車椅子またはベッドで多大な時間を過ごさなければならない使用者にとって、支持面が幾つかの目的を達成しなければならない。第1に、支持面は、使用者の機能を最大にしなければならない。これは、使用者の操作能力および活動を行う能力を最大にすることを含む。第2に、支持面は、使用者にとって快適でなければならない。第3に、支持面は、信頼性及び耐久性を有さなければならない。第4に、支持面の清掃及び維持が容易に行わなければならない。さらに、支持面は、使用者にとって安全でなければならない。支持面設計の多くの面は、使用者の快適さ、機能および安全に同時に影響を及ぼすことができる。例えば、使用者が支持面の上に安定でなければ、使用者は、多分快適でなく、十分な機能を有さなく、そして安全ではない。
使用者は麻痺、感覚の低下または感覚喪失があるとき、特に危険なのは、褥瘡性潰瘍(通称「圧迫性潰瘍」または「床ずれ」)の形成であり得る。褥瘡性潰瘍は、マットレス、シートクッションまたは他の支持面などの物に持続的に接触する身体の部位に形成される病変である。褥瘡性潰瘍の症状は、皮膚の赤み(ステージI)から皮膚、脂肪、筋肉または骨の壊死を伴う「トンネリング潰瘍」(ステージIV)まで及ぶ。
悩まされた患者、彼らの介護者、および医療界にとって、褥瘡性潰瘍は主要な関心事である。問題の規模は莫大である。米国単独でおよそ120万人が常に褥瘡性潰瘍に苦しんでいると推定されている。毎年褥瘡性潰瘍による合併症に起因する死亡者は60,000であり、そして、これらと他の関連症状を治療するための米国ヘルスケアシステムの現在のコストは、年間150億から400億ドルと推定されると報告されている。
車椅子およびベッドユーザーは、褥瘡性潰瘍を防止および管理しようとする際に本当に大変な課題に直面し得る。褥瘡性潰瘍は、入院、形成手術、さらには切断にもつながる可能性がある。一旦患者が皮膚の瘢痕化に伴う潰瘍にかかれば、将来の潰瘍の発症リスクが増加する。苦しむ人たちは、潰瘍形成、入院および手術の繰り返しサイクルに直面し得る。
しかし、体への度重なる損傷は、苦悩の一部だけである。入院および長期休養は、家庭と社会的ネットワークを破壊し、仕事と余暇を著しく妨げ得る。褥瘡性潰瘍のためにかかる費用は、同様に劇的になり得る。場合によって、一人の患者は、100万ドルを遥かに越える潰瘍関連の医療費が発生する可能性がある。失われた生産性のような間接費用は、この金銭的負担を増やす。
車椅子生活および寝たきりの患者が褥瘡性潰瘍に関する問題に取り組む一般的な理由は、明白である。長期にわたってマットレスの上に寝るまたはシートクッションの上に着座することは、特に、動く能力がないまたは動く能力が限られている場合、体に長期間の圧力およびせん断荷重/摩擦荷重を与える。これにより、潰瘍化に至る。動ける人は、眠っている間に頻繁に向きを変え、または、座っている間に位置を変える。これは、せん断荷重および摩擦荷重を軽減し、そして、健康な血液循環を供給する。動けない患者の場合、圧力荷重は、より容易に血流を塞ぎ、組織損傷を引き起こす可能性がある。図5に示すように、寝たきりの患者において、影響をよく受ける体のいくつかの領域は、頭蓋骨390、肩甲骨391、仙骨392、坐骨結節(図2および図3における149a、149b)、肘およびかかとの骨(踵骨)394のような骨領域の近くの組織である。図2に示すように、車椅子の使用者は、一般には、仙骨部143、尾骨、坐骨結節149a、149b、および大転子147bなどの骨領域の近くの組織で影響を受ける。これらの領域は、一般に「骨隆起」と呼ばれている。
ベッドの使用者における褥瘡性潰瘍の形成を避けるための従来の方法は、家族、介護者または組織の従業員により、圧力荷重を軽減し、且つ血流を回復するために、定期的に患者を新しい姿勢に変え(これが2時間おきにされるよう勧められている)、そして、安定させるというものである。これは24時間態勢で行わなければならず、且つ非常に多くの欠点がある。
いくつかの従来技術の車椅子クッションとベッドマットレスは、体の上に圧力荷重を均等にすることによって潰瘍化を防止しようとしている。発泡体の厚肉部から製造される車椅子クッションは、圧縮性の高い表面を用いて圧力荷重を均等にしようとしている。ウォーターベッドは、流体媒体を用いて圧力荷重を均等にしようとしている。しかし、これらの装置でさえまだ重要な部位において潰瘍化を引き起こしている。
いくつかの従来技術のベッドは、支持面を自動的に傾けておよび/または回転させることによって動ける人の自然な向き変えを模倣しようとしている。他の従来技術のベッドは、時間とともに圧力荷重の位置を変えるために、内部気嚢を膨らませてしぼませている。これらのベッドは、最大圧力荷重の影響を受ける組織を絶えず変えることによって潰瘍化を防止しようとしている。
潰瘍の形成を避けるための別の方法は、支持面を使用者に慎重に適合させることである。この慎重な適合は、重要な部位における圧力を最小にして、より耐性のある部位における圧力荷重を上昇させるように圧力荷重を分散させる。理想的には、血流の閉塞につながる圧力荷重の影響を受ける部位が存在しない。しかし、高価な特注の支持面は、通常必要とされる。従来技術の支持面は、例えば、発泡体の大きいなブロックをマットレスまたはシートクッションに特注で成形することによって作られた。
発泡体の大きいなブロックを成形する従来技術の実施は、熟練した作業者を必要とする、反復性の、高価で、且つ時間のかかる過程である。例示的従来技術過程は、患者の体の石膏模型を用いて発泡体を成形する。圧力軽減が特注の適合した支持面の特定領域に取り込まれるように、石膏模型に対して修正を行う。しかし、これらの修正は、成形の後まで確認されることができない。
患者の体形または体重の変化、例えば身体障害者において萎縮または体重減少による一般的な変化が、要求される支持面形状を変え得る。新しい支持面形状が要求されるとき、上記の過程は、繰り返さなければならない。さらに、新しく作られた従来技術の特注の適合した支持面でさえ時々適合せず、追加修正が必要とされる。
特注の支持面を適合させるのは、非常に難しく、大きく変わる可能性があり、且つ個人によって非常に異なる過程である。例えば、作業者は、使用者の性別、サイズ、体重、障害、奇形、個人的な好み、および主観的な快適さを考慮しなければならない。褥瘡性潰瘍の危険性を最小にするために、使用者の支持面が適切に適合することが不可欠である。しかし、プロの作業者でさえも理想的に適合した支持面を提供するにはしばしば資金、オプション、時間及び知識が不足している。さらに、特注の適合したマットレス、シートクッションおよび他の支持面のための健康保険金は不十分であるので、結果としてプロによりこの種の仕事を実施させるのは敬遠される。その結果、適合の悪い支持面は、しばしば潰瘍化の増加の危険性につながる。
一つの従来技術は、印象(impression)を採取し、その印象から石膏模型を作製し、そして、硬化後石膏を追加または除去することによって模型を修正することが要求される。作業者は、修正を利用し、様々な方法で座圧または支持面の適合をカスタマイズする。支持面は、通常修正された石膏模型から成形され、このため、最終の支持面は、石膏模型の修正を反映する。しかし、石膏模型の修正は、必ずしも理想ではない。特注の適合した支持面をテストフィットした後、好ましい適合、快適さと安全のための使用者のニーズに応じて時々追加修正が必要とされる。その場合には、もう一つの特注の成形支持面を作らなければならず、そして再びテストフィットされなければならない。この試行錯誤過程は、時間がかかって、高価である。
テストフィッティングは、支持面が適切に実施しているかどうかを調べるために、しばしば圧力マットを利用する。車椅子座席製造業で一般に使われる圧力マットは、しばしば圧力値を水銀柱ミリメートルで表示する。着座支持面の許容できる圧力値を決めることは、各々の患者のニーズに依存する、主観的な試みである。一般的なガイドラインとして、100水銀柱ミリメートルの圧力は、特に重要な部位において、過剰であると考えられる一方、40〜60水銀柱ミリメートルの圧力は、許容できる値である傾向が強い。
特注の適合した支持面を作成するもう一つの従来技術方法は、CAD(コンピューターを利用した製図)/CAM(コンピューター援用製造)技術を使用する。予めとられた石膏模型の印象のスキャンによって、または、人の体の直接スキャンによって形状データを収集する。この形状データは、最終の特注の支持面が重要な部位における圧力軽減を取り入れるようにCADシステムを使用して電子的に修正される。特注の適合した支持面は、ロボットマシニングセンタにより半自動的に製造されることができる。通常このロボットマシニングセンタは、コンピューター数値制御ミルである。この従来技術方法は、従来の方法の多くの問題を抱えている。特注の適合した支持面の修正は、試行錯誤を繰り返しながら行われ続けている。特注の適合した支持面が製造された後だけ、患者にテストフィットすることができる。電子修正は、理想的でないと判明し、特注の適合した支持面への更なる修正が必要であれば、もう一つの特注の適合した支持面が製造されなければならない。そしてオリジナルは処分される。
ほとんどの従来技術の支持面は、使用者を支えるためにマットレスまたは他のタイプのクッションを利用する。しかし、マットレスおよびクッションは、一般に良好な断熱材であり、通気性がなく、かつ理想的に圧力を分散しない。さらに、そのような支持物で一般に使われるベッドシーツ、シートクッションカバーおよび服地は、通常は摩擦力を最小にするために設計または選択されていない。圧力、せん断力、熱、および湿気のような「局部因子」が上がると、潰瘍形成につながる組織損傷の比率が増加する。理想的には、圧力、せん断応力、過剰な温度上昇および湿気は、最小にされなければならない。
別の局面において、体重受け面の複数の織り合わされた支持要素の少なくとも一部の有効長を使用者の生体構造の輪郭に適合するように調整する方法が開示されている。当該方法は、複数の織り合わされた支持要素のうちの一つに接続された調整機構を提供することと、上記の体重受け面の上に使用者を配置することと、調整機構が、体重受け面にのしかかる(身をゆだねる)使用者の体重に応じて接続されている織り合わされた支持要素の有効長を変更することを可能にすることと、を含む。
本開示は、特定の使用者のために、速く、正確に、そして作業者側の高いレベルのスキルを必要とせずに、ベッドまたは車椅子に使用するための、織り合わされた支持要素を備える支持面を実質的に自動的に調整する調整機構および方法を記載する。これは、従来技術の特注製造および適合技術に比べて多くの利点を提供する。
印象型取り(impression cast)またはCAD/CAMシステムの利用とは対照的に、開示された調整機構は、使用者の実際のシートクッションまたはベッドを調整するために用いることができる。これは、いくつかの利点を有している。調整は、従来技術の支持面の修正と比べて、より速く、容易に、そして安価に実現することができる。使用者が支持面の上に配置された状態で、適合および更なる調整のための即時のフィードバックが可能な調整を頻繁に行う。調整は、支持面を廃棄するまたは石膏模型を変更することなく実行できる。更に、一つ例示的な方法における調整は、実質的に自動であるため、作業者の専門技術をほとんど必要としない。この適合は、適合に影響を及ぼす身体のおよび環境の要因を考慮することができる。車椅子において、身体のおよび環境の要因は、例えば、車輪を駆動するときの使用者の姿勢、床の粗さ、胴支配条件および人の頭の好ましい位置を含むことができる。開示された調整機構は、適合過程の間にいつでも織り合わされた支持要素を備える支持面の測定を可能にする。
開示された調整機構は、支持面を特有の生体構造を有する多くの使用者の特定の輪郭に特注成形できるようにする。例えば、支持面は、効果的に窪み、安定した表面などを生成するために用いられることができる。これは、体形に適合できる、そして、骨の突起におけるおよびその付近の組織から圧力を開放できる体重受け面を生成するのにあたって重要であり得る。胴の一部または太もも後部などの体のいくつかの部位は、他のもっと敏感な部位と比べてより大きな圧力荷重に耐えることができる。体の上の荷重を減少させるまたは再分散させる開放手段は、通常重要な部位における圧力荷重を減らす。
適切に調整された、織り合わされた支持要素を備える支持面は、非常に安定した体重受け面を提供する。流体または空気で満たされた部分を有するなどの多くの他の支持面は、漏れまたは気圧変化により圧力が失われる。一方、開示された支持面は、非常に安定した、且つ理想的に輪郭付けられた体重受け面を長期に渡って提供することができる。
一局面において、その表面を使用者である人間の生体構造の輪郭に適合するように支持面の織り合わされた支持要素を調整するための方法が開示されている。支持面は、複数の調整機構に接続された複数の織り合わされた支持要素を有している。各調整機構は、使用者が支持面に着座するまたは横になる時、各調整機構に接続されたそれぞれの織り合わされた支持要素を調整できるようにする。これにより、使用者の生体構造の輪郭に適合する。さらに、各調整機構は、その調整構造における各織り合わされた支持要素を保持することができる。
