JP2014232738A - 太陽電池モジュールおよび太陽光発電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発電効率の高い太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】本発明の太陽電池モジュール1は、光入射面4aに入射した外光Lの一部を複数の光機能材料8a,8b,8cによって吸収し、複数の光機能材料8a,8b,8cの間でフェルスター機構によるエネルギー移動を生じさせ、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい光機能材料8cから放射された光L1を光入射面4aよりも面積の小さい光射出面4cに集光して射出する導光体4と、導光体4の光射出面4cから射出された光L1を受光する太陽電池素子6と、を備えている。複数の光機能材料8a,8b,8cのうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料8cの発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子6の分光感度は、導光体4に備えられた他のいずれの光機能材料8a,8bの発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子6の分光感度よりも大きい。【選択図】図2
Description
本発明は、太陽電池モジュールおよび太陽光発電装置に関する。
導光体の端面に太陽電池素子を設置し、導光体の内部を伝播した光を太陽電池素子に入射させて発電を行う太陽光発電装置として、特許文献1に記載の太陽光発電装置が知られている。特許文献1の太陽光発電装置は、導光体を窓として用いる窓型の太陽光発電装置である。特許文献1の太陽光発電装置では、導光体の一主面から入射した太陽光の一部を導光体の内部に伝播させて太陽電池素子に導く。導光体の表面には蛍光体が塗布されており、導光体に入射した太陽光によって蛍光体が励起される。蛍光体から放射された光(蛍光)は導光体の内部を伝播し、太陽電池素子に入射して発電が行われる。
特許文献1の太陽光発電装置では、蛍光体の励起に用いられる太陽光は、導光体に入射する太陽光のうちのごく僅かである。導光体に入射した太陽光の大部分は導光体を透過し、発電に寄与しない。よって、発電効率の高い太陽光発電装置を提供することができない。
本発明の目的は、発電効率の高い太陽電池モジュールおよびこれを用いた太陽光発電装置を提供することにある。
本発明の太陽電池モジュールは、光入射面に入射した外光の一部を複数の光機能材料によって吸収し、前記複数の光機能材料の間でフェルスター機構によるエネルギー移動を生じさせ、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい光機能材料から放射された光を前記光入射面よりも面積の小さい光射出面に集光して射出する導光体と、前記導光体の光射出面から射出された前記光を受光する太陽電池素子と、を備え、前記複数の光機能材料のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料の発光スペクトルのピーク波長における前記太陽電池素子の分光感度は、前記導光体に備えられた他のいずれの光機能材料の発光スペクトルのピーク波長における前記太陽電池素子の分光感度よりも大きい。
前記光機能材料のうち、前記最も発光スペクトルのピーク波長の大きい光機能材料以外の1又は複数の光機能材料には、蛍光量子収率が80%以下の光機能材料が含まれていてもよい。
前記最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料の蛍光量子収率は、前記導光体に備えられた他のいずれの光機能材料の蛍光量子収率よりも高くてもよい。
前記導光体は、前記光機能材料として、無機材料からなる光機能材料を備えていてもよい。
前記導光体は、前記無機材料からなる光機能材料として、量子ドットからなる光機能材料を備えていてもよい。
前記導光体には、前記導光体の内部から前記導光体の外部に向けて進行する前記光を前記導光体の内部に向けて反射する反射層が、前記導光体と空気層を介して又は前記導光体と空気層を介さずに直接接触して設けられていてもよい。
前記反射層は、入射した光を散乱反射する散乱反射層であってもよい。
前記導光体は、透明導光体の内部に前記複数の光機能材料を分散させることにより形成されていてもよい。
前記導光体は、透明導光体と、前記透明導光体の第1主面に設けられ、内部に前記複数の光機能材料が分散された光機能材料層と、を備えていてもよい。
前記透明導光体と前記光機能材料層とは、剥離可能な粘着層で接着されていてもよい。
前記光入射面は平坦な面であってもよい。
前記導光体は、平坦な板状の部材として構成され、前記太陽電池素子は、前記光射出面である前記導光体の端面から射出された前記光を受光してもよい。
前記光入射面の少なくとも一部は屈曲又は湾曲した面であってもよい。
前記導光体は、湾曲した板状の部材として構成され、前記太陽電池素子は、前記光射出面である前記導光体の湾曲した端面から射出された前記光を受光してもよい。
前記導光体は、筒状の部材として構成され、前記太陽電池素子は、前記光射出面である前記導光体の端面から射出された前記光を受光してもよい。
前記導光体は、柱状の部材として構成され、前記太陽電池素子は、前記光射出面である前記導光体の端面から射出された前記光を受光してもよい。
前記導光体と前記太陽電池素子とを1組とする単位ユニットが、互いに隣接して複数組設置され、前記複数組の単位ユニットが紐状の連結部材で互いに連結されていてもよい。
前記導光体と前記太陽電池素子とを1組とする単位ユニットが、互いに隣接して複数組設置され、前記複数組の単位ユニットが互いに間隔を空けて連結されていてもよい。
本発明の太陽光発電装置は、本発明の太陽電池モジュールを備えている。
本発明によれば、発電効率の高い太陽電池モジュールおよびこれを用いた太陽光発電装置を提供することができる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の太陽電池モジュール1の概略斜視図である。
図1は、第1実施形態の太陽電池モジュール1の概略斜視図である。
太陽電池モジュール1は、導光体4(蛍光導光体)と、導光体4の第1端面4cから射出された光を受光する太陽電池素子6と、導光体4と太陽電池素子6とを一体に保持する枠体10と、を備えている。
導光体4は、光入射面である第1主面4aと、第1主面4aと対向する第2主面4bと、光射出面である第1端面4cと、を備えている。
導光体4は、Z軸に垂直な(XY平面と平行な)第1主面4a及び第2主面4bを有する略矩形の板状部材である。導光体4は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラスなどの透明性の高い有機材料もしくは無機材料からなる基材(透明基板)の内部に、複数の光機能材料を分散させたものである。光機能材料としては、例えば、紫外光又は可視光を吸収して可視光又は赤外光を放射する蛍光体、または、紫外光又は可視光を吸収して励起されるが、光を放射せずに失活する非発光体が含まれている。複数の光機能材料のうち少なくとも1つの光機能材料は蛍光体である。蛍光体から放射された光は、導光体4の内部を伝播して第1端面4cから射出され、太陽電池素子6で発電に利用される。
なお、可視光は380nm以上750nm以下の波長領域の光であり、紫外光は380nm未満の波長領域の光であり、赤外光は750nmよりも大きい波長領域の光である。
外光を有効に取り込めるように、導光体4の基材(透明基板)の材料は400nm以下の波長に対して透過性を有することが望ましい。例えば、360nm以上800nm以下の波長領域の光に対して90%以上、より好ましくは93%以上の透過率を有するものが好適である。例えば、シリコン樹脂基板や石英基板、或いは、PMMA樹脂基板においては三菱レイヨン社製の「アクリライト」(登録商標)は、広い波長領域に光に対して高い透明性を有することから、好適である。
導光体4の第1主面4a及び第2主面4bは概ねXY平面と平行な平坦な面である。導光体4の第1端面4c以外の端面には、導光体4の内部から導光体4の外部に向けて進行する光(蛍光体から放射された光)を導光体4の内部に向けて反射する反射層9が、当該端面に空気層を介して又は当該端面に空気層を介さずに直接接触して設けられている。導光体4の第2主面4bには、導光体4の内部から導光体4の外部に向けて進行する光(蛍光体から放射された光)または第1主面4aから入射したが光機能材料に吸収されずに第2主面4bから射出した光を導光体4の内部に向けて反射する反射層7が、第2主面4bに空気層を介して又は第2主面4bに空気層を介さずに直接接触して設けられている。
