JP2014513304A - 分子または物質の特性を改変する方法およびデバイス - Google Patents

分子または物質の特性を改変する方法およびデバイス Download PDF

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Abstract

本発明は、分子または物質の特性を改変する方法およびデバイスに関する。1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変する方法であって、前記分子、生体分子、または物質(2)における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造(1)をもたらす工程と、前記分子(単一もしくは複数)、生体分子(単一もしくは複数)、または物質(2)を上記のタイプの構造内または構造上に配置する工程を主に含むことを特徴とする方法。
【選択図】図5b

Description

本発明は、光子交換による物質の状態または種類の変換または改変の分野に関し、具体的には、分子または物質、さらに詳細には、有機分子または物質に関し、前記分子または物質の遷移に関する。
本発明は、さらに詳細には、好ましくは制御した形で、分子または物質、生体分子または生体物質の特定の物理的・化学的特徴または特性を改変できる方法およびデバイスに関する。
光子の交換により、電磁場が量子系と相互作用できることが広く知られている。この相互作用が、デコヒーレンス効果を克服するほど十分に強力である場合、新たなハイブリッド光の物質状態を形成できる。
図1aおよび1bに示されているように、実際、(いずれの散逸過程よりも速い光子交換速度による)光子の迅速な交換を通じて、物質は、周囲の電磁場とのいわゆる「強結合」状態になることができ、これにより、ラビ分裂エネルギーによって分離された2つの新たな固有状態が形成される。
強結合は、原子、半導体、および量子によって、広く研究されてきたとともに、物理学、特に、ポラリトンのボース・アインシュタイン凝縮、レージング、量子情報処理のような分野において、大きな可能性をもたらす(具体的には、本明細書の最後に示されている参照文献番号1〜18を参照されたい)。
しかしながらその一方で、有機分子との強結合により、その大きい遷移双極子モーメントのおかげで、桁外れに大きい真空ラビ分裂(数百meV)が得られるにもかかわらず(本明細書の最後に示されている参照文献番号19〜27を参照されたい)、これらの考察事項の分子科学および物質科学の分野への応用は、これまで考察されてこなかったし、研究されてもこなかった。
一方、いずれの補足成分、物質、または媒体も加えることなく、作用剤またはデバイスによって、特異的に干渉することなく、圧力、温度、濃度などのような通常の状態または反応パラメーターを改変することなく、単に、局所的な環境または状態を改変することによって、化学反応、より一般的には、分子、生体分子、および物質の化学的および物理化学的特性に影響を及ぼし、これらを制御し、かつ調査することに対する強くかつ絶え間ない要望が以前から、当該科学分野のみならず、化学、生化学、および物質の産業分野からもあるとともに、現在も存在する。
本発明者らは予想外かつ驚くべきことに、反応経路をつかさどるエネルギーランドスケープを真空場に強く結合させることによって、化学反応に実際に影響を及ぼすことができること、具体的には、特定の分子物質を真空電磁場と強く結合させることによって、仕事関数および反応性を変えられることを発見した。
すなわち、本発明の主な目的は、1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変する方法であって、
前記分子、生体分子、または物質における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造をもたらす工程と、
前記分子(単一もしくは複数)、生体分子(単一もしくは複数)、または物質を上記のタイプの構造内または構造上に配置する工程と、
を主に含むことを特徴とする方法に関する。
典型的には、本発明の方法は、前記反射またはフォトニック構造を含む機能デバイスに適用する。
好ましくは、電磁的モードのQ値(共鳴波長を共鳴半値幅で除した比率)が少なくとも10、最も好ましくは少なくとも30以上になるように、本発明の方法の作業環境および条件を設定する。
2つの異なる物理的実現に関連する本発明の2つの代替的実施形態によれば、電磁的モードは、表面プラズモンモードまたはキャビティモードのいずれかであることができる。
本発明者らが発見した、下に説明されている発見を鑑みると、分子または物質は、キャビティまたはプラズモン構造とともに、新たなエネルギー準位、すなわち独自の異なる特性を有する単一体として考えるのが適当であるようである。
本発明の方法の実際の実施態様の性質に応じて、分子、生体分子、または物質における当該遷移は、電子遷移、振動遷移、または核スピン遷移である。
典型的には、反射構造は、単一の金属フィルム、または2つの対向する金属フィルムから作ることができる。
本発明の方法の考え得る具体的用途に従って、前記のうちの後者は、局所的な電磁真空場に結合させ、その結果、分子、生体分子、または物質のエネルギー準位が再配列されたことを利用することを通じて、前記反応の基準またはパラメーター(反応させようとしている分子、生体分子、物質の反応性、反応のキネティクス、反応の速度および/または収率、反応の熱力学)の少なくとも1つに影響を及ぼすことによって、化学反応を制御することからなってよい。
この代わりに、またはこれに加えて、本発明の方法は、分子、生体分子、または物質の仕事関数の値を調整するか、または動的に制御することからなってもよい。
したがって、本発明は、その電磁環境との共鳴相互作用によって、すなわち、分子物質を真空電磁場と強く結合させて、大きく異なるエネルギーを有するハイブリッド光の物質の状態を形成させることによって、仕事関数を調整する新たなアプローチを提案する。
下記のさらに詳細な説明と併せて説明および示されているように、仕事関数の変化は、プラズモン構造およびファブリー・ペロー共鳴構造の両方によって生じ、結合は真空場との結合なので、仕事関数の変化は暗黒下でも生じる。
実際、光のない状態でも、キャビティにおける真空(電磁)場への結合により、残留分裂が常に存在する。
さらに、本発明の方法が、表面に対して角度依存的であり、それによりユニークな機能性をもたらし得るという追加の特性を有することに本発明者らは留意している。
すなわち、前記方法は、分散的なフォトニック共鳴モードをもたらすことと、仕事関数の角度依存性を用いて、前記分子、生体分子、または物質における遷移を制御するか、モニタリングするか、もしくは影響を及ぼすか、および/または、前記遷移の結果、具体的には環境におけるその発現を選択的に利用するか、もしくはモデリングすることからなってもよい。
本発明は、1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変できるデバイスであって、前記分子、生体分子、または物質(単一もしくは複数)における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造を含み、前記構造が密閉されているか、または開放されていることを特徴とするデバイスも包含する。
前記デバイスは、電子デバイス、光学デバイス、発電デバイス、または発光デバイス、具体的には、有機または分子発光デバイスのうちの1つであってよい。
本発明のデバイスはさらに、上記のQ値、および関係し得る遷移に関して、特徴を示す。
本発明によれば、反射またはフォトニック構造は、プラズモン構造、表面プラズモンモードである電磁的モードを含んでも、光学マイクロキャビティ、好ましくはファブリー・ペローキャビティ、キャビティモードである電磁的モードからなってもよく、前記構造は好ましくは、1つの金属フィルム、または2つの対向する金属フィルムで作られている。
当該用途に応じて、反射構造は、サンドイッチ構造内に2つの金属製電極または2つの誘電体ミラーを含んでもよく、前記電極またはミラー間の距離を調節して、前記構造内に配列された分子、生体分子、または物質における電子遷移と共鳴させる。
本発明のデバイスの具体的な実施態様に関して、前記のうちの後者は、NMR分光器または画像装置のサンプルホルダーまたはサンプルホルダーの一部であってよく、前記デバイスの反射構造は、解析または検出対象の核スピン遷移(単一または複数)と共鳴する電磁的モードを有する。
さらに、本発明は、少なくとも1つの電子的、光学的、磁気的、または化学的機能を実行できるとともに、そのように意図されている機械または装置であって、上記の少なくとも1つのデバイスを含み、前記デバイスが上記の方法を行うように設計されている機械または装置も含む。
以下では、非限定的な実施例によって、かつ添付の概略図と関連させて、本発明をさらに説明していく。
キャビティモードhωと共鳴する分子のHOMO−LUMO(S−S)遷移の相互作用を示す簡易化エネルギーランドスケープを示す図である。分子遷移とキャビティとの間のエネルギー交換が、エネルギー損失に比べて迅速である場合、強結合によって、ラビ分裂エネルギーhΩによって分離された2つのハイブリッド光の物質(ポラリトニック)状態|P+〉および|P−〉が形成される(結合系|0の基底準位の絶対エネルギーも強結合によって改変し得ることに留意されたい)。 キャビティモードhωと共鳴する分子のHOMO−LUMO(S−S)遷移の相互作用を示す簡易化エネルギーランドスケープを示す図である。分子遷移とキャビティとの間のエネルギー交換が、エネルギー損失に比べて迅速である場合、強結合によって、ラビ分裂エネルギーhΩによって分離された2つのハイブリッド光の物質(ポラリトニック)状態|P+〉および|P−〉が形成される(結合系|0の基底準位の絶対エネルギーも強結合によって改変し得ることに留意されたい)。 図2aは、スピロピラン(SPI)およびメロシアニン(MC)の分子構造を示す図である。図2bは、基底状態および第1励起状態における2つの異性体をつなぐエネルギーランドスケープの概略図であり、κEXおよびκEX’は光励起の速度であり、その他は内部経路の速度であり、例えば、κは、MC〜MCの非放射および放射緩和速度の合計を表す。明確にするために、振動サブレベルは含まれていない。図2cは、PMMAフィルムにおけるSPI(黒)およびMC(赤)の基底状態吸収スペクトルを示す図である。図2dは、キャビティの構造を示す図である(キャビティおよび非結合測定は、同じフィルム上で同時に行ったことに留意されたい)。図2eは、基底状態および第1励起状態における2つの異性体をつなぐエネルギーランドスケープの概略図であり、強結合によりMCの状態が改変され、ラビ分裂hΩによって分離されたポラリトン状態|P+〉および|P−〉が出現している。図2fは、PMMAにおけるSPI(黒)と、結合系(図2dに示されている緑の構造)の基底状態吸収スペクトル(サンプルの透過率Tおよび反射率Rを測定することによって、利用可能な波長域で実験的に割り出した)を示す図である(Abs=1−T−R)。 図3aは、330nmにおける照射時間の関数としての、キャビティにおける結合系の透過スペクトルを示す図であり、スペクトルで見られるように、Agフィルムは透明域を有する(SPI−MC光反応が進展するのに応じて、約560nmにおける初期ファブリー・ペローモード(黒色曲線)が2つの新たなモードに分裂することに留意されたい)。図3bは、図2dに示されている構成で、裸分子(赤)および結合系(緑)について測定したMC吸収度(すなわち濃度)の成長のキネティクスを示す図である。