに続くプロテアソームによる分解により、APOBEC3Gを不活性化する(Yu et al.(2003)Science 302(5647):1056−60)。しかしながら、おそらくは、VifがAPOBEC3Gに効率的に結合して修飾することができないために、HIV−1は、アカゲザルのAPOBEC3Gによってヒト細胞内に強く限定される。この活性の差を、アカゲザルタンパク質における単一のアミノ酸であるアスパラギン酸(D)からリジン(K)の野生型の位置(D128K)にマッピングした。D128K変異体を合成するようにヒト遺伝子を突然変異させることにより、Vifに限定されたヒトAPOBEC3Gを作製する。例えば、Xu et al.(2004)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 101(15):5652−7を参照のこと。
よって、いくつかの態様において、導入遺伝子(例えば、CCR5遺伝子座に、または不活性化CCR5遺伝子座を含む細胞に組み込まれた)は、Trim5アルファまたはAPOBEC3Gポリペプチドを含む。配列は、野生型であってもよいか、または1つ以上の突然変異、例えば、抗ウイルス活性を増加させるおよび/もしくは免疫原性を低下させる突然変異を含んでもよい。特定の実施形態において、ドナーは、332位のアルギニン(R)残基が除去または置換された(例えば、プロリン(P)残基もしくはグルタミン(Q)残基で置換されてR332PもしくはR332Qを生じる)ヒトTrim5αタンパク質をコードする配列を含む。他の実施形態において、ドナーは、ヒトAPOBEC3G D128K突然変異をコードする配列を含む。
制限因子(例えば、修飾されたTrim5アルファおよび/またはAPOBEC3G)は、単独で、または互いに組み合わさって、または本明細書に記載される他の抗HIV治療薬(例えば、siRNA、shRNA、遺伝子操作された転写因子等)とともに組み込まれてもよい。
ドミナントネガティブなHIV rev
他の態様において、抗HIV導入遺伝子は、HIV rev遺伝子のドミナントネガティブ型であるRevM10を含む。rev遺伝子は、初期遺伝子発現と後期遺伝子発現との間の過渡期に作用し、スプライシングされていないmRNAの核から細胞質への輸送、およびHIV構造タンパク質の発現に必要である。例えば、Kim et al.(1989),J.Virol.63(9):3708−13、Malim et al.(1989)Cell 58(1):205−14を参照されたい。Revのトランスドミナント型であるRevM10は、細胞株および初代T細胞の両方においてHIVの複製を阻害するのに効果的であることが示されている。例えば、Bevec et al.(1992)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 89(20):9870−4、Malim et al.(1992)J.Exp.Med.176(4):1197−201を参照されたい。さらに、トランスドミナントタンパク質の一貫した発現は、修飾されたヒトHSPC由来細胞においてHIVの複製に対するその阻害効果を維持する一方で、正常な細胞機能またはヒトHSPCの発達にいずれの悪影響ももたらしていない。Bonyhadi et al.(1997)J.Virol.71(6):4707−16、Plavec et al.(1997)Gene Therapy 4(2):128−39を参照のこと。
したがって、特定の実施形態において、ドナー(導入遺伝子)は、RevM10タンパク質をコードする配列を含む。特定の実施形態において、RevM10をコードする配列は、導入遺伝子の一貫した高い発現を確保するために構成的プロモーターの制御下にある。RevM10をコードする配列は、CCR5遺伝子座または別の遺伝子座に組み込むことができ、記載される他の抗HIV導入遺伝子(同じかまたは異なるベクター上の、任意の組み合わせの同じかまたは異なる部位に組み込まれる)と組み合わせて使用されてもよい。
自殺カセット
本明細書に記載される組み込まれた導入遺伝子のいずれに関しても、細胞は、全ての修飾細胞(例えば、HSC)、および小分子の付加(ex−vivoまたはin vivoのいずれか)によって得られるそれらの子孫の選択的な死滅を可能にすることにより安全性を向上させる自殺遺伝子カセットをさらに含み得る。自殺カセットは、本明細書に記載されるような1つ以上のドナー分子の一部であってもよいか、またはそれとは別個であってもよい。
自殺カセットは、当該技術分野において既知であり、HSV−TK融合を含む:修飾細胞集団は、細胞を分裂させる際にDNA複製に干渉するように、HSV−TKによってリン酸化されるガンシクロビルを細胞内に付加することによって選択的に死滅させることができる。例えば、米国特許公開第20110027235を参照のこと。
送達
