JP2014235935A - 電池トレイ用フタ、フタ付き電池トレイ、および電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池の製造工程において、効率良く電池を製造することができる電池トレイ用フタを提供する。【解決手段】電池トレイ用フタ10は、電池80の注液口82aを上部にした状態で電池80を収納できる電池トレイ20とともに用いられる電池トレイ用フタであって、基材11と、基材11の一方の面に、少なくとも電池80の注液口82aを覆うように配置される封止部材12とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、電池の製造等に用いられる電池トレイ用フタ、およびフタ付き電池トレイ、ならびにこのフタ付き電池トレイを用いた電池の製造方法に関する。
従来、電池の製造工程において電池を充電する際、電極活物質と電解液との副反応によって電解液の一部が分解し、副生成ガスが発生することが知られている。
特開2008−27741号公報には、正極と負極とをセパレータを介して捲回した電極群を電解液とともにケースに挿入し仮封口により密閉して電池とする工程と、前記電池に少なくとも一回以上の充電操作を行う工程と、前記電池を開放し減圧化でガス抜きを行った後、再度仮封口により密閉する工程と、前記再度仮封口により密閉された電池を高温環境下でエージングする工程と、前記密閉された電池をエージング後に開放し減圧化でガス抜きを行った後、本封口により密閉する工程を有することを特徴とする非水電解質二次電池の製造法が記載されている。
同文献には、前記仮封口により密閉し電池とする工程は、雌ねじ部を有する注液口を持つ上蓋を電池ケースへ溶接し、前記注液口から電解液を注液した後、前記注液口へ雄ねじ部を有する仮注液栓を挿入し密閉することで行うと記載されている。
特開2008−27741号公報に記載された非水電解質二次電池の製造法では、仮封口するために電池の注液口に仮注液栓をねじ止めする必要があり、製造効率が低下する。
本発明の目的は、電池の製造工程において、効率良く電池を製造することができる電池トレイ用フタ、およびフタ付き電池トレイを提供することである。本発明の他の目的は、効率の良い電池の製造方法を提供することである。
本発明の一実施形態にかかる電池トレイ用フタは、電池の注液口を上部にした状態で前記電池を収納できる電池トレイとともに用いられる電池トレイ用フタであって、基材と、前記基材の一方の面に、少なくとも前記電池の注液口を覆うように配置される封止部材とを備える。
本発明の一実施形態にかかるフタ付き電池トレイ用は、電池の注液口を上部にした状態で前記電池を収納できる電池トレイと、本発明の一実施形態にかかる電池トレイ用フタとを備える。
本発明の一実施形態にかかる電池の製造方法は、本発明の一実施形態にかかるフタ付き電池トレイを用いた電池の製造方法であって、前記電池トレイに収納された前記電池に、前記注液口から電解液を注液する工程と、前記注液後、前記電池トレイに前記電池トレイ用フタを被せることによって前記注液口を覆い、所定時間待機する工程と、前記所定時間経過後に前記電池を充電する工程とを備える。
上記の電池トレイ用フタもしくはフタ付き電池トレイの構成、または電池の製造方法によれば、電池トレイに電池トレイ用フタを被せることによって、電池トレイに収納された電池の注液口を塞ぐことができる。そして、電池トレイから電池トレイ用フタを取り外すことで、再び注液口を開放することできる。このように、上記の構成によれば、注液口の仮封止と開放とを簡単に行うことができるため、電池の製造効率を向上することができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化又は模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
[第1の実施形態]
[フタ付き電池トレイの構成]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかるフタ付き電池トレイ1の概略構成を示す斜視図である。フタ付き電池トレイ1は、電池トレイ用フタ10と、電池トレイ20とを備えている。
[フタ付き電池トレイの構成]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかるフタ付き電池トレイ1の概略構成を示す斜視図である。フタ付き電池トレイ1は、電池トレイ用フタ10と、電池トレイ20とを備えている。
電池トレイ用フタ10は、平板形状の基材11と、基材11の一方の面(電池トレイ20と対向する面)の概略全体に形成された封止部材12とを備えている。
基材11は、例えば硬質の樹脂または金属によって形成されている。
封止部材12は、例えば樹脂またはゴムによって形成されている。封止部材12は、弾性の高い材質で形成されていることが好ましい。封止部材12は、後述するように水蒸気を遮蔽できる程度の気密性を備えていれば良い。
