JP2014234334A - 金属ナノ粒子/層状鉱物複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属ナノ粒子がnmレベルの小粒径であり、且つ、高温でも安定したナノ粒子状態を保持できる金属ナノ粒子複合体、及びそれらを容易に製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の分散液に金属化合物を添加して保持することで該金属化合物を還元し、その後、乾燥および熱処理をすることで、金属ナノ粒子を含む、耐熱性に優れた金属ナノ粒子/層状鉱物複合体が得られることを見出し、上記課題を解決した。
【選択図】図1
【解決手段】層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の分散液に金属化合物を添加して保持することで該金属化合物を還元し、その後、乾燥および熱処理をすることで、金属ナノ粒子を含む、耐熱性に優れた金属ナノ粒子/層状鉱物複合体が得られることを見出し、上記課題を解決した。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属ナノ粒子複合体及びそれらの製造方法に関する。
金属ナノ粒子は、その微小粒径に起因してバルク態と異なる多くの特性を示すことから、導電材や触媒を始めとした各種分野で幅広い利用が検討されている。しかし、粒径のそろった金属ナノ粒子を調製する方法は複雑で高コストとなりやすいこと、また、金属ナノ粒子は活性が非常に高く粒子同士の不均一な凝集が生じやすいこと、また、高温で長時間使用することによって金属ナノ粒子が融合して大きな金属粒子となりやすいことなどが問題となってきた。これに対して、これまでに、界面活性剤や有機高分子を用いることで、粒径のそろった金属ナノ粒子を調製する方法が報告されている(例えば、非特許文献1および特許文献1〜3)。また、金属ナノ粒子が不均一に凝集するのを防ぐために金属ナノ粒子の表面を有機高分子などで被覆したり、保護したりする方法が報告されている(例えば、特許文献4〜8)。しかし、これらの方法では、殆どが有機分子や有機高分子を用いているため、高温で長時間の条件では、金属ナノ粒子の凝集や融合が起こることが避けられなかった。従って、金属ナノ粒子の粒径をnmレベルの小粒径でできるだけ均質に、且つ、安価に合成し、且つ、高温でも安定したナノ粒子状態を保持できる金属ナノ粒子複合体が広く求められてきた。
Pierre-Yves Silvert et. al, J. Mater. Chem., 1996, 6(4), 573-577.
本発明が解決しようとする課題は、金属ナノ粒子がnmレベルの小粒径であり、且つ、高温でも安定したナノ粒子状態を保持できる金属ナノ粒子複合体、及びそれらを容易に製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究に取り組んだ結果、層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の分散液に金属化合物を添加して保持することで該金属化合物を還元し、その後、乾燥および熱処理をすることで、粒径のそろった金属ナノ粒子を含む、耐熱性に優れた金属ナノ粒子/層状鉱物複合体が得られることを発見したことに基づき、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、金属ナノ粒子及びフッ素化層状粘土鉱物からなる金属ナノ粒子/層状鉱物複合体を提供する。
また、本発明は、金属ナノ粒子及びフッ素化層状粘土鉱物の800℃以上での熱処理物からなる金属ナノ粒子/層状鉱物複合体を提供する。
また、本発明は、前記フッ素化層状粘土鉱物が水膨潤性であり、金属ナノ粒子との複合化過程で層状に剥離したものであることを特徴とする金属ナノ粒子/層状鉱物複合体を提供する。
また、本発明は、前記フッ素化層状粘土鉱物が、フッ素化されたスメクタイト化合物であることを特徴とする金属ナノ粒子/層状鉱物複合体を提供する。
また、本発明は、前記金属ナノ粒子の平均粒径が0.5〜100nmであることを特徴とする金属ナノ粒子/層状鉱物複合体を提供する。
また、本発明は、前記金属ナノ粒子が貴金属ナノ粒子であることを特徴とする金属ナノ粒子/層状粘土鉱物複合体を提供する。
また、本発明は、前記貴金属ナノ粒子が白金ナノ粒子であることを特徴とする金属ナノ粒子/層状鉱物複合体を提供する。
また、本発明は、層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の分散液に金属化合物を添加して、10℃〜100℃で保持することで該金属化合物を還元し、得られた金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液を乾燥することを特徴とする金属ナノ粒子/層状鉱物複合体の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の分散液に金属化合物を添加して、10℃〜100℃で保持することで該金属化合物を還元し、得られた金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液を乾燥し、更に800℃〜1600℃で熱処理することを特徴とする金属ナノ粒子/層状鉱物複合体の製造方法を提供する。
