JP2021190792A - スピーカ、解析装置、及び解析方法 - Google Patents

スピーカ、解析装置、及び解析方法 Download PDF

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将 黒澤
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Abstract

【課題】設計自由度を向上させることが可能なスピーカ、解析装置、及び解析方法を提供する。【解決手段】スピーカは、シェル形状の振動板14と、振動板の端部を励振させるアクチュエータと、を備える。アクチュエータの駆動力は、振動板14の厚み方向に直交する方向である14Aの面(z方向)に対して入力される。アクチュエータが振動板の端部に当接され、そのアクチュエータの駆動力が振動板の端部へと伝わった場合、振動板には屈曲振動(たわみ振動)が励起され、振動板より音響放射がなされる。【選択図】図3

Description

本発明は、スピーカ、解析装置、及び解析方法に関する。
エキサイタと呼ばれる導電型のアクチュエータと平板とを組み合わせた分布モードスピーカ(Distributed Mode Loudspeaker;DML)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
Harris, Neil and Hawksford, Malcolm J., "The Distributed-Mode Loudspeaker (DML) as a Broad-Band Acoustic Radiator," presented at the Audio Engineering Society Convention 103 (1997 Sep), convention paper 4526.
しかしながら、従来の技術では、スピーカの設計自由度が低かった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、設計自由度を向上させることが可能なスピーカ、解析装置、及び解析方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の一態様は、シェル形状の振動板と、前記振動板の端部を励振させるアクチュエータと、を備えるスピーカである。
本発明の一態様によれば、スピーカの設計自由度を向上させることができる。
実施形態に係る解析装置100の構成の一例を表す図である。 シェル構造型スピーカ10に含まれるアクチュエータ12の一例を表す図である。 シェル構造型スピーカ10に含まれる振動板14の一例を表す図である。 シェル構造型スピーカ10に含まれる振動板14の一例を表す図である。 シェル構造型スピーカ10に含まれる振動板14の一例を表す図である。 シャローシェルについて説明するための図である。 電気機械−音響連成解析の一連の処理の流れを表すフローチャートである。 アクチュエータ12の等価回路の一例を表す図である。 駆動力Finが与えられたときの振動板14の速度分布の一例を表す図である。 駆動力Finが与えられたときの振動板14の速度分布の一例を表す図である。 半円筒形状の振動板14の波の速度と、比較例であるフラット形状の振動板14の波の速度の比較結果を表す図である。 半円筒形シェルの音響放射パワーレベルと、比較例である平板の音響放射パワーレベルの比較結果を表す図である。 平板の指向性を表す図である。 平板の指向性を表す図である。 半円筒形シェルの指向性を表す図である。 半円筒形シェルの指向性を表す図である。 互いに曲率の異なる複数の半円筒形シェルのそれぞれの音響放射パワーの比較結果を表す図である。 軸対称シェルと非軸対称シェルとのそれぞれの音響放射パワーの比較結果を表す図である。
以下、図面を参照し、本発明のスピーカ、解析装置、及び解析方法の実施形態について説明する。
[解析装置の構成]
図1は、実施形態に係る解析装置100の構成の一例を表す図である。図示のように、解析装置100は、例えば、入力部110と、出力部120と、記憶部130と、処理部140とを備える。
入力部110は、例えば、ユーザから各種の入力操作を受け付けるユーザインターフェースである。入力部110は、入力操作を受け付けると、その受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理部140に出力する。例えば、入力部110は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネルであってよい。
