〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るメッセージ転送システムを示している。図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の技術が限定されるものではない。
このメッセージ転送システム2は、本開示のメッセージ転送システムの一例である。通信端末間の直接無線通信を用いてメッセージを転送する。このメッセージ転送システム2には一例として、無線基地局4−1、4−2、複数の通信端末6−1、6−2、6−3・・・6−N、管理サーバ8が含まれる。
無線基地局4−1、4−2は基地局装置の一例である。複数の通信端末6−1、6−2、6−3・・・6−Nは、無線基地局の通信圏内に在圏する際に無線電話網を通じて通信が可能であり、無線基地局が通信障害に陥ったとき、直接無線通信によりメッセージの転送が可能である。直接無線通信は、無線基地局を経由しない通信端末間電波による近距離の無線通信である。
管理サーバ8は管理装置の一例である。この管理サーバ8では、無線基地局4−1、4−2などの基地局装置の障害、通信不可に陥っている通信端末に対するメッセージの送受信、通信端末の位置、通信端末の直接無線通信などを管理する。この直接無線通信(以下、単に「直接通信」と称する)は、基地局装置を介することなく、通信端末間電波による直接の無線通信である。
各通信端末6−1、6−2、6−3・・・6−Nはたとえば、携帯電話端末である。各通信端末6は無線通信機能および近距離の無線通信機能を備える。無線通信機能によれば、無線基地局4−1の配下にあるたとえば、通信端末6−1、6−2であれば、無線基地局4−1との無線通信が可能である。同様に、無線基地局4−2が正常であれば、その配下にあるたとえば、通信端末6−2、6−3、6−4、6−5・・・6−Nとの無線通信が可能である。また、近距離無線通信機能はたとえば、通信障害に陥っている無線基地局4−2の通信圏外つまり圏外に移動すると、無線基地局4−2を介することなく、直接通信が可能となる。
このメッセージ転送システム2では一例として、無線基地局4−2が通信障害により通信不能に陥った場合を想定する。この場合、管理サーバ8は通信障害に陥った無線基地局4−2の配下で通信端末6−5を宛先とするメッセージ10をたとえば、通信端末6−1から受信したとする。管理サーバ8は無線基地局4−1との通信が可能なたとえば、通信端末6−2を特定し、この通信端末6−2にメッセージ10を送信する。
このメッセージ10を受信した通信端末6−2は、そのメッセージ10を直接通信により通信端末6−3に転送し、通信端末6−3が直接通信により通信端末6−4に転送する。通信端末6−4は、直接通信により通信端末6−5に転送する。メッセージ10が通信端末6−2、6−3、6−4、6−5の直接通信の中継により伝播し、宛先である通信端末6−5に到達する。つまり、障害中の無線基地局4−2の配下であるため、無線基地局4−2の障害により通信不能に陥っている通信端末6−5に対し、無線基地局4−2を経由することなく、メッセージ10が到達する。
通信端末6−5がメッセージ10を受領すると、通信端末6−5からメッセージ10の消去を指示する情報を含む削除メッセージ12が生成され、この削除メッセージ12が直接通信により送信される。この削除メッセージ12が返送メッセージの一例である。この削除メッセージ12は、通信端末6−5から通信端末6−4に、通信端末6−4から通信端末6−3に、通信端末6−3から通信端末6−2に中継されて伝播する。この削除メッセージ12を受信した通信端末6−2、6−3、6−4では、送信または中継により保持しているメッセージ10を消去する。
この場合、メッセージ10からたとえば、メッセージIDおよび宛先IDを残し、その他の情報(たとえば、ペイロード:payload )が削除される。これにより、メッセージ10の不必要な伝播や拡散を防止できる。
図2は、メッセージ転送システム2の処理手順を示している。この処理手順は、本開示のメッセージ転送方法の一例である。
この処理手順では、通信障害に陥った無線基地局4−2配下のたとえば、通信端末6−5を宛先とするメッセージ10を受信した管理サーバ8がメッセージ10を通信可能な通信端末6−2に送信する(S11)。
この場合、通信端末6−2、6−3間、通信端末6−3、6−4間、通信端末6−4、6−5間の直接通信によりメッセージ10が宛先である通信端末6−5に到達し、通信端末6−5がメッセージ10を受信する(S12)。
メッセージ10を受信した通信端末6−5は、メッセージ消去を指示する情報を含む削除メッセージ12を生成し、この削除メッセージ12を他の通信端末としてたとえば、通信端末6−4などに送信する(S13)。
この削除メッセージ12はたとえば、通信端末6−5、6−4間、通信端末6−4、6−3間、通信端末6−3、6−2間の直接通信により転送される(S14)。
この削除メッセージ12を受信したたとえば、通信端末6−4、6−3、6−2などが保持しているメッセージ10を消去する(S15)。この場合、メッセージ10の消去は、メッセージ10に含まれるメッセージIDや宛先IDを除き、メッセージ10のボディ部分であるペイロード部が消去される。
<第1の実施の形態の効果>
(1) 通信不能状態にあるたとえば、通信端末6−5宛のメッセージ10を直接通信により中継し、通信端末6−5に到達させることができる。
(2) メッセージ10の宛先である通信端末6−5がメッセージ10の受信を契機に、削除メッセージ12が生成され、この削除メッセージ12が宛先の通信端末6−5から中継側に返信される。削除メッセージ12を受信した通信端末が、送信または中継したメッセージ10を迅速に消去することができる。このメッセージ消去は、従前のポップ数や一定の消去時間による消去処理に比較し、迅速に行うことができる。したがって、メッセージ10の拡散を防止できる。
(3) メッセージ10を迅速に消去できるので、メッセージ10の宛先に到達した後のメッセージ10の拡散を防止できる。これにより、メッセージ10の送受信に必要なリソースを低減でき、通信端末6のメッセージ配信の負荷を軽減できる。
