本発明の原理の理解の促進の目的のため、ここで図面に図示された実施形態を参照し、これを説明するために特定の用語が用いられる。しかしながら本発明の特定の実施形態の図示及び説明により本発明の範囲が何ら限定されないと意図されると理解されるだろう。加えて、図示及び/又は説明された実施形態(群)の任意の変更及び/又は修正が本発明の範囲内であると予期される。更には、本発明が属する技術分野の当業者には普通に想定されるように、本明細書に図示及び/又は説明のように、本発明の原理の任意の他の適用が、本発明の範囲内にあるものと予期される。
図面、特に図1を参照すると、本発明の実施形態に係る燃料電池システム10の非限定の一例の幾つかの側面が概略的に描写される。図1の実施形態においては、本発明の一実施形態の側面の様々な特徴、構成要素、及びこれらの相互関係が図示される。しかしながら、本発明は、図1の特定の実施形態や、図1に図示及び本明細書で説明のような構成要素、特徴、及びこれらの相互関係に限定されない。
燃料電池システム10の本実施形態は、基板14上に形成された複数の電気化学セル12、すなわち単燃料電池を含む。電気化学セル12は、相互接続部16により直列に一緒に結合される。燃料電池システム10は、平坦な多孔セラミックチューブ上に配された直列区分配列であるが、本発明は、円形多孔セラミックチューブ上といった他の基板上の直列区分配列にも同等に適用可能であるものと理解される。様々な実施形態においては、燃料電池システム10は、一体化された平面型(planar)燃料電池システム又は筒型(tubular)燃料電池システムであり得る。
本実施形態の各電気化学セル12は、酸化剤側18と燃料側20を有する。酸化剤は典型的には空気であるが、純酸素(O2)若しくは、例えば、空気再利用ループを有する燃料電池システムのための希釈空気を含む他の酸化剤でもあり得、酸化剤側18から電気化学セル12へ供給される。本実施形態の基板14が多孔性であり、例えば、燃料電池動作状態で安定であり、また化学的に他の燃料電池材料に適合する多孔性セラミック材料である。別の実施形態においては、基板14は、表面修飾された材料であり、例えば、コーティング又は他の表面修飾を有する多孔性セラミック材料であり、例えば、電気化学セル12層と基板14の間の相互作用を阻止若しくは低減するように構成される。改質炭化水素燃料といった燃料、例えば、合成ガスが多孔性基板14のチャネル(不図示)を介して燃料側20から電気化学セル12に供給される。炭化水素燃料から改質された合成ガスと空気が本実施形態では採用されるが、他の酸化剤と燃料、例えば、純水素と純酸素を用いる電気化学セルが、本発明の範囲から逸脱することなく採用され得るものと理解される。加えて、本実施形態では基板14を介して燃料が電気化学セル12に供給されるが、本発明の他の実施形態においては、酸化剤が多孔性基板を介して電気化学セルに供給されるものと理解される。
図2を参照すると、燃料電池システム10の非限定の一例の幾つかの側面がより詳細に記述される。燃料電池システム10は、基板14上にスクリーン印刷された複数層から形成可能である。スクリーン印刷のプロセスにより、織り網が有する開口を介して燃料電池層が基板14上に堆積される。網(screen)の開口により印刷層の長さと幅が決定される。スクリーン網、ワイヤ直径、インク固体の投入、及びインクレオロジー(rheology)により印刷層の厚さが決定される。燃料電池システム10層は、アノード導電層22、アノード層24、電解質層26、カソード層28、及びカソード導電層30を含む。ある形態においては、電解質層26が、電解質サブ層26Aと電解質サブ層26Bで形成される。他の実施形態においては、電解質層26が任意の数のサブ層で形成される。図2が縮尺のものではないと理解される;例えば、垂直寸法が図示の明確の目的で誇張されている。
固体酸化物形燃料電池(SOFC(solid oxide fuel cells))用の相互接続部は、ある電気化学セルから他への電子搬送のために好適には導電性である;燃料電池動作の過程で酸化及び還元環境の両方の下で機械的及び化学的に安定である;そして相互接続部を介した燃料及び/又は酸化剤の拡散の阻止のため、非多孔性である。相互接続部が多孔性であるならば、燃料が酸化剤側へ拡散して燃焼し、結果として、燃料電池システムの効率の低下と同様、例えば材料劣化や機械的欠陥に起因する燃料電池寿命の短縮に帰結し得る局地的熱点(local hot spot)が生じる。同様に、酸化剤が燃料側に拡散すると、燃料の燃焼が生じる。極度の相互接続部漏れにより燃料の利用と燃料電池の特性が顕著に減じられ、若しくは燃料電池又はスタックの破局的な故障が生じ得る。
直列区分配列セルにとっては、燃料電池部が、多孔性セラミック基板、例えば基板14上に薄膜を堆積することにより形成される。一形態においては、相互接続部も含む薄膜が、スクリーン印刷プロセスを介して堆積される。別の実施形態においては、他のプロセスが採用されて基板上に薄膜を堆積若しくは別の方法で形成する。相互接続部層の厚みは5〜30ミクロンであるが、より厚い、例えば、100ミクロンでもあり得る。例えば、焼結多孔性、マイクロクラック、ボイド及び他のプロセス中に導入された欠陥に起因し、相互接続部が完全な非多孔性でないならば、相互接続部を介したガス又は空気流が非常に強くなり、上述したような望まない結果が生じる。従って、本発明の一側面においては、相互接続部(相互接続部16)は、そこを介した酸化剤と燃料の拡散を最小化若しくは除去するように構成される。
他の材料が本発明の範囲から逸脱することなく採用され得るが、本実施形態の相互接続部16の材料は、Ag、Pd、Au及び/又はPt及び/又はこれらの合金といった貴金属である。例えば、他の実施形態においては、微量の非貴金属添加物を含む合金を含め、Ag‐Pd、Ag‐Au、Ag‐Pt、Au‐Pd、Au‐Pt、Pt‐Pd、Ag‐Au‐Pd、Ag‐Au‐Pt、Ag‐Au‐Pd‐Pt及び/又はPt‐Pd‐Au‐Ag族における二元、三元、四元合金といった貴金属合金、貴金属から成るサーメット、貴金属合金、Ni金属及び/又はNi合金を有する合金、アルミナといった不活性セラミック相、若しくは、YSZ(イットリア安定化ジルコニア、イットリアドープジルコニアとも知られ、イットリアドーピングが3〜8モル%、好適には3〜5モル%である)、ScSZ(酸化スカンジウム安定化ジルコニア、酸化スカンジウムドーピングが4〜10モル%、好適には4〜6モル%である)といった顕著な渦流を生じさせない最小イオン導電性を有するセラミック相、及び/又は、十分な相安定性及び/又は相互接続部としての十分な導電性を達成するためにA又はBサイトの置換又はドーピングが行われた導電性ペロブスカイトといった導電性セラミック、例えば、LNF(LaNixFe1-xO3、好適にはx=0.6)、LSM(La1-xSrxMnO3、x=0.1〜0.3)、ドープされたセリア、ドープされたチタン酸ストロンチウム(例としてはLaxSr1-xTiO3-δ、x=0.1〜0.3)、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3、x=0.1〜0.3及びy=0.25〜0.75)、ドープされた亜クロム酸イットリウム(例としてはY1-xCaxCrO3-δ、x=0.1〜0.3)及び/又は他のドープされた亜クロム酸ランタン(例としてはLa1-xCaxCrO3-δ、x=0.15〜0.3)の少なくとも一つを含むもの、及び導電性セラミックであって、LNF(LaNixFe1-xO3、好適にはx=0.6)、LSM(La1-xSrxMnO3、x=0.1〜0.3)、ドープされたチタン酸ストロンチウム、ドープされた亜クロム酸イットリウム、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3)及び他のドープされた亜クロム酸ランタンの少なくとも一つを包含する他の材料が採用されることが代替的に予期される。幾つかの実施形態においては、相互接続部16の全体又は一部が、上述した材料に加えて又は代替してNi金属サーメット及び/又はNi合金サーメットで形成され得る。Ni金属サーメット及び/又はNi合金サーメットは、1以上のセラミック相、例えば、限定ではないが、YSZ(イットリアドーピングが3〜8モル%、好適には3〜5モル%)のセラミック相、アルミナ、ScSZ(酸化スカンジウムドーピングが4〜10モル%、好適には4〜6モル%)、ドープされたセリア、及び/又はTiO2を有し得る。
相互接続部16用の材料の一例は、y(PdxPt1-x)‐(1−y)YSZである。ここで、xが重量比で0〜1であり、好適には低水素フラックスのためにxが0〜0.5の範囲内にある。yは体積比で0.35〜0.80であり、好適にはyが0.4〜0.6の範囲内にある。
本実施形態のアノード導電層22は、ニッケルサーメットから形成された電極導電層であり、Ni−YSZ(ジルコニアでのイットリアドーピングが3〜8モル%)、Ni−ScSZ(酸化スカンジウムドーピングが4〜10モル%、好適には相安定のための10モル%の酸化スカンジウム‐ZrO2の2回目のドーピング)、及び/又はNiドープセリア(例としてはGd又はSmドーピング)、ドープされたクロム酸ランタン(例としてはAサイトにCaドーピング、BサイトにZnドーピング)、ドープされたチタン酸ストロンチウム(例としては、AサイトにLaドーピング、BサイトにMnドーピング)、及び/又はLa1-xSrxMnyCr1-yO3といったものである。代替して、一部又は全体が貴金属のサーメットといったアノード導電層22用の他の材料が採用されることも考えられる。サーメット内の貴金属は、例えば、Pt、Pd、Au、Ag、及び/又はこれらの合金を含む。例えば、セラミック相は、例えばYSZ、ScSZ及び/又は1以上の他の不活性相(例えば、相の熱膨張係数(CTE(coefficients of thermal expansion))を制御して基板と電解質のCTEを適合するべく所望の熱膨張係数を有するもの)を含む不活性の非伝導相を含む。幾つかの実施形態においては、セラミック相が、Al2O3及び/又はNiAl2O4、MgAl2O4、MgCr2O4、NiCr2O4といったスピネルを含む。他の実施形態においては、セラミック相が導電性であり、例えば、ドープされた亜クロム酸ランタン、ドープされたチタン酸ストロンチウム及び/又はLaSrMnCrOの1以上の形である。
アノード導電層の材料の一例は、76.5%のPd、8.5%のNi、15%の3YSZである。
アノード24は、本実施形態では、xNiO‐(100−x)YSZ(xは、重量比55〜75)、yNiO‐(100−y)ScSZ(yは重量比55〜75)、NiO‐ガドリニア安定化セリア(例としては、55重量%NiO‐45重量%GDC)及び/又はNiOサマリア安定化セリアで形成されるが、本発明の範囲から逸脱することなく他の材料も採用され得る。例えば、アノード層24が、ドープされたチタン酸ストロンチウム、及びLa1-xSrxMnyCr1-yO3(例としては、La0.75Sr0.25Mn0.5Cr0.5O3)から成るものと代替して考えられる。
本実施形態の電解質層26、例えば、電解質サブ層26A及び/又は電解質サブ層26Bは、セラミック材料から成る。ある形態では、セラミックを伝導するプロトン及び/又は酸素イオンが採用される。ある形態においては、電解質層26が、3YSZ及び/又は8YSZといったYSZから形成される。他の実施形態においては、電解質層26が、YSZに加えて又は置換して4ScSZ、6ScSZ、及び/又は10ScSZといったScSZから形成される。他の実施形態においては、他の材料が採用される。例えば、電解質層26がドープされたセリア及び/又はドープされた没食子酸ランタンから成ることが代替して考えられる。いずれにしても、電解質層26が燃料電池10に用いられる流体、例えば、燃料として合成ガス又は純水素、同様に酸化剤として空気又はO2のそこを通じた拡散に対して本質的に不透質であるが、酸素イオン又はプロトンの拡散を許容する。
