JP2014232632A - 電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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行一 六原
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Abstract

【課題】基板および基板上に形成された部材に与えるダメージを抑制しつつ、短時間で有機薄膜を形成することが可能な電子デバイスの製造方法および該電子デバイスに用いられる薄膜の製造方法を提供する。【解決手段】2以上の電極と、前記2以上の電極間に設けられる有機薄膜とを有し、基板上に作製される電子デバイスの製造方法であって、架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、前記有機薄膜を形成する工程とを含む、電子デバイスの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、電子デバイスの製造方法および薄膜の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という場合がある)、有機光電変換素子、および有機薄膜トランジスタ等の電子デバイスは、2以上の電極と、これら2以上の電極間に設けられる有機薄膜とを備える。
この電子デバイスを構成する有機薄膜は、たとえば、まずインクジェット法などの塗布法により塗布膜を形成し、さらにこれを硬化することにより形成される。有機薄膜の硬化は、たとえば塗布膜にレーザー光を照射することによりおこなわれる(特許文献1参照)。
電子デバイスの製造工程においては、上記のように塗布法で形成された有機薄膜のうえに、さらに塗布法で有機薄膜を形成することがある(以下、先に形成される層を下層といい、下層に接合するように後に形成される他の層を上層という場合がある)。この場合、上層の有機薄膜を形成するさいに、当該上層を形成するための塗布液を下層の表面に塗布することになる。そのさいに、一旦硬化した下層の一部が、当該下層上に塗布された塗布液に再び溶解することがある。
このような下層の溶解を防ぐために、下層を溶液に対して不溶化するという手法がとられることがある。たとえば架橋性基を導入した材料を塗布液に用いて塗布膜を形成し、その後、架橋性基を架橋させて有機薄膜を固化し、溶液に対して不溶化したうえで、上層を塗布法で形成すするという手法が知られている。
国際公開第2006/064792号
しかしながら、たとえばホットプレートを用いた加熱処理によって架橋反応を行う場合には、硬化に要する時間が長くなるという問題がある。そこで、レーザー光のように強い光を照射することによって短時間で架橋反応をおこなうことも考えられえるが、この場合には、基板、および、基板上に既に形成されている部材(電極および電極間に設けられる薄膜など)の温度が過度に上昇し、これらがダメージを受けるおそれがある。
したがって本発明の目的は、基板および基板上に形成された部材に与えるダメージを抑制しつつ、短時間で有機薄膜を形成することが可能な電子デバイスの製造方法および該電子デバイスに用いられる薄膜の製造方法を提供することにある。
本発明は、2以上の電極と、前記2以上の電極間に設けられる有機薄膜とを有し、基板上に作製される電子デバイスの製造方法であって、
架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、
500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、前記有機薄膜を形成する工程とを含む、電子デバイスの製造方法に関する。
また本発明は、前記有機薄膜を形成する工程では、前記基板を冷却しつつ、前記熱風を照射する、前記電子デバイスの製造方法に関する。
また本発明は、前記有機薄膜を形成する工程における前記基板の温度は400℃以下である、前記電子デバイスの製造方法に関する。
また本発明は、前記有機薄膜を形成する工程における前記基板の温度は350℃以下である、前記電子デバイスの製造方法に関する。
また本発明は、前記電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機光電変換素子、または有機薄膜トランジスタである、前記電子デバイスの製造方法に関する。
また本発明は、前記有機薄膜を形成する工程は、巻き出しロールに巻き取られた可撓性の前記基板から送り出された前記基板が、巻き取りロールに巻き取られる過程中において行われる、前記電子デバイスの製造方法に関する。
また本発明は、架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、
500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、有機薄膜を形成する工程とを含む、薄膜の製造方法に関する。
本発明の電子デバイスの製造方法および薄膜の製造方法によれば、塗布法により薄膜を形成する工程において、短時間で薄膜を固化しつつ、基板、ならびに、基板上に形成された部材に与えるダメージを抑制することができ、結果として製造される電子デバイスの性能を向上させることができる。
基板の温度プロファイル
以下、本発明の電子デバイスの製造方法について説明する。
本発明の電子デバイスの製造方法は、2以上の電極と、前記2以上の電極間に設けられる有機薄膜とを有し、基板上に作製される電子デバイスの製造方法であって、架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、前記有機薄膜を形成する工程とを含む。