反射層7および反射層9としては、銀やアルミニウムなどの金属膜からなる反射層や、ESR(Enhanced Specular Reflector)反射フィルム(3M社製)などの誘電体多層膜からなる反射層などを用いることができる。反射層7および反射層9は、入射した光を鏡面反射する鏡面反射層でもよいし、入射した光を散乱反射する散乱反射層でもよい。反射層7に散乱反射層を用いた場合には、太陽電池素子6の方向に直接向かう光の光量が増えるため、太陽電池素子6への集光効率が高まり、発電量が増加する。また、反射光が散乱されるため、時間や季節による発電量の変化が平均化される。なお、散乱反射層としては、マイクロ発砲PET(ポリエチレン−テレフタレート)(古河電工社製)などを用いることができる。
太陽電池素子6は、受光面を導光体4の第1端面4cと対向させて配置されている。太陽電池素子6は、第1端面4cと光学接着されていることが好ましい。太陽電池素子6としては、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、有機系太陽電池などの公知の太陽電池を使用することができる。中でも、化合物半導体を用いた化合物系太陽電池は、高効率な発電が可能であることから、太陽電池素子6として好適である。
図1では、太陽電池素子6を導光体4の1つの端面のみに設置した例を示したが、太陽電池素子6は導光体4の複数の端面に設置してもよい。太陽電池素子6を導光体4の一部の端面(1辺、2辺または3辺)に設置する場合には、太陽電池素子が設置されていない端面には反射層9を設置することが好ましい。
枠体10は、導光体4の第1主面4aと対向する面に光Lを透過する透過面10aを備えている。透過面10aは枠体10の開口部であってもよく、枠体10の開口部に嵌め込まれたガラス等の透明部材であってもよい。枠体10の透過面10aとZ方向から見て重なる部分の導光体4の第1主面4aが、導光体4の光入射面である。また、導光体4の第1端面4cが導光体4の光射出面である。
図2は、太陽電池モジュール1の断面図である。
本実施形態の場合、導光体4の内部には、光機能材料として、互いに吸収波長域の異なる複数種類の蛍光体(図2では例えば第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8c)が分散されている。第1蛍光体8aは、紫外光を吸収して青色の蛍光を放射し、第2蛍光体8bは、青色光を吸収して緑色の蛍光を放射し、第3蛍光体8cは、緑色光を吸収して赤色の蛍光を放射する。第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cは、例えば、PMMA樹脂を成型する際に混入される。第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cの混合比率は以下の通りである。なお、第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cの混合比率はPMMA樹脂に対する体積比率で示している。
第1蛍光体8a:BASF社製Lumogen F Violet 570(商品名) 0.02%
第2蛍光体8b:BASF社製Lumogen F Yellow 083(商品名) 0.02%
第3蛍光体8c:BASF社製Lumogen F Red 305(商品名) 0.02%
第2蛍光体8b:BASF社製Lumogen F Yellow 083(商品名) 0.02%
第3蛍光体8c:BASF社製Lumogen F Red 305(商品名) 0.02%
図3ないし図6は、第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cの発光特性及び吸収特性を示す図である。図3において、「第1蛍光体」は、第1蛍光体8aによって紫外光が吸収された後の太陽光のスペクトルを示し、「第2蛍光体」は、第2蛍光体8bによって青色光が吸収された後の太陽光のスペクトルを示し、「第3蛍光体」は、第3蛍光体8cによって緑色光が吸収された後の太陽光のスペクトルを示す。図4において、「第1蛍光体+第2蛍光体+第3蛍光体」は、第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cによって紫外光、青色光及び緑色光が吸収された後の太陽光のスペクトルを示す。図5において、「第1蛍光体」は、第1蛍光体8aの発光スペクトルであり、「第2蛍光体」は、第2蛍光体8bの発光スペクトルであり、「第3蛍光体」は、第3蛍光体8cの発光スペクトルである。図6において、「第1蛍光体+第2蛍光体+第3蛍光体」は、第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cを含む導光体の第1端面から射出される光のスペクトルである。
図3及び図4に示すように、第1蛍光体8aは、概ね420nm以下の波長の光を吸収し、第2蛍光体8bは、概ね420nm以上520nm以下の波長の光を吸収し、第3蛍光体8cは、概ね520nm以上620nm以下の波長の光を吸収する。第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cによって、導光体に入射した太陽光のうち620nm以下の波長の光が概ね全て吸収される。太陽光のスペクトルにおいて波長が620nm以下の光の割合は48%程度である。よって、導光体の光入射面に入射した光のうち48%は導光体に含まれる第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cに吸収される。
図5に示すように、第1蛍光体8aの発光スペクトルは、430nmにピーク波長を有し、第2蛍光体8bの発光スペクトルは、520nmにピーク波長を有し、第3蛍光体8cの発光スペクトルは、630nmにピーク波長を有する。しかしながら、図6に示すように、第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cを含む導光体の第1端面から射出される光のスペクトルは、第3蛍光体8cの発光スペクトルのピーク波長(630nm)に対応する波長にのみピーク波長を有し、第1蛍光体8aの発光スペクトルのピーク波長(430nm)及び第2蛍光体8bの発光スペクトルのピーク波長(520nm)に対応する波長にはピーク波長を有しない。
第1蛍光体8aに対応する発光スペクトルのピーク及び第2蛍光体8bに対応する発光スペクトルのピークが消失した原因は、フォトルミネッセンス(Photoluminescence ;PL)による蛍光体間のエネルギー移動や、フェルスター機構(蛍光共鳴エネルギー移動)による蛍光体間のエネルギー移動などが挙げられる。フォトルミネッセンスによるエネルギー移動は、一の蛍光体から放射された蛍光が他の蛍光体の励起エネルギーとして利用されることにより生じるものである。フェルスター機構は、このような光の発光及び吸収のプロセスを経ずに、近接した2つの蛍光体の間で励起エネルギーが電子の共鳴により直接移動するものである。フェルスター機構による蛍光体間のエネルギー移動は、光の発光及び吸収のプロセスを介さずに行われるため、最適条件ではエネルギーのロスが小さい。よって、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与する。本実施形態では、エネルギーロスを抑制して効率よく発電を行うために、第1蛍光体8a、第2蛍光体8bおよび第3蛍光体8cの密度を高くし、蛍光体間でフェルスター機構によるエネルギー移動が行われるようにしている。
ここで、図7及び図8を用いてフェルスター機構について説明する。図7(a)は、フォトルミネッセンスによるエネルギー移動を示す図であり、図7(b)は、フェルスター機構によるエネルギー移動を示す図である。図8(a)は、フェルスター機構によるエネルギー移動の発生機構を説明するための図であり、図8(b)は、フェルスター機構によるエネルギー移動を示す図である。
