例示的な実施形態において、流体から不純物を取り除くシステムは、不純物の少なくとも一部が通って移動し得る複数の孔を有した少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリを備えることができる。流体から不純物を取り除くシステムは、流体の少なくとも一部が通って流れ得る流体経路を提供する、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリを収容する包囲体を備えることもできる。さらに、例えば、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリの複数の孔を通して流体中の不純物の少なくとも一部を移動させるように電界を発生させることができる。
例示的な実施形態において、流体から取り除かれた不純物の少なくとも一部は、(i)少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリの内部で捕獲されたもの及び/又は(ii)老廃物の流れとしてシステムから取り除かれたものであってもよい。
例示的な実施形態において、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリは、配列を形成するように組み立てられた複数の半透性ナノ構造体を更に備えることができる。幾つかの例では、配列を形成する複数の半透性ナノ構造体の少なくとも一部が実質的に平行に整列配置することができる。
例示的な実施形態において、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリは、少なくとも1つの半透性ナノチューブを更に備えることができる。
例示的な実施形態において、流体中の少なくとも1つの不純物の量を監視するための少なくとも1つのセンサーを更に備えることができる。また、例示的な実施形態において、このシステムは、少なくとも1つのセンサーから得られた情報を分析することによって、電界を調節する少なくとも1つのマイクロプロセッサを更に備えることができる。
例示的な実施形態において、センサーは、電気化学的な検出システム及び/又は光学的な検出システムを利用することができる。幾つかの例では、電界は、固定された及び/又は可変の電圧波形によって発生することができる。また、幾つかの例では、マイクロプロセッサは、例えば、監視された不純物のレベルに従って電界を調整するように、センサーからの出力を利用することができる。
例示的な実施形態において、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリは、炭素、ポリマー、架橋ポリマー、無機化合物、無機ポリマー、金属及び有機化合物のうちの少なくとも1つを含む物質から構成することができる。
例示的な実施形態において、複数の孔は、特定の不純物の通過を可能にするような寸法にすることができる。
例示的な実施形態において、体液から不純物を取り除く人工腎臓システムは、不純物の少なくとも一部が通って移動し得る複数の孔を有した少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリを備えることができる。人工腎臓システムは、体液の少なくとも一部が通って流れ得る流体経路を提供する、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリを収容する包囲体も備えることができる。さらに、体液内の不純物の少なくとも一部を少なくとも1つの半透性ナノ構造組立体の複数の孔を通して移動させるように電界を発生させることができ、これにより、体液からそれらの不純物を取り除く。
例示的な実施形態において、体液は血液であってもよい。
例示的な実施形態において、体液から取り除かれた不純物の少なくとも一部は、(i)少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリの内部に捕獲されたもの及び/又は(ii)老廃物の流れとして人工腎臓システムから取り除かれたものであってもよい。
例示的な実施形態において、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリは、例えば配列を形成するように組み立てられた複数の半透性ナノ構造体を更に備えることができる。幾つかの例では、配列を形成する複数の半透性ナノ構造体の少なくとも一部が実質的に平行に整列配置することができる。
例示的な実施形態において、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリは、ナノチューブを更に備えることができる。
例示的な実施形態において、人工腎臓システムは、体液中の少なくとも1つの不純物の量を監視するセンサーを更に備えることができる。
例示的な実施形態において、人工腎臓システムは、例えばセンサーから得られた情報を分析することによって、電界を調節するマイクロプロセッサを更に備えることができる。幾つかの例では、センサーは、電気化学的な検出及び/又は光学的な検出の少なくとも一方を利用することができる。また、幾つかの例では、電界は、固定された及び/又は可変の電圧波形によって発生することができる。例示的な実施形態において、マイクロプロセッサは、例えば監視された不純物のレベルに従って電界を調整するように、センサーを利用することができる。
例示的な実施形態において、浄化される体液は、動脈及び/又は静脈から人工腎臓システムに入り、同じ動脈、異なる動脈、同じ静脈、及び/又は異なる静脈へと流れることによって、人工腎臓システムから出ることができる。
例示的な実施形態において、電界は、(i)埋め込まれたバッテリ及び/又は(ii)血液中に通常生じているブドウ糖の電位勾配を利用する生物学的燃料電池であり得るエネルギー源によって発生することができる。
例示的な実施形態において、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリは、炭素、ポリマー、架橋ポリマー、無機化合物、無機ポリマー、金属及び/又は有機化合物を含む物質から構成することができる。
