JP2014502996A - 統合失調症における認知障害の治療 - Google Patents

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Abstract

本発明は、統合失調症を治療するための(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩、医薬組成物及び方法に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩のための方法及び使用に関する。
化合物(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドは、合成の方法を含めて、米国特許第7,981,906号(米国特許出願公開第2009/0048290A1号)に記載されており、米国特許第6,953,855号に記載されている属の一部である。これらの両方の特許を参照により本明細書に完全に組み込む。この化合物はTC-5619と称される。
統合失調症は慢性の重度な、無能にする形態の精神病である。妄想、幻覚、ありふれた刺激を無視する能力をもたないこと(感覚ゲーティングと称されることがある)、解体した会話、全体的に解体した行動又は緊張病性の行動及び情動、感情、意志又は意欲の長期的喪失などの症状に加えて、統合失調症はしばしば、実行機能、注意力、持続的な集中力(vigilance)、記憶力及び推理力などの認知機能の障害が著しい。これらの認知機能障害は、正常に機能することに対する統合失調症患者の無能力において主要な役割を果たす。統合失調症を有する人の最大で75%に認知障害があると推定されている(2009年に世界の七つの主要製薬市場において報告されている4.6百万人の統合失調症有病率(Patient Base、Decision Resources, Inc., May 2010を介して利用できる疫学データベース)、及び統合失調症の患者の75%が認知障害を有するという推定(O’Carroll, R., Cognitive impairment in schizophrenia. Advances in Psychiatric Treatment, 2000)をもとにして導出)。特に統合失調症における認知障害のために米国及び欧州で承認されている薬物は現在存在しない。
本明細書でより詳細に提供されるように、統合失調症における認知障害のための臨床的有効性の一つの尺度は、統合失調症認知検査バッテリーを含む。以下の文献を参照する:Collie A, Maruff P, Snyder PJ.(2006)、非定型的抗精神病剤は統合失調症における実行機能を改善するか?(Does atypical antipsychotic medication improve executive function in schizophrenia?)、Int J Neuropsychopharmacol. 9, 629-630;著者の回答631-632;Falleti MG, Maruff P, Collie A, Darby DG.(2006)。10分間、1週間及び1か月のテスト-再テスト間隔でCogStateバッテリーを用いた認知機能の反復評価に伴う実施効果。J Clin Exp Neuropsychol. 28, 1095-1112;Snyder PJ, Piskulic D, Olver J, Norman T, Maruff P.(2006)。統合失調症における空間作業記憶及び問題解決:非定型的抗精神病剤での症状安定化の効果。Psychiatry Research. 近刊;Snyder PJ, O’Sullivan R, Jackson C, Olver J, Norman T, Piskulic D, Collie A, Maruff P.(2006)。短く迅速な再テスト間隔にわたる慢性統合失調症における認知能力の安定性:治療有効性の試験についての示唆。Human Psychopharmacology. 近刊;及び (http://www.cogstate.com/go/clinicaltrials/our-test-batteries/schizophrenia-battery;CogState, New Haven, CT)。
統合失調症は三つの主要な期:前駆状態、活動期及び残遺期に分けることができる。これらの期は順々に起こる傾向があり、疾病の過程を通して周期的に発現する。
前駆状態の間、特に若者において、統合失調症の典型的症状の最初の発現に先行していくつかの非特異的症状が数週間又は数カ月間存在することはまれではない。これらの症状には:
・全般的な興味の喪失;
・社会的相互作用の回避;
・作業又は学習の回避(例えば、学校、単科大学又は大学のドロップアウト);
・怒りっぽく、神経過敏であること;
・奇妙な信念(例えば、迷信を信じること);及び
・奇妙な行動(例えば、人前で独り言をいうこと)
が含まれる。
これらの変化はしばしば、その個人が普通に生活できないようにし、家族を苦しめるものである。友人や親族はその個人を「もはや同じ人ではない」と見なすかもしれない。前駆期の長さは極端に幅があり、前駆期が長期にわたる場合、予後はより不都合なものとなる。症状が徐々に進行する場合、人はその一般的な探求に興味を失い、友人や家族から引きこもり始める可能性がある。彼らはすぐにまごつき、集中するのが困難であり、だるく無感動の感じがし、彼らの日常の大部分を単独で過ごすことを好むようになる。彼らは、宗教や哲学にひどく夢中になる可能性もある。家族や友人はこの行動に動揺し、その人が病気ではなく怠惰であると信じるようになる可能性がある。場合によっては、これらの症状は安定期に達し、さらに進行しないことがあるが、大抵の場合、この疾病の活動期がその後に続く。前駆期間は数週間又は数カ月続く可能性がある。上述した症状は統合失調症の前駆期に典型的なものであるが、これらは他の原因によることもある。
この疾病の活動期の間、妄想、奇妙な行動及び幻覚などの精神病的症状が顕著であり、しばしば苦悩、不安、抑うつ及び恐怖などの強い情動を伴う。未治療の場合、活動期は自然消退することもあれば、無期限に続くこともある。適切な治療(主に薬剤治療)により、通常、活動期を制御下におくことができる。それが最初の症状であってもその症状の悪化であっても、大部分の個人が治療に参加するのは活動期の間である。統合失調症の活動期の間、人は、妄想、幻覚、思考における著しいひずみ並びに行動及び感情における混乱を経験する可能性がある。この活動期はほとんどの場合、前駆期間の後に現れる。時々、これらの症状は突然現れることがある。
この疾病の活動期には通常残遺期が後続する。残遺期は前駆期と類似しているが、残遺期の間、情動鈍麻、及び役割機能における障害がより一般的なものとなる。精神病的症状は残遺期まで続くが、精神病的症状は、活動期の間に経験されるような強い情動を伴う可能性は小さい。残遺期の重症度は人それぞれによって非常に様々である。非常に良好に機能する人もいれば、相当に機能が損なわれる人もいる。活動期の後、人はだるくなり、集中するのが困難であり、引きこもるようになる。この期での症状は、前駆期について概要を説明したのと類似している。初期エピソードの前に症状がなかった場合、その後、症状はほとんどないか又は全くない可能性がある。生涯の間、統合失調症を有する人は、1回若しくは2回活動的に発病するか、さらに多いエピソードをもつ可能性がある。残念ながら、それぞれの活動期の後、残遺症状は増進する可能性があり、他方正常に機能する能力は低下する可能性がある。したがって、所定の治療に従うことによって、再発を回避しようと試みることが重要である。現在、発病時に、人がいかに完全に回復するかということを予測することは困難である。
Marderら、Methodological Issues in Negative Symptom Trials, Schizophrenia Bulletin, 2011 ;及びLaughren and Levin, Food and Drug Administration Commentary of Methodological Issues in Negative Symptom Trials, Schizophrenia Bulletin, 2011を参照されたい。
障害の最も一般的な過程は、疾病の多くの活動期と、エピソード間の機能障害の残遺期とを含む。残遺機能障害の程度は、障害の最初の数年間の間、エピソード間でしばしば増大するが、その疾病の後期の間、それほど重度でなくなる可能性がある。
一態様では、本発明は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与することによる、統合失調症における認知障害の治療に関する。一実施形態では、本発明は、実行機能を改善することによる統合失調症における認知障害の治療に関する。他の実施形態では、本発明は、記憶力を改善することによる統合失調症における認知障害の治療に関する。他の実施形態では、本発明は、注意力を改善することによる統合失調症における認知障害の治療に関する。
他の態様では、本発明は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与することによる、統合失調症の陰性症状の治療に関する。
他の態様では、本発明は、残遺期の統合失調症の治療に関する。
本明細書で使用する種々の用語は、別段の定義がなければ、プロトコルを参照して定義され得る。
無作為化で、その抗精神病剤に対して安定であった慢性統合失調症患者(群当たりn=30)における、単純反応時間(Simple Reaction Time、情報処理)、国際ショッピングリストタスク(International Shopping List、言語学習)及びグロトン迷路学習タスク(Groton Maze Learning Task、問題解決)のタスクに対する新規なα7ニコチンアゴニストの効果を比較するプラセボ対照並行群間試験の統計的に有意な結果をまとめたグラフ表示である。各測定値について、0.4標準偏差単位を超える能力の改善が見られた。 異なる三つの地理的地域において抗精神病剤を受けていた慢性統合失調症患者における認知機能障害に対する、CogState統合失調症バッテリーからの主要アウトカム評価項目(primary outcome measures)の感度を例示する。異なる認知領域における機能的障害の特徴及び大きさは、三つの文化群にわたって一致した。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドは、合成の方法を含めて、米国特許第7,981,906号(以前に米国特許出願公開第2009/0048290A1として公開されている)において記載されており、米国特許第6,953,855号に記載されている属の一部である。この両方を参照により本明細書に完全に組み込む。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩は選択的α7NNRアゴニストである。(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩は、記憶力の前臨床モデルにおいて有効性を有しており、健常人における第1相試験において概ね十分許容されるものであった。彼らは、6.7mgの(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩を投与されたとき、しっかりとした注意力の改善を実証した。Hauser TA, Kucinski A, Jordan KG, Gatto GJ, Lippiello PM, Bencherif M:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩:統合失調症の動物モデルにおいて有効性を示すα7NNR選択的アゴニスト、Biochem. Pharmacol. 1009;78:803-812を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み込む。