換言すれば、2つのミラーを含むキャビティ系と同じサンプル上で、1つのミラーを介して非結合分子に照射した。負の対数プロットは、In([MC]−[MC]t)とtについてとったものである。560nmにおけるMC吸収度を正確に合致させるようにキャビティ共鳴を調整するこのケースでは、速度の差は、強結合の程度とともに大きくなる。図3cは、対照的に、いずれの角度でも、キャビティモードと560nmにおけるMC吸収度との間に共鳴が存在しないようにキャビティ厚を調整する場合、キャビティの内側または外側で光異性化速度に差はない。 図4a〜図4cは、結合系の過渡スペクトルとキネティクスを示す図である。図4aは、裸分子フィルムおよびキャビティ系について、異なる結合強度において、560nmにおける150fsのポンプパルスの直後に記録した過渡スペクトルを示す図である。矢印は、裸分子の吸収ピーク(一番上の曲線)、各結合強度におけるキャビティの線形透過ピークの位置を示す。低い方のプラリトンの吸収波長における明白なブリーチングは、高い方の励起状態までの吸収断面積が、基底状態の|P−〉までの吸収断面積よりも低い一方で、上方ポラリトンが吸収する波長では、これが逆になる(式3)ことを反映しているだけであることに留意されたい。図4bは、示されている様々な波長において励起後に記録した、最大結合強度における過渡スペクトルを示す図であり、挿入されているのは、キャビティがない場合との比較における、同じ波長における減衰キネティクスを示す図である。図4cは、励起強度の関数としての過渡スペクトルを示す図である。 本発明による共鳴構造の2つの異なる実施形態、さらに詳細には、金属開口アレイ(図5a)およびファブリー・ペローキャビティ(図5b)としての実施形態を示す図である。 本発明による共鳴構造の2つの異なる実施形態、さらに詳細には、金属開口アレイ(図5a)およびファブリー・ペローキャビティ(図5b)としての実施形態を示す図である。 図5aまたは5bの共鳴構造の上または中に配置した調査サンプルの仕事関数を抽出するのに用いた分析的なPFM設定を概略的に示す図である。 図7aおよび図7bは、開口アレイを有するAgフィルムと、表面にSPIがコーティングされたPMMAフィルムのAFM画像およびKPFM画像をそれぞれ示す図である(図7aのZ範囲=100nm、図7bのZ範囲=200meV)。 図8aは、図7aおよび7bのサンプルにおける、波長に応じた吸収遷移比率の変化を示す図である。図8bは、2つの異性体における、周期の値に対する仕事関数の変化を示す図である。図8cは、周期の値に応じたΔWFinおよびΔWFoutの変化を示す図である。 図9aは、波長に応じた吸収遷移速度の変化を示す図である。図9bは、暗黒下およびUV照射下における時間に応じたΔWF(またはΔΦobs)の変化を示す図である。 図1aおよび1bと同様の概略図であり、強結合の共鳴NMR周波数の結果を示している。 可変共鳴キャビティにおけるコバルトサンプルの周波数に応じた透過速度を示す図である。
上記のとおり、本発明は、1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変する方法に関する。
前記方法は、
前記分子、生体分子、または物質2における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造1をもたらす工程と、
前記分子(単一もしくは複数)、生体分子(単一もしくは複数)、または物質2を上記のタイプの構造内または構造上に配置する工程と、
を主に含むことを特徴とする。
本発明は、1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変できるデバイスにも関する。
前記デバイスは、前記分子、生体分子、または物質2における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造1を含み、前記構造1が密閉されているか、または開放されていることを特徴とする。
以下では、各種の非限定的な実施態様と関連させて本発明の原理の仕組みを示すいくつかの実例的な実施例を説明していく。
まず、散逸のない状態では、キャビティモードと共鳴する二準位系において、2つの新たなハイブリッド光の物質状態の間のラビ分裂エネルギーhΩ(図1)が、キャビティの電場振幅Eと遷移双極子モーメントdとの積によって求められることを記憶にとどめなければならない(参照文献13を参照されたい)。
Figure 2014513304
式中、hωはキャビティ共鳴または遷移エネルギーであり、εは真空誘電率であり、vはモード体積であり、nphはキャビティ内の光子数である。見て分かるように、nphがゼロになっても、真空場との相互作用により、ラビ分裂hΩRvについては有限値が残る。この分裂自体は、キャビティ内の分子数の平方根
Figure 2014513304
に比例し(参照文献13および14を参照されたい)、ひいては、例えば、表面プラズモンと強く結合した分子のケースで実験的に観察されているように(参照文献25を参照されたい)、hΩRvが、濃度の平方根(
Figure 2014513304
)に比例することが暗に示されている。
真空場への強結合による化学的ランドスケープの改変の例を実際的に例示するために、本発明者らは、モデル系として、強結合を促進するための遷移双極子モーメントd(式(1))を有する1つの形態をもたらすフォトクロムを選択した。また、関連する化学反応は、拡散による複雑な事態を回避するために、単分子である。このフォトクロミック分子は、スピロピラン(SPI)誘導体の1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール](光励起の後に開裂してメロシアニン(MC)を形成する(図2a))である。後者の共役伸長により、可視波長に強い吸収が生じる(図2c、赤色曲線)。光化学的に、または熱的手段により、逆の反応を実現できる。このフォトクロムの簡易的なポテンシャルエネルギー面は、図2bに概略的に示されている。ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)フィルム内のSPI形態の吸収スペクトルは図2cに示されている。330nmでの照射により、SPIは、MC形態に光異性化し、MC形態の吸収度(λmax=560nm、赤色曲線、図2c)は、光定常状態に達するまで増大する。
共鳴キャビティ構造1を形成するために、図2dに示されているように、フォトクロム2を含むPMMAフィルムを2つのAgミラー3および3’の間に挟み、薄いポリ(ビニルアルコール)(PVA)フィルムによって、Agに直接接触しないように隔離した。第1のAgミラーはガラス基板上に堆積したが、その化学系のいずれの考え得る摂動も回避するために、第2のミラーは、直接PMMAフィルム上にスパッタリングも蒸着もしなかったことに留意されたい。代わりに、一番上のAgフィルムをポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)の別のブロックの上に堆積してから、サンプルに移し、フォトクロムをマイクロキャビティ内に有効に封入した。
より正確には、サンプルは以下のように調製した。一番下のAg層を石英スライド上にスパッタリングした。続いて、PVAをスピンキャスティングし(1重量%水溶液、3000rpm)、続いて、PMMAにSPIを含め(1重量%のPMMAおよび1重量%のSPI、トルエン中、2200rpm)てから、第2のPVA層を加えた。一番上のAgフィルムをPDMSの上に蒸着し、PVA層に押し付けて、キャビティを形成させた。この構造を10分、35℃で加熱すると、PDMSを剥離させ、Ag層をPVAに結合させることができた。定常状態照射を10―3ミリバールの圧力で行って、フォトクロムの光酸化を回避した。照射パワー密度は約1mW/cmで、異性化速度が励起強度と線形にスケーリングされるようにし、キャビティ構造内での蓄熱によるいずれの作用も除外した。分光器Acton SpectraPro 300iとCCDカメラ(Roper Scientific)に接続した島津製分光光度計UV−3101またはニコン製顕微鏡TE−200のいずれかで、スペクトルを記録した。光パラメトリック増幅器(TOPAS、Light Conversion)をポンピングするチタンサファイア増幅器(Spitfire Pro、Spectra−Physics)からの150fsのパルスを用いて過渡分光法を行って、ポンププローブセットアップ(Helios、Ultrafast Systems)のための可変励起波長を得た。
このキャビティ構造の透過スペクトルは、そのプラズマ周波数に対応する銀の透明域による326nmのピークと、基本的なファブリー・ペローキャビティモード(PVA/PMMA/PVA総厚130nmにおいては約560nmで生じる)という2つの特徴によって特徴付けられる(これらのキャビティ透過特徴は、図3aの黒色曲線で見ることができる)。したがって、ファブリー・ペローモードはMCの吸収と共鳴する。330nmでのキャビティへのUV照射により、隔離されたPMMAフィルムのケースと同様に、MCが形成される。
MCがキャビティ内の真空場に強く結合すると、その結果、ハイブリッド状態(またはポラリトン)が形成されることは、吸収の2つの新たなピークへの分裂によって証明されている(図2fの緑色曲線)。簡潔に言うと、光定常状態では、MC種の約80%が強く結合し、真空ラビ分裂は700meVの程度である(図2f、参照文献41も参照されたい)。換言すれば、新たなハイブリッド状態|P+〉および|P−〉は、非結合MCの遷移エネルギー(2.2eV)に対して、±350meVで吸収を有する。このラビ分裂は、その系をプロービングするのに用いた光子に起因するのではなく、結合分子のスペクトルが、それを記録するために用いた弱い光度と無関係であることからわかるように、真空場のみによるものであることに留意されたい。
以下では、キャビティ内外の光異性化キネティクスを分析する。詳細な光異性化メカニズム(図2bに概略が簡易的に示されている)は、その複雑性から、文献において依然として論議中であり、三重項マニホルドを含め、いくつかの中間体の異性体を伴うことが報告されており、本明細書では、まとめて単一種Iとして示す(参照文献28〜32を参照されたい)。しかしその一方で、反応は、溶液中で、観察された1次キネティクスで進展する。図2bの簡易化された反応図から、総括1次反応メカニズム(κobs)も予測される(κobsは、下記の各種個別の光誘起工程の量子収量の複合関数である。
Figure 2014513304
式中、
Figure 2014513304
および
Figure 2014513304
である。
この速度方程式では、中間体SPI、I、およびMCは定常状態であり、約330nmにおけるその2つの種の等吸収点での照射によって簡易化されていると仮定されている。このモデルの実験条件下における光定常(PS)濃度比は、下記の式により求められる。
Figure 2014513304