例示的な実施形態において、1つ又は複数の抗凝血物質を、体液に接触する1つ又は複数の人工腎臓システムの表面に付着させることができる。
例示的な実施形態において、複数の孔は、水及び不純物は通すが赤血球又は他の大きい血液成分は除外するような寸法にすることができる。
例示的な実施形態において、人工腎臓システムは、人体に埋込み可能であるように構成及び/又は寸法決めすることができる。
例示的な実施形態において、流体から不純物を取り除く方法は、不純物の少なくとも一部が通って移動し得る複数の孔を有した少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリを準備するステップを含むことができる。流体から不純物を取り除く方法は、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリに沿って流体の少なくとも一部が流れる流体経路を設けるステップも含むことができる。さらに、流体から不純物を取り除く方法は、例えば流体中の不純物の少なくとも一部を少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリの孔を通して移動させるように電界を生じさせて、流体経路内の流体から不純物を取り除くステップを含むことができる。
例示的な実施形態において、この方法は、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリの孔を通って移動した不純物を集めて、の老廃物の流れを形成するステップを更に含むことができる。
例示的な実施形態において、少なくとも1つの半透性のナノ構造体アセンブリを準備するステップは、複数の半透性ナノ構造体を準備するステップ、及び/又は、複数の半透性ナノ構造体を組み立てて、例えば配列を形成するステップを更に含むことができる。
例示的な実施形態において、少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリは、ナノチューブを更に備えることができる。
例示的な実施形態において、この方法は、例えば少なくとも1つの半透性ナノ構造体アセンブリを通る電界によって移動した不純物を監視するためのセンサーを準備するステップを更に含むことができる。幾つかの例では、この方法は、センサーから取得した情報を分析することにより電界を調節するステップを更に含むことができる。さらに、幾つかの例では、電界を調節するステップは、固定された及び/又は可変の電圧波形の使用により電界を調節するステップを更に含むことができる。
例示的な実施形態において、この方法は、検出され監視された不純物のレベルに従って電界を調整するステップを更に含むことができる。
例示的な実施形態において、この方法は、特定の不純物を通すために複数の孔を寸法決めするステップを更に含むことができる。
例示的な実施形態において、この方法は、体液に接触する1つ又は複数の表面に、1つ又は複数の抗凝血物質を付着させるステップを更に含むことができる。
本開示の特徴及び利点は、以下の記載を添付の図面と関連して参照することにより、より十分に理解される。
一般的に言うと、以下の詳細な説明は、選択された帯電不純物が半透性ナノチューブへと選択的に移動してその内部で捕獲されるようにする電界の印加によって、例えば血液のような流体から不純物を取り除くためのシステム及び方法に関する。これらの不純物は、半透性ナノチューブの内部に収容されると、老廃物の流れとして引き続いて取り除くことができる。さらに、そのような流体中の不純物を選択的に濾過するために、このシステム及び方法は、とりわけ、特殊な機能を有する分子(例えば抗凝血物質)で被覆された表面を利用できるとともに、不純物センサー、マイクロプロセッサ、及び/又はフィードバックシステムを組み込むことができる。
例として、ここに記載されるシステム及び方法は、人体内への埋込みに適した効果的な血液浄化システムすなわち人工腎臓システムを形成するために使用できる。この人工腎臓は、血液から不純物(例えば、帯電した不純物)を実質的に濾過できる。より具体的には、例示的な実施形態において、不純物を濾過するために、この人工腎臓システムは、1つ又は複数の半透性ナノチューブの集合を横切る電界を印加することによって作動する。この印加された電界は、半透性ナノチューブの外側を(かつそれに並んで)流れる血液中の不純物(例えば、イオン)を選択的に移動させる(例えば、選択的に追い出す)ことができ、流れている血流から不純物を優先して追い出すとともに半透性ナノチューブ内に及び/又はそれを通して移動させるようになっている。これらの不純物は次に、別個の老廃物の流れを形成できるが、その一方で残りの流れる血液は、不純物の濃度が低下した状態で残される。例えば、本願明細書に開示されるシステム及び方法は、少なくとも部分的に不純物(例えば帯電不純物)を血液から分離して2つの異なった流体の流れを形成する人工腎臓システムを形成できる。第1の流れは、洗浄され、濾過された(その不純物がナノチューブの内側に送られた)血液である。第2の流れは、患者の血液から取り除かれたそれらの不純物の溶液からなる老廃物の流れである。そのようなシステムの利点は、それが連続的に動作できるので、不純物の除去効率が極めて高いものである必要がないことにある。一部の不純物が第1の通過の間に血流から取り除かれない場合、それらの不純物はその後の通過の間に血流から取り除いてもよい。
そのようなシステム及び方法を利用し、例として、埋込み可能な人工腎臓システムを形成することにより、血液の浄化が患者の体内で連続して、静かに及び/又は自律的に生じている間、患者は彼らの通常の活動を継続できる。場合によっては、そのような人工腎臓システムは、(例えば、血液透析に使用されるもののような)実質的な外部圧力の負荷なしに不純物を濾過し及び/又は取り除くことができる。また、例示的な実施形態において、この埋込み可能な人工腎臓システムは、患者自身の血液の流れ及び/又は血圧を用いて血液を浄化できる。さらにまた、場合によっては、この埋込み可能な人工腎臓システムは、患者の血液の外部循環を必要とすることなしに血液を浄化できるとともに、不純物(例えば、老廃物)の流れは患者自身の膀胱を通して排出できる。
