本発明のいくつかの実施形態は、胃腸管の、実質的に360°の円周部分を形成する胃腸管の領域によって、(拡散的に)反射した光の少なくとも1つの特定波長の強度を判定することによって、胃腸異常の診断に有用な情報を提供する方法と装置に関する。胃腸管の領域は、実施形態によって、例えば、十二指腸や、小腸、又は大腸のような幽門の下流にある胃腸管のすべての部分である。
本発明の教示に関する原理、使用、及び実施は、添付の記述と図面を参考にして、より良く理解されるだろう。本明細書中の記述と図面を精読すると、当業者なら過度の努力や実験を必要としないで、本発明の教示を実施することが可能である。図面に於いて、本明細書を通して同一参照番号は、同一部分を指す。
本発明の、少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その応用に於いて、構成要素の構造と配置及び/又は本明細書に記述した方法の詳細に必ずしも限定されないということを理解すべきである。本発明は、他の実施形態や、様々な方法で、実践又は実行することが可能である。本明細書に使われた表現や用語は、記述目的のためであって、限定的であると理解すべきではない。
胃腸管の検査のための公知の摂取可能な画像装置は、本明細書の導入部で説明したように多くの不都合を有している。
胃腸管(例えば、腸壁)のある領域で(分散して)反射した光の、少なくとも1つの特定波長の強度を判定することによって、胃腸異常の診断に有用な情報を提供する方法と装置をここに開示する。
本方法の幾つかの実施形態を理解するために、乱反射と鏡面反射両方の反射のプロセスを考える必要がある。
腸壁の1つの領域を照明する光は組織の中に侵入し、組織の中の発色団によって吸収される。いかなる発色団も、異なる効率で光の異なる波長を吸収し、発色団の存在、性質及び濃度は組織のタイプに依っているので、異なる組織タイプは、光の異なる波長を異なる仕方で吸収する。
組織内部に侵入した光も組織内部で散乱され、細胞、細胞小器官及び間質組織などの様々な外観から多くの方向に反射及び屈折して、光のある部分は、最終的に、照明の一般的方向に対して逆方向に拡散的に反射して組織から外に出ていく。散乱及び乱反射の程度は、様々な組織構成要素の屈折率と同様に反射する外観の濃度、大きさ、形状に依って決まる。胃腸組織の中で拡散する外観の大きさと共に屈折率、濃度などによって、可視光及び近赤外線光(400−800nm)の乱反射度は、波長に依って決まる。
異常な胃腸組織と比較して正常な光吸収、拡散、乱反射の違いが、胃腸異常の診断に有用な情報を提供するのに十分であることは認知されており、かつ本明細書に開示されている。
さらに、所与の光検出器では、組織表面からの鏡面反射と乱反射の両方の検出強度は、表面からの検出器の距離に依って決まる。つまり、表面が遠ければ遠い程、波長とは独立している反射光の強度は低くなる。
本発明の実施形態の1態様によれば、
a)生きている哺乳類(人間又は人間以外の哺乳類)の体内胃腸管の1つの領域を光で照明することであって、該照明することは胃腸管内腔の内部から外に向かうものである照明と;
b)光が(拡散的に)、胃腸管の1つの領域から反射した後に、該領域の画像を取得しないで、光の少なくとも1つの特定波長の強度を判定すること;
c)該領域の潜在的な胃腸異常を表示する光強度に関する情報を、例えば、医療関係者などの人物に提供すること、とを含む胃腸異常の診断に有用な情報を提供する方法を提供する。
幾つかの実施形態によれば、臨床又は(より好ましいのだが)非臨床的状態に拘わらず、該哺乳類は沈静状態ではなく、好ましくは、外来患者の状態である。
幾つかの実施形態によれば、判定される強度は拡散反射された光に関するものである。幾つかの実施形態によれば、判定される強度は、実質的に拡散反射した光だけに関するものである。
この提供された情報は、単独で使用することも出来るし、又は、例えば、出血、ガン、侵襲性腺ガン、腺腫、腺腫様ポリープ、良性ポリープ、及び増殖性ポリープなどの胃腸異常、及びその他の異常を診断するために、生きている哺乳類に関するその他の情報と共に使用することが可能である。
幾つかの実施形態に於いては、提供された情報は、波長に依存した異常に関することで、つまり、波長に依存した異常は、光の異なる波長を異なった仕方で、吸収し拡散する特性を有している。幾つかの実施形態によれば、検出された異常は、距離(照明器から光検出アセンブリまでの)に敏感であり、つまり、ポリープや、通常、腸内腔に突出している異常形状を有するその他の異常などによる距離によって反射光の強度が変化する。
従って、幾つかの実施形態では、組織が潜在的に異常であると識別することは、波長に依る反射特性を利用するもので、当分野で公知の画像取得及び分析を必要としない。従って、本明細書に記載の方法の幾つかの実施形態は、分光学の1つの形態として考えることが出来る。本発明の幾つかの実施形態の態様をよりよく理解するのに役立つ背景技術は、例えば、ダハールM(Dhar M)等による2006年胃腸内視鏡検査、63(2)、25‘に見つけることが出来る。
幾つかの実施形態に於いて、胃腸組織のある1つの領域が光で照明された時、光のある部分が組織の中に侵入して、吸収と拡散の両方が起こる。最終的に乱反射され、検出された光の特定波長の強度は、組織のタイプによって決まる。組織の1領域から乱反射された光の特定波長の強度を判定し、判定された強度をある参考値(例えば、絶対値、異なる領域から反射した同一波長を有する光強度、(同1領域から反射した異なる波長を有する光強度)と比較することによって、その組織領域を潜在的に異常であると識別することが可能となる。
図1A乃至1Cに於いて、乱反射の波長と組織のタイプに依って決まることを示した正常及び、異常胃腸組織に対して行った(実施例セクションで詳しく示す)実際の実験の結果をしめす。
第1の実施形態に於いては、正常腸粘膜に対する腸異常による乱反射の波長に依存していることが、本明細書の切除された腸組織に関して記述されるように、摂取可能装置の使用のシミュレーションとしての方法で調査された。実験結果を図1Aに示すが、400nmから800nmの間の波長の正常粘膜から反射した光に対して正規化した、正常粘膜(プロットa)、血液(プロットb)及び侵襲性腺ガン(プロットc)から乱反射した光の相対的検出強度を示す。
第2の実施形態に於いては、正常腸粘膜に対して、侵襲性腺ガンに関する様々な腸異常からの乱反射の波長に依存することが、本明細書に記述するように、生体内での摂取可能装置の使用のシミュレーションとしての方法で調査された。実験結果を図1Bに示すが、400nmから750nmの間の波長の正常粘膜から乱反射した光に対して正規化された正常粘膜(プロットa)、侵襲性腺ガン(プロットc)、増殖性ポリープ(プロットd)、腺腫様ポリープ(プロットe)及び腺腫(プロット)から乱反射した光の相対検出強度を示す。
第3の実施形態に於いては、正常腸粘膜に対して様々な腸異常からの乱反射の波長に依存することが、本明細書に記されるように、削除された腸組織において摂取可能な装置の使用のシミュレーションとしての方法で調査された。実験結果を図1Cに示すが、400nmから800nmの間の波長の正常粘膜から乱反射した光に対して正規化された正常粘膜(プロットa)、血液(プロットb)、侵襲性腺ガン(プロットc)、増殖性ポリープ(プロットd)、及び腺腫(プロット)から乱反射した光の相対検出強度を示す。
図1A乃至1Cで明らかなように、異なる組織タイプは、特徴的で、識別可能で、波長に依存する仕方で光を乱反射して、その結果、本明細書中の教示に従って提供された乱反射された光の少なくとも1つの特定波長の強度に関する情報は、胃腸異常のタイプの診断を支援するのに役立つ。
幾つかの実施形態によれば、特定される波長の少なくとも1つは、胃腸異常のために、組織タイプに非常に依存する乱反射を有する波長であり、該胃腸異常の特徴的な波長と考えることが出来る。幾つかの実施形態によれば、特定される波長の少なくとも1つは、胃腸異常のための、低い組織タイプに依存する乱反射を有する波長である。「低い」及び「高い」は、この分野に普通の技術を有する者によって、例えば、図1A乃至1Cを参照すること又は大掛かりではない、小規模な実験を通して、容易に理解される質を表す用語である。
例えば、図1A乃至1Cから、450nmから700nmの間の様々な波長は、通常組織と比較すると、出血、侵襲性腺ガン、腺腫、及び腺腫様ポリープの特徴的な波長である可能性があることが分かる。
幾つかの実施形態に於いて、同一領域から反射した光の少なくとも2つの異なる特定波長の強度が判定される。2つの異なる波長の反射の相対的強度が比較され、図1A乃至1Cから明らかなように、異常な組織を示している可能性がある。
例えば、約430nmから約600nm(正常な組織に対して)の間の波長に対しての激しい強度減少は、もっと緩やかな減少、又は変化無しか、又は約700nmから約800nm(正常な組織に対して)の間の波長に対して、又は強度の増加を伴った場合には、侵襲性腺ガンなどの異常を表している可能性があり、約700nmと約800nm(正常な組織に対して)の間の波長に対しての激しい強度の減少を伴った場合には、出血などの異常を表している可能性がある。
複数のそのような実施形態に於いては、少なくとも2つの特定の波長のうちの1つは、1つ以上の異常の兆候であり、その少なくとも2つの特定の波長の別の波長は、少なくとも1つの異なる異常の兆候である。
複数のそのような実施形態に於いては、少なくとも2つの特定の波長のうちの1つは、異常の兆候であり、少なくともその2つの特定の波長の別の波長は、同一の異常の兆候であり、その結果、可能性のある兆候に対する信頼を増加する。
複数のそのような実施形態に於いては、少なくとも2つの特定の波長の光強度を判定することは、2つの波長の強度の比較を可能にし、診断に有用な情報を提供する。
複数のそのような実施形態に於いては、少なくとも2つの特定の波長のうちの少なくとも1つは、特徴的な波長(強度の変化が異常を示している、例えば、550nmは侵襲性腺ガンを示している)であり、少なくとも2つの特定の波長の少なくとも1つは、参考波長(例えば、700nm)である。参考波長の強度を判定することにより、幾つかの実施形態では、1つ以上の特徴的な波長の判定された強度の正規化が可能となり、幾つかの実施形態では、診断上役に立つ測定を、役に立たない測定から分離することが可能になる。