カソード層28は、LSM(La1-xSrxMnO3、x=0.1〜0.3)、La1-xSrxFeO3(例としては、x=0.3)、La1-xSrxCoyFe1-yO3(例としては、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3)及び/又はPr1-xSrxMnO3(例としては、Pr0.8Sr0.2MnO3)の少なくとも一つで形成されるが、本発明の範囲を逸脱することなく他の材料も採用され得る。例えば、Ruddlesden‐Popper(ルドルスデン・ポッパー)型ニッケル酸塩やLa1-xCaxMnO3(例としてはLa0.8Ca0.2MnO3)材料が代替的に採用されると考えられる。
カソード導電層30は、導電性セラミックから形成された電極導電層であり、例えば、LaNixFe1-xO3(例としては、LaNi0.6Fe0.4O3)、La1-xSrxMnO3(例としては、La0.75Sr0.25MnO3)、ドープされた亜クロム酸ランタン(例としては、La1-xCaxCrO3-δ、x=0.15〜0.3)、及び/又はPr0.8Sr0.2CoO3といったPr1-xSrxCoO3の少なくとも一つである。他の実施形態においては、カソード導電層30は、例えば貴金属サーメットの他の材料から形成されるが、本発明の範囲から逸脱することなく他の材料も採用され得る。貴金属サーメット内の貴金属は、例えば、Pt、Pd、Au、Ag及びこれらの合金を含む。セラミック相が、例えば、YSZ、ScSZ及びAl2O3、又は他のセラミック材料を含む。
カソード導電層の材料の一例は、80重量%Pd‐20重量%LSMである。
図2の実施形態においては、本発明の実施形態の側面の様々な特徴、構成要素、及びこれらの相互関係が図示される。しかしながら、本発明は、図2の特定の実施形態や、図2に図示され本明細書で説明されたような構成要素、特徴、及びこれらの間の相互関係に限定されない。
本実施形態においては、アノード導電層22が、電解質サブ層26Aの一部として、基板14上に直接的に印刷される。アノード層24がアノード導電層22上に印刷される。電解質層26の部分がアノード層24上に印刷され、電解質層26の部分がアノード導電層22上と基板14上に印刷される。カソード層28が電解質層26の上部上に印刷される。カソード導電層30の部分がカソード層28上と電解質層26上に印刷される。カソード層28が、電解質層26の局所厚により方向32にてアノード層24から離間される。
アノード層24は、アノードギャップ34を含み、これが方向36に延びる。カソード層28は、カソードギャップ38を含み、これもまた方向36に延びる。本実施形態においては、方向36が方向32に実質的に垂直であるが、本発明はそのように限定されない。ギャップ34が、アノード層24を電気化学セル12毎の一つの複数の個別アノード40に分離する。ギャップ38が、カソード層28を対応の複数のカソード42に分離する。各アノード40と方向32にてそこから離間した対応のカソード42が、これらの間に配置された電解質層26の部分と一緒に電気化学セル12を形成する。
同様に、アノード導電層22とカソード導電層30が、個別にギャップ44と46を有し、アノード導電層22とカソード導電層30を複数の各々のアノード導電膜48とカソード導電膜50に分離する。用語「アノード導電層」と「アノード導電膜」は、後者が前者の1以上の層から形成されるため交換可能に使用される;用語「カソード導電層」と「カソード導電膜」は、後者が前者の1以上の層から形成されるため交換可能に使用される。
本実施形態においては、アノード導電層22が、方向32で測定されるような約5〜15ミクロンの厚みを有するが、他の値も本発明の範囲から逸脱することなく採用され得る。例えば、他の実施形態においては、アノード導電層が5〜50ミクロンの範囲内の厚みを有する。また他の実施形態においては、特定の材料や用途に依存して異なる厚みが用いられる。
同様に、アノード層24が、方向32で測定されるような大凡5〜20ミクロンの厚みを有するが、他の値も本発明の範囲から逸脱することなく採用され得る。例えば、他の実施形態においては、アノード層が5〜40ミクロンの範囲内の厚みを有する。また他の実施形態においては、特定のアノード材料や用途に依存して、異なる厚みが用いられる。
本実施形態の電解質サブ層26Aと電解質サブ層26Bの両方を含む電解質層26は、約5〜15ミクロンの厚みを有し、個別のサブ層の厚みが最小で約5ミクロンであるが、他の厚み値も本発明の範囲から逸脱することなく採用され得る。例えば、他の実施形態においては、電解質層が5〜40ミクロンの範囲の厚みを有する。また他の実施形態においては、特定の材料や用途に依存して、異なる厚みが用いられる。
カソード層28は、方向32で測定される約10〜20ミクロンの厚みを有するが、本発明の範囲から逸脱することなく他の値も採用され得る。例えば、他の実施形態においては、カソード層が10〜50ミクロンの範囲の厚みを有する。また他の実施形態においては、特定のカソード材料や用途に依存して、異なる厚みが用いられる。
カソード導電層30が、方向32で測定される約5〜100ミクロンの厚みを有するが、本発明の範囲から逸脱することなく他の値も採用され得る。例えば、他の実施形態においては、カソード導電層が、5〜100ミクロンの範囲未満又はそれを超える厚みを有する。また他の実施形態においては、特定のカソード導電層の材料や用途に依存して、異なる厚みが用いられる。
各電気化学セル12では、アノード導電層22が、アノード24からの自由電子を逃がし伝え、相互接続部16を介してカソード導電層30に電子を伝える。カソード導電層30が電子をカソード28に伝える。
相互接続部16が電解質層26に埋め込まれ、アノード導電層22に電気的に結合され、アノード導電層22から電解質サブ層26Aを介して電解質サブ層26Bに向って方向32に延びて、次にある電気化学セル12から直に隣接の電気化学セル12へ方向36に延び、次にカソード導電層30に向って再び方向32に延び、これに相互接続部16が電気的に結合される。特に相互接続部16の少なくとも一部が電解質層26の延びた部分内に埋め込まれ、ここで電解質層26の延びた部分が、例えば方向32にてアノード40とカソード42を超えて延び、アノード40とカソード42の間で挟まれていない電解質層26の一部である。
図3を参照すると、相互接続部16の非限定の例の幾つかの側面がより詳細に記述される。相互接続部16が、ブラインド主導電部52、及び2つのブラインド副導電部又はビア54、56を含む。ブラインド主導電部52が電解質サブ層26Aと電解質サブ層26Bの間に挟まれ、またブラインド端60と端60の反対のブラインド端62の間を延びる本体部58で形成される。ブラインド‐主導電部52が、方向36沿いに配向された電解質層26内の伝導路を規定し、つまりは方向36に実質的に平行な方向に電子の流れを伝導する。ブラインド副導電部54がブラインド端64を有し、ブラインド副導電部56がブラインド端66を有する。ブラインド副導電部54と56が方向32に配向される。この用語が本明細書で用いられるように、「ブラインド(blind)」が、導電部の配向の方向において電解質層26を介して真直ぐに延びない導電部、すなわち、構造を通過する「スルーホール」とは対照的に、構造内で終端する「ブラインドホール」の態様にあるものに関する。むしろ、ブラインド端が電解質層26の部分に対面する。例えば、導電部54の端部64が、電解質サブ層26Bの部分68に対面し、電解質サブ層26Bを介して「見る」ことができない。同様に、導電部56の端部66が電解質サブ層26Aの部分70に対面し、電解質サブ層26Aを介して「見る」ことができない。同様に、本体部58の端部60と62が、各々、部分72と74に対面し、電解質サブ層26Aを介して「見る」ことができない。
図3の実施形態においては、本発明の実施形態の側面の様々な特徴、構成要素及びこれらの相互関係が図示される。しかしながら、本発明は、図3の特定の実施形態や、図3に図示され本明細書で説明されたような構成要素、特徴、及びこれらの間の相互関係に限定されない。図3が縮尺のものではないものと理解される;例えば、垂直寸法が図示の明確性の目的のために誇張されている。
本実施形態においては、ブラインド主導電部52がスクリーン印刷プロセスで形成された導電膜であり、電解質層26内に埋め込まれ、電解質サブ層26Aと26Bの間に挟まれる。アノード層24が第1平面に沿って配向され、カソード層28が第1平面に実質的に平行な第2平面に沿って配向され、電解質層26が第1平面に実質的に平行な第3平面に沿って配向され、そしてブラインド主導電部52を形成する導電膜が第1平面に実質的に平行な方向に延びる。
一つの形態においては、ブラインド主導電部52の材料が、貴金属サーメット又は導電性セラミックである。他の実施形態においては、貴金属サーメット又は導電性セラミックに加えて又は代替して、例えば、Ag、Pd、Au及び/又はPtといった貴金属が採用されるが、本発明の範囲から逸脱することなく他の材料も採用し得る。様々な実施形態においては、Ag‐Pd、Ag‐Au、Ag‐Pt、Au‐Pd、Au‐Pt、Pt‐Pd、Ag‐Au‐Pd、Ag‐Au‐Pt、及びAg‐Au‐Pd‐Ptといった貴金属合金、貴金属又は合金から成るサーメット、Ni金属及び/又はNi合金、及び、アルミナといった不活性セラミック相、又はYSZ、ScSZといった顕著な渦流を生じさせない最小イオン導電性を有するセラミック相、及び/又はLNF(LaNixFe1-xO3)、LSM(La1-xSrxMnO3)、ドープされたチタン酸ストロンチウム、ドープされたクロム酸イットリウム、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3)、及び/又は他のドープされたクロム酸ランタンの少なくとも一つといった導電性セラミック、及びLNF(LaNixFe1-xO3)、例えばLaNi0.6Fe0.4O3、LSM(La1-xSrxMnO3)、例としてはLa0.75Sr0.25MnO3、ドープされたチタン酸ストロンチウム、ドープされた亜クロム酸イットリウム、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3)、例としてはLa0.75Sr0.25Cr0.5Mn0.5O3、及び他のドープされた亜クロム酸ランタンといった導電性セラミックを含む1以上の多くの材料が採用されることが予期される。他の実施形態においては、ブラインド主導電部52が、上述の材料に加えて又は代替して、Ni金属サーメット及び/又はNi合金サーメットで形成されることが予期される。Ni金属サーメット及び/又はNi合金サーメットが1以上のセラミック相を有し、例えば、限定ではないが、セラミック相がYSZ、アルミナ、ScSZ、ドープされたセリア及び/又はTiO2である。様々な実施形態においては、ブラインド主導電部52が、相互接続部16に関して上述した材料で形成される。
ブラインド主導電部52の材料の一例がy(PdxPt1-x)‐(1−y)YSZである。ここで、xが重量比で0〜1である。コスト低減のため、xが0.5〜1の範囲にあると良い。より優れた特性やより高いシステム効率のため、xが0〜0.5の範囲にあると良い。水素がPdにて高いフラックス(flux)を有するため、yが体積比で0.35〜0.80であり、好適にはyが0.4〜0.6の範囲にある。
ブラインド主導電部52のための材料の別例が、x%Pd‐y%Ni‐(100‐x‐y)%YSZであり、ここでx=70〜80、y=5〜10である。
