JP2014523816A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 カッタ構造体、カッタ構造体を有するインサート及びカッタ構造体の製作方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、超硬度材料から成るカッタ構造体、カッタ構造体を有する機械工具用インサート及びカッタ構造体の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,106,585号明細書は、ダイヤモンドかCBNかのいずれかの研磨結晶の塊状体及び研磨結晶と接触状態にある触媒金属の塊状体をセル又は缶内に配置することによって複合塊状体を形成するステップを含む切削要素の製作方法を開示しており、缶は、缶の内部の頂面がディンプルを備えた状態で予備成形された保護遮蔽金属エンクロージャである。このディンプル付き表面は、層の頂面上に切り屑ブレーカ特徴部として機能する特徴部を形成するパターンを提供する。
【0003】
英国特許第2,366,804号明細書は、工具表面のために化学気相成長(CVD)ダイヤモンドの核形成側を用いることを開示しており、核形成側は、蒸着基体上に形成されたダイヤモンド微小結晶を含む。この英国特許明細書は、開示した方法を用いて製作されたCVDダイヤモンド工具が全て10パーセントを超えるコバルトを含む多結晶ダイヤモンド(PCD)工具と比較して利点を有していることを説明している。PCD材料は、これを製造するために用いられた超高圧、高温方法の結果としてコバルトを含むことができるということは言うまでもなく、この場合、コバルト(又は他の鉄族金属)は、ダイヤモンドが黒鉛よりも熱力学的に安定している圧力及び温度条件下で複数個のダイヤモンド結晶粒の内部成長を促進すると考えられる。コバルトは又、周囲圧力で非晶質炭素又は黒鉛へのダイヤモンドの再変換を促進することができるので、PCDは、約700℃の温度未満に保たれなければならない。PCDとは異なり、CVDダイヤモンドは、全体がダイヤモンドで作られ、その結果、長い耐摩耗寿命を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,106,585号明細書
【特許文献2】英国特許第2,366,804号明細書
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
効果的な性能及び良好な工具寿命を有する機械工具のための超硬度インサートを提供すると共にかかる超硬度インサートを製作する、より効率的な方法を提供することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点によれば、すくい面の形状を定める超硬度材料から成るカッタ構造体を製作する方法であって、この方法は、すくい面の形状と相補する形状を定める成形面を備えた基体及び複数個の超硬度結晶粒を含む凝集体を有する予備焼結組立体を用意するステップを含み、凝集体は、成形面に隣接して配置され、基体は、超硬度材料が熱力学的に安定する圧力及び温度において超硬度結晶粒の焼結を促進することができる触媒又は結合材料の源を有し、この方法は、予備焼結組立体に圧力及び温度を加えて超硬度構造体を提供するステップを更に含み、超硬度構造体は、超硬度構造体の第1の主境界部のところで成形面に接合された焼結多結晶超硬度材料から成り、超硬度構造体は、第1の主境界部と反対側の第2の主境界部を有し、この方法は更に、基体を除去してすくい面の形状を定める超硬度構造体の第1の主境界部を露出させるステップを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0007】
成形面は、すくい面の形状と相補する領域を少なくとも含むよう構成されている。例えば、すくい面の形状中に存在する場合のある少なくとも1つの窪み及び/又は突起特徴部に関し、成形面上にこれらに対応してそれぞれ突起又は窪みが存在するであろう。換言すると、成形面の形状は、すくい面の形状のネガに類似していると言える。
【0008】
カッタ構造体及びインサートに関する特徴の種々の配置及び組み合わせ並びに方法の変形例は、本発明の範囲に含まれ、その限定的な且つ非網羅的な実施例について以下に説明する。
【0009】
種々の実施例では、カッタ構造体は、機械工具用のインサートのためのものであって良く、又は、超硬度材料は、切り屑ブレーカ形状を含む主すくい角を定めるものであって良く且つ/或いはカッタ構造体は、インサートベースに接合されても良い。
【0010】
種々の実施形態では、すくい面の形状は、使用中、切り屑ブレーカ形状として機能することができ、少なくとも1つの切り屑ブレーカ特徴部を有し、種々の例示の構成例では、1つ又は複数の切り屑ブレーカ特徴部は、サイズが少なくとも約100ミクロン、最大約数ミリメートルであるのが良く、カッタ構造体は、少なくとも約100ミクロン又は少なくとも約500ミクロンの平均厚さ(第1の主境界部と第2の主境界部との間)を有するのが良く且つ/或いはカッタ構造体は、せいぜい約2,000ミクロン、せいぜい約1,000ミクロン又はせいぜい約500ミクロンの平均厚さを有するのが良く、カッタ構造体は、天然又は合成ダイヤモンド材料又はCBN材料から成るのが良い。
【0011】
多結晶超硬度材料の例としては、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料、熱安定性PCD材料、炭化珪素結合ダイヤモンド(SCD)又は多結晶立方晶窒化硼素(PCBN)が挙げられる。カッタ構造体は、化学気相成長(CVD)法によって製造されたダイヤモンド材料から成るのが良いが、本質的に、CVD法によって作られたダイヤモンド材料から成るものでなくても良い。幾つかの構成例では、カッタ構造体にはCVD法によって作られたダイヤモンド材料が含まれていなくても良い。
【0012】
幾つかの実施例では、第1の主境界部に隣接して位置し、例えば第2の主境界部に隣接して位置する第1の領域内の多結晶超硬度材料は、第1の主境界部から見て実質的に遠くに離れて位置する第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも低い硬度を有する。第1の領域は、第1の主境界部の少なくとも一領域と実質的に共形であっても良い。第1の領域は、第1の主境界部から所与の深さまで延びるのが良く、この深さは、少なくとも約50ミクロン又は少なくとも約100ミクロンであるのが良い。第2の領域は、第1の領域に隣接して位置するのが良く、この第2の領域は、第1の領域との境界部から約100ミクロン、200ミクロン又は500ミクロンの深さまで延びるのが良い。第1の領域内の多結晶超硬度材料は、超硬度結晶粒(これらが実質的に分散して配置され又は互いに実質的に内部成長した状態のものである場合)の平均含有量が体積及び/又は重量パーセントの観点において第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも少ないのが良い。第1の領域内の触媒又は結合材料の含有量は、第2の領域内の触媒又は結合材料の含有量よりも実質的に多くても良く或いは第2の領域内の触媒又は結合材料の含有量よりも少なくても良く、第1の領域内の触媒又は結合材料の少なくとも何割かは、場合によっては、多結晶超硬度材料の焼結後、除去されている。幾つかの実施例では、第1の領域内の多結晶超硬度材料は、含有する触媒又は結合材料が実質的に第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも少なくとも約10パーセント又は少なくとも20パーセント(体積及び/又は重量パーセントの観点において)多いのが良い。したがって、例えば、第2の領域内の多結晶超硬度材料が約10重量パーセント触媒又は結合材料を含む場合、第1の領域内の多結晶超硬度材料は、少なくとも約11重量パーセント又は少なくとも約12重量パーセント触媒又は結合材料及びこれに対応して少ない超硬度結晶粒の形態の材料を含むのが良い。
【0013】
幾つかの実施例では、本方法は、超硬度構造体を処理して触媒又は結合材料をカッタ構造体中の相互結合ダイヤモンド結晶粒相互間の隙間から除去するステップを含むのが良い。特定の実施例では、超硬度構造体は、PCD材料から成るのが良く、本方法は、超硬度構造体を処理して触媒材料、例えばCoを相互結合ダイヤモンド結晶粒相互間の隙間から除去するステップを含むのが良く、これは、PCD材料の熱的安定性及びレジリエンスを向上させるという作用効果をもたらす可能性がある。これは、PCD材料が超硬度構造体を加熱するステップを含む方法によって、例えばろう付けによってインサートベースに接合されている場合、PCD材料の劣化を軽減し又は阻止する可能性がある。
【0014】
幾つかの実施例では、基体は、接合剤を含む焼結炭化物材料から成るのが良く、接合剤は、超硬度材料を焼結するための触媒又は結合材料の源を含むのが良い。接合剤は、例えばコバルト(Co)であるのが良い。
【0015】
幾つかの実施例では、凝集体は、超硬度材料、例えばコバルト又は触媒若しくは結合材料のための前駆物質を焼結するための触媒又は結合材料の源を含むのが良い。
【0016】
本方法は、カッタ構造体を第2の主境界部のところでインサートベースのインターベース表面に接合するステップを含むのが良い。本方法は、超硬度構造体の第1の主境界部をインサートベースに接合するステップ及び次に基体を除去して超硬度構造体の第1の主境界部を露出させるステップを含むのが良い。幾つかの実施例では、超硬度構造体は、一方の側が基体と逆の側がベース本体との間に一体に形成されるのが良く(即ち、超硬度層は、これら物体相互間にサンドイッチされてこれら物体に接合されるのが良い)、基体は、例えばこれを研削して第1の主境界部上の1つ又は複数の切り屑ブレーカ特徴部を露出させることによって除去されるのが良い。