ポリマーマトリクスにおいては、内部異性化プロセスは、そのポリマーの不均一なセグメント運動とのコンボリューションの結果、指数関数的挙動から逸脱することによってさらに複雑化される(参照文献32を参照されたい)。330nmのUV照射中のPMMAマトリクス内(ただしキャビティ外)におけるMCの運動エネルギーの蓄積は、実際に、ログスケールでプロットしたところ、線形性からの逸脱を示している(図3bの赤い点)。また、図3aでは、キャビティ構造の透過スペクトルを介して、同じ反応の進展が示されている。MC濃度が上昇すると、ファブリー・ペローモードが低減および分裂される。転送マトリクスシミュレーションを用いて、時間の関数としての透過スペクトルにより、各時点におけるMCの吸収度を計算可能になる。このデータは図3bにおいて、裸分子フィルムのデータの上に重ね合わせてあり、開放構造およびキャビティのポリマー層に当てた330nmの光の異なる強度が若干補正されている(後者のケースの方が約20%高い)。2つの系について測定した速度は、初期には同じぐらいであるが、反応が進展すると、観察される光異性化速度は、キャビティ構造の方が有意に遅くなることは明らかである(図3b)。この遅延は、強結合状態の開始と、ハイブリッド光の物質状態の形成に対応する。分裂が大きいほど、反応全体が、初期速度の端数に達するのが遅くなる。キャビティを貫通するUV光の強度を一定に保つこと(330nm周辺のスペクトルの不変性により確保される)に我々は重点を置いている。したがって、速度の変化は、単純な光学的効果に起因し得ない。光定常状態における上記の種の最終濃度も改変され、キャビティにおけるMC収量を約10%増大させる。さらに、MC吸収遷移と(あらゆる角度で)共鳴外となるようにキャビティが設計されている場合に、キャビティ外のフィルムと比べて、速度が変化しないことを確認した(図3c)。
系が強結合状態に入ると、SPI−MCの光異性化速度が遅延することは、図2eおよび式(2)におけるエネルギーランドスケープの変化と完全に一致している。上方にある|P+〉状態は、迅速に|P−〉まで減衰し、ひいては、非結合励起状態MCよりも低くなることにより、基底状態への回復を促すことになる(図2eにおける、パス(2)を越えたパス(1))。観察されるように、速度κおよびκの対応する変化により、(式(2)のκ/(κ+κ)の項の低下を通じて)光異性化のκobsが低下し、結合MCの光定常濃度が上昇することになる(式(3)においてκ/κが上昇する)。
図1および2に示されている強結合による反応ポテンシャルの改変では、励起状態エネルギー準位の分裂が強調されているが、この改変は、系全体で感じられ、おそらく基底状態も含むエネルギー準位を並べ替えることに留意しなければならない。このケースが該当する場合、光−物質のハイブリッド状態の形成は、SPIとMCとの間の光異性化速度のみならず、基底状態エネルギーランドスケープにおけるMCのSPIへの熱変換も変化させる。このような超強力な結合状態の理論的考察によっても、基底状態エネルギーの改変が予測される(参照文献11および12を参照されたい)。しかしその一方で、熱戻り反応の慎重な分析では、実験誤差を越えた、いずれの速度変化も明らかにならなかった。
この光化学的事象のさらなる洞察を得るために、過度微分吸収分光器(ポンプ−プローブ)実験を結合系で行い、非結合分子のものと比較した。この技法は、その系の最小摂動による非常に小さい吸収度変化を検出することによって、励起状態をプロービングする利点とともに、時間分解蛍光法と対照的に、非放射緩和プロセスを検出する能力も有する。図4aは、様々な結合強度における150fsのポンプパルス(560nm)の直後の過渡スペクトルを示している。見てわかるように、過渡スペクトルはいずれも、非結合分子のものと大きく異なっている。これらのスペクトルを理解するために、過度微分吸収ΔΑ(λ)は下記の式(4)によって求められることは覚えておく価値がある(参照文献33を参照されたい)。
Figure 2014513304
式中、σ(λ)は励起状態吸収断面積(cm)であり、σ(λ)は基底状態吸収断面積であり、σSΕ(λ)は励起状態の誘導放出断面積であり、κは、モル吸光係数を断面積に関連付ける定数(2.63×1020−1cm)であり、d(cm)は路長またはフィルムの厚みである。
スペクトルは、過渡状態が基底状態よりも吸収する正のピークと、式(4)における第2および/または第3の項が優越する波長における負のピークの両方を含む。これらの項の結合系のスペクトルへの寄与は、2つの方向の結合強度に左右される。真空ラビ分裂が増大すると、結合系の光物理的特性は徐々に改変されるが、同時に、結合分子の割合も増大する。換言すれば、このような無秩序な分子系では、結合状態(ポラリトン)と非結合(非コヒーレント)状態の両方が共存し(参照文献6および7を参照されたい)、いずれも、ポンプパルスによって励起され、それにより過渡スペクトルに寄与する。最大結合強度では、過渡吸収スペクトルは結合系によって占められる。これは、図4bに示されているように、結合系がより強く吸収する波長への励起の変化によって確認できる。基底状態において、670nmで直接|P−〉吸収バンドに励起させることによって、過渡スペクトルはごくわずかに改変される。また、これにより、結合系の記録された過渡スペクトルは本質的に、|P−〉と基底状態との間の微分吸収であることが示されている。換言すれば、|P+〉状態は存在が短すぎて、150fsの分解能の装置では検出できない。分子では、励起状態が低いほど、存在期間が長くなるのが一般的である。これにより、仮にそうなった場合、典型的には蛍光は|P−〉からのみ観察される(参照文献21を参照されたい)。最後に、過渡スペクトルの形がポンプ強度に対して不変であること、微分吸収度が線形に増大すること(図4c)も確認し、それにより、シグナルが、励起状態へのモノフォトニック遷移によることが示された。ラビ分裂が実際に、真空場への結合によって定められることも確認する。
非結合(裸)分子は、過渡実験において少量の誘導放出を示し、芳香族系有機分子の特色である、最低励起状態からの自発蛍光も行う。強結合系は(自発または誘導)放出を示さなかったが、これも、光物理的ダイナミクスの有意な変化を示している。過渡スペクトルのキネティクスも強結合によって改変される(図4bの挿入図)。励起された非結合MCの減衰キネティクスは、他のfs研究に一致して、単指数関数ではなく(参照文献30を参照されたい)、上で論議したように、いくつかの中間体の異性体の関与およびマトリクス不均一性によるものである。第1の半減期は約30psである一方で、結合系の半減期は10psまで短縮する(図4bの挿入図)。キャビティ内部の|P−〉の存続期間のこの短縮は、上で論じたような定常状態照射実験の結果と全体的に一致する。
真空場への結合による分子エネルギー準位の再配列は、分子および物質科学において重要な結果を数多く有する。示されているように、この再配列を用いて、化学エネルギーランドスケープ、ひいては、反応速度および収率を改変できる。全体的エネルギーランドスケープに対する比エネルギー準位の再編成に応じて、強結合は、反応を速めるか、遅延させるかのいずれかを行うことができる。反応の速度および熱力学のいずれも、改変されることになる。分子がその電子構造を保持し、光の集中により速度が高められる強い場における光化学的反応としての現象と、真空場状態における強結合による反応の改変を混同しないことが重要である。半古典的アプローチを用いて、強結合系におけるスペクトルの形とラビ分裂を予測できるが、不連続状態の存続期間、それらのダイナミクス、および相互関係を説明できない。これにより、場の量子性を引き出す必要がある。
ここでは電子遷移に対して結合を行ったが、上に示したとともに、下に例示するように、例えば、結合の反応性を改変するために、特定の振動遷移に対しても結合を行うことができた。このように、エネルギーランドスケープを改変することによって、反応速度を変える触媒と類似したものであることがわかる。あらゆる化学反応同様、この効果は、高い濃度の方が有利であるが、別の理由で、単に衝突頻度のみならず、エネルギーランドスケープを改変する。ハイブリッド状態の形成により、自由エネルギー準位が変化するので、原理上、その系のイオン化ポテンシャルと電子親和力を改変することになる。酸化還元反応が影響を受けるのみならず、結合物質の仕事関数も改変される。真空揺らぎへの強結合による仕事関数の微調整は、デバイス設計および性能にとって、例えば、有機発光ダイオード、太陽光発電、および分子電子工学のケースにおいて、非常に重要な要素を示している。当該出願との関連では、強結合は、本発明で用いるファブリー・ペロー構成に限定されないことに留意するのが重要である。十分に鋭い共鳴をもたらすいずれのフォトニック構造も使用することができる。遷移双極子モーメントの大きい分子物質を用いる場合、特に、金属マイクロキャビティ、または金属開口アレイに発生する密閉表面プラズモン共鳴のケースのように、モード体積が小さい場合には、強結合をもたらすには低品質の共鳴器でも十分である(参照文献19〜27を参照されたい)。このような「開放」プラズモン構造は、さらなる特徴づけ、およびより複雑な機能性に対する関連性のために、より容易に利用することができる。
化学反応ランドスケープおよび物質特性を改変するためのキャビティ真空場をもたらすことにより、化学者は、有用な反応に影響を及ぼすためのまったく新しいツールを手にするとともに、物質科学および分子デバイスに対して重要な意味をもたらす。
本発明者らが行った、本発明の考え得る用途の第2の実施例は、後述のように、強結合を介して仕事関数を調整する可能性に関するものである。
当業者に知られているように、固体から電子を真空中に取り出すのに必要なエネルギーであり、多くの用途において重要である基本的な特性である仕事関数によって、すべての物質は特徴付けられる。例えば、有機トランジスタおよび太陽電池のような電子デバイスは、それらの固有の仕事関数に従って慎重に選択した数組の金属電極を有するように設計されることになる(参照文献34〜38を参照されたい)。仕事関数をさらに、インターフェイスの化学的改変によって調節して、上記のようなデバイスの性能を最適化できる(参照文献39および40を参照されたい)。
本発明は、分子物質を真空電磁場と強く結合させることによって、局所的な電磁環境との共鳴相互作用を実現させる状態を提供することによって、仕事関数を調整する新たな方法を提案する。
物質および分子科学における強結合の第1の特徴は、その集合的な性質である。分子物質では、各分子のラビ分裂は、光学モード内の分子濃度の平方根によって定められ、最大で700meVの値が報告されており(参照文献41を参照されたい)、化学的反応性を改変することが示されてきた(上記の例を参照されたい)。数ミクロン離れた分子は、同じモードに強く結合すると、コヒーレントに発光することになる(参照文献42を参照されたい)。
式(1)に起因する他の特徴(上述)は、暗黒下でも、フォトニック構造を介した物質の真空場との相互作用が非常に強力であり得、その系のエネルギー準位の大規模な再編成をもたらす点である。
その結果、その集合体の物質特性も変化する。例えば、図1bに示されているように、電子親和力E、および程度は小さいがイオン化ポテンシャルIが、仕事関数Φとともに改変されることになる。本明細書では、Φは、高濃度ドープポリマーの一次近似としての、最大の占有状態と最小の非占有状態との中間であると仮定されていることに留意されたい。
これらの特徴の実際の用途を例示するとともに、本発明の原理を立証するために、図5aおよび5bに示されているように、フォトクロムスピロピラン(SPI)でドープしたポリマーフィルムを2つの異なる共鳴構造1(金属開口アレイおよびファブリー・ペローキャビティ)に結合させた。
着色形態のフォトクロム(図2a)、メロシアニン(MC)の第1遷移(560nm)をこれらの構造と強く結合させて、桁外れに大きい真空ラビ分裂をもたらすことができる(参照文献41を参照されたい)ことを本発明者らは確立した。さらに、非着色形態にUV照射を行って結合の程度を調節して[MC]を制御し、それによりhΩを制御することができる(hΩ
Figure 2014513304
に比例するため)。ケルビンプローブ原子間力顕微鏡(KPFM)(参照文献43および44を参照されたい)(図6に概略が示されているように、この技術は、表面形態と表面電位を同時にマッピングする)を用いて、サンプルの仕事関数を抽出した。
