JP2014518862A - 薬物送達用ポリマーナノ粒子 - Google Patents

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Abstract

ブロックコポリマーと任意に一つ又は複数の活性薬剤を含むナノ粒子、前記ナノ粒子を含む組成物、及び前記ナノ粒子の製造法を開示する。ブロックコポリマーは、ブロック(i)ポリエステル又はポリアミドである第一のポリマー、及び(ii)エステル又はエーテル結合を含有し、ヒドロキシル価≧10を有する炭化水素鎖を含む第二のポリマーを含む。活性薬剤はナノ粒子内又はナノ粒子の表面上に存在できる。ナノ粒子は、薬物送達デバイス及び分子イメージングデバイスとして役立つように、任意に表面改質部分を結合していてもよい。表面改質部分は、ナノ粒子を、所望の標的、細胞、組織又はバイオマーカーに標的化できる。

Description

本発明は、ブロックコポリマーを含むナノ粒子の分野に関する。本発明はまた、それらが薬物送達デバイス及び分子イメージングデバイスとして役立つように、活性薬剤を組み込んでいても任意に表面改質部分を結合していてもよいナノ粒子にも関する。本発明はまた、そのようなナノ粒子の製造法及びそれらの表面の改質法にも関する
生分解性ナノ粒子は、天然又は合成の有機又は無機実体、タンパク質、ペプチド及び核酸のような活性薬剤を投与するための徐放性ビヒクルとして使用されている。活性薬剤は、ナノ粒子マトリックスに、溶解、取込み(entrapment)、封入(encapsulation)又は結合される。生分解性ナノ粒子、特にポリ(エチレングリコール)(PEG)のような親水性ポリマーで被覆されたものは、長時間循環し、特定の送達部位を標的にできるので、薬物送達デバイスとして有用である(Mohanraj & Chen Trop.J.Pharm.Res.5,561−573(2006))。
送達システムとしてのナノ粒子の設計における主目的は、薬物の部位特異的作用を治療上最適な速度及び投与計画で達成するために、粒径、表面特性、及び薬理活性剤の放出を制御することである。ナノ粒子は、タンパク質、多糖類及び合成ポリマーのような様々な材料から製造できる。マトリックス材料の選択は、必要とされるナノ粒子のサイズ、封入薬物の固有の性質(例えば、水に対する溶解性及び安定性)、表面特性(電荷及び浸透性など)、生分解性の程度、生体適合性及び毒性、所望される薬物放出プロフィール、及び最終製品の抗原性などの多数の因子に依存する。
リポソームは、薬物を分解から保護、作用部位への標的化、及び低減された毒性又は副作用といった利点を有する有力な担体として使用されているが、それらの用途は、低い封入効率、血液成分の存在下における水溶性薬物の迅速漏出、及び乏しい貯蔵安定性などの問題によって制限されているようである。ナノ粒子はリポソームに優るいくつかの特定の利点を提供する。例えば、それらは、貯蔵中もっと安定であり、薬物及びタンパク質の安定性の増大に役立ち、そして有用な制御放出特性を有している。
ナノ粒子を薬物送達システムとして使用することの利点は多種多様である。ナノ粒子の粒径及び表面特性は、全身通過後の受動的及び能動的薬物標的化を達成するために容易に操作することができる。それらは、輸送中及び局在化部位での薬物放出を制御及び持続することにより、薬物の臓器分布とその後の薬物クリアランスを変更する。その結果、薬物の治療効果の増大及び他の臓器との相互作用を最小化することによる副作用の低減を達成できる。制御放出と粒子分解特性はマトリックス成分の選択によって容易に調節できる。薬物担持量(drug loading)は比較的高く、薬物はシステムに何らの化学反応もなしに組み込むことができる。このことは薬物活性を保つための重要な因子である。部位特異的標的化は、標的化リガンドを粒子表面に結合させるか又は磁気誘導の使用によって達成できる。ナノ粒子のサイズ、表面電荷及び表面装飾は調節できる。該システムは、経口、鼻腔、非経口、肺、膣及び眼内を含む様々な投与経路に使用できる。
Mohanraj & Chen Trop.J.Pharm.Res.5,561−573(2006)
薬物送達用の新規ナノ粒子、すなわち正確な放出プロフィールの調整が可能で、極性活性薬剤を含む広範囲の活性薬剤をナノ粒子の高い重量パーセンテージで封入できるナノ粒子の開発に対する継続的な需要が存在する。これらのナノ粒子の表面を改質するための新規方法も求められている。活性薬剤を脳に送達するためのベクターとして機能できるナノ粒子も求められている。
本発明は、ブロックコポリマーと、任意に一つ又は複数の活性薬剤とを含むナノ粒子を提供する。ここで、
(i)ブロックコポリマーはブロックA及びDを含み;
(ii)ブロックAはモノマー単位B及びCを含む第一のポリマーからなり、ここでBは炭素原子の総数が≦30の脂肪族ジカルボン酸であり、そしてCはジヒドロキシ又はジアミノモノマーであり;そして
(iii)ブロックDは、エステル又はエーテル結合を含有し、ヒドロキシル価≧10を有する炭化水素鎖を含む第二のポリマーからなる。
本発明はさらに、ナノ粒子を含む組成物、特に医薬組成物も提供する。ここで、前記ナノ粒子は、ブロックコポリマーと任意に一つ又は複数の活性薬剤とを含み、ここで、
(i)ブロックコポリマーはブロックA及びDを含み;
(ii)ブロックAはモノマー単位B及びCを含む第一のポリマーからなり、ここでBは炭素原子の総数が≦30の脂肪族ジカルボン酸であり、そしてCはジヒドロキシ又はジアミノモノマーであり;
(iii)ブロックDは、エステル又はエーテル結合を含有し、ヒドロキシル価≧10を有する炭化水素鎖を含む第二のポリマーからなり;そして
(iv)組成物は任意にビヒクルをさらに含む。
本発明はさらに、(i)本明細書中に記載のブロックコポリマーを含むナノ粒子と、(ii)本明細書中に記載の異なるブロックコポリマーを含むナノ粒子との混合物を含む組成物も提供する。
本発明のナノ粒子は、様々な極性の活性薬剤を担持することが可能である。活性薬剤は、存在する場合、ナノ粒子に、例えば吸着、吸収又は取込みによって組み込まれ、ナノ粒子から、例えば脱着、拡散、ポリマー浸食、酵素媒介放出、急速放出の場合ナノ粒子崩壊、又はこれらの機序のいくつかの組合せによって放出されうる。
活性薬剤(単数又は複数)は、ナノ粒子内又はナノ粒子の表面上に存在しうる。活性薬剤(単数又は複数)とナノ粒子間の相互作用は、典型的には非共有結合、例えば水素結合、静電相互作用、又は物理的封入である。しかしながら、代替の態様において、活性薬剤(単数又は複数)とナノ粒子は共有結合又はリンカーによって連結される。
本発明のナノ粒子の更なる利点は、組み込まれた活性薬剤の破裂放出の防止である。投与後、制御送達システムからの活性薬剤の早期破裂放出は、毒性レベルの活性薬剤をもたらしたり、又は活性薬剤がその目的とする標的部位に到達するのを妨げることがある。ポリマーの生分解性、従ってナノ粒子の放出プロフィールは、ブロックA及びD中のモノマー数;ブロックの分子量の比率;ポリマーの総分子量;又はポリマーの親水性を変更することによって調整できる。例えば、ブロックAの長さを変えることによって、長期又は短期放出プロフィールを得ることができる。ポリソルベート、ソルビタンの脂肪酸エステル、糖及びリパーゼのような賦形剤もナノ粒子内に封入できる。
ナノ粒子は、活性薬剤の放出を補助するために崩壊剤、超崩壊剤又は湿潤剤をさらに含むこともできる。あるいは、ナノ粒子は、溶解してナノ粒子中に孔又はチャンネルを形成する水溶性分子を含んでいてもよい。その場合、活性薬剤はそこを通って放出されうる。
本発明のナノ粒子の更なる利点は、活性薬剤の放出が体内、例えば消化管における異なるpH環境に影響されないように、pH非依存性の放出を可能にすることである。pH非依存性の放出とは、本明細書においては、pH1〜9の環境においてナノ粒子から拡散される活性薬剤の速度の変動が10%未満であると定義される。
ナノ粒子は、生体適合性であり、また、それらの使用環境において十分耐性がある。すなわち、所望の標的に到達して所望の生理的効果を達成できるように、十分量のナノ粒子は哺乳動物体内に入った後も実質的に無傷のままである。本明細書中に記載のブロックコポリマー及びそれらの構成ブロックは、生体適合性であり、好ましくは生分解性である。
本明細書において、“生体適合性”という用語は、有害応答を引き起こすことなく生体に挿入又は注入できる物質のことを言う。例えば、それは、適切に制御できない免疫系による炎症又は急性拒絶を起こさない。“生体適合性”は相対的用語であり、生体組織と高度に適合性のある物質でさえ、一定程度の免疫応答は予期されることは認識されている。物質の生体適合性を評価するためのインビトロ試験は、それを細胞に暴露することである。生体適合性物質は、典型的には、中程度の濃度(例えば50μg/10細胞)で有意の細胞死(例えば、>20%)を招かない。