本発明の電子デバイスの例としては、有機EL素子、有機光電変換素子、および有機薄膜トランジスタなどが挙げられる。
本発明の電子デバイスに用いられる有機薄膜は、当該有機薄膜上に、塗布法によってさらに薄膜が形成される場合に好適に適用される。
例えば本発明の薄膜の形成方法は、有機EL素子であれば、塗布法により形成される、正孔輸送層、発光層、電子輸送層等に好適に適用することができ、有機光電変換素子であれば、塗布法により形成される、正孔輸送層、活性層、電子輸送層等に好適に適用することができ、有機薄膜トランジスタであれば、塗布法により形成される、正孔注入層、活性層、電子注入層等に好適に適用することができる。
「電極間に設けられる有機薄膜」とは、電極間を移動する電子または正孔の経路の少なくとも一部となり得るように配置される有機薄膜を意味する。
(架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程)
まず塗布液を用意する。塗布液には、少なくとも主成分である材料と溶媒とが含まれる。
主成分である材料の例としては、電子デバイスが有機EL素子である場合、電子輸送材料、発光材料および正孔輸送材料などが挙げられ、電子デバイスが有機光電変換素子である場合、電子輸送材料、光電変換材料および正孔輸送材料などが挙げられ、電子デバイスが有機薄膜トランジスタである場合、絶縁材料および半導体材料などが挙げられる。
なお架橋性基を有する材料を含む塗布液には、(1)有機薄膜の所定の機能を発現させるための材料自体は架橋性基を有しておらず、架橋性基を有する材料として架橋剤をさらに含む形態、(2)有機薄膜の所定の機能を発現させるための材料自体が架橋性基を有する形態、(3)有機薄膜の所定の機能を発現させるための材料自体が架橋性基を有し、架橋剤をさらに含む形態が含まれる。
塗布法(用意された塗布液を塗布する方法)の例としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、およびインクジェットプリント法などが挙げられる。
塗布液の塗布は、窒素ガスおよびアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気、減圧雰囲気、常圧程度の雰囲気、または大気雰囲気下でおこなうことができる。
(有機薄膜を形成する工程)
つぎに、500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、前記有機薄膜を形成する。「熱風を塗布膜に照射する」とは、熱源によって暖められた気体(空気、窒素など)を、塗布膜の所定の部位に照射することを意味する。
熱源としては、ランプヒータおよびセラミックヒータなどが挙げられ、セラミックヒータを用いることが好ましい。
たとえば熱風は、上記の熱源によって熱せられた気体が送風口から送出される。送風口の形状はとくに限定されないが、たとえば矩形状があげられる。
なお、500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射する場合における熱風の温度は、熱風が送風される送風口における気体の温度を意味する。
送風口での温度は、500℃以上であり、700℃以上が好ましく、800℃以上がさらに好ましい。また送風口における温度の上限は、基板の耐熱温度、照射時間および塗布膜表面における熱風の温度などによって適宜設定されるが、通常1200℃以下であり、1100℃以下が好ましく、1000℃以下がさらに好ましい。
送風口と塗布膜との間の距離は、たとえば1〜50mmであり、5〜20mmが好ましい。送風口と塗布膜との間の距離は、たとえば塗布膜表面における熱風の温度が、送風口における熱風とほぼ同じ温度となる距離に設定される。なお送風口と塗布膜との間の距離を調整することにより、塗布膜表面における温度を調整してもよい。
基板は、その材料にもよるが、温度が上昇しすぎると変形することがある。そのため、熱風の照射の条件は、熱風の照射中における基板の温度が所定の設定温度以下となるように設定される。この設定温度は、たとえば300℃であり、400℃が好ましく、350℃がさらに好ましい。
熱風の照射時間は、タクトタイムの観点からは短いほど好ましいが、所期の硬化が達成され、かつ基板の温度が設定度以上にならない程度に設定される。このような観点から、照射時間は、0.1〜1000秒程度であり、1〜100秒が好ましく、2〜50秒がさらに好ましい。
なお、照射時間とは、たとえば基板を搬送しつつ熱風を照射する場合は基板には連続的に熱風を照射することになるが、この場合は、塗布膜の特定の部位において熱風が照射されている時間を意味する。
また熱風の送風量は、照射時間の観点からは多いほうが好ましいが、基板の温度が上記の設定度以上にならない程度に設定される。このような観点から、10〜10000cm/mm/分程度であり、100〜1000cm/mm/分が好ましい。
熱風の種類は、とくに限定されないが、塗布膜を構成する材料と化学反応しない気体が好ましく、たとえば窒素ガス、アルゴンガスなどが好ましい。
上述の有機薄膜を形成する工程では、基板を冷却しつつ、熱風を照射することが好ましい。基板を冷却することなく有機薄膜に熱風を照射すると、基板が高温化するため、その種類によっては基板が変形することもある。そこで、基板を冷却しつつ熱風を照射することで、基板が高温化することを防ぐことができ、基板の変形を防止することができる。とくに可撓性の基板は熱に弱いため、後述するロールツーロールに用いられる可撓性の基板を使用する場合には、基板を冷却しつつ熱風を照射することが好ましい。基板の冷却方法としては、たとえば基板を保持する保持台の中に液体(たとえば水、オイル)を通す方法や、熱風を照射する側の表面とは反対側の表面に冷風を照射する方法、電子冷却装置を設置する方法などがあげられる。