図1は、開示された調整機構および方法が使用される特に好適なシートクッション100を備える車椅子101を示している。車椅子101は、後側102、前側103、上側104、下側105、左側106および右側107(車椅子101に着座した図2に示す車椅子使用者108の視点から)を有する。
図1に示す車椅子101およびシートクッション100は、縦方向の線Lに対して配向される。「縦(長手)方向」とは、平面内に線Lと略一致する線、軸または方向を指す。車椅子101またはシートクッション100の長さは、線Lに対して平行に測定された最大寸法である。
さらに、図1に示す車椅子101は、縦方向の線Lに垂直な横方向の線Tに対して配向されることができる。「横方向」とは、車椅子101またはシートクッション100の面内に線Tと略一致する線、軸または方向を指す。車椅子101またはシートクッション100の幅は、線Tに対して平行に測定された最大寸法である。
さらに、車椅子101またはシートクッション100は、線LとTによって形成される面に垂直な、そして、一般に車椅子101またはシートクッション100の高さ寸法と関連づけられる方向に対応する線Zに対して配向されることができる。車椅子101またはシートクッション100の高さは、垂直線Zに対して平行に測定された最大寸法である。
図3〜5は、開示された調整機構および方法が使用される特に好適なマットレス300を備えるベッド301を示している。ベッド301は、後側302、前側303、上側304、下側305、左側306および右側307(図5に示すベッド使用者308の視点から)を有する。
ベッド301およびマットレス300は、縦方向の線Lに対して配向される。「縦(長手)方向」とは、平面内に線Lと略一致する線、軸または方向を指す。ベッド301またはマットレス300の長さは、線Lに対して平行に測定された最大寸法である。
さらに、図3に示すベッド301は、縦方向の線Lに垂直な横方向の線Tに対して配向されることができる。「横方向」とは、ベッド301の面内に線Tと略一致する線、軸または方向を指す。ベッド301またはマットレス300の幅は、線Tに対して平行に測定された最大寸法である。
さらに、ベッド301またはマットレス300は、線LとTによって形成される面に垂直な、そして、一般にベッド301またはマットレス300の高さ寸法と関連づけられる方向に対応する線Zに対して配向されることができる。ベッド301またはマットレス300の高さは、垂直線Zに対して平行に測定された最大寸法である。
ベッド301および車椅子101は、多くの点で機能的に類似する織り合わされた支持要素113、114、313、314を備える支持面を有している。両方とも骨の突起におけるおよびその付近の圧力を開放可能な、特注の適合した支持面を迅速かつ容易に提供することができる。シートクッション100の横方向の支持要素113と縦方向の支持要素114に関する本開示におけるすべての記述は、マットレス301の横方向の支持要素313と縦方向の支持要素314の特徴に等しく適用される。
図1、2、6および7は、シートクッション100を備える車椅子101の第1実施形態を示している。シートクッション100は、一般に周辺フレーム109に懸架された織り合わされた支持要素111を具備する周辺フレーム109を含んで構成される。周辺フレーム109は、輪郭付けられた、かつ好ましくは実質的に剛性を有する部材110a、110b、110c、110dを有する。織り合わされた支持要素111は、椅子(図2に図示)の使用者108のための体重受け面112を形成する。図7に図示される実施形態に示すように、織り合わされた支持要素111は、横方向の織り合わされた支持要素113と縦方向の織り合わされた支持要素114とを交差させて構成される。織り合わされた支持要素113、114は、疎に織られる、つまり、互に接触しないように織られてもよい。織り合わされた支持要素113、114の間で複数の空隙119を形成することができる。
織り合わされた支持要素113、114用パターンは、例えば、横方向の織り合わされた支持要素113が、縦方向の織り合わされた支持要素114の上下を通過することにより織られている「平織り」(別名、「タビー織り」)であり得る。織り合わされた支持要素113、114のため他の織り方もできる。サテン織り、あや織りまたは斜子織りなどの織り方が、具体的な織り方として考えられるが、他の織り方もあり得る。一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素113、114は、調整できる。これにより、使用者108がシートクッション100に着座する際に、体重受け面112の輪郭の変化を可能にする。
図3に示すように、マットレス300は、部材310a、310b、310cおよび310dを具備する周辺フレーム309を有する。織り合わされた支持要素311は、ベッド(図5に図示)の使用者308のための体重受け面312を形成する。一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素113、114、313、314で形成された体重受け面112、312は、それぞれの周辺フレーム109、309を覆う。図4に示す織り合わされた支持要素313、314は、横方向の織り合わされた支持要素313と縦方向の織り合わされた支持要素314とを交差させる平織りで織ることができる。具体的には、サテン織り、あや織りまたは斜子織りなどの織り方が考えられるが、他の織り方もあり得る。一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素313、314は、調整できる。これにより、使用者308がマットレス300に横になる際に、体重受け面312の輪郭の変化を可能にする。
(フレーム)
シートクッション100に関する図7に示すように、周辺フレーム部材110a、110b、110c、110dは、織り合わされた支持要素111における横方向の織り合わされた支持要素113および縦方向の織り合わされた支持要素114が懸架される周辺フレーム109の構造を形成する。一つの例示的な実施形態において、周辺フレーム109は、略矩形形状を有する(フレームは図示されるよりも異なってカーブすることができるが)。この構造は、繰り返し使用サイクルを通して一貫して機能する、実質的に剛性を有する周辺フレーム109の形成を可能にする。一つの例示的な実施形態において、前フレーム部材110b、横フレーム部材110c、110dおよび後フレーム部材110aの各々は、管状である。
一つの例示的な実施形態において、図2に示すように、横の輪郭付けられた周辺フレーム部材110c、110dは、L−Z面に対して平行する面において緩やかな「Sカーブ」を形成することができる。車椅子101に配置される際に、横方向周辺フレーム部材110c、110dは、左前コーナー117cおよび右前コーナー117dにおける下向きにカーブしている前部と、使用者の太もも155に近接するほぼまっすぐな第2部分と、使用者の大転子131に近接する凹曲面部分またはくぼみ115と、後部とを有することができる。一つの例示的な実施形態において、くぼみ115の底部は、第2部分より低くて、後部より低い。くぼみ115は、織り合わされた支持要素113、114の長さ調整と同様に、適切な体重および圧力分布に寄与する。圧力分布は、領域に荷重(通常、着座者の体重)がどのようにして分散されることを意味する。
シートクッションの輪郭付けられた周辺フレーム109は、圧力およびせん断力を管理できる体重受け面を形成するのに特に効果的であり得る。横方向の周辺フレーム部材110c、110dの後部におけるくぼみは、骨盤陥凹の前部および/または後部における顕著な隆起を備える体重受け面の形成を可能にする。これらの隆起は、一部の(すべてそうとは限らないが)圧力を太ももの下側(そして、後方横の臀部領域)に移動させることをより容易にし、姿勢の調整を維持するための位置に骨盤を保持するのを助け、そして、骨盤および太ももの前方への滑りを防ぐことができる。さらに、横フレーム部材の後部におけるくぼみは、大転子が横フレーム部材との有害な接触または近接を防ぐのに役立つことができる。
一つの例示的な実施形態において、後部周辺フレーム部材110aは、図1および6に示すように、T−Z面とほぼ平行する面において反転した釣鐘形カーブのような形をした中央凹み部を有する。このため、車椅子101に配置される際に、後部周辺フレーム部材110aの輪郭は、後部のコーナー117a、117bにより高い部分を備えながら、中央にくぼみ116を有することができる。くぼみ116は、織り合わされた支持要素113、114の長さの調整と同様に、適切な体重および圧力分布に寄与することができる。反転した釣鐘形カーブを有する後部周辺フレーム部材110aの形状は、いくつかの利点をもたらす。複数の骨の突起を有する使用者の体の仙骨部は、体重受け面との最小の接触を有している。さらに、荷重が後方横の臀部領域に移動されるように、安定した支持をこれらの領域で得ることができる。これにより、圧力分布に影響を及ぼす能力を高め、骨盤安定性を増し、そして、骨盤配向(調整)を維持する。最終的に、後部周辺フレーム部材110aにおけるくぼみは、仙骨および尾骨に近接する骨盤陥凹の部分における顕著でない隆起を有する体重受け面の形成を可能にする。輪郭付けられていないフレームが配置されれば、同程度の深さのくぼみを形成するために織り合わされた支持要素の一部により大きなくぼみが用いられるべきである。輪郭付けられていないフレームは、使用者との有害な接触または近接を防ぐためにより長くおよび/またはより広くする必要がある。より長いおよび/またはより広いフレームは、体積、重量およびサイズ等が原因で好ましくないこともある。
もう一つの実施形態において、後部周辺フレーム部材110aは、実質的にL−T面にカーブを有している。このカーブは、使用者の体の仙骨部が周辺フレーム部材110aと接触できないことを確保するように構成されてもよい。織り合わされた支持要素の一部におけるより大きなくぼみは、適切な体重受け面を形成することができる。
一つの例示的な実施形態において、前部周辺フレーム部材110bは、一般にT−Z面に限られた輪郭を有している。一つの例示的な実施形態において、前部周辺フレーム部材110bは、図2に示すように、カーブした前端を有する。カーブした前端は、車椅子101の使用者の膝145の膝窩部位144が置かれることができる滑らかな表面を提供する。
周辺フレーム部材110a、110b、110c、110d用の好適な材料は、例えば、繊維強化プラスチック、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの射出成形プラスチックまたは熱成形プラスチック、或いは、アルミニウムまたは鋼などの成形金属を含む。材料費がより高くなり得る軽量が望ましい何らかのアプリケーションに対して、チタンまたは炭素繊維強化プラスチックなどの材料を使用することができる。材料費を低く抑える必要のある他のアプリケーションに対して、他の材料が適切であり得る。
周辺フレーム109は、周辺フレーム部材110a、110b、110c、110dに加えて他のフレーム要素(図示せず)で構成することができる。追加のフレーム要素は、追加の支えまたは支持を提供することができ、または、車椅子101へのシートクッション100の取付けをより容易にすることができる。織り合わされた支持要素が取り付けられる周辺フレーム109は、完全に一体化することができ、例えば、周辺フレームは、車輪、キャスター、シートクッションバックおよび車椅子で一般的に見られる他のアイテムを取り付けるように構成されることもできる。織り合わされた支持要素が取り付けられる周辺フレーム109は、既存の車椅子のフレームに取付けられるようにそれ自体を構成することができる。
ベッド300に関する図3および4に示すように、周辺フレーム部材310a、310b、310c、310dは、織り合わされた支持要素311、横方向の織り合わされた支持要素313および縦方向の織り合わされた支持要素314が懸架される周辺フレーム309を形成する。一つの例示的な実施形態において、周辺フレーム309は、略矩形形状を有する。この構造は、繰り返し使用サイクルを通して一貫して機能する、実質的に剛性の周辺フレーム309の形成を可能にする。一つの例示的な実施形態において、前フレーム部材310b、横フレーム部材310c、310dおよび後フレーム部材310aの各々は、管状である。一実施形態において、フレーム部材310a、310b、310c、310dは、ほぼまっすぐである。周辺フレーム309は、周辺フレーム部材310a、310b、310c、310dに加えて他のフレーム要素(図示せず)で構成することができる。追加のフレーム要素は、周辺フレーム309に追加の支えまたは支持を提供することができる。ベッド301の周辺フレーム部材310a、310b、310c、310d用の好適な材料は、車椅子101用の材料と類似する。一実施形態において、周辺フレーム309は、低コストの鋼で製造される。
(織り合わされた支持要素)