電池トレイ20は、電池を収納するための電池収納部20aを複数備えている。
図2は、電池トレイ20に収納される電池の一例としての電池80の概略構成を示す斜視図である。電池80は、外装缶81、フタ板82、負極端子83、電極捲回体84、封止栓85、および図示しない電解液を備えている。
外装缶81は、上部が開口した箱型の形状を有し、内部に電極捲回体84を収納している。外装缶81の開口部は、フタ板82によって覆われている。外装缶81およびフタ板82は、例えば、アルミニウム合金によって形成されている。
電池80は、扁平形状である。以下、フタ板82と垂直な方向を電池80の高さ方向D3と呼ぶ。電池80の高さ方向D3と垂直な断面において、外装缶81の短い方の寸法を電池80の厚さtと呼び、厚さtを規定する方向を電池80の厚さ方向D2と呼ぶ。電池80の高さ方向D3と垂直な断面において、外装缶81の長い方の寸法を電池80の幅Lと呼び、幅Lを規定する方向を電池80の幅方向D1と呼ぶ。
負極端子83は、フタ板82の中央部に配置されている。負極端子83は、フタ板82を貫通している。負極端子83とフタ板82とは、図示しない絶縁パッキングによって電気的に絶縁されている。負極端子83は、例えばニッケル材、または銅材にニッケルメッキしたものによって形成されている。
電極捲回体84は、詳しい構成は図示していないが、帯状の正極電極と、帯状の負極電極とを、セパレータを間に挟んで捲回し、厚さ方向に圧縮して扁平形状にしたものである。電極捲回体84の正極電極は、図示しないリードによってフタ板82と接続されている。電極捲回体84の負極電極は、図示しないリードによって負極端子83と接続されている。この構成によって、フタ板82および外装缶81は電極捲回体84の正極電極と導通し、負極端子83は電極捲回体84の負極電極と導通している。
フタ板82には、電解液を注液するための注液口82aが形成されている。注液口82aは、フタ板82を貫通している。注液口82aは、電解液を注液した後、封止栓85によって封止される。
図3は、電池80を電池トレイ20に収納した状態を示す斜視図である。図4(a)は、図3のA−A線に沿った断面図であり、図4(b)は、図3のB−B線に沿った断面図である。
図3に示すように、電池トレイ20は、電池80の注液口20aを上部(z方向上側)にした状態で電池80を収納することができる。換言すれば、電池トレイ20は、電池80を立てた状態で、すなわち、電池80の高さ方向D3とz方向とを概略平行にした状態で、電池80を収納することができる。
電池トレイ用フタ10の封止部材12は、既述のように、基材11の一方の面の概略全面に形成されている。そのため、図4に示すように、電池トレイ用フタ10を電池トレイ20に被せると、封止部材12が電池80の上部を覆うように配置される。封止部材12は、既述のように、弾性の高い材料で形成されているので、電池80の上部に負極端子83等によって凹凸がある場合でも、封止部材12を電池80の上部の凹凸に追従させることができる。これによって、封止部材12とフタ板82とを、より密着させることができる。
[電池トレイの構成1]
次に、電池トレイ20の構成について詳しく説明する。図5は、電池トレイ20の概略構成を示す分解斜視図である。電池トレイ20は、第1部材21と、第2部材22とを備えている。第1部材21および第2部材22は、例えば硬質の樹脂によって形成されている。
次に、電池トレイ20の構成について詳しく説明する。図5は、電池トレイ20の概略構成を示す分解斜視図である。電池トレイ20は、第1部材21と、第2部材22とを備えている。第1部材21および第2部材22は、例えば硬質の樹脂によって形成されている。
第1部材21は、複数の開口部211を備えている。第2部材22は、複数の収納部221を備えている。開口部211と収納部221とは、平面視において互いに重なり合うように配置されている。開口部211と収納部221との組み合わせによって、電池収納部20a(図1)が形成される。
図6は、開口部211の一つを抜き出して示す平面図である。図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図である。開口部211は、開口部211の内部の点である点C1に対して平面視において互いに対称に形成された第1規制壁211Aおよび第2規制壁211Bを含んでいる。開口部211は、第1部材21を貫通している。
図8は、収納部221の一つを抜き出して示す平面図である。図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図であり、図10は、図8のX−X線に沿った断面を示す斜視図である。収納部221は、収納部221の内部の点である点C2に対して平面視において互いに対称に形成された第1載置部221Aおよび第2載置部221Bを含んでいる。第1載置部221Aと第2載置部221Bとの間隔は、第1部材21側(開口部221側、図5におけるz方向上側)に向かうにつれて広がっている。収納部221の底部には、点C2の位置に、第2部材22を貫通する貫通口222が形成されている。