ここで理解されることは、開示されるシステム及び方法が、不純物を捕獲すること、不純物を取り除くこと、帯電した不純物を捕獲すること、帯電した不純物を取り除くこと、限定はしないが、水、水溶液、非水溶液、貴重な物質を回収するシステム、汚水処理、血液、脳脊髄液、胆汁、及び生体流体のような任意のタイプの流体から不純物を濾過及び/又は浄化することに使用できることである。好ましい実施形態では、濾過され及び/又は浄化される流体は血液である。しかしながら、この実施形態及び以下の説明が、開示されるシステム及び方法を使用して浄化できる流体のタイプを限定することは、全く意図されてない。
ここで理解されることは、ここに開示されるシステム及び方法が、内部的に、例えば埋込み可能な人工腎臓システムとして、或いは外部的に、例えばより大きな外部装置において、又は内部的な及び外部的なシステムの任意の組合せで使用できることである。このシステム及び方法は、時には、不純物を捕獲し、不純物を取り除き、帯電不純物を捕獲し、帯電不純物を取り除き、血液を濾過及び/又は浄化する、埋込み可能な人工腎臓システム、人工腎臓システム等として記載されるが、この記載はそのようなシステム及び方法のために可能な構成を限定することを意図していない。むしろ、これは単に簡略化のためであって、限定となることを全く意図していない。さらに、ここで理解されることは、ここに開示されるシステム及び方法が、人間及び/又は任意の形態の動物に使用できることである。
例示的な実施形態において、このシステム及び方法は、体内への埋込みのための寸法及び/又は材料で製造できる。例えば、あらゆる構成部品を生体適合材料から製造できる。他の例では、例えば腎臓の代わりとして、このシステムを体内に設置できるように寸法を選択できる。
例示的な実施形態において、開示されるシステム及び方法は、限定はしないが、有機材料、無機材料、架橋ポリマー、金属、金属合金並びに適切な生体適合材料及び/又は任意の他のナノ構造材料の混合物或いは組合せから構成された、半透性カーボンナノチューブ、無機半透性ナノチューブ、DNA半透性ナノチューブ、膜半透性ナノチューブ、半透性カーボンナノ構造体、無機半透性ナノ構造体、DNA半透性ナノ構造体、膜半透性ナノ構造体、及び/又はナノ構造体の任意の他の形態のようなナノ構造材料を利用する。簡略化のために、これらのナノ構造材料は、時には、半透性カーボンナノチューブ、半透性カーボンナノ構造体等として記載される。このことは、単に参照を簡略化するためであり、限定となることは全く意図していない。
さらに、例示的な実施形態においては、半透性ナノ構造体の形状は管、円筒、円筒状、回転楕円体、楕円体、実質的に平坦なもの、膜状、及び/又は任意の他の形状とすることができる。簡略化のために、半透性ナノ構造体の形状は、時には、管、円筒状、円筒半透性ナノチューブ等として記載される。これは単に参照を簡略化するためであり、限定となることを全く意図していない。
図1を参照すると、例示的な実施形態において、埋込み可能な人工腎臓システムは、連続パターンで互いに連結された炭素原子のリングから通常形成されると共に多孔性の壁102を有する円筒状ナノ構造体を形成する複数の半透性カーボンナノチューブ100を含むことができる。さらに、これらの半透性カーボンナノチューブの壁102における孔径すなわち開口104は、水及び選択された帯電不純物(例えば、イオン)が通過できるのに十分に大きなものとすることができる。しかしながら、赤血球又は他の大きな血液成分が通過するのに十分に大きいものにすることはできない。
例示的な実施形態において、孔104のサイズは、様々な不純物、例えば、限定はしないが(いくつかの例を挙げると)ナトリウム、カリウム及び塩素のようなイオンを通過させるのに十分なサイズからの範囲となるように選択することができ、及び/又は孔104のサイズは、より大きな不純物、例えば腎不全に苦しむ人々が取り除く必要のある中間分子量分子のサイズに達するまでの範囲となるように選択できる。
さらに、場合によっては、これらの半透性ナノチューブは、その構造が異なり得るとともに、単一層(単一壁)又は例えば、巻かれて円筒状の半透性ナノチューブにされた六方格子黒鉛の多層(多数壁)の構造体に分類できる。「単一」又は「多数」という用語は、どのくらいの数の炭素原子層が個々の半透性ナノチューブの側壁(例えば壁102)を構成しているかを指している。限定はしないが、例として、公知の技術により製造された、様々な形態の単一壁の半透性ナノチューブ及び多数壁の半透性ナノチューブ等を使用できる。これらの材料は、様々な研究所において製造されてきたが、未だに商業的に入手することができない。
半透性カーボンナノチューブ100の壁102における孔104のサイズは、合成パラメーターの変動によって、注意深く制御できる。例えば、正確な多孔構造及び孔径を有する単一壁の半透性カーボンナノチューブ及び多数壁の半透性カーボンナノチューブは、特定の流体から特定の不純物を取り除くために製造できる。
更に図1を参照すると、例示的な実施形態において、半透性カーボンナノチューブ100の内径106は、(例えば、単一壁の半透性ナノチューブの)約1ナノメートルから、(例えば、多数壁の半透性ナノチューブの)最大で約数ナノメートルへと及ぶことができる。そのような直径は、ほとんどの単独分子のサイズと同程度の大きさである。より具体的には、多数壁の半透性ナノチューブの寸法は、約10ナノメートル〜15ナノメートルの外径108、約2ナノメートル〜6ナノメートルの内径106、及び約0.1ミクロン〜10ミクロン以上の全体長さ110を含むことができる。
例示的な実施形態において、半透性カーボンナノチューブ100の長さは、そのアスペクト比(例えば、長さ対直径の比)が10,000を上回り得るように、数ミクロンとすることができる。それに比較して、1つの赤血球の直径は約7,000ナノメートルであり、その一方で典型的なウイルスの直径は単に約100ナノメートルの寸法である。