一実施形態における織り合わされた支持要素111は、シートクッションの輪郭付けられた周辺フレーム109に懸架された織り合わされた支持要素113、114を含む。前に述べたように、織り合わされた支持要素113、114が体重受け面112のほとんどの場所においておよそ90度で交差するようにして、織り合わされた支持要素113、114を平織りで織ることができる。
一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素113、114の動きを容易にするために、織り合わされた支持要素113、114が互に貼り付けられない。しかし、何れかの場所で、織り合わされた支持要素113、114の相対的な動きを制限することは有利であり得る。例えば、織り合わされた支持要素113、114の間に形成された開口部119が増大するのを防ぐために、これを行うことができる。貼り付けのために、織り合わされた支持要素113、114は、互に縫い付けられるまたはスポット溶接される(図示せず)ことができる。あるいは、例えば、織り合わされた支持要素113、114の滑りを別の方向ではなくある方向に限定するためにループ(図示せず)または他の方法を用いて、織り合わされた支持要素113、114の相対的な動きを制限することができる。
織り合わされた支持要素111は、様々な材料で作成できる。織り合わされた支持要素113、114は、例えば、熱さ、寒さおよび高湿気を含む様々な条件において長期間に渡って一貫して機能することが好ましい。ほとんどのアプリケーションについては、織り合わされた支持要素113、114は、フレキシブルであるが、実質的に延伸された状態で非弾性である(または、それらの弾性は、多くの使用サイクルの過程の中で予測されるべきである)。このため、特定の使用者108のために調整または適合が完了した場合、シートクッション100の構造(輪郭を含む)および性能は、比較的長期間に渡って一貫性を保つことができる。
織り合わされた支持要素113、114は、長時間に渡って、そして種々の状況において、車椅子使用者108を支えるための十分な引張弾性率を有している。一部のより大きな使用者108にとって、より大きな引張弾性率を有する織り合わされた支持要素113、114が必要となり得る。場合によっては、体重受け面112の異なる場所で異なる引張弾性率を有する織り合わされた支持要素113、114を備えることは、望ましい場合がある。例えば、図7に示された織り合わされた支持要素120が他の横方向の織り合わされた支持要素113と比べてより大きな引張弾性率を有するように前部103付近に特定の横方向の織り合わされた支持要素113を備えることは、望ましい場合がある。車椅子101の乗り降りの際に、便宜のためにシートクッション100の前部103付近に手(図示せず)を置くかもしれない対麻痺使用者108のために製造されたシートクッションに対して、これが特に当てはまるかもしれない。マットレス301も同様に、より大きな引張弾性率を有する一部の織り合わされた支持要素113、114を備えてもよい。例えば、使用者308が着座したいかもしれないマットレス301の縁部付近により大きな引張弾性率を有する織り合わされた支持要素113、114を用いることが有利になる可能性がある。
織り合わされた支持要素113、114、313、314の外面は、特定の目的を達成するために意図される摩擦係数(COF)を有してもよい。低いCOFは、体重が体重受け面112または312に配置されるとき、織り合わされた支持要素113、114、313、314が相対的に容易に滑ることを可能にする。これにより、使用者108または308がシートクッション100またはマットレス301に着座する、寄り掛かる、身体をよじる、またはその他の動きをするたびに、シートクッション100またはマットレス301は、使用者(108または308)の骨盤および足を支える適切な構造をとることを確実にすることができる。高いCOFを有する外部を備える織り合わされた支持要素113、114は、所有者がシートクッション100またはマットレス301に着座するまたは横になる際に、互に締め付ける可能性があり、そして一貫した特徴を提供できない可能性がある。
一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素113、114は、湿気および汚染物質に影響されない。また、低吸収性を有する織り合わされた支持要素113、114を備えることにより、織り合わされた支持要素113、114を清掃することをより容易にする。織り合わされた支持要素113、114用の好適な材料は、例えば、ポリエステル、ナイロン、Dacron(登録商標)またはKevlar(登録商標)を含むことができる。多くのアプリケーションについては、好ましい材料は、比較的高い引張弾性率、寸法安定性、かつ低吸収性を有する織ったポリプロピレンである。
多くの他の種類の織り合わされた支持要素の材料も適切であり得る。織り合わされた支持要素113、114は、金属構成要素を含んでもよい、あるいは、ワイヤーまたは金属織物から作成することもできる。また、強度を増すために金属糸での補強は、適切であり得る。織り合わされた支持要素113、114は、積層構造、コーティングなどを有することができる。織り合わされた支持要素113、114は、周辺フレーム部材110a、110b、110c、110dへの固定のためにおよび/または更なる通気のために孔121を有することができる。孔121は、異なる形状を有してもよい。
ほとんどのアプリケーションについては、矩形形状を有する平らな織り合わされた支持要素113、114は、最も好適であり得る。しかし、多くの他の形状は、適切であり得る。さらに、織り合わされた支持要素111は、矩形帯ひもではなくコード、ストリング、糸またはフィラメントで作ってもよい。
織り合わされた支持要素113、114の長さと幅は、多くの要因に依存し得る。織り合わされた支持要素の長さは、主にシートクッション100の周辺フレームの寸法に依存することができる。該長さは、シートクッションの輪郭付けられた周辺フレーム109にわたり、かつ体重受け面112に望ましい圧力を実現するのに役立つ輪郭の形成が含まれる調整を可能にするのに十分でなければならい。織り合わされた支持要素113、114の幅は、可変である。より多数のより狭い織り合わされた支持要素113、114を備えることにより、織り合わされた支持要素113、114になされる調整の精度を向上するができる。例えば、本開示は、1インチ幅の織り合わされた支持要素113、114を有することを意図している。より多くの織り合わされた支持要素113、114を備えることにより、使用者108に対応するための調整の数を増やすことができる。
一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素113、114は、以下の通りに周辺フレーム部材110a、110b、110c、110d上に構成される。横方向の織り合わされた支持要素113は、間隔を置いて配置され、かつ横方向周辺フレーム部材110c、110dから懸架されている。縦方向の織り合わされた支持要素114は、間隔を置いて配置され、かつ後部周辺フレーム部材110aおよび前部周辺フレーム部材110bから懸架されている。
織り合わされた支持要素113、114、313、314は、織り合わされた支持要素113、114、313、314の間に複数の空隙119が形成されるように間隔を置いて配置されてもよい。一般に織り合わされた支持要素113、114、313、314がより密接に間隔を置いて配置される場合には、複数の空隙119は、織り合わされた支持要素113、114、313、314がより広く間隔を置いて配置される場合と比べて、サイズが小さくなっている。織り合わされた支持要素113、114、313、314は、複数の空隙119のサイズが比較的に小さいように間隔を置いて配置されてもよい。一実施形態において、織り合わされた支持要素113、114、313、314は、複数の空隙119のサイズを最小にするように密接に間隔を置いて配置されている。本実施形態において、織り合わされた支持要素113、114、313、314は、ゆるく織られており、即ち、互に貼り付けられていない。
この方法で、織り合わされた支持要素113、114の「有効長」は、調整できる。この実施形態の「有効長」は、対向フレーム部材110a、110b、110c、110dにおける二つの取付けポイントの間の織り合わされた支持要素113の長さを指す。また、それは体重受け面112の一部を形成する織り合わされた支持要素113の一部を指す。織り合わされた支持要素113、114の有効長を延ばすまたは短縮することで、体重受け面112の輪郭を変更することができる。例えば、ある部分の織り合わされた支持要素113、114の有効長を延ばすまたは短縮することで、体重が体重受け面112に配置されるとき、例えば、使用者108がシートクッション100に着座するときなど、窪みを容易に形成することができる。例えば、図7に示すように、使用者108がシートクッション100に着座するとき、「骨盤陥凹」122を形成することができるように、ある部分の織り合わされた支持要素113、114を延ばすことができる。
織り合わされた支持要素313、314は、織り合わされた支持要素113、114と類似し、そして、織り合わされた支持要素113、114のすべての記載は、織り合わされた支持要素313、314にも適用し得る。主な違いは、織り合わされた支持要素113、114は、シートクッション100に使用するのに適している一方、織り合わされた支持要素313、314は、マットレス301に使用するのに適しているということである。
一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素313、314の相対的な動きを容易にするために、織り合わされた支持要素313、314は、互に貼り付けられていない。しかし、特定の場所で、織り合わされた支持要素313、314の相対的な動きを制限することは、有利であり得る。織り合わされた支持要素313、314の外面は、特定の目的を達成するために意図される摩擦係数(COF)を有することができる。
織り合わされた支持要素313、314は、長時間に渡って、かつ種々の状況において、ベッド使用者308を支えるための十分な引張弾性率を有している。マットレス300にとっては、比較的に高いより大きな引張弾性率を有する織り合わされた支持要素313、314が望ましいこともある。織り合わされた支持要素313、314(または、より一般的には織り合わされた支持要素311)は、様々な材料で作成できる。織り合わされた支持要素113、114と同様に、織り合わされた支持要素313、314は、例えば、熱さ、寒さおよび高湿気を含む様々な条件下で長期間に渡って、一貫して機能することが好ましい。ほとんどのアプリケーションについては、織り合わされた支持要素313、314はフレキシブルであるが、実質的に延伸された状態で非弾性である(または、それらの弾性は、多くの使用サイクルの過程の中で予測されるべきである)。このため、特定の使用者308のために調整または適合が完了した場合、マットレス300の構造(輪郭を含む)および性能は、比較的に長期間に渡って一貫性を保つことができる。
一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素313、314は、湿気および汚染物質に影響されない。また、低吸収性を有する織り合わされた支持要素313、314を備えることにより、織り合わされた支持要素313、314を清掃することをより容易にする。織り合わされた支持要素313、314用の好適な材料は、例えば、ポリエステル、ナイロン、Dacron(登録商標)またはKevlar(登録商標)を含むことができる。多くのアプリケーションについては、好ましい材料は、比較的高い引張弾性率、寸法安定性、かつ低吸収性を有する織ったポリエステルである。織り合わされた支持要素113、114と同様に、多くの他の種類の材料は、織り合わされた支持要素313、314に適切であり得る。ほとんどのアプリケーションにおいては、矩形形状を有する平らな織り合わされた支持要素313、314は、最も好適であり得る。
織り合わされた支持要素113、114と同様に、織り合わされた支持要素313、314の長さと幅は、多くの要因に依存し得る。その長さは、周辺フレーム309にわたり、かつ体重受け面312に望ましい圧力を実現するのに役立つ輪郭の形成が含まれる調整を可能にするのに十分であるべきである。織り合わされた支持要素313、314の「有効長」は、体重受け面312の輪郭を変更するために調整できる。例えば、図5に示すように、使用者308がマットレス300に横になるとき、織り合わされた支持要素313、314のある部分を延ばすことができ、「骨盤陥凹」322を形成することができる。
一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素313、314は、以下の通りに周辺フレーム部材310a、310b、310c、310d上に構成される。横方向の織り合わされた支持要素313は、間隔を置いて配置され、かつ横方向周辺フレーム部材310c、310dから懸架されている。縦方向の織り合わされた支持要素314は、間隔を置いて配置され、かつ後部周辺フレーム部材310aおよび前部周辺フレーム部材310bから懸架されている。
