JP2014524987A - 再生セルロース繊維 - Google Patents
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Abstract
本発明は、断面が実質的に平坦な長く伸びた区域(3)を有する再生セルロース繊維(1’’)に関する。本発明の繊維は、長く伸びた区域から少なくとも1つの肢(4、5、6、7)が分岐して、前記肢の長さは、長く伸びた区域(3)の長さの最大で40%であることを特徴とする。
【選択図】図3
【選択図】図3
Description
本発明は、ビスコース法により得られる再生セルロース繊維に関する。
例えば、タンポンまたは吸収体などの衛生用途には、一般的に、衛生製品の吸収容量をできるだけ高くするために、液体保持容量が特に高い繊維が望ましい。
タンポンの製造に通常使用される先行技術による繊維材料は、普通ビスコース繊維、いわゆるトリローバルビスコース繊維、および綿である。以下でさらに説明するいわゆるシンジャイナ試験による前記繊維の特異的吸収容量は、綿で約4.0g/g、普通ビスコースで4.5g/g、トリローバルビスコース繊維で5.2g/gである。
タンポンメーカーの目標は、繊維材料および費用の最小の消費で、際立った吸収度を達成することである。
綿は、吸収容量が不十分なため、タンポン用の繊維材料として徐々に時代遅れになりつつあるが、トリローバル繊維は、普通ビスコースと比較して、製造にはるかに多くの費用がかかり、しかもそれらをタンポンに加工することは、さらに一層困難である。
セルロース繊維の吸収容量を増大させるための多くの異なったアプローチが報告されている:
1.モノマーをセルロース繊維にグラフトすることによる化学的改質
2.カルボキシメチルセルロース、キトサン、セルロースカルバメート、アルギン酸塩またはグアーガムなどの吸収性ポリマーをセルロース繊維マトリックスに配合することによる化学的改質
3.例えば、US−A4,129,679により知られている、例えば中空繊維またはつぶれた中空繊維などの繊維の物理的改質、または
4.例えば、EP−A10301874により知られている、長さ対幅の比が2:1から10:1の少なくとも3肢を備えた多肢押出孔を有する紡糸口金を使用することにより得られる多肢繊維(いわゆる「トリローバル」繊維)。
1.モノマーをセルロース繊維にグラフトすることによる化学的改質
2.カルボキシメチルセルロース、キトサン、セルロースカルバメート、アルギン酸塩またはグアーガムなどの吸収性ポリマーをセルロース繊維マトリックスに配合することによる化学的改質
3.例えば、US−A4,129,679により知られている、例えば中空繊維またはつぶれた中空繊維などの繊維の物理的改質、または
4.例えば、EP−A10301874により知られている、長さ対幅の比が2:1から10:1の少なくとも3肢を備えた多肢押出孔を有する紡糸口金を使用することにより得られる多肢繊維(いわゆる「トリローバル」繊維)。
セルロース繊維の化学的改質の不利な点は、タンポンなどの非常に細心の注意を要する医学的用途のためにはコストも時間もかかる毒物学的および生理学的試験手順が必要なことであり、化学物質は恐らく安全と考えられるが、毒性のショック症候群(TSS)の発生のために、大部分のタンポンメーカーは化学的に改質された繊維材料の使用を避ける。
中空繊維およびつぶれた中空繊維の不利な点は、それらの高い水保持容量のために製造が困難であり、また、高い水保持容量の結果、繊維は洗浄中に大きく膨潤し、乾燥中に水素結合の形成のために互いに接着し、そのために、乾燥状態で脆くなり、湿潤状態ではつるつるし、それらをばらばらにしてカードされた布帛に加工することが困難になることである。
近年、多肢、特にトリローバルの繊維の使用は着実に増加してきた。
多肢ビスコース繊維の製造は、例えば、米国特許第5,634,914号および第5,458,835号およびEP−A1 0301874に記載されている。それらに開示された方法には、先行技術から知られた改質剤をある特定量含有していてもよい一般的に使用されるビスコースを、多肢形状、特にトリローバル形状の押出孔を通して従来型の紡糸浴中へ紡糸することが記載されている。前記方法の最も重要な特徴は、紡糸口金における多肢押出孔の形状が、フィラメントの断面の所望の形状と同様であることである。これらの文献の教示によれば、紡糸口金孔の幾何学的形状が繊維断面の形状を決定して、繊維断面の特定の長さ対幅の比は、押出孔を適切に設計することにより得ることができる。