複数のそのような実施形態では、強度の変化は、波長に依存していなくて、腸壁との接触が無いことを示している。複数のそのような実施形態に於いては、腸壁との接触中と判定された特徴的な波長の強度は、参考波長の判定された強度を参考にして、腸壁と接触していないと判定された特徴的な波長の強度から分離される。例えば、幾つかの実施形態に於いては、蠕動サイクルの短縮された部分においてのみ、腸壁が装置に物理的に接触する。650nm(参考)と550nm(兆候)両方の波長の反射強度に関する同様の減少の強度は、測定中の腸壁との接触が無いことを示している。対照的に、650nmの反射の強度は実質的にコンスタントである一方で、550nmの反射強度が減少していることは、潜在的な侵襲性腺ガンを検知しているという可能性を有しながら、その測定中の腸壁との接触を示している。
幾つかの実施形態に於いては、提供された情報は、判定された強度である。幾つかの実施形態に於いては、提供された情報は、例えば、相対的な強度、比率等の判定された強度から計算された情報である。
幾つかの実施形態に於いては、提供された情報は、胃腸管の異なる領域で反射された特定波長を有する光の強度と比較された胃腸管の1つの領域で反射された光の同一特定波長の強度である。幾つかの実施形態によれば、特に、反射された光の強度が、複数の別々の領域から実質的に同時に判定された場合、異なる領域の組織タイプの相違又は異なる領域への距離の相違を識別することが可能である。例えば、図1Aから分かるように、異なる領域からの反射の強度を比較すると、550nmに於ける光の強度の減少は、出血や侵襲性腺ガンなどの異常を示している可能性がある。
幾つかの実施形態に於いては、提供された情報は、同一領域から反射した少なくとも2つの異なる特定波長のうちの少なくとも2つ(幾つかの実施形態では、正確に2つ又は正確に3つ)のそれぞれの強度の比較であり、例えば、2つの異なる波長の強度の比率を比較することであって、低い比率は、正常の組織を示し、高い比率は異常組織を示す。複数のそのような実施形態に於いては、そのような比較は、波長に依存していない強度の変化の影響を減少し、波長に依存する変化の影響を強調して、そのために、幾つかの実施形態で、異なる組織タイプの間の識別に有用である。正常な組織とは非常に異なる(低い又は高い)そのような波長強度の比率は、異常を示している可能性がある。例えば、幾つかの実施形態に於いて、ある領域から反射した550nm(I550)の波長を有する光の強度が、同一の領域から反射された625nm(I625)の波長を有する光の強度と比較される。同一であるが(I550=I625)、両方とも正常な組織よりも低い強度は、出血を示しており、I550(I625>I550)と比較してずっと高いI625の強度は、侵襲性腺ガン又は腺腫を示しており、一方、I625(I550>I625)と比較して、ずっと高い1550の強度は、増殖性ポリープの腺腫様ポリープを示す。
幾つかの実施形態によれば、例えば、もっと高い検出信頼度が望まれている場合(選択性、特異性、異常タイプに関して)又は、1つ以上の異常タイプを探索し、潜在的に検出することが望ましい場合には、反射された光の2つ以上の波長の相対強度が判定され比較される(例えば、3つ、4つ、5つそれ以上の波長)。幾つかの実施形態に於いては、比較対象の波長だけの相対強度を得る。幾つかの実施形態に於いては、比較対象の波長よりもっと多くの相対強度を得る。幾つかの実施形態に於いては、複数の波長の相対強度を得て、幾つかの実施形態に於いては、スペクトルを形成する。
幾つかの実施形態に於いては、本明細書に記載された方法は、胃腸管の1つの特異な選択された領域における異常を検出するこだけに応用される訳ではない。
幾つかの実施形態に於いては、本明細書に記載された方法は、胃腸管の表面をスキャンすることと、複数の領域のうちの各々から反射した光の少なくとも1つの特定波長の強度を連続的に判定することを含む。
幾つかの実施形態に於いては、本明細書に記載された方法は、複数の領域のうちの各々から反射した光の少なくとも1つの特定波長の強度を同時に判定することを含む。
幾つかの実施形態に於いては、本明細書に記載された方法は、胃腸管の複数の個別の領域を実質的に同時に照明することを含む。幾つかの実施形態に於いては、複数の個別の領域が、胃腸管の円周部分を形成し、幾つかの実施形態に於いては、胃腸管の360°の円周部分(リング状)を形成する。幾つかの実施形態に於いては、反射した光の少なくとも1つの特定波長の強度を判定することは、複数の個別の領域に対して実質的に同時である。幾つかの実施形態に於いては、この方法は、胃腸管を形成している組織の連続するリングから反射した光を次々に検出することを含む。
幾つかの実施形態に於いては、判定された強度は分析され、作用が及ぼされ、例えば、潜在的な異常組織が検出された時には、特異な行動が取られるが、例えば、アラームを鳴らすことや、マーカや医薬品有効成分が投与される。
幾つかの実施形態に於いては、提供された情報(例えば、判定された強度、相対強度、比率)が記録される。幾つかの実施形態に於いて、提供された情報が送信される。幾つかの実施形態に於いては、提供された情報が連続的に送信される。幾つかの実施形態に於いて、提供された情報は、例えば、電力を節約するために間欠的に(例えば、毎分よりも少ない頻度、毎時よりも少ない頻度)、送信する。幾つかの実施形態に於いては、可搬式リレー装置(例えば、携帯電話、個人用デジタル補助装置、専用トランシーバ)が、生きている哺乳類の傍にあり、リレーとして使われ、提供された情報を連続的に又は間欠的に受信して、続いて、その提供された情報を、例えば、病院や医者などの中央の場所に再送信する。幾つかの実施形態によれば、提供された情報は、例えば、パイプシュミレーション計算方法を使用して画像に変換される。幾つかの実施形態によれば、可搬式記録装置(例えば、携帯電話、個人用デジタル補助装置、専用トランシーバ)が、生きている哺乳類の傍にあり、提供された情報を連続的に又は間欠的に受信し、情報を、例えば、メモリカードなどの取外し式の記録媒体に記録するために使用される。
本明細書に記載された方法は、適切な装置を使用して実施され得るが、例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される装置が、該方法を実施するために使用される。
本発明の幾つかの実施形態のある態様に依れば、胃腸異常の診断に有用な情報を提供する摂取可能な装置が提供される。この装置は、a)装置軸と、本体部分と、末端部と、基端部を有する摂取可能なケースと;b)該ケースの内部にあり、該装置が通過し接触する胃腸管(例えば、腸壁)の領域の照明を可能にする、光を、ケースの照明装置の窓を通過して放射状に外部方向に投射するように形成された照明器と;c)該ケースの内部にあり、画像を得ることなく、関連した検出窓を通過する光の少なくとも1つの特定波長の強度を判定するように形成された少なくとも1つの光検出アセンブリとを備えている。
上記の方法の複数の実施例による使用では、装置は摂取される。幽門を通過した後、照明器は、幾つかの実施形態で、照明器から出た光をケースの外にガイドするための光ガイドとして働く関連した照明器窓を通して光を放射状に投射し、胃腸壁の領域を照らす。投射された光は、反射した光の特定波長が判定される光検出アセンブリに向けて反射した光をガイドするための光ガイドとして働く検出器窓を通って反射して戻る。本明細書に記述された方法を参考にして述べたように、照明された範囲のある領域から反射した光の少なくとも1つの特定波長の強度が、該領域の異常を示している可能性がある。
この技術に於いて、摂取可能胃腸画像装置は、対物レンズを備えるが、通常は調整可能な対物レンズであり、1個以上のレンズ及び/又は鏡から成り、対物レンズの焦点面に位置する2次元検出器アレイ上に対象物の画像を形成する。本明細書に記載された装置は、画像を取得しないで、胃腸管の検査に使用される。幾つかの実施形態に於いては、胃腸管の検査は、レンズを通して行われる。幾つかの実施形態に於いては、装置は、画像を形成するためではなく、光を光検出器に集中させるために固定レンズを備えている。
画像を取得するために、従来技術の摂取可能画像装置は、必ず、カメラを備えていたことを認識するのは重要である。カメラは、一般的に、腸内腔と平行である、腸管の比較的大きな部分の画像を得る。デジタルカメラ技術で公知であるように、カメラ検出器の各々の画素は、同時に、所定領域(各々の画素は、1つの領域に対応し、その複数の領域が共に、画像を取得しつつある腸管の部分を構成している)からの光の多数の波長を取得する。そのような画像装置は、各々の画像フレームのために、比較的長い取得時間を必要とする。
これに対して、本明細書で記述された装置の幾つかの実施形態によれば、所定領域からの各々の特定波長の強度は、異なる物理的な位置、例えば、異なる光検出アセンブリ、同一光検出アセンブリの検出器の異なる領域で判定される。従って、幾つかの実施形態では、装置は、光の、少なくとも2つの特定波長の強度を、実質的に異なる場所で判定するように形成されている。幾つかの実施形態では、装置は、光の、少なくとも2つの特定波長の強度を、各々、実質的に異なる検出器を使用して、判定するように形成されている。本明細書に記述された装置の幾つかの実施形態では、光検出アセンブリは、光センサの単純な1次元アレイを備えている。そのような検出器は、比較的小さな領域からの各々の特定波長の強度を判定し、装置の1つの物理的位置では、比較的短い取得時間を必要とするだけである。
本明細書に記述された装置の幾つかの実施形態は、比較的安価であり、公知の摂取可能画像装置よりも簡単で安価な構成要素が必要である。
本明細書に記述された装置の幾つかの実施形態は、公知の摂取可能画像装置と比較して、比較的機械的信頼性が高く、実質的に可動部品は必要としない。
本明細書に記述された装置の幾つかの実施形態は、公知の摂取可能画像装置と比較して低電力消費(実施形態によっては、例えば、低い照明条件、より少ない取得データ、可動機械部品が無い、フレームに対してより少ない画素数)であり、より小さく、安価であり、毒性の低い電力貯蔵ユニット、例えば、バッテリが必要である。
従来技術の摂取可能画像装置のように、装置のケースは、一般的に通過するために形成されており、哺乳類の被験者によって飲み込まれると、幽門を通過して、胃腸管を経由して運搬され、最後には肛門を通過して排出されるが、ここで、末端部又は基端部が前方を向いており、装置軸は、胃腸管内腔と実質的に平行になっており、かつ胃腸壁は物理的に体の一部に接触して、蠕動によって装置を推進する。
幾つかの実施形態に於いて、体の部分は、実質的に平行な壁状の円筒形部分を有し、そこでは、体の部分の壁は、装置の軸と平行になる。