【0017】
幾つかの実施例では、基体とインサートベースは両方とも、焼結炭化物材料から成るのが良い。基体は、第1の焼結炭化物材料から成るのが良く、インサートベースは、第2の焼結炭化物材料から成るのが良く、第1の焼結炭化物材料と第2の焼結炭化物材料は、組成及び/又は物理的又は化学的性質の少なくとも1つの観点において実質的に異なる。例えば、第2の焼結炭化物材料は、第1の焼結炭化物材料よりも炭化物結晶粒材料含有量が多く且つ接合剤含有量が少ないのが良い。第2の焼結炭化物材料は、第1の焼結炭化物よりも実質的に硬く且つ/或いは実質的に高い弾性率を有するのが良い。これは、基体の焼結炭化物材料が多結晶超硬度材料を焼結するために触媒材料の源を提供するのに適しているという観点を提供することができ、インサートベースの焼結炭化物材料は、工具にとってより好適であると言える。
【0018】
種々の方法、例えば基体の構成材料の形式に或る程度応じて放電加工(EDM)、レーザ加工、機械工具又はエッチングを利用して基体の成形面上に成形面形状を形成することができる。変形例として、基体に成形面形状の特徴部を形成しても良い。例えば、本方法は、基体のための前駆物質を含む未加工物体の表面上に成形面形状を形成するステップ及び未加工物体を焼結して基体を形成するステップを含むのが良い。
【0019】
種々の実施例では、圧力は、少なくとも約4GPa、少なくとも5GPa又は少なくとも7GPaであるのが良く、種々の実施例では、温度は、少なくとも1,200℃又は少なくとも1,400℃であるのが良い。幾つかの実施例では、超高圧は、基体のための前駆物質を含む未加工物体の表面上に成形面形状を形成するステップ及び前記未加工物体を焼結して前記基体を形成するステップを含む少なくとも約5.5GPa、少なくとも約6GPa、少なくとも約7GPa又は少なくとも約8GPaであるの良く、触媒材料は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び/又はマンガン(Mn)を含む場合があり又は触媒材料は、実質的に非金属、例えば塩である場合がある。
【0020】
幾つかの実施例では、本方法は、多結晶超硬度材料を加工して超硬度構造体に切れ刃を形成するステップを含むのが良く、すくい面の形状を含むすくい角がこの切れ刃に隣接して設けられる。超硬度材料を加工する方法としては、例えば、研削、放電加工(EDM)及び/又はレーザ切断が挙げられる。
【0021】
基体は、例えば研削及び/又は酸処理又は腐食によって除去されるのが良く、それにより自立型超硬度構造体が提供される。
【0022】
カッタ構造体は、少なくとも約100ミクロン又は少なくとも約500ミクロンの平均厚さ及び/又はせいぜい約2,000ミクロン、せいぜい約1,000ミクロン又はせいぜい約500ミクロンの平均厚さを有するのが良い。
【0023】
開示する例示としての方法は、或る特定の他の方法よりも複雑さが比較的少なく且つ/或いは効率が高いという観点を有すると言える。
【0024】
第2の観点によれば、すくい面の形状を含むすくい角を定める多結晶超硬度材料から成るカッタ構造体であって、すくい角に隣接して位置する第1の領域内の多結晶超硬度材料は、すくい角から実質的に遠くに離れて位置し、例えば第2の主境界部に隣接して位置する第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも低い硬度を有することを特徴とするカッタ構造体が提供される。
【0025】
特徴の種々の構成及び組み合わせ、例えば第1の観点、明示的に且つ/或いは暗黙的に例えばカッタ構造体と関連して上述した実施例並びに以下に説明する実施例を含む(これらには限定されない)カッタ構造体は、本発明の範囲に含まれる。
【0026】
第1の領域は、第1の主境界部の少なくとも一領域と実質的に共形であっても良い。第1の領域は、第1の主境界部から所与の深さまで延びるのが良く、この深さは、少なくとも約50ミクロン又は少なくとも約100ミクロンであるのが良い。第2の領域は、第1の領域に隣接して位置するのが良く、この第2の領域は、第1の領域との境界部から約100ミクロン、200ミクロン又は500ミクロンの深さまで延びるのが良い。第1の領域内の多結晶超硬度材料は、超硬度結晶粒(これらが実質的に分散して配置され又は互いに実質的に内部成長した状態のものである場合)の平均含有量が体積及び/又は重量パーセントの観点において第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも少ないのが良い。第1の領域内の触媒又は結合材料の含有量は、第2の領域内の触媒又は結合材料の含有量よりも実質的に多くても良く或いは第2の領域内の触媒又は結合材料の含有量よりも少なくても良く、第1の領域内の触媒又は結合材料の少なくとも何割かは、場合によっては、多結晶超硬度材料の焼結後、除去されている。幾つかの実施例では、第1の領域内の多結晶超硬度材料は、含有する触媒又は結合材料が実質的に第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも少なくとも約10パーセント又は少なくとも20パーセント(体積及び/又は重量パーセントの観点において)多いのが良い。したがって、例えば、第2の領域内の多結晶超硬度材料が約10重量パーセント触媒又は結合材料を含む場合、第1の領域内の多結晶超硬度材料は、少なくとも約11重量パーセント又は少なくとも約12重量パーセント触媒又は結合材料及びこれに対応して少ない超硬度結晶粒の形態の材料を含むのが良い。
【0027】
特定の理論によって束縛されるものではないが、開示する方法を用いて製作され、隣接の多結晶超硬度材料の比較的軟質の領域を有し又はすくい角若しくは切れ刃を構成するカッタ構造体の例示の構成は、工具寿命を延ばすという観点を有することができる。これが生じる理由は、超硬度材料は、優れた耐磨損性を有するが、或る特定の他の工業用切削材料、例えば焼結炭化物材料よりも比較的もろいからである。作業面に隣接して位置する幾分軟質の領域は、カッタ構造体のチッピング、欠損又は割れの恐れを減少させるという観点を有することが見込める。カッタ構造体の第1の主境界部に隣接して位置する軟質領域の形成は、焼結ステップ中、凝集体中への基体からの溶融触媒材料の溶浸及びその結果としての超硬度構造体と基体との間の中間層の形成から生じる場合があり、中間層は、触媒材料の比較的高い含有量を有している。
【0028】
本発明に従って製作されたカッタ構造体は、焼結ステップから直接所望のすくい面の形状を備えることができ、かかるカッタ構造体は、すくい角に隣接して位置し又はすくい角を定める多結晶材料が多結晶硬度材料の実質的に残部よりも軟質である観点を有する可能性がある。他の方法の場合とは異なり、焼結ステップにおいて形成される所望の形状を含むすくい角の相当な領域は、研削等による次の別の加工を必要とすることは先ずなく、その理由は、かかる領域は、所望の寸法上の仕様を既に有する可能性があるからである。確かに、所望の形状を損なう恐れなくすくい角に対してかかる焼結後加工を実施することが極めて困難であると言える。本発明に従って製作されたカッタインサートは、十分に良好なすくい面の形状の寸法上の精度及びすくい面の形状に隣接して位置し又はこれを定める多結晶超硬度材料の幾分軟質の層という観点を有する可能性があり、かくして、使用中、カッタ構造体に対する保護作用が潜在的に与えられる。
【0029】
第3の観点によれば、機械工具用のインサートであって、本発明のカッタ構造体を有するインサートが提供される。
【0030】
幾つかの実施例では、インサートは、例えば接合材料、例えばろう合金の層によってインサートベースに接合されたカッタ構造体を有するのが良く、カッタ構造体は、超硬度材料から成り、かかるカッタ構造体は、使用中、切り屑ブレーカ特徴部として機能することができる窪み及び/又は突起を含む主すくい角を有し、即ち、主すくい角は、切り屑ブレーカ形状を有する。
【0031】
以下、添付の図面を参照して非限定的な例示としての構成について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】機械工具用の例示の割送り型インサートの斜視図である。
【図1B】図1Aに示されている割送り型インサートのA‐A平面で取った断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1A及び図1Bを参照すると、機械工具(図示せず)用の例示の割送り型インサート(スローアウェイ又は使い捨てインサートとも呼ばれる)10がインサートベース30にろう付けされたPCDカッタ層20を有し、カッタ層20は、切り屑ブレーカ形状を有するすくい角12を定めている。インサート10は、3つのコーナ14及びインサート10を機械工具に固定する中央ピン穴13を有し、各コーナ14のところには切れ刃15が形成されている。切り屑ブレーカ形状は、すくい角12の外縁部周りに配置された隆起部16、隆起部16に隣接して配置されたトラフ17及びコーナ14の各々の近くでトラフ17に設けられた複数個の全体として半径方向に配置された突起18を有している。
【0034】
次に、例示としてのPCBN及びPCD構造体を製作する例示としての方法について説明する。
【0035】