例示的な実施形態において、本願明細書において議論するように、半透性カーボンナノチューブは、限定はしないが、いくつかの例を挙げると、管の形状、長さ対直径の比、熱伝導率、電気的移動度、電流容量、引張強さ、サイズ、現在の半導体製造プロセスとの互換性、化学的に機能化される能力、及び様々な化合物に対する吸収特性のような特定の電気的及び構造的な特性及び/又は他の変数のような変数に基づいて選択できる。これらのナノ構造体は、選択された不純物の化学種を捕獲し得るケージとして想像できる。特定の化学種は、ナノチューブの内側に捕獲又は収容されると、そこから出て元の流入する血液の流れに戻ることは容易にはできない。
図2を参照すると、例示的な実施形態において、多くの個々の半透性カーボンナノチューブ100の配列及び/又は集合は、壁102の長さ110の少なくとも一部に沿って互いに密接に組み立てて、半透性カーボンナノチューブの配列200を形成できる。この構造において、個々の半透性カーボンナノチューブ100の配列及び/又は集合は、例えば半透性カーボンナノチューブ100の実質的に平行な配列200を形成する、実質的に平行なアセンブリとすることができる。半透性カーボンナノチューブのそのような配列200はまた、例えば図3に示すようなより大きな外側包囲体302によって、包囲し及び/又は互いに保持できる。もちろん、外側包囲体302の内側の個々の半透性カーボンナノチューブ100は、きつく及び/又は緩く互いに保持できる。これらの半透性カーボンナノチューブは、外側包囲体の内部容積の全体を満たす必要はない。
例示的な実施形態において、外側包囲体302は、半透性カーボンナノチューブ100と同じように構成できる。代替的に、外側包囲体302は、例えば、いくつかの例を挙げると、限定はしないが、シリコーンゴム、ポリマー及び/又は任意の適切な半導体のような任意の適切な材料から作製することができる。以下に記載するように、外側包囲体302は本質的に、浄化されるべき血液又は他の流体を移動させるための導管及び/又はパイプとして機能する。
ここで理解されることは、開示されるシステム及び方法のために、任意の数の半透性カーボンナノチューブ100及び/又は外側包囲体302を使用できることである。簡略化のために、時には1つの外側包囲体、1つの半透性ナノチューブ、及び/又はいくつかの半透性ナノチューブのみが開示される。これは単なる簡略化のためであり、限定となることは全く意図していない。
図4を参照すると、例示的な実施形態において、浄化される血液402は、入口404を通って外側包囲体302に入り、配列200の半透性カーボンナノチューブ100のうちの少なくともいくつかの長さ110に並んでかつ平行に流れ、浄化された血液402が外側包囲体302の流出端において、出口406を通って出るようになっている。血液402を浄化するために、例示的な実施形態において、この埋込み可能な人工腎臓システムは、個々の半透性カーボンナノチューブ100及び/又は半透性カーボンナノチューブの配列200を横切る連続した及び/又は変調した電界の制御された印加を利用して、選択された不純物種が半透性カーボンナノチューブ200の壁を通る単一方向の移動及び拡散を助ける。
選択された不純物種(例えば、イオン)の半透性カーボンナノチューブ100及び/又は半透性カーボンナノチューブの配列200の壁102を通る単一方向の移動及び拡散は、例えば、外側包囲体302又は半透性カーボンナノチューブ100及び/又は半透性カーボンナノチューブの配列200の両側に、適切な電圧を印加できる導電性又は半導電性の接触面を蒸着及び/又はコーティングすることによって達成できる。キラル調製された半透性カーボンナノチューブ100が充分な導電率を有する場合、導電性又は半導電性の接触面を半透性カーボンナノチューブ100に与える必要性を無くすこと及び/又は実質的に減少させることができる。
外側包囲体302の壁を横切る適切な電位を印加することによって、(例えば、半透性ナノチューブの配列を一体に保持する)外側包囲体302に電力が供給されると、外側包囲体の内側を流れる流体に溶けている不純物(例えば、イオン)は、強化された移動特性を呈し、これらの不純物を個々の多孔性の半透性ナノチューブの壁を横切らせ及び/又は通過させる。したがって、不純物の除去(例えば、イオンの除去)のための推進力は、もはや典型的な透析システムにおけるような静水圧には限定されない。むしろ、(例えば、半透性ナノチューブの壁に平行にかつ並んで外側を移動する)流体内部の不純物種は、そのような電界により誘発された移動により、半透性ナノチューブの壁を横切って選択的に移動できる。例として、半透性ナノチューブの壁を横切る選択された電位を印加することにより、半透性ナノチューブの壁の外側の溶液内の不純物(例えば、選択されたイオン)は、半透性ナノチューブの壁内への及びそれを通過する移動度を高めることができる。これにより、入って来る流体(血液)が外側包囲体302の長さに沿って進行すると、印加された電界は、含まれている不純物の一部を優先的にこの包囲体の中心内部のナノチューブの「ケージ」へと追い出す。
例示的な実施形態において、個々の半透性ナノチューブの集合全体を横切る及び/又はこれらの個々の半透性ナノチューブのうちの少なくともいくつかを横切る電圧の印加によって、電界が形成される。この電界は、半透性ナノチューブの長さに対してある角度(例えば、実質的に垂直)に(すなわち、半透性ナノチューブの壁を横切るように)方向付けることができる。この印加された電界は、流れる(例えば、半透性ナノチューブの外側を流れる)血液の中に溶けている帯電不純物(例えば、溶けている不純物イオン)を追い出して、流れている血液からそれらを優先的に放出させて半透性ナノチューブ内に向かわせることができる。これらの不純物がこれらの半透性ナノチューブの内側に収容されると、それらは実質的に半透性ナノチューブの構造の内側に捕獲されたままとなり、水及び溶けた不純物の別個の老廃物の流れを形成する。流れている血液から取り除かれた、溶けている不純物を含むこの老廃物の流れはここで、多孔性の半透性ナノチューブの内側に移動して別個の老廃物の流れを形成することができ、その一方で半透性ナノチューブの集合の外側を流れている血液は、不純物種の濃度が低下した状態で残り、それにより浄化される。