出力部120は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、スピーカといったユーザインターフェースである。ディスプレイには、例えば、処理部140によって生成された画像が表示されたり、ユーザから各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)が表示されたりしてよい。
記憶部130は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより実現される。記憶部130には、ファームウェアやアプリケーションプログラムなどの各種プログラムが格納される。
処理部140は、例えば、解析部142と、出力制御部144とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサが記憶部130に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、処理部140の構成要素の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
解析部142は、シェル構造型スピーカ10の音響特性を解析する。シェル構造型スピーカ10とは、アクチュエータ12と、シェル形状の振動板14とを組み合わせたスピーカである。
出力制御部144は、解析部142による解析結果を出力部120に出力させる。解析結果の詳細については後述する。
図2は、シェル構造型スピーカ10に含まれるアクチュエータ12の一例を表す図である。例えば、アクチュエータ12は、交流電圧が印加されると、駆動力を出力する導電型のエキサイタ(加振器)であってよい。このようなエキサイタは、例えば、ボイスコイルモータである。アクチュエータ12は、動電型のエキサイタに限られず、PZT(Lead Titanate Zirconate)に代表されるような圧電セラミックスや、圧電薄膜、圧電高分子膜といった圧電型のエキサイタであってもよい。
図3から図5は、シェル構造型スピーカ10に含まれる振動板14の一例を表す図である。図3は、長辺が180度の円弧に湾曲した半円筒形状の振動板14を表している。図4は、円筒形状の振動板14を表している。図5は、ホーン形状の振動板14を表している。特に、円筒形状の振動板14とホーン形状の振動板14は、アクチュエータ12の駆動力が入力される方向(図中z方向)に関して軸対称な形状である。
このように、振動板14は、その表面が任意の曲率で形成されたシェル形状の曲面板であってよい。振動板14は、例えば、樹脂、金属、ガラス、プラスチック、木材といった種々の材質であってよい。振動板14の端部にはアクチュエータ12が当接される。例えば、振動板14が直方体を曲げた薄い曲面板である場合、振動板14の端部は、その直方体の厚み方向の面(例えば図中14Aの面)となる。言い換えれば、アクチュエータ12の駆動力は、振動板14の厚み方向に直交する方向(z方向)に対して入力される。アクチュエータ12が振動板14の端部に当接され、そのアクチュエータ12の駆動力が振動板14の端部へと伝わった場合、振動板14には屈曲振動(たわみ振動)が励起される。すなわち、振動板の振動モードは、屈曲振動モードとなる。
[理論]
以下、シェル構造型スピーカ10の解析方法を説明するのに先立って、まずはシェル形状の振動板14の振動理論について説明する。シェル形状の振動板14は、例えば、シャローシェル(扁平シェル)における振動の理論を基に考察することができる。
図6は、シャローシェルについて説明するための図である。シャローシェルとは、例えば、あるxy平面に振動板14が拡がっており、その振動板14のx軸における曲率半径Rxとし、y軸における曲率半径Ryとしたときに、振動板14がx軸において曲率半径Rxでわずかに曲げられており、y軸において曲率半径Ryでわずかに曲げられたような形状である。言い換えれば、シャローシェルは、x/Rx及びy/Ryが共に1よりも小さいという条件を満たした形状である。そのため、振動板14の少なくとも一部分がx/Rx<<1、且つy/Ry<<1であれば、振動板14はシェル形状(シャローシェル)であると見做すことができる。
シャローシェルの振動の理論式は、数式(1)−(7)によって表される。
Figure 2021190792
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数式(1)−(7)におけるEpは伸縮剛性を表しており、Gはせん断弾性率を表し、Dは曲げ剛性を表している。伸縮剛性Epは、数式(8)によって表すことができ、曲げ剛性Dは、数式(9)によって表すことができる。
Figure 2021190792
Figure 2021190792
振動板14の縦波の速度CLは、数式(10)によって表され、屈曲波(曲げ波)の速度CBは、数式(11)によって表される。
Figure 2021190792