一実施形態において、幅2インチの織り合わされた支持要素313は、中心間の横方向間隔が2.25インチである状態で使用できる。幅2インチの織り合わされた支持要素314は、中心間の横方向間隔が2.25インチである状態で使用されてもよい。幅2インチの織り合わされた支持要素314は、中心間の横方向間隔が2インチである状態で使用されてもよい。この実施形態において、すべての織り合わされた支持要素の中心間の間隔は、実質的に同じである。例えば、幅39インチ、そして長さ75インチのマットレス301において、32個の横方向の織り合わされた支持要素313および16個の縦方向の織り合わされた支持要素314が使用されてもよい。もう一つの実施形態において、織り合わされた支持要素313、314は、過度の隙間を無くすために、より密接に離間されている。図3および図4は、本発明が使用されてもよい、織り合わされた支持要素の数が異なる支持面の類似した実施形態を示している。図3に示すように、12個の横方向の織り合わされた支持要素および6個の縦方向の織り合わされた支持要素が使用されている。図4の中で、9個の縦方向の織り合わされた支持要素および16個の横方向の織り合わされた支持要素が使用されている。
また、織り合わされた支持要素の材料は、比較的細く(薄く)することができ、そして、ほとんど断熱性がない。これにより、放熱が容易になる。温度上昇により、代謝を向上するができ、その結果体細胞がより多くの栄養を必要とするのみならずより多くの排せつ物も生成するので、放熱は重要であり得る。病理上または機械的に(虚血によって)血液循環が正常に機能しない場合、組織損傷率が増加し得る。
また、支持面は、優れた通気性を提供し、これにより、熱と湿気の蓄積を最小にする。たとえ軽量カバーが織り合わされた支持要素の上に配置されるとしても、織り合わされた支持要素における空隙は、周囲空気への非常に直接的なアクセスを提供する。これは、様々な種類の発泡体、ゴム、ジェル、液体および固形プラスチック等からなる、体重受け面のまわりの気流を妨げる支持面とは対照的である。支持面の隙間が空いている織り合わされた支持要素により提供された通気性は、湿気の放散を促進する。湿った皮膚は、乾いた皮膚と比べて、より損傷および劣化の傾向があり得る。
開示された支持面は、容易に維持することができる。特に織り合わされた支持要素が非吸収性であれば、織り合わされた支持要素の清掃は、容易にできる。シートクッション100またはマットレス300に配置されるカバーは、洗濯機などで別に洗濯できる。
(織り合わされた支持要素の取付具)
織り合わされた支持要素113、114は、様々な方法で周辺フレーム109に取り付けることができる。織り合わされた支持要素の取付具123は、図8に示すように、周辺フレーム部材110a、110b、110c、110dに装着することができる。一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素の取付具123は、ポスト124および意図的でない抜けを防止する保持具125を備えている。保持具125がポスト124にねじ込まれているまたは他の方法で取り付けられている。ポスト124は、織り合わされた支持要素113、114における孔121に嵌合する。或いは、ポスト124は、予め形成された孔なしで織られた織り合わされた支持要素113、114を貫通することができる。もう一つの実施形態において、織り合わされた支持要素113、114の端は、織り合わされた支持要素113、114へ戻って取り付けられる。織り合わされた支持要素313、314は、同様の方法で周辺フレーム309に取り付けることができる。
横方向の織り合わされた支持要素113と縦方向の織り合わされた支持要素114は、調整のための孔121を備える必要はない。留め具(例えばセルフタッピンねじなど)は、無孔の織り合わされた支持要素113、114を貫通するのに使用することができる。固定するための孔を備える織り合わされた支持要素は、多くの場合別々の調整間隔を有する。無孔の織り合わされた支持要素を貫通する留め具を用いることまたは支持要素を貫通しないクランプを用いることは、殆ど無限の調整間隔を可能にすることができる。
図9に示すように、織り合わされた支持要素113、114は、摩擦係合によって織り合わされた支持要素113、114を貫通することなく、シートクッションの輪郭付けられた周辺フレーム109に取り付けることができる。クランプ118は、織り合わされた支持要素113、114を周辺フレーム部材110a、110b、110c、110dに取り付けるのに用いることができる。この実施形態において、クランプ118は、ネジ126、ブロック127および内部ねじ付き開口129を有してもよい。ネジ126は、ブロック127を通って嵌合して、ねじ付き開口129と係合する。ネジ126を締め付けることによって、ブロック127を織り合わされた支持要素113、114に突き当たらせることができる。ブロック127が織り合わされた支持要素113、114に突き当たらないようにネジ126を緩めることによって、織り合わされた支持要素113、114の動きを容易にする。ネジ126、ブロック127およびねじ付き開口129は、意図的でない抜けを防止することができる。ネジ126は、織り合わされた支持要素113、114を貫通する必要がなく、例えば、織り合わされた支持要素113、114は、ネジ126の両側に位置してもよい(例えば、図14および15に示すように)。一実施形態では、フレーム部材110a、110b、110c、110dにおいてねじ付き開口129を形成することができる。もう一つの実施形態において、ねじ付きインサートは、フレーム部材110a、110b、110c、110dにおいてねじ付き開口129を提供するのに用いられることができる。クランプ118は、織り合わされた支持要素313、314を周辺フレーム309に固定するのにも用いられることができる。
多くの取付具123、クランプ118および/または体重受け面を形成する織り合わされた支持要素113、114、313、314の固定手段も可能である。バックル、スナップ、面ファスナー、ロックカム、またはクリート、別名ジャムクリート、結合、グリップまたはクランプのための他の装置を含む様々な留め具(図示せず)は、織り合わされた支持要素113、114、313、314を周辺フレーム109または周辺フレーム309に取り付けるのに用いられることができる。
横方向の織り合わされた支持要素113、313および縦方向の織り合わされた支持要素114、314は、固定のための孔121を備える必要がない。むしろ、留め具(例えばセルフタッピンねじなど)は、無孔の織り合わされた支持要素113、114、313、314を貫通するのに用いられることができる。固定するための孔を備える織り合わされた支持要素113、114、313、314は、多くの場合孔間距離と等しい別々の調整間隔を有する。無孔の織り合わされた支持要素113、114、313、314を固定する留め具を用いることは、殆ど無限の調整間隔を可能にすることができる。クランプ118は、織り合わされた支持要素113、114、313、314に対し、殆ど無限の調整間隔を可能にすることができる。シートクッション100の周辺フレーム109を参照しながら図8および9の支持要素固定構造を説明したが、これらはベッド300の周辺フレーム109にも適用し得る。
(支持面カバー)
一つの例示的な実施形態において、シートクッション100は、カバー135を備えている。そして、カバー135の一部は、図10に示されている。カバー135は、全周辺フレーム109および体重受け面112の上に嵌合してもよい。カバー135は、様々な層を有してもよい。一つの例示的な実施形態において、一つの層は、パッド136である。パッド136は、追加のクッションを提供し、車椅子使用者108からの荷重を織り合わされた支持要素113、114の間で分散する。パッド136のための一つの好適な材料は、ポリエステル網目状繊維材料である。このような材料は、フレキシブルであり、耐久性がある。このような網目状繊維の隙間は、通気を維持する。さらに、網目状繊維は、非吸収性であり得る。これにより、パッドが容易に清掃できる。また、多くの他の材料は、パッド136に用いることができる。
一つの例示的な実施形態において、外層137は、パッド136をカバーし、かつ低COFの生地からなる。これにより、外層137が、せん断力が増加するように車椅子使用者108の皮膚138を「つかまない」ことを保証する。外層137用の好適な材料は、デュポン社のLycra(登録商標)を含む。この材料は、吸収性がなくかつ清掃が容易にできる。多くの他の材料は、外層137に好適であり得る。ここで用いられる用語「シートクッション」は、シートクッションが必ずしも柔らかいことを意味しない。たとえシートクッションカバー135またはパッド136が使われるとしても、シートクッション100は、強固であり得る。好適なカバーが出願者による「異なる摩擦区域を有する支持面カバー」と題する国際出願番号PCT/US2010/031695(公開番号WO2010/123857)に開示されている。上記出願は、参照により本明細書に援用する。類似のカバーがベッド301に用いられてもよい。
(支持面の調整)
使用者108に車椅子101を適切に適合させるために、例えば、使用者108のための車椅子またはシートクッションフレームの適切な寸法を決めるのにいくつかの予備寸法を測定することができる。第1の解剖学的寸法139は、図2に示すように、仙骨部143から膝145の膝窩部144まで測定されることができる。寸法139は、使用者108が着座するとき(または横になって、臀部146と膝145がおよそ90度に曲げられるように大腿骨163と脛骨164が置かれた状態で)測定されることができる。寸法139は、シートクッション100の長さを決めるのに有用であり得る。
第2の解剖学的寸法140は、図2に示すように、仙骨部143から大転子147a、147bの前部(遠位面)まで測定されることができる。寸法140は、使用者108が着座するとき(または横になって、臀部146と膝145が90度に曲げられた状態で)測定されることができる。寸法140は、体重受け面112上の骨盤陥凹122の位置および、より具体的には、骨盤陥凹122がシートクッション100の前部103へ隆起し始めるべき場所を決めるのに有用であり得る。これは、「仙骨大転子」寸法140と呼ばれることもある。
第3解剖学的寸法141は、図3に示すように、各大転子147a、147bの横の面の間の距離であり得る。寸法141は、使用者108が着座するとき(組織が拡がる可能性があるため)測定されることができる。寸法141は、シートクッション100の幅を決めるのに有用であり得る。
第4の解剖学的寸法142は、左上前腸骨棘(ASIS)148aから右ASIS148bまで測定されることができる。寸法142は、使用者108が図3に示すように配置されるとき、測定されることができる。寸法142は、坐骨結節149a、149bの横の面の間の距離、それゆえに、シートクッション100における、骨盤陥凹122がシートクッション100の左および右側へ隆起し始めるべき場所を概算するのに有用であり得る。これは、「ASISスパン」寸法142とも呼ばれることもある。
使用者108が着座するとき、膝窩部からかかと150の底までの距離である第5の解剖学的寸法(図示せず)を有することが望ましい場合がある。このような寸法は、床130(および車椅子101の足載せ台161の位置)に対してシートクッションから床までの高さ128を推定し、そして、シートクッション100を車椅子101に取り付けるための取付け金具132の初期調整をするのに有用であり得る。さらに他の寸法は、肘(図示せず)から体重受け面112までおよび体重受け面112から頭頂部(図示せず)までの寸法を含むことができる。
特定の車椅子使用者108にとって、上記の寸法は、変更を必要とする可能性がある。例えば、車椅子使用者108は、骨盤131が非対称の可能性があり、または股関節146が脱臼している可能性がある。このような使用者108にとって、寸法を適合させる必要があり得る、または特別の寸法を測定する必要があり得る。
使用者308にベッド301を適切に適合させるために、図5に示すように、例えば、使用者308のためのマットレス300の適切な寸法を決めるのにいくつかの予備寸法を測定することができる。第1の有用な解剖学的寸法340は、使用者308の全体の身長である。この長さの寸法340は、マットレス300の長さを決めるのに有用であり得る。第2の解剖学的寸法は、仰臥位での使用者308の幅(図示せず)である。使用者が、図5に示すようにベッド301に配置される状態で、横方向の幅が通常測定される。使用者308の幅の寸法は、マットレス300の幅を決めるのに有用であり得る。第3の有用な解剖学的測定結果は、使用者308の体重(図示せず)である。使用者の体重は、ベッド301構造の要求される強度を決めるのに有用であり得る。
