JP2004321720A - 中空糸膜型モジュールの製造方法および中空糸膜型モジュール - Google Patents

中空糸膜型モジュールの製造方法および中空糸膜型モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な工程で安定した品質の放射線滅菌された生体適合性の高い中空糸膜型モジュールを供給できる製造方法を提供すること。
【解決手段】中空糸膜が容器に充填されてなる中空糸膜モジュールの中空糸膜が、少なくとも多価金属イオンを含む水溶液で湿潤された状態で放射線滅菌することを特徴とする中空糸膜型モジュールの製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空糸膜型モジュールの製造方法およびその製造方法により得られる中空糸膜型モジュールに関する。特に、血液浄化療法に使用される体外循環用の中空糸膜型モジュールにおいて、放射線滅菌による中空糸膜の生体適合性の低下を抑制する製造方法およびその製造方法により得られる中空糸膜型モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、生体の機能障害によって血中に蓄積した老廃物を除去することや、自己免疫疾患等で血液中に増えてしまった自己抗体や免疫複合体を除去することで症状改善を行なおうとして、様々な血液浄化療法が研究され広く普及している。なかでも、慢性腎不全の治療として人工腎臓を用いて血液の体外循環を行なう血液透析療法がその代表例であり、症状改善や取り扱い性などの様々な観点から、膜の素材開発、製膜方法、さらには血液浄化器(モジュール)の至適デザイン等について広範に研究開発され、その幾つかが実用化に至っている。
【0003】
このような血液浄化療法に用いられる膜としては、元々は平膜タイプからスタートしたが、小型でも血液との接触面積が大きく確保でき、製造上の取り扱い性も優れているので、近年では中空糸膜タイプが主流となっている。
【0004】
膜素材としては、天然高分子であるセルロースをはじめ、その一部が置換されたセルロースアセテートが用いられる一方、近年では、生体適合性や原料の安定供給、製膜条件の多様性などの理由から合成高分子が多く用いられている。具体的には、ポリアクリロニトリル、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリスルホン等の樹脂があげられるが、なかでも、ポリスルホン樹脂はその汎用性に加えて、種々の溶剤や放射線に対する耐性、強度、安全性に優れるとの理由から、血液浄化膜の膜素材の代表例となりつつある。しかしながら、ポリスルホン樹脂は疎水性が高い為、この膜に血液を接触させると血液凝固を引き起こす、または、蛋白吸着による膜表面の汚染や目詰まりを起こすという欠点があった。このような欠点を改良するために、ポリスルホン膜を親水化する方法が検討され(特許文献1〜3など)、ポリスルホン系樹脂と親水性高分子からなる血液浄化膜が数多く開示されている。
【0005】
これらの血液浄化膜は、体外循環療法において血液と直接接触させて使用するため、使用前には滅菌処理されていることが必要である。滅菌方法としては、エチレンオキサイドガス、高圧蒸気、放射線、電子線等が用いられているが、エチレンオキサイドガス滅菌や高圧蒸気滅菌では、残留ガスによるアレルギーや滅菌装置の処理能力、材料の熱変形等の問題があった。また、放射線滅菌は初期の設備導入に労力やコストを要したが、一旦導入してしまえば極めて処理能力が高く、設備の利用効率に優れるとの理由から、放射線滅菌、特にγ線滅菌はディスポーザブル医療用具の滅菌方法として好ましく用いられている。
【0006】
合成高分子膜に放射線滅菌を行なうと、照射エネルギーによって膜素材が物理的、化学的に変性する結果、劣化を起こす、または、溶出物を増加させるといった問題があった。特に、放射線耐性が低い化学構造を有する材料の場合にその傾向が顕著となり、前述のポリスルホン樹脂と親水性高分子からなる膜においては、親水性高分子の劣化をいかに防止するかが重要であった。
【0007】
このような膜素材の劣化を防止する方法としては、膜モジュールに抗酸化剤溶液を充填してγ線滅菌することで膜の酸化劣化を防止する方法(特許文献4)や、pH緩衝液やアルカリ水溶液を充填して滅菌することで充填液の酸化を抑制する方法(特許文献5)が知られており、膜物性の劣化を抑制する効果が認められている。