幾つかの実施例では、超硬度結晶粒の凝集体は、実質的にルーズな超硬度結晶粒又は結晶粒を結合する結合材料(結合剤)と組み合わされた超硬度結晶粒を含むのが良い。凝集体は、ダイヤモンド又はCBN結晶粒を含むのが良く、かかる凝集体は、有機結合剤により結合された平均粒径が少なくとも約0.1ミクロンでありせいぜい約30ミクロンのダイヤモンド又はCBN結晶粒から成る複数のシート、顆粒、フレーク又は粉末の形態で提供されるのが良い。凝集体中に含まれるシート、顆粒、フレーク又は粉末のうちの少なくとも何割かは、ダイヤモンド若しくはCBN又は触媒若しくは結合材料用の前駆物質を焼結するための炭化タングステン結晶粒及び/又は触媒又は結合材料を更に含むのが良い。本方法は、シートを細断し又は違ったやり方で断片化して複数の板状顆粒又はフレークを生じさせるステップを含むのが良く、これら顆粒又はフレークは、基体の成形面に対して一緒に突き固められるのが良い。幾つかの実施例では、凝集体は、超硬度結晶粒から成る押し出し物体を含むのが良い。幾つかの実施例では、本方法は、超硬度結晶粒を含むスラリ又はペーストを提供するステップ及び射出成形により又はスラリ若しくはペーストを注型することによって凝集体を作るステップを含むのが良い。
【0036】
シートの形態の凝集体を当該技術分野において知られている方法、例えば押し出し又はテープ成形法によって作ることができ、ダイヤモンド結晶粒及び結合材料を含むスラリを表面上に載せて乾燥させる。また、例えば米国特許第5,766,394号明細書及び同第6,446,740号明細書に記載されているダイヤモンド担持シートを作る他の方法を利用するのが良い。ダイヤモンド担持層を被着させる別の方法としては、吹き付け法、例えば熱溶射が挙げられる。幾つかの実施例では、凝集体は、ダイヤモンド結晶粒とダイヤモンドのための触媒材料、例えばCo、Ni、Fe、Mnの混合物を含むのが良く、これらダイヤモンド結晶粒と触媒材料を粉砕(例えば、ボール粉砕)によって互いに組み合わせ、そして可塑剤結合材料、例えばPMMA、DBP等を用いてシートの状態に注型するのが良い。幾つかの実施例では、超硬度結晶粒は、CBN結晶粒であり、超硬度構造体は、PCBN材料から成るのが良い。かかる実施例では、凝集体は、窒化硼素粉末とTi、Al、W又はCoを含む結合材料の混合物を含むのが良く、この混合物は、可塑剤を用いてシートの状態に注型される。
【0037】
PCDカッタ構造体を製作する例示の方法では、有機結合材料によって結合された複数個のダイヤモンド結晶粒を含む凝集体を提供するのが良い。ダイヤモンド結晶粒の平均粒径は、少なくとも約1ミクロン且つ/或いはせいぜい約20ミクロンであるのが良い。凝集体を基体の成形面に接触させるのが良く、この組み合わせをオーバーラップ状態のデュアルカップ構造体内に封入して予備焼結組立体を形成するのが良い。予備焼結組立体を超高圧炉(これは、超高圧プレスとも呼ばれる場合がある)のためのカプセル内に組み込み炉内で加熱して揮発性ガスを除去すると共に/或いは有機結合剤を焼尽させ、そしてこれに少なくとも約5.5GPaの圧力及び少なくとも約1,300℃の温度を加え、かくして、ダイヤモンド結晶粒を互いに焼結して基体に接合されたPCD構造体を含む焼結成形体を形成するのが良い。ダイヤモンドの焼結を促進するコバルトのうちの少なくとも何割かを焼結炭化物基体から得ることができる。と言うのは、基体中に存在するコバルト接合剤は、これら条件下では溶融し、かかるコバルト接合剤の何割かは、ダイヤモンド結晶粒の凝集体中に溶浸してこれらの内部成形を促進するからである。超高圧での焼結プロセス後、基体の成形面に接合されたPCD材料を含む焼結成形体を超高圧装置から回収し、カプセル材料をこれから取り出すことができる。
【0038】
超硬度構造体は、国際公開第2007/049140号パンフレットに記載されているPCBN材料から成るのが良く、かかる超硬度構造体は、PCBNの製造に適した粉末状組成物を用意するステップを含み、粉末が少なくとも80体積パーセントCBN粒子及び粉末状結合材料を含み、そしてこの粉末組成物に摩擦摩鉱(アトリクションミリング)を施すステップを有する方法によって製造されるのが良い。この組成物は、2つ以上の平均粒径のCBN粒子を含むのが良い。一実施例では、CBN粒子の平均サイズは、せいぜい約12ミクロン又はせいぜい2ミクロンであるのが良い。結合材料としては、アルミニウム、シリコン、コバルト、モリブデン、タンタル、ニオブ、ニッケル、チタン、クロム、タングステン、イットリウム、炭素及び鉄を含む相のうちの1つ又は2つ以上を含むのが良い。結合材料は、アルミニウム、シリコン、コバルト、ニッケル、チタン、クロム、タングステン、イットリウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、炭素及び鉄のうちの2つ以上の粉末の一様な固溶体から成るのが良い。次に、フライス加工された粉末組み合わせを高温及び高圧で押し固めることによって、かかる粉末組み合わせを予備焼結体に形成するのが良く、予備焼結体に少なくとも約5GPaの超高圧及び少なくとも約1,200℃の温度を加えて粉末組み合わせを焼結してPCBN物体を生じさせるのが良い。
【0039】
以下にこの方法を説明するために非限定的な実施例について詳細に説明する。
【0040】
実施例1
【0041】
所与の加工用途の要件に従い且つ機械工具インサートの意図した形状に注意して切り屑ブレーカ表面形状の形態を設計するのが良い。コバルト焼結炭化物基体を用意するのが良く、かかる基体は、切り屑ブレーカ形状の表面と相補する(即ち、これと逆である)表面形状を含む表面を有する。基体のための未加工物体を機械加工することによって、即ち焼結炭化物物体を形成するよう基体を焼結する前に、特徴部を表面上に形成するのが良い。複数個のダイヤモンド結晶粒を基体の表面に押し付けて凝集体を形成し、組立体を金属ジャケット内に封入することによって予備圧縮組立体を調製するのが良い。ダイヤモンド結晶粒は、少なくとも約1ミクロン且つせいぜい約20ミクロンの平均粒径を有するのが良く、凝集体は、製造されるべき少なくとも約1ミリメートルの厚さを有するPCD層にとって十分な厚さのものであるのが良い(即ち、十分な数のダイヤモンド結晶粒を含む)。予備圧縮組立体に少なくとも約5.5GPaの超高圧及び少なくとも約1,250℃の温度を加えて基体中のコバルトを溶解させてダイヤモンド結晶粒を互いに焼結し、それにより基体に接合された状態で形成されたPCD構造体を含む複合材コンパクトを形成するのが良い。基板を研削することによって基板を実質的に除去し、PCD構造体を酸の中で処理してこれに結合された残留焼結炭化物材料を除去する共に/或いは内部成長ダイヤモンド結晶粒相互間の隙間領域内のコバルトを溶出するのが良い。PCD構造体からのコバルトの相当な量の除去は、PCD構造体の熱的安定性を実質的に増大させる可能性が多分にあると共にPCD材料をインサートベースにろう付けしたときのPCD材料の劣化の恐れを恐らくは減少させる。PCDカッタ構造体を活性ろう合金、例えばTiCuSilろう付け合金によって焼結炭化物インサートベース(即ち、別の焼結炭化物物体)のインターフェース表面に真空中でろう付けするのが良く、第2の主要な表面は、インターフェース表面に隣接して設けられ、第1の主要な表面は、インターフェースと対向して露出される。このようにして形成された複合材コンパクトを例えば研削によって加工してくっきりとした切り屑ブレーカ特徴部を有するPCDカッタ構造体を含む機械工具インサートを提供するのが良い。
【0042】
実施例2
【0043】
所与の加工用途の要件に従い且つ機械工具インサートの意図した形状に注意して切り屑ブレーカ表面形状の形態を設計するのが良い。コバルト焼結炭化物基体を用意するのが良く、かかる基体は、切り屑ブレーカ形状の表面と相補する(即ち、これと逆である)表面形状を含む表面を有する。基体のための未加工物体を機械加工することによって、即ち焼結炭化物物体を形成するよう基体を焼結する前に、特徴部を表面上に形成するのが良い。複数個の立方晶窒化硼素(PCBN)結晶粒を基体の表面に押し付けて凝集体を形成し、組立体を金属ジャケット内に封入することによって予備圧縮組立体を調製するのが良い。凝集体は、86重量パーセントCBN結晶粒及び70.0重量パーセントAl、11.7重量パーセントCo及び18.3重量パーセントWを含む結合材料を含む粉末のブレンドを更に含むのが良い。CBN結晶粒は、約12ミクロンから約17ミクロンの範囲の平均粒径を有するのが良く、凝集体は、製造されるべき少なくとも約1ミリメートルの厚さを有するPCBN層にとって十分な厚さのものであるのが良い。予備圧縮組立体に少なくとも約5GPaの超高圧及び少なくとも約1,300℃の温度を加えて凝集体を焼結し、それにより基体に接合された状態で形成されたPCBN構造体を含む複合材コンパクトを形成するのが良い。基板を研削することによって基板を実質的に除去し、PCBN構造体を酸の中で処理してこれに結合された残留焼結炭化物材料を除去するのが良い。PCBNカッタ構造体を活性ろう合金、例えばTiCuSilろう付け合金によって焼結炭化物インサートベース(即ち、別の焼結炭化物物体)のインターフェース表面に真空中でろう付けするのが良く、第2の主要な表面は、インターフェース表面に隣接して設けられ、第1の主要な表面は、インターフェースと対向して露出される。このようにして形成された複合材コンパクトを例えば研削によって加工してくっきりとした切り屑ブレーカ特徴部を有するPCBNカッタ構造体を含む機械工具インサートを提供するのが良い。
【0044】
本明細書で用いられる或る特定の用語及び概念について以下に簡単に説明する。
【0045】
機械工具は、動力式機械装置であり、これは、機械加工により例えば金属、複合材料、木材又はポリマーのような材料から成るコンポーネントを製造するために使用でき、かかる機械加工は、工作物と呼ばれる物体からの材料の選択的除去である。機械工具は、カッタ構造体を有するカッタインサート(又は単に「インサート」)を有するのが良く、インサートは、割送り可能であると共に/或いは交換可能であるのが良い。
