JP2014236292A - 超音波振動子 - Google Patents

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黒田 淳
Atsushi Kuroda
淳 黒田
康晴 大西
Yasuharu Onishi
康晴 大西
元喜 菰田
Motoyoshi Komoda
元喜 菰田
重夫 佐藤
Shigeo Sato
重夫 佐藤
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Abstract

【課題】電気音響変換効率を低下させることなく、共振の帯域幅を広げる超音波振動子を提供する。
【解決手段】超音波振動子は、第1の金属板と、第2の金属板と、支柱と、を備える。第1の金属板には、第1の圧電素子が貼り合わされている。支柱は、第1の金属板と第2の金属板を連結する。さらに、第1の金属板及び第2の金属板の振動は、同じ係数を持つ偏微分方程式により記述されるものとする。さらにまた、支柱のヤング率は所定の値以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波振動子に関する。
近年、高い指向性を持つパラメトリックスピーカ(所謂、超音波スピーカ)の研究開発が進んでいる。パラメトリックスピーカを含む音響システムは、目的とする場所(スポット)に向けて音を聞かせることができるので、ノイズの多い状況下での利用に適する。
パラメトリックスピーカに使用されるのが、超音波振動子である。超音波スピーカでは、複数の超音波振動子をアレイ状に配置する。また、アレイ状に配置された超音波振動子に、その共振周波数に一致する周波数を持つキャリア信号を使用して変調された可聴音信号の変調波を入力する。可聴音信号を変調する際の方式には、例えば、FM(Frequency modulation)、AM(Amplitude modulation)、SSB(Single side band modulation)等が使用できる。
各超音波振動子は、入力された変調波を空気中に放射し、放射された音波(変調波)が空気中を伝搬する途中において、音波の非線形性により、キャリア信号と変調波の差周波として可聴音が復調される。音波の非線形特性は、ナビエ・ストークス方程式及びこの方程式から導かれる流体を考慮した非線形方程式により規定される。
図23は、超音波振動子200の断面の一例を示す図である。図23を参照すると、超音波振動子200は、圧電素子201と金属板202とを貼り合わせてなる振動板203に、支柱204を介して、金属コーン205を連結する構造を備えている。さらに、振動板203は、弾性材206を介して、フレーム207に固定される。超音波振動子200への電気信号の入力は、端子208により行われる。圧電素子201の厚みは金属板202の厚みよりも十分薄いため、圧電素子201と金属板202からなる振動板203は、その節円の共振周波数f01における空気の体積排除量を向上させる役割を担う。
図24は、超音波振動子200の立体図の一例である。図25は、図24に示す超音波振動子200の分解図の一例である。なお、図24及び図25では、振動板203、支柱204及び金属コーン205に限り図示している。図26は、図23〜図25に示す超音波振動子200において、振動板203の節円の共振周波数f01での振動板203と金属コーン205の振動姿態の一例を示す図である。図26では、振動前の振動板203の外形線を、外形線203aとして図示し、振動前の金属コーン205の外形線を、外形線205aとして図示している。図26を参照すると、金属コーン205には殆ど変形がみられず、単に振動板203の屈曲動作に合わせて上下に動き、周辺の空気を排除することにより、超音波を放射していることが確認できる。
特許文献1において、金属板に圧電素子を貼り付け、音圧を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2において、圧電素子を用いたスピーカの低音特性を改善する技術が開示されている。さらに、特許文献3において、所定の間隔を隔てて配置された複数の圧電振動板を備え、隣接する圧電振動板を互いに湾曲させることで音圧レベルを向上させる技術が開示されている。さらにまた、特許文献4において、デジタル信号を用いて圧電振動子を制御する駆動方式が開示されている。さらにまた、特許文献5において、圧電振動子の耐衝撃性を向上させる技術が開示されている。
特開昭62−006600号公報 特開2001−036992号公報 国際公開第1995/32602号 特開昭60−048699号公報 特開2005−045691号公報
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
ここで、超音波スピーカの電気音響変換効率の向上と復調音の音質改善のためには、機械的品質係数(機械的Q値)を劣化させることなく、超音波振動子の共振周波数近傍の振動を拡張する必要がある(共振の帯域幅を広げる必要がある)。図27は、図23〜図25に示す超音波振動子200におけるアドミタンスの絶対値を示す図である。図27は、以下の諸条件のもとに計算したシミュレーション結果である。
・金属板202は、半径5mm、厚さ1mmの円形とし、主材料をリン青銅とする。