ヌクレアーゼ、これらのヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド、ドナーポリヌクレオチド(導入遺伝子)、および本明細書に記載されるタンパク質および/またはポリヌクレオチドを含む組成物は、任意の好適な手段によってin vivoまたはex vivoで送達され得る。
本明細書に記載されるようなヌクレアーゼを送達する方法は、例えば、米国特許第6,453,242号、同第6,503,717号、同第6,534,261号、同第6,599,692号、同第6,607,882号、同第6,689,558号、同第6,824,978号、同第6,933,113号、同第6,979,539号、同第7,013,219号、および第7,163,824号(これらの全ての開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
また、本明細書に記載されるようなヌクレアーゼおよび/またはドナー構築物は、ジンクフィンガーまたはTALENタンパク質(複数可)のうちの1つ以上をコードする配列を含有するベクターを使用して送達されてもよい。限定されないが、プラスミドベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクター等を含む、任意のベクター系が使用されてもよい。米国特許第6,534,261号、同第6,607,882号、同第6,824,978号、同第6,933,113号、同第6,979,539号、同第7,013,219号、および同第7,163,824号(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)も参照されたい。さらに、これらのベクターのいずれも、治療に必要な配列のうちの1つ以上を含み得ることは明白であろう。したがって、1つ以上のヌクレアーゼおよびドナー構築物が細胞に導入される場合、ヌクレアーゼおよび/またはドナーポリヌクレオチドは、同じベクター上または異なるベクター上に担持されてもよい。複数のベクターが使用される場合、各ベクターは、1つまたは複数のヌクレアーゼおよび/もしくはドナー構築物をコードする配列を含んでもよい。
従来のウイルスおよび非ウイルスベースの遺伝子導入方法を使用して、ヌクレアーゼおよびドナー構築物をコードする核酸を細胞(例えば、哺乳類細胞)および標的組織に導入することができる。非ウイルスベクター送達系は、DNAプラスミド、裸の核酸、およびリポソームまたはポロキサマー等の送達ビヒクルと複合化された核酸を含む。ウイルスベクター送達系は、細胞への送達後にエピソームのゲノムまたは組み込まれたゲノムのいずれかを有するDNAおよびRNAウイルスを含む。遺伝子治療手順の概説については、Anderson,Science 256:808−813(1992)、Nabel & Felgner,TIBTECH 11:211−217 (1993)、Mitani & Caskey,TIBTECH 11:162−166 (1993)、Dillon,TIBTECH 11:167−175(1993)、Miller, Nature 357:455−460(1992)、Van Brunt,Biotechnology 6(10):1149−1154 (1988)、Vigne,Restorative Neurology and Neuroscience 8:35−36(1995)、Kremer & Perricaudet,British Medical Bulletin 51(1):31−44(1995)、Haddada et al., in Current Topics in Microbiology and Immunology Doerfler and Bohm(eds.) (1995)、およびYu et al.,Gene Therapy 1:13−26(1994)を参照されたい。
核酸の非ウイルス送達の方法は、電気穿孔、リポフェクション、マイクロインジェクション、バイオリスティック、ビロソーム、リポソーム、免疫リポソーム、デンドリマー、ポリカチオン、または脂質:核酸複合体、裸のDNA、人工ビリオン、および薬剤によって強化されたDNAの取り込みを含む。例えば、Sonitron 2000システム(Rich−Mar)を用いたソノポレーションも、核酸の送達のために使用することができる。
さらなる例示的な核酸送達系は、Amaxa Biosystems(Cologne,Germany)、Maxcyte,Inc.(Rockville,Maryland)、BTX Molecular Delivery Systems(Holliston,MA)、およびCopernicus Therapeutics Inc,(例えばUS6008336を参照)によって提供されるものを含む。リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号、同第4,946,787号、および同第4,897,355号)に記載されており、リポフェクション試薬は市販されている(例えば、Transfectam(商標)およびLipofectin(商標))。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに好適な陽イオン性脂質および中性脂質は、Felgner、国際公開第WO91/17424号、同第WO91/16024号を含む。
