JP2014523404A - ジスキネジーの治療方法 - Google Patents

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Abstract

ジスキネジーを治療または軽減する必要のある患者に、前記ジスキネジーを軽減するのに十分な、治療上有効な量の、二重作用性のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト/κ−オピオイドレセプターアゴニストまたはこのプロドラッグを投与することによる、ジスキネジーの患者の治療方法。または、μ−オピオイドレセプターアンタゴニストまたはこのプロドラッグ、およびκ−オピオイドレセプターアゴニストまたはこのプロドラッグ双方の組み合わせを、一緒にまたは別々に投与してもよい。

Description

関連出願のクロスリファレンス
本願は、2011年4月29日付で出願された、米国仮特許出願第61/480,415号の35 U.S.C. §119(e)に基づく優先権の利益を主張するものであり、上記開示は全て参考のため本願明細書中に引用される。
発明の分野
本発明は、パーキンソン病におけるレボドパ誘導性ジスキネジー(levodopa-induced dyskinesia)(LID)、ならびにトゥレット・シンドローム(Tourette's syndrome) に関連したジスキネジー、遅発性ジスキネジー(tardive dyskinesia)およびハンチントン病(Huntington's disease)等の、ジスキネジーの治療方法に関するものである。
発明の背景
パーキンソン病(PD)は、アメリカ合衆国で150万人の人々及び世界中で630万人の人々が患っている2番目に多い神経変性疾患である。PDの発症率は2040年までに2倍に増えると予想される。アメリカ合衆国では、50,000件の新たな症例が1年で診断され、55歳以上の人口の1%が患っている。PDの年間の社会的費用はアメリカ合衆国だけで250億ドルを超える。
PDの最も一般的な治療法は、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(レボドパまたはL−DOPA)である。これは依然としてPDによる運動障害の最も有効な治療法であるが、PDを患っている患者の大部分は、次第に、L−DOPAで誘導されるジスキネジー(L-DOPA induced dyskinesia)(LID)として知られている異常不随意運動の特徴を有する副作用を発症し、これにより患者の障害をかなり悪化させる(compound)。ゆえに、LIDは、PDの最も有効な治療剤の共通の悲惨的な合併症である。ジスキネジーは、しばしば制御不可能である不随意運動の存在が特徴的である疾患である。これらの運動は、しばしば、見かけが舞踏病に似ている(ダンスのようである)が、よりぎくしゃくとし、突然になってしまう。これらの運動は、腕や脚、胴、胸、骨盤、顔、唇、舌、瞼、及び首の筋肉等の、体の部分に作用しうる。呼吸筋を侵すことさえありうる。これらの運動によっては、頸椎(首)等への損傷を引き起こしうるように強くかつ猛烈でありうる。ゆえに、ジスキネジーは身体障害の主要な原因である。したがって、L−DOPAがPDの管理において究極な基準であるにもかかわらず、L−DOPAによる長期間の処置は問題がある。L−DOPAにより誘導されるジスキネジーは、5年で処置されたPD患者の50%に、10年では90%を超える患者がかかり、このことは1年当たり約10%増加することを意味する。アメリカ合衆国だけで約200,000件のLIDが存在する。現在、アマンタジン(amantadine)(1−アダマンタンアミン塩酸塩(1-adamantanamine hydrochloride))だけがLIDを緩やかに低減できる市販の薬であり、このことは、それ自体が顕著な副作用がある不十分な治療であることを表す。アマンタジンは、おそらくそのNMDAグルタミン酸レセプター拮抗作用により抗ジスキネジー効果を有し、このような特性を有する唯一の市販の薬剤であり続ける。様々な伝達物質システム(transmitter system)をターゲットとした幾つかの他の実験化合物が試験されたが、全てで臨床試験結果がネガティブであった。さらに、PD患者では、LIDは、脳深部電気刺激(DBS)として知られる侵襲的でかつコストの高い脳外科手術の主な適用であるが、この外科手術には重篤な精神神経上の副作用の可能性や侵襲的な脳外科手術に関連した一般的な危険性という究極なオプションがある。その結果、多くの患者がこの外科手術の対象とはならないとみなされ、LIDは依然として十分には制御できないままである。
オピオイドレセプターおよびLID
