JP2014510762A - ポリマーにコンジュゲートしたプロスタグランジン類似体 - Google Patents

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Abstract

本発明は一般に、ポリマー−薬物コンジュゲートに関する。特に、本発明は、コンジュゲートした薬物がプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンから選択されるポリマー−薬物コンジュゲート、そのようなプロスタグランジン薬物を対象に送達する方法、それらのポリマー−薬物コンジュゲートを含む持続薬物送達システム、それらのポリマー−薬物コンジュゲートを製造する方法、およびそれらのポリマー−薬物コンジュゲートを含むインプラントに関する。これらのポリマー−薬物コンジュゲートは、プロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンを緑内障の処置のために送達するのに使用できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は一般に、ポリマー−薬物コンジュゲートに関する。特に、本発明は、コンジュゲートした薬物がプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンから選択されるポリマー−薬物コンジュゲート、そのようなプロスタグランジン薬物を対象に送達する方法、それらのポリマー−薬物コンジュゲートを含む持続薬物送達システム、それらのポリマー−薬物コンジュゲートを製造する方法、およびそれらのポリマー−薬物コンジュゲートを含むインプラントに関する。
標的化および制御された薬物送達は、現在大きな関心がもたれている分野である。対象への部位特異的な薬物送達は、多種多様な状態の処置のためにきわめて望ましい特徴である。薬物(単数または複数)を含むデバイスを対象(ヒトまたは動物)の体内に埋め込むことは、その薬物の有効性および安全性を改善するために望ましい可能性がある。対象の特定の部位は、効果的な薬物送達のためにバリヤーを克服する複雑な送達デバイスを必要とする場合がある。たとえば、ある部位はデバイスを投与するための体積が限られており(たとえば、眼)、デバイス体積を最小限に抑えるために高い装填量をもつデバイスを必要とする。体積が限られているにもかかわらず、薬物をその部位に連続的かつ制御された様式で長期間にわたって送達できることが望ましい。さらに、そのようなデバイスは、理想的にはそのインプラントを配置した後に対象が何ら不快感をもたないことを保証する材料特性をもつべきである。
薬物を対象に送達する1方式は、その薬物を特定の位置へ運搬してそこに保持するポリマーの使用を伴う。
そのようなポリマー/薬物送達システムの一例ではポリマーと薬物の混合物を使用し、その際、薬物はポリマーマトリックス内にブレンドされる。しかし、そのような単なる混合物は一般に薬物の放出に対して得られる制御性が乏しく、投与直後に周知の“バースト効果”が生じ、薬物放出に伴って混合物の物理的特性が著しく変化する(Sjoquist, B.; Basu, S.; Byding, P.; Bergh, K.; Stjernschantz, J. Drug Metab. Dispos. 1998, 26, 745)。さらに、そのような混合物は装填容量が限られ、その結果、対象のある部位に好都合に投与するには実用不可能なほど大きなデバイスになる。
ポリマー/薬物送達システムの他の例は、薬物(単数または複数)と他のモノマー(またはそれ自体)を薬物がポリマー主鎖の一部として取り込まれるように重合させることに基づく。そのようなシステムは、UhlrichがUS 6,613,807、WO2008/128193、WO94/04593およびUS 7,122,615に記載している。しかし、そのような“重合した”薬物も、薬物の放出が不活性中間体を経て起きるので一般に薬物の放出は不十分になる。そのような中間体は規制当局による承認を複雑にする可能性がある(その中間体の安全性の立証が要求される場合がある)。さらに、得られるポリマー材料は、一般にかなり限定された物理的特性をもつ。
ポリマー/薬物送達システムのさらに他の例は、ポリマーに共有結合していわゆるポリマー−薬物コンジュゲートを形成した薬物を使用する。そのようなポリマー−薬物コンジュゲートの例は、Nature Reviews: Drug Discovery 2003:2, 347-360に概説されている。そのようなポリマー−薬物コンジュゲートは、一般に予め形成されたポリマー主鎖に薬物を共有結合させることにより形成される。しかし、そのような共有結合した系の合成は問題を生じる可能性がある。特に、立体的および熱力学的な拘束が、共有結合できる薬物量に影響を与え、ポリマー主鎖に沿った薬物分布にも影響を及ぼす可能性がある。さらに、得られるポリマー−薬物コンジュゲート材料を投与後の快適さを支援するために改変できるようにその物理的特性を改変する範囲には限界がある。
置換プロスタグランジンは緑内障を処置するために用いられる。それらは現在は点眼剤として配合され、罹患している眼に忠実に投与されれば眼内圧が低下し、それによって疾患の進行が遅くなるであろう。残念ながら、緑内障は無症候性疾患であるので多くの患者は彼らの点眼剤を忠実には使用せず、これが療法を混乱させる。Friedmanら(Friedman D.S., Quigley H.A., Gelb L., Tan J., Margolis J., Shah S.N., Kim E.E., Zimmerman T., Hahn S.R. IOVS 2007:48, 5052-5057)は、緑内障治療選択肢へのアドヒアランスは乏しく、12か月目に眼内圧低下剤を保有している患者はわずか59%であり、そのような医薬を継続的に使用している患者はわずか10%であることを示した。
US 6,613,807 WO2008/128193 WO94/04593 US 7,122,615
Sjoquist, B.; Basu, S.; Byding, P.; Bergh, K.; Stjernschantz, J. Drug Metab. Dispos. 1998, 26, 745 Nature Reviews: Drug Discovery 2003:2, 347-360 Friedman D.S., Quigley H.A., Gelb L., Tan J., Margolis J., Shah S.N., Kim E.E., Zimmerman T., Hahn S.R. IOVS 2007:48, 5052-5057
したがって、既存のシステムおよび/またはそれらの製造方法の1以上の欠点または短所を対処または改善する新たなポリマー/薬物送達システムを開発し、あるいは少なくともそのようなシステムおよびそれらの製造方法の有用な代替を提供する好機が残されている。
本発明は、ポリマー主鎖、およびそのポリマー主鎖にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートしたプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを含む、ポリマー−薬物コンジュゲートを提供する。
本発明の1観点によれば、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンは、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの1、9、11および15位から選択される位置において連結している。本発明の態様において、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンは、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの1、9、11および15位から選択される位置においてエステル連結基により連結している。
ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートは式(XX)のプロスタグランジン薬物を含む:
[式中:
は、炭素原子6個の直鎖脂肪族であり、場合によりオキソ(=O)およびヒドロキシからなる群から選択される1または2個の置換基を含み;
は二重結合または単結合を表わし;
TおよびUは、TとUが一緒にオキソ(=O)を形成しているもの、TおよびUがそれぞれハロであるもの、ならびにTがR15でありかつUが水素であるものからなる群から選択され;
Yは、場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルまたは場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルオキシであり;
、R、R11およびR15のうちのひとつはポリマー主鎖に連結しており、その際:
、R11およびR15は、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはカーボネート連結基のアルコール残基であり、Rは、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはアンヒドリド連結基の酸残基を形成し;
は、主鎖に連結していない場合は−OH、−O(C1−6アルキル)、および−NRからなる群から選択され、ここでRおよびRはそれぞれ独立してHおよびC1−6アルキルからなる群から選択され;
およびR11は、ポリマー主鎖に連結していない場合は両方ともヒドロキシであり、あるいは一方はヒドロキシでありかつ一方はオキソであり、RおよびR11のうち一方が主鎖に連結している場合は、他方はヒドロキシまたはオキソであり;
15が主鎖に連結していない場合は、TはヒドロキシでありかつUは水素であり、あるいはTおよびUはそれぞれフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成している]。
1形態において、ポリマー−薬物コンジュゲートは複数の式(XXi)のプロスタグランジン薬物を含む:
1観点において、本発明はそれのポリマー主鎖の一部として一般式(I)の部分を含むポリマー−薬物コンジュゲートを提供する:
[式中:
AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(I)に示す−J−R(ZD)−J−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
およびJは、独立して酸素、C(O)およびNRからなる群から選択され、ここでRは水素またはC−Cアルキルであり;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]。
ある態様において、本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートは一般式(XX)および(XXi)のプロスタグランジン薬物から選択されるコンジュゲートした薬物を含む。そのような薬物は、高血圧症、緑内障、本態性振戦、頻脈性不整脈の治療、ならびにアンギナの治療、ならびに偏頭痛および頭痛の予防に使用できる。それらの薬物は、緑内障および高血圧症の治療に特に有用であると考えられる。
ある態様の本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートにおいて、ポリマー主鎖はポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、またはその組合わせもしくはそのコポリマーである。ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートは生分解性であってもよい。
本発明は、それのポリマー主鎖の一部として一般式(Ic)の部分を含むポリマー−薬物コンジュゲートを提供する:
[式中:
AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(I)に示す−O−R(ZD)−O−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、一般式(II)および(III)のプロスタグランジン薬物からなる群から選択される放出可能な薬物であり:
これらの式中:
は二重結合または単結合を表わし、
は連結基Zにプロスタグランジン類似体が結合している箇所を表わし、Rは−OH、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルアミノから選択され、XはOまたはOHであり、Yは−(CHCH、−OC(メタ−CF)、(CHCH、−OCおよび−CHから選択される]。
本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートは、場合により親水基を含むことができる。親水基はポリマー主鎖構造の一部として取り込まれてもよい。親水基は、少なくとも1つの活性水素基を含むモノマーにより供給でき、あるいはそれから誘導できる。
ある態様において、活性水素基を含むモノマーは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA) ポリ(1,5−ジオキセパン−2−オン)(PDOO)、ポリ(酢酸グリセロール)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(リン酸グリセロール)、アミノ酸ポリマー、アミノ酸オリゴマー、C−Cジオール、アミノ酸、グリコール酸、ならびにヒドロキシ酸からなる群から選択できる。
本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートは有利なことに比較的高い薬物装填量で製造でき、その結果、それらは対象内の投与体積が限られている部位、たとえば眼に用いられるインプラントに成形するのに好適となる。この属性と薬物の活性との組合わせで、これらのコンジュゲートは眼内インプラントとして使用するために、また眼状態、特に緑内障を治療する際に、特に適したものになる。
本発明はさらに、本明細書に記載するポリマー−薬物コンジュゲートを含む薬物送達システムを提供する。この薬物送達システムは、ポリマー−薬物コンジュゲートと組み合わせて親水性成分を含むことができる。親水性成分は、(i)ポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖中の親水基、(ii)ポリマー−薬物コンジュゲートと混合した親水性ポリマー、または(iii)その組合わせにより供給できる。
本発明はまた、本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムを含む、インプラントを提供する。
本発明はまた、本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムを含む、眼内インプラントを提供する。
本発明はさらに、対象において眼状態を処置する方法を提供し、その方法は、対象の眼に本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムを投与することを含む。その場合、ポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムは、一般に眼内インプラントの形態で供給されるであろう。
本発明はまた、それのポリマー主鎖の一部として一般式(I)の部分:
[式中:
AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(I)に示す−J−R(ZD)−J−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
およびJは、独立して酸素、C(O)およびNRaからなる群から選択され、ここでRは水素またはC−Cアルキルであり;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]
を含むポリマー−薬物コンジュゲートの製造方法を提供し、この方法は、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲート:
[式中:
およびYはそれぞれ独立して反応性官能基を表わし、あるいはYとYは一緒に開環可能な環状基の一部を形成し;
R、ZおよびDは前記に定めたものである]
を、適合性化学官能基をもつ少なくとも1種類のモノマーと重合させる工程を含む。
ある態様において、YおよびYはそれぞれヒドロキシである。
一般式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートは、特に汎用性があることが見いだされ、当技術分野で周知の手法を用いて1種類以上の他のモノマーと有利に重合できる。
式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートと重合して本発明のポリマー−薬物コンジュゲートを形成するモノマーは、薬物−モノマーコンジュゲートと反応するための適合性化学官能基を含むだけでなく、その反応によりもちろん生分解性部分を供給または生成するであろう。
式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートの重合により、本発明の方法は高い装填量の1種類以上の薬物を含むポリマー−薬物コンジュゲートを合成するために有利に使用できる。
次いで、得られたポリマー−薬物コンジュゲートから、またはそのポリマー−薬物コンジュゲートを含有する材料から、当技術分野で周知の手法を用いて、眼に投与して療法量の薬物を送達するのに適したインプラントを成形することができる。
本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートは、物品またはデバイスの一部を形成し、またはそれ自体に成形することができ、あるいは予め成形した物品またはデバイス上にコーティングとして付与することができる。
それらのポリマー−薬物コンジュゲートは、薬物を対象に送達するための有効かつ効果的な手段を提供する。
他の観点において、本発明は薬物を対象に送達する方法を提供し、その方法は本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムを対象に投与することを含む。
他の観点において、本発明は、一方または両方の眼が緑内障に罹患している動物対象において緑内障を処置するための方法を提供し、その方法は緑内障に罹患している眼に本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムを投与することを含む。
他の観点において、本発明は、対象の少なくとも一方の眼において緑内障を処置するための医薬の調製における、本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートの使用または薬物送達システムの使用を提供する。
本発明のさらに他の観点は、以下の本発明の詳細な記述にみられる。
本発明の好ましい態様を、添付の図面を参照して本明細書中で説明するが、それは例示にすぎない。
図1は、本発明の態様によるポリマー−薬物コンジュゲートから最高61日に及ぶ期間にわたって放出されたラタノプロスト(latanoprost)遊離酸の累積量(μg)を示すグラフである。
本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートは、対象において疾患を治療、治癒、予防または診断するために使用でき、あるいは他の形で対象の身体または精神の健全性を増進するために使用できる。
したがって、本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートは、それらが対象への投与に適切である(すなわち、インビボ適用に適切である)ように調製できる。
本発明は薬物を対象に送達する方法を提供し、その方法は対象に本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートを投与することを含む。
コンジュゲートが対象への投与に“適切である”とは、対象へのそのコンジュゲートの投与によって、アレルギー反応および疾病状態を含めた許容できない毒性が生じないことを意味する。
用語“対象”とは、動物またはヒト対象を意味する。“動物”とは、霊長類、家畜(ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタおよびヤギを含む)、愛玩動物(イヌ、ネコ、ウサギおよびモルモットを含む)、および捕獲した野生動物(動物園環境で一般にみられるものを含む)を意味する。実験動物、たとえばウサギ、マウス、ラット、モルモットおよびハムスターは好都合な試験系を提供できるので、それらも考慮される。一般に対象はヒト対象であろう。
対象へのポリマー−薬物コンジュゲートの“投与”とは、そのコンジュゲートを薬物が放出されるように対象に伝達することを意味する。薬物を放出できる限り、投与様式には特別な制限はない。
ポリマー−薬物コンジュゲートを対象の眼の状態を処置するために使用する場合、投与は一般に眼房内、上強膜または結膜下への投与によるであろう。“眼の状態”とは、緑内障、高眼圧症または貧毛症を意味する。
投与を容易にするために、ポリマー−薬物コンジュゲートを粒状で、医薬的に許容できるキャリヤーとブレンドして供給することができる。“医薬的に許容できる”とは、そのキャリヤー自身が対象への投与に適切であることを意味する。言い換えると、対象へのそのキャリヤーの投与によって、アレルギー反応および疾病状態を含めた許容できない毒性が生じないことを意味する。用語“キャリヤー”は、コンジュゲートが投与される前に含有されるビヒクルを表わす。
指針にすぎないが、当業者は“医薬的に許容できる”を国または州政府の規制当局が承認したもの、あるいは米国局方その他の一般に認知されている局方に、動物、より特別にはヒトに使用するものとして収載されているものとみなすであろう。
医薬的に許容できる適切なキャリヤーは、Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, (1990)に記載されており、殺菌できる液体、たとえば水および油類を含み、これには石油、動物、植物または合成に由来するもの、たとえばラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などが含まれるが、これらに限定されない。
前記のコンジュゲートは、物品またはデバイスの一部を形成し、またはそれ自体に成形し、あるいは物品またはデバイス上にコーティングとして付与し、そして対象に埋め込むこともできる。“埋め込む”とは、物品またはデバイスの全体または一部を対象の体内へ医学的に導入し、あるいは医学的介入により対象の自然開口に導入し、それがその操作後にそこに留まることを意図したものであることを意味する。物品またはデバイスが埋め込むためのものである場合、それを“インプラント”と呼ぶのが好都合である。
したがって本発明は、本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートを含むインプラントを提供する。インプラントが眼に投与するためのものである場合、それを“眼内インプラント”と呼ぶのが好都合であろう。その場合、眼内インプラントは一般に対象の眼房内、上強膜または結膜下に投与されるであろう。
本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートまたはインプラントは、単回投与または一連の投与で投与することができる。
本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートはポリマー主鎖を含み、それに一般式(XX)のプロスタグランジン薬物がコンジュゲートしている。
本明細書中で用いるように、用語“コンジュゲート”は、式(I)および(V)に示すような、モノマーまたはポリマーと薬物の間の共有結合により形成される生成物を表わす。したがって、用語“コンジュゲートした”は、式(I)および(V)に示すように、モノマーまたはポリマーと薬物の間の共有結合により形成される生成物の状態を表わす。
1観点において、本発明は、ポリマー主鎖、およびそのポリマー主鎖にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートしたプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを含む、ポリマー−薬物コンジュゲートに関する。
“プロスタグランジン”は、一般に下記に示すC20プロスタン酸から誘導される薬物である:
本明細書中で用いるように、用語“プロスタグランジン”は、一般に内因性プロスタグランジン薬物を表わす。プロスタグランジンの一例はPGF2α(ジノプロスト(dinoprost))である。
本明細書中で用いるように、用語“置換プロスタグランジン”は、一般にC20プロスタン酸から誘導される合成分子を表わし、それはプロスタグランジン受容体と結合または干渉するように設計される。置換プロスタグランジンは、療法有効薬物またはプロドラッグの形であってよい。置換プロスタグランジンの一例はラタノプロストである。本明細書に記載する置換プロスタグランジンは、プロスタグランジン類似体として知られている場合もある。
本発明に使用されるプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジン(本明細書中で“プロスタグランジン薬物”とも呼ぶ)は、ポリマー主鎖にペンダント状態でコンジュゲートしている。すなわち、コンジュゲートした薬物はポリマー主鎖の一部を形成しない。ペンダント構造は、薬物の効果的放出を確実にする。さらに、ペンダント状態であることにより、ポリマー主鎖の鎖長を短縮せずに薬物を放出できる。プロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンを、遊離酸またはプロドラッグの形でコンジュゲートさせることができる。
一般に、用語“薬物”は、それの適用(または1回以上の適用)に伴って下記が生じる療法用物質を表わす:対象の生理的系との化学的相互作用または物理化学的相互作用;あるいは対象の体内での感染作用物または毒素もしくは他の毒物に対する作用、あるいはインビトロでの細胞などの生物材料との相互作用。
一般に、“プロドラッグ”は生物活性物質の誘導体であり、その際、この誘導体はそれ自体は生物活性物質の活性をほとんどまたは全くもたない場合があるが、なおインビボまたはインビトロで生物活性物質または療法活性薬物に変換できる。
本明細書中で用いるように、用語“プロスタグランジン薬物”は、コンジュゲートしたプロスタグランジンもしくは置換プロスタグランジン、またはその医薬的に許容できる塩、あるいはそのプロドラッグを表わし、それはポリマー主鎖に連結している。本発明は、プロスタグランジンもしくは置換プロスタグランジン、またはその医薬的に許容できる塩、あるいはそのプロドラッグを、療法効果を生じさせるために目的部位へ送達することを可能にする。
したがって、本明細書中で用いる用語“プロスタグランジン薬物”は、ポリマー主鎖にコンジュゲートした遊離酸形(その医薬的に許容できる塩を含む)およびプロドラッグ形のプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンを表わす。
1観点において、本発明は、ポリマー主鎖、ならびにそのポリマー主鎖にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートしたPGE、PGDおよびPGFクラスの置換プロスタグランジンを含むポリマー−薬物コンジュゲートに関する。PGFプロスタグランジンは、置換されたPGFαまたはPGFβプロスタグランジンであってもよい。好ましくは、ポリマー−薬物コンジュゲートはPGFαクラスの置換プロスタグランジンを含む。
本明細書に記載するプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンは、α−鎖、ω−鎖、および5員環で構成され、基本骨格に従って下記のようにナンバリングされる:
プロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンは、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの1、9、11または15位においてエステル連結基、アンヒドリド連結基またはカーボネート連結基によりポリマー主鎖にコンジュゲートしている。エステル、アンヒドリドおよびカーボネート連結基は、ポリマーコンジュゲート材料付近で療法レベルに達するのに十分な量の薬物をポリマーコンジュゲートから確実に効果的に放出するのに役立つことが本発明により見出された。以下にさらに詳細に述べるように、そのような連結は零次(zero order)放出プロフィールで薬物放出をもたらすことも認められた。本発明の利点のひとつは、バースト効果のない零次薬物放出をある期間にわたって、たとえば少なくとも7日間にわたって、好ましくは少なくとも30日間にわたって、より好ましくは少なくとも90日間にわたって持続できることである。
本発明は、プロスタグンジン薬物をポリマー主鎖にコンジュゲートさせるためにエステル、アンヒドリドおよびカーボネート連結基を用いる;それらの連結基は生物学的環境で加水分解に対して不安定であることが認められているからである。以下にさらに述べるように、そのような連結基は一般に、ポリマー−薬物コンジュゲート中に存在できる他の基または部分、たとえば本発明のある態様のポリマー−薬物コンジュゲート中のポリマー主鎖に存在できる生分解性部分より不安定である。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートにより送達されるプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンは、1位のカルボン酸基、9位のヒドロキシ基、11位のヒドロキシ基、および15位のヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含む。
プロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンの1位のカルボン酸基、ならびに9、11および15位のヒドロキシ基は、プロスタグランジン薬物をポリマーにコンジュゲートさせるための反応性官能基として作用することができる。薬物をポリマー主鎖にコンジュゲートさせる際、プロスタグランジン薬物を1、9、11および15位の選択された基によりポリマーに共有結合させる。したがって、ポリマーに連結した薬物部分(本明細書中に記載する式中でDと表記する)は、プロスタグンジン薬物をポリマー主鎖にコンジュゲートさせているエステル、アンヒドリドおよびカーボネート連結基の酸残基(1位におけるコンジュゲーションの場合)またはアルコール残基(9、11および15位におけるコンジュゲーションの場合)である。Dにより表わされる薬物部分は、放出可能なプロスタグランジンまたは放出可能な置換プロスタグランジンであってよい。
プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンをエステル連結基によりポリマー主鎖にコンジュゲートさせる場合、そのエステル連結基はプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの1、9、11および15位からなる群から選択される位置においてその薬物を連結させることができる。
プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンをアンヒドリド連結基によりポリマー主鎖にコンジュゲートさせる場合、そのアンヒドリド連結基はプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの1位においてその薬物を連結させることができる。
プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンをカーボネート連結基によりポリマー主鎖にコンジュゲートさせる場合、そのカーボネート連結基はプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの9、11および15位からなる群から選択される位置においてその薬物を連結させることができる。
“酸残基”は、プロスタグランジン薬物をポリマー主鎖にコンジュゲートさせた後の、薬物のカルボン酸官能基に由来するエステルまたはアンヒドリド連結基部分に対する表記である。カルボン酸基は1位にある。酸残基は一般に構造−C(O)O−をもつであろう。
“アルコール残基”は、プロスタグランジン薬物をポリマー主鎖にコンジュゲートさせた後の、薬物のヒドロキシ官能基に由来するエステルまたはカーボネート連結基部分に対する表記である。ヒドロキシ基は9、11および15位にあるものから選択できる。アルコール残基は一般に構造−O−をもつであろう。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、ポリマー主鎖にコンジュゲートした少なくとも1つのプロスタグランジン薬物を含む。より一般的には、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは複数のプロスタグランジン薬物を含む。
ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートは複数の式(XX)のプロスタグランジン薬物を含む:
[式中:
は、炭素原子6個の直鎖脂肪族であり、場合によりオキソ(=O)およびヒドロキシからなる群から選択される1または2個の置換基を含み;
は二重結合または単結合を表わし;
TおよびUは、TとUが一緒にオキソ(=O)を形成しているもの、TおよびUがそれぞれハロであるもの、ならびにTがR15でありかつUが水素であるものからなる群から選択され;
Yは、場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルまたは場合により置換されたC−C10ヒドロカルビルオキシであり;
、R、R11およびR15のうちのひとつはポリマー主鎖に連結しており、その際:
、R11およびR15は、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはカーボネート連結基のアルコール残基であり、Rは、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはアンヒドリド連結基の酸残基を形成し;
は、主鎖に連結していない場合は−OH、−O(C1−6アルキル)、および−NRからなる群から選択され、ここでRおよびRはそれぞれ独立してHおよびC1−6アルキルからなる群から選択され;
およびR11は、ポリマー主鎖に連結していない場合は両方ともヒドロキシであり、あるいは一方はヒドロキシでありかつ一方はオキソであり、RおよびR11のうち一方が主鎖に連結している場合は、他方はヒドロキシまたはオキソであり;
15が主鎖に連結していない場合は、TはヒドロキシでありかつUは水素であり、あるいはTおよびUはそれぞれフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成している]。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲート中に存在する複数のプロスタグランジン薬物は、それぞれ同一タイプであってもよく、あるいはそれらは2以上の異なるタイプのプロスタグランジン薬物の混合物であってもよい。
式(XX)のある態様において、Rはオキソまたはヒドロキシから選択されるゼロまたは1個の置換基を含み、その際、そのオキソまたはヒドロキシはプロスタグランジン薬物の6位に存在する。すなわち、Rxは置換されていなくてもよく、あるいはそれは1個のオキソまたは1個のヒドロキシ置換基を含み、それはプロスタグランジン薬物の6位に存在する。
ある態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは複数の式(XXi)のプロスタグランジン薬物を含む:
[式中:
は二重結合または単結合を表わし;
TおよびUは、TとUが一緒にオキソ(=O)を形成しているもの、TおよびUがそれぞれハロであるもの、ならびにTがR15でありかつUが水素であるものからなる群から選択され;
は、オキソおよびヒドロキシからなる群から選択される任意選択的な置換基であり;
Yは、場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルまたは場合により置換されたC−C10ヒドロカルビルオキシであり;
、R、R11およびR15のうちのひとつはポリマー主鎖に連結しており、その際:
、R11およびR15は、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはカーボネート連結基のアルコール残基であり、Rは、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはアンヒドリド連結基の酸残基を形成し;
は、主鎖に連結していない場合は−OH、−O(C1−6アルキル)、および−NRからなる群から選択され、ここでRおよびRはそれぞれ独立してHおよびC1−6アルキルからなる群から選択され;
およびR11は、ポリマー主鎖に連結していない場合は両方ともヒドロキシであり、あるいは一方はヒドロキシでありかつ一方はオキソであり、RおよびR11のうち一方が主鎖に連結している場合は、他方はヒドロキシまたはオキソであり;
15が主鎖に連結していない場合は、TはヒドロキシでありかつUは水素であり、あるいはTおよびUはそれぞれフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成している]。
式(XX)または(XXi)のプロスタグランジン薬物において、Yは場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルまたは場合により置換されたC−C10ヒドロカルビルオキシである。ヒドロカルビル(ヒドロカルビルオキシのヒドロカルビル部分を含めて)は、脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素基またはその組合わせを含むことができる。
式(XX)および(XXi)のある態様において、Yは、場合によりハロおよびハロ−C−Cアルキルから選択される1以上の置換基で置換されている。適切なハロは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい。好ましいハロはフルオロである。ハロ−C−Cアルキルはペルハロメチル、たとえばトリフルオロメチルであってもよい。
ある態様において、YはC−C10アルキル、C−C10アルコキシ、フェニル、フェニル置換C−Cアルキル、およびフェニル置換C−Cアルコキシからなる群から選択され、それらの基は場合によりハロおよびペルハロメチルから選択される1以上の置換基で置換されている。ある特定の態様において、Yは−(CHCH、−OC(メタ−CF)、−(CHCH、−O(C)および−CH(C)からなる群から選択される。
式(XX)または(XXi)において、TおよびUは置換プロスタグランジン上に存在する置換基を表わす。ある態様において、TとUは一緒にオキソ(=O)置換基を形成している。他の態様において、TおよびUはそれぞれハロ置換基である。適切なハロは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであってもよい。好ましいハロはフルオロである。他の態様において、TはR15であり、かつUは水素である。
本発明によれば、プロスタグランジン薬物はポリマー主鎖にR、R、R11およびR15のうちのひとつにより連結している。したがって、ポリマー主鎖に連結している場合、R、R11およびR15はエステルまたはカーボネート連結基のアルコール残基(−O−)であり、Rはエステルまたはアンヒドリド連結基の酸残基(−C(O)O−)を形成する。
ある態様において、Rがポリマー主鎖にエステル連結基またはアンヒドリド連結基により連結している。そのような態様において、R、R11およびR15はポリマー主鎖に連結していない。
ある態様において、Rがポリマー主鎖にエステル連結基またはカーボネート連結基により連結している。そのような態様において、R、R11およびR15はポリマー主鎖に連結していない。
ある態様において、R11がポリマー主鎖にエステル連結基またはカーボネート連結基により連結している。そのような態様において、R、RおよびR15はポリマー主鎖に連結していない。
ある態様において、R15がポリマー主鎖にエステル連結基またはカーボネート連結基により連結している。そのような態様において、R、RおよびR11はポリマー主鎖に連結していない。
、R、R11およびR15がポリマー主鎖に連結していない場合にこれらの基が置換基を表わすことができるのは当業者に理解されるであろう。
は、ポリマー主鎖に連結していない場合はカルボニル基(−C(O)−)と一緒にカルボン酸基、またはそのエステルもしくはアミド誘導体であってもよい。ある態様において、Rは、ポリマー主鎖に連結していない場合は−OH、−O(C1−6アルキル)、および−NRからなる群から選択され、ここでRおよびRはそれぞれ独立してHおよびC1−6アルキルからなる群から選択される。特定の態様において、Rは、ポリマー主鎖に連結していない場合は−OH、−O(イソ−プロピル)および−NHエチルからなる群から選択される。
およびR11は、ポリマー主鎖に連結していない場合はヒドロキシおよびオキソからなる群から選択される。ある態様において、RおよびR11のうち一方が主鎖に連結している場合は、RおよびR11のうち他方はヒドロキシまたはオキソである。他の態様において、RおよびR11が両方ともポリマー主鎖に連結していない場合、RおよびR11は両方ともヒドロキシである。他の態様において、RおよびR11のうち一方はヒドロキシであり、RおよびR11のうち他方はオキソである。
15がポリマー主鎖に連結していない場合、TおよびUはそれぞれ水素または置換基を表わすことができ、あるいはTとUは一緒に置換基を形成していてもよい。ある態様において、Tはヒドロキシであり、かつUは水素である。他の態様において、TおよびUはそれぞれハロ(好ましくはフルオロ)である。さらに他の態様において、TとUは一緒にオキソを形成している。
ある態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは式(XXii)のプロスタグランジン薬物を含む:
[式中のR、R、R、R11、Y、TおよびUは定義したものである]。
ある態様において、プロスタグランジン薬物(D)は下記のものからなる群から選択される:
[これらの式中:
は連結基Zに対するプロスタグランジン薬物の結合点を表わし;
は二重結合または単結合を表わし;
Yは、場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルまたは場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルオキシであり;
式(XXiii)、(XXv)および(XXvi)において、Rはヒドロキシ、C−CアルコキシまたはC−Cアルキルアミノ(好ましくは、イソプロポキシまたはエチルアミノ)であり;
式(XXiii)および(XXiv)において、RおよびR11はヒドロキシであり、あるいはRおよびR11のうち一方はオキソであり、他方はヒドロキシであり;
式(XXv)において、R11はヒドロキシまたはオキソであり、XはOまたはヒドロキシであり;
式(XXvi)において、Rはヒドロキシまたはオキソであり;
式(XXiv)および(XXvi)において、TはヒドロキシでありかつUは水素であり、あるいはTおよびUは両方ともフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成している]。
当業者は多様なプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンの化学構造を確認できるであろう。本発明のポリマー−薬物コンジュゲートにコンジュゲートしたプロスタグランジン薬物は、遊離酸形(その医薬的に許容できる塩を含む)およびプロドラッグ形であってもよい。
“遊離酸”形とは、本明細書に記載するプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンが“遊離”カルボン酸(すなわち、COOH)として存在するか、あるいはポリマー主鎖にプロスタグランジン薬物の1位にある遊離カルボン酸基によりコンジュゲートしていてもよいことを意味する。遊離カルボン酸基は一般に、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンのα−鎖にある。そのような場合、プロスタグランジン薬物はそれの遊離酸形で放出可能であるか、あるいは放出させることができる。遊離酸形は場合により医薬的に許容できる塩と会合することができる。
遊離酸形のプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンは、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの9、11および15位にあるヒドロキシ基によりコンジュゲートしていてもよい。そのような態様において、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンは同様にそれの遊離酸形で放出可能であるか、あるいは放出させることができる。遊離酸形は場合により医薬的に許容できる塩と会合することができる。
プロスタグランジン薬物がプロドラッグとして存在する場合、プロスタグランジン薬物は一般に9、11および15位にあるヒドロキシ基によりコンジュゲートしているであろう。そのような場合、プロスタグランジン薬物はそれのプロドラッグ形で放出可能であるか、あるいは放出させることができる。
用語“医薬的に許容できる塩”は、それらの塩類が医薬製剤として使用する際に安全かつ有効であることを意味する。医薬的に許容できる塩には、本発明の化合物中に存在する酸性基の塩類が含まれる。適切な塩類には、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、ジエチルアミン塩およびピペラジン塩などを含めることができる。医薬的に許容できる塩類は、Stahl PH, Wermuth CG, editors. 2002. Handbook of pharmaceutical salts: Properties, selection and use. Weinheim/Zurich: Wiley-VCH/VHCAに記載されている。
本明細書に記載するプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンはプロドラッグとして存在してもよく、その際、1位にあるカルボン酸がインビボで離脱可能な不安定基で置換されている。そのような場合、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンは9、11および15位にあるヒドロキシ基によりポリマー主鎖にコンジュゲートしているであろう。そのような場合、プロスタグランジン薬物はそれのプロドラッグ形で放出可能であるか、あるいは放出させることができる。プロドラッグは遊離酸形の薬物のエステルまたはアミド誘導体であってもよい。プロドラッグはインビボで遊離酸形に変換できる。たとえば、ラタノプロスト(latanoprost)、トラボプロスト(travoprost)、タフルプロスト(tafluprost)、ビマトプロスト(bimatoprost)はプロドラッグであり、インビボでそれらの遊離酸形に変換される。
ポリマー−薬物コンジュゲートにより送達できるプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンの若干例を表1に示す。“遊離酸形”のプロスタグランジンが意味するものをさらに明確にするために、以下に若干のプロドラッグとそれらのそれぞれの遊離酸形との化学構造の相異を説明する。そのような薬物(プロドラッグまたは遊離酸形)は、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖にプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの1、9、11または15位にある官能基のうちの1つによりコンジュゲートし、遊離酸形またはプロドラッグ形で送達することができる。
ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロストおよびタフルプロストなどの薬物は置換プロスタグランジンである。しかし、それらの薬物は点眼剤中にそれらの“遊離酸”形では配合されず、むしろ遊離酸形のエステルまたはアミド誘導体であるプロドラッグとして配合される。その理由は、遊離酸が点眼剤配合物として送達された際に生物学的に利用できないからである。
したがって、本発明に関して、一般式(XX)または(XXi)のプロスタグランジン薬物を遊離酸形の他のプロスタグランジンとして表わすことが好都合であろう。たとえば、遊離酸形のラタノプロストは((Z)−7−[(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−[(3R)3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル]−シクロペンチル]ヘプタ−5−エン酸である。
ジノプロスト(dinoprost)(PGF2α)などのプロスタグランジン薬物は自然界にある化合物であり、それらの遊離酸形で存在する。
本明細書に記載する式の放出可能なプロスタグランジン薬物の具体例には、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロストおよびタフルプロスト、遊離酸形のラタノプロスト、トラボプロスト(フルプロステノール(fluprostenol)として知られる)、ビマトプロストおよびタフルプロスト、ならびにウノプロストン(unoprostone)およびジノプロストが含まれる。
ある態様において、プロスタグランジン薬物は遊離酸形で放出可能であること、あるいは放出されることが好ましい。本発明のある態様において、放出可能なプロスタグランジン薬物を遊離酸形のラタノプロストおよび遊離酸形のトラボプロストから選択することが好ましい。遊離酸形のラタノプロストが最も好ましい。
必ずしも表示してはいないが、本明細書に記載する一般式のプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンが特定の立体異性体構造、およびおそらく特定の幾何異性体構造をもつであろうということは当業者に認識されるであろう。何らかの疑問を避けるために、本明細書に記載する一般式のプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンはそのような構造をすべて包含するものとする。
他の観点において、本発明は、ポリマー主鎖、およびそのポリマー主鎖にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートした複数のプロスタグランジン薬物を含む、式(X)のポリマー−薬物コンジュゲートに関する:
[式中:
はポリマー主鎖を表わし;
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]。
ある態様において、式(XX)のプロスタグランジン薬物がポリマー主鎖にRにおいてエステル連結基またはアンヒドリド連結基によりコンジュゲートしている場合、式(X)のポリマー−薬物コンジュゲートは式(Xa)の構造をもつ:
[式中:
はポリマー主鎖を表わし;
Zは、連結基であり;
Zと式(XX)のプロスタグランジン薬物は一緒にエステルまたはアンヒドリド連結基を形成している]。
ある態様において、式(XX)のプロスタグランジン薬物がポリマー主鎖にRにおいてエステル連結基またはカーボネート連結基によりコンジュゲートしている場合、式(X)のポリマー−薬物コンジュゲートは式(Xb)の構造をもつ:
[式中:
はポリマー主鎖を表わし;
Zは、連結基であり;
Zと式(XX)のプロスタグランジン薬物は一緒にエステルまたはカーボネート連結基を形成している]。
ある態様において、式(XX)のプロスタグランジン薬物がポリマー主鎖にR11においてエステル連結基またはカーボネート連結基によりコンジュゲートしている場合、式(X)のポリマー−薬物コンジュゲートは式(Xc)の構造をもつ:
[式中:
はポリマー主鎖を表わし;
Zは、連結基であり;
Zと式(XX)のプロスタグランジン薬物は一緒にエステルまたはカーボネート連結基を形成している]。
ある態様において、式(XX)のプロスタグランジン薬物がポリマー主鎖にR15においてエステル連結基またはカーボネート連結基によりコンジュゲートしている場合、式(X)のポリマー−薬物コンジュゲートは式(Xd)の構造をもつ:
[式中:
Zは、連結基であり;
Zと式(XX)のプロスタグランジン薬物は一緒にエステルまたはカーボネート連結基を形成している]。
式(Xa)において、式(XX)のプロスタグランジン薬物はポリマー主鎖に基−Z−により結合している。式(XX)のプロスタグランジン薬物とZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成する。したがって、式(Xa)においては、プロスタグランジン薬物はZの一部である酸素原子に共有結合して、エステル連結基(エステル結合)またはアンヒドリド連結基(アンヒドリド結合)の一部を形成している。
式(XX)の分子とZがエステルまたはアンヒドリド連結基を形成している場合、プロスタグランジン薬物はエステルまたはアンヒドリド連結基の酸残基を含み、一方でZはエステルまたはアンヒドリド連結基のアルコール残基を含むであろう。そのエステルまたはアンヒドリド連結基が加水分解または開裂すると、カルボン酸基がプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジン上に生成し、一方でアルコール(−OH)基がZ上に生成するであろう。
式(Xb)、(Xc)および(Xd)において、式(XX)のプロスタグランジン薬物はポリマー主鎖に基−Z−により結合している。式(XX)のプロスタグランジン薬物とZは一緒にエステルまたはカーボネート連結基を形成する。式(Xb)、(Xc)および(Xd)においては、プロスタグランジン薬物はZの一部である−C(O)−部分の炭素原子に共有結合して、エステル連結基(エステル結合)またはカーボネート連結基(カーボネート結合)の一部を形成している。
式(XX)の分子とZがエステルまたはカーボネート連結基を形成している場合、プロスタグランジン薬物はエステルまたはカーボネート連結基のアルコール残基を含み、一方でZはエステルまたはカーボネート連結基の酸残基を含むであろう。そのエステルまたはカーボネート連結基が加水分解または開裂すると、アルコール(−OH)基がプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジン上に生成し、一方でカルボン酸基がZ上に生成するであろう。
式(Xa)、(Xb)、(Xc)および(Xd)において、Zは連結基を表わす。Zの若干の具体例を後記に述べる。
ある態様において、本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートは“生分解性(生物侵食性)(bioerodible)”である。“生分解性”であるとは、コンジュゲートが物理的分解とは異なり、生物学的環境で(たとえば、対象の体内で、または血液、組織などの生物材料と接触した際に)化学分解または酵素分解によって破断(すなわち、分子量低下)しやすい分子構造をもつことを意味する。そのような分解は、一般に、コンジュゲートの分子構造の一部を形成する不安定部分の加水分解によるであろう。言い換えると、コンジュゲートは加水分解開裂しやすい部分を含むであろう。生分解性ポリマーの加水分解速度は幾つかの外因性または内因性の要因(たとえば、光、熱、放射線、pH、酵素または酵素以外による開裂など)によって経時変動し、または活性化される可能性がある。
本明細書中で“生体組織”などの生物材料の表記は、インビボにおける細胞もしくは組織(たとえば、対象の細胞または組織)またはインビトロにおけるもの(たとえば、培養細胞)を含むものとする。
他の観点において、本発明はポリマー主鎖の一部として一般式(I)の部分を含む生分解性ポリマー−薬物コンジュゲートに関する:
[式中:
AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(I)に示す−J−R(ZD)−J−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
およびJは、独立して酸素、C(O)およびNRからなる群から選択され、ここでRは水素またはC−Cアルキルであり;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]。
何らかの疑問を避けるために、“一般式(I)の部分”は
を表わすものとし、
はAおよびBに結合していることを表わし、式(I)中のAおよびBは、(i)その“部分”がポリマー主鎖の一部を形成していることをより明瞭に示すために、また(ii)ポリマー主鎖の残部の性質を規定するために提示される。
本明細書中で用いるように、“ポリマー主鎖の一部”を形成しているという表現は、式(I)のその部分(すなわち、AおよびBを除く)がポリマー鎖(すなわち、AおよびBを含む)を形成するように互いに結合している原子のストリングの一部であることを意味する。言い換えると、式(I)のその部分自体はポリマー主鎖からのペンダントではない。前記のように、式(I)の基ZおよびDがポリマー主鎖からのペンダントであることは認識されるであろう。
AおよびBの例は後記にさらに詳細に述べるが、それにはポリウレタンおよびポリエステルポリマー鎖、ならびにそのコポリマーが含まれる。
用途に応じて、ポリマー−薬物コンジュゲートは単一の式(I)部分をもつことができるが、より一般的にはコンジュゲートは複数の式(I)部分を含むであろう。複数の式(I)部分を含むポリマーにおいて、A、B、R、ZおよびDにより表わされる各基は同一でも異なってもよい。
たとえば、一般式(I)の部分は適切なコモノマーとコンジュゲートして、それぞれ下記の一般式(Ia)および(Ib)に示すようにポリエステルまたはポリウレタンの反復単位を形成していてもよい:
[式中:JおよびJはそれぞれOであり、R、ZおよびDは本明細書中に定めたものであり、Xは場合により置換されたアルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり、その際、ポリエステルのそれぞれの反復単位について、R、Z、DおよびXはそれぞれ同一でも異なってもよい];
[式中:JおよびJはそれぞれOであり、R、ZおよびDは本明細書中に定めたものであり、Xは場合により置換されたアルキル、アリール、またはアルキルアリールであり、その際、ポリウレタンのそれぞれの反復単位について、R、Z、DおよびXはそれぞれ同一でも異なってもよい]。
生分解性であることにより、本発明の1観点によるポリマー−薬物コンジュゲートは、たとえば対象の体内でプロスタグランジン薬物部分“D”を放出させるために有利に使用でき、後に残留コンジュゲート構造体を対象から取り出す必要がない。
生分解性ポリマー−薬物コンジュゲートは一般に、それのポリマー主鎖中に、生分解が起きることができる生分解性部分を多数含むであろう。ポリマー主鎖中の特定の生分解性部分が他と対比してその環境下で加水分解開裂を受ける速度は各部分の性質(たとえば、官能基のタイプ、立体的および電子的な作用など)に応じて変動する可能性があることは、当業者に認識されるであろう。
同じ理論を、ポリマー主鎖が薬物の放出速度と対比して侵食される速度にも適用できる。
本発明の1観点のコンジュゲートの生分解性の重要な特徴は、(i)式(I)に示す−J−R(ZD)−J−部分がポリマー主鎖の残部(AおよびBにより表わされる)に生分解性部分により結合していること、ならびに(ii)AおよびBがそれぞれ生分解性部分により結合したモノマー単位から形成されることである。そのような特徴をもつことにより、本発明によるコンジュゲートは有利なことに完全に生分解性であることができる。
本明細書中で用いる“生分解性部分”という表現は、生物学的環境で化学分解または酵素分解を受けることができる部分を意味するものとする。そのような化学分解は、一般に加水分解によるであろう。言い換えると、生分解性部分は加水分解開裂を受けやすいであろう。本発明に関して、生分解性部分はコンジュゲートのポリマー主鎖を形成するモノマー単位を連結または結合する機能をもつ。したがって、これらの生分解性部分がコンジュゲートの生分解性を生じることは認識されるであろう。
生物学的環境で一般に加水分解開裂を受けやすい部分のタイプは当業者に認識されているであろう。そのような部分には、アンヒドリド、アミド、ウレタン(カルバメート)、およびエステルを含めることができる。本発明による生分解性ポリマー−薬物コンジュゲートは、そのような部分の組合わせを含むことができる。
本発明のある態様によれば、AおよびBは同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、“式(I)に示す−J−R(ZD)−J−部分に生分解性部分により結合している”。これは、−J−R(ZD)−J−部分中のJおよびJにより表わされる原子がそれぞれ生分解性部分の一部を形成していることを意味する。たとえば、−J−R(ZD)−J−部分中のJおよびJはそれぞれO原子を表わすことができ、下記に示すようにそれぞれ独立してエステルまたはウレタン部分の一部を形成することができ、これらにおいてOはJおよびJにより表わされるO原子を表わす。
1態様において、−J−R(ZD)−J−中のJおよびJ原子はそれぞれ独立してエステルまたはウレタン部分の一部を形成する。
およびJがそれぞれ−C(O)−またはNR(ここで、Raは水素またはC1−C6アルキルである)を表わす場合にJおよびJがエステルまたはウレタン部分の一部を形成できることも当業者に理解されるであろう。
本発明の生分解性ポリマー−薬物コンジュゲートのある態様において、ポリマー主鎖の一部を形成する生分解性部分の開裂速度と少なくとも等しいかまたはそれより速い速度でプロスタグランジン薬物部分(D)がポリマー−薬物コンジュゲートから放出されることが好ましい。すなわち、Dをポリマー主鎖に連結する連結基(Z)は、ポリマー主鎖の一部を形成する生分解性部分と同様に不安定であるか、あるいはそれより不安定であるべきである。したがって、エステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基の開裂または加水分解の結果としてのポリマー−薬物コンジュゲートからの薬物放出は、ポリマー主鎖中の生分解性部分の浸食速度と少なくとも等しいかまたはそれより速い速度で起きる。特定の態様において、ポリマー主鎖の一部を形成する生分解性部分の侵食または分解の速度より速い速度でプロスタグランジン薬物部分(D)が放出されることが好ましい。
およびJがエステル部分またはウレタン部分の一部を形成している場合、そのエステル部分またはウレタン部分は薬物部分(D)をポリマー主鎖にコンジュゲートしているエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基より不安定性が低いことが好ましい。こうして、コンジュゲートしている薬物はポリマー主鎖に由来するフラグメントを含まない状態でポリマーコンジュゲートから放出できる。ある態様において、JおよびJはウレタン部分の一部を形成している。
プロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンは、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートから放出可能である。本明細書に記載する式のポリマー−薬物コンジュゲートにおいて、“放出可能”であるプロスタグランジン薬物とは、それらが本明細書中の一般式に定めるZ基から放出または開裂可能であることを意味する。放出された時点で、プロスタグランジン薬物は生物活性であるか、あるいはインビボまたはインビトロで生物活性形態に変換される(たとえば、プロドラッグの場合のように)であろう。
ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートは複数の式(I)部分を含み、その際、それぞれの式(I)部分は、プロスタグランジン薬物のR、R、R11およびR15のうちのひとつにおいてエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基によりポリマー主鎖に連結した式(XX)のプロスタグランジン薬物(D)を含む。
本発明の態様において、プロスタグランジン薬物はポリマー主鎖または連結基(Z)に由来する残基を含まない状態で放出される。これは、薬物がそれらの実質的に元の(すなわち、コンジュゲートする前の)形態で放出され、本質的にたとえばポリマー主鎖に由来するオリゴマーまたはポリマーのフラグメントを含まないことを意味する。
プロスタグランジン薬物を、持続的な薬物送達システムが得られるようにポリマー−薬物コンジュゲートから放出させることができる。そのような送達システムは、それの最も簡単な形態では、希望する形状、たとえばロッドまたはより複雑な形状で提供されるコンジュゲートであってもよい。コンジュゲートの表面領域と生物学的環境との接触を増大させるために、コンジュゲートを支持体上のコーティングの形態で、または多孔性をもつ物品(たとえば、連続気ほう発泡体(open-cell foam))として提供することもできる。
式(I)部分を含む1形態のポリマー−薬物コンジュゲートにおいて、プロスタグランジン薬物(D)は式(XXii)のものである:
[式中、R、R、R、R11、Y、TおよびUは定義したものである]。
ある態様において、Dは下記のものからなる群から選択されるプロスタグランジン薬物である:
[これらの式中:
は連結基Zに対するプロスタグランジン薬物の結合点を表わし;
は二重結合または単結合を表わし;
Yは、場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルまたは場合により置換されたC−C10ヒドロカルビルオキシであり;
式(XXiii)、(XXv)および(XXvi)において、Rはヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、イソプロポキシ)またはC−Cアルキルアミノ(好ましくは、エチルアミノ)であり;
式(XXiii)および(XXiv)において、RおよびR11はヒドロキシであり、あるいはRおよびR11のうち一方はオキソであり、他方はヒドロキシであり;
式(XXv)において、R11はヒドロキシまたはオキソであり、XはOまたはヒドロキシであり;
式(XXvi)において、Rはヒドロキシまたはオキソであり;
式(XXiv)および(XXvi)において、TはヒドロキシでありかつUは水素であり、あるいはTおよびUは両方ともフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成している]。
ある態様において、Dは次式のプロスタグランジン薬物である:
[式中、R、R、R11、T、UおよびYは本明細書に記載したものである]。
他の観点において、本発明はそれのポリマー主鎖の一部として一般式(Ic)の部分を含む生分解性ポリマー−薬物コンジュゲートに関する:
[式中:
AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(Ic)に示す−O−R(ZD)−O−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]。
本発明はさらに、それのポリマー主鎖の一部として一般式(Ic)の部分を含む生分解性ポリマー−薬物コンジュゲートに関する:
[式中:
AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(Ic)に示す−O−R(ZD)−O−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、一般式(II)および(III)のプロスタグランジン薬物からなる群から選択される放出可能な薬物であり:
これらの式中:
は二重結合または単結合を表わし、
は連結基Zにプロスタグランジン薬物が結合している箇所を表わし、RはOH、C−Cアルコキシ(好ましくは、イソプロポキシ)およびC−Cアルキルアミノ(好ましくは、エチルアミノ)から選択され、XはOまたはOHであり、Yは−(CHCH、−OC(メタ−CF)、(CHCH、−OCおよび−CHから選択される]。
式(II)のある態様において、Rはヒドロキシである。
プロスタグランジン薬物(Dにより表記する)を放出させるためには、もちろんDとZ基の間の共有結合を開裂させる必要があろう。
DとZ基の間の共有結合の開裂は、加水分解によって促進することができ(すなわち、加水分解開裂)、水および酸または塩基の存在下で行われる可能性がある。ある態様において、開裂は、開裂プロセスを触媒するかまたは少なくとも支援する1種類以上の加水分解酵素または他の内因性生体化合物の存在下で行われる可能性がある。たとえば、エステル結合は加水分解開裂してカルボン酸とアルコールを生成する可能性がある。そのような開裂が生分解性部分の加水分解開裂となることは当業者に認識されるであろう。したがって、薬物(D)は(a)連結基(Z)に生分解性部分により結合しているか、あるいは(b)連結基(Z)と一緒に生分解性部分を形成しているとも記載できる。
本明細書中で述べるように、連結基“Z”は一般に二価の結合または基であり、それがプロスタグランジン薬物部分Dをポリマー主鎖に結合させている。前記に概説したように、連結基(Z)と薬物(D)の間の共有結合は、その薬物を放出できるように開裂性である。
Z基の一部または全部が、エステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基の一部を形成することができる。これらの連結基がそれぞれ開裂可能な(たとえば、加水分解により、および/または酵素により)共有結合を含むことは当業者に認識されるであろう。一般にそのような連結基は、薬物を放出するために、加水分解により開裂できる共有結合を含むであろう。
いずれにしろ、プロスタグランジン薬物はそのものとしてポリマーコンジュゲートのZ基から放出可能であろう。ポリマー−薬物コンジュゲートが生分解性である場合、そのポリマーもインビボまたはインビトロで生分解性であり、したがってポリマー主鎖フラグメントはそのようなフラグメント(単数または複数)にプロスタグランジン薬物部分がZ基により繋がれたままであるか、あるいはフラグメントとしての単なるZ基のみにプロスタグランジン薬物部分が繋がれたままである可能性がある。そのような場合、プロスタグランジン薬物はそれでもなお、Z基(ポリマーコンジュゲート自体とまだ会合しているか、または会合していない可能性がある)から放出または開裂可能である。
式(I)の部分において、プロスタグランジン薬物(D)はZにより表記される連結基を介してRに結合している。本明細書中で用いるように、基“Z”に関して用いる用語“連結基”は、一般に二価であってDをRに結合させる基を表わす。前記に概説したように、連結基(Z)とプロスタグランジン薬物(D)の間の共有結合は、その薬物を放出できるように開裂性である。
ある態様において、プロスタグランジン薬物(本明細書中に記載する式中にDと表記する)はポリマー主鎖にR1を介してエステルまたはアンヒドリド連結基によりコンジュゲートしている。したがって、薬物はZに共有結合してエステル連結基(エステル結合)またはアンヒドリド連結基(アンヒドリド結合)の一部を形成している。したがって、これに関してZはエステルまたはアンヒドリド連結基のアルコール残基を含む。
ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートがポリマー主鎖にRにおいてエステルまたはアンヒドリド連結基によりコンジュゲートした式(XX)のプロスタグランジン薬物(D)を含む場合、ポリマー−薬物コンジュゲートはポリマー主鎖の一部として式(Id)の部分を含むことができる。
ある態様において、プロスタグランジン薬物(本明細書中に記載する式中にDと表記する)はポリマー主鎖にR、R11およびR15のうちのひとつを介してエステルまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートしている。したがって、薬物はZに共有結合してエステル連結基(エステル結合)またはカーボネート連結基(カーボネート結合)の一部を形成している。これに関してZはエステルまたはカーボネート連結基の酸残基を含む。
ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートがポリマー主鎖にRにおいてエステルまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートした式(XX)のプロスタグランジン薬物(D)を含む場合、ポリマー−薬物コンジュゲートはポリマー主鎖の一部として式(Ie)の部分を含むことができる。
ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートがポリマー主鎖にR11においてエステルまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートした式(XX)のプロスタグランジン薬物(D)を含む場合、ポリマー−薬物コンジュゲートはポリマー主鎖の一部として式(If)の部分を含むことができる。
ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートがポリマー主鎖にR15においてエステルまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートした式(XX)のプロスタグランジン薬物(D)を含む場合、ポリマー−薬物コンジュゲートはポリマー主鎖の一部として式(Ig)の部分を含むことができる。
連結基(Z)の使用は、Rにエステルまたはアンヒドリド連結する薬物の結合を容易にすることができる。それは、他の方法で薬物をRに直接結合させることにより達成できなかった立体障害のある位置において、エステルまたはアンヒドリド連結する薬物を結合させる可能性を当業者に提供できる。
連結基Zの若干の具体例には下記のものが含まれる:−O−;−(O)C−O−;ならびに場合により置換された下記のもの:−OC(O)−R−(O)CO−;−C(O)O−R−(O)CO−;−O−R−(O)CO−;−C(O)−R−(O)CO−;−NRC(O)O−R−(O)CO−;−OC(O)NR−R−(O)CO−;−NRC(O)−R−(O)CO−;−C(O)NR−R−(O)CO−;−C(O)O−R−O−;−OC(O)−R−O−;−O−R−O−;−C(O)−R−O−;NRC(O)O−R−O−;−OC(O)NR−R−O−;−NRC(O)−R−O−;および−C(O)NR−R−O−;これらにおいて、Rは場合により置換されたヒドロカルビルまたは場合により置換されたヘテロヒドロカルビルを表わし、RはHまたはC1−C6アルキルである。適切なヒドロカルビルおよびヘテロヒドロカルビルは、脂肪族、脂環式もしくは芳香族の基、またはその組合わせを含むことができ、ヘテロカルビル基の場合はN、OおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子をも含むであろう。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートのある態様において、
(a)基Dは式(XX)のプロスタグランジン薬物であり、式中のRはエステルまたはアンヒドリド連結基の酸残基であり、Zは下記からなる群から選択される式のものである:
(i) (R) -O- (D);
(ii) (R) -Q-Ar-O- (D);
(iii) (R) -Q-C1-C12アルキレン-O- (D);
(iv) (R) -Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-O- (D);
(v) (R) -Q-C1-C12アルキレン-Q-Ar-O (D);
(vi) (R) -Q-C1-C12アルキレン-Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-O- (D);
(vii) (R) -OC(O)- (D);
(viii) (R) -Q-Ar-OC(O)- (D);および
(ix) (R) -Q-C1-C12アルキレン-OC(O)- (D)
(b)基Dは式(XX)のプロスタグランジン薬物であり、式中のR、R11およびR15のうちのひとつはエステルまたはカーボネート連結基のヒドロキシ残基(−O−)であり、Zは下記からなる群から選択される式のものである:
(i) (R) -C(O) (D);
(ii) (R) -OC(O)- (D);
(ii) (R) -Q-Ar-C(O)- (D);
(iii) (R) -Q-C1-C12アルキレン-C(O)- (D);
(iv) (R) -Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-C(O)- (D);
(v) (R) -Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-OC(O)- (D);
(vi) (R) -Q-C1-C12アルキレン-Q-Ar-C(O) (D);および
(vii) (R) -Q-C1-C12アルキレン-Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-C(O)- (D);
これらにおいて:
(R)はR基に結合している連結基末端を示し、(D)はプロスタグランジン薬物Dに結合している連結基末端を示し;
Arは、場合により置換された芳香族またはヘテロ芳香族炭化水素であり;
Qは、−O−、−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)OC(O)−、−C(O)NRC(O)−、−OC(O)NR−、−NRC(O)O−、−NR−、−NRC(O)NR−、−NRC(O)−、−C(O)NR−、−S−、−O−C(S)−、−C(S)−O−、−S−C(O)−、−C(O)−S−、−NRC(S)−、および−C(S)NR−からなる群から選択され、これらにおいてRは水素またはC−Cアルキルである。
基“Ar”に関連する用語“芳香族炭化水素”および“ヘテロ芳香族炭化水素”は、少なくとも1つの芳香環またはヘテロ芳香環を含むいずれかの環系を表わす。芳香族炭化水素またはヘテロ芳香族炭化水素は、場合により本明細書に記載する1以上の任意選択的な置換基により置換されていてもよい。
芳香族炭化水素またはヘテロ芳香族炭化水素は、適切な個数の環員子を含むことができる。ある態様において、芳香族炭化水素またはヘテロ芳香族炭化水素は、5から12個までの環員子を含む。用語“環員子”は、環系の一部を形成する原子を表わす。アリール基において、環原子はそれぞれ炭素である。ヘテロ芳香族炭化水素基においては、1以上の環原子がヘテロ原子である。ヘテロ原子の例は、O、N、S、PおよびSe、特にO、NおよびSである。ヘテロ芳香族炭化水素基中に2以上のヘテロ原子が存在する場合、それらのヘテロ原子は同一でも異なってもよい。
適切な芳香族炭化水素は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、アズレニルなどからなる群から選択できる。
適切なヘテロ芳香族炭化水素は、フラニル、チオフェニル、2H−ピロリル、ピロリニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリニル、オキサジアゾリニル、トリアゾリニル、チアジアゾリニル、テトラゾリニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゼニル、インドリル、イソインドリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニルなどからなる群から選択できる。
本発明のある態様において、Arは場合により置換されたC5−12芳香族炭化水素である。ある態様において、Arは場合により置換されたフェニル(C6芳香族炭化水素)である。ある特定の態様において、Arはパラまたはメタ置換されたフェニルである。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートのある態様において、DがRによりポリマー主鎖に連結している場合、Zは下記のものからなる群から選択される式のものである:
(R) -O- (D);
(R) -OC(O)-Ar-O- (D);
(R) -NHC(O)-Ar-O- (D);
(R) -C(O)O-C1-C12アルキレン-O- (D);
(R) -OC(O)-C1-C12アルキレン-O- (D);
(R) -OC(O)- (D);
(R) -OC(O)-Ar-OC(O)- (D);
(R) -NHC(O)-Ar-OC(O)- (D);
(R) -C(O)O-C1-C12アルキレン-OC(O)- (D);
(R) -OC(O)-C1-C12アルキレン-OC(O)- (D)。
1態様において、DがR1によりポリマー主鎖に連結している場合、Zは−O−である。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートのある態様において、Dが、R、R11およびR15のうちのひとつによりポリマー主鎖に連結している場合、Zは下記のものからなる群から選択される式のものである:
(R) -C(O) (D);
(R) -OC(O)- (D);
(R) -OC(O)-C1-C12アルキレン-C(O)- (D);
(R) -NHC(O)-C1-C12アルキレン-C(O)- (D);
(R) -OC(O)-C1-C12アルキレン-OC(O)- (D);
(R) -NHC(O)-C1-C12アルキレン-OC(O)- (D)。
1態様において、DがR、R11およびR15のうちのひとつによりポリマー主鎖に連結している場合、Zは−C(O)−である。
本発明のある態様において、本明細書中に記載する式中に示すDは下記のものからなる群から選択される:
本明細書中に記載する式中に存在する部分“R”は、場合により置換された炭化水素を表わす。ある態様において、炭化水素は1から12個までの炭素原子、たとえば1から10個までの炭素原子、2から8個までの炭素原子、または3から6個までの炭素原子を含むことができる。炭化水素は、部分または完全の、飽和または不飽和の、線状または分枝した脂肪族、環式または芳香族であってよい。
1態様において、Rは1から12個までの炭素原子をもつ、場合により置換された線状または分枝炭化水素である。
Rは場合により置換基で置換されていてもよい。ある態様において、Rは場合によりヒドロキシ基、アミノ基およびカルボン酸基からなる群から選択される1から4個までの置換基で置換されている。1形態において、Rは場合により1から3個までのヒドロキシ基で置換されている。
Rの具体例には、下記の構造のうちのひとつをもつ部分が含まれる:
[これらの式中、RはC1−6アルキル、好ましくはメチルまたはエチルである]。
本発明はさらに、本明細書に記載する態様のうちのいずれかによるポリマー−薬物コンジュゲートを提供し、その際、ポリマー−薬物コンジュゲートは式(Va)のモノマーのポリマーである:
[式中のR、ZおよびDは本明細書中に定めるものである]。
最も広い観点において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖は天然ポリマー、合成ポリマー、またはその組合わせを含むことができる。
ポリマー主鎖は、フリーラジカル重合、イオン重合、縮重合、開環重合、およびその組合わせからなる群から選択される方法により製造されたポリマーを含むことができる。
ポリマー主鎖は、ホモポリマー、またはコポリマー、たとえばランダムコポリマーもしくはブロックコポリマーを含むことができる。
ポリマー主鎖は、いずれか適切な構造のポリマーを含むことができる。本発明の具体的態様において、ポリマー主鎖は線状ポリマーを含む。
適切なポリマー主鎖は、下記のものからなる群から選択されるポリマーを含むことができる:ビニルポリマー、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリエステルポリマー、ポリアンヒドリドポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリアミドポリマー、ポリイミドポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリウレアポリマー、ポリシロキサンポリマー、フルオロポリマー、多糖類、ポリペプチド、ポリ核酸、そのコポリマー、およびその組合わせ。そのようなポリマーは、ビニルモノマー、多官能性モノマーおよび環状モノマーからなる群から選択される少なくとも1種類のモノマーを重合させることにより製造できる。ポリマー主鎖は、予め選択した環境、たとえば生物学的環境と適合するように選択することができる。
本発明の態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートは生分解性であり、ポリマー主鎖は生分解性ポリマーを含む。少なくともポリマー主鎖の一部は生分解性ポリマーを含む。ある態様において、場合によりポリマー主鎖中に生分解性ポリマーのほかに他のタイプのポリマーが存在してもよい。
ある態様において、ポリマー主鎖全体が生分解性である。したがって、ある態様において、本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖は“生分解性”である部分を含む。
“生分解性”であるとは、コンジュゲート部分が、物理的分解とは異なり生物学的環境で(たとえば、対象の体内で、または血液、組織などの生物材料と接触した際に)化学分解または酵素分解によって破断(すなわち、分子量低下)しやすい分子構造をもつことを意味する。そのような分解は、一般に、コンジュゲートの分子構造の一部を形成する不安定部分の加水分解によるであろう。言い換えると、コンジュゲートは加水分解開裂しやすい部分を含むであろう。生分解性部分の加水分解速度は、幾つかの外因性または内因性の要因(たとえば、光、熱、放射線、pH、酵素または酵素以外による開裂など)によって経時変動し、または活性化される可能性がある。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートに用いるポリマー主鎖は生体適合性であってもよい。本明細書中で用いる“生体適合性ポリマー”は、それの無傷の状態、すなわち合成された状態、および分解した状態(すなわち、それの分解産物)の両方において、下記の点で生体組織と適合性であるポリマーを表わす;それが生体組織に対して毒性がないか、または少なくとも最小である;それが生体組織に損傷を及ぼさないか、または少なくとも損傷が最小かつ修復可能である;ならびに/あるいはそれが生体組織において免疫反応を引き起こさないか、または少なくとも免疫反応が最小および/または制御可能である。
式(I)の部分を含む生分解性ポリマー−薬物コンジュゲートの態様において、生分解性ポリマーはAおよび/またはBの少なくとも一部を形成する。本明細書中で用いる用語“少なくとも一部”は、Aおよび/またはBの少なくとも一部が生分解性ポリマーで構成されることを意味するものとする。他のタイプのポリマーが、生分解性ポリマーのほかに場合によりAおよび/またはB中に存在してもよい。式(I)の部分を含む生分解性ポリマー−薬物コンジュゲートのある態様において、AおよびBはそれぞれ全体が生分解性ポリマーで構成されている。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートの態様において、コンジュゲートはそれのポリマー主鎖の一部として一般式(Ic)の部分を含む:
[式中のAおよびBは同一でも異なってもよく、生分解性ポリマー主鎖の残部を表わす]。
本明細書に記載する式中のAおよびBは、下記を含めた広範な材料から選択され、あるいはそれらを含む:ポリウレタン;場合により1以上の連鎖延長剤(たとえば、ポリエステル)を含むポリウレタン;ポリエステル(たとえば、PLGA(ポリ(乳酸−co−グリコール酸))、PLA(ポリ乳酸)、PGA(ポリグリコール酸)、PHB(ポリヒドロキシブチレート)、PCL(ポリカプロラクトン);ポリアミド;ポリアンヒドリド、ポリカーボネート;ポリイミド;およびその組合わせ。ある態様において、AおよびBは、下記のものから選択され、またはそれらを含む:ポリウレタン;ポリエステル;ポリアンヒドリド;ポリアミド、およびその組合わせ。Aおよび/またはBは、一般にポリマー主鎖に共有結合した1以上の薬物部分をも含むであろう。
意図する用途に応じて、AおよびBをそれらの生体適合性および/またはそれらの生分解性について選択できる。当業者はそのような特性を備えたポリマーを容易に選択できる。
ある態様において、AおよびBはポリエステルから選択でき、あるいはそれを含む。その場合、重合してポリエステルを形成するモノマー単位、一般にジ酸およびジオールは、それぞれ生分解性エステル部分により結合するであろう。
ある態様において、AおよびBはポリウレタンから選択でき、あるいはそれを含む。その場合、重合してポリウレタンを形成するモノマー単位、一般にジイソシアネートおよびジオールは、それぞれ生分解性ウレタン部分により結合するであろう。ウレタン部分はエステル、アンヒドリドまたはカーボネート部分より不安定性が低い。その結果、ポリウレタンを含むかまたはそれからなるポリマー主鎖は、プロスタグランジン薬物をポリマー主鎖に結合させるエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基の開裂速度より遅い速度で侵食される。その結果、ポリウレタンポリマー主鎖にコンジュゲートしたプロスタグランジン薬物は、有利なことにポリマー主鎖の実質的侵食が起きる前にポリマーコンジュゲートから放出できる。
ある態様において、AおよびBはポリウレタンおよびポリエステルのコポリマーから選択でき、あるいはそれを含む。その場合、Aおよび/またはBの生分解性ポリマーは、ジイソシアネートがポリエステルマクロモノマー(macromonomer)またはマクロマー(macromer)と重合することにより形成されたポリ(ウレタン−エステル)またはポリ(エステル−ウレタン)となるであろう。ポリエステルマクロマーは生分解性部分(前記に述べたもの)により結合したモノマー単位から形成され、それとジイソシアネートの重合により、すべてが生分解性ウレタンまたはエステル部分により結合したモノマー単位を有するポリ(ウレタン−エステル)が生成するであろう。Aおよび/またはBの生分解性ポリマーは、エステルを含むモノマーまたはマクロモノマーがポリウレタンマクロモノマーまたはマクロマーと重合することにより形成されたポリ(エステル−ウレタン)である可能性もある。その場合、ポリウレタンマクロマーは、生分解性部分(前記に述べたもの)により結合したモノマー単位から形成され、それとエステルモノマーまたはマクロモノマーとの重合により、すべてが生分解性ウレタンまたはエステル部分により結合したモノマー単位を有するポリ(エステル−ウレタン)が生成するであろう。
ある態様において、AおよびBはポリウレタンおよびポリエーテルのコポリマーから選択でき、あるいはそれを含む。その場合、Aおよび/またはBの生分解性ポリマーは、ジイソシアネートがポリエーテルマクロモノマーまたはマクロマーと重合することにより形成されたポリ(ウレタン−エーテル)またはポリ(エーテル−ウレタン)となる可能性がある。ポリエーテルマクロマーは生分解性部分(前記に述べたもの)により結合したモノマー単位から形成され、それとジイソシアネートの重合により、すべてが生分解性ウレタンまたはエーテル部分により結合したモノマー単位を有するポリ(ウレタン−エーテル)が生成するであろう。Aおよび/またはBの生分解性ポリマーは、エーテルを含むモノマーまたはマクロモノマーがポリウレタンマクロモノマーまたはマクロマーと重合することにより形成されたポリ(エーテル−ウレタン)である可能性もある。その場合、ポリウレタンマクロマーは、生分解性部分(前記に述べたもの)により結合したモノマー単位から形成され、それとエーテルモノマーまたはマクロモノマーとの重合により、すべてが生分解性ウレタン部分により結合したモノマー単位を有するポリ(エーテル−ウレタン)が生成するであろう。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、特定の用途に合わせた適切なポリマー特性(たとえば、柔軟性、構造強度、プロスタグランジン薬物の放出速度)を付与するために、他のモノマーまたは成分を取り込むように有利に変更できる。たとえば式(I)中のAおよびBにより表わされるポリマー主鎖の組成を変化させることにより材料の物理的特性を変更できる。
本明細書に記載するポリマー−薬物コンジュゲートは、場合により親水基を含む。本発明の1観点において、本明細書に記載するポリマー−薬物コンジュゲートはポリマー主鎖中に親水基を含む。ある態様において、親水基は少なくとも1個の活性水素基を含むことができる。親水基は少なくとも1個の活性水素含有基を含むモノマーにより供給され、あるいはそれから誘導できる。本明細書中で用いるように、用語“活性水素含有基”は、水素結合相互作用に関与できる1個以上の水素原子を含む基を表わす。活性水素原子を含む基には、たとえばヒドロキシ、アミンおよびカルボン酸が含まれる。活性水素基を含むモノマーは単一の活性水素基を含むことができ、それらは複数の活性水素基を含むこともできる。たとえば、マクロモノマーは複数の活性水素基を含むことができる。
親水基は、水性環境との水素結合相互作用を増強することにより本発明のポリマー−薬物コンジュゲートの親水性を高めることができる。コンジュゲート内のポリマー主鎖が親水性を示してもよい。ポリマー−薬物コンジュゲートの親水性の増大は、効果的な薬物放出の促進を有利に補助することができる。
“親水性”とは、本明細書に記載する物質、成分または基が水に対する親和性をもつこと、あるいは水を引き付ける基をそれの構造に含むことを意味する。親水性の物質、成分または基は、一般に水に可溶性であるか、あるいは水と混和性であろう。溶解度は、The International Pharmacopoeia, Fourth Edition, 2006などのテキストを参照して測定できる。親水性の物質、成分または基は、最大30ミリリットル(ml)の水性溶媒(水)に20℃で固体1グラム(g)の溶解度をもつことができる。
親水基が存在する場合、それはポリマー−薬物コンジュゲートの少なくとも約5mol%、少なくとも約10mol%、または少なくとも約15mol%を構成することができる。
ポリマー主鎖の1部として式(I)または(Ic)の部分を含むポリマー−薬物コンジュゲートのある態様において、AおよびBのうち少なくとも1つは親水基を含む。ある態様において、親水基は複数の活性水素基を含む。
ある態様において、AおよびBのうち少なくとも1つは、コンジュゲートにポリマー主鎖の一部として取り込まれた少なくとも1つの親水基を含む。
ある態様において、AおよびBのうち少なくとも1つは、ポリマー主鎖に共有結合してペンダント状態にある少なくとも1つの親水基を含む。そのような態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートはポリマー主鎖に結合した少なくとも1つのペンダント親水基およびペンダント薬物部分を含む。
ある態様において、Aおよび/またはBは、ペンダント親水基と鎖内に取り込まれた親水基との組合わせを含むことができる。
それの主鎖の一部として式(I)または(Ic)の部分を含むポリマー−薬物コンジュゲートにおいて、AおよびBのうち少なくとも1つは親水基を含むことができる。親水基はAおよび/またはB中に、ポリマー、たとえば生分解性ポリマーとの組合わせで存在してもよい。
ある態様において、親水基は、複数の活性水素基を含む1以上のモノマーから誘導されたオリゴマーまたはポリマーを含むことができ、その際、活性水素基はヒドロキシ、アミン、カルボン酸、およびその組合わせからなる群から選択される。
ある態様において、活性水素含有モノマーは、下記のものからなる群から選択される少なくとも1つを含む:ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(1,5−ジオキセパン−2−オン)(PDOO)、ポリ(酢酸グリセロール)(PGAc)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(リン酸グリセロール)、アミノ酸ポリマー(たとえば、ポリリジン、ポリグルタミン酸など)、アミノ酸オリゴマー、低分子量ジオール(たとえばC2−C4ジオール、たとえばエチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオールなど)、アミノ酸(リジン、グルタミン酸など)、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酸(たとえば、ヒドロキシ酪酸など)、1,5−ジオキセパン−2−オン、酢酸グリセロール、リン酸グリセロール、またはその組合わせ、もしくはそのコポリマー。
活性水素含有モノマーは、下記のものからなる群から選択されるオリゴマーまたはポリマー部分を含むマクロモノマーであってもよい:ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(1,5−ジオキセパン−2−オン)(PDOO)、ポリ(酢酸グリセロール)(PGAc)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(リン酸グリセロール)、アミノ酸ポリマー(たとえば、ポリリジン、ポリグルタミン酸など)、もしくはアミノ酸オリゴマー、またはそのようなポリマー部分もしくはオリゴマー部分の組合わせもしくはコポリマー。たとえば、マクロモノマーはポリ(エチレングリコール)とPLGAの組合わせを含んでもよい。
オリゴマー部分またはポリマー部分を含むマクロモノマーは、一般に複数の活性水素基を含むであろう。マクロモノマー中に存在するオリゴマー部分またはポリマー部分は生分解性であってもよく、そうでなくてもよい。
親水基を含むオリゴマーまたはポリマー、たとえばポリ乳酸−co−グリコール酸(PLGA)、アミノ酸ポリマー(たとえば、ポリリジン、ポリグルタミン酸など)、およびアミノ酸オリゴマーは、生分解性部分、たとえばエステルおよびアミン部分により結合したモノマー単位から形成することもできるので、そのようなオリゴマーおよびポリマーを本発明のポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖中に取り込ませることが有利であろう。その結果、完全な生分解性のポリマー−薬物コンジュゲートを製造できる。そのような完全な生分解性のコンジュゲートは、インプラントに使用するのに特に適切な可能性がある。
ポリ(エチレングリコール)のモノマー(すなわちジオール)単位は生分解性でないエーテル部分により結合しているので、ポリ(エチレングリコール)などの親水基含有ポリマーが生分解性ではない可能性があることは当業者に認識されるであろう。ただし、そのような基は一般に生体適合性である。
ある態様において、AおよびBは、独立してポリウレタン、ポリエステル、ポリ(ウレタン−エーテル)、ポリ(エステル−エーテル)、ポリ(ウレタン−エステル)、およびポリ(エステル−ウレタン)からなる群から選択されるポリマーを含む。ポリ(ウレタン−エーテル)、ポリ(エステル−エーテル)、ポリ(ウレタン−エステル)およびポリ(エステル−ウレタン)のエーテルまたはエステル成分は、親水基である可能性がある。
ある態様において、エーテル成分はポリ(エチレングリコール)(PEG)およびポリ(酢酸グリセロール)からなる群から選択される少なくとも1つを含む。エーテル成分は、約200から約15,000まで、好ましくは約500から約5,000までの範囲の分子量をもつことができる。
ある態様において、エステル成分は、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)を含む。エステル成分は、約200から約15,000まで、好ましくは約500から約5,000までの範囲の分子量をもつことができる。本発明に用いるPLGAは、乳酸とグリコール酸を種々の比率で含むことができる。乳酸とグリコール酸の比率は、10:90から90:10までの範囲であってもよい。一般に、PLGAポリマー中の乳酸に対するグリコール酸の相対量が高いほど、より親水性のポリマーが得られるであろう。
ある態様において、ポリ(エステル-エーテル)成分は、ポリ(1,5−ジオキセパン−2−オン)(PDOO)からなる群から選択される少なくとも1つを含む。ポリ(エステル-エーテル)成分は、約200から約15,000まで、好ましくは約500から約5,000までの範囲の分子量をもつことができる。
ある態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、ポンイソシアネートおよび場合によりヒドロキシ、アミンおよびカルボン酸から選択される複数の活性水素基を含む1種類以上のモノマーで形成されたポリウレタンポリマーを含むポリマー主鎖を含む。
本発明はまた、ポリマー主鎖、およびそのポリマー主鎖にコンジュゲートした複数のプロスタグランジン薬物を含む、ポリマー−薬物コンジュゲートを提供し、その際、ポリマー−薬物コンジュゲートは式(V)の薬物−モノマーコンジュゲート:
[式中:
およびYはそれぞれ独立して反応性官能基を表わし、あるいはYとYは一緒に開環可能な環状基の一部を形成し;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]
を、適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマーと重合させることにより得られる。
本発明はまた、それのポリマー主鎖の一部として一般式(I)の部分:
[式中:
AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(I)に示す−J−R(ZD)−J−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
およびJは、独立して酸素、C(O)およびNRからなる群から選択され、ここでRは水素またはC1−C6アルキルであり;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]
を含むポリマー−薬物コンジュゲートを製造するための方法を提供し、この方法は、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲート:
[式中:
およびYはそれぞれ独立して反応性官能基を表わし、あるいはYとYは一緒に開環可能な環状基の一部を形成し;
R、ZおよびDは前記に定めたものである]
を、適合性化学官能基をもつ少なくとも1種類のモノマーと重合させる工程を含む。
本発明によれば、薬物−モノマーコンジュゲートは一般式(V)をもつ:
[式中:
およびYはそれぞれ独立して反応性官能基を表わし、あるいはYとYは一緒に開環可能な環状基の一部を形成し;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]。
式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートにおいて、基R、ZおよびDは本明細書中に定めたいずれかの基から選択できる。
式(V)の薬物−モノマーコンジュゲート中の基YおよびYは、それぞれ独立して末端の反応性官能基を表わすことができる。ある態様において、YおよびYは、独立してヒドロキシ、イソシアネート、アンヒドリド、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸ハライド、およびアミンからなる群から選択される。
ある態様において、YおよびYはそれぞれヒドロキシである。その場合、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートは式(Va)の構造をもつジオールであろう:
[式中:R、ZおよびDは本明細書中に定めたものである]。
一般式(XX)(D)のプロスタグランジン薬物を含む式(Va)の薬物−モノマーコンジュゲートの例を下記に示す:
[これらの式中:
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]。
−O−連結基(Z)および一般式(XX)(D)のプロスタグランジン薬物を含む式(Va)の薬物−モノマーコンジュゲートの例を下記に示す。
−OC(O)−C1−12アルキレン−C(O)−連結基(Z)および一般式(XX)(D)のプロスタグランジン薬物を含む式(Va)の薬物−モノマーコンジュゲートの例を下記に示す:
[式中のRは、場合により置換された炭化水素である]。
連結基の選択により式(Va)のモノマー中のOH基からのDの距離が決まるであろう。これに関して、連結基の使用はDをOH基から離すための手段を提供することができる。これにより、OH基の周りの立体的混雑を減らすことによってモノマーの重合を促進できる。
式(V)のモノマーを形成する際、Zを介したモノマーへの薬物の結合を促進するためにコンジュゲーションの前にプロスタグランジン薬物(Dにより表記する)が適合性官能基を必然的に含む。
Z基の一部または全部が、エステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基の一部を形成することができる。これらの連結基がそれぞれ開裂可能な(たとえば、加水分解により、酵素により、および/またはラジカル機序により)共有結合を含むことは当業者に認識されるであろう。一般にそのような連結基は、薬物を放出するために加水分解により開裂できる共有結合を含むであろう。
プロスタグランジン薬物は式(V)のモノマーから放出できるにもかかわらず、本発明の意図はモノマーを重合させてポリマーを形成した後に薬物を放出することであるのは理解されるであろう。
1態様において、式(Va)の薬物−モノマーコンジュゲートは次式をもつことができる:
[式中のR、R、R11、T、U、Y、ZおよびRは本明細書中に定めるものである]。
1形態において、薬物−モノマーコンジュゲートは次式をもつことができる:
[式中:
TおよびUはそれぞれフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成しており、あるいはTはヒドロキシでありかつUは水素であり;
Z、YおよびRは前記に定めたものである]。
上記に示す態様において、プロスタグランジン薬物(D)はRにより薬物−モノマーコンジュゲート中の基Zに連結している。
1態様において、式(Va)の薬物−モノマーコンジュゲートは次式をもつことができる。
そのような態様において、プロスタグランジン薬物(D)はRにより薬物−モノマーコンジュゲート中の基Zに連結している。
1態様において、式(Va)の薬物−モノマーコンジュゲートは次式をもつことができる。
そのような態様において、プロスタグランジン薬物(D)はR11により薬物−モノマーコンジュゲート中の基Zに連結している。
1態様において、式(Va)の薬物−モノマーコンジュゲートは次式をもつことができる。
他の形態において、薬物−モノマーコンジュゲートは次式をもつことができる:
[式中:
はOH、C−CアルコキシまたはC−Cアルキルアミノ(好ましくは、イソプロポキシまたはエチルアミノ)であり;
Z、RおよびYは前記に定めたものである]。
そのような態様において、プロスタグランジン薬物(D)はR15により薬物−モノマーコンジュゲート中の基Zに連結している。
ある態様において、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートは下記の説明に示すように、より具体的な構造をもつことができる:
遊離酸形のラタノプロストに基づいて、以下に示す。
プロスタグランジン薬物(D)がエステル連結基を介してプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンのα−鎖中のRにおいてRに連結している場合、薬物−モノマーコンジュゲートは以下に示す態様において表わされる構造をもつことができる:
[これらの式中:
は、α−鎖がプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの5員環に結合している箇所を表わす]。
プロスタグランジン薬物(D)がアンヒドリド連結基を介してプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンのα−鎖中のRにおいてRに連結している場合、薬物−モノマーコンジュゲートは以下に示す態様において表わされる構造をもつことができる:
[これらの式中:
は、α−鎖がプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの5員環に結合している箇所を表わす]。
プロスタグランジン薬物(D)がエステル連結基を介してプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンのω−鎖中のR15においてRに連結している場合、薬物−モノマーコンジュゲートは以下に示す態様において表わされる構造をもつことができる:
[これらの式中:
は、ω−鎖がプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの5員環に結合している箇所を表わす]。
プロスタグランジン薬物(D)がカーボネート連結基を介してプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンのω−鎖中のR15においてRに連結している場合、薬物−モノマーコンジュゲートは以下に示す態様において表わされる構造をもつことができる:
[これらの式中:
は、ω−鎖がプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの5員環に結合している箇所を表わす]。
プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの15位における上記のエステルおよびカーボネート連結基をプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンの9および11位において形成して、Dが9または11位においてそのような連結基によりRに連結した薬物−モノマーコンジュゲートを得ることができるのは、当業者に理解されるであろう。
本発明による薬物−モノマーコンジュゲートを製造するために、当技術分野で周知の手法、装置および試薬を有利に使用できる。
式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートを合成するための一般法であって、保護基方式を採用した方法の例を以下のスキーム1に提示する(ここで、Dは前記に定めたものであり、D’は放出可能な薬物のヒドロキシまたはカルボン酸以外の部分である)。
スキーム1:式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートを合成するための方法
coupling agent : カップリング剤
式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートを合成するための一般法であって、保護基方式およびジ酸に基づく連結基の使用を採用した一般法の例を以下のスキーム2に提示する(ここで、pはたとえば1から12までの整数であり、Dは本明細書中に定めたものであり、D’は放出可能な薬物のヒドロキシまたはカルボン酸以外の部分である)。
スキーム2:式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートを合成するための方法
coupling agent : カップリング剤
ある態様において、YとYはRと一緒に開環可能な環状官能基の一部を形成している。たとえば、YとYはRと一緒に、環状カーボネート、環状エポキシド、ラクタム、ラクトン、環状アンヒドリド、および環状カルバメートからなる群から選択される環状基の一部を形成することができる。環状基は、4から8個の環員子、または5から7個の環員子を含むことができる。
適切な重合条件下で環状モノマーは開環して適合性化学官能基を含むモノマーと共にポリエステル(環状カーボネートと環状ラクトンから)、ポリエーテル(環状エポキシドから)、ポリアミド(ラクタムから)、ポリアンヒドリド(環状アンヒドリドから)、およびポリウレタン(環状カルバメートから)などのポリマーを形成できることは、当業者に理解されるであろう。そのようなポリマーはホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。
式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートは、当技術分野で既知の手法および方法を用いて製造できる。
1位においてエステル連結基を介して連結したプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを含む薬物−モノマーコンジュゲートは、多種多様な手法を用いて製造できる。1方法は、プロスタグランジンもしくは置換プロスタグランジンのエステル化、またはプロドラッグとポリオール、たとえばグリセロール(トリオール)とのエステル交換を伴う。ラタノプロストについて以下に例を示す:
1位においてエステル連結基を介して連結したプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを含む薬物−モノマーコンジュゲートは、適宜なカップリング剤を用いてエステル結合を生成することによっても製造できる。以下に2例を示す:
Lutidine : ルチジン , Triol : トリオール
1位においてアンヒドリド連結基を介して連結したプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを含む薬物−モノマーコンジュゲートも、当技術分野で既知である多数の方法のいずれかを用いて製造できる。たとえば、Rが本明細書に記載するプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジン中の遊離カルボン酸である場合、この遊離カルボン酸基と他のカルボン酸(たとえば、グリセリン酸またはジヒドロキシイソ酪酸)との反応により、1位にアンヒドリド連結基を生成することができる。若干例を以下に示す:
薬物の9、11および15位の1つにおいてエステル連結基を介して連結したプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを含む薬物−モノマーコンジュゲートも、当技術分野で既知のエステル化法によって、場合によりカップリング剤の存在下で製造できる。9、11および15位のヒドロキシ基は類似の化学的機能性をもつため、ある場合には、残りのヒドロキシ基を選択的にエステル化するために、これら3つのヒドロキシ基のうちの1つまたは2つを適切な保護基で保護することが望ましいであろう。有機合成における適切な保護基のリストは、T.W. Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 1991中にある。この方法の例を以下に示す;ここでは、15位において選択的にエステル化できるように9および11位のヒドロキシ基を保護している。
r.t., 15-60 mins : 室温、15-60分間
薬物の9、11および15位の1つにおいてカーボネート連結基を介して連結したプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを含む薬物−モノマーコンジュゲートは、当業者に既知の方法により、たとえば適切に保護されたプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを適切なクロロホルメートと反応させることにより製造できる。以下に例を示す:
Deprotection : 脱保護 , Monomer : モノマー
薬物−モノマーコンジュゲートの製造に使用するのに適切な可能性がある置換プロスタグランジンの合成のための一般法を概説した幾つかの総説報文には以下のものが含まれる:Collins, P. W. and Djuric, S. W; Chem. Rev. 1993, 93, 1533-1564 Synthesis of therapeutically useful prostaglandin and prostacyclin analogs, Bindra, J. S.; Bindra, R. Prostaglandin Synthesis, Academic Press: New York, 1977, MItra, A. The Synthesis of Prostaglandins, Wiley Interscience: New York 1977, Roberts, S.M.; Scheinmann F; New Synthetic Routes to Prostaglandins and Thromboxanes, Academic Press; San Diego 1982, Caton, M. P. L. Tetrahedron, 1979, 35, 2705, Nicolau, K. C.; Gasic, G. P.; Barnette, W. E.; Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1978, 17, 293、およびNoyori, R. Suzuki, M.; Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1984, 23, 847。
種々の“R”基をもつ式(Va)のジオール薬物−モノマーコンジュゲートは、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを、少なくと2個のヒドロキシ基を含む多官能性前駆分子にコンジュゲートさせることにより製造できる。薬物−モノマーコンジュゲートを形成するのに有用な若干の前駆分子の例を以下に示す:
式(Va)のジオール薬物−モノマーコンジュゲートを形成するために、プロスタグランジン薬物(D)を直接または連結基Zを介して前駆分子中のヒドロキシ、アミノまたはカルボン酸官能基に連結させることができるのは、当業者に認識されるであろう。
上記に示したポリヒドロキシ前駆分子のほかに他のタイプの多官能性前駆分子を用いて薬物−モノマーコンジュゲートを形成できることも、当業者に理解されるであろう。前駆分子の選択は、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジン上の希望する結合部位(すなわち、1、9、11または15位)、薬物をポリマー主鎖に連結する希望する連結基(すなわち、エステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基)、およびポリマー主鎖中に存在させたい生分解性部分のタイプに依存する可能性がある。たとえば、ポリカルボン酸、ポリアミノ、アミノ酸、ヒドロキシアミノまたはヒドロキシ酸前駆分子(上記に示したポリヒドロキシ化合物中のヒドロキシ基のうち1以上をアミノ基またはカルボン酸基で置き換えたもの)を用いて、本発明の薬物−モノマーコンジュゲートを製造できる。一例として、若干のポリカルボン酸前駆分子は下記のものである:
本発明の薬物−モノマーコンジュゲートを製造するために使用できる他の多官能性前駆分子には、セリンおよびジヒドロキシイソ酪酸が含まれる。
ポリカルボン酸、ポリアミノ、アミノ酸、ヒドロキシアミノまたはヒドロキシ酸前駆分子を用いて、ジカルボン酸薬物−モノマーコンジュゲート、ジアミノ薬物−モノマーコンジュゲート、アミノ酸薬物−モノマーコンジュゲート、アミノアルコール薬物−モノマーコンジュゲート、またはヒドロキシ酸薬物−モノマーコンジュゲートを製造することができ、それらの薬物−モノマーコンジュゲートを適合性化学官能基を含む適切なモノマーと反応させて、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートを形成することができる。
本発明はまた、前記に定めたポリマー−薬物コンジュゲートを製造するための方法を提供する。
本明細書に記載する薬物−モノマーコンジュゲートは、適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマーと重合して、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートを形成する。
ある態様において、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートと重合して本発明の生分解性ポリマー−薬物コンジュゲートを形成するモノマーは、薬物−モノマーコンジュゲートと反応するのに適合した化学官能基を含むだけでなく、その反応により生分解性部分も生成するであろう。
本明細書中で用いる“適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマー”という表現は、一般に、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートと適合性でありかつ重合プロセスでそれとの反応を行なうことができる1以上の化学官能基を含むモノマーを表わす。
式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートはホモ重合することができ、あるいはそれらは1種類以上のコモノマーと共重合することができる。したがって、“適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマー”という表現は、そのモノマーが適合性化学官能基を含む限り、薬物−モノマーコンジュゲートと同タイプのモノマーとの重合、または1種類以上の異なるタイプのコモノマーとの重合を表わす。
ホモ重合は、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートが少なくとも2つの異なる末端反応性官能基を含む場合に行なうことができる。たとえば、式(V)中のYがヒドロキシ基であり、Yがカルボン酸官能基である場合。したがって、ヒドロキシ官能基とカルボン酸官能基の縮合によるヒドロキシ酸薬物−モノマーコンジュゲートの重合により、エステル連結基をもつポリマー主鎖を含むポリマー−薬物コンジュゲートが生成する。ヒドロキシ官能基およびイソシアネート官能基を含む薬物−モノマーコンジュゲートのホモ重合により、ウレタン連結基をもつポリマー主鎖を含むポリマー−薬物コンジュゲートを同様に形成できる。
式(Vb)の開環性の薬物−モノマーを用いるホモ重合も、重合反応を適切に開始させた後に行なうことができる。
共重合は、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートが同じタイプの2つの末端反応性官能基を含む場合、たとえば式(V)中のYおよびYがそれぞれヒドロキシである場合に行なうことができる。コポリマーであるポリマー主鎖を含むポリマー−薬物コンジュゲートを形成するために、そのような薬物−モノマーコンジュゲートを、YおよびYと反応しうる適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のコモノマーと重合させる。
共重合はさらに、式(Vb)の薬物−モノマーが適切なコモノマーの存在下で開環重合して、コポリマーであるポリマー主鎖を含むポリマー−薬物コンジュゲートを形成する場合に行なうことができる。この場合、コモノマーは開環性モノマーであってもよく、そうでなくてもよい。開環性コモノマーは、一般に環状コモノマーである。開環性コモノマーは、ラクチド、グリコリドおよびε−カプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1種類の環状化合物を含むことができる。
ある態様において、式(Va)に示すように、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲート中のYおよびYは末端ヒドロキシ基である。ヒドロキシ基が多様な官能基と反応することは当業者に認識されるであろう;たとえば、イソシアネート官能基と反応してカルバメートまたはウレタン連結基を形成する;カルボン酸官能基と反応してエステル連結基を形成する;カルボン酸ハライド官能基と反応してエステル連結基を形成する;エステル官能基と反応してエステル交換したエステル連結基を形成する;およびアンヒドリド官能基(環状アンヒドリド基を含む)と反応してエステル連結基を形成する。したがって、“適合性化学官能基”という表現は、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハライド、エステル、アミンおよびアンヒドリド(環状アンヒドリド基を含む)基などの官能基または基を表わすことができる。
したがって、本明細書中で用いる“適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマー”という表現は、一般に、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハライド、エステル(環状エステルまたはラクトン基を含む)、アンヒドリド(環状アンヒドリド基を含む)、カーボネート(環状カーボネート基を含む)、アミド(環状アミドまたはラクチド基を含む)、およびアミノ基、ならびにその組合わせから選択される1以上の適合性官能基を含むモノマーを表わすことができる。そのようなモノマーの例は、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリ酸、ポリ酸ハライド、ポリエステル、ポリアンヒドリド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミン、およびその組合わせからなる群から選択できる。本発明の態様において、適合性官能基を含むモノマーはジイソシアネート、ジ酸、ジ酸ハライド、ジエステル(特に、ジビニルエステル)、およびジアンヒドリドからなる群から選択される。
ある態様において、本発明は本明細書に記載するいずれか1つの態様によるポリマー−薬物コンジュゲートを製造する方法を提供し、その方法は、次式の薬物−モノマー:
を、ポリ酸ハライド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸アンヒドリド、ポリイソシアネート、ポリアミン、環状エステルおよび環状カーボネートからなる群から選択されるモノマーと重合させることを含む。
ある態様において、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートを、下記からなる群から選択される少なくとも1種類のモノマーと重合させる:ジ酸ハライド、ジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、特にジビニルエステル、ジカルボン酸アンヒドリド、ジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、アミノ酸をベースとするジイソシアネート(たとえば、リジンジイソシアネートのエステル(たとえば、リジンジイソシアネートのエチルエステル(ELDI))およびジバリンジイソシアネート 1,3−プロパンジオール(DVDIP))、ラクトンおよび環状カーボネート。
式(Va)のジオールとポリイソシアネート、ポリ酸またはポリエステルとの重合を1種類以上の他のタイプのポリオール、ラクトンまたはラクチド(たとえば、ポリエステルポリオール)の存在下でも実施できることも当業者に認識されるであろう。これらの1種類以上の他のタイプのポリオールの構造は、1以上の薬物部分を含んでもよく、含まなくてもよい。この第2タイプのポリオールの例はカプロラクトンである。こうして形成されたポリマー−薬物コンジュゲートは、50モル%未満の薬物装填量をもつ場合、またはそうではない場合がある。たとえば、式(V)のジオールを等モル量のカプロラクトンおよび2モル当量のジイソシアネートの存在下で重合させる場合、こうして形成されるポリウレタンは、一般にこれら3成分の残基を1:1:2の比率で含むであろう。本発明はそのようなコンジュゲートを考慮する。そのようなポリマー系は、ポリマーコンジュゲートの物理的特性を改質するための有用な手段を提供できる。
ポリマー−薬物コンジュゲートを製造するために使用できる適切なポリイソシアネートには、脂肪族、芳香族および脂環式のポリイソシアネートならびにその組合わせが含まれる。具体的なポリイソシアネートには、ジイソシアネート、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート、およびリジンジイソシアネートのアルキルエステル(たとえば、リジンジイソシアネートのC1−3アルキルエステル、特にリジンジイソシアネートのエチルエステル−ELDI);ならびにその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
ある態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートを製造する際、本明細書に記載する式の薬物−モノマーコンジュゲートと適合性化学官能基を含むモノマーとの重合は、1種類以上のコモノマーの存在下で行なうことができる。
ある態様において、コモノマーは少なくとも1個の活性水素基を含むモノマーであってもよい。本明細書に記載する薬物−モノマーコンジュゲートと、適合性官能基を含むモノマーおよび少なくとも1個の活性水素基を含むモノマーとの重合により、ポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖に親水基が取り込まれる。
ある態様において、活性水素基を含むモノマーは、複数の活性水素基を含むマクロモノマーである。活性水素基は、ヒドロキシ基、アミン基およびカルボン酸基、ならびにその組合わせから選択できる。
活性水素基、および活性水素基を含むモノマーは、本明細書に記載されている。そのようなモノマーは、一般に、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートおよび適合性化学官能基を含むモノマーからなる群から選択される少なくとも1つと反応できる少なくとも1個の官能基を含むであろう。すなわち、活性水素基を含むモノマーは、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートおよび/または適合性化学官能基を含むモノマーと反応できる。活性水素基を含むモノマーは、少なくとも2個の反応性官能基を含むことができる。
ある態様において、活性水素基を含むモノマーは、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートまたは適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマーと反応できる少なくとも1個の反応性官能基を含み、それはヒドロキシ、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸のハライド、エステル、アンヒドリド(環状アンヒドリド基を含む)、アミド、およびアミノ基、ならびにその組合わせからなる群から選択される。
活性水素を含むモノマー(たとえば、マクロモノマー)は、一般に予め形成され、次いでポリマー−薬物コンジュゲートを製造するために用いられるモノマー混合物に添加される。
ある態様において、活性水素基を含むモノマーを、式(V)の薬物−モノマーコンジュゲート(たとえば、YおよびYがそれぞれヒドロキシであるジオール)および適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマー(たとえば、ポリイソシアネート、ポリ酸またはポリエステルポリオール)を含むモノマー混合物に添加することができる。そのような場合、活性水素基を含むモノマーは、適合性化学官能基を含むモノマーの官能基と反応できる官能基を少なくとも2個含むことが好ましく、これにより活性水素基を含むモノマーがポリマー−薬物コンジュゲート中にポリマー主鎖中の親水基として取り込まれる。
ある態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、式(V)のジオール薬物−モノマーコンジュゲートと、ポリマーまたはオリゴマー単位および適合性化学官能基を構成する少なくとも2個の末端基を含む活性水素基含有モノマーとの重合により形成できる。そのような場合、活性水素基を含むモノマーのこれらの末端基が式(V)のモノマー中のヒドロキシ基と反応して、ポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖中に親水基を取り込むことができる。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートのある態様において、ポリマー主鎖はポリ(ウレタン−エーテル)、ポリ(エステル−エーテル)、ポリ(ウレタン−エステル)、およびポリ(エステル−ウレタン)からなる群から選択されるコポリマーを含む。コポリマーのエーテルまたはエステル成分は、ポリマー主鎖中の親水性セグメントを供給することができる。
ある態様において、エーテル成分は、活性水素基を含むモノマーとしてのポリエーテルポリオール(たとえば、PEGマクロモノマー)と本発明の薬物−モノマーコンジュゲートおよび適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマーとの重合により、ポリマー主鎖に導入できる。
ある態様において、エステル成分は、活性水素基を含むモノマーとしてのポリエステルポリオールと本発明の薬物−モノマーコンジュゲートおよび適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマーとの重合により、ポリマー主鎖に取り込ませることができる。
ある態様において、活性水素基を含むモノマーを本発明のポリマー−薬物コンジュゲートの合成中にその場で重合させ、その後にコンジュゲートのポリマー主鎖に親水性ポリマー基またはオリゴマー基を取り込ませることができる。
ある態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、式(Va)のジオール、適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマー、および少なくとも活性水素基を含むモノマーの混合物を重合させることにより形成できる。活性水素基を含むモノマーは、一般に、式(Vc)のジオールおよび/または適合性化学官能基を含むモノマーと反応できる反応性官能基を含むであろう。こうして、活性水素基を含むモノマーを親水基としてポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖に取り込ませることができる。
本発明はまた、それのポリマー主鎖の一部として一般式(Ic)の部分:
[式中:
AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(Ic)に示す−O−R(ZD)−O−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
Rは、場合により置換された炭化水素であり;
Zは、連結基であり;
Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]
を含むポリマー−薬物コンジュゲートを製造するための方法を提供し、この方法は、式(Va)の薬物−モノマーコンジュゲート:
[式中:R、ZおよびDは前記に定めたものである]
を、適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマーと重合させることを含む。