例として、図5は、例えば、電圧源(例えば、電極501)によって電界が印加された、外側包囲体504の中央にある単一の半透性ナノチューブ502を示している。この構成により、様々な帯電不純物506は、選択的に血液の流れ508を出て半透性ナノチューブ502内へと移動することができ、それらは捕獲されたままとなり、及び/又は、おそらくはそれらの水和作用層を含む分離された不純物から構成される新しい老廃物種の流れ510を形成する。
別の例として、図6を参照すると、半透性ナノチューブの配列602が外側包囲体604内に例示的に示されている。入って来る血液の流れ608が外側包囲体604を通過するが、その一方で血液の流れ608は半透性ナノチューブの配列602を全く通過しない。これは、半透性ナノチューブにおける開口が小さすぎて、血液がそれを通って流れないからである。血液の流れに印加された(電極601によって生じる)電界の作用により、半透性ナノチューブの配列602は、血液の流れ608から放出された不必要な帯電不純物及び/又は付随する水606を集める。
例示的な実施形態において、使用する半透性ナノチューブの直径及び/又は印加電圧は、例えば、ナノチューブサイズの寸法を横切って印加するときに単に数ミリボルトが実質的に大きな電界を生じさせることができるように調整できる。例えば、10ナノメートルの円筒を横切って0.001Vの電圧を印加すると、約1000V/cmの効果的な電界強度を生じさせることができる。
荷電種はまた一般的に、付着された水分子の水和殻とともに運ばれるので、荷電種が半透性ナノチューブの壁を横切って移動するときに、水分子はそれらとともに同時に移動できる。これは、浄化される血液内の水分濃度(モル浸透圧濃度)を減少させる効果を有する。後で記載するように、患者の血液内の水分濃度は連続的に監視することができ、その一方で水の除去を最小限に抑えつつ不純物の除去を最適化すべく印加する電界が調整される。
記載するように、この人工腎臓システムは、例えばこれらの半透性ナノチューブを横切って印加される電位を制御することによって、半透性ナノチューブの壁を横切る不純物の移動速度を制御できる。この電界誘発効果は、半透性ナノチューブの表面積(すなわち、半透性ナノチューブの直径の2乗)に合わせて、直接的にスケール調整できる。例えば、より小さい直径の半透性ナノチューブを利用する人工腎臓システムは、減少させた印加電位で動作させることができる。
これらの半透性ナノチューブの壁を横切る印加電位は、一定である必要はない。例えば、この人工腎臓システムは、取り除く特定の荷電種、その濃度、及び血流中の他の荷電種の存在/濃度に従って、印加電圧を動的に調整するように構成できる。例示的な実施形態において、この人工腎臓システムは、限定はしないが、パルス波又はサイン波のような適切な電圧波形を利用できる。他の適切な電圧波形及び/又は電圧プロファイル(例えば、デューティサイクル)を、特定の用途に応じて使用できる。
例示的な実施形態において、半透性ナノチューブを横切って印加される電位は、バッテリ又は自動バイオ燃料電池等のような人体により発電する電圧源を含む他の適切な電圧源によって提供できる。
例示的な実施形態において、この人工腎臓システムは、限定はしないが、埋込みグレードの合成樹脂、ステンレス鋼、チタン、及び/又は任意の他の生体適合性材料のような任意の生体適合性材料から構成され得る容器を含むことができる。さらに、例示的な実施形態において、埋込み可能な人工腎臓システムは、半透性ナノチューブ、及び/又は特に選択された界面活性剤及び/又はそれらの表面に接触する血液の凝固或いは凝結を防止するために選択された血液凝固阻止剤によって機能化された他の材料を利用できる。
本明細書において用いられるとき、「機能化される」(又はその任意の派生形)という用語は、半透性ナノチューブ又は本願明細書に記載された構造体の特定の特性を変えるべく、特定の原子的な分子群を付着させることができる表面処理を指す。機能化は一般的に、いくつかの例を挙げると、湿式化学、又は蒸気、ガス及び/又はプラズマ化学、並びにマイクロ波アシスト化学技術のような様々な表面改質技術によって実行できる。これらの技術は、半透性カーボンナノチューブの表面に所望の材料を結合するために界面化学を利用する。同様の技術は、他の材料を変更するためにも使用できる。例えば、半透性カーボンナノチューブを「活性化する」ために、炭素―炭素又は炭素―ヘテロ原子結合の少なくとも一部を破壊し、それによって、表面に特定の分子又は分子クラスタを続けて付着させるといった公知の方法を使用できる。機能化された半透性カーボンナノチューブは、限定はしないが、半透性カーボンナノチューブの外側表面のような表面に付着させることができるカルボキシル基のような化学物質群を含むことができる。半透性ナノチューブの機能化は、特定の所望の特性に達するために、半透性ナノチューブの壁に官能基を順番に追加できる多段階の手法により生じさせることができる。
例えば、特に流れている血液に直接的に接触する表面に抗凝固性種を付着させることにより、これらの表面の近傍を通過する血液の凝固を防止すること及び/又は実質的に減少させることができる。血液凝固阻止剤でコーティングする表面には、限定はしないが、多孔性の半透性カーボンナノチューブ100の外側を向いた表面及び/又は外側包囲体302の内側を向いた表面を含めることができる。例として、ヒルジン又はヘパリンのような抗凝固剤は、半透性カーボンナノチューブ100の外壁に又は外側包囲体302の内壁に、すなわち開示される実施形態において、血液が外側包囲体302を通過するときに血液に接触する表面に、公知の技術を使用して結合させることができる。このようにして、血液がこの装置を通って流れると、凝結しようとするその傾向が低下する。半透性ナノチューブの内側部分は、血液それ自体がそこに存在しないので、抗凝固剤でコーティングする必要はない。半透性ナノチューブの内側部分は概ね、溶けた不純物種のみを収容する。