均質で微細な金属ナノ粒子を有する金属ナノ粒子/層状鉱物複合体が得られること、特に、それらを安価に安定して合成できること、また、得られた金属ナノ粒子/層状鉱物複合体が水系媒体などへの分散安定性に優れていること、更に、得られた金属ナノ粒子/層状鉱物複合体が数百℃以上の高温、場合によっては、1000℃を超える高温での長時間使用でも金属ナノ粒子を安定して保持できることなどが達成され、例えば、導電性、表面静電防止性、電磁波シールド性を有する高性能材料や高機能触媒などとして用いられる。
本発明における金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子全般に対して適用され、その種類は必ずしも限定されない。例えば、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、アルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、モリブデン、ジルコニウム、ルテニウム、イリジウム、タンタル、水銀、インジウム、スズ、鉛、タングステンから選ばれた一種又は二種以上からなる合金、あるいは混合物からなる金属ナノ粒子が用いられる。より好ましくは、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅、コバルトである。更に好ましくは、高機能性、還元反応の容易さ、取り扱い易さ等の面から、銀、金、白金、パラジウム、銅である。特に好ましくは白金である。また、好ましい金属ナノ粒子の種類は用いるフッ素化層状粘土鉱物の種類によっても異なる場合がある。
本発明における金属ナノ粒子の平均粒子径は0.5〜100nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜50nm、更に好ましくは1〜25nm、特に好ましくは1〜10nmの範囲である。また、形状は一般に球状であるが、本発明における製造条件を制御することで、異型状、ロッド状、リボン状などの形状にすることも好ましく用いられる。
本発明における金属ナノ粒子/層状鉱物複合体中の金属ナノ粒子含有量は、均一な金属ナノ粒子/層状鉱物複合体が得られれば良く、目的に応じて広い範囲から選択でき、特に限定されない。
本発明における金属ナノ粒子/層状鉱物複合体は、層状剥離した無機層状鉱物により金属ナノ粒子が安定して保持されるものであれば良く、必ずしもその製造方法は限定されないが、特に好ましくは、層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の存在下に金属化合物を還元し、乾燥または引き続き熱処理して得られるものである。その他、予め調製された金属ナノ粒子を用いることも可能である。
本発明において、層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物存在下で金属化合物を還元して金属ナノ粒子を調製し、乾燥または引き続く熱処理により複合体を得る方法としては、幾つかの方法が用いられる。一つの方法としては、層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物と金属化合物を含む水溶液中で、層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の働きで金属化合物を還元して金属ナノ粒子を得、それを乾燥または引き続き熱処理して複合体を得る方法。また他の方法としては、層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の分散液に金属化合物を添加した後に加熱する方法または紫外線を照射する方法である。加熱または紫外線照射を用いることで、非常に短時間で金属ナノ粒子を調製できる特徴を有する。加熱条件としては、10℃から100℃までの温度が目的に応じて任意に選択される。また他の方法としては、層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の水分散液に、金属化合物及び少量の還元剤(例えば、NaBH4)を添加することで金属化合物の還元を加速する方法が挙げられる。また、金属ナノ粒子を調製した後、分散液にフッ素化層状粘土鉱物またはそれ以外の水膨潤性無機層状鉱物を更に添加して、系の粘度及び安定性を調整したり、最終の金属ナノ粒子/層状鉱物複合体の成分・組成を調整することも有効に用いられる。
本発明において、金属ナノ粒子とフッ素化層状粘土鉱物からなる複合体を調製した後、熱処理を行うことによって、フッ素化層状粘土鉱物の形態及び/または結晶系が変化して、より耐熱性に優れた金属ナノ粒子/層状鉱物複合体を得ることができる。熱処理温度としては、500℃以上、より好ましくは800℃以上である。熱処理の上限温度としては金属ナノ粒子/層状鉱物複合体において、金属ナノ粒子の大きな凝集または融合が起こり100nm以上の平均粒径とならないまでの温度が用いられる。