免疫脂質複合体等の標的リポソームを含む脂質:核酸複合体の調製は、当業者に周知である(例えば、Crystal,Science 270:404−410(1995)、Blaese et al.,Cancer Gene Ther.2:291−297(1995)、Behr et al.,Bioconjugate Chem.5:382−389(1994)、Remy et al.,Bioconjugate Chem.5:647−654(1994)、Gao et al.,Gene Therapy 2:710−722(1995)、Ahmad et al.,Cancer Res.52:4817−4820(1992)、米国特許第4,186,183号、同第4,217,344号、同第4,235,871号、同第4,261,975号、同第4,485,054号、同第4,501,728号、同第4,774,085号、同第4,837,028号、および同第4,946,787を参照されたい)。
さらなる送達の方法は、送達されるべき核酸をEnGeneIC送達ビヒクル(EDV)にパッケージする使用法を含む。これらのEDVは、二重特異性抗体を用いて標的組織に特異的に送達される:抗体の一方のアームは、標的組織に対する特異性を有し、他方のアームは、EDVに対する特異性を有する。抗体は、標的細胞表面にEDVを運び、次いで、エンドサイトーシスによりEDVが細胞内に取り込まれる。一旦、細胞内に取り込まれると、その内容物が放出される(MacDiarmid et al(2009)Nature Biotechnology 27(7):643を参照のこと)。
遺伝子操作されたZFPをコードする核酸を送達するためのRNAまたはDNAウイルスに基づく系の使用は、ウイルスに体内の特定の細胞を標的とさせ、核にウイルス負荷量を輸送するための高度に進化したプロセスを利用する。ウイルスベクターは、患者に直接投与することができるか(in vivo)、またはin vitroで細胞を治療するために使用することができ、修飾細胞が患者に投与される(ex vivo)。ZFPを送達するための従来のウイルスに基づく系は、限定されないが、遺伝子導入のためのレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、および単純ヘルペスウイルスベクターを含む。宿主ゲノムへの組込みは、レトロウイルス、レンチウイルス、およびアデノ随伴ウイルスによる遺伝子送達方法を用いて可能であり、挿入された導入遺伝子の長期発現をもたらすことが多い。また、多くの異なる細胞型および標的組織において、高い導入効率が観察されている。
レトロウイルスの指向性は、外来性エンベロープタンパク質を組み込むことによって変更することができ、標的細胞の潜在的な標的集団を拡張する。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞を形質導入するかまたは感染させることができる、典型的には高いウイルス力価を生じるレトロウイルスベクターである。レトロウイルス遺伝子導入系の選択は、標的組織に依存する。レトロウイルスベクターは、最大6〜10kbの外因性配列のパッケージング能力を有する、シス作用性の長い末端反復からなる。ベクターの複製およびパッケージングには、最小限のシス作用性LTRが十分であり、次いで、それらは、恒久的な導入遺伝子の発現を提供するように治療遺伝子を標的細胞に組み込むために使用される。広く使用されているレトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびそれらの組み合わせに基づくものを含む(例えば、Buchscher et al.,J.Virol.66:2731−2739(1992)、Johann et al.,J.Virol.66:1635−1640(1992)、Sommerfelt et al.,Virol.176:58−59(1990)、Wilson et al.,J.Virol.63:2374−2378(1989)、Miller et al.,J.Virol.65:2220−2224(1991)、PCT/US94/05700を参照されたい)。