開口部211と収納部221とは、点C1と点C2とが、平面視において一致するように配置される。
図11は、電池80を、開口部211および収納部221によって構成される電池収納部20aに収納した状態を示す平面図である。図12(a)は、図11のA−A線に沿った断面図であり、図12(b)は、図11のB−B線に沿った断面図である。
図11に示すように、第1規制壁211Aは、電池80の幅方向D1の一方側(−D1側)において、電池80の厚さ方向D2の一方側(+D2側)の点P1において電池80と接している。第2規制壁211Bは、電池80の幅方向D1の他方側(+D1側)において、電池80の厚さ方向D2の他方側(−D2側)の点P2において電池80と接している。
図11および12に示すように、第1載置部221Aは、電池80の幅方向D1の一方側(−D1側)において、電池80の厚さ方向D2の他方側(−D2側)の点P3において電池80と接している。第2載置部221Bは、電池80の幅方向D1の他方側(+D1側)において、電池80の厚さ方向D2の一方側(+D2側)の点P4において電池80と接している。
このように、第1規制壁211A、第2規制壁211B、第1載置部221A、および第2載置部221Bが、電池80と4点において接しているため、電池トレイ20は、電池80を安定して保持することができる。
図13は、電池80の幅Lよりも狭い幅L1の電池80Aを、電池収納部20aに収納した状態を示す平面図である。電池80の場合と同様に、第1規制壁211Aは−D1側において+D2側にある点P5において電池80Aと接している。第2規制壁211Bは、+D1側において−D2側の点P6において電池80Aと接している。第1載置部221Aは、−D1側において−D2側の点P7において電池80Aと接している。第2載置部221Bは、+D1側において+D2側の点P8において電池80Aと接している。
図14は、電池80の幅Lよりも広い幅L2の電池80Bを、電池収納部20aに収納した状態を示す平面図である。この場合も同様に、第1規制壁211Aは−D1側において+D2側にある点P9において電池80Bと接している。第2規制壁211Bは、+D1側において−D2側の点P10において電池80Bと接している。第1載置部221Aは、−D1側において−D2側の点P11において電池80Bと接している。第2載置部221Bは、+D1側において+D2側の点P12において電池80Bと接している。
このように、電池トレイ20は、幅の異なる多品種の電池を安定して収納することができる。
さらに、電池トレイ20の構成によれば、第1規制壁211Aと第2規制壁211Bとが点対称に形成され、第1載置部221Aと第2載置部221Bとが点対称に形成されている。これによって、図11、図13、および図14に示すように、電池の幅が変わっても、電池の(平面視における)中心の位置を一定にすることができる。これによって、電池の幅が変わっても、負極端子83の位置を一定にすることができる。
さらに、電池トレイ20の構成によれば、収納部221の底部に貫通口222が形成されている。これによって、電池80を電池トレイ20に収納したまま、電池80を充電することができる。
図15は、電池80を電池トレイ20に収納したまま充電する様子を示す模式図である。図15(a)に示すように、充電工程では、電池80の上部から充電装置の上部電極91が、電池80の下部から充電装置の下部電極92が近づく。図15(b)に示すように、上部電極91は負極端子83に接触し、下部電極92は貫通口222を通って電池80の底部に接触する。既述のように、電池80の負極端子83は負極電極と電気的に接続され、電池80の負極端子83以外の部分は正極電極と電気的に接続されている。そのため、上部電極91および下部電極92から電流を流すことによって、電池80を充電することができる。
電池トレイ20の構成によれば、電池80の幅が変わっても負極端子83の位置が変わらないため、幅の異なる電池であっても充電装置の設計を変更することなく充電することができる。
[電池トレイの構成2]
フタ付き電池トレイ1は、電池トレイ20に代えて、次に説明する電池トレイ30を備えていても良い。図16は、電池トレイ30の概略構成を示す分解斜視図である。電池トレイ30は、第1部材31と、第2部材32と、第3部材33とを備えている。第1部材31、第2部材32、および第3部材33は、例えば硬質の樹脂によって形成されている。
フタ付き電池トレイ1は、電池トレイ20に代えて、次に説明する電池トレイ30を備えていても良い。図16は、電池トレイ30の概略構成を示す分解斜視図である。電池トレイ30は、第1部材31と、第2部材32と、第3部材33とを備えている。第1部材31、第2部材32、および第3部材33は、例えば硬質の樹脂によって形成されている。