有機薄膜を形成する工程を含む電子デバイスの製造方法は、2以上の電極を形成する工程と、前記2以上の電極間に設けられる有機薄膜を形成する工程とを含む。なお電子デバイスの製造方法は、2以上の電極間に、上述のようにして形成した有機薄膜以外の薄膜を形成する工程を有していてもよい。
2以上の電極間に設けられる有機薄膜を形成する工程は、いわゆるロールツーロール方式でおこなってもよく、また、枚様方式でおこなってもよい。
たとえば、前記有機薄膜を形成する工程は、巻き出しロールに巻き取られた可撓性の前記基板から送り出された前記基板が、巻き取りロールに巻き取られる過程中において行われる。
たとえば有機薄膜を形成する工程は、巻き出しロールに巻き取られた可撓性の基板(以下、可撓性基板という場合がある)、または可撓性基板上に可撓性の電極等が形成された長尺の構造体を用意し、巻き出しロールから巻き出された可撓性基板または長尺の構造体を巻き取りロールに巻き取りつつ行ってもよい。
ここでロールツーロール方式の概略について説明する。
ロールツーロール方式による有機薄膜の形成工程では、巻き出しロールと巻き取りロールとの間に張り渡された長尺の可撓性基板を連続的に搬送しながら、まず架橋性基を有する材料を含む塗布液を巻き出しロールおよび巻き取りロール間で露出している可撓性基板の主表面に連続的に塗布して塗布膜を形成する。次いで塗布膜が形成された可撓性基板をさらに連続的に搬送しながら、500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、有機薄膜を形成する。これによって、有機薄膜が、後の工程で当該膜の表面に塗布される塗布液に対して不溶化される。
つづいて、架橋性基を架橋させた有機薄膜上に、連続してさらに薄膜を形成してもよい。この場合、当該薄膜を塗布法で形成したとしても、下層の有機薄膜は塗布液に対して不溶化されているため、下層の有機薄膜が受けるダメージを低減することができる。
なお、電子デバイスのすべての構成要素を、ロールツーロール方式で形成してもよいが、たとえば、有機薄膜のみをロールツーロール方式で形成してもよい。たとえば、電極があらかじめ形成された可撓性基板を用意し、この可撓性基板を用いて、ロールツーロール方式で1または複数の有機薄膜を形成し、その後、所定の部位で可撓性基板を裁断し、枚葉方式でさらに電極を形成し、電子デバイスを作製してもよい。
有機EL素子、有機光電変換素子、有機薄膜トランジスタ等の電子デバイスを製造するにあたり、ロールツーロール法に好適に適用できる長尺の可撓性基板としては、無色透明な樹脂からなるフィルムまたはシートなどのロール状に巻き取り可能な基板であれば特に限定されない。このような基板に用いる樹脂としては、例えば、ポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂が挙げられる。
これらの樹脂のなかでは、耐熱性が高く、線膨張率が低く、製造コストが低いため、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレンレテフタレート、ポリエチレンナフタレートが特に好ましい。また、これらの樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また基板としては、アルミニウム、銅、SUSなどの金属基板およびガラス基板などを用いることができる。金属基板およびガラス基板などをロールツーロール法に使用する場合には、可撓性が発現する程度にその厚みを薄くすればよい。
可撓性基板の厚さは特に限定されない。可撓性基板の厚さは成膜時の安定性を考慮して適宜に設定することができる。可撓性基板の厚さは、5μm〜500μmの範囲であることが好ましく、さらに、50μm〜200μmの範囲であることがより好ましく、50μm〜100μmの範囲であることが特に好ましい。
長尺の可撓性基板または長尺の構造体を用いてロールツーロール方式で搬送しながら電子デバイスを製造する場合には、定常的に電磁波を照射すると基板が過度に加熱され撓んだり、構造体を構成する機能層が劣化する場合がある。しかしながら本発明の製造方法では500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させるので、短時間で架橋反応を生じさせることができる。そのため基板が高温化することを防ぐことができ、基板の撓み、機能層の劣化等の不具合の発生を抑制することができる。
またロールツーロール方式で可撓性基板を搬送しながら電子デバイスを製造する場合に、従来の加熱処理を施したのでは、架橋反応に要する時間が長くなるため、加熱時間に対応して搬送距離も長大になる。しかしながら上記本発明の製造方法の500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させれば、基板および基板上に設けられた部材(電極および正孔注入層など)を過度に昇温させてしまうことなく極めて短時間で架橋反応を完結させることができるため、基板等へ与えるダメージを抑制するとともに、搬送距離を短くすることができる。そのため、本発明の電子デバイスの製造方法および該電子デバイスに用いられる薄膜の製造方法は、ロールツーロール法による製造方法に好適に適用することができる。
以下、本実施形態の電子デバイス(有機EL素子、有機光電変換素子、有機薄膜トランジスタ)の取り得る構成例、並びに各層の構成およびその形成方法について説明する。
<有機EL素子>
本実施形態の有機EL素子は、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、陰極が、この順で基板上に順次積層された構成を備える。
本実施形態では、まず後述の基板を用意し、当該基板上に、後述の陽極、正孔注入層を順次形成する。