統合失調症を有する患者における認知を改善するための強化療法として(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩を評価するために、第2相臨床概念実証試験を実施した。この試験において、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩は、主要有効性アウトカム評価項目である、CogState統合失調症バッテリーのグロトン迷路学習タスク(GMLT)(CogState, New Haven, CT)についての肯定的な結果のためのプロトコル基準に適合し、十分許容されるものであった。この試験は、本明細書で以下に組み込む試験番号PRO-05619-CRD-001である。
客観的主要評価項目(GMLT)、いくつかの副次的な臨床医及び患者による評価項目(SANS, CGI-Global及びSGI-Cog)及びCogState客観的認知評価項目における、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩に好ましい統計的に有意で定性的に類似した効果は、統合失調症での認知障害における(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の肯定的な有効性を強調するものである。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩は試験において好ましい忍容性プロファイルを示し、有害事象に起因する中断において、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩とプラセボ投与群との間に臨床的に有意な差はなかった。プラセボコホートにおいてより、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩のコホートにおいてより多く見られる最も頻度の高い有害事象は嘔気であった(0%プラセボvs.5%(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩)。これは重症度において軽度から中程度であり、患者のドロップアウトをもたらすことはなかった。この試験で二つの重大な有害事象があり、一つはプラセボ投与群において、一つは(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の投与群において見られた。適切な研究者によって、どちらも薬物関連ではないと考えられた。
陰性症状及び認知症状に対する(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の有効性は、統合失調症のこれらの残遺症状に対する非定型的抗精神病剤の効果が相対的に欠如しているため、顕著な知見である。これらの残遺症状が、統合失調症を有する人がその完全な発病前の機能レベルを取り戻せない主な理由であるので、これらの症状のための新規な治療は、未解決の大きなニーズを満たすものである。このニーズは、MATRICSイニシアチブ(Neuchterleinら、2004;Gold, 2004)、広範な学問的支持及び規制上の支持による他のイニシアチブ(Blanchardら、2010;Marderら、2011)によってNIMHにより確認されており、FDAによって承認されている(Laughren and Levin, 2011)。
MATRICSイニシアチブは、統合失調症における認知障害の治療において、α7NNR受容体を標的とする小分子の可能性を強調している。その可能性は、α7NNRアゴニスト、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩が有効である統合失調症の前臨床モデル;並びに他の様々なα7NNRアゴニストが代理マーカーに対して有効である初期の臨床試験(Olincyら、2006;EnVivo Pharmaceuticals, 2009)及び統合失調症の測定されている特性(Freedmanら、2008)によって支持されている。
I.化合物
本発明の化合物は、以下で化合物Aと表される(2S,3R)-N(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は化合物Aの薬学的に許容される塩形態である。
Figure 2014502996
(2S,3R)-N(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(化合物A)は、著しく低い(活性化のための)EC50値及びEC50とIC50の良好な分離(残留阻害のため)を有する、α7NNR受容体での高度に選択的な完全アゴニストであり、広範な治療上有用な濃度にわたって機能的アゴニズムを提供する。
II.(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの拡大可能な合成
具体的な合成ステップは、そのスケールアップしやすさによって変わってくる。反応は、安全上の懸念、試薬の経費、困難な後処理(work-up)又は精製、反応エネルギー論(熱力学又は動力学)及び反応収率を含む様々な理由のため、スケールアップする能力に欠けていることが見出される。
本明細書に記載する(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの合成は、キログラム規模の量を製造するために用いられており、これを構成する反応は、数キログラム規模で高収率で実施されている。
拡大可能な合成は、ラセミ化可能なケトン(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン)の動力学的分割と、分割されたケトンの(R)-α-メチルベンジルアミンイミン誘導体の立体選択的還元(還元的アミノ化)の両方を利用する。本明細書で報告するこの合成の順序は容易に規模拡大可能であり、クロマトグラフ的な精製が避けられる。
III.塩形態の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの調製
遊離塩基としての(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドは、非常に限られた水溶性を有する非晶質粉末である。この遊離塩基は無機酸及び有機酸の両方と反応して、限定するものでないが、結晶化度、水溶性及び安定性を含む医薬組成物の調製に有利な物理的及び化学的特性を有する特定の酸付加塩を生成する。本発明の塩の化学量論は様々であってよい。
本明細書に記載する塩が形成される方法に応じて、この塩は、塩形成の際に存在する溶媒を排除する結晶構造をもつことができる。したがってこの塩は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドに対して様々な化学量論の水和物及び他の溶媒和物として存在することができる。
塩形態を調製する方法は様々であってよい。(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド塩形態物の調製は一般に:(i)遊離塩基、又は遊離塩基の溶液、すなわち適切な溶媒中の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドを、酸そのもの又は適切な溶媒中の酸の溶液としての酸と混合するステップと;(iia)得られた塩溶液を冷却して、必要なら沈澱させる;又は(iib)適切な貧溶媒を加えて沈澱させる;又は(iic)最初の溶媒を蒸発させ、新たな溶媒を添加し、ステップ(iia)若しくはステップ(iib)を繰り返すステップと;(iii)得られた塩をろ過し回収するステップとを含む。使用する化学量論、溶媒混合物、溶質濃度及び温度は様々であってよい。塩形態物を調製する又は再結晶化させるのに使用できる代表的な溶媒には、これらに限定されないが、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル及びアセトニトリルが含まれる。
適切な薬学的に許容される塩の例には、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩及び硝酸塩などの無機酸付加塩;酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びアスコルビン酸塩などの有機酸付加塩;並びにアスパラギン酸塩及びグルタミン酸塩などのアミノ酸との塩が含まれる。塩は、場合によって水和物であってもエタノール溶媒和物であってもよい。代表的な塩は、Dullらの米国特許第5,597,919号、Dullらの同第5,616,716号及びRuecroftらの同第5,663,356号に記載して提供されている。これらの開示のそれぞれを参照により組み込む。遊離塩基(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドについての塩のスクリーニングによって、多くの薬学的に許容される酸の塩を形成させることができるが、これらの塩のうちのほんのわずかだけが商業的生産のために許容される特性を有していることが明らかとなった。したがって、商業的に実行可能な塩によって例示される特徴を予測できる可能性はない。調製される方法に応じて、結晶性である塩、すなわちある程度の結晶化度を示す塩を提供する酸には、塩酸、硫酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、ガラクタル酸(粘液酸)、D-マンデル酸、D-酒石酸、メタンスルホン酸、R-及びS-10-カンファースルホン酸、マレイン酸、ケトグルタル酸及び馬尿酸が含まれる。これらの塩のうち塩酸、リン酸、マレイン酸及びp-トルエンスルホン酸の塩はそれぞれ、高い融点、良好な水溶性及び低い吸湿性を含むさらなる望ましい特性を示した。
IV.医薬組成物
本発明の医薬組成物は、純粋な状態で、又はその化合物が、不活性であっても生理的に活性であってもよい薬学的に適合した他の任意の製品と混合されている組成物の形態で、本明細書に記載する塩を含む。得られる医薬組成物は、そうした状態又は障害にかかりやすい対象における状態又は障害を防止する、且つ/又はその状態又は障害に苦しむ対象を治療するために使用することができる。本明細書に記載する医薬組成物は、本発明の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩を含む。
化合物を投与する方法は様々であってよい。組成物は好ましくは経口で(例えば、水性又は非水性液体などの溶媒中、又は固体担体中の液体の形態で)投与される。経口投与に好ましい組成物は、硬ゼラチンカプセル剤及び持続放出型カプセル剤を含む丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、シロップ剤及び液剤を含む。標準的な賦形剤には結合剤、充填剤、着色剤、可溶化剤などが含まれる。組成物は、単位用量形態で又は複数用量若しくはサブユニット用量で製剤化することができる。好ましい組成物は、液体又は半固体の形態である。水、又は薬学的に適合した他の液体若しくは半固体などの薬剤として不活性な液状の担体を含む組成物を用いることができる。そうした液体及び半固体の使用は当業者によく知られている。
組成物は、注射によって、すなわち静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、髄腔内及び脳室内に投与することもできる。静脈内投与は好ましい注射法である。注射用の適切な担体は当業者によく知られており、それらには5%デキストロース溶液、生理食塩水及びリン酸緩衝生理食塩水が含まれる。製剤は、注入剤又は注射剤として(例えば、薬学的に許容される液体又は液体混合物中の懸濁剤又は乳剤として)投与することもできる。