ブラインド副導電部54と56の各々が、主導電部52と同一又は異なる材料で形成される。一形態においては、ブラインド副導電部54がブラインド主導電部52のプロセス過程で形成され、ブラインド主導電部52と同一材料で形成され、ブラインド副導電部56がカソード導電層30と同じプロセスステップでカソード導電層30と同一材料で形成される。しかしながら、他の実施形態においては、ブラインド主導電部52、ブラインド副導電部54、及びブラインド副導電部56が、本発明の範囲から逸脱することなく別の材料の組み合わせから成る。
ブラインド副導電部54とブラインド副導電部56用の材料が特定の用途で一様ではない。例えば、幾つかの材料の組み合わせでは、各セル作製又はセルテストのいずれかの過程で、アノード導電層22及び/又はカソード導電層30との相互接続部16の界面で材料のマイグレーションが生じ、これにより界面での抵抗の増加や燃料電池動作過程での急なセル劣化が生じ得る。主導電部52、アノード導電層22及びカソード導電層30の組成に依存して、材料がアノード導電層22及び/又はカソード導電層30から主導電部52内に移動し、及び/又は材料が主導電部52からアノード導電層22及び/又はカソード導電層30内に移動し得る。相互接続部/導電層の界面での材料のマイグレーションを低減するため、ブラインド副導電部54及びブラインド副導電部56の一方又は両方が、主導電部52とアノード導電層22(アノード導電膜48)及び/又はカソード導電層30(カソード導電膜50)の一つ又は両方の各々の間に電気的に導電性の化学バリア層を生じさせる材料から形成され得る。この化学バリアが燃料電池作製及び動作過程での材料のマイグレーションを除去又は低減する。
化学バリアを形成するために用いられる相互接続部16とアノード導電層22の界面での副導電部54用の材料が、限定するわけではないが、Niサーメット、Ni‐貴金属サーメット、及びAg、Au、Pd、Pt又はこれらの合金であり得る貴金属を含み、サーメットにおけるセラミック相が、YSZ(ジルコニアでのイットリアドーピングが3〜5モル%)、ScSZ(ジルコニアでの酸化スカンジウムドーピングが4〜6モル%)、ドープされたセリア(例としては、GDC、又はSDC)、アルミナ、及びTiO2、又はチタン酸ストロンチウム、ドープされた亜クロム酸イットリウム、La1-xSrxCr1-yMnyO3(x=0.15〜0.35、y=0.25〜0.5)、及び他のドープされた亜クロム酸ランタンといった導電性セラミックの少なくとも一つであり得る。
副導電部54の一例が50v%(50Pd50Pt)‐50v%3YSZである。
副導電部54の別例が、15%のPd、19%のNiO、66%のNTZであり、ここでNTZが、73.6重量%のNiO、20.0重量%のTiO2、6.4重量%の3YSZである。
化学バリアを形成するために用いられる相互接続部16とカソード導電層30の界面での副導電部56用の材料が、限定するわけではないが、Ag、Au、Pd、Pt又はこれらの合金の少なくとも一つである貴金属を含む貴金属サーメットを含み、セラミック相が、YSZ(イットリアドーピングが3〜5モル%であると良い)、ScSZ(酸化スカンジウムドーピングが4〜6モル%であると良い)、LNF(LaNixFe1-xO3、x=0.6)、LSM(La1-xSrxMnO3、x=0.1〜0.3)、ドープされた亜クロム酸イットリウム(例としては、Y0.8Ca0.2CrO3)、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3)、x=0.15〜0.35、y=0.5〜0.75)、及び他のドープされた亜クロム酸ランタン(例としては、La0.7Ca0.3CrO3)、又は、LNF(LaNixFe1-xO3)、LSM(La1-xSrxMnO3)、Ruddlesden‐Popper型ニッケル酸塩、LSF(例としては、La0.8Sr0.2FeO3)、LSCF(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3)、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3)、LCM(例としては、La0.8Ca0.2MnO3)、ドープされた亜クロム酸イットリウム、及び他のドープされた亜クロム酸ランタンの少なくとも一つといった導電性セラミックの少なくとも一つである。
副導電部56の一例が50v%(50Pd50Pt)‐50v%3YSZである。
副導電部56の別例が、15%のPd、19%のNiO、66%のNTZであり、ここでNTZが、73.6重量%のNiO、20.0重量%のTiO2、6.4重量%の3YSZである。
本実施形態においては、副導電部54が、方向36に約0.4mmの幅76を有するが、本発明の範囲から逸脱することなく、より大きな又は小さな幅が用いられ得る。同様に、副導電部56が、方向36に約0.4mmの幅78を有するが、本発明の範囲から逸脱することなく、より大きな又は小さな幅が用いられ得る。主導電部52が方向36に長さを有し、これが、例えば、焼結多孔性、マイクロクラック、ボイド、及び/又はプロセス過程で相互接続部16内に導入された他の欠陥に起因して相互接続部16を介して拡散する任意の水素のための最小の拡散距離80を規定する。本実施形態においては、拡散距離80が0.6mmであるが、本発明の範囲から逸脱することなく、より大きな又は小さな幅が用いられ得る。方向32で測定される主導電部52の膜厚82は、約5〜15ミクロンである。方向32における相互接続部16の全高さ84が約10〜25ミクロンであり、これは概して電解質層26の厚みに対応する。
相互接続部16を介した水素拡散の全拡散距離が、方向32における副導電部54と副導電部56の高さを含み、これが全高さ84から主導電部52の膜厚82を減算することにより得られ、約10ミクロンと算出される。従って、例えば、副導電部54や56の高さが全拡散距離の僅かな割合のみを示すため、拡散距離が拡散距離80により主に制御される。
図4A及び4Bを参照すると、相互接続部16の連続の「ストリップ(strip)」構成の平面図と相互接続部16の「ビア(via)」構成の平面図が個別に図示される。用語「ストリップ」が、長さに比べて比較的に幅が狭い単一の長い導電部の形態で存在する構成に関連する。ストリップ構成においては、主導電部が、本実施形態では方向32と36の両方に実質的に垂直である方向86に延びる連続のストリップ52Aの形態を取り、またおよそ電気化学セル12の方向86の長さを延びる。図4A及び4Bの図示においては、方向32が図面の平面の内外に延び、従って円形内の「×」により表される。用語「ビア」は、電気構成部品を接続する材料を介した相対的に小さな導電性経路に関する。図4Bの図示においては、主導電部は、各々が方向86にたった約0.4mmの幅を有する複数のビア52Bの形態を取るが、本発明の範囲から逸脱することなく、より大きな又は小さな幅が用いられ得る。
図4A及び4Bの実施形態においては、本発明の実施形態の側面の様々な特徴、構成要素、及びこれらの相互関係が図示される。しかしながら、本発明は、図4A及び4Bの特定の実施形態や図4A及び4Bに図示され本明細書に説明されるような構成要素、特徴、及びこれらの相互関係に限定されない。
図4A及び4Bと一緒に図3を再び参照すると、相互接続部16の最小拡散領域が、主導電部52の拡散領域により制御され、これが流体の拡散を制限する拡散フローオリフィスとして機能する。例えば、もし、任意の理由のため、主導電部52が非多孔性でないならば、例えば、流体及び/又はガス状形態の酸化剤及び燃料が相互接続部16を介して拡散し得る。そのような拡散は、膜厚82により部分的に制御される。「ストリップ」構成においては、拡散領域が、方向86における連続のストリップ52Aの幅×膜厚82により算出され、他方「ビア」構成においては、拡散領域が、方向86における各ビア52Bの幅×膜厚82×ビア52Bの数により算出される。
(カソード導電膜50が、方向36にてアノード導電膜48上に配置されると仮定すれば)アノード導電膜48からカソード導電膜50へ方向32のみに延びる相互接続部を採用することが可能であるかもしれないが、そのようなスキームは、本発明の相互接続部が採用されるよりも高いリークに帰結するだろう。
例えば、図5を参照すると、相互接続部88の非限定の幾つかの側面が図示され、ここで電解質層90を貫通するビア形態の相互接続部88が、明確に電解質層90に埋め込まれておらず、若しくは電解質層90の副層間に挟まれておらず、また如何なるブラインド導電部も含まない。相互接続部88がアノード導電部92からカソード導電部94に電力を伝達する。比較の目的のため、例えば、相互接続部16と同様、電解質層90の厚みに対応する、方向32の相互接続部88の長さ96が10〜15ミクロンと想定され、方向36における、相互接続部88の幅、例えば、相互接続部88が印刷される電解質96の開口スロットの幅が、現在の産業技術により方向36における最小印刷可能ビア寸法98として想定され、これが約0.25mmである。相互接続部88の方向86の長さが0.4mmと想定される。従って、相互接続部88に関しては、一つのビアの拡散フロー領域が約0.25mm×0.4mmであり、これは0.1mm2に等しい。制限寸法は、最小0.25mmスクリーン印刷ビア寸法98である。
本発明に関しては、しかしながら、ビア52B(図4B)が方向86に0.4mmの同じ長さを有すると仮定すれば、拡散フロー領域が、一つのビアの0.4mm×方向32の膜厚の0.010mm(10ミクロン)の0.004mm2であり、これは相互接続部88のフロー領域のたった4パーセントである。従って、最小拡散フロー領域を制限する最小寸法の低減を許容する幾何形状を採用することにより、相互接続部の拡散フロー領域が減じられ、従って、例えば、(例えば、プロセス制限及び/又は製造欠陥に起因する)相互接続部が完全に非多孔性でない場合において、又は相互接続部が混合されたイオン及び電気導電部である場合において、相互接続部を介した酸化剤及び/又は燃料の拡散を潜在的に減じる。
更には、相互接続部88の拡散距離が相互接続部88の厚み96に対応し、これが、図示の例においては、電解質層90の厚み、つまり10〜15ミクロンでもある。
対照的に、発明のブラインド主導電部52の拡散距離は、連続のストリップ52A又はビア52Bの形態のいずれも、拡散距離80であり、これは0.6mmであり、またこれは相互接続部88の拡散距離80の40〜60倍であり(0.6mmを10〜15ミクロンで分割)、電解質の厚みの相当な倍数である。従って、電解質の厚みにより制限されない方向に拡散距離が延びる幾何形状を採用することで、相互接続部の拡散距離が相当に増加し、これにより相互接続部を介した酸化剤及び/又は燃料の拡散が潜在的に減少する。
一般的に、所定の材料やマイクロ構造から生じる相互接続部を介した燃料及び/又は空気の流れがフロー領域やフロー距離に依存する。本発明の幾つかの実施形態によれば、用いられる相互接続部の特定の寸法に依存し、例えば、もし接続部が非多孔性でないならば、相互接続部を介した燃料及び/又は空気の流れが、102〜104の大きさで減じられる。
例えば、焼結多孔性、マイクロクラック、及びボイドといったプロセス関連の欠陥は、典型的にはサブミクロンから数ミクロンのサイズ(ボイド)又は数ミクロンから10ミクロン(マイクロクラック)である。たった10〜15ミクロンの拡散距離でも、欠陥の存在が相互接続部を介して直接の流路を提供し、若しくは少なくとも相当なパーセントで拡散距離を減少させる。例えば、10ミクロンの拡散距離の設計を想定する。10ミクロンの欠陥が存在すると、そのような欠陥が相互接続部を通じた直接の流路を開けるため(アノード/導電層及びカソード/導電層が意図して多孔性である)、水素及び/又は酸化剤の流れの直接の流路が生じる。10ミクロンの欠陥の存在下で15ミクロンの拡散距離の設計を想定するとしても、拡散距離が67%分減少し、たった5ミクロンの有効拡散距離が得られる。
他方、発明の相互接続部16の10ミクロンの欠陥は、主導電部52の拡散距離の0.6mm設計に無視可能な影響を持つだけであり、つまり0.6mm設計の拡散距離を0.59mmに減じ、これは欠陥の存在により生じる相対的に取るに足らない減少である。