集束イオンビーム(FIB)を用いて、厚さ200nmのAgフィルム内に、異なる周期を有する一連の開口アレイをミリングした。続いて、SPI(密度約10%)を含むPMMAフィルム(厚さ150nm)をその表面にスピンコーティングした。このようなサンプルのAFM画像は図7aに、対応するKPFM画像(図7b)とともに示されている。光学顕微鏡法によって、このアレイの透過スペクトルを記録したところ、表面プラズモンモードと関連する典型的な異常透過ピークを示した(参照文献45および25を参照されたい)(図8aの黒色曲線)。続いて、サンプルに365nmで照射し、MCを発生させた。(1,0)表面プラズモンモードが560nmのMCピークと共鳴すると(周期P=250nm)、分裂が生じる(このケースでは、600meVで最大に達する(強結合の典型的な特徴である)(図8aの赤色曲線))。周期が増大し、表面プラズモンモードがMC遷移からデチューンされると、強結合が消失する(参照文献41)。
続いて、UV照射の前後に、同じ一連の周期について仕事関数を測定した(SPI異性体を有する、照射前のサンプルはリファレンスとして機能した)。
図8bに示されているように、2つの異性体間の仕事関数の観察された変化ΔΦobsは、表面プラズモンモードがMC遷移と共鳴したとき(P=250nm)、すなわち、系が最も強く結合したときに最大である。しかしその一方で、ΔΦobs(P=250nmにおいて125meV)は、仕事関数の真のシフトΔΦ=Φ−Φscの過小評価である。これは、アレイの表面プラズモンモードが角分散を有し(参照文献45および25を参照されたい)、プローブが広立体角で平均され、それにより、ΔΦの真の値が不明瞭になるためである。開口アレイサンプルでは、必要な空間分解能を有するように、非常に小さいプローブ(半径数nm)を用いた。この特定のKPFM探針の幾何形状と、分散の角度応答関数を考慮に入れた簡単な計算によって、ΔΦobsに関するこの平均プロセスを確認する(図8c)。
ΔΦの絶対値に近づけるために、異なる幾何形状を選択した。まず、MCと共鳴するファブリー・ペロー(FP)構造を調製し、それらのキャビティが、さらに小さい角分散を有するようにした。第2に、さらに大きいプローブ(直径2mm)を用いて、KPFM測定を可能にする大きい面積にわたって、それらのFPを作製し、それにより、FP表面の法線に対してなす角度以外の角度からの寄与を有意に低減した。図9aに分光的に示されているように、最低MC吸収遷移(560nm)がFPのλモードに強く結合するように、FPキャビティを調製した。対応するラビ分裂は650meVである。フォトクロムの光異性化のキネティクスから予測されるとおり、UV照射時、ΔΦobsは、時間とともに進展する(図9b)。仕事関数の観察される最大変化は、このサンプルの幾何形状における方がかなり大きく、175meVの値に達する。コントロールとして、同じ厚みであるが、PMMAポリマーのみを有するサンプルは、照射時に変化を示さなかった(図9bの緑色曲線)。さらに重要なコントロールは、キャビティ共鳴がMC吸収からデチューンされるので強結合を起こすことのできないような厚みのSPIドープPMMA層からなるオフレゾナンスサンプルである。照射時、このオフレゾナンスサンプルでは、Φが若干(数十meV)低下し、MCが形成された。したがって、オンレゾナンスとオフレゾナンスとの間のΦの観察された総シフトは、約200meVである。
ラビ分裂がエネルギー準位の再分配に及ぼす効果を考えると(図lb)、基底状態エネルギー準位がシフトしない場合、一次近似において、仕事関数の絶対的変化ΔΦ=Φ−Φsc〜1/4hΩが予測される。したがって、200meVのΔΦobsは、hΩ=650meVの分裂の最大値に近いと見られる。系がいわゆる超強結合状態にある(hΩがMC遷移エネルギーの30%である)とすると、結合系の基底状態エネルギーも改変することが可能である。これはさらに、最も単純な考察から推測される、1/4hΩを超えるΦを変化させることになる。
すでに知られているように(参照文献39および40を参照されたい)、強結合によって誘発される仕事関数の変化は、化学的改変によって実現される変化よりも小さい。しかしその一方で、所望の値に容易に微調整できるという利点を有し、この利点は、多くの用途にとって本質的に重要である。これは特に、トランジスタ、発光デバイス、および太陽電池のような有機デバイスに当てはまる。フォトクロムおよびエレクトロクロムのような機能分子を用いる場合には、動的に制御することもできる。
強結合は、分散的なフォトニック共鳴を伴う場合、角度依存的である。その結果、仕事関数も角度依存的であり、特定の用途で有用であり得るデバイスを構築することが可能である。例えば、熱電子放射をエンジニアリングして、特定の角度で生じるようにできる。
実際に実現するためには、強結合を通じた仕事関数の調節は、非常に容易である必要がある。例えば、サンドイッチ構造における2つの金属性電極または誘電体ミラー間の距離を調節して、物質における電子遷移と共鳴できる。
あるいは、プラズモン共鳴は、上記のように、非分散的な局所モードまたは非局所モードのいずれかとともに用いることができる。強結合を用いて、エネルギー準位の変更を通じて、物質、電子、または光電子の他の特性を同時に調整することもできる。
最後に、上記の強結合のこの非光学的観察により、光がなくても、新たなハイブリッド状態の形成により、強結合物質が基本的に改変されることを確認する。
以下では、NMRの分野に関して、かつ図10および11と関連させて、本発明の原理の考え得る用途の第3の実施例を説明する。
核磁気共鳴(NMR)の分野では、図10に示されているように、磁場(B≠0)が、核の2つのスピン状態、例えばαおよびβ間の縮退を解くことは一般的な知識である。続いて、周波数ωNMRを有する電磁波がαとβとの間の遷移をプロービングする((磁気)共鳴)。
NMR周波数が高いほど、その装置のシグナルノイズ比が大きくなり、スペクトル分解能が高くなる。
NMR周波数は、印加磁場Bに正比例する。問題は、磁場の増大により、コストがさらに速く増大する点である。したがって、高周波数NMR装置は非常に高価である。
本発明に従って、磁場の増大なしに共鳴周波数を向上させることにより、この問題への解決策を提案する。実際、強結合の原理をNMRに用いることによって、図10に示されているように、ラビ周波数hΩによって、遷移を分裂させ、最大遷移周波数をラビ分裂の半分分改変して、ωscを得ることができる。
実用的な実例として、コバルトサンプルを可変共鳴キャビティ内に配置した。Coは、それ自体が内部磁場をもたらし、その結果、約213MHzでNMR遷移を有する。2種類の測定(透過率および反射率)を行い、スペクトル感度を測定し、コバルトサンプルのNMR共鳴にわたり、キャビティ共鳴をスイープする。インピーダンスの不整合が高いため、大半のシグナルはキャビティから反射される。(空の)共鳴器の初期Q値を測定したところ、約1000であったが、サンプルを共鳴器(反射構造)内に配置すると、コバルトの喪失により、約50まで低下する。
図11で見られるように、正の離調においてピークの小さな分裂と、透過率ピークの急激な上昇が存在する(共鳴幅の若干の拡大を伴う)。これは明らかに、コバルトのスピン遷移(NMR遷移)のキャビティ共鳴への強結合によるものである。
NMR遷移との強結合がさらに改善および最適化されれば、その系が、超強結合状態(ラビ分裂が遷移の30〜40%である状態)になると予想されることは、当業者は容易に分かるであろう。このようなケースでは、NMR周波数は15〜20%上昇する。例えば、装置が元々、700MHzで動作する場合には、強結合により、800〜850MHzに移動する。加えて、本発明の特徴は、NMR装置へのキャビティ構造の導入しか必要としないので、実施がかなり容易である。
下記の文献は、参照文献として上で言及されており(下記のそれぞれの参照番号とともに引用されている)、その内容は、本明細書の該当する主題と関連して、参照により、本明細書に組み込まれる。
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当然ながら、本発明は、本明細書に記載および表示されている好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱しなければ、変更したり、均等物を用いたりすることができる。
本発明は、光子交換による物質の状態または種類の変換または改変の分野に関し、具体的には、分子または物質、さらに詳細には、有機分子または物質に関し、前記分子または物質の遷移に関する。
本発明は、さらに詳細には、好ましくは制御した形で、分子または物質、生体分子または生体物質の特定の物理的・化学的特徴または特性を改変できる方法およびデバイスに関する。
光子の交換により、電磁場が量子系と相互作用できることが広く知られている。この相互作用が、デコヒーレンス効果を克服するほど十分に強力である場合、新たなハイブリッド光の物質状態を形成できる。
図1aおよび1bに示されているように、実際、(いずれの散逸過程よりも速い光子交換速度による)光子の迅速な交換を通じて、物質は、周囲の電磁場とのいわゆる「強結合」状態になることができ、これにより、ラビ分裂エネルギーによって分離された2つの新たな固有状態が形成される。
強結合は、原子、半導体、および量子によって、広く研究されてきたとともに、物理学、特に、ポラリトンのボース・アインシュタイン凝縮、レージング、量子情報処理のような分野において、大きな可能性をもたらす(具体的には、本明細書の最後に示されている参照文献番号1〜18を参照されたい)。
しかしながらその一方で、有機分子との強結合により、その大きい遷移双極子モーメントのおかげで、桁外れに大きい真空ラビ分裂(数百meV)が得られるにもかかわらず(本明細書の最後に示されている参照文献番号19〜27を参照されたい)、これらの考察事項の分子科学および物質科学の分野への応用は、これまで考察されてこなかったし、研究されてもこなかった。
一方、いずれの補足成分、物質、または媒体も加えることなく、作用剤またはデバイスによって、特異的に干渉することなく、圧力、温度、濃度などのような通常の状態または反応パラメーターを改変することなく、単に、局所的な環境または状態を改変することによって、化学反応、より一般的には、分子、生体分子、および物質の化学的および物理化学的特性に影響を及ぼし、これらを制御し、かつ調査することに対する強くかつ絶え間ない要望が以前から、当該科学分野のみならず、化学、生化学、および物質の産業分野からもあるとともに、現在も存在する。
本発明者らは予想外かつ驚くべきことに、反応経路をつかさどるエネルギーランドスケープを真空場に強く結合させることによって、化学反応に実際に影響を及ぼすことができること、具体的には、特定の分子物質を真空電磁場と強く結合させることによって、仕事関数および反応性を変えられることを発見した。
すなわち、本発明の主な目的は、1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変する方法であって、
前記分子、生体分子、または物質における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造をもたらす工程と、
前記分子(単一もしくは複数)、生体分子(単一もしくは複数)、または物質を上記のタイプの構造内または構造上に配置する工程と、
を主に含むことを特徴とする方法に関する。
典型的には、本発明の方法は、前記反射またはフォトニック構造を含む機能デバイスに適用する。