LID発症の中核は、グルタミン酸作動性、アデノシン作動性(adenosinergic)、アドレナリン作動性、ドーパミン作動性、セロトニン作動性、内在性カンナビノイド及びオピオイドを介した神経伝達によって調節される神経ネットワークの変化であると考えられ、これらはすべて病気で変化する特性を有する。これらのうち、オピオイドは大脳基底核機能を調節する共伝達物質(co-transmitter)であるため、オピオイドレセプターを介した神経伝達は特に興味深い。この作用を介して、オピオイド薬は、LIDに病原的に(pathogenically)関連するL−DOPA療法を用いたパルス刺激(pulsatile stimulation)のネガティブな効果を鈍化するのを助ける可能性がある。LIDでは、内因性オピオイドレセプターリガンドの前駆体が大量にアップレギュレートされて、プレプロエンケファリンレベルが動物モデルの線条体で増加し、さらに、患者の検視研究でも同様に観察される。加えて、エンケファリン、ダイノルフィン及びα−ネオエンドルフィンが、正常なまたはジスキネジーではないパーキンソン病状態(nondyskinetic Parkinsonian state)ではなく、ジスキネジー状態(dyskinetic state)で顕著に上昇する。したがって、オピオイドレセプター拮抗作用は有益でありうると報告された。しかしながら、基底核回路の複雑さ、シナプス前後(pre- and post-synaptically)双方、および興奮性及び抑制性双方ニューロンでのオピオイドレセプターの存在が、考慮される必要のあるオピオイドレセプターリガンドに対する応答性の複雑さを顕著に生み出している。大脳基底核での異なる分布を有し、異なる機能を有するオピオイドレセプターの主要な関連クラスが3つ存在する。
・デルタ(δ)−線条体及び視床下核で主に発現し、淡蒼球(GP)セグメントではより低いレベルで発現する。これらのレセプターは、線条体でグルタミン酸及びアセチルコリンの放出を調節する。
・カッパ(κ)−すべての大脳基底核領域(線条体、GPe、GPi、STN、SN)及び視床で発現する。
・ミュー(μ)−すべての大脳基底核領域及び視床で発現する。
さらに、パーキンソン病状態でのオピオイドレセプター変化の発現として複雑さが生じる。例えば、カッパレセプターは黒質では減少し、カッパ及びミューレセプターは、おそらくオピオイドリガンド変化により、LIDのGPiが減少する。この分布及び機能の複雑さは、おそらく、非選択的アンタゴニストが動物モデルで症状に影響を与えるのではなく悪化させるまたは改善するなどLIDにおいて有効性が非常に変化し、小規模の臨床試験では効果的ではなかった理由である。したがって、ある程度の特異性が必要であると考えられてはいるが、この特異性の正確な特性は複雑であると考えられる。より多数の化合物の効果は以下のように要約されうる:
・μ−オピオイドレセプター選択的アンタゴニストであるシプロダイム(cyprodime)は、ピーク−ドーズLIDを有意に減少させる。しかしながら、選択的μ−オピオイドレセプターアンタゴニストであるADL5510はLIDを減少するが、U−形状の用量反応曲線である。
・κ−オピオイドレセプター選択的アゴニストであるU50,488はLIDを減少するが、MPTPで処置した霊長類のパーキンソニズムを悪化させる。しかしながら、κ−オピオイドレセプター選択的アンタゴニストであるnor−BNは、6−ヒドロキシドーパミンで病変させたラットモデル(6-hydroxydopamine-lesioned rat model)のレボドパで誘導した運動過剰症を軽減する。
・より低い用量の選択的δ-オピオイドレセプターアンタゴニストであるナルトリンドールは、ヘミパーキンソン病のキヌザル(hemiparkinsonian marmoset monkey)のレボドパで誘導される回転を低減する。
・モルヒネ(非選択的オピオイドレセプターアゴニスト)は、パーキンソン病の霊長類及び患者の運動障害動作を低減する。
・ナロキソン及びナルトレキソン(非選択的オピオイドレセプターアンタゴニスト)は、サル及びヒトで様々な効果があると試験され、LIDが変化しない、即ち、増加または減少しないことが報告された。
一括して、今日まで試験された化合物はオピオイドレセプターを調節する可能性を示すが、非常に複雑であることをも示す。非特異性がADL5510で生じるように問題になるので、ある用量では有効であるものであってもU形状の用量反応曲線を示す可能性がある。これらの研究を考えることによって、オピオイドレセプターシステムに作用する最も有効な抗運動障害剤は様々なオピオイドレセプターへの薬理学的作用のあるいまだ発見されていない混合物であるであろうことを示している。
オピオイド薬剤の安全性考察
オピオイドレセプターの活性化は、モルヒネやコデイン等の多数の広範に使用され乱用されたアヘン剤によってなされる。これらの化合物が鎮痛や他の兆候に明らかな有益な効果がありうるにも関わらず、重篤な中毒作用及び鎮静作用を有しうる一方で、アンタゴニストがアヘン剤の患者の禁断症状を起こさせる可能性がある。したがって、LIDに適切な用量はこれらの副作用を考慮して考えられなければならない。μ−アンタゴニストに関連する主要な特異的な副作用は胃腸管及び違和感に関連するものであり、κ−アゴニストでは、例えば、パーキンソニズム及び違和感を悪化させる、鎮静状態である。
要約すると、LIDでは、オピオイドペプチド前駆体の放出が増加するため、オピオイドレセプターの調節は魅力的な治療アプローチである。異なるオピオイドレセプターがどのようにして大脳基底核の回路内の様々な部位でのシグナル伝達を調節するのかの複雑さは、調節に有効であろう選択性のプロフィールに影響を及ぼす。ナロキソンやナルトレキソン等の広範なスペクトルオピオイドレセプターアンタゴニストは、可能性のある治療剤として報告されているが、臨床上では成功していない。特定のオピオイドレセプターイソ型に対する選択剤は、限定的な利益をもたらしうるが、顕著な用量を制限する副作用があるため実質的に有用性を低減するという相対する用量依存効果がまた示されている。
ゆえに、LIDがPD患者の大きな増加する集団に影響を及ぼす重要な症状であるため、L−DOPAで誘導されるジスキネジーを治療する治療剤が依然としてかなり必要とされている。さらに、治療が利用できないまたは不適切であるジスキネジーを発症する他の奇病がある;これらの病気としては、ハンチントン病、トゥレット・シンドローム及び遅発性ジスキネジー等がある。本発明は、これらの満たされていない要求に応えるものである。
