JP2014519064A - タッチパネルシステムおよび電子機器 - Google Patents

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Abstract

タッチパネルのタッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止するタッチパネルシステム(1p)であり、タッチパネル(11)における同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、タッチに応じた、タッチパネル(11)を備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部(19)を備えている。

Description

本発明は、タッチパネルシステムおよびそれを備えた電子機器に関し、特に、表示装置等により発生するノイズの除去(キャンセル)を確実に効果的に行いつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能であるタッチパネルシステムおよび電子機器に関するものである。
現在、スマートフォン等の携帯情報機器、自動券売機等の自動販売機を始めとする様々な電子機器に、タッチパネルシステムの搭載が急速に進んでいる。
このようなタッチパネルシステムは、通常、表示装置の上部(前面)に、タッチパネルが積層された構造となっている。このため、タッチパネル上に設けられたセンサは、表示装置に発生するクロック等のノイズだけでなく、その他外来からのノイズの影響を受けやすい。このようなノイズは、タッチ操作の検出感度の低下につながる。
特許文献1には、このようなノイズ対策が施されたタッチパネルシステム(座標入力装置)が記載されている。特許文献1のタッチパネルシステムは、ノイズを除去するために、ノイズ処理部を備えている。図19は、特許文献1のタッチパネルシステムに設けられたノイズ処理部100を示すブロック図である。図19に示すように、ノイズ処理部100は、フィルタ部101と、論理反転部102と、加算部103とを備えている。フィルタ部101は、図示しないタッチパネルに設けられたセンサからの出力信号(アナログ信号)を受信する。さらに、フィルタ部101は、その入力信号に含まれるAC信号成分を、ノイズ信号として抽出する。論理反転部102は、抽出されたノイズ信号の位相を、180度反転させる。加算部103は、フィルタ部101に入力されたノイズ信号を含む入力信号に、位相を180度反転させたノイズ信号を加算する。
このように、特許文献1のタッチパネルシステムでは、フィルタ部101で抽出されたノイズ信号を反転し、反転された信号が、センサからの入力信号(アナログ信号)に加算される。つまり、センサからの入力信号に含まれるノイズ成分に、ノイズ成分と同レベルの反転した信号が加算される。これにより、センサからの入力信号に重畳されたノイズが相殺される。従って、センサからの入力信号に含まれるノイズの影響を低減することが可能とされている。
一方、現在、スマートフォン等の携帯情報機器、および、自動券売機等の自動販売機をはじめとする様々な電子機器に対する、タッチパネルシステムの搭載が急速に進んでいる。
上記電子機器では、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止する技術が求められている。
例えばこの電子機器を手で持って操作するときに、該電子機器を持つ手がタッチパネルに接触すると、この接触が該タッチパネルのタッチであると判断される。そして、この判断に起因して、該電子機器では誤動作が発生する虞がある。こうしたメカニズムによる誤動作は、該電子機器が、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の、持ち運び可能な機器である場合に発生することが予想され、ユーザの利便性を損なうことになる。
図36は、上記のメカニズムを説明する図である。図36に示すとおり、タブレット端末71のタッチパネル72に、タブレット端末71を持つ手(物体)73が接触すると、この接触がタッチパネル72のタッチであると判断されることになり、上記のとおりユーザの利便性を損なうことになる。
こうしたメカニズムによる誤動作の問題は、タッチパネルが配置された表示画面に対する額縁の幅が狭くなる程、顕在化するものと考えられる。
特許文献2には、タッチパネルのタッチが行われていないにも拘らず、一定の座標位置を検出し続けるという類の誤動作を防止するための技術が開示されている。
特許文献2に開示されている入力装置では、同じ座標位置を検出している期間が所定期間継続したときに、電極間の静電界の変化に基づく検出値と、基準値との差が所定の更新検出幅の範疇にあれば、該基準値を該検出値へと更新する。なお、ここで言う基準値とは、該検出値に基づいて、タッチの有無を判断するための基準となる値である。そして、ある座標位置における該検出値が、この基準値以上であるか、またはこの基準値を超えていれば、該座標位置に対するタッチが行われたとみなされることになる。
これにより、特許文献2に開示されている入力装置では、タッチパネルのタッチが行われていないにも拘らず、一定の座標位置を検出し続けるという類の誤動作を防止することが可能となる。さらに、その後、更新した基準値を基準としてタッチの有無を検出することにより、検出の感度の向上を図ることができると考えられる。
日本国公開特許公報「特開2001−125744号公報(2001年5月11日公開)」 日本国公開特許公報「特開2007−286814号公報(2007年11月1日公開)」
しかしながら、特許文献1のタッチパネルシステムは、AC信号成分以外のノイズを除去することができないという問題がある。
具体的には、上述のように、特許文献1のタッチパネルシステムは、センサからの入力信号に対し、その入力信号に含まれるAC信号成分をノイズとして扱う。このAC信号は、フィルタ部101で抽出された後、論理反転部102で位相が180度反転される。そして、加算部103では、反転された信号が、AC信号成分を含む入力信号に加算される。このように、特許文献1においては、フィルタ部101においてAC信号成分を抽出する処理が、ノイズ処理上、最も重要となる。
しかし、特許文献1には、フィルタ部101の構成が詳細に開示されていない。このため、特許文献1のタッチパネルシステムが、どの程度ノイズを除去することができるかは不明である。また、特許文献1では、アナログ信号に含まれるAC信号成分がノイズとして扱われる。つまり、特許文献1のタッチパネルシステムでは、基本的にインパルスノイズのみを除去することが想定されており、インパルスノイズ以外のノイズが、除去対象外となっている。このため、インパルスノイズ以外の多種多様なノイズを確実にキャンセルすることができない。
また、特許文献2に開示されている入力装置では、基準値を、該基準値を超える検出値へと更新する。このため、更新前においては基準値以上であるか、または基準値を超える値であった検出値が、更新後においては基準値未満であるか、または基準値以下の値として扱われるケースが発生する。
つまり、特許文献2に開示されている入力装置では、基準値の更新前後で、タッチが行われているか否かの判断基準が異なることになる。この結果、タッチパネルのタッチがタッチとして判断されないことにより、タッチの有無を検出する感度が低下する虞があるという問題が発生する。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、多様な種類のノイズを確実に除去することのできるタッチパネルシステムおよび電子機器を提供することにある。
本発明の他の目的は、タッチパネルのタッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することを可能とするタッチパネルシステムを提供することにある。また、本発明の別の目的は、このタッチパネルシステムを備えた電子機器を提供することにある。
本発明に係るタッチパネルシステムは、上記の課題を解決するために、タッチパネルと、上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
上記タッチパネルは、上記タッチパネルのタッチ操作を検出する主センサ部と、上記主センサ部が設けられたタッチパネル上の面と同一面内に設けられた副センサ部とを備え、
上記タッチパネルコントローラは、上記主センサ部および副センサ部からの信号を受信し、上記主センサ部からの信号から、上記副センサ部からの信号を減算する減算部を備え、
上記主センサ部は、複数のセンスラインを備え、
上記副センサ部は、センスラインと同一方向に延びるサブセンスラインを備え、
上記減算部は、
上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、および、
センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))を算出すると共に、
サブセンスラインとサブセンスラインに隣接するセンスラインとの差分である第3の差分を算出し、
上記タッチパネルコントローラは、上記第1の差分と第2の差分と第3の差分とを加算する加算部を備え、
タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、
上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、
上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とすることを特徴としている。
上記の構成によれば、タッチパネル上の同一面内(同一面上)に、主センサ部と副センサ部とが設けられている。これにより、主センサ部および副センサ部からのいずれの出力信号にも、タッチパネルに反映された各種ノイズ信号が含まれる。さらに、減算部が、タッチ操作による信号とノイズ信号とを含む主センサ部からの出力信号と、ノイズ信号を含む副センサ部からの出力信号との差分をとる。これにより、主センサ部の出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
また、上記の構成によれば、減算部が、隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることになる。さらに、各センスラインの出力信号から、サブセンスラインの信号(ノイズ信号)も除去される。従って、より確実にノイズを除去することができる。
さらに、上記の構成によれば、タッチ無効化部は、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、このタッチによる電子機器に対する指示を無効とする。これにより、例えば電子機器を持つ手がタッチパネルに接触する場合のように、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が継続するとき、該接触による指示は行われない。このため、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
また、上記の構成によれば、上記の誤動作を防止するために、タッチが行われているか否かの判断基準を変更する必要は無い。従って、タッチの有無を検出する感度の低下については、抑制することが可能となる。
また、上記の構成によれば、上記箇所が所定期間継続してタッチされたか否かを、簡単な構成により判断することができる。
また、上記の構成によれば、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が、短期間に何度も発生する場合であっても、タッチ無効化部は、1度機能するだけで、該接触の度に発生し得る誤動作を防止することが可能となる。
本発明に係る別のタッチパネルシステムは、上記の課題を解決するために、タッチパネルと、上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
上記タッチパネルは、複数のセンスラインを有し、上記タッチパネルのタッチ操作を検出するセンサ部を備え、
上記タッチパネルコントローラは、上記センサ部からの信号を受信し、互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する減算部を備え、
上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記ドライブラインが延びる方向における静電容量の差分を算出し、
上記ドライブラインを並列駆動する符号系列と、上記符号系列に対応するセンスラインの差分出力系列との内積を演算することによって、上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部と、
上記減算部において、上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、または、センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))が算出されるように、減算部に入力される信号を切り替えるスイッチとを備え、
タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、
上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、
上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とすることを特徴としている。
本発明に係る別のタッチパネルシステムは、上記の課題を解決するために、タッチパネルと、上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
上記タッチパネルは、複数のセンスラインを有し、上記タッチパネルのタッチ操作を検出するセンサ部を備え、
上記タッチパネルコントローラは、上記センサ部からの信号を受信し、互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する減算部を備え、
上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記ドライブラインが延びる方向における静電容量の差分を算出し、
上記ドライブラインを並列駆動する符号系列と、上記符号系列に対応するセンスラインの差分出力系列との内積を演算することによって、上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部を備え、
タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、
上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、
上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とすることを特徴としている。
上記の各構成によれば、減算部が、隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることとなる。これにより、主センサの出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
また、上記の各構成によれば、タッチパネルが並列駆動され、復号部が、減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、従来方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブラインの駆動回数を減らすことができ、省電力化が可能となる。
さらに、上記の各構成によれば、減算部が、隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることになる。さらに、各センスラインの出力信号から、サブセンスラインの信号(ノイズ信号)も除去される。従って、より確実にノイズを除去することができる。
さらに、上記の各構成によれば、タッチ無効化部は、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、このタッチによる電子機器に対する指示を無効とする。これにより、例えば電子機器を持つ手がタッチパネルに接触する場合のように、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が継続するとき、該接触による指示は行われない。このため、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
また、上記の各構成によれば、上記の誤動作を防止するために、タッチが行われているか否かの判断基準を変更する必要は無い。従って、タッチの有無を検出する感度の低下については、抑制することが可能となる。
また、上記の各構成によれば、上記箇所が所定期間継続してタッチされたか否かを、簡単な構成により判断することができる。
また、上記の各構成によれば、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が、短期間に何度も発生する場合であっても、タッチ無効化部は、1度機能するだけで、該接触の度に発生し得る誤動作を防止することが可能となる。
本発明に係る電子機器は、上記の課題を解決するために、本発明に係るタッチパネルシステムを備えることを特徴としている。
従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる電子機器を提供することができる。さらに、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
以上のように、本発明に係るタッチパネルシステムは、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とする構成である。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができるという効果を奏する。さらに、タッチパネルのタッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能であるという効果を奏する。
本発明に係るタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図1のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。 図1のタッチパネルシステムにおける減算部で処理される信号の波形を示す図である。 本発明に係る別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図4のタッチパネルシステムにおいて、副センサ群を備えないタッチパネルを示す概略図である。 図4のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図7のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。 従来のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式を示す図である。 本発明のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式(直交系列駆動方式)を示す図である。 図9の駆動方式のタッチパネルによって、図10の駆動方式のタッチパネルと同等の感度を得るために必要な処理を示す図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムであって、直交系列駆動方式のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムを示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図16のタッチパネルシステムにおける全差動増幅器の一例を示す回路図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 特許文献1のタッチパネルシステムに設けられたノイズ処理部を示すブロック図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図20のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図22のタッチパネルシステムにおける判定部の基本処理を示すフローチャートである。 図27のフローチャートにおけるタッチ情報の認識方法を示す模式図である。 上記タッチパネルシステムを搭載した携帯電話機の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の実施の形態に係るタッチ無効化部により、タッチ操作を無効化する一実施例を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るタッチパネルシステムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係るタッチ無効化部により、タッチ操作を無効化する一実施例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るタッチ無効化部により、タッチ操作を無効化する別の実施例を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る電子機器の概略構成の一例を示すブロック図である。 (a)および(b)は、本発明の実施の形態に係るタッチ無効化部により、タッチ操作を無効化するさらに別の実施例を示す図である。 従来のタッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作が発生するメカニズムの一例を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
〔実施の形態1〕
(1)タッチパネルシステム1の構成
図1は、本発明の実施の一形態に係るタッチパネルシステム1の基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1は、表示装置2、タッチパネル3、タッチパネルコントローラ4、およびドライブライン駆動回路5を備えており、ノイズキャンセル機能を有する。以下では、使用者が利用する側を、前面(または上方)として説明する。
表示装置2は、図示しない表示画面(表示部)を備えている。表示画面には、操作用の各種アイコンや、使用者の操作指示に応じた文字情報等が表示される。表示装置2は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED;field emission display)等から構成される。これらのディスプレイは、日常的な電子機器に多用されており、汎用性の高いタッチパネルシステム1が構成される。表示装置2は、任意の構成とすればよく、特に限定されない。
タッチパネル3は、使用者が指またはペン等により、タッチパネル3の表面をタッチ(押圧)操作することによって、各種の操作指示を入力する。タッチパネル3は、表示画面を覆うように、表示装置2の前面(上部)に積層されている。
タッチパネル3は、同一面上(同一面内)に設けられた2つのセンサ(主センサ31,副センサ32を各1個)を備えている。主センサ31と副センサ32とは、互いに隣接して設けられている。主センサ31および副センサ32は、いずれも静電容量方式のセンサである。静電容量方式のセンサが設置されたタッチパネル3は、透過率が高く、耐久性も有するという利点を有する。
主センサ(主センサ部)31は、タッチパネル3上のタッチ操作される領域(タッチ領域)に設けられており、使用者によるタッチパネル3のタッチ操作を検出する。タッチ操作には、ダブルクリック操作、スライド操作、シングルクリック操作、ドラッグ操作等が含まれる。主センサ31は、線状電極からなるセンスライン33を備えている。センスライン33の一端は、タッチパネルコントローラ4に接続されている。これにより、主センサ31で検出された信号は、センスライン33を介して、タッチパネルコントローラ4に出力される。つまり、主センサ31で検出されたタッチ操作に応じた信号が、タッチパネルコントローラ4に出力される。
副センサ(副センサ部)32は、タッチパネル3に反映されるノイズ成分を検出する。副センサ32は、タッチパネル3上のタッチ操作されない領域(非タッチ領域)に設けられている。このため、副センサ32は、使用者がタッチ操作により接触することなく、タッチパネルシステム1で発生する各種ノイズを検出する。このように、副センサ32は、主センサ31とは異なり、タッチ操作に応じた信号は検出しない。つまり、副センサ32は、使用者がタッチ操作により接触することなく、タッチパネル3に発生するノイズを検出するようになっている。
副センサ32は、線状電極からなるサブセンスライン34を備えている。サブセンスライン34は、センスライン33に対して、平行である(センスライン33と同一方向に延びている)。サブセンスライン34の一端は、タッチパネルコントローラ4に接続されている。これにより、副センサ32で検出された信号は、サブセンスライン34を介して、タッチパネルコントローラ4に出力される。
一方、タッチパネル3は、センスライン33およびサブセンスライン34に直交するように交差したドライブライン35を備えている。ドライブライン35は、線状電極からなるものである。センスライン33またはサブセンスライン34とドライブライン35との交差部分には、静電容量が形成されている。すなわち、センスライン33とドライブライン35との間、および、サブセンスライン34とドライブライン35との間には、それぞれ、静電容量が形成されている。ドライブライン35は、ドライブライン駆動回路(センサ駆動部)5に接続されており、ドライブライン35には、タッチパネルシステム1の起動時に、一定周期で電位が印加される。
センスライン33、サブセンスライン34、およびドライブライン35は、いずれも、例えば、ITO(Indium Thin Oxide:酸化インジウムスズ)などの透明な配線材料から形成することができる。センスライン33、サブセンスライン34、およびドライブライン35は、タッチパネル3におけるセンサ電極であるともいえる。
なお、ドライブライン35は、透明基板または透明フィルム(図示せず)上に設けられている。さらに、ドライブライン35は、絶縁層(図示せず)により被覆されている。この絶縁層上には、センスライン33およびサブセンスライン34が設けられている。このように、センスライン33またはサブセンスライン34と、ドライブライン35とは、絶縁層を介して互いに絶縁されると共に、容量結合している。センスライン33およびサブセンスライン34は、保護層(図示せず)により被覆されている。つまり、タッチパネル3では、保護層が、最も前面側(使用者側)に配置されている。
タッチパネルコントローラ4は、タッチパネル3の主センサ31および副センサ32から入力された信号(データ)を読み取る。タッチパネルシステム1は、静電容量方式のセンサを備えているため、タッチパネルコントローラ4は、タッチパネル3で発生した静電容量を検出する。具体的にはタッチパネルコントローラ4は、センスライン33−ドライブライン35間の静電容量の変化、サブセンスライン34−ドライブライン35間の静電容量の変化を検出する。タッチパネルコントローラ4は、減算部41、座標検出部42、およびCPU43を備えている。
減算部41は、主センサ31から出力された信号を受信するための入力端子(主センサ出力用の入力端子)と、副センサ32から出力された信号を受信するための入力端子(副センサ出力用の入力端子)とを備えている。減算部41は、主センサ出力用の入力端子に入力された信号から、副センサ出力用の入力端子に入力された信号を減算する。減算部41で減算処理された信号は、座標検出部42に出力される。なお、減算部41に入力される信号は、デジタル信号であっても、アナログ信号であってもよい。すなわち、減算部41への入力信号は、減算部41の構成に応じた信号であればよい。
座標検出部42は、減算部41で減算処理された信号に基づいて、タッチ操作の有無情報を検出する。例えば、座標検出部42は、減算部41からの出力信号値が所定の閾値以上の場合、タッチ操作「有」の信号を、CPU43に出力する。なお、タッチパネルシステム1では、主センサ31が単数であるため、座標検出部42は、タッチ操作の有無情報を検出する。一方、主センサ31が複数の場合、座標検出部42は、使用者のタッチ位置の座標値も検出することになる。
CPU43は、座標検出部42から出力された情報を一定間隔で取り込み、取り込んだ情報に応じて表示装置2に出力等を行う。
ドライブライン駆動回路5は、ドライブライン35に接続されており、タッチパネルシステム1の起動時に、ドライブライン35に一定周期で電位を印加する。
(2)タッチパネルシステム1のノイズ処理
タッチパネルシステム1は、タッチパネルコントローラ4で検出される静電容量の変化に基づいて、タッチ操作の有無を検出する。しかし、タッチパネル3が表示装置2の前面(使用者側)に接着されている。このため、タッチパネルシステム1は、表示装置2が発生するクロック等のノイズだけでなく、その他外来からのノイズの影響を受けやすい。その結果、タッチ操作の検出感度(座標検出部42の検出感度)が低下してしまう。
そこで、タッチパネルシステム1は、このようなノイズを除去する対策として、副センサ32と減算部41とを備えている。図2に基づいて、タッチパネルシステム1のノイズキャンセル処理について説明する。図2は、タッチパネルシステム1の基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
タッチパネルシステム1を起動すると、ドライブライン駆動回路5からドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3にタッチ操作を行うと、主センサ31および副センサ32の両センサが、減算部41に信号を出力する。
ここで、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3に反映される。このため、主センサ31および副センサ32では、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、主センサ31からの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている。一方、副センサ32はタッチ操作を検出しないようになっている。このため、副センサ32からの出力信号には、ノイズ信号(ノイズ成分)が含まれるが、タッチ操作の信号は含まれない(F201)。
タッチパネルシステム1では、主センサ31と副センサ32とが、互いに同一面内に設けられており、かつ、互いに隣接して設けられている。このため、主センサ31の出力信号に含まれるノイズ信号値と、副センサ32の出力信号に含まれるノイズ信号値とは、基本的に同じ値であるとみなすことができる。そこで、タッチパネルコントローラ4内に存在する減算部41は、主センサ31からの入力信号(信号値)から、副センサ32からの入力信号(信号値)を減算する処理を実行する(F202)。つまり、減算部41は、センスライン33とサブセンスライン34との差分をとる。これにより、主センサ31からの出力信号から、ノイズ信号が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号値が得られることになる。
このようにして減算処理された信号(タッチ操作本来の信号)は、タッチパネルコントローラ4内に存在する座標検出部42に出力される(F203)。これにより、タッチ操作本来の信号が、座標検出部42に出力される。座標検出部42は、タッチ操作本来の信号処理により、タッチ操作の有無を検出する。従って、座標検出部42の検出感度(タッチ操作の有無の検出精度など)の低下を抑制することができる。
このように、タッチパネルシステム1では、減算部41が、センスライン33とサブセンスライン34との差分をとり、多様なノイズ成分が含まれるセンスライン33からの入力信号から、ノイズ成分をキャンセルする。つまり、減算部41は、センスライン33からの入力信号からノイズ信号を除去し、タッチ操作により生じた本来の信号を抽出する。従って、多様な種類のノイズを確実にキャンセルすることのできるタッチパネルシステム1を提供することができる。
一方、タッチパネルシステム1のノイズキャンセル処理を視覚的に示すと、図3のようになる。図3は、タッチパネルシステム1における減算部41で処理される信号の波形を示す図である。図3の(a)は主センサ31からの出力信号、図3の(b)は副センサ32からの出力信号、図3の(c)は減算部41で処理された信号を示している。図3に示す各信号は、使用者がタッチ操作したときの信号である。
タッチパネルシステム1では、使用者がタッチ操作を行うと、タッチ操作を検出する主センサ31の容量が増加する(図3の(a))。つまり、主センサ31(センスライン33)からの出力信号値が増加する。しかし、タッチ操作されたときの主センサ31からの出力信号には、タッチ操作本来の信号だけでなく、各種ノイズ(表示装置2が発生するクロック等のノイズ、外来からのノイズ)信号が加算されている。
一方、副センサ32は、タッチ操作を検出しないため、副センサ32(サブセンスライン)の容量は、タッチ操作によっては増加しない。つまり、副センサ32からの出力信号には、タッチ操作の信号は含まれず、タッチパネル3に反映されたノイズ成分が含まれる(図3の(b))。
減算部41は、主センサ31からの出力信号から、副センサ32からの出力信号を減算する(図3の(a)の信号値−図3の(b)の信号値)。この減算処理によって、図3の(c)のような、主センサ31からの出力信号から、副センサ32から出力されたノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号が得られる。さらに、座標検出部42には、タッチ操作本来の信号が入力されるため、タッチ操作の検出精度は低下しない。
以上のように、本実施形態のタッチパネルシステム1は、タッチパネル3上の同一面内(同一面上)に、主センサ31と副センサ32とが設けられている。これにより、主センサ31および副センサ32からのいずれの出力信号にも、タッチパネル3に反映された各種ノイズ信号が含まれる。さらに、減算部41が、タッチ操作による信号とノイズ信号とを含む主センサ31からの出力信号と、ノイズ信号を含む副センサ32からの出力信号との差分をとる。これにより、主センサ31の出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネル3に反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
なお、特許文献1のタッチパネルシステムにおいて、除去対象となるノイズ成分は、ノイズ成分を含む信号中のAC信号成分である。これに対し、タッチパネルシステム1においては、主センサ31および副センサ32からの出力信号に、各種ノイズ成分が含まれている。このため、タッチパネルシステム1において除去対象となるノイズ成分は、AC信号成分に限られない。従って、タッチパネルシステム1は、タッチパネル3に反映されるあらゆるノイズを全てキャンセルすることができる。
タッチパネルシステム1において、副センサ32は、主センサ31と共に、タッチパネル3の同一面内に設けられていればよい。これにより、主センサ31および副センサ32のいずれにおいても、タッチパネル3に反映されるノイズ成分(ノイズ信号)を検出することができる。ただし、副センサ32は、タッチパネル3のタッチ操作を検出しないようになっていることが好ましい。この構成によれば、タッチ操作による信号が副センサ32で検出されなくなるため、副センサ32からの出力信号には、タッチ操作による信号が含まれない。これにより、減算部41の減算処理によって、タッチ操作の信号値が低減されることはない。つまり、主センサ31で検出されたタッチ操作の信号が低減されることなく、ノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
タッチパネルシステム1のように、副センサ32がタッチパネル3上の使用者がタッチ操作されない領域(非タッチ領域)に設けられている場合、タッチ操作による信号が副センサ32で検出されなくなる。このため、副センサ32は、使用者がタッチ操作することなく、タッチパネルに反映されたノイズを検出するが、タッチ操作による信号を検出しないようになっている。従って、副センサ32が、タッチ操作を検出するのを確実に回避することができる。
副センサ32によってノイズ成分を検出する上では、副センサ32は、できる限り、主センサ31の近くに設けられていることが好ましく、主センサ31に隣接して設けられていることがより好ましい。これにより、主センサ31と副センサ32とが、ほぼ同一条件に配置される。特に、副センサ32が、主センサ31に隣接して設けられている場合、主センサ31と副センサ32とが、最も接近して配置される。このため、副センサ32からの出力信号に含まれるノイズ信号値は、主センサ31からの出力信号に含まれるノイズ信号値と同一であるとみなすことができる。これにより、減算部41による減算処理によって、タッチパネル3に反映されたノイズ成分を、より確実に除去することができる。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
本実施形態では、静電容量方式のタッチパネル3を備えたタッチパネルシステム1について説明した。しかし、タッチパネル3の動作原理(センサの動作方式)は、静電容量方式に限定されるものではない。例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、超音波方式、または電磁誘導結合方式のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムも、同様に、ノイズキャンセル機能を発揮する。また、表示装置2の種類も問わずに、ノイズキャンセル機能を発揮する。
本実施形態のタッチパネルシステム1は、タッチパネル式の各種電子機器に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、電子フォトフレーム、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、電子ブック、家電製品(電子レンジ,洗濯機等)、券売機、ATM(Automated Teller Machine)、カーナビゲーション等を挙げることができる。これにより、タッチ操作の検出感度の低下を効果的に抑制することのできる電子機器を提供することができる。
〔実施の形態2〕
(1)タッチパネルシステム1aの構成
図4は、本発明に係る別のタッチパネルシステム1aの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1aの基本的な構成は、実施の形態1のタッチパネルシステム1と略同様である。以下では、タッチパネルシステム1との相違点を中心に、タッチパネルシステム1aについて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
タッチパネルシステム1aは、タッチパネル3aに設けられたセンサの構成が、タッチパネルシステム1と異なる。すなわち、タッチパネル3aが、複数の主センサ31からなる主センサ群31a、および、複数の副センサ32からなる副センサ群32aを備えている。タッチパネルシステム1aは、使用者によるタッチ操作の有無だけでなく、使用者のタッチ操作の位置情報(座標)も検出する。
具体的には、タッチパネルシステム1aでは、タッチパネル3aは、タッチパネル3aの同一面上(同一面内)に、主センサ群31aと、副センサ群32aとを備えている。主センサ群31aと、副センサ群32aとは、互いに隣接して設けられている。主センサ群31aおよび副センサ群32aは、いずれも静電容量方式のセンサから構成されている。