【0046】
機械工具が使用中、加工物を機械加工しているとき、加工物の小片が恐らくは除去され、これら小片は、「切り屑」と呼ばれる。切り屑は、使用中、機械工具により物体の加工面から除去された物体の小片である。小片の生成を制御すると共に切り屑の流れを方向付けることは、アルミニウム、チタン及びニッケルの新型合金の高生産性機械加工及び/又は高表面仕上げ機械加工のための工具の重要な観点である。切り屑ブレーカ特徴部の幾何学的形状は、種々の機械加工要因、例えば加工物材料、切削速度、切削作業及び必要な表面仕上げに従って選択されるのが良い。
【0047】
カッタインサートのすくい面は、工具を用いて材料を物体から除去したときに切り屑の流れる1つ又は複数の表面であり、すくい角は、新たに生じる切り屑の流れを方向付ける。すくい面の形状は、すくい面の所望の形態、例えば切り屑を効果的に粉砕すると共に/或いは除去するための形態であるのが良い。
【0048】
本明細書で用いられる切り屑ブレーカ表面形状は、工具を用いて加工物又は他の物体を切削し、穴あけし又は機械加工する際に作られる切り屑の寸法形状の観点を制御するのに適した工具(例えば、機械工具又は他の工具用)のためのインサートの表面の形態を意味している。かかる形状は、インサートのすくい面上に形成された窪み及び/又は突起特徴部、例えば半径方向又は周辺方向隆起部及びトラフを含む場合がある。
【0049】
本明細書で用いられる超硬度材料又は極超硬度材料は、少なくとも約25GPaのビッカース硬さを有する。合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド(PCD)、立方晶窒化硼素(CBN)及び多結晶CBN(PCBN)材料は、超硬度材料の例である。人工ダイヤモンドと呼ばれることもある合成ダイヤモンドは、製造されたダイヤモンド材料である。PCD構造体は、PCD材料を含み又は本質的PCD材料から成り、PCBN構造体は、PCBN材料を含む又は本質的にPCBN材料から成る。超硬度材料の他の例としては、セラミック材料、例えば炭化珪素(SiC)を含むマトリックス又は焼結炭化物材料、例えばCo結合WC材料(例えば、米国特許第5,453,105号明細書又は同第6,919,040号明細書に記載されている)によって結合されたダイヤモンド又はCBN結晶粒を含む或る特定の複合材料が挙げられる。例えば、或る特定のSiC結合ダイヤモンド材料は、少なくとも約30体積パーセントのダイヤモンド結晶粒をSiCマトリックス(これは、少量のSiをSiC以外の形態で含む場合がある)中に分散させたものであるのが良い。SiC結合ダイヤモンド材料の例は、米国特許第7,008,672号明細書、同第6,709,747号明細書、同第6,179,886号明細書、同第6,447,852号明細書及び国際公開第2009/013713号パンフレットに記載されている。
【0050】
一般に、本明細書で使用されているように、超硬度材料のための触媒材料は、少なくとも超硬度材料が熱力学的に安定している圧力及び温度での超硬度材料の結晶粒を含む多結晶材料の焼結を促進することができる。触媒材料は、多結晶材料を形成するために超硬度材料の結晶粒の直接的内部成長及び/又はより一般的に言えば超硬度材料の結晶粒の焼結を促進することができる。幾つかの実施例では、触媒材料は、焼結マトリックスをそれ自体の上に又は超硬度結晶粒を分散させることができ、必ずしも互いに直接内部結合しない他の適当な材料と組み合わせて形成することができる結合材料として機能することができる。例えば、合成ダイヤモンド用の触媒材料は、合成ダイヤモンド結晶粒の成長及び/又は合成又は天然ダイヤモンドが黒鉛よりも熱力学的に安定している温度及び圧力において合成又は天然ダイヤモンド結晶粒の直接内方成長を促進することができる。ダイヤモンド用の触媒材料の例は、Fe、Ni、Co、Mn及びこれらを含む或る特定の合金である。PCBN材料のための触媒又は結合材料は、Ti含有化合物、例えば炭化チタン、窒化チタン、浸炭窒化チタン及び/又はAl含有化合物、例えば窒化アルミニウム及び/又は例えばCo及び/又はWのような金属を含む化合物を含むのが良い。
【0051】
本明細書で用いられる多結晶ダイヤモンド(PCD)材料は、複数のダイヤモンド結晶粒の塊状体(複数のダイヤモンド結晶粒の凝集体)から成り、ダイヤモンド結晶粒の大部分は、互いに直接的に内部結合され、かかる材料中のダイヤモンド含有量は、この材料の少なくとも約80体積パーセントである。ダイヤモンド結晶粒相互間の隙間は、少なくとも部分的に、合成ダイヤモンドのための触媒材料を含む結合材料で満たされているのが良いが、実質的に空であっても良い。PCD材料から成る物体は、隙間からの触媒材料の除去元である少なくとも一領域を含むのが良く、後にはダイヤモンド結晶粒相互間に隙間ボイドが残る。
【0052】
PCBN材料は、金属又はセラミック材料から成るマトリックス内に分散して設けられた立方晶窒化硼素(CBN)の結晶粒から成る。例えば、PCBN材料は、Ti含有化合物、例えばチタン炭窒化物及び/又はAl含有化合物、例えば窒化アルミニウム及び/又は金属例えばCo及び/又はWを含む化合物から成る結合剤マトリックス材料中に分散して設けられた少なくとも約60体積パーセントCBNを含むのが良い。PCBN材料の幾つかのバージョン(又は「等級」)は、少なくとも約80体積パーセント又はそれどころか少なくとも約85体積パーセントCBN結晶粒を含む場合がある。
【0053】
熱的安定性PCD材料は、約400℃を超え又はそれどころか約700℃を超える温度への暴露後に実質的な構造的劣化を示さず又は硬度若しくは耐研磨性の低下を示さない少なくとも一部又は体積部を有する。例えば、PCD材料は、ダイヤモンドのための約2重量パーセント未満の触媒金属、例えばCo、Fe、Ni、Mnを触媒作用的に活性の形態(例えば、元素の形態)で含むPCD材料は、熱的に安定していると言える。実質的に触媒作用的に活性の形態の触媒材料を含まないPCD材料は、熱的に安定性のあるPCDの一例である。隙間が実質的にボイドであり、又は少なくとも部分的にセラミック材料、例えばSiC又は塩材料、例えば炭酸化合物で満たされたPCD材料は、例えば熱的に安定していると言える。ダイヤモンドのための触媒材料の減損元であり又は触媒材料が触媒として比較的活性度の小さい形態で存在する少なくとも相当に広い領域を有するPCD構造体は、熱的に安定性のあるPCDとして説明できる。
【0054】
上述したように、PCD材料及びPCBN材料は、適当な接合材料又は触媒材料の存在下で複数のダイヤモンド結晶粒又はCBN結晶粒をそれぞれ基体、例えば焼結炭化物基体上に焼結することによって提供できる。このようにして作られたPCD又はPCBN構造体は、基体に接合された状態で形成される可能性があり、それぞれの構造体を焼結物体の状態に形成するプロセスの実施中、基体に結合されたPCD又はPCBN構造体を含む成形体の一体部分である。
【0055】
本明細書で用いられる焼結炭化物材料(これは、硬金属材料とも呼ばれる場合がある)は、接合剤(結合剤とも呼ばれる)、例えばコバルトによって結合された炭化物材料、例えば炭化タングステン、炭化チタン又は炭化タンタルの複数の結晶粒を含む。炭化物結晶粒の含有量は、少なくとも約50パーセントであるのが良い。
【0056】
本明細書で用いられる未加工物体は、焼結可能であるがまだ最終的に又は完全には焼結されていない材料から成る物体である。未加工物体は、意図した焼結物体の全体的形態を有するのが良く、この未加工物体は、焼結されるようになっている。
【発明の名称】 カッタ構造体、カッタ構造体を有するインサート及びカッタ構造体の製作方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、超硬度材料から成るカッタ構造体、カッタ構造体を有する機械工具用インサート及びカッタ構造体の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,106,585号明細書は、ダイヤモンドかCBNかのいずれかの研磨結晶の塊状体及び研磨結晶と接触状態にある触媒金属の塊状体をセル又は缶内に配置することによって複合塊状体を形成するステップを含む切削要素の製作方法を開示しており、缶は、缶の内部の頂面がディンプルを備えた状態で予備成形された保護遮蔽金属エンクロージャである。このディンプル付き表面は、層の頂面上に切り屑ブレーカ特徴部として機能する特徴部を形成するパターンを提供する。
【0003】
英国特許第2,366,804号明細書は、工具表面のために化学気相成長(CVD)ダイヤモンドの核形成側を用いることを開示しており、核形成側は、蒸着基体上に形成されたダイヤモンド微小結晶を含む。この英国特許明細書は、開示した方法を用いて製作されたCVDダイヤモンド工具が全て10パーセントを超えるコバルトを含む多結晶ダイヤモンド(PCD)工具と比較して利点を有していることを説明している。PCD材料は、これを製造するために用いられた超高圧、高温方法の結果としてコバルトを含むことができるということは言うまでもなく、この場合、コバルト(又は他の鉄族金属)は、ダイヤモンドが黒鉛よりも熱力学的に安定している圧力及び温度条件下で複数個のダイヤモンド結晶粒の内部成長を促進すると考えられる。コバルトは又、周囲圧力で非晶質炭素又は黒鉛へのダイヤモンドの再変換を促進することができるので、PCDは、約700℃の温度未満に保たれなければならない。PCDとは異なり、CVDダイヤモンドは、全体がダイヤモンドで作られ、その結果、長い耐摩耗寿命を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,106,585号明細書