使用者の体重は、骨突出部により支持される際に、皮膚および皮膚の下の組織は、骨と支持面との間の非常に高い荷重圧力を受けることができる。従って、支持面の織り合わされた支持要素は、例えば太ももの下、胴の一部および臀部の脂肪質の部分などの他の領域に荷重を分散させるために調整されることができる。例えば尾骨、頭蓋骨390、肩甲骨391、仙骨392、坐骨結節149a、149b、大転子147a、147b、肘およびかかとの骨(踵骨)394などの骨突出部の近傍領域に、高い圧力荷重が負荷されることが多い。
従来の車椅子シートクッションの上では、坐骨結節149a、149bの近傍に非常に高い圧力がかけられている。ここに開示されているように、骨盤陥凹122をシートクッション100の上に最も低い高さの領域として形成するように調整した後、好ましくは骨盤陥凹122の底に近接する坐骨結節149a、149bの近傍に、圧力が著しく減少する。骨盤陥凹122の前側103に、上昇する顕著な隆起がある。骨盤陥凹122の前側103のこの隆起の目的は、二つであり得る。重力は、使用者の骨盤131および太もも155をシートクッション100で前方に滑らせることができる。この動きは、組織をせん断することができて、非常に有害であり得る。シートクッション100の全体の上への傾斜と組み合わせた、骨盤陥凹122の前側103における隆起は、この滑りを防止することができる。さらに、骨盤陥凹122の前側103における隆起は、坐骨結節149a、149bから近位大腿部領域156へ圧力をアンロード(解放)することを助け、これにより「近位大腿部支点」を生成する。特にハムストリング筋(図示せず)が萎縮した使用者108のために、骨盤陥凹122の前側103における隆起は、圧力を近位大腿部156へ移動させる。
ほとんどの車椅子使用者108にとって、体重受け面112全体は、平らで、または後方への傾斜を有しているべきである。重度の筋萎縮の使用者108にとって、骨盤陥凹122における最も低い点から最も高い点への高低差は、より大きくなり得る。シートクッション100は、特に骨盤陥凹122の前側103における顕著な隆起を形成するのに適している。横方向周辺フレーム部材110a、110b、110c、110dにおける隆起は、後部の骨の突起から近位大腿部156へ圧力を開放するために、近位大腿部156の下で安定した「シェルフ」(棚状のもの)を形成することを可能にする。体重受け面112、312は、後述の調整機構166、167、172、180、186、266、280、366および380を用いて調整できる。
図11−13は、横方向の織り合わされた支持要素113の少なくとも一部のための調整機構166および縦方向の織り合わされた支持要素114の少なくとも一部のための調整機構180を含む自動調整装置の第1実施形態を組み込んだ車椅子101を示している。また、開示された調整装置は、他の角度で配置される織り合わされた支持要素(すなわち、縦方向または横方向に配置されない支持要素)において使用されてもよいことが分かる。織り合わされた支持要素113および114は、明瞭にするために示されていない。織り合わされた支持要素113および114は、シートクッション100を形成するために、使用中に、例えばクランプ118(図9参照)などを用いて内部ねじ付き開口129を通って、周辺フレーム部材110a、110b、110cおよび110dに取り付けられる(図7参照)ことが分かる。図12は図11と類似するが、説明の明瞭のために車軸169から右の車輪を取り除いた点が異なる。
図12に示すように、調整機構166は、迅速解除留め具184で右の横方向周辺フレーム部材110cに接続されたシャシー173を含む。シャシー173は、延長部177を有している。そして、輪郭付けられた横方向周辺フレーム部材110cの周りに延びる、かつラチェット機構175まで下がる各横方向の織り合わされた支持要素113が、横方向の織り合わされた支持要素113の特定の場所で横方向周辺フレーム部材110cの輪郭に対してほぼ垂直に引っ張られるように、延長部177が角度付けられている。調整機構166は、複数の張設された調整ストラップ172を含む。そして、調整ストラップ172の各々は延長部177に取り付けられている。例示的な張設された調整ストラップは、例えば定荷重ばね装置179(図16および17を参照してより詳細に説明する)などの引張り部材(テンショナ:tensioner)に接続された市販のラチェットストラップ174を含む。他の引張り部材は、例えば、後述のコイルばね176、摩擦板271およびラップスプリング276を含む。このような引張り部材は、接続されている織り合わされた支持要素の有効長を変化させるために要求される力の大きさを制御する。
図13に示すように、調整機構180は、迅速解除留め具184で後部周辺フレーム部材110aに接続されている。調整機構180は、延長部177を有している。そして、輪郭付けられた後部周辺フレーム部材110aの周りに延びる、かつラチェット機構175まで下がる各縦方向の織り合わされた支持要素114が、縦方向の織り合わされた支持要素114の特定の場所で後部周辺フレーム部材110aの輪郭に対してほぼ垂直に引っ張られるように、延長部177が角度付けられている。調整機構266は、複数の張設された調整ストラップ172を含む。そして、各々が、延長部177に取り付けられている。例示的な張設された調整ストラップは、例えば定荷重ばね装置179などのテンション装置に接続された市販のラチェットストラップ174を含む。
図14および15は、横方向の織り合わされた支持要素113の少なくとも一部のための自動調整機構266の第2実施形態および縦方向の織り合わされた支持要素114の少なくとも一部のための自動調整機構280の第2実施形態を組み込んだ車椅子101を示している。
一つの例示的な実施形態において、横方向の織り合わされた支持要素113の必ずしも全てが、機構166、266で調整される必要がない。具体的には、シートクッション100の前部の近傍の特定の横方向の織り合わされた支持要素120は、シートクッション100の横フレーム部材110cおよび110dに固定されている。しかし、図14に示すように、横方向の織り合わされた支持要素113の他のものは、それらの端部で調整機構166、266に取り付けられている。
図示した実施形態において、調整機構266は、複数の張設された調整ストラップ172で構成されている。各張設された調整ストラップ172は、一つの例示的な実施形態において、ばね176などのテンション装置に接続された市販のラチェットストラップ174で構成されている。そして、市販のラチェットストラップ174は、車椅子101の車椅子フレーム178に順番に固定されている。もう一つの実施形態において、各織り合わされた支持要素113、114自体は、一方向機構175に嵌合し、そして、各織り合わされた支持要素113、114は、ばね176などの装置で引っ張られる。
一つの例示的な実施形態において、調整機構166、288および180、280は、周辺フレーム部材110a、110b、110cおよび100dの上の迅速解除留め具184などを用いて容易に車椅子101に取り付けることができ、そして、容易に車椅子101から解除することができる。特に好適な留め具は、イリノイ州シカゴのマックマスターカール社(McMaster−Carr of Chicago、 IL)から市販される迅速解除ピンを含む。もう一つの実施形態において、調整機構166、266および180、280は、車椅子フレーム178など車椅子101の他の部分に取り付けることができる。シートクッション100および調整機構166、180、266、280は、車椅子101のフレームと一体化する必要はない。シートクッション100および調整機構166、180、266、280は、不必要な重量を無くすために使用後取り外し可能であり得る。さらに、調整機構166、180は、他の車椅子101またはベッド300装置で再利用されることができる。調整機構166、288および180、280は、車椅子に対して例示されるが、ここの説明は、ベッド300でのそれらの使用に等しく適用できる。さらに、調整機構166、288または180、280は、延長部177が延伸するシャシーを含む必要がなく、むしろ、延長部177は、車椅子101またはベッド300自体のフレームから延伸し得る。
使用者108がシートクッション100に着座するとき、使用者の体重は、織り合わされた支持要素113、114が張設された調整ストラップ172を引っ張る原因になる。ラチェットストラップ174の一方向機構175のため、織り合わされた支持要素113、114は、延びることができ(すなわち、織り合わされた支持要素の有効長が増加する)、そして、調整された長さは自動的に維持される。各織り合わされた支持要素113、114を延ばすのに要求される力の大きさを制御するために、コイルばね176または定荷重ばね装置179などの引張り装置が設けられる。
自動調整機構166、167、172、180、186、266、280、366または380を用いる一つの例示的な方法において、使用者108、308は、シートクッション100またはマットレス301の上に着座するまたは横になる。調整機構166、167、172、180、186、266、280、366または380は、体重受け面112、312に身をゆだねる使用者の体重に応じて接続されている織り合わされた支持要素113、114、313、314の有効長を変化させる。一つの例示的な実施形態において、車椅子使用者108は、すべての着座姿勢において快適さを提供するシートクッション100の輪郭にくぼみが形成されることを保証するために、前方へ、後方へ、そして左右に寄り掛かる。所望であれば、椅子に押圧することは、使用者108が着座面における使用者の生体構造の圧力を強調するのに役立つことができる。動きを行う際に各一方向機構175は、対応する織り合わされた支持要素113、114が延びて、その長さを保持できるようにする。
シートクッション100の調整過程では、摩擦力は、横方向の織り合わされた支持要素113と縦方向の織り合わされた支持要素114との間に存在する。また、摩擦力は、織り合わされた支持要素113、114と周辺フレーム109との間に存在する。摩擦力は、調整過程に影響し得る。調整過程への摩擦力の影響を減少させるための一つの方法は、調整過程中に時々シートクッション100から使用者108の体重を取り除くことである。調整過程への摩擦力の影響を減少させるためのもう一つの方法は、調整過程中に使用者をわずかに移動させるまたは「ゆれ動かさせる」ことである。実際には、ある程度の障害を持つ使用者108でさえ、シートクッション100の誤った調整を生じさせることなく、移動するまたは「ゆれ動かす」操作を実行できる。
調整過程への摩擦力の影響を減少させるためのもう一つの方法は、機械的な振動を周辺フレーム109に加えることである。機械的な振動は、調整過程中に織り合わされた支持要素113、114がより自由に滑ることを可能にする。一実施形態において、振動機185(図11に示す)は、調整過程中に短い間隔で起動される。一つの例示的な実施形態において、振動機185は、周辺フレーム109に取り付けられる。一つの例示的な実施形態において、振動機185は、エアまたは電気を利用して動き、そして、およそ300ポンドの力に耐え得る。異なるサイズの振動機185は、使用者108の体重、織り合わされた支持要素113、114の摩擦特性および周辺フレーム109の剛性などの多くの要因によって、異なるアプリケーションのために必要であり得る。
作業者は、シートクッション100が使用者のニーズに適切に適合したことに納得した場合、各織り合わされた支持要素113、114は、例えば、図8または9を参照しながら既に説明したように、シートクッション100の周辺フレーム109に固定されることができる。その後、各織り合わされた支持要素113、114の端部は、張設された調整ストラップ172から外すことができる。織り合わされた支持要素113、114を張設された調整ストラップ172から外す一つの方法は、切断によるものである。
もう一つの実施形態において、織り合わされた支持要素113、114は、ラチェットストラップ174に取り外し可能な留め具で接続できる。いくつかの留め具としては、留め金、面ファスナー、カーテンファスナー、掛け金、フック、リベット、ネジおよびメカニカルスナップなどが考えられる。一実施形態において、ラチェットストラップ174は、一端がバーブ(鉤状毛)を形成するような形状を有し得る。そこで、バーブは織り合わされた支持要素113、114における孔に係合することができる。作業者が張設された調整ストラップ172を外したい場合、バーブを備えるラチェットストラップ174は、比較的に容易に織り合わされた支持要素113、114から外すように構成されることができる。