主センサ群(主センサ部)31aは、タッチパネル3a上のタッチ操作される領域(タッチ領域)に設けられており、使用者によるタッチパネル3aのタッチ操作を検出する。主センサ群31aは、格子状に配置された複数の主センサ31から構成されている。主センサ群31aは、L本(Lは2以上の整数)のセンスライン33を備えている。各センスライン33は、互いに平行に、かつ、等間隔に設けられている。各センスライン33上には、M個(Mは2以上の整数)の主センサ31が配置されている。
各センスライン33の一端は、タッチパネルコントローラ4の減算部41に接続されている。これにより、主センサ31で検出された信号は、各センスライン33を介して、減算部41に出力される。つまり、主センサ31で検出されたタッチ操作に応じた信号が、減算部41に出力される。
副センサ群(副センサ部)32aは、タッチパネル3aに反映されるノイズ成分を検出する。副センサ群32aは、タッチパネル3a上のタッチ操作されない領域(非タッチ領域)に設けられている。このため、副センサ群32aは、使用者がタッチ操作により接触することなく、タッチパネルシステム1aで発生する各種ノイズを検出する。このように、副センサ群32aは、主センサ群31aとは異なり、タッチ操作に応じた信号は検出しないようになっている。つまり、副センサ群32aは、使用者がタッチ操作により接触することなく、センサに発生するノイズを検出するようになっている。副センサ群32aは、1本のサブセンスライン34を備えている。サブセンスライン34は、各センスライン33に対して平行である(センスライン33と同一方向に延びている)。サブセンスライン34上には、M個(Mは2以上の整数)の副センサ32が配置されている。つまり、各センスライン33上に配置された主センサ31の個数と、サブセンスライン34上に配置された副センサ32の個数とは、同一である。
サブセンスライン34の一端は、タッチパネルコントローラ4の減算部41に接続されている。これにより、副センサ群32aで検出された信号は、サブセンスライン34を介して、減算部41に出力される。
一方、タッチパネル3aは、各センスライン33およびサブセンスライン34に直交するように交差した、M本(Mは2以上の整数)のドライブライン35を備えている。各ドライブライン35は、互いに平行に、かつ、等間隔に設けられている。各ドライブライン35上には、L個(Lは2以上の整数)の主センサ31と、1個の副センサ32とが配置されている。さらに、各センスライン33またはサブセンスライン34と、各ドライブライン35との交差部分には、静電容量が形成されている。すなわち、各センスライン33と各ドライブライン35との間、および、サブセンスライン34と各ドライブライン35との間には、それぞれ、静電容量が形成されている。ドライブライン35は、図示しないドライブライン駆動回路に接続されており、ドライブライン35には、タッチパネルシステム1aの起動時に、一定周期で電位が印加される。
このように、タッチパネル3aでは、横方向に設けられたセンスライン33およびサブセンスライン34と、縦方向に設けられたドライブライン35とが、二次元マトリクス状に配置されている。なお、センスライン33、サブセンスライン34、ドライブライン35の本数、長さ、幅、間隔等は、タッチパネルシステム1aの用途またはタッチパネル3aのサイズ等により任意に設定することができる。
(2)タッチパネルシステム1aのノイズ処理
タッチパネルシステム1aは、タッチパネルコントローラ4で検出される静電容量の変化に基づいて、タッチ操作の有無およびタッチされた位置を検出する。しかし、タッチパネルシステム1aにおいても、タッチパネルシステム1と同様に、各種ノイズの影響を受けやすい。このため、タッチ操作の検出感度(座標検出部の検出感度)が低下してしまう。具体的には、図5は、図4のタッチパネルシステム1aにおいて、副センサ群32aを備えないタッチパネル3bを示す概略図である。図5のように、タッチパネル3bは、主センサ群31aのみを備え、副センサ群32aを備えていない。すなわち、図5のタッチパネル3bは、ノイズ対策前の構成である。この場合、タッチパネル3bが、各種ノイズの影響を受けてしまう。従って、各センスライン33から出力された信号には、各種ノイズ成分が含まれ、タッチ操作の検出感度が低下してしまう。
そこで、タッチパネルシステム1aでは、このようなノイズを除去する対策として、副センサ群32aと減算部41とを備えている。図6に基づいて、タッチパネルシステム1aのノイズキャンセル処理について説明する。図6は、タッチパネルシステム1aの基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
タッチパネルシステム1aを起動すると、ドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3aにタッチ操作を行うと、主センサ群31aおよび副センサ群32aの両センサ群が、減算部41に信号を出力する。具体的には、使用者がタッチ操作を行うと、タッチ位置に対応する特定の主センサ31の容量が増加する。つまり、その主センサ31(センスライン33)からの出力信号値が増加する。タッチパネルシステム1aは、各ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33およびサブセンスライン34からの出力信号を、減算部41に出力する。
より詳細には、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3aに反映される。このため、主センサ群31aおよび副センサ群32aでは、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、主センサ群31aからの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている。一方、副センサ群32aはタッチ操作を検出しないようになっている。このため、副センサ群32aからの出力信号には、ノイズ信号(ノイズ成分)が含まれるが、タッチ操作の信号は含まれない(F501)。
タッチパネルシステム1aでは、主センサ群31aと副センサ群32aとが、互いに同一面内に設けられており、かつ、互いに隣接して設けられている。このため、主センサ群31aの出力信号に含まれるノイズ信号値と、副センサ群32aの出力信号であるノイズ信号値とは、基本的に同じ値であるとみなすことができる。そこで、タッチパネルコントローラ4内に存在する減算部41は、主センサ群31aからの入力信号(信号値)から、副センサ群32aからの入力信号(信号値)を減算する処理を実行する(F502)。つまり、減算部41は、各センスライン33とサブセンスライン34との差分をとる。これにより、主センサ群31aからの出力信号から、ノイズ信号が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号値が得られることになる。
このようにして減算処理された信号は、タッチパネルコントローラ4内に存在する座標検出部42に出力される(F503)。これにより、タッチ操作本来の信号が、座標検出部42に出力される。座標検出部42は、タッチ操作本来の信号処理により、タッチ操作の有無およびタッチ位置(座標)を検出する。従って、座標検出部42の検出感度(タッチ操作の有無の検出精度、タッチ位置の検出感度など)の低下を抑制することができる。
なお、タッチパネルシステム1aでは、タッチ位置に対応する特定の主センサ31を含むセンスライン31からの出力信号が、図3の(a)のような波形を有し、副センサ群32a(サブセンスライン34)からの出力信号が、図3の(b)のような波形を有する。減算部41は、主センサ群31aからの出力信号から、副センサ群32aからの出力信号を減算する。この減算処理によって、図3の(c)のような、主センサ群31aからの出力信号から、副センサ群32aから出力されたノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号が得られる。さらに、座標検出部42には、タッチ操作本来の信号が入力されるため、タッチ操作の検出精度もタッチ位置の検出精度も低下しない。このため、実際のタッチ位置と、座標検出部42で検出された検出位置とのズレを小さくすることができる。
以上のように、タッチパネルシステム1aは、ドライブライン35を駆動しつつ、使用者がタッチ操作を行うことによる主センサ群31aの容量値の変化をセンスライン33にて読み取る。また、ノイズ成分をサブセンスライン34にて読み取る。さらに、減算部41にて、センスライン33とサブセンスライン34との差分をとり、ノイズ成分を除去(キャンセル)することができる。
タッチパネルシステム1aは、主センサ群31aが、縦方向および横方向にマトリクス状に配置された複数の主センサ31から構成されている。これにより、タッチパネルシステム1と同様の効果に加えて、座標検出部42にて、タッチされた座標を検出することができる。つまり、タッチ操作の有無と共に、タッチ位置(座標値)を検出することができる。
タッチパネルシステム1と同様に、タッチパネルシステム1aにおいても、除去対象となるノイズ成分は、AC信号成分に限られない。従って、タッチパネルシステム1aも、タッチパネル3aに反映されるあらゆるノイズを全てキャンセルすることができる。
〔実施の形態3〕
(1)タッチパネルシステム1bの構成
図7は、本発明に係る別のタッチパネルシステム1bの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1bの基本的な構成は、実施の形態2のタッチパネルシステム1aと略同様である。以下では、タッチパネルシステム1aとの相違点を中心に、タッチパネルシステム1bについて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1,2にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
タッチパネル3bは、実施の形態2のタッチパネルシステム1aのタッチパネル3aと同様の構成である。すなわち、タッチパネル3bは、複数本(図7では5本)のドライブライン35と、各ドライブライン35に交差する複数本(図7では7本)のセンスライン33と、各ドライブライン35に直交し、センスライン33と平行な1本のサブセンスライン34とを備えている。センスライン33とドライブライン35、および、サブセンスライン34とドライブライン35とは、それぞれ互いに絶縁され、かつ、容量結合している。
以下では、1本のサブセンスライン34と、7本のセンスライン33とからなる8本のセンス/サブセンス配列を、配列(1)〜配列(8)として区別して説明する。
タッチパネルコントローラ4は、入力側から順に、スイッチSW、減算部41、記憶部45a〜45d、加算部46を備えている。なお、図示しないが、タッチパネルコントローラ4は、座標検出部42とCPU43も備えている(図1)。このように、タッチパネルシステム1bは、タッチパネルコントローラ4の構成が、タッチパネルシステム1,1aとは異なる。
スイッチSWは、センスライン33またはサブセンスライン34から減算部41に入力される信号を切り替える。より詳細には、スイッチSWは、上下に2つの端子を備えており、一方の端子が選択される。図7は、スイッチSWが下側の端子を選択した状態である。
減算部41は、スイッチSWで選択された配列(1)〜(8)の信号の差分信号処理を行う。すなわち、減算部41は、隣接するセンスライン33間の差分信号処理、および、隣接するセンスライン33とサブセンスライン34との差分信号処理を行う。例えば、図7のように、スイッチSWにより下側の端子が選択されている場合、減算部41は、配列(8)−配列(7)、配列(6)−配列(5)、配列(4)−配列(3)、および配列(2)−配列(1)の各差分信号処理を行う。一方、図示しないが、スイッチSWにより上側の端子が選択されている場合、減算部41は、配列(7)−配列(6)、配列(5)−配列(4)、および配列(3)−配列(2)の各差分信号処理を行う。
記憶部45a〜45dは、スイッチSWにより一方の端子が選択された場合の減算部41による差分処理された信号(差分処理信号)を記憶する。記憶部45a〜45dに記憶された差分処理信号は、加算部46に出力される。なお、スイッチSWにより他方の端子が選択された場合、差分処理信号は、記憶部45a〜45dを経由せず、直接加算部46に出力される。
加算部46は、減算部41および記憶部45a〜45dから入力される、隣接するセンスライン33の差分処理信号を加算し、加算処理した結果を出力する。また、加算部46は、記憶部45aに記憶されたサブセンスライン34とそれに隣接するセンスライン33との差分処理信号(配列(2)−配列(1))を出力する。加算部46は、最終的に、配列(2)−配列(1)、配列(3)−配列(1)、配列(4)−配列(1)、配列(5)−配列(1)、配列(6)−配列(1)、配列(7)−配列(1)、配列(8)−配列(1)の各信号を出力する。つまり、加算部46から出力される信号は、センスライン33に含まれるノイズ信号(配列(1)の信号)が除去されている。しかも、減算部41は隣接するセンスライン33間の差分信号処理を行っている。従って、ノイズ信号がより確実に除去された信号が、加算部46から出力される。
(2)タッチパネルシステム1bのノイズ処理
図7および図8に基づいて、タッチパネルシステム1bのノイズ処理について説明する。図8は、タッチパネルシステム1bの基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
タッチパネルシステム1bを起動すると、ドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3bにタッチ操作を行うと、タッチ位置に対応する特定のセンスライン33の容量が増加する。つまり、そのセンスライン33からの出力信号値が増加する。タッチパネルシステム1bは、各ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33およびサブセンスライン34からの出力信号を、タッチパネルコントローラ4に出力する。このように、タッチパネルシステム1bは、ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33およびサブセンスライン34の容量変化を検出し、タッチ操作の有無およびタッチ位置を検出する。
より詳細には、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3bに反映される。このため、主センサ群31aおよび副センサ群32aでは、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、センスライン33からの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている。一方、サブセンスライン34はタッチ操作を検出しないようになっている。このため、サブセンスライン34からの出力信号には、ノイズ信号(ノイズ成分)が含まれるが、タッチ操作の信号は含まれない(F601)。
次に、スイッチSWにおいて、下側の端子を選択する(F602)。そして、減算部41において、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、サブセンスライン34に近い方のセンスライン(センスラインSn+1)との間の差分を取る(センスライン(Sn+1)−Sn:第1の差分)。このとき、サブセンスライン34に最も近いセンスライン33については、サブセンスライン34との差分(第3の差分)を取る(F603)。
図7の配列(1)〜(8)の場合、減算部41は、
・配列(2)−配列(1)(この差分値をAとする)
・配列(4)−配列(3)(この差分値をCとする)
・配列(6)−配列(5)(この差分値をEとする)
・配列(8)−配列(7)(この差分値をGとする)
の4つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF603では、サブセンスライン34を含む配列(1)〜(8)の差分信号処理を行う。
減算部41で算出された差分値A,C,E,Gは、記憶部45a〜45dに記憶される。すなわち、記憶部45aは差分値A,記憶部45bは差分値C、記憶部45cは差分値E、記憶部45dは差分値Gを、それぞれ記憶する(F604)。
次に、下側の端子が選択されているスイッチSWを、上側の端子を選択する(閉ざす)ように切り替える(F605)。そして、減算部41において、F603と同様に処理する。すなわち、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、サブセンスライン34に遠い方のセンスライン(センスラインSn−1)との間の差分信号処理(センスラインSn−(Sn−1):第2の差分)を行う。(F606)。
図7の配列(1)〜(8)の場合、減算部41は、
・配列(3)−配列(2)(この差分値をBとする)
・配列(5)−配列(4)(この差分値をDとする)
・配列(7)−配列(6)(この差分値をFとする)
の3つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF606では、サブセンスライン34を含まない配列(2)〜(7)の差分信号処理を行う。
次に、加算部46は、ステップF606で求めた差分値B,D,Fと、記憶部45a〜45dに記憶された差分値A,C,E,Gの加算処理を行う。つまり、スイッチSWにより下側の端子が選択された場合の差分値(差分値A,C,E,G)と、上側の端子が選択された場合の差分値(差分値B,D,F)とを加算する(F607)。
図7の配列(1)〜(8)の場合、加算部46は、まず記憶部45aに記憶された差分値A(配列(2)−配列(1)信号)と、減算部41から出力された差分値B(配列(3)−配列(2)信号)を加算する。この加算処理は、
差分値A+差分値B={配列(2)−配列(1)}+{配列(3)−配列(2)}
=配列(3)−配列(1)(この差分値を差分値Hとする)
となり、配列(3)−配列(1)信号が取得できる。加算部46は、このような処理を順次進める。
すなわち、この差分値H(配列(3)−配列(1)信号)に、記憶部45bに記憶された差分値C(配列(4)−配列(3)信号)を加算する。その結果、配列(4)−配列(1)信号(差分値I)が取得できる。
次に、この差分値I(配列(4)−配列(1)信号)に、減算部41から出力された差分値D(配列(5)−配列(4)信号)を加算する。その結果、配列(5)−配列(1)信号(差分値J)が取得できる。
次に、この差分値J(配列(5)−配列(1)信号)に、記憶部45cに記憶された差分値E(配列(6)−配列(5)信号)を加算する。その結果、配列(6)−配列(1)信号(差分値K)が取得できる。
次に、この差分値K(配列(6)−配列(1)信号)に、減算部41から出力された差分値F(配列(7)−配列(6)信号)を加算する。その結果、配列(7)−配列(1)信号(差分値L)が取得できる。
次に、この差分値L(配列(7)−配列(1)信号)に、記憶部45dに記憶された差分値G(配列(8)−配列(7)信号)を加算する。その結果、配列(8)−配列(1)信号(差分値M)が取得できる。
なお、記憶部45aに記憶された差分値A(つまり、配列(2)−配列(1)信号)については、加算部46で加算処理をされずに出力される。
このように、加算部46からは、
・配列(2)−配列(1)信号=差分値A
・配列(3)−配列(1)信号=差分値H
・配列(4)−配列(1)信号=差分値I
・配列(5)−配列(1)信号=差分値J
・配列(6)−配列(1)信号=差分値K
・配列(7)−配列(1)信号=差分値L
・配列(8)−配列(1)信号=差分値M
の各信号が出力される。
図7においては、配列(2)〜配列(8)がセンスライン33であり、配列(1)がサブセンスライン34である。加算部46による加算処理の結果、配列(2)〜配列(8)の各信号から、配列(1)の信号(ノイズ信号)が除去される。このため、加算部46からの出力信号は、センスライン33の信号に含まれるノイズ信号を除去したものとなり、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号値が得られることになる。ノイズ信号が除去された加算部46の出力信号は、タッチパネルコントローラ4内の座標検出部42に出力される。つまり、タッチ操作本来の信号が、座標検出部42に出力される(F608)。
以上のように、タッチパネルシステム1bは、隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることになる。さらに、各センスライン33の出力信号から、サブセンスライン34の信号(ノイズ信号)も除去される。従って、タッチパネルシステム1bは、第1、第2の実施の形態のタッチパネルシステム1,1aに比べて、より確実にノイズを除去することができる。
また、加算部46の加算処理を、サブセンスライン34側から順に(サブセンスライン34からの距離が近い順に)行うことによって、加算処理結果を次の加算処理に利用しながら、加算処理を進め、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態4〕
本発明のタッチパネルシステムの駆動方法は、特に限定されるものではないが、直交系列駆動方式であることが好ましい。言い換えれば、ドライブライン35を並列駆動することが好ましい。図9は、従来のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式を示す図である。図10は、本発明のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式(直交系列駆動方式)を示す図である。
図9は、タッチパネルから抽出した1つのセンスラインに、4つのセンサがある場合を示している。図9で示すように、従来のタッチパネルシステムは、ドライブラインの駆動に際し、駆動するドライブラインには+Vボルトを印加し、ドライブラインを逐次駆動するようになっている。
具体的には、1回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの1回目の測定結果(X1)は、
X1=C1×V/Cint
となる。
同様に、2回目のドライブラインの駆動は、左から2番目のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの2回目の測定結果(X2)は、
X2=C2×V/Cint
となる。
3回目のドライブラインの駆動は、左から3番目のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの3回目の測定結果(X3)は、
X3=C3×V/Cint
となる。
4回目のドライブラインの駆動は、最も右側のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの4回目の測定結果(X4)は、
X4=C4×V/Cint
となる。
これに対し、図10も図9と同様に、タッチパネルから抽出した1つのセンスラインに、4つのセンサがある場合を示している。図10のように、直交系列駆動方式の場合、ドライブラインの駆動に際し、全てのドライブラインに、+Vボルト、あるいは、−Vボルトを印加する。つまり、直交系列駆動方式では、ドライブラインが並列駆動される。
具体的には、1回目のドライブラインの駆動は、全てのセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの1回目の測定結果(Y1)は、
Y1=(C1+C2+C3+C4)×V/Cint
となる。
2回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルト、左から2番目のセンサに−Vボルト、左から3番目のセンサに+Vボルト、最も右側のセンサに−Vボルトを印加する。これにより、Voutの2回目の測定結果(Y2)は、
Y2=(C1−C2+C3−C4)×V/Cint
となる。
3回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルト、左から2番目のセンサに+Vボルト、左から3番目のセンサに−Vボルト、最も右側のセンサに−Vボルトを印加する。これにより、Voutの3回目の測定結果(Y3)は、
Y3=(C1+C2−C3−C4)×V/Cint
となる。
4回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルト、左から2番目のセンサに−Vボルト、左から3番目のセンサに−Vボルト、最も右側のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの4回目の測定結果(Y4)は、
Y4=(C1−C2−C3+C4)×V/Cint
となる。
図10において、容量値(C1、C2、C3、C4)の値は、出力系列(Y1、Y2、Y3、Y4)と直交符号diとの内積演算により求めることが可能である。この式が成立するのは、直交符号diの直交性のためである。ここで符号diとは、各ドライブラインに印加した正負の電圧の符号を示す。すなわち、符号d1は、最も左側のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,+1,+1,+1」となる。符号d2は、左から2番目のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,−1,+1,−1」となる。符号d3は左から3番目のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,+1,−1,−1」となる。符号d4は最も左側のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,−1,−1,+1」となる。
C1、C2、C3、C4の値を、出力系列Y1、Y2、Y3、Y4と、符号d1、d2、d3、d4との内積演算により求めると、
C1=1×Y1+1×Y2+1×Y3+1×Y4=4C1×V/Cint
C2=1×Y1+(−1)×Y2+1×Y3+(−1)×Y4=4C2×V/Cint
C3=1×Y1+1×Y2+(−1)×Y3+(−1)×Y4=4C3×V/Cint
C4=1×Y1+(−1)×Y2+(−1)×Y3+(−1)×Y4
=4C3×V/Cint
となる。
このように、符号diの直交性により、符号diと出力系列Yiとの内積演算によりCiが求められる。この結果を、図9に示す従来の駆動方式と比較すると、同一の駆動回数で4倍の値を検出できることとなる。図11は、図9の駆動方式のタッチパネルによって、図10の駆動方式のタッチパネルと同等の感度を得るために必要な処理を示す図である。図11のように、図9の駆動方式で、図10の駆動方式と同等の感度を得るためには、同一ドライブラインの駆動を4回繰り返し、その結果を加算する必要がある。すなわち、ドライブラインの駆動時間は、4倍となる。逆に言えば、図10に示す駆動方式によって、図9に示す従来の駆動方式と同等の感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/4に短縮される。従って、タッチパネルシステムの省電力化が可能となる。
図12は、このような直交系列駆動方式のタッチパネル3を備えたタッチパネルシステム1cを示す概略図である。すなわち、図12のタッチパネルシステム1cは、図10で示した4本のドライブライン、1本のセンスラインを一般化して示している。
具体的には、タッチパネルシステム1cは、M本のドライブライン35とL本のセンスライン33(M,Lはいずれも自然数)の間に、マトリクス状に静電容量が形成されている。タッチパネルシステム1cでは、これら静電容量のマトリックスCij(i=1,...,M,j=1,...,L)に対し、+1と−1から構成される互いに直交する符号長Nの符号di=(di1,...,diN)(i=1,...,M)を用いて、+1の場合は+Vボルト、−1の場合は−VボルトになるようにM本のドライブライン35を並列に全て同時に駆動する。そして、センスライン33毎に読み出した出力系列sj=(sj1,...,sjN)(j=1,...,L)と、符号diとの内積演算di・sj=Σ(k=1,...,N)dik・sjkにより、容量値Cijを推定するようになっている。タッチパネルシステム1cは、このような内積演算を行うために、電荷積分器(演算部)47を備えている。電荷積分器47からの出力信号(Vout)の信号強度は、
Vout=Cf×Vdrive×N/Cint
によって求められる。
出力系列sjは、
sj=(sj1,...,sjN)
=(Σ(k=1,...,M)Ckj×dk1,...,Σ(k=1,...,M)Ckj×dkN)×(Vdrive/Cint)
=(Σ(k=1,...,M)Ckj×(dk1,...,dkN)×(Vdrive/Cint)
=Σ(k=1,...,M)(Ckj×dk)×(Vdrive/Cint)
となる。
符号diと出力系列sjとの内積は、
di・sj=di・(Σ(k=1,...,M)(Ckj×dk)×(Vdrive/Cint))
=Σ(k=1,...,M)(Ckj×di・dk)×(Vdrive/Cint)
=Σ(k=1,...,M)(Ckj×N×δik)×(Vdrive/Cint) [δik=1 if i=k, 0 if else]
=Cij×N×(Vdrive/Cint)
となる。
このように、タッチパネルシステム1cによれば、直交系列駆動方式によりタッチパネル3を駆動する。このため、符号diと出力系列sjとの内積を算出することにより、容量Cijの信号がN(符号長)倍されて求まると一般化される。この駆動方式による効果は、ドライブライン35の本数Mに依存せず、キャパシタの信号強度はN倍になる。また、逆に言えば、直交系列駆動方式を採用することによって、図9に示す従来の駆動方式と同等の感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/Nに短縮される。つまり、ドライブラインの駆動回数を減らすことができる。従って、タッチパネルシステム1cの省電力化が可能となる。
〔実施の形態5〕
図13は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1dの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1dは、上述した図7で示されるノイズキャンセル機能付きタッチパネルシステム1bに対し、図10,図12で示されるタッチパネルシステム1cにおけるドライブライン35の直交系列駆動方式を適用したものである。タッチパネルシステム1dの動作については、上述したタッチパネルシステム1b,1cと同様であるため、説明を省略する。
タッチパネルシステム1dによれば、隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることになる。さらに、各センスライン33の出力信号から、サブセンスライン34の信号(ノイズ信号)も除去される。従って、タッチパネルシステム1dは、第1、第2の実施の形態のタッチパネルシステム1,1aに比べて、より確実にノイズを除去することができる。さらに、容量Cijの信号が、N(符号長)倍されて求まるため、ドライブライン35の数に依存せず、キャパシタの信号強度がN倍になる。また、直交系列駆動方式を採用することによって、図9に示す従来の駆動方式と同等の感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/Nに短縮される。つまり、ドライブラインの駆動回数を減らすことができる。従って、タッチパネルシステム1dの省電力化が可能となる。
〔実施の形態6〕
図14は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1eの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1eは、減算部41の構成が異なる。
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、AD変換部(第1のAD変換部)48とデジタル減算器(図示せず)とを備えている。
これにより、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)は、減算部41のAD変換部48にて、デジタル信号に変換される。デジタル減算器は、変換されたデジタル信号を用いて、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。
このように、タッチパネルシステム1eは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態7〕
図15は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1fの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1fは、減算部41の構成が異なる。
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、差動増幅器49とAD変換部48とを備えている。
これにより、差動増幅器49は、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。AD変換部48(第2のAD変換部)は、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
このように、タッチパネルシステム1fは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態8〕
図16は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1gの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1gは、減算部41の構成が異なる。タッチパネルシステム1gは、図15のタッチパネルシステム1fにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、全差動増幅器50とAD変換部48とを備えている。
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。AD変換部48は、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
図17は、全差動増幅器50の一例を示す回路図である。全差動増幅器50は、差動増幅器に対称に、2対の静電容量およびスイッチが配置されている。具体的には、非反転入力端子(+)と反転入力端子(−)とには、隣接するセンスライン33からの信号が入力される。差動増幅器の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)との間、および、差動増幅器の非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)の間には、同じ容量(フィードバック容量)が接続されている。さらに、反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)との間、および、非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)との間には、それぞれスイッチが接続されている。
このように、タッチパネルシステム1gは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態9〕
図18は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1hの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1hは、減算部41の構成及びタッチパネル3bの駆動方式が異なる。タッチパネルシステム1hは、図15のタッチパネルシステム1fにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、全差動増幅器50とAD変換部48とを備えている。
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。AD変換部48は、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
さらに、タッチパネルシステム1hにおいて、タッチパネル3bの駆動方式として、図10,図12,図13で示す直交系列駆動方式を適用している。この場合、図10に示すように、4本のドライブラインを駆動する電圧は、2回目〜4回目の場合は+Vの印加と−Vの印加が同数の2回であるのに対し、1回目の場合は+Vの印加が4回となっている。このため、1回目の出力系列Y1の出力値が、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値と比して大きくなる。このため、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値に、ダイナミックレンジを合わせると、1回目の出力系列Y1が飽和してしまうことになる。
そこで、タッチパネルシステム1hの減算部41は、全差動増幅器50を備えている。さらに、全差動増幅器50は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するものを採用している。つまり、この全差動増幅器50は、コモンモード入力レンジが広い。これにより、全差動増幅器50が、電源電圧(Vdd)からGNDまでの電圧範囲で動作可能となる。また、全差動増幅器50への入力信号の差分が増幅される。従って、どのような直交系列駆動方式のタッチパネル3bを組み合わせても、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。なお、全差動増幅器50の一例は、上述した図17の通りである。
このように、タッチパネルシステム1hは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。さらに、レールトゥレール(rail to rail)動作可能な全差動増幅器50を備えているため、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。
〔実施の形態10〕
実施の形態1〜9では、副センサ32(サブセンスライン34)を備えたタッチパネルシステムについて説明した。しかし、本発明のタッチパネルシステムにおいて、副センサ32は、必須の構成ではない。本実施形態では、副センサ32を備えていないタッチパネルパネルシステムについて説明する。
図20は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1iの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1iは、互いに隣接するセンスライン33の差分信号を算出する減算部41aを備えている。
より具体的には、タッチパネル3cは、複数本(図20では5本)のドライブライン35と、各ドライブライン35に交差する複数本(図20では8本)のセンスライン33とを備えている。センスライン33とドライブライン35とは、それぞれ互いに絶縁され、かつ、容量結合している。
タッチパネルコントローラ4は、入力側から順に、スイッチSW、減算部41a、記憶部45a〜45dを備えている。なお、図示しないが、タッチパネルコントローラ4は、座標検出部42とCPU43も備えている(図1参照)。