本発明の簡単な要約
本発明は、PD患者に一般的である、ジスキネジー、特にL−DOPAで誘導されるジスキネジー(LID)を治療する治療剤としてのナルブフィンおよび関連化合物の新規な使用に関する。詳しくは、本発明は、LIDの治療におけるナルブフィンの使用を包含する。
一実施形態においては、本発明は、ジスキネジーを軽減するのに十分な治療上有効な量の二重作用性のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト/κ−オピオイドレセプターアゴニストを必要な患者に投与することを有する、以下に制限されないが、特にPD患者における、LID;遅発性ジスキネジー;トゥレット・シンドローム;及びハンチントン病などの、様々な形態のジスキネジーを治療するまたは軽減する方法に関する。ジスキネジーの軽減は、訓練を受けた人材によっておよび「軽いジスキネジーのあるON期(on with non-troublesome dyskinesia)」または「患者を悩ませに基づいたジスキネジーのあるON期(on with troublesome dyskinesia)」とマークされる患者の日記によって投与された有効なスケールに基づいた異常不随意運動の重篤度および/または期間が減少したことと定義される。二重作用性剤(dual-acting agent)は、ナルブフィン、ナロルフィン、ペンタゾシン、ブトルファノールおよびこれらの2以上の組み合わせ、これらのプロドラッグまたは関連化合物からなる群より選択されうる。好ましくは、二重作用性剤はナルブフィンを含む。
本発明の他の実施形態は、
a.少なくとも0.01mgの量の、遊離塩基または製薬上許容できる誘導体、プロドラッグ若しくは塩の形態のナルブフィン;および
b.製薬上許容できる担体
を含み、錠剤またはカプセル形態を有する非注射組成物(non-injectable composition)で必要とする患者に治療上有効な量のナルブフィンを投与することを有する。好ましくは、ナルブフィン組成物は経口投与される。好ましくは、成分a.は、少なくとも0.1mgの量で存在する。本発明のさらなる他の実施形態においては、二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストは、持続注入を介して患者に投与されるナルブフィンを含む。好ましくは、持続注入量は、少なくとも約0.0001mg/kg/日である。
本発明の他の実施形態は、ジスキネジーを軽減するのに十分な、治療上有効な量のμ−オピオイドレセプターアンタゴニストおよびκ−オピオイドレセプターアゴニスト双方を必要とする患者に投与することを有する、ジスキネジーの治療または軽減方法に関する。上記薬剤は、一緒にまたは別々に投与されてもよい。
本発明のさらなる実施形態は、ジスキネジーを軽減するのに十分な、治療上有効な量の二重作用性のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト/κ−オピオイドレセプターアゴニストのプロドラッグを必要とする患者に投与することを有する、ジスキネジーの治療または軽減方法に関する。好ましくは、プロドラッグは、ナルブフィンのプロドラッグであり、最も好ましくは、必要であれば製薬上許容できる塩として、ナルブフィンのエステルである。
図1は、ナルブフィンと共におよびナルブフィンを用いずにL−DOPAで処置した2匹のパーキンソン病のサルに関する経時的なジスキネジースコアのグラフを示す。 図2は、ナルブフィンと共におよびナルブフィンを用いずにL−DOPAで処置した3匹の追加のパーキンソン病のサルに関する経時的なジスキネジースコアのグラフを示す。
好ましい実施形態の詳細な説明
ナルブフィン−二重のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニスト(dual mu-antagonist/kappa-agonist)
ナルブフィン(ヌバイン(Nubain))は、μ−オピオイドレセプターアンタゴニスト及びκ−オピオイドレセプターアゴニスト双方としての活性を有する合成オピオイドである。陣痛の女性のためなどの中程度/激しい痛みのための鎮痛剤として1979年から臨床上使用されていた。これは、安全性の表示である、規制薬物法(Controlled Substances Act)下で規制されないタイプの唯一の麻酔剤であり、この際、主要な副作用は一部の人々では鎮痛用量で軽い鎮静状態があることである。我々の分析によると、ナルブフィンは、鎮痛下(sub-analgesic)で鎮静作用の少ない(non-sedative)用量で有効に使用できる安全窓(safety window)でLIDの有効な薬剤であるのに必要な特性を備えている。それは、二重のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト及びκ−オピオイドレセプターアゴニストとしての活性を示す。それ自体は、これらの2つの活性を組み合わせて一つの安全な治療剤とする機会が与えられる。ゆえに、ナルブフィンにより、投与量、投与形態または特定の患者での病気の段階にかかわらず、関連する脳コンパートメント(brain compartment)での所定の割合のμ−拮抗作用/κ−作動性等の重要な薬理学的な利点が得られる。この独特な特性により、LID患者及び他の関連する病状で重篤な副作用を引き起こることが報告されている過剰なκ作動性に患者を晒す危険を伴うことなくLIDを治療することができるという医学的な利点がある。