本明細書において、“生分解性”という用語は、生理的環境中で分解して、細胞によって再使用されうるか又は重大な毒作用なしに廃棄されうるモノマー及び/又はその他の非ポリマー性部分を形成するポリマーのことを言う。分解は、生物的でも(例えば酵素活性又は細胞機構により)又は化学的でもよい。ポリマーの分解は、使用されるポリマー又はコポリマーに応じて様々な速度で起こり得、半減期は日、週、月、又は年の単位となる。
ナノ粒子は血液適合性でもある。血液適合性は、ISO 10993−4に従って決定できる。本発明のナノ粒子を含む組成物は、容易に内毒素除去(好ましくは、カブトガニ の血球抽出成分(Limulus Amebocyte Lysate)(LAL) 試験により<2EU/ml)であるように調製できる。さらに、空のナノ粒子は低い細胞毒性を示す(がん細胞及び非がん細胞に対して、好ましくはIC50>1μM、さらに好ましくは>10μM、さらに好ましくは>100μM、さらに好ましくは>1mM)。
本明細書において、“ナノ粒子”という用語は、約1〜約1000nmの直径を有する固体粒子のことを言う。本発明のナノ粒子の平均直径は、当該技術分野で公知の方法によって、好ましくは動的光散乱によって決定できる。特に、本発明は、動的光散乱により、散乱角90°及び温度25℃で、ろ過水で適切に希釈されたサンプル及び適切な装置、例えばMalvern Instruments社(UK)製ZetasizerTM装置を用い、標準試験法ISO 22412:2008(キュムラント法A.1.3.2)に従って分析された場合に、約1〜約1000nmの直径を有する固体粒子であるナノ粒子に関する。粒子がxnmの直径を有すると言われる場合、一般的にはこの平均の周りに粒子の分布があるが、粒子の数の少なくとも50%(例えば、>60%、>70%、>80%、>90%、又はそれより大)は、範囲x±20%内の直径を有する。
好ましくは、ナノ粒子の直径は、約10〜約1000nm、さらに好ましくは約5〜約500nm、さらに好ましくは約50〜約400nm、さらに好ましくは約50〜約150nmである。あるいは、ナノ粒子の直径は約1〜約100nmである。一態様において、ナノ粒子は、10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは1%未満の凝集度を示し、好ましくは、ナノ粒子は透過電子顕微鏡法による測定で実質的に非凝集である。
本発明のナノ粒子は、哺乳動物、特にヒト用の許容可能な医薬組成物中に提供できる。それらは典型的にはビヒクル中に提供される。ビヒクルは典型的には液体であり、組成物中で連続相を形成する。従って、本発明の好適な組成物は、組成物の連続相を構成する液体ビヒクル中におけるナノ粒子の分散である。特に、ビヒクルは、投与後、哺乳動物体内の標的への前記ナノ粒子の輸送を可能にするものである。ビヒクルは、当該技術分野で公知のような、任意の製薬学的に許容可能な希釈剤又は賦形剤でよい。ビヒクルは、典型的には、薬理学的に不活性である。好ましくは、ビヒクルは極性液体である。特に好適なビヒクルは、水及び塩を含有する生理学的に許容可能な水溶液及び/又は緩衝液、例えば生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水などである。ビヒクルは生体液であってもよい。液体ビヒクルは、貯蔵のため、又は肺もしくは鼻腔内投与用の粉末、注入(点滴・輸液)用の懸濁液用の粉末、又は経口投与用の錠剤又はカプセルを提供するために、例えば、凍結乾燥、蒸発又は遠心分離によって除去することができる。
ビヒクルの選択は、組成物の意図する投与様式などの因子によって影響される。例えば、固体ビヒクルは、肺又は鼻腔内投与用の粉末、注入用の懸濁液用の粉末、又は経口投与用の錠剤又はカプセルを提供するために使用でき、液体ビヒクルは、静注用の懸濁液、又は鼻腔内投与用の溶液を提供するために使用できる。
好ましくは、ナノ粒子は、組成物の約1%〜約90重量%を構成する。さらに好ましくは、ナノ粒子は、組成物の約5%〜約50重量%、さらに好ましくは約10%〜約30%を構成する。
本発明のナノ粒子は、薬剤及び薬物送達以外の他の分野、例えば農業、エレクトロニクス、塗料及び接着剤の分野でも利用法を見出すことができる。
ブロックコポリマーは、少なくとも一つのブロックAと少なくとも一つのブロックDを含む。複数のブロックA及び/又はブロックD反復単位がある場合、各ブロックA及び/又は各ブロックDは、ブロックコポリマー全体にわたって同一でも、又はブロックコポリマーは、本明細書における定義の範囲内の異なるタイプのブロックA及び/又は異なるタイプのブロックDを含んでいてもよい。ブロックA及びDが何であるか(identity)の変動(variation)は、モノマーが何であるか(identity)(すなわち化学組成)及び各ブロックの分子量を含む。同様に、任意のブロックA中の各モノマーB及びCも、ブロック全体にわたって同一でも、又はブロックは、本明細書における定義の範囲内に入る独立に選ばれたモノマーを含んでいてもよい。ブロックコポリマーはランダムブロックコポリマーでもよい。好適な態様において、コポリマー中の各ブロックAは同じ化学組成を有し、及び/又は各ブロックDは同じ化学組成を有する。好ましくは、各ブロックAは同じ分子量又は分子量分布を有し、及び/又は各ブロックDは同じ分子量又は分子量分布を有する。
好ましくは、ブロックコポリマーは、Aが剛性ブロックでDが柔軟性ブロックの剛性−柔軟性ブロックコポリマーである。ブロックコポリマーは、末端にブロックAのみ、又はブロックDのみ、又はブロックA及びDの混合物を持つことができる。好ましくは、ブロックコポリマーは、各末端にブロックDを持つ。好ましくは、Aは疎水性ブロックであり、Dは親水性ブロックである。
好ましくは、Aは、式−[(B−C)−B]−又は−[(C−B)−C]−を有し、式中、nは各ブロックAのために独立に選ばれる少なくとも1の数的添字である。Aが式−[(C−B)−C]−を有する場合、ブロックAをブロックDに連結するために、連結基が使用されうる。連結基はジカルボン酸でよい。好ましくは、Aは式−[(B−C)−B]−を有する。好ましくは、nは少なくとも5、さらに好ましくは5〜20、さらに好ましくは、5〜15である。
好ましくは、Bは2〜20個の炭素原子、さらに好ましくは2〜15個の炭素原子、さらに好ましくは4〜10の炭素原子を含有する。あるいは、Bは、5〜20個の炭素原子、さらに好ましくは5〜10個の炭素原子を含有する。好ましくは、Bは、直鎖飽和ジカルボン酸である。Bは、≧2個の官能基を含有しうる。好ましくは、Bは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸を含む群から、好ましくは、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸から、さらに好ましくは、グルタル酸及びアジピン酸から選ばれる。一態様において、Bは、マレイン酸、フマル酸又はグルタコン酸のような、一つ又は複数の炭素炭素二重結合を含有する直鎖ジカルボン酸である。
好ましくは、Cは、≦30個の炭素原子を含有する、好ましくは4〜10個の炭素原子を含有する脂肪族ジアミン又はジオールである。好ましくは、Cは、2〜15個、さらに好ましくは好ましくは4〜10個のの炭素原子を含有する直鎖脂肪族ジオールであり、さらに好ましくは1,8−オクタンジオールである。あるいは、Cは、好ましくは2〜15個、さらに好ましくは4〜10個の炭素原子を含有する直鎖脂肪族ジアミンである。
好ましくは、ブロックDは、ポリアルキレングリコール(特にポリエチレングリコール)、ポリアミドアミン、ポリアミン、ポリオール及びそれらの組合せの群から選ばれる。好ましくは、ブロックDは、ポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)から選ばれる。
ポリマーDの分子量は、好ましくは、150〜20,000kDa、さらに好ましくは1500〜10,000kDa、さらに好ましくは2000〜3000kDaである。ポリマーDの分子量は、好ましくは150〜20,000Da、さらに好ましくは1500〜10,000Da、さらに好ましくは2000〜3500Daである。ポリマーDの分子量は、150Da、200Da、300Da、400Da、600Da、1000Da、1450Da、1500Da、3350Da、4000Da、6000Da又は8000Daであろう。
ブロックの分子量は、活性薬剤の親和性及びその結果の封入効率、活性薬剤の放出動力学、水の取込み及びナノ粒子分解などのナノ粒子の特性を調節するために選ぶことができる。例えば、ブロックAとDの相対的平均長は、ブロックコポリマー中の親水性/親油性比率、従って活性薬剤の放出プロフィールを調節するために変更できる。ある態様において、nは5〜20又は5〜15であり、ブロックDは分子量2500〜5000Daである。