一過性の発現が好ましい用途では、アデノウイルスに基づく系が使用されてもよい。アデノウイルスに基づくベクターは、多くの細胞型において極めて高い形質導入効率が可能であり、細胞分裂を必要としない。そのようなベクターを用いて、高力価かつ高レベルの発現が得られている。このベクターは、比較的単純なシステムにおいて大量に生成することができる。また、アデノ随伴ウイルス(「AAV」)ベクターも、例えば、核酸およびペプチドのin vitro産生において、ならびにin vivoおよびex vivoの遺伝子治療手段のために、標的核酸を用いて細胞に形質導入するために使用される(例えば、West et al.,Virology 160:38−47(1987)、米国特許第4,797,368号、国際公開第WO93/24641号、Kotin,Human Gene Therapy 5:793−801(1994)、Muzyczka,J.Clin.Invest.94:1351(1994)を参照のこと。組換えAAVベクターの構築は、米国特許第5,173,414号、Tratschin et al.,Mol.Cell.Biol.5:3251−3260(1985)、Tratschin,et al.,Mol.Cell.Biol.4:2072−2081(1984)、Hermonat & Muzyczka,PNAS81:6466−6470(1984)、およびSamulski et al.,J.Virol.63:03822−3828(1989)を含む多くの刊行物に記載されている。
現在のところ、少なくとも6つのウイルスベクターのアプローチが、臨床試験における遺伝子導入に利用可能であり、それらは、形質導入剤を生成するためにヘルパー細胞株に挿入される遺伝子による欠陥ベクターの補完に関与するアプローチを用いる。
pLASNおよびMFG−Sは、臨床試験に使用されてきたレトロウイルスベクターの例である(Dunbar et al.,Blood 85:3048−305(1995)、Kohn et al.,Nat.Med.1:1017−102(1995)、Malech et al.,PNAS 94:22 12133−12138(1997))。PA317/pLASNは、遺伝子治療試験で使用された最初の治療ベクターであった(Blaese et al.,Science 270:475−480(1995))。MFG−Sをパッケージしたベクターには50%以上の形質導入効率が観察されている(Ellem et al.,Immunol Immunother.44(1):10−20(1997)、Dranoff et al.,Hum.Gene Ther.1:111−2(1997)。
組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)は、欠損型および非病原性のパルボウイルスアデノ随伴2型ウイルスに基づく、有望な代替の遺伝子送達系である。全てのベクターは、導入遺伝子発現カセットに隣接するAAVの145bpの逆方向末端反復のみを保持するプラスミドに由来する。形質導入された細胞のゲノムへの組込みに起因する効率的な遺伝子導入および安定した導入遺伝子送達は、このベクター系の重要な特長である。(Wagner et al.,Lancet 351:9117 1702−3(1998)、Kearns et al.,Gene Ther.9:748−55(1996))。AAV1、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、およびAAVrh10を含む他のAAV血清型も、本発明に従って使用することができる。
複製欠損型組換えアデノウイルスベクター(Ad)は、高力価で生成することができ、多くの異なる細胞型に容易に感染する。ほとんどのアデノウイルスベクターは、導入遺伝子がAdE1a、E1b、および/またはE3遺伝子を置換するように遺伝子操作され、その後、複製欠損型ベクターは、欠失した遺伝子機能をトランスで供給するヒト293細胞において増幅される。Adベクターは、例えば、肝臓、腎臓、および筋肉に見られるもの等の非分裂の分化細胞含む複数の種類の組織をin vivoで形質導入することができる。従来のAdベクターは、高い輸送能力を有する。臨床試験におけるAdベクターの使用の例は、筋肉内注射を用いた抗腫瘍免疫のためのポリヌクレオチド治療を含む(Sterman et al.,Hum.Gene Ther.7:1083−9(1998))。臨床試験における遺伝子導入のためのアデノウイルスベクターの使用のさらなる例として、Rosenecker et al.,Infection 24:1 5−10(1996)、Sterman et al.,Hum.Gene Ther.9:7 1083−1089(1998)、Welsh et al.,Hum.Gene Ther.2:205−18(1995)、Alvarez et al.,Hum.Gene Ther.5:597−613(1997)、Topf et al.,Gene Ther.5:507−513(1998)、Sterman et al.,Hum.Gene Ther.7:1083−1089(1998)が挙げられる。