Figure 2021190792
E、ν、ρ、及びGは材料パラメータである。パラメータEはヤング率を表し、νはポアソン比を表し、ρは密度を表し、Gはせん断弾性率を表している。
数式(1)、(4)、及び(6)において、面内変位{u,v}と面外変位{w}は、L13、L23で結合している。すなわち、シャローシェルに対して面内方向の振動を加振しても、シェル構造によって面外方向の振動に対向しており、理論的には音響放射に寄与する。
しかしながら、シェルの曲率半径(Rx、Ry)が十分に大きい場合には、L13、L23がゼロに近づき、面内変形と面外変形は結合しない。したがって、この条件で平板を面内方向に振動させても、面外変形は結合しない。平板が音響放射に寄与するのは、L33を含む屈曲振動方程式に従って面外方向に振動した場合のみである。
本実施形態で説明するシャローシェルの振動理論では、シェルの曲率が十分に小さく、特定の境界条件の下でのみ正確な解が得られる。大きな曲率を持つシェル構造の場合、理論式から厳密解が得られない場合がある。そのため、シェル振動の具体的な近似解を得るためには、以下に示すような有限要素解析などのシミュレーション手法を用いてよい。
[シミュレーション]
解析部142は、シェル構造型スピーカ10の音響特性を解析するために、図7に表すフローチャートに従って、電気機械−音響の連成解析を行う。図7は、電気機械−音響連成解析の一連の処理の流れを表すフローチャートである。
まず、解析部142は、アクチュエータ12の等価回路を用いて、ある入力電圧einからアクチュエータ12の駆動力Foutを計算する(ステップS100)。
図8は、アクチュエータ12の等価回路の一例を表す図である。図示の例では、アクチュエータ12がボイスコイルである場合の等価回路を表している。等価回路のパラメータは、アクチュエータ12の入力端子からの電気インピーダンスを測定した結果に基づいて決定されてよい。また、アクチュエータ12のインピーダンスには、L2Rモデルを用いてよい。アクチュエータ12内の電気機械的トランスデューサは、回動抵抗値が力率Blである回動子で表される。CMSとRMSは、それぞれサスペンションの機械的コンプライアンスと機械的抵抗を表している。MMVは、ボイスコイルの質量を表している。RMM及びMMMは、ボイスコイルの磁石の機械的抵抗と質量を表している。この等価回路を用いることで、任意の入力電圧einからアクチュエータ12の出力駆動力Foutを得ることができる。
例えば、解析部142は、アクチュエータ12の等価回路に対して所望の入力電圧(例えば2.83[Vrms])を印加することで、アクチュエータ12の駆動力Finを計算する。
図7のフローチャートの説明に戻る。次に、解析部142は、アクチュエータ12の等価回路と有限要素法(FEM)を用いて、振動板14の端部にアクチュエータ12を当接したときに、アクチュエータ12から振動板14へと入力される駆動力(機械的な振動)を計算する(ステップS102)。
例えば、解析部142は、等価回路解析と有限要素解析(FEA)との結合の弱さを考慮して、アクチュエータ12から振動板14へと入力される有効駆動力Finを、数式(12)のように計算してよい。
Figure 2021190792
数式(12)におけるZMOは、アクチュエータ12の出力端子から見た機械的インピーダンスを表している。ZMIは、振動板14の端部から見た機械的インピーダンスを表している。例えば、解析部142は、機械的インピーダンスZMOを、等価回路により算出し、機械的インピーダンスZMIを、有限要素法により算出する。そして、解析部142は、算出したZMO及びZMIを数式(12)に代入することで、振動板14への入力駆動力Finを算出する。
図7のフローチャートの説明に戻る。次に、解析部142は、有限要素法を用いて、振動板14への入力駆動力Finから振動板14の速度分布を計算する(ステップS104)。
図9及び図10は、駆動力Finが与えられたときの振動板14の速度分布の一例を表す図である。図9の振動板14は、600[Hz]で振動させており、モードは形成されず端部のみがアクチュエータ12に追従して振動している。図10の振動板14は、6300[Hz]で振動させており、振動速度の大きい格子状屈曲振動モードが形成されている。シャローシェルの振動理論で説明した通り、振動板14の端部に駆動力Finを入力することで、振動板14の面内変形が面外変形に変換される現象が発生する。これによって、大きな振動速度を得ることができる。