本発明で使用されるブロックコポリマーは、当該技術分野で公知の従来技術によって合成できる。好適な方法は以下の工程を含む。(i)モノマー単位Bをモノマー単位Cと、好ましくは、Bが得られるブロックAの末端に位置するような割合で反応させ;(ii)ブロックAをブロックDと、好ましくは、Dが得られるブロックコポリマーの末端に位置するような割合で反応させてブロックコポリマーを製造する。反応は、例えばエネルギー源としてマイクロ波照射(すなわち、1mm〜1mの波長)の使用によって実施できる。
本発明で使用されるブロックコポリマーは、ナノ粒子の製造に使用できる。該ブロックコポリマーは、ナノ粒子の様々な製造法に使用するのに適切であるという利点を有している。本発明のナノ粒子は、当該技術分野で公知の方法によって製造できる。これは、(i)重合反応を含む形成;及び(ii)予備形成されたコポリマーの分散による形成という二つの主な部門に分割できる。
重合反応を含むナノ粒子の形成は、さらに乳化重合及び界面重合に分類できる。乳化重合は、連続相に応じて有機でも水性でもよい。
予備形成されたコポリマーの分散によるナノ粒子の形成は、下記の技術を含みうる。すなわち、乳化/溶媒蒸発、溶媒置換(solvent displacement)及び界面堆積(interfacial deposition)、乳化/溶媒拡散、及び塩濃度の増大による沈殿である。これらの技術では、まずブロックコポリマーが製造され、その後、さらに加工されてナノ粒子となる。
方法は、ナノ粒子製造のために、界面縮合、超臨界流体加工技術、イオン性ゲル化又はコアセルベーションを利用することができる。
本発明のナノ粒子が活性薬剤を含む場合、活性薬剤はナノ粒子の製造中に存在しうる。典型的には、活性薬剤(単数又は複数)は、ナノ粒子の製造に使用される液体媒体中に存在する。あるいは、又はさらには、活性薬剤(単数又は複数)は、ナノ粒子の製造後に吸収によってそれらに組み込まれてもよい。
好ましくは、ナノ粒子は、溶媒置換及び界面堆積の技術を用い、予備形成されたコポリマーの分散によって形成される。溶媒置換法(Fessiら、Int.J.Pharmaceutics 55,R1−R4(1989))は、ナノ粒子の形成に使用されている。Bilatiら(Eur.J.Pharm.Sci.24,67−75(2004))は、この方法によって親水性薬物の封入を達成するために取られた手法について述べている。
溶媒置換法は、高撹拌速度、超音波処理又は非常に高温を必要としない。例えば、25℃で50〜150rpm、さらに好ましくは約100rpmの撹拌速度で実施できる。それは、油性−水性界面が存在しないことを特徴とするので、活性薬剤を損なう恐れを低減する。その手順は、界面活性剤を使用せず、有毒であるがゆえに許容限界を超えた残渣がナノ粒子中に残留すると製薬及び獣医学的用途に不適合となる有機溶媒も使用せずに実施できる。
溶媒置換法は、拡散媒及び分散媒で構成される混和性の二つの溶媒を使用する。好ましくは、コポリマー及び活性薬剤(単数又は複数)(存在する場合)は、拡散媒(典型的には“溶媒”と呼ばれる)に可溶性であるが、どちらも分散媒(典型的には“非溶媒”と呼ばれる)には可溶性でない。コポリマー及び任意に活性薬剤(単数又は複数)を拡散媒に溶解し、得られた溶液を分散媒に加える。任意に、分散媒は界面活性剤を含んでいてもよい。拡散媒が分散媒中に拡散するや否や、コポリマーの急速脱溶媒によってナノ沈殿が生じ、活性薬剤がコポリマー内に位置するナノ粒子が形成される。拡散媒は、好ましくは、工程に気液界面の導入を避けるために、例えばシリンジによって分散媒に直接添加される。ナノ粒子を分散媒及び拡散媒から分離するための様々な方法が利用できる。例えば、凍結乾燥、接線型ろ過(tangential filtration)、遠心分離及び超遠心分離、又はこれらの方法の組合せなどである。場合によっては、例えばナノ粒子が大きい場合、遠心分離が好適である。場合によっては、例えば大量バッチの製造においては、ナノ粒子組成物は接線型ろ過によって濃縮された後、凍結乾燥される。好ましくは、分散媒及び拡散媒は、遠心分離又は回転蒸発によって除去される。粒子は任意に溶媒中に再懸濁されて、接着した活性薬剤をナノ粒子表面から除去してもよい。この溶媒は更なる遠心分離工程によって除去できる。ナノ粒子は、最終的には適切な極性液体中に再懸濁できる。
従って、本発明のナノ粒子を製造するための好適な方法(溶媒置換法)は、
i)ブロックコポリマーと活性薬剤(単数又は複数)(存在する場合)を拡散媒に溶解して第一の溶液を形成し;
ii)前記第一の溶液を分散媒と混合して、前記ブロックコポリマーと前記活性薬剤(単数又は複数)(存在する場合)を含む沈殿ナノ粒子、及び拡散媒と分散媒を含む液相を形成させ;そして
iii)ナノ粒子を液相から分離する
ことを含み、
ここで、拡散媒は、ブロックコポリマーと活性薬剤(単数又は複数)(存在する場合)が可溶性である溶媒を含み、分散媒は、ブロックコポリマーと活性薬剤(単数又は複数)(存在する場合)が不溶性である溶媒を含み、そして拡散媒と分散媒は混和性である。
本発明のナノ粒子は、封入のための活性薬剤が存在していても又はしていなくても合成できる。ブロックコポリマーは、十分に疎水性なので水に不溶であり、ナノ粒子形成のための適切な水素結合が、活性薬剤ともそれ自体とも可能である。
本発明の組成物を製造するための好適な方法は、ナノ粒子を製造するための前記方法を含み、さらに、
iv)ナノ粒子をビヒクル中に再懸濁させる
工程を含む。
本発明はさらに、本明細書中に定義のナノ粒子及び組成物の製造法も提供し、該方法は、活性薬剤(単数又は複数)を含む少なくとも一つの液体媒体(好ましくは、活性薬剤(単数又は複数)はその中に溶解されている)の使用を含む。
本明細書中に記載の溶媒置換法は、工程のパラメーター及びその中で使用される成分の性質を選択することによって、ナノ粒子の性質を調節することができる。特に、ナノ粒子サイズ、多分散性、ゼータ電位、活性薬剤封入効率、活性薬剤取込み、活性薬剤(単数又は複数)の放出プロフィール及びナノ粒子の分解プロフィールを制御できる。ゼータ電位は、好ましくは−45mV〜+20mV、さらに好ましくは約−40mV〜約−20mVである。あるいは、ゼータ電位は、−20mV〜+20mVであろう。
本明細書において、活性薬剤封入効率とはナノ粒子中に組み込まれる活性薬剤のことで、活性薬剤含有ナノ粒子の製造法に使用される全活性薬剤の重量パーセンテージとして表される。典型的には、95%を含むそれ以下、さらに典型的には70%〜95%である。
本明細書において、活性薬剤取込みとは、活性薬剤担持(active agent-loaded)ナノ粒子中の活性薬剤の重量パーセンテージのことを言う。活性薬剤取込みは、好ましくは少なくとも2wt%、さらに好ましくは少なくとも5wt%、さらに好ましくは少なくとも10wt%、及び典型的には2wt%〜20wt%、さらに好ましくは5wt%〜20wt%、さらに好ましくは10wt%〜20wt%の範囲である。
高い活性薬剤取込みを可能にするのは、本発明のナノ粒子の製造に使用されるブロックコポリマーの利点である。活性薬剤の取込みは、他のナノ粒子でこれまでに示されているそれより大きい。例えば、本発明のナノ粒子を溶媒置換法で製造した場合、活性薬剤の取込みは1〜10wt%、又は2〜5wt%であるが、溶媒置換法による当該技術分野で公知のナノ粒子の製造は、〜1wt%の取込みしか可能にしない。好ましくは、活性薬剤取込みは>4wt%である。本発明のナノ粒子が二重エマルション法によって製造された場合、活性薬剤の取込みは、典型的には少なくとも5wt%、好ましくは少なくとも10wt%である。これに対し、二重エマルション法による他の材料からのナノ粒子の製造は、約3〜4wt%の活性薬剤取込みしか提供しない。
本発明のナノ粒子は、高い活性薬剤含有量(例えば>5%)及び高い封入効率(例えば70〜95%)で形成できる。
様々な非溶媒、溶媒:非溶媒比、ポリマー濃度、溶解薬物のパーセンテージ、及び媒体からのナノ粒子の分離法を使用することにより、これらの性質を調節することができる。
溶媒は、ポリマー及び活性薬剤(存在する場合)が可溶性の液体から適切に選ばれる。好ましくは、極性、非プロトン性溶媒である。好適な溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドン、及びN,N−ジメチルアセトアミド、又はそれらの混合物などである。非溶媒は、ポリマー及び活性薬剤(単数又は複数)(存在する場合)が不溶性の液体から適切に選ばれる。好適な非溶媒は、水、メタノール及びエタノール、又はそれらの混合物などである。欧州医薬品庁ガイドライン参照番号(European Medicines Agency Guidelines Reference Number)EMA/CHMP/ICH/82260/2006において許容可能と見なされる任意の物質が溶媒又は非溶媒として使用できる。活性薬剤が溶けないpHを得るために緩衝液を使用してもよい。非溶媒の素生(identity)は得られるナノ粒子のサイズに影響する。溶媒及び非溶媒は、好ましくは、1:1〜1:50の溶媒:非溶媒、さらに好ましくは1:2〜1:20、さらに好ましくは1:10の体積比で存在する。