例示的な実施形態において、埋込み可能な人工腎臓システムは、例えば腎臓透析の間に患者に全身投与される抗凝固剤に関連する問題を実質的に減少及び/又は排除するべく、血液に接触する表面に塗布される選択された抗凝固剤を利用できる。昔から投与されている全身への送達ではなく、それを必要とし得る箇所において、特定の濾過装置に直接的に抗凝固剤を結合させることは、起こり得る副作用及び/又は抗凝固薬の投与に関連する不都合を実質的に減少させる。
さらに、この埋込み可能な人工腎臓システムは、それらの分子が障壁として作用して、巨大なタンパク質が半透性ナノチューブの孔に入り込むこと及び/又は半透性ナノチューブの孔を詰まらせることを実質的に防止するように、半透性ナノチューブへの抗凝固剤の付着を利用できる。述べたように、例示的な実施形態において、血液に実際に接触する装置の部分のみが抗凝固剤のコーティングを必要とする。このことは、同様に血液に接触する(濾過される血液を運ぶ)外側包囲体302の内壁及び/又は半透性カーボンナノチューブ100の外壁のみが、血液凝固阻止剤の付着を必要とすることを意味する。
例示的な実施形態において、埋込み可能な人工腎臓システムは、半透性ナノチューブの外壁(及び/又は半透性ナノチューブ及び/又は外側包囲体の任意の他の表面)にポリマー、抗凝固剤、及び/又は他の選択された分子を付着させることができる。
(例えば、ヘパリン又はヒルジンに類似した)抗凝固性分子は、そのような公知の技術を使用して、半透性ナノチューブの側壁の炭素骨格上に共有結合させることもできる。そのように付着させると、これらの抗凝固性分子はまた、血液の凝結の防止を実質的に助けることができる。例えば、抗凝固剤は、外側包囲体302の内側及び/又は半透性カーボンナノチューブ100の外面にコーティングすることができる。
例示的な実施形態において、埋込み可能な人工腎臓システムで利用される抗凝固剤の量及びタイプは、凝血塊の形成の源となり得る露出領域を実質的に防止するべく十分な領域が覆われるように、限定はしないが、血流速度、半透性ナノチューブの表面の表面積、包囲体内部での半透性ナノチューブ間の隙間のような変数に基づいて断定できる。半透性ナノチューブを囲んでいる材料が抗凝固剤によって容易に直接的に機能化されない場合は、追加のより容易に機能化される内側層を追加できる。(例えば、血液を運ぶ)外側包囲体の内側を向いた壁の機能化は、限定はしないが、機能化されたカーボンナノチューブ構造体又はフラーレンの平面シートで覆うような(例えば、包囲体の組成に応じた)多数の公知の技術によって達成できる。
例示的な実施形態において、この埋込み可能な人工腎臓システムは、実質的に小さく、実質的に軽量な、ある特定の不純物に特化したセンサーを利用することもできる。このことは、例えば、入って来る血液の内部、既に浄化された血液の内部、及び/又はその両方における選択された荷電種の濃度の測定を可能とする。そのようなセンサーには、不純物に特化したセンサー、イオンに特化した電気化学センサー、分光器タイプのセンサーを含めることができ、それらは適切なマイクロコントローラーに信号を通信できる。
更に例示的な実施形態において、これらのセンサーは、(濾過前の)入って来る流体及び/又は(濾過後の)出て行く流体における選択された荷電種の濃度を測定できる。この情報は、適切なフィードバック機構と連動したときに、個々の半透性ナノチューブ及び/又は半透性ナノチューブの適切な集合を横切る印加電位の調節を可能にする。例として、埋込み可能な人工腎臓システムに利用できるセンサーの一般型には、限定はしないが、Na+(水性)及びK+(水性)のような複数の種を同時に迅速に検出できるセンサーを含めることができる。
この埋込み可能な人工腎臓システムは、限定はしないが、電気化学的な検出システム及び/又は測定システム、又は光学的な検出システム及び/又は測定システム(例えば、ラマン分光法、可視レーザー分光学、減衰全反射(「ATR」))、並びにそれらの組み合わせ等のような任意の数のその場検出システム及び/又は測定システムを含むこともできる。例として、水溶液内の選択された種の濃度を検出及び/又は監視するために、非侵襲性の分光技術であるATR分光法を使用できる。ATR分光法を利用することにより、光学的表面に接触する流体からの選択された電磁気的波長の反射を検出及び監視することができる。この表面における血液との接触は、宿主に関する血液中の選択された種の濃度の迅速な測定をもたらすことができる。
例示的な実施形態において、埋込み可能な人工腎臓システムは、例えば、非分解性、非破壊性、非発熱性であり、及び/又は実質的に迅速かつ正確な検出反応を有し得る様々なセンサーを利用できる。さらに、これらのセンサーは、評価及び応答のためのマイクロプロセッサに自身の情報を通信するように設計できる。
例として、この埋込み可能人工腎臓システムは、センサー、マイクロプロセッサ、及び/又は例えばペースメーカー及び脊髄刺激装置に使用される技術と同様の技術を利用して印加された膜間電位を制御及び/又はフィードバックを提供するための他の装置を利用できる。
例示的な実施形態において、埋込み可能な人工腎臓システムは、命令されるように調節されることによって、及び/又は、例えば印加される電位及び/又は印加されるデューティサイクルを変化させることによる血液浄化の間に電圧源を制御できるマイクロプロセッサにより制御されるように調節されることによって、濃度及び除去率(例えば、選択されたイオンの濃度及びイオンの除去率)に基づいて、選択された不純物の血液からの濾過を改善するために、本願明細書に開示された技術を利用できる。印加電位は、尿流量及び/又は様々な不純物の濃度を監視できるセンサーのような多くのセンサーから得られた情報に基づいて変化させることができる。センサーは、患者の脱水を実質的に回避するために、高浸透圧又は低浸透圧のリスクを実質的に減少させるために、重要な電解液の過剰な損失のリスクを実質的に減少させるために、及び/又は人工腎臓システムの機能性及び/又は患者に関連し得る多数の他のリスクを実質的に減少させるために利用できる。例えば、血液から不純物を減少させるときには、いくつかのパラメーターを例に挙げると、血液の浸透圧及びイオン伝導率の変化を監視することが重要であり得る。そのような変化は、不純物が半透性ナノチューブの多孔性の壁を効果的に横切るようにして最適に追い出すのに必要な電界に影響を及ぼし得る。