他の驚くべき知見としては、ナルブフィンのκ作動性はパーキンソニズムを悪化させることなく抗LID有効性を示すことである。
現在、ナルブフィンは筋肉内注射として鎮痛を目的として投与されるが、これはLIDまたは他の慢性状態では長期投与の望ましい経路では必ずしもない。その安全性及び有効性により、経口形態が好ましい場合がある。ナルブフィンの経口製剤は、下記特許または特許公報に開示される:米国特許第6,703,398号;米国特許出願公開第2009/0030026号;欧州特許第2402005号;WO 2007/127683及び米国特許出願公開第2009/0060871号。これらは有効であることが示されているものの、鎮痛の分野では商業的に実現可能ではなく、ゆえに、さらなる開発及びマーケティングがなされていない。我々は、LIDを有するPDの霊長類モデルで注射可能な投与形態で実際に可能であることを示すデータ(proof-of-concept data)を得た。
本発明の一実施形態は、ジスキネジー、特にPD患者に一般的なL−DOPA誘導性ジスキネジー(LID)を治療するための治療剤として、ナルブフィンおよび関連化合物によって代表される、二重作用性のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト/κ−オピオイドレセプターアゴニストの新規な使用に関する。大脳基底核でのオピオイド伝達が随意運動制御の不可欠な部分であることは知られている;ゆえに、このメカニズムはLIDにかかわりがある。特定のオピオイドレセプターの調節がLIDの治療として報告されているものの、今日まで試験されてきた実験薬は、臨床上有効でなく、また副作用が許容できないものであった。ゆえに、本発明の特定の一実施形態は、LIDならびに遅発性ジスキネジー(tardive dyskinesia)、トゥレット・シンドローム(Tourette's syndrome)およびハンチントン病(Huntington's disease)等の他の疾患に関連したジスキネジーの治療における、二重作用性のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト/κ−オピオイドレセプターアゴニスト剤、好ましくはナルブフィンの使用に関する。さらに、本発明はまた、μ−オピオイドレセプターアンタゴニストおよびκ−オピオイドレセプターアゴニスト双方の組み合わせを用いたこのようなジスキネジーの治療に関する。この薬剤の組み合わせは、一緒にまたは別々に投与されてもよい。別々に投与される際には、患者の必要性に応じて、各投与形態の投与間に様々な時間遅延が可能である。一緒に投与される際には、個々の投与形態の組み合わせを投与しても、または薬剤を単一の組成物として投与してもよい。
本発明の一実施形態は、このような二重作用性のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト/κ−オピオイドレセプターアゴニスト剤を用いたLID及び他のジスキネジーの治療方法を提供し、当該方法は、副作用の発生率が低く、副作用に対する「上限(ceiling)」があり、中毒性がないという利点がある。さらに、このような二重作用性の治療剤は、他のストラテジーに比して驚くべきほど有効性が高く、主要な満たされない要求のある医薬分野に取り組んでいる、以下参照。
他の実施形態では、本発明は、μ−オピオイドレセプターアンタゴニスト及びκ−オピオイドレセプターアゴニスト双方を含む組成物を投与することを有する、以下に制限されないが、特にPD患者における、LID;遅発性ジスキネジー;トゥレット・シンドローム;及びハンチントン病などの、様々な形態のジスキネジーならびに関連する疾患の治療または軽減する方法に関する。
他の実施形態では、本発明は、μ−オピオイドレセプターアンタゴニスト及びκ−オピオイドレセプターアゴニスト双方として活性を有する単一の治療剤を含む組成物を投与することを有する、以下に制限されないが、特にPD患者における、LID;遅発性ジスキネジー;トゥレット・シンドローム;及びハンチントン病などの、様々な形態のジスキネジーならびに関連する疾患の治療または軽減する方法に関する。このような二重作用性のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト/κ−オピオイドレセプターアゴニスト剤の代表としては、合成オピオイド鎮痛薬である、ナルブフィンがある。
他の実施形態では、本発明は、ナルブフィン、ナロルフィン、ペンタゾシン、ブトルファノールまたはこれらの2以上の組み合わせを投与することを有する、ジスキネジーの治療または軽減方法に関する。
より特定の実施形態では、本発明は、好ましくは約0.001mg/kg〜約3mg/kgの投与量範囲の、安全かつ有効な量のナルブフィンを投与することを有する、治療または軽減を必要とする患者の、以下に制限されないが、特にPD患者における、LID;遅発性ジスキネジー;トゥレット・シンドローム;及びハンチントン病などの、様々な形態のジスキネジーの治療または軽減する方法に関する。