【0008】
ところが、前記の方法によって作成された血液浄化膜は、膜素材の分解はある程度抑制されていても、膜中に酸化反応性の化学種が生じる結果、接触する血液に対して何らかの生化学的影響をもたらすことが懸念された。例えば、特許文献6には、マイナス0.5Vという低い酸化還元電位を有する充填水中で膜を放射線滅菌すると、このような化学種の発生が抑制され、血液に対する影響が少ない膜が得られることが開示されているが、この充填水は空気中で不安定であるがために、安定した品質の膜が得られ難いという欠点があった。
【0009】
このように、放射線滅菌工程を含む血液浄化膜の製造方法において、血液が接触した際に血液の生化学的な変化が軽微である膜を安定して供給できる手段はなかった。
【0010】
【特許文献1】
特公平2−18695号公報
【特許文献2】
特開昭61−93801号公報
【特許文献3】
特開昭61−238306号公報
【特許文献4】
特開平4−338223号公報
【特許文献5】
特開平7−194949号公報
【特許文献6】
特開2000−24104号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、中空糸膜モジュールを放射線滅菌するにあたり、膜の物理化学的な劣化は抑制できても生化学的な問題は充分に解決できていないという従来の問題に鑑みて成されたものであり、簡単な工程で安定した品質の放射線滅菌された生体適合性の高い中空糸膜型モジュールを供給できる製造方法を提供することを目的とする。また、その方法によって得られる中空糸膜型モジュールを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討したところ、中空糸膜モジュールを放射線滅菌するに際して、中空糸膜に多価金属イオンを含む水溶液を含浸させて湿潤状態で放射線滅菌すると、この中空糸膜は血液中の白血球活性化を抑制できることを見出した。また、その様な中空糸膜型モジュールが簡便且つ安定に得られる方法を見出し、以って本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の発明からなる。
(a)中空糸膜が容器に充填されてなる中空糸膜モジュールの製造方法において、中空糸膜が多価金属イオンを含む水溶液で湿潤された状態で放射線滅菌することを特徴とする方法、
(b)多価金属イオンが、マンガン、銅、鉄、亜鉛から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記(a)に記載の中空糸膜型モジュールの製造方法、
(c)多価金属イオンを含む水溶液が総濃度10ppm以上400ppm以下の多価金属イオンを含むことを特徴とする前記(a)または(b)に記載の中空糸膜型モジュールの製造方法、
(d)放射線がγ線または電子線であることを特徴とする前記(a)〜(c)の何れかに記載の中空糸膜型モジュールの製造方法、
(e)中空糸膜が少なくとも疎水性高分子と親水性高分子を含む中空糸膜である前記(a)〜(d)の何れかに記載の方法、
(f)親水性高分子がビニルピロリドン残基を含むことを特徴とする前記(e)に記載の中空糸膜型モジュールの製造方法、
(g)疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする前記(e)または(f)に記載の血液浄化膜の製造方法、
(h)中空糸膜型モジュールが血液の入口と出口および処理液の入口と出口を備えた容器に中空糸膜束を内蔵した血液浄化器であることを特徴とした前記(a)〜(g)の何れかに記載の中空糸膜型モジュールの製造方法、
(i)前記(a)〜(h)の何れかに記載の製造方法によって得られる中空糸膜型モジュール、及び
(j)顆粒球エラスターゼ活性試験による血漿中顆粒球エラスターゼの増加率が200%以下である中空糸膜モジュール。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の方法が適用できる中空糸膜の素材は限定されないが、膜強度・膜性能・生体適合性の点から好ましいものとして、疎水性高分子と親水性高分子を含んでなるものが挙げられる。