拡散媒中のブロックコポリマーの濃度は制限されない。しかしながら、好ましくは、1〜1000mg/ml、さらに好ましくは5〜100mg/ml、さらに好ましくは10〜50mg/ml、さらに好ましくは20mg/mlの濃度である。ポリマー濃度が高すぎると、ナノ粒子の形成を妨害しうる。
拡散媒又は分散媒中の活性薬剤、又は各活性薬剤(二つ以上存在する場合)の濃度は、好ましくは1〜500mg/ml、さらに好ましくは5〜100mg/ml、さらに好ましくは10〜50mg/ml、さらに好ましくは20mg/mlである。活性薬剤の濃度が高いほど、高い活性薬剤封入効率及び高い活性薬剤取込みが得られる。
ナノ粒子を製造するための更なる方法は、
i)ブロックコポリマーを水非混和性溶媒中に溶解し;
ii)活性薬剤(存在する場合)を水混和性溶媒中に溶解し;
iii)油中水エマルションを形成させ;そして
iv)第一の溶媒を蒸発させてナノ粒子を形成させる
ことを含む。ここで、水非混和性溶媒と水混和性溶媒は非混和性である。
ナノ粒子を製造するための更なる方法(二重エマルション法)は、
i)ブロックコポリマーを水非混和性溶媒中に溶解し;
ii)活性薬剤(存在する場合)を水混和性溶媒中に溶解し;
iii)油中水エマルションを形成させ;
iv)前記油中水エマルションを、ポリマー性界面活性剤を含有する水混和性溶媒中に分散させ;
v)水中油中水エマルションを形成させ;そして
vi)水中油中水エマルションをろ過してナノ粒子を得る
ことを含む。ここで、水非混和性溶媒と水混和性溶媒(単数又は複数)は非混和性である。
ナノ粒子を製造するための更なる方法(改変二重エマルション法)は、下記の工程を含む。
i)ブロックコポリマーを水非混和性溶媒中に溶解し;
ii)活性薬剤(存在する場合)を水混和性溶媒中に溶解し;
iii)水中油エマルションを形成させ;
iv)前記水中油エマルションを、ポリマー性界面活性剤を含有する水非混和性溶媒中に分散させ;
v)油中水中油エマルションを形成させ;そして
vi)油中水中油エマルションをろ過してナノ粒子を得る。
ここで、水非混和性溶媒と水混和性溶媒(単数又は複数)は非混和性である。
本明細書において、“活性薬剤”は、動物に投与したときに生物学的効果をもたらす生物活性部分又は治療的部分を意味する。哺乳動物体内への送達が望ましいあらゆる活性薬剤は、本発明のナノ粒子との結合、又はその中への組込みが想定される。本発明のナノ粒子は、一つ又は複数の活性薬剤を含むことができ、一態様においては一つの活性薬剤のみを含む。活性薬剤は親油性でも又は親水性でもよく、天然又は合成の有機又は無機実体、タンパク質(抗体、抗体フラグメント及びインターフェロンを含む)、ペプチド、核酸、脂質又は多糖でありうる。好ましくは、少なくとも一つの活性薬剤は、パクリタキセル及びドセタキセルを含む群から選ばれる。好ましくは、少なくとも一つの活性薬剤はパクリタキセルを含む。
本発明のナノ粒子が活性薬剤を組み込んでいる場合、前記ナノ粒子は、好ましい特性、例えば活性薬剤単独と比べて同様か又は高い効果を示す。活性薬剤が、例えばパクリタキセルのような細胞毒性薬の場合、ナノ粒子は、同様の又は高い抗腫瘍活性を示すが、健常細胞に対しては同様の又は低減された毒性しか示さない。
ナノ粒子が溶媒置換法によって製造される場合、活性薬剤の素生(identity)は、拡散媒中でのその溶解度によってのみ制限される。溶解度が高すぎるとナノ粒子に組み込まれない。しかしながら、本発明のナノ粒子の製造に使用されるブロックコポリマーの利点は、封入できる薬物の範囲を拡大できることである。従って、活性薬剤は、好ましくは−1.0〜+5.6のlogP値を有する。例えば、+3.0〜+5.6のlogP値を有する疎水性活性薬剤が本発明に使用できる。−1.0〜+3.0のlogP値を有する親水性活性薬剤も使用できる。
ナノ粒子は、二つ以上の活性薬剤の組合せを含みうる。例えば、二つ以上の活性薬剤をナノ粒子内に組み込んでも、及び/又は二つ以上の活性薬剤をナノ粒子の表面に接着させてもよい。第一の活性薬剤(又は第一の活性薬剤混合物)を含むナノ粒子と第二の活性薬剤(又は第二の活性薬剤混合物)を含むナノ粒子の混合物も本発明の範囲内である。
ナノ粒子は、第一の活性薬剤画分と第二の活性薬剤画分を含むことができる。第一の活性薬剤画分はナノ粒子内に組み込むことができ、第二の活性薬剤画分はナノ粒子の表面上に吸着させることができる。活性薬剤又は活性薬剤画分は特異的放出プロフィールを有しうる。例えば、それは、即時放出、非即時放出又は遅延放出でありうる。好ましくは、放出速度は、放出期間の少なくとも80%、さらに好ましくは放出期間の少なくとも90%にわたってほぼゼロ次である(すなわち時間に依存しない)。
ナノ粒子からの活性薬剤の放出プロフィールは、透析法によって決定できる。例えば、1Mのサリチル酸ナトリウムを含有する水性媒体において、1mlの活性薬剤担持ナノ粒子溶液(0.1mgの活性薬剤を含有)を透析バッグ(MWCO 14000Da、透析法により1Mのサリチル酸ナトリウム含有)に導入し、端部を密封した透析バッグを37℃の1Mサリチル酸ナトリウム溶液50ml中に100rpmで撹拌しながら96時間、完全に沈める。適当な時間間隔で0.2mlの分量を抜き取り、等体積の新鮮媒体で置換する。サンプル中の活性薬剤の濃度をHPLCにより体積置換に対する補正をして測定した。
“即時放出”という用語は、例えば、12時間後、活性薬剤又は活性薬剤画分の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも90%が放出されていることを示す。あるいは、24時間後、活性薬剤又は活性薬剤画分の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも90%が放出されていることを示してもよい。
“非即時放出”という用語は、例えば、12時間後、活性薬剤又は活性薬剤画分の50%未満、好ましくは70%未満、さらに好ましくは90%未満が放出されていることを示す。あるいは、24時間後、活性薬剤又は活性薬剤画分の50%未満、好ましくは70%未満、さらに好ましくは90%未満が放出されていることを示してもよい。
“遅延放出”という用語は、例えば、24時間後、活性薬剤又は活性薬剤画分の50%未満、好ましくは40%未満、さらに好ましくは30%未満が放出されていることを示す。あるいは、48時間後、活性薬剤又は活性薬剤画分の50%未満、好ましくは40%未満、さらに好ましくは30%未満、なおさらに好ましくは20%未満が放出されていることを示してもよい。
第一の活性薬剤画分は、第二の活性薬剤画分とは異なる放出プロフィールを有していてもよい。例えば、第一の活性薬剤画分は遅延放出画分であり、第二の活性薬剤画分は即時放出画分であるか、又はその逆である。第一の活性薬剤画分に含まれる活性薬剤(単数又は複数)は、第二の活性薬剤画分に含まれる活性薬剤(単数又は複数)と同じでも異なっていてもよい。
例えば、ナノ粒子は、ナノ粒子内に組み込まれた第一の活性薬剤画分と、ナノ粒子の表面上に吸着された第二の活性薬剤画分を含みうる。ここで、第一の活性薬剤画分と第二の活性薬剤画分は同じ活性薬剤を含む。この場合、第一の活性薬剤画分は遅延放出画分であり、第二の活性薬剤画分は即時放出画分でありうる。この場合、好ましくは遅延放出画分の30%未満は48時間後に放出される。
第一の活性薬剤画分と第二の活性薬剤画分が同じ活性薬剤(単数又は複数)を含む場合、第一の活性薬剤画分対第二の活性薬剤画分の比率(wt:wt)は、20:1〜1:1、10:1〜1:1、2:1〜1:1、1:1〜2:1、1:1〜10:1又は1:1〜20:1でありうる。
あるいは、(i)特定の活性薬剤放出プロフィールを有するナノ粒子と、(ii)異なる活性薬剤放出プロフィールを有するナノ粒子の混合物も、本発明の範囲内である。異なる放出プロフィールを有するナノ粒子は、異なる活性薬剤(単数又は複数)を含んでいても又は同じ活性薬剤(単数又は複数)を含んでいてもよい。
本発明はさらに、本明細書中に定義の一つ又は複数の活性薬剤を含むナノ粒子の製造法も提供し、前記方法は、下記の工程を含む。
i)ナノ粒子を製造し;
ii)前記ナノ粒子を活性薬剤の濃縮溶液とインキュベートし;そして
iii)前記活性薬剤を含むナノ粒子を液相から分離する。
本発明はさらに、ナノ粒子が一つ又は複数の活性薬剤を含む本発明の組成物の製造法も提供し、前記方法は、下記の工程を含む。
i)ナノ粒子を製造し;