宿主細胞を感染させることができるウイルス粒子を形成するために、パッケージング細胞が使用される。そのような細胞は、アデノウイルスをパッケージする293細胞、およびレトロウイルスをパッケージングするψ2細胞またはPA317細胞を含む。遺伝子治療に使用されるウイルスベクターは、通常、核酸ベクターをウイルス粒子中にパッケージする生産細胞株によって生成される。ベクターは、典型的には、パッケージングおよびその後の宿主への組込みに必要な最小限のウイルス配列(必要に応じて)を含有し、他のウイルス配列は、発現されるべきタンパク質をコードする発現カセットによって置換される。欠落したウイルス機能は、パッケージングする細胞株によってトランスで供給される。例えば、遺伝子治療に使用されるAAVベクターは、典型的には、宿主ゲノムへのパッケージングおよび組込みに必要なAAVゲノムからの逆方向末端反復(ITR)配列のみを有する。ウイルスDNAは、他のAAV遺伝子、すなわち、repおよびcapをコードするが、ITR配列が欠如しているヘルパープラスミドを含有する細胞株内にパッケージされる。細胞株はまた、ヘルパーとしてのアデノウイルスにも感染させられる。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製およびヘルパープラスミドからのAAV遺伝子の発現を促進する。このヘルパープラスミドは、ITR配列の欠如に起因して、相当な量ではパッケージされない。アデノウイルスによる汚染は、例えば、AAVよりもアデノウイルスのほうがより感受性の高い熱処理によって減少させることができる。場合によっては、AAVは、バキュロウイルスにおいて生成されてもよい(米国特許第6,723,551号および同第7,271,002号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
多くの遺伝子治療の用途において、遺伝子治療ベクターが、特定の組織型に対する高度の特異性をもって送達されることが望ましい。したがって、ウイルスベクターは、ウイルスの外表面上のウイルスのコートタンパク質との融合タンパク質としてリガンドを発現させることにより、所与の細胞型に対する特異性を有するように修飾することができる。リガンドは、対象とする細胞型上に存在することが分かっている受容体に対する親和性を有するように選択される。例えば、Han et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:9747−9751(1995)は、モロニーマウス白血病ウイルスを、gp70に融合されたヒトヘレグリンを発現するように修飾することができ、その組換えウイルスが、ヒト上皮成長因子受容体を発現する特定のヒト乳癌細胞に感染することを報告した。この原理は、標的細胞が受容体を発現し、かつ、ウイルスが細胞表面受容体に対するリガンドを含む融合タンパク質を発現する他のウイルス標的細胞対にまで拡張することができる。例えば、繊維状ファージは、実質的にいかなる選択された細胞受容体にも特異的結合親和性を有する抗体断片(例えば、FABまたはFv)を提示するように遺伝子操作することができる。上記の説明は、主としてウイルスベクターに適用されるが、同じ原理が非ウイルスベクターに適用されてもよい。そのようなベクターは、特異的な標的細胞による取り込みを好む特異的な取り込み配列を含有するように遺伝子操作することができる。
遺伝子治療ベクターは、後述するように、典型的には、全身投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、もしくは頭蓋内注入)または局所適用による個々の患者への投与によってin vivoで送達することができる。代替として、ベクターは、細胞、例えば、個々の患者から移植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄穿刺液、組織生検)または普遍的なドナーの造血幹細胞/前駆細胞等にex vivoで送達することもでき、その後、通常はベクターを組み込んだ細胞の選択後に、細胞が患者に再移植される。
ヌクレアーゼおよび/またはドナー構築物を含有するベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、リポソーム等)は、in vivoでの細胞の形質導入のために生物に直接投与することもできる。代替として、送達ビヒクル(例えば、リポソームまたはポロキサマー)とともに製剤化/複合化した裸のDNAを投与することもできる。投与は、限定されないが、注射、注入、局所適用、および電気穿孔を含む、通常、血液または組織細胞との最終的な接触に分子を導入するために用いられる経路のうちのいずれかによる。そのような核酸を投与する好適な方法は、利用可能かつ当業者に周知であり、特定の組成物を投与するために1つより多くの経路が用いられてもよいが、特定の経路は、別の経路より即時的かつより効果的な反応を提供できる場合が多い。