好ましくは、電磁的モードのQ値(共鳴波長を共鳴半値幅で除した比率)が少なくとも10、最も好ましくは少なくとも30以上になるように、本発明の方法の作業環境および条件を設定する。
2つの異なる物理的実現に関連する本発明の2つの代替的実施形態によれば、電磁的モードは、表面プラズモンモードまたはキャビティモードのいずれかであることができる。
本発明者らが発見した、下に説明されている発見を鑑みると、分子または物質は、キャビティまたはプラズモン構造とともに、新たなエネルギー準位、すなわち独自の異なる特性を有する単一体として考えるのが適当であるようである。
本発明の方法の実際の実施態様の性質に応じて、分子、生体分子、または物質における当該遷移は、電子遷移、振動遷移、または核スピン遷移である。
典型的には、反射構造は、単一の金属フィルム、または2つの対向する金属フィルムから作ることができる。
本発明の方法の考え得る具体的用途に従って、前記のうちの後者は、局所的な電磁真空場に結合させ、その結果、分子、生体分子、または物質のエネルギー準位が再配列されたことを利用することを通じて、前記反応の基準またはパラメーター(反応させようとしている分子、生体分子、物質の反応性、反応のキネティクス、反応の速度および/または収率、反応の熱力学)の少なくとも1つに影響を及ぼすことによって、化学反応を制御することからなってよい。
この代わりに、またはこれに加えて、本発明の方法は、分子、生体分子、または物質の仕事関数の値を調整するか、または動的に制御することからなってもよい。
したがって、本発明は、その電磁環境との共鳴相互作用によって、すなわち、分子物質を真空電磁場と強く結合させて、大きく異なるエネルギーを有するハイブリッド光の物質の状態を形成させることによって、仕事関数を調整する新たなアプローチを提案する。
下記のさらに詳細な説明と併せて説明および示されているように、仕事関数の変化は、プラズモン構造およびファブリー・ペロー共鳴構造の両方によって生じ、結合は真空場との結合なので、仕事関数の変化は暗黒下でも生じる。
実際、光のない状態でも、キャビティにおける真空(電磁)場への結合により、残留分裂が常に存在する。
さらに、本発明の方法が、表面に対して角度依存的であり、それによりユニークな機能性をもたらし得るという追加の特性を有することに本発明者らは留意している。
すなわち、前記方法は、分散的なフォトニック共鳴モードをもたらすことと、仕事関数の角度依存性を用いて、前記分子、生体分子、または物質における遷移を制御するか、モニタリングするか、もしくは影響を及ぼすか、および/または、前記遷移の結果、具体的には環境におけるその発現を選択的に利用するか、もしくはモデリングすることからなってもよい。
本発明は、1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変できるデバイスであって、前記分子、生体分子、または物質(単一もしくは複数)における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造を含み、前記構造が密閉されているか、または開放されていることを特徴とするデバイスも包含する。
前記デバイスは、電子デバイス、光学デバイス、発電デバイス、または発光デバイス、具体的には、有機または分子発光デバイスのうちの1つであってよい。
本発明のデバイスはさらに、上記のQ値、および関係し得る遷移に関して、特徴を示す。
本発明によれば、反射またはフォトニック構造は、プラズモン構造、表面プラズモンモードである電磁的モードを含んでも、光学マイクロキャビティ、好ましくはファブリー・ペローキャビティ、キャビティモードである電磁的モードからなってもよく、前記構造は好ましくは、1つの金属フィルム、または2つの対向する金属フィルムで作られている。
当該用途に応じて、反射構造は、サンドイッチ構造内に2つの金属製電極または2つの誘電体ミラーを含んでもよく、前記電極またはミラー間の距離を調節して、前記構造内に配列された分子、生体分子、または物質における電子遷移と共鳴させる。
本発明のデバイスの具体的な実施態様に関して、前記のうちの後者は、NMR分光器または画像装置のサンプルホルダーまたはサンプルホルダーの一部であってよく、前記デバイスの反射構造は、解析または検出対象の核スピン遷移(単一または複数)と共鳴する電磁的モードを有する。
さらに、本発明は、少なくとも1つの電子的、光学的、磁気的、または化学的機能を実行できるとともに、そのように意図されている機械または装置であって、上記の少なくとも1つのデバイスを含み、前記デバイスが上記の方法を行うように設計されている機械または装置も含む。
以下では、非限定的な実施例によって、かつ添付の概略図と関連させて、本発明をさらに説明していく。
キャビティモードhωと共鳴する分子のHOMO−LUMO(S−S)遷移の相互作用を示す簡易化エネルギーランドスケープを示す図である。分子遷移とキャビティとの間のエネルギー交換が、エネルギー損失に比べて迅速である場合、強結合によって、ラビ分裂エネルギーhΩによって分離された2つのハイブリッド光の物質(ポラリトニック)状態|P+〉および|P−〉が形成される(結合系|0の基底準位の絶対エネルギーも強結合によって改変し得ることに留意されたい)。 キャビティモードhωと共鳴する分子のHOMO−LUMO(S−S)遷移の相互作用を示す簡易化エネルギーランドスケープを示す図である。分子遷移とキャビティとの間のエネルギー交換が、エネルギー損失に比べて迅速である場合、強結合によって、ラビ分裂エネルギーhΩによって分離された2つのハイブリッド光の物質(ポラリトニック)状態|P+〉および|P−〉が形成される(結合系|0の基底準位の絶対エネルギーも強結合によって改変し得ることに留意されたい)。 図2aは、スピロピラン(SPI)およびメロシアニン(MC)の分子構造を示す図である。図2bは、基底状態および第1励起状態における2つの異性体をつなぐエネルギーランドスケープの概略図であり、κEXおよびκEX’は光励起の速度であり、その他は内部経路の速度であり、例えば、κは、MC〜MCの非放射および放射緩和速度の合計を表す。明確にするために、振動サブレベルは含まれていない。図2cは、PMMAフィルムにおけるSPI(黒)およびMC(赤)の基底状態吸収スペクトルを示す図である。図2dは、キャビティの構造を示す図である(キャビティおよび非結合測定は、同じフィルム上で同時に行ったことに留意されたい)。図2eは、基底状態および第1励起状態における2つの異性体をつなぐエネルギーランドスケープの概略図であり、強結合によりMCの状態が改変され、ラビ分裂hΩによって分離されたポラリトン状態|P+〉および|P−〉が出現している。図2fは、PMMAにおけるSPI(黒)と、結合系(図2dに示されている緑の構造)の基底状態吸収スペクトル(サンプルの透過率Tおよび反射率Rを測定することによって、利用可能な波長域で実験的に割り出した)を示す図である(Abs=1−T−R)。 図3aは、330nmにおける照射時間の関数としての、キャビティにおける結合系の透過スペクトルを示す図であり、スペクトルで見られるように、Agフィルムは透明域を有する(SPI−MC光反応が進展するのに応じて、約560nmにおける初期ファブリー・ペローモード(黒色曲線)が2つの新たなモードに分裂することに留意されたい)。図3bは、図2dに示されている構成で、裸分子(赤)および結合系(緑)について測定したMC吸収度(すなわち濃度)の成長のキネティクスを示す図である。換言すれば、2つのミラーを含むキャビティ系と同じサンプル上で、1つのミラーを介して非結合分子に照射した。負の対数プロットは、In([MC]−[MC]t)とtについてとったものである。560nmにおけるMC吸収度を正確に合致させるようにキャビティ共鳴を調整するこのケースでは、速度の差は、強結合の程度とともに大きくなる。図3cは、対照的に、いずれの角度でも、キャビティモードと560nmにおけるMC吸収度との間に共鳴が存在しないようにキャビティ厚を調整する場合、キャビティの内側または外側で光異性化速度に差はない。 図4a〜図4cは、結合系の過渡スペクトルとキネティクスを示す図である。図4aは、裸分子フィルムおよびキャビティ系について、異なる結合強度において、560nmにおける150fsのポンプパルスの直後に記録した過渡スペクトルを示す図である。矢印は、裸分子の吸収ピーク(一番上の曲線)、各結合強度におけるキャビティの線形透過ピークの位置を示す。低い方のプラリトンの吸収波長における明白なブリーチングは、高い方の励起状態までの吸収断面積が、基底状態の|P−〉までの吸収断面積よりも低い一方で、上方ポラリトンが吸収する波長では、これが逆になる(式3)ことを反映しているだけであることに留意されたい。図4bは、示されている様々な波長において励起後に記録した、最大結合強度における過渡スペクトルを示す図であり、挿入されているのは、キャビティがない場合との比較における、同じ波長における減衰キネティクスを示す図である。図4cは、励起強度の関数としての過渡スペクトルを示す図である。 本発明による共鳴構造の2つの異なる実施形態、さらに詳細には、金属開口アレイ(図5a)およびファブリー・ペローキャビティ(図5b)としての実施形態を示す図である。 本発明による共鳴構造の2つの異なる実施形態、さらに詳細には、金属開口アレイ(図5a)およびファブリー・ペローキャビティ(図5b)としての実施形態を示す図である。 図5aまたは5bの共鳴構造の上または中に配置した調査サンプルの仕事関数を抽出するのに用いた分析的なPFM設定を概略的に示す図である。 図7aおよび図7bは、開口アレイを有するAgフィルムと、表面にSPIがコーティングされたPMMAフィルムのAFM画像およびKPFM画像をそれぞれ示す図である(図7aのZ範囲=100nm、図7bのZ範囲=200meV)。 図8aは、図7aおよび7bのサンプルにおける、波長に応じた吸収遷移比率の変化を示す図である。図8bは、2つの異性体における、周期の値に対する仕事関数の変化を示す図である。図8cは、周期の値に応じたΔWFinおよびΔWFoutの変化を示す図である。 図9aは、波長に応じた吸収遷移速度の変化を示す図である。図9bは、暗黒下およびUV照射下における時間に応じたΔWF(またはΔΦobs)の変化を示す図である。 図1aおよび1bと同様の概略図であり、強結合の共鳴NMR周波数の結果を示している。 可変共鳴キャビティにおけるコバルトサンプルの周波数に応じた透過速度を示す図である。
上記のとおり、本発明は、1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変する方法に関する。
前記方法は、
前記分子、生体分子、または物質2における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造1をもたらす工程と、
前記分子(単一もしくは複数)、生体分子(単一もしくは複数)、または物質2を上記のタイプの構造内または構造上に配置する工程と、
を主に含むことを特徴とする。
本発明は、1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変できるデバイスにも関する。
前記デバイスは、前記分子、生体分子、または物質2における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造1を含み、前記構造1が密閉されているか、または開放されていることを特徴とする。
以下では、各種の非限定的な実施態様と関連させて本発明の原理の仕組みを示すいくつかの実例的な実施例を説明していく。
まず、散逸のない状態では、キャビティモードと共鳴する二準位系において、2つの新たなハイブリッド光の物質状態の間のラビ分裂エネルギーhΩ(図1)が、キャビティの電場振幅Eと遷移双極子モーメントdとの積によって求められることを記憶にとどめなければならない(参照文献13を参照されたい)。