ラチェットストラップ174の一方向機構175は、テンション装置178に対して保持することができ、かつ緩められた織り合わされた支持要素113、114の長さを維持することによりシートクッション100の形状を保持することができるいかなるタイプの一方向装置とすることができる。好適な一方向機構175の例としては、ラチェットドラム、ラップスプリング付きドラム、ラチェットギアラックおよびスライドバックルが含まれるが、これらに限定されない。ラチェットストラップ174の一方向機構175は、好ましくは一方向における織り合わされた支持要素113、114の延伸を可能にするが、必要に応じていずれかの方向における手動修正も可能にするものである。もう一つの実施形態において、当該機構は、一方向機構ではなく、調整された長さを保持するロック付きの二方向機構である。一実施形態において、織り合わされた支持要素113、114の調整された有効長を維持するロックとしてクランプ118が使用される。
コイルばね176または定荷重ばね装置179などの引張り装置の使用は、異なる領域に対して織り合わされた支持要素張力のカスタマイズを可能にする。例えば、各ばね176、179は、特定の織り合わされた支持要素113、114に対して調整されるまたは選択されることができる。例えば骨突出部に近接する領域などの使用者の生体構造の弱い領域の下の織り合わされた支持要素に対し、より軽いバネ張力を与えてもよいが、より支えとなることができる、例えば使用者の生体構造の脂肪の多い領域などの下の織り合わされた支持要素に対し、より重いバネ張力を与えてもよい。さらに、ばね176、179は、ラチェット一方向ロックが解除された場合に、織り合わされた支持要素が容易に戻れるようにするため、シートクッション100の最良のチューニング調整を容易にする。コイルばね176および定荷重ばね装置179が例示されたが、引張り装置は、種々のばね、空圧または油圧アクチュエータ、弾性バンド、ドラッグ装置、または、織り合わされた支持要素113、114の延伸に対向する力を生成可能なほとんどすべての装置であってもよい。さらに、異なるばね定数を有するばねが選択されることができるが、システムが別々に予荷重を加えられるまたは調整される一様なばねを使用することもできる。図15に図示される実施形態において、ばね176の予荷重は、くぎ181を異なる取り付け場所183に移動することにより調整されることができる。
図16に示すもう一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素113、114の端は、回転ドラム装置186に取り付けられることができ、そして、回転ドラム装置186が調整機構166、266、180または280の延長部177に順番に取り付けられる。織り合わされた支持要素113、114は、スロット169をドラム168に係合することにより解放自在に回転ドラム168に取り付ける。ドラム168の内部にあるため視認されない定荷重ばねなどの引張り装置は、ドラム168の回転を制御するために用いられることができ、これによって、各織り合わされた支持要素113、114を延ばすのに要求される力の大きさを制御するために用いられることができる。
図17Aおよび17Bに示すもう一つの例示的な実施形態において、織り合わされた支持要素113、114は、回転ドラム装置167に取り付けられることができ、そして、回転ドラム装置167が調整機構166、266、180または280の延長部177に順番に取り付けられる。回転ドラム装置186は、回転ドラム188の回転を制御するラップスプリング276を含み得る。回転ドラム188は、軸272によってシャシー173に回動自在に取り付けられる。ラップスプリング276は、常閉型装置である。ラップスプリング276は、ソレノイド170に通電するまたは解除レバー171を押すことにより開状態とされる。閉状態において、ラップスプリング276は、回転ドラム168が一方向に回転することを可能にする。開状態において、ラップスプリング276は、回転ドラム168が双方向に回転することを可能にする。ソレノイド170は、シャシー173に取り付けられる。シャシー173は、調整機構166、266、180、280、車椅子フレーム178または周辺フレーム109、309に取り付けることができる。ソレノイド170または解除レバー171の作動は、回転ドラム188が双方向に回転する、あるいは、一方向に回転することを可能にする。
回転ドラム装置186は、摩擦板271、部分的にねじ付き軸272、ナット273および波形ばね274を含む引張り装置を含み得る。波形ばね274は、ナット273により摩擦板271に抗して圧縮される。摩擦板271は、スロット275との係合により軸272に対して回動自在に拘束される。摩擦板271は、回転ドラム168に押し付ける。織り合わされた支持要素113が延びるとき、それは回転ドラム168を回転させる。摩擦板271により回転ドラム168の上に生成された摩擦力は、回転ドラム168の動きに抵抗する。
回転ドラム装置186を用いる一つ例示的な方法において、使用者108、308は、ラップスプリング276が閉状態でシートクッション100またはマットレス301に着座するまたは横になる。この実施形態において、ラップスプリングが閉状態のとき、織り合わされた支持要素113、114、313、314が延びることができ、そして、ラップスプリングが開状態のとき、織り合わされた支持要素113、114、313、314が延びるまたは短縮することができるように、、回転ドラム装置186は構成される。使用者108、308の体重は、織り合わされた支持要素113、114、313、314を延びさせる。織り合わされた支持要素113、114、313、314の変化する有効長は、シートクッション100またはマットレス300に窪みを形成することを可能にする。作業者は、シートクッション100またはマットレス300が使用者108、308のニーズに適切に適合したことに納得した場合、各織り合わされた支持要素113、114、313、314は、上記のように周辺フレーム109、309に固定されることができる。その後、各織り合わされた支持要素113、114、313、314は、回転ドラム装置186から外すことができる。
回転ドラム装置186を用いるもう一つ例示的な方法において、使用者108、308は、ラップスプリング276が閉状態でシートクッション100またはマットレス301に着座するまたは横になる。そこで、回転ドラム装置186は、ラップスプリング276が閉状態のとき、織り合わされた支持要素113、114、313、314が短縮することのみでき、そして、ラップスプリングが開状態のとき、織り合わされた支持要素113、114、313、314が延びるまたは短縮することができるように構成される。ラップスプリング276が閉状態においては、織り合わされた支持要素113、114、313、314は延びない。このため、使用者108、308がシートクッション100またはマットレス301における位置に入り込む際に、彼(女)の動きは、織り合わされた支持要素113、114、313、314の調整を引き起こさない。一旦使用者108、308が適切に配置されると、ラップスプリング276が開状態とされるために、ソレノイド170が通電されるまたは解除レバー171が押される。一つの例示的な実施形態において、ソレノイド170の電力要件は、非常に小さく、バッテリーで満たされることができる。使用者108、308の体重は、織り合わされた支持要素113、114、313、314を延びさせる。織り合わされた支持要素113、114、313、314の変化する有効長は、シートクッション100またはマットレス301に窪みを形成することを可能にする。一つの例示的な実施形態において、回転ドラム装置186は、調整したい各織り合わされた支持要素113、114、313、314に接続される。一つの例示的な実施形態において、一度にすべての適用できる織り合わされた支持要素113、114、313、314を調整するために全ての回転ドラム装置186のそれぞれのソレノイド170が同時に通電されるように、シートクッション100またはマットレス301の全ての回転ドラム装置186は接続されている。作業者がシートクッション100またはマットレス301が使用者108、308のニーズに適切に適合したことに納得した場合、ラップスプリング276を閉じ、そして織り合わされた支持要素113、114、313、314の更なる延伸を止めるために、作業者はソレノイド170または解除レバー171を操作する。各織り合わされた支持要素113、114、313、314は、上記のように周辺フレーム109、309に固定されることができる。その後、各織り合わされた支持要素113、114、313、314は、回転ドラム装置186から外すことができる。
回転ドラム装置186は、同様の機能を維持しつつラップスプリング276以外の装置を含むことができる。例えば、回転ドラム装置186は、ドラム168が開状態で回転する、あるいは閉状態で回転しないことを可能にするロック装置を含むことができる。
一つの例示的な実施形態において、調整機構166、180、266、280は、フィードバックシステムを有する。フィードバックシステムは、多くの形態を取ることができるが、一つの例示的な実施形態において、フィードバックシステムは、接続されている織り合わされた支持要素113、114、313、314の有効長における変化に関係する可聴信号を生成する。ラチェットストラップ174は、可聴信号を生成するように構成される。織り合わされた支持要素113、114、313、314の有効長が増加する際に生成される可聴信号は、「クリック」音であってもよい。一つの例示的な実施形態において、各クリックは、約8分の1インチの織り合わされた支持要素113、114の有効長の変化に対応する。可聴信号は、ラチェットストラップ174にばね荷重を受ける爪および歯システムにより生成され、特に心地のよい可聴信号を生成するように構成される。多くの手段により、ストラップ調整に関係するフィードバックを提供することができ、特に対応する織り合わされた支持要素113、114、313、314の有効長の変化に関係する可視の測定目盛り、電子測定装置および/または便利な測定又は計測点が考えられる。このフィードバックは、迅速かつ容易に織り合わされた支持要素調整の量を決めるために用いることができる。例えば、張設された調整ストラップ172または織り合わされた支持要素113、114、313、314は、目盛りを備えることができる。
フィードバックシステムの使用の一つ例示的な方法において、使用者はシートクッション100またはマットレス301に着座するとき、織り合わされた支持要素113、114、313、314の有効長が増加し、くぼみがシートクッション100またはマットレス301の輪郭に形成される。織り合わされた支持要素113、114、313、314が延伸する際に、ラチェットストラップ174は可聴信号を提供する。ラチェットストラップ174からの可聴信号は、織り合わされた支持要素113、114、313、314の調整が生じていることを示す。可聴信号が終わるとき、シートクッション100またはマットレス301の自動調整は、終了または殆ど終了になる可能性がある。
フィードバックシステムの使用のもう一つ例示的な方法において、シートクッション100またはマットレス300の自動調整の後、作業者が更なる調整を行うまたは支持面を「微調整する」ことを所望し得る。例えば、作業者が使用者108、308の生体構造の重要な部位に近接する織り合わされた支持要素113、114、313、314を延ばすことを所望し得る。可聴信号が織り合わされた支持要素113、114、313、314の有効長の変化に関係し、例えば、三つの「クリック」は、8分の3インチの織り合わされた支持要素113、114、313、314の有効長の変化に対応することができる。クリックの数を数えることは、作業者が迅速かつ容易に織り合わされた支持要素113、114、313、314の長さの変化を知ることを可能にする。また、これらの可聴信号は、異なる織り合わされた支持要素113、114、313、314を同様の量または相対量で容易に調整することを可能にする。
可聴信号の形態のフィードバックは、種々の装置により生成されることができる。例えば、可聴信号がラチェットストラップ174、ドラム168、アクチュエータ201または202(図21に図示)、コンピューター200、一方向機構175または織り合わされた支持要素の調整に関係する他の装置により形成され得る。車椅子に加えて、可聴信号は、ベッドなどの支持面を調整する際に特に有用である。例えば、使用者308が眠る間に織り合わされた支持要素の調整が発生する場合など、可聴信号以外のフィードバックが好ましいことがある。また、頻繁に調整する場合、可聴信号が好ましくないこともある。
一つの例示的な実施形態において、横方向の織り合わされた支持要素113、313の一端が横方向周辺フレーム部材110c、110d、310c、310dに取り付けられるかまたは近接するため、横方向の織り合わされた支持要素113、313のためのただ一つの調整機構166または266が必要である。同様に、縦方向の織り合わされた支持要素114、314の一端が前部周辺フレーム部材110b、310bに取り付けられるかまたは近接することができるため、縦方向の織り合わされた支持要素114、313のためのただ一つの調整機構180または280が必要である。あるいは、縦方向の織り合わされた支持要素114の一端が後部周辺フレーム部材110a、310aに取り付けられるかまたは近接することができるため、縦方向の織り合わされた支持要素114、314のためのただ一つの調整機構180または280が必要であり得る。一つ以上の調整機構166、180、266または280が必ずしも必要とされないことを理解されたい。もう一つの実施形態において、すべての調整可能な織り合わされた支持要素113、114、313、314は、166、180、280または266に類似した単一の調整機構を使用することができる。