図7(b)に示すように、有機分子や無機ナノ粒子の蛍光体では、励起状態にある分子Aから基底状態の分子Bに対してフェルスター機構によってエネルギー移動が生じることがある。蛍光体では、分子Aが励起されたときに、分子Bにエネルギー移動を起こすと、分子Bが発光する。このエネルギー移動は、分子間の距離と分子Aの発光スペクトルと分子Bの吸収スペクトルに依存する。分子Aをホスト分子、分子Bをゲスト分子とするとき、エネルギー移動するときの速度定数kH→G(移動確率)は式(1)のようになる。
なお、式(1)において、νは振動数、f′H(ν)はホスト分子Aの発光スペクトル、ε(ν)はゲスト分子Bの吸収スペクトル、Nはアボガドロ定数、nは屈折率、τ0はホスト分子Aの蛍光寿命、Rは分子間距離、K2は遷移双極子モーメント(ランダム時2/3)である。
速度定数が大きいと、蛍光体間でエネルギー移動が生じやすくなる。大きな速度定数を得るためには、以下の条件が満たされることが望ましい。
[1]ホスト分子Aの発光スペクトルとゲスト分子の吸収スペクトルの重なりが大きい。
[2]ゲスト分子Bの吸光係数が大きい。
[3]ホスト分子Aとゲスト分子Bとの間の距離が小さい。
[1]ホスト分子Aの発光スペクトルとゲスト分子の吸収スペクトルの重なりが大きい。
[2]ゲスト分子Bの吸光係数が大きい。
[3]ホスト分子Aとゲスト分子Bとの間の距離が小さい。
上記[1]は、近接した2つの蛍光体間での共鳴のし易さを表すものである。例えば、図8(a)に示すように、ホスト分子Aの発光スペクトルのピーク波長とゲスト分子Bの吸収スペクトルのピーク波長とが近いと、フェルスター機構によるエネルギー移動が生じやすくなる。図8(b)に示すように、励起状態のホスト分子Aの近くに基底状態のゲスト分子Bが存在すると、共鳴的性質によりゲスト分子Aの波動関数が変化し、基底状態のホスト分子Aと励起状態のゲスト分子Bができる。これにより、ホスト分子Aとゲスト分子Bとの間でエネルギー移動が生じ、ゲスト分子Bが発光する。
上記[3]において、フェルスター機構によるエネルギー移動が起こる分子間距離は、通常、10nm程度である。条件が合えば、分子間距離が20nm程度であってもエネルギー移動は起きる。上述した第1蛍光体、第2蛍光体及び第3蛍光体の混合比率であれば、蛍光体間の距離は20nmよりも短くなる。よって、フェルスター機構によるエネルギー移動は十分に生じうる。また、図3及び図5に示した第1蛍光体、第2蛍光体及び第3蛍光体の発光スペクトル及び吸収スペクトルは、上記[1]の条件を十分に満たしている。よって、第1蛍光体から第2蛍光体へのエネルギー移動、及び、第2蛍光体から第3蛍光体へのエネルギー移動が生じ、第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体の順にカスケード型のエネルギー移動が生じる。
導光体では、3つの異なる発光スペクトルを有する蛍光体(第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体)を混入しているにもかかわらず、フェルスター機構によるエネルギー移動により、実質的には第3蛍光体の発光のみが生じる。第3蛍光体の発光量子効率は例えば92%である。よって、導光体に第1蛍光体、第2蛍光体及び第3蛍光体を混入することで、620nmまでの波長領域の光を吸収し、92%の効率でピーク波長が630nmの赤色の発光を生じさせることができる。
このようなエネルギー移動現象は、有機の蛍光体に特有の現象で、一般的に無機の蛍光体では起こらないとされているが、量子ドットなどのいくつかの無機ナノ粒子の蛍光体においてはフェルスター機構により、無機材料間、或いは、無機材料と有機材料との間でエネルギー移動を生じるものが知られている。
例えば、ZnO/MgZnOコア・シェル構造の2種類の異なったサイズの量子ドットの間でエネルギー移動が起こる。1:√2の寸法比を持つ量子ドットは共鳴する励起子準位を持つため、例えば半径3nm(発光スペクトルのピーク波長:350nm)と半径4.5nm(発光スペクトルのピーク波長:357nm)の2種類の量子ドットの間では、小さい量子ドットから大きい量子ドットへエネルギー移動が起こる。またCdSe/ZnSコア・シェル構造の2種類の異なったサイズの量子ドットの間でもエネルギー移動が起こる。また、直径8nmないし9nmのMn2+ドープZnSe量子ドットは、450nmと580nmに発光ピークを持ち、色素分子である1’,3’-dihydro-1’,3’,3’-trimethyl-6-nitrospiro[2H-1-benzopyran-2,2’-(2H)-indole] に紫外線を照射して得られる開環型のSpiropyran分子(SPO open; Merocynanine form)の光吸収スペクトルとよく一致し、量子ドットから色素分子へのエネルギー移動が起こる。一般に、無機の蛍光体は、有機の蛍光体に比べて耐光性が優れるため、長期間使用する場合に有利である。
通常、2種類の蛍光体を混入した場合には、図7(a)のように、まず蛍光体Aがある効率で発光し、蛍光体Bに入射し、蛍光体Bで光の吸収及び発光のプロセスを経ることによって、蛍光体Bから光が放射される。このようなフォトルミネッセンスによるエネルギー移動は、蛍光体Aにおける光の発光プロセス及び蛍光体Bにおける光の吸収プロセスでエネルギーのロスが生じ、エネルギー移動効率が小さい。
一方、図7(b)に示したフェルスター機構によるエネルギー移動は、蛍光体間でダイレクトにエネルギーのみが移動するので、エネルギー移動効率はほぼ100%にすることが可能であり、高効率にエネルギー移動を生じさせることができる。
また、フェルスター機構によるエネルギー移動は、蛍光体のような発光材料だけでなく、外光によって励起されるが、光を発生せずに失活する非発光体においても生じる。最終的な発電量は、ゲスト分子の蛍光量子収率によって決まり、ホスト分子の蛍光量子収率には依存しない。よって、ゲスト分子のみを蛍光量子収率の高い蛍光体で構成し、ホスト分子を蛍光量子収率の低い蛍光体又は蛍光を発しない非発光体で構成しても、同じ発電量が得られる。よって、フォトルミネッセンスによりエネルギー移動を行う場合のように、全ての蛍光体に対して高い蛍光量子収率が求められる場合に比べて、ホスト分子の材料選択の幅が広がる。
図9は、太陽電池素子6の一例であるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度曲線を第1蛍光体の発光スペクトル、第2蛍光体の発光スペクトルおよび第3蛍光体の発光スペクトルとともに示す図である。
導光体4の第1端面4cから射出される光L1のスペクトルは、第3蛍光体8cの発光スペクトルと概ね一致する。よって、太陽電池素子6は、第3蛍光体8cの発光スペクトルのピーク波長(630nm)において高い感度を有するものであればよい。図9に示すように、アモルファスシリコン太陽電池は600nm付近の波長の光に対して最も高い分光感度を有する。第1蛍光体、第2蛍光体および第3蛍光体の発光スペクトルのピーク波長におけるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度を比較すると、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい第3蛍光体の発光スペクトルのピーク波長におけるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度は、導光体に備えられた他のいずれの蛍光体(第1蛍光体、第2蛍光体)の発光スペクトルのピーク波長におけるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度よりも大きい。そのため、太陽電池素子6としてアモルファスシリコン太陽電池を用いれば、高い効率で発電を行うことができる。
例えば、縦30cm×横30cm×厚さ5mmのPMMA樹脂を用いた正方形の導光体に対してエアマス(AM)1.5の太陽光をZ方向から垂直に入射させ、アモルファスシリコン太陽電池を端面に設置したときの発電量を測定すると、次のようになった。
導光体4に含まれる第1蛍光体8a、第2蛍光体8bおよび第3蛍光体8cの材料および量は前述したものであり、その発光スペクトルおよび吸収スペクトルは、図3ないし図6に示したものである。導光体4の屈折率は、第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cの量が少ないことから、基材であるPMMA樹脂と同じ1.49である。第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cの蛍光量子収率はいずれも95%である。アモルファスシリコン太陽電池の分光特性は図9に示したものである。なお、「エアマス」とは、地球大気に入射した太陽光直達光が通過した路程の長さを表すものである。標準状態の大気圧(標準気圧:1013hPa)に垂直に入射した太陽光直達光が通過した路程の長さをAM1.0として、それに対する倍率で路程の長さを表す。AM1.5の太陽光の光量は、100mW/cm2である。