減算部41aは、主センサ31から出力された信号を受信するための入力端子(主センサ出力用の入力端子)を備えている。減算部41aは、主センサ31からの信号を受信し、互いに隣接するセンスライン33の信号を減算し、差分値(差分信号)を算出する。減算部41aで減算処理された信号は、座標検出部42(図1参照)に出力される。
このように、タッチパネルシステム1iは、副センサ32(サブセンスライン34)を備えない点、および、減算部41aの処理が、上述の実施形態のタッチパネルシステムと異なる。
スイッチSWは、センスライン33から減算部41aに入力される信号を切り替える。より詳細には、スイッチSWは、上下に2つの端子を備えており、一方の端子が選択される。図20は、スイッチSWが下側の端子を選択した状態である。
減算部41aは、スイッチSWで選択された配列(1)〜(8)の信号の差分信号処理を行う。すなわち、減算部41aは、隣接するセンスライン33間の差分信号処理を行う。例えば、図20のように、スイッチSWにより下側の端子が選択されている場合、減算部41aは、配列(8)−配列(7)、配列(6)−配列(5)、配列(4)−配列(3)、および配列(2)−配列(1)の各差分信号処理を行う。一方、図示しないが、スイッチSWにより上側の端子が選択されている場合、減算部41aは、配列(7)−配列(6)、配列(5)−配列(4)、および配列(3)−配列(2)の各差分信号処理を行う。
記憶部45a〜45dは、スイッチSWにより一方の端子が選択された場合の減算部41aによる差分処理された信号(差分処理信号)を記憶する。なお、スイッチSWにより他方の端子が選択された場合、差分処理信号は、記憶部45a〜45dを経由せず、直接出力される。
(2)タッチパネルシステム1iのノイズ処理
図20および図21に基づいて、タッチパネルシステム1iのノイズ処理について説明する。図21は、タッチパネルシステム1iの基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
タッチパネルシステム1iを起動すると、ドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3cにタッチ操作を行うと、タッチ位置に対応する特定のセンスライン33の容量が変化する。つまり、そのセンスライン33からの出力信号値が変化する。タッチパネルシステム1iは、各ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33からの出力信号を、タッチパネルコントローラ4に出力する。このように、タッチパネルシステム1iは、ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33の容量変化を検出し、タッチ操作の有無およびタッチ位置を検出する。
より詳細には、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3cに反映される。このため、主センサ群31bでは、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、センスライン33からの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている(F701)。
次に、スイッチSWにおいて、下側の端子を選択する(F702)。そして、減算部41aにおいて、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、一方のセンスライン(センスラインSn+1)との間の差分を取る(センスライン(Sn+1)−Sn:第1の差分)(F703)。
図20の配列(1)〜(8)の場合、減算部41aは、
・配列(2)−配列(1)(この差分値をAとする)
・配列(4)−配列(3)(この差分値をCとする)
・配列(6)−配列(5)(この差分値をEとする)
・配列(8)−配列(7)(この差分値をGとする)
の4つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF703では、センスライン33における配列(1)〜(8)の差分信号処理を行う。
減算部41aで算出された差分値A,C,E,Gは、記憶部45a〜45dに記憶される。すなわち、記憶部45aは差分値A,記憶部45bは差分値C、記憶部45cは差分値E、記憶部45dは差分値Gを、それぞれ記憶する(F704)。
次に、下側の端子が選択されているスイッチSWを、上側の端子を選択する(閉ざす)ように切り替える(F705)。そして、減算部41aにおいて、F703と同様に処理する。すなわち、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、他方のセンスライン(センスラインSn−1)との間の差分信号処理(センスライン(Sn+1)−Sn:第2の差分)を行う。(F706)。
図20の配列(1)〜(8)の場合、減算部41aは、
・配列(3)−配列(2)(この差分値をBとする)
・配列(5)−配列(4)(この差分値をDとする)
・配列(7)−配列(6)(この差分値をFとする)
の3つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF706では、配列(2)〜(7)の差分信号処理を行う。
以上のように、タッチパネルシステム1iは、隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることとなる。すなわち、主センサ群31bの出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネル3cに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
〔実施の形態11〕
図22は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1jの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1jは、上述した図20で示されるノイズキャンセル機能付きタッチパネルシステム1iに対し、ドライブライン35を並列駆動するドライブライン駆動回路(図示せず)を適用したものである。さらに、タッチパネルシステム1jは、減算部41aで算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部58と、非タッチ操作時に復号部58で復号化された静電容量の差分分布を記憶する非タッチ操作時情報記憶部61と、タッチ操作時に復号部58で復号化された静電容量の差分分布を較正する較正部62とを備えている。タッチパネルシステム1jの動作については、上述したタッチパネルシステム1iと同様であるため、説明を省略する。そこで、以下では、減算部41a復号部58、非タッチ操作時情報記憶部61、および較正部62での処理を中心に説明する。また、以下では、並列駆動のための符号列として、直交系列またはM系列を用いる例について説明する。
具体的には、ドライブラインの1番目からM番目までを並列駆動する符号系列(成分は1または−1)を、
= (d11,d12,・・・,d1N
= (d21,d22,・・・,d2N



= (dM1,dM2,・・・,dMN
とする。以下のこの系列を、直交系列、あるいは、符号長N(=2^n−1)のM系列をシフトした系列とする。このような系列では、以下の式が成立するという性質を有する。
Figure 2014519064
この系列に対応するセンスライン33の差分出力系列「Sj, P(j=1,..,[L/2], P=1,2)(Lはセンスライン33の数、[n]=nの整数部分)」を、
j,1:スイッチSWが下側の時のd〜 dに対する出力系列
j,2:スイッチSWが上側の時のd〜 dに対する出力系列
と定義する。
また、ドライブラインが延びる方向(センスライン33が配列する方向)の容量値の差分分布「(∂sC)kj,P(k=1,…,M, j=1,..,[L/2], P=1, 2)」を、
(∂sC)kj,1=Ck,2j − Ck,2j−1
(∂sC)kj,2=Ck,2j+1 − Ck,2j
と定義する。
この場合、並列駆動による容量のドライブライン35が延びる方向の差分出力は、以下の式のようになる。
Figure 2014519064
復号部58は、減算部41aで算出された静電容量の差分値(つまりドライブライン35が延びる方向の容量値の差分分布)を復号化する。具体的には、ドライブライン35を並列駆動する符号系列と、この系列に対応するセンスライン33の差分出力系列との内積を演算する。従って、復号部58による復号後の内積値は、以下の式のようになる。
Figure 2014519064
このように、復号部58では、復号後の内積値d・sj,P の主成分として、ドライブライン35が延びる方向の容量値の差分分布(∂sC)kj,PがN倍され算出される。従って、内積値d・sj,P を、ドライブライン35が延びる方向の容量値の差分分布(∂sC)ij,Pの推定値とすることにより、その容量値の信号強度をN倍(符号長倍)にした読み出しが可能になる。
一方、上述のように、センスライン33の差分出力系列Sj,P(P=1,2)を定義することによって、隣り合うセンスライン33に共通に重畳されるコモンモードノイズは、キャンセルされる。従って、SNRが高い差分容量の読み出しが可能となる。
以上のように、タッチパネルシステム1jによれば、タッチパネル3cが並列駆動され、復号部58が、減算部41aで算出された静電容量の差分値を、復号化する。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン35の数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、図9に示す従来の駆動方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブライン35の駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/Nに短縮される。つまり、ドライブライン35の駆動回数を減らすことができる。従ってタッチパネルシステム1jの省電力化が可能となる。
また、タッチパネルシステム1jにおいて、較正部62が、タッチ操作時に算出された互いに隣接するセンスライン33の差分(すなわち、タッチパネル3c全体における差分値の分布)から、非タッチ操作時に算出された互いに隣接するセンスライン33の差分(=タッチパネル全体における差分値の分布)を減算することが好ましい。すなわち、上述のような差分信号処理を、タッチ操作前後で行うと共に、タッチ操作前後の差分値信号を減算することが好ましい。例えば、タッチ操作の無い初期状態(非タッチ操作時)の差分分布(∂sC)kj,Pの推定値を非タッチ操作時情報記憶部61に記憶しておく。そして、較正部62が、タッチ操作時の差分分布(∂sC)kjの推定値から、非タッチ操作時情報記憶部61に記憶された非タッチ操作時の差分分布(∂sC)kj,Pの推定値を差し引く。このように、較正部62は、タッチ操作時の静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部61に記憶された非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算する(タッチ操作時の差分値信号−非タッチ操作時の差分値信号)。従って、タッチパネル3cに内在するオフセットをキャンセルすることができる。
このように、タッチパネルシステム1jでは、タッチパネル3cに内在する容量バラツキに起因する差成分は無くなり、タッチ操作に起因する差成分のみが検出される。M系列の場合は、直交系列では入らない誤差成分(δi j =-1/N if else i≠j)の混入がある。しかし、この誤差成分はタッチ操作に起因するものだけになるため、N=63または127のようにNを大きくすれば、SNRの劣化は少ない。
〔実施の形態12〕
図23は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1kの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1kは、減算部41aの構成が異なる。
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、AD変換部(第3のAD変換部)48aとデジタル減算器(図示せず)とを備えている。
これにより、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)は、減算部41aのAD変換部48aにて、デジタル信号に変換される。デジタル減算器は、変換されたデジタル信号を用いて、図20のタッチパネルシステム1i,1jと同様に減算処理を行う。
このように、タッチパネルシステム1kは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態13〕
図24は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1mの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1mは、減算部41aの構成が異なる。
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、差動増幅器49とAD変換部48a(第4のAD変換部)とを備えている。
これにより、差動増幅器49は、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図20のタッチパネルシステム1iと同様に減算処理を行う。AD変換部48aは、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
このように、タッチパネルシステム1mは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態14〕
図25は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1nの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1nは、減算部41aの構成が異なる。タッチパネルシステム1nは、図24のタッチパネルシステム1mにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、全差動増幅器50とAD変換部48aとを備えている。
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図20のタッチパネルシステム1iと同様に減算処理を行う。AD変換部48aは、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
このように、タッチパネルシステム1nは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態15〕
図26は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1oの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1oは、減算部41aの構成が異なる。タッチパネルシステム1oは、図26のタッチパネルシステム1mにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、全差動増幅器50とAD変換部48aとを備えている。
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図20のタッチパネルシステム1iと同様に減算処理を行う。AD変換部48aは、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
さらに、タッチパネルシステム1oにおいて、タッチパネル3cの駆動方式として、図10,図12,図22で示す直交系列駆動方式を適用している。この場合、図10に示すように、4本のドライブラインを駆動する電圧は、2回目〜4回目の場合は+Vの印加と−Vの印加が同数の2回であるのに対し、1回目の場合は+Vの印加が4回となっている。このため、1回目の出力系列Y1の出力値が、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値と比して大きくなる。このため、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値に、ダイナミックレンジを合わせると、1回目の出力系列Y1が飽和してしまうことになる。
そこで、タッチパネルシステム1oの減算部41aは、全差動増幅器50を備えている。
さらに、全差動増幅器50は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するものを採用している。つまり、この全差動増幅器50は、コモンモード入力レンジが広い。これにより、全差動増幅器50が、電源電圧(Vdd)からGNDまでの電圧範囲で動作可能となる。また、全差動増幅器50への入力信号の差分が増幅される。従って、どのような直交系列駆動方式のタッチパネル3cを組み合わせても、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。なお、全差動増幅器50の一例は、上述した図17の通りである。
このように、タッチパネルシステム1oは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。さらに、レールトゥレール(rail to rail)動作可能な全差動増幅器50を備えているため、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。
〔実施の形態16〕
次に、上述の実施形態に係るタッチパネルシステムによるタッチ操作の認識方法について説明する。以下では、図22のタッチパネルシステム1jを例に説明するが、他の実施形態のタッチパネルシステムについても同様である。タッチパネルシステム1jは、減算部41aおよび復号部58で算出された互いに隣接するセンスライン33の信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、タッチ操作の有無を判定する判定部59を備えている。なお、判定部59には、較正部62で較正処理された信号(静電容量の差分分布)、または、較正部62で較正処理されていない信号(静電容量の差分分布)が入力される。較正部62で較正処理されていない信号が、判定部59に入力される場合、復号部58で復号化された静電容量の差分分布が、判定部59に直接入力されることになる。以下では、較正部62で較正処理されていない信号が、判定部59に入力される場合について説明する。しかし、較正処理された信号が、判定部59に入力される場合も同様である。
図27は、図22のタッチパネルシステム1jにおける判定部59の基本処理を示すフローチャートである。図28は、図27のフローチャートにおけるタッチ情報の認識方法を示す模式図である。
図27のように、判定部59は、まず、減算部41aおよび復号部59で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分値(差分情報)「(∂sC)ij,P」を取得する(F801)。次に、この差分値を、判定部59に格納された正の閾値THpおよび負の閾値THmと比較し、増減表を作成する(F802)。この増減表は、例えば、図28の(a)に示すような、3値化された増減表である。
次に、3値化された増減表を2値画像に変換(2値化)する(F803)。例えば、図28の(a)の増減表において、センスラインS1〜センスラインS7の順(図中右向き)にスキャンする場合、増減表に「+」が出たら次の「−」がでるまですべて「1」、「−」がでたらスキャン方向と逆方向(図中左向き)に遡って全て「1」に変換する。これにより、図28の(b)に示すような2値化されたデータが得られる。
次に、2値化されたデータからタッチ情報を抽出するため、連結成分を抽出する(F804)。例えば、図28の(b)において、隣り合うドライブライン上で、同じセンスライン位置に「1」が重なった場合は、同一の連結成分であるとみなし、タッチ位置候補とする。すなわち、図28の(c)において、枠で囲った「1」は同一の連結成分であるとみなし、タッチ位置候補として抽出する。
最後に、抽出されたタッチ位置候補に基づいて、タッチ情報(タッチの大きさ、位置など)を認識する(F805)。
このように、判定部59は、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスライン33の信号の差分に基づいて、タッチ操作の有無を判定する。従って、タッチ操作の有無を正確に判定することができる。
さらに、上述の例では、判定部59が、減算部41aで算出された互いに隣接するセンスライン33の信号の差分と、正および負の閾値(THp,THm)との比較に基づいて、各センスライン33の信号の差分分布を3値化した増減表を作成すると共に、その増減表を2値画像に変換する。すなわち、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスラインの信号の差分が判定部59に入力される。判定部59は、互いに隣接するセンスライン33の信号の差分と、判定部59に格納された正および負の閾値(THp,THm)との比較とを用いて、各センスライン33の信号の差分分布を3値化した増減表を作成する。さらに、判定部59は、その増減表を2値化することにより、増減表が2値画像に変換される。これにより、変換された2値画像には、タッチ位置候補が抽出される。従って、この2値画像に基づいて、タッチ情報(タッチの大きさ、位置など)を認識することにより、タッチ操作の有無に加えて、タッチ情報をより正確に認識することができる。
〔実施の形態17〕
図29は、タッチパネルシステム1を搭載した携帯電話機10の構成を示す機能ブロック図である。携帯電話機(電子機器)10は、CPU51と、RAM53と、ROM52と、カメラ54と、マイクロフォン55と、スピーカ56と、操作キー57と、タッチパネルシステム1とを備えている。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。
CPU51は、携帯電話機10の動作を制御する。CPU51は、たとえばROM52に格納されたプログラムを実行する。操作キー57は、携帯電話機10のユーザによる指示の入力を受ける。RAM53は、CPU51によるプログラムの実行により生成されたデータ、または操作キー57を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM52は、データを不揮発的に格納する。
また、ROM52は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの書込みおよび消去が可能なROMである。なお、図20には示していないが、携帯電話機10が、他の電子機器に有線により接続するためのインターフェイス(IF)を備える構成としてもよい。
カメラ54は、ユーザの操作キー57の操作に応じて、被写体を撮影する。なお、撮影された被写体の画像データは、RAM53や外部メモリ(たとえば、メモリカード)に格納される。マイクロフォン55は、ユーザの音声の入力を受付ける。携帯電話機10は、当該入力された音声(アナログデータ)をデジタル化する。そして、携帯電話機10は、通信相手(たとえば、他の携帯電話機)にデジタル化した音声を送る。スピーカ56は、たとえば、RAM53に記憶された音楽データなどに基づく音を出力する。
タッチパネルシステム1は、タッチパネル3とタッチパネルコントローラ4とドライブライン駆動回路5と表示装置2とを有している。CPU51は、タッチパネルシステム1の動作を制御する。CPU51は、例えばROM52に記憶されたプログラムを実行する。RAM53は、CPU51によるプログラムの実行により生成されたデータを揮発的に格納する。ROM52は、データを不揮発的に格納する。
表示装置2は、ROM52、RAM53に格納されている画像を表示する。表示装置2は、タッチパネル3に重ねられているか、タッチパネル3を内蔵している。
〔実施の形態18〕
上述した各実施形態のタッチパネルシステムは、以下のような構成をさらに備えることもできる。
〔タッチパネルシステム1pの構成〕
図31は、電子機器が備えている、本実施の形態に係るタッチパネルシステムの概略構成を示すブロック図である。
タッチパネルシステム1pは、タッチパネル11およびタッチパネルコントローラ12を備えている。タッチパネル11およびタッチパネルコントローラ12は、タッチパネル11における複数箇所が同時にタッチされたことを検出することが可能であるように構成されている。該構成の一例として、いわゆる静電容量方式のタッチパネルが挙げられる。
タッチパネル11は、表示装置の表示画面(図示しない)に重ねて配置されている。該表示装置としては、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機EL表示装置、および電界放出ディスプレイ等が挙げられる。タッチパネル11の具体例としては、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の、持ち運び可能な機器(携帯型の機器)である電子機器に設けられたタッチパネルが挙げられる。
タッチパネル11は、垂直方向(図31中、X方向)に設けられていると共に互いに平行に設けられている、複数のドライブラインを備えている。また、タッチパネル11は、水平方向(図31中、Y方向)に設けられていると共に互いに平行に設けられている、複数のセンスライン(S0、S1、S2、・・・Sn−1)を備えている。さらに、タッチパネル11は、複数のドライブラインと複数のセンスラインとが交差する箇所にそれぞれ形成された、複数の静電容量(図示しない)を備えている。
タッチパネルコントローラ12は、タッチパネル11を用いたタッチ操作(タッチパネル11のタッチに応じた、上記電子機器に対する指示)が可能であるように構成されているシステムである。本願明細書において、タッチパネルコントローラ12は、該タッチ操作を実現するための構成要素であって、タッチパネル11を除く構成を意味するものとする。
タッチパネルコントローラ12は、ドライブライン駆動部13、増幅回路14、信号選択部15、A/D(アナログ‐デジタル)変換部16、復号処理部17、タッチ位置検出部18、およびタッチ無効化部19を備えている。タッチパネルシステム1pには、ホストコンピュータ20が設けられている。
ドライブライン駆動部13は、複数のドライブラインに電圧を印加して、該複数のドライブラインを駆動することにより、複数の静電容量に電荷を供給する。
増幅回路14は、上記複数の静電容量に蓄積された電荷の線形和信号をセンスライン毎に読み出し、信号選択部15に供給する。
信号選択部15は、センスライン毎に読み出された複数の上記線形和信号の一つを選択し、A/D変換部16に供給する。
A/D変換部16は、信号選択部15により選択された上記線形和信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換し、復号処理部17に供給する。
復号処理部17は、A/D変換部16から供給された上記線形和信号を復号して、静電容量分布を求め、タッチ位置検出部18に供給する。
タッチ位置検出部18は、上記静電容量分布から、タッチされたタッチパネル11の箇所を、X座標およびY座標の分布に従って検出し、タッチ無効化部19に供給する。
タッチ無効化部19は、上記タッチされたタッチパネル11の箇所が、所定期間継続してタッチされたか否かを検出する。ここで、所定期間は、1秒〜数秒程度であり、例えば2秒が目安となる。そして、タッチ無効化部19は、上記タッチされたタッチパネル11の箇所が、所定期間継続してタッチされた場合、該タッチに応じたタッチ操作を無効とする。
タッチ無効化部19は、上記タッチ操作を有効とするときに、上記タッチされたタッチパネル11の箇所を示す情報をホストコンピュータ20に供給する。一方、タッチ無効化部19は、上記タッチ操作を無効とするときに、該情報をホストコンピュータ20に供給せず待機する。
すなわち、タッチ無効化部19は、タッチパネル11における同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、タッチパネル11を備えた電子機器に対する指示を無効とする機能を有している。
ホストコンピュータ20は、例えばCPU(Central Processing Unit:コンピューターの中央演算処理装置)により構成されている。ホストコンピュータ20は、タッチ無効化部19から供給された情報に応じて、電子機器を制御する。具体例として、ホストコンピュータ20は、タッチ無効化部19から供給された情報に応じた表示データを、電子機器に設けられた表示装置に供給し、該表示装置の表示画面に画像を表示させる。
〔タッチ無効化部の実施例1〕
図30は、本実施の形態に係るタッチ無効化部19により、タッチ操作を無効化する一実施例を示すグラフである。
図30のグラフは、縦軸がタッチ検出値を示しており、横軸が経過時間を示している。
本実施例では、タッチパネル11における特定の1箇所に、物体が接触する場合の例について説明する。
タッチパネル11に物体が接触すると、この接触の度合(タッチパネル11への圧力、接触の範囲等)に応じて、接触の箇所に対応する静電容量に対応するタッチ検出値が大きくなる。タッチパネルコントローラ12のタッチ位置検出部18は、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dth以上であるか、またはタッチ基準閾値Dthを超えているときに、接触の箇所に対するタッチが行われていると判断する。タッチ検出値がタッチ基準閾値Dth未満またはタッチ基準閾値Dth以下となるまでの間、タッチが継続しているとみなされる。
なお、通常、人の指によってタッチパネル11に接触する程度であれば、この接触に伴い大きくなったタッチ検出値は、タッチ基準閾値Dthを超えることとなる。従って、ここでは、タッチ位置検出部18が、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えているときに、タッチが行われていると判断し、タッチ基準閾値Dth以下であれば、タッチが行われていないと判断するものとする。
図30のグラフでは、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えた値D1となった瞬間の時刻T1が、タッチ位置検出部18により、タッチが行われていると最初に判断された(タッチが開始された)時間に相当し、この瞬間をタッチの開始時刻T1としている。
タッチ無効化部19は、上記のタッチが所定期間継続するか否かを検出する。換言すれば、タッチ無効化部19は、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えている期間が、所定期間継続するか否かを検出する。
このとき、タッチ無効化部19は、上記所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値Tthを参照して、上記の検出を行う。タッチ時間閾値Tthとして設定された時間は、該時間を幅とする(該時間に渡る)一定の期間を示す。図30のグラフでは、タッチの開始時刻T1から、タッチの開始時刻T1に対してタッチ時間閾値Tth(所定期間)後に相当する時間である時刻T2までの期間が、タッチ時間閾値Tthの時間に相当し、このときのタッチ時間閾値Tthは、(時刻T2−時刻T1)となる。
このように、タッチ無効化部19は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値Tthの間、タッチが継続したか否かを判断するのが好ましい。
これにより、接触の箇所が所定期間継続してタッチされたか否かを、簡単な構成により判断することができる。
つまり、タッチ無効化部19は、タッチの継続期間TA・TB(タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超え続けている期間)が、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上であるか否かを検出する。
時刻T1で開始され時刻T3で終了するタッチの継続期間TAが、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上であるとき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続したと判断する。そして、この判断に基づいて、タッチ無効化部19は、該タッチに応じたタッチ操作を無効とする(図30中の継続期間TA参照)。
一方、時刻T4で開始され時刻T5で終了するタッチの継続期間TBが、時刻T4で開始され時刻T6で終了するタッチ時間閾値Tthが示す時間未満であるとき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続しなかったと判断する。そして、この判断に基づいて、タッチ無効化部19は、該タッチに応じたタッチ操作を有効とする(図30中の継続時間TB参照)。
タッチ無効化部19は、タッチパネル11における同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、このタッチによる電子機器に対する指示を無効とする。これにより、例えば電子機器を持つ手がタッチパネル11に接触する場合のように、タッチパネル11に対する物体の意図しない接触が継続するとき、該接触による指示は行われない。このため、タッチパネル11に対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
また、前述した従来技術のように、上記の誤動作を防止するために、タッチが行われているか否かの判断基準を変更する必要は無い。従って、タッチの有無を検出する感度の低下については、抑制することが可能となる。
図32は、本実施の形態に係るタッチ無効化部19により、タッチ操作を無効化する一実施例を示すフローチャートである。
まず、タッチ位置検出部18は、接触の箇所に対応するタッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えているか否かを判断することにより、接触の箇所がタッチされているか否かを判断する(ステップF1)。タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えていない(ステップF1の結果がNoである)とき、改めて該判断を行う。
タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えている(ステップF1の結果がYesである)とき、タッチ無効化部19は、タッチの継続期間が、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上であるか否かを検出する(ステップF2)。
タッチの継続期間が、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上である(ステップF2の結果がYesである)とき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続したと判断し、該タッチに応じたタッチ操作を無効とする(ステップF31)。
一方、タッチの継続期間が、タッチ時間閾値Tthが示す時間未満である(ステップF2の結果がNoである)とき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続しなかったと判断し、該タッチに応じたタッチ操作を有効とする(ステップF32)。
〔タッチ無効化部の実施例2〕
図33は、本実施の形態に係るタッチ無効化部19により、タッチ操作を無効化する別の実施例を示すグラフである。
図33のグラフは、図30のグラフに基づいている。以下では、図33のグラフを参照した説明を行うが、図30のグラフを参照した説明と異なる内容についてのみ説明し、その他の説明については便宜上省略する。
図30のグラフに示す実施例では、タッチ検出値によりタッチが行われているか否かを判断するための閾値であるタッチ基準閾値Dthが、時間経過に拘らず一定であった。
一方、図33のグラフに示す実施例は、タッチ無効化部19が、時間経過に応じてタッチ基準閾値を変化させる例である。
図33のグラフに示す実施例において、タッチ無効化部19は、タッチの開始時刻T1から時刻T2までのタッチ時間しきい値Tthの期間に渡って、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超える値D1になったことにより、該タッチ基準閾値をDthからαだけ増加させる。すなわち、タッチ無効化部19は、タッチがタッチ時間しきい値Tth(所定期間)継続したときに、タッチ基準閾値を一定期間Dthからαだけ増加させる。ここで、一定期間は、例えば表示装置または電子機器の電源をオフにするまでの期間、またはそれより短い期間が挙げられる。また、増加後のタッチ基準閾値(Dth+α)は、少なくとも人の指によってタッチパネル11に接触する程度のタッチ検出値より十分大きく、タッチパネル11に接触することがタッチであると判断されない程度の値とするのが好ましい。
これにより、タッチ基準閾値をDthからαだけを増加させた後、すなわち図33中の時刻T2より後の時間において、タッチ無効化部19は、タッチの継続期間に関係無くタッチ操作を無効とすることができる。この場合、時刻T4で開始され時刻T5で終了するタッチの継続期間TBが、時刻T4で開始され時刻T6で終了するタッチ時間閾値Tthが示す時間未満であっても、タッチ無効化部19は、上記のタッチに応じたタッチ操作を無効とすることができる。
タッチの継続期間が、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上であるとき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続したと判断し、該タッチに応じたタッチ操作を無効とすると共に、タッチ基準閾値をDthからαだけ増加させる(図33中の期間TA参照)。
タッチ基準閾値をDthからαだけ増加させた後、次のタッチに対応するタッチの継続期間TBが、タッチ時間閾値Tthが示す時間未満であっても、タッチ検出値D1がタッチ基準閾値(Dth+α)以下になることから、タッチ無効化部19は、上記のタッチに応じたタッチ操作を無効とする(図33中の期間TB参照)。
このように、タッチ無効化部19は、所定期間継続してタッチされたときに、タッチ基準閾値を増加させて、該タッチに応じたタッチ操作を一定期間無効とする構成とすることもできる。
これにより、タッチパネル11に対する物体の意図しない接触が、短期間に何度も発生する場合であっても、タッチ無効化部19は、1度機能するだけで、該接触の度に発生し得る誤動作を防止することが可能となる。
また、同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、タッチ無効化部19がタッチ基準閾値を増加させることにより、この箇所に対するタッチに応じた指示を一定期間無効とすることを、簡単な構成により実現することができる。
〔電子機器の構成〕
図34は、本実施の形態に係る電子機器80の概略構成の一例を示すブロック図である。
図34に示す電子機器80は、携帯型の機器であり、ここでは、スマートフォンの構成例を示している。
電子機器80は、バスライン81を備えている。そして、電子機器80は、バスライン81に接続されている、記憶部82、カメラ部83、入力操作部84、通信処理部85、画面表示部86、音声出力部87、および制御部88を備えている。