【特許文献2】英国特許第2,366,804号明細書
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
効果的な性能及び良好な工具寿命を有する機械工具のための超硬度インサートを提供すると共にかかる超硬度インサートを製作する、より効率的な方法を提供することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点によれば、すくい面の形状を定める超硬度材料から成るカッタ構造体を製作する方法であって、この方法は、すくい面の形状と相補する形状を定める成形面を備えた基体及び複数個の超硬度結晶粒を含む凝集体を有する予備焼結組立体を用意するステップを含み、凝集体は、成形面に隣接して配置され、基体は、超硬度材料が熱力学的に安定する圧力及び温度において超硬度結晶粒の焼結を促進することができる触媒又は結合材料の源を有し、この方法は、予備焼結組立体に圧力及び温度を加えて超硬度構造体を提供するステップを更に含み、超硬度構造体は、超硬度構造体の第1の主境界部のところで成形面に接合された焼結多結晶超硬度材料から成り、超硬度構造体は、第1の主境界部と反対側の第2の主境界部を有し、この方法は更に、基体を除去してすくい面の形状を定める超硬度構造体の第1の主境界部を露出させるステップを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0007】
成形面は、すくい面の形状と相補する領域を少なくとも含むよう構成されている。例えば、すくい面の形状中に存在する場合のある少なくとも1つの窪み及び/又は突起特徴部に関し、成形面上にこれらに対応してそれぞれ突起又は窪みが存在するであろう。換言すると、成形面の形状は、すくい面の形状のネガに類似していると言える。
【0008】
カッタ構造体及びインサートに関する特徴の種々の配置及び組み合わせ並びに方法の変形例は、本発明の範囲に含まれ、その限定的な且つ非網羅的な実施例について以下に説明する。
【0009】
種々の実施例では、カッタ構造体は、機械工具用のインサートのためのものであって良く、又は、超硬度材料は、切り屑ブレーカ形状を含む主すくい角を定めるものであって良く且つ/或いはカッタ構造体は、インサートベースに接合されても良い。
【0010】
種々の実施形態では、すくい面の形状は、使用中、切り屑ブレーカ形状として機能することができ、少なくとも1つの切り屑ブレーカ特徴部を有し、種々の例示の構成例では、1つ又は複数の切り屑ブレーカ特徴部は、サイズが少なくとも約100ミクロン、最大約数ミリメートルであるのが良く、カッタ構造体は、少なくとも約100ミクロン又は少なくとも約500ミクロンの平均厚さ(第1の主境界部と第2の主境界部との間)を有するのが良く且つ/或いはカッタ構造体は、せいぜい約2,000ミクロン、せいぜい約1,000ミクロン又はせいぜい約500ミクロンの平均厚さを有するのが良く、カッタ構造体は、天然又は合成ダイヤモンド材料又はCBN材料から成るのが良い。
【0011】
多結晶超硬度材料の例としては、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料、熱安定性PCD材料、炭化珪素結合ダイヤモンド(SCD)又は多結晶立方晶窒化硼素(PCBN)が挙げられる。カッタ構造体は、化学気相成長(CVD)法によって製造されたダイヤモンド材料から成るのが良いが、本質的に、CVD法によって作られたダイヤモンド材料から成るものでなくても良い。幾つかの構成例では、カッタ構造体にはCVD法によって作られたダイヤモンド材料が含まれていなくても良い。
【0012】
幾つかの実施例では、第1の主境界部に隣接して位置し、例えば第2の主境界部に隣接して位置する第1の領域内の多結晶超硬度材料は、第1の主境界部から見て実質的に遠くに離れて位置する第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも低い硬度を有する。第1の領域は、第1の主境界部の少なくとも一領域と実質的に共形であっても良い。第1の領域は、第1の主境界部から所与の深さまで延びるのが良く、この深さは、少なくとも約50ミクロン又は少なくとも約100ミクロンであるのが良い。第2の領域は、第1の領域に隣接して位置するのが良く、この第2の領域は、第1の領域との境界部から約100ミクロン、200ミクロン又は500ミクロンの深さまで延びるのが良い。第1の領域内の多結晶超硬度材料は、超硬度結晶粒(これらが実質的に分散して配置され又は互いに実質的に内部成長した状態のものである場合)の平均含有量が体積及び/又は重量パーセントの観点において第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも少ないのが良い。第1の領域内の触媒又は結合材料の含有量は、第2の領域内の触媒又は結合材料の含有量よりも実質的に多くても良く或いは第2の領域内の触媒又は結合材料の含有量よりも少なくても良く、第1の領域内の触媒又は結合材料の少なくとも何割かは、場合によっては、多結晶超硬度材料の焼結後、除去されている。幾つかの実施例では、第1の領域内の多結晶超硬度材料は、含有する触媒又は結合材料が実質的に第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも少なくとも約10パーセント又は少なくとも20パーセント(体積及び/又は重量パーセントの観点において)多いのが良い。したがって、例えば、第2の領域内の多結晶超硬度材料が約10重量パーセント触媒又は結合材料を含む場合、第1の領域内の多結晶超硬度材料は、少なくとも約11重量パーセント又は少なくとも約12重量パーセント触媒又は結合材料及びこれに対応して少ない超硬度結晶粒の形態の材料を含むのが良い。
【0013】
幾つかの実施例では、本方法は、超硬度構造体を処理して触媒又は結合材料をカッタ構造体中の相互結合ダイヤモンド結晶粒相互間の隙間から除去するステップを含むのが良い。特定の実施例では、超硬度構造体は、PCD材料から成るのが良く、本方法は、超硬度構造体を処理して触媒材料、例えばCoを相互結合ダイヤモンド結晶粒相互間の隙間から除去するステップを含むのが良く、これは、PCD材料の熱的安定性及びレジリエンスを向上させるという作用効果をもたらす可能性がある。これは、PCD材料が超硬度構造体を加熱するステップを含む方法によって、例えばろう付けによってインサートベースに接合されている場合、PCD材料の劣化を軽減し又は阻止する可能性がある。
【0014】
幾つかの実施例では、基体は、接合剤を含む焼結炭化物材料から成るのが良く、接合剤は、超硬度材料を焼結するための触媒又は結合材料の源を含むのが良い。接合剤は、例えばコバルト(Co)であるのが良い。
【0015】
幾つかの実施例では、凝集体は、超硬度材料、例えばコバルト又は触媒若しくは結合材料のための前駆物質を焼結するための触媒又は結合材料の源を含むのが良い。
【0016】
本方法は、カッタ構造体を第2の主境界部のところでインサートベースのインターベース表面に接合するステップを含むのが良い。本方法は、超硬度構造体の第1の主境界部をインサートベースに接合するステップ及び次に基体を除去して超硬度構造体の第1の主境界部を露出させるステップを含むのが良い。幾つかの実施例では、超硬度構造体は、一方の側が基体と逆の側がベース本体との間に一体に形成されるのが良く(即ち、超硬度層は、これら物体相互間にサンドイッチされてこれら物体に接合されるのが良い)、基体は、例えばこれを研削して第1の主境界部上の1つ又は複数の切り屑ブレーカ特徴部を露出させることによって除去されるのが良い。
【0017】
幾つかの実施例では、基体とインサートベースは両方とも、焼結炭化物材料から成るのが良い。基体は、第1の焼結炭化物材料から成るのが良く、インサートベースは、第2の焼結炭化物材料から成るのが良く、第1の焼結炭化物材料と第2の焼結炭化物材料は、組成及び/又は物理的又は化学的性質の少なくとも1つの観点において実質的に異なる。例えば、第2の焼結炭化物材料は、第1の焼結炭化物材料よりも炭化物結晶粒材料含有量が多く且つ接合剤含有量が少ないのが良い。第2の焼結炭化物材料は、第1の焼結炭化物よりも実質的に硬く且つ/或いは実質的に高い弾性率を有するのが良い。これは、基体の焼結炭化物材料が多結晶超硬度材料を焼結するために触媒材料の源を提供するのに適しているという観点を提供することができ、インサートベースの焼結炭化物材料は、工具にとってより好適であると言える。
【0018】
種々の方法、例えば基体の構成材料の形式に或る程度応じて放電加工(EDM)、レーザ加工、機械工具又はエッチングを利用して基体の成形面上に成形面形状を形成することができる。変形例として、基体に成形面形状の特徴部を形成しても良い。例えば、本方法は、基体のための前駆物質を含む未加工物体の表面上に成形面形状を形成するステップ及び未加工物体を焼結して基体を形成するステップを含むのが良い。
【0019】
種々の実施例では、圧力は、少なくとも約4GPa、少なくとも5GPa又は少なくとも7GPaであるのが良く、種々の実施例では、温度は、少なくとも1,200℃又は少なくとも1,400℃であるのが良い。幾つかの実施例では、超高圧は、基体のための前駆物質を含む未加工物体の表面上に成形面形状を形成するステップ及び前記未加工物体を焼結して前記基体を形成するステップを含む少なくとも約5.5GPa、少なくとも約6GPa、少なくとも約7GPa又は少なくとも約8GPaであるの良く、触媒材料は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及び/又はマンガン(Mn)を含む場合があり又は触媒材料は、実質的に非金属、例えば塩である場合がある。