ii)前記ナノ粒子を活性薬剤の濃縮溶液とインキュベートし;
iii)前記活性薬剤を含むナノ粒子を液相から分離し;そして
iv)ナノ粒子をビヒクル中に再懸濁させる。
本発明のナノ粒子は、その薬理学的特性を調節する目的のために、一つ又は複数の表面改質剤を都合よく含むことができる。本発明での使用が想定される表面改質剤は、診断薬、標的化剤、イメージング剤及び治療薬などである。正電荷を持つ表面改質剤が使用できる。表面改質剤は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖類、脂肪酸、脂質、並びに天然及び合成小分子でありうる。異なる表面改質剤を含むナノ粒子の混合物も本発明の範囲内である。
(i)表面改質剤、例えば血液脳関門の標的化剤である表面改質剤を含むナノ粒子と、(ii)表面改質剤を含まないナノ粒子の混合物も本発明の範囲内である。そのような混合物は、脳の二次性腫瘍と肺又は乳房のような身体の別の部分の原発腫瘍の両方の治療に使用することができる。
標的化剤は、ナノ粒子を、所望の標的、細胞、組織又はバイオマーカーに向かわせ、細胞表面上の疾患関連バイオマーカーを認識することができる。それらは、シグナルペプチド、抗体及びアプタマーなどでありうる。標的化剤は標的に応じて変動し、適切な標的化剤は当業者には容易に利用可能である。好適な標的化剤は、チオール化ポリマー(例えば粘膜接着を改良するため)、血液脳関門(BBB)シグナルペプチド及び細胞接着ペプチド、例えばこれらに限定されないが、RGD、RGDC、RGDV及びRGDSペプチド(例えばインテグリン受容体を標的化するため)などである。表面改質剤は、ペプチド、好ましくは配列番号1であろう。
本発明のナノ粒子はBBBを越えることができる。本発明のナノ粒子がBBBシグナルペプチドである表面改質剤(すなわち標的化剤)を含む場合、シグナルナノ粒子はナノシャトルとして働き、多様な活性薬剤部分をBBBの向こう側に送達することができる。好適なBBBシグナルペプチドは、表1に1文字コードで示された配列番号1、2、3、4、5、6、7及び8を含むペプチドなどである(5−TAMRAは5−カルボキシテトラメチルローダミンを表し;BIOはビオチンを表し、CARBはサッカリドを表す)。
Figure 2014518862
診断薬及びイメージング剤は、造影剤、磁気材料、感光剤、放射性標識、及び蛍光化合物、例えばカルボキシフルオレセインなどである。そのような薬剤はインビトロ及びインビボにおける生体内分布試験のために使用できる。本発明のナノ粒子の脳への送達はそのような試験によって実証されている。例えば、インビボにおける生体内分布試験で、表面改質剤を含むパクリタキセル担持ナノ粒子が脳で検出されている。さらに、蛍光標識ナノ粒子は、血液脳関門を模擬する細胞試験で使用できる。
表面改質剤の更なる例はビオチンである。
表面改質剤は、予備形成されたナノ粒子との接触、又はナノ粒子形成前のブロックコポリマー又はその構成ポリマーもしくはモノマーの一つとの接触によって、ナノ粒子の中又は上に導入できる。表面改質剤とナノ粒子又はブロックコポリマーとの結合は、共有結合、静電相互作用又は特異的もしくは非特異的吸着によるものであろう。
従って、本発明のナノ粒子は、それに結合されうる表面改質剤の範囲内で特に多用途である。
本発明の好適な態様において、表面改質剤は、カップリング剤を介してナノ粒子又はブロックコポリマーの中又は上に導入される。従って、本発明の更なる側面によれば、本明細書中に定義のナノ粒子は、ナノ粒子の中又は上に導入されたカップリング剤を有する。カップリング剤は、目的とする表面改質剤とナノ粒子との結合を可能にする。典型的には、表面改質剤をナノ粒子と結合させる場合、カップリング剤のすべて又は一部は保持される。
表面改質剤は、ナノ粒子の形成前又は後にブロックコポリマーに結合させることができる。表面改質剤がナノ粒子形成前のブロックコポリマーに結合されたペプチドの場合、それは典型的には溶媒置換法によって形成されたナノ粒子の表面上に位置する。表面改質剤が疎水性でナノ粒子形成前のブロックコポリマーに結合している場合、それは典型的には溶媒置換法によって形成されたナノ粒子内に位置する。放射性標識のような表面改質剤は、ナノ粒子内に位置するのが有益であろう。
好ましくは、ナノ粒子は、スルフヒドリル反応基を含有するカップリング剤が結合している改質ポリマーを含むブロックコポリマーから形成される。あるいは、ナノ粒子は、表面改質剤が結合している改質ポリマーを含むブロックコポリマーから形成される。
ナノ粒子は、ブロックコポリマーP及び改質ポリマーP’から形成できる。改質ポリマーP’は、ブロックコポリマーPと式(I):
Figure 2014518862
の改質PEGとの反応によって形成される。
式(I)の改質PEGの末端ヒドロキシルは、ブロックコポリマーPのブロックAと反応し、Pを切断して、末端スルフヒドリル基とPより低い分子量とを有する改質ポリマーP’を形成する。末端“スルフヒドリル”は、当該技術分野で公知の方法又は以下に開示された方法に基づく方法によって、ナノ粒子形成前又は後に表面改質剤と結合できる。
カップリング剤は、ブロックコポリマー(又はナノ粒子中に存在する場合そのブロックコポリマー)に、可逆的又は非可逆的方法によって導入できる。以下のスキーム1〜4において、“ポリマーP”という用語は、ナノ粒子形成前又は後のブロックコポリマーを表す。
好適な可逆的方法において、式(I)の化合物はポリアルキレングリコールリンカーを提供し、2,2’−ジピリジルジスルフィドは、スルフヒドリル基を含有する化合物に可逆的に結合できる末端ピリジン−2−イルジスルファニル基を提供する。
ブロックコポリマーがジオール又はジアミン基を末端に持つブロックAを末端に持つ場合、式(II)の化合物を2,2’−ジピリジルジスルフィドと反応させ、得られた化合物をブロックコポリマーに直接結合させる。以下のスキーム1で詳述するとおり、ブロックコポリマーは末端ピリジン−2−イルジスルファニル基を保持する。
Figure 2014518862
ブロックコポリマーがジカルボン酸基を末端に持つブロックAを末端に持つ場合、式(II)の化合物を最初にポリアルキレングリコールと反応させた後、ピリジン−2−イルジスルファニル基で改質する。次に、これは、以下のスキーム2で詳述するとおり、ポリアルキレングリコールセグメントを通じてブロックコポリマーに結合する。この場合、ポリアルキレングリコールはPEGである。
Figure 2014518862
スキーム1又は2のようにカップリング剤を結合させたら、例えばスルフヒドリル基を含む目的とする表面改質剤を、末端ピリジン−2−イルジスルファニル基との反応によってピリジン−2−チオンを置換してブロックコポリマーに結合させる。
好適な非可逆的方法は、式IIIのポリアルキレングリコール化カルボン酸保持マレイミドに基づく。
Figure 2014518862
ブロックコポリマーがヒドロキシル又はアミノ基を末端に持つブロックAを末端に持つ場合、ブロックコポリマーは、以下のスキーム3にヒドロキシル末端ブロックコポリマーについて例示されているように、式(III)の化合物と直接反応できる。
Figure 2014518862
ブロックコポリマーがカルボン酸基を末端に持つブロックAを末端に持つ場合、反応は以下のスキーム(4)に従って進行する。ポリアルキレングリコール化マレイミド上のカルボン酸部分をN−ヒドロキシスクシンイミドで活性化させ、エタノールアミンと反応させ、その後ブロックコポリマーに結合させる。
Figure 2014518862
スキーム3又は5のようにカップリング剤を結合させたら、例えばスルフヒドリル基を含む目的とする表面改質剤を、マレイミドの炭素炭素二重結合との反応によってブロックコポリマーに結合させる。
上記スキーム中、mは、1以上、好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜5、最も好ましくは2の数的添字であり;pは、1より大、好ましくは2〜20、さらに好ましくは4〜10、最も好ましくは7の数的添字であり;そしてqは、1より大、好ましくは10〜450、さらに好ましくは45〜70の数的添字である。
そこで、本発明は、以下のスキーム5に示すように、カップリング剤の全部又は一部によって接続された一つ又は複数の表面改質剤を含むナノ粒子(NP)を提供する。スキーム中、NPは、ブロックコポリマーと、それに組み込まれた又は封入された一つ又は複数の活性薬剤と、又は活性薬剤なしで、好ましくは活性薬剤とを含むナノ粒子を表し、SMAは一つ又は複数の表面改質剤を表す。
Figure 2014518862
発明者らはさらに、本発明のナノ粒子の表面を迅速及び効果的に改質する方法も開発した。これにより、より広範囲の標的を認識させるために、より広範囲の表面改質剤をナノ粒子と結合させることが可能になる。方法は、式(IV)の基を含むカップリング剤を利用する。これは、予備形成されたナノ粒子との接触、又はナノ粒子形成前のブロックコポリマー又はその構成ポリマーもしくはモノマーの一つとの接触によって、ナノ粒子の中又は上に導入できる。