製剤は他の手段、例えば直腸投与法を用いて投与することもできる。坐剤などの直腸投与に有用な製剤は当業者によく知られている。製剤は、吸入によって(例えば、経鼻によるか、又はBrooksらの米国特許第4,922,901号(この開示のその全体を参照により本明細書に組み込む)に示されているようなタイプの送達物品を用いたエアゾールの形態で);局所的に(例えば、ローションの形態で);経皮的に(例えば、経皮貼布を用いて)若しくはイオン泳動的に;又は舌下若しくはバッカル投与によって投与することもできる。化合物はバルク状活性薬品の形態で投与することができるが、効率的で効果的な投与のための医薬組成物又は製剤の形態で薬剤を提供することが好ましい。
化合物を投与するための方法の例は当業者に明らかである。これらの製剤の有用性は、使用される具体的な組成物及びその治療を受ける具体的な対象に依存し得る。これらの製剤は、油性、水性又は乳化状のものであってよい液体担体を含有することも、またその投与方法に適した特定の溶媒を含有することもできる。
組成物は断続的に、又は漸進的、連続的、一定した若しくは制御された速度で温血動物(例えばマウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシ又はサルなどの哺乳動物)に投与することができるが、有利にはヒトに投与される。さらに、医薬製剤が投与される時刻及び1日当たりの回数は様々であってよい。
本発明の化合物を投与するための他の適切な方法は、Smithらの米国特許第5,604,231号に記載されている。その内容を参照により本明細書に組み込む。
本発明の実施形態において、且つ当業者によって理解されるように、本発明の化合物は、他の治療用化合物又は代替の補足的療法と組み合わせて投与することができる。
統合失調症患者の治療のための米国精神医学会(American Psychiatric Association)の指針は:「抗精神病剤は、統合失調症を有する患者におけるほぼすべての急性の精神病的エピソードの治療に適応される」と記述している。抗精神病剤に加えて、関連する症状を制御する助けとするために抗うつ剤又は気分安定剤も服用する患者がいる。本発明の一つの態様は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩と、1種以上の抗精神病剤、抗うつ剤又は気分安定剤の併用を含む。
本発明の一つの態様は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩と、1種以上の:ステラジン(Stelazine)(トリフルオペラジン)、フルペンチキソール(フルアンキソール(Fluanxol))、ロキサピン(ロキサパック(Loxapac)、ロキシタン(Loxitane))、ペルフェナジン(エトラフォン(Etrafon)、トリラフォン(Trilafon))、クロルプロマジン(トラジン(Thorazine))、ハルドール(Haldol)(ハロペリドール)、プロリキシン(Prolixin)(フルフェナジンデカン酸エステル、モデケート(Modecate)、パーミチル(Permitil))、これらに限定されないが:アリピプラゾール(アビリファイ(Abilify))、クロザリル(Clozaril)(クロザピン)、ゲオドン(Geodon)(ジプラシドン)、リスペルダール(Risperdal)(リスペリドン)、セロクエル(Seroquel)(クエチアピン)若しくはジプレキサ(Zyprexa)(オランザピン)を含む統合失調症用の非定型的薬剤、又は、限定するものでないが、イロペリドン、DU127090若しくはORG5222などのD2/5-HT2アンタゴニスト、DTA201AなどのD3アンタゴニスト、オサネタントなどのニューロキニン-3アンタゴニスト若しくはMEM3454などのニコチン性α7受容体の他のアゴニストを含む1種以上の新規な薬剤の併用を含む。
重要な要素ではあるが、薬剤治療は、統合失調症患者のために用いられる唯一の治療ではない。多くの患者及びその家族は、その薬剤治療と一緒に用いるために、補助的療法(これらには心理社会的療法又は認知療法、リハビリテーションデイプログラム、ピアサポートグループ、栄養補給剤等が含まれる)を選択する。特定の重症例では、患者は電気ショック療法(安全で効果的であることが分かっている)又は経頭蓋磁気刺激法(TMS)にも応じる。これらの追加的なものは、人が抑うつ、社会的相互作用、学校、仕事及び充実した生活のための構成要素をやりくりするのを助けることができる。
治療の場合、ある研究によれば、心理療法と薬剤治療は、薬剤治療単独の場合より効果的であり得ることが示されている(しかし、同じ研究は、心理療法単独が薬剤治療の代わりになるものではないと記述している)。心理社会的療法の三つの主要なタイプは:行動療法(現在の行動に焦点を当てる)、認知療法(考え及び思考パターンに焦点を当てる)及び対人関係療法(現在のかかわり合いに焦点を当てる)である。統合失調症のためには、薬剤治療と一緒には認知-行動療法が最も期待できることが示されている。本発明の他の態様は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩と1種以上の補助的療法の組合せを含む。
本発明の化合物は単独で使用することも、また他の治療剤と組み合わせて使用することもできる。そうした薬学的に活性な薬剤の組合せは一緒に又は別個に投与することができ、別個に投与する場合、投与は同時か又は任意の順番で逐次的に行うことができる。化合物又は薬剤の量及び投与の相対的タイミングは、所望の治療効果が達成されるように選択されることになる。併用投与は:(1)複数の化合物を含む単一の医薬組成物;又は(2)化合物の一つをそれぞれ含む別個の医薬組成物で、同時に投与することができる。或いは、この組合せを、一方の治療剤を最初に投与し次に他方の治療剤を投与する、又はその逆で投与する逐次的な方法で別個に投与することができる。そうした逐次投与は、その時間が近接していても、またそれが離れていてもよい。本発明の化合物は様々な障害及び状態の治療において使用することができ、したがって本発明の化合物は、そうした障害又は状態の治療又は予防に有用な様々な他の適切な治療剤と併用することができる。
化合物の適切な用量は、その障害の症状の発現を防止する、又は患者が苦しむ障害のある症状を治療するのに有効な量である。述べられているように、「有効量」、「治療量」又は「有効用量」は、所望の薬理学的効果又は治療効果を誘発し、したがってその障害の効果的な防止又は治療をもたらすのに十分な量を意味する。
統合失調症などのCNS障害を治療する場合、化合物の有効量は、対象の血液脳関門を通過して対象の脳内の関連受容体部位と結合し、関連NNRサブタイプの活性を調節する(例えば、神経伝達物質分泌を提供し、それによってその障害の効果的な防止又は治療をもたらす)のに十分な量である。障害の防止の例は、障害の症状の発現を遅延させることによって顕在化する。障害の治療の例は、その障害に伴う症状の減少又は障害の症状の再発の改善によって顕在化する。好ましくは、有効量は、所望の結果を得るのには十分であるが、感知できるほどの(appreciable)副作用を引き起こすのには不十分な量である。
有効用量は、患者の状態、障害の症状の重症度及び医薬組成物を投与する方法などの要素に応じて変動し得る。ヒト患者のためには、典型的な化合物の有効用量は一般に、関連NNRの活性を調節するのに十分な量の化合物を投与することが必要であるが、その量は、骨格筋及び神経節に対してある有意な程度で影響を誘発するのには不十分な量でなければならない。勿論、化合物の有効用量は患者によって異なるが、一般に、CNS効果又は他の所望の治療効果が生じるところから出発して、筋肉効果が認められる量より少ない量を含む。
本明細書に記載する方法に従って有効量で使用する場合、本明細書に記載する化合物は、CNS又は他の障害の進行のある程度の防止を提供し、その症状を改善し、又はその再発をある程度改善することができる。これらの化合物の有効量は一般に、感知できるほどの副作用、例えば骨格筋又は神経節に関係する作用を誘発するのに要する閾値濃度を下回る量である。これらの化合物は、特定のCNS及び他の障害が治療され、特定の副作用が回避される治療濃度域で投与することができる。理想的には、本明細書に記載する化合物の有効用量は、その障害に対して所望の効果を提供するのには十分であるが、望ましくない副作用をもたらすのには不十分な(すなわち、十分に高いレベルではない)量である。好ましくは、化合物は、CNS又は他の障害を治療するのに有効であるが、特定の副作用を有意な程度に誘発するのに要する量より少ない、しばしばその量の1/5より少ない、しばしばその量の1/10より少ない投薬量で投与される。
最も好ましくは、有効用量は、最少の副作用で最大の効果が現れるのが観察さる非常に低い濃度である。一般に、そうした化合物の有効用量は、通常5mg/kg患者体重未満の量で化合物を投与することを必要とする。本発明の化合物はしばしば約1mg/kg患者体重未満、通常約100μg/kg患者体重未満の量で投与されるが、高い頻度で約10μg〜100μg/kg患者体重未満の量で投与される。上記有効用量は一般に、単一用量として、又は24時間にわたって投与される一つ以上の用量として投与される量を表す。ヒト患者のためには、典型的な化合物の有効用量は一般に、少なくとも約1mg/24hr/患者、少なくとも約10mg/24hr/患者、少なくとも約100mg/24hr/患者の量の化合物を投与することを必要とする。ヒト患者のためには、典型的な化合物の有効用量は一般に約500mg/24hr/患者以下、しばしば約400mg/24hr/患者以下、高い頻度で約300mg/24hr/患者以下の化合物を投与することを必要とする。さらに、組成物は、患者の血漿内化合物濃度が通常150ng/mL以下、しばしば50ng/mL以下、高い頻度で20ng/mL以下となるような有効用量で投与するのが有利である。本発明の一つの実施形態では、有効用量は24時間で約1mg〜50mgである。
医薬組成物の使用方法
本明細書で用いる場合、「固有活性」又は「有効性」は、結合パートナー複合体の生物学的効果のある尺度に関する。受容体薬理学に関して、固有活性又は有効性が定義されなければならない文脈は、結合パートナー(例えば、受容体/リガンド)複合体の文脈、及び具体的な生物学的結果に関係する活性の考慮に依存することになる。例えば、ある状況では、固有活性は、関係する具体的な第2のメッセンジャー系に応じて変わる可能性がある。Hoyer, D. and Boddeke, H., Trends Pharmacol. Sci. 14(7):270-5(1993)を参照されたい。その教示に関してこれを参照により本明細書に組み込む。
本明細書で用いる場合、その放出が本明細書に記載する化合物によって媒介される神経伝達物質には、限定するものではないが、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン及びグルタメート、並びにCNS NNRのα7サブタイプでの調節因子として機能する本明細書に記載する化合物が含まれる。
本明細書で用いる場合、「防止」又は「予防」という用語は、疾患、障害若しくは状態の進行の任意の程度の低減、又はその発現の遅延を含む。この用語は特定の疾患、障害又は状態に対する防御効果及び疾患、障害又は状態の再発の改善を提供することを含む。したがって、他の態様では、本発明はNNR若しくはnAChR媒介障害を有する、又はその発症若しくは再発のリスクがある対象を治療する方法を提供する。本発明の化合物及び医薬組成物は、例えばCNS機能障害を有する対象において、有益な治療効果又は予防効果を達成するために使用することができる。
上述したように、本発明の遊離塩基及び塩化合物は、CNSに特徴的であるα7NNRサブタイプを調節し、そうした状態又は障害を有する又はそれにかかりやすい対象において、α7NNRの調節によって、CNSのそれを含む様々な状態又は障害を防止又は治療するために用いることができる。これらの化合物はα7NNRと選択的に結合し、ニコチン性薬理を発現する能力を有する。例えば、本発明の化合物は、それを必要とする患者に有効量で投与した場合、CNS障害の進行のある程度の防止を提供する、すなわち、CNS障害の症状の防御効果、改善又はCNS障害の再発の改善或いはその組合せを提供する。