(4) メッセージ10の消去に用いられた削除メッセージ12はメッセージ10に比較し、データ量が小さく、リソースの利用率を低下させることはない。この削除メッセージ12は経過時間とホップ数などのTTLにより削除すればよい。これにより、削除メッセージ12の拡散を防止できる。
〔第2の実施の形態〕
図3は第2の実施の形態に係るメッセージ転送システムを示している。図3において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
このメッセージ転送システム2には、無線基地局4−1、4−2、複数の通信端末6−1、6−2、6−3・・・6−N、管理サーバ8が含まれる。これらは第1の実施の形態と同一であるので、その説明を割愛する。
無線基地局4−1の配下には一例として、通信端末6−1、6−2、6−6、6−7が存在し、無線基地局4−2の配下には一例として、通信端末6−2、6−3、6−4、6−5、6−7・・・6−Nが存在している。各無線基地局4−1、4−2は管理サーバ8とネットワークを形成している。
無線基地局4−1には通信可能な通信圏14−1が存在し、無線基地局4−2には通信圏14−2が存在する。つまり、この場合、無線基地局4−1には通信障害が生じていないので、通信圏14−1に在圏する通信端末6−1、6−2、6−6、6−7は、通信状態を表す表示が「圏内」となる。この「圏内」は、無線基地局4−1を経由した無線電話網による通信が可能であることを表している。
これに対し、無線基地局4−2には通信障害が生じているので、通信圏14−2のみに在圏する通信端末6−3、6−4、6−5・・・6−Nは、通信状態を表す表示が「圏外」となる。この「圏外」は、無線基地局4−2を経由した無線電話網による通信が不可であることを表している。しかしながら、通信圏14−1および通信圏14−2が重なる境界域14−3が存在する。この境界域14−3は通信圏14−1および通信圏14−2が重なって存在し、一例として通信圏14−2では圏外であっても、通信圏14−1では圏内となる。つまり、この境界域14−3に在圏する通信端末6−2、6−7は、無線基地局4−1を経由する無線電話網による通信が可能である。
そこで、この実施の形態では、通信端末6−1、6−2・・・6−Nには直接通信による情報を格納するデータベース(Data Base:DB)16が設置されている。このDB16には、メッセージ10、削除メッセージ12が格納される。
管理サーバ8は、無線基地局4−1、4−2などの無線基地局とネットワークを形成するコンピュータシステムである。この管理サーバ8では、無線基地局4−1、4−2などの無線基地局やこの無線基地局の配下にある複数の通信端末6−1、6−2・・・6−Nの位置などを管理する。この管理サーバ8にはDB18が設置されている。このDB18には、複数の通信端末6−1、6−2・・・6−NのID(IDentification)や位置情報が格納される。
このメッセージ転送システム2では、通信障害に陥った無線基地局4−2配下のたとえば、通信端末6−5を宛先とするメッセージ10を管理サーバ8が受信する。この管理サーバ8は、直接無線通信が可能な通信端末6であって、圏外の通信圏14−2に在圏する通信端末6−5に向けてメッセージ10の送信が可能な通信端末6−2を検出する。そして、管理サーバ8がこの通信端末6−2にメッセージ10を送信する。
この場合、通信端末6−2、6−3間、通信端末6−3、6−4間、通信端末6−4、6−5間の直接通信によりメッセージ10が宛先である通信端末6−5に到達し、通信端末6−5がメッセージ10を受信することは既述の通りである。
メッセージ10を受信した通信端末6−5はメッセージ10の受信を契機に、削除メッセージ12を生成し、この削除メッセージ12を通信端末6−4などの他の通信端末に送信する。この削除メッセージ12は複数の通信端末6−5、6−4、6−3、6−2に直接通信により中継されて転送される。これにより、削除メッセージ12を受信した各通信端末6−4、6−3、6−2などでは、保持しているメッセージ10を消去する。
<通信端末6のハードウェアおよび機能>
図4は、第2の実施の形態に係るメッセージ転送システム2における通信端末6のハードウェアおよび機能の一例を示している。
この通信端末6には、図4のAに示すように、プロセッサ20、メモリ22、無線基地局通信部24、近距離通信部26、入力部28および表示部30が含まれる。
プロセッサ20は、メモリ22に格納されているOS(Operating System)や、直接通信によるメッセージ転送プログラムなどのアプリを実行する。このプロセッサ20の情報処理にはメッセージ10や削除メッセージ12の生成などの処理、削除メッセージ12を受信した場合のメッセージ10から情報の削除や消去などが含まれる。
メモリ22はメッセージ10や削除メッセージ12を保持するメッセージ保持部などの一例である。このメモリ22にはたとえば、半導体メモリなどの記録媒体が用いられる。このメモリ22には既述のOS、ファームウェア、アプリなどの各種のプログラムが格納される。このメモリ22にはRAM(Random-Access Memory)が含まれる。RAMは情報処理のワークエリアに用いられる。
無線基地局通信部24は、無線基地局を経由する無線通信を行う。この無線基地局通信部24は、無線基地局4−1、4−2を介して管理サーバ8に接続される。
近距離通信部26は、メッセージ10の送受信、削除メッセージ12の送受信を行う無線通信部の一例である。この近距離通信部26では、無線基地局が障害により通信不能に陥った場合に、通信端末間での直接通信を行う。この場合、既述のメッセージ10の発信または中継を行う。
入力部28は情報入力や情報選択に用いられる。この入力部28にはキーボードやタッチパネルなどが含まれる。
表示部30はたとえば、LCD(Liquid Crystal Display)で構成し、文字や画像などの情報を視覚的に表示する。
この通信端末6の機能32には、図4のBに示すように、メッセージ配信機能32−2、メッセージ保持・消去機能32−4、削除メッセージ生成機能32−6、削除メッセージ配信機能32−8、圏内・圏外判定機能32−10、到達完了メッセージ生成機能32−12および到達完了メッセージ送信機能32−14が含まれる。
