JP2014238175A - エンジンの廃熱利用装置 - Google Patents

エンジンの廃熱利用装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014238175A
JP2014238175A JP2011216779A JP2011216779A JP2014238175A JP 2014238175 A JP2014238175 A JP 2014238175A JP 2011216779 A JP2011216779 A JP 2011216779A JP 2011216779 A JP2011216779 A JP 2011216779A JP 2014238175 A JP2014238175 A JP 2014238175A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refrigerant
expander
engine
ejector
rankine cycle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011216779A
Other languages
English (en)
Inventor
永井 宏幸
Hiroyuki Nagai
宏幸 永井
智 荻原
Satoshi Ogiwara
智 荻原
貴幸 石川
Takayuki Ishikawa
貴幸 石川
真一朗 溝口
Shinichiro Mizoguchi
真一朗 溝口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2011216779A priority Critical patent/JP2014238175A/ja
Priority to PCT/JP2012/069888 priority patent/WO2013046925A1/ja
Publication of JP2014238175A publication Critical patent/JP2014238175A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B27/00Machines, plants or systems, using particular sources of energy
    • F25B27/02Machines, plants or systems, using particular sources of energy using waste heat, e.g. from internal-combustion engines
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/02Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices the heat being derived from the propulsion plant
    • B60H1/025Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices the heat being derived from the propulsion plant from both the cooling liquid and the exhaust gases of the propulsion plant
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01KSTEAM ENGINE PLANTS; STEAM ACCUMULATORS; ENGINE PLANTS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; ENGINES USING SPECIAL WORKING FLUIDS OR CYCLES
    • F01K5/00Plants characterised by use of means for storing steam in an alkali to increase steam pressure, e.g. of Honigmann or Koenemann type
    • F01K5/02Plants characterised by use of means for storing steam in an alkali to increase steam pressure, e.g. of Honigmann or Koenemann type used in regenerative installation
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A30/00Adapting or protecting infrastructure or their operation
    • Y02A30/27Relating to heating, ventilation or air conditioning [HVAC] technologies
    • Y02A30/274Relating to heating, ventilation or air conditioning [HVAC] technologies using waste energy, e.g. from internal combustion engine

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Engine Equipment That Uses Special Cycles (AREA)

Abstract

【課題】エンジンの廃熱のみでエジェクタを駆動し得る廃熱利用装置を提供する。
【解決手段】エンジン(2)の廃熱を冷媒に回収する熱交換器(36)、この熱交換器出口の冷媒を用いて動力を発生させる膨張機(37)、この膨張機(37)を出た冷媒を凝縮させる凝縮器(38)、膨張機(37)により回生された動力によって駆動されると共に、この凝縮器(38)からの冷媒を熱交換器(36)に供給する冷媒ポンプ(32)を含むランキンサイクル(31)を備えるエンジン(2)の廃熱利用装置において、凝縮器(38)を共有し、この凝縮器(38)からの冷媒を導いて蒸発させるエバポレータ(55)を含む冷凍サイクル(51)と、熱交換器(36)出口の冷媒を駆動ガスとして用い、このエバポレータ(55)出口の冷媒を引き込んで凝縮器(38)に戻すエジェクタ(92)とを設けた。
【選択図】図10

Description

この発明はエンジンの廃熱利用装置、特にランキンサイクルと冷凍サイクルを統合したものに関する。
冷却水と冷媒との熱交換器に蓄熱材と、凝縮器出口の液冷媒をこの熱交換器に供給するためのポンプとを備え、蓄熱材の蓄熱が十分であるときにはポンプを駆動して冷媒を熱交換器に供給し蓄熱材による過熱でエジェクタを駆動して冷凍サイクルを運転する。一方、蓄熱材の蓄熱が不十分であるときにはポンプを停止しコンプレッサをエンジンで駆動して冷凍サイクルを運転するものがある(特許文献1参照)。
特開2004−322933号公報
ところで、上記特許文献1の技術では、エジェクタ駆動用の高圧冷媒を得るためポンプを駆動する必要があり、ポンプの駆動が燃費を悪化させる。
そこで本発明は、エンジンの廃熱のみでエジェクタを駆動し得る廃熱利用装置を提供することを目的とする。
本発明は、エンジンの廃熱を冷媒に回収する熱交換器、この熱交換器出口の冷媒を用いて動力を発生させる膨張機、この膨張機を出た冷媒を凝縮させる凝縮器、前記膨張機により回生された動力によって駆動されると共に、この凝縮器からの冷媒を前記熱交換器に供給する冷媒ポンプを含むランキンサイクルを備えるエンジンの廃熱利用装置を対象としている。そして、本発明のエンジンの廃熱利用装置では、前記凝縮器を共有し、この凝縮器からの冷媒を導いて蒸発させるエバポレータを含む冷凍サイクルと、前記熱交換器出口の冷媒を駆動ガスとして用い、このエバポレータ出口の冷媒を引き込んで前記凝縮器に戻すエジェクタとを設けている。
本発明によれば、膨張機により回生された動力を使って冷媒ポンプを回すことでランキンサイクルを運転し、このランキンサイクルの冷媒通路を循環する冷媒の一部でエジェクタを駆動して冷凍サイクルを運転するので、エンジンの廃熱の熱エネルギのみで冷凍サイクルを運転することができる。これによって、従来技術のようにエジェクタ駆動用の高圧冷媒を得るため外部からエネルギを与えてポンプを駆動する必要はなく、ポンプ駆動に伴う燃費悪化を回避できる。
本発明の前提となるランキンサイクルのシステム全体を表した概略構成図である。 ポンプ及び膨張機を一体化した膨張機ポンプの概略断面図である。 冷媒ポンプの概略断面図である。 膨張機の概略断面図である。 冷媒系バルブの機能を示す概略図である。 ハイブリッド車両の概略構成図である。 エンジンの概略斜視図である。 排気管の配置を車両の下方から見た概略図である。 ランキンサイクル運転域の特性図である。 ランキンサイクル運転域の特性図である。 膨張機トルクによりエンジン出力軸の回転をアシストしている途中でハイブリッド車両1の加速が行われたときの様子を示したタイミングチャートである。 ランキンサイクルの運転停止からの再起動の様子を示したタイミングチャートである。 エジェクタを追加した本発明の第1実施形態の統合サイクルの概略構成図である。 エジェクタの概略断面図である。 ランキンサイクル単独運転を示す概略図である。 トルクアシスト付きエジェクタエアコンの運転を示す概略図である。 トルクアシストなしエジェクタエアコンの運転を示す概略図である。 コンプレッサエアコンの運転を示す概略図である。 第1実施形態の統合サイクルの制御を説明するためのフローチャートである。 第1実施形態の統合サイクルの制御を説明するためのフローチャートである。 ラジエータファン目標回転速度の特性図である。 目標エジェクタ供給流量の特性図である。 目標エジェクタ側開度の特性図である。 目標ポンプ回転速度の特性図である。 目標コンプレッサ駆動量の特性図である。 第2実施形態の統合サイクルの制御を説明するためのフローチャートである。 第2実施形態の統合サイクルの制御を説明するためのフローチャートである。 第2実施形態の基本膨張機側開度の特性図である。 ハイブリッド車両の概略構成図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の前提となるランキンサイクルのシステム全体を表した概略構成図を示している。図1のランキンサイクル31は、冷凍サイクル51と冷媒および凝縮器38を共有する構成になっており、ランキンサイクル31と冷凍サイクル51を統合したサイクルのことを、これ以降統合サイクル30と表現する。図4は統合サイクル30が搭載されるハイブリッド車両1の概略構成図である。尚、統合サイクル30は、ランキンサイクル31と冷凍サイクル51の冷媒が循環する回路(通路)及びその途中に設けられたポンプ、膨張機、凝縮器等の構成要素に加え、冷却水や排気の回路(通路)等を含めたシステム全体を指すものとする。