・金属コーン205は、半径4.5mm、高さ1mmの円錐台形とし、主材料をアルミニウムとする。
・支柱204は、半径1mm、高さ1mmとし、主材料をポリエチレンテレフタレート(PET)とする。
・圧電素子201は、半径5mm、厚さ0.05mmの円形とし、主材料をチタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)とする。
図27を参照すると、振動板203の節円の共振周波数f01による共振ピークを51kHzに確認できる。さらに、82kHzに、他の共振ピークが確認できるが、このピークは、図28に示すように、振動板203と金属コーン205とが互いに、上下逆方向に屈曲運動する結果生じるピークである。なお、図28においても、振動前の振動板203の外形線を、外形線203aとして図示し、振動前の金属コーン205の外形線を、外形線205aとして図示している。
図27の結果を参照すると、2つの共振ピークは、30kHz程度離れているため、超音波スピーカの放射音圧周波数特性において、それぞれの共振ピークがもつ帯域幅を補完し合う関係にはない。超音波振動子200における2つの共振ピークのそれぞれは、帯域幅の狭い共振といえる。
超音波振動子を超音波スピーカに利用する際には、超音波振動子の共振周波数に一致する周波数を持つキャリア信号により変調された電気信号(変調信号)が入力される。つまり、超音波振動子に入力される変調信号は、キャリア信号を中心として、可聴帯域幅(15kHz程度)に相当する帯域幅を持つ信号である。そのため、このような入力信号(変調信号)を音波として効率的に放射するためには、超音波振動子には、共振周波数を中心に極力広い帯域で振動することが求められる。
なお、超音波振動子における共振の帯域幅を広げる手法として、機械的Q値を下げることが考えられる。つまり、機械的摩擦の強い損失材であるゴムなどの樹脂を金属板や金属コーンに塗布する等の対応がなされる。しかしながら、このような手法では、金属板や金属コーンに付与された損失材により、エネルギー損失が生じ、電気音響変換効率の観点から問題である。なお、特許文献1〜3が開示する技術は、可聴音帯域での音圧改善や音質改善を目的としており、超音波帯域における共振の帯域幅を拡張することはできない。
以上の事情を鑑み、本発明は、電気音響変換効率を低下させることなく、共振の帯域幅を広げることに寄与する超音波振動子を提供することを目的とする。
本発明の第1の視点によれば、第1の圧電素子が貼り合わされた第1の金属板と、第2の金属板と、前記第1の金属板と第2の金属板を連結する支柱と、を備え、前記第1の金属板及び第2の金属板の振動は、同じ係数を持つ偏微分方程式により記述され、前記支柱のヤング率は所定の値以上である、超音波振動子が提供される。
本発明の1視点によれば、電気音響変換効率を低下させることなく、共振の帯域幅を広げることに寄与する超音波振動子が提供される。
一実施形態の概要を説明するための図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の断面の一例を示す図である。 超音波振動子10の立体図の一例である。 超音波振動子10の分解図の一例である。 超音波振動子10に含まれる構成要素の抽象化の概念を示す図である。 第1の金属板11と第2の金属板12における共振の等価回路図の一例を示す図である。 第1の金属板11と第2の金属板12の振動姿態の一例を示す図である。 第1の金属板11と第2の金属板12の振動姿態の一例を示す図である。 第2の金属板12の振幅において、支柱14のスティフネスspに対する依存性を示す図である。 圧電素子13において測定されるアドミタンス絶対値のFEM計算値の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の立体図の他の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の分解図の他の一例を示す図である。 圧電素子13において測定されるアドミタンス絶対値のFEM計算値の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の立体図の他の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の分解図の他の一例を示す図である。 支柱14の断面の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の立体図の他の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の分解図の他の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の立体図の他の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の分解図の他の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の立体図の他の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る超音波振動子10の分解図の他の一例を示す図である。 超音波振動子200の断面の一例を示す図である。 超音波振動子200の立体図の一例である。 図24に示す超音波振動子200の分解図の一例である。 振動板203の節円の共振周波数f01での振動板203と金属コーン205の振動姿態の一例を示す図である。 超音波振動子200におけるアドミタンスの絶対値を示す図である。 超音波振動子200の振動板203と金属コーン205の振動姿態の一例を示す図である。