AM1.5の太陽光を導光体4に対して垂直に入射させると、入射光の48%が第1蛍光体8a、第2蛍光体8bおよび第3蛍光体8cにより吸収され、フェルスター機構によって、第1蛍光体8a、第2蛍光体8b、第3蛍光体8cの順にカスケード型のエネルギー移動が生じ、第3蛍光体8cから蛍光が放射される。第3蛍光体8cから放射された蛍光は、導光体4の内部を伝播し、第1端面4cから射出される。このとき、導光体4と周囲の空気層との屈折率差により導光体4の内部を全反射せずに外部に漏れ出す光L1の割合は25%、導光体4の内部を伝播する際の光のロスは5%となり、導光体4の第1端面4cから射出される光L1の割合は、導光体4の光入射面4aに入射した光の70%となる。第3蛍光体8cの発光スペクトルのピーク波長近傍の波長領域におけるアモルファスシリコン太陽電池のエネルギー変換効率は22%である。このとき、発電量は6.32Wであった。
太陽電池素子6に適用する太陽電池の種類は、当該太陽電池素子に入射する光の波長に応じて決定される。図9では、太陽電池素子6としてアモルファスシリコン太陽電池を用いたが、太陽電池素子6はこれに限られない。
図10は、太陽電池素子6として利用可能な種々の太陽電池の分光感度曲線を示す図である。図11は、これらの太陽電池のエネルギー変換効率ηλを示す図である。図10および図11において、「c−Si」は単結晶シリコン太陽電池であり、「a−Si(1j)」はアモルファスシリコン太陽電池(単接合)であり、「GaAs(1j)」はガリウムヒ素太陽電池(単接合)であり、「CdTe」はカドミウムテルル太陽電池であり、「CIGSSe」はCu(In,Ga)(Se,S)2太陽電池である。
図10および図11に示した太陽電池では、最も発光スペクトルのピーク波長が大きい第3蛍光体8cの発光スペクトルのピーク波長(630nm)における太陽電池の分光感度およびエネルギー変換効率は、導光体4に備えられた他のいずれの蛍光体(第1蛍光体8a、第2蛍光体8b)の発光スペクトルのピーク波長における太陽電池の分光感度およびエネルギー変換効率よりも大きい。そのため、太陽電池素子6として、これらの太陽電池を用いれば、高い効率で発電を行うことができる。
例えば、太陽電池素子6として、単結晶シリコン太陽電池(c−Si)を用いた場合には、第3蛍光体8cの発光スペクトルのピーク波長近傍の波長領域における単結晶シリコン太陽電池のエネルギー変換効率は24%であるため、発電量は6.9Wであった。また、太陽電池素子6として、ガリウムヒ素太陽電池(GaAs(1j))を用いた場合には、第3蛍光体8cの発光スペクトルのピーク波長近傍の波長領域におけるガリウムヒ素太陽電池のエネルギー変換効率は40%であるため、発電量は11.5Wであった。
図10および図11は、太陽電池素子6として利用可能な太陽電池の一例であり、これ以外の太陽電池を用いることも勿論可能である。太陽電池素子6としては、色素増感型太陽電池や有機系太陽電池など、太陽光の全波長領域に対しては高い分光感度を有することはできないが、特定の狭い波長領域の光に対しては非常に高い分光感度を有するような太陽電池を積極的に使用することも可能である。
以上のように、本実施形態の太陽電池モジュール1では、光入射面4aに入射した外光Lの一部を複数の光機能材料(第1蛍光体8a、第2蛍光体8b、第3蛍光体8c)によって吸収し、複数の光機能材料の間でフェルスター機構によるエネルギー移動を生じさせ、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい光機能材料(第3蛍光体8c)から放射された光L1を導光体4の第1端面4cに集光させて太陽電池素子6に入射させている。そのため、太陽電池素子6としては、限定された狭い波長範囲において非常に高い分光感度を有する太陽電池を用いることができ、発電効率の高い太陽電池モジュールが提供される。
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態の太陽電池モジュールに適用される導光体(蛍光導光体)24の断面図である。導光体24以外の構成は、第1実施形態の太陽電池モジュール1と同じである。よって、ここでは導光体24の構成のみを説明する。また、第1実施形態の太陽電池モジュール1と共通する構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図12は、第2実施形態の太陽電池モジュールに適用される導光体(蛍光導光体)24の断面図である。導光体24以外の構成は、第1実施形態の太陽電池モジュール1と同じである。よって、ここでは導光体24の構成のみを説明する。また、第1実施形態の太陽電池モジュール1と共通する構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
導光体24は、透明導光体25と、透明導光体25の第1主面25aに接着された蛍光フィルム26と、蛍光フィルム26の表面を覆う透明保護膜27と、を備えている。
蛍光フィルム26は、内部に、前述した光機能材料として、第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cが分散されたフィルム状の光機能材料層である。蛍光フィルム26は、第1主面26aに入射した外光(例えば太陽光)の一部を蛍光に変換し、透明導光体25に向けて放射する。蛍光フィルム26は、例えば、PMMA樹脂の内部に第1蛍光体8a、第2蛍光体8b及び第3蛍光体8cをそれぞれPMMA樹脂に対する体積比率で0.2%混入し、200μmの厚みのフィルムに形成したものである。
透明導光体25及び透明保護膜27としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラスなどの透明性の高い有機材料もしくは無機材料が用いられる。例えば、透明導光体25は、厚さ5mmのアクリル板からなり、透明保護膜27は、厚さ200μmのPMMA樹脂の膜からなる。図12では、透明保護膜27と蛍光フィルム26と透明導光体25とをこの順に外光Lの入射側から配置しているが、図13のように透明導光体25と蛍光フィルム26と透明保護膜27とをこの順に外光Lの入射側から配置してもよい。
透明導光体25及び透明保護膜27は、光機能材料を含まない透明性の高い材料で構成されている。蛍光フィルム26から放射された蛍光(図5に示した第3蛍光体8cの発光スペクトルと概ね同じスペクトルの光)の一部は、透明導光体25及び透明保護膜27の内部を全反射しながら透明導光体25及び透明保護膜27の端面に向けて伝播する。透明導光体25及び透明保護膜27の端面から射出された光は、太陽電池素子に入射し、発電に利用される。
蛍光フィルム26と透明導光体25とは、図14に示すような剥離可能な粘着層28によって接着されている。蛍光フィルム26は、破損、劣化、又は異物(砂埃や鳥の糞など)の付着などが生じた場合に、透明導光体25から剥離して交換される。蛍光フィルム26と粘着層28と透明導光体25の屈折率はいずれも1.49である。蛍光フィルム26から放射された蛍光は、蛍光フィルム26、粘着層28及び透明導光体25の内部をロスなく伝播する。そのため、第1実施形態と同様の条件で測定を行うと、発電量は6.32Wとなり、第1実施形態と同様の発電量が得られた。このような粘着層28としては、例えば、パナック社製のゲルポリ(商品名)などが利用できる。
上記構成の導光体24では、蛍光フィルム26と透明導光体25とが剥離可能な粘着層28で接着されている。そのため、蛍光フィルム26に破損、劣化、又は異物の付着(砂埃や鳥の糞など)などが生じ発電効率が低下した場合には、蛍光フィルム26のみを透明導光体25から剥がして交換することができる。よって、導光体全体を交換する場合に比べて、保守の費用を少なくすることができる。
[第3実施形態]
図15は、第3実施形態の太陽電池モジュールで用いられる光機能材料の発光スペクトルおよび太陽電池素子の分光感度を示す図である。
図15は、第3実施形態の太陽電池モジュールで用いられる光機能材料の発光スペクトルおよび太陽電池素子の分光感度を示す図である。