メッセージ配信機能32−2は、直接通信可能な通信端末6に対して直接通信により、メッセージ10を配信する。
メッセージ保持・消去機能32−4は、配信または中継したメッセージ10を保持し、削除メッセージ12の受信を契機にメッセージ10を消去する。
削除メッセージ生成機能32−6は、メッセージ10の宛先となった通信端末6が実行する機能である。この削除メッセージ生成機能32−6により、メッセージ10の宛先である通信端末6たとえば、通信端末6−5がメッセージ10の受信を契機に削除メッセージ12を生成する。
削除メッセージ配信機能32−8は、削除メッセージ生成機能32−6により生成した削除メッセージ12または中継した削除メッセージ12を他の通信端末6に配信する。
圏内・圏外判定機能32−10は、通信端末6がたとえば、通信圏内に在圏するか、通信圏外に存在するかを判定する。つまり、無線基地局4−2が障害中で通信不能に陥っている場合には、通信端末6−3、6−4、6−5・・・6−Nは通信圏外と判定する。
到達完了メッセージ生成機能32−12は、メッセージ10を中継により伝播した通信端末6が削除メッセージ12を受信すると、境界域14−3に対する通信端末6に対する到達完了メッセージ13を生成する。
到達完了メッセージ送信機能32−14は、到達完了メッセージ生成機能32−12により生成された到達完了メッセージ13を送信する。
各通信端末6は既述の機能32を有しているので、通信端末6は、圏内から圏外に入ると、通信端末間の直接通信を行う。これにより、圏外となっている通信圏14−2の地域であっても、メッセージ10の送受信が可能である。このメッセージ10はDB16の送受信管理DB16−1(図7のA)に格納される。通信端末6は、圏外となっている間、メッセージ10を他の通信端末と送受信するので、無線基地局を経由することなくメッセージ10を伝播していく。この圏外の地域で送受信されるメッセージ10には図6のAに示すメッセージフォーマットが用いられる。
メッセージ10が宛先の通信端末たとえば、通信端末6−5(図3)へ到達した場合、宛先の通信端末6−5は到達したメッセージ10のメッセージIDを削除メッセージ12へ付与し、他の通信端末6へ送信する。この削除メッセージ12を受信した通信端末6は、送受信管理DB16−1(図7のA)から該当するメッセージIDを検索する。該当するメッセージIDが検出されると、メッセージIDに該当するメッセージ10からたとえば、メッセージIDおよび宛先IDを削除メッセージ管理DB16−2(図7のA)に保存し、他の情報は送受信管理DB16−1から消去する。メッセージIDおよび宛先IDを保存するのは削除されたメッセージ10を特定するためである。そして、削除メッセージ12は圏外の地域へ伝播される。メッセージ10を削除する情報を含む削除メッセージ12には図6のBに示すメッセージフォーマットが用いられる。
このように通信端末6では図7のAに示すDB16が備えられてデータを保持し、メッセージ10の送受信、メッセージ10の削除の制御処理には一例として、図16、図17、図18、図21、図24に示す処理手順が用いられる。
<管理サーバ8のハードウェアおよび機能>
図5は、管理サーバ8のハードウェアおよび機能の一例を示している。
管理サーバ8は、無線基地局4−1、4−2・・・とネットワークを構成するコンピュータシステムである。この管理サーバ8には 図5のAに示すように、プロセッサ34、メモリ36、HDD(Hard Disc Drive )38、無線基地局通信部40が含まれる。
プロセッサ34は、メモリ36に格納されているOSや、直接通信によるメッセージ転送プログラムなどのアプリを実行する。このプロセッサ34の情報処理には、無線基地局が通信障害に陥っているか否かの検出、通信圏14−1、14−2、境界域14−3に在圏する通信端末6の検出、削除メッセージ12の生成などの情報処理が含まれる。
メモリ36には、半導体メモリなどの記録媒体が用いられる。このメモリ36には既述のOS、ファームウェア、アプリなどの各種のプログラムが格納される。このメモリ36にはRAMが含まれる。RAMは情報処理のワークエリアに用いられる。
HDD38はメッセージ10などを記憶するデータ記憶装置の一例である。このHDD38には既述のDB18が構築される。
無線基地局通信部40は無線電話網によりメッセージ10などの送受信を行う通信部の一例である。この無線基地局通信部40では、有線または無線により無線基地局4−1、4−2に接続され、該無線基地局4−1、4−2との無線通信を行う。
管理サーバ8の機能42には図5のBに示すように、通信端末管理機能42−2、メッセージ送信機能42−4および通信端末位置情報管理機能42−6が含まれる。
通信端末管理機能42−2は、無線基地局4−1、4−2の配下にある通信端末6をDB18に登録して管理する。つまり、この管理サーバ8は無線基地局4−1の配下にある通信端末6−1、6−2や、無線基地局4−2の配下にある通信端末6−3、6−4、6−5・・・6−Nを管理するデータベース(DB)18を備える。
メッセージ送信機能42−4は通信端末6たとえば、通信端末6−1から受信したメッセージ10を直接通信により伝播可能な通信端末6たとえば、通信端末6−3に配信する。この場合、メッセージ10の配信先は、通信圏14−1通信圏14−2とが重なる境界域14−3に存在する通信端末6たとえば、通信端末6−2である。
通信端末位置情報管理機能42−6は複数の通信端末6の位置を管理する。斯かる機能42−6により、無線基地局4−1の配下にある通信端末6−1、6−2、6−6、6−7の位置が登録され、その移動位置が管理される。同様に、無線基地局4−2の配下にある通信端末6−2、6−3、6−4、6−5、6−7・・・6−Nの位置が登録され、その移動位置が管理される。
このように、管理サーバ8には既述の機能42が備えられる。この管理サーバ8では通信端末6が圏内であるとき、その位置情報を取得し、その情報を位置情報管理DB18−1(図7のB)に保存する。この位置情報を用いることにより、圏内と圏外の境界つまり、境界域14−3に在圏する通信端末たとえば、通信端末6−2(図3)を選択できる。この場合、圏内の通信端末6−1から圏外の通信端末6−5を宛先として送信されたメッセージ10を受け取れば、このメッセージ10を圏内と圏外の境界域14−3に存在する通信端末6−2に送信する。