他の実施形態では、本発明は、以下に制限されないが、錠剤、カプセル、カプレット、シロップ、ゲル、坐剤、吸入可能粉末、吸入可能エアロゾル、舌下用スプレー(sublingual spray)、舌下用固形の剤型(sublingual solid dosage form)、パッチ、鼻腔内スプレー、鼻腔内エアロゾル、ミニポンプまたは薬剤を連続的にデリバリーできる他のデバイスを介してデリバリーされるものを含む注射用溶液及び注射用懸濁液などの、様々な投与ベヒクルにおいて、μ−オピオイドレセプターアンタゴニスト及びκ−オピオイドレセプターアゴニスト双方の組み合わせを含む、または、μ−オピオイドレセプターアンタゴニスト及びκ−オピオイドレセプターアゴニスト活性双方を有する二重作用性薬剤を含む、非注射用または注射用薬剤組成物を必要ある患者に投与することを有する、ジスキネジーの治療または軽減方法に関する。当該薬剤組成物を注射によって投与する場合には、注射は、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内または他の当該分野において既知の手段によってなされる。本発明は、以下に制限されないが、懸濁液、粉末、凍結乾燥製剤、眼液(ocular drops)、皮膚用パッチ剤、口腔可能性製剤(oral soluble formulations)、スプレー、エアロゾルなどとしての剤形などの、当該分野において既知のいずれかの手段によって処方されてもよいし、また、バッファー、バインダー、賦形剤、安定化剤、抗酸化剤及び他の当該分野において既知の他の物質と一緒に混合、処方されてもよい。投与手段としては、粘膜を介した投与、口腔投与、経口投与、経皮投与、吸入投与、経鼻投与などがありうる。
好ましい実施形態では、本発明は、遊離塩基の(free-base)ナルブフィンまたはナルブフィンの製薬上許容できる誘導体若しくは塩等の活性成分、および製薬上許容できる担体またはアジュバントを含み、錠剤またはカプセル形態を有する非注射用製薬上許容できる経口製剤を必要とする患者に投与することを有する、ジスキネジーの治療または軽減方法に関する。本発明において、「誘導体」ということばは、例えば、加水分解酵素または酸化酵素によって作用されると、in vivoでのターゲット部位で親薬剤(例えば、ナルブフィン)を再生または放出できる、例えば、ナルブフィン等の、薬剤分子由来の化合物を意味する。このような誘導体は、医薬品化学分野では「プロドラッグ」として知られている。プロドラッグは、一般的には、薬剤の誘導体、例えば、カルボン酸のエステル、またはアミノ酸、ペプチド若しくはタンパク質との共役体である。プロドラッグ誘導体は、親薬剤の摂取、輸送、毒性および/または代謝特性に影響を与える。
その薬物動態及び薬力学プロフィールを向上するように設計されたナルブフィンプロドラッグは既知である。例えば、ナルブフィンは、フェノール性ヒドロキシルでアシル化によって修飾されてエステルを形成するまたはフェノール性ヒドロキシルでアルキル化によって修飾されてエーテルを形成することができる。さらに、ナルブフィンは、アミノ酸または短いペプチドにカップリングしうる。また、ナルブフィンは、ジカルボン酸自体またはジカルボン酸連結アミノ酸またはジカルボン酸連結ペプチドでも修飾されうる。さらに、ナルブフィンは、カルバメート連結アミノ酸またはペプチドで修飾しうる。ナルブフィンは、さらに、塩またはN−オキシドを形成することによって窒素原子で修飾されうる。上述したように、ナルブフィンは、そのバイオアベイラビリティを向上するエステルプロドラッグに変換できる。より詳しくは、ナルブフィンのバイオアベイラビリティを向上するための製剤は、植物油、共溶媒(co-solvent)、及び有効量のナルブフィンエステルプロドラッグまたはその製薬上許容できる塩を含んでもよく、この製剤は、ナルブフィンエステルは長期間作用する鎮痛作用を有するため、ナルブフィンの経口でのバイオアベイラビリティを12倍以上向上し、体内でのナルブフィンの保持時間を延長でき、これによりより長期間鎮痛期間を維持すると共に、鎮痛のためのコストを削減することができる。例えば、セバコイルジーナルブフィンエステル(sebacoyl di-Nalbuphine ester)のバイオアベイラビリティはナルブフィン自体に比べて高い。また、ナルブフィンプロドラッグとしては、例えば、アミノ酸を介して、他の薬剤に共有結合したナルブフィンがある。例えば、ナルブフィンは、3−アセチルサリチレート(アスピリン)誘導体(3-acetylsalicylate (aspirin) derivative)に変換しうる。このようなナルブフィンを含むデュプレックスプロドラッグ(duplex prodrug)は、ヒト皮膚を介した薬剤の経皮的な流れ(transdermal flux)を有意に増加させる。受動拡散及びイオン導入(下記参照)によるヒドロゲルからのナルブフィン及びピバル酸ナルブフィン(Nalbuphine pivalate)の経皮的なデリバリーもまた、報告されている。ナルブフィンを含むポリエステルまたはポリアミド、さらにはポリナルブフィン誘導体等の治療用ポリマーもまた調製されうる。生分解性ポリマーマトリックスからのナルブフィンプロドラッグの制御放出は、プロドラッグの親水性及びポリマー組成によって影響を受ける。
ナルブフィン、その製薬上許容できる塩、エステルまたは他のプロドラッグの薬物動態的及び薬力学的特性は、さらに様々なデリバリーシステムによって調節できる。例えば、ナルブフィンプロドラッグの制御デリバリー用の生分解性ポリマーミクロスフェアが報告されている。さらに、イオン導入及びエレクトロポレーションは、溶液またはヒドロゲルとして局所的に適用される際の、ナルブフィン(NA)及び2つのプロドラッグである、ナルブフィンベンゾエート(Nalbuphine benzoate)(NAB)及びセバコイルジーナルブフィンエステル(sebacoyl di-Nalbuphine ester)(SDN)の経皮デリバリーを促進する。粘膜接着性口腔ディスク(mucoadhesive buccal disks)もまた、新規なナルブフィンプロドラッグの制御デリバリーを目的として提供する。