第1部材31は、複数の開口部311を備えている。第2部材32は、複数の開口部321を備えている。第3部材33は、複数の収納部331を備えている。開口部311、開口部321、および収納部331は、平面視において互いに重なり合うように配置されている。開口部311、開口部321、および収納部331の組み合わせによって、電池トレイ30の電池収納部が形成される。
図17は、開口部311の一つを抜き出して示す平面図である。図18は、図17のXVII−XVII線に沿った断面図である。開口部311は、第1部材31を貫通している。開口部311は、開口部311の内周壁の一部に形成された第1規制部311Aを含んでいる。
図19は、開口部321の一つを抜き出して示す平面図である。図20は、図19のXX−XX線に沿った断面図である。開口部321は、第2部材32を貫通している。開口部321は、開口部321の内周壁の一部に形成された第2規制部321Aを含んでいる。
図21は、収納部331の一つを抜き出して示す平面図である。図22は、図21のXXII−XXII線に沿った断面図である。収納部331の底部には、第3部材33を貫通する貫通口332が形成されている。
図23は、電池80を、第1部材31の開口部311、第2部材32の開口部321、および第3部材33の収納部331から形成される電池収納部に収納した状態を示す平面図である。図24は、図23のXXIV−XXIV線に沿った断面図である。
図23に示すように、開口部311の第1規制部311Aは、電池80と点P21および点P22の2点において接している。開口部321の第2規制部321Aは、電池80と点P23および点P24の2点において接している。
このように、第1規制部311Aおよび第2規制部321Aが、電池80と4点において接しているため、電池トレイ30は、電池80を安定して保持することができる。
電池トレイ30は、第1部材31と第2部材32との間隔を変えることによって第1規制部311Aと第2規制部321Aとの間隔を変えて、幅および厚さの異なる電池を収納することができる。ここで、図24における第1規制部311Aと第2規制部321Aとの間隔をS0とする。
図25は、電池80の幅Lよりも狭い幅L1の電池80Aを、電池トレイ30の電池収納部に収納した状態を示す平面図である。電池80の場合と同様に、第1規制部311Aは、電池80Aと点P25および点P26の2点において接する。第2規制部321Aは、電池80Aと点P27および点P28の2点において接する。このときの第1規制部311Aと第2規制部321Aとの間隔はS1(<S0)となる。
図26は、電池80の幅Lよりも広い幅L2の電池80Bを、電池トレイ30の電池収納部に収納した状態を示す平面図である。この場合も、第1規制部311Aは、電池80Bと点P29および点P30の2点において接する。第2規制部321Aは、電池80Bと点P31および点P32の2点において接する。このときの第1規制部311Aと第2規制部321Aとの間隔はS2(>S0)となる。
図27は、電池80の厚さtよりも薄い厚さt1の電池80Cを、電池トレイ30の電池収納部に収納した状態を示す平面図である。この場合も、第1規制部311Aは、電池80Cと点P33および点P34の2点において接する。第2規制部321Aは、電池80Cと点P35および点P36の2点において接する。このときの第1規制部311Aと第2規制部321Aとの間隔はS3(<S0)となる。
図28は、電池80の厚さtよりも厚い厚さt2の電池80Dを、電池トレイ30の電池収納部に収納した状態を示す平面図である。この場合も、第1規制部311Aは、電池80Dと点P37および点P38の2点において接する。第2規制部321Aは、電池80Dと点P39および点P40の2点において接する。このときの第1規制部311Aと第2規制部321Aとの間隔はS4(>S0)となる。
このように、電池トレイ30は、幅および厚さの異なる多品種の電池を安定して収納することができる。また、図23、および図25〜図28に示すように、第1規制部311Aと第2規制部321Aとを電池の平面視における中心に対して対称に動かすことによって、電池の幅および厚さが変わっても、電池の平面視における中心の位置を一定にすることができる。これによって、電池の幅および厚さが変わっても、負極端子83の位置を一定にすることができる。
電池トレイ30においても、収納部331の底部に貫通口332が形成されている。これによって、電池トレイ20と同様に、電池80を電池トレイ30に収納したまま、電池80を充電することができる。