第1実施形態の太陽電池モジュール1では、導光体4に備えられる複数の光機能材料として、いずれも蛍光量子収率の高い3つの蛍光体(第1蛍光体8a、第2蛍光体8b、第3蛍光体8c)を用いた。それに対して、本実施形態の太陽電池モジュールでは、導光体に備えられる複数の光機能材料として、蛍光量子収率の低い第4蛍光体と、蛍光量子収率の高い第5蛍光体が用いられている。第4蛍光体はホスト分子であり、第5蛍光体はゲスト分子であり、第4蛍光体と第5蛍光体との間でフェルスター機構によるエネルギー移動が生じ、実質的に、ゲスト分子である第5蛍光体のみが発光する。
第4蛍光体は、例えばNPB(N,N-di(naphthalene-1-yl)-N,N-diphenyl-benzidene)である。第4蛍光体の蛍光量子収率は42%であり、第4蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は430nmである。第5蛍光体は、例えばルブレンである。第5蛍光体の蛍光量子収率は100%近い高い蛍光量子収率であり、第5蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は560nmである。第4蛍光体に対して第5蛍光体の含有量は2%とされている。本実施形態の導光体は、例えば、厚さ2mmのガラス基板などからなる透明導光体の第1主面に、第4蛍光体と第5蛍光体とを含む光機能材料層を5μmの厚みで成膜し、光機能材料層の表面に透明保護膜としてパリレンを1μmの厚みで成膜することにより形成される。
太陽電池素子としては、アモルファスシリコン太陽電池が用いられている。第4蛍光体および第5蛍光体の発光スペクトルのピーク波長におけるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度を比較すると、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい第5蛍光体の発光スペクトルのピーク波長におけるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度は、導光体に備えられた他のいずれの蛍光体(第4蛍光体)の発光スペクトルのピーク波長におけるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度よりも大きい。そのため、太陽電池素子としてアモルファスシリコン太陽電池を用いれば、高い効率で発電を行うことができる。
第1実施形態と同様に発電量を測定すると、発電量は5.6Wであった。フェルスター機構によるエネルギー移動が起こらずに、フォトルミネッセンスによって発光および吸収のプロセスを経て第4蛍光体の励起エネルギーが第5蛍光体に移動したとすると、発電量は4Wである。よって、フォトルミネッセンスによるプロセスを経る場合に比べて、40%程度発電量が増加する。
本実施形態では、ホスト分子である第4蛍光体の蛍光量子収率は42%と非常に小さいが、フェルスター機構によるエネルギー移動では、最終的な発電量は、ゲスト分子の蛍光量子収率によって決まり、ホスト分子の蛍光量子収率には依存しない。よって、ゲスト分子のみを蛍光量子収率の高い蛍光体で構成すれば、ホスト分子を蛍光量子収率の低い蛍光体で構成しても、同じ発電量が得られる。一般に、蛍光体は発光体として利用されるので、蛍光量子収率の低い蛍光体は使用することができないが、本実施形態のように、発光させずにエネルギーのみをダイレクトに移動させる場合には、蛍光量子収率が低くても、最終的な発電量は変わらないので、使用することが可能となる。一般に、蛍光量子収率の高い蛍光体は、価格が高く、耐光性が低く、寿命の短いものが多いので、保守の費用が高くなるが、蛍光量子収率の低い蛍光体は、価格が低く、材料も豊富で、耐光性が高く、寿命の長いものが多いので、保守の費用を少なくすることができる。
第4蛍光体としては、蛍光量子収率が90%未満のもの、より好ましくは、蛍光量子収率が80%以下のものを用いることが好ましい。一般に、太陽電池の寿命は変換効率が初期値の90%になるまでの時間とされていることから、導光体においても蛍光体の発光強度が10%落ちるまでの時間を寿命とみなすことができる。蛍光体は、通常、発光体としての利用が前提となるので、蛍光量子収率としては、100%〜90%の高い蛍光量子収率が求められる。よって、蛍光体の寿命は、蛍光量子収率が初期値から10%落ちるまでの時間、すなわち、蛍光量子収率が90%〜81%になるまでの時間とみなすことができる。よって、蛍光量子収率が80%以下の蛍光体は、通常は使用されることはなく、このような蛍光体が存在したとしても、性能の悪い蛍光体として安価に入手することができる。よって、このような蛍光量子収率の低い蛍光体を用いれば、発電効率の高い太陽電池モジュールを安価に提供することができる。
本実施形態では、第4蛍光体の一例としてNPBを用いたが、第4蛍光体はこれに限定されない。他の材料としては、N,N’-bis(3-methylphenyl)-N,N’-diphenyl- [1,1’-biphenyl]-4,4’-diamine (TPD)、4,4’-bis-[N-(1-naphthyl)-N-phenylamino]-biphenyl) (a-NPD)、4,4’-bis-[N-(9-phenanthyl)-N-phenylamino]-biphenyl (PPD)、N,N,N’,N’-tetra-tolyl-1,1’-cyclohexyl-4,4’-diamine (TPAC)、1,1,4,4-tetraphenyl-1,3-butadiene(TPB)、TACP, Poly(N-vinylcarbazole) (PVK)、4,4',4''-tri(N-carbazolyl)triphenylamine (TCTA)、1,3,5-tris[4-(3-methylphenylphenylamino)phenyl]benzene (m-MTDAPB)、1,3,5-tris[N-(4-diphenylaminophenyl)phenylamino]benzene (p-DPA-TDAB)、4,4,4''-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine (m-MTDATA)、4,4',4''-tris(1-naphthylphenylamino)triphenylamine (1-TNATA)、4,4',4''-tris(2-naphthylphenylamino)triphenylamine (2-TNATA)、1,3,5-tris(4-tert-butylphenyl-1,3,4-oxadiazolyl)benzene (TPOB)、tri(p-terphenyl-4-yl)amine (p-TTA)、bis{4-[bis(4-methylphenyl)amino]phenyl}oligothiophene (BMA-nT)、2,5-bis{4-[bis(4-methylphenyl)amino]phenyl}thiophene (BMA-1T)、5,5''-bis{4-[bis(4-methylphenyl)amino]phenyl}-2,2'-bithiophene (BMA-2T)、5,5''-bis{4-[bis(4-methylphenyl)amino]phenyl}-2,2':5',2''-terthiophene (BMA-3T)、5,5'''-bis{4-[bis(4-methylphenyl)amino]phenyl}-2,2':5',2'':5'',2''-quaterthiophene (BMA-4T)、
2-(4-biphenyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazole (PBD)、2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline (BCP)、4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline (Bphen)、2,9-bis(naphthalen-2-yl)-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline (NBphen)、1,3-bis[2-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazo-5-yl]benzene (OXD-7)、3-(4-biphenyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole (TAZ)、4,4'-bis(4,6-diphenyl-1,3,5-triazin-2-yl)biphenyl (BTB)、2,5-Bis(1-naphthyl)-1,3,4-oxadiazole (BND)、