管理サーバ8は、メッセージ10の拡散を抑止するため、削除メッセージ12を圏外と圏内に存在する通信端末たとえば、通信端末6−2に送信する。管理サーバ8はDB18(図7のB)を備えてデータを保持し、一例として、図19、図20、図24に示す処理手順により情報処理を実行する。
<メッセージ10のフォーマット>
図6のAは、メッセージ10のフォーマットを示している。メッセージ10にはメッセージID10−1、送信元ID10−2、宛先ID10−3、時刻情報10−4、TTL10−5、データ10−6が含まれる。
メッセージID10−1は、メッセージ10を識別する識別情報である。送信元ID10−2は、メッセージ10の送信源を表す識別情報である。宛先ID10−3は、メッセージ10の宛先を表す識別情報である。時刻情報10−4は、メッセージの送信開始などの時刻を表す情報である。TTL10−5は、既述の経過時間やホップ数(メッセージ転送を行った通信端末間で送受信された回数)を表す情報である。データ10−6は、メッセージ10の本体部分であり、ペイロード部である。つまり、このデータ10−6はたとえば、メール本文であり、宛先に到達させたい情報である。
このようなフォーマットにより、メッセージ10の送信元、宛先、TTLなどの特定が可能であり、このような識別情報により識別されたメッセージ10が送信される。
<削除メッセージ12のフォーマット>
図6のBは、削除メッセージ12のフォーマットを示している。削除メッセージ12にはメッセージID12−1、宛先ID12−2、TTL12−3、データ12−4が含まれる。
削除メッセージ12はメッセージ10が宛先の通信端末6に到達した際に、宛先の通信端末6から発せられる返送メッセージの一例である。メッセージID12−1は削除メッセージ12を特定するための識別情報である。宛先ID12−2は、削除メッセージ12の宛先を表す識別情報である。この宛先ID12−2は、不特定多数の中継端末に削除メッセージ12を伝送する場合、省略してもよい。
TTL12−3は、既述のTTL10−5と同様である。TTLに経過時間やホップ数を用いる場合、削除メッセージ12が対象である。つまり、経過時間は削除メッセージ12を保持する経過時間である。ホップ数は削除メッセージ12の転送を行った通信端末間で送受信された回数である。このTTL12−3が、削除メッセージ12の消去の契機に用いられる。
データ12−4は、メッセージ10の消去を示す情報である。このデータ12−4には、消去すべきメッセージ10を識別するための識別情報および削除すべき指示情報が含まれる。この識別情報には、消去すべき既述のメッセージ10のメッセージID10−1、宛先ID10−3およびTTL10−5が含まれる。斯かる識別情報により、削除メッセージ12を受信した通信端末6がいずれのメッセージ10が削除するかを認識し、認識したメッセージ10を削除することができる。
このデータ12−4を含む削除メッセージ12を受信した通信端末6がメッセージ10を保持していれば、削除メッセージ12の受信を契機に、このメッセージ10の少なくともデータ10−6が消去される。この場合、時刻情報10−4やTTL10−5も消去してもよい。
<到達完了メッセージ13のフォーマット>
図6のCは、到達完了メッセージ13のフォーマットを示している。この到達完了メッセージ13はメッセージ10を伝播する通信端末6から送信される返送メッセージの一例であり、宛先の通信端末6からの削除メッセージ12の受信を契機に送信される(図21)。
この到達完了メッセージ13には削除メッセージ12と同様にメッセージID13−1、宛先ID13−2、TTL13−3、データ13−4が含まれる。メッセージID13−1は到達完了メッセージ13の識別情報である。TTL13−3は、到達完了メッセージ13の消去の契機に用いられる。データ13−4には、いずれのメッセージ10が到達完了に至ったかを表す情報が含まれる。
<通信端末6のDB16および管理サーバ8のDB18>
図7のAは通信端末6のDB16を示している。各通信端末6のDB16には図7のAに示すように、送受信管理DB16−1および削除メッセージ管理DB16−2が含まれる。送受信管理DB16−1にはメッセージID、送信元ID、宛先ID、送信時刻、TTL(Time To Live)およびデータが含まれる。削除メッセージ管理DB16−2にはメッセージID、宛先IDおよびTTLが含まれる。
メッセージIDは、直接通信により送受信されるメッセージの識別情報である。送信元IDは、メッセージの送信元を表す識別情報である。宛先IDは、メッセージの宛先を表す識別情報である。この宛先IDがメッセージ10を到達させる通信端末に付された識別情報である。送信時刻は、メッセージが送信された時刻情報である。TTLは、伝播されるメッセージの経過時間、通信端末間の送受信回数(ポップ数)などの経過情報である。データは、ペイロードである。
削除メッセージ管理DB16−2には送信または転送により保持しているメッセージ10の削除を指示する削除メッセージ12が登録される。この削除メッセージ管理DB16−2にあるメッセージIDおよび宛先IDが削除すべきメッセージを特定するデータである。
図7のBは、管理サーバ8のDB18を示している。管理サーバ8のDB18には位置情報管理DB18−1、メッセージ管理DB18−2、到達完了メッセージ管理DB18−3および削除メッセージ管理DB18−4が含まれる。
位置情報管理DB18−1には通信端末ID、通信端末6の位置情報が含まれる。通信端末IDは、通信端末6の識別情報である。通信端末6の位置情報は、通信端末6の位置を表す情報であり、たとえば、GPS(Global Positioning System )データである。メッセージ管理DB18−2にはメッセージID、送信元ID、宛先IDおよび時刻情報が含まれる。この場合、時刻情報はメッセージを受信した時刻を表している。到達完了メッセージ管理DB18−3にはメッセージID、送信元IDおよび宛先IDが含まれる。削除メッセージ管理DB18−4にはメッセージIDおよび宛先IDが含まれる。メッセージIDはメッセージを識別する識別情報である。宛先IDはそのメッセージの宛先を識別する識別情報であり、たとえば、メールアドレスである。