Figure 2014518862
本発明のナノ粒子への式(IV)の基の結合は、当該技術分野で公知の方法によって達成できる。好適な方法においては、ナノ粒子を凍結乾燥工程後にコールドプラズマを用いて処理し、ナノ粒子の表面上にラジカルを作り出し、該表面に式(IV)の基をグラフトする。あるいは、ナノ粒子をコアシェル法を用いたエマルション法によって形成させる。次に過硫酸塩のようなラジカル開始剤を用いて、予備形成されたナノ粒子表面上の基をペンタフルオロフェニルメタクリレートと反応させて、ナノ粒子のシェル上に式(IV)の基を形成させる。別の好適な方法において、モノマー単位Bの少なくとも一つは一つ又は複数の炭素炭素二重結合を含むので、これをペンタフルオロフェニルメタクリレートと反応させて、式(IV)の基をナノ粒子の表面に、それらの形成後にグラフトしてもよい。
式(IV)の基は、ナノ粒子と目的とする表面改質剤との間に共有結合を促進するための反応性エステル官能基を提供する。特に、方法は、アミン部分を含有する表面改質基をナノ粒子に共有結合させるのに使用できる。特に好適な表面改質は、粘膜接着を改良するためのチオール化ポリマーによるもの、取込みをモニターするための蛍光色素分子によるもの、又は標的化のためのBBBシグナルペプチドもしくはRGD誘導体によるものである。このように、本発明は特に、本明細書中に定義のナノ粒子及び組成物を提供し、そのナノ粒子はそれに共有結合された式(III)のカップリング剤を含む。
図1は、本発明の例示的ブロックコポリマーの合成工程を示す。 図2は、非溶媒(水、メタノール、エタノール)、溶媒:非溶媒比(1:20、1:10、1:2)及びポリマー濃度(50mg/ml、20mg/ml及び10mg/ml)の変動がナノ粒子サイズに及ぼす影響を示す。 図3は、ブロックコポリマー(P)、及び表面改質剤と任意にカップリング剤のすべて又は一部が結合したブロックコポリマー(2P)からのナノ粒子(N)の形成を示す。 図4は、異なる濃度の空のナノ粒子(NNP)、パクリタキセル、及びパクリタキセル担持ナノ粒子(パクリタキセル−NNP)が、14日間のコロニー形成後CGL−1細胞に及ぼす影響を示す。 図4は、異なる濃度の空のナノ粒子(NNP)、パクリタキセル、及びパクリタキセル担持ナノ粒子(パクリタキセル−NNP)が、14日間のコロニー形成後CGL−1細胞に及ぼす影響を示す。 図4は、異なる濃度の空のナノ粒子(NNP)、パクリタキセル、及びパクリタキセル担持ナノ粒子(パクリタキセル−NNP)が、14日間のコロニー形成後CGL−1細胞に及ぼす影響を示す。 図5は、異なる濃度のNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPが、21日間のコロニー形成後LN−229細胞に及ぼす影響を示す。 図5は、異なる濃度のNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPが、21日間のコロニー形成後LN−229細胞に及ぼす影響を示す。 図5は、異なる濃度のNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPが、21日間のコロニー形成後LN−229細胞に及ぼす影響を示す。 図6は、異なる濃度のNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPが、14〜21日間のコロニー形成後U−897MG細胞に及ぼす影響を示す。 図6は、異なる濃度のNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPが、14〜21日間のコロニー形成後U−897MG細胞に及ぼす影響を示す。 図7は、正常ヒトアストロサイト(NHA)に対するNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPの毒性を示す。 図7は、正常ヒトアストロサイト(NHA)に対するNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPの毒性を示す。 図7は、正常ヒトアストロサイト(NHA)に対するNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPの毒性を示す。 図8は、正常ヒト神経前駆細胞(NHNP)に対するNNP、DMSO中パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPの毒性を示す。 図8は、正常ヒト神経前駆細胞(NHNP)に対するNNP、DMSO中パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPの毒性を示す。 図9は、不死化ヒト神経前駆細胞(RenCell)に対するNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPの毒性を示す。 図9は、不死化ヒト神経前駆細胞(RenCell)に対するNNP、パクリタキセル、及びパクリタキセルNNPの毒性を示す。 図10は、本発明の代表的ナノ粒子からのパクリタキセルの放出プロフィールを示す。
本発明を以下の実施例によってさらに説明する。当然のことながら、実施例は説明のためだけに提供されるものであり、上記の本発明を制限する意図はないことは理解されるであろう。詳細の修正は本発明の範囲を逸脱することなくなされうる。
実施例1
12gのグルタル酸(0.09モル)と11.1gの1,8−オクタンジオール(0.08モル)を電子レンジ(マイクロ波オーブン)(Discovery CEM)中で出力100Wで1時間反応させる。作業は真空下(100mbar)で実施され、圧縮空気による系の冷却によって温度を一定の120℃に維持する。こうして硬質ブロックが生成する。
次に、この硬質ブロックを、2000ポリエチレングリコール(M 2000Da;6.5g、3mM)と、同じマイクロ波反応器にて、240分間、出力100W、120℃、真空下、及び圧縮空気による冷却とともに反応させる。このようにして、10gのブロックバイオポリマーを得る。
実施例2
拡散媒はアセトンで、その中に実施例1のブロックコポリマーを10、20及び50mg/mlの濃度で、そしてパクリタキセルをブロックコポリマーの3重量%の量で溶解した。分散媒は、Milli−Q水、メタノール又はエタノールを含んでいた。
拡散媒を分散媒に1:2、1:10又は1:20の比率及び50μl/分の流速で加えた。添加法としては、シリンジポンプによって制御されているシリンジにより、針を媒体中に直接配置し、130rpmの磁気撹拌下、25℃で実施した。次に、得られたナノ懸濁液を6000rpmで45分間遠心分離し、分散媒、取り込まれなかった何らかのパクリタキセル、及び拡散媒を徐々に除去した。上清を廃棄し、ペレットをMilli−Q水(15ml)中に再懸濁した後、最終洗浄工程で、再度同じ条件下で遠心分離した。上清は廃棄し、ペレットは溶液中に貯蔵されても又は水中に再分散させて凍結乾燥後に貯蔵されてもよい。
遠心分離され貯蔵されたナノ粒子は膨潤し、貯蔵5日後に膨潤平衡に達するまでサイズが増大する。ナノ粒子は貯蔵15日後に特徴付けされた。
実施例3
実施例2で製造されたナノ粒子のサイズ及び多分散性を、動的光散乱により、Zetasizer(Malvern Instruments,UK)を用い、散乱角90°及び温度25℃で、ろ過水で適切に希釈されたサンプルを用いて分析した。結果を表2に示す。
Figure 2014518862
実施例4
実施例2.6で製造されたナノ粒子のゼータ電位を、電気泳動移動度からゼータ電位値を得るために、Smoluchowsky定数1.5を用い、電気泳動分析装置にて分析した。ゼータ電位は−35〜−40mVの範囲であることが分かった。
実施例5
実施例2で製造されたナノ粒子の、活性薬剤封入効率、活性薬剤取込み、活性薬剤放出プロフィール及び動力学的分解プロフィールを、HPLC分析により、逆相C−18カラムを用い、アセトニトリル/水(70/30 v/v)で定組成溶離して決定した。流速は1ml/分に固定し、検出は227nmにおけるUV検出によって得た。表3に、活性薬剤封入効率及び活性薬剤取込みデータを示す。
Figure 2014518862
実施例6.1:グリオーマ細胞における細胞毒性
グリオーマ細胞株に対する装飾パクリタキセル担持ナノ粒子の毒性を、パクリタキセル及び空のナノ粒子のそれと比較して観察するためにクローン原性アッセイ(clonogenic assay)を実施し、長期作用(2〜3週間の増殖)におけるIC50値を決定した。表面改質剤(配列番号5)あり又はなしのナノ粒子を、実施例2の方法に従い、パクリタキセルを含めて又は含めずに形成した。