疎水性高分子とは水との親和性が低い合成高分子であり、公知の製膜方法によって中空糸膜を形成し、その主要構成成分となるものであれば特に限定しない。例えば、ポリアミド、エチレン・ビニルアルコール系共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが例示できるが、中でも機械的強度や生体適合性の観点からポリスルホンまたはポリエーテルスルホンが特に好ましい。なお、ここでいうポリスルホンまたはポリエーテルスルホンは、その芳香環に官能基やアルキル基などの置換基を含むいわゆる修飾体でもよく、特に限定されるものではない。
【0015】
また、親水性高分子とは水との親和性が高い合成または天然の高分子である。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、あるいはこれらと他のモノマー成分とを含む共重合体などが例示できる。本発明者らの知見によれば、親水性高分子はモノマー成分としてビニルピロリドン部分を含むものが特に好ましく、生体適合性と溶出性および市販品としての入手容易性から、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体またはポリビニルピロリドンが最も好ましい。
【0016】
中空糸膜の製膜に際しては、公知の方法(特開平11−309356や特開平2000−135422等参照)に従えばよく、特に限定されるものではない。このようにして作製した中空糸膜を6000〜13000本束ねてプラスチック製の流体の出入口がついた筒状容器の中に充填し、中空糸端部を接着剤で固定し、更に接着端面を切断して中空糸内面を外部に開放した後流体の出入口を持つキャップを容器両端にとりつけて中空糸膜モジュールとする。中空糸膜モジュールの作成方法も公知の方法に従えばよい。本発明で用いる中空糸膜モジュールは、特に血液の入口と出口および処理液の入口と出口を備えた容器に中空糸膜束を内蔵した血液浄化器が好ましく用いられる。図1に本発明の中空糸モジュールの代表的な形態を示す。
【0017】
本発明の中空糸膜型モジュールは、中空糸膜モジュールに例えば多価金属イオンを含む水溶液を充填し放射線を照射することにより作製することができる。
本発明における多価金属イオンとは、いくつかの価数をとり得る金属イオン、すなわち酸化還元反応により酸化型、還元型になる金属イオンであり、特に還元性が強いものが好ましい。多価金属イオンとしては、例えば、鉄、マンガン、銅、亜鉛等が挙げられる。例えば、鉄は2価(Fe2+)および3価(Fe3+)の2つの価数をもつことができ、酸化反応によりFe2+→Fe3+へ還元反応によりFe3+→Fe2+へと変化する。
【0018】
多価金属イオンを含む水溶液の製造方法は特に限定するものではないが、例えば、塩化物等の水溶性金属塩を水に溶解させることにより製造することができる。なお、多価金属イオンの特性を損なうものでなければ、例えば、充填液のpHや浸透圧を調整する目的から別の添加物を加えても差し支えない。
【0019】
多価金属イオンの濃度は特に限定するものではないが、好ましくは10ppm以上であり、より好ましくは50ppm以上である。濃度上限は金属イオンが溶解していれば生体適合性の維持のためにはいくらでも問題はないが、例えば数千ppmもあると実使用時にプライミングにより金属イオンが洗浄しきれず、血液循環中に溶出してくるといった別の問題が生じる恐れがある。400ppm以下の濃度である事が好ましく、350ppm以下の濃度であることが更に好ましい。したがって、多価金属イオンの濃度は、10ppm以上400ppm以下が好ましく、50ppm以上350ppm以下が更に好ましい。
なお、本発明において多価金属イオンの濃度とは、水溶性金属塩を溶解させて用いる場合においても、金属元素そのものの濃度(ppm)で表すものである。
【0020】
多価金属イオン水溶液のモジュールへの充填量としては、中空糸膜が水溶液で湿潤されていれば良く、中空糸膜に中空糸膜重量の10%以上の水溶液を含んでいればよい。もちろん、モジュール全体を液密にするいわゆる充填液として用いても良い。
【0021】
多価金属イオンを含む水溶液による中空糸膜の湿潤方法は、中空糸膜モジュールに多価金属イオン水溶液を通液する方法が好ましい。通液方法としては、中空糸膜型透析器を例にあげると、透析器の血液側、透析液側の両方に多価金属イオンを含む水溶液を充填する、血液側のみ充填する、あるいは、血液側から透析液側にろ過をかけて充填する、透析液側から血液側にろ過をかけて充填する、血液側に充填した後フラッシングする(いわゆるハーフウェット型)、といった様々な方法が考えられるが、本発明では特に限定するものではない。