【0020】
幾つかの実施例では、本方法は、多結晶超硬度材料を加工して超硬度構造体に切れ刃を形成するステップを含むのが良く、すくい面の形状を含むすくい角がこの切れ刃に隣接して設けられる。超硬度材料を加工する方法としては、例えば、研削、放電加工(EDM)及び/又はレーザ切断が挙げられる。
【0021】
基体は、例えば研削及び/又は酸処理又は腐食によって除去されるのが良く、それにより自立型超硬度構造体が提供される。
【0022】
カッタ構造体は、少なくとも約100ミクロン又は少なくとも約500ミクロンの平均厚さ及び/又はせいぜい約2,000ミクロン、せいぜい約1,000ミクロン又はせいぜい約500ミクロンの平均厚さを有するのが良い。
【0023】
開示する例示としての方法は、或る特定の他の方法よりも複雑さが比較的少なく且つ/或いは効率が高いという観点を有すると言える。
【0024】
第2の観点によれば、すくい面の形状を含むすくい角を定める多結晶超硬度材料から成るカッタ構造体であって、すくい角に隣接して位置する第1の領域内の多結晶超硬度材料は、すくい角から実質的に遠くに離れて位置し、例えば第2の主境界部に隣接して位置する第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも低い硬度を有することを特徴とするカッタ構造体が提供される。
【0025】
特徴の種々の構成及び組み合わせ、例えば第1の観点、明示的に且つ/或いは暗黙的に例えばカッタ構造体と関連して上述した実施例並びに以下に説明する実施例を含む(これらには限定されない)カッタ構造体は、本発明の範囲に含まれる。
【0026】
第1の領域は、第1の主境界部の少なくとも一領域と実質的に共形であっても良い。第1の領域は、第1の主境界部から所与の深さまで延びるのが良く、この深さは、少なくとも約50ミクロン又は少なくとも約100ミクロンであるのが良い。第2の領域は、第1の領域に隣接して位置するのが良く、この第2の領域は、第1の領域との境界部から約100ミクロン、200ミクロン又は500ミクロンの深さまで延びるのが良い。第1の領域内の多結晶超硬度材料は、超硬度結晶粒(これらが実質的に分散して配置され又は互いに実質的に内部成長した状態のものである場合)の平均含有量が体積及び/又は重量パーセントの観点において第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも少ないのが良い。第1の領域内の触媒又は結合材料の含有量は、第2の領域内の触媒又は結合材料の含有量よりも実質的に多くても良く或いは第2の領域内の触媒又は結合材料の含有量よりも少なくても良く、第1の領域内の触媒又は結合材料の少なくとも何割かは、場合によっては、多結晶超硬度材料の焼結後、除去されている。幾つかの実施例では、第1の領域内の多結晶超硬度材料は、含有する触媒又は結合材料が実質的に第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも少なくとも約10パーセント又は少なくとも20パーセント(体積及び/又は重量パーセントの観点において)多いのが良い。したがって、例えば、第2の領域内の多結晶超硬度材料が約10重量パーセント触媒又は結合材料を含む場合、第1の領域内の多結晶超硬度材料は、少なくとも約11重量パーセント又は少なくとも約12重量パーセント触媒又は結合材料及びこれに対応して少ない超硬度結晶粒の形態の材料を含むのが良い。
【0027】
特定の理論によって束縛されるものではないが、開示する方法を用いて製作され、隣接の多結晶超硬度材料の比較的軟質の領域を有し又はすくい角若しくは切れ刃を構成するカッタ構造体の例示の構成は、工具寿命を延ばすという観点を有することができる。これが生じる理由は、超硬度材料は、優れた耐磨損性を有するが、或る特定の他の工業用切削材料、例えば焼結炭化物材料よりも比較的もろいからである。作業面に隣接して位置する幾分軟質の領域は、カッタ構造体のチッピング、欠損又は割れの恐れを減少させるという観点を有することが見込める。カッタ構造体の第1の主境界部に隣接して位置する軟質領域の形成は、焼結ステップ中、凝集体中への基体からの溶融触媒材料の溶浸及びその結果としての超硬度構造体と基体との間の中間層の形成から生じる場合があり、中間層は、触媒材料の比較的高い含有量を有している。
【0028】
本発明に従って製作されたカッタ構造体は、焼結ステップから直接所望のすくい面の形状を備えることができ、かかるカッタ構造体は、すくい角に隣接して位置し又はすくい角を定める多結晶材料が多結晶硬度材料の実質的に残部よりも軟質である観点を有する可能性がある。他の方法の場合とは異なり、焼結ステップにおいて形成される所望の形状を含むすくい角の相当な領域は、研削等による次の別の加工を必要とすることは先ずなく、その理由は、かかる領域は、所望の寸法上の仕様を既に有する可能性があるからである。確かに、所望の形状を損なう恐れなくすくい角に対してかかる焼結後加工を実施することが極めて困難であると言える。本発明に従って製作されたカッタインサートは、十分に良好なすくい面の形状の寸法上の精度及びすくい面の形状に隣接して位置し又はこれを定める多結晶超硬度材料の幾分軟質の層という観点を有する可能性があり、かくして、使用中、カッタ構造体に対する保護作用が潜在的に与えられる。
【0029】
第3の観点によれば、機械工具用のインサートであって、本発明のカッタ構造体を有するインサートが提供される。
【0030】
幾つかの実施例では、インサートは、例えば接合材料、例えばろう合金の層によってインサートベースに接合されたカッタ構造体を有するのが良く、カッタ構造体は、超硬度材料から成り、かかるカッタ構造体は、使用中、切り屑ブレーカ特徴部として機能することができる窪み及び/又は突起を含む主すくい角を有し、即ち、主すくい角は、切り屑ブレーカ形状を有する。
【0031】
以下、添付の図面を参照して非限定的な例示としての構成について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】機械工具用の例示の割送り型インサートの斜視図である。
【図1B】図1Aに示されている割送り型インサートのA‐A平面で取った断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1A及び図1Bを参照すると、機械工具(図示せず)用の例示の割送り型インサート(スローアウェイ又は使い捨てインサートとも呼ばれる)10がインサートベース30にろう付けされたPCDカッタ層20を有し、カッタ層20は、切り屑ブレーカ形状を有するすくい角12を定めている。インサート10は、3つのコーナ14及びインサート10を機械工具に固定する中央ピン穴13を有し、各コーナ14のところには切れ刃15が形成されている。切り屑ブレーカ形状は、すくい角12の外縁部周りに配置された隆起部16、隆起部16に隣接して配置されたトラフ17及びコーナ14の各々の近くでトラフ17に設けられた複数個の全体として半径方向に配置された突起18を有している。
【0034】
次に、例示としてのPCBN及びPCD構造体を製作する例示としての方法について説明する。
【0035】
幾つかの実施例では、超硬度結晶粒の凝集体は、実質的にルーズな超硬度結晶粒又は結晶粒を結合する結合材料(結合剤)と組み合わされた超硬度結晶粒を含むのが良い。凝集体は、ダイヤモンド又はCBN結晶粒を含むのが良く、かかる凝集体は、有機結合剤により結合された平均粒径が少なくとも約0.1ミクロンでありせいぜい約30ミクロンのダイヤモンド又はCBN結晶粒から成る複数のシート、顆粒、フレーク又は粉末の形態で提供されるのが良い。凝集体中に含まれるシート、顆粒、フレーク又は粉末のうちの少なくとも何割かは、ダイヤモンド若しくはCBN又は触媒若しくは結合材料用の前駆物質を焼結するための炭化タングステン結晶粒及び/又は触媒又は結合材料を更に含むのが良い。本方法は、シートを細断し又は違ったやり方で断片化して複数の板状顆粒又はフレークを生じさせるステップを含むのが良く、これら顆粒又はフレークは、基体の成形面に対して一緒に突き固められるのが良い。幾つかの実施例では、凝集体は、超硬度結晶粒から成る押し出し物体を含むのが良い。幾つかの実施例では、本方法は、超硬度結晶粒を含むスラリ又はペーストを提供するステップ及び射出成形により又はスラリ若しくはペーストを注型することによって凝集体を作るステップを含むのが良い。
【0036】
シートの形態の凝集体を当該技術分野において知られている方法、例えば押し出し又はテープ成形法によって作ることができ、ダイヤモンド結晶粒及び結合材料を含むスラリを表面上に載せて乾燥させる。また、例えば米国特許第5,766,394号明細書及び同第6,446,740号明細書に記載されているダイヤモンド担持シートを作る他の方法を利用するのが良い。ダイヤモンド担持層を被着させる別の方法としては、吹き付け法、例えば熱溶射が挙げられる。幾つかの実施例では、凝集体は、ダイヤモンド結晶粒とダイヤモンドのための触媒材料、例えばCo、Ni、Fe、Mnの混合物を含むのが良く、これらダイヤモンド結晶粒と触媒材料を粉砕(例えば、ボール粉砕)によって互いに組み合わせ、そして可塑剤結合材料、例えばPMMA、DBP等を用いてシートの状態に注型するのが良い。幾つかの実施例では、超硬度結晶粒は、CBN結晶粒であり、超硬度構造体は、PCBN材料から成るのが良い。かかる実施例では、凝集体は、窒化硼素粉末とTi、Al、W又はCoを含む結合材料の混合物を含むのが良く、この混合物は、可塑剤を用いてシートの状態に注型される。