ハイブリッド車両1では、エンジン2、モータジェネレータ81、自動変速機82が直列に連結され、自動変速機82の出力はプロペラシャフト83、ディファレンシャルギヤ84を介して駆動輪85に伝達される。エンジン2とモータジェネレータ81の間には第1駆動軸クラッチ86を設けている。また、自動変速機82の摩擦締結要素の一つが第2駆動軸クラッチ87として構成されている。第1駆動軸クラッチ86と第2駆動軸クラッチ87は、エンジンコントローラ71に接続されており、ハイブリッド車両の運転条件に応じてその断接(接続状態)が制御される。ハイブリッド車両1では、図7Bに示すように、車速がエンジン2の効率が悪いEV走行領域にあるときには、エンジン2を停止し第1駆動軸クラッチ86を遮断し第2駆動軸クラッチ87を接続してモータジェネレータ81による駆動力のみでハイブリッド車両1の走行を行わせる。一方、車速がEV走行領域を外れてランキンサイクル運転域に移行したときには、エンジン2を運転してランキンサイクル31(後述する)を運転する。エンジン2は排気通路3を備え、排気通路3は、排気マニホールド4と、排気マニホールド4の集合部に接続される排気管5とから構成される。排気管5は途中でバイパス排気管6と分岐しており、バイパス排気管6にバイパスされる区間の排気管5には、排気と冷却水との間で熱交換を行なうための廃熱回収器22を備える。廃熱回収器22とバイパス排気管6は、図6に示すように、これらを一体化した廃熱回収ユニット23として、床下触媒88とその下流のサブマフラー89との間に配置される。
図1に基づき、まず、エンジン冷却水回路について説明する。エンジン2を出た80〜90℃程度の冷却水は、ラジエータ11を通る冷却水通路13と、ラジエータ11をバイパスするバイパス冷却水通路14とに別れて流れる。その後、2つの流れは、両通路13、14を流れる冷却水流量の配分を決めるサーモスタットバルブ15で再び合流し、さらに冷却水ポンプ16を経てエンジン2に戻る。冷却水ポンプ16はエンジン2によって駆動され、その回転速度はエンジン回転速度と同調している。サーモスタットバルブ15は、冷却水温度が高い場合に冷却水通路13側のバルブ開度を大きくしてラジエータ11を通過する冷却水量を相対的に増やし、冷却水温度が低い場合に冷却水通路13側のバルブ開度を小さくしてラジエータ11を通過する冷却水量を相対的に減らす。エンジン2の暖機前など特に冷却水温度が低い場合には、完全にラジエータ11をバイパスさせて冷却水の全量がバイパス冷却水通路14側を流れる。一方、バイパス冷却水通路14側のバルブ開度は全閉になることはなく、ラジエータ11を流れる冷却水流量が多くなったときに、バイパス冷却水通路14を流れる冷却水の流量は、冷却水の全量がバイパス冷却水通路14側を流れる場合と比べて低下するが、流れが完全に停止することがないようにサーモスタットバルブ15が構成されている。ラジエータ11をバイパスするバイパス冷却水通路14は、冷却水通路13から分岐して後述の熱交換器36に直接接続する第1バイパス冷却水通路24と、冷却水通路13から分岐して廃熱回収器22を経た後に熱交換器36に接続する第2バイパス冷却水通路25とからなる。
バイパス冷却水通路14には、ランキンサイクル31の冷媒と熱交換を行なう熱交換器36を備える。この熱交換器36は加熱器と過熱器とを統合したものである。すなわち、熱交換器36には2つの冷却水通路36a、36bがほぼ一列に、また、冷媒と冷却水が熱交換可能なようにランキンサイクル31の冷媒が流れる冷媒通路36cは冷却水通路36a、36bと隣接して設けられている。さらに熱交換器36の全体を俯瞰して見たときにランキンサイクル31の冷媒と冷却水が互いに流れ方向が逆向きとなるように各通路36a、36b、36cが構成されている。
詳細には、ランキンサイクル31の冷媒にとって上流(図1の左)側に位置する一方の冷却水通路36aは、第1バイパス冷却水通路24に介装されている。この冷却水通路36a及びこの冷却水通路36aに隣接する冷媒通路部分からなる熱交換器左側部分は、エンジン2から出た冷却水を冷却水通路36aに直接導入することで、冷媒通路36cを流れるランキンサイクル31の冷媒を加熱するための加熱器である。
ランキンサイクル31の冷媒にとって下流(図1の右)側に位置する他方の冷却水通路36bには、第2バイパス冷却水通路25を介して廃熱回収器22を経た冷却水が導入される。冷却水通路36b及びこの冷却水通路36bに隣接する冷媒通路部分からなる熱交換器右側部分(ランキンサイクル31の冷媒にとって下流側)は、エンジン2の出口の冷却水を排気によってさらに加熱した冷却水を冷却水通路36bに導入することで、冷媒通路36cを流れる冷媒を過熱する過熱器である。
廃熱回収器22の冷却水通路22aは排気管5に隣接して設けている。廃熱回収器22の冷却水通路22aにエンジン2の出口の冷却水を導入することで、冷却水を高温の排気によって例えば110〜115℃程度まで加熱することができる。廃熱回収器22の全体を俯瞰して見たときに、排気と冷却水とが互いに流れる向きが逆向きとなるように冷却水通路22aが構成されている。
廃熱回収器22を設けた第2バイパス冷却水通路25には制御弁26が介装されている。エンジン2の内部にある冷却水の温度を指すエンジン水温が、例えばエンジンの効率悪化やノックを発生させないための許容温度(例えば100℃)を超えないように、エンジン2の出口の冷却水温度センサ74の検出温度が所定値以上になると、この制御弁26の開度を減少させるようにしている。エンジン水温が許容温度に近づくと、廃熱回収器22を通過する冷却水量を減少させるので、エンジン水温が許容温度を超えてしまうことを確実に防ぐことができる。
一方、第2バイパス冷却水通路25の流量が減少したことによって、廃熱回収器22により上昇する冷却水温度が上がりすぎて冷却水が蒸発(沸騰)してしまったのでは、熱交換器36での効率が落ちるだけでなく、冷却水通路内の冷却水の流れが悪くなって温度が過剰に上昇してしまう恐れがある。これを避けるため、廃熱回収器22をバイパスするバイパス排気管6と、排気回収器22の排気通過量とバイパス排気管6の排気通過量とをコントロールするサーモスタットバルブ7をバイパス排気管6の分岐部に設けている。すなわち、サーモスタットバルブ7は、そのバルブ開度が廃熱回収器22を出た冷却水温度が所定の温度(例えば沸騰温度120℃)を超えないように、廃熱回収器22を出た冷却水温度に基づいて調節される。
熱交換器36とサーモスタットバルブ7と廃熱回収器22とは、廃熱回収ユニット23として一体化されていて、車幅方向略中央の床下において排気管途中に配設されている。サーモスタットバルブ7は、バイメタル等を用いた比較的簡易な感温弁でも良いし、温度センサ出力が入力されるコントローラによって制御される制御弁であっても良い。サーモスタットバルブ7による排気から冷却水への熱交換量の調節は比較的大きな遅れを伴うため、サーモスタットバルブ7を単独で調節したのではエンジン水温が許容温度を超えないようにするのが難しい。しかしながら、第2バイパス冷却水通路25の制御弁26をエンジン水温(出口温度)に基づき制御するようにしてあるので、熱回収量を速やかに低減し、エンジン水温が許容温度を超えるのを確実に防ぐことができる。また、エンジン水温が許容温度までに余裕がある状態であれば、廃熱回収器22を出る冷却水温度がエンジン水温の許容温度を越えるほどの高温(例えば110〜115℃)になるまで熱交換を行って、廃熱回収量を増加させることができる。冷却水通路36bを出た冷却水は、第2バイパス冷却水通路25を介して第1バイパス冷却水通路24に合流されている。
バイパス冷却水通路14からサーモスタットバルブ15に向かう冷却水の温度が、例えば熱交換器36でランキンサイクル31の冷媒と熱交換することによって十分低下していれば、サーモスタットバルブ15の冷却水通路13側のバルブ開度が小さくされて、ラジエータ11を通過する冷却水量は相対的に減らされる。逆にバイパス冷却水通路14からサーモスタットバルブ15に向かう冷却水の温度が、ランキンサイクル31が運転されていないことなどによって高くなると、サーモスタットバルブ15の冷却水通路13側のバルブ開度が大きくされて、ラジエータ11を通過する冷却水量は相対的に増やされる。このようなサーモスタットバルブ15の動作に基づいて、エンジン2の冷却水温度が適当に保たれ、熱がランキンサイクル31へ適当に供給(回収)されるように構成されている。
次に、ランキンサイクル31について述べる。ここでは、ランキンサイクル31は、単純なランキンサイクルでなく、冷凍サイクル51と統合した統合サイクル30の一部として構成されている。以下では、基本となるランキンサイクル31を先に説明し、その後に冷凍サイクル51に言及する。
ランキンサイクル31は、エンジン2の冷却水を介してエンジン2の廃熱を冷媒に回収し、回収した廃熱を動力として回生するシステムである。ランキンサイクル31は、冷媒ポンプ32、過熱器としての熱交換器36、膨張機37及び凝縮器(コンデンサ)38を備え、各構成要素は冷媒(R134a等)が循環する冷媒通路41〜44により接続されている。
冷媒ポンプ32の軸は同一の軸上で膨張機37の出力軸と連結配置され、膨張機37の発生する出力(動力)によって冷媒ポンプ32を駆動すると共に、発生動力をエンジン2の出力軸(クランク軸)に供給する構成である(図2A参照)。すなわち、冷媒ポンプ32軸及び膨張機37の出力軸は、エンジン2の出力軸と平行に配置され、冷媒ポンプ32軸の先端に設けたポンププーリ33と、クランクプーリ2aとの間にベルト34を掛け回している(図1参照)。なお、本実施形態の冷媒ポンプ32としてはギヤ式のポンプを、膨張機37としてはスクロール式の膨張機を採用している(図2B、図2C参照)。