式(Va)のジオール薬物−モノマーコンジュゲートと適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマーとの反応は、場合により、少なくとも1個の活性水素基を含むモノマーの存在下で行なうことができる。活性水素基を含む適切なモノマーの例は前記に記載されている。
1態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、式(V)、(Va)または(Vb)の薬物−モノマーコンジュゲートを、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリ酸、ポリエステル、ポリ(エステル−エーテル)、ポリアンヒドリド、ポリアミン、およびその組合わせからなる群から選択される、適合性化学官能基を含む少なくとも1種類のモノマーの存在下で重合させることにより得られる。
1態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、式(V)、(Va)または(Vb)の薬物−モノマーコンジュゲートを、ポリイソシアネート、ならびにポリ酸、ポリエステル、ポリエステルポリオール、ポリ(エステル−エーテル)、ポリエステルヒドロキシ酸およびポリエーテルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種類の存在下で重合させることにより得られる。
1態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、式(V)、(Va)または(Vb)の薬物−モノマーコンジュゲートを、ポリイソシアネート、ならびにポリエステルポリオール、ポリ(エステル-エーテル)、ポリエステルヒドロキシ酸およびポリエーテルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種類の存在下で重合させることにより得られる。
ポリマー−薬物コンジュゲートを製造するために使用できる適切なポリイソシアネートには、脂肪族、芳香族および脂環式のポリイソシアネートならびにその組合わせが含まれる。具体的なポリイソシアネートは、下記のものからなる群から選択できる:m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−トルエンジイソシアネートおよびそれの異性体、イソホロンジイソシアネート、ジシクロ−ヘキシルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’ ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネート、4,4’−ジメチル−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジバリンジイソシアネート 1,3−プロパンジオール、およびリジンジイソシアネートのアルキルエステル(好ましくは、リジンジイソシアネートのエチルエステル)、ならびにその組合わせ。好ましいポリイソシアネートには、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネートのアルキルエステル(好ましくは、リジンジイソシアネートのC1−3アルキルエステル、特にリジンジイソシアネートのエチルエステル)およびジバリンジイソシアネート 1,3−プロパンジオール(DVDIP)が含まれる。
適切なポリ酸は、下記のものからなる群から選択できる:シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、ドデカンジ酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ドデシルコハク酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イタコン酸、マロン酸、メサコン酸、およびその組合わせ。好ましいポリ酸には、マレイン酸およびコハク酸が含まれる。
適切なポリエステルポリオールは、ポリカプロラクトンジオール(PCLD)、ポリ(DLラクチド)(DLLA)およびポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ならびにその組合わせからなる群から選択できる。
適切なポリエーテルポリオールは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、およびその組合わせからなる群から選択できる。
適切なポリ(エステル−エーテル)は、ポリ(1,5−ジオキセパン−2−オン)(PDOO)であってもよい。
適切なヒドロキシ酸には、乳酸およびグリコール酸、ならびにその組合わせが含まれる。
本発明による薬物−モノマーコンジュゲートを製造するために、当技術分野で周知の手法、装置および試薬を有利に使用できる。
たとえば、ポリウレタンは、バッチ法で、すべての成分を一緒に混合し、発熱が起きるまで待ち、続いてその混合物を容器内へキャスティングすることにより製造できる。混合物を次いで加熱して反応を推進することができる。この方法を応用する際、混合すべき成分を混合前にまず2つのパートに分けることができる:パート−1は本発明による薬物−モノマーコンジュゲートおよび下記のうち1種類以上を含むことができる:ポリオール(たとえば、ポリエステルポリオール)、連鎖延長剤、発泡剤(たとえば、水)、触媒、および界面活性剤など。パート−2は、一般にポリイソシアネートを含む。パート−1またはパート−2は、他の添加剤、たとえば充填剤なども含むことができる。
ポリウレタンをプレポリマーとして製造し、それをその後に連鎖延長剤と反応させることもできる。たとえば、モル比の適切な調整によって、上記のパート−1とパート−2を混合することによりイソシアネート末端基付きプレポリマーを製造することができる。次いで、このイソシアネート末端基付きポリマーを連鎖延長剤/分枝形成分子、たとえば短鎖ジオール(たとえば、1,4−ブタンジオール)またはポリオール(たとえば、トリオール)と反応させることができる。あるいは、モル比の適切な調整により、プレポリマーをヒドロキシ末端基付きであるように製造しておくことができる。このヒドロキシ末端基付きプレポリマーを、次いでポリイソシアネートと反応させて、目的とするポリウレタンを製造することができる。
変更可能な要因、たとえばコモノマーおよびポリマー製造手段の選択も、高度に非晶質および/または柔軟なポリマーの製造を支援することができる。たとえば、カプロラクトンなどのモノマーまたはポリカプロラクトンジオールなどのポリエステルポリオールを用いて、得られるポリマーの結晶性を低下させ、柔軟性を高めることができる。さらに、ポリエステル、たとえばPLGA、PDOO、およびポリエーテル、たとえばポリ(エチレングリコール)は、ポリマー−薬物コンジュゲートの親水性を高めることができる。
ポリウレタン形成反応は、バッチ式ケトル、スタティックミキサー、反応型注入成形機または押出機を含めた広範な種々の装置で実施できる。試薬の溶解性を改善するために、またはそれらの反応性を高めるために、反応プロセスの前または途中で試薬を加熱することも有利な場合がある。反応プロセスを溶媒中で実施してもよい。
ポリマー−薬物コンジュゲートを製造するために使用できる適切なポリ酸には、脂肪族、芳香族および脂環式のポリ酸ならびにその組合わせが含まれる。具体的なポリ酸には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、およびマロン酸。上記ジ酸のエステル、ジエステルおよびアンヒドリドも本発明の方法に適切である。
ポリエステルは、バッチ法で、すべての成分を一緒に加熱および連続撹拌しながら混合することにより製造できる。反応の凝縮物、たとえば水または低分子量アルコール(コモノマーとして酸またはエステルのいずれを用いるかによる)は蒸留により除去できる。反応を促進してより高い分子量のポリエステルを生成するために、温度を高め、真空を付与してもよい。
重合速度を高めるために、当業者に周知の重縮合触媒を反応混合物に含有させることができる。
この反応は、重合速度を高めるのに役立つ適切な溶媒中でも実施できる。その溶媒は、一般に凝縮物(たとえば、水または低分子量アルコール)について最小限の溶解度しかもたないように選択されるであろう。たとえば、反応をトルエン中で実施し、トルエン/凝縮物混合物を連続的に留去し、そして凝縮物をディーン−スターク(Dean-Stark)トラップ内で分離させることができる。
カルボン酸ハライドモノマーを用いてポリエステルを製造する場合、HX(ここで、Xはハライド)の除去により縮合反応が推進されることは当業者に認識されるであろう。たとえば、ジ酸クロリドコモノマーを式(V)のモノマー−薬物コンジュゲートと共に用いる場合、その反応からHClが遊離するであろう。そのような反応は、反応を推進するために溶液中で高められた温度において実施することができる。遊離した酸ハライドとの塩を形成するのに適切な塩基を添加することもできる。たとえば、1:1のモル比のジ酸クロリドコモノマーと式(V)の薬物−モノマーコンジュゲートを含有する反応混合物に、過剰のトリエチルアミンを含有させてもよい。この反応により、目的とするポリマー−薬物コンジュゲートおよびトリエチルアミン塩酸塩が生成するであろう。
そのようなすべての重縮合反応について、反応に用いるモノマーのモル比および官能性を調整することにより、得られるポリエステルの分子量、それの分枝度(モノマー官能性の制御による)、およびそれの末端基官能性を、ある程度制御することができる。
適切な薬物装填量をもち、機械的特性、生物活性物質の放出速度、成形性などを備えたポリマーコンジュゲートを製造するために、その薬物−モノマーコンジュゲートについてコモノマー/反応条件などの慎重な選択が要求される可能性もある。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートが完全に生分解性である場合、ポリマー主鎖を構成するすべての反復単位が生分解性部分により結合しているであろう。したがって、そのコンジュゲートの製造に用いるモノマーまたはマクロモノマーはいずれも、エーテルなどの非−生分解性部分により結合した反復単位を含むべきではない。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖は、約250ダルトンから約2MMダルトンまで、好ましくは500ダルトンから500,000ダルトンまで、より好ましくは2,000ダルトンから200,000ダルトンまでの分子量をもつことができる。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは高い薬物装填量に対応でき、ある用量の薬物を送達するのに必要な材料の量が最小限に抑えられる。ポリマーの総重量に対して少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%からなる群から選択される薬物装填量を達成できる。
薬物装填量は、ポリマーを形成しているモノマーの総モル数に対する薬物のモル%で表わすこともできる。一般に、ポリマー−薬物コンジュゲートは、ポリマーを形成しているモノマーの総モル数に対して少なくとも10、少なくとも25、少なくとも35、少なくとも45、または最大50モル%の薬物を含むであろう。
ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートは、ポリマーを形成しているモノマーの総モル数に対して最大10、最大20、最大30、最大40、さらには最大50モル%のコンジュゲートした薬物を含むであろう。
前記のように、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートの主鎖にコンジュゲートしたプロスタグランジン薬物は放出可能である。放出された時点で、薬物は生物活性であり、あるいはインビボまたはインビトロで生物活性形態に変換されるであろう(たとえば、プロドラッグの場合)。
薬物部分(D)はポリマー主鎖にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基により連結しているので、ポリマー−薬物コンジュゲートからの薬物の開裂は一般に加水分解反応により進行するであろう。適切な条件下でのエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基の加水分解により、薬物をコンジュゲートから放出できる。当業者はエステル、アンヒドリドまたはカーボネートが加水分解して薬物を放出する適切な条件を判定できるであろう。薬物放出を評価する試験を本明細書中の実施例に記載する。ポリマー−薬物コンジュゲートが生分解性である場合、連結基の加水分解は好ましくはポリマー主鎖の分解速度より速い速度で進行する。
エステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基の加水分解は、周囲環境のpHによって影響される可能性がある。たとえば、より高いアルカリ性(pH8.0以上)の環境は加水分解の促進、したがって薬物放出の促進に役立つ可能性がある。
本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートは、薬物の制御送達が要求される用途に特に有用であることが見いだされた。したがって、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは制御放出による薬物送達システムを提供できる。“制御”放出とは、希望する期間にわたって薬物が放出されるように薬物放出量が制御されることを意味する。制御放出は、薬物の零次放出、一次放出、または遅延放出であってもよい。
ある態様において、持続放出による薬物送達システムが得られるように薬物をポリマー−薬物コンジュゲートから放出させることができる。“持続”放出とは、ある用量の薬物が長期間にわたって、たとえば数日間ないし数週間にわたって放出されることを意味する。これにより、希望する期間にわたる処置コース期間中、療法効果を維持することができる。これにより、処置期間中にコンジュゲートを反復投与する必要性が避けられるので、これは有利となる可能性がある。
ある態様において、プロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンの制御放出は少なくとも15日、少なくとも30日、少なくとも45日、少なくとも60日、および少なくとも90日からなる群から選択される期間にわたって起きる。長期間にわたる制御放出は、インプラントの場合に患者が医療専門家を訪れるのと合わせやすくするのに有利となる可能性がある。
ある態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、少なくとも約20ng/24時間のレベルで薬物を放出できる。本発明の態様において、薬物は少なくとも約50ng/24時間のレベルで放出される。そのような放出レベルは、一般にプロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンについての療法レベル以上である。
他の観点において、本発明はまた、本明細書に記載するポリマー−薬物コンジュゲートを含む薬物送達システムを提供する。この薬物送達システムは、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを対象に投与するのを容易にすることができる。
薬物放出を増強するために、本発明の薬物送達システムは、ある態様において親水性成分を含むであろう。
親水性成分を本発明のポリマー−薬物コンジュゲートと混合またはブレンドしてもよく、あるいはそれをポリマー−薬物コンジュゲートにポリマー主鎖の成分として取り込ませてもよい。親水性成分の含有は薬物放出を支援することができる。
ある態様において、下記からなる群から選択される少なくとも1つにより親水性成分を供給することができる:(i)少なくとも1つの親水基を含む、ポリマー−薬物コンジュゲートのポリマー主鎖、および(ii)ポリマー−薬物コンジュゲートと混合した少なくとも1つの親水性ポリマー。薬物送達システムは(i)と(ii)の組合わせを含むこともできる。
親水基を含むポリマー主鎖を含むポリマー−薬物コンジュゲートを本明細書に記載する。前記に述べたように、親水基は(i)コンジュゲートにポリマー主鎖の一部として取り込まれた少なくとも1個の親水基、(ii)ポリマー主鎖に共有結合してペンダント状態にある少なくとも1個の親水基、または(iii)その組合わせにより供給できる。親水基は少なくとも1個の活性水素基を含むモノマーにより供給でき、またはそれから誘導でき、複数の活性水素基を含むオリゴマーまたはポリマー部分を含むことができる。活性水素基は本明細書に記載されている。そのようなポリマー−薬物コンジュゲートを本発明の薬物送達システムに含有させることができる。
ある態様において、ポリマー主鎖の一部として親水基を含むポリマー−薬物コンジュゲートは、下記のものからなる群から選択される少なくとも1つのオリゴマーまたはポリマー部分を含む:ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(1,5−ジオキセパン−2−オン)(PDOO)、ポリ(酢酸グリセロール)(PGAc)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(リン酸グリセロール)、アミノ酸ポリマー(たとえば、ポリリジン、ポリグルタミン酸など)、もしくはアミノ酸オリゴマー、またはそれらのポリマーもしくはオリゴマー部分の組合わせもしくはコポリマー。
ある態様において、本発明の薬物送達システムは、少なくとも1種類の親水性ポリマーをポリマー−薬物コンジュゲートとの混合物として含む。そのような態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートは本明細書に記載する親水基を含んでもよく、含まなくてもよい。1形態において、ポリマー−薬物コンジュゲートを親水性ポリマーとブレンドする。
本発明の薬物送達システムのある態様において、親水性ポリマーは、少なくとも1個の活性水素基を含む少なくとも1種類のモノマーから誘導される。そのようなモノマーの例には、低分子量ジオール(好ましくは、C2−C4ジオール、たとえばエチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオールなど)、アミノ酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酸(好ましくは、ヒドロキシ酪酸など)、1,5−ジオキセパン−2−オン、酢酸グリセロールおよびリン酸グリセロールが含まれる。親水性ポリマーは単一タイプのモノマー単位を含んでもよい。親水性ポリマーは、そのようなモノマーから誘導される2以上の異なるタイプのモノマー単位の組合わせを含むコポリマーであってもよい。
ある態様において、親水性ポリマーは下記のものからなる群から選択される少なくとも1つである:ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(1,5−ジオキセパン−2−オン)(PDOO)、ポリ(酢酸グリセロール)(PGAc)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(リン酸グリセロール)、アミノ酸ポリマー、およびその組合わせ。本発明の薬物送達システムの1形態において、親水性ポリマーはポリ(エチレングリコール)である。
薬物送達システムはポリマー−薬物コンジュゲートと混合した単一タイプの親水性ポリマーを含んでもよく、あるいはそれは2以上の異なるタイプの親水性ポリマーの組合わせを含んでもよい。
ポリマー−薬物コンジュゲートと混合した親水性ポリマーは、いずれか適切な分子量のものであってよい。ある態様において、親水性ポリマーは約200から約15,000までの範囲、好ましくは約500から約5,000までの範囲の分子量をもつ。
好ましい態様において、薬物送達システムは、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートをポリ(エチレングリコール)と混合したものを含む。ポリ(エチレングリコール)は、好ましくは約1000から約3,000までの範囲の分子量をもつ。
エステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結したプロスタグランジン薬物を含むポリマー−薬物コンジュゲートと組み合わせた親水性成分の使用は、ポリマーコンジュゲートからの薬物放出の促進に役立つ。理論により束縛されたくはないが、ペンダント薬物付近の親水性成分は、薬物をポリマー主鎖にコンジュゲートしている連結基付近に水分子を引き付け、これにより連結基の加水分解を始動して薬物を放出させることによって、薬物放出の促進に役立つと考えられる。
ある態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは実質的に薬物の零次放出を提供できる。零次放出は、確実に定常量の薬物を経時放出するのに役立つ。ある態様において、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは療法有効量の薬物の零次放出を少なくとも7日間にわたって提供できる。ある態様において、療法有効量の薬物の零次放出は、少なくとも15日、少なくとも30日、少なくとも45日、少なくとも60日、および少なくとも90日からなる群から選択される期間にわたって行なわれる可能性がある。零次放出プロフィールは、ポリマー−薬物コンジュゲートが溶媒に完全に溶解する場合ですら達成できる。
有利なことに、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、最適量より多量の薬物が初期に放出される“バースト作用”を伴わない。バースト作用は薬物の過剰投与をもたらす可能性があるので望ましくない。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートを医薬組成物中に配合することができる。これに関して、ポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムを、医薬的に許容できるキャリヤーとブレンドすることができる。“医薬的に許容できる”とは、そのキャリヤー自体が対象への投与に適切であることを意味する。言い換えると、対象へのそのキャリヤーの投与によって、アレルギー反応および疾病状態を含めた許容できない毒性は生じないであろう。用語“キャリヤー”は、コンジュゲートが投与前に収容されるビヒクルを表わす。
ある態様において、キャリヤーは医薬的に許容できる溶媒である。医薬的に許容できる適切な溶媒は、水性溶媒、たとえば水であってもよい。本発明のポリマー−薬物コンジュゲートおよび本発明の薬物送達システムは、有利には溶媒に可溶性であってもよい。
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートは、対象に投与するのに適切な形態で製造できる。
ポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムの形態は、要求される用途に合うように調整できる;たとえば、コーティング、フィルム、ペレット、繊維、積層品、発泡製品など。送達システムはその最も簡単な形態では、希望する形状、たとえばロッドまたはより複雑な形状で提供されるコンジュゲートであってもよい。生物学的環境とコンジュゲートの接触表面積を増大させるために、コンジュゲートを、支持体上のコーティングの形態で、または多孔性物品(たとえば、連続気ほう発泡製品)として提供することもできる。
異なる身体構造体は異なる質量をもつ可能性があり、その結果、本質的に同じポリマー組成物から異なる薬物放出速度が生じる可能性がある。
用途に合うようにポリマーの形態を調整し、さらに薬物放出プロフィールを制御するようにポリマーの形態をさらに調整することにより、薬物の放出プロフィールを制御するための単なる組成およびポリマー構造上の措置を上回るさらに他の利点を提供できる。
本発明によるポリマー−薬物コンジュゲート、または本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートを含有する材料もしくは薬物送達システムを、物品またはデバイスに成形することができる。物品またはデバイスは広範な形態に加工できる。適切には、物品またはデバイスは医療用具である。本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートは、インビトロおよびインビボ用途における標的化のためのコーティングに含有させ、またはコーティングにすることもできる。
本発明によるポリマー−薬物コンジュゲート、または本発明によるポリマー−薬物コンジュゲートを含有する材料を、眼への送達を容易にするのに適した形状の物品またはデバイスに成形することができる。そのようなデバイスのひとつは、20〜23ゲージの注射針の内腔に収容できるロッド状インプラントである。そのインプラントの外径は、0.5mm未満、好ましくは約0.4mm、より好ましくは0.3mmであろう。インプラントの長さは、要求量の薬物を送達するように選択できる。
得られるインプラントは固体、半固体、さらにはゲルであってもよい。固体インプラントは37℃を超えるガラス転移温度(示差走査熱量測定により測定して)をもつ材料を含み、半固体は25〜37℃またはそれよりわずかに低いガラス転移温度をもつであろう。ゲルは、ポリマー−薬物コンジュゲートに適切な可塑剤を配合することにより形成できる。
ロッド状インプラントは多種多様な構造形態であってもよい。まず、ロッド状インプラントはポリマー−薬物コンジュゲートのみから、または他の適切な生分解性ポリマー(たとえば、PGLAまたは分解性ポリウレタン)とのブレンドとして構成できる。
他の可能性は、ロッド状インプラントを二成分構造体として作成することであり、その際、ポリマー−薬物コンジュゲートを外層または内層のいずれかに収容できる。外層へのポリマー−薬物コンジュゲートの装入は、計量した用量を得るために行なうことができる。さらに、内層の生分解性ポリマーは、針による送達ができるように構造統合性を得るためである可能性がある。さらに、内側のポリマーを、ポリマー−薬物コンジュゲート層より速やかにまたは遅く分解するように設計できる。これによりインプラントの生分解速度を変更できる。
インプラントからの薬物放出に影響を及ぼすことなく、ポリマー−薬物コンジュゲートを含有する種々の形状のロッド状インプラントを製造することもできる。
上記のロッド−繊維インプラントを製造できる手段には、下記のものが含まれる:
・付形したダイからの、ポリマー−薬物コンジュゲート、またはポリマー−薬物コンジュゲートを含有する材料の溶融押出;
・適宜なダイからのポリマー−薬物コンジュゲートと外層または内層を形成する他の材料との二成分同時押出;
・1ポリマー層ずつの逐次オーバーコーティング押出。たとえば、PGLAのコアポリマー繊維を薬物−ポリマーコンジュゲート含有ポリマーで溶融オーバーコートすることができる;
・適宜な内側ポリマーキャリヤー材料(たとえば、PGLAを)を薬物−ポリマーコンジュゲート含有溶液で溶液コートすることもできる。
本発明はまた、本発明のポリマー−薬物コンジュゲートを含む持続薬物送達システムを提供する。1態様において、持続薬物送達システムはインプラントの形態であってもよい。持続薬物送達システムは、プロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを長期間、たとえば少なくとも15日、少なくとも30日、少なくとも45日、少なくとも60日、または少なくとも90日にわたって投与することができる。持続薬物送達システムは、プロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンを投与するためのより好都合な方法となることができる;それは療法レベルの薬物を長期間にわたって連続投与するのを可能にし、薬物療法計画を患者が医療または保健の専門家を訪れる計画と合わせることができるからである。
他の観点において、本発明は対象において緑内障を処置するためのインプラントを提供し、その際、インプラントは本明細書に記載する態様のいずれか1つのポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムを含む。
そのインプラントは眼に投与するのに適したいかなる形態であってもよい。ある態様において、インプラントは対象の眼に配置するための固形物品の形態であってもよい。本発明のポリマー−薬物コンジュゲートおよび薬物送達システムは、プロスタグランジンおよび置換プロスタグランジンを緑内障の処置のために送達するのに使用できる。
他の観点において、本発明は一方または両方の眼が緑内障に罹患している対象において緑内障を処置するための方法を提供し、その方法は、緑内障に罹患している眼に本明細書に記載する態様のいずれか1つのポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムを投与することを含む。
ある態様において、ポリマー−薬物コンジュゲートまたは薬物送達システムは固形ポリマー物品(たとえば、粒子、ロッドまたはペレット)の形態であってもよく、この方法はその物品を対象の罹患している眼に埋め込むことを含む。1形態において、この方法は注射針の内腔にポリマー物品を蓄積し、そのポリマー物品を眼に注入することを含む。
他の観点において、本発明はまた、対象の少なくとも一方の眼において緑内障を処置するための医薬の調製における、本明細書に記載するポリマー−薬物コンジュゲートの使用を提供する。
他の観点において、本発明はまた、対象の少なくとも一方の眼において緑内障を処置するための医薬の調製における、本明細書に記載する薬物送達システムの使用を提供する。
本明細書中で“場合により置換された”は、ある基が、下記のものを含めた1、2、3またはそれ以上の有機および無機の基(すなわち、任意選択的な置換基)で置換されるかまたはそれと縮合して(それにより縮合多環式基を形成する)いてもよく、そうでなくてもよいことを意味するものと解釈される:アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボサイクリル、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロアリール、アシル、アラルキル、アルカリール、アルクヘテロサイクリル(alkheterocyclyl)、アルクヘテロアリール(alkheteroaryl)、アルクカルボサイクリル(alkcarbocyclyl)、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロカルボサイクリル、ハロヘテロサイクリル、ハロヘテロアリール、ハロアシル、ハロアリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、ヒドロキシカルボサイクリル、ヒドロキシアリール、ヒドロキシヘテロサイクリル、ヒドロキシヘテロアリール、ヒドロキシアシル、ヒドロキシアラルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルコキシアルキニル、アルコキシカルボサイクリル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロサイクリル、アルコキシヘテロアリール、アルコキシアシル、アルコキシアラルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボサイクリルオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリルオキシ、アシルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ハロカルボサイクリルオキシ、ハロアラルキルオキシ、ハロヘテロアリールオキシ、ハロヘテロサイクリルオキシ、ハロアシルオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロサイクリル、ニトロヘテロアリール、ニトロカルボサイクリル、ニトロアシル、ニトロアラルキル、アミノ(NH)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アラルキルアミノ、ジアラルキルアミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノ、ヘテロサイクルアミノ、ヘテロアリールアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、アミド、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、カルボサイクリルチオ、ヘテロサイクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アシルチオ、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、アミノアルキル、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミノカルボサイクリル、アミノアリール、アミノヘテロサイクリル、アミノヘテロアリール、アミノアシル、アミノアラルキル、チオアルキル、チオアルケニル、チオアルキニル、チオカルボサイクリル、チオアリール、チオヘテロサイクリル、チオヘテロアリール、チオアシル、チオアラルキル、カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキニル、カルボキシカルボサイクリル、カルボキシアリール、カルボキシヘテロサイクリル、カルボキシヘテロアリール、カルボキシアシル、カルボキシアラルキル、カルボキシエステルアルキル、カルボキシエステルアルケニル、カルボキシエステルアルキニル、カルボキシエステルカルボサイクリル、カルボキシエステルアリール、カルボキシエステルヘテロサイクリル、カルボキシエステルヘテロアリール、カルボキシエステルアシル、カルボキシエステルアラルキル、アミドアルキル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、アミドカルボサイクリル、アミドアリール、アミドヘテロサイクリル、アミドヘテロアリール、アミドアシル、アミドアラルキル、ホルミルアルキル、ホルミルアルケニル、ホルミルアルキニル、ホルミルカルボサイクリル、ホルミルアリール、ホルミルヘテロサイクリル、ホルミルヘテロアリール、ホルミルアシル、ホルミルアラルキル、アシルアルキル、アシルアルケニル、アシルアルキニル、アシルカルボサイクリル、アシルアリール、アシルヘテロサイクリル、アシルヘテロアリール、アシルアシル、アシルアラルキル、スルホキシドアルキル、スルホキシドアルケニル、スルホキシドアルキニル、スルホキシドカルボサイクリル、スルホキシドアリール、スルホキシドヘテロサイクリル、スルホキシドヘテロアリール、スルホキシドアシル、スルホキシドアラルキル、スルホニルアルキル、スルホニルアルケニル、スルホニルアルキニル、スルホニルカルボサイクリル、スルホニルアリール、スルホニルヘテロサイクリル、スルホニルヘテロアリール、スルホニルアシル、スルホニルアラルキル、スルホンアミドアルキル、スルホンアミドアルケニル、スルホンアミドアルキニル、スルホンアミドカルボサイクリル、スルホンアミドアリール、スルホンアミドヘテロサイクリル、スルホンアミドヘテロアリール、スルホンアミドアシル、スルホンアミドアラルキル、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロカルボサイクリル、ニトロアリール、ニトロヘテロサイクリル、ニトロヘテロアリール、ニトロアシル、ニトロアラルキル、シアノ、スルフェートおよびホスフェート基。