記憶部82は、例えばROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)およびRAM(Random Access Memory:随時書込・読出メモリ)によって構成されている。記憶部82には、カメラ部83により撮像した画像のデータ、画面表示部86の主要部である表示画面に表示させる画像等の、各種のデータが格納されている。
カメラ部83は、例えば撮像レンズおよび撮像素子を備えた撮像モジュールにより構成されている。カメラ部83は、物体(被写体)の撮像を行うものである。
入力操作部84は、タッチパネル89および入力ボタン群90を備えている。
タッチパネル89は、タッチパネル11(図31参照)と同じ構成であり、上記表示画面に重ねて配置されている。タッチパネル89は、タッチする箇所、タッチの継続期間等に応じて、様々な指示を電子機器80に対して行うことができる。
入力ボタン群90は、電子機器80の筐体(図示しない)等に設けられた複数のボタンである。入力ボタン群90は、押下するボタン、押下する複数のボタンの組み合わせ、ボタンを押下する期間またはタイミング等に応じて、様々な指示を電子機器80に対して行うことができる。
通信処理部85は、テレビジョン放送の受信、インターネットをはじめとする各種通信ネットワークへの接続、他の端末との通信(携帯端末の場合、通話等)といった、電子機器80から電子機器80外部への通信を担っている。通信処理部85は、電波を送受信する各種のアンテナおよびその周辺回路(周辺機器)等を備えている。
画面表示部(表示装置)86は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機EL表示装置、および電界放出ディスプレイのいずれかであり、画像を表示する表示画面を備えた表示装置である。上述したとおり、タッチパネル89は、画面表示部86の主要部である表示画面に重ねて配置されているが、ここでは、その詳細な構造については、図示および説明を省略している。
音声出力部87は、スピーカ等を備えており、外部に音を出力するものである。
制御部88は、バスライン81を介して、記憶部82、カメラ部83、入力操作部84、通信処理部85、画面表示部86、および音声出力部87を統括的に制御する。また、該制御のため、制御部88は、必要に応じて、保存すべきデータを記憶部82に書き込んだり、所望のデータを記憶部82から読み出したりする。
制御部88は、主にCPUにより構成されており、ホストコンピュータ20(図31参照)がこれに該当する。但し、タッチパネル11からの入力に基づく信号処理を行うことを考慮すると、ハードウェアを含むタッチパネルコントローラ12(図31参照)の各構成要素が、制御部88に含まれると解釈することができる。
これにより、タッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネル11に対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することを可能とする電子機器80を実現することができる。
〔タッチ無効化部の実施例3〕
タッチ無効化部19が機能する(同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、タッチに応じた電子機器に対する指示を無効とする)タッチパネル11の部分を、タッチパネル11における一部の領域に制限することが可能である。こうした実施例について、図35の(a)および(b)を参照して説明する。
図35の(a)および(b)は、本実施の形態に係るタッチ無効化部19により、タッチ操作を無効化するさらに別の実施例を示す図である。
図35の(a)および(b)に示すタブレット端末(電子機器)200は、表示画面に重ねて配置されたタッチパネル11、重力センサ201、および額縁202を備えている。また、図示はしていないが、タブレット端末200は、タッチパネルコントローラ12(図31参照)を備えている。
以下では、図35の(a)および(b)の図示内容に従って、タブレット端末200の平面形状が略長方形であり、その短辺を構成する額縁202の部分に重力センサ201が設けられているものとする。また、タブレット端末200の短辺が地面と対向するようにタブレット端末200を持った状態(図35の(a)参照)を縦持ちと称し、タブレット端末200の長辺が地面と対向するようにタブレット端末200を持った状態(図35の(b)参照)を横持ちと称する。
重力センサ201は、重力(地面)に対するタブレット端末200の向きを検出するものである。タブレット端末200は、重力センサ201による、重力に対するタブレット端末200の向きの検出結果に応じて、その機能および動作等を制御することが可能であるように構成されている。
タブレット端末に限らず、電子機器では、重力センサを備えていることにより、該電子機器の向きに応じた制御が可能になることが周知である。例えば、タブレット端末200では、図35の(a)に示す縦持ちの場合と、図35の(b)に示す横持ちの場合とで、表示画像の向きを異ならせるといった制御を行うことができる。
図35の(a)に示すとおり、タブレット端末200を縦持ちするとき、タブレット端末200を持つ手(物体)203は、タブレット端末200の長辺を構成する額縁202の部分に位置するのが一般的である。そして、この手203の近くに位置するタッチパネル11の部分については、意図せずに手203が接触してしまう虞が高いと考えられる。
そこで、タブレット端末200を縦持ちするときは、タッチパネル11における、タブレット端末200の長辺を構成する額縁202の部分の近傍のみを、タッチ無効化部19が機能する領域とすることが考えられる。タッチ無効化部19が機能する領域204が、その具体例に該当する。
一方、図35の(b)に示すとおり、タブレット端末200を横持ちするとき、タブレット端末200を持つ手203は、タブレット端末200の短辺を構成する額縁202の部分に位置するのが一般的である。そして、この手203の近くに位置するタッチパネル11の部分については、意図せずに手203が接触してしまう虞が高いと考えられる。
そこで、タブレット端末200を横持ちするときは、タッチパネル11における、タブレット端末200の短辺を構成する額縁202の部分の近傍のみを、タッチ無効化部19が機能する領域とすることが考えられる。タッチ無効化部19が機能する領域205が、その具体例に該当する。
タブレット端末200では、タッチパネル11の特定箇所に長時間タッチすること(いわゆる、長押し)による、タブレット端末200に対する指示を実現したい場合がある。そして、このような長時間のタッチが行われることが予想されるタッチパネル11の領域を、タッチ無効化部19の機能が発揮される領域とするのは好ましくない。そこで、上記の構成によれば、タッチパネル11の特定箇所に長時間タッチすることによる該指示の実現と、タッチ無効化部19によるタッチの無効化とを同時に実現させることが容易となる。
また、タブレット端末200では、その向きに応じて、タッチ無効化部19が機能する領域として好適である位置を変化させるべき場合がある。重力に対するタブレット端末200の向きを検出し、その検出結果に応じて該領域を変化させることで、タブレット端末200の向きの変化に対応して、タッチ無効化部19を機能させることが可能となる。
以上の説明では、タブレット端末200に重力センサ201を設け、この重力センサ201によって検出された重力に対するタブレット端末200の向きに応じて、タッチ無効化部19が機能する領域を変化させる実施例について説明した。しかしながら、タッチ無効化部19が機能する領域は、予め定められた固定の領域であってもよい。
例えば、予め、タブレット端末200を持つときに、タッチパネル11に手203が接触する虞が高いと予想されるタッチパネル11の領域を、タッチ無効化部19が機能する領域としてもよい。また、額縁202の近傍に位置するタッチパネル11の部分全体を、タッチ無効化部19が機能する領域としてもよい。こうすることにより、重力センサ201による検出結果に応じた制御を行うまでもなく、タッチ無効化部19が機能する領域を定めることができる。
なお、本発明は、以下のように表現することもできる。
〔1〕複数のセンサを持つタッチパネルと、前記センサからの信号を入力し、データを読み取るタッチパネルコントローラとからなるタッチパネルシステムに関して、前記タッチパネルは、使用者がタッチ操作を行うことにより信号を入力する主センサと、前記主センサと同じタッチパネル上に設置された副センサとを備え、前記タッチパネルコントローラは、前記主センサからの信号と前記副センサからの信号を受信し、前記主センサからの信号から、前記副センサからの信号を減算する減算手段とを有することを特徴とするタッチパネルシステム。
〔2〕前記副センサが、使用者がタッチ操作により接触することなく、センサに発生するノイズを検出することを特徴とする上記〔1〕に記載のタッチパネルシステム。
〔3〕前記主センサと前記副センサとが隣接して設置されていることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕に記載のタッチパネルシステム。
〔4〕表示装置と、前記表示装置の表示画面の上部等に配置され、複数のセンサ群をマトリクス状に配置したタッチパネルと、前記センサ群からの信号を入力し、データを読み取るタッチパネルコントローラとからなるタッチパネルシステムに関して、前記タッチパネルは、使用者がタッチ操作を行うことにより信号を入力する主センサ群と、前記主センサ群と同じタッチパネル上に設置された副センサ群とを備え、前記タッチパネルコントローラは、前記主センサ群からの信号と前記副センサ群からの信号を受信し、前記主センサ群からの信号から、前記副センサ群からの信号を減算する減算手段とを有することを特徴とするタッチパネルシステム。
〔5〕前記副センサ群が、使用者がタッチ操作により接触することなく、センサ群に発生するノイズを検出することを特徴とする上記〔4〕に記載のタッチパネルシステム。
〔6〕前記主センサ群と前記副センサ群とが隣接して設置されていることを特徴とする上記〔4〕または〔5〕に記載のタッチパネルシステム。
〔7〕前記表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、FEDディスプレイであることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のタッチパネルシステム。
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかのタッチパネルシステムを備えたことを特徴とする電子機器。
上記各構成によれば、タッチパネル内に、タッチ操作を検出する主センサ部と、ノイズ検出用の副センサ部とを備え、減算部が、主センサ部と副センサ部との信号の差分を取る。これにより、主センサ部からの出力信号からノイズ信号が除去され、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。それゆえ、除去対象となるノイズ成分は、ノイズを含む信号中のAC信号成分に限られることなく、タッチパネルに反映されるノイズ成分の全てである。つまり、基本的にノイズ成分を全てキャンセルすることが可能であるタッチパネルシステムおよび電子機器を提供することが可能となる。
また、本発明は、以下のように記載することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部は、複数のセンスラインを備え、上記副センサ部は、センスラインと同一方向に延びるサブセンスラインを備え、
上記減算部は、
上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、および、
センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))を算出すると共に、
サブセンスラインとサブセンスラインに隣接するセンスラインとの差分である第3の差分を算出し、
上記タッチパネルコントローラは、上記第1の差分と第2の差分と第3の差分とを加算する加算部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、減算部が、隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることになる。さらに、各センスラインの出力信号から、サブセンスラインの信号(ノイズ信号)も除去される。従って、より確実にノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記センスラインおよびサブセンスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインまたはサブセンスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、直交系列またはM系列を用いて、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記センスラインおよびサブセンスラインごとの出力信号を読み出し、その出力信号と上記ドライブラインを並列駆動する符号系列とを内積し、上記静電容量の容量値を算出する演算部を備えていてもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルが直交系列駆動方式により駆動される。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、従来方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブラインの駆動回数を減らすことができ、省電力化が可能となる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインまたはサブセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第1のAD変換部を備え、
上記減算部は、上記第1のAD変換部でデジタル信号を用いて上記第1の差分〜第3の差分を算出するようになっていてもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインまたはサブセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第2のAD変換部を備え、
上記第2のAD変換部は、上記減算部により上記アナログ信号を用いて算出された上記第1の差分〜第3の差分をデジタル信号に変換するようになっていてもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記アナログ信号を用いて上記第1の差分〜第3の差分を算出する全差動増幅器を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、全差動増幅器によって、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記全差動増幅器は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するようになっていることが好ましい。
上記の構成によれば、レールトゥレール(rail to rail)動作可能な全差動増幅器を備えている。これにより、全差動増幅器が、電源電圧(Vdd)からGNDまでの電圧範囲で動作可能となる。従って、全差動増幅器からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記加算部は、上記サブセンスラインからの距離が近い順に加算処理を進め、加算結果を次の加算処理に用いるようになっていることが好ましい。
上記の構成によれば、加算部が、加算結果を利用しながら、サブセンスラインから離れる方向に順次加算処理を進める。従って、加算処理速度を高めることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記副センサ部は、上記タッチパネルのタッチ操作を検出しないようになっていてもよい。
上記の構成によれば、タッチ操作による信号が副センサ部で検出されないため、副センサ部からの出力信号には、タッチ操作による信号が含まれない。これにより、減算部の減算処理によって、タッチ操作の信号値が低減されることはない。つまり、主センサ部で検出されたタッチ操作の信号が低減されることなく、ノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記副センサ部は、上記タッチパネル上のタッチ操作されない領域に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、副センサ部が、使用者がタッチ操作する領域(タッチ領域)を避けて設けられている。このため、副センサ部は、使用者がタッチ操作することなく、タッチパネルに反映されたノイズを検出するが、タッチ操作による信号を検出しない。従って、副センサ部が、タッチ操作を検出するのを確実に回避することができる。
つまり、上記の構成によれば、タッチ操作による信号が副センサ部で検出されないため、副センサ部からの出力信号には、タッチ操作による信号が含まれない。これにより、減算部の減算処理によって、タッチ操作の信号値が低減されることはない。つまり、主センサ部で検出されたタッチ操作の信号が低減されることなく、ノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部と副センサ部とが、互いに隣接して設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、主センサ部と副センサ部とが、最も接近して配置される。つまり、主センサ部と副センサ部とが、略同一条件の配置状態となる。このため、副センサ部からの出力信号に含まれるノイズ信号値は、主センサ部からの出力信号に含まれるノイズ信号値と同一であるとみなすことができる。これにより、減算部による減算処理によって、タッチパネルに反映されたノイズ成分を、より確実に除去することができる。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部は、1個の主センサからなるものであってもよい。
上記の構成によれば、主センサ部が、単数の主センサから構成されている。これにより、タッチ操作の有無を検出することのできるタッチパネルシステムを提供することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部は、マトリクス状に配置された複数の主センサからなるものであってもよい。
上記の構成によれば、主センサ部が、マトリクス状に配置された複数の主センサから構成されている。これにより、タッチ操作の有無と共にタッチ位置を検出することのできるタッチパネルシステムを提供することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記ドライブラインが延びる方向における静電容量の差分を算出し、
上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、タッチパネルが並列駆動され、復号部が、減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、従来方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブラインの駆動回数を減らすことができ、省電力化が可能となる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第3のAD変換部を備え、
上記減算部は、上記第3のAD変換部でデジタル信号を用いて算出された、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出してもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第4のAD変換部を備え、
上記第4のAD変換部は、上記減算部により上記アナログ信号を用いて算出された上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分をデジタル信号に変換してもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記アナログ信号を用いて上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する全差動増幅器を備えていてもよい。
上記の構成によれば、全差動増幅器によって、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、非タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布を記憶する非タッチ操作時情報記憶部と、タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部に記憶された、非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算し、静電容量の差分分布を較正する較正部とを備える構成であってもよい。
上記の構成によれば、非タッチ操作時情報記憶部が、復号部で復号化された非タッチ操作時における静電容量の差分分布を記憶している。そして、較正部は、タッチ操作時の静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部に記憶された非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算する。つまり、較正部は、(タッチ操作時の静電容量の差分分布)−(非タッチ操作時の静電容量の差分分布)を算出する。従って、タッチパネルに内在するオフセットをキャンセルすることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、タッチ操作の有無を判定する判定部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、判定部が、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスラインの信号の差分に基づいて、タッチ操作の有無を判定する。従って、タッチ操作の有無を正確に判定することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記判定部は、上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、各センスラインの信号の差分分布を3値化した増減表を作成すると共に、その増減表を2値画像に変換することによって、タッチ情報を抽出することが好ましい。
上記の構成によれば、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスラインの信号の差分が判定部に入力される。判定部は、互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、判定部に格納された正および負の閾値との比較とを用いて、各センスラインの信号の差分分布を3値化した増減表を作成する。さらに、判定部は、その増減表を2値化することにより、増減表が2値画像に変換される。これにより、変換された2値画像には、タッチ位置候補が抽出される。従って、この2値画像に基づいて、タッチ情報(タッチの大きさ、位置など)を認識することにより、タッチ操作の有無に加えて、タッチ情報をより正確に認識することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、表示装置をさらに備え、上記タッチパネルは、上記表示装置の前面に設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、タッチパネルが表示装置の前面に設けられているため、表示装置に発生するノイズを確実に除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ、電解放出ディスプレイであることが好ましい。
上記の構成によれば、表示装置が、日常的な電子機器に多用されている各種ディスプレイから構成されている。従って、汎用性の高いタッチパネルシステムを提供することができる。
本発明のタッチパネルシステムは、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、タッチ無効化部は、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、このタッチによる電子機器に対する指示を無効とする。これにより、例えば電子機器を持つ手がタッチパネルに接触する場合のように、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が継続するとき、該接触による指示は行われない。このため、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
また、上記の構成によれば、上記の誤動作を防止するために、タッチが行われているか否かの判断基準を変更する必要は無い。従って、タッチの有無を検出する感度の低下については、抑制することが可能となる。
また、本発明の電子機器は、本発明のタッチパネルシステムと、上記タッチパネルに対応する表示装置とを備えており、上記タッチパネルシステムおよび表示装置は、上記タッチパネルにおける複数箇所が同時にタッチされたことを検出することが可能であるように構成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明のタッチパネルシステムと同様に、タッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することを可能とする電子機器を実現することができる。
以上のとおり、本発明のタッチパネルシステムは、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備えている構成である。
従って、タッチパネルのタッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能であるという効果を奏する。
また、本発明のタッチパネルシステムの、上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断するのが好ましい。
上記の構成によれば、上記箇所が所定期間継続してタッチされたか否かを、簡単な構成により判断することができる。
また、本発明のタッチパネルシステムの、上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とするのが好ましい。
上記の構成によれば、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が、短期間に何度も発生する場合であっても、タッチ無効化部は、1度機能するだけで、該接触の度に発生し得る誤動作を防止することが可能となる。
また、本発明のタッチ無効化部は、上記箇所への物体の接触の度合を示す信号のレベルが、該レベルの基準となるタッチ基準閾値以上であるか、または該タッチ基準閾値を超えているときに、上記箇所に対するタッチが行われていると判断し、上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、上記タッチ基準閾値を増加させるのが好ましい。
上記の構成によれば、上記箇所に対するタッチに応じた指示を一定期間無効とすることを、簡単な構成により実現することができる。
また、本発明の電子機器は、上記タッチパネルにおける一部の領域のみが、上記タッチ無効化部が機能する上記箇所とされているのが好ましい。
上記の構成によれば、タッチパネルにおける一部の領域のみを、タッチ無効化部の機能が発揮される領域とすることができる。
電子機器では、タッチパネルの特定箇所に長時間タッチすること(いわゆる、長押し)による、該電子機器に対する指示を実現したい場合がある。そして、このような長時間のタッチが行われることが予想されるタッチパネルの領域を、タッチ無効化部の機能が発揮される領域とするのは好ましくない。そこで、上記の構成によれば、タッチパネルの特定箇所に長時間タッチすることによる該指示の実現と、タッチ無効化部によるタッチの無効化とを同時に実現させることが容易となる。
特に、本発明の電子機器において、上記一部の領域は、上記電子機器を持つ手が上記タッチパネルに接触する領域であるのが好ましい。
また、本発明の電子機器は、重力に対する該電子機器の向きを検出する重力センサを備えており、上記タッチ無効化部は、上記重力センサの検出結果に応じて、上記一部の領域を変化させるのが好ましい。
電子機器では、その向きに応じて、上記一部の領域として好適である位置を変化させるべき場合がある。上記の構成によれば、重力に対する電子機器の向きを検出し、その検出結果に応じて上記一部の領域を変化させることで、電子機器の向きの変化に対応して、タッチ無効化部を機能させることが可能となる。
また、本発明の電子機器は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示装置、および電界放出(FED)ディスプレイのいずれかであり、画像を表示する表示画面を備えた表示装置を備えており、上記タッチパネルは、上記表示装置の表示画面に重ねて配置されているのが好ましい。
また、本発明の電子機器は、上記タッチパネルは、垂直方向に設けられていると共に互いに平行に設けられている、複数のドライブラインと、水平方向に設けられていると共に互いに平行に設けられている、複数のセンスラインと、上記複数のドライブラインと上記複数のセンスラインとが交差する箇所にそれぞれ形成された、複数の静電容量とを備えているのが好ましい。
換言すれば、本発明に係るタッチパネルは、いわゆる静電容量方式のものであるのが好ましい。
また、本発明の電子機器は、携帯型の機器である。ここで言う、携帯型の機器としては、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の、持ち運び可能な機器が挙げられる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。すなわち、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、各実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本発明の範囲に含まれることが意図される。
本発明は、テレビ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、電子フォトフレーム、携帯情報端末、電子ブック、家電製品、券売機、ATM、カーナビゲーション等、タッチパネル式の各種電子機器に適用することができる。
本発明は、タッチパネルシステムおよび電子機器に利用することができる。具体的に、表示画面のサイズが20インチ以内であり、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、デジタルカメラ等の、持ち運び可能な機器である電子機器、およびこの電子機器が備えるタッチパネルシステムに利用することができる。
1 タッチパネルシステム
1a タッチパネルシステム
1b タッチパネルシステム
1c タッチパネルシステム
1d タッチパネルシステム
1e タッチパネルシステム
1f タッチパネルシステム
1g タッチパネルシステム
1h タッチパネルシステム
1i タッチパネルシステム
1j タッチパネルシステム
1k タッチパネルシステム
1m タッチパネルシステム
1n タッチパネルシステム
1o タッチパネルシステム
1p タッチパネルシステム
2 表示装置
3 タッチパネル
3a タッチパネル
3b タッチパネル
3c タッチパネル
4 タッチパネルコントローラ
11 タッチパネル
12 タッチパネルコントローラ
15 信号選択部
19 タッチ無効化部
31 主センサ(主センサ部)
31a 主センサ群(主センサ部)
31b 主センサ群(センサ部)
32 副センサ(副センサ部)
32a 副センサ群(副センサ部)
32a 副センサ群
33 センスライン
34 サブセンスライン
35 ドライブライン
41 減算部
41a 減算部
46 加算部
47 電荷積分器(演算部)
48 AD変換部(第1のAD変換部,第2のAD変換部)
48a AD変換部(第3のAD変換部,第4のAD変換部)
49 差動増幅器
50 全差動増幅器
58 復号部
59 判定部
61 非タッチ操作時情報記憶部
62 較正部
80 電子機器
86 画面表示部(表示装置)
89 タッチパネル
200 タブレット端末(電子機器)
201 重力センサ
204 領域
205 領域
T1 時刻
T2 時刻
本発明は、タッチパネルシステムおよびそれを備えた電子機器に関し、特に、表示装置等により発生するノイズの除去(キャンセル)を確実に効果的に行いつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能であるタッチパネルシステムおよび電子機器に関するものである。
現在、スマートフォン等の携帯情報機器、自動券売機等の自動販売機を始めとする様々な電子機器に、タッチパネルシステムの搭載が急速に進んでいる。
このようなタッチパネルシステムは、通常、表示装置の上部(前面)に、タッチパネルが積層された構造となっている。このため、タッチパネル上に設けられたセンサは、表示装置に発生するクロック等のノイズだけでなく、その他外来からのノイズの影響を受けやすい。このようなノイズは、タッチ操作の検出感度の低下につながる。
特許文献1には、このようなノイズ対策が施されたタッチパネルシステム(座標入力装置)が記載されている。特許文献1のタッチパネルシステムは、ノイズを除去するために、ノイズ処理部を備えている。図19は、特許文献1のタッチパネルシステムに設けられたノイズ処理部100を示すブロック図である。図19に示すように、ノイズ処理部100は、フィルタ部101と、論理反転部102と、加算部103とを備えている。フィルタ部101は、図示しないタッチパネルに設けられたセンサからの出力信号(アナログ信号)を受信する。さらに、フィルタ部101は、その入力信号に含まれるAC信号成分を、ノイズ信号として抽出する。論理反転部102は、抽出されたノイズ信号の位相を、180度反転させる。加算部103は、フィルタ部101に入力されたノイズ信号を含む入力信号に、位相を180度反転させたノイズ信号を加算する。
このように、特許文献1のタッチパネルシステムでは、フィルタ部101で抽出されたノイズ信号を反転し、反転された信号が、センサからの入力信号(アナログ信号)に加算される。つまり、センサからの入力信号に含まれるノイズ成分に、ノイズ成分と同レベルの反転した信号が加算される。これにより、センサからの入力信号に重畳されたノイズが相殺される。従って、センサからの入力信号に含まれるノイズの影響を低減することが可能とされている。
一方、現在、スマートフォン等の携帯情報機器、および、自動券売機等の自動販売機をはじめとする様々な電子機器に対する、タッチパネルシステムの搭載が急速に進んでいる。
上記電子機器では、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止する技術が求められている。
例えばこの電子機器を手で持って操作するときに、該電子機器を持つ手がタッチパネルに接触すると、この接触が該タッチパネルのタッチであると判断される。そして、この判断に起因して、該電子機器では誤動作が発生する虞がある。こうしたメカニズムによる誤動作は、該電子機器が、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の、持ち運び可能な機器である場合に発生することが予想され、ユーザの利便性を損なうことになる。
図36は、上記のメカニズムを説明する図である。図36に示すとおり、タブレット端末71のタッチパネル72に、タブレット端末71を持つ手(物体)73が接触すると、この接触がタッチパネル72のタッチであると判断されることになり、上記のとおりユーザの利便性を損なうことになる。
こうしたメカニズムによる誤動作の問題は、タッチパネルが配置された表示画面に対する額縁の幅が狭くなる程、顕在化するものと考えられる。
特許文献2には、タッチパネルのタッチが行われていないにも拘らず、一定の座標位置を検出し続けるという類の誤動作を防止するための技術が開示されている。
特許文献2に開示されている入力装置では、同じ座標位置を検出している期間が所定期間継続したときに、電極間の静電界の変化に基づく検出値と、基準値との差が所定の更新検出幅の範疇にあれば、該基準値を該検出値へと更新する。なお、ここで言う基準値とは、該検出値に基づいて、タッチの有無を判断するための基準となる値である。そして、ある座標位置における該検出値が、この基準値以上であるか、またはこの基準値を超えていれば、該座標位置に対するタッチが行われたとみなされることになる。
これにより、特許文献2に開示されている入力装置では、タッチパネルのタッチが行われていないにも拘らず、一定の座標位置を検出し続けるという類の誤動作を防止することが可能となる。さらに、その後、更新した基準値を基準としてタッチの有無を検出することにより、検出の感度の向上を図ることができると考えられる。
日本国公開特許公報「特開2001−125744号公報(2001年5月11日公開)」 日本国公開特許公報「特開2007−286814号公報(2007年11月1日公開)」
しかしながら、特許文献1のタッチパネルシステムは、AC信号成分以外のノイズを除去することができないという問題がある。
具体的には、上述のように、特許文献1のタッチパネルシステムは、センサからの入力信号に対し、その入力信号に含まれるAC信号成分をノイズとして扱う。このAC信号は、フィルタ部101で抽出された後、論理反転部102で位相が180度反転される。そして、加算部103では、反転された信号が、AC信号成分を含む入力信号に加算される。このように、特許文献1においては、フィルタ部101においてAC信号成分を抽出する処理が、ノイズ処理上、最も重要となる。
しかし、特許文献1には、フィルタ部101の構成が詳細に開示されていない。このため、特許文献1のタッチパネルシステムが、どの程度ノイズを除去することができるかは不明である。また、特許文献1では、アナログ信号に含まれるAC信号成分がノイズとして扱われる。つまり、特許文献1のタッチパネルシステムでは、基本的にインパルスノイズのみを除去することが想定されており、インパルスノイズ以外のノイズが、除去対象外となっている。このため、インパルスノイズ以外の多種多様なノイズを確実にキャンセルすることができない。
また、特許文献2に開示されている入力装置では、基準値を、該基準値を超える検出値へと更新する。このため、更新前においては基準値以上であるか、または基準値を超える値であった検出値が、更新後においては基準値未満であるか、または基準値以下の値として扱われるケースが発生する。
つまり、特許文献2に開示されている入力装置では、基準値の更新前後で、タッチが行われているか否かの判断基準が異なることになる。この結果、タッチパネルのタッチがタッチとして判断されないことにより、タッチの有無を検出する感度が低下する虞があるという問題が発生する。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、多様な種類のノイズを確実に除去することのできるタッチパネルシステムおよび電子機器を提供することにある。
本発明の他の目的は、タッチパネルのタッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することを可能とするタッチパネルシステムを提供することにある。また、本発明の別の目的は、このタッチパネルシステムを備えた電子機器を提供することにある。