<送受信管理DB16−1>
図8のAは、通信端末6の送受信管理DB16−1のデータテーブルを示している。このテーブルには既述のメッセージ10に含まれるメッセージID10−1、送信元ID10−2、宛先ID10−3、時刻情報10−4、TTL10−5およびデータ10−6が含まれる。この例では、送信元ID10−2および宛先ID10−3にメールアドレスが用いられている。時刻情報10−4には、メッセージ10の送信日時である年/月/日/時刻が格納されている。TTL10−5にはホップ数が格納されている。データ10−6はメッセージ10の内容情報である。
<削除メッセージ管理DB16−2>
図8のBは削除メッセージ管理DB16−2のデータテーブルを示している。このテーブルには既述の削除メッセージ12に基づき、送受信管理DB16−1から消去されたメッセージ10を表すメッセージID10−1、宛先ID10−3およびTTL10−5が含まれる。
<位置情報管理DB18−1>
図9のAは、管理サーバ8の位置情報管理DB18−1のデータテーブルを示している。このデータテーブルには、通信端末ID18−11、通信端末の位置情報18−12が含まれる。通信端末ID18−11には一例としてメールアドレスが用いられている。通信端末の位置情報18−12には、既述のGPS情報が用いられている。
<メッセージ管理DB18−2>
図9のBは、管理サーバ8のメッセージ管理DB18−2を示している。このテーブルには既述のメッセージ10に含まれるメッセージID10−1、送信元ID10−2、宛先ID10−3および時刻情報10−4が含まれる。
<到達完了メッセージ管理DB18−3>
図10のAは、到達完了メッセージ管理DB18−3のデータテーブルを示している。このデータテーブルには、到達完了に至ったメッセージを特定する識別情報が格納される。つまり、この到達完了メッセージ管理DB18−3には、到達完了メッセージを表す既述のメッセージ10に含まれるメッセージID10−1、送信元ID10−2および宛先ID10−3が格納されている。
<削除メッセージ管理DB18−4>
図10のBは、削除メッセージ管理DB18−4のデータテーブルを示している。このデータテーブルには削除されたメッセージ10を特定する情報が格納される。つまり、この削除メッセージ管理DB18−2には削除されたメッセージ10を表すメッセージID10−1および宛先ID10−3が格納される。
<通信端末6のDB16の変遷>
図11は、通信端末6のDB16の状態1、メッセージ10の受信および状態2を示している。
図11のAは、特定の通信端末6のDB16の状態1を示している。DB16には、送受信管理DB16−1および削除メッセージ管理DB16−2が含まれている。この状態1において、図11のBに示すメッセージ10を受信すれば、DB16は図11のCに示すように、状態2に遷移する。つまり、送受信管理DB16−1に図11のBに示すメッセージ10が加わり、状態2となる。
図12は、通信端末6の削除メッセージ12の受信およびDB16の状態3を示している。図11のCに示す状態2において、図12のAに示す削除メッセージ12を受信すれば、DB16は図12のBに示すように、状態3に遷移する。つまり、削除メッセージ管理DB16−2に図12のBに示す削除メッセージ12が加わり、状態3となる。
そして、削除メッセージ12により特定されるメッセージ10の情報が送受信管理DB16−1から削除される。
<管理サーバ8のDB18の変遷>
図13は、管理サーバ8のDB18の状態1およびメッセージ10の受信を示している。
図13のAは、管理サーバ8のDB18の状態1を示している。DB18には、位置情報管理DB18−1、メッセージ管理DB18−2、到達完了メッセージ管理DB18−3および削除メッセージ管理DB18−4が含まれている。この状態1において、管理サーバ8が図13のBに示すメッセージ10を受信する。
図14は、管理サーバ8のDB18の状態2および削除メッセージ12の受信を示している。
状態1において、図13のBに示すメッセージ10を受信すると、DB18は図14のAに示すように、状態2に遷移する。つまり、メッセージ管理DB18−2には図13のBに示すメッセージ10が加わる。そして、この状態1では、管理サーバ8が図14のBに示す削除メッセージ12を受信し、この削除メッセージ12が削除メッセージ管理DB18−4に格納されている。
図15は、管理サーバ8のDB18の状態3を示している。状態2において、図14のBに示す削除メッセージ12を受信すると、DB18の削除メッセージ管理DB18−4は図15に示すように、状態3に遷移する。つまり、受信した削除メッセージ12に基づき削除されたメッセージ10のメッセージID10−1、宛先ID10−3が削除メッセージ管理DB18−4に格納され、状態3となる。この場合、宛先にメッセージ10が到達した場合には到達完了メッセージ管理DB18−3にメッセージ10のメッセージID10−1、送信元ID10−2および宛先ID10−3が格納される。
<通信端末の処理手順>
図16は、通信端末の処理手順を示している。
この処理手順は、本開示のメッセージ転送方法の一例である。この処理手順では、通信端末6が管理サーバ8よりメッセージ10を受信すると、このメッセージ10を送受信管理DB16−1に登録する(S101)。
通信端末6たとえば、通信端末6が無線基地局4−1の通信圏14−1に移動し、無線基地局4−1の境界域14−3に移動する。この地域に移動したことを契機に、通信端末6が既述の直接通信機能を起動する(S102)。この起動を契機にメッセージ配信機能32−2が活性状態となる。
通信端末6が端末間の直接通信が可能な通信端末6を検出する(S103)。この直接通信により無線通信コネクションを確立し、通信端末6が無線通信コネクションを確立している通信端末6との間でメッセージ10など各種のメッセージ送受信を行う(S104)。