図6A及び6Bを参照すると、方向86に延びるビア52Cの形態のブラインド主導電部を有する本発明の実施形態の非限定の例の幾つかの側面が図示される。図6Aの図示においては、方向32が図面の平面の内外に延び、従って円形内の「×」により表される。図6Bの図示においては、方向36が図面の平面の内外に延び、従って円形内の「×」により表される。ビア52Cは、例えば、方向86に配向された拡散距離80により示唆されるように、それが方向36ではなく方向86に延びることを除き、ビア52Bと同様である。図6A及び6Bが単一のビア52Cのみを図示するが、本発明の実施形態が、方向86沿いに延びるそのような複数のビアを含むものと理解される。
図6A及び6Bにおいて電子の流れの方向が3次元の流路線100により図示される。電子が方向36でアノード導電膜48を介して副導電部54に向って流れ、そして次に方向32で副導電部54を介してビア52Cに向って流れる。電子は、次に、方向86でビア52Cを介して副導電部56に向って流れ、そして次に方向32で副導電部56を介してカソード導電膜50内に流れ、この後、電子が方向36でカソード導電膜50を介して例えば次の電気化学セルに流れる。
図6A及び6Bの実施形態においては、本発明の実施形態の側面の様々な特徴、構成要素及びこれらの相互関係が図示される。しかしながら、本発明は、図6A及び6Bの特定の実施形態や、図6A及び6Bに図示され本明細書で説明のような構成要素、特徴、及びこれらの相互関係に限定されない。
図7を参照すると、燃料電池システム210の実施形態の非限定の一例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム210は、基板214上に実装された複数の電気化学セル212を含み、各電気化学セル212が、セラミックシール102の形態のシールを有する。燃料電池システム210は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板214に等しく当てはまる。図7の実施形態においては、相互接続部16の副導電部56がカソード導電膜50と同じ材料で形成され、他方、相互接続部16の副導電部54がアノード導電膜48と同じ材料で形成される。相互接続部16のブラインド主導電部52が図2の実施形態の相互接続部16に関して上述したものと同じ材料で形成される。他の実施形態においては、例えば副導電部54及び/又は副導電部56がブラインド主導電部52と同じ材料で形成され、若しくは異なる材料で形成される。一形態においては、ブラインド主導電部52が連続のストリップ、例えば、図4Aに図示の連続のストリップ52Aの形態にある。別形態においては、ブラインド主導電部52が、図4Bのビア52Bといった複数のビアの形態にある。他の実施形態においては、ブラインド主導電部52が、本明細書で明確に説明していない他の形態を取る。
一形態においては、セラミックシール102が多孔性基板214上に設けられ、ある電気化学セル212のアノード導電膜48と隣接の電気化学セル212の副導電部54の間に(図7を見て)水平に配置される。別形態においては、セラミックシール102が、他の配向や位置に設けられる。セラミックシール102は、方向32で測定される厚みで約5〜30ミクロンを有するが、他の実施形態においては他の厚み値が採用され得る。一形態においては、セラミックシール102が、電気化学セル212で採用された燃料や酸化剤といった、ガスや液体に不透性であり、それが設けられた領域で基板214からガスや液体の漏れを阻止するように構成される。他の実施形態においては、例えば、セラミックシールを採用しない他の構成と比較して、セラミックシール102がガスや液体に実質的に不透性であり、それが設けられた領域で基板214からガスや液体の漏れを低減するように構成される。セラミックシール102は、基板214と基板214側とは反対のセラミックシール102側に設けられた燃料電池部の間に本質的に「気密」シールを提供するように構成される。
一形態においては、セラミックシール102は、基板214から相互接続部16へのガスや液体の漏れを阻止又は低減するように配置される。一形態においては、セラミックシール102が方向36に延び、また下部の多孔性基板214と上部の相互接続部16のブラインド主導電部52や電解質層26の間に(方向32で)垂直に配置され、セラミックシール102が重なるブラインド主導電部52(及び電解質26)の部分へのガスや液体の漏れを阻止する。別形態においては、セラミックシール102が、図7に図示された場所に加えて又は代替して他の適切な場所に配置される。ブラインド主導電部52は、下部のセラミックシール102の部分と上部の延びた電解質層26の部分の間に埋め込まれる。図7の実施形態の拡散距離は、方向36におけるセラミックシール102と電解質層26の両方による相互接続部16の重なり部分の長さにより主として規定される。一形態においては、重なり部分が0.3〜0.6mmであるが、他の実施形態においては、他の値が採用される。相互接続部16が活性電気化学セル212領域内に延在する。幾つかの実施形態においては、図7に図示された構成の主相互接続部領域が、他の設計よりも小さく、基板214上の全活性セル領域を増加させ、燃料電池システム210の効率を高め得る。
セラミックシール102は、セラミック材料から形成される。一形態においては、セラミックシール102形成用のセラミック材料が、3YSZといったイットリア安定化ジルコニアである。別形態においては、セラミックシール102形成用の材料が、4ScSZといった酸化スカンジウム安定化ジルコニアである。別形態においては、セラミックシール102形成用の材料がアルミナである。別形態においては、セラミックシール102形成用材料が、La2Zr2O7といった非導電性パイロクロア材料である。他の実施形態では、例示すれば、例えば、各電気化学セル212と基板214の隣接部分の材料の適合性、燃料電池システム210で採用の燃料と酸化剤、及び燃料電池システム210の定常状態の動作温度や局所の過渡事象といった様々な要因に依存して、他のセラミックが採用される。また他の実施形態ではセラミック以外の材料が採用される。
図7の実施形態においては、本発明の実施形態の側面の様々な特徴、構成要素、及びこれらの相互関係が図示される。しかしながら、本発明は、図7の特定の実施形態や図7に図示され本明細書に説明されたような構成要素、特徴、及びこれらの相互関係に限定されない。
図8を参照すると、燃料電池システム310の実施形態の非限定の例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム310は、基板314上に実装された複数の電気化学セル312を含み、各電気化学セル312がセラミックシール102を含む。燃料電池システム310は、また燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板314に等しく当てはまる。図8の実施形態においては、相互接続部16が、アノード導電膜48の材料により大部分が形成され、従って、図8の実施形態のブラインド主導電部52や副導電部54がアノード導電膜48の延長部として理解される。例えば、ブラインド主導電部52と副導電部54がアノード導電膜48の材料で形成されるものと図示され、他方、副導電部56が、図2の実施形態の相互接続部16の上述の材料で形成される。一形態においては、ブラインド主導電部52が、例えば図4Aに図示した連続のストリップ52Aの連続のストリップの形態にある。別形態においては、ブラインド主導電部52が、図4Bのビア52Bといった複数のビアの形態にある。別の実施形態においては、ブラインド主導電部52が、本明細書で明確に説明していない他の形態を取る。
セラミックシール102は、基板314から相互接続部16内へのガスや液体の漏れを阻止又は低減するように配置される。一形態においては、セラミックシール102は、下部の多孔性基板314と上部のブラインド主導電部52や電解質層26の間に(方向32に)垂直に配置され、これによりセラミックシール102が重なるブラインド主導電部52の部分へのガスや液体の漏れを阻止する。ブラインド主導電部52は、下部のセラミックシール102の部分と上部の延びた電解質層26の間に埋め込まれる。図8の実施形態の拡散距離は、方向36でセラミックシール102と電解質層26の両方による相互接続部16の重なりの長さにより主に規定される。一形態においては、重なりが0.3〜0.6mmであるが、他の実施形態においては他の値が採用される。
セラミックシール102が電気化学セル312へのガスや液体の浸入を阻止するため、相互接続部16は、セラミックシール102といったシールを含まない他の設計と同じように(漏れを阻止又は低減するために)高密度である必要がない。そのような設計においては、相互接続部16が、アノード導電層48及び/又はカソード導電層50の形成用材料で形成される。例えば、図9を参照すると、相互接続部16がアノード導電層48とカソード導電層50の形成用の材料で完全に形成される実施形態が図示される。図9は、燃料電池システム410の実施形態の非限定の例の幾つかの側面を概略的に図示する。燃料電池システム410は、基板414上に実装された複数の電気化学セル412を含み、各電気化学セル412がセラミックシール102を含む。燃料電池システム410は、また燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板414に等しく当てはまる。図9の実施形態においては、ブラインド主導電部52と副導電部54がアノード導電膜48の形成用と同じ材料で形成され、またアノード導電膜48を形成するための同じプロセスステップで形成される。従って、図9の実施形態のブラインド主導電部52と副導電部54は、アノード導電膜48の延長部として理解される。同様に、図9の実施形態においては、副導電部56がカソード導電膜50の形成用と同じ材料で形成され、またカソード導電膜50の形成用と同じプロセスステップで形成される。従って、図9の実施形態の副導電部56がカソード導電膜50の延長部として理解される。
図8及び9の実施形態では、本発明の実施形態の側面の様々な特徴、構成要素及びこれらの相互関係が図示される。しかしながら、本発明は、図8及び9の特定の実施形態や図8及び9に図示され本明細書で説明のような構成要素、特徴、及びこれらの相互関係に限定されない。
図10〜15を概して参照すると、本願発明者は、相互接続部と隣接の構成要素、例えば、アノード及び/又はアノード導電膜及び/又はカソード及び/又はカソード導電膜の間の材料拡散が、ある燃料電池システムの特性に悪影響し得ることを見出した。従って、本発明の幾つかの実施形態は、導電性の化学バリア(例えば、上述のような、及び/又は図10〜15に関して以下に述べる化学バリア104)を含み、そのような材料拡散を阻止又は低減する。様々な実施形態においては、化学バリア104が、相互接続部とアノード、及び/又は相互接続部とアノード導電膜、及び/又は相互接続部とカソード、及び/又は相互接続部とカソード導電膜の間の界面での材料のマイグレーション又は拡散を阻止又は低減するように構成され、これにより相互接続部の長期間の耐久性が向上する。例えば、化学バリアがなければ、材料マイグレーション(拡散)が貴金属サーメットから成る相互接続部とNiベースのサーメットから成るアノード導電膜及び/又はアノードの間の界面で発生する。材料マイグレーションが両方向で生じ、例えばアノード導電層/導電膜及び/又はアノードから相互接続部へNiが移動し、また相互接続部から導電層/導電膜及び/又はアノード内へ貴金属が移動する。材料マイグレーションにより相互接続部とアノード導電膜及び/又はアノード間の界面又はその近傍で増加した多孔率に帰結し、また界面での1以上の非又は低電子導電相の強化に帰結し、高い面積比抵抗(ASR(area specific resistance))を生じさせ、また従って燃料電池の特性の劣化に至る。相互接続部とカソード及び/又は相互接続部とカソード導電膜の間の材料マイグレーションが、また若しくは代替して燃料電池の特性への有害な影響に繋がる。