本発明に係るタッチパネルシステムは、上記の課題を解決するために、タッチパネルと、上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
上記タッチパネルは、複数のセンスラインを有し、上記タッチパネルのタッチ操作を検出するセンサ部を備え、
上記タッチパネルコントローラは、上記センサ部からの信号を受信し、互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する減算部を備え、
上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記ドライブラインが延びる方向における静電容量の差分を算出し、
上記ドライブラインを並列駆動する符号系列と、上記符号系列に対応するセンスラインの差分出力系列との内積を演算することによって、上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部と、
上記減算部において、上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、または、センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))が算出されるように、減算部に入力される信号を切り替えるスイッチとを備え、
タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、
上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、
上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とすることを特徴としている。
本発明に係る別のタッチパネルシステムは、上記の課題を解決するために、タッチパネルと、上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
上記タッチパネルは、複数のセンスラインを有し、上記タッチパネルのタッチ操作を検出するセンサ部を備え、
上記タッチパネルコントローラは、上記センサ部からの信号を受信し、互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する減算部を備え、
上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記ドライブラインが延びる方向における静電容量の差分を算出し、
上記ドライブラインを並列駆動する符号系列と、上記符号系列に対応するセンスラインの差分出力系列との内積を演算することによって、上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部を備え、
タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、
上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、
上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とすることを特徴としている。
上記の各構成によれば、減算部が、隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることとなる。これにより、主センサの出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
また、上記の各構成によれば、タッチパネルが並列駆動され、復号部が、減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、従来方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブラインの駆動回数を減らすことができ、省電力化が可能となる。
さらに、上記の各構成によれば、減算部が、隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることになる。さらに、各センスラインの出力信号から、サブセンスラインの信号(ノイズ信号)も除去される。従って、より確実にノイズを除去することができる。
さらに、上記の各構成によれば、タッチ無効化部は、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、このタッチによる電子機器に対する指示を無効とする。これにより、例えば電子機器を持つ手がタッチパネルに接触する場合のように、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が継続するとき、該接触による指示は行われない。このため、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
また、上記の各構成によれば、上記の誤動作を防止するために、タッチが行われているか否かの判断基準を変更する必要は無い。従って、タッチの有無を検出する感度の低下については、抑制することが可能となる。
また、上記の各構成によれば、上記箇所が所定期間継続してタッチされたか否かを、簡単な構成により判断することができる。
また、上記の各構成によれば、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が、短期間に何度も発生する場合であっても、タッチ無効化部は、1度機能するだけで、該接触の度に発生し得る誤動作を防止することが可能となる。
本発明に係る電子機器は、上記の課題を解決するために、本発明に係るタッチパネルシステムを備えることを特徴としている。
従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる電子機器を提供することができる。さらに、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
以上のように、本発明に係るタッチパネルシステムは、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とする構成である。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができるという効果を奏する。さらに、タッチパネルのタッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能であるという効果を奏する。
本発明に係るタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図1のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。 図1のタッチパネルシステムにおける減算部で処理される信号の波形を示す図である。 本発明に係る別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図4のタッチパネルシステムにおいて、副センサ群を備えないタッチパネルを示す概略図である。 図4のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図7のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。 従来のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式を示す図である。 本発明のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式(直交系列駆動方式)を示す図である。 図9の駆動方式のタッチパネルによって、図10の駆動方式のタッチパネルと同等の感度を得るために必要な処理を示す図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムであって、直交系列駆動方式のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムを示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図16のタッチパネルシステムにおける全差動増幅器の一例を示す回路図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 特許文献1のタッチパネルシステムに設けられたノイズ処理部を示すブロック図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図20のタッチパネルシステムの基本処理を示すフローチャートである。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに別のタッチパネルシステムの基本構成を示す概略図である。 図22のタッチパネルシステムにおける判定部の基本処理を示すフローチャートである。 図27のフローチャートにおけるタッチ情報の認識方法を示す模式図である。 上記タッチパネルシステムを搭載した携帯電話機の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の実施の形態に係るタッチ無効化部により、タッチ操作を無効化する一実施例を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るタッチパネルシステムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係るタッチ無効化部により、タッチ操作を無効化する一実施例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るタッチ無効化部により、タッチ操作を無効化する別の実施例を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る電子機器の概略構成の一例を示すブロック図である。 (a)および(b)は、本発明の実施の形態に係るタッチ無効化部により、タッチ操作を無効化するさらに別の実施例を示す図である。 従来のタッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作が発生するメカニズムの一例を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
〔実施の形態1〕
(1)タッチパネルシステム1の構成
図1は、本発明の実施の一形態に係るタッチパネルシステム1の基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1は、表示装置2、タッチパネル3、タッチパネルコントローラ4、およびドライブライン駆動回路5を備えており、ノイズキャンセル機能を有する。以下では、使用者が利用する側を、前面(または上方)として説明する。
表示装置2は、図示しない表示画面(表示部)を備えている。表示画面には、操作用の各種アイコンや、使用者の操作指示に応じた文字情報等が表示される。表示装置2は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED;field emission display)等から構成される。これらのディスプレイは、日常的な電子機器に多用されており、汎用性の高いタッチパネルシステム1が構成される。表示装置2は、任意の構成とすればよく、特に限定されない。
タッチパネル3は、使用者が指またはペン等により、タッチパネル3の表面をタッチ(押圧)操作することによって、各種の操作指示を入力する。タッチパネル3は、表示画面を覆うように、表示装置2の前面(上部)に積層されている。
タッチパネル3は、同一面上(同一面内)に設けられた2つのセンサ(主センサ31,副センサ32を各1個)を備えている。主センサ31と副センサ32とは、互いに隣接して設けられている。主センサ31および副センサ32は、いずれも静電容量方式のセンサである。静電容量方式のセンサが設置されたタッチパネル3は、透過率が高く、耐久性も有するという利点を有する。
主センサ(主センサ部)31は、タッチパネル3上のタッチ操作される領域(タッチ領域)に設けられており、使用者によるタッチパネル3のタッチ操作を検出する。タッチ操作には、ダブルクリック操作、スライド操作、シングルクリック操作、ドラッグ操作等が含まれる。主センサ31は、線状電極からなるセンスライン33を備えている。センスライン33の一端は、タッチパネルコントローラ4に接続されている。これにより、主センサ31で検出された信号は、センスライン33を介して、タッチパネルコントローラ4に出力される。つまり、主センサ31で検出されたタッチ操作に応じた信号が、タッチパネルコントローラ4に出力される。
副センサ(副センサ部)32は、タッチパネル3に反映されるノイズ成分を検出する。副センサ32は、タッチパネル3上のタッチ操作されない領域(非タッチ領域)に設けられている。このため、副センサ32は、使用者がタッチ操作により接触することなく、タッチパネルシステム1で発生する各種ノイズを検出する。このように、副センサ32は、主センサ31とは異なり、タッチ操作に応じた信号は検出しない。つまり、副センサ32は、使用者がタッチ操作により接触することなく、タッチパネル3に発生するノイズを検出するようになっている。
副センサ32は、線状電極からなるサブセンスライン34を備えている。サブセンスライン34は、センスライン33に対して、平行である(センスライン33と同一方向に延びている)。サブセンスライン34の一端は、タッチパネルコントローラ4に接続されている。これにより、副センサ32で検出された信号は、サブセンスライン34を介して、タッチパネルコントローラ4に出力される。
一方、タッチパネル3は、センスライン33およびサブセンスライン34に直交するように交差したドライブライン35を備えている。ドライブライン35は、線状電極からなるものである。センスライン33またはサブセンスライン34とドライブライン35との交差部分には、静電容量が形成されている。すなわち、センスライン33とドライブライン35との間、および、サブセンスライン34とドライブライン35との間には、それぞれ、静電容量が形成されている。ドライブライン35は、ドライブライン駆動回路(センサ駆動部)5に接続されており、ドライブライン35には、タッチパネルシステム1の起動時に、一定周期で電位が印加される。
センスライン33、サブセンスライン34、およびドライブライン35は、いずれも、例えば、ITO(Indium TinOxide:酸化インジウムスズ)などの透明な配線材料から形成することができる。センスライン33、サブセンスライン34、およびドライブライン35は、タッチパネル3におけるセンサ電極であるともいえる。
なお、ドライブライン35は、透明基板または透明フィルム(図示せず)上に設けられている。さらに、ドライブライン35は、絶縁層(図示せず)により被覆されている。この絶縁層上には、センスライン33およびサブセンスライン34が設けられている。このように、センスライン33またはサブセンスライン34と、ドライブライン35とは、絶縁層を介して互いに絶縁されると共に、容量結合している。センスライン33およびサブセンスライン34は、保護層(図示せず)により被覆されている。つまり、タッチパネル3では、保護層が、最も前面側(使用者側)に配置されている。
タッチパネルコントローラ4は、タッチパネル3の主センサ31および副センサ32から入力された信号(データ)を読み取る。タッチパネルシステム1は、静電容量方式のセンサを備えているため、タッチパネルコントローラ4は、タッチパネル3で発生した静電容量を検出する。具体的にはタッチパネルコントローラ4は、センスライン33−ドライブライン35間の静電容量の変化、サブセンスライン34−ドライブライン35間の静電容量の変化を検出する。タッチパネルコントローラ4は、減算部41、座標検出部42、およびCPU43を備えている。
減算部41は、主センサ31から出力された信号を受信するための入力端子(主センサ出力用の入力端子)と、副センサ32から出力された信号を受信するための入力端子(副センサ出力用の入力端子)とを備えている。減算部41は、主センサ出力用の入力端子に入力された信号から、副センサ出力用の入力端子に入力された信号を減算する。減算部41で減算処理された信号は、座標検出部42に出力される。なお、減算部41に入力される信号は、デジタル信号であっても、アナログ信号であってもよい。すなわち、減算部41への入力信号は、減算部41の構成に応じた信号であればよい。
座標検出部42は、減算部41で減算処理された信号に基づいて、タッチ操作の有無情報を検出する。例えば、座標検出部42は、減算部41からの出力信号値が所定の閾値以上の場合、タッチ操作「有」の信号を、CPU43に出力する。なお、タッチパネルシステム1では、主センサ31が単数であるため、座標検出部42は、タッチ操作の有無情報を検出する。一方、主センサ31が複数の場合、座標検出部42は、使用者のタッチ位置の座標値も検出することになる。
CPU43は、座標検出部42から出力された情報を一定間隔で取り込み、取り込んだ情報に応じて表示装置2に出力等を行う。
ドライブライン駆動回路5は、ドライブライン35に接続されており、タッチパネルシステム1の起動時に、ドライブライン35に一定周期で電位を印加する。
(2)タッチパネルシステム1のノイズ処理
タッチパネルシステム1は、タッチパネルコントローラ4で検出される静電容量の変化に基づいて、タッチ操作の有無を検出する。しかし、タッチパネル3が表示装置2の前面(使用者側)に接着されている。このため、タッチパネルシステム1は、表示装置2が発生するクロック等のノイズだけでなく、その他外来からのノイズの影響を受けやすい。その結果、タッチ操作の検出感度(座標検出部42の検出感度)が低下してしまう。
そこで、タッチパネルシステム1は、このようなノイズを除去する対策として、副センサ32と減算部41とを備えている。図2に基づいて、タッチパネルシステム1のノイズキャンセル処理について説明する。図2は、タッチパネルシステム1の基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
タッチパネルシステム1を起動すると、ドライブライン駆動回路5からドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3にタッチ操作を行うと、主センサ31および副センサ32の両センサが、減算部41に信号を出力する。
ここで、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3に反映される。このため、主センサ31および副センサ32では、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、主センサ31からの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている。一方、副センサ32はタッチ操作を検出しないようになっている。このため、副センサ32からの出力信号には、ノイズ信号(ノイズ成分)が含まれるが、タッチ操作の信号は含まれない(F201)。
タッチパネルシステム1では、主センサ31と副センサ32とが、互いに同一面内に設けられており、かつ、互いに隣接して設けられている。このため、主センサ31の出力信号に含まれるノイズ信号値と、副センサ32の出力信号に含まれるノイズ信号値とは、基本的に同じ値であるとみなすことができる。そこで、タッチパネルコントローラ4内に存在する減算部41は、主センサ31からの入力信号(信号値)から、副センサ32からの入力信号(信号値)を減算する処理を実行する(F202)。つまり、減算部41は、センスライン33とサブセンスライン34との差分をとる。これにより、主センサ31からの出力信号から、ノイズ信号が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号値が得られることになる。
このようにして減算処理された信号(タッチ操作本来の信号)は、タッチパネルコントローラ4内に存在する座標検出部42に出力される(F203)。これにより、タッチ操作本来の信号が、座標検出部42に出力される。座標検出部42は、タッチ操作本来の信号処理により、タッチ操作の有無を検出する。従って、座標検出部42の検出感度(タッチ操作の有無の検出精度など)の低下を抑制することができる。
このように、タッチパネルシステム1では、減算部41が、センスライン33とサブセンスライン34との差分をとり、多様なノイズ成分が含まれるセンスライン33からの入力信号から、ノイズ成分をキャンセルする。つまり、減算部41は、センスライン33からの入力信号からノイズ信号を除去し、タッチ操作により生じた本来の信号を抽出する。従って、多様な種類のノイズを確実にキャンセルすることのできるタッチパネルシステム1を提供することができる。
一方、タッチパネルシステム1のノイズキャンセル処理を視覚的に示すと、図3のようになる。図3は、タッチパネルシステム1における減算部41で処理される信号の波形を示す図である。図3の(a)は主センサ31からの出力信号、図3の(b)は副センサ32からの出力信号、図3の(c)は減算部41で処理された信号を示している。図3に示す各信号は、使用者がタッチ操作したときの信号である。
タッチパネルシステム1では、使用者がタッチ操作を行うと、タッチ操作を検出する主センサ31の容量が増加する(図3の(a))。つまり、主センサ31(センスライン33)からの出力信号値が増加する。しかし、タッチ操作されたときの主センサ31からの出力信号には、タッチ操作本来の信号だけでなく、各種ノイズ(表示装置2が発生するクロック等のノイズ、外来からのノイズ)信号が加算されている。
一方、副センサ32は、タッチ操作を検出しないため、副センサ32(サブセンスライン)の容量は、タッチ操作によっては増加しない。つまり、副センサ32からの出力信号には、タッチ操作の信号は含まれず、タッチパネル3に反映されたノイズ成分が含まれる(図3の(b))。
減算部41は、主センサ31からの出力信号から、副センサ32からの出力信号を減算する(図3の(a)の信号値−図3の(b)の信号値)。この減算処理によって、図3の(c)のような、主センサ31からの出力信号から、副センサ32から出力されたノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号が得られる。さらに、座標検出部42には、タッチ操作本来の信号が入力されるため、タッチ操作の検出精度は低下しない。
以上のように、本実施形態のタッチパネルシステム1は、タッチパネル3上の同一面内(同一面上)に、主センサ31と副センサ32とが設けられている。これにより、主センサ31および副センサ32からのいずれの出力信号にも、タッチパネル3に反映された各種ノイズ信号が含まれる。さらに、減算部41が、タッチ操作による信号とノイズ信号とを含む主センサ31からの出力信号と、ノイズ信号を含む副センサ32からの出力信号との差分をとる。これにより、主センサ31の出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネル3に反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
なお、特許文献1のタッチパネルシステムにおいて、除去対象となるノイズ成分は、ノイズ成分を含む信号中のAC信号成分である。これに対し、タッチパネルシステム1においては、主センサ31および副センサ32からの出力信号に、各種ノイズ成分が含まれている。このため、タッチパネルシステム1において除去対象となるノイズ成分は、AC信号成分に限られない。従って、タッチパネルシステム1は、タッチパネル3に反映されるあらゆるノイズを全てキャンセルすることができる。
タッチパネルシステム1において、副センサ32は、主センサ31と共に、タッチパネル3の同一面内に設けられていればよい。これにより、主センサ31および副センサ32のいずれにおいても、タッチパネル3に反映されるノイズ成分(ノイズ信号)を検出することができる。ただし、副センサ32は、タッチパネル3のタッチ操作を検出しないようになっていることが好ましい。この構成によれば、タッチ操作による信号が副センサ32で検出されなくなるため、副センサ32からの出力信号には、タッチ操作による信号が含まれない。これにより、減算部41の減算処理によって、タッチ操作の信号値が低減されることはない。つまり、主センサ31で検出されたタッチ操作の信号が低減されることなく、ノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
タッチパネルシステム1のように、副センサ32がタッチパネル3上の使用者がタッチ操作されない領域(非タッチ領域)に設けられている場合、タッチ操作による信号が副センサ32で検出されなくなる。このため、副センサ32は、使用者がタッチ操作することなく、タッチパネルに反映されたノイズを検出するが、タッチ操作による信号を検出しないようになっている。従って、副センサ32が、タッチ操作を検出するのを確実に回避することができる。
副センサ32によってノイズ成分を検出する上では、副センサ32は、できる限り、主センサ31の近くに設けられていることが好ましく、主センサ31に隣接して設けられていることがより好ましい。これにより、主センサ31と副センサ32とが、ほぼ同一条件に配置される。特に、副センサ32が、主センサ31に隣接して設けられている場合、主センサ31と副センサ32とが、最も接近して配置される。このため、副センサ32からの出力信号に含まれるノイズ信号値は、主センサ31からの出力信号に含まれるノイズ信号値と同一であるとみなすことができる。これにより、減算部41による減算処理によって、タッチパネル3に反映されたノイズ成分を、より確実に除去することができる。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
本実施形態では、静電容量方式のタッチパネル3を備えたタッチパネルシステム1について説明した。しかし、タッチパネル3の動作原理(センサの動作方式)は、静電容量方式に限定されるものではない。例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、超音波方式、または電磁誘導結合方式のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムも、同様に、ノイズキャンセル機能を発揮する。また、表示装置2の種類も問わずに、ノイズキャンセル機能を発揮する。
本実施形態のタッチパネルシステム1は、タッチパネル式の各種電子機器に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、電子フォトフレーム、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、電子ブック、家電製品(電子レンジ,洗濯機等)、券売機、ATM(Automated Teller Machine)、カーナビゲーション等を挙げることができる。これにより、タッチ操作の検出感度の低下を効果的に抑制することのできる電子機器を提供することができる。
〔実施の形態2〕
(1)タッチパネルシステム1aの構成
図4は、本発明に係る別のタッチパネルシステム1aの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1aの基本的な構成は、実施の形態1のタッチパネルシステム1と略同様である。以下では、タッチパネルシステム1との相違点を中心に、タッチパネルシステム1aについて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
タッチパネルシステム1aは、タッチパネル3aに設けられたセンサの構成が、タッチパネルシステム1と異なる。すなわち、タッチパネル3aが、複数の主センサ31からなる主センサ群31a、および、複数の副センサ32からなる副センサ群32aを備えている。タッチパネルシステム1aは、使用者によるタッチ操作の有無だけでなく、使用者のタッチ操作の位置情報(座標)も検出する。
具体的には、タッチパネルシステム1aでは、タッチパネル3aは、タッチパネル3aの同一面上(同一面内)に、主センサ群31aと、副センサ群32aとを備えている。主センサ群31aと、副センサ群32aとは、互いに隣接して設けられている。主センサ群31aおよび副センサ群32aは、いずれも静電容量方式のセンサから構成されている。
主センサ群(主センサ部)31aは、タッチパネル3a上のタッチ操作される領域(タッチ領域)に設けられており、使用者によるタッチパネル3aのタッチ操作を検出する。主センサ群31aは、格子状に配置された複数の主センサ31から構成されている。主センサ群31aは、L本(Lは2以上の整数)のセンスライン33を備えている。各センスライン33は、互いに平行に、かつ、等間隔に設けられている。各センスライン33上には、M個(Mは2以上の整数)の主センサ31が配置されている。
各センスライン33の一端は、タッチパネルコントローラ4の減算部41に接続されている。これにより、主センサ31で検出された信号は、各センスライン33を介して、減算部41に出力される。つまり、主センサ31で検出されたタッチ操作に応じた信号が、減算部41に出力される。
副センサ群(副センサ部)32aは、タッチパネル3aに反映されるノイズ成分を検出する。副センサ群32aは、タッチパネル3a上のタッチ操作されない領域(非タッチ領域)に設けられている。このため、副センサ群32aは、使用者がタッチ操作により接触することなく、タッチパネルシステム1aで発生する各種ノイズを検出する。このように、副センサ群32aは、主センサ群31aとは異なり、タッチ操作に応じた信号は検出しないようになっている。つまり、副センサ群32aは、使用者がタッチ操作により接触することなく、センサに発生するノイズを検出するようになっている。副センサ群32aは、1本のサブセンスライン34を備えている。サブセンスライン34は、各センスライン33に対して平行である(センスライン33と同一方向に延びている)。サブセンスライン34上には、M個(Mは2以上の整数)の副センサ32が配置されている。つまり、各センスライン33上に配置された主センサ31の個数と、サブセンスライン34上に配置された副センサ32の個数とは、同一である。
サブセンスライン34の一端は、タッチパネルコントローラ4の減算部41に接続されている。これにより、副センサ群32aで検出された信号は、サブセンスライン34を介して、減算部41に出力される。
一方、タッチパネル3aは、各センスライン33およびサブセンスライン34に直交するように交差した、M本(Mは2以上の整数)のドライブライン35を備えている。各ドライブライン35は、互いに平行に、かつ、等間隔に設けられている。各ドライブライン35上には、L個(Lは2以上の整数)の主センサ31と、1個の副センサ32とが配置されている。さらに、各センスライン33またはサブセンスライン34と、各ドライブライン35との交差部分には、静電容量が形成されている。すなわち、各センスライン33と各ドライブライン35との間、および、サブセンスライン34と各ドライブライン35との間には、それぞれ、静電容量が形成されている。ドライブライン35は、図示しないドライブライン駆動回路に接続されており、ドライブライン35には、タッチパネルシステム1aの起動時に、一定周期で電位が印加される。
このように、タッチパネル3aでは、横方向に設けられたセンスライン33およびサブセンスライン34と、縦方向に設けられたドライブライン35とが、二次元マトリクス状に配置されている。なお、センスライン33、サブセンスライン34、ドライブライン35の本数、長さ、幅、間隔等は、タッチパネルシステム1aの用途またはタッチパネル3aのサイズ等により任意に設定することができる。
(2)タッチパネルシステム1aのノイズ処理
タッチパネルシステム1aは、タッチパネルコントローラ4で検出される静電容量の変化に基づいて、タッチ操作の有無およびタッチされた位置を検出する。しかし、タッチパネルシステム1aにおいても、タッチパネルシステム1と同様に、各種ノイズの影響を受けやすい。このため、タッチ操作の検出感度(座標検出部の検出感度)が低下してしまう。具体的には、図5は、図4のタッチパネルシステム1aにおいて、副センサ群32aを備えないタッチパネル3bを示す概略図である。図5のように、タッチパネル3bは、主センサ群31aのみを備え、副センサ群32aを備えていない。すなわち、図5のタッチパネル3bは、ノイズ対策前の構成である。この場合、タッチパネル3bが、各種ノイズの影響を受けてしまう。従って、各センスライン33から出力された信号には、各種ノイズ成分が含まれ、タッチ操作の検出感度が低下してしまう。
そこで、タッチパネルシステム1aでは、このようなノイズを除去する対策として、副センサ群32aと減算部41とを備えている。図6に基づいて、タッチパネルシステム1aのノイズキャンセル処理について説明する。図6は、タッチパネルシステム1aの基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
タッチパネルシステム1aを起動すると、ドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3aにタッチ操作を行うと、主センサ群31aおよび副センサ群32aの両センサ群が、減算部41に信号を出力する。具体的には、使用者がタッチ操作を行うと、タッチ位置に対応する特定の主センサ31の容量が増加する。つまり、その主センサ31(センスライン33)からの出力信号値が増加する。タッチパネルシステム1aは、各ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33およびサブセンスライン34からの出力信号を、減算部41に出力する。
より詳細には、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3aに反映される。このため、主センサ群31aおよび副センサ群32aでは、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、主センサ群31aからの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている。一方、副センサ群32aはタッチ操作を検出しないようになっている。このため、副センサ群32aからの出力信号には、ノイズ信号(ノイズ成分)が含まれるが、タッチ操作の信号は含まれない(F501)。
タッチパネルシステム1aでは、主センサ群31aと副センサ群32aとが、互いに同一面内に設けられており、かつ、互いに隣接して設けられている。このため、主センサ群31aの出力信号に含まれるノイズ信号値と、副センサ群32aの出力信号であるノイズ信号値とは、基本的に同じ値であるとみなすことができる。そこで、タッチパネルコントローラ4内に存在する減算部41は、主センサ群31aからの入力信号(信号値)から、副センサ群32aからの入力信号(信号値)を減算する処理を実行する(F502)。つまり、減算部41は、各センスライン33とサブセンスライン34との差分をとる。これにより、主センサ群31aからの出力信号から、ノイズ信号が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号値が得られることになる。
このようにして減算処理された信号は、タッチパネルコントローラ4内に存在する座標検出部42に出力される(F503)。これにより、タッチ操作本来の信号が、座標検出部42に出力される。座標検出部42は、タッチ操作本来の信号処理により、タッチ操作の有無およびタッチ位置(座標)を検出する。従って、座標検出部42の検出感度(タッチ操作の有無の検出精度、タッチ位置の検出感度など)の低下を抑制することができる。
なお、タッチパネルシステム1aでは、タッチ位置に対応する特定の主センサ31を含むセンスライン33からの出力信号が、図3の(a)のような波形を有し、副センサ群32a(サブセンスライン34)からの出力信号が、図3の(b)のような波形を有する。減算部41は、主センサ群31aからの出力信号から、副センサ群32aからの出力信号を減算する。この減算処理によって、図3の(c)のような、主センサ群31aからの出力信号から、副センサ群32aから出力されたノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号が得られる。さらに、座標検出部42には、タッチ操作本来の信号が入力されるため、タッチ操作の検出精度もタッチ位置の検出精度も低下しない。このため、実際のタッチ位置と、座標検出部42で検出された検出位置とのズレを小さくすることができる。
以上のように、タッチパネルシステム1aは、ドライブライン35を駆動しつつ、使用者がタッチ操作を行うことによる主センサ群31aの容量値の変化をセンスライン33にて読み取る。また、ノイズ成分をサブセンスライン34にて読み取る。さらに、減算部41にて、センスライン33とサブセンスライン34との差分をとり、ノイズ成分を除去(キャンセル)することができる。
タッチパネルシステム1aは、主センサ群31aが、縦方向および横方向にマトリクス状に配置された複数の主センサ31から構成されている。これにより、タッチパネルシステム1と同様の効果に加えて、座標検出部42にて、タッチされた座標を検出することができる。つまり、タッチ操作の有無と共に、タッチ位置(座標値)を検出することができる。
タッチパネルシステム1と同様に、タッチパネルシステム1aにおいても、除去対象となるノイズ成分は、AC信号成分に限られない。従って、タッチパネルシステム1aも、タッチパネル3aに反映されるあらゆるノイズを全てキャンセルすることができる。
〔実施の形態3〕
(1)タッチパネルシステム1bの構成
図7は、本発明に係る別のタッチパネルシステム1bの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1bの基本的な構成は、実施の形態2のタッチパネルシステム1aと略同様である。以下では、タッチパネルシステム1aとの相違点を中心に、タッチパネルシステム1bについて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1,2にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
タッチパネル3bは、実施の形態2のタッチパネルシステム1aのタッチパネル3aと同様の構成である。すなわち、タッチパネル3bは、複数本(図7では5本)のドライブライン35と、各ドライブライン35に交差する複数本(図7では7本)のセンスライン33と、各ドライブライン35に直交し、センスライン33と平行な1本のサブセンスライン34とを備えている。センスライン33とドライブライン35、および、サブセンスライン34とドライブライン35とは、それぞれ互いに絶縁され、かつ、容量結合している。
以下では、1本のサブセンスライン34と、7本のセンスライン33とからなる8本のセンス/サブセンス配列を、配列(1)〜配列(8)として区別して説明する。
タッチパネルコントローラ4は、入力側から順に、スイッチSW、減算部41、記憶部45a〜45d、加算部46を備えている。なお、図示しないが、タッチパネルコントローラ4は、座標検出部42とCPU43も備えている(図1)。このように、タッチパネルシステム1bは、タッチパネルコントローラ4の構成が、タッチパネルシステム1,1aとは異なる。
スイッチSWは、センスライン33またはサブセンスライン34から減算部41に入力される信号を切り替える。より詳細には、スイッチSWは、上下に2つの端子を備えており、一方の端子が選択される。図7は、スイッチSWが下側の端子を選択した状態である。