本発明のさらなる実施形態では、μ−オピオイドレセプターアンタゴニストおよび/またはκ−オピオイドレセプターアゴニストおよび/または他の二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニスト化合物のプロドラッグ、および/または他の治療剤は、ジスキネジーの治療を目的として個々の治療剤としてまたは上記のいずれかと組み合わせて使用されうる。
本発明は、LID、さらには遅発性ジスキネジー、ハンチントン舞踏病及びトゥレット・シンドロームなどの他の形態のジスキネジーを患っているものの新規な治療オプションを提供する。ナルブフィンは、アンタゴニストとしてμ−オピオイドレセプターとおよびアゴニストとしてκ-オピオイドレセプターと相互作用することによって移動を調節することによって機能する。ナルブフィン投与には、本発明の投与量では、顕著な麻薬による陶酔感、不快な気分または鎮静作用を引きこさないという明白な利点がある。さらに、本発明の方法は、認識力や呼吸を損なわない。さらに、ナルブフィンは、(鎮痛剤として30年間臨床上使用されても)安全であり、鎮痛以下の投与量(sub-analgesic dose)では中毒性がなく、さらにより多い投与量での悪影響を制限する「上限効果(ceiling effect)」があることが示されている。
本明細書に記載される化合物はまた、他の抗ジスキネジー薬(anti-dyskinetic drug)(例えば、アマンタジン、アデノシンA2aアンタゴニスト、α−2アドレナリンアンタゴニスト(例えば、フィパメゾール(fipamezole))および/または抗パーキンソン治療薬(例えば、L−DOPA、ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤(例えば、サフィナミド(Safinamide))、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤(catechol-O-methyltransferase inhibitor)、脳深部刺激(deep brain stimulation)など)と一緒に投与してもよい。ゆえに、本発明のさらなる実施形態は、二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストまたはこのプロドラッグが他の抗パーキンソン治療薬と投与される、ジスキネジーの治療または軽減方法を包含する。好ましくは、他の抗パーキンソン治療薬は、L−DOPA、ドーパミンアゴニスト、MAO阻害剤、COMT阻害剤、アマンタジン及び抗コリンアゴニスト(anti-cholinergics)からなる群より選択される。より好ましくは、他の抗パーキンソン治療薬は、L−DOPAである。最も好ましくは、二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストがナルブフィンまたはこのプロドラッグであり、かつ他の抗パーキンソン治療薬がL−DOPAである。上記薬剤のいずれかの投与は、0〜12時間、好ましくは0〜6時間遅らせてもよく、投与は、同じ経路によってまたは異なる経路によってなされてもよい。
実施例
本発明を、下記実施例によってより十分に説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではない。これらの実施例の修飾は、当業者には明らかであろう。パーキンソン病患者にとって主に必要である、レボドパ誘導性ジスキネジー(Levodopa-induced dyskinesia)の治療を目的とするナルブフィンをターゲットとするために、その活性を臨床前モデルで確認し、それらのデータを用いて、ヒトへの臨床試験のための投与の指針を示す。
実施例1:L−DOPA誘導ジスキネジーの霊長類モデルでのナルブフィンの有効性、安全性および投薬(dosing)の評価
霊長類での研究は、ヒトの症状を厳密に反復するのに必要であり、ヒトへの臨床試験前に投薬および有効性を微調整するのに使用される。パーキンソン病の霊長類モデルは、ヒト疾患の運動の兆候(motor manifestations)を反復し、PD治療薬に応答性があり、さらにL−DOPA誘導ジスキネジーを発症するよく確立されたモデルである。マカクザル(Macaca FascicuJaris)を本研究に使用し、これに、中程度から重篤にまでの安定したパーキンソン病の症状が発症するまで、MPTP(1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(1-methyl-4-phenyl-l ,2,3,6-tetrahydropyridine;0.5〜0.8mg/kg)を静脈内(iv)投与する。次に、これらの動物に、安定したジスキネジーが確立されるまで、レボドパ/カルビドパ(carbidopa)(Sinemet 25/100)を1日2回経口投与する。次に、レボドパメチルエステル単独の皮下(SC)注射への動物の応答を評価し、中程度の再現性のあるジスキネジーが得られる最適投与量を各動物で確立する。レボドパメチルエステルを、レボドパの抹消の副作用を低減するためにデカルボキシラーゼ阻害剤である、ベンセラジドと共に定期的に投与する。