ある態様において、ある基(たとえば、R基)が場合によりポリマー鎖で置換されていることが望ましい場合がある。そのようなポリマー鎖の例には、ポリエステル、ポリウレタンまたはそのコポリマーが含まれる。そのようなポリマー鎖には1以上の薬物が付加されていてもよく、付加されていなくてもよい。たとえば、本明細書に記載する式のR基は、ポリマー鎖で置換されていてもよい。したがってR基が本発明のポリマー−薬物コンジュゲート内のポリマー主鎖の分岐点である可能性があることは当業者に認識されるであろう。R基がポリマー鎖で置換されている場合、そのポリマー鎖も生分解性であるべきであり、本明細書に記載する非−生分解性部分と結合したいずれかの反復単位を含むべきでない。
好ましい任意選択的な置換基には、下記のものが含まれる:前記の反応性官能基または部分、ポリマー鎖、およびアルキル(たとえば、C1−6アルキル、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、ヒドロキシアルキル(たとえば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)、アルコキシアルキル(たとえば、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピルなど) アルコキシ(たとえば、C1−6アルコキシ、たとえばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシ)、ハロ、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、ヒドロキシ、フェニル(それ自体が、たとえばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、およびアミノにより、さらに置換されていてもよい)、ベンジル(ベンジル自体が、たとえばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、およびアミノにより、さらに置換されていてもよい)、フェノキシ(フェニル自体が、たとえばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、およびアミノにより、さらに置換されていてもよい)、ベンジルオキシ(ベンジル自体が、たとえばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、およびアミノにより、さらに置換されていてもよい)、アミノ、アルキルアミノ(たとえば、C1−6アルキル、たとえばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノなど)、ジアルキルアミノ(たとえば、C1−6アルキル、たとえばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ)、アシルアミノ(たとえば、NHC(O)CH)、フェニルアミノ(フェニル自体が、たとえばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、およびアミノにより、さらに置換されていてもよい)、ニトロ、ホルミル、−C(O)−アルキル(たとえば、C1−6アルキル、たとえばアセチル)、O−C(O)−アルキル(たとえば、C1−6アルキル、たとえばアセチルオキシ)、ベンゾイル(フェニル基自体が、たとえばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、およびアミノにより、さらに置換されていてもよい)、CHが下記のもので置き換えられたもの:C=O、COH、COアルキル(たとえば、C1−6アルキル、たとえばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル)、COフェニル(フェニル自体が、たとえばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、およびアミノにより、さらに置換されていてもよい)、CONH、CONHフェニル(フェニル自体が、たとえばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、およびアミノにより、さらに置換されていてもよい)、CONHベンジル(ベンジル自体が、たとえばC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、およびアミノにより、さらに置換されていてもよい)、CONHアルキル(たとえば、C1−6アルキル、たとえばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルアミド) CONHジアルキル(たとえば、C1−6アルキル) アミノアルキル(たとえば、HNC1−6アルキル−、C1−6アルキルHN−C1−6アルキル−および(C1−6アルキル)N−C1−6アルキル−)、チオアルキル(たとえば、HSC1−6アルキル−)、カルボキシアルキル(たとえば、HOCC1−6アルキル−)、カルボキシエステルアルキル(たとえば、C1−6アルキルOCC1−6アルキル−)、アミドアルキル(たとえば、HN(O)CC1−6アルキル−、H(C1−6アルキル)N(O)CC1−6アルキル−)、ホルミルアルキル(たとえば、OHCC1−6アルキル−)、アシルアルキル(たとえば、C1−6アルキル(O)CC1−6アルキル−)、ニトロアルキル(たとえば、ONC1−6アルキル−)、スルホキシドアルキル(たとえば、R(O)SC1−6アルキル、たとえばC1−6アルキル(O)SC1−6アルキル−)、スルホニルアルキル(たとえば、R(O)SC1−6アルキル−、たとえばC1−6アルキル(O)SC1−6アルキル−)、スルホンアミドアルキル(たとえば、HRN(O)SC1−6アルキル、H(C1−6アルキル)N(O)SC1−6アルキル−)。
本明細書中で用いるように、単独でまたは複合語中に用いられる用語“脂肪族”は、直鎖の飽和および不飽和ヒドロカルビルを表わす。脂肪族基の例にはアルカン、アルケンおよびアルキンが含まれる。
本明細書中で用いるように、単独でまたは複合語中に用いられる用語“脂環式”は、環状の非芳香族ヒドロカルビルを表わす。脂環式基の例はシクロヘキサンである。
本明細書中で用いるように、単独でまたは複合語中に用いられる用語“アルキル”は、直鎖、分枝または環式アルキル、たとえばC1−40、またはC1−20もしくはC1−10アルキルを表わす。直鎖および分枝アルキルの例には下記のものが含まれる:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチル−プロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、l,l−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチル−ペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−または5−エチルヘプチル、1−、2−または3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−および8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−または6−エチルオクチル、1−、2−、3−または4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−または5−プロピルオクチル、1−、2−または3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−または6−プロピルノニル、1−、2−、3−または4−ブチルオクチル、1−2−ペンチルヘプチル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルなど。環式アルキルの例には、単環式または多環式アルキル基、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどが含まれる。アルキル基を一般的に“プロピル”、“ブチル”などと述べる場合、それが直鎖、分枝鎖および環式異性体をいずれも適宜表わすことができるのは理解されるであろう。アルキル基は場合により、本明細書中に定める1以上の任意選択的な置換基により置換されていてもよい。
本明細書中で用いるように、用語“アルケニル”は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖、分枝または環式炭化水素残基から形成される基を表わし、これには前記に定めたエチレン性モノ−、ジ−またはポリ不飽和アルキルまたはシクロアルキル基、たとえばC2−40、またはC2−20もしくはC2−10アルケニルが含まれる。したがって、アルケニルには、1以上の炭素−炭素二重結合をもつプロペニル、ブチレニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル炭化水素が含まれるものとする。アルケニルの例には、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニルおよび1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルが含まれる。アルケニル基は場合により、本明細書中に定める1以上の任意選択的な置換基により置換されていてもよい。
本明細書中で用いるように、用語“アルキニル”は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖、分枝または環式炭化水素残基を表わし、これには前記に定めたエチレン性モノ−、ジ−またはポリ不飽和アルキルまたはシクロアルキル基、たとえばC2−40、またはC2−20もしくはC2−10アルケニルが含まれる。したがって、アルキニルには、1以上の炭素−炭素三重結合をもつプロピニル、ブチリニル、ペンチニル、ヘキサイニル、ヘプタイニル、オクタイニル、ノナイニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、エイコシニル炭化水素基が含まれるものとする。アルキニルの例には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、およびブチニル異性体、ならびにペンチニル異性体が含まれる。アルキニル基は場合により、本明細書中に定める1以上の任意選択的な置換基により置換されていてもよい。
アルケニル基が炭素−炭素三重結合を含んでもよく、アルキニル基が炭素−炭素二重結合を含んでもよい(すなわち、いわゆるエン−イン基またはイン−エン基)。
本明細書中で用いるように、用語“アリール”(または“カルボアリール”)は、いずれかの芳香族炭化水素環系の単核、多核、コンジュゲートおよび縮合した残基を表わす。アリールの例には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンゾアントラセニル、ジベンゾアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、インデニル(idenyl)、アズレニル、クリセニルが含まれる。好ましいアリール基にはフェニルおよびナフチルが含まれる。アリール基は場合により、本明細書中に定める1以上の任意選択的な置換基により置換されていてもよい。
本明細書中で用いるように、用語“アルキレン”、“アルケニレン”、および“アリーレン”は、それぞれ本明細書中に定める“アルキル”、“アルケニル”、および“アリール”の二価形態を表わすものとする。
用語“ハロゲン”(“ハロ”)は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)を表わす。好ましいハロゲンは塩素、臭素またはヨウ素である。
用語“カルボサイクリル(炭素環式)”には、非芳香族のいずれかの単環式、多環式、縮合またはコンジュゲートした炭化水素残基、好ましくはC3−20(たとえば、C3−10またはC3−8)のものが含まれる。環は飽和したもの、たとえばシクロアルキルであってもよく、あるいは1以上の二重結合(シクロアルケニル)および/または1以上の三重結合(シクロアルキニル)を含んでもよい。特に好ましいカルボサイクリル部分は、5〜6−員または9〜10員環系である。適切な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエニル、インダニル、デカリニルおよびインデニルが含まれる。
単独でまたは複合語中に用いられる用語“ヘテロサイクリル(複素環式)”には、いずれかの単環式、多環式、縮合またはコンジュゲートした炭化水素残基、好ましくはC3−20(たとえば、C3−10またはC3−8)のものであって、1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられて、それにより非芳香族残基を生成したものが含まれる。適切なヘテロ原子には、O、N、S、PおよびSe、特にO、NおよびSが含まれる。2個以上の炭素原子が置き換えられた場合、これは2個以上の同一ヘテロ原子または異なるヘテロ原子によるものであってよい。ヘテロサイクリル基は、飽和または部分不飽和(すなわち、1以上の二重結合をもつ)であってよい。特に好ましいヘテロサイクリルは、5〜6および9〜10員ヘテロサイクリルである。ヘテロサイクリル基の適切な例には、下記のものを含めることができる:アズリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、2H−ピロリル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリニル、ジオキサラニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ジヒドロピラニル、オキサジニル、チアジニル、チオモルホリニル、オキサチアニル、ジチアニル、トリオキサニル、チアジアジニル、ジチアジニル、トリチアニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、インデニル、インダニル、3H−インドリル、イソインドリニル、4H−キノラジニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、ピラニルおよびジヒドロピラニル。
用語“ヘテロアリール”には、いずれかの単環式、多環式、縮合またはコンジュゲートした炭化水素残基であって、1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられて、それにより芳香族残基を生成したものが含まれる。好ましいヘテロアリールは、3〜20個、たとえば、3〜10個の環原子をもつ。特に好ましいヘテロアリールは、5〜6および9〜10員二環式環系である。適切なヘテロ原子には、O、N、S、PおよびSe、特にO、NおよびSが含まれる。2個以上の炭素原子が置き換えられた場合、これは2個以上の同一ヘテロ原子または異なるヘテロ原子によるものであってよい。ヘテロアリール基の適切な例には、下記のものを含めることができる:ピリジル、ピロリル、チエニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、1,5−ナフチリジニル、キノザリニル、キナゾリニル、キノリニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアルゾリル、オキサトリアゾリル、トリアジニル、およびフラザニル。
単独でまたは複合語中に用いられる用語“アシル”は、作用基C=Oを含む基(かつ、カルボン酸、エステルまたはアミドではない)を表わす。好ましいアシルにはC(O)−Rが含まれ、ここでRは水素、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボサイクリル、もしくはヘテロサイクリル残基である。アシルの例には下記のものが含まれる:ホルミル、直鎖または分枝アルカノイル(たとえば、C1−20)、たとえばアセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイルおよびエイコサノイル(isosanoyl);シクロアルキルカルボニル、たとえばシクロプロピルカルボニル シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニルおよびシクロヘキシルカルボニル;アロイル、たとえばベンゾイル、トルオイルおよびナフトイル;アラルカノイル、たとえばフェニルアルカノイル(たとえば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイルおよびフェニルヘキサノイル)およびナフチルアルカノイル(たとえば、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイルおよびナフチルブタノイル];アラルケノイル、たとえばフェニルアルケノイル(たとえば、フェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンテノイルおよびフェニルヘキセノイル、ならびにナフチルアルケノイル(たとえば、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイルおよびナフチルペンテノイル);アリールオキシアルカノイル、たとえばフェノキシアセチルおよびフェノキシプロピオニル;アリールチオカルバモイル、たとえばフェニルチオカルバモイル;アリールグリオキシロイル、たとえばフェニルグリオキシロイルおよびナフチルグリオキシロイル;アリールスルホニル、たとえばフェニルスルホニルおよびナフチルスルホニル;複素環カルボニル;複素環アルカノイル、たとえばチエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチルおよびテトラゾリルアセチル;複素環アルケノイル、たとえば複素環プロペノイル、複素環ブテノイル、複素環ペンテノイルおよび複素環ヘキセノイル;ならびに複素環グリオキシロイル、たとえばチアゾリルグリオキシロイルおよびチエニルグリオキシロイル。R残基は、場合により、本明細書に記載するように置換されていてもよい。
用語“スルホキシド”は、単独でまたは複合語中で基S(O)Rを表わし、ここでRは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、カルボサイクリルおよびアラルキルから選択される。好ましいRの例には、C1−20アルキル、フェニルおよびベンジルが含まれる。
用語“スルホニル”は、単独でまたは複合語中で基S(O)−Rを表わし、ここでRは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、カルボサイクリルおよびアラルキルから選択される。好ましいRの例には、C1−20アルキル、フェニルおよびベンジルが含まれる。
用語“スルホンアミド”は、単独でまたは複合語中で基S(O)NRを表わし、ここでRは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、カルボサイクリルおよびアラルキルから選択される。好ましいRの例には、C1−20アルキル、フェニルおよびベンジルが含まれる。好ましい態様において、少なくとも1つのRは水素である。他の形態において、Rは両方とも水素である。
用語“アミノ”は、本明細書中で当技術分野において理解されているそれの最も広い意味で用いられ、式NRの基を含み、ここでRおよびRは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボサイクリル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アラルキル、およびアシルから選択されるいずれかであってよい。RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒に単環式または多環式環系、たとえば3〜10員環、特に5〜6および9〜10員系を形成することもできる。“アミノ”の例には下記のものが含まれる:NH、NHアルキル(たとえば、C1−20アルキル)、NHアリール(たとえば、NHフェニル)、NHアラルキル(たとえば、NHベンジル)、NHアシル(たとえば、NHC(O)C1−20アルキル、NHC(O)フェニル)、Nアルキルアルキル(ここで、各アルキル、たとえばC1−20のものは同一でも異なってもよい)、および場合により1個以上の同一または異なるヘテロ原子(たとえば、O、NおよびS)を含む5または6員環。
用語“アミド”は、本明細書中で当技術分野において理解されているそれの最も広い意味で用いられ、式C(O)NRをもつ基を含み、ここでRおよびRは上記に定めたものである。アミドの例には下記のものが含まれる:C(O)NH、C(O)NHアルキル(たとえば、C1−20アルキル)、C(O)NHアリール(たとえば、C(O)NHフェニル)、C(O)NHアラルキル(たとえば、C(O)NHベンジル)、C(O)NHアシル(たとえば、C(O)NHC(O)C1−20アルキル、C(O)NHC(O)フェニル)、C(O)Nアルキルアルキル(ここで、各アルキル、たとえばC1−20のものは同一でも異なってもよい)、および場合により1個以上の同一または異なるヘテロ原子(たとえば、O、NおよびS)を含む5または6員環。
用語“カルボキシエステル”は、本明細書中で当技術分野において理解されているそれの最も広い意味で用いられ、式COをもつ基を含み、ここでRはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボサイクリル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アラルキル、およびアシルから選択できる。カルボキシエステルの例にはCO1−20アルキル、COアリール(たとえば、COフェニル)、COアラルキル(たとえば、COベンジル)が含まれる。
本明細書中において最も広い意味で用いられる用語“ヘテロ原子”または“ヘテロ”は、炭素原子以外のいずれかの原子を表わし、それは環状有機基の員子であってもよい。ヘテロ原子の特別な例には、窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素、ケイ素、セレンおよびテルル、より特別には窒素、酸素および硫黄が含まれる。
本発明の化合物(モノマーおよびポリマーを含む)は、1以上の立体異性体形態(たとえば、鏡像異性体、ジアステレオマー)で存在する場合があることは理解される。本発明は、単離されたもの(たとえば、鏡像異性体単離において)または合わせたもの(ラセミ混合物を含む)のいずれであっても、これらすべての立体異性体形態を本発明の範囲に含む。
以下に、限定ではない下記の実施例を参照して本発明を記載する。
実験法
方法1:HBTUカップリングのための一般法
無水THF中のプロスタグランジン遊離酸(1)(1.0当量)を、HBTU(約1.2当量)、アルコール/グリセロール誘導体(約1.6当量)およびトリエチルアミン(約4.3当量)の無水THF中における撹拌溶液に、窒素雰囲気下で滴加する。混合物を遮光して、室温で3日間または反応が完了するまで撹拌した。反応を1Mクエン酸水溶液で停止し、酢酸エチルで抽出した。次いで有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、続いてブラインで洗浄した。次いで有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮および乾燥させた。
方法2:ベンジリデン脱保護のための一般法
ベンジリデン保護した誘導体(約1mmol)を80%酢酸(20mL)に溶解し、室温で48時間または反応が完了するまで撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物をトルエンで洗浄し、真空中で乾燥させる。
方法3:9,11−ボロン酸プロスタグランジンの形成のための一般法
N−ブチルボロン酸(約1.1当量)を、プロスタグランジン誘導体(1当量)の無水DCM中における溶液に添加する。混合物を45℃で1時間、窒素雰囲気下に加熱する。溶媒を真空中で除去し、乾燥させる。さらに無水DCMを添加し、さらに3時間、真空中で除去する。残留物をさらに無水DCM(10mL)中、45℃で16時間加熱し、溶媒を減圧下で除去すると、9,11−ボロン酸プロスタグランジンが得られる。
方法4:プロスタグランジン15−O−エステルの形成のための一般法
ボロン酸プロスタグランジン(1当量)、4−ニトロフェニル 2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−カルボキシレート(約1.5当量)およびDMAP(約3.8当量)の無水DCM中における混合物を、室温で48時間、または反応が完了するまで撹拌した。溶媒を真空中で除去すると残留物が得られ、これをメタノールに溶解し、室温でさらに16時間撹拌する。
重合方法A:
イソシアネート(約1.15当量)を、プロスタグランジン−モノマーコンジュゲート(1当量)およびジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(触媒量,約0.1当量)の無水THF中における溶液に窒素雰囲気下で添加する。反応混合物を室温で24時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をDCMに溶解し、ジエチルエーテルの撹拌溶液に滴加する。混合物を室温で1時間撹拌し、溶媒をデカントする。残留物をジエチルエーテルで洗浄し、次いで真空中で乾燥させると、目的とするポリマー−薬物コンジュゲートが得られる。
重合方法B:
イソシアネート(約1.15当量)を、プロスタグランジン−モノマーコンジュゲート(1当量)およびジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(触媒量,約0.1当量)の無水THF中における溶液に窒素雰囲気下で添加する。反応混合物を45℃に加熱し、窒素雰囲気下で24時間撹拌する。反応混合物を室温にまで放冷し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をDCMに溶解し、ジエチルエーテルの撹拌溶液に滴加する。混合物を室温で1時間撹拌し、溶媒をデカントする。残留物をジエチルエーテルで洗浄し、次いで真空中で乾燥させると、目的とするポリマー−薬物コンジュゲートが得られる。
重合方法C:
この方法では親水性成分をポリマー主鎖に導入する。親水性成分は親水性モノマーを薬物−モノマーコンジュゲートと共重合させることにより導入される。
イソシアネート(約1.15当量)を、プロスタグランジン−モノマーコンジュゲート(X当量)および希望する親水性コモノマー(Y当量)のTHF中における溶液に、プロスタグランジン−モノマーと親水性コモノマーの合計量が1.0当量(X+Y=1.0)となるように添加する。ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(触媒量,約0.1当量)を添加し、反応混合物を45℃に加熱し、窒素雰囲気下で24時間撹拌する。反応混合物を室温にまで放冷し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をDCMに溶解し、ジエチルエーテルの撹拌溶液に滴加する。混合物を室温で1時間撹拌し、溶媒をデカントする。残留物をジエチルエーテルで洗浄し、真空中で乾燥させると、目的とするポリマー−薬物コンジュゲートが得られる。
重合方法D:
この方法では、親水性ポリマーをポリマー−薬物コンジュゲートとブレンドすることにより、親水性成分を導入する。ポリマー−薬物コンジュゲートを方法A〜Cのいずれかに従って予め形成し、次いでTHFに溶解する。親水性ポリマーを添加し、混合物を1時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、このプロセスを反復すると、ポリマー−薬物コンジュゲートとコモノマーのブレンドが得られる。
薬物−モノマーコンジュゲートの合成
ラタノプロスト遊離酸(1)
(Z)−7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エン酸、すなわちラタノプロスト遊離酸(1)の合成を、文献Eur. J. Org. Chem, 2007, 689-703に従って実施した。
フルプロステノール−トラボプロスト遊離酸(8)
(Z)−イソプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R,E)−3−ヒドロキシ−4−(3−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブタ−1−エン−1−イル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート、すなわちトラボプロスト遊離酸(8)の合成を、文献Lett.Org. Chem. 2011, 8, 234-241に従って実施した。
実施例1
(Z)−3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート(2)
HBTUカップリングのための一般法(方法1)を、ラタノプロスト遊離酸(1)(407.1mg,1.0mmol)、HBTU(440.3mg,1.2mmol)、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン(187.9mg,1.6mmol)およびトリエチルアミン(0.60mL,4.3mmol)を用いて無水THF中で実施した。残留物をクロマトグラフィー処理して(SiO,MeOH−CHCl,10:90)、表題化合物(2)(322.0mg,63%の収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 538 ([M+2Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.34 - 7.16 (m, 3H), 7.16 - 7.00 (m, 2H), 5.43 - 5.36 (m, 1H), 5.35 - 5.18 (m, 1H), 4.16 - 3.97 (m, 2H), 3.89 - 3.74 (m, 1H), 3.61 - 3.51 (m, 1H), 3.45 (s, 3H), 3.41 - 3.31 (m, 4H), 2.80 - 2.65 (m, 2H), 2.65 - 2.46 (m, 2H), 2.40 - 1.96 (m, 5H), 1.91 - 1.35 (m, 8H), 1.35 - 1.20 (m, 2H), 0.77 (s, 2H)。
実施例2
(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート(5)
HBTUカップリングのための一般法(方法1)を、ラタノプロスト遊離酸(1)(528.2mg,1.35mmol)、1,3−ベンジリデングリセロール(309.0mg,1.71mmol)、HBTU(564.5mg,1.49mmol)およびトリエチルアミン(0.8mL,5.75mmol)を用いて無水DCM中で実施した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,EtOAc,100%)、ベンジリデンエステル(3)(412.3mg,55%の収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 575 ([M+Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.49 - 7.37 (m, 2H), 7.37 - 7.24 (m, 3H), 7.24 - 7.16 (m, 2H), 7.16 - 7.03 (m, 3H), 5.48 (s, 1H), 5.41 - 5.31 (m, 4H), 4.70 - 4.57 (m, 1H), 4.26 - 3.94 (m, 5H), 3.90 - 3.69 (m, 1H), 3.81 - 3.82 (m, 1H), 2.77 - 2.64 (m, 1H), 2.62 - 2.54 (m, 1H), 2.38 (td, J = 7.2, 1.2 Hz, 3H), 2.30 - 1.98 (m, 6H), 1.82 - 1.35 (m, 10H), 1.35 - 1.13 (m, 2H)。