メッセージを受信した通信端末6は、受信メッセージに削除メッセージ12が含まれるかを判定する(S105)。受信したメッセージに削除メッセージ12が含まれていなければ(S105のNO)、受信したメッセージ10を送受信管理DB16−1へ登録し(S106)、この処理を終了する。
受信したメッセージが削除メッセージが含まれていれば(S105のYES)、送受信管理DB16−1にあるメッセージ10からメッセージID10−1と宛先ID10−3を保存し、削除メッセージ12にメッセージID10−1を付与する(S107)。つまり、送受信管理DB16−1から削除したメッセージ10のメッセージID10−1および宛先ID10−3が削除メッセージ管理DB16−2に保存され、削除メッセージ12にはそのメッセージID10−1が付与される。
無線通信コネクションを確立した通信端末6へ削除メッセージ12を送信し(S108)、この処理を終了する。
図17は、メッセージの送信元および中継側の通信端末の処理手順を示している。
この処理手順では、送信元または中継側の通信端末6がメッセージ10を送信する(S201)。送信元または中継側の通信端末6は、削除メッセージ12の受信を監視する(S202)。メッセージ10を受信した場合、削除メッセージ12を受信したかを判定する(S203)。削除メッセージ12を受信するまでS201、S202の処理を継続し、削除メッセージ12を受信すれば(S203のYES)、メッセージ10の送信を停止する(S204)。つまり、削除メッセージ12を受信するまでメッセージ10の送信が継続される。
そして、削除メッセージ12を受信した通信端末6は、該当するメッセージID10−1と宛先ID10−3をメモリ22に残し、他の情報を破棄し(S205)、この処理を終了する。
図18は、宛先である通信端末の処理手順を示している。
メッセージ10の宛先に該当する通信端末6がそのメッセージ10を受信する(S301)。このメッセージ10を送受信管理DB16−1に登録する(S302)。これにより、通信端末6は受信メッセージに付されているメッセージID10−1および宛先ID10−3を用いて削除メッセージ12を生成する(S303)。
通信端末6が直接通信により他の通信端末6を検出したかを判定する(S304)。他の通信端末6を検出するまで、通信端末6の検出を継続する。
他の通信端末6を検出すれば(S304のYES)、通信端末6が他の通信端末6へ削除メッセージ12を送信し(S305)、この処理を終了する。
このような処理手順によれば、メッセージの宛先である通信端末6へメッセージが到達した場合、メッセージを受信した通信端末6はメッセージ10の削除を指示する削除メッセージ12を生成する。その際、削除すべきメッセージを特定するメッセージID10−1を削除メッセージ12に付与する。そして、この削除メッセージ12を他の通信端末6へ送信する。
削除メッセージ12を受信した通信端末6は、送受信管理DB16−1から該当するメッセージID10−1を検索する。該当するメッセージID10−1を検出すると、メッセージID10−1および宛先ID10−3のみを削除メッセージ管理DB16−2に保存し、メッセージ10を送受信管理DB16−1から削除する。同時に、削除メッセージ12が圏外の地域へ伝播されていくことになる。
これにより、送信元または中継側の通信端末6にあるメッセージ10が削除され、メッセージの不要な伝播が防止される。
<管理サーバ8の処理手順>
図19は、管理サーバ8の処理手順を示している。
管理サーバ8は通信端末6が圏内に在圏するとき、位置情報を取得し、その情報を位置情報管理DB18−1へ保存する。この位置情報を用いれば、無線基地局4の圏内の地域でありながら、無線基地局4−1および無線基地局4−1の圏内外の境界域14−3に在圏する通信端末6を選択することができる。
この処理手順は、本開示のメッセージ転送方法の一例である。この処理手順では、管理サーバ8が、通信端末6の位置情報を取得し、位置情報管理DB18−1に登録する(S401)。
管理サーバ8は、既述の位置情報から無線基地局4−1、4−2の圏内外の境界域14−3に在圏する通信端末6を特定する(S402)。
そして、管理サーバ8は、圏内と圏外の境界域14−3(図3)に存在する通信端末6に対し、メッセージ10を送信する(S403)。
<管理サーバ8の処理手順>
図20は、管理サーバ8の処理手順を示している。この処理手順は一例として、メッセージ10の宛先の通信端末6が圏外から圏内に移動した場合の処理を含んでいる。この処理手順では、管理サーバ8が削除メッセージ12に削除すべきメッセージ10のメッセージID10−1を付す情報処理が含まれる。
この処理手順では、無線基地局4の圏外から圏内に通信端末6が移動したことを検出する(S501)。この通信端末6に対し、メッセージ管理DB18−2(図9のB)に登録されているメッセージ10を送信する(S502)。
送信したメッセージ10を特定するメッセージID10−1を削除メッセージ12に付与し、この削除メッセージ12を無線基地局4−1、4−2の圏内外の境界域14−3に在圏する通信端末6に送信する(S503)。この実施の形態では、通信端末6−2、6−7が境界域14−3に存在している。したがって、通信端末6−2に削除メッセージ12が配信されている。
このように、メッセージ10の削除を指示する削除メッセージ12を無線基地局4−1、4−2の圏内外の境界域14−3に在圏する通信端末6に送信すれば、削除メッセージ12によりメッセージ10の情報削除が可能となり、メッセージ拡散を抑止できる。
<通信端末間のメッセージの送受信>
図21は、通信端末間のメッセージの送受信の処理シーケンスを示している。
この処理シーケンスには、圏外に存在する通信端末間で、メッセージ10の送受信を行い、宛先の通信端末6−5への到達を契機に、削除メッセージ12が送信されるまでの処理を示している。つまり、この処理シーケンスは、メッセージ発信側の通信端末6−2、メッセージ中継側の通信端末6−3、6−4、メッセージ宛先の通信端末6−5におけるメッセージ10の伝播を示している。この場合、通信端末6−2は、境界域14−3に在圏し、通信端末6−2は通信端末6−3、6−4と直接通信が可能であり、通信端末6−3、6−4は通信端末6−5と直接通信が可能である。中継側の通信端末6は、単一でもよいし、複数であってもよい。