以上、本実施形態にかかるフタ付き電池トレイ1が備える電池トレイの構成の例として、電池トレイ20および電池トレイ30の構成を説明した。なお、電池トレイ20および電池トレイ30の構成は、あくまで例示である。本実施形態にかかるフタ付き電池トレイ1が備える電池トレイは、電池80の注液口82aを上部にした状態で電池80を収納できるものであれば良く、電池トレイ20または電池トレイ30の構成に限定されない。
[電池の製造方法]
次に、フタ付き電池トレイ1を用いた、電池80の製造方法の一例を説明する。
次に、フタ付き電池トレイ1を用いた、電池80の製造方法の一例を説明する。
図29は、フタ付き電池トレイ1を用いた、電池80の製造方法の一例を示すフローチャートである。電池80の製造方法は、電池80を組み立てて電池トレイ20に収納する工程(ステップS1)と、電池80に電解液を注液する工程(ステップS2)と、電池トレイ20に電池トレイ用フタ10を被せて所定時間待機する工程(ステップS3)と、電池80を予備充電する工程(ステップS4)と、電解液をさらに注液する工程(ステップS5)と、注液口82aを封止栓85によって封止する工程(ステップS6)と、電池80を充電する工程(ステップS7)とを備えている。
まず、電池80を組み立てて電池トレイ20に収納する(ステップS1)。より具体的には、リードが取り付けられた電極捲回体84、負極端子83が取り付けられたフタ板82、および外装缶81を準備する。電極捲回体84の正極電極に接続されているリードをフタ板82に溶接し、電極捲回体84の負極電極に接続されているリードを負極端子83に溶接する。電極捲回体84を外装缶81に収納し、外装缶81の開口部にフタ板82を嵌合する。そして、外装缶81の開口部の内周とフタ板82の外周とを溶接する。
このようにして組み立てた電池80を、電池トレイ20に収納する。この段階では、注液口82aは封止栓85によって封止されていない。電池80は、注液口82aを上部にした状態で、電池トレイ20に収納される。
次に、電池80に、注液口82aから電解液を注液する(ステップS2)。電池トレイ20は電池80を立てた状態で収納できるため、電解液を外装缶81の内部全体に充填することができる。
このとき、電池80の寸法や電極捲回体84の材質によっては、電解液が電極捲回体84に浸透するのに時間がかかる場合がある。より具体的には、電池80が高さや幅に対して厚みの寸法が小さい薄型の電池である場合や、電極捲回体84と電解液とのぬれが悪い場合、電解液が電極捲回体84に浸透するのに時間がかかる。
そのため、本実施形態では、電解液を電極捲回体84に十分に浸透させるため、電解液注液後、予備充電を行う前に所定時間待機する工程を設ける(ステップS3)。
待機時間は、好ましくは20分以上であり、より好ましくは3時間以上である。待機時間は、好ましくは30時間以下であり、より好ましくは60時間以下である。
電池の製造は一般的に、湿度が管理された環境下で行われる。しかしながら、環境中の水分がごく僅かであっても、注液口82aを開放したままで長時間放置すれば、電解液が吸湿する場合がある。
本実施形態では、電池トレイ用フタ10を電池トレイ20に被せて、所定時間待機する。これによって、図4に示すように、注液口82aが封止部材12によって塞がれる。これによって電解液が吸湿するのを抑制することができる。
本実施形態によれば、複数の電池80の開口部82aを一度に塞ぐことができる。そのため、例えば一つ一つの電池80の開口部82aを仮封止栓で封止するような方法と比較して、効率を高めることができる。
本実施形態によれば、封止部材12は基材11の概略全面に形成されているので、電池80の品種によって開口部82aの位置が異なっていても、封止部材12によって開口部82aを塞ぐことができる。すなわち、電池トレイ用フタ10は、複数の品種の電池80の製造に用いることができる。換言すれば、電池80の品種ごとに設計の異なる電池トレイ用フタ10を準備しなくても良い。また、複数の品種の電池80を混ぜて電池トレイ20に収納しても、電池トレイ用フタ10によって、すべての電池80の開口部82aを塞ぐことができる。
次に、電池トレイ20から電池トレイ用フタ10を取り外し、電池80を予備充電する(ステップS4)。後述するように、電池トレイ20は、電池80を電池トレイ20に収納した状態で充電または予備充電を行うことができるように構成されている。ただし、本実施形態にかかる電池の製造方法において、電池80を電池トレイ20に収納した状態で充電または予備充電を行うことは必須ではなく、電池80を電池トレイ20から取り出して充電または予備充電を行っても良い。
予備充電は主に、電極捲回体84の電極の表面と電解液とを反応させて、電極の表面に不動態膜を形成するために行う。予備充電では例えば、電池80を満充電の10%程度まで充電すれば良い。
このとき、電極の表面と電解液との反応に伴って、副生成ガスが発生する。副生成ガスを排出させるため、予備充電中は注液口82aを開放しておくか、予備充電後に注液口82aを開放することが好ましい。本実施形態では、電池トレイ用フタ10を電池トレイ20から取り外して予備充電を行うため、予備充電中、注液口82aは開放されている。