幾つかの実施形態によれば、末端部及び/又は基端部は、装置が、胃腸管を通過できるように流線型になっている。
幾つかの実施形態によれば、装置は、そのケース内部に、一旦、摂取されると、排出されるまで、装置操作のための実質的にすべての電力を提供する電源を備えている。幾つかの実施形態によれば、公知の摂取可能画像装置に必要な電源と比較すると、画像形成の必要はなく、可動部品はなく、照明強度は低くてよく、及び、時間当たり、送信及び/又は記録すべきデータは少ないので、装置は比較的低い電力条件でよいので、電源は比較的小規模である。
幾つかの実施形態に於いては、装置は、そのケース内部に、例えば、光の特定波長の判定された強度を比較するように形成されたプロセッサを備えている。
幾つかの実施形態に於いては、装置は、そのケースの内部に、特定波長の判定された強度や、特定波長の判定された強度を比較した結果などの特定波長の判定された強度に関係する情報を送信するためのワイヤレス送信機を備えている。幾つかの実施形態に於いては、ワイヤレス送信機は、公知の摂取可能な画像装置の様に、情報を連続的に送信するように形成されている。幾つかの実施形態に於いては、ワイヤレス送信機は、送信によって潜在的に起こる干渉を減少させ、装置を飲み込む被験者の被爆を減少させ、装置によって使用される電力を減少させるために、情報の非連続的(例えば、間欠的又は周期的)な送信のために形成される。幾つかの実施形態に於いて、装置は、適度の情報量以外、画像を取得しないので、非連続的送信が可能である。幾つかの実施形態に於いては、情報は、短い範囲(例えば、専用装置、携帯電話、個人用デジタル補助装置)のみ送信され、記憶及び/又は再送信される。
幾つかの実施形態に於いては、装置は、そのケースの内部に、特定波長の判定された強度に関係する情報を記録するためのメモリを備え、例えば、装置は、マイクロSDカードのような固体メモリ要素又は取外し可能固体メモリ要素を備えている。幾つかの実施形態に於いて、記録される情報は、胃腸管を通過している時に判定される胃腸管内の異常の診断のために役に立つ実質的にすべての情報である。幾つかの実施形態に於いて、実質的にすべての有用な情報を記録することは、装置が比較的適度の情報量以外、画像を取得しないので、可能である。
本明細書に記述された装置の照明器は、1つ以上の特定波長を含む光、典型的には、約400nmと800nmの間の波長の光を投射するように形成されている。幾つかの実施形態に於いて、照明器は、モノクロの光を投射するように形成されている。幾つかの実施形態に於いて、照明器は、光の特定波長を含む多色又は白色の光を投射するように形成されている。
幾つかの実施形態に於いて、照明器は、特定波長を有する光を作る光源を備えている。例えば、発光ダイオードなどの適切な光源を使用することが出来る。幾つかの実施形態に於いては、そのような光源は、モノクロの光を作るように形成されている。幾つかの実施形態に於いては、そのような光源は、多色光を作るように形成されている。幾つかの実施形態に於いては、そのような光源は、白色光を作るように形成されている。幾つかの実施形態に於いては、照明器は、400と800nmの間の波長を有する光を作るための光源を備えている。
幾つかの実施形態に於いては、光源は、光源で作られた光を放射状に分配するための光源と機能的に関連した放射状ディフューザを備えている。
照明器と照明器窓は、適切な方向に光を共に投射するように形成されている。幾つかの実施形態に於いては、照明器と照明器窓は、装置の軸に対して実質的に垂直な光を共に投射するように形成されている。幾つかの実施形態に於いて、照明器及び照明器窓は、装置の軸に対して90°とは異なる角度で光を共に投射するように形成されているが、例えば、検出器窓に向かう方向又はそれから離れる方向、あるいは、幾つかの実施形態に於いては、装置の軸に対して垂直である状態から10°以下である方向、又は、幾つかの実施形態に於いては、装置の軸に対して垂直である状態から5°以下である方向である。
照明器は、胃腸の内腔のいかなる形の領域をも照明可能にするように光を放射状に投射するように形成されている。幾つかの実施形態によると、照明器は、装置の軸の周りの、一度に、少なくとも約90°、あるいは少なくとも120°、そして少なくとも180°の円周部分に光を投射するように形成されており、胃腸内腔の同じような円周部分の実質的同時照明を可能にしている。つまり、好ましい実施形態によれば、照明器は、装置の軸の周り実質的に360°全域である円周部分に光を投射するように形成されており、胃腸組織の実質的に360°の円周部分(リング)の実質的に同時照明を可能にしている。
照明器が光を投射する時、光が通過する照明器の窓は、少なくとも特定波長に対して、実質的に透過的である。照明器の窓はどのような適切な形と構造であればよく、一般的に、摂取可能な画像装置の分野で公知であるようにガラス又はプラスチック材料で形成される。幾つかの実施形態では、照明器の窓は、連続しているように組み合わせた2つ以上の個別の部品から作られている。幾つかの実施形態では、照明器の窓は、少なくとも2つの部品が非透明な構成部品によって分離されているように組合わされた2つ以上の個別の部品から作られている。つまり、一般的には、照明器の窓は、実質的に単一の個別の構成部品から成っているのが好ましい(胃腸液がケースの中に漏れる機会を少なくすることと共に構成するのが容易であるという理由から)。幾つかの実施形態では、放射状ディフューザは、照明器の窓を形成する。
幾つかの実施形態では、照明器及び照明器の窓は共に、投射された光が偏光するように形成され、例えば、照明器の窓は、光偏光用構成部品であるか、又は照明器は、光偏光用構成部品を備えている。
照明器が、ある円周部分(例えば、120°)に光を投射するように形成された幾つかの実施形態では、照明器の窓は、特定波長を有する光に対して実質的に透過である材料で出来た少なくとも、同一の円周部分の弧状又は円盤状部分を備えている。特に、照明器が、実質的に360°の円周部分に光を投射するように形成されている幾つかの実施形態では、照明器の窓は、特定波長を有する光に対して実質的に透過である材料から出来たリング又は円盤であり、幾つかの実施形態では、装置の軸と同軸である。
本明細書に記述された装置の光検出アセンブリは、関連した検出器の窓を通過する光の少なくとも1つの特定波長の強度を判定するように形成されている。上記のように、特定波長は、典型的には、約400nmと800nmの間である。
幾つかの実施形態では、装置は、それぞれ実質的に異なる(物理的に)場所での光の、少なくとも2つの特定波長の強度を判定するように形成される。幾つかの実施形態では、装置は、それぞれ実質的に異なる光検出アセンブリの少なくとも2つの特定波長の強度を判定するように形成されている。幾つかの実施形態では、装置は、同一の光検出アセンブリの実質的に異なる場所における光の少なくとも2つの特定波長の強度を判定するように形成される。
幾つかの実施形態では、光検出アセンブリと関連した検出器の窓は、光の特定波長を有する光だけを通過させるように形成された少なくとも1つの波長フィルタを備えている。幾つかの実施形態では、波長フィルタは、検出器の窓と機能的に関連している。幾つかの実施形態では、波長フィルタは、検出器の窓の構成部品であるか、検出器の窓である。
幾つかの実施形態では、光検出アセンブリと関連した検出器の窓は、光検出アセンブリに到達する光が偏光されるように形成されており、例えば、照明器の窓は、光偏光構成部品であるか、又は光検出アセンブリは、別の光偏光構成文を備えている。幾つかのそのような実施形態では、光検出アセンブリに関連した光偏構成部品は、照明器と結合した光偏光構成部品に対して垂直方向に向いている。そのような交差分極は、鏡面反射を減少させ、実質的に唯一乱反射した光をより選択的に取得することを許可する。
幾つかの実施形態では、装置は、単一の光検出アセンブリを備えている。
幾つかの実施形態では、装置は、少なくとも2つの光検出アセンブリを備えている。幾つかの実施形態では、装置は、少なくとも2つの検出アセンブリと結びついた少なくとも1つの検出器窓を備えている。幾つかのそのような実施形態では、各々の光検出アセンブリは、単一の専用検出器窓と結びついている。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの光検出アセンブリは、特定波長の強度を判定するように形成されている。幾つかの実施形態では、光検出アセンブリは、光検出アセンブリに到達する光の波長を制限する波長フィルタと機能的に結びついている。幾つかの実施形態では、波長フィルタは、検出器の窓の構成部品か、又は検出器の窓である。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの光検出アセンブリは、光の少なくとも2つの特定波長の強度を判定するように形成されている。
幾つかのそのような実施形態では、光の少なくとも2つの特定波長の強度を判定するように形成された光検出アセンブリは、少なくとも2つの検出器の窓と結びついている。幾つかのそのような実施形態では、各々の検出器の窓は、異なる特定波長を有する光を通過させる波長フィルタと結びついている。
幾つかのそのような実施形態では、光の少なくとも2つの特定波長の強度を判定するように形成された光検出アセンブリは、単一の検出器の窓と結びついている。幾つかのそのような実施形態では、検出器の窓は、適切な数の、異なる特定波長を有する光を通過させる異なる波長フィルタと結びついている。
光の特定波長の強度を判定する率は、適切であればどの程度の率でもよい。より高い率は、分析し/又は送信し/又は記憶すべきデータ(判定された強度)を産出し、装置が胃腸管を通過する時に、より高い率で強度を判定することによって、より高い距離分解能を提供する。蠕動が、胃腸管の中を摂取した装置を駆動するスピードを考慮すれば、現在、1Hzと20Hzの間の率が好ましいと考えられている。従って、幾つかの実施形態では、光検出アセンブリは、光の少なくとも1つの特定波長の強度を、少なくとも約0.1Hz、少なくとも約0.5Hz,及び少なくとも約1Hzの率で判定するように形成されて、好ましくは、装置が、胃腸管を通過する期間に、実質的に、部位の内腔表面全体又は幽門の下流の胃腸管全体がスキャンされる。
実施形態によれば、光検出アセンブリは、適切な方向及び、胃腸壁の適切な形状の領域から、光の少なくとも1つの特定波長の強度を判定するように形成されることが可能である。