本発明の化合物は、他のタイプのニコチン化合物が提案されている、又は治療薬として有用であることが示されているタイプの状態及び障害を治療又は防止するために用いることができる。例えば、上記に挙げた文献、並びにWilliamsら、Drug News Perspec. 7(4):205(1994)、Arnericら、CNS Drug Rev. 1(1):1-26(1995)、Arnericら、Exp. Opin. Invest. Drugs 5(1):79-100(1996)、Bencherifら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 279:1413(1996)、Lippielloら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 279:1422(1996)、Damajら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 291:390(1999);Chiariら、Anesthesiology 91:1447(1999)、Lavand’homme and Eisenbach、Anesthesiology 91:1455(1999)、Holladayら、J. Med. Chem. 40(28):4169-94(1997)、Bannonら、Science 279:77(1998)、PCT WO94/08992、PCT WO96/31475、PCT WO96/40682及びBencherifらの米国特許第5,583,140号、Dullらの同第5,597,919号、Smithらの同第5,604,231号及びCosfordらの同第5,852,041号を参照されたい。治療上の教示に関して、これらの開示を参照により本明細書に組み込む。
化合物及びその医薬組成物は、年齢関連及びその他の認知の障害及び機能障害、注意力障害、特に統合失調症を含む様々なCNS障害の治療又は防止に有用である。
述べたように、統合失調症は三つの主要な期:前駆状態、活動期及び残遺期に分けることができる。これらの期は順々に起こり、疾病の過程を通して周期的に発現する傾向がある。残遺期は前駆期と類似しているが、残遺期の間、情動鈍麻、及び役割機能における機能障害はより一般的なものとなる。精神病的症状は残遺期まで続くが、精神病的症状は、活動期の間に経験されるような強い情動を伴う可能性は小さい。残遺期の重症度は人それぞれによって非常に様々である。非常に良好に機能する人もいれば、相当に機能が損なわれる人もいる。活動期の後、人はだるくなり、集中するのが困難であり、引きこもるようになる。この期での症状は、前駆期のもとで概要を説明したものと類似している。最初のエピソードの前に症状がなかった場合、その後、症状はほとんどないか又は全くない可能性がある。生涯の間、統合失調症を有する人は、1回若しくは2回活動的に発病するか、さらに多いエピソードをもつ可能性がある。残念ながら、それぞれの活動期の後、残遺症状は増進する可能性があり、他方正常に機能する能力は低下する可能性がある。したがって、所定の治療に従うことによって、再発を回避しようと試みることが重要である。現在、発病時に、人がいかに完全に回復するかということを予測することは困難である。障害の最も一般的な過程は、一般に疾病の多くの活動期を含み、エピソード間に機能障害の残遺期を有する。残遺機能障害の程度は、障害の最初の数年間の間、エピソード間でしばしば増大するが、その疾病の後期の間、それほど重度でなくなる可能性がある。
Marderら、Methodological Issues in Negative Symptom Trials, Schizophrenia Bulletin, 2011 ;及びLaughren and Levin, Food and Drug Administration Commentary of Methodological Issues in Negative Symptom Trials, Schizophrenia Bulletin, 2011を参照されたい。その教示に関して、それぞれを本明細書に組み込む。
上記状態及び障害は、例えばAmerican Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, Text Revision, Washington, DC, American Psychiatric Association, 2000により詳細に論じられている;これを、そうした状態及び障害の定義に関して参照により本明細書に組み込む。このマニュアルは、症状及び診断上の特徴のさらなる詳細についても参照することができる。
疾患、障害及び状態の治療又は防止は、例えば血圧及び心拍数の有意な上昇、胃腸管に対する有意な悪影響及び骨格筋に対する有意な影響を含む感知できるほどの有害な副作用を伴わないで行われることが好ましい。
本発明の化合物は、有効量で用いた場合、副腎クロム親和性の組織又は骨格筋においてニコチン機能を誘発する能力の欠如によって実証されるように、さらには、筋肉型ニコチン性受容体を発現する細胞調製品においてニコチン機能を誘発する能力の欠如によって実証されるように、ヒトの神経節を特徴づけるニコチンサブタイプとの感知できるほどの相互作用を伴うことなく、α7NNRの活性を調節すると考えられる。したがって、これらの化合物は、神経節及び神経筋の部位での活性に伴う有意の副作用を誘発することなく、疾患、障害及び状態を治療又は防止できると考えられる。したがって、これらの化合物の投与は、特定の疾患、障害及び状態の治療が提供され、特定の副作用が回避される治療濃度域をもたらすと考えられる。すなわち、化合物の有効用量は、疾患、障害又は状態に対して所望の効果をもたらすのに十分であると考えられるが、望ましくない副作用をもたらすのには不十分である、すなわち十分高いレベルではないと考えられる。
したがって、本発明は、上記したような療法などの療法において使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
V.合成実施例
以下の合成実施例を、本発明を例示するために提供するが、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例において、すべての部及びパーセンテージは、別段の記述のない限り、重量によるものである。すべての溶液は、別段の記述のない限り水溶液である。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(化合物A)及びそのエナンチオマー、(2R,3S)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの小規模合成
2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン
水酸化カリウム(56g、0.54モル)をメタノール(420mL)に溶解した。3-キヌクリジノン塩酸塩(75g、0.49モル)を加え、混合物を周囲温度で30分間撹拌した。3-ピリジンカルボキシアルデヒド(58g、0.54モル)を加え、混合物を周囲温度で16時間撹拌した。この間に反応混合物は黄色になり、固体がフラスコの壁上に凝結してきた。固体を壁から掻き取り、大きい塊を破砕した。急速に撹拌しながら、水(390mL)を加えた。固体が溶解したら、混合物を4℃で終夜冷却した。結晶をろ過により回収し、水で洗浄し、空気乾燥して80gの黄色固体を得た。ろ液をその前の体積の約10%まで濃縮して第2の収量分(8g)を得、4℃で終夜冷却した。両方の収量分は、さらなる変換のために十分高純度のものであった(88g、82%収率)。
2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン
2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(20g、93mmol)をメタノール(200mL)に懸濁させ、46mLの6M塩酸で処理した。10%パラジウム担持炭素(1.6g)を加え、混合物を25psiの水素下で16時間振とうさせた。混合物を珪藻土でろ過し、ロータリーエバポレーターにより溶媒をろ液から除去した。これによって、粗製2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン塩酸塩を白色ゴム状物(20g)として得た。次いで、これを2M水酸化ナトリウム(50mL)及びクロロホルム(50mL)で処理し、1時間撹拌した。クロロホルム相を分離し、水相を2M水酸化ナトリウム(約5mL、pHを10に上げるための十分量)及び塩化ナトリウム飽和水溶液(25mL)で処理した。この水性混合物をクロロホルム(3×10mL)で抽出し、クロロホルム抽出物を合わせて脱水し(無水硫酸マグネシウム)、ロータリーエバポレーターにより濃縮した。残留物(18g)を温エーテル(320mL)に溶解し、4℃に冷却した。白色固体をろ別し、少量の冷エーテルで洗浄し、空気乾燥した。ろ液をその前の体積の約10%まで濃縮し、4℃に冷却して第2の収量分を得た。一緒にした収量16g(79%)を得た。
3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
無水メタノール(20mL)中の2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(3.00g、13.9mmol)の窒素下での撹拌溶液に、エーテル中の塩化亜鉛の1M溶液(2.78mL、2.78mmol)を加えた。周囲温度で30分間撹拌した後、この混合物を固体ギ酸アンモニウム(10.4g、167mmol)で処理した。周囲温度でさらに1時間撹拌した後、固体シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.75g、27.8mmol)を分割して添加した。次いで反応物を周囲温度で終夜撹拌し、水(約5mL)を加えて終了させた。クエンチした反応物を5M水酸化ナトリウム(10mL)とクロロホルム(20mL)に分配させた。水相をクロロホルム(20mL)で抽出し、有機相を合わせて脱水し(硫酸ナトリウム)、ろ過し、濃縮した。これにより2.97gの黄色ゴム状物を得た。GCMS分析により、生成物は、痕跡量の対応アルコールを含むシスとトランスのアミンの1:9混合物であることが示された(98%の全質量回収率)。
(2R,3S)及び(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
ジ-p-トルオイル-D-酒石酸(5.33g、13.8mmol)を、メタノール(20mL)中の粗3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(6.00g、27.6mmolの1:9シス/トランス)の撹拌溶液に加えた。完全に溶解したら、次いで回転蒸発により透明溶液を濃縮して固体物を得た。この固体を最少量の沸騰メタノール(約5mL)に溶解した。溶液を、最初に周囲温度まで(1時間)、次いで5℃で約4時間、最後に-5℃で終夜かけて徐々に冷却した。沈澱した塩を吸引ろ過により回収し、5mLのメタノールから再結晶化させた。空気乾燥して1.4gの白色固体を得た。これをクロロホルム(5mL)と2M水酸化ナトリウム(5mL)に分配させた。クロロホルム相と水相の5mLクロロホルム抽出物とを合わせ、脱水し(無水硫酸ナトリウム)、濃縮して無色油状物(0.434g)を得た。この遊離塩基のエナンチオマー純度を、一部をそのN-(tert-ブトキシカルボニル)-L-プロリンアミドに転換させ、次いでLCMSを用いてジアステレオマー純度(98%)を分析して決定した。
最初の結晶化からの母液を2M水酸化ナトリウムで塩基性(約pH11)にし、クロロホルム(10mL)で2回抽出した。クロロホルム抽出物を脱水し(無水硫酸ナトリウム)、濃縮して油状物を得た。このアミン(3.00g、13.8mmol)をメタノール(10mL)に溶解し、ジ-p-トルオイル-L-酒石酸(2.76g、6.90mmol)で処理した。混合物を加温して溶解を助け、次いで-5℃に徐々に冷却し、そのまま終夜保持した。沈澱物を吸引ろ過により回収し、メタノールから再結晶化させて乾燥した。これにより1.05gの白色固体を得た。塩を遊離塩基(収量=0.364g)に転換させ、エナンチオマー純度(97%)を、他のエナンチオマーについて上記したようにしてプロリンアミド法を用いて評価した。