さらに本実施形態では、上述の本実施形態の塗布膜を形成する工程と有機薄膜を形成する工程とを行なうことにより正孔輸送層を形成する。具体的には、架橋性基を有する後述の正孔輸送材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成し、さらに、500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、正孔輸送層を形成する。
次に後述の発光層を塗布法で形成し、さらに後述の電子注入層、陰極を順次形成する。
本実施形態のように、発光層を塗布法で形成したとしても、塗布液に対してあらかじめ下層の正孔輸送層を不溶化しているため、発光層の形成工程において正孔輸送層が再び溶解することを防ぐことができる。そして正孔輸送層を上述の本実施形態の有機薄膜を形成する方法によって形成するため、基板、電極、正孔注入層に与えるダメージを抑制しつつ、短時間で正孔輸送層を形成することができる。
以下、有機EL素子の構成について説明する。
有機EL素子は一対の電極(陽極および陰極)と、この電極間に設けられる発光層を備える。なお一対の電極間には、発光層以外に、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、および電子注入層などの所定の層が設けられることがある。また一対の電極間には、発光層は1層に限らず、複数層設けられることがある。
有機EL素子のとり得る層構成の例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。
上記構成を備える有機EL素子は、通常、基板上に設けられる。形成される層の順序、層の数、および各層の厚さについては、発光効率、寿命を勘案して適宜設定することができる。有機EL素子は、通常、陽極を基板側に配置して基板上に設けられるが、陰極を基板側に配置して基板上に設けてもよい。例えばa)〜i)の各有機EL素子を基板上に作製する場合、陽極を基板側に配置する形態では陽極側(各構成a〜iの左側)から順に各層を基板上に積層し、最後に陰極を形成する。他方、陰極を基板側に配置する形態では陰極(各構成a〜iの右側)から順に各層を基板上に積層し、最後に陽極を形成する。有機EL素子は、基板側から光を出射するボトムエミッション型であっても、基板とは反対側から光を出射するトップエミッション型であってもよい。
次に有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法について、より具体的に説明する。
<基板>
基板は、有機EL素子の製造工程において化学的に変化しない基板が好適に用いられ、例えばガラス基板、シリコン基板などのリジッド基板であっても、プラスチック基板、高分子フィルムなどの可撓性基板であってもよい。可撓性基板を用いることで、全体として可撓性の有機EL素子とすることができ、有機EL素子をロールツーロール方式で形成することができる。なお基板には有機EL素子を駆動するための電極、駆動回路が予め形成されていてもよい。
<陽極>
発光層から放射される光が陽極を通して出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などからなる薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズからなる薄膜が好適に用いられる。陽極の形成方法の例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機物の透明導電膜を用いてもよい。
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、その材料としては、仕事関数が3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
陽極の厚さは、光の透過性、電気伝導度などを考慮して適宜決定することができる。陽極の厚さは、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料の例としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物、フェニルアミン化合物、スターバースト型アミン化合物、フタロシアニン化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)のようなポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の形成方法としては、例えば正孔注入材料を含むインキを用いる既に説明した塗布法が挙げられる。また正孔注入層は塗布法とは異なる所定の公知の方法によって形成してもよい。
正孔注入層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、求められる特性および成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定される。正孔注入層の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層の形成方法には、特に制限はない。正孔輸送層の形成方法において、低分子の正孔輸送材料を用いる場合には、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液を用いる形成方法を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料を用いる場合には、正孔輸送材料を含むインキを用いる塗布法による形成方法を挙げることができる。