本明細書に記載されるポリヌクレオチドの導入に好適なベクターは、非組込み型レンチウイルスベクターまたはインテグラーゼ欠損型レンチウイルス(IDLV)を含む。例えば、Ory et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:11382−11388、Dull et al.(1998)J.Virol.72:8463−8471、Zuffery et al.(1998)J.Virol.72:9873−9880、Follenzi et al.(2000)Nature Genetics 25:217−222、米国特許公開第 2009/054985号を参照のこと。
薬学的に許容される担体は、投与される特定の組成物によって、また、組成物を投与するために使用される特定の方法によって、一部決定される。したがって、後述するように、多種多様な好適な医薬組成物の製剤が利用可能である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,1989を参照のこと)。
ヌクレアーゼをコードする配列およびドナー構築物は、同じかまたは異なる系を使用して送達できることは明白であろう。例えば、ドナーポリヌクレオチドは、プラスミドによって担持されてもよく、1つ以上のヌクレアーゼは、AAVベクターによって担持されてもよい。さらに、同じかまたは異なる経路(筋肉内注射、尾静脈注射、他の静脈内注射、腹腔内投与および/または筋肉内注射)によって異なるベクターが投与されてもよい。ベクターは、同時にまたは任意の連続的順序で送達されてもよい。
ex vivo投与およびin vivo投与の両方のための製剤は、液体中の懸濁液または乳化液を含む。有効成分は、薬学的に許容され、かつ有効成分と適合性のある賦形剤と混合されることが多い。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノール等、およびそれらの組み合わせを含む。さらに、組成物は、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、または医薬組成物の有効性を増強する他の試薬等の、少量の補助物質を含有してもよい。
以下の実施例は、ヌクレアーゼがジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を含有する本開示の例示的な実施形態に関する。これは例示目的のために過ぎず、例えば、遺伝子操作されたDNA結合ドメインを有するホーミングエンドヌクレアーゼ(メガヌクレアーゼ)、および/または、天然に存在するかもしくは遺伝子操作されたホーミングエンドヌクレアーゼ(メガヌクレアーゼ)のDNA結合ドメインと、異種の切断ドメインもしくはTALENとの融合物等の他のヌクレアーゼが使用されてもよいことを理解されたい。
実施例
実施例1:CCR5の遺伝子座への抗HIV導入遺伝子の組込み
米国特許第7,951,925号に記載されるようなジンクフィンガーヌクレアーゼを、ドナー分子にコードされた抗HIV導入遺伝子の、K562細胞、PM−1細胞、またはヒトHSPC(例えば、CD34+細胞)のCCR5遺伝子座内への標的組込みに使用した。shRNAドナーの場合、U6、CAG、またはPGKプロモーターが、shRNAの発現を駆動する。ZFP−TF抑制因子ドナーの場合、ドナーは、CD4+T細胞における下方制御を制限するためのCD4プロモーター/エンハンサーを含む。これらの発現カセットを、(上で特定した)ヒトおよびアカゲザルHSCのためのリードCCR5ドナーにクローン化し、配列を確認した。
プラスミドおよび/またはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス)を使用して、ZFNおよび/またはドナー構築物を送達する。予想される活性を確保し、ドナーの組込みを確認するために、K562細胞における標的組込み率を測定する。K562細胞における確認後、同様の様式で、内因性のCCR5遺伝子座を修飾するようにPM−1細胞をトランスフェクトし、修飾頻度を測定する。トランスフェクトした集団およびクローンを単離し、CCR5遺伝子座に組み込まれたときの導入遺伝子発現の全体的な頻度、レベル、および安定性、ならびにオフターゲット効果について調べる。
導入遺伝子の良好な安定した発現を示す修飾PM−1集団および細胞クローンを、R5指向性、X4指向性、および二重指向性ウイルスを含む様々なHIV株に曝露し、CCR5の破壊および導入遺伝子のどの組み合わせが、HIVに対する最良かつ最も広範な耐性を付与するかを判定した。PCRにより修飾細胞の生存を、全体的な細胞生存率を、細胞外p24レベルを、培養物中の逆転写酵素(RT)の単位の存在を測定することによって、またはqRT−PCRにより培養培地中のウイルスメッセージの量を測定することによって、耐性をモニタリングする。