従って、幾つかの実施形態が、相互接続部と隣接の導電性構成要素、例えば、アノード、アノード導電層/導電膜、カソード及び/又はカソード導電層/導電膜の1つ以上の間の界面での材料のマイグレーション又は拡散を阻止又は低減するように構成された化学バリア、例えば化学バリア104を採用し、従って、さもなくば有害な影響、例えば、界面での多孔質の形成や1以上の非又は低電子導電相の濃縮に繋がる材料マイグレーション(拡散)を阻止又は低減する。化学バリア104は、2種の材料;サーメット及び/又は導電性セラミックの一つ又は両方で形成される。サーメットに関しては、セラミック相が、不活性フィラー;低イオン導電率のセラミック、例としてはYSZ;及び電子伝導体の1以上である。様々な実施形態においては、例えば、(例えば、アノード及び/又はアノード導電層/導電膜の近傍で使用される)アノード側では、化学バリア104が、限定ではないが、Niサーメット又はNi‐貴金属サーメットを含む1以上の材料で形成される。貴金属相は、例えば限定ではないが、Ag、Au、Pd、Ptの1以上、又はAg、Au、Pd及び/又はPtの1以上の合金である。サーメットにおけるセラミック相は、例えば限定ではないが、YSZ(例としては、3YSZ)、ScSZ(例としては4ScSZ)、ドープされたセリア(例としては、Gd0.1Ce0.9O2)、SrZrO3、組成(MRE)2Zr2O7のパイロクロア(ここでMRE=1以上のレアアースカチオン、例えば限定ではないが、La、Pr、Nd、Gd、Sm、Ho、Er、及び/又はYb)、例えば限定ではないが、La2Zr2O7、Pr2Zr2O7、アルミナ、及びTiO2、又は1以上の導電性セラミック、例としてはドープされたセリア(低酸素分圧で高い電子伝導性で薄膜起因の十分に低いASRを提供)、ドープされたチタン酸ストロンチウム、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3、x=0.15〜0.35、y=0.25〜0.5)及び/又は他のドープされた亜クロム酸ランタン及びドープされた亜クロム酸イットリア、の少なくとも一つである。様々な実施形態においては、例えば、(例えば、カソード及び/又はカソード導電層/導電膜の近傍で使用される)カソード側では、化学バリア104が、限定ではないが、貴金属サーメットを含む1以上の材料で形成される。貴金属相は、例えば限定ではないが、Ag、Au、Pd、Ptの1以上又はAg、Au、Pd及び/又はPtの1以上の合金である。サーメットにおけるセラミック相は、例えば限定ではないが、YSZ、ScSZ、ドープされたセリア、SrZrO3、組成(MRE)2Zr2O7のパイロクロア(ここでMRE=1以上のレアアースカチオン、例えば限定ではないが、La、Pr、Nd、Gd、Sm、Ho、Er、及び/又はYb)、例えば限定ではないが、La2Zr2O7及びPr2Zr2O7、アルミナ、及びTiO2、又は1以上の導電性セラミック、例としてはLNF(LaNixFe1-xO3、例としてはx=0.6)、LSM(La1-xSrxMnO3、x=0.15〜0.3)、LCM(例としては、La0.8Ca0.2MnO3)、Ruddlesden‐Popper型ニッケル酸塩、LSF(例としては、La0.8Sr0.2FeO3)、LSCF(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3)、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3、x=0.15〜0.35、y=0.5〜0.75)、ドープされた亜クロム酸イットリウム、及び他のドープされた亜クロム酸ランタン、の少なくとも一つである。化学バリア104用の特定材料(群)の選択は、用途の必要、例えば、コスト、製造のし易さ、相互接続部16及び/又はその一部の一つ、例えば、ブラインド主導電部52、副導電部54、及び副導電部56に隣接する電気的な構成要素に用いられる材料の種類に依存して変動する。
アノード側の化学バリア材料の一例は、15%のPd、19%のNiO、66%のNTZであり、ここでNTZは、73.6重量%のNiO、20.0重量%のTiO2、6.4重量%のYSZである。
アノード側の化学バリア材料の別例は、Gd0.1Ce0.9O2といったドープされたセリアである。
燃料電池システムにおける化学バリア104といった化学バリアの実験的な試験により、65Pd35Pt‐YSZサーメットから成る相互接続部と20重量%のPd‐Ni‐スピネルから成るアノード導電層の間に置かれた30重量%のPd‐70重量%のNTZのサーメット(NTZ=NiO2‐3YSZ)から成る化学バリアを用いた1300時間の試験過程に亘るセル電力出力で千時間当たり約0.1%の劣化率が得られた。比較試験においては、化学バリア104といった化学バリアを含まず、50v%(96Pd6Au)‐50v%YSZサーメットから成る相互接続部が20重量%のPd‐Ni‐スピネルから成るアノード導電層に直接仲介し、約10時間の試験で顕著な劣化を示し、また相互接続部とアノード導電層の間の材料マイグレーションに起因して約25時間の試験で燃料電池が故障した。別の試験では、2つの燃料電池が、アノード導電膜と相互接続部の間に設けられた導電性セラミック(10モル%GdがドープされたCeO2)から成る化学バリア104を用いて試験された。約8000時間の試験の後も相互接続部のASRが何らの劣化も示さず、むしろ僅かな改善を示し、2つの試験体で0.05オーム‐cm2と0.06オーム‐cm2の最終値が得られた。
図10を参照すると、基板514上に実装された燃料電池システム510の実施形態の非限定の例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム510は、化学バリア104を含む。燃料電池システム510は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素の幾つかを含み、例えば、ブラインド主導電部52を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42を含む。相互接続部16、ブラインド主導電部52、アノード40及びカソード42の単一の例のみが図示され、電解質層26の2つの例が図示されるが、燃料電池システム510は、そのような各構成要素の複数を包含すると理解され、例えば、上述の実施形態と同様に、例えば、方向36に直列に配置される。基板14の説明が基板514に等しく当てはまる。燃料電池システム510においては、化学バリア104が、アノード40と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間に設けられ、アノード40と相互接続部16の間を方向32に延び、またアノード40と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した材料の1以上から形成される。
図11を参照すると、燃料電池システム610の実施形態の非限定の例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム610は、基板614上に実装された複数の電気化学セル612を含み、各電気化学セル612が化学バリア104を含む。燃料電池システム610は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板614に等しく当てはまる。燃料電池システム610においては、化学バリア104がアノード導電膜48と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間に置かれ、アノード導電膜48と相互接続部16の間を方向32に延び、またアノード導電膜48と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した材料の1以上で形成される。燃料電池システム610においては、電解質層26の一部が、アノード40と化学バリア104の間に置かれ、アノード40と化学バリア104の間を方向36に延びる。
図12を参照すると、燃料電池システム710の実施形態の非限定の例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム710は、基板714上に実装された複数の電気化学セル712を含み、各電気化学セル712がセラミックシール102と化学バリア104を含む。燃料電池システム710は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板714に等しく当てはまる。燃料電池システム710においては、セラミックシール102が基板714から相互接続部16(ブラインド主導電部52)へのガス又は液体の漏れを阻止又は低減するべく配置され、またある電気化学セル712のアノード導電膜48と隣接の電気化学セル712の副導電部54の間を方向36に延びる。
燃料電池システム710においては、セラミックシール102が下部の多孔性基板714と上部の相互接続部16のブラインド主導電部52や電解質層26の間を(方向32に)垂直に配置され、これにより、基板714から、セラミックシール102が重なるブラインド主導電部52(及び電解質層26)の部分へのガス及び液体の漏れを阻止する。他の実施形態においては、図12に図示のものに加えて又は代替して、セラミックシール102が他の適切な位置に設けられる。セラミックシール102が、図7の実施形態に関して上述した1以上の材料で形成される。ブラインド主導電部52の一部が下部のセラミックシール102と上部の電解質層26の間に埋め込まれる。図12の実施形態の拡散距離は、方向36におけるセラミックシール102と電解質層26の両方によるブラインド主導電部52の重なりの長さにより主に規定される。
燃料電池システム710においては、化学バリア104は、アノード導電膜48と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間に設けられ、アノード導電膜48と相互接続部16のブラインド主導電部52と副導電部54の両方の間を方向32に延び、またアノード導電膜48とブラインド主導電部52や副導電部54の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した1以上の材料から形成される。
図13を参照すると、燃料電池システム810の実施形態の非限定の例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム810は、基板814上に実装された複数の電気化学セル812を含み、各電気化学セル812が、セラミックシール102と化学バリア104を含む。燃料電池システム810は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及び副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明は基板814に等しく当てはまる。