3種類の細胞株を使用した。CGL−1細胞株(Oncodesign,フランス・ディジョン)は、ヌードラットに皮下(SC)移植されたTG−1腫瘍から単離された。コロニー形成のために14日間放置された。ヒトU−87 MG細胞株(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション)は、44歳の白人女性のグレードIIIグリア芽腫由来であった。コロニー形成のために21日間放置された。最後に、LN−229細胞株(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション)は、1979年に右前頭頂後頭葉グリア芽腫患者から採取した細胞から確立された。コロニー形成のために14〜21日間放置された。
試験された製剤は次の通りであった。ナノ粒子(ストック溶液 NaCl 0.9%);パクリタキセル担持ナノ粒子(3.33重量%のパクリタキセル;ストック溶液 NaCl 0.9%);及びパクリタキセル(ストック溶液 DMSO 100%)。全試験物質をそれぞれのビヒクル中で100μMに希釈してストック溶液を得た。5つの濃度(1:5又は1:3の段階希釈)を三つ組で使用した。製剤は100μMのストック溶液をそれぞれのビヒクル中に希釈して5つの濃度のシリーズを1:5又は1:3の段階希釈で得た。次に、各溶液をさらにRPMI 1640で1:20に希釈し、その後、軟寒天中に1:10に最終希釈した。
試験された初期濃度は、0.8nM、4nM、20nM、100nM及び500nMであった。繰返しは、GCL−1では、2nM、8nM、40nM、200nM及び1000nM、LN−229では、1.2nM、3.7nM、11nM、及び33nMで実施された。少なくとも2回の独立した実験を最高濃度で実施し、段階希釈は、必要な場合、変更した。細胞は、異なる処理とともに14〜21日間インキュベートされた。
結果は表4に示されており、初期300クローンからの生存率%を示している。ビヒクルの結果は含まれていない(全例で生存率100%)。結果を図4、5及び6にグラフ表示する。クローン原性試験は細胞のクローンを基にしたものであり、細胞単独ではない。従って、与えられているIC50値は、クローンの50%を阻害する濃度に相当する。
Figure 2014518862
3種類の各腫瘍細胞株について、空のナノ粒子はほとんど又は全く細胞毒性を示さず、パクリタキセル担持ナノ粒子は、パクリタキセル単独と比べて同様か又は高い細胞毒性を示した。従って、ナノ粒子はパクリタキセルの活性を低減しない。3つの腫瘍細胞株間の活性の差は、細胞を数日間処理し、代謝アッセイで検査した場合に観察されたIC50に相関した。
結果は、パクリタキセル担持ナノ粒子はパクリタキセルと同じだけ効果的で、空のナノ粒子はがん細胞に対して無毒であることを示している。U87−MGのIC50は1.1〜2.3nMで、これはパクリタキセル単独の文献値(10〜20nM)より低い。
試験は、U87−MG細胞についても繰り返され、担持ナノ粒子のパクリタキセル単独に対する優越傾向を示した(IC50値はそれぞれ0.8〜4nM対4〜20nM)。
実施例6.2:正常神経細胞における細胞毒性
表面改質剤を含むパクリタキセル担持ナノ粒子の健常脳細胞株に対する細胞毒性を、パクリタキセル及び空のナノ粒子のそれと比較して決定するためにATP−liteアッセイを48〜72時間にわたって実施し、IC50値を決定した。
試験された製剤は次の通りであった。ビヒクル、空のナノ粒子、装飾パクリタキセル担持ナノ粒子(3.33重量%のパクリタキセル;装飾:配列番号5)、パクリタキセル及びエトポシド(エトポシドは脳腫瘍の治療において軽度の毒性を有するとされる)。
試験された濃度は、0.00026nM、0.0013nM、0.0064nM、0.032nM、0.16nM、0.8nM、4nM、20nM、100nM及び500nMであった。エトポシドは50μMであった。
3種類の細胞株を試験した。正常ヒトアストロサイト(NHA;Lonza)は、制限された分裂数を有する接着細胞の初代由来培養物である。正常ヒト神経前駆細胞(NHNP;初代細胞株;Lonza)は、特定の条件下で(ラミニン被覆プレート、分化因子による誘導)、接着グリオーマ細胞及びニューロンに分化する高分裂数を有する神経球増殖細胞である。最後に、不死化ヒト神経前駆細胞(RenCells;Millipore)は、c−mycがん遺伝子で形質転換された胎児脳細胞である。
細胞は、処理と共に24時間(アストロサイト)及び72時間(前駆細胞株)インキュベートした。
1)アストロサイト
結果を図7に示す。空のナノ粒子は試験した全濃度範囲で無毒であり、従ってIC50>500nMである。パクリタキセル及び装飾パクリタキセル担持ナノ粒子は、同様の毒性を示し、IC50値は約100nMである。50μMではエトポシドで処理された細胞の12%しか生存しなかった。
パクリタキセル用ビヒクルとして生理食塩水を用いて実験を繰り返した(DMSOの代わり:生理食塩水;結果は図7に示す)。ここでも、空のナノ粒子は試験した全範囲で毒性を示さず、パクリタキセル担持ナノ粒子及びパクリタキセル単独ではあまり著明でない毒性を示し、IC50>500nMとなった。エトポシドの生存率は45%で、およそ50μMのIC50を示した。
2)正常ヒト神経前駆細胞
結果を図8に示す。ここでも空のナノ粒子は試験範囲全体を通して無毒であった。パクリタキセル担持ナノ粒子は、濃度と共に毒性が増大するわずかな傾向を示したが、IC50>500nMを示した。DMSO:生理食塩水に溶解したパクリタキセルは100〜500nMのIC50を示し、生理食塩水では>500nMを示した。エトポシドは、アストロサイトでの試験と同様に挙動し、50μMで21%の生存率を示した。
3)不死化ヒト神経前駆細胞(ReNcells)
結果を図9に示す。ここでも空のナノ粒子は試験された全範囲を通して無毒であった。パクリタキセル担持ナノ粒子は、濃度と共に毒性が増大する一定の傾向を示し、IC50はおよそ500nMであった。DMSO:生理食塩水に溶解したパクリタキセルは約2nM、生理食塩水では57nMのIC50を示した。エトポシドは、50μMで3%の生存率を示した。
IC50データのまとめを表6に示す。試験した濃度では、空のナノ粒子で毒性は観察されなかった。パクリタキセル担持ナノ粒子のIC50値はパクリタキセル単独のそれより高い。これは、ナノ粒子との接触時間が78時間以下であったため、ナノ粒子がわずかな割合の含有パクリタキセルしか放出しなかったためであろう。パクリタキセルは、実験で単独投与された場合ある程度の毒性を生じる。このことは、ナノ粒子が持続放出(徐放性)挙動を有することを示している。
Figure 2014518862
実施例7:ラットのグリオーマ腫瘍モデルに対するパクリタキセル担持ナノ粒子のインビボ活性の観察
試験材料
Figure 2014518862
各バイアルは、表7に示された量の注射用水(wfi、Aguettant)で再構成される。
Figure 2014518862
再構成後、溶液を数秒間渦撹拌し、30分間超音波処理する(周波数:50/60Hz、出力:360W)。こうして粒子分散液(乳液)は注射の準備が整う。注射時、サンプルは0.45μmのフィルター(Millipore Millex HV − Durapore PVDF膜と同等)でろ過する。
急性毒性の定義:最大耐量(MTD)の決定
ラットを体重に基づいて無作為化した(4群、3匹/群、合計12匹)。活性薬剤担持ナノ粒子組成物を5、10及び20mg/kg/注射で調製した。試験に使用されたナノ粒子は、凍結乾燥されたもので、等張であり、0.45ミクロンメッシュを通して難なくろ過できる。
Figure 2014518862
ラットの体重は週2回モニターした。ラットの挙動及び生存については毎日モニターした。副作用は検出されず、ラットの体重減少もなかった。場合によっては体重増加が観察された。生存ラットの屠殺及び剖検(肉眼検査)は処置14日後に実施した。臓器の肉眼的変化についてラットを検査した。何も観察されなかった。
これらの結果は、ナノ粒子が動物に対して非毒性であることを示しており、最高用量でも毒性が見られなかったので、結果は持続放出(徐放性)プロフィールを示唆しうる。原則的に、パクリタキセル単独を同一用量で注射したとすると、特に最高用量では副作用が観察されていたはずである。
等価最高試験濃度(50mgのナノ粒子/ml、薬物含有量4.4%)で、血液脳関門通過<1%及び持続放出プロフィール約2週間と仮定すると、そのような製剤は、IC50よりかなり高い脳濃度を達成するために、少量(200ml)ヒトに投与すればよいと予測される。
治療毒性の定義:最大総耐量(MTTD)の決定
ラットを体重に基づいて無作為化した(4群、3匹/群、合計12匹)。試験される活性薬剤担持ナノ粒子組成物を3つの用量で調製する。