【0022】
通液方法としては、工場レベルの大型の充填機を用いても良いし、小型の送液ポンプを用いても構わない。通液の際の流速や温度は特に限定する必要はない。このように多価金属イオン水溶液を通液し、充填した後にモジュールの流体出入り口に密栓をし、必要に応じて滅菌袋に封入したならば、最後に放射線滅菌を行う。
【0023】
放射線滅菌に際しては、電子線、γ線、X線等を用いることができるが、医療用具の滅菌手段として汎用されているγ線及び電子線が好ましく用いられる。γ線は、被照射物への浸透性や処理性の観点から好ましく、γ線の照射線量は、微生物の滅菌処理を考慮すると15〜50kGy、特に20〜30kGyが好ましい。電子線は、中空糸の変性が少ない点で好ましい。電子線の照射線量は、γ線の場合と同様、15〜50kGy、特に20〜30kGyが好ましい。
【0024】
本発明の製造方法を用いたときに中空糸膜の生体適合性が優れるメカニズムの詳細は不明だが、本発明者らは以下のように推定している。すなわち、放射線照射前は、多価金属イオンは水溶液中のOHまたは水分子と電気的に引きあって水中に安定して溶解しているが、放射線照射時には、水が変化して僅かな時間しか存在できない活性水素の電子をトラップすることで還元型へと変化する。そして、充填液中に還元型の金属イオンが安定的に存在することで、中空糸膜が放射線照射中に酸化的に劣化することを防ぐ役割をしているものと考えられ、更には膜中の酸化反応性の化学種を不活化することにより高い生体適合性が維持できているものと考えられる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは無い。
(顆粒球エラスターゼ活性試験)
滅菌済みモジュールを解体して中空糸膜を取り出し、長さ約15cmの中空糸膜を250本集め束ねて両端に枠をエポキシ樹脂で固定したミニモジュールとした。このミニモジュールを顆粒球エラスターゼ活性試験用のサンプルとした。ミニモジュールに約10mlの生理食塩水を通して洗浄し、その後中空糸中の生理食塩水は空気を通し取り除いた。新鮮人血液(37℃、50ml)を線速度1cm/secで30分間ポンプを用いて循環させた。
循環後の血液から血漿を分離後、血漿中顆粒球エラスターゼ活性を顆粒球エラスターゼEIA(三和化学研究所)を用いてEIA法にて測定した。血液をミニモジュールに接触する前の顆粒球エラスターゼ活性と接触後の顆粒球エラスターゼ活性から血漿中顆粒球エラスターゼ活性の増加量を下記式(1)より算出した。
血漿中顆粒球エラスターゼ活性の増加率=100×[接触後の血漿中顆粒球エラスターゼ活性]/[接触前の血漿中顆粒球エラスターゼ活性] (%) (1)
この血漿中顆粒球エラスターゼ活性の増加率が小さいほど、中空糸膜と血液中の白血球が接触した際の白血球の活性化に伴う血液への悪影響、さらには生体組織への悪影響が少ないと予想される。血漿中エラスターゼ活性の増加率は200%以下であることが好ましい。更に好ましくは180%以下であり、170%以下であることが特に好ましい。
【0026】
【実施例1】
公知の湿式法によってポリスルホンとポリビニルピロリドンから製膜した内径200μm、膜厚45μmの中空糸膜を用いて膜面積1.5mの中空糸膜モジュールを作製した。この中空糸膜モジュールの中空内側と中空外側に塩化鉄(III)・6水和物100mgを注射用蒸留水1.5Lに溶解した水溶液を流してモジュール全体に充填した。モジュールの流体出入口を塞ぎ、滅菌袋で包装した後25kGyのγ線を照射した。このようにして得られた中空糸膜型モジュールを、前記顆粒球エラスターゼ活性試験に供した。顆粒球エラスターゼ活性試験の結果、血漿顆粒球エラスターゼの増加率は156±33%(n=3)であった。
【0027】
【実施例2】
塩化鉄(III)・6水和物500mgを注射用蒸留水1.5Lに溶解した水溶液を用いた以外は実施例1と同様に操作し、中空糸膜型モジュールを作製した。顆粒球エラスターゼ活性試験の結果、血漿顆粒球エラスターゼの増加率は158±39%(n=3)であった。
【0028】
【実施例3】