次に、動物にナルブフィンを、レボドパメチルエステル及びベンセラジドと共に皮下(SC)で投与して、ジスキネジーの重篤度及び期間に関する組み合わせの効果を評価する。最小の有効投与量を見出し、また、将来の臨床試験のための実行可能な投与ストラテジーを決定する目的で、最低限の4回のナルブフィン投与及びベヒクルをランダムの順序で投与して、研究の完全性を確保する。ベヒクルを含む各試験投与を3回繰り返した。L−DOPA投与前におよびその後20分間隔で3〜4時間、サルを評価した。一晩絶食させた後の朝に専門家によって試験を行い、これを薬剤ウァッシュアウト(drug washout)のため少なくとも48時間間隔をあけて繰り返す。通常の臨床評価に加えて、ジスキネジーを評価するためのMPTP処置霊長類用の標準化スケール、クリューバーボードテスト(Kluver board test)(運動課題)、および神経系を評価するスケール(特に注意力)を使用する。上記実施例により、ヒト臨床試験に変換できるナルブフィンの有効投与量が同定される。
データ
マカクに、促進したパーキンソニズム(advanced Parkinsonism)を誘導するためにMPTPを静脈内(iv)投与し、ジスキネジーを誘導するためにL−DOPA/カルビドパ(carbidopa)を長期間経口で処置した。
実施例1A:75mg レボドパメチルエステル(及びベンセラジド)と共に0.1mg/kg及び0.2mg/kgでLIDを皮下(SC)注射した2匹のパーキンソニアンサルでナルブフィンを試験した。異常不随意運動を含むパーキンソニアンサル(Parkinsonian monkeys including abnormal involuntary movements)(PD−MDS)に関する運動障害スケールで、応答を評価した。双方の動物で、レボドパ投与単独と比べて、ナルブフィンを一緒に投与すると、ジスキネジー重篤度が改善され、維持時間がより短かくなった(図1)。これらの投与量では、鎮静(sedation)は起こらなかった。
実施例1B:LIDを有する3匹のパーキンソニアンサルを試験した。L−DOPAメチルエステル(及びベンセラジド)単独の75mg皮下(SC)注射またはナルブフィンン(0.25mg/kgまたは0.5mg/kg)皮下(SC)注射直後にL−DOPAメチルエステル(及びベンセラジド)の75mg皮下(SC)注射で、動物に接種し、異常不随意運動を含むパーキンソニアンサル(Parkinsonian monkeys including abnormal involuntary movements)(PD−MDS)に関する運動障害スケールで、応答を評価した。各処置を、1匹の動物当たり2〜3回試験した。エラーバー=S.E.M.ジスキネジーの重篤度及び期間の統計学的な減少がナルブフィンを一緒に投与したもので認められた。0.5mg/kgの効果は0.25mg/kgに比べてより顕著であることから、用量応答効果が示唆された(図2)。繰り返すが、これらの動物では、鎮静(sedation)または他の悪影響は認められなかった。
前記実施例および好ましい実施形態の説明は詳細に説明するものであり、本発明を限定するものでない。本発明は、下記請求項によって規定される。本発明は、上記した特徴のすべての変更および組み合わせを包含し、請求の範囲に含まれるものであると解される。

Claims (28)

  1. ジスキネジーを治療または軽減する必要のある患者に、前記ジスキネジーを軽減するのに十分な、治療上有効な量の、二重作用性のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト(dual-action mu-opioid receptor antagonist)/κ−オピオイドレセプターアゴニスト(kappa-opioid receptor agonist)を投与することを有する、ジスキネジーの治療または軽減方法。
  2. 前記二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストは、ナルブフィン、ナロルフィン、ペンタゾシン、ブトルファノールおよびこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストは、0.001mg/kg〜3mg/kgの投与量で患者に投与される、ナルブフィンを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストは、
    a.少なくとも0.01mgの量の、遊離塩基または製薬上許容できる誘導体、プロドラッグ若しくは塩の形態を有するナルブフィンを含む活性成分;および
    b.製薬上許容できる担体