図7のフローチャートの説明に戻る。次に、解析部142は、境界要素法(BEM)を用いて、振動板14の速度分布から振動板14の周囲への音響放射パワーを計算する(ステップS106)。機械的振動を計算するための有限要素解析と音響放射を計算するための境界要素解析は強結合解析である。したがって、解析部142は、例えば、CAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェアを用いて振動板14の音響放射パワーを計算してよい。具体的には、解析部142は、半径1[m]の球体を通過する音響放射パワーを1/12オクターブ間隔で100[Hz]〜20[kHz]の自由音域で計算してよい。解析部142は、音響放射パワーに代えて、或いは加えて、音響放射圧や放射速度などを計算してもよい。音響放射パワー、音響放射圧、放射速度は、「指標値」の一例である。
次に、出力制御部144は、解析部142による解析結果を出力部120に画像や音声として出力させる(ステップS108)。例えば、出力制御部144は、振動板14の振動速度の算出結果や、音響放射パワーの算出結果などを出力部120に出力されてよい。これによって本フローチャートの処理が終了する。
なお、上述したフローチャートでは、解析部142が、等価回路解析と、有限要素解析と、境界要素解析とを組み合わせて、シェル構造型スピーカ10の音響特性を解析するものとして説明したがこれに限られない。例えば、解析部142は、等価回路解析と有限要素解析とを組み合わせてシェル構造型スピーカ10の音響特性を解析してもよいし、有限要素解析と境界要素解析とを組み合わせてシェル構造型スピーカ10の音響特性を解析してもよいし、有限要素解析のみを用いてシェル構造型スピーカ10の音響特性を解析してもよい。すなわち、解析部142は、少なくとも有限要素法を用いて、シェル構造型スピーカ10の音響特性を解析してよい。
[解析結果]
以下、シェル構造型スピーカ10の音響特性の解析結果について説明する。図11は、半円筒形状の振動板14(以下、半円筒形シェル)の波の速度と、比較例であるフラット形状の振動板14(以下、平板)の波の速度の比較結果を表す図である。図中の三角マーカは、半円筒状シェルの波速の推定値を表し、丸マーカは、平板の波速の推定値を表している。実線は、屈曲波の速度CBの理論値を表し、破線は、縦波の速度CLの理論値を表している。
比較例である平板の波速は周波数の平方根に比例している。すなわち、これらは屈曲波の速度CBの理論値とほぼ一致している。半円筒形シェルの波速は、3[kHz]未満の周波数帯において、屈曲波の速度CBの理論値とほぼ一致しており、3[kHz]以上の周波数帯において、周波数に依らずにほぼ一定であり、縦波の速度CLの理論値とほぼ一致している。これらの結果から、平板は屈曲波のみであるのに対し、半円筒形シェルは屈曲波と縦波の両方を有していることがわかる。すなわち、半円筒形シェルは、高周波域において縦波による振動モードが形成されるため、平板では発生しない面内変形が発生しやすくなる。
図12は、半円筒形シェルの音響放射パワーレベルと、比較例である平板の音響放射パワーレベルの比較結果を表す図である。どちらの振動板14にもエンクロージャーを取り付けていないため、回折した音響波の位相によりキャンセルされ、1[kHz]以下の周波数帯では両者ともに6[dB/oct]程度低下している。
平板では、1[kHz]以下の周波数帯において、屈曲振動モードによる顕著なピークが発生している。更に、平板では、3[kHz]以上の周波数帯において、アクチュエータ12と振動板14との接続箇所である端部において力の反射が大きいため、音響放射パワーが低下している。一方、半円筒形シェルでは、1[kHz]以下の周波数帯において、アクチュエータ12の動きに追従しており、屈曲波によるモード振動が少なく、滑らかな音響特性を有している。更に、半円筒形シェルでは、4[kHz]以上の周波数帯において、縦波の面外振動への変換による多重共振が顕著に見られる。この共振を含む周波数帯域では、半円筒シェルの音響放射パワーは平板よりも高い。このように、シェル構造により振動板14の面内変形が面外変形へと変換されるため、高周波帯であっても十分な音響放射パワーを得ることができる。
図13及び図14は、平板の指向性を表す図である。図15及び図16は、半円筒形シェルの指向性を表す図である。図示のように、半円筒形シェルは平板に比べて指向性が広く、無指向性を有している。
図17は、互いに曲率の異なる複数の半円筒形シェルのそれぞれの音響放射パワーの比較結果を表す図である。振動板14の長辺を、0度、15度、45度、90度、180度の円弧に変化させたときに、振動板14の一方の端部にはアクチュエータ12を取り付けて加振し、他方の端部は固定端としている。
曲率が0度の振動板14(すなわち平板)の音響放射パワーは、全帯域において60[dB]以下であり、ほとんど音が発生していない。これは、振動板14の端部を励振しても面外変位が生じないためである。一方、曲率が15度以上の振動板14(すなわち半円筒形シェル)の音響放射パワーは、面外変位の発生により曲率が0度のときよりも音響放射パワーが大きく、大きな音が発生している。