選択されたドナー/導入遺伝子の組み合わせを、次いで、高力価NILベクターを発生させるために使用する:これは、3つ全ての構成要素を有するようにベクターの構成を変更すること、それらを2つの別個のベクターに分割すること、または構成要素をセンスもしくはアンチセンス方向に配置することを含み得る。得られたNILベクターを使用してHSPCを修飾し、これらの導入遺伝子が、ex vivoおよびin vivoの両方の動物試験で多様な細胞型において機能するように、発現および安定性を検査する(遺伝毒性およびオフターゲット効果に関する試験を含む)。
実施例2:自殺カセット
EF1αプロモーターによって駆動されるHSV TK遺伝子発現カセットをクローン化および配列決定し、最適なCCR5ドナー分子(実施例1)に挿入し、得られた構築物をK562およびPM−1細胞中で検査して、トランスフェクト細胞における組込み頻度ならびにHSV TK発現のレベルおよび安定性を判定する。継時的な安定性および発現レベルを調べるために試験を行う。死滅曲線を作成し、修飾集団および単離細胞クローンのガンシクロビルに対する反応、ならびに死滅効率を調べる。
本明細書において言及した全ての特許、特許出願、および刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
理解の明瞭さを目的として、図および実施例を用いてある程度詳細に開示を提供してきたが、当業者には、本開示の主旨または範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正が実施され得ることは明白であろう。したがって、前述の説明および実施例は、限定的であると解釈されるべきではない。

Claims (11)

  1. 細胞におけるHIVの感染または複製を阻害する方法であって、
    前記細胞のゲノム内の標的部位に抗HIV導入遺伝子を導入することを含み、前記抗HIV導入遺伝子は、天然には存在しないジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)による標的部位の二本鎖切断の後に前記ゲノム内に組み込まれ、さらに、抗HIV導入遺伝子は、前記細胞内で発現され、それによってHIVの感染または複製を阻害する、方法。
  2. 前記抗HIV導入遺伝子は、HIVポリタンパク質を抑制するジンクフィンガー転写因子をコードする配列、HIV受容体の発現を抑制するジンクフィンガー転写因子をコードする配列、CCR5リボザイム、HIVポリタンパク質を標的とするsiRNA配列、Trim5アルファ(Trim5α)制限因子をコードする配列、APOBEC3G制限因子をコードする配列、RevM10タンパク質をコードする配列、自殺カセット、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記標的部位は、CCR5、CCR4、AAVS1、HPRT、アルブミン、およびRosaからなる群から選択される内因性遺伝子である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記標的部位は、内因性CCR5遺伝子である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記内因性遺伝子が不活性化される、請求項3に記載の方法。
  6. 前記細胞は、幹細胞、T細胞、マクロファージ、樹状細胞、または抗原提示細胞からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記幹細胞は、胚性幹細胞(ESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、および造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記細胞中の前記内因性CCR5遺伝子が不活性化される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記細胞中の前記内因性CXCR4遺伝子が不活性化される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記組み込まれた抗HIV導入遺伝子の発現は、内因性プロモーターによって駆動される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記抗HIV導入遺伝子は、前記導入遺伝子の発現を駆動するプロモーターを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
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