N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドのトランスエナンチオマーA
ジフェニルクロロホスフェート(0.35mL、0.46g、1.7mmol)を、無水ジクロロメタン(5mL)中のベンゾフラン-2-カルボン酸(0.28g、1.7mmol)及びトリエチルアミン(0.24mL、0.17g、1.7mmol)の溶液に滴下した。周囲温度で30分間撹拌した後、無水ジクロロメタン(5mL)中の(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(0.337g、1.55mmol)(ジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩から誘導した)及びトリエチルアミン(0.24mL、0.17g、1.7mmol)の溶液を加えた。反応混合物を周囲温度で終夜撹拌し、次いで10%水酸化ナトリウム(1mL)で処理した。二相混合物を分離し、有機相をGenevac遠心型蒸発装置で濃縮した。残留物をメタノール(6mL)に溶解し、溶離液として0.05%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル/水勾配を用いて、C18シリカゲルカラムを用いたHPLCで精製した。選択された画分を濃縮し、得られた残留物をクロロホルムと重炭酸ナトリウム飽和水溶液に分配させ、クロロホルムを蒸発させて0.310g(42%収率)の白色粉末(GCMSで95%純度)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.51 (d, 1H), 8.34 (dd, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.58 (dt, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.40 (dd, 1H), 7.29 (t, 1H), 7.13 (dd, 1H), 6.63 (d, 1H), 3.95 (t, 1H), 3.08 (m, 1H), 2.95 (m, 4H), 2.78 (m, 2H), 2.03 (m, 1H), 1.72 (m, 3H), 1.52 (m, 1H)。
この物質(トランスエナンチオマーA)は、後で、キラルクロマトグラフィー分析により、その絶対配置が(X線結晶分析で確立して)2S,3Rである物質と同一であることが判定された。
N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドのトランスエナンチオマーB
ジフェニルクロロホスフェート(96μL、124mg、0.46mmol)を、無水ジクロロメタン(1mL)中のベンゾフラン-2-カルボン酸(75mg、0.46mmol)及びトリエチルアミン(64μL、46mg、0.46mmol)の溶液に滴下した。周囲温度で45分間撹拌した後、無水ジクロロメタン(1mL)中の(2R,3S)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(0.10g、0.46mmol)(ジ-p-トルオイル-L-酒石酸塩から誘導した)及びトリエチルアミン(64μL、46mg、0.46mmol)の溶液を加えた。反応混合物を周囲温度で終夜撹拌し、次いで10%水酸化ナトリウム(1mL)で処理した。二相混合物を分離し、有機相と水相のクロロホルム抽出物(2mL)をロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物をメタノールに溶解し、溶離液として0.05%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル/水勾配を用いて、C18シリカゲルカラムを用いたHPLCで精製した。選択された画分を濃縮し、得られた残留物をクロロホルムと重炭酸ナトリウム飽和水溶液に分配させ、クロロホルムを蒸発させて82.5mg(50%収率)の白色粉末を得た。NMRスペクトルは、2S,3R異性体について得られたものと同一であった。この物質(トランスエナンチオマーB)の直前の前駆体は、2S,3R化合物(トランスエナンチオマーA)の直前の前駆体に対してエナンチオマーであるので、トランスエナンチオマーBの絶対配置は2R,3Sであると推定される。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド及び(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミドp-トルエンスルホン酸塩の大規模合成
2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン
3-キヌクリジノン塩酸塩(8.25kg、51.0mol)及びメタノール(49.5L)を、窒素雰囲気下で、メカニカルスターラー、温度プローブ及び凝縮器を備えた100Lガラス製反応フラスコに加えた。水酸化カリウム(5.55kg、99.0mol)を粉末漏斗で約30分間かけて添加した。反応温度は50℃から56℃に上昇した。約2時間かけて3-ピリジンカルボキシアルデヒド(4.80kg、44.9mol)を反応混合物に加えた。反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)で監視しながら、得られた混合物を20℃±5℃で最低12時間撹拌した。反応が完了したら、反応混合物を焼結ガラス製漏斗でろ過し、ろ過ケーキをメタノール(74.2L)で洗浄した。ろ液を濃縮し、反応フラスコに移し、水(66.0L)を加えた。懸濁液を最低30分間撹拌し、ろ過し、ろ過ケーキを濯ぎ液のpHが7〜9になるまで水(90.0L)で洗浄した。固体を真空下、50℃±5℃で最低12時間乾燥して8.58kg(89.3%)の2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンを得た。
(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩
2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(5.40kg、25.2mol)及びメタノール(40.5L)を、不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、温度プローブ、低圧ガス調節システム及び圧力計を備えた72L反応容器に加えた。上部空間を窒素で満たし、混合物を撹拌して透明な黄色溶液を得た。このフラスコに10%パラジウム担持炭素(50%湿潤)(270g)を加えた。反応器の大気を真空ポンプで排気し、上部空間を10〜20インチ水圧の水素で置換した。排気と水素での加圧をさらに2回繰り返し、3回目の加圧後、反応器を20インチ水圧の水素ガス下に置いた。反応混合物を20℃±5℃で最低12時間撹拌し、反応をTLCで監視した。反応が完了したら、懸濁液を焼結ガラス製漏斗上のCelite(登録商標)545層(1.9kg)でろ過し、ろ過ケーキをメタノール(10.1L)で洗浄した。ろ液を濃縮して半固体を得た。これを窒素雰囲気下で、メカニカルスターラー、凝縮器及び温度プローブを取り付けた200L反応フラスコに移した。半固体をエタノール(57.2L)に溶解し、ジ-p-トルオイル-D-酒石酸(DTTA)(9.74kg、25.2mol)を加えた。撹拌反応混合物を最低1時間加熱還流し、さらに最低12時間かけて反応物を15℃〜30℃に冷却した。懸濁液をテーブルトップフィルターでろ過し、ろ過ケーキをエタノール(11.4L)で洗浄した。生成物を真空下、周囲温度で乾燥して11.6kg(76.2%収率、純度のため59.5%の係数をかけた)の(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩を得た。
(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩
水(46.25L)及び重炭酸ナトリウム(4.35kg、51.8mol)を200Lフラスコに加えた。完全に溶解したら、ジクロロメタン(69.4L)を加えた。(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩(11.56kg、19.19mol)を加え、反応混合物を2〜10分間撹拌した。相を最低2分間かけて分離させた(相分離のために必要であれば、追加の水(20L)を加えた)。有機相を取り出し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。ジクロロメタン(34.7L)を残った水相に加え、懸濁液を2〜10分間撹拌した。相を2〜10分間かけて分離させた。再度有機相を取り出し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。ジクロロメタン(34.7L)による水相の抽出を、上記のようにしてもう1回繰り返した。各抽出のサンプルをキラルHPLC分析にかけた。硫酸ナトリウムをろ過により除去し、ろ液を濃縮して(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(4.0kg)を固体として得た。
(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(3.8kg)を窒素雰囲気下で、メカニカルスターラー及び温度プローブを取り付けた清浄な100Lガラス製反応フラスコに移した。無水テトラヒドロフラン(7.24L)及び(+)-(R)-α-メチルベンジルアミン(2.55L、20.1mol)を加えた。チタン(IV)イソプロポキシド(6.47L、21.8mol)を1時間かけて撹拌反応混合物に加えた。反応物を窒素雰囲気下で最低12時間撹拌した。エタノール(36.17L)を反応混合物に加えた。反応混合物を-5℃以下に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(1.53kg、40.5mol)を、反応温度を15℃以下に保持しながら分割添加した(この添加に数時間を要した)。次いで反応混合物を15℃±10℃で最低1時間撹拌した。反応をHPLCで監視し、反応が完了したら((2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンの残存が0.5%未満であることが示されたら)、2M水酸化ナトリウム(15.99L)を加え、混合物を最低10分間撹拌した。反応混合物をテーブルトップ漏斗中のCelite(登録商標)545層でろ過した。ろ過ケーキをエタノール(15.23L)で洗浄し、ろ液を濃縮して油状物を得た。
濃縮物を不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー及び温度プローブを備えた清浄な100Lガラス製反応フラスコに移した。水(1L)を加え、混合物を0℃±5℃に冷却した。2M塩酸(24L)を混合物に加えて混合物のpHをpH1に調節した。次いで混合物を最低10分間撹拌し、2M水酸化ナトリウム(24L)を徐々に加えて、混合物のpHをpH14に調節した。混合物を最低10分間撹拌し、水相をジクロロメタン(3×15.23L)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウム(2.0kg)で脱水し、ろ過し、濃縮して(2S,3R)-N-((1R)-フェニルエチル)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル))-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(4.80kg、84.7%収率)を得た。