本発明における金属化合物としては、水溶性金属化合物であって、還元反応によって金属ナノ粒子が得られるものが用いられる。例えば、金属カチオンと対アニオンとの塩類のもの、あるいは金属が対アニオンの中に含まれるものなどが用いられる。金属化合物中の金属としては銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅、コバルトなど、前記金属ナノ粒子の所で述べた金属が用いられる。その金属化合物としては、例えば、銀の場合、硝酸銀、酸化銀、酢酸銀、フッ化銀、銀アセチルアセトナート、安息香酸銀、クエン酸銀、銀ヘキサフルオロフォスジェート、乳酸銀、亜硝酸銀、ペンタフルオロプロピオン酸銀などが用いられる。このうち、取り扱い容易性、工業的入手容易性などから硝酸銀、酸化銀、乳酸銀を用いることが好ましく、特に好ましくは硝酸銀が用いられる。白金の場合は塩化白金カリウム(K2PtCl4)が最も好ましく用いられ、金の場合は、四塩化金ナトリウム(Sodium tetrachloroaurate)またはその二水和物などが用いられる。金属化合物としては、その他、金属錯体が用いられ、例えば、銀錯体(を含有する水溶液)の場合は、アンモニア水、アンモニウム塩、キレート化合物などを硝酸銀水溶液に添加することにより生成するものが用いられ、特には、アンモニア水を用いて得られるアンミン錯体水溶液は好ましく用いられる。以上の金属化合物において、遷移金属等の金属種(例:銀、金、白金、パラジウム)を有する金属化合物は還元がスムースに進行することや、高い機能性を有するため、より好ましく用いられ、特に還元や粒径制御および機能から白金を有する金属化合物が最も好ましく用いられる。
本発明における無機層状鉱物としては、層状に剥離することができるフッ素化層状粘土鉱物であることが必須であり、好ましくは水又は水溶液中で膨潤して層状剥離するフッ素化層状粘土鉱物であること、より好ましくは金属化合物を含む水溶液中でマクロに凝集せず、層状剥離した状態で分散するものである。層状剥離の状態としては10層以下に層状剥離していることが好ましく、より好ましくは3層以下、特に好ましくは1層又は2層の厚みに層状剥離して分散しているものである。更に、フッ素化層状粘土鉱物としては、水媒体中の金属化合物を還元又は還元を促進する性質を有するものが特に好ましい。かかるフッ素化層状粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性のフッ素化されたスメクタイト類などの水中で膨潤し、層状剥離した状態で微分散することが可能な表面負電荷を有するフッ素化層状粘土鉱物が用いられる。具体的には、水膨潤性フッ素化ヘクトライト、水膨潤性フッ素化モンモリロナイト、水膨潤性フッ素化サポナイト、水膨潤性フッ素化雲母などが挙げられる。この内、水膨潤性フッ素化ヘクトライトは合成の容易さや取り扱い性などから最も有効に用いられる。なお、フッ素化層状粘土鉱物の層状剥離を容易にするため、分散剤をフッ素化層状粘土鉱物に含ませたものを用いることができる。分散剤としては、例えば、リン酸塩やピロリン酸塩などがあげられる。
本発明において用いるフッ素化層状粘土鉱物は、水分散液中で層状剥離し、金属化合物を還元して金属ナノ粒子を調製する働きの他、得られた金属ナノ粒子の分散安定性を助ける働きを有する。また、かかる金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液の粘度を制御して安定性に加えて加工性能(例えば、塗布性能、含浸性能、混合性能など)を目的に応じて制御できる特徴を有する。従って、金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液で用いるフッ素化層状粘土鉱物の量は、金属化合物を還元すること、また、金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液の安定性を高めること、また、金属ナノ粒子分散液の加工性能を制御すること、および、金属ナノ粒子とフッ素化層状粘土鉱物からなる金属ナノ粒子/層状鉱物複合体の性能を制御するのに有効なように、目的に応じて広い範囲から選定して用いられる。
本発明における金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液の分散媒体としては、好ましくは水が用いられるが、他の有機溶媒やその他の水溶性物質を含む水溶液も用いられる。また、一端、水又は水溶液を用いて金属ナノ粒子分散液を調製した後、媒体を有機溶媒に変更することも可能である。