燃料電池システム810においては、セラミックシール102が、基板814から相互接続部16(ブラインド主導電部52)へのガス及び液体の漏れを阻止又は低減するように配置され、またある電気化学セル812のアノード40やアノード導電膜48と隣接の電気化学セル812のアノード40やアノード導電膜48の間を方向36に延びる。燃料電池システム810においては、セラミックシール102は、下部の多孔性基板814と上部の相互接続部16のブラインド主導電部52や電解質層26の間を(方向32に)垂直に配置され、これにより基板714から、セラミックシール102が重なるブラインド主導電部52(及び電解質26)の部分へのガスや液体の漏れを阻止する。他の実施形態においては、セラミックシール102が、図13に図示された場所に加えて又は代替して別の適切な場所に配置される。セラミックシール102は、図7の実施形態に関して上述した1以上の材料で形成される。ブラインド主導電部52の部分が、下部のセラミックシール102と上部の電解質26の間に埋め込まれる。図13の実施形態の拡散距離は、方向36におけるセラミックシール102と電解質26の両方によるブラインド主導電部52の重なりの長さにより主に規定される。
燃料電池システム810においては、化学バリア104がアノード40とブラインド主導電部52の間に設けられ、またアノード40とブラインド主導電部52の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。一形態においては、化学バリア104が副導電部54としても機能する。他の実施形態においては、副導電部54が化学バリア104とは別に形成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した1以上の材料で形成される。
図14を参照すると基板914上に実装された燃料電池システム910の実施形態の非限定の例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム910は、化学バリア104を含む。燃料電池システム910は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素の幾つかを含み、例えば、ブラインド主導電部52を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;及びカソード42を含む。相互接続部16、ブラインド主導電部52、アノード40及びカソード42の単一の例のみが図示され、電解質層26の2つの例が図示されるが、燃料電池システム910は、そのような各構成要素の複数を包含すると理解され、例えば、上述の実施形態と同様に、例えば、方向36に直列に配置される。基板14の説明が基板914に等しく当てはまる。燃料電池システム910においては、化学バリア104が、カソード42と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間に設けられ、カソード42と相互接続部16の間を方向32に延び、またカソード42と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した1以上の材料から形成される。
図15を参照すると、燃料電池システム1010の実施形態の非限定の例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム1010は、基板1014上に実装された複数の電気化学セル612を含み、各電気化学セル1012が化学バリア104を含む。燃料電池システム1010は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板1014に等しく当てはまる。燃料電池システム1010においては、化学バリア104が、カソード導電膜50と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間に設けられ、カソード導電膜50と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間を方向32に延び、またカソード導電膜50と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した1以上の材料から形成される。図15の実施形態においては、化学バリア104が副導電部56としても機能する。
図10〜15の実施形態においては、本発明の実施形態の側面の様々な特徴、構成要素、及びこれらの相互関係が図示される。しかしながら、本発明は、図10〜15の特定の実施形態や、図10〜15に図示及び本明細書で説明のような構成要素、特徴、及びこれらの相互関係に限定されない。
図16〜19を概して参照し、本願発明者は、幾つかの燃料電池においては、幾つかの動作状態の下では、カソード導電層/導電膜、電解質、及び相互接続部の部分、例えばビアが、特にカソード導電層/導電膜と電解質の間に重なりがある場合、各電気化学セル内又は間に寄生セルを形成し得ることを見出した。寄生セルにおいては、カソード導電層/導電膜がカソードとして機能し、貴金属サーメットから成る相互接続部、例えばビアがアノードとして機能する。寄生セルが燃料電池の動作過程で燃料を消費し、これにより燃料電池システムの効率が減じられる。加えて、寄生セルにより生成される蒸気が、局所的な高い酸素分圧を生成し、相互接続部(例えば、ビア)材料の貴金属相内に拡散していたであろうNiの酸化に繋がり、相互接続部の劣化に帰結する。
発明者は寄生セルの存在を確認する試験を行った。試験により、試験回数の下、幾つかの温度、例えば900℃では顕著な劣化が生じなかったが、約700時間の試験の後、高い動作温度、例えば925℃で相互接続部の劣化が発生したことが確認された。試験後の分析により、ブラインド主導電部52の貴金属相を介した相互接続部のアノード導電層/導電膜側からカソード導電層/導電膜側へのNi移動が示され、これが高い動作温度により促進された。寄生セルにより形成された蒸気から帰結する高い酸素分圧が、カソード導電層/導電膜と電解質の間の境界近傍でブラインド主相互接続部52と延びた電解質26の界面でのNi酸化を生じさせ、相互接続部の貴金属から分離された。ブラインド主導電部52と電解質26の間の界面に蓄積された連続のNiOと、連続のNi移動が相互接続部の欠陥に帰結しやすい。
カソード導電層/導電膜と電解質の間の重なりを阻止するために、様々な実施形態において、本願発明者は、カソード導電層/導電膜と電解質の間に分離の特徴(図16及び17のギャップ106;及び図18及び19の絶縁体108)を採用してカソード導電層/導電膜と電解質を互いに接触しないように分離、すなわち離間し、これにより寄生セルを除去した。ギャップ106の形態の分離の特徴を有する(またPd‐Ni合金サーメットから成る化学バリア104も含む)燃料電池システムの、約1000時間の熾烈な状態(925℃、20%のH2、10%のCO、19%のCO2、47%の蒸気、及び4%のN2から成る燃料)を含む約2000時間に亘る試験では、相互接続部の劣化に至らなかった。従って、本発明の幾つかの実施形態は、カソード導電層/導電膜と電解質の間に分離の特徴、例えばギャップ106を含み、これにより寄生セルの確立を阻止する。
図16を参照すると、燃料電池システム1110の実施形態の非限定の一例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム1110は、基板1114上に実装された複数の電気化学セル1112を含み、各電気化学セル1112が、セラミックシール102、化学バリア104、及びギャップ106の形態の分離の特徴を含む。燃料電池システム1110は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板1114に等しく当てはまる。ギャップ106は、カソード導電膜50(例えば、1以上のカソード導電層30)と電解質層26の間を方向36に延びる。
燃料電池システム1110においては、セラミックシール102が、基板1114から相互接続部16(ブラインド主導電部52)へのガス及び液体の漏れを阻止又は低減するように配置され、またある電気化学セル1112のアノード導電膜48と隣接の電気化学セル1112の副導電部54の間を方向36に延びる。
燃料電池システム1110においては、セラミックシール102は、下部の多孔性基板1114と上部の相互接続部16のブラインド主導電部52や電解質層26の間を(方向32に)垂直に配置され、これにより基板1114から、セラミックシール102が重なるブラインド主導電部52(及び電解質26)の部分へのガスや液体の漏れを阻止する。他の実施形態においては、セラミックシール102が、図12に図示された場所に加えて又は代替して別の適切な場所に配置される。セラミックシール102は、図7の実施形態に関して上述した1以上の材料で形成される。ブラインド主導電部52の部分が、下部のセラミックシール102と上部の延びた電解質26の間に埋め込まれる。図16の実施形態の拡散距離は、方向36におけるセラミックシール102と電解質26の両方によるブラインド主導電部52の重なりの長さにより主に規定される。
燃料電池システム1110においては、化学バリア104がアノード導電膜48と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間に設けられ、アノード導電膜48と相互接続部16のブラインド主導電部52や副導電部54の両方の間を方向32に延び、またアノード導電膜48とブラインド主導電部52や副導電部54の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した1以上の材料で形成される。
燃料電池システム1110においては、ギャップ106は、カソード導電膜50、電解質層26、及びブラインド主導電部52の間の寄生燃料電池の形成を阻止するように構成される。図16の実施形態のギャップ106は、セラミックシール102、化学バリア104、及びアノード導電膜48を有する燃料電池システムと一緒に採用されるが、他の実施形態においては、ギャップ106は、セラミックシール102、化学バリア104、及びアノード導電膜48の1以上に対応する構成要素を含まない燃料電池システムで採用される。
図17を参照すると、燃料電池システム1210の実施形態の非限定の一例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム1210は、基板1214上に実装された複数の電気化学セル1212を含み、各電気化学セル1212が、化学バリア104とギャップ106の形態の分離の特徴を含む。燃料電池システム1210は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板1214に等しく当てはまる。
燃料電池システム1210においては、化学バリア104がアノード導電膜48と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間に設けられ、アノード導電膜48と相互接続部16の間を方向32に延び、またアノード導電膜48と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した1以上の材料で形成される。燃料電池システム1210においては、電解質層26の部分がアノード40と化学バリア104の間に設けられ、アノード40と化学バリア104の間を方向36に延びる。
燃料電池システム1210においては、ギャップ106は、(カソード導電膜50と同じ材料から成る)副導電部56、電解質層26、及びブラインド主導電部52の間の寄生燃料電池の形成を阻止するように構成される。図17の実施形態のギャップ106は、化学バリア104及びアノード導電膜48を有する燃料電池システムと一緒に採用されるが、他の実施形態においては、ギャップ106は、化学バリア104及びアノード導電膜48の1以上に対応する構成要素を含まない燃料電池システムで採用される。
図18を参照すると、燃料電池システム1310の実施形態の非限定の一例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム1310は、基板1314上に実装された複数の電気化学セル1312を含み、各電気化学セル1312が、セラミックシール102、化学バリア104、及び絶縁体108の形態の分離の特徴を含む。燃料電池システム1310は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板1314に等しく当てはまる。絶縁体108は、(例えば、1以上のカソード導電層30から形成される)カソード導電膜50と電解質層26の間を方向36に延びる。