    を含み、錠剤またはカプセル形態を有する非注射組成物(non-injectable composition)で患者に投与される、ナルブフィンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストは、パーキンソン病に伴うジスキネジー(Parkinson-associated dyskinesia)を治療するための非注射薬剤組成物(non-injectable pharmaceutical composition)で前記患者に投与される、ナルブフィンを含み、前記薬剤組成物は、錠剤、カプセル、シロップ、ゲル、坐剤、皮膚用パッチ剤、吸入可能粉末(inhalable powder)、吸入可能エアロゾル(inhalable aerosol)、舌下スプレーもしくは舌下用固形の剤型、鼻腔内スプレーおよび鼻腔内エアロゾルからなる群より選択される形態を有するまたは薬剤を連続的にデリバリー可能である医療デバイスを介する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ジスキネジーは、パーキンソン病と診断された患者において、レボドパ誘導される(levodopa-induced)、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記ジスキネジーは、遅発性ジスキネジー(tardive dyskinesia)と診断された患者における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記ジスキネジーは、トゥレット・シンドローム(Tourette's syndrome)と診断された患者における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記ジスキネジーは、ハンチントン病(Huntington's disease)と診断された患者における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  10. ジスキネジーを治療または軽減する必要のある患者に、前記ジスキネジーを軽減するのに十分な、治療上有効な量の、μ−オピオイドレセプターアンタゴニスト(dual-action mu-opioid receptor antagonist)またはそのプロドラッグ、およびκ−オピオイドレセプターアゴニスト(kappa-opioid receptor agonist)またはそのプロドラッグ双方を投与することを有する、ジスキネジーの治療または軽減方法。
  11. 前記μ−アンタゴニストまたはそのプロドラッグ、および前記κ−アゴニストまたはそのプロドラッグは一緒に投与される、請求項10に記載の方法。
  12. ジスキネジーを治療または軽減する必要のある患者に、前記ジスキネジーを軽減するのに十分な、治療上有効な量の、二重作用性のμ−オピオイドレセプターアンタゴニスト(dual-action mu-opioid receptor antagonist)/κ−オピオイドレセプターアゴニスト(kappa-opioid receptor agonist)のプロドラッグを投与することを有する、ジスキネジーの治療または軽減方法。
  13. 前記二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストは、ナルブフィンである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記プロドラッグは、必要であれば製薬上許容できる塩として、ナルブフィンのエステルである、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記プロドラッグは、ナルブフィンの安息香酸エステル、ナルブフィンのセバシン酸ジエステル(sebacoyl diester)、ナルブフィンのペグ化誘導体(pegylated derivative)、およびこれらの製薬上許容できる塩からなる群より選択される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストは、他の抗パーキンソン病薬と一緒に投与される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記他の抗パーキンソン病薬は、L−DOPA、ドーパミンアゴニスト、MAO阻害剤、COMT阻害剤、アマンタジンおよび抗コリンアゴニスト(anti-cholinergics)からなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記他の抗パーキンソン病薬は、L−DOPAである、請求項16に記載の方法。
  19. 前記二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストはナルブフィンまたはこのプロドラッグであり、かつ前記他の抗パーキンソン病薬はL−DOPAである、請求項16に記載の方法。
  20. 前記他の抗パーキンソン病薬はドーパミンアゴニストである、請求項16に記載の方法。
  21. 前記他の抗パーキンソン病薬はMAO阻害剤である、請求項16に記載の方法。
  22. 前記他の抗パーキンソン病薬はCOMT阻害剤である、請求項16に記載の方法。
  23. 前記他の抗パーキンソン病薬はアマンタジンである、請求項16に記載の方法。
  24. 前記他の抗パーキンソン病薬は抗コリンアゴニスト(anti-cholinergics)である、請求項16に記載の方法。
  25. いずれかの薬剤の投与が0〜12時間遅れ、投与が同じまたは異なる経路による、請求項10および16〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記二重作用性のμ−アンタゴニスト/κ−アゴニストが持続注入により患者に投与されるナルブフィンを含む、請求項1または2に記載の方法。
  27. 前記連続注入量が少なくとも約0.0001mg/kg/日である、請求項26に記載の方法。
  28. ナルブフィンは経口で投与される、請求項4または5に記載の方法。
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