また本発明においては、金属化合物の還元を制御したり、還元を促進する物質として、還元剤(例えば、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素アンモニウムなどのホウ素化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類、アスコルビン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどの酸類、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミンなどのアミン類、ヒドラジン、炭酸ヒドラジンなどのヒドラジン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ類など)や、水溶性有機高分子(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのポリオール類、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどの水溶性高分子の一種以上又は共重合体)を用いることもできる。
本発明で得られる金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液は、金属ナノ粒子が小さく且つ均一であることに加えて、共存する層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の働きで、優れた分散安定性を有する。また、得られた金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液は、含まれるフッ素化層状粘土鉱物の濃度により、低粘度のゾルから、高粘度、そしてゲル状態まで、粘度を広範囲に制御することができる。また、撹拌状態ではゾルで、静置状態ではゲルとなるものも調製可能である。いずれにおいても金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液は優れた分散安定性を示す。例えば、本発明における金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液は、数日以上、好ましくは数ヶ月以上にわたって安定であり不均一な凝集や沈殿を生じることがない。また、本発明で得られる金属ナノ粒子/層状鉱物複合体は、再度、水中に安定して分散する能力を有し、安定した金属ナノ粒子/層状鉱物複合体の分散液とすることが可能である。
本発明における金属ナノ粒子/層状鉱物複合体は、得られた金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液をスプレードライなどの方法で直接粒子状態とした後、乾燥及び/又は熱処理する方法や、金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液を高分子、紙、ガラス、セラミック、金属などの基材上に、そのまま、もしくは他の有機及び/又は無機素材と混合した後、塗布し、引き続き、乾燥及び/又は熱処理する方法により得られる。好ましくは、金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液のスプレー、塗布又はそれに引き続く乾燥、熱処理などにより、金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物複合体が単独または基材上に強く密着したものが用いられる。また、金属ナノ粒子及び凝集体の造粒性や密着性を上げるために、金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液に基材との密着を強める成分、具体的には水溶性高分子、シランカップリング剤などを添加することも用いられる。更に、有機高分子と金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液を混合した後、媒体を除去又は成形させることで、高分子(マトリックス)と金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物複合体の複合化したものも調製可能である。また、金属ナノ粒子を基材の上でミクロなパターン形成を行わせることも有効に用いられる。更に、高温焼成により有機成分を全て除去して、金属ナノ粒子/層状粘土鉱物焼成物複合体のみのパターン形成したものとすることも有効に用いられる。
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1、2)
(実施例1、2)