そのような監視及び制御を提供するために、埋込み可能な人工腎臓システムは、変化を検出して半透性ナノチューブの配列を横切って印加される電位の適切な調整を行うために、前述したセンサーに連結されたマイクロプロセッサ制御のフィードバック機構を利用できる。例えば、埋込み可能な人工腎臓システムは、血液中の選択された種の濃度を注意深く監視及び/又はフィードバックを提供するために、任意の数の位置に配置される1つ又は複数のセンサーからのフィードバック機構を含むことができる。検出のために選択できる領域には、限定はしないが、血流の導入部分及び流出部分、装置内の流入部位及び流出部位、又はより遠位側の位置を含めることができる。
この浄化装置を通る血流速度は本質的に固定されるとともに、患者自身の血流速度により制御される。変更できる1つのパラメーターは、荷電種の除去率である。これは、流れる血液を横切って印加される電位に基づいている。様々なセンサーからの測定濃度に基づいて、マイクロプロセッサは、個々の半透性カーボンナノチューブ100の集合を収容している外側包囲体302を横切って印加される電位を制御及び/又は調節できる。例えば、流出液内の不純物の濃度が十分に低くて、患者の血液に不純物が比較的ないことが示される場合は、これらの半透性ナノチューブを横切って印加される電圧を低下させることにより、更なる血液の浄化率を実質的に低下及び/又は停止させることができる。入って来る血液中の不純物及び/又は望ましくない荷電種の濃度が高くて、患者の血液が依然として処理及び追加的な不純物の除去を必要とすることが示される場合は、半透性ナノチューブの壁を横切って移動する(例えば、イオンが移動する)率を高め、それによって、浄化率を高めるために、印加する電位を実質的に高め及び/又は別様に適切に変更できる。
例示的な実施形態において、埋込み可能な人工腎臓システムは、連続した接線方向の流れの浄化をベースとして、血液から取り除かれる対象不純物のサイズ及び電荷の両方に従って、移動速度を最適化することにより、不純な血液/血漿からの選択された種の除去を可能にする。さらに、埋込み可能な人工腎臓システムは、例えば、印加電位と半透性ナノチューブの製造技術との組合せによって、血液浄化を実行する。半透性ナノチューブの壁の孔のサイズは、選択された電荷及び、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素のようなイオンの分子サイズから透析の間に取り除く必要のある最も大きな中間分子量(例えば、60キロダルトン)の不純物の分子のサイズに及ぶ選択されたサイズの分子のより容易な輸送を可能にするために更に適合させることができる。
人工腎臓血液濾過システムは、2つ以上の同軸な半透性ナノチューブ、例えば同軸な半透性ナノチューブとして構成された二重の同軸な構造体から構成することができる。さらにまた、僅かにより大きい外側包囲体すなわちスリーブは、多数のより小さい半多孔性の、半透性ナノチューブを包囲することができ、いくつかの場合には、この外側包囲体は、浄化する血液の導管として機能できる。
上述したように、半透性ナノチューブの壁の孔径は、選択された不純物種は容易に通過できるが、その一方でより大きな分子は除外できるように構成できる。所与のアセンブリ内の個々のナノチューブのサイズ及び孔径は、同じである必要はない。ナノチューブのサイズの範囲は、最適な性能を達成するために組み合わせることができる。例示的な実施形態において、(例えば、配列の内側で互いに隣接する)複数の様々なタイプの半透性ナノチューブは、異なるサイズの孔から選択された開口又は選択された開口の分布をそれらの外壁が有するように構成できる。この構成により、特定の不純物はこれらの開口を優先的に通過することができ、それによって、実質的に広い範囲の所望の荷電種の移動が可能となる。
例示的な実施形態において、選択された不純物が半透性ナノチューブの壁を通って半透性ナノチューブ内に移動するときに、それらの水性の水和作用層(例えば、水)とともに大きくなる老廃物種のこの集合は、内側の半透性ナノチューブを移動できるとともに患者の常在の尿管に接続されている共通の出口に集められた後に、最終的に身体から放出される別個の老廃物の流れを構成できる。いくつかの場合において、この老廃物の流れは、限定はしないが、外側包囲体を通る患者の血流速度、半透性ナノチューブの壁を横切るように不純物を効果的に追い出す電位、及び老廃物の流れに影響を及し得る他の合理的な変数のような他の変数の関数であり得る。
例示的な実施形態において、この埋込み可能な人工腎臓システムは、血液を浄化するために複数の流れを利用できる。例として、この埋込み可能な人工腎臓システムは、3つのプロセス流れを利用する。(1)第1の流れは、より大きな外側包囲体の内側へ及びそれを通る、濾過されてない血液の入って来る流れからなる。浄化の後、2つの新しい流れが形成される。1つ目は、半透性ナノチューブの内側を流れるとともに、印加された電位の影響を受けて血液から取り除かれた、出て行く老廃物種及び/又は水を含む老廃物の流れである。2つ目の流れは、不純物が実質的に取り除かれた、出て行く、浄化された血液を含んでいる。本願明細書に記載されるように、浄化プロセスは、この第1の入って来る血液の流れを半透性ナノチューブの内壁に接触させること及び印加された電位によって生じ、不必要な種は、内側の多孔性の半透性ナノチューブの壁を通ってこの内側の半透性ナノチューブ内に選択的に移動できる。