初めに、図1を用いて一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。
上述のように、電気音響変換効率を低下させることなく、共振の帯域幅を広げる超音波振動子が望まれる。
そこで、一例として図1に断面図が示された超音波振動子100を提供する。超音波振動子100は、第1の圧電素子が貼り合わされた第1の金属板101と、第2の金属板102と、第1の金属板101と第2の金属板102を連結する支柱103と、を備える。さらに、第1の金属板101及び第2の金属板102の振動は、同じ係数を持つ偏微分方程式により記述され、支柱103のヤング率は所定の値以上とする。
超音波振動子100では、複数の金属板とこれらを連結する支柱103を備える。これらの超音波振動子100の構成要素を、所定の基準に従い適切に選択する。その結果、複数の金属板のうち、1以上の金属板を共振させることにより生じる2つの共振ピークを近接させることができる。2つの共振ピークが近接すれば、超音波振動子100全体において1つの帯域幅が広い共振が生じていることみなせる。即ち、機械的摩擦の強い損失材を用いていないため電気音響変換効率が低下することがなく、共振の帯域幅を広げることができる。
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。なお、以降の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図2は、第1の実施形態に係る超音波振動子10の断面の一例を示す図である。超音波振動子10は、第1の金属板11と、第2の金属板12と、圧電素子13と、支柱14と、弾性材15と、フレーム16と、端子17と、を含んで構成される。
第1の金属板11には圧電素子13が貼り合わされ、振動板18を形成している。また、第1の金属板11と第2の金属板12の中心部に設けられた貫通孔に支柱14を挿入することで、第1の金属板11と第2の金属板12は連結されている。振動板18は、弾性材15に接合(接着でもよい)され、フレーム16に固定される。超音波振動子10への電気信号の入力は、端子17により行われる。なお、弾性材15には、例えば、ウレタンゴム、二トリル系ゴム等の弾性を有する材料を用いることができる。また、フレーム16には、例えば、樹脂材料や、真鍮、ステンレス等を用いることができる。
図3は、超音波振動子10の立体図の一例である。図4は、図3に示す超音波振動子10の分解図の一例である。なお、図3及び図4では、第1の金属板11、第2の金属板12、圧電素子13、支柱14に限り図示している。
第1の実施形態に係る超音波振動子10において、図2〜図4に示す構成要素(第1の金属板11、第2の金属板12、支柱14)の選択は、以下の設計方針に基づき決定される。
第1の金属板11と第2の金属板12の振動は、同じ係数を持つ偏微分方程式により記述される。例えば、第1の金属板11と第2の金属板12のそれぞれの材料、形状、寸法が同一となる金属板を使用する。
支柱14は樹脂材料から構成するが、樹脂材料のなかでもゴム材料を使用せず、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene copolymer)やアクリル等のヤング率が所定の値以上(例えば、1GPa以上)である材料を選択する。
ここで、超音波振動子10は、振動板18と第2の金属板12を含んで構成されるが、これらを数学的にモデル化することで、各構成要素は多様体として抽象化できる(図5参照)。その際の抽象化において、以下の3点を前提とする。
第1の前提;
第2の金属板12と振動板18の振動変形は、各々が独立して存在する場合には(支柱14により連結されてなければ)、偏微分方程式により記述される。また、支柱14を介して連結される場合であっても、第2の金属板12と振動板18の振動変形は、同じ偏微分方程式の形式で表現できる。
第2の前提;
支柱14は、機械的スティフネス(機械的剛性)及び機械的摩擦として記述される。
第3の前提;
各部材(例えば、第1の金属板11、第2の金属板12)の内部は一様に構成されており、質量、スティフネス、機械摩擦も一様となる。
これら3点の前提のうち、第1の前提については、振動板18を構成する第1の金属板11や第2の金属板12が、樹脂により構成される支柱14よりも遙かに高いスティフネス(ヤング率にして10〜100倍程度)と、質量を持つことから現実的且つ妥当な前提と言える。以下、第1の前提の妥当性を説明する。
第1の金属板11、第2の金属板12それぞれの部材を複数の微小領域に分割して考える。その上で、i(自然数、以下同じ)番目の微量領域を取り出すと、一般座標qiについての運動方程式は、以下の式(1)の通りに記述できる。式(1)は、ラグランジュ方程式に、計量テンソルにより記述された質量m、摩擦損失(機械的損失)r、スティフネスsを代入することで得られる。