予備充電後、電池80に注液口82aから再度、電解液を注液する(ステップS5)。注液後、注液口82aに封止栓85を嵌合し、注液口82aの内周と封止栓85の外周とを溶接して注液口82aを封止する(ステップS6)。その後、電池80を満充電することによって(ステップS7)、電池80が製造される。
以上、フタ付き電池トレイ1を用いた電池80の製造方法の一例を説明した。上記の例では、注液口82aを封止した後に充電を行っているが、充電を行った後に注液口82aを封止しても良い。
[第2の実施形態]
図30は、本発明の第2の実施形態にかかるフタ付き電池トレイ2の概略構成を示す斜視図である。フタ付き電池トレイ2は、フタ付き電池トレイ1の電池トレイ用フタ10に代えて、電池トレイ用フタ40を備えている。図30は、フタ付き電池トレイ2の電池トレイ20に、電池80を収納した状態を示している。図31(a)は、図30のA−A線に沿った断面図であり、図31(b)は、図30のB−B線に沿った断面図である。
図30は、本発明の第2の実施形態にかかるフタ付き電池トレイ2の概略構成を示す斜視図である。フタ付き電池トレイ2は、フタ付き電池トレイ1の電池トレイ用フタ10に代えて、電池トレイ用フタ40を備えている。図30は、フタ付き電池トレイ2の電池トレイ20に、電池80を収納した状態を示している。図31(a)は、図30のA−A線に沿った断面図であり、図31(b)は、図30のB−B線に沿った断面図である。
電池トレイ用フタ40は、基材11と、封止部材41とを備えている。封止部材41は、封止部材12と異なり、電池トレイ20に収納される電池80の注液口82aと平面視において重なる部分の近傍にだけ形成されている。
電池トレイ用フタ40によっても、電池トレイ20に収納された複数の電池80の開口部82aを一度に塞ぐことができる。また、本実施形態の構成によれば、封止部材41が負極端子83と接触しないので、第1の実施形態と比較して、封止部材41と注液口82aとをより密着させることができる。そのため、電解液が吸湿するのをより効果的に抑制することができる。
また、封止部材41を注液口82aの径よりもある程度大きめに形成しておけば、注液口82aの位置がある程度変化しても、封止部材41によって注液口82aを塞ぐことができる。そのため、電池トレイ用フタ40も、複数の品種の電池80の製造に用いることができる。
[第3の実施形態]
図32は、本発明の第3の実施形態にかかるフタ付き電池トレイ3の概略構成を示す斜視図である。フタ付き電池トレイ3は、フタ付き電池トレイ1の電池トレイ用フタ10に代えて、電池トレイ用フタ50を備えている。図32は、フタ付き電池トレイ3の電池トレイ20に、電池80を収納した状態を示している。図33(a)は、図32のA−A線に沿った断面図であり、図33(b)は、図32のB−B線に沿った断面図である。
図32は、本発明の第3の実施形態にかかるフタ付き電池トレイ3の概略構成を示す斜視図である。フタ付き電池トレイ3は、フタ付き電池トレイ1の電池トレイ用フタ10に代えて、電池トレイ用フタ50を備えている。図32は、フタ付き電池トレイ3の電池トレイ20に、電池80を収納した状態を示している。図33(a)は、図32のA−A線に沿った断面図であり、図33(b)は、図32のB−B線に沿った断面図である。
電池トレイ用フタ50は、基材51と、封止部材41とを備えている。基材51には、電池トレイ20に収納される電池80の負極端子83と平面視において重なる部分に、基材51を貫通する貫通口51aが形成されている。
本実施形態によれば、電池トレイ20に電池トレイ用フタ50を被せたまま、電池80を充電することができる。すなわち、貫通口51aから充電装置の上部電極91(図16)を挿入し、上部電極91と負極端子83とを接触させることができる。
[第4の実施形態]
図34は、本発明の第4の実施形態にかかるフタ付き電池トレイ4の概略構成を示す斜視図である。フタ付き電池トレイ4は、フタ付き電池トレイ1の電池トレイ用フタ10に代えて、電池トレイ用フタ60を備えている。図34は、フタ付き電池トレイ4の電池トレイ20に、電池80を収納した状態を示している。図35(a)は、図34のA−A線に沿った断面図であり、図35(b)は、図34のB−B線に沿った断面図である。
図34は、本発明の第4の実施形態にかかるフタ付き電池トレイ4の概略構成を示す斜視図である。フタ付き電池トレイ4は、フタ付き電池トレイ1の電池トレイ用フタ10に代えて、電池トレイ用フタ60を備えている。図34は、フタ付き電池トレイ4の電池トレイ20に、電池80を収納した状態を示している。図35(a)は、図34のA−A線に沿った断面図であり、図35(b)は、図34のB−B線に沿った断面図である。