もう一つの例示的な実施形態において、横方向の織り合わされた支持要素113、313の両端を調整することが望ましい場合、横方向の織り合わされた支持要素113、313のための二つの調整機構166または266が使用される。同様に、縦方向の織り合わされた支持要素113、314の両端を調整することが望ましい場合、縦方向の織り合わされた支持要素114、314のための二つの調整機構180または280を使用することができる。
シートクッション100の調整における追加ステップは、シートクッション100に着座する車椅子使用者108の姿勢の総合評価を行うことを含む。これらの観察は、脊柱160の直立、背もたれ157の位置などを含み得る。もう一つのステップは、足載せ台161の高さを調整することを含む。通常、足載せ台161が下肢重量の少量部分のみを支えるように、足載せ台161は十分に低くすべきである。これにより、図2に示す近位大腿部156がそれらの重量の意図された割合を支え、かつ近位大腿部支点を形成することが保証される。
織り合わされた支持要素を備える支持面の自動調整の後、作業者が残圧ポイントをいずれについても特定することができ、そして必要に応じて織り合わされた支持要素113、114、313、314を調整することによってシートクッション100またはマットレス301を微調整することができる。圧力ポイントを特定する際に、作業者が産業で一般の圧力マッピングシステムを使用し得る。多くの例において、作業者がいくつかの織り合わされた支持要素113、114、313、314を緩めるまたは締め付ける必要があるのみであり得る。例えば、図7に示すように、圧力ポイントが第4の縦方向の織り合わされた支持要素114と第7の横方向の織り合わされた支持要素113との交差点162に識別されれば、作業者がそれらの二つの織り合わされた支持要素113、114を緩めさえすればよい。
ラチェットストラップ174は、好ましくは必要に応じて織り合わされた支持要素113、114、313、314の長さを手動修正することを可能にする。ラチェットストラップ174により、織り合わされた支持要素113、114、313、314の段階的延伸が可能になる。段階的延伸とは、延伸が離散間隔で発生することを意味する。ラチェットストラップ174は、テンション装置167、172、176、179、186に対して織り合わされた支持要素113、114、313、314を延ばすためのレバーを有する。ストラップを微調整したい作業者は、織り合わされた支持要素113、114、313、314を延ばすために、ラチェットストラップ174のレバーを使用するだけでよい。
シートクッション100またはマットレス301は、織り合わされた支持要素113、114、313、314の下側に比較的容易にアクセスすることを可能にする独特の利点がある。このアクセスにより、織り合わされた支持要素113、114、313、314のいずれかの長さまたは張力を調整すべきかどうかを判断するために、作業者が目視でまたは手で(例えば、触覚的に)体重受け面112、312の下側をチェックすることを可能にする。織り合わされた支持要素113、114、313、314を適合することは、作業者または医療専門家が容易に坐骨結節などの使用者の解剖学的特徴の一部を特定することを可能にする。
織り合わされた支持要素を備える調整可能なシートクッションは、理想的に輪郭付けられた支持面の荷重支持条件下で正確な石膏模型を作るために用いられることができる。織り合わされた支持要素を備える調整された支持面とともに用いられるCAD/CAMシステムは、他の特注の適合した支持面の生産を実質的には自動的にすることができる。
一部の人は、従来技術の支持面を製造し続けること、または、新規で斬新な支持面を製造することを望むかもしれない。織り合わされた支持要素を備える支持面が支持面として使用し得る。また、それは他の種類の支持面を迅速かつ容易に適合させることを助けるのに用いられることができる。従来技術の支持面は、しばしば非体重支持および/または非理想の条件下でとられた型から製造されて、それ自体を容易に調整できない。このため、これらの従来技術の特注の適合した支持面は、良好な適合を達成するのに型への大がかりな試行錯誤修正がしばしば要求される。理想的な支持面の輪郭に近づく手段は、従来技術の支持面を製造する難しさを低減することができて、新規で斬新な支持面の製造を可能にする。
シートクッション100またはマットレス301の底部へのアクセス、織り合わされた支持要素113、114、313、314および/または開示された調整機構を適合することは、理想的な支持面の輪郭を容易に決めることを可能にする。これらの理想的な支持面の輪郭は、体重支持条件下で決めることができる。これらの理想的な支持面の輪郭の決定は、時間がかかる修正なしで他の種類の特注の適合した支持面を作ることを可能にする。
調整された体重受け面112、312の例示的な使用は、体重受け面の輪郭に関する複数の寸法を取得することを含む。その後、これらの寸法は、同じ輪郭を有する他の支持面を作るのに用いられることができる。図18に示す一実施形態において、測定シートクッション371は、織り合わされた支持要素113、114の長さを決めるのに用いられる。図18に示されていないが、織り合わされた支持要素113、114がその上に可視の長さ目盛りを備えている。作業者が測定シートクッション371が使用者のニーズに適切に適合したことに納得したとき、織り合わされた支持要素113、114の目盛りから取った寸法を記録することができる。記録された寸法は、更なる調整なしで使用者のニーズに適合するクッション100のための織り合わされた支持要素113、114のもう一つのセットを形成するのに用いられることができる。同様のプロセスは、マットレス301のための織り合わされた支持要素313、314を製造するのに用いられることができる。
エンコーダー372は、織り合わされた支持要素113、114の長さの変化を決めるのに用いられることができる。織り合わされた支持要素113、114が延びるとき、調整機構373(調整機構は織り合わされた支持要素113、114に接続された複数の回転ドラム装置186を含む)の上にあるエンコーダー372が、対応する織り合わされた支持要素113、114の有効長の変化に関連付けられた情報を生成する。このデータは、作業者および/またはコンピューターにより容易に使用できるように機械的におよび/または電子的に提供されることができる。
一つの例示的な実施形態において、一つ以上のレーザースキャナ370は、織り合わされた支持要素を備える支持面の下において、測定シートクッション371に取り付けられる。レーザースキャナ370は、見通し線上の距離を正確に測定する。支持面の上の複数のポイントの距離測定することによって、レーザースキャナが体重を支える支持面の輪郭を正確に決めることができる。レーザースキャナの取り付け不良のために、支持面の輪郭における凹凸は測定困難を起こす可能性がある。これらの難しさは、見通し線上のみを測定する、例示的なレーザースキャナ370の能力により生じる。凹凸のために、そして、位置決めによって、レーザースキャナ370は、支持面のすべての部分を「見る」ことができない。例示的な調整された支持面のすべての必要な部分をレーザースキャナ370により見ることができるように、レーザースキャナの位置決めを慎重に考慮する必要がある。この位置決めは、当業者に評価されるであろう。一実施形態において、例示的な支持面の輪郭のすべてのポイントをスキャナにより見ることができるように、一つのレーザースキャナ370が配置される。測定のために、一つ以上のレーザースキャナ370を使用してもよいこと、または、レーザースキャナ370を複数の場所に移動することができることも想定される。レーザースキャナ370が体重支持条件下で、例えば使用者が測定シートクッション371の上にいる状態で支持面の輪郭を測定することができる。
調整機構373に取り付けられたエンコーダー372からの織り合わされた支持要素の長さのデータは、レーザースキャンデータの正確さを確認するのに用いられることができる。一実施形態において、レーザースキャナ370が織り合わされた支持要素を備える支持面の輪郭に関連付けられたデータを生成し得る。正確さのためにエンコーダー372からの織り合わされた支持要素の長さのデータをレーザースキャナ370のデータと比較することができる。この比較は、いくつかの方法によって実行され得る。一つの方法としては、調整された織り合わされた支持要素の長さの変化と、支持面の調整前後に調整された織り合わされた支持要素の概略位置に対応するのに知られている支持面の輪郭の横断面の長さの変化とを比較することである。支持面の輪郭の横断面の長さの変化は、調整前後に取得したレーザースキャナ370のデータから数学的に決定されることができる。
データは、支持面の輪郭に関連付けられたレーザースキャナまたは他のスキャナから取得されてもよい。このデータは、インターネットを介してまたは他の通信手段によって遠隔製造施設へ容易に転送されることができる。作業者および/またはコンピューターにより測定シートクッション371の寸法を使うもう一つの種類の特注の適合した支持面を形成するために容易に用いられることができるように、このデータは機械的におよび/または電子的に提供されることができる。
一つの例示的な実施形態において、CAD/CAM装置がもう一つの種類の特注の適合した支持面を迅速かつ容易に作るために使用される。もう一つの種類の特注の適合した支持面とは、支持面の輪郭データを使って製造されることからメリットを受けることができる支持面を意味する。使用者がシートクッション100または測定シートクッション371などの織り合わされた支持要素を備える支持面に着座する。織り合わされた支持要素113、114は、理想的な支持面の輪郭を実現するために調整される。圧力マットなどの圧力センサーで支持面の調整の品質を検証してもよい。エンコーダー372または他のフィードバック装置からのフィードバックは、織り合わされた支持要素113、114の長さのデータを提供する。織り合わされた支持要素を備える支持面に近接して取り付けられたレーザースキャナ370は、輪郭データを提供することができる。この輪郭データは、もう一つの種類の特注の適合した支持面をロボット製造するために、CAD/CAMシステムとともに用いられることができる。もう一つの種類の特注の適合した支持面の製造は、予め収集した輪郭データより押込み型(雄型)または受け型(雌型)を作る中間ステップを介して実行されることができる。しかし、この実施形態において、もう一つの種類の特注の適合した支持面が中間の型なしで製造される。もう一つの種類の特注の適合した支持面は、発泡体を彫るためにCNC工作機械を使ってまたは3次元支持面を編むためにコンピューター化された編み機を使ってロボット製造されることができる。いくつかの例を挙げれば、メカニカルデジタイザー、コンピューター断層撮影、磁気共鳴映像法または3次元写真撮影またはレーザースキャンなどの光学的方法、または、これらの二つ以上の組み合わせなどの支持面の輪郭を決めるための多数の装置が存在する。
一つ例示的な方法において、織り合わされた支持要素を備える支持面は、従来技術のタイプの印象型を作るために用いられることができる。使用者が織り合わされた支持要素を備える支持面に配置され、織り合わされた支持要素を備える支持面が調整され、そして、当該調整を確認することができる。複数の織り合わされた支持要素113、114の少なくとも一部の有効長が測定シートクッション371の体重受け面に身をゆだねる使用者108の体重に応じて変化した後、使用者108が測定シートクッション371の体重受け面から移動される。一つの例示的な実施形態において、石膏または繊維ガラスなどで作られている、印象型とも呼ばれる薄いキャスティング要素は、例えば、測定シートクッション371の体重受け面の上に配置される。使用者108がキャスティング要素の上に配置されて、キャスティング要素は使用者108がその上に着座する状態で硬化することができ、これにより、使用者の生体構造および理想的な体重支持条件下での体重受け面の型印象を提供する。硬化印象型は、理想的な適合を実現するための修正をほとんどまたは全く必要としない従来技術の特注の適合した支持面を成形するために用いられることができる。測定クッションの説明は、シートクッションについて言及したが、装置の開示された方法は、例えば、ベッドマットレスなどの他の支持面にも適用し得る。