【0037】
PCDカッタ構造体を製作する例示の方法では、有機結合材料によって結合された複数個のダイヤモンド結晶粒を含む凝集体を提供するのが良い。ダイヤモンド結晶粒の平均粒径は、少なくとも約1ミクロン且つ/或いはせいぜい約20ミクロンであるのが良い。凝集体を基体の成形面に接触させるのが良く、この組み合わせをオーバーラップ状態のデュアルカップ構造体内に封入して予備焼結組立体を形成するのが良い。予備焼結組立体を超高圧炉(これは、超高圧プレスとも呼ばれる場合がある)のためのカプセル内に組み込み炉内で加熱して揮発性ガスを除去すると共に/或いは有機結合剤を焼尽させ、そしてこれに少なくとも約5.5GPaの圧力及び少なくとも約1,300℃の温度を加え、かくして、ダイヤモンド結晶粒を互いに焼結して基体に接合されたPCD構造体を含む焼結成形体を形成するのが良い。ダイヤモンドの焼結を促進するコバルトのうちの少なくとも何割かを焼結炭化物基体から得ることができる。と言うのは、基体中に存在するコバルト接合剤は、これら条件下では溶融し、かかるコバルト接合剤の何割かは、ダイヤモンド結晶粒の凝集体中に溶浸してこれらの内部成形を促進するからである。超高圧での焼結プロセス後、基体の成形面に接合されたPCD材料を含む焼結成形体を超高圧装置から回収し、カプセル材料をこれから取り出すことができる。
【0038】
超硬度構造体は、国際公開第2007/049140号パンフレットに記載されているPCBN材料から成るのが良く、かかる超硬度構造体は、PCBNの製造に適した粉末状組成物を用意するステップを含み、粉末が少なくとも80体積パーセントCBN粒子及び粉末状結合材料を含み、そしてこの粉末組成物に摩擦摩鉱(アトリクションミリング)を施すステップを有する方法によって製造されるのが良い。この組成物は、2つ以上の平均粒径のCBN粒子を含むのが良い。一実施例では、CBN粒子の平均サイズは、せいぜい約12ミクロン又はせいぜい2ミクロンであるのが良い。結合材料としては、アルミニウム、シリコン、コバルト、モリブデン、タンタル、ニオブ、ニッケル、チタン、クロム、タングステン、イットリウム、炭素及び鉄を含む相のうちの1つ又は2つ以上を含むのが良い。結合材料は、アルミニウム、シリコン、コバルト、ニッケル、チタン、クロム、タングステン、イットリウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、炭素及び鉄のうちの2つ以上の粉末の一様な固溶体から成るのが良い。次に、フライス加工された粉末組み合わせを高温及び高圧で押し固めることによって、かかる粉末組み合わせを予備焼結体に形成するのが良く、予備焼結体に少なくとも約5GPaの超高圧及び少なくとも約1,200℃の温度を加えて粉末組み合わせを焼結してPCBN物体を生じさせるのが良い。
【0039】
以下にこの方法を説明するために非限定的な実施例について詳細に説明する。
【0040】
実施例1
【0041】
所与の加工用途の要件に従い且つ機械工具インサートの意図した形状に注意して切り屑ブレーカ表面形状の形態を設計するのが良い。コバルト焼結炭化物基体を用意するのが良く、かかる基体は、切り屑ブレーカ形状の表面と相補する(即ち、これと逆である)表面形状を含む表面を有する。基体のための未加工物体を機械加工することによって、即ち焼結炭化物物体を形成するよう基体を焼結する前に、特徴部を表面上に形成するのが良い。複数個のダイヤモンド結晶粒を基体の表面に押し付けて凝集体を形成し、組立体を金属ジャケット内に封入することによって予備圧縮組立体を調製するのが良い。ダイヤモンド結晶粒は、少なくとも約1ミクロン且つせいぜい約20ミクロンの平均粒径を有するのが良く、凝集体は、製造されるべき少なくとも約1ミリメートルの厚さを有するPCD層にとって十分な厚さのものであるのが良い(即ち、十分な数のダイヤモンド結晶粒を含む)。予備圧縮組立体に少なくとも約5.5GPaの超高圧及び少なくとも約1,250℃の温度を加えて基体中のコバルトを溶解させてダイヤモンド結晶粒を互いに焼結し、それにより基体に接合された状態で形成されたPCD構造体を含む複合材コンパクトを形成するのが良い。基板を研削することによって基板を実質的に除去し、PCD構造体を酸の中で処理してこれに結合された残留焼結炭化物材料を除去する共に/或いは内部成長ダイヤモンド結晶粒相互間の隙間領域内のコバルトを溶出するのが良い。PCD構造体からのコバルトの相当な量の除去は、PCD構造体の熱的安定性を実質的に増大させる可能性が多分にあると共にPCD材料をインサートベースにろう付けしたときのPCD材料の劣化の恐れを恐らくは減少させる。PCDカッタ構造体を活性ろう合金、例えばTiCuSilろう付け合金によって焼結炭化物インサートベース(即ち、別の焼結炭化物物体)のインターフェース表面に真空中でろう付けするのが良く、第2の主要な表面は、インターフェース表面に隣接して設けられ、第1の主要な表面は、インターフェースと対向して露出される。このようにして形成された複合材コンパクトを例えば研削によって加工してくっきりとした切り屑ブレーカ特徴部を有するPCDカッタ構造体を含む機械工具インサートを提供するのが良い。
【0042】
実施例2
【0043】
所与の加工用途の要件に従い且つ機械工具インサートの意図した形状に注意して切り屑ブレーカ表面形状の形態を設計するのが良い。コバルト焼結炭化物基体を用意するのが良く、かかる基体は、切り屑ブレーカ形状の表面と相補する(即ち、これと逆である)表面形状を含む表面を有する。基体のための未加工物体を機械加工することによって、即ち焼結炭化物物体を形成するよう基体を焼結する前に、特徴部を表面上に形成するのが良い。複数個の立方晶窒化硼素(PCBN)結晶粒を基体の表面に押し付けて凝集体を形成し、組立体を金属ジャケット内に封入することによって予備圧縮組立体を調製するのが良い。凝集体は、86重量パーセントCBN結晶粒及び70.0重量パーセントAl、11.7重量パーセントCo及び18.3重量パーセントWを含む結合材料を含む粉末のブレンドを更に含むのが良い。CBN結晶粒は、約12ミクロンから約17ミクロンの範囲の平均粒径を有するのが良く、凝集体は、製造されるべき少なくとも約1ミリメートルの厚さを有するPCBN層にとって十分な厚さのものであるのが良い。予備圧縮組立体に少なくとも約5GPaの超高圧及び少なくとも約1,300℃の温度を加えて凝集体を焼結し、それにより基体に接合された状態で形成されたPCBN構造体を含む複合材コンパクトを形成するのが良い。基板を研削することによって基板を実質的に除去し、PCBN構造体を酸の中で処理してこれに結合された残留焼結炭化物材料を除去するのが良い。PCBNカッタ構造体を活性ろう合金、例えばTiCuSilろう付け合金によって焼結炭化物インサートベース(即ち、別の焼結炭化物物体)のインターフェース表面に真空中でろう付けするのが良く、第2の主要な表面は、インターフェース表面に隣接して設けられ、第1の主要な表面は、インターフェースと対向して露出される。このようにして形成された複合材コンパクトを例えば研削によって加工してくっきりとした切り屑ブレーカ特徴部を有するPCBNカッタ構造体を含む機械工具インサートを提供するのが良い。
【0044】
本明細書で用いられる或る特定の用語及び概念について以下に簡単に説明する。
【0045】
機械工具は、動力式機械装置であり、これは、機械加工により例えば金属、複合材料、木材又はポリマーのような材料から成るコンポーネントを製造するために使用でき、かかる機械加工は、工作物と呼ばれる物体からの材料の選択的除去である。機械工具は、カッタ構造体を有するカッタインサート(又は単に「インサート」)を有するのが良く、インサートは、割送り可能であると共に/或いは交換可能であるのが良い。
【0046】
機械工具が使用中、加工物を機械加工しているとき、加工物の小片が恐らくは除去され、これら小片は、「切り屑」と呼ばれる。切り屑は、使用中、機械工具により物体の加工面から除去された物体の小片である。小片の生成を制御すると共に切り屑の流れを方向付けることは、アルミニウム、チタン及びニッケルの新型合金の高生産性機械加工及び/又は高表面仕上げ機械加工のための工具の重要な観点である。切り屑ブレーカ特徴部の幾何学的形状は、種々の機械加工要因、例えば加工物材料、切削速度、切削作業及び必要な表面仕上げに従って選択されるのが良い。
【0047】
カッタインサートのすくい面は、工具を用いて材料を物体から除去したときに切り屑の流れる1つ又は複数の表面であり、すくい角は、新たに生じる切り屑の流れを方向付ける。すくい面の形状は、すくい面の所望の形態、例えば切り屑を効果的に粉砕すると共に/或いは除去するための形態であるのが良い。
【0048】
本明細書で用いられる切り屑ブレーカ表面形状は、工具を用いて加工物又は他の物体を切削し、穴あけし又は機械加工する際に作られる切り屑の寸法形状の観点を制御するのに適した工具(例えば、機械工具又は他の工具用)のためのインサートの表面の形態を意味している。かかる形状は、インサートのすくい面上に形成された窪み及び/又は突起特徴部、例えば半径方向又は周辺方向隆起部及びトラフを含む場合がある。
【0049】