塩化マンガン(II)四水和物100mgを注射用蒸留水1.5Lに溶解した水溶液を用いた以外は実施例1と同様に操作し、中空糸膜型モジュールを作製した。顆粒球エラスターゼ活性試験の結果、血漿顆粒球エラスターゼの増加率は146±35%(n=3)であった。
【0029】
【実施例4】
塩化マンガン(II)四水和物500mgを注射用蒸留水1.5Lに溶解した水溶液を用いた以外は実施例1と同様に操作し、中空糸膜型モジュールを作製した。顆粒球エラスターゼ活性試験の結果、血漿顆粒球エラスターゼの増加率は169±6%(n=3)であった。
【0030】
【比較例1】
多価金属イオンの添加や多価金属イオンの濃縮処理を加えていない蒸留水に抗酸化剤としてピロ亜硫酸ナトリウム600ppm、炭酸ナトリウム300ppmを加えて作製した水溶液を用いた以外は実施例1と同様に操作し、中空糸膜型モジュールを作製した。顆粒球エラスターゼ活性試験の結果、血漿顆粒球エラスターゼの増加率は251±18%(n=3)であった。
【0031】
【比較例2】
注射用蒸留水を多価金属イオンを含む水溶液の代わりに用いた以外は実施例1と同様に操作し、中空糸膜型モジュールを作製した。顆粒球エラスターゼ活性試験の結果、血漿顆粒球エラスターゼの増加率は310±26%(n=3)であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明中空糸膜型モジュールの製造方法を用いて製造した中空糸膜型モジュールは、放射線滅菌を行なっても、血液が材料に接触したときの白血球活性化の指標である血漿顆粒球エラスターゼ活性の増加を低く抑えることができ、生体適合性が向上した。また本発明中空糸膜型モジュールの製造方法は、単にモジュールに充填する水溶液の組成を特定のものにするだけなので、安価に、簡単に、かつ安定した品質の生体適合性の高い中空糸膜型モジュールが再現性よく得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモジュールの代表的な形態図である。
【符号の説明】
1 接着剤
2 血液の出入り口
3 中空糸膜束
4 処理液の出入り口

Claims (10)

  1. 中空糸膜が容器に充填されてなる中空糸膜モジュールの製造方法において、中空糸膜が多価金属イオンを含む水溶液で湿潤された状態で放射線滅菌することを特徴とする方法。
  2. 多価金属イオンが、マンガン、銅、鉄、亜鉛から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜型モジュールの製造方法。
  3. 多価金属イオンを含む水溶液が総濃度10ppm以上400ppm以下の多価金属イオンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜型モジュールの製造方法。
  4. 放射線がγ線または電子線であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の中空糸膜型モジュールの製造方法。
  5. 中空糸膜が少なくとも疎水性高分子と親水性高分子を含む中空糸膜である請求項1〜4の何れかに記載の方法。
  6. 親水性高分子がビニルピロリドン残基を含むことを特徴とする請求項5に記載の中空糸膜型モジュールの製造方法。
  7. 疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする請求項5または6に記載の血液浄化膜の製造方法。
  8. 中空糸膜型モジュールが血液の入口と出口および処理液の入口と出口を備えた容器に中空糸膜束を内蔵した血液浄化器であることを特徴とした請求項1〜7の何れかに記載の中空糸膜型モジュールの製造方法。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の製造方法によって得られる中空糸膜型モジュール。
  10. 顆粒球エラスターゼ活性試験による血漿中顆粒球エラスターゼの増加率が200%以下である中空糸膜型モジュール。
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CN107583119A (zh) * 2017-09-29 2018-01-16 成都威力生生物科技有限公司 一种血液透析用透析器

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