この(2S,3R)-N-((1R)-フェニルエチル)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンを不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー及び温度プローブを備えた22Lガラス製フラスコに移した。水(4.8L)を加え、撹拌混合物を5℃±5℃に冷却した。混合物の温度を25℃以下に保持しながら、濃塩酸(2.97L)を反応フラスコに徐々に加えた。得られた溶液を不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、温度プローブ及び凝縮器を備えた、エタノール(18L)を含有する72L反応フラスコに移した。このフラスコに、10%パラジウム担持炭素(50%湿潤)(311.1g)及びシクロヘキセン(14.36L)を加えた。反応混合物を還流近く(near-reflux)で最低12時間加熱し、反応をTLCで監視した。反応が完了したら、反応混合物を45℃以下に冷却し、これを焼結ガラス製漏斗上のCelite(登録商標)545層(1.2kg)でろ過した。ろ過ケーキをエタノール(3L)で濯ぎ、ろ液を濃縮して水相を得た。濃縮されたろ液に水(500mL)を加え、一緒にしたこの水相をメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(2×4.79L)で洗浄した。2M水酸化ナトリウム(19.5L)を水相に加えて混合物のpHをpH14に調節した。次いで混合物を最低10分間撹拌した。水相をクロロホルム(4×11.96L)で抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウム(2.34kg)で脱水した。ろ液をろ過し、濃縮して(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.49kg、定量的収率超)を油状物として得た。
この(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンを不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、凝縮器及び温度プローブを備えた清浄な100L反応フラスコに移した。エタノール(38.4L)及びジ-p-トルオイル-D-酒石酸(3.58kg、9.27mol)を加えた。反応混合物を緩やかに還流させながら最低1時間加熱した。次いで反応混合物を15℃〜30℃に冷却しながら最低12時間撹拌した。得られた懸濁液をろ過し、ろ過ケーキをエタノール(5.76L)で洗浄した。ろ過ケーキを不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、温度プローブ及び凝縮器を備えた清浄な100Lガラス製反応フラスコに移した。9:1エタノール/水溶液(30.7L)を加え、得られたスラリーを緩やかに還流させながら最低1時間加熱した。次いで反応混合物を15℃〜30℃に冷却しながら最低12時間撹拌した。混合物をろ過し、ろ過ケーキをエタノール(5.76L)で洗浄した。生成物を回収し、真空下、50℃±5℃で最低12時間乾燥して5.63kg(58.1%収率)の(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩を得た。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド
(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩(3.64kg、5.96mol)及び10%塩化ナトリウム水溶液(14.4L、46.4mol)を不活性雰囲気下で、メカニカルスターラーを備えた72Lガラス製反応フラスコに加えた。5M水酸化ナトリウム(5.09L)を撹拌混合物に加えて混合物のpHをpH14に調節した。次いで混合物を最低10分間撹拌した。水溶液をクロロホルム(4×12.0L)で抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウム(1.72kg)で脱水した。一緒にした有機相をろ過し、ろ液を濃縮して(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(1.27kg)を油状物として得た。
この(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンを不活性雰囲気下で、メカニカルスターラーを備えた50Lガラス製反応フラスコに移した。ジクロロメタン(16.5L)、トリエチルアミン(847mL、6.08mol)、ベンゾフラン-2-カルボン酸(948g、5.85mol)及びO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,1-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(2.17kg、5.85mol)を反応混合物に加えた。混合物を周囲温度で最低4時間撹拌し、反応をHPLCで監視した。反応が完了したら、10%炭酸カリウム水溶液(12.7L、17.1mol)を反応混合物に加え、混合物を最低5分間撹拌した。相を分離し、有機相を10%ブライン(12.7L)で洗浄した。相を分離し、有機相を15℃±10℃に冷却した。3M塩酸(8.0L)を、反応混合物に徐々に加えて混合物のpHをpH1に調節した。次いで混合物を最低5分間撹拌し、相を最低5分間かけて分離させた。テーブルトップフィルターを用いて固体をろ過した。ろ液の相を分離し、水相と、漏斗からの固体を反応フラスコに移した。3M水酸化ナトリウム(9.0L)をフラスコに分割して徐々に加えて混合物のpHをpH14に調節した。水相をジクロロメタン(2×16.5L)で抽出した。有機相を合わせて無水硫酸ナトリウム(1.71kg)で脱水した。混合物をろ過し、ろ液を濃縮して(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(1.63kg、77.0%収率)を黄色固体として得た。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イルベンゾフラン-2-カルボキサミドp-トルエンスルホネート
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(1.62kg、4.48mol)及びジクロロメタン(8.60kg)を大型のカーボイに入れた。溶液中の物質の重量/重量パーセントをHPLC分析で測定した。溶液を濃縮して油状物を得、アセトン(4L)を加え、混合物を濃縮して油状固体を得た。追加のアセトン(12L)を、ロータリーエバポレーターバルブ中の油状固体に加え、得られたスラリーを不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、凝縮器、温度プローブ及び凝縮器を備えた50Lガラス製反応フラスコに移した。反応混合物を50℃±5℃で加熱した。水(80.7g)を溶液に加え、これを最低10分間撹拌した。p-トルエンスルホン酸(853g、4.44mol)を反応混合物に約15分間かけて分割添加した。反応混合物を加熱還流し、その温度を最低30分間保持して溶液を得た。反応物を約2時間かけて40℃±5℃に冷却した。酢酸イソプロピル(14.1L)を約1.5時間かけて加えた。反応混合物を、最低10時間かけて周囲温度に徐々に冷却した。混合物をろ過し、ろ過ケーキを酢酸イソプロピル(3.5L)で洗浄した。単離した生成物を、真空下、105℃±5℃で2〜9時間乾燥して2.19kg(88.5%収率)の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドp-トルエンスルホネート、mp226〜228℃を得た。1H NMR (500 MHz, D2O) δ 8.29 (s, 1H), 7.78 (m, J = 5.1, 1H), 7.63 (d, J = 7.9, 1H), 7.54 (d, J = 7.8, 1H), 7.49 (d, J = 8.1, 2H), 7.37 (m, J = 8.3, 1H), 7.33 (m, J = 8.3, 6.9, 1.0, 1H), 7.18 (m, J = 7.8, 6.9, 1.0, 1H), 7.14 (d, J = 8.1, 2H), 7.09 (s, 1H), 6.99 (dd, J = 7.9, 5.1, 1H), 4.05 (m, J = 7.7, 1H), 3.74 (m, 1H), 3.47 (m, 2H), 3.28 (m, 1H), 3.22 (m, 1H), 3.15 (dd, J = 13.2, 4.7, 1H), 3.02 (dd, J = 13.2, 11.5, 1H), 2.19 (s, 3H), 2.02 (m, 2H), 1.93 (m, 2H), 1.79 (m, 1H). 3C NMR (126 MHz, D2O) δ 157.2, 154.1, 150.1, 148.2, 146.4, 145.2, 138.0, 137.0, 130.9, 128.2 (2), 126.9, 126.8, 125.5 (2), 123.7, 123.3, 122.7, 111.7, 100.7, 61.3, 50.2, 48.0, 40.9, 33.1, 26.9, 21.5, 20.8, 17.0。
この物質のサンプルを、水酸化ナトリウム水溶液で処理し、クロロホルムで抽出することによって、化合物A遊離塩基に変換させた(塩選択試験で使用するため)。クロロホルムを蒸発させて灰白色粉末、mp167〜170℃を得た。これは以下のスペクトル特性を有していた:陽イオンエレクトロスプレーMS[M+H]+イオンm/z=362。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.53 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.43 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 8.28 (dd, J = 1.6, 4.7 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.63 (dt, J = 1.7, 7.7 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.46 (m, J = 8.5, 7.5 Hz, 1H), 7.33 (m, J = 7.7, 7.5 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 4.7, 7.7 Hz, 1H), 3.71 (m, J = 7.6 Hz, 1H), 3.11 (m, 1H), 3.02 (m, 1H), 2.80 (m, 2H), 2.69 (m, 2H), 2.55 (m, 1H), 1.80 (m, 1H), 1.77 (m, 1H), 1.62 (m, 1H), 1.56 (m, 1H), 1.26 (m, 1H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 158.1, 154.1, 150.1, 149.1, 146.8, 136.4, 135.4, 127.1, 126.7, 123.6, 122.9, 122.6, 111.8, 109.3, 61.9, 53.4, 49.9, 40.3, 35.0, 28.1, 26.1, 19.6。
化合物Aの一塩酸塩(実施例3参照)をX線結晶分析にかけた。得られた結晶構造は2S,3R絶対配置の化合物Aを構築していた。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド塩酸塩の合成