また、曲率が180度の振動板14は、他の曲率の振動板14と比べて周波数の平坦性が良好である。これらの結果は、振動板14の曲率が音響放射パワーの周波数特性に影響を与えることを示唆している。具体的には、曲率が大きいほど音響放射パワーの周波数特性が良いことを示している。
図18は、軸対称シェルと非軸対称シェルとのそれぞれの音響放射パワーの比較結果を表す図である。軸対称シェルとは、例えば、円筒形状の振動板14やホーン形状の振動板14であり、非軸対称シェルとは、例えば、半円筒形シェルである。以下、円筒形状の振動板14を「円筒形シェル」と称し、ホーン形状の振動板14を「ホーン形シェル」と称して説明する。
円筒形シェルの音響放射パワーは、低周波帯域において、半円筒形シェルの音響放射パワーよりもはるかに低い。しかしながら、10[kHz]以上の周波数帯域では、円筒形シェルの方が半円筒形シェルよりも多くの音響パワーを放射している。ホーン形シェルの音響放射パワーは、1[kHz]以下では回折の影響で滑らかに減少している。また、ホーン形シェルは、格子状屈曲振動モード下において、半円柱状シェルよりも共振が顕著である。さらに、ホーン形シェルは、半円柱型よりも広い高周波帯域を有している。これらの結果から、振動板14にシェル構造を用いることは、平板を用いたDMLに比べて設計の自由度が高く、期待される性能に合わせて最適化することができる。
以上説明した実施形態によれば、シェル構造型スピーカ10が、半円筒形状や円筒形状、ホーン形状といったシェル形状の振動板14と、その振動板14の端部を励振させるアクチュエータ12とを備える。このような構成により、振動板14の縦波の面内変形が面外変形に変換されるため、固有周波数で強い音響放射が発生し、スピーカとしての音響特性を向上させることができる。つまり、平板を用いたDMLに比べてスピーカの設計自由度を向上させることができる。
一般的に、DMLには、構造パラメータが幅、高さ、厚さの3つしかないため、期待される音響性能を最適化することが困難なことや、二次元に伸びる平板を使用しているため、最大サイズが大きくなること、といった平板構造に由来する問題点があることが知られている。
これに対して、本実施形態では、振動板14にシェル構造を採用することで、平板を用いたDMLの構造上の問題点を改善した新しいタイプのDMLを実現することができる。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
10…シェル構造型スピーカ、12…アクチュエータ、14…振動板、100…解析装置、110…入力部、120…出力部、130…記憶部、140…処理部、142…解析部、144…出力制御部

Claims (9)

  1. シェル形状の振動板と、
    前記振動板の端部を励振させるアクチュエータと、
    を備えるスピーカ。
  2. 前記振動板は、厚み方向に直交する方向に関して軸対称なシェル形状である、
    請求項1に記載のスピーカ。
  3. 前記振動板は、円筒形状である、
    請求項2に記載のスピーカ。
  4. 前記振動板は、ホーン形状である、
    請求項2に記載のスピーカ。
  5. 前記シェル形状は、ある平面における一方の軸をxとし、他方の軸をyとし、前記振動板のx軸における曲率半径をRxとし、前記振動板のy軸における曲率半径をRyとした場合、x/Rx及びy/Ryが1よりも小さい条件を満たす形状である、
    請求項1から4のうちいずれか一項に記載のスピーカ。
  6. 情報を出力する出力部と、
    シェル形状のスピーカの振動板に対して音響振動解析を行い、前記スピーカの音響特性を解析する解析部と、
    前記解析部による解析結果を前記出力部に出力させる出力制御部と、
    を備える解析装置。
  7. 前記解析部は、少なくとも有限要素法を用いて、ある周波数帯における前記振動板の速度分布を算出し、前記算出した速度分布に基づいて、前記振動板から放射される音の強さの程度を表す指標値を、前記周波数帯における前記スピーカの音響特性として算出する、
    請求項6に記載の解析装置。
  8. 前記解析部は、
    前記振動板の曲率が大きいほど、より大きな前記指標値を算出し、
    前記指標値が大きいほど、前記スピーカの音響特性を高く評価する、
    請求項7に記載の解析装置。
  9. 情報を出力する出力部を備えるコンピュータが、
    シェル形状のスピーカの振動板に対して音響振動解析を行い、前記スピーカの音響特性を解析し、
    前記振動板の音響及び振動の解析結果を前記出力部に出力させる、
    解析方法。
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