Figure 2014236292

なお、添え字jについては、アインシュタインの縮約規則を適用するものとする。また、式(1)において、ラグランジュ未定乗数λを用いると、ラグランジュの未定乗数項は以下の式(1−1)により表せる。

Figure 2014236292
ここで、式(1−1)に示すラグランジュの未定乗数項は、支柱14による第2の金属板12と振動板18それぞれの連結による拘束を表す。この未定乗数項は、一般座標と速度により決定されていると規定していることから、力学的ポテンシャル及び摩擦による散逸関数のみにより与えられ、第2の前提から導ける。式(1)に示すfiは、外部からの駆動力を表し、本実施形態においては、圧電素子13による駆動力を示す。
式(1)において、ラグランジュの未定乗数項を除く部分は、各部材(第1の金属板11、第2の金属板12)の偏微分方程式と同値である。即ち、各部材の質量m、スティフネスs、摩擦損失rを表す計量テンソルに偏微分方程式の全情報が集約される。式(1)において、近似的にではあるが、各部材の計量テンソルは、第3の前提により定数とみなすことができる。また、ラグランジュの未定乗数項により表される支柱14による拘束力も、全ての微小領域に一様に加わるとみなせるから、式(1)は以下の式(2)のように、全ての微少領域に対して一様な係数である運動方程式として表せる。

Figure 2014236292
式(2)では、各部材の全ての微小領域の運動が、同じ運動方程式で表されると近似している。式(2)において、各部材の全体について、一般座標qを各微小領域の直交座標の各方向に振り分け、且つ、ベクトル表記すると、下記の式(3)が得られる。

Figure 2014236292

なお、式(3)において、直交座標のx方向のベクトルx、y方向のベクトルy、z方向のベクトルzを用いると、u=(x、y、z)となる。また、式(3)における添え字は、一般化座標を各微小領域の直交座標に分解していることから、iからkに書き換えている。
式(3)を用いて、各部材の全領域において積分を実行すると、以下の式(4)が得られる。

Figure 2014236292

なお、ベクトルu、駆動力fについて、以下の式(4−1)に示す置き換えを行い式得(4)の導出を行っている。

Figure 2014236292

また、式(4)において、ラグランジュの未定乗数項は以下の式(4−2)のとおりである。

Figure 2014236292
式(4)において、ラグランジュの未定乗数項は、式(4−2)に示す形で示され、具体的なU、dot(U)の関数としては与えられていない。なお、dot(U)は位置ベクトルUの微分を表し、以降の説明においても同様とする。第1の前提と第2の前提により、支柱14のポテンシャルエネルギー及び散逸関数は、第1の金属板11と第2の金属板12の位置ベクトルの差(U1−U2)、速度ベクトルの差(dot(U1)−dot(U2))により決定されると考えられる。なお、U1、U2は、それぞれ第1の金属板11、第2の金属板12の位置ベクトルを示す。
また、数cm四方の超音波振動子に対して、共振周波数を超音波帯域である40kHz以上とするためには、通常、圧電素子13の厚みは0.05mm程度とするのに対し、金属板の厚みは1mm以上であるので、圧電素子13の質量やスティフネスが、超音波振動子10における全体の共振周波数や振動姿態に及ぼす影響は軽微であるといえる。さらに、超音波振動子10の摩擦損失は共振時のQ値に影響を与えるが、本実施形態では、共振周波数を制御するものであるため、摩擦損失を考慮していない。そのため、圧電素子13は、式(2)〜(4)の右辺における駆動力としての意味を持つ。
圧電素子13の駆動力は、第1の金属板11及び第2の金属板12に対して、下記の式(5)、式(6)の集中定数による2階の偏微分方程式により表させる。