また、ポンププーリ33と冷媒ポンプ32との間に電磁式のクラッチ(このクラッチを以下「膨張機クラッチ」という。)35を設けて、冷媒ポンプ32及び膨張機37とを、エンジン2と断接可能にしている(図2A参照)。このため、膨張機37の発生する出力が冷媒ポンプ32の駆動力及び回転体が有するフリクションを上回る場合(予測膨張機トルクが正の場合)に膨張機クラッチ35を接続することで、膨張機37の発生する出力によってエンジン出力軸の回転をアシスト(補助)することができる。このように廃熱回収によって得たエネルギを用いてエンジン出力軸の回転をアシストすることで、燃費を向上できる。また、冷媒を循環させる冷媒ポンプ32を駆動するためのエネルギも、回収した廃熱で賄うことができる。
冷媒ポンプ32からの冷媒は冷媒通路41を介して熱交換器36に供給される。熱交換器36は、エンジン2の冷却水と冷媒との間で熱交換を行わせ、冷媒を気化し過熱する熱交換器である。
熱交換器36からの冷媒は冷媒通路42を介して膨張機37に供給される。膨張機37は、気化し過熱された冷媒を膨張させることにより熱を回転エネルギに変換する蒸気タービンである。膨張機37で回収された動力は冷媒ポンプ32を駆動し、ベルト伝動機構を介してエンジン2に伝達され、エンジン2の回転をアシストする。
膨張機37からの冷媒は冷媒通路43を介して凝縮器38に供給される。凝縮器38は、外気と冷媒との間で熱交換を行わせ、冷媒を冷却し液化する熱交換器である。このため、凝縮器38をラジエータ11と並列に配置し、ラジエータファン12によって冷却するようにしている。
凝縮器38により液化された冷媒は、冷媒通路44を介して冷媒ポンプ32に戻される。冷媒ポンプ32に戻された冷媒は、冷媒ポンプ32により再び熱交換器36に送られ、ランキンサイクル31の各構成要素を循環する。
次に、冷凍サイクル51について述べる。冷凍サイクル51は、ランキンサイクル31を循環する冷媒を共用するため、ランキンサイクル31と統合され、冷凍サイクル51の構成そのものは簡素になっている。すなわち、冷凍サイクル51は、コンプレッサ(圧縮機)52、凝縮器38、エバポレータ(蒸発器)55を備える。
コンプレッサ52は冷凍サイクル51の冷媒を高温高圧に圧縮する流体機械で、エンジン2によって駆動される。すなわち、図4にも示したようにコンプレッサ52の駆動軸にはコンプレッサプーリ53が固定され、このコンプレッサプーリ53とクランクプーリ2aとにベルト34を掛け回している。エンジン2の駆動力がこのベルト34を介してコンプレッサプーリ53に伝達され、コンプレッサ52が駆動される。また、コンプレッサプーリ53とコンプレッサ52との間に電磁式のクラッチ(このクラッチを以下「コンプレッサクラッチ」という。)54を設けて、コンプレッサ52とコンプレッサプーリ53とを断接可能にしている。
図1に戻り、コンプレッサ52からの冷媒は冷媒通路56を介して冷媒通路43に合流した後、凝縮器38に供給される。凝縮器38は外気との熱交換によって冷媒を凝縮し液化する熱交換器である。凝縮器38からの液状の冷媒は、冷媒通路44から分岐する冷媒通路57を介してエバポレータ(蒸発器)55に供給される。エバポレータ55は、図示しないヒータコアと同様にエアコンユニットのケース内に配設されている。エバポレータ55は、凝縮器38からの液状冷媒を蒸発させ、そのときの蒸発潜熱によってブロアファンからの空調空気を冷却する熱交換器である。
エバポレータ55によって蒸発した冷媒は冷媒通路58を介してコンプレッサ52に戻される。なお、エバポレータ55によって冷却された空調空気とヒータコアによって加熱された空調空気は、エアミックスドアの開度に応じて混合比率が変更され、乗員の設定する温度に調節される。
ランキンサイクル31と冷凍サイクル51とからなる統合サイクル30には、サイクル内を流れる冷媒を制御するため、回路途中に各種の弁が適宜設けられている。例えば、ランキンサイクル31を循環する冷媒を制御するため、冷凍サイクル分岐点45と冷媒ポンプ32とを連絡する冷媒通路44にポンプ上流弁61、熱交換器36と膨張機37とを連絡する冷媒通路42に膨張機上流弁62を備える。また、冷媒ポンプ32と熱交換器36とを連絡する冷媒通路41には、熱交換器36から冷媒ポンプ32への冷媒の逆流を防止するため逆止弁63を備えている。膨張機37と冷凍サイクル合流点46とを連絡する冷媒通路43にも、冷凍サイクル合流点46から膨張機37への冷媒の逆流を防止するため逆止弁64を備えている。また、膨張機上流弁62上流から膨張機37をバイパスして逆止弁64上流に合流する膨張機バイパス通路65を設け、この膨張機バイパス通路65にバイパス弁66を設けている。さらに、バイパス弁66をバイパスする通路67に圧力調整弁68を設けている。冷凍サイクル51側についても、冷凍サイクル分岐点45とエバポレータ55とを接続する冷媒通路57にエアコン回路弁69を設けている。
上記4つの弁61、62、66、69はいずれも電磁式の開閉弁である。圧力センサ72により検出される膨張機上流圧力の信号、圧力センサ73により検出される凝縮器38の出口の冷媒圧力Pdの信号、膨張機37の回転速度信号等がエンジンコントローラ71に入力されている。エンジンコントローラ71では、所定の運転条件に応じ、これらの各入力信号に基づいて、冷凍サイクル51のコンプレッサ52や、ラジエータファン12の制御を行なうとともに、上記4つの電磁式開閉弁61、62、66、69の開閉を制御する。
例えば、圧力センサ72により検出される膨張機上流側圧力及び膨張機回転速度に基づいて膨張機トルク(回生動力)を予測し、この予測膨張機トルクが正のとき(エンジン出力軸の回転をアシストすることができるとき)に膨張機クラッチ35を締結し、予測膨張機トルクがゼロないし負のときに膨張機クラッチ35を解放する。センサ検出圧力と膨張機回転速度とに基づくことで、排気温度から膨張機トルク(回生動力)を予測する場合とくらべ、高い精度で膨張機トルクを予測することができ、膨張機トルクの発生状況に応じて膨張機クラッチ35の締結・解放を適切に行うことができる(詳細は特開2010−190185号公報参照)。
上記4つの開閉弁61、62、66、69及び2つの逆止弁63、64は、冷媒系バルブである。これらの冷媒系バルブの機能を改めて図3に示す。
図3において、ポンプ上流弁61は、冷凍サイクル51の回路に比べてランキンサイクル31の回路に冷媒が偏り易くなる所定の条件で閉じることで、ランキンサイクル31への冷媒(潤滑成分を含む)の偏りを防止するためのもので、後述するように、膨張機37下流の逆止弁64と協働してランキンサイクル31の回路を閉塞させる。膨張機上流弁62は、熱交換器36からの冷媒圧力が相対的に低い場合に冷媒通路42を遮断し熱交換器36からの冷媒が高圧になるまで保持することができるようにするものである。これによって、膨張機トルクが十分得られない場合でも冷媒の加熱を促し、例えばランキンサイクル31が再起動する(回生が実際に行なえるようになる)までの時間を短縮させることができる。バイパス弁66は、ランキンサイクル31の始動時等にランキンサイクル31側に存在する冷媒量が十分でないときなどに、膨張機37をバイパスさせた上で冷媒ポンプ32の作動が行えるように開弁し、ランキンサイクル31の起動時間を短縮するためのものである。膨張機37をバイパスさせた上で冷媒ポンプ32を作動させることで、凝縮器38の出口あるいは冷媒ポンプ32の入口の冷媒温度が、その部位の圧力を考慮した沸点から所定温度差(サブクール度SC)以上に低下した状態が実現されれば、ランキンサイクル31には十分な液体冷媒が供給できる状態が整ったことになる。
熱交換器36上流の逆止弁63は、バイパス弁66、圧力調整弁68、膨張機上流弁62と協働して膨張機37に供給される冷媒を高圧に保持するためのものである。ランキンサイクル31の回生効率が低い条件ではランキンサイクル31の運転を停止し、熱交換器36の前後区間に亘って回路を閉塞することで、停止中の冷媒圧力を上昇させておき、高圧冷媒を利用してランキンサイクル31が速やかに再起動できるようにする。圧力調整弁68は膨張機37に供給される冷媒の圧力が高くなり過ぎた場合に開いて、高くなり過ぎた冷媒を逃すリリーフ弁の役割を有している。
膨張機37下流の逆止弁64は、上述のポンプ上流弁61と協働してランキンサイクル31への冷媒の偏りを防止するためのものである。ハイブリッド車両1の運転開始直後、エンジン2が暖まっていないとランキンサイクル31が冷凍サイクル51より低温となり、冷媒がランキンサイクル31側に偏ることがある。ランキンサイクル31側に偏る確率はそれほど高くないものの、例えば夏場の車両運転開始直後には、車内を早く冷やしたい状況にあって冷房能力が最も要求されることから、冷媒の僅かな偏在も解消して冷凍サイクル51の冷媒を確保したいという要求がある。そこで、ランキンサイクル31側への冷媒の偏在を防止するため逆止弁64を設けたものである。
コンプレッサ52は 、駆動停止時に冷媒が自由通過できる構造ではなく、エアコン回路弁69と協働して冷凍サイクル51への冷媒の偏りを防止することができる。これについて説明する。冷凍サイクル51の運転が停止したとき、定常運転中の比較的高い温度のランキンサイクル31側から冷凍サイクル51側へと冷媒が移動して、ランキンサイクル31を循環する冷媒が不足することがある。冷凍サイクル51の中で、冷房停止直後はエバポレータ55の温度が低くなっていて、比較的容積が大きく温度が低くなっているエバポレータ55に冷媒が溜まり易い。この場合に、コンプレッサ52の駆動停止によって凝縮器38からエバポレータ55への冷媒の動きを遮断するとともに、エアコン回路弁69を閉じることで、冷凍サイクル51への冷媒の偏りを防止するのである。
次に、図5はエンジン2全体のパッケージを示すエンジン2の概略斜視図である。図5において特徴的なのは、熱交換器36が排気マニホールド4の鉛直上方に配置されていることである。排気マニホールド4の鉛直上方のスペースに熱交換器36を配置することによって、ランキンサイクル31のエンジン2への搭載性を向上させている。また、エンジン2にはテンションプーリ8が設けられている。
次に、ランキンサイクル31の基本的な運転方法を図7A及び図7Bを参照して説明する。
まず、図7A及び図7Bはランキンサイクル31の運転領域図である。図7Aには横軸を外気温、縦軸をエンジン水温(冷却水温度)としたときのランキンサイクル31の運転域を、図7Bには横軸をエンジン回転速度、縦軸をエンジントルク(エンジン負荷)としたときのランキンサイクル31の運転域を示している。