電池トレイ用フタ60は、基材61と、封止部材41と、電極62とを備えている。電極62は、電池トレイ20に収納される電池80の負極端子83と接触するように配置されている。電極62は、基材61を貫通している。
本実施形態によっても、電池トレイ20に電池トレイ用フタ60を被せたまま、電池80を充電することができる。すなわち、図35に示すように、電池トレイ20に電池トレイ用フタ60を被せると、電池トレイ用フタ60の電極62が電池80の負極端子83と接触する。そのため、充電装置の上部電極91(図16)を電池トレイ用フタ60の電極62に接触させることによって、上部電極91から電極62を通じて負極端子83に電流を流すことができる。
上記の例では、電極62は、基材61を貫通している。しかし、電極62が基材61を貫通しない構成も可能である。例えば、電極62からリードをフタ付き電池トレイ4の外部に引き出し、このリードから負極端子83に電流を流すような構成も可能である。すなわち、電極62は、電池トレイ20に収納される電池80の負極端子83に接触するように配置されていれば良い。
[フタ付き電池トレイの変形例]
電池トレイ用フタ10の基材11(図1)、電池トレイ用フタ40の基材11(図30)、電池トレイ用フタ50の基材51(図32)、および電池トレイ用フタ60の基材61(図34)は、いずれも概略平板形状である。しかし、基材11、基材51、および基材61の形状は、いずれも任意である。
電池トレイ用フタ10の基材11(図1)、電池トレイ用フタ40の基材11(図30)、電池トレイ用フタ50の基材51(図32)、および電池トレイ用フタ60の基材61(図34)は、いずれも概略平板形状である。しかし、基材11、基材51、および基材61の形状は、いずれも任意である。
図36は、本発明の変形例にかかるフタ付き電池トレイ5の概略構成を示す斜視図である。図37は、図36のXXXVII−XXXVII線に沿った断面図である。フタ付き電池トレイ5は、本発明の第2の実施形態にかかる電池トレイ2の変形例であって、電池トレイ用フタ40に代えて、電池トレイ用フタ70を備えている。
電池トレイ用フタ70は、基材11に代えて、基材71を備えている。基材71は、下部が開口した箱型の形状を有している。図37に示すように、基材71は、基材71の内周面が電池トレイ20の外周面に沿うように形成されている。換言すれば、基材71は、電池トレイ20が基材71の開口部に嵌合するように形成されている。
この構成によれば、電池トレイ20に対する電池トレイ用フタ71の位置決めを素早く正確に行うことができる。
上記の変形例は、フタ付き電池トレイ2の変形例として説明したが、フタ付き電池トレイ1、3、4についても、同様の変形が可能である。
[その他の実施形態]
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の各実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の各実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
上述の各実施形態およびその変形例においては、説明の便宜上、電池トレイ用フタ40〜70を、電池トレイ20と組み合わせた構成を例示した。しかし、電池トレイ用フタ10と同様に、電池トレイ用フタ40〜70は、電池トレイ30と組み合わされても良い。また、電池トレイ40〜70は、電池トレイ20や電池トレイ30だけではなく、電池の注液口を上部にした状態で電池を収納できる任意の電池トレイと組み合わせて用いることができる。
すなわち、本発明の一実施形態にかかる電池トレイ用フタは、電池の注液口を上部にした状態で前記電池を収納できる電池トレイとともに用いられる電池トレイ用フタであって、基材と、前記基材の一方の面に、少なくとも前記電池の注液口を覆うように配置される封止部材とを備えていれば良い。
上記の構成によれば、電池トレイに電池トレイ用フタを被せることによって、電池トレイに収納された電池の注液口を塞ぐことができる。そして、電池トレイから電池トレイ用フタを取り外すことで、再び注液口を開放することできる。このように、上記の構成によれば、注液口の仮封止と開放とを簡単に行うことができるため、電池の製造効率を向上することができる。
好ましくは、前記電池トレイは、寸法の異なる多品種の電池を端子位置を一定にして収納できる電池トレイであり、前記基材は、平面視において前記端子位置と重なる部分に貫通口が形成されている。あるいは、前記電池トレイは、寸法の異なる多品種の電池を前記電極の端子位置を一定にして収容できる電池トレイであり、前記基材は、前記電池の端子と接する位置に形成された電極をさらに備える。これによって、寸法の異なる多品種の電池を、電池トレイ用フタを被せたまま、電池を充電することができる。
本発明の一実施形態にかかるフタ付き電池トレイ用は、電池の注液口を上部にした状態で前記電池を収納できる電池トレイと、本発明の一実施形態にかかる電池トレイ用フタとを備えていれば良い。