幾つかの実施形態によれば、光検出アセンブリは、装置の軸の周り少なくとも約90°、少なくとも約120°、及び少なくとも約180°の、装置の軸の周りの円周部分から、関連した検出器窓を通過する光の少なくとも1つの特定波長の強度を判定するように形成されており、胃腸内腔表面の同等の円周部分(弓状領域)からの強度を同時に判定することが出来る。つまり、好ましい実施形態によれば、光検出アセンブリは、装置の軸の周り実質的に360°全体の円周部分の光の強度を、実質的に同時に、判定するように形成されており、胃腸組織の実質的に360°円周部分(リング形状部分)での反射強度を同時に判定することが出来る。
光検出アセンブリに関連した検出器の窓は、胃腸管の所与の領域から反射した光が光検出アセンブリに到達するのを許可する。幾つかの実施形態では、光検出アセンブリは、実質的に領域全体である単一領域から反射した光の強度を判定するように形成されている。例えば、幾つかの実施形態に於いて360°の円形検出器窓を有する装置に於いては、光は、反射光の強度が判定される1つの領域である腸壁の360°リング形状の領域から反射される。
つまり、幾つかの実施形態では、胃腸管の同一部分での異常の位置、異常のサイズ、又は多数の異常の識別などの診断のための付加的情報を提供するために、少なくとも1つの光検出アセンブリは、関連した検出器窓からの適切な位置に必要な数の光検出器を配置することによって、少なくとも2つの異なる領域、少なくとも3つ、あるいは少なくとも4つ、少なくとも8つ、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも30、及び少なくとも60の異なる領域から関連した検出器の窓を通過する光の、少なくとも1つの特定波長の強度を判定するように形成されている。例えば、幾つかの実施形態の360°円形の検出器の窓を有する装置では、腸内腔壁の360°リング形状の領域は、光の強度が独立して検出されるところの2つの180°部分に分割されるか、120°部分に対応して3つの異なる領域に分割されるか、4つの90°部分に対応して4つの異なる領域に分割され、以下、これに類する。幾つかのそのような実施形態では、光検出アセンブリは、異なる領域からの光の強度を判定するための画素化した光検出器アレイを備えており、検出器アレイは、少なくとも異なる領域と同じ数の画素を備えている。幾つかの実施形態では、複数の画素は、1つの領域からの光の強度を判定するためにグループとして組合わされている。画素化された光検出器アレイの適切な技術が使われてよく、例えば、モノクロの画素化されたアレイ、CCD(電荷結合素子)アレイ、PD(フォトダイオード)アレイ、CMOS(相補型金属酸化膜)アレイ及びLED(発光ダイオード)などである。
これに関連して、診断的に有用な解像度を有する画像を得るために、公知の摂取可能な画像装置は、一般的に、少なくとも10000個の個別領域(画素)、常には、少なくとも百万個の個別領域(画素)からなるフレームを取得する。これに対して、本明細書に記述された装置は、一般的に、同時に、たった1000個、又はたった360個、及びたった120個の個別領域の強度を判定するように形成される。そのような一見して低い空間解像度の有利点は、より弱い照明光を使用することが出来(電力のセーブ)、より少ないデータを取得して、依然、異常の検出を可能にすることである。
幾つかの実施形態では、光検出アセンブリは、関連した検出器窓に入射した光を画素化した光検出器アレイに集中するための焦点構成部品を備えている。幾つかの実施形態では、焦点要素は、検出器の窓の構成部品か、又は検出器の窓である。
幾つかの実施形態では、光検出器アレイの光検出要素(画素)の開口部は、関連した検出器の窓に対面している。幾つかの実施形態では、画素化された光検出器アレイは、外部に面している光検出要素が配置された円形周辺部を有しており、幾つかの実施形態では、その結果、光検出要素の開口部が関連する検出器の窓に対面する。
幾つかの実施形態では、光検出アセンブリは、関連する検出器の窓を通って、光検出器アレイに向かう光の方向を変化させる光検出器を備えている。幾つかのそのような実施形態では、光検出器アレイは、実質的に平らである。反射要素(例えば、実質的に円錐形断面の鏡などの鏡)、光ガイド、プリズム、あるいは反射回折格子(例えば、実質的に円錐形回折格子)を備えた適切な光検出器を使用することが出来る。
幾つかの実施形態では、光検出器も、光の少なくとも1つの特定波長を、光検出器アレイの望ましい場所に向けるために、波長分離器(例えば、プリズム(例えば、円錐形断面のプリズム)、回折格子)として機能する。
光が、光検出アセンブリに向かって通過する検出器の窓は、特定波長のうちの少なくとも1つに対して実質的に透過である。上記のように、幾つかの実施形態では、検出器の窓は、波長フィルタとして作動するように形成され、例えば、実質的に、単一の特定波長だけに透過である。上記のように、幾つかの実施形態では、検出器の窓は、偏光光フィルタとして作動するように形成されている。検出器の窓は、適切な形と構造をしており、一般的に、摂取可能な画像装置の分野で公知のようにガラス又はプラスチック材料で形成されている。幾つかの実施形態では、検出器の窓は、検出器の窓が連続であるように組み立てられた2つ以上の個別部品から出来ている。幾つかの実施形態では、検出器の窓は、部品のうちの少なくとも2つが、非透明構成部品によって分割されている2つ以上の個別部品から出来ている。つまり、一般的には、検出器の窓は、実質的に単一の個別の構成部品から成っているのが好ましい(胃腸液がケースの中に漏れる機会を少なくすることと共に構成するのが容易であるという理由から)。
光検出アセンブリは、ある円周部分(例えば、120°)からの光の強度を判定するように形成されている幾つかの実施形態では、関連する検出器の窓は、少なくとも1つの特定波長に対して実質的に透過である材料で形成された、少なくとも同一の円周部分の弧状又は円盤形部分を備えている。幾つかの実施形態では、特に、関連する光検出アセンブリは、実質的に360°円周部分からの光の強度を判定するように形成されている場合、関連する検出器の窓は、少なくとも1つの特定波長に対して実質的に透過である材料で出来たリング又は円盤形であり、幾つかの実施形態では、装置の軸とは同軸である。
幾つかの実施形態では、1つ以上の光検出アセンブリは、実質的にもっぱら乱反射光だけを選択的に検出することが望ましい。
上記のように、幾つかのそのような実施形態では、照明器は、第一の方向に向いた偏光構成部品と機能的に関連しており、光検出アセンブリは、第一の方向に対して垂直な方向に向いている偏光構成部品と関連している。
幾つかの実施形態では、装置の軸の平面内の照明器の開口角は比較的小さく、その結果、鏡面反射光が、光検出アセンブリによって検出されることはほとんどない。幾つかの実施形態では、装置の軸の平面に於ける照明器の開口角は、約30°未満、約20°未満、約10°未満、及び約5°未満である。幾つかの実施形態では、装置の軸の平面に於ける照明器の開口角は、好ましい制限された開口角を有するレンズ(幾つかの実施形態では、レンズは照明器の窓を形成する)によって制限されている。幾つかの実施形態では、装置は、装置の軸に実質的に垂直である狭いスリットを備えており、照明器及び/又は照明器の窓が埋め込まれており、光はそのスリットを通過しなくてはならず、装置の軸の平面に於ける照明器の開口角を制限している。
幾つかの実施態様では、装置の軸の平面に於ける光検出アセンブリの開口角は比較的小さく、その結果、鏡面反射した光が、光検出アセンブリによって検出されることほとんどない。幾つかの実施形態では、装置の軸の平面に於ける光検出アセンブリの開口角は、約30°未満、約20°未満、約10°未満、及び約5°未満である。幾つかの実施形態では、装置の軸の平面に於ける光検出アセンブリの開口角は、好ましい制限された開口角を有するレンズ(幾つかの実施形態では、レンズは関連する照明器窓を形成する)によって制限されている。幾つかの実施形態では、装置は、装置の軸に実質的に垂直である狭いスリットを備えており、光検出アセンブリ及び/又は関連する検出窓が埋め込まれており、光はそのスリットを通過しなくてはならず、装置の軸の平面に於ける光検出アセンブリの開口角を制限している。
幾つかの実施態様では、光検出アセンブリは、コリメータと機能的に関連しており、その結果、光検出アセンブリによって検出された光はコリメータを通過しなければならず、鏡面反射した光が光検出アセンブリによって検出されることはほとんどないことが確認される。幾つかの実施形態では、コリメータは別個の構成要素である。幾つかの実施形態では、検出器窓は、コリメータとして機能するように形成されている。
本明細書に記述された装置の設計、構造、アセンブリ及び使用に関しては、当業者なら、記述と図面を精読すれば明らかである。方法や材料や寸法は、ピルカム(Pillcam)(登録商標)(ギブンイメージング、ヨクネム、イスラエル)などの摂取可能画像装置の分野で使われているものと同じで、必要であるなら、本明細書の教示を実施するために容易に変更される。
本明細書に記述される装置の寸法は、適切な寸法であり、過剰な不快感を惹き起こしながら、胃腸管を通過するのを可能にしている。
つまり、幾つかの典型的な実施形態では、装置は、約15mmと35mmの間、約20mmと30mmの間、ピリカン(登録商標)のように、25mmですらあるトータルの軸長さを有している。
幾つかの典型的な実施形態では、装置の本体部分は、約10mmと30mmの間、約10mmと20mmの間、ピリカン(登録商標)のように15mmですらあるトータルの軸長さを有している。
幾つかの典型的な実施形態では、本体部分は、約5mmと20mmの間の、約7mmと15mmの間の、ピリカン(登録商標)のように、10mmですらある直径を有する実質的に円筒形である。
軸寸法(軸長)と照明器窓と検出器窓の間の距離は適切な値である。
照明器窓は適切な軸長さであるが、典型的には、約5mm以上ではない。典型的には、照明器の窓は、少なくとも0.3mm、あるいは少なくとも0.5mm及び、少なくとも1mmである。
検出器窓は、適切な軸長であるが、典型的には、最高約4mm、あるいは最高約3mm、あるいは約2mm、及び最高1mmである。
幾つかの実施形態では、胃腸管から乱反射して十分な光を集光するために、照明窓から検出器窓までの距離は、出来るだけ小さく、幾つかの実施形態では、最高約5mm、あるいは最高約4mm、あるいは最高約3mm、あるいは最高約2mm、あるいは最高約1mmである。従って、照明器の窓の同一サイドに複数の検出器窓を有した実施形態では、複数の検出器窓は、短い軸長を有する傾向にあり(例えば、約2mm未満、約1mm未満)、接近し合って、実質的に隣接する傾向にある。