図7A及び図7Bのいずれにおいても所定の条件を満たしたときにランキンサイクル31を運転するもので、これら両方の条件が満たされた場合にランキンサイクル31を運転する。図7Aにおいては、エンジン2の暖機を優先する低水温側の領域と、コンプレッサ52の負荷が増大する高外気温側の領域でランキンサイクル31の運転を停止している。排気温度が低く回収効率が悪い暖機時は、むしろランキンサイクル31を運転しないことで冷却水温度を速やかに上昇させる。高い冷房能力が要求される高外気温時はランキンサイクル31を止めて、冷凍サイクル51に十分な冷媒と凝縮器38の冷却能力を提供する。図7Bにおいては、ハイブリッド車両であるので、EV走行領域と、膨張機37のフリクションが増大する高回転速度側の領域でランキンサイクル31の運転を停止している。膨張機37は全ての回転速度でフリクションが少ない高効率な構造とすることが難しいことから、図7Bの場合では、運転頻度の高いエンジン回転速度域でフリクションが小さく高効率となるように、膨張機37が構成(膨張機37各部のディメンジョン等が設定)さている。
図8は膨張機トルクによりエンジン出力軸の回転をアシストしている途中でハイブリッド車両1の加速が行われたときの様子をモデルで示したタイミングチャートである。なお、図8の右側には、このときに膨張機37の運転状態が推移する様子を膨張機トルクマップ上に表している。膨張機トルクマップの等高線で区切られた範囲のうち、膨張機回転速度が低く膨張機上流圧力が高い部分(左上)が膨張機トルクが最も大きく、膨張機回転速度が高く膨張機上流圧力が低くなるほど(右下に進むほど)膨張機トルクが小さくなる傾向になっている。特に斜線部の範囲は、冷媒ポンプを駆動する前提では膨張機トルクがマイナスになって、エンジンに対しては負荷となってしまう領域を表している。
運転者がアクセルペダルを踏込むt1までは、定速走行が継続されて膨張機37が正のトルクを発生させており、膨張機トルクによるエンジン出力軸の回転アシストが行われている。
t1以降、膨張機37の回転速度、すなわち冷媒ポンプ32の回転速度がエンジン回転速度に比例して上昇するが、排気温度或いは冷却水温度の上昇は、エンジン回転速度の上昇に対して遅れを有する。そのため、冷媒ポンプ32の回転速度の上昇によって増大した冷媒量に対して回収可能な熱量の割合が低下する。
従って、膨張機回転速度が上昇するにつれ、膨張機上流の冷媒圧力が低下し、膨張機トルクは低下する。
この膨張機トルクの低下により、膨張機トルクが十分得られなくなると(例えばゼロ付近になるt2のタイミングで)、膨張機上流弁62を開状態から閉状態へと切換えて、回生効率の悪化(膨張機トルクの過度の低下に伴って膨張機37が逆にエンジン2に引き摺られる現象)が回避される。
膨張機上流弁62を開状態から閉状態へと切換えた後、t3のタイミングで膨張機クラッチ35が接続(締結)から切断(解放)へと切換えられる。この膨張機クラッチ35の切断時期を、膨張機上流弁62を開状態から閉状態へと切換えた時期より幾分遅らせることによって、膨張機上流の冷媒圧力を十分低下させ、膨張機クラッチ35を切り離した際の膨張機37が、過回転になるのを防止できる。また、冷媒ポンプ32によって多めの冷媒を熱交換器36内に供給し、ランキンサイクル31が停止中も冷媒を効果的に加熱することで、ランキンサイクル31の運転再開がスムースに行なえるようにしている。
t3以降、エンジン2の放熱量の上昇により膨張機上流圧力が再び上昇し、t4のタイミングで、膨張機上流弁62が閉状態から開状態へと切換えられ、膨張機37への冷媒の供給が再開される。また、t4で膨張機クラッチ35が再び接続される。この膨張機クラッチ35の再接続により、膨張機トルクによるエンジン出力軸の回転アシストが再開される。
図9は、膨張機上流弁62が閉じられ膨張機クラッチ35を切断した状態の、ランキンサイクルの運転停止から、図8(t4の制御)と異なる態様でランキンサイクル31の再起動を行なう様子をモデルで示したタイミングチャートである。
t11のタイミングで運転者がアクセルペダルを踏込むとアクセル開度が増大する。t11では、ランキンサイクル31の運転は停止されている。このため、膨張機トルクはゼロを維持している。
t11からのエンジン回転速度の上昇に伴ってエンジン2の放熱量が増大し、この放熱量の増大によって熱交換器36に流入する冷却水温度が高くなり、熱交換器36内の冷媒の温度が上昇する。膨張機上流弁62は閉じているので、この熱交換器36による冷媒温度の上昇によって、膨張機上流弁62の上流の冷媒圧力、つまり膨張機上流圧力が上昇していく(t11〜t12)。
この運転状態の変化によってランキンサイクル非運転域からランキンサイクル運転域へと切換わる。膨張機上流弁62がなく、ランキンサイクル運転域に移行したときに、即座に膨張機クラッチ35を切断状態から接続状態へと切換えて膨張機37をエンジン出力軸と連結したのでは、膨張機37がエンジン2の負荷となる上にトルクショックが生じてしまう。
一方、図9では、ランキンサイクル運転域へと切換わったとき、即座に膨張機上流弁62を閉状態から開状態へと切換えることはしない。すなわち、ランキンサイクル運転域に移行した後も膨張機上流弁62の閉状態を続ける。
やがて、膨張機上流圧力と膨張機下流圧力との差圧が大きくなって所定圧以上となるt12のタイミングで膨張機37を運転(駆動)できると判断し、膨張弁上流弁62を閉状態から開状態に切換える。この膨張弁上流弁62の開状態への切換によって膨張機37に所定圧の冷媒が供給され、膨張機回転速度がゼロから速やかに上昇する。
この膨張機回転速度の上昇で膨張機回転速度がエンジン回転速度に到達するt13のタイミングで、膨張機クラッチ35を切断状態より接続状態へと切換える。膨張機37が十分に回転速度を増す前に膨張機クラッチ35を接続したのでは、膨張機37がエンジン負荷となるし、トルクショックも生じ得る。これに対して、エンジン出力軸との回転速度差がなくなるt13で膨張機クラッチ35を遅れて接続することで、膨張機37がエンジン負荷となることも、膨張機クラッチ35を締結することに伴うトルクショックも防止できる。
さて、従来技術では、エンジンの廃熱が十分得られるときには、外部からエネルギを与えてポンプを駆動して冷媒を熱交換器に供給し、廃熱による過熱でエジェクタを駆動して冷凍サイクルを運転する一方、廃熱が不十分であるときにはポンプを停止しコンプレッサをエンジンで駆動して冷凍サイクルを運転する。しかしながら、従来装置では、エジェクタ駆動用の高圧冷媒を得るため外部からエネルギを与えてポンプを駆動する必要があり、ポンプの駆動が燃費を悪化させる。
そこで第1実施形態では、エジェクタを追加しても、エジェクタ駆動用の高圧冷媒を得るためポンプを外部からエネルギを与えて駆動しなくても済むように構成する。これを図10を参照して説明する。図10は図1に対してエジェクタ92を追加して設けたもので、図1と同一部分には同一番号を付している。
図10に示したように、コンプレッサ52をバイパスする冷媒通路91を設ける。すなわち、エバポレータ55の出口とコンプレッサ52を連絡する冷媒通路58から分岐して冷凍サイクル合流点46に合流する冷媒通路91を設ける。この冷媒通路91にはエジェクタ92を介装する。冷媒通路91の分岐点とエジェクタ92との間の冷媒通路91にはエジェクタ92から冷媒通路91の分岐点への冷媒の流れを阻止する逆止弁99を介装する。
上記のエジェクタ92は、ポンプなどの機械的運動によらずに流体から真空に近い状態を作ることができる装置である。エジェクタ92は、図11に示したように、周囲を囲われた室93、この室93に開口する吸込ポート94、室93に臨むノズル95及びディフューザ96からなる。室93内においてノズル95とディフューザ96は適当な距離をおいて向き合っている。
このように構成されるエジェクタ92に対して冷媒通路を次のように接続する。すなわち、図10において、熱交換器36の出口に近い冷媒通路42から冷媒通路97を分岐し、この分岐冷媒通路97をノズル入口95aに接続する。
分岐冷媒通路97の分岐部には、膨張機37に流れる冷媒流量とエジェクタ92に流れる冷媒流量の分配比を調整可能な電磁式の流量制御弁98を設ける。ここで、流量制御弁98の制御量として、「エジェクタ側開度」、「膨張機側開度」を導入する。例えば、エジェクタ側開度をゼロとしたとき、熱交換器36の出口から出る冷媒の全ては分岐冷媒通路97を流れず、エジェクタ側開度を最大としたとき、熱交換器36の出口から出る冷媒の全てが分岐冷媒通路97を流れる。一方、膨張機側開度をゼロとしたとき、熱交換器出口の冷媒の全ては冷媒通路42を流れず、膨張機側開度を最大としたとき、熱交換器36の出口から出る冷媒の全てが冷媒通路42を流れる。つまり、エジェクタ側開度をゼロとしたとき膨張機側開度は最大となり、エジェクタ側開度をゼロから徐々に大きくしていくと、膨張機側開度は最大から徐々に小さくなっていく。そして、エジェクタ側開度を最大にしたとき、膨張機側開度はゼロとなる。このように、本実施形態の流量制御弁98における両開度の関係は、いずれか一方の開度を定めれば、残りの開度はそれによって一義的に定まる関係である。従って、エジェクタ側開度、膨張機側開度のいずれかによって流量制御弁98を制御すればよい。ここでは、エジェクタ側開度を制御することとする。このように、エジェクタ92が膨張機37と並列となるように冷媒回路を構成したので、エジェクタ側と膨張機側とに冷媒を任意に振り向けることができ、冷媒ポンプ32の駆動とコンプレッサ52の駆動とを所望通りに行なえる。
吸込ポート94にエバポレータ55側の冷媒通路91を、エジェクタ出口96aに冷媒通路43との合流部46側の冷媒通路91を接続する。
ここで、エジェクタ92の作動を説明する。ノズル95から室93に向けて高圧のガス冷媒を駆動ガスとして噴射させると、ガス冷媒は、低圧超音速流となってディフューザ96の入口に進む。このガス冷媒の流れによって負の静圧が室93に生じ、室93内は真空に近い状態となる。この静圧とガス冷媒の粘性とによって、ディフューザ96の入口に飛び込むガス冷媒流れにエバポレータ55からのガス冷媒が吸込ガスとして引き込まれる。ノズル95に供給されたガス冷媒と吸込ポート94から吸い込まれたガス冷媒とはディフューザ96の前半部で混合し、後半部では速度を減じて昇圧しつつディフューザ出口96aに向かい排出される。
複合サイクル30に対してエジェクタ92を追加したとき、ランキンサイクル31の運転中であれば、ランキンサイクル31の冷媒通路を流れる冷媒の一部を駆動ガスとしてエジェクタ92に導くことでエジェクタ92を駆動して冷凍サイクル51を運転することができる。こうした構成であれば、従来装置のように、エジェクタ駆動用の高圧冷媒を得るためポンプを外部からエネルギを与えて駆動することは必要でない。ここで、「冷凍サイクル51を運転する」とは、冷凍サイクル51の冷媒通路に冷媒を循環させる(その結果エアコンの冷房が効く)ことをいう。