フッ素化層状粘土鉱物(フッ素化ヘクトライト:ラポナイトB(Rockwood社製))を1質量%含む均一透明なフッ素化層状粘土鉱物水分散液10mlに、室温(22℃)で5wt%の塩化白金カリウム(K2[PtCl4])水溶液を実施例1では50μl、実施例2では200μlを撹拌して添加し、48時間静置状態で保持した。得られた水分散液は、K2[PtCl4])水溶液を添加直後は黄褐土色の均一透明な液であり、次第に濃い黒紫色へと変化した。水分散液はいずれも、この状態で安定であり、更に6ヶ月室温で保持しても不均一凝集や沈殿は一切見られず安定していた。48時間保持後の水分散液を透過型電子顕微鏡(TEM)用のカーボン膜の上に垂らし、溶媒(水)を乾燥により除いてから、TEM(日本電子製JEM−2200TFE)測定を行った結果、いずれの場合も、3〜6nmの粒径のそろったナノ粒子が生成しているのが観測された。実施例1のTEM測定結果を図1に示す。48時間保持後の水分散液を乾燥して得られた乾燥物のX線光電子(XPS)スペクトル測定(ESCLab MKII X-ray photo-electron spectrometer使用)を行った結果、73.8eVおよび76.1eVに大きなピークが観測されたことから、白金は還元されたメタル状態であることが確認された。更に、乾燥物のSTEM−EDS測定による観察および元素マッピング(Pt、Mg)からも、乾燥物はフッ素化層状粘土鉱物と白金ナノ粒子からなる複合体であることが確認された。以上の結果から、48時間経過後の水分散液は、いずれも白金ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液であることが明確となった。また、この白金ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液を乾燥して、白金ナノ粒子とフッ素化層状粘土鉱物からなる、白金ナノ粒子/層状鉱物複合体が得られた(Pt含有量は0.25質量%(実施例1)および1質量%(実施例2))。更に、この白金ナノ粒子/層状鉱物複合体は、いずれも水中に再分散することができ、安定した白金ナノ粒子/層状鉱物複合体の分散液が得られた。
(実施例3〜5)
(実施例3〜5)
実施例1で得られた白金ナノ粒子/層状鉱物複合体を用いて引き続き1時間熱処理を行った。熱処理温度は500℃(実施例3)、700℃(実施例4)、1000℃(実施例5)。得られた熱処理サンプルのTEM観察の結果、白金ナノ粒子の粒径は、実施例3では3〜6nm、実施例4では5〜13nm(図2)、実施例5では7〜18nm(図3)であった。また、実施例1および実施例3〜5で得られた熱処理サンプルの広角X線回折測定結果をまとめて図4に示す。実施例5におけるTEM観察およびX線回折結果から、1000℃熱処理によりフッ素化層状粘土鉱物が変化して、別の結晶系を有する層状鉱物と変化した白金ナノ粒子/層状鉱物複合体となっていることがわかる。また、図4では、実施例4および5において白金結晶に基づく結晶ピーク((111)、(200)、(220))が少し出現しているのが観測されるが、TEM観察(図2および図3)からわかるように、これらの熱処理をして得られた複合体でも白金は大きな凝集や融合はなく、ナノ粒子状態を保って保持されている。
Claims (9)
- 金属ナノ粒子及びフッ素化層状粘土鉱物からなる金属ナノ粒子/層状鉱物複合体。
- 金属ナノ粒子及びフッ素化層状粘土鉱物の800℃以上での熱処理物からなる金属ナノ粒子/層状鉱物複合体。
- 前記フッ素化層状粘土鉱物が水膨潤性であり、金属ナノ粒子との複合化過程で層状に剥離したものであることを特徴とする請求項1または2記載の金属ナノ粒子/層状鉱物複合体。
- 前記フッ素化層状粘土鉱物が、フッ素化されたスメクタイト化合物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の金属ナノ粒子/層状鉱物複合体。
- 前記金属ナノ粒子の平均粒径が0.5〜100nmであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の金属ナノ粒子/層状鉱物複合体。
- 前記金属ナノ粒子が貴金属ナノ粒子であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の金属ナノ粒子/層状粘土鉱物複合体。
- 前記貴金属ナノ粒子が白金ナノ粒子であることを特徴とする請求項6記載の金属ナノ粒子/層状鉱物複合体。
- 層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の分散液に金属化合物を添加して、10℃〜100℃で保持することで該金属化合物を還元し、得られた金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液を乾燥することを特徴とする金属ナノ粒子/層状鉱物複合体の製造方法。
- 層状剥離したフッ素化層状粘土鉱物の分散液に金属化合物を添加して、10℃〜100℃で保持することで該金属化合物を還元し、得られた金属ナノ粒子/フッ素化層状粘土鉱物分散液を乾燥し、更に800℃〜1600℃で熱処理することを特徴とする金属ナノ粒子/層状鉱物複合体の製造方法。
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- 2013-06-04 JP JP2013117806A patent/JP2014234334A/ja active Pending
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