上記のように、特定の波長又は本明細書に記述される方法の装置を実施するために選択された波長は、ある異常を診断するように選択される。
特定の波長のスペクトル線の幅は、適切なスペクトル線の幅である。
上記の議論から理解されるように(とりわけ、図1)、幾つかの実施形態では、適切なスペクトル線の幅は非常に広く、例えば、幾つかの実施形態では、特定波長は、次のようなスペクトル線の幅を有している:最大約400nm(例えば、出血の兆候として、約400nmから約800nmの幅、図1A)最大250nm(例えば、約400nmから約650nmの幅、出血の兆候、あるいは約400nmから約625nmの幅、侵襲性腺ガンの兆候、図1A);最大約150nm(例えば、約450nmから約600nmの幅、腺腫様ポリープまたは腺腫の兆候、図1B,侵襲性腺ガンとの兆候、図1A,増殖性ポリープの兆候、図1C又は、約500nmから約650nmの幅、出血の兆候、図1A);最大約125nm(例えば、約450nmから575nmの幅、侵襲性腺ガンの兆候、又は約500nmから625nmまでの幅、出血の兆候、図1A);最大約100nm(例えば、約450nmから555nmまでの幅、侵襲性腺ガンの兆候、又は約500nmから600nmまでの幅、出血の兆候、図1A);最大約75nm(例えば、約500nmから575nmまでの幅、出血の兆候、図1A);又は最大約50nm(例えば、侵襲性腺ガンの兆候として、約525nmから575nmまでの幅、侵襲性腺ガンの兆候、図1A、又は腺腫様ポリープの兆候、図1B)。
そのような広いスペクトル線の幅の有利な点は、照明器は比較的低い光強度を生産するように形成されており、エネルギ使用を減少させる。そのような広いスペクトル線の幅の不利益な点は、そのような広いスペクトル線の幅を実施するのが技術的に困難であると同時に、外部の光(例えば、外部の光源から)が検出される可能性があることである。
従って、幾つかの実施形態では、適切なスペクトル線の幅は狭いが、例えば、最大約10nmFWHM,最大約5nmFWHM,及び最大約2nmFWHMである。そのように狭いスペクトル線の幅は、市販されている波長フィルタを使用して実施することは技術的に簡単である。
本明細書に記述された装置は、適切な照明器を備えてもよい。幾つかの実施形態では、本発明の照明器を使用することが好ましい。本発明の幾つかの実施形態の1つの態様によれば、360°円周部分に於いて、放射状に外部方向に光を投射するのに有用な照明器であって、該照明器は:
a)光を投射する光源;と b)ディフューザ軸と、第一の面と、第二の面と、中央ディフューザ軸と同軸である実質的に円形の円周外端部を有する放射状ディフューザとを備え、光源は、放射状ディフューザ内部に光を投射するように形成されており、光源から放射状ディフューザ内部に投射された光の少なくとも一部分は、放射状ディフューザの円周端部を通って放射状外部方向に放射状に発せられる。
幾つかの実施形態では、放射状ディフューザは、円盤形状をしており、該放射状ディフューザの第一面の少なくとも一部分は、光源によって投射された光に対して実質的に透過であり;かつ光源は、放射状ディフューザの第一面の透過部分を通って放射状ディフューザの中に光を投射するように形成されている。幾つかのそのような実施形態では、光源は、放射状ディフューザの第一面の透過部分に接している。
幾つかの実施形態では、放射状ディフューザは、内部リムを有する中央孔を備えたリング形状であり、内部リムの少なくとも一部分は、光源によって投射された光に対して透過であり、かつ光源は、内部リムを通って、放射状ディフューザの内部に光を投射するように形成されている。幾つかのそのような実施形態では、光源は、内部リムの透過部分に接している。
幾つかのそのような実施形態では、放射状ディフューザの円周端部は、ディフューザの軸に対して垂直であり、その結果、放射状に外部方向に放射される光は、ディフューザの軸に対して実質的に垂直に放射される。
幾つかのそのような実施形態では、円周端部は、ディフューザの軸に対して角度を有しており、その結果、放射状に外部方向に放射される光は、ディフューザの軸に対して角度を有して放射される。
幾つかの実施形態では、第一ディフューザ面の少なくとも一部分は、光源によって投射される光に対して不透明である。幾つかの実施形態では、第一ディフューザ面の実質的にすべての面は、光源によって投射された光に対して不透明である。幾つかの実施形態では、第一ディフューザ面の少なくとも一部分は、光を反射する(例えば、鏡面仕上げ)。
幾つかの実施形態では、第二ディフューザ面の少なくとも一部分は、光を反射する(例えば、鏡面仕上げ)。幾つかの実施形態では、第二ディフューザ面の少なくとも一部分は、光源によって投射された光に対して不透明である。リング形状のディフューザを有した幾つかの実施形態では、第二ディフューザ面の実質的にすべての面は、光源によって投射された光に対して不透明である。
上記のように、幾つかの実施形態では、本明細書に記載された装置は、光検出器アレイに向って関連する検出器の窓を通過する光の方向を変え、また波長分離器として機能する光導波器を備える光検出アセンブリを有する。幾つかのそのような実施形態では、光導波器は、反射回折格子である。そのような実施形態では、どのような適切な反射回折格子が使われても良い。幾つかの実施形態では、本発明の回折格子を使うことは好ましい。本発明の幾つかの実施形態の1つの態様によれば、回折格子であって:軸を有する実質的に円錐形断面の表面と;表面の、周期的機構とを有する回折格子であって、軸に実質的に垂直に入射する光を、軸の一般的方向に対してある波長依存の角度で反射し、回折格子は、分散要素として機能するように形成されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、周期的機構は、軸に対して同軸であるリング形状の機構を有している。幾つかの実施形態では、機構は、円錐形表面に於けるリング形状のスリットを有する。幾つかの実施形態では、機構は、円錐形表面上にリング形状の突起部を有する。幾つかの実施形態では、表面は実質的に円錐形状を有する。幾つかの実施形態では、回折格子は、実質的に円錐台形状を有する。
幾つかの実施形態では、胃腸異常の診断に有用な情報を提供する方法であって、a)生きている哺乳類の生体胃腸管の一領域を照明することであって、該照明は、胃腸管内腔から外に向かって照明することと;b)光が胃腸管の一領域から反射された後、その領域の画像を取得することなく、光の少なくとも1つの特定波長のトータル強度を判定すること;とc)その領域の潜在的な胃腸異常を示す光の強度に関係する情報を提供することとを含み、該領域は、胃腸管の、実質的に360°円周部分を形成することを特徴とする。幾つかの実施形態で、述べたように、反射光は、実質的に乱反射した光である。上記の実施形態の幾つかとは異なって、そのような実施形態は、少なくとも1つの特定波長の各々に関して、胃腸管の実質的に360°の円周部分から反射した光のトータル強度を判定し、つまり、胃腸管の各々の360°円周部分は、その円周部分を個々の断面に分解することなく、全体を検査することを特徴とする。幾つかのそのような実施形態は、胃腸異常のサイズと正確な位置に関するより少ない情報を提供するが、そのような実施形態は、例外的に適度な量のデータを産出して、ハイリスクな検体であるか、単に普通の何人かの人であるかは別にして、被験者のスクリーニングに役立つ。幾つかの実施形態では、その方法が、胃腸異常を示す兆候を提供した被験者は、内視鏡を使用するなどの立ち入ってはいるが正確な検査を受けることになる。
幾つかのそのような実施形態では、提供された情報は、胃腸管の同一場所、胃腸管の実質的に360°円周部分の同一場所から反射した光の少なくとも2つの異なる特定波長の少なくとも2つの強度を比較することである。
幾つかの実施形態では、提供された情報は、光が、ある領域(胃腸管の実質的に360°円周部分)で反射した後、光の少なくとも1つの特定波長の強度を、その光が胃腸管の異なる領域で、つまり、幾つかの実施形態では、胃腸管の異なる実質的に360°円周部分で反射した後の同一特定波長の光の強度と比較したその1つの特定波長の強度である。
その方法、例えば、上記した装置の幾つかの実施態様を実行するために、あらゆる適切な装置を使うことが可能である。幾つかの実施形態では、異なる方向からの特定波長の光の複数の強度を区別しない例外的に簡単な装置を使用して方法を実行することが好ましい。
従って、幾つかの実施形態では、胃腸異常の診断に有用な情報を提供するために有用な摂取可能な装置であって、a)装置の軸と、本体部分、末端部と、及び基端部を有した摂取可能なケース(例えば、上記のようなケース)と;b)装置の軸(例えば、上記のような照明器)の周りの実質的に360°円周部分に於いて、実質的同時に、ケースの照明器窓を通して光を放射状外部に投射するように形成された該ケースの内部の照明器と;c)照明器によって投射され、装置軸の周りの実質的に360°円周部分において、実質的に同時に、関連する検出器窓を通過する光の、少なくとも1つの特定波長のトータル強度を、画像を取得しないで、胃腸管の実質的に360°円周部分で反射した後、判定するように形成された、ケース内部にある少なくとも1つの光検出アセンブリと、を備えることを特徴とする。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの光検出アセンブリと、関連する検出器窓は、特定波長を有する光のみを通すように形成された少なくとも1つの波長フィルタを備える。
幾つかの実施形態では、装置は、単一の光検出アセンブリを備えている。
幾つかの実施形態では、装置は少なくとも2つの光検出アセンブリを備えている。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの光検出アセンブリは、1つの特定波長の強度を判定するように形成されている。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの光検出アセンブリは、少なくとも2つの特定波長の強度を判定するように形成されている。
幾つかの実施形態では、装置は、装置の実質的に異なる場所、例えば、異なる光検出アセンブリ又は同一の光検出アセンブリの異なる場所の、少なくとも2つの特定波長の強度を判定するように形成されている。
幾つかの実施形態では、装置は、各々、実質的に異なる光検出アセンブリで、少なくとも2つの特定波長の強度を判定するように形成されている。