Figure 2014236292

Figure 2014236292

なお、spは支柱14のスティフネス、rpは支柱14の摩擦損失を表す。
第1の金属板11及び第2の金属板12は、実質的に同一の材料、形状、大きさであるから、質量m1=質量m2、摩擦損失r1=摩擦損失r2、スティフネスs1=スティフネスs2である。式(5)、式(6)を連立させると、これらの式は図6に示すように、電気機械等価回路とみなせる。また、図2〜図4に示す超音波振動子10では、振動が上下方向に起こり、左右方向及び奥行き方向にはほとんど生じない。そのため、上下方向のみの振動を扱うものと考え、式(5)及び(6)のベクトルをスカラとみなしても、超音波振動子10の設計においては問題が生じない。従って、超音波振動子10での加振力及び振動は正弦波であるとして、角速度ωのフーリエ成分に対し、式(5)及び式(6)は、それぞれ下記の式(7)、(8)に書き直すことができる。

Figure 2014236292

Figure 2014236292

なお、式(7)、式(8)においてベクトルUに対応するスカラをスカラVと表記している。
さらに、式(7)、式(8)を行列形式にて書き直すと、下記の式(9)となる。

Figure 2014236292

なお、以下に示す式(9−1)及び(9−2)の置き換えを行い、式(9)の導出の際に行っている。

Figure 2014236292

Figure 2014236292
式(9)により、固有関数は下記の式(10)におけるωの2次方程式の解として与えられる。

Figure 2014236292

従って、固有周波数は、下記の式(11−1)及び(11−2)の通りとなる。

Figure 2014236292

Figure 2014236292
式(11−1)が示す解は、第1の金属板11と第2の金属板12の共振角周波数が等しいことを示す。また、式(11−2)が示す解は、支柱14のスティフネスspは、第1の金属板11と第2の金属板12の共振に影響を及ぼしていることがわかる。この2つの式に示す各々の共振は等価回路により表現できる。具体的には、各々の共振は、図6に示す等価回路において、下記のような電流(振動速度)に関する2つの閉回路における共振である。
ω1の閉回路:F→m1→r1→s1→m2→r2→s2→グランド
ω2の閉回路:F→m1→r1→s1→sp→rp→グランド
また、図6に示す等価回路では、以下の共振も存在する。
グランド→rp→sp→m2→r2→s2→グランド
ω1は、支柱14によるブランチに関係なく、加振源(即ち、圧電素子13の駆動力)から第1の金属板11、第2の金属板12を回る閉回路を示す。また、ω2は、第1の金属板11と第2の金属板12から支柱14のブランチに電流が流れこむような閉回路を示す。
図7及び図8は、それぞれ、有限要素法(FEM;Finite Element Method)により計算したω1、ω2に対応する振動姿態の一例を示す図である。図7及び図8では、上下方向の振動振幅を示し、変動前の外形線を実線にて図示している。なお、図7及び図8において、振動前の第1の金属板11の外形線を、外形線11aとして図示し、振動前の第2の金属板12の外形線を、外形線12aとして図示している。また、図7及び図8では、理解の容易のため、第1の金属板11と第2の金属板12の変形を誇張して図示している。
式(9)を計算すれば容易に導ける事項ではあるが、図6に示す等価回路において、ω1の閉回路では、dot(V1)=dot(V2)であり、振動の振幅及び方向は同じとなる。このことは、図7に示す結果と一致する。また、図6に示す等価回路において、ω2の閉回路では、dot(V1)=−(V2)であり、振動の振幅は同じであるが、その方向は逆(符号が逆)となる。このことは、図8に示す結果と一致する。
2つの解であるω1、ω2を見比べると、支柱14のスティフネスspが小さければ、ω2の解がω1の解に近づくことが理解できる。従って、支柱14を樹脂により構成することで、そのスティフネスを小さくできるため、2つの共振周波数を近接できることになる。
一方で、あまりにスティフネスを小さくし過ぎると、2つの共振周波数において、振動が第2の金属板12に伝わらない。このことは、図6に示す等価回路からも明らかである。即ち、図6の中央に位置する支柱14のブランチが低インピーダンス過ぎると、電流がブランチのみに流れ、第2の金属板12のブランチに電流が流れなくなる。つまり、第2の金属板12からの音波の放射が行われないことと同義であり、超音波振動子10を設計していることにならない。
図9は、第2の金属板12の振幅において、支柱14のスティフネスspに対する依存性を示す図である。図9の結果は、式(7)〜(9)から計算した、第2の金属板12の上下方向の振動変位の絶対値である。その際、以下の条件を用いた。
・第1の金属板11及び第2の金属板12は、半径5mm、厚さ1mmの円形とし、主材料はリン青銅とする。
・支柱14は、半径0.5mm、高さ1mmの樹脂材料とする。
・圧電素子13による加振力は、式(7)、式(9)における右辺をF0=ω2として計算する。
・支柱14のスティフネスspは、支柱の高さと半径を用いて、以下の式(12)から計算する。
Figure 2014236292
なお、Epは支柱14の物質におけるヤング率、hpは支柱14の高さである。
・支柱14の主材料をポリエチレンテレフタレート(PET)とし、そのヤング率を3.4GPaとすると、sp=2.7×106[N/m]となる。
また、図9において、縦軸(振幅)は上記のとおり、圧電素子13による加振力を、F0=ω2としているため、単位を示していない。