このようにして、血液の流れから取り除かれた老廃物種は、内側の半透性ナノチューブを通り、例えば半透性ナノチューブの集合の端を密封して囲むことができて、浄化された血液の流れ内へと漏れて戻ることを防止する集合領域へと流れることができる。様々な半透性ナノチューブの集合領域は、別個の出口ポートから排出される共通の収集領域へと、互いに集まることができる。この出口ポートは、患者の尿管、したがって患者の膀胱に接続することができ、廃液物の流れを実質的に自然に排出することができる。動作の際には、このプロセスは、好ましくは連続的に及び/又は血液を患者の体外へとルート変更させる必要なしに生じることができる。
不純物が取り除かれた、外に出て行く、浄化された血液は、外側包囲体を離れて患者自身の血流へと戻ることができる。例えば、この浄化プロセスが連続的に生じるので、血液は人工腎臓システムを通って複数回リサイクルさせることができ、実質的に多い回数の浄化のための通過が発生し得る。したがって、人工腎臓システムを通る血液の各1回の通過には、少しの不純物を取り除くことのみが求められ得る。この浄化プロセスの後、血液及び含まれている血漿は、患者へとルート変更し及び/又は戻ることができる。
例示的な実施形態において、埋込み可能な人工腎臓システムは、1つの包囲体の内側に収容された一群の個々の半透性ナノチューブを利用できる(例えば、各半透性ナノチューブは、実質的に血液の流れと平行にかつまた実質的に互いに平行に整列させることができる)。半透性ナノチューブのこの配列、クラスタ又は「ポッド」は、表面積及び不純物の除去の全体的な効率を増加させるために、実質的に平行な濾過システムとして使用できる。半透性ナノチューブのこの集合は、不必要な荷電種の除去効率を実質的に増加させるべく、様々な孔径を有して互いに束ねられた類似のタイプの半透性ナノチューブの集合から構成できる。代替的に、半透性ナノチューブの集合は、例えば個々の又は様々な複数の半透性ナノチューブが様々な特性の孔径の分布を含んでいる、異なるタイプの半透性ナノチューブの集合からなることができる。
外側包囲体を横切って電位が印加されるときに、このより大きな包囲体の内側に収容されている個々の半透性ナノチューブの全て又は少なくともいくつかは、分極化できる。これは、電界が半透性ナノチューブの壁を横切って形成されることを意味する。個々の多孔性の半透性ナノチューブの集合の壁を横切って印加される結果として生じる正味の電界は、事実上、より大きな表面積のフィルタとして機能することができ、血液が次にこれらの壁へと移動するときにより効果的な濾過をもたらす。
図7を参照すると、単一の半透性ナノチューブ702の構造体が外側包囲体704の内側に位置する例示的な埋込み可能な人工腎臓システム700が、概略的に描写されている。電極701が外側包囲体704に取り付けられている。この構造において、外側包囲体704内の血液の流れ708は、中央の半透性ナノチューブ702の外壁に接触する。電極701によって電界が印加されているので、浄化された血液は左側から出るが、その一方で内側の中央の半透性ナノチューブ902は、電界によって血液708から排除された不必要な荷電種702を捕獲する。
ここで理解されることは、半透性ナノチューブの断面形状を、限定はしないが、楕円、円錐、球形、双曲線、又は他の合理的な形状の任意の組合せのような任意の好適な形にし得ることである。簡略化のために、半透性ナノチューブの断面形状は、本願明細書においては丸いものとして記載される。これは、単に参照を容易にするためであり、限定となることを全く意図していない。
図8を参照すると、例示的な実施形態において、この埋込み可能な人工腎臓システム800は、血管810に対するシャントとして取り付けることができる外側包囲体804の内側に半透性ナノチューブのポッド802及び/又は集合を含むことができる。例として、所与の血管(例えば、動脈又は静脈)は、この浄化装置のために血液の供給源として分岐させることができる。浄化の後、血液812は、同じ血管に又は異なる血管に方向付けることができる。さらに、血液812から排除された不必要な不純物(老廃物の流れ)814は、別個に例えば体外へ方向付けることができ、及び/又は排出のために尿管に統合できる。例示的な実施形態において、血液812から排除された不必要な不純物(老廃物の流れ)814は、例えば膀胱822に至る尿管820に取り付けることができ及び/又は直接膀胱822に取り付けることができる管状構造体816内へと、別個に方向付けることができる。
さらに、外側包囲体の内側の半透性ナノチューブの集合は、それらがラッパ状に広がる端部を含むように構成できる。全体的な装置は、続いて、例えば、それを血管への固定を容易にするために入口箇所及び出口箇所において、両方のフレア端部に接続できる。
最大の流体濾過速度(例えば、荷電種が内側の半透性ナノチューブの孔内へ及びそれを通って追い出され得る速度)及び老廃物の除去効率は、概ね半透性ナノチューブを横切って印加される電位の関数となる。
要約すると、本願明細書に記載されるシステム及び方法は、半透性ナノチューブの構造体を、これらの半透性ナノチューブの構造体の壁を横切る注意深く制御された電位の印加とともに利用して、選択的に不純物を移動させ(例えば、選択的に追い出し)、それによって、それらを流体の流れ(例えば、血液)から分離させる。選択された不純物は、流れる血液から取り除かれた水和水とともに個々の半透性ナノチューブの構造体の内側に集めて、老廃物の流れを形成できる。この老廃物の流れを運ぶ個々の半透性ナノチューブの集合は、動脈又は静脈についてなされる取り付けに類似した方法で現存している尿管に取り付けることができる老廃物の流れの出口に、結合し統合できる。例として、半透性ナノチューブの集合の出口ポートに尿管を取り付ける場合、それは自然な方法で膀胱に取り付けることができ、流出する老廃物の流れの流体は、通常の腎臓及び/又は生殖器尿路系に実質的に類似した方法で尿として取り除くことができる。流出液の成分濃度を監視するべくマイクロプロセッサに情報をフィードバックするために、かつ印加する電位を制御するために、様々な不純物及び対象となる化学物質のためのセンサーを追加できる。
本開示の例示的な実施形態を詳細に示しかつ記載してきたが、それらの様々な修正及び改良は当業者にとって容易に明らかになり、それらの全てが以下の特許請求の範囲によって、カバーされることを意図している。