それに加えて、多肢繊維に関する先行技術の教示によれば、そのような多肢繊維は、先行技術によるビスコース繊維、すなわち特にタンポンにおけるビスコース繊維の吸収容量と比較して増大した吸収容量を有しており、また、そのような繊維は、少なくとも3肢を有しなければならず、これらの繊維の各肢は、少なくとも2:1、最も好ましくは3:1から5:1の長さ対幅の比を示さなければならない。肢は、それらが折れ曲がって自分に重なるほど長くも細くもないという条件であれば、長さ対幅の比が大きいほど、繊維の自由体積と吸収容量との比率が大きい。
これらの文献は、緩徐な再生紡糸条件下では、例えば、酸レベルを低下させ且つ/または硫酸塩レベルを上げ且つ/またはビスコース改質剤を添加することにより、多肢繊維のさらに高い吸収容量が達成することができることも言及している。
ビスコース繊維の断面における中空空間が、前記繊維およびそれから製造される製品の吸収容量を増大させるということが、US−A4,362,159からさらに知られている。
WO2004/085720Aからは、断面の面積が前記断面に内接する最大の正三角形の面積より2.50倍未満、好ましくは2.40倍未満、特に好ましくは2.25倍未満大きい断面を有し、且つ以下で定義するシンジャイナ吸収容量が6.0g/g(繊維)を超える、中実の再生された普通ビスコース繊維が知られている。
WO2004/005595Aには、不規則なローブのある断面を有する吸収性の普通ビスコース繊維が記載されている。さらに、断面が不規則なビスコース繊維が、US4,129,679およびGB−A1,333,047に記載されている。
US6,403,217B1には、溶融紡糸法による改質された繊維断面を有する繊維を製造するための種々の型の形状が記載されている。溶融紡糸法は、ビスコース法で使用される湿式紡糸法とは根本的に異なる。
EP0301874Aから知られている従来のトリローバル繊維は、高い吸収容量を示す。一方、このことはそれらの幾何学的構造が原因の高い剛性に帰せられ、その剛性はトリローバル繊維により形成される細孔の安定性を増大させ、このようにして、大量の液体の保持を可能にする。他方、Y構造も繊維の充填密度に影響する。すなわち、Y構造の立体的に必要になる構造のために、中空空間が自動的に形成されて、その中空空間は、例えば、同じ構造の丸い繊維が使用されたときより大きい。
粗い細孔構造であるため、先行技術から知られているY繊維における毛管現象は比較的重要でない。より速い吸収性能およびよりよい分布効果を有する吸収体のためには、さらに多数の、その代わりより小さい中空空間の形成が有利である。
既知の吸収性ビスコース繊維の上記の不利な点を克服するために、本発明により、断面が横長で本質的に平坦な区域を含み、少なくとも1つの肢が横長の区域から分岐して、前記肢の長さが横長の区域の長さの最大で40%であることを特徴とする再生セルロース繊維が提供される。
本発明の目的は、複数のセルロース繊維を複数含む繊維束によっても達成される。
本発明のさらなる態様は、本発明のセルロース繊維を製造する方法、並びに本発明のセルロース繊維および本発明の繊維束の使用に関する。
断面がそれから突き出た少なくとも1つの肢を含む本質的に平坦で横長の区域を含むセルロース繊維の場合に、複数のそのような繊維から製造された製品の細孔サイズは、トリローバル繊維と比較して有利な影響を受けることができることが見出された。
肢は、横長の区域に関して本質的に直角に配列されることが好ましい。
特に好ましいのは、幾つかの分岐した肢が設けられている実施形態である。
その結果として、有利には、肢が横長の区域から両方向に分岐できる。
分岐肢の合計長が、横長の区域の長さを超えないことが、同様に好ましい。
少なくとも一部の肢、好ましくは全ての肢は、2:1から10:1の長さ対幅の比を有し得る。
少なくとも一部の肢、好ましくは全ての肢は、平坦な区域の幅よりも狭い幅を有し得る。
平坦な区域の全体の曲率は、好ましくは最大で120°である。紡糸が平らな紡糸開口部を有する型を通して実行されるときでさえ、生じた平坦な繊維で(または、本発明により提供される平坦な区域それぞれにおいて)、ある一定の曲率が生じ得る。したがって、平坦な区域の終点のみならず前記終点を通る想像上の直線から最も遠くに位置する平坦な区域の点により定められる角度が、曲率とみなされる。
本発明の繊度は、1.3dtexから10dtexの範囲にあることができる。
本発明のセルロース繊維は、短繊維、すなわち短く切断された繊維の形態で、またはフィラメントのトウとして提供することができる。