Figure 2014518862
ラットの体重は週2回モニターする。ラットの挙動及び生存については毎日モニターする。生存ラットの屠殺及び剖検(肉眼検査)は処置7日後に実施する。試験した用量のすべてが有毒の場合、追加のラットでそれより低い用量を試験する。MTTDが定義されたら、同所U−87MG腫瘍モデルを持つヌードラットで抗腫瘍活性試験を実施できる。
抗腫瘍活性試験:
U−87MGヒトグリオーマ細胞株をインビトロで増幅する。44匹の雌ヌードラットに放射線照射する。次に、ラット脳内へのU−87MGヒトグリオーマ細胞の同所注射を実施する。Gd−DTPA造影剤を麻酔下で全ラットの尾静脈に1つの時点で静脈内注射した後、腫瘍形態を評価するためにMRI分析を実施する(44匹、44スキャン)。得られた画像を分析して腫瘍容積を決定する。ラットを体重及び腫瘍容積に基づいて無作為化する(5群、8匹/群、40匹)。試験物質は3つの用量で調製し、テモゾロミドは50mg/kg/注射で調製する。
Figure 2014518862
ラットの体重は週2回モニターした。ラットの挙動及び生存については毎日モニターした。腫瘍形態のためのMRI分析を、Gd−DTPA造影剤を麻酔下で全ラットの尾静脈に2つの時点で静脈内注射した後、実施する(8匹/群/時点、5群、2時点、80スキャン)。得られた画像を分析して腫瘍容積を決定する。全ラットの屠殺及び剖検(肉眼検査)は最大2ヶ月後に実施する。腫瘍及び脳サンプル内のパクリタキセルレベルは、HPLC−MS/MSで定量化できる。
ヌードラットにおける薬物担持ナノ粒子の薬物動態及び生体内分布
38匹のヌードラットを個体の体重に従って3匹の1群と5匹の7群に無作為化した。各群の平均体重は他と違わない(分散分析)。ラットのモニターは上記のように実施する。
・第1群:3匹のラットは処置せず。
・第2〜8群:35匹のラットは、パクリタキセル担持ナノ粒子をMTDで1回静脈内注射(QID×1)、異なる時点(T1〜T7)で、別々の群から麻酔下で心穿刺により屠殺。
全血を抗凝固剤としてリチウム−ヘパリン(参照 T−MLHG、テルモ)含有Capiject(登録商標)キャピラリー採血管に採取し、徹底混合して、2500rpm、+4℃で10分間遠心分離する。得られた血漿を回収し、5分量に分割し、分析まで−80℃で貯蔵する。脳も回収し、二つに切り分ける。サンプルを乾燥プラスチック管に移し、直ちに即時凍結して(液体窒素中で)、分析まで−80℃で貯蔵する。全動物とも肉眼検査により剖検する。
注射溶液、血漿サンプル及び脳サンプル中のパクリタキセルレベルを測定する。ラットサンプル中のパクリタキセル測定のための分析手順は、血漿からの被検体の抽出及びドセタキセルを内部標準として用いるHPLC/MS−MS分析を含む。
実施例8
本発明の代表的ナノ粒子の放出プロフィールを決定した。実施例2に従い、3wt%のパクリタキセル含有量を用いて製造された、0.1Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)及び10%のエタノールの溶液(2ml)中ナノ粒子を、透析バッグ(8〜10kDa)に導入した。透析バッグを、37℃、4mlの0.1M PBS中に150rpmで撹拌しながら沈めた。放出されたパクリタキセルのパーセンテージを一連の時点で測定した。結果を表11及び図10に示す。
Figure 2014518862

Claims (26)

  1. ブロックコポリマーと、任意に一つ又は複数の活性薬剤とを含むナノ粒子であって、
    (i)ブロックコポリマーはブロックA及びDを含み;
    (ii)ブロックAはモノマー単位B及びCを含む第一のポリマーからなり、ここでBは炭素原子の総数が≦30の脂肪族ジカルボン酸であり、そしてCはジヒドロキシ又はジアミノモノマーであり;
    (iii)ブロックDは、エステル又はエーテル結合を含有し、ヒドロキシル価≧10を有する炭化水素鎖を含む第二のポリマーからなる
    ナノ粒子。
  2. Aが、式−[(B−C)−B]−を有し、式中、nは各ブロックAのために独立に選ばれる少なくとも1の数的添字である、請求項1に記載のナノ粒子。
  3. Cが、4〜10個の炭素原子を含む直鎖脂肪族ジオールである、請求項1又は2に記載のナノ粒子。
  4. Cが1,8−オクタンジオールである、前記請求項のいずれかに記載のナノ粒子。
  5. Bが4〜10個の炭素原子を含む、前記請求項のいずれかに記載のナノ粒子。
  6. Bが5〜10個の炭素原子を含む、請求項5に記載のナノ粒子。
  7. Dが、ポリエチレングリコール、ポリアミドアミン、ポリアミン、ポリオール及びそれらの組合せからなる群から選ばれる、前記請求項のいずれかに記載のナノ粒子。
  8. ナノ粒子が少なくとも一つの活性薬剤を組み込んでいる、前記請求項のいずれかに記載のナノ粒子。
  9. 少なくとも一つの活性薬剤が、−1.0〜+5.6のlogP値を有する、前記請求項のいずれかに記載のナノ粒子。
  10. 少なくとも一つの活性薬剤が、ドセタキセル及びパクリタキセルを含む群から選ばれる、前記請求項のいずれかに記載のナノ粒子。
  11. ナノ粒子が、一つ又は複数の表面改質剤を前記ナノ粒子に共有結合させるのに適切な一つ又は複数のカップリング剤を含む、前記請求項のいずれかに記載のナノ粒子。
  12. ナノ粒子が、少なくとも一つの表面改質剤を結合又は組み込んでいる、前記請求項のいずれかに記載のナノ粒子。
  13. 前記少なくとも一つの表面改質剤が、診断薬、標的化剤、イメージング剤、及び治療薬からなる群から選ばれる、請求項11に記載のナノ粒子。
  14. 少なくとも一つの表面改質剤が、チオール化ポリマー、蛍光色素分子、BBBシグナルペプチド及びRGDSを含む群から選ばれる、請求項11又は12に記載のナノ粒子。
  15. 少なくとも一つの表面改質剤が、配列番号1、2、3又は4を含むペプチドである、請求項11、12又は13に記載のナノ粒子。
  16. 表面改質剤が、
    Figure 2014518862
    [式中、mは、1以上の数的添字であり;pは、1より大きい数的添字であり;qは、1より大きい数的添字であり;そして、“ポリマーP”はブロックコポリマーである]からなる群から選ばれるカップリング剤を介して共有結合されている、請求項10、11、12、13又は14に記載のナノ粒子。
  17. カップリング剤が、式(IV):
    Figure 2014518862
    の基である、請求項10〜14のいずれかに記載のナノ粒子。
  18. 前記請求項のいずれかに記載のナノ粒子及びビヒクルを含む組成物。
  19. 前記ビヒクルが製薬学的に許容可能な希釈剤又は賦形剤である医薬組成物である、請求項17に記載の組成物。
  20. ビヒクルが極性液体である、請求項17又は18に記載の組成物。
  21. ビヒクルが生体液である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の組成物。
  22. 請求項1〜16に記載のナノ粒子の製造法であって、
    i)ブロックコポリマーと活性薬剤(存在する場合)を拡散媒に溶解して第一の溶液を形成し;
    ii)前記第一の溶液を分散媒と混合して、前記ブロックコポリマーと前記活性薬剤(存在する場合)を含む沈殿ナノ粒子、及び拡散媒と分散媒を含む液相を形成させ;そして
    iii)ナノ粒子を液相から分離する
    ことを含み、
    ここで、拡散媒は、ブロックコポリマーと活性薬剤(存在する場合)が可溶性である溶媒を含み、分散媒は、ブロックコポリマーと活性薬剤(存在する場合)が不溶性である溶媒を含み、そして拡散媒と分散媒は混和性である
    製造法。
  23. 請求項21に記載の工程を含み、さらに、
    iv)ナノ粒子をビヒクル中に再懸濁させる
    工程を含む、請求項17〜20のいずれかに記載の組成物の製造法。
  24. 請求項1〜20に記載の活性薬剤含有ナノ粒子及び組成物の製造法であって、方法は、活性薬剤を含む少なくとも一つの液体媒体の使用を含み、活性薬剤は液体媒体中に溶解されている製造法。
  25. 請求項1〜16に記載の活性薬剤含有ナノ粒子の製造法であって、前記方法は、
    i)ナノ粒子を製造し;
    ii)前記ナノ粒子を活性薬剤の濃縮溶液とインキュベートし;そして
    iii)前記活性薬剤を含むナノ粒子を液相から分離する
    工程を含む方法。
  26. 請求項17〜20のいずれかに記載の活性薬剤含有組成物の製造法であって、前記方法は、請求項24に記載の工程を含み、さらに
    iv)ナノ粒子をビヒクル中に再懸濁させる
    工程を含む方法。
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