4,4'-bis(carbazol-9-yl)biphenyl (CBP)、2,2',7,7'-tetrakis(carbazol-9-yl)-9,9-spirobifluorene (Spiro-CBP)、1,3,5-tris(carbazol-9-yl)benzene (TCP), 1,3-bis(carbazol-9-yl)benzene (MCP)、
4,4'-di(triphenylsilyl)-biphenyl (BSB)、1,4-bis(triphenylsilyl)benzene (UGH-2)、1,3-bis(triphenylsilyl)benzene (UGH-3)などの有機蛍光体や、ZnO、CdSe、 ZnSe、 AlN, GaN, InN, InP, GaP, GaAs, ZnS, CdSなどで構成される量子ドットからなる無機蛍光体などが挙げられるが、これらに限定されるものでもない。
2-(4-biphenyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazole (PBD)、2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline (BCP)、4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline (Bphen)、2,9-bis(naphthalen-2-yl)-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline (NBphen)、1,3-bis[2-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazo-5-yl]benzene (OXD-7)、3-(4-biphenyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole (TAZ)、4,4'-bis(4,6-diphenyl-1,3,5-triazin-2-yl)biphenyl (BTB)、2,5-Bis(1-naphthyl)-1,3,4-oxadiazole (BND)、
4,4'-bis(carbazol-9-yl)biphenyl (CBP)、2,2',7,7'-tetrakis(carbazol-9-yl)-9,9-spirobifluorene (Spiro-CBP)、1,3,5-tris(carbazol-9-yl)benzene (TCP), 1,3-bis(carbazol-9-yl)benzene (MCP)、
4,4'-di(triphenylsilyl)-biphenyl (BSB)、1,4-bis(triphenylsilyl)benzene (UGH-2)、1,3-bis(triphenylsilyl)benzene (UGH-3)などの有機蛍光体や、ZnO、CdSe、 ZnSe、 AlN, GaN, InN, InP, GaP, GaAs, ZnS, CdSなどで構成される量子ドットからなる無機蛍光体などが挙げられるが、これらに限定されるものでもない。
本実施形態では、ホスト分子を1種類の光機能材料(第4蛍光体)のみで構成したが、2種類以上の光機能材料をホスト材料として用いることもできる。その場合、最終的な発電量は、最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料の蛍光量子収率によって決まるため、最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料の蛍光量子収率は、導光体に備えられた他のいずれの光機能材料の蛍光量子収率よりも高いことが望ましい。
[第4実施形態]
図16は、第4実施形態の太陽電池モジュールで用いられる光機能材料の発光スペクトルおよび太陽電池素子の分光感度を示す図である。
図16は、第4実施形態の太陽電池モジュールで用いられる光機能材料の発光スペクトルおよび太陽電池素子の分光感度を示す図である。
第3実施形態の太陽電池モジュールでは、ホスト分子として、蛍光量子収率が42%の第4蛍光体が用いられていた。それに対して、本実施形態の太陽電池モジュールでは、ホスト分子として、蛍光量子収率が3%の第6蛍光体が用いられている。第6蛍光体は、蛍光量子収率が非常に低く、実質的に光を発しない非発光体とみなすことができる。第6蛍光体はホスト分子であり、第5蛍光体はゲスト分子であり、第6蛍光体と第5蛍光体との間でフェルスター機構によるエネルギー移動が生じ、実質的に、ゲスト分子である第5蛍光体のみが発光する。
第6蛍光体は、例えばTPDS(N,N,N’,N’-tetra-tolyl-1,1’-diphenylsulphide-4,4’-diamine)である。第6蛍光体の蛍光量子収率は3%であり、第6蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は420nmである。第5蛍光体は、第3実施形態と同じルブレンである。第6蛍光体に対して第5蛍光体の含有量は3%とされている。本実施形態の導光体は、例えば、厚さ2mmのガラス基板などからなる透明導光体の第1主面に、第4蛍光体と第5蛍光体とを含む光機能材料層を5μmの厚みで成膜し、光機能材料層の表面に透明保護膜としてパリレンを1μmの厚みで成膜することにより形成される。
太陽電池素子としては、アモルファスシリコン太陽電池が用いられている。第6蛍光体および第5蛍光体の発光スペクトルのピーク波長におけるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度を比較すると、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい第5蛍光体の発光スペクトルのピーク波長におけるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度は、導光体に備えられた他のいずれの蛍光体(第6蛍光体)の発光スペクトルのピーク波長におけるアモルファスシリコン太陽電池の分光感度よりも大きい。そのため、太陽電池素子としてアモルファスシリコン太陽電池を用いれば、高い効率で発電を行うことができる。
第1実施形態と同様に発電量を測定すると、発電量は第3実施形態と同じ5.6Wであった。フェルスター機構によるエネルギー移動が起こらずに、フォトルミネッセンスによって発光および吸収のプロセスを経て第6蛍光体の励起エネルギーが第5蛍光体に移動したとすると、発電量は2.9Wである。よって、フォトルミネッセンスによるプロセスを経る場合に比べて、93%程度発電量が増加する。
第6蛍光体のように蛍光量子収率の低い蛍光体は安価に入手できて、耐光性が高いので、発電効率の高い太陽電池モジュールを安価に提供できる。
[第5実施形態]
図17は、第5実施形態の太陽電池モジュール32の模式図である。太陽電池モジュール32では、第1実施形態の太陽電池モジュール1と比較して、導光体30と太陽電池素子31の形状及び配置が異なる。よって、ここでは、導光体30と太陽電池素子31の形状及び配置について説明し、それ以外の構成については、詳細な説明は省略する。
図17は、第5実施形態の太陽電池モジュール32の模式図である。太陽電池モジュール32では、第1実施形態の太陽電池モジュール1と比較して、導光体30と太陽電池素子31の形状及び配置が異なる。よって、ここでは、導光体30と太陽電池素子31の形状及び配置について説明し、それ以外の構成については、詳細な説明は省略する。
太陽電池モジュール32では、導光体30は、湾曲した板状の部材として構成され、太陽電池素子31は、光射出面である導光体30の湾曲した第1端面30cから射出された光を受光するように構成されている。導光体30は、例えば、厚みが一定の板状の部材をY軸と平行な軸の回りに湾曲させた形状を有する。導光体30の第1主面30aと第2主面30bのうち、外側に凸状に湾曲した第1主面30aが、外光(例えば太陽光)Lが入射する光入射面である。