図19に示す一つの例示的な実施形態において、ベッド301が調整機構366を用いる。一実施形態において、図20に示すように調整機構366が関節式ベッド232で用いられることができる。関節式ベッド232が固定フレーム331、周辺フレーム309および一つ以上のヒンジ330を有することができる。ヒンジ330は、フレーム部材310cおよび310dが可動セクションを有するように配置される。フレーム部材310cおよび310dの可動セクションは、関節式ベッド232がより多数の解剖学的位置で使用者を支えることを可能にする。関節式ベッド232は、一般にリクライニングから完全に仰向けまでの解剖学的位置で使用者を支えることを可能にする。多くの関節式ベッドは、使用者の膝が使用者の頭部に合わせて上昇できるように構成される。織り合わされた支持要素を備える支持面は、関節式ベッド232に理想的に適している。織り合わされた支持要素313、314の柔軟性は、フレーム部材310cおよび310dの可動セクションが過度な制限なしで動くことを可能にする。
一実施形態において、ベッド300、232は一つ以上の調整機構366、380を用いている。図19および20において、一部の横方向の織り合わされた支持要素313は、調整機構366を使用することが示される。調整機構366は張設された調整機構172を含む複数の個別の延長部377から構成されてもよく、または、延長部377はシャシー373に取り付けられてもよい。図20に示すように、シャシー373は、周辺フレーム309に取り付けられている。四つの横方向の織り合わされた支持要素313は、調整機構366に接続されている。もう一つの実施形態において、すべてのまたは大半の織り合わされた支持要素313、314は、調整機構366、380に接続されてもよい。調整機構366、380は、周辺フレーム309の可動セクションの動作を妨げるべきではない。調整機構366、380は、上述のテンション装置167、172、176、179または186、或いは、後述のアクチュエータ201、202を使用することができる。アクチュエータ201、202は、調整機構166、266、180、280にも使われることができる。
図21に示す一つの例示的な実施形態において、各調整機構166、180、266、280、366、380は、アクチュエータ201、202およびフィードバックシステムを含む。一つの例示的な実施形態において、アクチュエータ201、202は、ボールねじ付き電気サーボである。他の種類の好適なアクチュエータ201、202は、例えば、電気モーターまたは流体動力装置を含む。フィードバックシステムは、圧力マット204などの圧力検知装置を含む。圧力マット204は、車椅子およびベッドの領域において支持面における圧力を検知するために一般に使われる装置である。一実施形態において、コンピューター200は、織り合わされた支持要素313、314に接続された一連のアクチュエータ201、202を制御することによって、接続されている織り合わされた支持要素の有効長の変化を指令する。コンピューター200は、調整中に圧力マット204から一つ以上の入力信号203を受信する。一つの例示的な実施形態において、電気サーボアクチュエータ201、202は、位置信号をコンピューター200に送信する。コンピューター200は、検知された圧力が理想的でない領域における織り合わされた支持要素313、314の長さを調整するように、調整中にアクチュエータ201、202を指令する一つ以上の出力信号205をアクチュエータ201、202に送信する。アクチュエータ201、202は、使用者がマットレス301の上に配置された状態で織り合わされた支持要素313、314を調整することができる。装置および方法がマットレス301を参照して説明されたが、それらはシートクッション100などの他の支持面にも適用し得る。圧力を読み取る、かつ、織り合わされた支持要素113、114、313、314を調整する一連の反復を通して、支持面100、301を最適化にすることができる。
一実施形態において、反復法がより理想的な支持面の輪郭を実現するのに用いられることができる。第1のステップでは、コンピューター200は、圧力マット204から入力信号203を受信する。通常は、圧力マット204がマットレス300と使用者308との間に配置される。入力信号203は、圧力に関連付けられる。コンピューター200は、圧力が許容できるかどうかを判断するために圧力入力信号203を値のテーブルと比較する。圧力が許容できなければ、コンピューター200は、一つ以上のアクチュエータ201、202に出力信号205を送信する。出力信号205に応じて、アクチュエータ201、202が織り合わされた支持要素313、314に対して調整を行う。通常、過度の圧力荷重の織り合わされた支持要素313、314の交差領域が延ばされるまたは緩められる。極端に低い圧力の織り合わされた支持要素313、314の交差領域が短縮されるまたは締め付けられることができる。アクチュエータ201、202が織り合わされた支持要素313、314に対する調整を行った後、コンピューター200が第1のステップに戻る。同様に、作業者は、圧力マット204からの圧力情報の全部または一部に基づいて手動で織り合わされた支持要素313、314を調整してもよい。マットレス301の調整の頻度は、患者の運動可能性および個人的な好みなどの多くの要因に依存する。
一実施形態において、使用者308が位置または向きを変えるとき、マットレス301を調整することができる。フィードバックセンサーは、使用者308が位置または向きを変える時点を決めるために用いられることができる。このフィードバックセンサーは、コンピューター200に入力信号を送信する。この入力信号は、多くの異なるソースから獲得することができる。使用者の308位置または向きを決めるために、使用者308に取り付けられる一つ以上の磁石が、磁界センサーと相互作用する。一つ以上のカメラ、レーザー、力または圧力センサーは、使用者308の位置または向きを決めるために用いられることができる。位置または向きが変わるとき、使用者308または介護者が信号をコンピューター200に送信するためにスイッチを操作することができる。コンピューター200は使用者308が位置または向きを変えたという入力信号を受信したとき、マットレス301の調整を実行してもよい。
もう一つの実施形態において、一つ以上の予め決められたマットレス300支持面の輪郭は、コンピューター200によって検索可能であってもよい。これらの輪郭は、使用者308の解剖学的位置決めに関連付けられてもよい。使用者308は、解剖学的位置を変えたとき、関連した入力信号がコンピューター200に送信される。この入力信号に応じて、コンピューター200は、予め決められた支持面の輪郭を検索する。コンピューター200は、アクチュエータ201、202に出力信号205を送信する。アクチュエータ201、202は、コンピューター200により検索された予め決められた輪郭と同じような表面輪郭を形成するように、織り合わされた支持要素313、314を調整する。一実施形態において、うつぶせに横たわる使用者308は仰向けの位置に寝返るようにしてもよい。使用者308が仰向けに横たわることを示す入力信号は、コンピューター200に送信されることができる。それから、コンピューター200は、仰向けになっている使用者308に有用であると予め決められた支持面を検索してもよい。コンピューター200は、アクチュエータ201、202に出力信号205を送信する。アクチュエータ201、202は、仰向けになっている使用者に有用であると予め決められた表面輪郭と同じような表面輪郭を形成するために、織り合わされた支持要素313、314を調整する。
フィードバックは、多くの異なる種類のセンサーから生成することができる。通常、入力信号は、患者の位置、サイズ、形または質量に関連付けられている。使用者位置または向きセンサーは、理想的に輪郭付けられた体重受け面の実現に必ずしも必要がない。コンピューター200は、圧力マット、患者または介護者の入力、位置センサー、ビデオカメラ、レーザー、力センサーまたは圧力センサーからの一つ以上の入力信号を使用し得る。また、コンピューター200は、アクチュエータ201、202から入力信号206を受信してもよい。アクチュエータ201、202からの入力信号206は、織り合わされた支持要素313、314に関連付けられた長さ、位置または張力などの情報を含む。他の種類の有用なフィードバックセンサーは、当業者に評価されるであろう。
織り合わされた支持要素の調整が自動的に実行され、かつコンピューターが使われる場合には、作業者または介護者は実際の装置に対して離れて位置することができる。調整は、例えばインターネットを通してまたは他の通信手段を介して遠く離れてコンピューターを用いる介護者または作業者によって遠隔で実行され得る。
時々または頻繁なマットレス301の調整により、使用者を皮膚の損傷から保護することが望ましい。一実施形態において、コンピューター200は、一つ以上のアクチュエータ201、202を介してマットレス300の調整を制御する。所望領域における一部の織り合わされた支持要素113、114を延ばすかつ他の織り合わされた支持要素を締め付けることによりマットレス301が調整される。使用者の体の一部に低圧力荷重を形成するように、所望領域における織り合わされた支持要素313、314が延ばされる。時間の経過と共に使用者の体のすべての部分が、一定の期間に低圧力荷重を受けるように、一連の支持面調整を通して低圧力荷重を受ける使用者の体の部分を変えることができる。マットレス301に対する一連の調整により、皮膚損傷につながる可能性のある一定の期間に、使用者の体には過度の圧力荷重を受ける領域がないことを保証することができる。上記の調整過程は、終日繰り返されることができる。
アクチュエータ201、202を用いるマットレス301の自動調整は、関節式ベッドの場合において特に有用である。前記実施形態と同様に、一つ以上のアクチュエータを用いて関節式ベッドの織り合わされた支持要素313、314を調整することができる。一実施形態において、アクチュエータ201、202は、織り合わされた支持要素313、314の有効長を変えることができる、線形的に可変差動トランス型フィードバック装置付き空圧サーボである。そこで、各織り合わされた支持要素313、314の張力は約300ポンド未満である。アクチュエータの負荷容量は、通常調整中の織り合わされた支持要素の張力の最大値よりも大きくすべきである。負荷容量は、安全または他の理由のために必要とされ得る。関節式ベッドの場合には、アクチュエータは、通常はフレーム部材310cおよび310dの可動セクションの動作を妨げないように、周辺フレーム309に取り付けられる。
開示された調整機構を用いて、作業者が専門知識を有することを要求することなく、織り合わされた支持要素を備える支持面を使用者に容易に、正確にかつ迅速に適合することができる。これは、印象を採取し、印象から模型を作製し、そして模型を使ってシートクッションを成形することを要求する従来の特注製造および適合技術より多くの利点をもたらす。この後も、高価なオーダーメイドの従来技術のシートクッションは、良好な適合、快適さおよび安全のために、使用者のニーズを満たすための修正が依然として必要になることがある。開示された調整機構は、使用者の実際の車椅子シートクッションを調整することができるし、またあるいは、もう一つの種類の支持面を作ることに役立つ理想的な支持面の輪郭を決めることができる。
開示された調整機構は、マットレス301またはシートクッション101の体重受け面を特有の生体構造を有する多くの異なる使用者108、308の特定の輪郭に個別仕様で成形すること可能にする。例えば、マットレスまたはシートクッションは、窪み、安定した表面などを形成するために効果的に用いられることができる。これは、体の形に適合することができ、かつ、骨の突起の近傍の組織から圧力およびせん断力を開放することができる体重受け面の形成において重要であり得る。
織り合わされた支持要素が取り付けられる実質的に剛性の周辺フレーム、実質的に非弾性の織り合わされた支持要素、および織り合わされた支持要素を強固に保持する織り合わされた支持要素の取付具のすべては、安定して一貫した体重受け面に寄与することができる。体重受け面の形状を持続させることができることを保証することができる。多くの支持面、例えば流体または空気で満たされた部分を有するものなどは、漏れまたは気圧変化により圧力が失われる。一方、開示された支持面は、非常に安定した体重受け面を長期に渡って提供することができる。
本開示の要旨を、いくつかの実施形態を参照して記載してきたが、当業者であれば、本開示の要旨を逸脱しない範囲で形状および細部において変更を行うことができることが理解されるであろう。これに加えて、一つの実施形態に関する開示された特徴のいずれかは、もう一つの実施形態に取り入れられ得る。そして、逆も同様である。例えば、シートクッションに言及しているすべての説明は、ベッドにも適用し得る。そして、ベッドに言及しているすべての説明は、シートクッションにも適用し得る。さらに、主に車椅子シートクッションまたはベッドマットレスを参照して実施形態を記載してきたが、ここに記載された教示は、他の支持面(例えば、パイロットシート、オフィス椅子、スポーツシートおよびボートシートを含むが、これに限定されない)にも適用し得る。