本明細書で用いられる超硬度材料又は極超硬度材料は、少なくとも約25GPaのビッカース硬さを有する。合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド(PCD)、立方晶窒化硼素(CBN)及び多結晶CBN(PCBN)材料は、超硬度材料の例である。人工ダイヤモンドと呼ばれることもある合成ダイヤモンドは、製造されたダイヤモンド材料である。PCD構造体は、PCD材料を含み又は本質的PCD材料から成り、PCBN構造体は、PCBN材料を含む又は本質的にPCBN材料から成る。超硬度材料の他の例としては、セラミック材料、例えば炭化珪素(SiC)を含むマトリックス又は焼結炭化物材料、例えばCo結合WC材料(例えば、米国特許第5,453,105号明細書又は同第6,919,040号明細書に記載されている)によって結合されたダイヤモンド又はCBN結晶粒を含む或る特定の複合材料が挙げられる。例えば、或る特定のSiC結合ダイヤモンド材料は、少なくとも約30体積パーセントのダイヤモンド結晶粒をSiCマトリックス(これは、少量のSiをSiC以外の形態で含む場合がある)中に分散させたものであるのが良い。SiC結合ダイヤモンド材料の例は、米国特許第7,008,672号明細書、同第6,709,747号明細書、同第6,179,886号明細書、同第6,447,852号明細書及び国際公開第2009/013713号パンフレットに記載されている。
【0050】
一般に、本明細書で使用されているように、超硬度材料のための触媒材料は、少なくとも超硬度材料が熱力学的に安定している圧力及び温度での超硬度材料の結晶粒を含む多結晶材料の焼結を促進することができる。触媒材料は、多結晶材料を形成するために超硬度材料の結晶粒の直接的内部成長及び/又はより一般的に言えば超硬度材料の結晶粒の焼結を促進することができる。幾つかの実施例では、触媒材料は、焼結マトリックスをそれ自体の上に又は超硬度結晶粒を分散させることができ、必ずしも互いに直接内部結合しない他の適当な材料と組み合わせて形成することができる結合材料として機能することができる。例えば、合成ダイヤモンド用の触媒材料は、合成ダイヤモンド結晶粒の成長及び/又は合成又は天然ダイヤモンドが黒鉛よりも熱力学的に安定している温度及び圧力において合成又は天然ダイヤモンド結晶粒の直接内方成長を促進することができる。ダイヤモンド用の触媒材料の例は、Fe、Ni、Co、Mn及びこれらを含む或る特定の合金である。PCBN材料のための触媒又は結合材料は、Ti含有化合物、例えば炭化チタン、窒化チタン、浸炭窒化チタン及び/又はAl含有化合物、例えば窒化アルミニウム及び/又は例えばCo及び/又はWのような金属を含む化合物を含むのが良い。
【0051】
本明細書で用いられる多結晶ダイヤモンド(PCD)材料は、複数のダイヤモンド結晶粒の塊状体(複数のダイヤモンド結晶粒の凝集体)から成り、ダイヤモンド結晶粒の大部分は、互いに直接的に内部結合され、かかる材料中のダイヤモンド含有量は、この材料の少なくとも約80体積パーセントである。ダイヤモンド結晶粒相互間の隙間は、少なくとも部分的に、合成ダイヤモンドのための触媒材料を含む結合材料で満たされているのが良いが、実質的に空であっても良い。PCD材料から成る物体は、隙間からの触媒材料の除去元である少なくとも一領域を含むのが良く、後にはダイヤモンド結晶粒相互間に隙間ボイドが残る。
【0052】
PCBN材料は、金属又はセラミック材料から成るマトリックス内に分散して設けられた立方晶窒化硼素(CBN)の結晶粒から成る。例えば、PCBN材料は、Ti含有化合物、例えばチタン炭窒化物及び/又はAl含有化合物、例えば窒化アルミニウム及び/又は金属例えばCo及び/又はWを含む化合物から成る結合剤マトリックス材料中に分散して設けられた少なくとも約60体積パーセントCBNを含むのが良い。PCBN材料の幾つかのバージョン(又は「等級」)は、少なくとも約80体積パーセント又はそれどころか少なくとも約85体積パーセントCBN結晶粒を含む場合がある。
【0053】
熱的安定性PCD材料は、約400℃を超え又はそれどころか約700℃を超える温度への暴露後に実質的な構造的劣化を示さず又は硬度若しくは耐研磨性の低下を示さない少なくとも一部又は体積部を有する。例えば、PCD材料は、ダイヤモンドのための約2重量パーセント未満の触媒金属、例えばCo、Fe、Ni、Mnを触媒作用的に活性の形態(例えば、元素の形態)で含むPCD材料は、熱的に安定していると言える。実質的に触媒作用的に活性の形態の触媒材料を含まないPCD材料は、熱的に安定性のあるPCDの一例である。隙間が実質的にボイドであり、又は少なくとも部分的にセラミック材料、例えばSiC又は塩材料、例えば炭酸化合物で満たされたPCD材料は、例えば熱的に安定していると言える。ダイヤモンドのための触媒材料の減損元であり又は触媒材料が触媒として比較的活性度の小さい形態で存在する少なくとも相当に広い領域を有するPCD構造体は、熱的に安定性のあるPCDとして説明できる。
【0054】
上述したように、PCD材料及びPCBN材料は、適当な接合材料又は触媒材料の存在下で複数のダイヤモンド結晶粒又はCBN結晶粒をそれぞれ基体、例えば焼結炭化物基体上に焼結することによって提供できる。このようにして作られたPCD又はPCBN構造体は、基体に接合された状態で形成される可能性があり、それぞれの構造体を焼結物体の状態に形成するプロセスの実施中、基体に結合されたPCD又はPCBN構造体を含む成形体の一体部分である。
【0055】
本明細書で用いられる焼結炭化物材料(これは、硬金属材料とも呼ばれる場合がある)は、接合剤(結合剤とも呼ばれる)、例えばコバルトによって結合された炭化物材料、例えば炭化タングステン、炭化チタン又は炭化タンタルの複数の結晶粒を含む。炭化物結晶粒の含有量は、少なくとも約50パーセントであるのが良い。
【0056】
本明細書で用いられる未加工物体は、焼結可能であるがまだ最終的に又は完全には焼結されていない材料から成る物体である。未加工物体は、意図した焼結物体の全体的形態を有するのが良く、この未加工物体は、焼結されるようになっている。
Claims (13)
- 機械工具用インサートのためのカッタ構造体を製作する方法であって、前記カッタ構造体は、窪み又は突起を含むすくい面の形状を定める超硬度材料から成り、前記方法は、
予備焼結組立体を用意するステップを含み、前記予備焼結組立体は、
前記すくい面の形状と相補し且つ前記すくい面の形状の前記窪み又は突起にそれぞれ対応した突起又は窪みを含む形状を定める成形面を備えた基体及び複数個の超硬度結晶粒を含む凝集体を有し、前記凝集体は、前記成形面に隣接して配置され、前記基体は、前記超硬度材料が熱力学的に安定する圧力及び温度において前記超硬度結晶粒の焼結を促進することができる触媒又は結合材料の源を有し、
前記予備焼結組立体に前記圧力及び温度を加えて超硬度構造体を提供するステップを含み、前記超硬度構造体は、前記超硬度構造体の第1の主境界部のところで前記成形面に接合された焼結多結晶超硬度材料から成り、前記超硬度構造体は、前記第1の主境界部と反対側の第2の主境界部を有し、
前記基体を除去して前記すくい面の形状を定める前記超硬度構造体の前記第1の主境界部を露出させるステップを含み、
前記超硬度構造体の前記第2の主境界部をインサートベースに接合するステップを含む、方法。 - 前記すくい面の形状は、切り屑ブレーカ表面形状を含む、請求項1記載の方法。
- 前記超硬度材料は、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料又は多結晶質立方晶窒化硼素(PCBN)材料を含む、請求項1又は2記載の方法。
- 前記触媒又は結合材料のうちの少なくとも幾分かを前記第1の主境界部に隣接して位置する前記多結晶超硬度材料から除去するステップを含む、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記超硬度構造体の前記第2の主境界部をインサートベースに接合するステップ及び次に前記基体を除去して前記超硬度構造体の前記第1の主境界部を露出させるステップを含む、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記基体は、第1の焼結炭化物材料から成り、前記インサートベースは、第2の焼結炭化物材料から成り、前記第1の焼結炭化物材料と前記第2の焼結炭化物材料は、組成の少なくとも1つの観点において実質的に異なる、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記基体のための前駆物質を含む未加工物体の表面上に成形面形状を形成するステップ及び前記未加工物体を焼結して前記基体を形成するステップを含む、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の方法。
- 酸処理又は腐食性物質を用いる処理によって前記基体を除去するステップを含む、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記第1の主境界部に隣接して位置する第1の領域内の多結晶超硬度材料は、前記第1の主境界部から見て実質的に遠くに離れて位置する第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも低い硬度を有する、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記第1の領域は、前記第1の主境界部から少なくとも約50ミクロンの深さまで延びている、請求項9記載の方法。
- 前記第2の領域は、前記第1の領域との境界部から約200ミクロンの深さまで延びている、請求項9又は10記載の方法。
- 前記第1の領域内の触媒又は結合材料の含有量は、前記第2の領域内の触媒又は結合材料の含有量よりも実質的に少ない、請求項9〜11のうちいずれか一に記載の方法。
- 前記第1の領域内の多結晶超硬度材料は、含有する触媒又は結合材料が実質的に前記第2の領域内の多結晶超硬度材料よりも少なくとも約10パーセント多い、請求項9〜12のうちいずれか一に記載の方法。
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