図2A乃至2Cに於いて、摂取可能装置の実施形態106は、図2Aに略図が示されており、図2Aでは、断面図の装置106、図2Bでは、装置106の照明器の詳細図、図2Cでは、装置106の光検出アセンブリの詳細図である。装置106は、市販のピルカム(登録商標)(ギブンイメージング、ヨークネン、イスラエル)と寸法及び構造が似ている。
装置106のケースは、装置軸12、流線型の末端部と基端部14a、14b、及び平行壁円筒形本体16を備えている。装置106のケースは、照明器窓18及び検出器窓20以外は光に対して不透明であるが、この照明器窓18と検出器窓20は、1mmの長さで、400nmと800nmの間の波長に対して透過であるポリカーボネイトで出来た完全なリング形状をしており、例えば、0.2mmの円盤状の、アルミニウム等の不透明反射箔の分離器22によって分離されている。照明器窓18は、装置軸12に平行な光を偏光するための偏光構成部品として働くように形成されている。検出器窓20は、装置軸12に垂直な光を偏光するための偏光構成部品として働くように形成されている。
内部本体部16は、電源24(例えば、バッテリ)、コントローラ26(例えば、取得したデータを処理するプロセッサとして形成されている集積回路)、書き込可能メモリ28(例えば、マイクロSDカード)、ワイヤレス送信器30(例えば、ブルートゥース(登録商標)受信器)、照明器32、及び単一光検出アセンブリ34である。
照明器32は、軸12の周りであって、それに垂直な360°円周部分において、光を照明器窓18を通して外部に同時に投射するように形成されている。照明器32は、図2Bを参照のこと、光源36(例えば、幾つかの実施形態では、白色光を産出するLED、幾つかの実施形態では、蛍光体ベースの白色LEDなどの多色光を産出する、幾つかの実施形態では、特定の単色光(例えば、500nm、515nm、530nm、545nmの光、スーパーブライトエルイーディーインク、セントルイス、ミズーリ州、米国(Super Bright LEDs,Inc.St.Louis,MO,USA)で販売)を産出する)であって、電源24からコントローラ26を通して作動用の電力を得ている光源36と、放射状ディフューザ40であって、ディフューザ軸40を含んだ透明材料で作られ、ディフューザ軸40に平行な円形外端部42を有した円盤形状の放射状ディフューザ38とを備えている。放射状ディフューザ軸38は、光源36で作られた光を、ディフューザ軸40の周りに放射状に分配するように形成されており、放射状外部に放射される光は、軸40に実質的に垂直に放射される。光源36が第一面44に接している放射状ディフューザ38の第一面44の一部分は、光源36によって作成された光に対して透過であり、光源36は透明部分を通して放射状ディフューザ38に光を投射する。放射状ディフューザ38の第二面46の全体表面と同様に、第一面44のその他の部分は、完全に鏡面加工されていて(例えば、銀又はアルミニウム層の沈着によって)、そのために、光に対して不透明である。
作動している時、例えば、コントローラ26によって、光源36は第一面44の透明部分を通過して放射状ディフューザ38に入る光を作り出す。作られた光は、第一面44の鏡面部分と第二面46の間の放射状ディフューザ軸38内部で反射して、放射状ディフューザ軸38の外端部42と照明器窓18を通って、ディフューザ軸40に対して直角に出現して、装置106の周りにリング状の光を投射する。
装置106の光検出アセンブリ34は、検出器窓20と関連しており、軸12の周りの360°円周部分全体から検出器窓20を通過した光(例えば、500nm)の単一特定波長のトータル強度を判定するように形成されている。光検出アセンブリ34は、図2Cを参照、単一の光検出要素108(例えば、スーパーブライトLEDインク、セントルイス、MO、USAから販売されているようなLEDで、500nmの波長を有する光を検出するのに適したもの)を備えている。
検出窓20の内部表面にぴったりと接触しているのは、500nmの光を選択的に通過させるために選択された狭い通路の波長フィルタ50である。波長フィルタ50は、適切なものならどのような波長フィルタでもよいが、例えば、リーフィルタ、アンドバー、ハンプシャー、イングランド(Lee Filters,Andover,Hampshire,England)から販売されているフレキシブルなフィルタなどがある。
光検出アセンブリ34は、コントローラ26と機能的に関係しており、検出器窓20を通過した500nmの波長を有する光のトータル強度に対応する、光検出要素108の出力は、コントローラ26に入力される。
照明器32によって作られた光が腸内組織から、検出器窓20に向かって反射された時、検出器窓20を通過する、500nmの特定波長を有する光だけが、波長フィルタ52を通過して、光検出要素108に入射する。10Hzの周波数で、コントローラ26は、光検出要素108が判定した500nmの強度を受信する。
使用に際して、装置106を作動させ、被験者が摂取すると、幽門を通り、十二指腸、小腸、大腸及び直腸を通過して、最後に肛門を通って排出される。胃腸管に於ける装置の位置は、常に、通常の方法でモニタされる。幾つかの実施形態では、胃腸管に於ける装置の位置はモニタされない。
照明器32は、照明器窓18から垂直に偏光された光のリングを投射し、近接する又は図3の矢印“a”で示すように、照明器窓18に接触する胃腸管組織の360°円周部分を照明する。
光のある部分は、胃腸組織から反射して、図3の矢印“b”で示すように検出器窓20に向かう。特定波長(500nm)の胃腸組織の360°円周部分から反射した光は、波長フィルタ52を通過して、光検出要素108に向かう。もし存在するなら、大部分の鏡面反射光は、照明器窓18と検出器窓20の間の交差分極のために、検出器窓20を通過するのを防止され、その結果、主として放射状に投射された光が光検出要素108に到達する。特定波長の反射光のトータル強度は、10Hzの波長で判定される。従って、装置106を取り巻く完全なリング状組織によって反射した、波長フィルタ52を通過した特定波長の光のトータル強度は、光検出要素108によって、10Hzの波長で検出され、コントローラ26に報告される。
光検出要素108から受信した各々の強度(変数名 強度)に関して、コントローラ26は、検出された光の平均強度を計算して、メモリ28に平均変数として記憶するためのプロセッサとして機能する。10番目の強度の後に光検出要素108から受信した各々の強度に関して、コントローラ26は、平均強度(相対的強度 = 強度/平均)に対しての強度を計算する。相対強度の値を、メモリ28のアレイに時間関数として記憶する。判定された強度は、コントローラ26によって受信され、メモリ28のアレイに記憶される。装置106が肛門から排出された時、装置106は回収されて、記憶された潜在的な胃腸異常を示す情報を形成する相対強度はダウンロードされ、精査され、分析されて、医療関係者が、被験者の胃腸管に異常があるかどうか判断することの補助をする。
同時に、コントローラ26は、潜在的な胃腸異常を示す情報を形成する即座に判定した平均値、強度、及び相対強度の値を、被験者の体の外の適切に形成された外部装置(図示せず)にワイヤレス送信器30で送信する。自動プログラム(例えば、フォートランプログラミング言語で書かれ、標準的汎用コンピュータで走るもの)は、受信した相対強度の値を分析して、潜在的な異常(例えば、出血、侵襲性腺ガン)を示す、平均のうち十分に低い(例えば、約60%未満、約50%未満、約30%未満)相対強度を識別する。
もし十分に低い相対強度値が確認されない場合には、医療関係者は、検査した被験者は、潜在的な胃腸異常はなにもないという十分な証拠があると判断(随意的には、その他の情報を同時に使って)することが出来、それ以上の医療行動はしない。
もし十分に低い相対強度が確認された場合、医療関係者は、検査した被験者はさらなる検査が必要であるという十分な証拠があると判断(随意的には、その他の情報を同時に使って)し、さらに立ち入った、及び/又はさらに高価な処置、例えば、ピルカム(登録商標)(ギブンイメージング、ヨークネン、イスラエル)又は内視鏡(S状結腸鏡検査、大腸内視鏡検査、小腸鏡検査、及び食道十二指腸鏡検査)使用検査などの処置を指示する。
幾つかの実施形態では、送信された情報は、リアルタイムで分析され、十分に低い相対強度が検出された場合、外部装置は、警告音を発し、臨んでいる医療関係者に警告をする。
図2D及び2Eは、装置106などの装置が取得した代表的な情報を図示している。
図2Dでは、胃腸組織から反射した500nmの波長を有し、光検出器108によって検出された光(上記のように判定された)の相対強度は、時間の関数としてプロットされ。
一番上のプロットでは、装置106は正常な胃腸組織を通り、その結果、判定された相対強度は実質的に一定である。
真ん中のプロットでは、装置106は出血病巣に遭遇するまで、正常な胃腸組織を通過する。出血病巣及びその箇所から胃腸管の十分な長さのある下流に於いて、判定された相対強度は、図1を参照にして上記したように、装置106の光検出アセンブリ34によって検出される胃腸管によって反射した、500nmの波長を有する光の強度を下げる血液の存在のために正常な組織の相対強度に比べて実質的に低い。腸のある位置に於いて、腸表面の血液の量は、実質的に少なくなり、平均の判定された相対強度は正常に戻る。
一番下のプロットでは、装置106は、一か所に存在する侵襲性腺ガンに遭遇するまで正常な胃腸組織の中を通過する。侵襲性腺ガンに於ける判定された相対強度は、図1を参照して上記したように、正常な組織の場合よりも実質的に低い。検出窓20が侵襲性腺ガンを通り越した時、判定された相対強度は通常に戻る。
本明細書に記述された方法と装置の実施形態によって取得された図2Dに図示されるような情報は、医者のような人に提供された場合、胃腸異常の存在と種類に関する診断に役に立つという意味で有用であるかもしれない。例えば、被験者が健康的であるか、腸出血又は侵襲性腺ガンに侵されているかどうかというその他の医療情報と共に。