燃料電池システム1310においては、セラミックシール102が、基板1314から相互接続部16(ブラインド主導電部52)へのガス及び液体の漏れを阻止又は低減するように配置され、またある電気化学セル1312のアノード導電膜48と隣接の電気化学セル1312の副導電部54の間を方向36に延びる。
燃料電池システム1310においては、セラミックシール102は、下部の多孔性基板1314と上部の相互接続部16のブラインド主導電部52や電解質層26の間を(方向32に)垂直に配置され、これにより基板1314から、セラミックシール102が重なるブラインド主導電部52(及び電解質26)の部分へのガスや液体の漏れを阻止する。他の実施形態においては、セラミックシール102が、図12に図示された場所に加えて又は代替して別の適切な場所に配置される。セラミックシール102は、図7の実施形態に関して上述した1以上の材料で形成される。ブラインド主導電部52の部分が、下部のセラミックシール102と上部の延びた電解質26の間に埋め込まれる。図18の実施形態の拡散距離は、方向36におけるセラミックシール102と電解質26の両方によるブラインド主導電部52の重なりの長さにより主に規定される。
燃料電池システム1310においては、化学バリア104がアノード導電膜48と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間に設けられ、アノード導電膜48と相互接続部16のブラインド主導電部52と副導電部54の両方の間を方向32に延び、またアノード導電膜48とブラインド主導電部52や副導電部54の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した1以上の材料で形成される。
燃料電池システム1310においては、絶縁体108は、カソード導電膜50、電解質層26、及びブラインド主導電部52の間の寄生燃料電池の形成を阻止するように構成される。一形態においては、絶縁体108は、酸化アルミニウム(Al2O3)、パイロクロアといった絶縁非導電材料から形成される。他の実施形態においては、La2Zr2O7、Pr2Zr2O7、及びSrZrO3である。他の材料、例えば、酸化アルミニウムに加えて又は代替して非導電性セラミックの1以上の他の種類が、絶縁体108の形成用に採用される。図16の実施形態の絶縁体108は、セラミックシール102、化学バリア104、及びアノード導電膜48を有する燃料電池システムと一緒に採用されるが、他の実施形態においては、絶縁体108は、セラミックシール102、化学バリア104、及びアノード導電膜48の1以上に対応する構成要素を含まない燃料電池システムで採用される。
図19を参照すると、燃料電池システム1410の実施形態の非限定の一例の幾つかの側面が概略的に図示される。燃料電池システム1410は、基板1414上に実装された複数の電気化学セル1412を含み、各電気化学セル1412が、化学バリア104と絶縁体108の形態の分離の特徴を含む。燃料電池システム1410は、また、燃料電池システム10に関して説明した上述の構成要素を含み、例えば、ブラインド主導電部52及びブラインド副導電部又はビア54と56を有する相互接続部16;酸化剤側18;燃料側20;電解質層26;アノード40;カソード42、アノード導電膜48及びカソード導電膜50を含む。基板14の説明が基板1414に等しく当てはまる。
燃料電池システム1410においては、化学バリア104がアノード導電膜48と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間に設けられ、アノード導電膜48と相互接続部16の間を方向32に延び、またアノード導電膜48と相互接続部16(ブラインド主導電部52)の間の材料マイグレーションを阻止するように構成される。化学バリア104は、図10〜15の実施形態に関して上述した1以上の材料で形成される。燃料電池システム1410においては、電解質層26の一部がアノード40と化学バリア104の間に設けられ、アノード40と化学バリア104の間を方向36に延びる。
燃料電池システム1410においては、絶縁体108は、(カソード導電膜50と同じ材料から成る)副導電部56、電解質層26、及びブラインド主導電部52の間の寄生燃料電池の形成を阻止するように構成される。絶縁体108は、図18の実施形態で上述した材料から形成される。図19の実施形態の絶縁体108は、化学バリア104とアノード導電膜48を有する燃料電池システムと一緒に採用されるが、他の実施形態においては、絶縁体108は、化学バリア104とアノード導電膜48の1以上に対応する構成要素を含まない燃料電池システムで採用される。
図16〜19の実施形態においては、本発明の実施形態の側面の様々な特徴、構成要素、及びこれらの相互関係が図示される。しかしながら、本発明は、図16〜19の特定の実施形態や、図16〜19に図示及び本明細書で説明のような構成要素、特徴、及びこれらの相互関係に限定されない。
図16〜19に関して上述したように、所定の条件の下、寄生セルが望まずして形成される。図16〜19に関して説明した実施形態によれば、寄生セルの問題を解決する所定のアプローチが提供される。本願発明者は、材料、例えば、相互接続部及び/又はビア(例えば、ブラインド主導電部52、副導電部54、及び/又は副導電部56を含む相互接続部16、及び/又は本明細書で説明していない他の相互接続部、及び/又はビア構成)を形成する材料の選択に基づいて、寄生セルの問題を解決する他のアプローチも想起した。一形態においては、代替サーメット材料として、貴金属‐La2Zr2O7パイロクロアサーメットが直列区分配列の燃料電池の主相互接続部材料に採用され、若しくは多層セラミック相互接続部のビア材料に採用される。そのようなサーメット材料においては、La2Zr2O7パイロクロアが、ドープされたジルコニアに完全に代替し、又はドープされたジルコニアに部分的に代替し、イオン相をそのパーコレーション(percolation)未満に維持してイオン伝導を低減する。
一形態においては、相互接続部及び/又はビア(群)の組成、例えば、相互接続部及び/又はビア(群)の上述の1以上の組成が、相互接続部及び/又はビア(群)の組成の非イオン伝導セラミック相を含むように変更される。
例えば、一形態においては、相互接続部及び/又はビアが、全体又は一部で、ブラインド主導電部52、副導電部54、及び/又は副導電部56を含む相互接続部16に関して上述したものといった、サーメットから形成されるが、1以上の非イオン伝導セラミック相も含むか代替して含む。限定ではないが、SrZrO3、La2Zr2O7パイロクロア、Pr2Zr2O7パイロクロア、BaZrO3、MgAl2O4スピネル、NiAl2O4スピネル、MgCr2O4スピネル、NiCr2O4スピネル、Y3Al5O12、及び様々なA‐及びB‐サイト置換のガーネット、及びアルミナの例を含む。他の非イオン伝導セラミック相も本明細書で説明の例に加えて又は代替して予期される。材料の検討は、例えば多孔性基板の熱膨張係数に対しての、セラミック相(群)の熱膨張係数を含む。幾つかの実施形態においては、隣接の燃料電池相との化学的な整合にとって望ましい材料が、貴金属‐パイロクロアサーメットを含み、パイロクロアの一般分類が、(MRE)2Zr2O7、MREがレアアースカチオン、限定ではないが、例えば、La、Pr、Nd、Gd、Sm、Ho、Er、及び/又はYbである。
他の実施形態においては、SrZrO3、MgAl2O4スピネル、NiAl2O4スピネル、アルミナ及びパイロクロア組成といった非イオン相が、部分的又は完全に、例えば、上述した相互接続部及び/又はビアのイオン伝導YSZを置換する。好適には、パイロクロア粉体及び/又は1以上の他の非イオン相が、YSZを十分に置換し、YSZの平衡をパーコレーション閾値(percolation threshold)未満にし、相互接続部/ビアに亘るイオン伝導を除去する。ビアのYSZ体積分率は、意図して30v%未満に減じられ、ビア材料内でのイオン伝導を最小化する。
一形態においては、相互接続部及び/又はビア(群)、例えば、相互接続部及び/又はビア(群)の上述の1以上の組成が、例えば相互接続部/ビア(群)の形成用の化合物に希土類酸化物を含めることにより、反応相を含むように変更され、燃料電池の焼成中に非イオン伝導セラミック相を形成する。
例えば、幾つかの実施形態では、全又は一部の相互接続部16又は他の相互接続部又はビアが、ビアの2モルのジルコニア含有量に対して1モルのLa、Pr、Nd、Gd、Sm、Ho、Er、Ybの酸化物のパイロクロアを形成する化学量論比未満で、例えば、スクリーン印刷インク内に、希土類酸化物の形態の反応相を含む。サーメット組成(例えば、本明細書で説明の相互接続部16の全又は一部のサーメット組成)の全体において、これが燃料電池の焼成中にYSZと反応して、相互接続部/ビア内、また電解質、例えば電解質層26に隣接してパイロクロアを形成する。一形態においては、YSZ相を30v%パーコレーション未満に減じるために要求される最小の希土類酸化物が約13モル%セラミック組成である。他の実施形態においては、他の希土類酸化物の量が採用される。絶縁パイロクロア相が粒界(grain boundaries)に沿って形成できるため、ジルコニア相が依然としてパーコレーション閾値を超えて存在できる。しかしながら、幾つかの実施形態においては、十分な希土類酸化物を加え、YSZ相の含有量をバルク組成ベースでパーコレーション閾値未満にすることが望ましい。パイロクロアと同様、SrZrO3非イオン相は、1モルZrO2に対する1モルのSrOの化学量論比未満で、例えば、相互接続部インクへの反応相としてSrO粉体の追加を経て現場で形成可能である。
また他の実施形態においては、相互接続部16の全又は一部若しくは他の相互接続部又はビアが、例えば、スクリーン印刷インキ内に、サーメット組成(例えば、本明細書で説明の相互接続部16の全又は一部のサーメット組成)の全体において、ビア内の2モルのジルコニア含有量に対して1モルの例えば、La、Pr、Nd、Gd、Sm、Ho、Er、及び/又はYbの酸化物であるパイロクロアの化学量論比を超える含有量の希土類酸化物を含み、これが燃料電池の焼成中にYSZと反応して、相互接続部/ビア内にパイロクロアを形成し、また未反応の希土類酸化物が、電解質の活性中に相互接続部の近傍で更に延長した電解質と反応して電解質表面、例えば、電解質層26の表面上、にパイロクロア膜を形成し、これが酸素イオン伝導の通路を十分に途絶させる。ある形態では、希土類酸化物の量が、全セラミック相に基づいて33モル%〜50モル%である。他の実施形態においては、他の希土類酸化物の量が採用される。過剰な希土類酸化物が、イオン伝導の欠如を確実にし得る。しかしながら、過剰すぎる希土類が相互接続部/ビア内に残存すると、ビアは、希土類水酸化物への相変化の湿気誘起の被害の影響を受けやすい。従って、幾つかの実施形態においては、希土類酸化物の量を化学量論比で10%未満に制限することが望ましい。パイロクロアと同様、SrZrO3非イオン相は、1モルZrO2に対する1モルのSrOの化学量論比を超過して、相互接続部インクへのSrO粉体の追加を経てビア内に、また延びた電解質に隣接して現場で形成可能である。一形態においては、SrZrO3を形成し、YSZをパーコレーション閾値未満に減じるため、下限は、セラミック相基準で約15〜20モル%のSrOである。他の実施形態においては、他の下限が適用する。一形態においては、上限は、セラミック相(SrO+ZrO2)基準で約50〜60モル%のSrOである。他の実施形態においては、他の上限が適用する。