ベンジリデン脱保護のための一般法(方法2)を、ベンジリデンエステル(3)(412.3mg,0.75mmol)を用いて80%酢酸(20mL)中で実施した。粗生成物をクロマトグラフィー処理して(SiO,MeOH:CHCl,10:90%)、表題化合物(5)(317.5mg,92%の収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 510 ([M+2Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.26 - 7.15 (m, 2H), 7.15 - 7.02 (m, 3H), 5.45 - 5.17 (m, 2H), 4.83 (p, J = 4.8 Hz, 1H), 4.21 - 3.95 (m, 2H), 3.95 - 3.75 (m, 2H), 3.75 - 3.13 (m, 8H), 2.82 - 2.46 (m, 2H), 2.39 - 2.16 (m, 2H), 2.16 - 1.91 (m, 3H), 1.91 - 1.78 (m, 1H), 1.78 - 0.96 (m, 12H)。
実施例3
1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 4−(((Z)−7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノイル)オキシ)ベンゾエート(6)
HBTUカップリングのための一般法(方法1)を、ラタノプロスト遊離酸(1)(234.1mg,0.60mmol)、2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−イル 4−ヒドロキシベンゾエート(361.5mg,1.20mmol)、HBTU(251.4mg,0.66mmol)およびトリエチルアミン(0.5mL3.59mmol)を用いて無水DCM(15mL)中で実施した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,EtOAc,100%)、ベンジリデンエステル(4)(258.7mg,63%の収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 695 ([M+Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.17 - 8.04 (m, 2H), 7.55 - 7.40 (m, 2H), 7.40 - 7.25 (m, 3H), 7.25 - 7.16 (m, 2H), 7.16 - 7.02 (m, 5H), 5.55 (s, 1H), 5.50 - 5.26 (m, 2H), 4.94 - 4.79 (m, 1H), 4.41 - 4.12 (m, 4H), 4.12 - 3.97 (m, 1H), 3.93 - 3.79 (m, 1H), 3.65 - 3.49 (m, 1H), 2.73 - 2.55 (m, 2H), 2.43 - 2.06 (m, 5H), 1.87 - 1.38 (m, 13H), 1.38 - 1.22 (m, 2H)。
ベンジリデン脱保護のための一般法(方法2)を、ベンジリデンエステル(4)(196.9mg,0.29mmol)を用いて80%酢酸(5mL)中で実施した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,MeOH:CHCl,10:90%)、表題化合物(6)(122.9mg,72%の収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 630 ([M+2Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.08 - 7.95 (m, 2H), 7.28 - 7.15 (m, 2H), 7.15 - 7.02 (m, 5H), 5.39 (dtd, J = 18.1, 10.9, 7.2 Hz, 2H), 5.04 (p, J = 4.7 Hz, 1H), 4.13 - 3.98 (m, 1H), 3.92 - 3.75 (m, 5H), 3.59 - 3.46 (m, 1H), 3.40 (s, 1H), 2.74 - 2.44 (m, 5H), 2.36 - 2.03 (m, 5H), 1.86 - 1.32 (m, 12H), 1.32 - 1.19 (m, 2H)。
実施例4
(Z)−3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R,E)−3−ヒドロキシ−4−(3−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブタ−1−エン−1−イル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート(24)
HBTUカップリングのための一般法(方法1)を、トラボプロスト遊離酸(8)(410.1mg,0.89mmol)、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン(167.0mg,1.39mmol)、HBTU(374.7mg,0.98mmol)およびトリエチルアミン(0.55mL,3.95mmol)を用いて無水DCM(15mL)中で行なって、表題化合物(24)(39mg)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 583 ([M+Na]+)。
実施例5
(Z)−イソプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−((3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパノイル)オキシ)−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート(14)
9,11−ボロン酸ラタノプロストの形成のための一般法(方法3)を、ラタノプロスト(222.0mg,0.51mmol)およびn−ブチルボロン酸(60.1mg,0.59mmol)を用いて無水DCM(1mL)中で実施した。9,11−ボロン酸ラタノプロスト(9)が無色透明な油として得られ、これをさらに精製せずにそのまま用いた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.28 - 7.17 (m, 2H), 7.17 - 7.03 (m, 3H), 5.49 - 5.27 (m, 2H), 4.93 (ddd, J = 15.2, 7.6, 4.9 Hz, 1H), 4.28 - 4.13 (m, 1H), 4.07 - 3.90 (m, 1H), 3.65 - 3.46 (m, 1H), 2.78 - 2.67 (m, 1H), 2.67 - 2.41 (m, 1H), 2.28 - 2.11 (m, 4H), 2.09 - 1.98 (m, 2H), 1.91 - 1.79 (m, 1H), 1.79 - 1.53 (m, 7H), 1.53 - 1.38 (m, 3H), 1.38 - 1.07 (m, 12H), 0.89 - 0.75 (m, 3H), 0.64 - 0.52 (m, 2H)。
ベンジリデンエステル経由
プロスタグランジン15−O−エステルの形成のための一般法(方法4)を、9,11−ボロン酸ラタノプロスト(9)(116.6mg,0.23mmol)、4−ニトロフェニル 2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−カルボキシレート(114.0mg,0.35mmol)およびDMAP(107.1mg,0.88mmol)を用いて無水DCM(5mL)中で実施した。残留物をメタノール(5mL)に溶解し、16時間撹拌した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,MeOH:CHCl,10:90%)、ベンジリデンエステル(11)(193.1mg,82%の収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 645 ([M+Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.47 - 7.34 (m, 2H), 7.34 - 7.16 (m, 4H), 7.16 - 6.95 (m, 2H), 6.82 - 6.70 (m, 2H), 5.43 - 5.23 (m, 3H), 5.01 - 4.77 (m, 2H), 4.48 - 4.30 (m, 2H), 4.15 (s, 1H), 3.97 (s, 1H), 3.95 - 3.82 (m, 2H), 3.04 (tt, J = 11.2, 4.8 Hz, 1H), 2.65 - 2.43 (m, 3H), 2.43 - 1.91 (m, 6H), 1.93 - 0.94 (m, 17H)。
ベンジリデン脱保護のための一般法(方法2)を、(11)(193.1mg,0.31mmol)を用いて80%酢酸(5mL)中で実施した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,EtOAc,100%)、表題化合物(14)(55.0mg,33%の収率)を無色透明な油として得た。
4−OMe置換ベンジリデンエステル経由
プロスタグランジン15−O−エステルの形成のための一般法(方法4)法を、9,11−ボロン酸ラタノプロスト(9)(526.1mg,1.05mmol)、4−ニトロフェニル 2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−カルボキシレート(412.1mg,1.15mmol)およびDMAP(402.6mg,3.30mmol)を用いて無水DCM(15mL)中で実施した。残留物をメタノール(10mL)に溶解し、16時間撹拌した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,EtOAc:ヘキサン,70:30%)、ベンジリデンエステル(12)(444.2mg,64%の収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 676 ([M+Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.37 - 7.28 (m, 2H), 7.26 - 7.16 (m, 2H), 7.16 - 7.03 (m, 3H), 6.88 - 6.73 (m, 2H), 5.43 - 5.23 (m, 3H), 5.02 - 4.83 (m, 2H), 4.43 - 4.27 (m, 2H), 4.10 (s, 1H), 3.96 - 3.84 (m, 2H), 3.82 (s, 1H), 3.77 - 3.68 (m, 3H), 3.03 (tt, J = 11.2, 4.8 Hz, 1H), 2.63 - 2.46 (m, 3H), 2.37 (s, 1H), 2.33 - 2.16 (m, 3H), 2.16 - 1.94 (m, 3H), 1.93 - 1.53 (m, 10H), 1.45 - 1.23 (m, 2H), 1.23 - 0.95 (m, 6H)。
ベンジリデン脱保護のための一般法(方法2)を、(12)(297.2mg,0.46mmol)を用いて80%酢酸(10mL)中で実施した。混合物を室温で4時間撹拌した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,EtOAc,100%)、表題化合物(14)(146.9mg,60%の収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 580 ([M+2Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.27 - 7.15 (m, 2H), 7.15 - 6.92 (m, 3H), 5.50 - 5.20 (m, 2H), 5.02 - 4.78 (m, 2H), 4.13 - 3.97 (m, 1H), 3.94 - 3.72 (m, 5H), 3.60 - 3.02 (bs, 3H), 2.75 - 2.41 (m, 4H), 2.29 - 2.15 (m, 3H), 2.15 - 1.50 (m, 12H), 1.50 - 1.34 (m, 1H), 1.31 - 1.01 (m, 8H)。
実施例6
(Z)−イソプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R,E)−3−((3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパノイル)オキシ)−4−(3−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブタ−1−エン−1−イル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート(15)
9,11−ボロン酸プロスタグランジンのための一般法(方法3)を、トラボプロスト(55.1mg,0.11mmol)およびn−ブチルボロン酸(13.6mg,0.13mmol)を用いて無水DCM(1mL)中で実施した。9,11−ボロン酸トラボプロスト(10)が無色透明な油として得られ、これをさらに精製せずにそのまま用いた。1H NMR δ: 7.37 - 7.27 (m, 1H), 7.22 - 7.10 (m, 1H), 7.10 - 7.04 (m, 1H), 7.04 - 6.92 (m, 1H), 5.75 - 5.48 (m, 2H), 5.45 - 5.24 (m, 2H), 5.03 - 4.78 (m, 1H), 4.65 (s, 1H), 4.53 - 4.38 (m, 1H), 4.27 (s, 1H), 4.13 - 4.00 (m, 1H), 4.00 - 3.76 (m, 2H), 2.51 - 2.32 (m, 2H), 2.31 - 2.11 (m, 4H), 2.11 - 1.97 (m, 2H), 1.97 - 1.83 (m, 1H), 1.83 - 1.67 (m, 2H), 1.67 - 1.56 (m, 2H), 1.54 (s, 1H), 1.37 - 1.05 (m, 8H), 0.91 - 0.68 (m, 3H), 0.67 - 0.49 (m, 2H)。
プロスタグランジン15−O−エステルの形成のための一般法(方法4)を、9,11−ボロン酸トラボプロスト(10)(62.4mg,0.11mmol)、4−ニトロフェニル 2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−カルボキシレート(46.5mg,0.13mmol)およびDMAP(56.4mg,0.46mmol)を用いて無水DCM(1mL)中で実施した。残留物をメタノール(1mL)に溶解し、16時間撹拌した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,EtOAc:ヘキサン,70:30%)、ベンジリデンエステル(13)(59.9mg,75%の収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 765 ([M+2Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.40 - 7.26 (m, 3H), 7.23 - 7.11 (m, 1H), 7.07 - 7.02 (m, 1H), 7.02 - 6.96 (m, 1H), 6.86 - 6.74 (m, 2H), 5.76 - 5.45 (m, 3H), 5.39 - 5.21 (m, 3H), 5.00 - 4.84 (m, 1H), 4.44 - 4.30 (m, 2H), 4.20 - 4.09 (m, 1H), 4.09 - 3.97 (m, 2H), 3.97 - 3.79 (m, 3H), 3.73 (s, 3H), 3.16 - 3.00 (m, 1H), 2.47 - 1.85 (m, 8H), 1.85 - 1.72 (m, 1H), 1.72 - 1.35 (m, 5H), 1.35 - 1.08 (m, 6H)。
ベンジリデン脱保護のための一般法(方法2)を、(13)(53.4mg,0.07mmol)を用いて80%酢酸(2mL)中で実施した。混合物を室温で4時間撹拌した。粗製混合物をシリカゲルの薄層に導通し、70%酢酸エチル:ヘキサン、続いて30% MeOH:CHClで溶離した。表題化合物(15)(33.9mg,定量的収率)を無色透明な油として得た。ESI-MS: m/z 647 ([M+2Na]+); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.36 - 7.27 (m, 1H), 7.19 - 7.11 (m, 1H), 7.10 - 7.04 (m, 1H), 7.01 (dd, J = 8.3, 2.3 Hz, 1H), 5.81 - 5.47 (m, 3H), 5.41 - 5.20 (m, 2H), 4.90 (hept, J = 6.3 Hz, 1H), 4.18 - 3.97 (m, 3H), 3.95 - 3.75 (m, 5H), 2.67 (p, J = 5.0 Hz, 2H), 2.36 - 2.10 (m, 5H), 2.09 - 1.83 (m, 4H), 1.70 - 1.50 (m, 3H), 1.50 - 1.34 (m, 1H), 1.25 - 1.05 (m, 7H)。
実施例7
(R)−1−((1R,2R,3S,5R)−3,5−ジヒドロキシ−2−((Z)−7−イソプロポキシ−7−オキソヘプタ−2−エン−1−イル)シクロペンチル)−5−フェニルペンタン−3−イル(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)スクシネート(23)
プロスタグランジン15−O−エステルの形成のための一般法(方法4)を、(9)(151.0mg,3.03mmol)、4−ニトロフェニル(2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−イル)スクシネート(163.3mg,0.41mmol)およびDMAP(117.1mg,0.96mmol)を用いて無水DCM(10mL)中で実施した。残留物をメタノール(10mL)に溶解し、16時間撹拌した。ベンジリデンエステル(22)を得た。ESI-MS :m/z 717 ([M+Na]+)。
ベンジリデン脱保護のための一般法(方法2)を、(22)(114.2mg,0.16mmol)を用いて80%酢酸(5mL)中で実施した。混合物を室温で48時間撹拌した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,EtOAc,100%)、表題化合物(23)を淡黄色の油として得た。ESI-MS: m/z 629 ([M+Na]+)。
実施例8
(Z)−イソプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−5−ヒドロキシ−3−((3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパノイル)オキシ)−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート(25)
Gu et al. Org Lett. 2005, 7(18), 3945により記載されたものと同様な方法を用いた。PdCl(8.3mg,0.03mmol)、LiCl(3.5mg,0.08mmol)のMeOH(1mL)中における混合物を、それが透明な溶液になるまで(約45分ないし1時間)加熱還流した。次いでMeOHを減圧下で除去し、酢酸ビニル(2mL)を添加し、この溶液を濃縮乾固した。次いで残留物を酢酸ビニル(2mL)に再溶解し、2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−カルボン酸(270.7mg,1.14mmol)の酢酸ビニル(2mL)中における混合物に添加した。混合物を窒素雰囲気下で16時間還流した。溶媒を減圧下で蒸発させ、次いで油性残留物をヘキサン(2mL)に溶解した。ヘキサン溶液を濃縮し、粗生成物ビニル 2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−カルボキシレートをさらに精製せずに用いた。H NMR分光分析は、目的とするビニルエステルを若干の出発物質と共に7:3の比率で示した。
ラタノプロスト(133.3mg,0.31mmol)およびNovozyme 432(82.3mg)を3時間、真空中で乾燥させる。無水THF(2mL)およびビニル 2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−カルボキシレート(253.1mg,1.08mmol)を添加する。反応混合物を64℃で16時間、加熱する。反応をクロロホルム(2mL)で停止し、濾過する。溶媒を真空中で除去するとベンジリデンエステルが得られ、これをさらに精製せずに用いる。
ベンジリデン脱保護のための一般法(方法2)を、(1R,2R,3R,4S)−4−ヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)−3−((Z)−7−イソプロポキシ−7−オキソヘプタ−2−エン−1−イル)シクロペンチル 2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−カルボキシレートを用いて80%酢酸中で実施する。粗製物質をクロマトグラフィー処理(SiO,MeOH:CHCl,10%)して、表題化合物を得る。
実施例9
(1S,2R,3R,4R)−2−((Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソヘプタ−2−エン−1−イル)−4−ヒドロキシ−3−((S,E)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタ−1−エン−1−イル)シクロペンチル 3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパノエート(26)
ビマトプロスト(800mg,1.82mmol)のジクロロメタン(20ml)中における溶液に、TBSCl(638mg,4.23mmol)、トリエチルアミン(802μl,5.76mmol)およびジメチルアミノピリジン(40mg)を添加した。溶液を室温で一夜撹拌した。DCM(500ml)を添加し、溶液を水(3×200ml)で洗浄した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ,石油エーテル:酢酸エチル 10:1−3:1)により精製して、目的とする11,15−TBS−保護された生成物を無色の油(650mg,52%)として得た;1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.71 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 7.27 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.20 - 7.08 (m, 3H), 5.50 (dd, J = 15.4, 5.3 Hz, 1H), 5.46 - 5.34 (m, 2H), 5.34 - 5.19 (m, 1H), 4.47 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.17 (dd, J = 5.7 Hz, 1H), 3.99 - 3.88 (m, 1H), 3.84 (dd, J = 13.9, 8.0 Hz, 1H), 3.12 - 2.93 (m, 2H), 2.59 (dd, J = 9.7, 6.0 Hz, 2H), 2.38 - 2.18 (m, 2H), 2.17 - 2.03 (m, 1H), 1.96 (dt, J = 19.1, 7.4 Hz, 5H), 1.74 (dd, J = 9.9, 5.2 Hz, 2H), 1.48 (dt, J = 15.0, 7.4 Hz, 2H), 1.42 (dd, J = 5.7, 1.8 Hz, 1H), 1.37 - 1.17 (m, 1H), 0.98 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.88 (s, 9H), 0.82 (s, 9H), 0.04 (s, 3H), 0.01 (s, 3H), -0.00 (s, 3H), -0.02 (s, 3H)。
11,15−TBS−保護された生成物(430mg,0.67mmol)および2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−カルボン酸(180mg,0.87mmol)のDMF(3ml)中における溶液に、HATU(509mg,1.34mmol)およびDMAP(30mg)を添加した。反応器を密閉し、140℃のマイクロ波オーブン内で20分間加熱した。反応物を室温にまで放冷し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ,石油スピリット:酢酸エチル,3:1)により精製して、目的とするベンジリデンエステルを無色の油(190mg,34.1%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.75 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 7.52 - 7.35 (m, 5H), 7.31 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.19 (t, J = 8.5 Hz, 3H), 5.64 (dd, J = 15.3, 5.5 Hz, 1H), 5.54 (s, 1H), 5.52 (dd, J = 23.3, 16.8 Hz, 1H), 5.42 - 5.28 (m, 2H), 5.01 (t, J = 4.5 Hz, 1H), 4.43 - 4.33 (m, 2H), 4.23 (dd, J = 11.5, 5.9 Hz, 1H), 4.06 - 4.01 (m, 1H), 3.98 (dd, J = 11.4, 3.9 Hz, 2H), 3.17 - 3.01 (m, 3H), 2.63 (dd, J = 9.6, 6.6 Hz, 2H), 2.44 (ddd, J = 14.3, 8.2, 5.7 Hz, 1H), 2.39 - 2.29 (m, 1H), 2.09 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.03 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.00 - 1.88 (m, 2H), 1.85 - 1.73 (m, 2H), 1.73 - 1.63 (m, 1H), 1.52 (dt, J = 11.8, 6.1 Hz, 2H), 1.46 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 1.00 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.92 (s, 9H), 0.86 (s, 9H), 0.08 (s, 3H), 0.05 (s, 3H), 0.04 (s, 3H), 0.03 (s, 3H)。
上記生成物(180mg,0.22mmol)のTHF(0.5ml)中における溶液に、TBAF(THF中1.0M,0.65ml,0.65mmol)を添加した。溶液を室温で一夜撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残留物を酢酸エチル(200ml)に装入し、水(3×200ml)で洗浄した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ,DCM:MeOH,50:1−20:1)により精製すると油(70mg)が得られた。TLC(石油:酢酸エチル,3:1)およびH NMR分光分析はモノTBS−保護された物質を示したので、それを上記の条件で反復処理し、精製すると、目的物質とモノTBS−保護された物質の混合物40mgが得られ、これをさらに精製せずに使用した。
次いでベンジリデン脱保護のための一般法(方法2)を、上記生成物(32.1mg,0.05mmol)を用いて80%酢酸(2mL)中、室温で48時間撹拌して実施した。粗製物質をクロマトグラフィー処理して(SiO,MeOH:CHCl,10%)、表題化合物(22.4mg)を淡黄色の油として得た。ESI-MS: m/z 563 ([M+ 2Na]+)。
ポリマー−薬物コンジュゲートの合成
実施例10
(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびELDIのポリウレタン
重合のための一般法、方法Aを、(5)(108.2mg,0.23mmol)、リジンジイソシアネートのエチルエステル(ELDI)(68.4mg,0.30mmol)およびDBTDL(11.0mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲート(87.5mg)を白色固体として得た(DMF中のGPCは下記を示した:Mw=2.583kDa,多分散度(PDI)=1.25)。
このポリマーを次いで溶融温度40℃および5mL/分でマイクロ押出機を用いて溶融押出して、直径1.0mmのロッドにした。
実施例11
(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびHDIのポリウレタン
重合のための一般法、方法Bを、(5)(70.2mg,0.15mmol),ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(32.9mg,0.20mmol)およびDBTDL(12.0mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲート(38.8mg)を白色固体として得た(DMF中のGPCは下記を示した:Mw=143kDa,PDI=3.12)。
このポリマーを次いで溶融温度75℃および5mL/分でマイクロ押出機を用いて溶融押出して、直径0.3mmのロッドにした。
実施例12
(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびDVDIPのポリウレタン
重合のための一般法、方法Aを、(5)(102.1mg,0.22mmol)、プロパン−1,3−ジイル ビス(2−イソシアナト−3−メチルブタノエート)(DVDIP)(95.2mg,0.29mmol)およびDBTDL(11.0mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲート(93.3mg)を白色固体として得た(DMF中のGPCは下記を示した:Mw=2.325kDa,PDI=1.095)。
このポリマーを次いで溶融温度40℃および5mL/分でマイクロ押出機を用いて溶融押出して、直径1.0mmのロッドにした。
実施例13
(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート、ELDIおよびPEG(1000)のポリウレタン
重合のための一般法、方法Cを、(5)(57.5mg,0.12mmol)、ELDI(55.9mg,0.25mmol)、PEG(1000)(140.5mg,0.15mmol)およびDBTDL(12.8mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲートを白色の混濁した油として得た(DMF中のGPCは下記を示した:Mw=23.5kDa,PDI=1.14)。
実施例14
(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート、ELDIおよびPCL(1000)のポリウレタン
重合のための一般法、方法Cを、(5)(54.5mg,0.12mmol)、ELDI(54.8mg,0.24mmol)、PCL(1000)(118.1mg,0.12mmol)およびDBTDL(13.0mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲートを白色の混濁した油として得た(DMF中のGPCは下記を示した:Mw=22.9kDa,PDI=1.30)。
実施例15
(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエート、ELDIおよびPLGAのポリ(ウレタン−エステル)
重合のための一般法、方法Cを、(5)(54.6mg,0.12mmol)、ELDI(62.1mg,0.27mmol)、PLGA(50:50)(Mw=1175)(138.3mg,0.12mmol)およびDBTDL(9.9mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲートを固体として得た(DMF中のGPCは下記を示した:Mw=11.9kDa,PDI=2.77)。
実施例16
(Z)−3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびDVDIPのポリウレタン
重合のための一般法、方法Aを、(2)(89.8mg,0.18mmol)、プロパン−1,3−ジイル ビス(2−イソシアナト−3−メチルブタノエート)(70.4mg,0.22mmol)およびDBTDL(12.0mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲート(51.7mg)を白色固体として得た(DMF中のGPCは下記を示した:Mw=6.093kDa,PDI=1.34)。
このポリマーを次いで溶融温度40℃および5mL/分でマイクロ押出機を用いて溶融押出して、直径1.0mmのロッドにした。