装置106は特に、非常に狭い選択された波長(500nm)の強度を判定するように形成されているが、もっと広い選択された波長や、その他の波長も使用出来る(図1A乃至1Cから分かるように)。例えば、出血を検出するための幾つかの実施形態では、照明器32は、特異な波長帯域を有するモノクロ光、又は、特定波長域の多色光又は白色光を投射するように形成され、光検出アセンブリ34は、400nmから800nmの幅の選択された波長の強度を識別しないで(出血の検出に有用である)判定するように形成されている。同様に、出血を検出するのに有用な幾つかの実施形態は、500nmから650nmまでの幅の選択された波長と、選択された波長のサブグループの強度を判定するように形成されている。同様に、侵襲性腺ガンの検出に有用な幾つかの実施形態は、400nmから600nmまでの幅の選択された波長と、選択された波長のサブグループの強度を判定するように形成されている。同様に、腺腫、腺腫様ポリープの検出に有用な幾つかの実施形態は、475nmから575nmまでの幅の選択された波長と、選択された波長のサブグループの強度を判定するように形成されている。
図4A及び4Bに、摂取可能な装置の実施形態110の略図を示す。図4Aは横方向の断面図、図4Bは光検出アセンブリ34の詳細図である。装置110は、単一の特定波長の強度を判定するように形成された複数の光検出アセンブリを備えている。
装置110は、軸12の周りでありかつ軸12に対して垂直な360°円周部分に於いて、照明器窓18を通して光を放射状外部に投射するように形成された装置106の照明器32と実質的に同一の照明器32を備えている。
装置110は、多くの顕著な違いを持ちながらも、上記の装置106と似ている。
装置106は単一の光検出アセンブリ34を備えているが、装置110は3つの独立した光検出アセンブリ34a,34b,34cを備えており、その各々は専用の検出器窓20a,20b,20cを付属している。装置110の光検出アセンブリ34は、装置106の光検出アセンブリ34と実質的に同じである。しかし、分離した波長フィルタ52を備える代わりに、各々の検出器窓20は、着色されたポリカーボネイト材料で形成されており、そのために、波長フィルタとして機能し、各々の光検出アセンブリ34は、単一の特定波長、特に、500nm(34a),550nm(34b)、650nm(34c)の波長の強度を判定するように形成されている。この結果、装置110は、実質的に異なる物理的位置、つまり、異なる光検出アセンブリ34a、34b、34cのそれぞれの光検出器アレイに於ける光の3つの特定波長の強度を判定するように形成されている。
装置106の単一の光検出ダイオード108の代わりに、装置110では、それぞれの光検出アセンブリ34は、画像化された平面光検出アレイ(例えば、デジタル写真撮影分野で公知のようにCCD、PD,CMOS、LED)を備え、これは、図4Bでは、小型の魚眼レンズ112によって視覚からは隠されている。各々の魚眼レンズ112はそれぞれの検出器窓20に入射する光を集め、その光をそれぞれの光検出アセンブリに集約する。光検出アセンブリのそれぞれの画素は、独立して、検出された光の強度を判定出来るが、装置110では、すべての画素の出力が足し合わされて、コントローラ26の入力として、単一の強度値として送られる。
使用に際して、装置110は作動され、被験者によって摂取され、幽門を通過して、十二指腸、小腸、大腸、及び直腸に入り、通過して、最後に肛門を通って排出される。胃腸管における装置の位置は常に、通常の方法でモニタされる。幾つかの実施形態では、胃腸管に於ける装置の位置はモニタされない。
照明器32は、照明器窓18から垂直に偏光された光のリングを投射し、近接する又は照明器窓18に接触する胃腸管組織の360°円周部分を照明する。
投射された光のある部分は、胃腸組織から乱反射されて、検出器窓20a、20b及び20cに向かう。第一の特定波長(500nm)の胃腸組織の360°円周部分から反射した光は、光検出アセンブリ34aに付属している検出器窓20aを通過する。第二の特定波長(550nm)の胃腸組織の360°円周部分から反射した光は、光検出アセンブリ34bに付属している検出器窓20bを通過する。第三の特定波長(650nm)の胃腸組織の360°円周部分から反射した光は、光検出アセンブリ34cに付属している検出器窓20cを通過する。鏡面反射光は、照明器窓18と検出器窓20の間の交差分極のために、検出器窓20を通過するのを防止され、その結果、主として放射状に投射された光が光検出器アレイに到達する。特定波長の反射光のトータル強度は、10Hzの波長で判定される。従って、装置110を取り巻く完全なリング状組織によって反射した、検出器窓20を通過した特定波長の光のトータル強度は、光検出アセンブリ34の光検出器よって、10Hzの波長で検出され、3つともすべて、コントローラ26に報告される。
判定された強度は、コントローラ26に受信される。コントローラ26は、胃腸管の同一の領域から反射された3つの異なる特定波長の強度を比較するプロセッサとして機能する。特に、強度が判定される各々のサイクルでは、コントローラ26は、同一の領域で反射された550nmの光、550nmの光、及び650nmの光の強度を比較(例えば、比率を計算することによって)する。潜在的な胃腸異常を示す情報を形成する強度の比較結果は、本体の外部に適切に形成された外部装置(図示せず)にワイヤレス送信器30によって送信される。自動プログラムは、潜在的な異常を示す情報を識別するために、受信した比較された強度(幾つかの実施形態では、リアルタイムで、幾つかの実施形態では、リアルタイムではなく)を分析する。
腸壁の同一の領域から反射された異なる特定波長500nm、550nm、及び650nmの波長の判定した光強度を比較することによって、様々な胃腸異常を潜在的に識別することが可能である。例えば、正常な組織よりも実質的に低い、波長550nm、550nm及び/又は650nmを有する光の実質的に同一強度は、出血を示しており、550nmの強度より大、500nmの強度より大である650nmの強度というパターンは、図1Aのように、侵襲性腺ガンを示している。例えば、650nmの強度より高い500nm及び550nmの強度は、腺腫様ポリープを示しており、一方、650nmの強度より低い500nm及び550nmの強度は、図1Bに示すように、侵襲性腺ガンを示している。
医療関係者は、提供された情報を受けて、(随意的に、その他の情報を利用しながら、その情報に従って)何もしないか、又は、更なる検査のために、もっと立ち入った及び/又はもっと高価な手続きを指示するか選択出来る。
図4Cは、装置110などの装置によって取得された典型的情報を示す。
図4Cは、胃腸組織の同一の領域Xから反射した光検出アセンブリ34b及び34cによって判定された650nm(Ix 650)の波長を有する光に対して550nm(Ix 550)の波長を有する光の強度の比率が、時間を関数としてプロットされている。
時間t2では、(Ix 550)/(Ix 650)の微増が、増殖性ポリープ(図1B参照)の潜在的存在を示している。
時間t3では、(Ix 550)/(Ix 650)の激増が、腺腫様ポリープ(図1B参照)の潜在的存在を示している。
時間t4では、(Ix 550)/(Ix 650)の激減が、侵襲性腺ガン(図1B参照)の潜在的存在を示している。
本明細書に記述される方法と装置の実施形態によって得られた図4Cに示す情報は、医者のような人物に提示された時、胃腸異常の存在及びその種類に関する診断を助けるのに役に立つことが出来る。
摂取可能な装置の実施形態114が、図5Aでは、その横方向断面図、図5Bでは、光検出アセンブリ34の詳細図として、概略が示されている。装置114は、光の多数の特定波長の強度を判定するように形成された単一の光検出アセンブリを備えている。装置114は、多くの顕著な違いもあるが、上記の装置106及び110と似ている。
装置114は、光の3つの選択された波長の強度を判定するように形成された単一の光検出アセンブリ34を備えている。光検出アセンブリ34は、3つの別々の光検出要素108a、108b及び108cを備えており、各々は実質的に、装置110の光検出要素108と同じであるが、異なる点は、それぞれの要素108が光の単一波長の強度を検出するように形成されており(例えば、光の特定波長の強度を判定するように形成されたLED又は波長フィルタで蔽われている)、コントローラ26に判定された強度を提供する。特に、光検出要素108aは、波長500nmを有する光の強度を判定するように形成されており、光検出要素108bは、波長550nmを有する光の強度を判定するように形成されており、光検出要素108cは、波長650nmを有する光の強度を判定するように形成されている。その結果、装置114は、実質的に異なる物理的位置、つまり、光検出要素108a、108b及び108cに於ける光の3つの特定波長の強度を判定するように形成されている。
装置114は、検出器窓20と関連している波長フィルタ52を欠いている。
装置114は、軸12の周りでありかつそれに垂直な360°円周部分に於いて、照明器窓18を通して光を放射状外部に投射するように形成された装置108の照明器32と実質的に同じ照明器32を備えている。
装置114の使用に関しては、装置110を参照して上記したものと実質的に同じである。
摂取可能装置の実施形態116は、図6Aでは、横方向の断面図、図6Bでは、光検出アセンブリ34の詳細図として、概略を示した。装置116は、光の多数の特定波長の強度を判定するように形成された単一の光検出アセンブリを備えている。装置116は、多くの顕著な違いがあるが、上記の装置106、110、及び114と似ている。
装置116は、光の3つの選択された波長の強度を判定するように形成された単一の多色光検出アセンブリ34を備えている。光検出アセンブリ34は、9x9アレイに配置された81個の受光素子を含む単一の多色光検出アレイ118(ハママツホトニクスK.K.(ハママツ、日本)によるS9706RGB比色センサ)を備えている。内蔵モザイク波長フィルタは、複数の受光素子のうちの27個を赤色の光(615nm)に感応し、他の27個を緑色の光(540nm)に感応し、その他の27個を青色の光(465nm)に感応するようにしている。光検出アレイ118は装置116の中で組み立てられ、すべての赤色受光素子は、コントローラ26に対する単一の出力120を有し、すべての緑色受光素子は、コントローラ26に対する単一の出力122を有し、すべての青色受光素子は、コントローラ26に対して単一の出力124を有している。その結果、装置116は、実質的に同じ物理的位置、つまり、光検出アレイ118の表面で、光の3つの特定波長の強度を判定するように形成されている。
装置116は、検出器窓20と関連している波長フィルタ52を欠いている。
装置116は、軸12の周りでありかつそれに垂直な360°円周部分に於いて、照明器窓18を通して光を放射状外部に投射するように形成された装置108の照明器32と実質的に同じ照明器32を備えている。