Figure 2014513304
式中、hωはキャビティ共鳴または遷移エネルギーであり、εは真空誘電率であり、vはモード体積であり、nphはキャビティ内の光子数である。見て分かるように、nphがゼロになっても、真空場との相互作用により、ラビ分裂hΩRvについては有限値が残る。この分裂自体は、キャビティ内の分子数の平方根
Figure 2014513304
に比例し(参照文献13および14を参照されたい)、ひいては、例えば、表面プラズモンと強く結合した分子のケースで実験的に観察されているように(参照文献25を参照されたい)、hΩRvが、濃度の平方根(
Figure 2014513304
)に比例することが暗に示されている。
真空場への強結合による化学的ランドスケープの改変の例を実際的に例示するために、本発明者らは、モデル系として、強結合を促進するための遷移双極子モーメントd(式(1))を有する1つの形態をもたらすフォトクロムを選択した。また、関連する化学反応は、拡散による複雑な事態を回避するために、単分子である。このフォトクロミック分子は、スピロピラン(SPI)誘導体の1’,3’−ジヒドロ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール](光励起の後に開裂してメロシアニン(MC)を形成する(図2a))である。後者の共役伸長により、可視波長に強い吸収が生じる(図2c、赤色曲線)。光化学的に、または熱的手段により、逆の反応を実現できる。このフォトクロムの簡易的なポテンシャルエネルギー面は、図2bに概略的に示されている。ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)フィルム内のSPI形態の吸収スペクトルは図2cに示されている。330nmでの照射により、SPIは、MC形態に光異性化し、MC形態の吸収度(λmax=560nm、赤色曲線、図2c)は、光定常状態に達するまで増大する。
共鳴キャビティ構造1を形成するために、図2dに示されているように、フォトクロム2を含むPMMAフィルムを2つのAgミラー3および3’の間に挟み、薄いポリ(ビニルアルコール)(PVA)フィルムによって、Agに直接接触しないように隔離した。第1のAgミラーはガラス基板上に堆積したが、その化学系のいずれの考え得る摂動も回避するために、第2のミラーは、直接PMMAフィルム上にスパッタリングも蒸着もしなかったことに留意されたい。代わりに、一番上のAgフィルムをポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)の別のブロックの上に堆積してから、サンプルに移し、フォトクロムをマイクロキャビティ内に有効に封入した。
より正確には、サンプルは以下のように調製した。一番下のAg層を石英スライド上にスパッタリングした。続いて、PVAをスピンキャスティングし(1重量%水溶液、3000rpm)、続いて、PMMAにSPIを含め(1重量%のPMMAおよび1重量%のSPI、トルエン中、2200rpm)てから、第2のPVA層を加えた。一番上のAgフィルムをPDMSの上に蒸着し、PVA層に押し付けて、キャビティを形成させた。この構造を10分、35℃で加熱すると、PDMSを剥離させ、Ag層をPVAに結合させることができた。定常状態照射を10―3ミリバールの圧力で行って、フォトクロムの光酸化を回避した。照射パワー密度は約1mW/cmで、異性化速度が励起強度と線形にスケーリングされるようにし、キャビティ構造内での蓄熱によるいずれの作用も除外した。分光器Acton SpectraPro 300iとCCDカメラ(Roper Scientific)に接続した島津製分光光度計UV−3101またはニコン製顕微鏡TE−200のいずれかで、スペクトルを記録した。光パラメトリック増幅器(TOPAS、Light Conversion)をポンピングするチタンサファイア増幅器(Spitfire Pro、Spectra−Physics)からの150fsのパルスを用いて過渡分光法を行って、ポンププローブセットアップ(Helios、Ultrafast Systems)のための可変励起波長を得た。
このキャビティ構造の透過スペクトルは、そのプラズマ周波数に対応する銀の透明域による326nmのピークと、基本的なファブリー・ペローキャビティモード(PVA/PMMA/PVA総厚130nmにおいては約560nmで生じる)という2つの特徴によって特徴付けられる(これらのキャビティ透過特徴は、図3aの黒色曲線で見ることができる)。したがって、ファブリー・ペローモードはMCの吸収と共鳴する。330nmでのキャビティへのUV照射により、隔離されたPMMAフィルムのケースと同様に、MCが形成される。
MCがキャビティ内の真空場に強く結合すると、その結果、ハイブリッド状態(またはポラリトン)が形成されることは、吸収の2つの新たなピークへの分裂によって証明されている(図2fの緑色曲線)。簡潔に言うと、光定常状態では、MC種の約80%が強く結合し、真空ラビ分裂は700meVの程度である(図2f、参照文献41も参照されたい)。換言すれば、新たなハイブリッド状態|P+〉および|P−〉は、非結合MCの遷移エネルギー(2.2eV)に対して、±350meVで吸収を有する。このラビ分裂は、その系をプロービングするのに用いた光子に起因するのではなく、結合分子のスペクトルが、それを記録するために用いた弱い光度と無関係であることからわかるように、真空場のみによるものであることに留意されたい。
以下では、キャビティ内外の光異性化キネティクスを分析する。詳細な光異性化メカニズム(図2bに概略が簡易的に示されている)は、その複雑性から、文献において依然として論議中であり、三重項マニホルドを含め、いくつかの中間体の異性体を伴うことが報告されており、本明細書では、まとめて単一種Iとして示す(参照文献28〜32を参照されたい)。しかしその一方で、反応は、溶液中で、観察された1次キネティクスで進展する。図2bの簡易化された反応図から、総括1次反応メカニズム(κobs)も予測される(κobsは、下記の各種個別の光誘起工程の量子収量の複合関数である。
Figure 2014513304
式中、
Figure 2014513304
および
Figure 2014513304
である。
この速度方程式では、中間体SPI、I、およびMCは定常状態であり、約330nmにおけるその2つの種の等吸収点での照射によって簡易化されていると仮定されている。このモデルの実験条件下における光定常(PS)濃度比は、下記の式により求められる。
Figure 2014513304
ポリマーマトリクスにおいては、内部異性化プロセスは、そのポリマーの不均一なセグメント運動とのコンボリューションの結果、指数関数的挙動から逸脱することによってさらに複雑化される(参照文献32を参照されたい)。330nmのUV照射中のPMMAマトリクス内(ただしキャビティ外)におけるMCの運動エネルギーの蓄積は、実際に、ログスケールでプロットしたところ、線形性からの逸脱を示している(図3bの赤い点)。また、図3aでは、キャビティ構造の透過スペクトルを介して、同じ反応の進展が示されている。MC濃度が上昇すると、ファブリー・ペローモードが低減および分裂される。転送マトリクスシミュレーションを用いて、時間の関数としての透過スペクトルにより、各時点におけるMCの吸収度を計算可能になる。このデータは図3bにおいて、裸分子フィルムのデータの上に重ね合わせてあり、開放構造およびキャビティのポリマー層に当てた330nmの光の異なる強度が若干補正されている(後者のケースの方が約20%高い)。2つの系について測定した速度は、初期には同じぐらいであるが、反応が進展すると、観察される光異性化速度は、キャビティ構造の方が有意に遅くなることは明らかである(図3b)。この遅延は、強結合状態の開始と、ハイブリッド光の物質状態の形成に対応する。分裂が大きいほど、反応全体が、初期速度の端数に達するのが遅くなる。キャビティを貫通するUV光の強度を一定に保つこと(330nm周辺のスペクトルの不変性により確保される)に我々は重点を置いている。したがって、速度の変化は、単純な光学的効果に起因し得ない。光定常状態における上記の種の最終濃度も改変され、キャビティにおけるMC収量を約10%増大させる。さらに、MC吸収遷移と(あらゆる角度で)共鳴外となるようにキャビティが設計されている場合に、キャビティ外のフィルムと比べて、速度が変化しないことを確認した(図3c)。
系が強結合状態に入ると、SPI−MCの光異性化速度が遅延することは、図2eおよび式(2)におけるエネルギーランドスケープの変化と完全に一致している。上方にある|P+〉状態は、迅速に|P−〉まで減衰し、ひいては、非結合励起状態MCよりも低くなることにより、基底状態への回復を促すことになる(図2eにおける、パス(2)を越えたパス(1))。観察されるように、速度κおよびκの対応する変化により、(式(2)のκ/(κ+κ)の項の低下を通じて)光異性化のκobsが低下し、結合MCの光定常濃度が上昇することになる(式(3)においてκ/κが上昇する)。
図1および2に示されている強結合による反応ポテンシャルの改変では、励起状態エネルギー準位の分裂が強調されているが、この改変は、系全体で感じられ、おそらく基底状態も含むエネルギー準位を並べ替えることに留意しなければならない。このケースが該当する場合、光−物質のハイブリッド状態の形成は、SPIとMCとの間の光異性化速度のみならず、基底状態エネルギーランドスケープにおけるMCのSPIへの熱変換も変化させる。このような超強力な結合状態の理論的考察によっても、基底状態エネルギーの改変が予測される(参照文献11および12を参照されたい)。しかしその一方で、熱戻り反応の慎重な分析では、実験誤差を越えた、いずれの速度変化も明らかにならなかった。
この光化学的事象のさらなる洞察を得るために、過度微分吸収分光器(ポンプ−プローブ)実験を結合系で行い、非結合分子のものと比較した。この技法は、その系の最小摂動による非常に小さい吸収度変化を検出することによって、励起状態をプロービングする利点とともに、時間分解蛍光法と対照的に、非放射緩和プロセスを検出する能力も有する。図4aは、様々な結合強度における150fsのポンプパルス(560nm)の直後の過渡スペクトルを示している。見てわかるように、過渡スペクトルはいずれも、非結合分子のものと大きく異なっている。これらのスペクトルを理解するために、過度微分吸収ΔΑ(λ)は下記の式(4)によって求められることは覚えておく価値がある(参照文献33を参照されたい)。
Figure 2014513304
式中、σ(λ)は励起状態吸収断面積(cm)であり、σ(λ)は基底状態吸収断面積であり、σSΕ(λ)は励起状態の誘導放出断面積であり、κは、モル吸光係数を断面積に関連付ける定数(2.63×1020−1cm)であり、d(cm)は路長またはフィルムの厚みである。