図9を参照すると、支柱14のスティフネスspが一定値以上(図9では、105 [N/m] 以上)であれば、第2の金属板12の振動に顕著な変化は確認できないが、それ以下となる振幅が低下することがわかる。このことから、支柱14はヤング率が1GPa以上である樹脂材料で構成しなければならず、スティフネスの低いゴム材料等は支柱14には使用できないことを示す。
図9の結果を算出する際の条件において、圧電素子13の主材料をチタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、支柱14の主材料をポリエチレンテレフタレート(PET)に選択する場合の圧電素子13において測定されるアドミタンス絶対値のFEM計算値を図10に示す。図10を参照すると、2つの共振ピークが非常に近接しており、その差は5kHzとなっている。超音波振動子10から放射される音波の音圧は、空気の粘性や放射インピーダンスにより、各共振ピークは図10に示すスペクトラムよりも緩やかになる。そのため、放射される音波の周波数特性上では、2つの共振ピークが、ほぼ1つの共振ピークとして現れることになる。その結果、超音波振動子10の機械的Q値を劣化させることなく、共振の帯域幅を広げることができる。
なお、超音波振動子10を形成する金属板の枚数は2枚に限定されない。図11及び図12は、第1の金属板11、第2の金属板12と第3の金属板19を支柱14により連結する超音波振動子10を示す。図11、図12に示すように、2枚以上の金属板を用いて超音波振動子10を形成してもよい。図13を参照すると、3つの共振ピークが7kHzの帯域幅に収容されており、2枚の金属板を使用するよりも共振の帯域幅を広げることができる。
図14、図15に示すように、2枚の金属板に貫通孔を開けずに、支柱14の両端の面で接着してもよい。
支柱14を樹脂により形成する際に、2つの共振ピークが所望の状態よりも近接しすぎてしまうことが想定できる。このような場合の対応として、支柱14のスティフネスspを増加させる対策が考えられる。具体的には、図16に示すように、支柱14の内部に金属線20を含ませることで、支柱14のスティフネスspを制御することもできる。なお、支柱14のスティフネスspにより、共振周波数の差を制御できることは、上述の式(11−1)及び(11−2)を参照して説明した通りである。
図17、図18に示すように、第1の金属板11や第2の金属板12は、円形形状である必要はなく、矩形形状を初めとした種々の形態とすることができる。
図19、図20に示すように、第2の金属板12にも圧電素子21を貼り付け、2枚の圧電素子を加振源とすることもできる。
さらに、第1の金属板11と第2の金属板12は、必ずしも同一の材質、形状、寸法でなくてもよい。第1の金属板11及び第2の金属板12の間には、それぞれの振動が、前述の微分方程式により表され、且つ、微分方程式の係数が同程度となる関係があればよい。即ち、第1の金属板11及び第2の金属板12には、実質的に同一の係数を持つ2階常微分方程式で記述される関係があればよい。例えば、図21及び図22に示すように、圧電素子13を貼り付ける第1の金属板11を矩形形状、第2の金属板12を円形形状とすることもできる。図21及び図22に示す2枚の金属板において、第1の金属板11の一辺の長さと、第2の金属板12の直径と、を等しくすることで、質量、スティフネス、摩擦損失を表す各定数を同等程度(±20%程度)とすることができる。また、微分方程式の係数をほぼ同等にできる場合には、図23〜図25に示すようなコーン形状を採用することもできる。
第1の実施形態に係る超音波振動子10は、携帯電話、スマートフォン、ポータブルオーディオプレイヤー、テレビ装置、タブレット端末、ゲーム機等の電子機器に搭載するスピーカ(超音波スピーカ)への使用が好適である。
以上のように、第1の実施形態に係る超音波振動子10では、同一の形状等を持つ2枚の金属板を、所定の値よりもヤング率が高い支柱により連結することで、2以上の共振ピークを近接させることができる。その結果、超音波振動子10に生じる共振の帯域幅を広げることができる。その結果、広帯域な超音波放射を可能とする超音波スピーカが提供できる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
上述の第1の視点に係る超音波振動子のとおりである。
[付記2]
前記第1及び第2の金属板それぞれの材料、形状、寸法は同一である付記1の超音波振動子。
[付記3]
前記支柱のヤング率は、ゴム材料のヤング率よりも高い付記1又は2の超音波振動子。
[付記4]
前記第2の金属板には、第2の圧電素子が貼り合わされている付記1乃至3のいずれか一に記載の超音波振動子。
[付記5]
前記第1及び第2の金属板の形状は、円形形状及び矩形形状のいずれかである付記1乃至4のいずれか一に記載の超音波振動子。
[付記6]
前記第1及び第2の金属板には、前記支柱を挿入するための貫通孔が設けられている付記1乃至5のいずれか一に記載の超音波振動子。
[付記7]
前記第1及び第2の金属板は、前記支柱の両端の面において接着される付記1乃至5のいずれか一に記載の超音波振動子。
[付記8]
前記支柱により、前記第1及び第2の金属板と連結される、第3の金属板をさらに備える付記1乃至7のいずれか一に記載の超音波振動子。
[付記9]
前記支柱の内部に金属線を含む付記1乃至8のいずれか一に記載の超音波振動子。
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
10、100、200 超音波振動子
11、101 第1の金属板
11a、12a、203a、205a 外形線
12、102 第2の金属板
13、201 圧電素子
14、103、204 支柱
15、206 弾性材
16、207 フレーム
17、208 端子
18、203 振動板
19 第3の金属板
20 金属線
202 金属板
205 金属コーン