光入射面30aに入射した光Lは、導光体30の内部に分散された図示略の複数の光機能材料によって吸収される。そして、複数の光機能材料の間でフェルスター機構によるエネルギー移動が生じ、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい光機能材料から放射された光が、光入射面30aよりも面積の小さい光射出面30cに集光して射出される。導光体30の内部に分散される複数の光機能材料としては、例えば、図2ないし図6に示した第1蛍光体8a、第2蛍光体8bおよび第3蛍光体8cが用いられている。
太陽電池素子31としては、第1実施形態と同じアモルファスシリコン太陽電池が用いられている。太陽電池素子31は、受光面を導光体30の第1端面30cと対向させて配置されている。第1蛍光体8a、第2蛍光体8bおよび第3蛍光体8cの発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子31の分光感度を比較すると、複数の光機能材料(第1蛍光体8a、第2蛍光体8b、第3蛍光体8c)のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料(第3蛍光体8c)の発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子31の分光感度は、導光体30に備えられた他のいずれの光機能材料(第1蛍光体8a、第2蛍光体8b)の発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子31の分光感度よりも大きい。これにより、発電効率の高い太陽電池モジュール32が提供される。
太陽電池モジュール32では、導光体30の光入射面30aが湾曲した面となっている。そのため、昼間と夕方のように時間帯によって光Lの入射角が導光体30の湾曲方向に沿って変化した場合でも、発電量は大きく変化しない。通常、太陽電池で発電を行う場合には、太陽電池の受光面が光の入射方向を向くように、追尾装置を設けて太陽電池の角度を2軸方向で制御することが行われるが、本実施形態のように、導光体30の光入射面30aが様々な方向を向くように湾曲した形状となっている場合には、そのような追尾装置を設ける必要がない。仮に追尾装置を設ける場合でも、湾曲方向と直交する方向の角度制御のみでよいため、2軸方向で角度制御を行う場合に比べて追尾装置の構成を簡素化することができる。本実施形態の場合、導光体30は一方向に湾曲した形状とされているが、導光体30の形状はこれに限らない。例えば半球状や釣鐘状などのドーム形状とすることもできる。その場合には、追尾装置は不要になる。
太陽電池モジュール32では、導光体30が湾曲しているため、導光体30を、曲面形状に形成された建物の壁面や屋根に設置することができる。本実施形態の場合、導光体30は一方向に湾曲した形状とされているが、導光体30の形状はこのような単純な形状に限らない。例えば、瓦状の形状や波状の形状など、自由な形状に設計することができる。導光体30を設置する場所に応じて、湾曲形状だけでなく、稜線を有して屈曲した屈曲形状を有していてもよい。湾曲した面や屈曲した面は、光入射面の少なくとも一部に設けられていればよく、それにより、上述した効果が得られる。
[第6実施形態]
図18は、第6実施形態の太陽電池モジュール35の模式図である。太陽電池モジュール35では、第1実施形態の太陽電池モジュール1と比較して、導光体33と太陽電池素子34の形状及び配置が異なる。よって、ここでは、導光体33と太陽電池素子34の形状及び配置について説明し、それ以外の構成については、詳細な説明は省略する。
図18は、第6実施形態の太陽電池モジュール35の模式図である。太陽電池モジュール35では、第1実施形態の太陽電池モジュール1と比較して、導光体33と太陽電池素子34の形状及び配置が異なる。よって、ここでは、導光体33と太陽電池素子34の形状及び配置について説明し、それ以外の構成については、詳細な説明は省略する。
太陽電池モジュール35では、導光体33は、Y軸と平行な軸を中心軸とする筒状の部材として構成され、太陽電池素子34は、光射出面である導光体33の第1端面33cから射出された光を受光するように構成されている。導光体33は、例えば、厚みが一定の円筒状の形状を有する。導光体33の外周面が第1主面33aであり、導光体33の内周面が第2主面33bである。導光体33の第1主面33aと第2主面33bのうち、外側に凸状に湾曲した第1主面33aが、外光(例えば太陽光)Lが入射する光入射面である。
光入射面33aに入射した光Lは、導光体33の内部に分散された図示略の複数の光機能材料によって吸収される。そして、複数の光機能材料の間でフェルスター機構によるエネルギー移動が生じ、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい光機能材料から放射された光が、光入射面33aよりも面積の小さい光射出面33cに集光して射出される。導光体33の内部に分散される複数の光機能材料としては、例えば、図2ないし図6に示した第1蛍光体8a、第2蛍光体8bおよび第3蛍光体8cが用いられている。
太陽電池素子34としては、第1実施形態と同じアモルファスシリコン太陽電池が用いられている。太陽電池素子34は、受光面を導光体33の第1端面33cと対向させて配置されている。第1蛍光体8a、第2蛍光体8bおよび第3蛍光体8cの発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子34の分光感度を比較すると、複数の光機能材料(第1蛍光体8a、第2蛍光体8b、第3蛍光体8c)のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料(第3蛍光体8c)の発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子34の分光感度は、導光体33に備えられた他のいずれの光機能材料(第1蛍光体8a、第2蛍光体8b)の発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子34の分光感度よりも大きい。これにより、発電効率の高い太陽電池モジュール35が提供される。
太陽電池モジュール35では、導光体33の光入射面33aが湾曲した面となっている。そのため、昼間と夕方のように時間帯によって光Lの入射角が導光体33の湾曲方向に沿って変化した場合でも、発電量は大きく変化しない。また、導光体33が筒状に形成されているため、導光体33を建物の柱や電柱などに設置することができる。本実施形態の場合、導光体33は円筒状に形成されているが、導光体33の形状はこのような形状に限らす、XZ平面と平行な平面で切った断面が楕円や多角形など、導光体33を設置する場所に応じて自由な形状に設計することができる。
[第7実施形態]
図19は、第7実施形態の太陽電池モジュール38の模式図である。太陽電池モジュール38では、第1実施形態の太陽電池モジュール1と比較して、導光体36と太陽電池素子37の形状及び配置が異なる。よって、ここでは、導光体36と太陽電池素子37の形状及び配置について説明し、それ以外の構成については、詳細な説明は省略する。
図19は、第7実施形態の太陽電池モジュール38の模式図である。太陽電池モジュール38では、第1実施形態の太陽電池モジュール1と比較して、導光体36と太陽電池素子37の形状及び配置が異なる。よって、ここでは、導光体36と太陽電池素子37の形状及び配置について説明し、それ以外の構成については、詳細な説明は省略する。
太陽電池モジュール38では、導光体36は、Y方向に延びる柱状の部材として構成され、太陽電池素子37は、光射出面である導光体36の第1端面36cから射出された光を受光するように構成されている。導光体36は、例えば、Y軸と平行な軸を中心軸とする円柱状の形状を有する。導光体36の外周面が第1主面36aであり、該第1主面36aが、外光(例えば太陽光)Lが入射する光入射面である。
太陽電池素子37としては、第1実施形態と同じアモルファスシリコン太陽電池が用いられている。太陽電池素子37は、受光面を導光体36の第1端面36cと対向させて配置されている。第1蛍光体8a、第2蛍光体8bおよび第3蛍光体8cの発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子37の分光感度を比較すると、複数の光機能材料(第1蛍光体8a、第2蛍光体8b、第3蛍光体8c)のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料(第3蛍光体8c)の発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子37の分光感度は、導光体36に備えられた他のいずれの光機能材料(第1蛍光体8a、第2蛍光体8b)の発光スペクトルのピーク波長における太陽電池素子37の分光感度よりも大きい。これにより、発電効率の高い太陽電池モジュール38が提供される。