本発明は、複数の多肢再生セルロース繊維を含み、多肢セルロース繊維の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも50%が本発明のセルロース繊維の形態で提供される繊維束にも関する。本発明の繊維束において、その中に含まれる多肢セルロース繊維の本質的に全てが、本発明のセルロース繊維の形態で提供されてもよい。
複数の繊維は、「繊維束」として、例えば、スパンレーヨン(多数の短繊維)、連続フィラメントのストランド、または繊維の大きな把として、理解することができる。
好ましくは、繊維束に含まれる多肢セルロース繊維の本質的に全てが、本発明のセルロース繊維の形態で提供され、且つ、繊維束中に含まれる多肢セルロース繊維の断面がそれぞれ本質的に等しい。
繊維束は、さらに他の繊維、例えば、多肢ではないセルロース繊維のみならず、異なった起源の、例えば他のポリマー由来の繊維も含むことができる。
再生セルロース繊維、および先行する請求項のいずれかの繊維束のそれぞれを製造する本発明の方法は、
− ビスコース紡糸塊を準備するステップ、
− ビスコース紡糸塊を紡糸口金の少なくとも1つ開口部を通して紡糸浴中に紡糸して、それによりフィラメントを形成するステップ
を含み、
紡糸口金の開口部が溝形の区域を含み、そこから少なくとも1つの肢が分岐して、その長さが溝形の区域の長さの最大で40%であることを特徴とする。
− ビスコース紡糸塊を準備するステップ、
− ビスコース紡糸塊を紡糸口金の少なくとも1つ開口部を通して紡糸浴中に紡糸して、それによりフィラメントを形成するステップ
を含み、
紡糸口金の開口部が溝形の区域を含み、そこから少なくとも1つの肢が分岐して、その長さが溝形の区域の長さの最大で40%であることを特徴とする。
任意選択により、本発明の方法は、本方法により製造された繊維と、他の繊維、例えば、従来の多肢繊維、多肢でない繊維および/または異なった起源の、例えば他のポリマー由来の繊維とを混合するステップを含むことができる。
好ましくは、肢と溝形の区域との間の小さい方の角度は、30°と90°の間であり、特に好ましくは60°と90°の間である。
好ましくは、本発明による方法は、紡糸口金が幾つかの開口部を含み、全ての開口部は本質的に同じ形状を有するように構成される。このようにして、好ましい構成、すなわち全ての繊維が本質的に同じ断面を有する構成が、例えば、本発明の繊維からなる繊維束において達成される。
本発明は、吸収性物品、衛生製品、特にタンポン、失禁用製品、衛生パッドおよびパンティーライナー、毛布、クッションおよび寝袋用の充填材料、食料品、特に肉製品用の包装材、紙、特に濾紙、フロック、衣類、特にインレーフリース、および他の繊維と混合されてまたは多層構造として湿気対策用の衣類布地、並びに創傷被覆材における、本発明の再生セルロース繊維および本発明の繊維束のそれぞれの使用にも関する。
高い吸収容量を有する吸収体を製造するためのY繊維は、先行技術により知られている。この場合、存在する翼により、繊維中心は互いに遠く離れた距離に保たれるので液体保持容量の大きい構造が出現する。しかしながら、毛管現象は形成された細孔のサイズにより限られたものとなる。図1は、2つの従来のY繊維1、2の結合およびこの方法で製造された細孔構造を示す。
平坦な断面を有する繊維の製造は、先行技術からも知られている。吸収体のための平坦な繊維の単独使用は、それらがその構造のために互いに非常に密に隣接して位置することが可能で、したがって製造された構造は小さい吸収容量しか有しないので、好ましくない。互いに隣接して位置する平坦な繊維1’、2’(その他)が描かれている図2を参照されたい。
平坦な繊維のさらなる問題は、それらのより細い軸の周りに比較的容易に曲げられやすいことである。それ故、液体で満たされた吸収体中の中空空間がつぶれやすい。
本発明の繊維においては今般、より小さい細孔サイズを、横長の区域から分岐する少なくとも1つ、好ましくは幾つかの肢を適切に配列し寸法決めすることにより達成することができる。
図3は、横長の区域3および横長の区域3から図3の場合のように本質的に直角に分岐する幾つかの肢4、5、6、7、を含む本発明の繊維1’’の好ましい実施形態を示す。前記繊維は、ビスコース紡糸原料を、適当な構成(すなわち、溝形の区域および前記区域から分岐する肢形の区域)を有する紡糸開口部を通して紡糸することにより製造することができる。
図3に示したように、肢4、5、6、7の長さは、各々の場合、横長の区域の長さの40%未満である。肢の幅は、各々場合、横長の区域の幅より狭い。