Claims (9)

  1. 第1の圧電素子が貼り合わされた第1の金属板と、
    第2の金属板と、
    前記第1の金属板と第2の金属板を連結する支柱と、
    を備え、
    前記第1の金属板及び第2の金属板の振動は、同じ係数を持つ偏微分方程式により記述され、
    前記支柱のヤング率は所定の値以上である、超音波振動子。
  2. 前記第1及び第2の金属板それぞれの材料、形状、寸法は同一である請求項1の超音波振動子。
  3. 前記支柱のヤング率は、ゴム材料のヤング率よりも高い請求項1又は2の超音波振動子。
  4. 前記第2の金属板には、第2の圧電素子が貼り合わされている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超音波振動子。
  5. 前記第1及び第2の金属板の形状は、円形形状及び矩形形状のいずれかである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の超音波振動子。
  6. 前記第1及び第2の金属板には、前記支柱を挿入するための貫通孔が設けられている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の超音波振動子。
  7. 前記第1及び第2の金属板は、前記支柱の両端の面において接着される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の超音波振動子。
  8. 前記支柱により、前記第1及び第2の金属板と連結される、第3の金属板をさらに備える請求項1乃至7のいずれか一項に記載の超音波振動子。
  9. 前記支柱の内部に金属線を含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載の超音波振動子。
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