図19では、導光体36と太陽電池素子37とを1組とする単位ユニット39がX方向に互いに隣接して8組設置されているが、単位ユニット39の数はこれに限定されない。単位ユニット39の数は1組でもよいし、8組以外の複数組でもよい。単位ユニット39を複数組設けた場合には、平面への設置が可能となる。複数組の単位ユニット39を紐状の連結部材40で柔軟に連結した場合には、平面でない曲面などに自由に形を変えて設置することができとともに、簾のように必要なときに展開し、必要でないときに巻き取って収納するなどの調整が可能となる。また、複数組の単位ユニット39を硬い棒状の連結部材40などで互いに間隔を空けて連結した場合には、導光体36間の空間を風が通るため、風圧を緩和することができ、太陽電池モジュールの架台の設置が簡単になる。
なお、本実施形態の場合、導光体36は円柱状に形成されているが、導光体36の形状はこのような形状に限らす、XZ平面と平行な平面で切った断面が楕円や多角形など、導光体36を設置する場所に応じて自由な形状に設計することができる。
太陽電池モジュール38では、導光体36の光入射面36aが湾曲した面となっている。そのため、昼間と夕方のように時間帯によって光Lの入射角が導光体36の湾曲方向に沿って変化した場合でも、発電量は大きく変化しない。また、導光体36が柱状に形成されているため、複数の導光体36を並べて柔軟に連結することにより、平面上のみならず曲面上への設置が可能となり、また、簾のように展開/巻き取りが可能な構成を実現することができる。
[太陽光発電装置]
図20は、太陽光発電装置1000の概略構成図である。
図20は、太陽光発電装置1000の概略構成図である。
太陽光発電装置1000は、太陽光のエネルギーを電力に変換する太陽電池モジュール1001と、太陽電池モジュール1001から出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ(直流/交流変換器)1004と、太陽電池モジュール1001から出力された直流電力を蓄える蓄電池1005と、を備えている。
太陽電池モジュール1001は、太陽光を集光する導光体1002と、導光体1002によって集光された太陽光によって発電を行う太陽電池素子1003と、を備えている。
太陽電池モジュール1001としては、例えば、第1実施形態ないし第9実施形態で説明した太陽電池モジュールが用いられる。
太陽電池モジュール1001としては、例えば、第1実施形態ないし第9実施形態で説明した太陽電池モジュールが用いられる。
太陽光発電装置1000は外部の電子機器1006に対して電力を供給する。電子機器1006には、必要に応じて補助電力源1007から電力が供給される。
太陽光発電装置1000は、上述した本発明に係る太陽電池モジュールを備えているため、発電効率の高い太陽光発電装置となる。
本発明は、太陽電池モジュールおよび太陽光発電装置に利用することができる。
1…太陽電池モジュール、4…導光体、4a…光入射面、4c…光射出面、6…太陽電池素子、7…反射層、8a,8b,8c…蛍光体(光機能材料)、9…反射層、24…導光体、25…透明導光体、25a…第1主面、26…蛍光フィルム(光機能材料層)、28…粘着層、30…導光体、30…光入射面、30c…光射出面、31…太陽電池素子、32…太陽電池モジュール、33…導光体、33a…光入射面、33c…光射出面、34…太陽電池素子、35…太陽電池モジュール、36…導光体、36a…光入射面、36c…光射出面、37…太陽電池素子、38…太陽電池モジュール、39…単位ユニット、40…連結部材、1000…太陽光発電装置、L,L1…光
Claims (19)
- 光入射面に入射した外光の一部を複数の光機能材料によって吸収し、前記複数の光機能材料の間でフェルスター機構によるエネルギー移動を生じさせ、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい光機能材料から放射された光を前記光入射面よりも面積の小さい光射出面に集光して射出する導光体と、
前記導光体の光射出面から射出された前記光を受光する太陽電池素子と、を備え、
前記複数の光機能材料のうち最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料の発光スペクトルのピーク波長における前記太陽電池素子の分光感度は、前記導光体に備えられた他のいずれの光機能材料の発光スペクトルのピーク波長における前記太陽電池素子の分光感度よりも大きい太陽電池モジュール。 - 前記光機能材料のうち、前記最も発光スペクトルのピーク波長の大きい光機能材料以外の1又は複数の光機能材料には、蛍光量子収率が80%以下の光機能材料が含まれている請求項1に記載の太陽電池モジュール。
- 前記最も発光スペクトルのピーク波長が大きい光機能材料の蛍光量子収率は、前記導光体に備えられた他のいずれの光機能材料の蛍光量子収率よりも高い請求項2に記載の太陽電池モジュール。
- 前記導光体は、前記光機能材料として、無機材料からなる光機能材料を備えている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記導光体は、前記無機材料からなる光機能材料として、量子ドットからなる光機能材料を備えている請求項4に記載の太陽電池モジュール。
- 前記導光体には、前記導光体の内部から前記導光体の外部に向けて進行する前記光を前記導光体の内部に向けて反射する反射層が、前記導光体と空気層を介して又は前記導光体と空気層を介さずに直接接触して設けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記反射層は、入射した光を散乱反射する散乱反射層である請求項6に記載の太陽電池モジュール。
- 前記導光体は、透明導光体の内部に前記複数の光機能材料を分散させることにより形成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記導光体は、透明導光体と、前記透明導光体の第1主面に設けられ、内部に前記複数の光機能材料が分散された光機能材料層と、を備えている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記透明導光体と前記光機能材料層とは、剥離可能な粘着層で接着されている請求項9に記載の太陽電池モジュール。
- 前記光入射面は平坦な面である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記導光体は、平坦な板状の部材として構成され、
前記太陽電池素子は、前記光射出面である前記導光体の端面から射出された前記光を受光する請求項11に記載の太陽電池モジュール。 - 前記光入射面の少なくとも一部は屈曲又は湾曲した面である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記導光体は、湾曲した板状の部材として構成され、
前記太陽電池素子は、前記光射出面である前記導光体の湾曲した端面から射出された前記光を受光する請求項13に記載の太陽電池モジュール。 - 前記導光体は、筒状の部材として構成され、
前記太陽電池素子は、前記光射出面である前記導光体の端面から射出された前記光を受光する請求項13に記載の太陽電池モジュール。 - 前記導光体は、柱状の部材として構成され、
前記太陽電池素子は、前記光射出面である前記導光体の端面から射出された前記光を受光する請求項13に記載の太陽電池モジュール。 - 前記導光体と前記太陽電池素子とを1組とする単位ユニットが、互いに隣接して複数組設置され、前記複数組の単位ユニットが紐状の連結部材で互いに柔軟に連結されている請求項16に記載の太陽電池モジュール。
- 前記導光体と前記太陽電池素子とを1組とする単位ユニットが、互いに隣接して複数組設置され、前記複数組の単位ユニットが互いに間隔を空けて連結されている請求項16に記載の太陽電池モジュール。
- 請求項1ないし18のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールを備えている太陽光発電装置。
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