また他の実施形態においては、相互接続部16の全又は一部若しくは他の相互接続部又はビアが、(MRE)2Zr2O7に対する全反応に繋がるYSZの化学量論比で希土類酸化物の量を含む。
反応相を用いて非イオン伝導セラミック相を燃料電池の焼成過程で形成する焼成温度は、特定の用途の要請で変化する。例えば限定ではないが、異材料の焼成性、粉体粒子サイズ、比表面積の検討が含まれる。他の材料及び/又は処理パラメータも選択された焼成温度に影響する。例えば、温度が低すぎれば、電解質がより高い多孔率を有し、漏れを生じさせる。温度が高すぎるならば、電気化学反応を低減し、若しくは基板寸法変化等を生じさせる高すぎるアノード密度といった他の問題を生じさせる。従って、1以上の反応相を用いて1以上の非イオン伝導セラミック相を形成する目的での実際の焼成温度は用途により変化する。一形態においては、焼成温度が1385℃である。幾つかの実施形態においては、焼成温度が1370℃〜1395℃の範囲内である。他の実施形態においては、焼成温度が1350℃〜1450℃の範囲内である。また他の実施形態においては、焼成温度が1350℃〜1450℃の範囲外である。1以上の非イオン伝導セラミック相を形成するプロセスステップは、希土類酸化物、YSZ、及び貴金属を含む組成物を用意し、相互接続部/ビア(群)を形成し、所望の温度、例えば、上述の温度又は温度範囲内で組成物を焼成し、所望の期間、例えば、1〜5時間の範囲で組成物を焼成温度に保つことを含む。燃料電池の全又は一部がスクリーン印刷により形成される実施形態においては、方法は、希土類酸化物、YSZ及び貴金属を包含するスクリーン印刷可能なインクを用意する;相互接続部/ビア(群)を印刷する;インクを乾燥する;印刷された相互接続部/ビア(群)を所望の温度、例えば、上述した温度又は温度範囲内で焼成する;及び所望の期間、例えば、1〜5時間の範囲で組成物を焼成温度に保つことを含む。
追加の実施形態においては、他の非イオン伝導相又は反応相が採用され、相互接続部のイオン伝導性を最小化する。
次表1〜8は、本発明の幾つかの実施形態の幾つかの側面に応じて製造された非限定の試験的な燃料電池及び燃料電池部の例の幾つかの側面の組成情報を提供する。本発明は決して以下の例に限定されないものと理解される。「一般組成」と命名の欄は、本明細書で記述の幾つかの材料にとってのある潜在的な組成範囲、ある好適な範囲を含む、を示し、他方、「特定組成」と命名の欄が、試験体/材料で用いられた材料を図示する。
本発明の実施形態には、電解質;第1アノード、前記電解質により前記第1アノードから第1方向に離間した第1カソードを有し、前記電解質が前記第1カソードから前記第1アノードへ前記第1方向に酸素イオンを通過させるように構成される、第1電気化学セル;第2アノード、前記電解質により前記第2アノードから前記第1方向に離間した第2カソードを有し、前記電解質が前記第2カソードから前記第2アノードへ前記第1方向に酸素イオンを通過させるべく構成される、第2電気化学セル;前記第1アノードから前記第2カソードへ電子の流れを伝導するべく構成された相互接続部;及び前記相互接続部の少なくとも一部と前記相互接続部に電気的に接続した少なくとも一つの構成要素の間の材料マイグレーションを阻止又は低減するべく構成された少なくとも一つの化学バリアを備える、燃料電池システムが含まれる。
改良においては、前記相互接続部に電気的に接続した前記少なくとも一つの構成要素は、前記第1アノード及び前記第2カソードの少なくとも一つである。
別の改良においては、前記相互接続部は、前記第1方向とは異なる第2方向に電子の流れを伝導するべく構成された導電部を含む。
また別の改良においては、前記第2方向は前記第1方向に実質的に垂直である。
また別の改良においては、前記第2アノードが前記第1方向に実質的に垂直な第3方向に前記第1アノードから離間され、前記第2方向も前記第3方向に実質的に垂直である。
また別の改良においては、前記相互接続部は、前記電解質内に設けられ、前記第1方向とは異なる第2方向に電子の流れを伝導するべく構成されたブラインド主導電部を含む。
更なる改良においては、前記相互接続部は、前記第1アノードと前記ブラインド主導電部の間に電力を伝導するべく構成された第1ブラインド副導電部;及び前記ブラインド主導電部と前記第2カソードの間に電力を伝導するべく構成された第2ブラインド副導電部を更に含む。
また更なる改良においては、燃料電池システムは、前記第1アノードに隣接するアノード導電層;及び前記第2カソードに隣接するカソード導電層を更に含み、前記第1ブラインド副導電部及び前記第2ブラインド副導電部の少なくとも一つが化学バリアとして構成され;また前記相互接続部に電気的に接続した前記少なくとも一つの構成要素が前記アノード導電層及び前記カソード導電層の少なくとも一つである。
また更なる改良においては、燃料電池システムは、前記第1アノード及び前記相互接続部に隣接するアノード導電層;及び前記第2カソード及び前記相互接続部に隣接するカソード導電層を更に含み、前記相互接続部に電気的に接続した前記少なくとも一つの構成要素が前記アノード導電層及び前記カソード導電層の少なくとも一つである。
また更なる改良においては、前記化学バリアが導電性である。
別の更なる改良においては、前記化学バリアが貴金属サーメットである。
また別の更なる改良においては、前記化学バリアがNiサーメット及びNi‐貴金属サーメットの一つである。
また別の更なる改良においては、前記化学バリアが導電性セラミックである。
本発明の実施形態には、各電気化学セルがアノード、前記アノードから離間したカソード、及び前記アノードと前記カソードの間に設けられた電解質層から形成される複数の電気化学セル;電気的に隣接する電気化学セルの組の間に電気的に結合した相互接続部であって、一方の電気化学セルの前記アノードと他方の電気化学セルの前記カソードを電気的に結合する相互接続部;及び前記相互接続部と前記アノード及び前記カソードの少なくとも一つの間に電気的に設けられた導電性化学バリアであって、前記相互接続部と前記アノード及び前記カソードの少なくとも一つの間の材料マイグレーションを低減するべく構成された導電性化学バリアを備える、燃料電池システムが含まれる。
改良においては、前記アノードがアノード層とアノード導電層を含み、前記アノード導電層が前記導電性化学バリアに電気的に結合され、前記アノード層が前記アノード導電層に電気的に接続される。
別の改良においては、前記導電性化学バリアがNiサーメット及びNi‐貴金属サーメットの一つである。
また別の改良においては、前記Ni‐貴金属サーメットが、Ag、Au、Pd、Pt、Ag‐Pd、Ag‐Au、Ag‐Pt、Au‐Pd、Au‐Pt、Pt‐Pd、Ag‐Au‐Pd、Ag‐Au‐Pt、及びAg‐Au‐Pd‐Ptの一つの貴金属相を有する。
また別の改良においては、前記Ni‐貴金属サーメットのセラミック相が、YSZ、ScSZ、ドープされたセリア、アルミナ及びTiO2の少なくとも一つである。
更なる改良においては、前記導電性化学バリアが導電性セラミックである。
また更なる改良においては、前記導電性セラミックが、ドープされたセリア、ドープされたチタン酸ストロンチウム、ドープされた亜クロム酸イットリア、及びドープされた亜クロム酸ランタンの一つである。
また更なる改良においては、前記ドープされた亜クロム酸ランタンは、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3)である。
また更なる改良においては、前記LSCMは、La0.75Sr0.25Cr0.5Mn0.5O3である。
別の更なる改良においては、前記カソードがカソード層とカソード導電層を含み、前記カソード導電層が前記相互接続部に電気的に結合され、前記カソード層が前記カソード導電層に電気的に結合される。
また別の更なる改良においては、前記導電性化学バリアが貴金属サーメットである。
また別の更なる改良においては、前記貴金属サーメットが、Ag、Au、Pd、Pt、Ag‐Pd、Ag‐Au、Ag‐Pt、Au‐Pd、Au‐Pt、Pt‐Pd、Ag‐Au‐Pd、Ag‐Au‐Pt、及びAg‐Au‐Pd‐Ptの一つの貴金属相を有する。
追加の更なる改良においては、前記貴金属サーメットが、YSZ、ScSZ、LNF(LaNixFe1-xO3)、LSM(La1-xSrxMnO3)、LSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3)、及びNTZ(NiO‐TiO2‐YSZ/ScSZ)の少なくとも一つのセラミック相を有する。
別の追加の更なる改良においては、前記導電性化学バリアが導電性セラミックである。
また別の追加の更なる改良においては、前記導電性セラミックが、ドープされたセリア、LNF(LaNixFe1-xO3)、LSM(La1-xSrxMnO3)、ドープされた亜クロム酸イットリウム、及びドープされた亜クロム酸ランタンの少なくとも一つである。
また別の追加の更なる改良においては、前記ドープされた亜クロム酸ランタンがLSCM(La1-xSrxCr1-yMnyO3)である。
また別の追加の更なる改良においては、前記LSCMがLa0.75Sr0.25Cr0.5Mn0.5O3である。
別の改良においては、前記相互接続部が、前記電解質層内に埋め込まれた部分を含む。
本発明の実施形態には、電解質;第1アノード、及び前記電解質により前記第1アノードから離間した第1カソードを有する第1電気化学セル;第2アノード、及び前記電解質により前記第2アノードから離間した第2カソードを有する第2電気化学セル;前記第1アノードから前記第2カソードへの電子の流れを伝導するべく構成された相互接続部;及び前記相互接続部の少なくとも一部と前記相互接続部に電気的に接続した少なくとも一つの構成要素の間の材料マイグレーションを阻止又は低減するべく構成された少なくとも一つの化学バリアを備える、燃料電池システムが含まれる。
改良においては、前記相互接続部に電気的に接続した前記少なくとも一つの構成要素が前記第1アノード及び前記第2カソードの少なくとも一つである。
別の改良においては、燃料電池システムは、前記アノード及び前記相互接続部の間に電気的に設けられたアノード導電層;及び前記カソード及び前記相互接続部の間に電気的に設けられたカソード導電層を更に含み、前記相互接続部に電気的に接続した前記少なくとも一つの構成要素が前記アノード導電層及び前記カソード導電層の少なくとも一つである。
また別の改良においては、前記化学バリアが導電性である。
また別の改良においては、前記化学バリアが貴金属サーメットである。
また別の改良においては、前記化学バリアがNiサーメット及びNi‐貴金属サーメットの一つである。
更なる改良においては、前記化学バリアが導電性セラミックである。
また更なる改良においては、前記相互接続部が、前記電解質内に埋め込まれた部分を含む。
現時点において最も実用的であり好適な実施形態であると理解されているものとの関係で本発明を説明したが、本発明は、開示の実施形態(群)に限定されないものと理解され、むしろ反対に、添付請求項の精神や範囲内に含まれる様々な修正や均等な構成を包含することが意図され、その範囲は、全てのそのような修正や均等な構成を法の下で許されるように包囲するべく最広義の解釈に一致する。更には、上述の詳細な説明における好適な、好適には、若しくは好適であるとの用語の使用は、そのように説明された特徴がより望ましいことを意味するが、しかしながら、必要ではない場合もあり、同事項を欠く任意の実施形態も、次の請求項により画定された範囲の発明の範囲内にあるものと理解される。請求項を読む場合、単数を示す、「少なくとも一つ」及び「少なくとも一部」といった用語が用いられる時、請求項において逆のことが明確に述べられなければ、たった一つのアイテムに請求項を限定する意図がない。更には、「少なくとも一部」及び/又は「一部」との表現が用いられる時、逆のことが端的に述べられなければ、アイテムは、一部及び/又はアイテム全体を含む。