このように、エジェクタ92を追加したことで、本実施形態では、〈1〉ランキンサイクル単独運転、〈2〉トルクアシスト付きエジェクタエアコンの運転、〈3〉トルクアシストなしエジェクタエアコンの運転、〈4〉コンプレッサエアコンの運転という4つの運転を使い分け得ることとなった。ここで、「エジェクタエアコンの運転」とは、コンプレッサ52を使わずにエジェクタ92を駆動して冷凍サイクル51を運転することをいう。また、「コンプレッサエアコンの運転」とは、エジェクタ92を使わずにコンプレッサ52を駆動して冷凍サイクル51を運転することをいう。以下、上記の各運転について説明する。
〈1〉ランキンサイクル単独運転
エアコン要求(冷房要求)がないときにランキンサイクル単独運転を行う。図12に示したように、流量制御弁98のエジェクタ側開度をゼロにして(破線参照)、エジェクタ92にはガス冷媒を供給せず、エジェクタ92の駆動を停止する。
熱交換器36によりエンジン2の廃熱で冷媒を蒸発させて過熱し、熱交換器36の出口から出るガス冷媒の全てを冷媒通路42を介して膨張機37に供給し(太実線参照)、ガス冷媒の圧力エネルギで膨張機37を回転駆動する。その膨張機37の発生するトルク(出力)で冷媒ポンプ32を駆動して冷媒を循環させ、ランキンサイクル31を運転する。ここで、「ランキンサイクル31を運転する」とは、ランキンサイクル31の冷媒通路に冷媒を循環させる(その結果、廃熱からエネルギが回収される)ことをいう。膨張機37の発生するトルクが冷媒ポンプ32の駆動力を上回るときには膨張機クラッチ35を接続し、ランキンサイクル31を運転してエンジン出力軸の回転をアシストさせて燃費を向上させる。
〈2〉トルクアシスト付きエジェクタエアコンの運転
主にエアコン要求がある高速巡航中など、エアコン要求がありかつ膨張機37による発生トルクが十分あるためにトルクアシストを行わせ得るときに、トルクアシスト付きエジェクタエアコンの運転を行う。図13に示したように、流量制御弁98のエジェクタ側開度を制御して、熱交換器36の出口から出るガス冷媒を膨張機37とエジェクタ92とに分割供給して膨張機37を回転駆動すると共にエジェクタ92を駆動する。
膨張機37のトルク(出力)で冷媒ポンプ32を駆動して冷媒を循環させ、ランキンサイクル31を運転する。ランキンサイクル31の冷媒通路を循環する冷媒の一部をエジェクタ92に導いてエジェクタ92を駆動し、冷凍サイクル51の冷媒通路にも冷媒を循環させる。コンプレッサ52を駆動することなく冷凍サイクル51を運転し、車室内の空調を行うのである。コンプレッサ52の駆動はエンジン2の負荷となり、その分燃費が悪くなるのであるが、ランキンサイクル31の運転中にエジェクタ92を駆動して冷凍サイクル51を運転するのであれば、コンプレッサ52の駆動に伴う燃費の悪化を抑制できる。
冷媒ポンプ32駆動をしても膨張機トルクが余るときには、膨張機クラッチ35を接続し、冷媒ポンプ32を駆動しても余った膨張機トルクでエンジン出力軸の回転をアシストさせて燃費を向上させる。
〈3〉トルクアシストなしエジェクタエアコンの運転
アイドルストップ中や低負荷時など、エアコン要求がありかつ膨張機37による発生トルクが十分でなくトルクアシストを行わせ得ないときに、トルクアシストなしエジェクタエアコンの運転を行う。上記〈2〉のトルクアシスト付きエジェクタエアコンの運転との違いは、トルクアシストを行わない点だけである。すなわち、図14に示したように、膨張機クラッチ35を切断し、流量制御弁98のエジェクタ側開度を制御して、トルクアシストせずに膨張機トルクを冷媒ポンプ32を駆動するためにのみ用いることでランキンサイクル31を運転する。このランキンサイクル31の運転によって得られるガス冷媒でエジェクタ92を駆動して冷凍サイクル51を運転する。アイドルストップに移行してからしばらくの間や低車速時などにおいても、動力(コンプレッサ52)は用いずにエンジン廃熱でのみ冷凍サイクル51を作動させることが可能となる。
〈4〉コンプレッサエアコンの運転
アイドルストップ中や低負荷時などに上記〈3〉のトルクアシストなしエジェクタエアコンの運転を行えなくなった後に、コンプレッサエアコンの運転を行う。図15に示したように、流量制御弁98のエジェクタ側開度をゼロにして、ポンプ上流弁61(図10参照)を閉じることで、膨張機37及びエジェクタ92への冷媒の供給を停止しランキンサイクル31の運転及びエジェクタ92の駆動を停止する。アイドルストップ中であれば、モータに電流を流してモータによりコンプレッサ52を駆動し、低負荷時であればコンプレッサクラッチ54を接続し、エンジン2によりコンプレッサ52を駆動することで冷凍サイクル51を運転し、車室内の空調を行わせる。
次に、エンジンコントローラ71で行われるこの制御を図16A、図16Bのフローチャートを参照して具体的に説明する。図16A、図16Bのフローは一定の周期で(例えば10ms毎に)実行する。
図16Aにおいてステップ1ではエアコン要求(コンプレッサ駆動要求)があるか否かをみる。エアコン要求がないときにはエジェクタ92の駆動を停止するためステップ2に進み、流量制御弁98をエジェクタ側目標開度がゼロとなるように制御する。
ステップ3では、エンジン2がアイドルストップ状態や低負荷状態にあるか否かをみる。ハイブリッド車両1では、例えばEV走行条件であるときに、アイドルストップ状態であると判断する。ここでは、特にハイブリッド車両におけるアイドルストップ状態であることを条件にしたが、燃料カットやコーストストップ等のエンジンを停止する制御全般(エンジン停止状態)を条件にすることができる。また、バッテリのSOC(充電状態)が不足しているときに充電のためエンジン2を運転しているようなときに、エンジン2が低負荷状態にあると判断する。エンジン2がアイドルストップ状態や低負荷状態にあるときにはランキンサイクル31を運転できないと判断する。このときにはステップ4に進み、膨張機クラッチ35を切断する。膨張機37の駆動を停止するため膨張機上流弁62を全閉状態とすると共にバイパス弁66を全開状態として、冷媒の全てを膨張機37をバイパスして流す。フローには示されていないが、次回の運転再開に備えて冷媒を熱交換器36に閉じ込める(圧力を維持する)ように、膨張機上流弁62とバイパス弁66の両者を全閉状態とすることもできる。
一方、ステップ3でエンジン2がアイドルストップ状態や低負荷状態でないときにはランキンサイクル31を運転し得ると判断する。このときにはステップ5に進む。ステップ5は図12に示したランキンサイクル単独運転を行わせる部分である。すなわち、膨張機クラッチ35を接続し、膨張機上流弁62を全開状態とすると共にバイパス弁66を全閉状態として、熱交換器36の出口から出るガス冷媒の全てを膨張機37に流す。これによって、膨張機37を回転駆動し、膨張機37により回生されたトルク(出力)が冷媒ポンプ32の駆動トルクを上回ったとき、この上回ったトルク分がベルト伝動機構を介してエンジン出力軸に伝達され、エンジン出力軸の回転がアシストされる。
ステップ1でエアコン要求があったときには、ステップ6に進み、ラジエータファン12の回転速度を図17を内容とするテーブルに従って制御する。ラジエータファン目標回転速度は、図17に示したように、車速が第2所定値VSP2以上でゼロである。これは、第2所定値VSP2以上の車速域では凝縮器38に対して十分な走行風が得られるので、ラジエータファン12を駆動する必要がないためである。また、ラジエータファン目標回転速度は、車速が第2所定値VSP2より低下するほど高くなり、車速が第1所定値VSP1(VSP1<VSP2)以下で一定値(正の値)となる。これは、第2所定値VSP2未満の車速域では凝縮器38に対して十分な走行風が得られなくなるので、ラジエータファン12からの送風によって凝縮器38を冷却する必要があるためである。ラジエータファン12の回転速度は、冷凍サイクル51とランキンサイクル31の両者の放熱を考慮して設定される。
図示しないフローでは、このラジエータファン目標回転速度に応じてラジエータファン12を駆動するモータ(図示しない)に流す電流量を設定し、この設定した電流をモータに流してラジエータファン12を回転駆動する。
ステップ7では、ステップ3と同じにエンジン2がアイドルストップ状態(エンジン停止状態)や低負荷状態にあるか否かをみる。エンジン2がアイドルストップ状態や低負荷状態にないときにはランキンサイクル31の運転を行い得ると判断してステップ8に進む。
ステップ8では、エアコン設定温度と、凝縮器38の能力、例えば、車速、ラジエータファン回転速度、外気温度等に基づいて算出した放熱量とから図18を内容とするマップを検索することにより目標エジェクタ供給流量を算出する。図18に示したように目標エジェクタ供給流量は、エアコン設定温度が一定の条件で放熱量が大きいほど小さくなり、放熱量が一定の条件ではエアコン設定温度が低くなるほど大きくなる値である。
ステップ9では、ステップ8で算出した目標エジェクタ供給流量から図19を内容とするマップを検索することにより流量制御弁98の目標エジェクタ側開度を算出する。図19に示したように流量制御弁98の目標エジェクタ側開度は、目標エジェクタ供給流量が多いほど大きくなる値である。
ステップ10では、算出した目標エジェクタ側開度となるように流量制御弁98を制御する。
ステップ11ではエンジン2のトルクアシストが可能かどうか、すなわち冷媒ポンプ32を駆動しても余るほどの膨張機トルクが得られるかどうか、を判断する。トルクアシストが可能なほどの膨張機トルクが得られるかどうかは、廃熱回収量、放熱量、エアコン要求に基づき判断できる。相対的にエンジン負荷が低い側にあり廃熱回収量が少ない場合や、車速が低い(走行風が少ない)とき或いは外気温が高いときなど放熱量が少ない場合に、トルクアシストに回せる分は少なくなる。また、エアコン設定温度と実際の車室内温度の偏差が大きくエアコン要求が大きい場合にも、トルクアシストに回せる分は少なくなる。トルクアシストが可能な場合、ステップ12に進み、不可能な場合、ステップ13に進む。
ステップ12では、ランキンサイクル31を運転してトルクアシストを行うため、膨張機クラッチ35を接続し、膨張機上流弁62を全開状態とすると共にバイパス弁66を全閉状態として、熱交換器36の出口から出るガス冷媒を膨張機37に流す。ステップ12は、図13に示したトルクアシスト付きエジェクタエアコンの運転を行わせる部分である。