スペクトルは、過渡状態が基底状態よりも吸収する正のピークと、式(4)における第2および/または第3の項が優越する波長における負のピークの両方を含む。これらの項の結合系のスペクトルへの寄与は、2つの方向の結合強度に左右される。真空ラビ分裂が増大すると、結合系の光物理的特性は徐々に改変されるが、同時に、結合分子の割合も増大する。換言すれば、このような無秩序な分子系では、結合状態(ポラリトン)と非結合(非コヒーレント)状態の両方が共存し(参照文献6および7を参照されたい)、いずれも、ポンプパルスによって励起され、それにより過渡スペクトルに寄与する。最大結合強度では、過渡吸収スペクトルは結合系によって占められる。これは、図4bに示されているように、結合系がより強く吸収する波長への励起の変化によって確認できる。基底状態において、670nmで直接|P−〉吸収バンドに励起させることによって、過渡スペクトルはごくわずかに改変される。また、これにより、結合系の記録された過渡スペクトルは本質的に、|P−〉と基底状態との間の微分吸収であることが示されている。換言すれば、|P+〉状態は存在が短すぎて、150fsの分解能の装置では検出できない。分子では、励起状態が低いほど、存在期間が長くなるのが一般的である。これにより、仮にそうなった場合、典型的には蛍光は|P−〉からのみ観察される(参照文献21を参照されたい)。最後に、過渡スペクトルの形がポンプ強度に対して不変であること、微分吸収度が線形に増大すること(図4c)も確認し、それにより、シグナルが、励起状態へのモノフォトニック遷移によることが示された。ラビ分裂が実際に、真空場への結合によって定められることも確認する。
非結合(裸)分子は、過渡実験において少量の誘導放出を示し、芳香族系有機分子の特色である、最低励起状態からの自発蛍光も行う。強結合系は(自発または誘導)放出を示さなかったが、これも、光物理的ダイナミクスの有意な変化を示している。過渡スペクトルのキネティクスも強結合によって改変される(図4bの挿入図)。励起された非結合MCの減衰キネティクスは、他のfs研究に一致して、単指数関数ではなく(参照文献30を参照されたい)、上で論議したように、いくつかの中間体の異性体の関与およびマトリクス不均一性によるものである。第1の半減期は約30psである一方で、結合系の半減期は10psまで短縮する(図4bの挿入図)。キャビティ内部の|P−〉の存続期間のこの短縮は、上で論じたような定常状態照射実験の結果と全体的に一致する。
真空場への結合による分子エネルギー準位の再配列は、分子および物質科学において重要な結果を数多く有する。示されているように、この再配列を用いて、化学エネルギーランドスケープ、ひいては、反応速度および収率を改変できる。全体的エネルギーランドスケープに対する比エネルギー準位の再編成に応じて、強結合は、反応を速めるか、遅延させるかのいずれかを行うことができる。反応の速度および熱力学のいずれも、改変されることになる。分子がその電子構造を保持し、光の集中により速度が高められる強い場における光化学的反応としての現象と、真空場状態における強結合による反応の改変を混同しないことが重要である。半古典的アプローチを用いて、強結合系におけるスペクトルの形とラビ分裂を予測できるが、不連続状態の存続期間、それらのダイナミクス、および相互関係を説明できない。これにより、場の量子性を引き出す必要がある。
ここでは電子遷移に対して結合を行ったが、上に示したとともに、下に例示するように、例えば、結合の反応性を改変するために、特定の振動遷移に対しても結合を行うことができた。このように、エネルギーランドスケープを改変することによって、反応速度を変える触媒と類似したものであることがわかる。あらゆる化学反応同様、この効果は、高い濃度の方が有利であるが、別の理由で、単に衝突頻度のみならず、エネルギーランドスケープを改変する。ハイブリッド状態の形成により、自由エネルギー準位が変化するので、原理上、その系のイオン化ポテンシャルと電子親和力を改変することになる。酸化還元反応が影響を受けるのみならず、結合物質の仕事関数も改変される。真空揺らぎへの強結合による仕事関数の微調整は、デバイス設計および性能にとって、例えば、有機発光ダイオード、太陽光発電、および分子電子工学のケースにおいて、非常に重要な要素を示している。当該出願との関連では、強結合は、本発明で用いるファブリー・ペロー構成に限定されないことに留意するのが重要である。十分に鋭い共鳴をもたらすいずれのフォトニック構造も使用することができる。遷移双極子モーメントの大きい分子物質を用いる場合、特に、金属マイクロキャビティ、または金属開口アレイに発生する密閉表面プラズモン共鳴のケースのように、モード体積が小さい場合には、強結合をもたらすには低品質の共鳴器でも十分である(参照文献19〜27を参照されたい)。このような「開放」プラズモン構造は、さらなる特徴づけ、およびより複雑な機能性に対する関連性のために、より容易に利用することができる。
化学反応ランドスケープおよび物質特性を改変するためのキャビティ真空場をもたらすことにより、化学者は、有用な反応に影響を及ぼすためのまったく新しいツールを手にするとともに、物質科学および分子デバイスに対して重要な意味をもたらす。
本発明者らが行った、本発明の考え得る用途の第2の実施例は、後述のように、強結合を介して仕事関数を調整する可能性に関するものである。
当業者に知られているように、固体から電子を真空中に取り出すのに必要なエネルギーであり、多くの用途において重要である基本的な特性である仕事関数によって、すべての物質は特徴付けられる。例えば、有機トランジスタおよび太陽電池のような電子デバイスは、それらの固有の仕事関数に従って慎重に選択した数組の金属電極を有するように設計されることになる(参照文献34〜38を参照されたい)。仕事関数をさらに、インターフェイスの化学的改変によって調節して、上記のようなデバイスの性能を最適化できる(参照文献39および40を参照されたい)。
本発明は、分子物質を真空電磁場と強く結合させることによって、局所的な電磁環境との共鳴相互作用を実現させる状態を提供することによって、仕事関数を調整する新たな方法を提案する。
物質および分子科学における強結合の第1の特徴は、その集合的な性質である。分子物質では、各分子のラビ分裂は、光学モード内の分子濃度の平方根によって定められ、最大で700meVの値が報告されており(参照文献41を参照されたい)、化学的反応性を改変することが示されてきた(上記の例を参照されたい)。数マイクロメートル離れた分子は、同じモードに強く結合すると、コヒーレントに発光することになる(参照文献42を参照されたい)。
式(1)に起因する他の特徴(上述)は、暗黒下でも、フォトニック構造を介した物質の真空場との相互作用が非常に強力であり得、その系のエネルギー準位の大規模な再編成をもたらす点である。
その結果、その集合体の物質特性も変化する。例えば、図1bに示されているように、電子親和力E、および程度は小さいがイオン化ポテンシャルIが、仕事関数Φとともに改変されることになる。本明細書では、Φは、高濃度ドープポリマーの一次近似としての、最大の占有状態と最小の非占有状態との中間であると仮定されていることに留意されたい。
これらの特徴の実際の用途を例示するとともに、本発明の原理を立証するために、図5aおよび5bに示されているように、フォトクロムスピロピラン(SPI)でドープしたポリマーフィルムを2つの異なる共鳴構造1(金属開口アレイおよびファブリー・ペローキャビティ)に結合させた。
着色形態のフォトクロム(図2a)、メロシアニン(MC)の第1遷移(560nm)をこれらの構造と強く結合させて、桁外れに大きい真空ラビ分裂をもたらすことができる(参照文献41を参照されたい)ことを本発明者らは確立した。さらに、非着色形態にUV照射を行って結合の程度を調節して[MC]を制御し、それによりhΩを制御することができる(hΩ
Figure 2014513304
に比例するため)。ケルビンプローブ原子間力顕微鏡(KPFM)(参照文献43および44を参照されたい)(図6に概略が示されているように、この技術は、表面形態と表面電位を同時にマッピングする)を用いて、サンプルの仕事関数を抽出した。
集束イオンビーム(FIB)を用いて、厚さ200nmのAgフィルム内に、異なる周期を有する一連の開口アレイをミリングした。続いて、SPI(密度約10%)を含むPMMAフィルム(厚さ150nm)をその表面にスピンコーティングした。このようなサンプルのAFM画像は図7aに、対応するKPFM画像(図7b)とともに示されている。光学顕微鏡法によって、このアレイの透過スペクトルを記録したところ、表面プラズモンモードと関連する典型的な異常透過ピークを示した(参照文献45および25を参照されたい)(図8aの黒色曲線)。続いて、サンプルに365nmで照射し、MCを発生させた。(1,0)表面プラズモンモードが560nmのMCピークと共鳴すると(周期P=250nm)、分裂が生じる(このケースでは、600meVで最大に達する(強結合の典型的な特徴である)(図8aの赤色曲線))。周期が増大し、表面プラズモンモードがMC遷移からデチューンされると、強結合が消失する(参照文献41)。
続いて、UV照射の前後に、同じ一連の周期について仕事関数を測定した(SPI異性体を有する、照射前のサンプルはリファレンスとして機能した)。
図8bに示されているように、2つの異性体間の仕事関数の観察された変化ΔΦobsは、表面プラズモンモードがMC遷移と共鳴したとき(P=250nm)、すなわち、系が最も強く結合したときに最大である。しかしその一方で、ΔΦobs(P=250nmにおいて125meV)は、仕事関数の真のシフトΔΦ=Φ−Φscの過小評価である。これは、アレイの表面プラズモンモードが角分散を有し(参照文献45および25を参照されたい)、プローブが広立体角で平均され、それにより、ΔΦの真の値が不明瞭になるためである。開口アレイサンプルでは、必要な空間分解能を有するように、非常に小さいプローブ(半径数nm)を用いた。この特定のKPFM探針の幾何形状と、分散の角度応答関数を考慮に入れた簡単な計算によって、ΔΦobsに関するこの平均プロセスを確認する(図8c)。
ΔΦの絶対値に近づけるために、異なる幾何形状を選択した。まず、MCと共鳴するファブリー・ペロー(FP)構造を調製し、それらのキャビティが、さらに小さい角分散を有するようにした。第2に、さらに大きいプローブ(直径2mm)を用いて、KPFM測定を可能にする大きい面積にわたって、それらのFPを作製し、それにより、FP表面の法線に対してなす角度以外の角度からの寄与を有意に低減した。図9aに分光的に示されているように、最低MC吸収遷移(560nm)がFPのλモードに強く結合するように、FPキャビティを調製した。対応するラビ分裂は650meVである。フォトクロムの光異性化のキネティクスから予測されるとおり、UV照射時、ΔΦobsは、時間とともに進展する(図9b)。仕事関数の観察される最大変化は、このサンプルの幾何形状における方がかなり大きく、175meVの値に達する。コントロールとして、同じ厚みであるが、PMMAポリマーのみを有するサンプルは、照射時に変化を示さなかった(図9bの緑色曲線)。さらに重要なコントロールは、キャビティ共鳴がMC吸収からデチューンされるので強結合を起こすことのできないような厚みのSPIドープPMMA層からなるオフレゾナンスサンプルである。照射時、このオフレゾナンスサンプルでは、Φが若干(数十meV)低下し、MCが形成された。したがって、オンレゾナンスとオフレゾナンスとの間のΦの観察された総シフトは、約200meVである。
ラビ分裂がエネルギー準位の再分配に及ぼす効果を考えると(図lb)、基底状態エネルギー準位がシフトしない場合、一次近似において、仕事関数の絶対的変化ΔΦ=Φ−Φsc〜1/4hΩが予測される。したがって、200meVのΔΦobsは、hΩ=650meVの分裂の最大値に近いと見られる。系がいわゆる超強結合状態にある(hΩがMC遷移エネルギーの30%である)とすると、結合系の基底状態エネルギーも改変することが可能である。これはさらに、最も単純な考察から推測される、1/4hΩを超えるΦを変化させることになる。