実施例17
(Z)−3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびDVDIPのポリウレタン
重合のための一般法、方法Aを、(2)(44mol%)、プロパン−1,3−ジイル ビス(2−イソシアナト−3−メチルブタノエート)(56mol%)およびDBTDL(触媒量)を用いて無水THF(1mL)中で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲートを白色固体として得た。。
実施例18
(Z)−3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびDVDIPのポリウレタン
重合のための一般法、方法Bを、(2)(47mol%)、プロパン−1,3−ジイル ビス(2−イソシアナト−3−メチルブタノエート)(53mol%)およびDBTDL(触媒量)を用いて無水THF(1mL)で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲートを白色固体として得た。
実施例19
(Z)−3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R,E)−3−ヒドロキシ−4−(3−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブタ−1−エン−1−イル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびELDIのポリウレタン
重合のための一般法、方法Bを、(24)(38.7mg,0.069mmol)、ELDI(18.6mg,0.082mmol)およびDBTDL(9.3mg,0.015mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲートをクリーム色の泡状物(28.3mg)として得た。
実施例20
1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 4−(((Z)−7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノイル)オキシ)ベンゾエートおよびELDIのポリウレタン
重合のための一般法、方法Bを、(6)(111.3mg,0.19mmol)、ELDI(56.6mg,0.25mmol)およびDBTDL(11.4mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲート(128.2mg)を白色固体として得た(DMF中のGPCは下記を示した:Mw=31.8kDa,PDI=4.35)。
このポリマーを次いで溶融温度85℃および5mL/分でマイクロ押出機を用いて溶融押出して、直径0.6mmのロッドにした。DMF中のGPCは下記を示した:Mw=34.4kDa,PDI=2.96。
実施例21
(Z)−イソプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−((3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパノイル)オキシ)−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびELDIのポリウレタン
重合のための一般法、方法Bを、(14)(81.1mg,0.15mmol)、ELDI(39.4mg,0.18mmol)およびDBTDL(11.0mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲート(10mg)を無色の半固体として得た。
実施例22
(Z)−イソプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R,E)−3−((3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパノイル)オキシ)−4−(3−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ブタ−1−エン−1−イル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびELDIのポリウレタン
重合のための一般法、方法Bを、(15)(34.7mg,0.06mmol)、ELDI(15.0mg,0.07mmol)およびDBTDL(11.4mg,0.02mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲート(36.5mg)を白色固体として得た(DMF中のGPCは下記を示した:Mw=19.9kDa,PDI=2.50)。
このポリマーを次いで溶融温度75℃および5mL/分でマイクロ押出機を用いて溶融押出して、直径0.3mmのロッドにした。
実施例23
(1S,2R,3R,4R)−2−((Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソヘプタ−2−エン−1−イル)−4−ヒドロキシ−3−((S,E)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタ−1−エン−1−イル)シクロペンチル 3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパノエートおよびELDIのポリウレタン
重合のための一般法、方法Bを、(1S,2R,3R,4R)−2−((Z)−7−(エチルアミノ)−7−オキソヘプタ−2−エン−1−イル)−4−ヒドロキシ−3−((S,E)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタ−1−エン−1−イル)シクロペンチル 3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパノエート(26)(22.4mg,0.043mmol)、ELDI(13.6mg,0.060mmol)およびDBTDL(11.0mg,0.017mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲートを白色固体(30.1mg)として得た。
実施例24
(Z)−3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびELDIのポリウレタン
重合のための一般法、方法Bを、(2)(16.2mg,0.033mmol)、ELDI(15.6mg,0.07mmol)およびDBTDL(10.4mg,0.016mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲート(18.4mg)を白色固体として得た。
実施例25
(R)−1−((1R,2R,3S,5R)−3,5−ジヒドロキシ−2−((Z)−7−イソプロポキシ−7−オキソヘプタ−2−エン−1−イル)シクロペンチル)−5−フェニルペンタン−3−イル(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)スクシネートおよびELDIのポリウレタン
重合のための一般法、方法Bを、(23)(236.9mg,0.39mmol)、ELDI(103.2mg,0.456mmol)およびDBTDL(10.4mg,0.016mmol)を用いて無水THF(1mL)中、45℃で実施した。表題のポリマー−薬物コンジュゲートをクリーム色の固体(81mg)として得た。
前記のポリマー−薬物コンジュゲートを表2にまとめる。
表2:プロスタグランジンのポリマー−薬物コンジュゲートの例:
薬物送達システム
本発明のポリマー−薬物コンジュゲートを親水性ポリマーと混合したものを含む薬物送達システムも調製した。
実施例26
(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびELDIのポリウレタンをPEG(3000)とブレンドしたもの
重合方法Dに従って、(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびELDIのポリウレタン(実施例10)(52.3mg)ならびにPEG(3000)(55.5mg)を無水DCM(1mL)に溶解し、室温で1時間撹拌した。溶媒を真空中で除去して、ブレンドした材料を灰白色の半固体として得た。
実施例27
(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびDVDIPのポリウレタンをPEG(3000)とブレンドしたもの
重合方法Dに従って、(Z)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル 7−((1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−((R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル)シクロペンチル)ヘプタ−5−エノエートおよびDVDIPのポリウレタン(実施例12)(63.9mg)ならびにPEG(3000)(64.2mg)を無水DCM(1mL)に溶解し、室温で1時間撹拌した。溶媒を真空中で除去して、ブレンドした材料を灰白色の半固体として得た。
上記の薬物送達システムを表3に示す。
表3:薬物送達システムの例:
一般的な溶融押出法
ポリマー−薬物コンジュゲートを簡単な溶融押出法によりロッド状の繊維またはインプラントに成形できる。ポリマー−薬物コンジュゲートを加圧下に高められた温度でダイを通して押し出すと、一定の外径をもつロッド状材料が連続的に供給される。次いでこのロッド状材料を高温のナイフで予定長さに切断すると最終製品が得られる。
基本的なプランジャーに基づく押出機を用いて最終製品を製造する。まず、押出す材料をバレルに装填する。バレルの一端には単一の円筒状の孔を備えたダイ(直径0.3〜2.0mmの範囲)があり、ここから材料が押し出される。バレルの他端には、バレルの内容物をダイから一定速度で押し出すプランジャーがある。バレル内の材料を確実にそれの融点またはその付近で押し出すために、バレルとダイを、必要ならば最高300℃、ただし、より一般的には40〜120℃に加熱する。
ダイからの押出品を取扱い前に空冷し、必要と思われる場合には真空オーブン内で乾燥させてもよい。
多数のポリマーを溶融押出して種々の直径のロッドにした。溶融温度を40℃から120℃まで変動させ、5mL/分でマイクロ押出機を用いて押出を実施した。
表4:種々のポリマー−薬物コンジュゲートを含む、製造したロッド状の繊維およびインプラントの表(5mL/分でマイクロ押出機を用いて実施)
薬物放出方法
国際標準化機構(International Organisation of Standardisation)が推奨するインビトロ放出ガイドラインに従って、溶融押出により製造したロッド状試料を、等張リン酸緩衝液(IPB)(オルトリン酸を用いてpH7.4に調整され、かつ保存剤として0.01%ナトリウムアジドを含有する)に浸漬したワイヤバスケット内に懸濁し、37℃で連続撹拌しながらインキュベートした。一部の受容溶液を、予定した時点で、ポリマーからの薬物放出がもはや増加しなくなるまで、分析のために取り出した。
ロッドから種々の時点で放出されたプロスタグランジン薬物の量を、UV吸収検出器付き逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量し、C18カラムにおいて均一濃度または勾配系で、脱ガスした移動相を用いて被分析体の分離を実施した。
上記の方法を用いて、種々のポリマー−薬物コンジュゲートからのプロスタグランジン薬物ラタノプロストの放出速度を測定した。結果を下記の表5に示す。
表5.ラタノプロスト−ポリマーコンジュゲートからのラタノプロスト遊離酸の放出速度
ポリマー−薬物コンジュゲートからの放出速度を60日間にわたって測定し、全期間にわたって薬物の零次放出が示された(図1を参照)。零次放出プロフィールは、期間当たり一定量のプロスタグランジン薬物が放出されて、より一定量の薬物が送達部位に供給されることの指標となる。
本発明の他のポリマー−薬物コンジュゲートも同様な挙動を示し、一般に少なくとも60日の期間にわたってプロスタグランジン薬物の零次放出を示すと予測される。
眼内インプラントの製造
ポリマー−薬物コンジュゲート、またはポリマー−薬物コンジュゲートを含有する材料を、眼への送達を促進するのに適した形状のデバイスに成形することができる。そのようなデバイスのひとつは、20〜23ゲージの針の内腔に収容できるロッド状インプラントである。そのインプラントの外径は約0.4mmであろう。そのインプラントの長さは要求量のプロスタグランジン薬物を送達するように選択できる。インプラントの一般的サイズは直径0.3mm×長さ1〜2mmである。そのインプラントを罹患した眼に結膜下投与することができ、そこでインプラントは周囲組織から水分を吸収してプロスタグランジン薬物の放出とポリマー侵食が始動するであろう。
ロッド状インプラントを製造するために使用できる1方法は溶融押出を伴い、その際、ポリマー−薬物コンジュゲート、またはポリマー−薬物コンジュゲートを含有する材料を、加圧下に高められた温度でダイを通して押し出すと、約0.4mmの外径をもつロッド状材料が連続的に供給される。次いでこのロッド状材料を高温のナイフによって予定した間隔で切断して最終インプラントを得ることができる。
一例では、基本的なプランジャーに基づく押出機を用いてインプラントを製造する。まず、押出す材料をバレルに装填する。バレルの一端には直径約0.4mmの単一の円筒状の孔を備えたダイがあり、ここから材料が押し出される。バレルの他端には、バレルの内容物をダイから一定速度で押し出すプランジャーがある。バレル内の材料および押し出されたものが確実にそれの融点またはその付近(一般に70℃より高い)にあるように、バレルとダイを加熱する。
他の例では、単一スクリュー押出機を用いてインプラントを製造する。押し出す材料は供給スロート(バレル背面付近にある開口)から進入し、スクリューと接触する。回転しているスクリュー(普通は最高120rpmで回転)が、希望する溶融プラスチック溶融温度(一般に70℃より高い)に加熱されたバレル内へ材料を押し進める。一般に加熱ゾーンはバレルの温度を背部(プラスチックが進入する場所)から前方(ダイがある位置)へ徐々に上昇させる。これによりバレル内を押し進められるのに伴って材料を徐々に溶融させることができ、ポリマーの分解を引き起こす可能性のある過熱のリスクが低下する。高圧およびバレル内部での材料の摩擦もこのプロセスに熱を付与する。材料の流れを維持するために一定流速モードで圧力を変動させて、あるいは一定の圧力を維持するために定圧モードでスクリュー回転速度を変動させて、押出機を操作することもできる。溶融した材料は、バレルを通過した後にダイに進入し、これが最終製品にそれのプロフィールを与える。
これら2方法のいずれかのダイからの押出品を冷却する;これは、通常は押出品を水浴または冷却用エアカーテンを通して引き取ることにより達成される。
本明細書に記載する発明を具体的に記載したもの以外に変更および修正できることは当業者に認識されるであろう。本発明は本発明の精神および範囲内に含まれるそのような変更および修正をすべて含むと理解される。
本明細書および以下の特許請求の範囲の全体において、状況からそうではないことが要求されない限り、“含む(comprise、およびその変形、たとえばcomprisesおよびcomprising)”は、明記した整数もしくは工程または一群の整数もしくは工程を含むが、他のいずれかの整数もしくは工程または一群の整数もしくは工程を除外しないことを示すことは理解されるであろう。
本明細書中でのいずれかの先行刊行物(またはそれに由来する情報)または他のいずれかの既知事項への言及は、その先行刊行物(またはそれに由来する情報)または他のいずれかの既知事項が本明細書の関係する努力分野における共通の一般的知識の一部を形成することの認知もしくは承認または何らかの形の示唆ではなく、またそのように解釈すべきでない。

Claims (32)

  1. ポリマー主鎖、およびそのポリマー主鎖にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートしたプロスタグランジン薬物を含む、ポリマー−薬物コンジュゲート。
  2. ポリマー主鎖、ならびにそのポリマー主鎖にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートしたPGE、PGDおよびPGFクラスのプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを含む、請求項1に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  3. ポリマー主鎖、ならびにそのポリマー主鎖にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基によりコンジュゲートしたPGF2αクラスのプロスタグランジンまたは置換プロスタグランジンを含む、請求項1または請求項2に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  4. エステル連結基がプロスタグランジン薬物を1、9、11および15位から選択される位置において連結している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  5. ポリマー−薬物コンジュゲートが複数の式(XX)のプロスタグランジン薬物:
    [式中:
    は、炭素原子6個の直鎖脂肪族であり、場合によりオキソ(=O)およびヒドロキシからなる群から選択される1または2個の置換基を含み;
    は二重結合または単結合を表わし;
    TおよびUは、TとUが一緒にオキソ(=O)を形成しているもの、TおよびUがそれぞれハロであるもの、ならびにTがR15でありかつUが水素であるものからなる群から選択され;
    Yは、場合により置換されたC−C10ヒドロカルビルまたは場合により置換されたC−C10ヒドロカルビルオキシであり;
    、R、R11およびR15のうちのひとつはポリマー主鎖に連結しており、その際:
    、R11およびR15は、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはカーボネート連結基のアルコール残基であり、Rは、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはアンヒドリド連結基の酸残基を形成し;
    は、主鎖に連結していない場合は−OH、−O(C1−6アルキル)、および−NRからなる群から選択され、ここでRおよびRはそれぞれ独立してHおよびC1−6アルキルからなる群から選択され;
    およびR11は、ポリマー主鎖に連結していない場合は両方ともヒドロキシであり、あるいは一方はヒドロキシでありかつ一方はオキソであり、RおよびR11のうち一方が主鎖に連結している場合は、他方はヒドロキシまたはオキソであり;
    15が主鎖に連結していない場合は、TはヒドロキシでありかつUは水素であり、あるいはTおよびUはそれぞれフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成している]
    を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  6. ポリマー−薬物コンジュゲートが複数の式(XXi)のプロスタグランジン薬物:
    [式中:
    は二重結合または単結合を表わし;
    TおよびUは、TとUが一緒にオキソ(=O)を形成しているもの、TおよびUがそれぞれハロであるもの、ならびにTがR15でありかつUが水素であるものからなる群から選択され;
    は、オキソおよびヒドロキシからなる群から選択される任意選択的な置換基であり;
    Yは、場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルまたは場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルオキシであり;
    、R、R11およびR15のうちのひとつはポリマー主鎖に連結しており、その際:
    、R11およびR15は、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはカーボネート連結基のアルコール残基であり、Rは、ポリマー主鎖に連結している場合はエステルまたはアンヒドリド連結基の酸残基を形成し;
    は、主鎖に連結していない場合は−OH、−O(C1−6アルキル)、および−NRからなる群から選択され、ここでRおよびRはそれぞれ独立してHおよびC1−6アルキルからなる群から選択され;
    およびR11は、ポリマー主鎖に連結していない場合は両方ともヒドロキシであり、あるいは一方はヒドロキシでありかつ一方はオキソであり、RおよびR11のうち一方が主鎖に連結している場合は、他方はヒドロキシまたはオキソであり;
    15が主鎖に連結していない場合は、TはヒドロキシでありかつUは水素であり、あるいはTおよびUはそれぞれフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成している]
    を含む、請求項5に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  7. ポリマー−薬物コンジュゲートがそれのポリマー主鎖の一部として一般式(I)の部分:
    [式中:
    AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(I)に示す−J−R(ZD)−J−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
    およびJは、独立して酸素、C(O)およびNRからなる群から選択され、ここでRは水素またはC−Cアルキルであり;
    Rは、場合により置換された炭化水素であり;
    Zは、連結基であり;
    Dは、式(XX)のプロスタグランジン薬物であり;
    DとZは一緒にエステル、アンヒドリドまたはカーボネート連結基を形成している]
    を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  8. 請求項7に記載のポリマー−薬物コンジュゲート:
    (a)基Dは式(XX)のプロスタグランジン薬物であり、式中のRはエステルまたはアンヒドリド連結基の酸残基であり、Zは下記からなる群から選択される式のものである:
    (i) (R) -O- (D);
    (ii) (R) -Q-Ar-O- (D);
    (iii) (R) -Q-C1-C12アルキレン-O- (D);
    (iv) (R) -Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-O- (D);
    (v) (R) -Q-C1-C12アルキレン-Q-Ar-O (D);
    (vi) (R) -Q-C1-C12アルキレン-Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-O- (D);
    (vii) (R) -OC(O)- (D);
    (viii) (R) -Q-Ar-OC(O)- (D);および
    (ix) (R) -Q-C1-C12アルキレン-OC(O)- (D)
    (b)基Dは式(XX)のプロスタグランジン薬物であり、式中のR、R11およびR15のうちのひとつはエステルまたはカーボネート連結基のヒドロキシ残基(−O−)であり、Zは下記からなる群から選択される式のものである:
    (i) (R) -C(O) (D);
    (ii) (R) -OC(O)- (D);
    (ii) (R) -Q-Ar-C(O)- (D);
    (iii) (R) -Q-C1-C12アルキレン-C(O)- (D);
    (iv) (R) -Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-C(O)- (D);
    (v) (R) -Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-OC(O)- (D);
    (vi) (R) -Q-C1-C12アルキレン-Q-Ar-C(O) (D);および
    (vii) (R) -Q-C1-C12アルキレン-Q-Ar-Q-C1-C12アルキレン-C(O)- (D);
    これらにおいて:
    (R)はR基に結合している連結基末端を示し、(D)はプロスタグランジン薬物Dに結合している連結基末端を示し;
    Arは、場合により置換された芳香族またはヘテロ芳香族炭化水素であり;
    Qは、−O−、−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)OC(O)−、−C(O)NRC(O)−、−OC(O)NR−、−NRC(O)O−、−NR−、−NRC(O)NR−,−NRC(O)−、−C(O)NR−、−S−、−O−C(S)−、−C(S)−O−、−S−C(O)−、−C(O)−S−、−NRC(S)−、および−C(S)NR−からなる群から選択され、これらにおいてRは水素またはC−Cアルキルである。
  9. プロスタグランジン薬物(D)が式:
    [式中のR、R、R11、T、UおよびYは前記に定めたものである]
    のものである、請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  10. プロスタグランジン薬物(D)が下記のものからなる群:
    [これらの式中:
    は連結基Zに対するプロスタグランジン薬物の結合点を表わし;
    は二重結合または単結合を表わし;
    Yは、場合により置換されたC4−C10ヒドロカルビルまたは場合により置換されたC−C10ヒドロカルビルオキシであり;
    式(XXiii)、(XXv)および(XXvi)において、Rはヒドロキシ、C−CアルコキシまたはC−Cアルキルアミノ(好ましくは、イソプロポキシまたはエチルアミノ)であり;
    式(XXiii)および(XXiv)において、RおよびR11はヒドロキシであり、あるいはRおよびR11のうち一方はオキソであり、他方はヒドロキシであり;
    式(XXv)において、R11はヒドロキシまたはオキソであり、XはOまたはヒドロキシであり;
    式(XXvi)において、Rはヒドロキシまたはオキソであり;
    式(XXiv)および(XXvi)において、TはヒドロキシでありかつUは水素であり、あるいはTおよびUは両方ともフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成している]
    から選択される、請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  11. ポリマー主鎖がポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、またはその組合わせもしくはそのコポリマーである、前記請求項のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  12. Rが炭素原子1〜12個の線状または分枝した飽和脂肪族であり、場合によりヒドロキシ基、アミノ基およびカルボン酸基からなる群から選択される1〜4個の置換基で置換されている、請求項7に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  13. それのポリマー主鎖の一部として一般式(Ic)の部分:
    [式中:
    AおよびBは、同一でも異なってもよく、ポリマー主鎖の残部を表わし、(i)式(I)に示す−O−R(ZD)−O−部分に生分解性部分により結合し、かつ(ii)それぞれが生分解性部分により結合したモノマー単位から形成され;
    Rは、場合により置換された炭化水素であり;
    Zは、連結基であり;
    Dは、一般式(II)および(III)のプロスタグランジン薬物からなる群から選択される放出可能な薬物であり:
    これらの式中:
    は二重結合または単結合を表わし、
    は連結基Zにプロスタグランジン類似体が結合している箇所を表わし、Rはヒドロキシ、C−CアルコキシまたはC−Cアルキルアミノであり、XはOまたはOHであり、Yは−(CHCH、−OC(メタ−CF)、(CHCH、−OCおよび−CHから選択される]
    を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  14. がヒドロキシ、イソ−プロピルオキシおよびエチルアミノから選択される、請求項13に記載の生分解性薬物コンジュゲート。
  15. Dが下記のものからなる群から選択される、請求項7に記載のポリマー−薬物コンジュゲート:
  16. Zが下記のものからなる群から選択される、請求項13に記載のポリマー−薬物コンジュゲート:
    (R) -O- (D);
    (R) -OC(O)-Ar-O- (D);
    (R) -NHC(O)-Ar-O- (D);
    (R) -C(O)O-C1-C12アルキレン-O- (D);
    (R) -OC(O)-C1-C12アルキレン-O- (D)。
  17. Rが炭素原子3〜10個の炭化水素であり、場合によりヒドロキシ基、アミノ基およびカルボン酸基からなる群から選択される1〜4個の置換基で置換されている、請求項7〜16のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  18. 下記の構造のうちのひとつ:
    [これらの式中、RzはC1−6アルキルである]
    を有する、請求項17に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  19. ポリマー−薬物コンジュゲートが、次式のモノマー:
    [式中のR、ZおよびDは前記に定めたものである]
    のポリマーである、請求項7〜18のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  20. ポリマーがポリウレタンポリマーであり、ポリイソシアネート、ならびに場合によりヒドロキシ、アミンおよびカルボン酸から選択される複数の活性水素含有基を含む1種類以上のモノマーで形成されている、請求項19に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  21. 活性水素含有モノマーが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA) ポリ(1,5−ジオキセパン−2−オン)(PDOO) ポリ(酢酸グリセロール)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(リン酸グリセロール)、アミノ酸ポリマーおよびアミノ酸オリゴマー、C2−C4ジオール、アミノ酸、グリコール酸、ならびにヒドロキシ酸からなる群から選択される、請求項20に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  22. ポリイソシアネートがリジンジイソシアネートのアルキルエステルを含む、請求項20または請求項21に記載のポリマー−薬物コンジュゲート。
  23. 式:
    [式中のR、ZおよびDは請求項6〜13のいずれか1項に定めたものである]
    のモノマー−薬物コンジュゲート。
  24. 式:
    [式中:
    TおよびUはそれぞれフルオロであり、あるいはTとUは一緒にオキソを形成しており、あるいはTはヒドロキシでありかつUは水素であり;
    Z、YおよびRは前記に定めたものである]
    の、請求項23に記載のモノマー−薬物コンジュゲート。
  25. 式:
    [式中:RはOH、C−CアルコキシまたはC−Cアルキルアミノであり;Z、RおよびYは前記に定めたものである]
    の、請求項23に記載のモノマー−薬物コンジュゲート。
  26. 式:
    の薬物−モノマーを、ポリ酸ハロゲン化物、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸無水物、ポリイソシアネート、ポリアミン、環状エステルおよび環状カーボネートからなる群から選択されるモノマーと重合させることを含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲートを製造する方法。
  27. 前記請求項のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲートを含む、対象において緑内障を処置するためのインプラント。
  28. 対象の眼内に配置するための固形物品の形態の、請求項27に記載のインプラント。
  29. 一方または両方の眼が緑内障に罹患している対象において緑内障を処置するための方法であって、緑内障に罹患している眼に請求項1〜22のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲートを投与することを含む方法。
  30. ポリマー−薬物コンジュゲートが固形ポリマー物品(たとえば、粒子、ロッドまたはペレット)の形態であり、その方法が対象の罹患している眼にその物品を埋め込むことを含む、請求項29に記載の方法。
  31. その方法が、ポリマー物品を注射針の内腔に蓄積させてそのポリマー物品を眼に注入することを含む、請求項29または請求項30に記載の方法。
  32. 対象の少なくとも1つにおいて緑内障を処置するための医薬の調製における、請求項1〜22のいずれか1項に記載のポリマー−薬物コンジュゲートの使用。
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