一塩酸塩:濃塩酸(12Mの1.93mL、23.2mmol)を8.5mLの冷THFに滴下して塩酸/THF溶液を調製した。この溶液を周囲温度に加温した。丸底フラスコに、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(8.49g、23.5mmol)及びアセトン(85mL)を加えた。混合物を、完全な溶液が得られるまで撹拌し、45〜50℃に加熱した。上記で調製した塩酸/THF溶液を5分間かけて滴下し、移しかえに(in the transfer)追加のTHF(1.5mL)を用いた。酸溶液添加の間に、粒状の白色固体が生成し始めた。混合物を周囲温度に冷却し、終夜撹拌した(16時間)。固体を吸引ろ過により回収し、ろ過ケーキをアセトン(10mL)で洗浄し、固体を、吸引しながら30分間空気乾燥した。固体を真空オーブン中、75℃でさらに2時間乾燥して8.79gの微細な白色結晶(94%収率)、mp255〜262℃を得た。キラルLC分析は98.8%(270nm)の純度を示した。1H-NMR(DMSO-d6)は残留溶媒が存在していないことを示しており、モノ化学量論が確認される。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.7 (広幅s, 1H-第四級アンモニウム), 8.80 (広幅s, 1H-アミドH), 8.54 (s, 1H), 8.23 (d, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.47 (m, 2H), 7.33 (m, 1H), 7.19 (m, 1H), 4.19 (m, 1H), 4.08 (m, 1H), 3.05-3.55 (m, 6H), 2.00-2.10 (m, 3H), 1.90 (m, 1H), 1.70 (m, 1H)。この塩のX線結晶分析により立体化学的配置及び化学量論が確立された。
二塩酸塩:塩化水素ガスを、無水エーテル(25mL)中の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(1.9g、5.3mmol)の氷冷溶液中にゆっくりバブリングさせた。揮発性物質を、最初に窒素流下で、次いで高真空下(高真空ライン中の水酸化ナトリウムスクラバー)で除去した。残留物を少量の無水エーテル(廃棄)で数回粉砕し、残った固体を高真空下で乾燥した。これによって2.17g(94%収率)の灰白色粉末、mp210〜212℃(吸湿性)が得られた。キラルLC分析は93.7%(270nm)の純度を示した。陽イオンエレクトロスプレーMS[M+H]+イオンm/z=362。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 9.15 (s, 1H), 8.84 (d, 1H), 8.63 (d, 1H), 7.97 (t, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.52 (m, 2H), 7.35 (t, 1H), 4.50 (m, 1H), 4.32 (m, 1H), 3.40-3.85 (m, 6H), 1.95-2.40 (m, 5H)。
VI.統合失調症の認知障害を有する外来患者における認知を改善するための強化療法としての、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の有効性、安全性及び忍容性を評価するための二重盲式、プラセボ対照、多施設並行群間試験
第2相臨床概念実証試験を、統合失調症を有する患者における認知を改善するための強化療法として(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩を評価するために実施した。試験において、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩は、主要有効性アウトカム評価項目、CogState統合失調症バッテリー(CogState, New Haven, CT;http://www.cogstate.com/go/clinicaltrials/our-test-batteries/schizophrenia-battery)のグロトン迷路学習タスク(GMLT)についての肯定的な結果のためのプロトコル基準に適合しており、十分許容されるものであった。
上記で参照したパンフレットに提供されているように、CogStateは、世界の製薬産業界に圧倒的に提供されている認知テストのプロダクト及びサービスの提供者である。統合失調症認知検査バッテリーは、MATRICSイニシアチブによって特定されているすべての領域をカバーしており、管理に約35分間を必要とし;新規な化合物及び認可された薬剤治療の効果への感度が高く;群患者又は個別患者における薬剤治療の効果への感度が高く;そしてその結果判定法は機能的状態に関係している。
CogState統合失調症バッテリーから統合失調症における認知機能の変化までの三つの尺度の感度がある。図1は、無作為化で、その抗精神病剤に対して安定であった慢性統合失調症を有する患者(群当たりn=30)における、単純反応時間(情報処理)、国際ショッピングリストタスク(言語学習)及びグロトン迷路学習タスク(問題解決)のタスクに対する新規なα7ニコチンアゴニストの効果を比較するプラセボ対照並行群間試験の結果をまとめたものである。各測定値について、0.4標準偏差単位を超える能力の改善が見られた。
図2は、異なる三つの地理的地域において抗精神病剤を受けていた慢性統合失調症患者における認知機能障害に対する、CogState統合失調症バッテリーからの主要アウトカム評価項目の感度を例示する。異なる認知領域における機能的障害の特徴及び大きさは、三つの文化群にわたって一致した。
認知障害/機能障害が統合失調症における重要な健康問題であるというFDA及びNIH合意の結果として、FDAは、認知機能の改善が、統合失調症研究における主要な成果と考えられることを確認した。この指針に従って、FDA、NIH、学術研究者及び産業界のコラボレーションであるMATRICSイニシアチブは、この集団における認知の評価のための検査バッテリーを推奨している。MATRICSイニシアチブ以前には、統合失調症における臨床試験での認知機能の評価のための最適な結果判定法についてのコンセンサスはなかった。MATRICSグループによって推奨されているこの検査基準は以下の通り定義されている:
・テスト-再テストの高い信頼性
・良好な認知領域カバレージ
・同程度の代替形態
・強固な内部整合性
・一般集団において十分に確立されている
・実証されている忍容性及び許容性
すべてのCogStateタスクは、科学的妥当性、信頼性及び一貫性に関して、上記に示した基準に適合している。CogState統合失調症バッテリーを形成させるために合わせると、これらのタスクは、MATRICSイニシアチブによって規定されている認知領域もカバーする。
この検査バッテリーは迅速なものである。この検査バッテリーは約35分間で必要なすべての領域をカバーする-これは統合失調症に苦しむ患者と作業する際の利点である。この使いやすい検査バッテリーは、標準的なコンピュータ機器を非熟練者が管理するのを可能にし、これによってコストが低減され、効率は増大する。このタスクは文化的に中立的な刺激を利用する。このことは文化、民族性及び社会・経済的状態にかかわらず、世界中でそれらを臨床試験に確実に組み込むことができるようにする。検査バッテリーは高いテスト-再テスト信頼性を有しており、これは品質データを確実なものにする。
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二重盲式、プラセボ対照第2相試験を米国の7か所、インドの12か所で実施した。この試験において、安定した精神病的症状にあり、安定した用量の承認された非定型的抗精神病剤(Seroquel(登録商標)として販売されているクエチアピンか又はRisperdal(登録商標)として販売されているリスペリドン)を服用している、統合失調症についてのDSM-IV基準に適合した185名の患者を無作為化して、非定型的抗精神病剤での継続治療と合わせて、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩か又はプラセボを12週間投与した。無作為化患者のうち約69%は男性であり、約46%はタバコ製品の使用者であった。(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩を投与する患者には、最初の4週間に1mgの1日用量、次の4週間に5mgの1日用量、最後の4週間に25mgの1日用量を投与した。主要有効性アウトカム評価項目はGMLTであった。この試験には、副次的有効性アウトカム評価項目としていくつかの他の尺度を含めた。
GMLTは実行機能(活動を計画し、優先順位付けし、停止し、開始し、一つの活動から他の活動に転換し、且つ自分自身の行動を監視する能力を含む、認知過程を組織化する能力)を評価するように設計されたコンピュータによるテストである。実行機能が損なわれていることは、統合失調症における認知障害の重要な側面であると考えられる。試験プロトコル(以下「プロトコル」を参照されたい)は、三つの多重比較(4、8及び12週間で3用量を評価する)を説明するために統計的に調整した後、プラセボ投与群と比較して(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩の投与群のGMLTにおける優位性(片側p値<0.10)として肯定的な結果を規定した。
試験において、GMLTについての結果は、試験の三つの測定日のうちの二つで(4週間で非調整p値=0.018;及び12週間で非調整p値=0.041)、所定の合格基準(調整p値=0.054)に適合し;非喫煙者と比較して喫煙者に好ましいものであり、インドの試験個所の患者と比較して米国の試験個所の患者に好ましいものであった。統合失調症患者の約80%が喫煙すると推定されており(Swan& Lessoc-Schlaggar, Neuropsychological Review, 17:259-273, 2007);非喫煙者についての取り組みは見られない。報告されているp値のそれぞれは、データの分布が非対称である(正規分布ではない)場合に広く利用されている手法である、データログ変換後に得られたものであった。
さらに、有望な有効性シグナルが、陰性症状評価尺度(Scale for Assessment of Negative Symptoms)(統合失調症の陰性症状の改善の研究者評価)、臨床全般印象度(Clinical Global Impression)-全般改善(Global Improvement)(全体応答の研究者評価)、及び対象全般印象度(Subject Global Impression)-認知尺度(Cognition scale)(認知変化の患者の自己評価)を含むいくつかの副次的アウトカム評価項目についての試験で観察された。臨床全般印象-重症度は薬物効果を示さなかった。さらに、CogState統合失調症検査バッテリーにおける認知尺度を含む、試験の特定の副次的アウトカム評価項目は薬物効果を示さなかったが、限定するものではないが、複合スコア、検出(精神運動速度)、識別(注意力)、1-カード学習(視覚学習)、1-バック(作業記憶)及び国際ショッピングリストタスク(言語学習)を含むいくつかのCogStateの客観的認知エンドポイントは、統計的に有意な改善結果をもたらした。
表2は、全母集団(喫煙者及び非喫煙者)の主要、副次及びCogState分析の結果を提供する。
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表3は、喫煙者における主要、副次及びCogState分析の結果を提供する。