減算部41は、スイッチSWで選択された配列(1)〜(8)の信号の差分信号処理を行う。すなわち、減算部41は、隣接するセンスライン33間の差分信号処理、および、隣接するセンスライン33とサブセンスライン34との差分信号処理を行う。例えば、図7のように、スイッチSWにより下側の端子が選択されている場合、減算部41は、配列(8)−配列(7)、配列(6)−配列(5)、配列(4)−配列(3)、および配列(2)−配列(1)の各差分信号処理を行う。一方、図示しないが、スイッチSWにより上側の端子が選択されている場合、減算部41は、配列(7)−配列(6)、配列(5)−配列(4)、および配列(3)−配列(2)の各差分信号処理を行う。
記憶部45a〜45dは、スイッチSWにより一方の端子が選択された場合の減算部41による差分処理された信号(差分処理信号)を記憶する。記憶部45a〜45dに記憶された差分処理信号は、加算部46に出力される。なお、スイッチSWにより他方の端子が選択された場合、差分処理信号は、記憶部45a〜45dを経由せず、直接加算部46に出力される。
加算部46は、減算部41および記憶部45a〜45dから入力される、隣接するセンスライン33の差分処理信号を加算し、加算処理した結果を出力する。また、加算部46は、記憶部45aに記憶されたサブセンスライン34とそれに隣接するセンスライン33との差分処理信号(配列(2)−配列(1))を出力する。加算部46は、最終的に、配列(2)−配列(1)、配列(3)−配列(1)、配列(4)−配列(1)、配列(5)−配列(1)、配列(6)−配列(1)、配列(7)−配列(1)、配列(8)−配列(1)の各信号を出力する。つまり、加算部46から出力される信号は、センスライン33に含まれるノイズ信号(配列(1)の信号)が除去されている。しかも、減算部41は隣接するセンスライン33間の差分信号処理を行っている。従って、ノイズ信号がより確実に除去された信号が、加算部46から出力される。
(2)タッチパネルシステム1bのノイズ処理
図7および図8に基づいて、タッチパネルシステム1bのノイズ処理について説明する。図8は、タッチパネルシステム1bの基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
タッチパネルシステム1bを起動すると、ドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3bにタッチ操作を行うと、タッチ位置に対応する特定のセンスライン33の容量が増加する。つまり、そのセンスライン33からの出力信号値が増加する。タッチパネルシステム1bは、各ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33およびサブセンスライン34からの出力信号を、タッチパネルコントローラ4に出力する。このように、タッチパネルシステム1bは、ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33およびサブセンスライン34の容量変化を検出し、タッチ操作の有無およびタッチ位置を検出する。
より詳細には、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3bに反映される。このため、主センサ群31aおよび副センサ群32aでは、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、センスライン33からの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている。一方、サブセンスライン34はタッチ操作を検出しないようになっている。このため、サブセンスライン34からの出力信号には、ノイズ信号(ノイズ成分)が含まれるが、タッチ操作の信号は含まれない(F601)。
次に、スイッチSWにおいて、下側の端子を選択する(F602)。そして、減算部41において、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、サブセンスライン34に近い方のセンスライン(センスラインSn+1)との間の差分を取る(センスライン(Sn+1)−Sn:第1の差分)。このとき、サブセンスライン34に最も近いセンスライン33については、サブセンスライン34との差分(第3の差分)を取る(F603)。
図7の配列(1)〜(8)の場合、減算部41は、
・配列(2)−配列(1)(この差分値をAとする)
・配列(4)−配列(3)(この差分値をCとする)
・配列(6)−配列(5)(この差分値をEとする)
・配列(8)−配列(7)(この差分値をGとする)
の4つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF603では、サブセンスライン34を含む配列(1)〜(8)の差分信号処理を行う。
減算部41で算出された差分値A,C,E,Gは、記憶部45a〜45dに記憶される。すなわち、記憶部45aは差分値A,記憶部45bは差分値C、記憶部45cは差分値E、記憶部45dは差分値Gを、それぞれ記憶する(F604)。
次に、下側の端子が選択されているスイッチSWを、上側の端子を選択する(閉ざす)ように切り替える(F605)。そして、減算部41において、F603と同様に処理する。すなわち、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、サブセンスライン34に遠い方のセンスライン(センスラインSn−1)との間の差分信号処理(センスラインSn−(Sn−1):第2の差分)を行う。(F606)。
図7の配列(1)〜(8)の場合、減算部41は、
・配列(3)−配列(2)(この差分値をBとする)
・配列(5)−配列(4)(この差分値をDとする)
・配列(7)−配列(6)(この差分値をFとする)
の3つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF606では、サブセンスライン34を含まない配列(2)〜(7)の差分信号処理を行う。
次に、加算部46は、ステップF606で求めた差分値B,D,Fと、記憶部45a〜45dに記憶された差分値A,C,E,Gの加算処理を行う。つまり、スイッチSWにより下側の端子が選択された場合の差分値(差分値A,C,E,G)と、上側の端子が選択された場合の差分値(差分値B,D,F)とを加算する(F607)。
図7の配列(1)〜(8)の場合、加算部46は、まず記憶部45aに記憶された差分値A(配列(2)−配列(1)信号)と、減算部41から出力された差分値B(配列(3)−配列(2)信号)を加算する。この加算処理は、
差分値A+差分値B={配列(2)−配列(1)}+{配列(3)−配列(2)}
=配列(3)−配列(1)(この差分値を差分値Hとする)
となり、配列(3)−配列(1)信号が取得できる。加算部46は、このような処理を順次進める。
すなわち、この差分値H(配列(3)−配列(1)信号)に、記憶部45bに記憶された差分値C(配列(4)−配列(3)信号)を加算する。その結果、配列(4)−配列(1)信号(差分値I)が取得できる。
次に、この差分値I(配列(4)−配列(1)信号)に、減算部41から出力された差分値D(配列(5)−配列(4)信号)を加算する。その結果、配列(5)−配列(1)信号(差分値J)が取得できる。
次に、この差分値J(配列(5)−配列(1)信号)に、記憶部45cに記憶された差分値E(配列(6)−配列(5)信号)を加算する。その結果、配列(6)−配列(1)信号(差分値K)が取得できる。
次に、この差分値K(配列(6)−配列(1)信号)に、減算部41から出力された差分値F(配列(7)−配列(6)信号)を加算する。その結果、配列(7)−配列(1)信号(差分値L)が取得できる。
次に、この差分値L(配列(7)−配列(1)信号)に、記憶部45dに記憶された差分値G(配列(8)−配列(7)信号)を加算する。その結果、配列(8)−配列(1)信号(差分値M)が取得できる。
なお、記憶部45aに記憶された差分値A(つまり、配列(2)−配列(1)信号)については、加算部46で加算処理をされずに出力される。
このように、加算部46からは、
・配列(2)−配列(1)信号=差分値A
・配列(3)−配列(1)信号=差分値H
・配列(4)−配列(1)信号=差分値I
・配列(5)−配列(1)信号=差分値J
・配列(6)−配列(1)信号=差分値K
・配列(7)−配列(1)信号=差分値L
・配列(8)−配列(1)信号=差分値M
の各信号が出力される。
図7においては、配列(2)〜配列(8)がセンスライン33であり、配列(1)がサブセンスライン34である。加算部46による加算処理の結果、配列(2)〜配列(8)の各信号から、配列(1)の信号(ノイズ信号)が除去される。このため、加算部46からの出力信号は、センスライン33の信号に含まれるノイズ信号を除去したものとなり、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号値が得られることになる。ノイズ信号が除去された加算部46の出力信号は、タッチパネルコントローラ4内の座標検出部42に出力される。つまり、タッチ操作本来の信号が、座標検出部42に出力される(F608)。
以上のように、タッチパネルシステム1bは、隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることになる。さらに、各センスライン33の出力信号から、サブセンスライン34の信号(ノイズ信号)も除去される。従って、タッチパネルシステム1bは、第1、第2の実施の形態のタッチパネルシステム1,1aに比べて、より確実にノイズを除去することができる。
また、加算部46の加算処理を、サブセンスライン34側から順に(サブセンスライン34からの距離が近い順に)行うことによって、加算処理結果を次の加算処理に利用しながら、加算処理を進め、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態4〕
本発明のタッチパネルシステムの駆動方法は、特に限定されるものではないが、直交系列駆動方式であることが好ましい。言い換えれば、ドライブライン35を並列駆動することが好ましい。図9は、従来のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式を示す図である。図10は、本発明のタッチパネルシステムにおけるタッチパネルの駆動方式(直交系列駆動方式)を示す図である。
図9は、タッチパネルから抽出した1つのセンスラインに、4つのセンサがある場合を示している。図9で示すように、従来のタッチパネルシステムは、ドライブラインの駆動に際し、駆動するドライブラインには+Vボルトを印加し、ドライブラインを逐次駆動するようになっている。
具体的には、1回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの1回目の測定結果(X1)は、
X1=C1×V/Cint
となる。
同様に、2回目のドライブラインの駆動は、左から2番目のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの2回目の測定結果(X2)は、
X2=C2×V/Cint
となる。
3回目のドライブラインの駆動は、左から3番目のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの3回目の測定結果(X3)は、
X3=C3×V/Cint
となる。
4回目のドライブラインの駆動は、最も右側のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの4回目の測定結果(X4)は、
X4=C4×V/Cint
となる。
これに対し、図10も図9と同様に、タッチパネルから抽出した1つのセンスラインに、4つのセンサがある場合を示している。図10のように、直交系列駆動方式の場合、ドライブラインの駆動に際し、全てのドライブラインに、+Vボルト、あるいは、−Vボルトを印加する。つまり、直交系列駆動方式では、ドライブラインが並列駆動される。
具体的には、1回目のドライブラインの駆動は、全てのセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの1回目の測定結果(Y1)は、
Y1=(C1+C2+C3+C4)×V/Cint
となる。
2回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルト、左から2番目のセンサに−Vボルト、左から3番目のセンサに+Vボルト、最も右側のセンサに−Vボルトを印加する。これにより、Voutの2回目の測定結果(Y2)は、
Y2=(C1−C2+C3−C4)×V/Cint
となる。
3回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルト、左から2番目のセンサに+Vボルト、左から3番目のセンサに−Vボルト、最も右側のセンサに−Vボルトを印加する。これにより、Voutの3回目の測定結果(Y3)は、
Y3=(C1+C2−C3−C4)×V/Cint
となる。
4回目のドライブラインの駆動は、最も左側のセンサに+Vボルト、左から2番目のセンサに−Vボルト、左から3番目のセンサに−Vボルト、最も右側のセンサに+Vボルトを印加する。これにより、Voutの4回目の測定結果(Y4)は、
Y4=(C1−C2−C3+C4)×V/Cint
となる。
図10において、容量値(C1、C2、C3、C4)の値は、出力系列(Y1、Y2、Y3、Y4)と直交符号diとの内積演算により求めることが可能である。この式が成立するのは、直交符号diの直交性のためである。ここで符号diとは、各ドライブラインに印加した正負の電圧の符号を示す。すなわち、符号d1は、最も左側のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,+1,+1,+1」となる。符号d2は、左から2番目のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,−1,+1,−1」となる。符号d3は左から3番目のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,+1,−1,−1」となる。符号d4は最も右側のセンサに印加した電圧の符号であり、「+1,−1,−1,+1」となる。
C1、C2、C3、C4の値を、出力系列Y1、Y2、Y3、Y4と、符号d1、d2、d3、d4との内積演算により求めると、
C1=1×Y1+1×Y2+1×Y3+1×Y4=4C1×V/Cint
C2=1×Y1+(−1)×Y2+1×Y3+(−1)×Y4=4C2×V/Cint
C3=1×Y1+1×Y2+(−1)×Y3+(−1)×Y4=4C3×V/Cint
C4=1×Y1+(−1)×Y2+(−1)×Y3+(−1)×Y4
=4C3×V/Cint
となる。
このように、符号diの直交性により、符号diと出力系列Yiとの内積演算によりCiが求められる。この結果を、図9に示す従来の駆動方式と比較すると、同一の駆動回数で4倍の値を検出できることとなる。図11は、図9の駆動方式のタッチパネルによって、図10の駆動方式のタッチパネルと同等の感度を得るために必要な処理を示す図である。図11のように、図9の駆動方式で、図10の駆動方式と同等の感度を得るためには、同一ドライブラインの駆動を4回繰り返し、その結果を加算する必要がある。すなわち、ドライブラインの駆動時間は、4倍となる。逆に言えば、図10に示す駆動方式によって、図9に示す従来の駆動方式と同等の感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/4に短縮される。従って、タッチパネルシステムの省電力化が可能となる。
図12は、このような直交系列駆動方式のタッチパネル3を備えたタッチパネルシステム1cを示す概略図である。すなわち、図12のタッチパネルシステム1cは、図10で示した4本のドライブライン、1本のセンスラインを一般化して示している。
具体的には、タッチパネルシステム1cは、M本のドライブライン35とL本のセンスライン33(M,Lはいずれも自然数)の間に、マトリクス状に静電容量が形成されている。タッチパネルシステム1cでは、これら静電容量のマトリックスCij(i=1,...,M,j=1,...,L)に対し、+1と−1から構成される互いに直交する符号長Nの符号di=(di1,...,diN)(i=1,...,M)を用いて、+1の場合は+Vボルト、−1の場合は−VボルトになるようにM本のドライブライン35を並列に全て同時に駆動する。そして、センスライン33毎に読み出した出力系列sj=(sj1,...,sjN)(j=1,...,L)と、符号diとの内積演算di・sj=Σ(k=1,...,N)dik・sjkにより、容量値Cijを推定するようになっている。タッチパネルシステム1cは、このような内積演算を行うために、電荷積分器(演算部)47を備えている。電荷積分器47からの出力信号(Vout)の信号強度は、
Vout=Cf×Vdrive×N/Cint
によって求められる。
出力系列sjは、
sj=(sj1,...,sjN)
=(Σ(k=1,...,M)Ckj×dk1,...,Σ(k=1,...,M)Ckj×dkN)×(Vdrive/Cint)
=(Σ(k=1,...,M)Ckj×(dk1,...,dkN)×(Vdrive/Cint)
=Σ(k=1,...,M)(Ckj×dk)×(Vdrive/Cint)
となる。
符号diと出力系列sjとの内積は、
di・sj=di・(Σ(k=1,...,M)(Ckj×dk)×(Vdrive/Cint))
=Σ(k=1,...,M)(Ckj×di・dk)×(Vdrive/Cint)
=Σ(k=1,...,M)(Ckj×N×δik)×(Vdrive/Cint) [δik=1 if i=k, 0 if else]
=Cij×N×(Vdrive/Cint)
となる。
このように、タッチパネルシステム1cによれば、直交系列駆動方式によりタッチパネル3を駆動する。このため、符号diと出力系列sjとの内積を算出することにより、容量Cijの信号がN(符号長)倍されて求まると一般化される。この駆動方式による効果は、ドライブライン35の本数Mに依存せず、キャパシタの信号強度はN倍になる。また、逆に言えば、直交系列駆動方式を採用することによって、図9に示す従来の駆動方式と同等の感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/Nに短縮される。つまり、ドライブラインの駆動回数を減らすことができる。従って、タッチパネルシステム1cの省電力化が可能となる。
〔実施の形態5〕
図13は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1dの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1dは、上述した図7で示されるノイズキャンセル機能付きタッチパネルシステム1bに対し、図10,図12で示されるタッチパネルシステム1cにおけるドライブライン35の直交系列駆動方式を適用したものである。タッチパネルシステム1dの動作については、上述したタッチパネルシステム1b,1cと同様であるため、説明を省略する。
タッチパネルシステム1dによれば、隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることになる。さらに、各センスライン33の出力信号から、サブセンスライン34の信号(ノイズ信号)も除去される。従って、タッチパネルシステム1dは、第1、第2の実施の形態のタッチパネルシステム1,1aに比べて、より確実にノイズを除去することができる。さらに、容量Cijの信号が、N(符号長)倍されて求まるため、ドライブライン35の数に依存せず、キャパシタの信号強度がN倍になる。また、直交系列駆動方式を採用することによって、図9に示す従来の駆動方式と同等の感度を得るためには、ドライブラインの駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/Nに短縮される。つまり、ドライブラインの駆動回数を減らすことができる。従って、タッチパネルシステム1dの省電力化が可能となる。
〔実施の形態6〕
図14は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1eの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1eは、減算部41の構成が異なる。
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、AD変換部(第1のAD変換部)48とデジタル減算器(図示せず)とを備えている。
これにより、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)は、減算部41のAD変換部48にて、デジタル信号に変換される。デジタル減算器は、変換されたデジタル信号を用いて、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。
このように、タッチパネルシステム1eは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態7〕
図15は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1fの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1fは、減算部41の構成が異なる。
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、差動増幅器49とAD変換部48とを備えている。
これにより、差動増幅器49は、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。AD変換部48(第2のAD変換部)は、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
このように、タッチパネルシステム1fは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態8〕
図16は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1gの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1gは、減算部41の構成が異なる。タッチパネルシステム1gは、図15のタッチパネルシステム1fにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、全差動増幅器50とAD変換部48とを備えている。
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。AD変換部48は、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
図17は、全差動増幅器50の一例を示す回路図である。全差動増幅器50は、差動増幅器に対称に、2対の静電容量およびスイッチが配置されている。具体的には、非反転入力端子(+)と反転入力端子(−)とには、隣接するセンスライン33からの信号が入力される。差動増幅器の反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)との間、および、差動増幅器の非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)の間には、同じ容量(フィードバック容量)が接続されている。さらに、反転出力端子(−)と非反転入力端子(+)との間、および、非反転出力端子(+)と反転入力端子(−)との間には、それぞれスイッチが接続されている。
このように、タッチパネルシステム1gは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態9〕
図18は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1hの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1hは、減算部41の構成及びタッチパネル3bの駆動方式が異なる。タッチパネルシステム1hは、図15のタッチパネルシステム1fにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
タッチパネル3bのセンスライン33、サブセンスライン34からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41は、全差動増幅器50とAD変換部48とを備えている。
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3bからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図7のタッチパネルシステム1bと同様に減算処理を行う。AD変換部48は、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
さらに、タッチパネルシステム1hにおいて、タッチパネル3bの駆動方式として、図10,図12,図13で示す直交系列駆動方式を適用している。この場合、図10に示すように、4本のドライブラインを駆動する電圧は、2回目〜4回目の場合は+Vの印加と−Vの印加が同数の2回であるのに対し、1回目の場合は+Vの印加が4回となっている。このため、1回目の出力系列Y1の出力値が、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値と比して大きくなる。このため、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値に、ダイナミックレンジを合わせると、1回目の出力系列Y1が飽和してしまうことになる。
そこで、タッチパネルシステム1hの減算部41は、全差動増幅器50を備えている。さらに、全差動増幅器50は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するものを採用している。つまり、この全差動増幅器50は、コモンモード入力レンジが広い。これにより、全差動増幅器50が、電源電圧(Vdd)からGNDまでの電圧範囲で動作可能となる。また、全差動増幅器50への入力信号の差分が増幅される。従って、どのような直交系列駆動方式のタッチパネル3bを組み合わせても、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。なお、全差動増幅器50の一例は、上述した図17の通りである。
このように、タッチパネルシステム1hは、タッチパネル3bから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。さらに、レールトゥレール(rail to rail)動作可能な全差動増幅器50を備えているため、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。
〔実施の形態10〕
実施の形態1〜9では、副センサ32(サブセンスライン34)を備えたタッチパネルシステムについて説明した。しかし、本発明のタッチパネルシステムにおいて、副センサ32は、必須の構成ではない。本実施形態では、副センサ32を備えていないタッチパネルパネルシステムについて説明する。
図20は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1iの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1iは、互いに隣接するセンスライン33の差分信号を算出する減算部41aを備えている。
より具体的には、タッチパネル3cは、複数本(図20では5本)のドライブライン35と、各ドライブライン35に交差する複数本(図20では8本)のセンスライン33とを備えている。センスライン33とドライブライン35とは、それぞれ互いに絶縁され、かつ、容量結合している。
タッチパネルコントローラ4は、入力側から順に、スイッチSW、減算部41a、記憶部45a〜45dを備えている。なお、図示しないが、タッチパネルコントローラ4は、座標検出部42とCPU43も備えている(図1参照)。
減算部41aは、主センサ31から出力された信号を受信するための入力端子(主センサ出力用の入力端子)を備えている。減算部41aは、主センサ31からの信号を受信し、互いに隣接するセンスライン33の信号を減算し、差分値(差分信号)を算出する。減算部41aで減算処理された信号は、座標検出部42(図1参照)に出力される。
このように、タッチパネルシステム1iは、副センサ32(サブセンスライン34)を備えない点、および、減算部41aの処理が、上述の実施形態のタッチパネルシステムと異なる。
スイッチSWは、センスライン33から減算部41aに入力される信号を切り替える。より詳細には、スイッチSWは、上下に2つの端子を備えており、一方の端子が選択される。図20は、スイッチSWが下側の端子を選択した状態である。
減算部41aは、スイッチSWで選択された配列(1)〜(8)の信号の差分信号処理を行う。すなわち、減算部41aは、隣接するセンスライン33間の差分信号処理を行う。例えば、図20のように、スイッチSWにより下側の端子が選択されている場合、減算部41aは、配列(8)−配列(7)、配列(6)−配列(5)、配列(4)−配列(3)、および配列(2)−配列(1)の各差分信号処理を行う。一方、図示しないが、スイッチSWにより上側の端子が選択されている場合、減算部41aは、配列(7)−配列(6)、配列(5)−配列(4)、および配列(3)−配列(2)の各差分信号処理を行う。
記憶部45a〜45dは、スイッチSWにより一方の端子が選択された場合の減算部41aによる差分処理された信号(差分処理信号)を記憶する。なお、スイッチSWにより他方の端子が選択された場合、差分処理信号は、記憶部45a〜45dを経由せず、直接出力される。
(2)タッチパネルシステム1iのノイズ処理
図20および図21に基づいて、タッチパネルシステム1iのノイズ処理について説明する。図21は、タッチパネルシステム1iの基本処理であるノイズキャンセル処理を示すフローチャートである。
タッチパネルシステム1iを起動すると、ドライブライン35に一定周期で電位が印加される。使用者がタッチパネル3cにタッチ操作を行うと、タッチ位置に対応する特定のセンスライン33の容量が変化する。つまり、そのセンスライン33からの出力信号値が変化する。タッチパネルシステム1iは、各ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33からの出力信号を、タッチパネルコントローラ4に出力する。このように、タッチパネルシステム1iは、ドライブライン35を駆動しつつ、センスライン33の容量変化を検出し、タッチ操作の有無およびタッチ位置を検出する。
より詳細には、表示装置2が発生するクロック等のノイズ、および、その他外来からのノイズは、タッチパネル3cに反映される。このため、主センサ群31bでは、各種ノイズ成分が検出される。すなわち、センスライン33からの出力信号には、タッチ操作本来の信号に、ノイズ信号(ノイズ成分)が加算されている(F701)。
次に、スイッチSWにおいて、下側の端子を選択する(F702)。そして、減算部41aにおいて、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、一方のセンスライン(センスラインSn+1)との間の差分を取る(センスライン(Sn+1)−Sn:第1の差分)(F703)。
図20の配列(1)〜(8)の場合、減算部41aは、
・配列(2)−配列(1)(この差分値をAとする)
・配列(4)−配列(3)(この差分値をCとする)
・配列(6)−配列(5)(この差分値をEとする)
・配列(8)−配列(7)(この差分値をGとする)
の4つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF703では、センスライン33における配列(1)〜(8)の差分信号処理を行う。
減算部41aで算出された差分値A,C,E,Gは、記憶部45a〜45dに記憶される。すなわち、記憶部45aは差分値A,記憶部45bは差分値C、記憶部45cは差分値E、記憶部45dは差分値Gを、それぞれ記憶する(F704)。
次に、下側の端子が選択されているスイッチSWを、上側の端子を選択する(閉ざす)ように切り替える(F705)。そして、減算部41aにおいて、F703と同様に処理する。すなわち、センスライン33(センスラインSn)と、あるセンスライン33に隣接する2つのセンスライン33のうち、他方のセンスライン(センスラインSn−1)との間の差分信号処理(センスラインSn−(Sn−1):第2の差分)を行う。(F706)。
図20の配列(1)〜(8)の場合、減算部41aは、
・配列(3)−配列(2)(この差分値をBとする)
・配列(5)−配列(4)(この差分値をDとする)
・配列(7)−配列(6)(この差分値をFとする)
の3つの差分信号処理を行う。つまり、ステップF706では、配列(2)〜(7)の差分信号処理を行う。
以上のように、タッチパネルシステム1iは、隣接するセンスライン33間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン33間の差分を取ることとなる。すなわち、主センサ群31bの出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネル3cに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
〔実施の形態11〕
図22は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1jの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1jは、上述した図20で示されるノイズキャンセル機能付きタッチパネルシステム1iに対し、ドライブライン35を並列駆動するドライブライン駆動回路(図示せず)を適用したものである。さらに、タッチパネルシステム1jは、減算部41aで算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部58と、非タッチ操作時に復号部58で復号化された静電容量の差分分布を記憶する非タッチ操作時情報記憶部61と、タッチ操作時に復号部58で復号化された静電容量の差分分布を較正する較正部62とを備えている。タッチパネルシステム1jの動作については、上述したタッチパネルシステム1iと同様であるため、説明を省略する。そこで、以下では、減算部41a復号部58、非タッチ操作時情報記憶部61、および較正部62での処理を中心に説明する。また、以下では、並列駆動のための符号列として、直交系列またはM系列を用いる例について説明する。
具体的には、ドライブラインの1番目からM番目までを並列駆動する符号系列(成分は1または−1)を、
= (d11,d12,・・・,d1N
= (d21,d22,・・・,d2N



= (dM1,dM2,・・・,dMN
とする。以下のこの系列を、直交系列、あるいは、符号長N(=2^n−1)のM系列をシフトした系列とする。このような系列では、以下の式が成立するという性質を有する。
Figure 2014519064
この系列に対応するセンスライン33の差分出力系列「Sj, P(j=1,..,[L/2], P=1,2)(Lはセンスライン33の数、[n]=nの整数部分)」を、
j,1:スイッチSWが下側の時のd〜 dに対する出力系列
j,2:スイッチSWが上側の時のd〜 dに対する出力系列
と定義する。
また、ドライブラインが延びる方向(センスライン33が配列する方向)の容量値の差分分布「(∂sC)kj,P(k=1,…,M, j=1,..,[L/2], P=1, 2)」を、
(∂sC)kj,1=Ck,2j − Ck,2j−1
(∂sC)kj,2=Ck,2j+1 − Ck,2j
と定義する。
この場合、並列駆動による容量のドライブライン35が延びる方向の差分出力は、以下の式のようになる。
Figure 2014519064
復号部58は、減算部41aで算出された静電容量の差分値(つまりドライブライン35が延びる方向の容量値の差分分布)を復号化する。具体的には、ドライブライン35を並列駆動する符号系列と、この系列に対応するセンスライン33の差分出力系列との内積を演算する。従って、復号部58による復号後の内積値は、以下の式のようになる。
Figure 2014519064
このように、復号部58では、復号後の内積値d・sj,P の主成分として、ドライブライン35が延びる方向の容量値の差分分布(∂sC)kj,PがN倍され算出される。従って、内積値d・sj,P を、ドライブライン35が延びる方向の容量値の差分分布(∂sC)ij,Pの推定値とすることにより、その容量値の信号強度をN倍(符号長倍)にした読み出しが可能になる。
一方、上述のように、センスライン33の差分出力系列Sj,P(P=1,2)を定義することによって、隣り合うセンスライン33に共通に重畳されるコモンモードノイズは、キャンセルされる。従って、SNRが高い差分容量の読み出しが可能となる。
以上のように、タッチパネルシステム1jによれば、タッチパネル3cが並列駆動され、復号部58が、減算部41aで算出された静電容量の差分値を、復号化する。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン35の数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、図9に示す従来の駆動方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブライン35の駆動時間が、図9に示す駆動方式の場合の1/Nに短縮される。つまり、ドライブライン35の駆動回数を減らすことができる。従ってタッチパネルシステム1jの省電力化が可能となる。
また、タッチパネルシステム1jにおいて、較正部62が、タッチ操作時に算出された互いに隣接するセンスライン33の差分(すなわち、タッチパネル3c全体における差分値の分布)から、非タッチ操作時に算出された互いに隣接するセンスライン33の差分(=タッチパネル全体における差分値の分布)を減算することが好ましい。すなわち、上述のような差分信号処理を、タッチ操作前後で行うと共に、タッチ操作前後の差分値信号を減算することが好ましい。例えば、タッチ操作の無い初期状態(非タッチ操作時)の差分分布(∂sC)kj,Pの推定値を非タッチ操作時情報記憶部61に記憶しておく。そして、較正部62が、タッチ操作時の差分分布(∂sC)kjの推定値から、非タッチ操作時情報記憶部61に記憶された非タッチ操作時の差分分布(∂sC)kj,Pの推定値を差し引く。このように、較正部62は、タッチ操作時の静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部61に記憶された非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算する(タッチ操作時の差分値信号−非タッチ操作時の差分値信号)。従って、タッチパネル3cに内在するオフセットをキャンセルすることができる。
このように、タッチパネルシステム1jでは、タッチパネル3cに内在する容量バラツキに起因する差成分は無くなり、タッチ操作に起因する差成分のみが検出される。M系列の場合は、直交系列では入らない誤差成分(δi j =-1/N if else i≠j)の混入がある。しかし、この誤差成分はタッチ操作に起因するものだけになるため、N=63または127のようにNを大きくすれば、SNRの劣化は少ない。
〔実施の形態12〕
図23は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1kの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1kは、減算部41aの構成が異なる。