圏内に在圏する通信端末6から圏外の通信端末6へメッセージ10を送信すると、管理サーバ8は、そのメッセージ10を取得し、圏内と圏外の境界域14−3に在圏する通信端末6−2にメッセージを送信する。通信端末6−2がメッセージ10を受信し(S601)、このメッセージ10を送受信管理DB16−1へ登録する。
通信端末6−2が圏内から圏外との境界域14−3の地域に移動する(S602)。この時点で通信端末6−2は境界域14−3に在圏することとなる。
通信端末6−2は、通信端末間の直接通信を開始する。他の通信端末6−3、6−4を検出すると、通信端末間の直接通信を用いて無線通信コネクションを確立し、通信端末6の送受信管理DB16−1に登録されているメッセージ10を通信端末6−3、6−4に送信する(S603)。
通信端末6−3、6−4は同様の通信端末間の直接通信を用いてメッセージ10を通信端末6−2に送信する(S604)。中継側にある通信端末6−3、6−4は他の通信端末と同様に直接通信を用いてメッセージ10の送受信を繰り返す。これにより、圏外の地域にメッセージ10が伝播される。各通信端末6は、受信したメッセージ10をそれぞれの送受信管理DB16−1に登録する。
中継側の通信端末6−3、6−4からメッセージ10の宛先である通信端末6−5にメッセージ10が送信される(S605)。通信端末6−5は、受信したメッセージ10を送受信管理DB16−1へ登録する。
そして、通信端末6−5は、メッセージ10の削除を指示する削除メッセージ12を通信端末6−3、6−4に送信する(S606)。削除メッセージ12には到達したメッセージ10のメッセージID10−1が付与される。
この削除メッセージ12を受信した中継側の通信端末6−3、6−4は、削除メッセージ12に付されているメッセージID10−1を用いて送受信管理DB16−1を検索し、該当するメッセージ10から情報を削除する(S607)。この場合、送受信管理DB16−1から該当するメッセージ10のうちたとえば、メッセージID10−1および宛先ID10−3を削除メッセージ管理DB16−2に保存して残し、他の情報を削除する。
中継側の通信端末6−3、6−4は、メッセージ10の情報削除の後、メッセージID10−1が付与された到達完了メッセージ13を送信する(S608)。この到達完了メッセージ13は削除メッセージ12と同様に返送メッセージの一例である。この到達完了メッセージ13は、宛先の通信端末6−5から削除メッセージ12を受信した中継側の通信端末6−3、6−4から生成され、他の通信端末6に送信される。この場合、到達完了メッセージ13の宛先IDはたとえば、メッセージ10が到達した通信端末6のメールアドレスである。
この到達完了メッセージ13を受信した通信端末6は、該当するメッセージ10を削除し(S609)、この処理を終了する。
このような処理シーケンスによれば、メッセージ10を通信端末間の直接通信を用いてメッセージ10の宛先の通信端末6に到達させることができる。同時に、宛先の通信端末6から発せられる削除メッセージ12により、中継側の通信端末6の送受信管理DB16−1からメッセージ10を削除できる。これにより、メッセージ10の拡散を防止できる。また、メッセージ10の削除では、メッセージID10−1および宛先ID10−3のみを削除メッセージ管理DB16−2に保存するので、削除されたメッセージ10を特定でき、再度メッセージ10を受信する場合であっても、そのメッセージ10を迅速に削除または受信を拒否することができる。
また、通信端末6では、到達完了メッセージ13を受信することにより、メッセージ10の宛先である通信端末6に到達したことを認識できる。また、この到達完了メッセージ13の受信を契機に該当するメッセージ10を送受信管理DB16−1から削除することができる。これにより、メッセージ10の拡散を抑止できる。
この処理シーケンスの実行により、境界に存在する通信端末6(たとえば、通信端末6−2)のDB16および宛先に係る通信端末6(たとえば、通信端末6−5)の各送受信管理データベース16−1のデータテーブルが遷移する。
図22のA、BおよびCは、境界域14−3に存在する通信端末6−2の送受信管理DB16−1のデータテーブルの変遷を示している。
圏内と圏外の境界域14−3に在圏する通信端末6の送受信管理DB16−1は図22のAの状態から、メッセージID10−1=bbbの新たなメッセージ10を受信し、図22のBに示す状態に遷移する。この状態から削除メッセージ12を受信し、メッセージID10−1=abcのメッセージ10からメッセージID10−1=abcおよび宛先ID10−3を残し、その他の情報が削除されている。この状態からメッセージIDおよび宛先ID10−3が削除メッセージ管理DB16−2に移行し、送受信管理DB16−1から削除される。
図23のAおよびBは、宛先の通信端末6の送受信管理DB16−1のデータテーブルの変遷を示している。
メッセージ10の到達前、図23のAに示すように、メッセージ10の宛先である通信端末6の送受信管理DB16−1は空である。これに対し、メッセージ10が到達すると、図23のBに示すように、送受信管理DB16−1にはメッセージ10が格納される。
このように、圏内に存在する通信端末6が、圏外の通信端末6へメッセージを送信すると、管理サーバ8が圏内と圏外の境界域14−3に存在する通信端末6にメッセージ10を送信する。このメッセージ10を通信端末6が受信すれば、そのメッセージ10を送受信管理DB16−1に登録する。
この通信端末6が圏外の地域へ移動すると、通信端末間の直接通信を開始し、他の通信端末を検出すれば、通信端末6間の直接通信により、無線コネクションを確立し、送受信管理DB16−1に登録されているメッセージ10の送信、また他の通信端末から同様のメッセージ10を受信する。この送受信が繰り返されることにより、圏外地域にメッセージ10が伝播される。宛先のたとえば、通信端末6−5にメッセージ10が到達すれば、通信端末6−5は、受信したメッセージ10を送受信管理DB16−1に登録する。