先行技術に従った繊維加工の間に、繊維はある一定の速度で平行にされる。それ故、以下の考察は、最初に、平行にされた繊維を基準とする。
本発明の繊維から製造された構造の肢は、ディスタンスピースの役目を果たし、幾つかのそのような繊維が互いに結合している場合(図4を参照)、それは多数の非常に細い毛細管を形成させる。
同時に、肢は、補強材としておよびディスタンスピースとしての役目も果たし、それは、平坦な繊維部分のより細い軸の全域にわたって繊維の屈曲を防止する。この様式で、高い吸収容量が確保される。
本発明の繊維のさらなる利点は、図5で例示したように、水が繊維の肢の間の多数の隙間の中で、付着力により特に有利に保持されることである。したがって、本発明の繊維で作られた構造は、圧力に対して特に高い水維持容量を示す。
Claims (15)
- 断面が横長で本質的に平坦な区域(3)を含む再生セルロース繊維(1’’)であって、少なくとも1つの肢(4、5、6、7)が横長の区域から分岐し、前記肢の長さが横長の区域の長さの最大で40%であることを特徴とするセルロース繊維。
- 肢(4、5、6、7)が、横長の区域(3)に関して本質的に直角に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のセルロース繊維。
- 幾つかの分岐肢(4、5、6、7)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のセルロース繊維。
- 肢(4、5、6、7)が、横長の区域(3)から両方向に分岐していることを特徴とする、請求項3に記載のセルロース繊維。
- 分岐肢(4、5、6、7)の合計長が、横長の区域(3)の長さを超えないことを特徴とする、請求項3または4に記載のセルロース繊維。
- 少なくとも一部の肢(4、5、6、7)、好ましくは全ての肢が、2:1から10:1の長さ対幅の比を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のセルロース繊維。
- 少なくとも一部の肢(4、5、6、7)、好ましくは全ての肢が、平坦な区域(3)の幅より狭い幅を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のセルロース繊維。
- 平坦な区域の全曲率が最大で120°であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のセルロース繊維。
- 繊度が1.3dtexから10dtexの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のセルロース繊維。
- 短繊維、すなわち短く切断された繊維の形態で、またはフィラメントのトウとして提供されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のセルロース繊維。
- 複数の多肢再生セルロース繊維を含む繊維束であって、多肢セルロース繊維の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも50%が、請求項1〜10のいずれかに記載のセルロース繊維の形態で提供される繊維束。
- 含まれる多肢セルロース繊維の断面が本質的に等しいことを特徴とする、請求項11に記載の繊維束。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の再生セルロース繊維、又は繊維束のそれぞれを製造する方法であって、
ビスコース紡糸塊を準備するステップ、
ビスコース紡糸塊を少なくとも1つの紡糸口金の開口部を通して紡糸浴中に紡糸して、それによりフィラメントを形成するステップ
を含み、
紡糸口金の開口部が溝形の区域を含み、そこから少なくとも1つの肢が分岐して、その長さが溝形の区域の長さの最大で40%であることを特徴とする方法。 - 紡糸口金が数個の開口部を備え、全ての開口部が本質的に同じ形状を有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
- 吸収性製品、衛生製品、特にタンポン、失禁用製品、衛生パッドおよびパンティーライナー、毛布用、クッションおよび寝袋の充填材料、食料品、特に肉製品用の包装材、紙、特に濾紙、フロック、衣類、特にインレーフリース、および創傷被覆材における、請求項1から9のいずれかに記載の再生セルロース繊維、又は繊維束のそれぞれの使用。
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