すでに知られているように(参照文献39および40を参照されたい)、強結合によって誘発される仕事関数の変化は、化学的改変によって実現される変化よりも小さい。しかしその一方で、所望の値に容易に微調整できるという利点を有し、この利点は、多くの用途にとって本質的に重要である。これは特に、トランジスタ、発光デバイス、および太陽電池のような有機デバイスに当てはまる。フォトクロムおよびエレクトロクロムのような機能分子を用いる場合には、動的に制御することもできる。
強結合は、分散的なフォトニック共鳴を伴う場合、角度依存的である。その結果、仕事関数も角度依存的であり、特定の用途で有用であり得るデバイスを構築することが可能である。例えば、熱電子放射をエンジニアリングして、特定の角度で生じるようにできる。
実際に実現するためには、強結合を通じた仕事関数の調節は、非常に容易である必要がある。例えば、サンドイッチ構造における2つの金属性電極または誘電体ミラー間の距離を調節して、物質における電子遷移と共鳴できる。
あるいは、プラズモン共鳴は、上記のように、非分散的な局所モードまたは非局所モードのいずれかとともに用いることができる。強結合を用いて、エネルギー準位の変更を通じて、物質、電子、または光電子の他の特性を同時に調整することもできる。
最後に、上記の強結合のこの非光学的観察により、光がなくても、新たなハイブリッド状態の形成により、強結合物質が基本的に改変されることを確認する。
以下では、NMRの分野に関して、かつ図10および11と関連させて、本発明の原理の考え得る用途の第3の実施例を説明する。
核磁気共鳴(NMR)の分野では、図10に示されているように、磁場(B≠0)が、核の2つのスピン状態、例えばαおよびβ間の縮退を解くことは一般的な知識である。続いて、周波数ωNMRを有する電磁波がαとβとの間の遷移をプロービングする((磁気)共鳴)。
NMR周波数が高いほど、その装置のシグナルノイズ比が大きくなり、スペクトル分解能が高くなる。
NMR周波数は、印加磁場Bに正比例する。問題は、磁場の増大により、コストがさらに速く増大する点である。したがって、高周波数NMR装置は非常に高価である。
本発明に従って、磁場の増大なしに共鳴周波数を向上させることにより、この問題への解決策を提案する。実際、強結合の原理をNMRに用いることによって、図10に示されているように、ラビ周波数hΩによって、遷移を分裂させ、最大遷移周波数をラビ分裂の半分分改変して、ωscを得ることができる。
実用的な実例として、コバルトサンプルを可変共鳴キャビティ内に配置した。Coは、それ自体が内部磁場をもたらし、その結果、約213MHzでNMR遷移を有する。2種類の測定(透過率および反射率)を行い、スペクトル感度を測定し、コバルトサンプルのNMR共鳴にわたり、キャビティ共鳴をスイープする。インピーダンスの不整合が高いため、大半のシグナルはキャビティから反射される。(空の)共鳴器の初期Q値を測定したところ、約1000であったが、サンプルを共鳴器(反射構造)内に配置すると、コバルトの喪失により、約50まで低下する。
図11で見られるように、正の離調においてピークの小さな分裂と、透過率ピークの急激な上昇が存在する(共鳴幅の若干の拡大を伴う)。これは明らかに、コバルトのスピン遷移(NMR遷移)のキャビティ共鳴への強結合によるものである。
NMR遷移との強結合がさらに改善および最適化されれば、その系が、超強結合状態(ラビ分裂が遷移の30〜40%である状態)になると予想されることは、当業者は容易に分かるであろう。このようなケースでは、NMR周波数は15〜20%上昇する。例えば、装置が元々、700MHzで動作する場合には、強結合により、800〜850MHzに移動する。加えて、本発明の特徴は、NMR装置へのキャビティ構造の導入しか必要としないので、実施がかなり容易である。
下記の文献は、参照文献として上で言及されており(下記のそれぞれの参照番号とともに引用されている)、その内容は、本明細書において具体的に言及されている場合、本明細書の該当する主題と関連して、参照により、本明細書に組み込まれる。
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当然ながら、本発明は、本明細書に記載および表示されている好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱しなければ、変更したり、均等物を用いたりすることができる。

Claims (27)

  1. 1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変する方法であって、
    前記分子、生体分子、または物質(2)における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造(1)をもたらす工程と、
    前記分子(単一もしくは複数)、生体分子(単一もしくは複数)、または物質(2)を上記のタイプの構造内または構造上に配置する工程と、
    を主に含むことを特徴とする方法。
  2. 前記電磁的モードのQ値(共鳴波長を共鳴半値幅で除した比率)が少なくとも10であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記電磁的モードが表面プラズモンモードであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記電磁的モードがキャビティモードであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記反射構造が、単一の金属フィルム(3)または2つの対向する金属フィルム(3,3’)で作られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記分子、生体分子、または物質における当該遷移が電子遷移であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  7. 前記分子、生体分子、または物質における当該遷移が振動遷移であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 前記分子、生体分子、または物質における当該遷移が核スピン遷移であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 局所的な電磁真空場に結合させ、その結果、分子、生体分子、または物質のエネルギー準位が再配列されたことを利用することを通じて、前記反応の基準またはパラメーター(反応させようとしている分子、生体分子、または物質の反応性、反応のキネティックス、反応の速度および/または収率、反応の熱力学)の少なくとも1つに影響を及ぼすことによって、化学反応を制御することからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  10. 前記分子、生体分子、または物質の仕事関数の値を調整するか、または動的に制御することからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. 分散的なフォトニック共鳴モードをもたらすことと、仕事関数の角度依存性を用いて、前記分子、生体分子、または物質における遷移を制御するか、モニタリングするか、もしくは影響を及ぼすか、および/または、前記遷移の結果を選択的に利用するか、もしくはモデリングすることからなることを特徴とする、請求項1または10に記載の方法。
  12. 前記反射またはフォトニック構造を含む機能デバイスに適用され、前記デバイスが、電子デバイス、光学デバイス、光起電力デバイス、または発光デバイス、具体的には、有機または分子発光デバイスのうちの1つであることを特徴とする、請求項1、10、および11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 1つ以上の分子、生体分子、または物質の化学的特性、仕事関数、電気化学ポテンシャル、および/またはNMR周波数を改変できるデバイスであって、前記分子、生体分子、または物質(2)における遷移と共鳴する電磁的モードを有する反射またはフォトニック構造(1)を含み、前記構造(1)が密閉されているか、または開放されていることを特徴とするデバイス。
  14. 前記反射またはフォトニック構造の電磁的モードのQ値が少なくとも10である、請求項13に記載のデバイス。
  15. 前記分子、生体分子、または物質における当該遷移が電子遷移であることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
  16. 前記分子、生体分子、または物質における当該遷移が振動遷移であることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
  17. 前記反射またはフォトニック構造がプラズモン構造を含み、前記電磁的モードが表面プラズモンモードであることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
  18. 前記反射またはフォトニック構造が、光学マイクロキャビティ、好ましくはファブリー・ペローキャビティからなり、前記電磁的モードがキャビティモードであることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
  19. 前記反射構造が、単一の金属フィルム(3)または2つの対向する金属フィルム(3,3’)で作られていることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
  20. 電子デバイスである、請求項13〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
  21. 光学デバイスである、請求項13〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
  22. 光起電力デバイスである、請求項13〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
  23. 発光デバイスである、請求項13〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
  24. 有機または分子発光デバイスである、請求項13〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
  25. 前記前記デバイスが、NMR分光器または画像装置のサンプルホルダーまたはサンプルホルダーの一部であり、前記デバイスの前記反射構造が、解析または検出対象の核スピン遷移(単一または複数)と共鳴する電磁的モードを有する、請求項13〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
  26. 前記反射構造が、サンドイッチ構造に2つの金属性電極または2つの誘電体ミラーを含み、前記構造内に配列された分子、生体分子、または物質における電子遷移と共鳴するように前記電極間またはミラー間の距離が調節されることを特徴とする、請求項13〜15、18〜20、および22〜25のいずれか一項に記載のデバイス。
  27. 少なくとも1つの電子的、光学的、磁気的、または化学的機能を行うことができるか、行うように意図されている機械または装置であって、請求項13〜26のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデバイスのうち、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を行うように設計されたデバイスを含む機械または装置。
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