本発明の一実施形態にかかる電池の製造方法は、本発明の一実施形態にかかるフタ付き電池トレイを用いた電池の製造方法であって、前記電池トレイに収納された前記電池に、前記注液口から電解液を注液する工程と、前記注液後、前記電池トレイに前記電池トレイ用フタを被せることによって前記注液口を覆い、所定時間待機する工程と、前記所定時間経過後に前記電池を充電する工程とを備えていれば良い。
1〜5 フタ付き電池トレイ、10,40,50,60,70 電池トレイ用フタ、11,51,61,71 基材、12,41 封止部材、62 電極、30,40 電池トレイ、80 電池
Claims (7)
- 電池の注液口を上部にした状態で前記電池を収納できる電池トレイとともに用いられる電池トレイ用フタであって、
基材と、
前記基材の一方の面に、少なくとも前記電池の注液口を覆うように配置される封止部材とを備える、電池トレイ用フタ。 - 前記電池トレイは、寸法の異なる多品種の電池を端子位置を一定にして収納できる電池トレイであり、
前記基材は、平面視において前記端子位置と重なる部分に貫通口が形成されている、請求項1に記載の電池トレイ用フタ。 - 前記電池トレイは、寸法の異なる多品種の電池を前記電極の端子位置を一定にして収容できる電池トレイであり、
前記基材は、前記電池の端子と接する位置に形成された電極をさらに備える、請求項1に記載の電池トレイ用フタ。 - 電池の注液口を上部にした状態で前記電池を収納できる電池トレイと、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池トレイ用フタとを備える、フタ付き電池トレイ。 - 前記電池トレイは、開口部と、前記開口部の下方に配置された収納部とを備え、
前記開口部は、平面視において点対称に形成された第1および第2規制壁を含み、
前記収納部は、平面視において点対称に形成された第1および第2載置部を含み、
前記第1および第2規制部の対称中心と、前記第1および第2載置部の対称中心とは、平面視において一致しており、
前記第1載置部と前記第2載置部との間隔は、前記開口部に向かうにつれて広がっており、
前記第1規制壁は、前記電池の幅方向の一方側である第1幅方向側において、前記電池の厚さ方向の一方側である第1厚さ方向側で前記電池と接し、
前記第2規制壁は、前記第1幅方向側と反対側の第2幅方向側において、前記第1厚さ方向側の反対側である第2厚さ方向側で前記電池と接し、
前記第1載置部は、前記第1幅方向側において、前記第2厚さ方向側で前記電池と接し、
前記第2載置部は、前記第2幅方向側において、前記第1厚さ方向側で前記電池と接する、請求項4に記載のフタ付き電池トレイ。 - 前記電池トレイは、平面視において前記電池と2点以上で接する第1規制部を含む第1部材と、平面視において前記電池と2点以上で接する第2規制部を含む第2部材とを備え、
前記電池トレイは、前記第1部材と前記第2部材との間隔を変えることによって、寸法の異なる多品種の前記電池を収納する、請求項4に記載のフタ付き電池トレイ。 - 請求項4〜6のいずれか一項に記載のフタ付き電池トレイを用いた電池の製造方法であって、
前記電池トレイに収納された前記電池に、前記注液口から電解液を注液する工程と、
前記注液後、前記電池トレイに前記電池トレイ用フタを被せることによって前記注液口を覆い、所定時間待機する工程と、
前記所定時間待機後に前記電池を充電する工程とを備える、電池の製造方法。
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JP2016225115A (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-28 | 日立マクセル株式会社 | 電池の製造方法 |
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KR101875534B1 (ko) * | 2015-02-06 | 2018-07-06 | 주식회사 엘지화학 | 랫치 구조의 고정 부재를 포함하는 전지팩 트레이 |
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WO2022007482A1 (zh) * | 2020-07-09 | 2022-01-13 | 比亚迪股份有限公司 | 车辆及其电池包 |
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-
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- 2013-06-04 JP JP2013117976A patent/JP2014235935A/ja active Pending
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