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、AD変換部(第3のAD変換部)48aとデジタル減算器(図示せず)とを備えている。
これにより、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)は、減算部41aのAD変換部48aにて、デジタル信号に変換される。デジタル減算器は、変換されたデジタル信号を用いて、図20のタッチパネルシステム1i,1jと同様に減算処理を行う。
このように、タッチパネルシステム1kは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態13〕
図24は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1mの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1mは、減算部41aの構成が異なる。
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、差動増幅器49とAD変換部48a(第4のAD変換部)とを備えている。
これにより、差動増幅器49は、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図20のタッチパネルシステム1iと同様に減算処理を行う。AD変換部48aは、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
このように、タッチパネルシステム1mは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態14〕
図25は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1nの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1nは、減算部41aの構成が異なる。タッチパネルシステム1nは、図24のタッチパネルシステム1mにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、全差動増幅器50とAD変換部48aとを備えている。
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図20のタッチパネルシステム1iと同様に減算処理を行う。AD変換部48aは、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
このように、タッチパネルシステム1nは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
〔実施の形態15〕
図26は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1oの基本構成を示す概略図である。タッチパネルシステム1oは、減算部41aの構成が異なる。タッチパネルシステム1oは、図26のタッチパネルシステム1mにおける差動増幅器49の代わりに、全差動増幅器50を備えている。
タッチパネル3cのセンスライン33からの出力信号は、アナログ信号である。そこで、減算部41aは、全差動増幅器50とAD変換部48aとを備えている。
これにより、全差動増幅器50は、タッチパネル3cからの出力信号(アナログ信号)を、アナログ信号のまま、図20のタッチパネルシステム1iと同様に減算処理を行う。AD変換部48aは、減算処理されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
さらに、タッチパネルシステム1oにおいて、タッチパネル3cの駆動方式として、図10,図12,図22で示す直交系列駆動方式を適用している。この場合、図10に示すように、4本のドライブラインを駆動する電圧は、2回目〜4回目の場合は+Vの印加と−Vの印加が同数の2回であるのに対し、1回目の場合は+Vの印加が4回となっている。このため、1回目の出力系列Y1の出力値が、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値と比して大きくなる。このため、2〜4回目の出力系列Y2〜Y4の出力値に、ダイナミックレンジを合わせると、1回目の出力系列Y1が飽和してしまうことになる。
そこで、タッチパネルシステム1oの減算部41aは、全差動増幅器50を備えている。
さらに、全差動増幅器50は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するものを採用している。つまり、この全差動増幅器50は、コモンモード入力レンジが広い。これにより、全差動増幅器50が、電源電圧(Vdd)からGNDまでの電圧範囲で動作可能となる。また、全差動増幅器50への入力信号の差分が増幅される。従って、どのような直交系列駆動方式のタッチパネル3cを組み合わせても、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。なお、全差動増幅器50の一例は、上述した図17の通りである。
このように、タッチパネルシステム1oは、タッチパネル3cから出力されるアナログ信号を、アナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。さらに、レールトゥレール(rail to rail)動作可能な全差動増幅器50を備えているため、全差動増幅器50からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。
〔実施の形態16〕
次に、上述の実施形態に係るタッチパネルシステムによるタッチ操作の認識方法について説明する。以下では、図22のタッチパネルシステム1jを例に説明するが、他の実施形態のタッチパネルシステムについても同様である。タッチパネルシステム1jは、減算部41aおよび復号部58で算出された互いに隣接するセンスライン33の信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、タッチ操作の有無を判定する判定部59を備えている。なお、判定部59には、較正部62で較正処理された信号(静電容量の差分分布)、または、較正部62で較正処理されていない信号(静電容量の差分分布)が入力される。較正部62で較正処理されていない信号が、判定部59に入力される場合、復号部58で復号化された静電容量の差分分布が、判定部59に直接入力されることになる。以下では、較正部62で較正処理されていない信号が、判定部59に入力される場合について説明する。しかし、較正処理された信号が、判定部59に入力される場合も同様である。
図27は、図22のタッチパネルシステム1jにおける判定部59の基本処理を示すフローチャートである。図28は、図27のフローチャートにおけるタッチ情報の認識方法を示す模式図である。
図27のように、判定部59は、まず、減算部41aおよび復号部59で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分値(差分情報)「(∂sC)ij,P」を取得する(F801)。次に、この差分値を、判定部59に格納された正の閾値THpおよび負の閾値THmと比較し、増減表を作成する(F802)。この増減表は、例えば、図28の(a)に示すような、3値化された増減表である。
次に、3値化された増減表を2値画像に変換(2値化)する(F803)。例えば、図28の(a)の増減表において、センスラインS1〜センスラインS7の順(図中右向き)にスキャンする場合、増減表に「+」が出たら次の「−」がでるまですべて「1」、「−」がでたらスキャン方向と逆方向(図中左向き)に遡って全て「1」に変換する。これにより、図28の(b)に示すような2値化されたデータが得られる。
次に、2値化されたデータからタッチ情報を抽出するため、連結成分を抽出する(F804)。例えば、図28の(b)において、隣り合うドライブライン上で、同じセンスライン位置に「1」が重なった場合は、同一の連結成分であるとみなし、タッチ位置候補とする。すなわち、図28の(c)において、枠で囲った「1」は同一の連結成分であるとみなし、タッチ位置候補として抽出する。
最後に、抽出されたタッチ位置候補に基づいて、タッチ情報(タッチの大きさ、位置など)を認識する(F805)。
このように、判定部59は、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスライン33の信号の差分に基づいて、タッチ操作の有無を判定する。従って、タッチ操作の有無を正確に判定することができる。
さらに、上述の例では、判定部59が、減算部41aで算出された互いに隣接するセンスライン33の信号の差分と、正および負の閾値(THp,THm)との比較に基づいて、各センスライン33の信号の差分分布を3値化した増減表を作成すると共に、その増減表を2値画像に変換する。すなわち、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスラインの信号の差分が判定部59に入力される。判定部59は、互いに隣接するセンスライン33の信号の差分と、判定部59に格納された正および負の閾値(THp,THm)との比較とを用いて、各センスライン33の信号の差分分布を3値化した増減表を作成する。さらに、判定部59は、その増減表を2値化することにより、増減表が2値画像に変換される。これにより、変換された2値画像には、タッチ位置候補が抽出される。従って、この2値画像に基づいて、タッチ情報(タッチの大きさ、位置など)を認識することにより、タッチ操作の有無に加えて、タッチ情報をより正確に認識することができる。
〔実施の形態17〕
図29は、タッチパネルシステム1を搭載した携帯電話機10の構成を示す機能ブロック図である。携帯電話機(電子機器)10は、CPU51と、RAM53と、ROM52と、カメラ54と、マイクロフォン55と、スピーカ56と、操作キー57と、タッチパネルシステム1とを備えている。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。
CPU51は、携帯電話機10の動作を制御する。CPU51は、たとえばROM52に格納されたプログラムを実行する。操作キー57は、携帯電話機10のユーザによる指示の入力を受ける。RAM53は、CPU51によるプログラムの実行により生成されたデータ、または操作キー57を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM52は、データを不揮発的に格納する。
また、ROM52は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの書込みおよび消去が可能なROMである。なお、図20には示していないが、携帯電話機10が、他の電子機器に有線により接続するためのインターフェイス(IF)を備える構成としてもよい。
カメラ54は、ユーザの操作キー57の操作に応じて、被写体を撮影する。なお、撮影された被写体の画像データは、RAM53や外部メモリ(たとえば、メモリカード)に格納される。マイクロフォン55は、ユーザの音声の入力を受付ける。携帯電話機10は、当該入力された音声(アナログデータ)をデジタル化する。そして、携帯電話機10は、通信相手(たとえば、他の携帯電話機)にデジタル化した音声を送る。スピーカ56は、たとえば、RAM53に記憶された音楽データなどに基づく音を出力する。
タッチパネルシステム1は、タッチパネル3とタッチパネルコントローラ4とドライブライン駆動回路5と表示装置2とを有している。CPU51は、タッチパネルシステム1の動作を制御する。CPU51は、例えばROM52に記憶されたプログラムを実行する。RAM53は、CPU51によるプログラムの実行により生成されたデータを揮発的に格納する。ROM52は、データを不揮発的に格納する。
表示装置2は、ROM52、RAM53に格納されている画像を表示する。表示装置2は、タッチパネル3に重ねられているか、タッチパネル3を内蔵している。
〔実施の形態18〕
上述した各実施形態のタッチパネルシステムは、以下のような構成をさらに備えることもできる。
〔タッチパネルシステム1pの構成〕
図31は、電子機器が備えている、本実施の形態に係るタッチパネルシステムの概略構成を示すブロック図である。
タッチパネルシステム1pは、タッチパネル11およびタッチパネルコントローラ12を備えている。タッチパネル11およびタッチパネルコントローラ12は、タッチパネル11における複数箇所が同時にタッチされたことを検出することが可能であるように構成されている。該構成の一例として、いわゆる静電容量方式のタッチパネルが挙げられる。
タッチパネル11は、表示装置の表示画面(図示しない)に重ねて配置されている。該表示装置としては、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機EL表示装置、および電界放出ディスプレイ等が挙げられる。タッチパネル11の具体例としては、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の、持ち運び可能な機器(携帯型の機器)である電子機器に設けられたタッチパネルが挙げられる。
タッチパネル11は、垂直方向(図31中、X方向)に設けられていると共に互いに平行に設けられている、複数のドライブラインを備えている。また、タッチパネル11は、水平方向(図31中、Y方向)に設けられていると共に互いに平行に設けられている、複数のセンスライン(S0、S1、S2、・・・Sn−1)を備えている。さらに、タッチパネル11は、複数のドライブラインと複数のセンスラインとが交差する箇所にそれぞれ形成された、複数の静電容量(図示しない)を備えている。
タッチパネルコントローラ12は、タッチパネル11を用いたタッチ操作(タッチパネル11のタッチに応じた、上記電子機器に対する指示)が可能であるように構成されているシステムである。本願明細書において、タッチパネルコントローラ12は、該タッチ操作を実現するための構成要素であって、タッチパネル11を除く構成を意味するものとする。
タッチパネルコントローラ12は、ドライブライン駆動部13、増幅回路14、信号選択部15、A/D(アナログ‐デジタル)変換部16、復号処理部17、タッチ位置検出部18、およびタッチ無効化部19を備えている。タッチパネルシステム1pには、ホストコンピュータ20が設けられている。
ドライブライン駆動部13は、複数のドライブラインに電圧を印加して、該複数のドライブラインを駆動することにより、複数の静電容量に電荷を供給する。
増幅回路14は、上記複数の静電容量に蓄積された電荷の線形和信号をセンスライン毎に読み出し、信号選択部15に供給する。
信号選択部15は、センスライン毎に読み出された複数の上記線形和信号の一つを選択し、A/D変換部16に供給する。
A/D変換部16は、信号選択部15により選択された上記線形和信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換し、復号処理部17に供給する。
復号処理部17は、A/D変換部16から供給された上記線形和信号を復号して、静電容量分布を求め、タッチ位置検出部18に供給する。
タッチ位置検出部18は、上記静電容量分布から、タッチされたタッチパネル11の箇所を、X座標およびY座標の分布に従って検出し、タッチ無効化部19に供給する。
タッチ無効化部19は、上記タッチされたタッチパネル11の箇所が、所定期間継続してタッチされたか否かを検出する。ここで、所定期間は、1秒〜数秒程度であり、例えば2秒が目安となる。そして、タッチ無効化部19は、上記タッチされたタッチパネル11の箇所が、所定期間継続してタッチされた場合、該タッチに応じたタッチ操作を無効とする。
タッチ無効化部19は、上記タッチ操作を有効とするときに、上記タッチされたタッチパネル11の箇所を示す情報をホストコンピュータ20に供給する。一方、タッチ無効化部19は、上記タッチ操作を無効とするときに、該情報をホストコンピュータ20に供給せず待機する。
すなわち、タッチ無効化部19は、タッチパネル11における同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、タッチパネル11を備えた電子機器に対する指示を無効とする機能を有している。
ホストコンピュータ20は、例えばCPU(Central Processing Unit:コンピューターの中央演算処理装置)により構成されている。ホストコンピュータ20は、タッチ無効化部19から供給された情報に応じて、電子機器を制御する。具体例として、ホストコンピュータ20は、タッチ無効化部19から供給された情報に応じた表示データを、電子機器に設けられた表示装置に供給し、該表示装置の表示画面に画像を表示させる。
〔タッチ無効化部の実施例1〕
図30は、本実施の形態に係るタッチ無効化部19により、タッチ操作を無効化する一実施例を示すグラフである。
図30のグラフは、縦軸がタッチ検出値を示しており、横軸が経過時間を示している。
本実施例では、タッチパネル11における特定の1箇所に、物体が接触する場合の例について説明する。
タッチパネル11に物体が接触すると、この接触の度合(タッチパネル11への圧力、接触の範囲等)に応じて、接触の箇所に対応する静電容量に対応するタッチ検出値が大きくなる。タッチパネルコントローラ12のタッチ位置検出部18は、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dth以上であるか、またはタッチ基準閾値Dthを超えているときに、接触の箇所に対するタッチが行われていると判断する。タッチ検出値がタッチ基準閾値Dth未満またはタッチ基準閾値Dth以下となるまでの間、タッチが継続しているとみなされる。
なお、通常、人の指によってタッチパネル11に接触する程度であれば、この接触に伴い大きくなったタッチ検出値は、タッチ基準閾値Dthを超えることとなる。従って、ここでは、タッチ位置検出部18が、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えているときに、タッチが行われていると判断し、タッチ基準閾値Dth以下であれば、タッチが行われていないと判断するものとする。
図30のグラフでは、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えた値D1となった瞬間の時刻T1が、タッチ位置検出部18により、タッチが行われていると最初に判断された(タッチが開始された)時間に相当し、この瞬間をタッチの開始時刻T1としている。
タッチ無効化部19は、上記のタッチが所定期間継続するか否かを検出する。換言すれば、タッチ無効化部19は、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えている期間が、所定期間継続するか否かを検出する。
このとき、タッチ無効化部19は、上記所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値Tthを参照して、上記の検出を行う。タッチ時間閾値Tthとして設定された時間は、該時間を幅とする(該時間に渡る)一定の期間を示す。図30のグラフでは、タッチの開始時刻T1から、タッチの開始時刻T1に対してタッチ時間閾値Tth(所定期間)後に相当する時間である時刻T2までの期間が、タッチ時間閾値Tthの時間に相当し、このときのタッチ時間閾値Tthは、(時刻T2−時刻T1)となる。
このように、タッチ無効化部19は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値Tthの間、タッチが継続したか否かを判断するのが好ましい。
これにより、接触の箇所が所定期間継続してタッチされたか否かを、簡単な構成により判断することができる。
つまり、タッチ無効化部19は、タッチの継続期間TA・TB(タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超え続けている期間)が、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上であるか否かを検出する。
時刻T1で開始され時刻T3で終了するタッチの継続期間TAが、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上であるとき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続したと判断する。そして、この判断に基づいて、タッチ無効化部19は、該タッチに応じたタッチ操作を無効とする(図30中の継続期間TA参照)。
一方、時刻T4で開始され時刻T5で終了するタッチの継続期間TBが、時刻T4で開始され時刻T6で終了するタッチ時間閾値Tthが示す時間未満であるとき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続しなかったと判断する。そして、この判断に基づいて、タッチ無効化部19は、該タッチに応じたタッチ操作を有効とする(図30中の継続時間TB参照)。
タッチ無効化部19は、タッチパネル11における同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、このタッチによる電子機器に対する指示を無効とする。これにより、例えば電子機器を持つ手がタッチパネル11に接触する場合のように、タッチパネル11に対する物体の意図しない接触が継続するとき、該接触による指示は行われない。このため、タッチパネル11に対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
また、前述した従来技術のように、上記の誤動作を防止するために、タッチが行われているか否かの判断基準を変更する必要は無い。従って、タッチの有無を検出する感度の低下については、抑制することが可能となる。
図32は、本実施の形態に係るタッチ無効化部19により、タッチ操作を無効化する一実施例を示すフローチャートである。
まず、タッチ位置検出部18は、接触の箇所に対応するタッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えているか否かを判断することにより、接触の箇所がタッチされているか否かを判断する(ステップF1)。タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えていない(ステップF1の結果がNoである)とき、改めて該判断を行う。
タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超えている(ステップF1の結果がYesである)とき、タッチ無効化部19は、タッチの継続期間が、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上であるか否かを検出する(ステップF2)。
タッチの継続期間が、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上である(ステップF2の結果がYesである)とき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続したと判断し、該タッチに応じたタッチ操作を無効とする(ステップF31)。
一方、タッチの継続期間が、タッチ時間閾値Tthが示す時間未満である(ステップF2の結果がNoである)とき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続しなかったと判断し、該タッチに応じたタッチ操作を有効とする(ステップF32)。
〔タッチ無効化部の実施例2〕
図33は、本実施の形態に係るタッチ無効化部19により、タッチ操作を無効化する別の実施例を示すグラフである。
図33のグラフは、図30のグラフに基づいている。以下では、図33のグラフを参照した説明を行うが、図30のグラフを参照した説明と異なる内容についてのみ説明し、その他の説明については便宜上省略する。
図30のグラフに示す実施例では、タッチ検出値によりタッチが行われているか否かを判断するための閾値であるタッチ基準閾値Dthが、時間経過に拘らず一定であった。
一方、図33のグラフに示す実施例は、タッチ無効化部19が、時間経過に応じてタッチ基準閾値を変化させる例である。
図33のグラフに示す実施例において、タッチ無効化部19は、タッチの開始時刻T1から時刻T2までのタッチ時間しきい値Tthの期間に渡って、タッチ検出値がタッチ基準閾値Dthを超える値D1になったことにより、該タッチ基準閾値をDthからαだけ増加させる。すなわち、タッチ無効化部19は、タッチがタッチ時間しきい値Tth(所定期間)継続したときに、タッチ基準閾値を一定期間Dthからαだけ増加させる。ここで、一定期間は、例えば表示装置または電子機器の電源をオフにするまでの期間、またはそれより短い期間が挙げられる。また、増加後のタッチ基準閾値(Dth+α)は、少なくとも人の指によってタッチパネル11に接触する程度のタッチ検出値より十分大きく、タッチパネル11に接触することがタッチであると判断されない程度の値とするのが好ましい。
これにより、タッチ基準閾値をDthからαだけを増加させた後、すなわち図33中の時刻T2より後の時間において、タッチ無効化部19は、タッチの継続期間に関係無くタッチ操作を無効とすることができる。この場合、時刻T4で開始され時刻T5で終了するタッチの継続期間TBが、時刻T4で開始され時刻T6で終了するタッチ時間閾値Tthが示す時間未満であっても、タッチ無効化部19は、上記のタッチに応じたタッチ操作を無効とすることができる。
タッチの継続期間が、タッチ時間閾値Tthが示す時間以上であるとき、タッチ無効化部19は、上記のタッチが、所定期間継続したと判断し、該タッチに応じたタッチ操作を無効とすると共に、タッチ基準閾値をDthからαだけ増加させる(図33中の期間TA参照)。
タッチ基準閾値をDthからαだけ増加させた後、次のタッチに対応するタッチの継続期間TBが、タッチ時間閾値Tthが示す時間未満であっても、タッチ検出値D1がタッチ基準閾値(Dth+α)以下になることから、タッチ無効化部19は、上記のタッチに応じたタッチ操作を無効とする(図33中の期間TB参照)。
このように、タッチ無効化部19は、所定期間継続してタッチされたときに、タッチ基準閾値を増加させて、該タッチに応じたタッチ操作を一定期間無効とする構成とすることもできる。
これにより、タッチパネル11に対する物体の意図しない接触が、短期間に何度も発生する場合であっても、タッチ無効化部19は、1度機能するだけで、該接触の度に発生し得る誤動作を防止することが可能となる。
また、同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、タッチ無効化部19がタッチ基準閾値を増加させることにより、この箇所に対するタッチに応じた指示を一定期間無効とすることを、簡単な構成により実現することができる。
〔電子機器の構成〕
図34は、本実施の形態に係る電子機器80の概略構成の一例を示すブロック図である。
図34に示す電子機器80は、携帯型の機器であり、ここでは、スマートフォンの構成例を示している。
電子機器80は、バスライン81を備えている。そして、電子機器80は、バスライン81に接続されている、記憶部82、カメラ部83、入力操作部84、通信処理部85、画面表示部86、音声出力部87、および制御部88を備えている。
記憶部82は、例えばROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)およびRAM(Random Access Memory:随時書込・読出メモリ)によって構成されている。記憶部82には、カメラ部83により撮像した画像のデータ、画面表示部86の主要部である表示画面に表示させる画像等の、各種のデータが格納されている。
カメラ部83は、例えば撮像レンズおよび撮像素子を備えた撮像モジュールにより構成されている。カメラ部83は、物体(被写体)の撮像を行うものである。
入力操作部84は、タッチパネル89および入力ボタン群90を備えている。
タッチパネル89は、タッチパネル11(図31参照)と同じ構成であり、上記表示画面に重ねて配置されている。タッチパネル89は、タッチする箇所、タッチの継続期間等に応じて、様々な指示を電子機器80に対して行うことができる。
入力ボタン群90は、電子機器80の筐体(図示しない)等に設けられた複数のボタンである。入力ボタン群90は、押下するボタン、押下する複数のボタンの組み合わせ、ボタンを押下する期間またはタイミング等に応じて、様々な指示を電子機器80に対して行うことができる。
通信処理部85は、テレビジョン放送の受信、インターネットをはじめとする各種通信ネットワークへの接続、他の端末との通信(携帯端末の場合、通話等)といった、電子機器80から電子機器80外部への通信を担っている。通信処理部85は、電波を送受信する各種のアンテナおよびその周辺回路(周辺機器)等を備えている。
画面表示部(表示装置)86は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機EL表示装置、および電界放出ディスプレイのいずれかであり、画像を表示する表示画面を備えた表示装置である。上述したとおり、タッチパネル89は、画面表示部86の主要部である表示画面に重ねて配置されているが、ここでは、その詳細な構造については、図示および説明を省略している。
音声出力部87は、スピーカ等を備えており、外部に音を出力するものである。
制御部88は、バスライン81を介して、記憶部82、カメラ部83、入力操作部84、通信処理部85、画面表示部86、および音声出力部87を統括的に制御する。また、該制御のため、制御部88は、必要に応じて、保存すべきデータを記憶部82に書き込んだり、所望のデータを記憶部82から読み出したりする。
制御部88は、主にCPUにより構成されており、ホストコンピュータ20(図31参照)がこれに該当する。但し、タッチパネル11からの入力に基づく信号処理を行うことを考慮すると、ハードウェアを含むタッチパネルコントローラ12(図31参照)の各構成要素が、制御部88に含まれると解釈することができる。
これにより、タッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネル11に対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することを可能とする電子機器80を実現することができる。
〔タッチ無効化部の実施例3〕
タッチ無効化部19が機能する(同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、タッチに応じた電子機器に対する指示を無効とする)タッチパネル11の部分を、タッチパネル11における一部の領域に制限することが可能である。こうした実施例について、図35の(a)および(b)を参照して説明する。
図35の(a)および(b)は、本実施の形態に係るタッチ無効化部19により、タッチ操作を無効化するさらに別の実施例を示す図である。
図35の(a)および(b)に示すタブレット端末(電子機器)200は、表示画面に重ねて配置されたタッチパネル11、重力センサ201、および額縁202を備えている。また、図示はしていないが、タブレット端末200は、タッチパネルコントローラ12(図31参照)を備えている。
以下では、図35の(a)および(b)の図示内容に従って、タブレット端末200の平面形状が略長方形であり、その短辺を構成する額縁202の部分に重力センサ201が設けられているものとする。また、タブレット端末200の短辺が地面と対向するようにタブレット端末200を持った状態(図35の(a)参照)を縦持ちと称し、タブレット端末200の長辺が地面と対向するようにタブレット端末200を持った状態(図35の(b)参照)を横持ちと称する。
重力センサ201は、重力(地面)に対するタブレット端末200の向きを検出するものである。タブレット端末200は、重力センサ201による、重力に対するタブレット端末200の向きの検出結果に応じて、その機能および動作等を制御することが可能であるように構成されている。
タブレット端末に限らず、電子機器では、重力センサを備えていることにより、該電子機器の向きに応じた制御が可能になることが周知である。例えば、タブレット端末200では、図35の(a)に示す縦持ちの場合と、図35の(b)に示す横持ちの場合とで、表示画像の向きを異ならせるといった制御を行うことができる。
図35の(a)に示すとおり、タブレット端末200を縦持ちするとき、タブレット端末200を持つ手(物体)203は、タブレット端末200の長辺を構成する額縁202の部分に位置するのが一般的である。そして、この手203の近くに位置するタッチパネル11の部分については、意図せずに手203が接触してしまう虞が高いと考えられる。
そこで、タブレット端末200を縦持ちするときは、タッチパネル11における、タブレット端末200の長辺を構成する額縁202の部分の近傍のみを、タッチ無効化部19が機能する領域とすることが考えられる。タッチ無効化部19が機能する領域204が、その具体例に該当する。
一方、図35の(b)に示すとおり、タブレット端末200を横持ちするとき、タブレット端末200を持つ手203は、タブレット端末200の短辺を構成する額縁202の部分に位置するのが一般的である。そして、この手203の近くに位置するタッチパネル11の部分については、意図せずに手203が接触してしまう虞が高いと考えられる。
そこで、タブレット端末200を横持ちするときは、タッチパネル11における、タブレット端末200の短辺を構成する額縁202の部分の近傍のみを、タッチ無効化部19が機能する領域とすることが考えられる。タッチ無効化部19が機能する領域205が、その具体例に該当する。
タブレット端末200では、タッチパネル11の特定箇所に長時間タッチすること(いわゆる、長押し)による、タブレット端末200に対する指示を実現したい場合がある。そして、このような長時間のタッチが行われることが予想されるタッチパネル11の領域を、タッチ無効化部19の機能が発揮される領域とするのは好ましくない。そこで、上記の構成によれば、タッチパネル11の特定箇所に長時間タッチすることによる該指示の実現と、タッチ無効化部19によるタッチの無効化とを同時に実現させることが容易となる。
また、タブレット端末200では、その向きに応じて、タッチ無効化部19が機能する領域として好適である位置を変化させるべき場合がある。重力に対するタブレット端末200の向きを検出し、その検出結果に応じて該領域を変化させることで、タブレット端末200の向きの変化に対応して、タッチ無効化部19を機能させることが可能となる。
以上の説明では、タブレット端末200に重力センサ201を設け、この重力センサ201によって検出された重力に対するタブレット端末200の向きに応じて、タッチ無効化部19が機能する領域を変化させる実施例について説明した。しかしながら、タッチ無効化部19が機能する領域は、予め定められた固定の領域であってもよい。
例えば、予め、タブレット端末200を持つときに、タッチパネル11に手203が接触する虞が高いと予想されるタッチパネル11の領域を、タッチ無効化部19が機能する領域としてもよい。また、額縁202の近傍に位置するタッチパネル11の部分全体を、タッチ無効化部19が機能する領域としてもよい。こうすることにより、重力センサ201による検出結果に応じた制御を行うまでもなく、タッチ無効化部19が機能する領域を定めることができる。
なお、本発明は、以下のように表現することもできる。
〔1〕複数のセンサを持つタッチパネルと、前記センサからの信号を入力し、データを読み取るタッチパネルコントローラとからなるタッチパネルシステムに関して、前記タッチパネルは、使用者がタッチ操作を行うことにより信号を入力する主センサと、前記主センサと同じタッチパネル上に設置された副センサとを備え、前記タッチパネルコントローラは、前記主センサからの信号と前記副センサからの信号を受信し、前記主センサからの信号から、前記副センサからの信号を減算する減算手段とを有することを特徴とするタッチパネルシステム。
〔2〕前記副センサが、使用者がタッチ操作により接触することなく、センサに発生するノイズを検出することを特徴とする上記〔1〕に記載のタッチパネルシステム。
〔3〕前記主センサと前記副センサとが隣接して設置されていることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕に記載のタッチパネルシステム。
〔4〕表示装置と、前記表示装置の表示画面の上部等に配置され、複数のセンサ群をマトリクス状に配置したタッチパネルと、前記センサ群からの信号を入力し、データを読み取るタッチパネルコントローラとからなるタッチパネルシステムに関して、前記タッチパネルは、使用者がタッチ操作を行うことにより信号を入力する主センサ群と、前記主センサ群と同じタッチパネル上に設置された副センサ群とを備え、前記タッチパネルコントローラは、前記主センサ群からの信号と前記副センサ群からの信号を受信し、前記主センサ群からの信号から、前記副センサ群からの信号を減算する減算手段とを有することを特徴とするタッチパネルシステム。
〔5〕前記副センサ群が、使用者がタッチ操作により接触することなく、センサ群に発生するノイズを検出することを特徴とする上記〔4〕に記載のタッチパネルシステム。
〔6〕前記主センサ群と前記副センサ群とが隣接して設置されていることを特徴とする上記〔4〕または〔5〕に記載のタッチパネルシステム。
〔7〕前記表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、FEDディスプレイであることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のタッチパネルシステム。
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかのタッチパネルシステムを備えたことを特徴とする電子機器。
上記各構成によれば、タッチパネル内に、タッチ操作を検出する主センサ部と、ノイズ検出用の副センサ部とを備え、減算部が、主センサ部と副センサ部との信号の差分を取る。これにより、主センサ部からの出力信号からノイズ信号が除去され、タッチ操作により生じたタッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。それゆえ、除去対象となるノイズ成分は、ノイズを含む信号中のAC信号成分に限られることなく、タッチパネルに反映されるノイズ成分の全てである。つまり、基本的にノイズ成分を全てキャンセルすることが可能であるタッチパネルシステムおよび電子機器を提供することが可能となる。
また、本発明は、以下のように記載することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部は、複数のセンスラインを備え、上記副センサ部は、センスラインと同一方向に延びるサブセンスラインを備え、
上記減算部は、
上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、および、
センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))を算出すると共に、
サブセンスラインとサブセンスラインに隣接するセンスラインとの差分である第3の差分を算出し、