一方、ステップ13では、トルクアシストはしないので膨張機クラッチ35を切断し、ランキンサイクル31の運転による膨張機トルクで冷媒ポンプ32を駆動するため、膨張機上流弁62を全開状態とすると共にバイパス弁66を全閉状態として、熱交換器36の出口から出るガス冷媒を膨張機37に流す。ステップ13は、図14に示したトルクアシストなしエジェクタエアコンの運転を行わせる部分である。
ところで、エジェクタ92の駆動に必要な冷媒流量に見合った冷媒ポンプ32の出力が得られるだけの膨張機トルクは、車速が低い場合、ラジエータファン12を回転させることによって得られる(ステップ6及び図17参照)。ラジエータファン12を回転させるにはエネルギが必要であるが、廃熱回収による回生エネルギが膨張機トルクに寄与するので、冷凍サイクル51のコンプレッサ52を(エンジン2の動力や電力で)駆動するエネルギよりもラジエータファン12を回転させるエネルギの方が小さい。従って、ラジエータファン12を回転させる場合であっても、エジェクタエアコンの運転は、コンプレッサエアコンの運転よりトータルの効率が優れる。
図16Aのステップ7でエンジン2がアイドルストップ状態や低負荷状態にあるときには図16Bのステップ15に進む。基本的にエンジン2がアイドルストップ状態(エンジン停止状態)や低負荷状態にあるときには、エジェクタエアコンの運転はできないのであるが、アイドルストップ状態或いは低負荷状態になった直後には、余熱によってエジェクタエアコンの運転を行わせることができる。そこで、しばらくはエジェクタエアコンの運転を継続させて、エジェクタエアコンの運転ができなくなったところでコンプレッサエアコンの運転(コンプレッサ単独駆動)に切換える。ステップ15では、コンプレッサ単独駆動に移行済みであるか否かをみる。例えば、コンプレッサ単独駆動フラグ=1であるときにコンプレッサ単独駆動に移行済みであると、コンプレッサ単独駆動フラグ=0であるときに、コンプレッサ単独駆動に移行済みでないと判断する。ここでは、コンプレッサ単独駆動フラグ=0である、つまりコンプレッサ単独駆動に移行済みでないとする。このときにはステップ16に進む。
ステップ16〜21は、図14に示したトルクアシストなしエジェクタエアコンの運転を行わせる部分である。ステップ16では、ステップ8と同じに目標エジェクタ供給流量を算出する。すなわち、エアコン設定温度と、凝縮器38の能力、例えば、車速、ラジエータファン回転速度、外気温度等に基づいて算出した放熱量とから図18を内容とするマップを検索することにより目標エジェクタ供給流量を算出する。
ステップ17では、このように算出した目標エジェクタ供給流量から図20を内容とするテーブルを検索することにより目標ポンプ回転速度を算出する。目標ポンプ回転速度は、目標エジェクタ供給流量を得るために要求される冷媒ポンプ32の目標回転速度である。目標ポンプ回転速度は、図20に示したように目標エジェクタ供給流量に比例する値である。目標ポンプ回転速度を算出するのは、余熱を利用したエジェクタエアコンの運転では冷媒ポンプ32のポンプ回転速度が低下するので、実際のポンプ回転速度と比較することにより、実際のポンプ回転速度の低下度合いを求め、低下度合いに応じて流量制御弁98のエジェクタ側開度を減らす(膨張機側開度を増やす)ためである。
ステップ18では、冷媒ポンプ32の実回転速度とこの目標ポンプ回転速度を比較する。冷媒ポンプ32の実回転速度はポンプ回転速度センサ75(図10参照)により検出する。冷媒ポンプ32の実回転速度が目標ポンプ回転速度より高いときには、膨張機37に流れる冷媒流量を減らして冷媒ポンプ32の実回転速度を目標ポンプ回転速度へと低下させる必要がある。そこで、このときにはステップ19に進み、エジェクタ92に流れる冷媒流量が増える(膨張機側を減らす)ように流量制御弁98の目標エジェクタ側開度を増大側に補正する。
ステップ20では、流量制御弁98を補正後の目標エジェクタ側開度が得られるように制御する。ステップ21では、トルクアシストは行わずランキンサイクル31を運転するため、膨張機クラッチ35を切断し、膨張機上流弁62を全開状態とすると共にバイパス弁66を全閉状態として、熱交換器36の出口から出るガス冷媒を膨張機37に流す。ここでは、膨張機トルクが冷媒ポンプ32を駆動してもまだ余りを生じる場合であっても、トルクアシストは行なわないようにして、アシストにとられる分の冷媒を減らしてエジェクタ92側に振り向ける冷媒を増やすことで、エアコン(冷房)の効きを良くしたり持続時間を長くしたりすることができる。
ステップ18で冷媒ポンプ32の実回転速度が目標ポンプ回転速度以下のときには、膨張機37に流れる冷媒流量を増やして膨張機回転速度を高め、膨張機37と一体動する冷媒ポンプ32の実回転速度を目標ポンプ回転速度へと上昇させる必要がある。このときにはステップ22に進み、膨張機側流量が増えるように流量制御弁98の目標エジェクタ側開度を減少側に補正する。
ステップ23では、図21に基づいてコンプレッサ52による補助制御を行う。ここで、コンプレッサ52がエンジン2の駆動である場合に、エンジン2を停止するアイドルストップ状態でコンプレッサ52を駆動することができない。従って、アイドルストップ状態でステップ23に進んできたときに(エンジン2を再始動させなくても)コンプレッサによる補助が行なえるように、図24に示したように、コンプレッサ52はモータ101により駆動されるものとしてもよい。
コンプレッサ52による補助制御を行わせる理由を説明する。ここでのトルクアシストなしエジェクタエアコンを運転する駆動条件は、十分な冷房能力の得にくいアイドルストップ状態(エンジン停止状態)や低負荷状態にあるときである。冷媒ポンプ32の実際の回転速度が目標回転速度に達しない場合、流量制御弁98の膨張機側開度を大きくする補正を行なうため、エジェクタ側の流量が不足する場合がある。このような場合には、トータルの効率が悪化しない範囲でコンプレッサ52を駆動して、エジェクタエアコンの運転を継続するようにしたのである。
この結果、ステップ18、22、23と流れる場合に、図14に示したトルクなしエジェクタエアコンの運転と、図15に示したコンプレッサエアコンの運転との両方が重複して行われることになる。
コンプレッサ52による補助制御を具体的に説明する。図21に示したように、目標エジェクタ側開度が第2所定値E2以下の領域で目標コンプレッサ駆動量、つまり目標モータ電流量に正の値を与えている。これは、次の理由による。すなわち、目標エジェクタ側開度が第2所定値E2以下の領域では、エジェクタ92への冷媒供給が不足してエジェクタ92が十分に作動せず、冷房能力が落ちる。そこで、エジェクタ92への冷媒供給が不足するときにはモータ101(図24参照)に電流を流してコンプレッサ52を駆動することで、冷房能力を高めるのである。
目標エジェクタ側開度が第2所定値E2以下の領域で冷房能力がどの程度低下するかは予め知り得るので、図21に示す目標コンプレッサ駆動量の特性は適合により定めればよい。なお、低負荷状態であるときにステップ23に進んできたときには、図21に示す目標コンプレッサ駆動量はコンプレッサクラッチ54に与える電流量となる。
一方、目標エジェクタ側開度が第2所定値E2を超える領域では、目標コンプレッサ駆動量をゼロとして、コンプレッサ52を駆動することはしない。これは、当該領域ではエジェクタ92のみの駆動(つまりトルクアシストなしエジェクタエアコンの運転)で十分な冷房能力が得られるためである。
ステップ24では、エバポレータ温度と目標温度を比較する。エバポレータ55温度は温度センサ76(図10参照)により検出する。エバポレータ温度が目標温度以下であるときには、トルクアシストなしエジェクタエアコンの運転で、あるいはエトルクアシストなしジェクタエアコンの運転にコンプレッサエアコンの運転を追加することで十分な冷房能力が得られていると判断する。つまり、コンプレッサエアコンの運転に移行することはまだ必要ないと判断し、ステップ20、21に進み、ステップ20、21の操作を実行する。
一方、ステップ24でエバポレータ温度が目標温度より高いときには、コンプレッサエアコンの運転に移行する必要がある判断する。このときにはステップ25〜27に進む。
ステップ25〜27は図15に示したコンプレッサエアコン運転を行わせる部分である。まずステップ25では、コンプレッサ単独駆動フラグ=1とし、モータ101に電流を流してコンプレッサ52を駆動するか、或いは、コンプレッサクラッチ54を接続してエンジン2によりコンプレッサ52を駆動する。
ステップ26ではエジェクタ92の駆動を停止するため、流量制御弁98を目標エジェクタ側開度がゼロとなるように制御する。ステップ27では、ランキンサイクル31の運転を中止するため膨張機クラッチ35を切断し、膨張機上流弁62を全閉状態とすると共にバイパス弁66を全開状態として、冷媒の全てを膨張機37をバイパスして流す。
ステップ25でのコンプレッサ単独駆動フラグ=1により、次回からはステップ15よりステップ25、26、27に進み、モータ101により、または、コンプレッサクラッチ54を接続しエンジン2によりコンプレッサ52を駆動してコンプレッサエアコンの運転を行わせる。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態によれば、エンジン2の廃熱を冷媒に回収する熱交換器36、この熱交換器出口の冷媒を用いて動力を発生させる膨張機37、この膨張機37を出た冷媒を凝縮させる凝縮器38、膨張機37により回生された動力によって駆動されると共に、凝縮器38からの冷媒を熱交換器36に供給する冷媒ポンプ32を含むランキンサイクル31を備えるエンジンの廃熱利用装置において、凝縮器38を共有し、この凝縮器38からの冷媒を導いて蒸発させるエバポレータ55を含む冷凍サイクル51と、熱交換器36出口の冷媒を駆動ガスとして用い、このエバポレータ55出口の冷媒を引き込んで凝縮器38に戻すエジェクタ92とを設けている。
本実施形態によれば、膨張機37により回生された動力を使って冷媒ポンプ32を駆動することでランキンサイクル31を運転し、このランキンサイクル31の冷媒通路を循環する冷媒の一部でエジェクタ92を駆動して冷凍サイクル51を運転するので(図16Aのステップ1、7〜13参照)、エンジン2の廃熱の熱エネルギのみで冷凍サイクル51を運転することができる。これによって、従来装置のようにエジェクタ駆動用の高圧冷媒を得るため外部からエネルギを与えてポンプを駆動する必要はなく、ポンプ駆動に伴う燃費悪化を回避できる。