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主要目的エンドポイント(GMLT)、いくつかの副次的な臨床医及び患者評価エンドポイント(SANS, CGI-Global及びSGI-Cog)及びCogState客観的認知エンドポイントにおける、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩に好ましい統計的に有意で定性的に類似した効果は、統合失調症での認知障害における(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の肯定的な有効性を強調するものである。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩は試験において好ましい忍容性プロファイルを示し、有害事象に起因する中断において、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩とプラセボ投与群との間に臨床的に有意な差はなかった。プラセボコホートにおいてより、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩コホートにおいてより多く見られる最も頻度の高い有害事象は嘔気であった(0%プラセボvs.5%(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩)。これは重症度において軽度から中程度であり、患者のドロップアウトをもたらすことはなかった。この試験で二つの重大な有害事象があり、一つはプラセボ投与群において、一つは(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩の投与群において見られた。適切な研究者によって、どちらも薬物関連ではないと考えられている。
陰性症状及び認知症状に対する(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の有効性は、統合失調症のこれらの残遺症状に対する非定型的抗精神病剤の効果が相対的に欠如しているため、顕著な知見である。これらの残遺症状が、統合失調症を有する人がその完全な発病前の機能レベルを取り戻せない主な理由であるので、これらの症状のための新規な治療は、未解決の大きなニーズを満たすものである。このニーズは、MATRICSイニシアチブ(Neuchterleinら、2004;Gold, 2004)、広範な学問的支持及び規制上の支持を有する他のイニシアチブ(Blanchardら、2010;Marderら、2011)によってNIMHにより確認されており、FDAによって承認されている(Laughren and Levin, 2011)。MATRICSイニシアチブは、統合失調症における認知障害の治療において、α7NNR受容体を標的とする小分子の可能性を強調している。その可能性は、α7NNRアゴニスト、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩が有効である統合失調症の前臨床モデル;並びに他の様々なα7NNRアゴニストが代理マーカーに対して有効である早期臨床試験(Olincyら、2006;EnVivo Pharmaceuticals, 2009)及び統合失調症の測定されている特性(Freedmanら、2008)によって支持されている。
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩は、主に喫煙者において有効性を示した。これらに限定されないが、この観察結果を説明できる少なくとも三つの仮説が考えられる。第1は、喫煙する統合失調症患者において、α7NNRサブユニットをコードするmRNAは、喫煙しない統合失調症患者と比較して250%上方調節されることが示されており;喫煙者においてより多くの機能性α7NNR受容体が存在していた(Mexalら、2010)。この知見は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩が、作用できるより多くの機能的に活性なα7受容体がこの試験における喫煙者の脳内に存在し、より大きな機能的結果をもたらしていることを示唆し得る。第2は、ニコチンは、前臨床モデルにおいて、血液脳関門を小分子に対してより透過性にすることが実証されている(Hawkinsら、2004;Mandaら、2010)。このニコチンの効果がヒトにおいても存在する場合、より高い脳内濃度の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩がこの試験における喫煙者中に存在していた可能性がある。この試験で用いられた用量がα7NNR活性化についてのEmax以下であれば、喫煙者におけるこの仮説的により高い脳内濃度の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩は、より大きな受容体活性化をもたらし得る。第3に、この試験における対象は、朝、(喫煙者の場合は)最初に喫煙する少なくとも90分前に、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩を服用することを求められた。したがって、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド薬学的に許容される塩は、夜間のニコチン刺激の喪失のため、感作されたα7NNRに対して作用できた可能性がある。上記又は他の因子のいずれかが、この試験での喫煙者における(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩のより高い効果の基礎にあるかどうかは、さらなる前臨床及び臨床研究を要しよう。しかし、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド若しくは薬学的に許容されるその塩又は他のα7NNRアゴニストが、喫煙する統合失調症患者において主に作用することが確認されれば、このことは、統合失調症を有する患者の大部分は喫煙者であるので、これらの化合物の開発を妨げないはずである(Hughesら、1986;Goffら、1992;de Leonら、1995;Diwanら、1998;O’Carroll, 2000)。本発明の一つの態様は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の組合せを含む。
本試験の解釈において考慮すべきいくつかの注意点(caveat)がある。第1は、試験における喫煙者の数は比較的少なかった(登録された集団の46%)ため、この知見は、より拡大された試験において再現される必要がある。第2に、この試験は主にインドで実施されたものであり(登録対象の約2/3)、したがって、これらの知見は、他の文化及び医療実務の他の仕方への翻訳を実証するために、他の地域で、より拡大された試験において繰り返される必要がある。
それでもなお、これらの知見は、統合失調症の残遺期の治療のための、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩のようなα7NNRアゴニストの役割を支持するのに有望である。これらの症状の信頼できる治療の効果は、統合失調症を有する患者のために、彼らを助ける家族及び介護者のために、またこれらの患者のより生産的な生活への復帰により恩恵を受けることができる社会及び経済のために、非常に大きなものとなろう。
有効性の結果
有効性結果を表4〜8に示す。
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観察される具体的な薬理学的応答は、選択される具体的な活性化合物、又は薬剤用担体が存在するかどうか、並びに使用する製剤の種類及び投与方法によって且つそれに依存して変動し、結果におけるそうした予測される変動又は差異は本発明の実施において考慮されるものとする。
本発明の特定の実施形態が本明細書で例示され、詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されない。上記の詳細な説明は本発明の例示として提供されるものであり、本発明の何らかの限定を構成するものと解釈すべきではない。改変は当業者に明らかであり、本発明の趣旨を逸脱しないすべての改変は、特許請求の範囲に包含されるものとする。

Claims (15)

  1. (2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、統合失調症における認知障害の治療方法。
  2. 統合失調症における認知障害を治療するための医薬の調製における、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の使用。
  3. 統合失調症における認知障害の治療における使用のための、化合物(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩。
  4. 治療が、実行機能(executive function)の改善をもたらす、請求項1、2又は3に記載の方法、使用又は化合物。
  5. 治療が、記憶力の改善をもたらす、請求項1〜4に記載の方法、使用又は化合物。
  6. 治療が、注意力の改善をもたらす、請求項1〜5に記載の方法、使用又は化合物。
  7. (2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、統合失調症の陰性症状の治療方法。
  8. 統合失調症の陰性症状を治療するための医薬の調製における、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の使用。
  9. 統合失調症の陰性症状の治療における使用のための、化合物(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩。
  10. (2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、残遺期(residual phase)統合失調症の治療方法。
  11. 残遺期統合失調症を治療するための医薬品の調製における、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩の使用。
  12. 残遺期統合失調症の治療における使用のための、化合物(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩。
  13. (2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド又は薬学的に許容されるその塩及び1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、統合失調症における認知障害、統合失調症の陰性症状又は残遺期統合失調症の一つ以上の治療のための医薬組成物。
  14. 1種以上の抗精神病剤、抗うつ剤又は気分安定剤をさらに含む、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 1種以上の抗精神病剤が、ステラジン(Stelazine)(トリフルオペラジン)、フルペンチキソール(フルアンキソール(Fluanxol))、ロキサピン(ロキサパック(Loxapac)、ロキシタン(Loxitane))、パーフェナジン(エトラフォン(Etrafon)、トリラフォン(Trilafon))、クロルプロマジン(トラジン(Thorazine))、ハルドール(Haldol)(ハロペリドール)、プロリキシン(Prolixin)(フルフェナジンデカン酸エステル、モデケート(Modecate)、パーミチル(Permitil))、アリピプラゾール(アビリファイ(Abilify))、クロザリル(Clozaril)(クロザピン)、ゲオドン(Geodon)(ジプラシドン)、リスペルダール(Risperdal)(リスペリドン)、セロクエル(Seroquel)(クエチアピン)、ジプレキサ(Zyprexa)(オランザピン)又はニコチン性α7受容体のアゴニストの一つ以上である、請求項14に記載の医薬組成物。
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