メッセージ10の拡散を抑止するため、到達したメッセージ10のメッセージID10−1が付与された削除メッセージ12を他の通信端末6へ送信する。この削除メッセージ12を受信した通信端末6は、送受信管理DB16−1から該当するメッセージID10−1と宛先ID10−3のみを残し、他の情報を送受信管理DB16−1から削除する。これにより、メッセージ10の拡散が抑止される。
<メッセージの送受信>
図24は、メッセージ10などの送受信の処理シーケンスを示している。
この処理シーケンスでは、メッセージ10の宛先の通信端末6が圏外から圏内へ移動し、送信元の通信端末6−1とメッセージ10の送受信が完了し、管理サーバ8が、圏内と圏外の通信端末へ削除メッセージを送信する処理が含まれている。
メッセージ10の宛先である通信端末6−5は、圏外から圏内へ移動し、無線基地局4−1を介してメッセージ10を送信する(S701)。無線基地局4−1はこのメッセージ10を中継し、管理サーバ8に送信する(S702)。管理サーバ8は送信元の通信端末6−1へメッセージ10を送信し(S703)、このメッセージ10が無線基地局4−1で中継される。無線基地局4−1は送信元の通信端末6−1へメッセージ10を送信する(S704)。
また、管理サーバ8は、圏外から圏内に移動した通信端末6宛てのメッセージ10を削除するための削除メッセージ12を送信する。この削除メッセージ12は圏外と圏内の境界域14−3に在圏する通信端末6−1へ送信する(S705)。この場合、管理サーバ8は、削除メッセージ12にメッセージID10−1および宛先ID10−3を付与する。
削除メッセージ12を受信した通信端末6−2は、圏外に移動した際に削除メッセージ12を送信する(S706)。
斯かる処理シーケンスによれば、削除メッセージ12を圏外の地域へ伝播することができ、この削除メッセージ12によりメッセージ10を削除できるので、メッセージの拡散を抑止することができる。
図25は、圏内と圏外の境界域14−3に在圏する通信端末6の送受信管理DB16−1のデータテーブルの変遷を示している。
削除メッセージ12の受信前、図25のAに示すように、圏内と圏外の境界域14−3に在圏する通信端末6の送受信管理DB16−1は空である。これに対し、削除メッセージ12を受信すると、図25のBに示すように、送受信管理DB16−1には削除メッセージ12の宛先IDが格納されている。
このように、メッセージ10の宛先に係る通信端末6が圏外から圏内へ移動し、通信障害のない無線基地局4−1を介してメッセージ10が送信されると、管理サーバ8は、メッセージID10−1および宛先ID10−3を削除メッセージ12へ付与する。この削除メッセージ12を圏外と圏内の境界に存在する通信端末6へ送信する。この削除メッセージ12を圏外の地域へ伝播することにより、メッセージ10の拡散を抑止する。
<第2の実施の形態の効果>
(1) メッセージ10の宛先である通信端末6にメッセージ10が到達したことを契機に削除メッセージ12を返送することにより、メッセージ10の配信連鎖を抑制することができる。
(2) メッセージ10の宛先である通信端末6が圏外から圏内に移動し、送信元の通信端末からメッセージ10を受信すれば、管理サーバ8が、削除メッセージ12を圏内と圏外の境界域14−3に在圏する通信端末6へ送信する。そして、圏内と圏外の境界域14−3に在圏した通信端末6が圏外へ移動したことを契機に削除メッセージ12を他の通信端末へ送信する。これにより、メッセージ10の拡散を抑止することができる。
(3) 削除メッセージ12は経過時間とホップ数といったTTLを用いることにより、削除メッセージ12を保持している通信端末6から削除することができる。
(4) メッセージ10や削除メッセージ12の拡散を抑止できるので、通信帯域の節約や削減および通信端末6のメモリ使用量を削減できる。
(5) メッセージ10を削除メッセージ12の到達により強制的に消去するので、従前のタイマやホップ数で送信メッセ―ジを消去することに比較し、リソースにおけるメッセージ10の保持時間を短縮できる。メッセージ10の保持が長時間化することの不都合を回避できる。
(6) このメッセージ配信システム2によれば、災害による通信障害時に、通信端末への安否確認などに利用でき、効率的なメッセージ10の送受信を行うことができる。
(7) メッセージ10の宛先である通信端末6が圏内に移動し、または通信障害に陥っていた無線基地局たとえば、無線基地局4−2の復旧を契機に通信端末6へメッセージ10の削除を依頼する削除メッセージ12や到達完了メッセージ13の送付を行うことができる。これにより、メッセージ10の拡散抑止を迅速に行うことができる。これによっても通信帯域の節約および通信端末6のメモリ使用量を削減できる。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、通信端末6について、携帯電話端末を例示しているが、スマートフォンなど、通信機能を備えた情報端末などであってもよい。
(2) 到達完了メッセージ13は、データ量が少なく、残存させてもよいが、その消去の契機は削除メッセージ12と同様にTTLなどによる自動消去を利用すればよい。
(3) 上記実施の形態では、直接通信により到達させるメッセージからメッセージID10−1および宛先ID10−3を削除メッセージ管理DB16−2に保存しているが、メッセージID10−1のみ保存し、他の情報を削除してもよい。
(4) 上記実施の形態では、直接通信によりメッセージ10を受信した後、削除メッセージ12を受信する場合について説明しているが、これに限定されない。本開示の技術には、削除メッセージ12を先行受信した通信端末6が後にメッセージ10を受信し、このメッセージ10から先行受信した削除メッセージ12に基づき、メッセージ内容を削除する場合も含まれる。
以上説明したように、本開示の技術の最も好ましい実施の形態等について説明した。本開示の技術は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または本開示の技術を実施するための形態に開示された要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が本開示の技術の範囲に含まれることは言うまでもない。