装置116の使用に関しては、強度が検出される光の別の特定波長が描く違いはあるが、装置110を参照にして上記したものと実質的に同じである。
例えば、幾つかの実施形態では、通常の粘膜に対して、540nmの光と615nmの光の両方に比べて465nmの強化された強度は、血液を示しているが、通常の粘膜に対して、465nmと615nmの両方の光に比べて低下した強度は、侵襲性腺ガンを示している。図1Aを参照のこと。
例えば、幾つかの実施形態では、通常の粘膜に対して、615nmの光と比較して、465nm及び540nmの光の低下した強度は、侵襲性腺ガン又は腺腫を示しており、通常の粘膜に対して、615nmの光と比較して、465nm及び540nmの光の増加した強度は、増殖性ポリープを示している。図1Bを参照。
装置116では、多色光検出アレイ118は、画素解像度が低いので、画像形成には適していないRGBセンサである。関係する実施形態では、画像形成に適した光検出アレイを含むその他の多色光検出アレイが、本明細書での教示を類似の方法で実施するために使われ、つまり、光検出アレイの複数の別々の受光素子の出力の組合せ(例えば、和)である少なくとも2つの色のそれぞれの色のための単一強度を提供するように形成されている。
そのような関係する実施形態では、いかなる適切な光検出アレイ技術でも使われ、例えば、CMOS,CCD又はLEDアレイなどである。
装置116の光検出アレイ118では、特別なRGBフィルタは、別々で細い赤、緑、青色の検出を可能にする。関係する実施形態では、いかなる色の適切なセットでも使うことができる。例えば、その他のRGBフィルタを有する光検出アレイ、ベイヤー(Bayer)フィルタがある。または、フォヴェオンX3(Foveon−X3)CMOS光検出アレイのようなRGB光検出アレイなどが利用可能である。例えば、幾つかの実施形態では、光検出アレイは、3つの別々の出力、つまり、シアン出力、イエロー出力、マゼンタ出力を有するCYYM光検出アレイである。例えば、幾つかの実施形態では、光検出アレイは、4つの別々の出力、つまり、レッド出力、グリーン出力、ブルー出力、エメラルド出力を有するRGBE光検出アレイである。例えば、幾つかの実施形態では、光検出アレイは、4つの別々の出力、つまり、シアン出力、イエロー出力、グリーン出力、マゼンタ出力を有するCMGM光検出アレイである。例えば、幾つかの実施形態では、光検出アレイは、4つの別々の出力、つまり、シアン出力、マゼンタ出力、イエロー出力、ホワイト出力(幾つかの実施形態では、ホワイト出力は使わない)を有するCMYW光検出アレイである。例えば、幾つかの実施形態では、光検出アレイは、4つの別々の出力、つまり、レッド出力、グリーン出力、ブルー出力、ホワイト出力(幾つかの実施形態では、ホワイト出力は使わない)を有するRGBW光検出アレイである。そのような実施形態では、当業者なら、ここに記した内容を精読するなら、胃腸異常を示す情報を提供するためには、どの色の出力を比較するべきか決定(例えば、図1A、1B及び1Cを参照して)することが出来る。
(正常な組織と異常な組織からの乱反射の波長の依存)
正常な腸粘膜に対して、出血と侵襲性腺ガンという腸異常からの乱反射の波長の依存に関して、本明細書に記述したような摂取可能装置の使用のシミュレーションとしての方法で調べた。
人間の腸組織の2つの切除したばかりのサンプル(約20cmx40cm)が提供され、病理学者が判定するように、1つは、出血した領域あり、もう1つは、侵襲性腺ガンであった。
照明器として、0.6mm直径のグラスファイバを、150ワットの石英ハロゲンランプと、腸組織の領域に接触するファイバの末端部を有するSE NETモデルI−150光ファイバ光源に接続した。光検出アセンブリとして、0.2mm直径のグラスファイバを、ステラーネットグリーンファイバオプティック(StellarNet Green Fiberoptic)分光計(ステラーネットインク、タンパ、FL,USA)及び、照明器グラスファイバから0.2mm離れている腸組織に接触する末端部に接続した。光検出グラスファイバが組織に接触していたので、乱反射した光だけが、分光計内部にガイドされ、検出された。
グラスファイバの末端部を、腸組織の第一サンプルの出血領域に接触させ、分光器を作動して、1nm毎に増加させ400nmから800nmの幅で、出血領域からの乱反射光の強度を検出した。強度測定を、同一腸組織サンプルの損傷を受けていない粘膜で繰り返した。相対的な検出された強度を、図1Aに示すが、損傷を受けていない粘膜の検出強度に対して正規化しており、損傷を受けていない粘膜はプロット‘a’で、出血領域は‘b’である。
グラスファイバの末端部を、侵襲性腺ガンを有している腸組織の第2サンプルの領域に接触させ、分光器を動作させ、1nm毎に増加させ400nmから800nmの幅で、侵襲性腺ガンからの乱反射光の強度を検出した。強度測定を、同一腸組織のサンプルの損傷を受けていない粘膜で繰り返した。相対的な検出された強度を、図1Aに示すが、損傷を受けていない粘膜の検出強度に対して正規化しており、侵襲性腺ガンはプロット‘c’である。
図1Aから、異なる組織タイプの乱反射は、独特なスペクトルの特徴を持ち、本明細書の教示を、胃腸異常の診断の支援に有用な情報を提供することに使用することが出来る。
(正常な組織と異常な組織からの乱反射の波長の依存)
正常な腸粘膜に対して、侵襲性腺ガンに関係する様々な腸異常からの乱反射の波長の依存に関して、本明細書に記述したような摂取可能装置の使用のシミュレーションとしての方法で調べた。
54の生体スペクトル測定が、医師(内視鏡医)によって判断され、病理学者によって確認された様々な異常を有する患者に対する標準の大腸内視鏡検査の間に行われた。
照明器として、内視鏡システム(オリンパスCV180、オリンパス、日本)の標準光源(キセノンアークランプ)を使用した。組織表面全体を照明するために、光は腸組織に向けた。実施例1で記述したように、光検出アセンブリは、ステラネットグリーンフィベロプティック(StellarNet Green Fiberoptic)分光器(ステラーネットインク、タンパ、フロリダ,USA)に接続された600μ(0.6mm)直径のグラスファイバを含んでいる。組織に触れている光検出グラスファイバの末端部として、乱反射した光だけが、分光器内部にガイドされ、検出される。
各々の組織に関して、光検出グラスファイバの末端部を、識別された腸異常の領域に接触させ、乱反射光の強度を、1nm毎に増加して、400nmから750nmの幅で判定した。強度測定を、同一腸組織サンプルの損傷を受けていない粘膜で繰り返した。異常な組織の判定された強度が、正常組織の判定された強度に対して正規化された。
相対的な検出された強度を図1Bに示すが、損傷を受けていない粘膜はプロット‘a’で、侵襲性腺ガンはプロット‘c’(5サンプルの平均)、増殖性ポリープはプロット‘d’(6サンプルの平均)、腺腫様ポリープはプロット‘e’(20サンプルの平均)、腺腫はプロット‘f’(23サンプルの平均)である。
図1Bから、異なる組織タイプの乱反射は、独特なスペクトルの特徴を持ち、本明細書の教示を、胃腸異常の診断の支援に有用な情報を提供することに使用することが出来る。
(正常な組織と異常な組織からの乱反射の波長の依存)
正常な腸粘膜に対して、様々な腸異常からの乱反射の波長の依存に関して、本明細書に記述したような摂取可能装置の使用のシミュレーションとしての方法で調べた。
人間の腸組織の45個の摘出したばかりのサンプル(約20cmx40cm)が、病理学者によって判定された様々な異常を有した状態で提供された。
照明器として、偏光フィルタを有した石英ハロゲンランプを、組織の前表面を照明するために、腸組織の1つのサンプルに当てる。照明器の偏光フィルタに対して垂直に向けられた偏光フィルタを有したスペクトルカメラ(SD―300、アプライドスペクトラルイメージング(Applied Spectral Imaging)、ミグダル、ハーメック、イスラエル(Middal Haemek Israel)が、各々のサンプル表面の領域を、1nm毎に増加させて、400nmから800nmの幅で偏光依存方法を使用してスペクトルを取得するために、組織サンプル表面から10cm離れた場所にある対物レンズを有した光検出アセンブリとして使用した。照明器と光検出アセンブリは交差分極されているので、検出された光は、主として乱反射した光であった。
出血組織(11サンプル)、侵襲性腺ガン(5サンプル)、腺腫様ポリープ(6サンプル)、及び腺腫(23サンプル)に対応する異常組織の領域のスペクトルを、同一サンプルの準正常組織のスペクトルに対して正規化した。
異常組織タイプ及び正常組織タイプの各々のスペクトルを平均化して、図1Cに、正常な組織(プロット‘a’、45個のスペクトルの平均)、出血(プロット‘b’、11個のスペクトルの平均)、侵襲性腺ガン(プロット‘c’、5個のスペクトルの平均)、増殖性ポリープ(プロット‘d’、6個のスペクトルの平均)及び腺腫(プロット‘f’、23個のスペクトルの平均)を表示した。
図1Cから、異なる組織タイプの乱反射は、独特なスペクトルの特徴を持ち、本明細書の教示を、胃腸異常の診断の支援に有用な情報を提供することに使用することが出来る。
本発明に関して、その特異な実施形態と共に記述してきたが、多くの代替、改変、及び変更は、当業者にとって自明であることは明らかである。従って、添付された請求項の範囲内の代替、改変、及び変更をすべて包含する意図である。
例えば、上記の実施形態では、装置は、装置の周りに同質の照明を与える放射状ディフューザを有する照明器を備えている。幾つかの実施形態では、その他の照明器が使われ、例えば、照明片又は、LEDのような外部向き光源の円形アレイなどである。
本発明のある特質は、明確を期すために、別々の実施形態の文脈の中で説明されているが、単一の実施形態の中で、組み合わせて提供することも可能であることを理解して欲しい。逆に、本発明の様々な特質は、簡潔さを期して、単一の実施形態の文脈の中で説明されているが、別々に、あるいは適切な準組合せで、又は適切な場合には、本発明のその他の実施形態の中で提供されても良い。様々な実施形態の文脈の中で説明されたある特質は、これらの実施形態は、それらの要素がない場合には動作不能でない限り、これらの実施形態の必須の特質と考えるべきではない。
本出願書類の中のいかなる言及の引用又は識別も、そのような言及は、本発明に対する従来技術として有用であるという承認として理解すべきではない。
見出しは、本明細書では、明細書の理解を容易にするために用いられているのであって、必ず限定的に用いられていると理解すべきではない。