本実施形態によれば、熱交換器36出口の冷媒を膨張機37に導く冷媒通路42と、熱交換器36出口の冷媒をエジェクタ92に導く分岐冷媒通路97とを並列に設けるので、膨張機37とエジェクタ92への冷媒流量の配分を調整することができ、冷凍サイクル51及びランキンサイクル31の木目細かな制御が可能である(直列回路ではできない制御が可能)。
本実施形態によれば、冷凍サイクル51に、エジェクタ92と並列に設けられたコンプレッサ52を備えるので、仮にエンジン2の廃熱が小さくてランキンサイクル31を運転できなくなっても、コンプレッサクラッチ54を接続してコンプレッサ52をエンジン2で駆動することによって冷凍サイクル51を運転できる。
本実施形態によれば、膨張機37により回生された動力が冷媒ポンプ32の駆動力を上回ったとき、この上回った動力をエンジン2に伝達する動力伝達機構(2a、33、34)と、アイドルストップ中にエアコン要求(冷房要求)があるときには、膨張機37により回生された動力をエンジン2に伝達しないようにしてランキンサイクル31を運転し、このランキンサイクル31の冷媒通路を循環する冷媒の一部をエジェクタ92に供給してエジェクタ92を駆動するので(図16Aのステップ7、図16Bのステップ15〜21参照)、エンジン2が停止されても暫く(例えば1〜2分)はエンジン2の余熱でランキンサイクル31の運転継続が可能である。ランキンサイクル31の運転継続が可能であれば、その間、エジェクタ92駆動により冷凍サイクル51を運転できる。つまりエンジン2が停止されても暫くはエバポレータ温度を上昇するのを遅らせることができる。これによって、エアコン要求によるエンジン2の始動を少なくし燃費を向上させることができる。
本実施形態によれば、凝縮器38に送風するラジエータファン12(冷却ファン)を備え、アイドルストップ中にエアコン要求(冷房要求)があるときには(低負荷状態でエアコン要求がある場合でも良い)、さらにこのラジエータファン12を駆動するので(図16Aのステップ1、6参照)、凝縮器38の放熱能力を上げて冷房能力を向上させ、さらにアイドルストップ時間を延長させることができる。このとき、ラジエータファン12を回転させるにはエネルギが必要であるが、廃熱回収による回生エネルギが膨張機トルクに寄与するので、冷凍サイクル51のコンプレッサ52を(エンジン2の動力や電力で)駆動するエネルギよりもラジエータファン12を回転させるエネルギの方が小さい。従って、ラジエータファン12を回転させる場合であっても、エジェクタエアコンの運転は、コンプレッサエアコンの運転よりトータルの効率が優れる。
本実施形態によれば、膨張機37により回生された動力が冷媒ポンプ32の駆動力を上回ったとき、この上回った動力を前記エンジン2に伝達する動力伝達機構(2a、33、34)と、エンジン2の低負荷状態でエアコン要求(冷房要求)があるときには、膨張機37により回生された動力をエンジン2に伝達しないようにしてランキンサイクル31を運転し、このランキンサイクル31の冷媒通路を循環する冷媒の一部をエジェクタ92に供給してエジェクタ92を駆動するので(図16Aのステップ7、図16Bのステップ15〜21参照)、エンジン2の廃熱でランキンサイクル31の運転継続が可能である。ランキンサイクル31の運転継続が可能であれば、その間、エジェクタ92の駆動により冷凍サイクル51を運転できる。つまりエンジン2の廃熱でエジェクタ92を駆動して冷凍サイクル51を運転できるため、コンプレッサ52を駆動する必要がなくコンプレッサ動力を低減できる。
本実施形態によれば、エアコン要求(冷房要求)があるときには、膨張機37により回生された動力が冷媒ポンプ32の駆動力を上回った動力をエンジン2に伝達するよりも、エジェクタ92を駆動して冷凍サイクル51を運転することを優先させるので(図16Aのステップ1、7〜13参照)、ランキンサイクル31を用いて動力回生を行うよりも、エジェクタ92により冷凍サイクル51を運転しコンプレッサ52の動力を削減するほうが燃費向上効果が大きい場合に対処できる。
本実施形態によれば、膨張機37により回生された動力をエンジン2に伝達しないようにしてランキンサイクル31を運転し、エジェクタ92に熱交換器36の出口の冷媒を供給しているときでも、冷凍サイクル51にエジェクタ92と並列に設けられたコンプレッサ52を駆動するので(図16Bのステップ22、23参照)、エジェクタ92の駆動によりで冷房能力が足りない場合においてもコンプレッサ52の駆動で足りない冷房能力を補助することができる。
(第2実施形態)
図22A、図22Bのフローチャートは第2実施形態で、第1実施形態の図16A、図16Bと置き換わるものである。図16A、図16Bと同一部分には同一のステップ番号を付している。
第1実施形態の図16A、図16Bと相違する部分を主に説明する。図22Bにおいてステップ15でコンプレッサ駆動に移行済みでないときにはステップ31以降に進む。
ステップ31〜35、21、ステップ31、36、24、35、21は、図14に示したトルクアシストなしエジェクタエアコン運転を行わせる部分である。このうち、ステップ31〜36は流量制御弁98の目標膨張機側開度を初期値から徐々に大きくする部分である。ここでは、流量制御弁98のエジェクタ側開度ではなく、流量制御弁98の膨張機側開度を制御する。
まずステップ31では、流量制御弁98の基本膨張機側開度を算出済みか否かをみる。例えば、基本膨張機側開度算出済みフラグ=1であるとき流量制御弁98の基本膨張機側開度を算出済みであると、基本膨張機側開度算出済みフラグ=0であるとき流量制御弁98の基本膨張機側開度を算出済みでないと判断する。ここでは、基本膨張機側開度算出済みフラグ=0である、つまり流量制御弁98の基本膨張機側開度を算出済みでないとする。このときにはステップ32に進み、温度センサ(図示しない)により検出される熱交換器36の出口から出る冷媒の温度から図23を内容とするテーブルを検索することにより流量制御弁98の初期値である基本膨張機側開度を算出する。ここでは冷媒温度に基づき膨張機側開度を算出したが、冷媒圧力に基づき算出することもできる。
膨張機トルクは熱交換器36の出口から出る冷媒の温度の影響を受け、熱交換器36の出口から出る冷媒が低温になると膨張機トルクが低下する。そこで、膨張機トルクが不足しないよう、基本膨張機側開度は、図23に示したように熱交換器36の出口から出る冷媒の温度が低くなるほど大きくなるようにしている。
ステップ32で基本膨張機側開度を算出したので、ステップ33では基本膨張機側開度算出済みフラグ=1とし、ステップ34で基本膨張機側開度を初期値として流量制御弁98の目標膨張機側開度に入れる。
ステップ35では、流量制御弁98をこの目標膨張機側開度(初期値)となるように制御する。ステップ21では、トルクアシストは行わずランキンサイクル31を運転するため、膨張機クラッチ35を切断し、膨張機上流弁62を全開状態とすると共にバイパス弁66を全閉状態として、熱交換器36の出口から出る冷媒を膨張機37に流す。ここでは、膨張機トルクが冷媒ポンプ32を駆動してもまだ余りを生じる場合であっても、トルクアシストは行なわないようにして、アシストにとられる分の冷媒を減らしてエジェクタ92側に振り向ける冷媒を増やすことで、エアコン(冷房)の効きを良くしたり持続時間を長くしたりすることができる。
ステップ33での基本膨張機側開度算出済みフラグ=1より、次回からはステップ31よりステップ36に進む。ステップ36では目標膨張機側開度を次式により更新する。
目標膨張機側開度=目標膨張機側開度+ΔZOU …(1)
ただし、ΔZOU:制御周期当たりの膨張機側開度の増分(正の値)、
(1)式右辺の「目標膨張機側開度」は前回に算出した値、(1)式左辺の「目標膨張機側開度」は今回に算出する値を表している。前回には目標膨張機側開度に初期値として基本膨張機側開度を入れたので、今回には基本膨張機側開度に増分ΔZOUを加算した値を目標膨張機側開度として算出する。次回には基本膨張機側開度に増分ΔZOU×2を加算した値を目標膨張機側開度として算出することとなる。このようにして目標膨張機側開度を初期値から徐々に大きくしてゆく。
ここで、目標膨張機側開度を初期値から徐々に大きくしてゆく理由は次のようなものである。すなわち、図22Bのステップ31以降に進んでくるのはアイドルストップ状態(エンジン停止状態)や低負荷状態のときである。特に、エンジン2の運転状態からエンジン2を停止するアイドルストップに移行したタイミングで図22Bのステップ31以降に進んできた場合で考えると、エンジン2が停止するアイドルストップの開始から時間の経過とともにエンジン2の余熱が徐々になくなっていくため、熱交換器36の出口から出る冷媒の温度が低下してゆく。このため、目標膨張機側開度を初期値のまま維持したのでは、この冷媒温度の低下を受けて膨張機トルクが低下してゆく。膨張機トルクが低下するとポンプ回転速度が低下し、ランキンサイクル31を循環する冷媒流量が低下する。すると、エジェクタ92に供給される冷媒流量が減ってゆき、冷凍サイクル51を循環する冷媒流量が低下し、冷房能力が落ちてゆく。こうした冷房能力の低下を防止するには、アイドルストップ開始後あるいは低負荷状態に移行した後もアイドルストップ移行タイミングでの膨張機回転速度を維持することである。このため、アイドルストップの開始から目標膨張機側開度を徐々に大きくすることで、アイドルストップ開始後もアイドルストップ移行タイミングでの膨張機トルクが維持されるようにしたものである。
目標膨張機側開度を徐々に大きくすれば、この反対にエジェクタ側開度が徐々に小さくなり、エジェクタ92の駆動が不十分となり、やがてエジェクタ92は冷凍サイクル51を運転できなくなる。エジェクタ92が冷凍サイクル51を運転できなくなると、それまでのエバポレータ温度を維持できなくなり、エバポレータ温度が上昇を始める。このエバポレータの温度上昇をみるため、ステップ24でエバポレータ温度と所定値を比較する。エバポレータ温度が所定値以下であるときには、現在のエジェクタ側開度での冷媒供給によるエジェクタ92の駆動で十分な冷房能力が得られていると判断する。つまり、コンプレッサ52の駆動による冷凍サイクル51の運転に移行することは必要ないと判断し、ステップ35、21に進み、ステップ35、21の操作を実行する。