上記タッチパネルコントローラは、上記第1の差分と第2の差分と第3の差分とを加算する加算部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、減算部が、隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることになる。さらに、各センスラインの出力信号から、サブセンスラインの信号(ノイズ信号)も除去される。従って、より確実にノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記センスラインおよびサブセンスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインまたはサブセンスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、直交系列またはM系列を用いて、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記センスラインおよびサブセンスラインごとの出力信号を読み出し、その出力信号と上記ドライブラインを並列駆動する符号系列とを内積し、上記静電容量の容量値を算出する演算部を備えていてもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルが直交系列駆動方式により駆動される。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、従来方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブラインの駆動回数を減らすことができ、省電力化が可能となる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインまたはサブセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第1のAD変換部を備え、
上記減算部は、上記第1のAD変換部でデジタル信号を用いて上記第1の差分〜第3の差分を算出するようになっていてもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインまたはサブセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第2のAD変換部を備え、
上記第2のAD変換部は、上記減算部により上記アナログ信号を用いて算出された上記第1の差分〜第3の差分をデジタル信号に変換するようになっていてもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記アナログ信号を用いて上記第1の差分〜第3の差分を算出する全差動増幅器を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、全差動増幅器によって、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記全差動増幅器は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するようになっていることが好ましい。
上記の構成によれば、レールトゥレール(rail to rail)動作可能な全差動増幅器を備えている。これにより、全差動増幅器が、電源電圧(Vdd)からGNDまでの電圧範囲で動作可能となる。従って、全差動増幅器からの出力信号に、出力飽和の問題が生じない。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記加算部は、上記サブセンスラインからの距離が近い順に加算処理を進め、加算結果を次の加算処理に用いるようになっていることが好ましい。
上記の構成によれば、加算部が、加算結果を利用しながら、サブセンスラインから離れる方向に順次加算処理を進める。従って、加算処理速度を高めることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記副センサ部は、上記タッチパネルのタッチ操作を検出しないようになっていてもよい。
上記の構成によれば、タッチ操作による信号が副センサ部で検出されないため、副センサ部からの出力信号には、タッチ操作による信号が含まれない。これにより、減算部の減算処理によって、タッチ操作の信号値が低減されることはない。つまり、主センサ部で検出されたタッチ操作の信号が低減されることなく、ノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記副センサ部は、上記タッチパネル上のタッチ操作されない領域に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、副センサ部が、使用者がタッチ操作する領域(タッチ領域)を避けて設けられている。このため、副センサ部は、使用者がタッチ操作することなく、タッチパネルに反映されたノイズを検出するが、タッチ操作による信号を検出しない。従って、副センサ部が、タッチ操作を検出するのを確実に回避することができる。
つまり、上記の構成によれば、タッチ操作による信号が副センサ部で検出されないため、副センサ部からの出力信号には、タッチ操作による信号が含まれない。これにより、減算部の減算処理によって、タッチ操作の信号値が低減されることはない。つまり、主センサ部で検出されたタッチ操作の信号が低減されることなく、ノイズ成分が除去される。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部と副センサ部とが、互いに隣接して設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、主センサ部と副センサ部とが、最も接近して配置される。つまり、主センサ部と副センサ部とが、略同一条件の配置状態となる。このため、副センサ部からの出力信号に含まれるノイズ信号値は、主センサ部からの出力信号に含まれるノイズ信号値と同一であるとみなすことができる。これにより、減算部による減算処理によって、タッチパネルに反映されたノイズ成分を、より確実に除去することができる。従って、タッチ操作の検出感度をより一層高めることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部は、1個の主センサからなるものであってもよい。
上記の構成によれば、主センサ部が、単数の主センサから構成されている。これにより、タッチ操作の有無を検出することのできるタッチパネルシステムを提供することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記主センサ部は、マトリクス状に配置された複数の主センサからなるものであってもよい。
上記の構成によれば、主センサ部が、マトリクス状に配置された複数の主センサから構成されている。これにより、タッチ操作の有無と共にタッチ位置を検出することのできるタッチパネルシステムを提供することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記ドライブラインが延びる方向における静電容量の差分を算出し、
上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、タッチパネルが並列駆動され、復号部が、減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する。これにより、静電容量の信号が符号長倍(N倍)されて求まるため、ドライブライン数に依存せず、静電容量の信号強度が高まる。また、従来方式と同等の信号強度で良ければ、ドライブラインの駆動回数を減らすことができ、省電力化が可能となる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第3のAD変換部を備え、
上記減算部は、上記第3のAD変換部でデジタル信号を用いて算出された、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出してもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後、減算処理を行うことにより、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第4のAD変換部を備え、
上記第4のAD変換部は、上記減算部により上記アナログ信号を用いて算出された上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分をデジタル信号に変換してもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部は、上記アナログ信号を用いて上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する全差動増幅器を備えていてもよい。
上記の構成によれば、全差動増幅器によって、タッチパネルから出力されるアナログ信号をアナログ信号のまま減算処理した後、デジタル信号に変換して、ノイズを除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、非タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布を記憶する非タッチ操作時情報記憶部と、タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部に記憶された、非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算し、静電容量の差分分布を較正する較正部とを備える構成であってもよい。
上記の構成によれば、非タッチ操作時情報記憶部が、復号部で復号化された非タッチ操作時における静電容量の差分分布を記憶している。そして、較正部は、タッチ操作時の静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部に記憶された非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算する。つまり、較正部は、(タッチ操作時の静電容量の差分分布)−(非タッチ操作時の静電容量の差分分布)を算出する。従って、タッチパネルに内在するオフセットをキャンセルすることができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、タッチ操作の有無を判定する判定部を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、判定部が、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスラインの信号の差分に基づいて、タッチ操作の有無を判定する。従って、タッチ操作の有無を正確に判定することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記判定部は、上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、各センスラインの信号の差分分布を3値化した増減表を作成すると共に、その増減表を2値画像に変換することによって、タッチ情報を抽出することが好ましい。
上記の構成によれば、ノイズ信号が除去された、互いに隣接するセンスラインの信号の差分が判定部に入力される。判定部は、互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、判定部に格納された正および負の閾値との比較とを用いて、各センスラインの信号の差分分布を3値化した増減表を作成する。さらに、判定部は、その増減表を2値化することにより、増減表が2値画像に変換される。これにより、変換された2値画像には、タッチ位置候補が抽出される。従って、この2値画像に基づいて、タッチ情報(タッチの大きさ、位置など)を認識することにより、タッチ操作の有無に加えて、タッチ情報をより正確に認識することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、表示装置をさらに備え、上記タッチパネルは、上記表示装置の前面に設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、タッチパネルが表示装置の前面に設けられているため、表示装置に発生するノイズを確実に除去することができる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムにおいて、上記表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ、電解放出ディスプレイであることが好ましい。
上記の構成によれば、表示装置が、日常的な電子機器に多用されている各種ディスプレイから構成されている。従って、汎用性の高いタッチパネルシステムを提供することができる。
本発明のタッチパネルシステムは、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、タッチ無効化部は、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、このタッチによる電子機器に対する指示を無効とする。これにより、例えば電子機器を持つ手がタッチパネルに接触する場合のように、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が継続するとき、該接触による指示は行われない。このため、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
また、上記の構成によれば、上記の誤動作を防止するために、タッチが行われているか否かの判断基準を変更する必要は無い。従って、タッチの有無を検出する感度の低下については、抑制することが可能となる。
また、本発明の電子機器は、本発明のタッチパネルシステムと、上記タッチパネルに対応する表示装置とを備えており、上記タッチパネルシステムおよび表示装置は、上記タッチパネルにおける複数箇所が同時にタッチされたことを検出することが可能であるように構成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明のタッチパネルシステムと同様に、タッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することを可能とする電子機器を実現することができる。
以上のとおり、本発明のタッチパネルシステムは、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備えている構成である。
従って、タッチパネルのタッチの有無を検出する感度の低下を抑制しつつ、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能であるという効果を奏する。
また、本発明のタッチパネルシステムの、上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断するのが好ましい。
上記の構成によれば、上記箇所が所定期間継続してタッチされたか否かを、簡単な構成により判断することができる。
また、本発明のタッチパネルシステムの、上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とするのが好ましい。
上記の構成によれば、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が、短期間に何度も発生する場合であっても、タッチ無効化部は、1度機能するだけで、該接触の度に発生し得る誤動作を防止することが可能となる。
また、本発明のタッチ無効化部は、上記箇所への物体の接触の度合を示す信号のレベルが、該レベルの基準となるタッチ基準閾値以上であるか、または該タッチ基準閾値を超えているときに、上記箇所に対するタッチが行われていると判断し、上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、上記タッチ基準閾値を増加させるのが好ましい。
上記の構成によれば、上記箇所に対するタッチに応じた指示を一定期間無効とすることを、簡単な構成により実現することができる。
また、本発明の電子機器は、上記タッチパネルにおける一部の領域のみが、上記タッチ無効化部が機能する上記箇所とされているのが好ましい。
上記の構成によれば、タッチパネルにおける一部の領域のみを、タッチ無効化部の機能が発揮される領域とすることができる。
電子機器では、タッチパネルの特定箇所に長時間タッチすること(いわゆる、長押し)による、該電子機器に対する指示を実現したい場合がある。そして、このような長時間のタッチが行われることが予想されるタッチパネルの領域を、タッチ無効化部の機能が発揮される領域とするのは好ましくない。そこで、上記の構成によれば、タッチパネルの特定箇所に長時間タッチすることによる該指示の実現と、タッチ無効化部によるタッチの無効化とを同時に実現させることが容易となる。
特に、本発明の電子機器において、上記一部の領域は、上記電子機器を持つ手が上記タッチパネルに接触する領域であるのが好ましい。
また、本発明の電子機器は、重力に対する該電子機器の向きを検出する重力センサを備えており、上記タッチ無効化部は、上記重力センサの検出結果に応じて、上記一部の領域を変化させるのが好ましい。
電子機器では、その向きに応じて、上記一部の領域として好適である位置を変化させるべき場合がある。上記の構成によれば、重力に対する電子機器の向きを検出し、その検出結果に応じて上記一部の領域を変化させることで、電子機器の向きの変化に対応して、タッチ無効化部を機能させることが可能となる。
また、本発明の電子機器は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示装置、および電界放出(FED)ディスプレイのいずれかであり、画像を表示する表示画面を備えた表示装置を備えており、上記タッチパネルは、上記表示装置の表示画面に重ねて配置されているのが好ましい。
また、本発明の電子機器は、上記タッチパネルは、垂直方向に設けられていると共に互いに平行に設けられている、複数のドライブラインと、水平方向に設けられていると共に互いに平行に設けられている、複数のセンスラインと、上記複数のドライブラインと上記複数のセンスラインとが交差する箇所にそれぞれ形成された、複数の静電容量とを備えているのが好ましい。
換言すれば、本発明に係るタッチパネルは、いわゆる静電容量方式のものであるのが好ましい。
また、本発明の電子機器は、携帯型の機器である。ここで言う、携帯型の機器としては、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の、持ち運び可能な機器が挙げられる。
本実施の形態に係るタッチパネルシステムは、タッチパネルと、上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
上記タッチパネルは、上記タッチパネルのタッチ操作を検出する主センサ部と、上記主センサ部が設けられたタッチパネル上の面と同一面内に設けられた副センサ部とを備え、
上記タッチパネルコントローラは、上記主センサ部および副センサ部からの信号を受信し、上記主センサ部からの信号から、上記副センサ部からの信号を減算する減算部を備え、
上記主センサ部は、複数のセンスラインを備え、
上記副センサ部は、センスラインと同一方向に延びるサブセンスラインを備え、
上記減算部は、
上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、および、
センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))を算出すると共に、
サブセンスラインとサブセンスラインに隣接するセンスラインとの差分である第3の差分を算出し、
上記タッチパネルコントローラは、上記第1の差分と第2の差分と第3の差分とを加算する加算部を備え、
タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、
上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、
上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とすることを特徴としている。
上記の構成によれば、タッチパネル上の同一面内(同一面上)に、主センサ部と副センサ部とが設けられている。これにより、主センサ部および副センサ部からのいずれの出力信号にも、タッチパネルに反映された各種ノイズ信号が含まれる。さらに、減算部が、タッチ操作による信号とノイズ信号とを含む主センサ部からの出力信号と、ノイズ信号を含む副センサ部からの出力信号との差分をとる。これにより、主センサ部の出力信号からノイズ成分が除去され、タッチ操作本来の信号が抽出される。従って、タッチパネルに反映された多様な種類のノイズを確実に除去(キャンセル)することができる。
また、上記の構成によれば、減算部が、隣接するセンスライン間で差分信号値を取得する。つまり、ノイズの相関性がより高い隣接するセンスライン間の差分を取ることになる。さらに、各センスラインの出力信号から、サブセンスラインの信号(ノイズ信号)も除去される。従って、より確実にノイズを除去することができる。
さらに、上記の構成によれば、タッチ無効化部は、タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、このタッチによる電子機器に対する指示を無効とする。これにより、例えば電子機器を持つ手がタッチパネルに接触する場合のように、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が継続するとき、該接触による指示は行われない。このため、タッチパネルに対する物体の意図しない接触に起因する誤動作を防止することが可能となる。
また、上記の構成によれば、上記の誤動作を防止するために、タッチが行われているか否かの判断基準を変更する必要は無い。従って、タッチの有無を検出する感度の低下については、抑制することが可能となる。
また、上記の構成によれば、上記箇所が所定期間継続してタッチされたか否かを、簡単な構成により判断することができる。
また、上記の構成によれば、タッチパネルに対する物体の意図しない接触が、短期間に何度も発生する場合であっても、タッチ無効化部は、1度機能するだけで、該接触の度に発生し得る誤動作を防止することが可能となる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。すなわち、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、各実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本発明の範囲に含まれることが意図される。
本発明は、テレビ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、電子フォトフレーム、携帯情報端末、電子ブック、家電製品、券売機、ATM、カーナビゲーション等、タッチパネル式の各種電子機器に適用することができる。
本発明は、タッチパネルシステムおよび電子機器に利用することができる。具体的に、表示画面のサイズが20インチ以内であり、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、デジタルカメラ等の、持ち運び可能な機器である電子機器、およびこの電子機器が備えるタッチパネルシステムに利用することができる。
1 タッチパネルシステム
1a タッチパネルシステム
1b タッチパネルシステム
1c タッチパネルシステム
1d タッチパネルシステム
1e タッチパネルシステム
1f タッチパネルシステム
1g タッチパネルシステム
1h タッチパネルシステム
1i タッチパネルシステム
1j タッチパネルシステム
1k タッチパネルシステム
1m タッチパネルシステム
1n タッチパネルシステム
1o タッチパネルシステム
1p タッチパネルシステム
2 表示装置
3 タッチパネル
3a タッチパネル
3b タッチパネル
3c タッチパネル
4 タッチパネルコントローラ
11 タッチパネル
12 タッチパネルコントローラ
15 信号選択部
19 タッチ無効化部
31 主センサ(主センサ部)
31a 主センサ群(主センサ部)
31b 主センサ群(センサ部)
32 副センサ(副センサ部)
32a 副センサ群(副センサ部)
33 センスライン
34 サブセンスライン
35 ドライブライン
41 減算部
41a 減算部
46 加算部
47 電荷積分器(演算部)
48 AD変換部(第1のAD変換部,第2のAD変換部)
48a AD変換部(第3のAD変換部,第4のAD変換部)
49 差動増幅器
50 全差動増幅器
58 復号部
59 判定部
61 非タッチ操作時情報記憶部
62 較正部
80 電子機器
86 画面表示部(表示装置)
89 タッチパネル
200 タブレット端末(電子機器)
201 重力センサ
204 領域
205 領域
T1 時刻
T2 時刻

Claims (28)

  1. タッチパネルと、
    上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
    上記タッチパネルは、上記タッチパネルのタッチ操作を検出する主センサ部と、上記主センサ部が設けられたタッチパネル上の面と同一面内に設けられた副センサ部とを備え、
    上記タッチパネルコントローラは、上記主センサ部および副センサ部からの信号を受信し、上記主センサ部からの信号から、上記副センサ部からの信号を減算する減算部を備え、
    上記主センサ部は、複数のセンスラインを備え、
    上記副センサ部は、センスラインと同一方向に延びるサブセンスラインを備え、
    上記減算部は、
    上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、および、
    センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))を算出すると共に、
    サブセンスラインとサブセンスラインに隣接するセンスラインとの差分である第3の差分を算出し、
    上記タッチパネルコントローラは、上記第1の差分と第2の差分と第3の差分とを加算する加算部を備え、
    タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、
    上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、
    上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とすることを特徴とするタッチパネルシステム。
  2. 上記センスラインおよびサブセンスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
    上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
    上記センスラインまたはサブセンスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
    上記ドライブライン駆動回路は、直交系列またはM系列を用いて、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
    上記センスラインおよびサブセンスラインごとの出力信号を読み出し、その出力信号と上記ドライブラインを並列駆動する符号系列とを内積し、上記静電容量の容量値を算出する演算部を備えることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルシステム。
  3. 上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインまたはサブセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第1のAD変換部を備え、
    上記減算部は、上記第1のAD変換部でデジタル信号を用いて上記第1の差分〜第3の差分を算出することを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネルシステム。
  4. 上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインまたはサブセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第2のAD変換部を備え、
    上記第2のAD変換部は、上記減算部により上記アナログ信号を用いて算出された上記第1の差分〜第3の差分をデジタル信号に変換することを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネルシステム。
  5. 上記減算部は、上記アナログ信号を用いて上記第1の差分〜第3の差分を算出する全差動増幅器を備えることを特徴とする請求項4に記載のタッチパネルシステム。
  6. 上記全差動増幅器は、入力コモンモード電圧範囲が、レールトゥレール動作するようになっていることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネルシステム。
  7. 上記加算部は、上記サブセンスラインからの距離が近い順に加算処理を進め、加算結果を次の加算処理に用いるようになっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
  8. 上記副センサ部は、上記タッチパネルのタッチ操作を検出しないようになっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
  9. 上記副センサ部は、上記タッチパネル上のタッチ操作されない領域に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
  10. 上記主センサ部と副センサ部とが、互いに隣接して設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
  11. 上記主センサ部は、マトリクス状に配置された複数の主センサからなることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルシステム。
  12. 表示装置をさらに備え、
    上記タッチパネルは、上記表示装置の前面に設けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
  13. 上記表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイであることを特徴とする請求項12に記載のタッチパネルシステム。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のタッチパネルシステムを備えることを特徴とする電子機器。
  15. タッチパネルと、
    上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
    上記タッチパネルは、複数のセンスラインを有し、上記タッチパネルのタッチ操作を検出するセンサ部を備え、
    上記タッチパネルコントローラは、上記センサ部からの信号を受信し、互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する減算部を備え、
    上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
    上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
    上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
    上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
    上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記ドライブラインが延びる方向における静電容量の差分を算出し、
    上記ドライブラインを並列駆動する符号系列と、上記符号系列に対応するセンスラインの差分出力系列との内積を演算することによって、上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部と、
    上記減算部において、上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、または、センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))が算出されるように、減算部に入力される信号を切り替えるスイッチとを備え、
    タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、
    上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、
    上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とすることを特徴とするタッチパネルシステム。
  16. 上記スイッチは、2つの端子を備え、一方の端子が選択されるようになっており、
    上記ドライブラインを並列駆動する符号系列は、以下に示される上記ドライブラインの1番目からM番目までを並列駆動する符号系列(成分は1または−1)であり、
    = (d11,d12,・・・,d1N
    = (d21,d22,・・・,d2N



    = (dM1,dM2,・・・,dMN
    上記符号系列に対応するセンスラインの差分出力系列「Sj, P(j=1,..,[L/2], P=1,2)(Lはセンスラインの数、[n]=nの整数部分)」を、
    j,1:スイッチSWが一方の端子を選択した時のd〜 dに対する出力系列
    j,2:スイッチSWが他方の端子を選択した時のd〜 dに対する出力系列
    と定義し、
    上記復号部は、上記ドライブラインを並列駆動する符号系列と、上記符号系列に対応するセンスラインの差分出力系列との内積を演算することを特徴とする請求項15に記載のタッチパネルシステム。
  17. 上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第3のAD変換部を備え、
    上記減算部は、上記第3のAD変換部でデジタル信号を用いて算出された、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出することを特徴とする請求項15または16に記載のタッチパネルシステム。
  18. 上記減算部は、上記減算部に入力されたセンスラインからのアナログ信号を、デジタル信号に変換する第4のAD変換部を備え、
    上記第4のAD変換部は、上記減算部により上記アナログ信号を用いて算出された上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分をデジタル信号に変換することを特徴とする請求項15または16に記載のタッチパネルシステム。
  19. 上記減算部は、上記アナログ信号を用いて上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する全差動増幅器を備えることを特徴とする請求項17または18に記載のタッチパネルシステム。
  20. 非タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布を記憶する非タッチ操作時情報記憶部と、
    タッチ操作時に上記復号部で復号化された静電容量の差分分布から、非タッチ操作時情報記憶部に記憶された、非タッチ操作時の静電容量の差分分布を減算し、静電容量の差分分布を較正する較正部とを備えることを特徴とする請求項15または16に記載のタッチパネルシステム。
  21. 上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、タッチ操作の有無を判定する判定部を備えることを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
  22. 上記判定部は、上記減算部で算出された互いに隣接するセンスラインの信号の差分と、正および負の閾値との比較に基づいて、各センスラインの信号の差分分布を3値化した増減表を作成すると共に、その増減表を2値画像に変換することによって、タッチ情報を抽出することを特徴とする請求項21に記載のタッチパネルシステム。
  23. タッチパネルと、
    上記タッチパネルからの信号を処理するタッチパネルコントローラとを備えたタッチパネルシステムにおいて、
    上記タッチパネルは、複数のセンスラインを有し、上記タッチパネルのタッチ操作を検出するセンサ部を備え、
    上記タッチパネルコントローラは、上記センサ部からの信号を受信し、互いに隣接するセンスラインの信号の差分を算出する減算部を備え、
    上記センスラインに対し交差して設けられたドライブラインと、
    上記ドライブラインを駆動するドライブライン駆動回路とを備え、
    上記センスラインと、上記ドライブラインとの間に静電容量が形成されており、
    上記ドライブライン駆動回路は、上記ドライブラインを並列に駆動するようになっており、
    上記減算部は、上記センスラインごとの出力信号を受信し、上記互いに隣接するセンスラインの信号の差分として、上記ドライブラインが延びる方向における静電容量の差分を算出し、
    上記ドライブラインを並列駆動する符号系列と、上記符号系列に対応するセンスラインの差分出力系列との内積を演算することによって、上記減算部で算出された静電容量の差分値を、復号化する復号部を備え、
    タッチパネルにおける同じ箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該タッチに応じた、該タッチパネルを備えた電子機器に対する指示を無効とするタッチ無効化部を備え、
    上記タッチ無効化部は、所定期間に相当する時間であるタッチ時間閾値の間、上記タッチが継続したか否かを判断すると共に、
    上記タッチ無効化部は、上記箇所が所定期間継続してタッチされたときに、該箇所に対する次のタッチに応じた上記指示を無効とすることを特徴とするタッチパネルシステム。
  24. 上記減算部において、上記センスラインから選択されたセンスラインSnの信号と、センスラインSnに隣接する2つのセンスライン(センスラインSn+1,センスラインSn−1)のうち、一方のセンスラインSn+1の信号との差分である第1の差分((Sn+1)−Sn)、および、センスラインSnの信号とセンスラインSnに隣接する他方のセンスラインSn−1の信号との差分である第2の差分(Sn−(Sn−1))が算出されることを特徴とする請求項23に記載のタッチパネルシステム。
  25. 上記符号系列は、直交系列またはM系列であることを特徴とする請求項23に記載のタッチパネルシステム。
  26. 表示装置をさらに備え、
    上記タッチパネルは、上記表示装置の前面に設けられていることを特徴とする請求項15〜25のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
  27. 上記表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイであることを特徴とする請求項26に記載のタッチパネルシステム。
  28. 請求項15〜27のいずれか1項に記載のタッチパネルシステムを備えることを特徴とする電子機器。
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