エバポレータ温度が所定値以下である限り、ステップ36の操作を繰り返すことで、目標膨張機側開度が徐々に大きくなってゆく。流量制御弁98の目標膨張機側開度を徐々に大きくすれば、流量制御弁98のエジェクタ側開度は徐々に小さくなってゆく。流量制御弁98のエジェクタ側開度が徐々に小さくなればエジェクタ92の働きが悪くなって、冷凍サイクル51を循環する冷媒の動きが鈍くなる。これによってやがてはエバポレータ温度が上昇して所定値に到達する。このときにはステップ24よりステップ25〜27に進む。
ステップ25〜27はコンプレッサエアコンの運転を行わせる部分である。まずステップ25では、コンプレッサ単独駆動フラグ=1とし、モータ101に電流を流してコンプレッサ52を駆動するか、或いは、コンプレッサクラッチ54を接続してエンジン2によりコンプレッサ52を駆動する。
ステップ26では、ランキンサイクル31の運転を中止するため膨張機クラッチ35を切断し、膨張機上流弁62を全閉状態とすると共にバイパス弁66を全開状態として、冷媒の全てを膨張機37をバイパスして流す。
ステップ25でのコンプレッサ単独駆動フラグ=1により、次回からはステップ15よりステップ25、26、27に進み、モータ101により、または、コンプレッサクラッチ54を接続しエンジン2によりコンプレッサ52を駆動してコンプレッサエアコンの運転を行わせる。
実施形態では、ハイブリッド車両の場合で説明したが、これに限られるものでない。エンジン2のみを搭載した車両にも本発明の適用がある。エンジン2は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンのいずれでもかまわない。
1 ハイブリッド車両
2 エンジン
2a クランクプーリ
12 ラジエータファン
30 複合サイクル
31 ランキンサイクル
32 冷媒ポンプ
33 ポンププーリ
34 ベルト
35 膨張機クラッチ
36 熱交換器
37 膨張機
38 凝縮器
51 冷凍サイクル
52 コンプレッサ
54 コンプレッサクラッチ
55 エバポレータ
71 エンジンコントローラ
92 エジェクタ
98 流量制御弁

Claims (8)

  1. エンジンの廃熱を冷媒に回収する熱交換器、この熱交換器出口の冷媒を用いて動力を発生させる膨張機、この膨張機を出た冷媒を凝縮させる凝縮器、前記膨張機により回生された動力によって駆動されると共に、この凝縮器からの冷媒を前記熱交換器に供給する冷媒ポンプを含むランキンサイクルを備えるエンジンの廃熱利用装置において、
    前記凝縮器を共有し、この凝縮器からの冷媒を導いて蒸発させるエバポレータを含む冷凍サイクルと、
    前記熱交換器出口の冷媒を駆動ガスとして用い、このエバポレータ出口の冷媒を引き込んで前記凝縮器に戻すエジェクタと
    を設けたことを特徴とするエンジンの廃熱利用装置。
  2. 前記熱交換器出口の冷媒を前記膨張機に導く冷媒通路と、前記熱交換器出口の冷媒を前記エジェクタに導く冷媒通路とを並列に設けることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの廃熱利用装置。
  3. 前記冷凍サイクルに、前記エジェクタと並列に設けられたコンプレッサを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの廃熱利用装置。
  4. 前記膨張機により回生された動力が前記冷媒ポンプの駆動力を上回ったとき、この上回った動力を前記エンジンに伝達する動力伝達機構を備え、
    エンジン停止中に冷房要求があるときに、前記膨張機により回生された動力を前記エンジンに伝達しないようにして前記ランキンサイクルを運転し、このランキンサイクルの冷媒通路を循環する冷媒の一部を前記エジェクタに供給してエジェクタを駆動することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエンジンの廃熱利用装置。
  5. 前記膨張機により回生された動力が前記冷媒ポンプの駆動力を上回ったとき、この上回った動力を前記エンジンに伝達する動力伝達機構を備え、
    エンジンの低負荷状態で冷房要求があるときに、前記膨張機により回生された動力を前記エンジンに伝達しないようにして前記ランキンサイクルを運転し、このランキンサイクルの冷媒通路を循環する冷媒の一部を前記エジェクタに供給してエジェクタを駆動することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエンジンの廃熱利用装置。
  6. 前記凝縮器に送風する冷却ファンを備え、
    前記エンジン停止中または低負荷状態で、ランキンサイクルの冷媒通路を循環する冷媒の一部を前記エジェクタに供給してエジェクタを駆動する際に、前記冷却ファンを駆動することを特徴とする請求項4または5に記載のエンジンの廃熱利用装置。
  7. 冷房要求があるときには、前記上回った動力をエンジンに伝達するよりも、前記エジェクタを駆動して冷凍サイクルを運転することを優先させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のエンジンの廃熱利用装置。
  8. 前記膨張機により回生された動力を前記エンジンに伝達しないようにして前記ランキンサイクルを運転し、前記エジェクタに前記熱交換器出口の冷媒を供給しているときでも、前記冷凍サイクルに前記エジェクタと並列に設けられたコンプレッサを駆動することを特徴とする請求項4から6までのいずれか一つに記載のエンジンの廃熱利用装置。
JP2011216779A 2011-09-30 2011-09-30 エンジンの廃熱利用装置 Pending JP2014238175A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011216779A JP2014238175A (ja) 2011-09-30 2011-09-30 エンジンの廃熱利用装置
PCT/JP2012/069888 WO2013046925A1 (ja) 2011-09-30 2012-08-03 エンジンの廃熱利用装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011216779A JP2014238175A (ja) 2011-09-30 2011-09-30 エンジンの廃熱利用装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014238175A true JP2014238175A (ja) 2014-12-18

Family

ID=47994977

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011216779A Pending JP2014238175A (ja) 2011-09-30 2011-09-30 エンジンの廃熱利用装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2014238175A (ja)
WO (1) WO2013046925A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106274374B (zh) * 2016-08-30 2018-10-19 奇瑞万达贵州客车股份有限公司 一种基于ng发动机客车暖风管路的结构
FR3098285B1 (fr) * 2019-07-02 2022-11-25 Psa Automobiles Sa Systeme a cycle thermodynamique de rankine integre a une boucle de climatisation a ejecteur
FR3098286B1 (fr) * 2019-07-02 2022-08-12 Psa Automobiles Sa Systeme a cycle thermodynamique de rankine integre a une boucle de climatisation a ejecteurs multiples

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61211667A (ja) * 1985-03-15 1986-09-19 株式会社クボタ ヒ−トポンプ
JP4265228B2 (ja) * 2002-01-30 2009-05-20 株式会社デンソー エジェクタポンプを用いた冷凍機
JP4135626B2 (ja) * 2003-06-23 2008-08-20 株式会社デンソー 発熱体の廃熱利用装置
JP2007218456A (ja) * 2006-02-14 2007-08-30 Denso Corp 車両用廃熱利用装置およびその制御方法
JP2007285623A (ja) * 2006-04-18 2007-11-01 Sanden Corp 冷却装置
JP2008145022A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 Denso Corp 廃熱利用装置を備える冷凍装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2013046925A1 (ja) 2013-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5716837B2 (ja) エンジン廃熱利用装置
JP5740273B2 (ja) ランキンサイクル
JP5804879B2 (ja) 廃熱利用装置
JP5761358B2 (ja) ランキンサイクル
WO2013046885A1 (ja) ランキンサイクル
JP5707500B2 (ja) エンジン廃熱利用装置
JP6344020B2 (ja) 車両
WO2013047139A1 (ja) ランキンサイクルシステム
JP5894756B2 (ja) ランキンサイクルシステム
JP2013076374A (ja) ランキンサイクル及びランキンサイクルに用いる熱交換器
WO2013047148A1 (ja) エンジンシステム、およびその制御方法
WO2013046925A1 (ja) エンジンの廃熱利用装置
JP2012153192A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2013076514A (ja) エンジンの廃熱利用装置
WO2014103820A1 (ja) エンジンの廃熱利用装置
JP2013076372A (ja) 廃熱利用装置
JP2013177845A (ja) ランキンサイクル
JP2015232273A (ja) ランキンサイクル