以下、上述した「架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、前記有機薄膜を形成する工程」を、正孔輸送材料を含むインキを用いる塗布法によって正孔輸送層を形成する工程に適用する例を説明する。
本発明の有機EL素子が有する正孔輸送層は正孔輸送材料を含む。正孔輸送材料は正孔輸送機能を有する有機化合物であれば特に限定されない。正孔輸送機能を有する有機化合物の具体例としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、およびポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体が挙げられる。
正孔輸送機能を有する有機化合物は高分子化合物、例えば重合体であることが好ましい。正孔輸送機能を有する有機化合物が高分子化合物であると成膜性が向上し、有機EL素子の発光性を均一にすることができるからである。例えば、正孔輸送機能を有する有機化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、10000以上であり、好ましくは3.0×10〜5.0×10であり、より好ましくは6.0×10〜1.2×10である。また、正孔輸送機能を有する有機化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1.0×10以上であり、好ましくは5.0×10〜1.0×10であり、より好ましくは1.0×10〜6.0×10である。
具体的には、正孔輸送材料の例として、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載されている正孔輸送材料等が挙げられる。
これらの中で、正孔輸送機能を有する有機化合物としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、およびポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物である。正孔輸送機能を有する有機化合物が低分子である場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送機能を有する有機化合物であるポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体は、例えばビニルモノマーをカチオン重合するか、またはラジカル重合することによって得られる。
正孔輸送機能を有する有機化合物であるポリシラン若しくはその誘導体の例としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が挙げられる。合成方法もこれらの文献に記載の方法を用いることができ、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサン若しくはその誘導体としては、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有する化合物が好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミン残基を側鎖または主鎖に有する化合物が挙げられる。
正孔輸送性を有する有機化合物としては、下記式(1)で表されるフルオレンジイル基を有する重合体が好ましい。縮合環または複数の芳香環を有する有機化合物と接触させて有機EL素子の正孔輸送層とした場合に、正孔注入効率が向上し、駆動時の電流密度が大きくなるからである。
Figure 2014232632
(1)
式(1)中、R、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の複素環基を表す。アルキル基としては、炭素原子数が1〜10の基が挙げられる。アルコキシ基としては炭素原子数が1〜10の基が挙げられる。アリール基の例としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。1価の複素環基の例としてはピリジル基等が挙げられる。アリール基、1価の複素環基は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、高分子化合物の溶解性向上の観点から、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基等が挙げられる。
またアリール基、1価の複素環基は置換基は架橋性基を有していてもよい。架橋性基の例としては、ビニル基、エチニル基、ブテニル基、アクリル構造を有する基、アクリレート構造を有する基、アクリルアミド構造を有する基、メタクリル構造を有する基、メタクリレート構造を有する基、メタクリルアミド構造を有する基、ビニルエーテル構造を有する基、ビニルアミノ基、シラノール構造を有する基、小員環(例えばシクロプロパン、シクロブタン、エポキシド、オキセタン、ジケテン、エピスルフィド等)を有する基等が挙げられる。
好ましいフルオレンジイル基の具体例を以下に示す。
Figure 2014232632
特に好ましい正孔輸送機能を有する有機化合物は、繰り返し単位として上記フルオレンジイル基と芳香族3級アミン化合物の構造とを含む重合体、例えばポリアリールアミン重合体である。
芳香族3級アミン化合物の構造を含む繰り返し単位としては、下記式(2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2014232632
(2)
式(2)中、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表す。Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、アリール基または1価の複素環基を表す。あるいは、ArとArとは、一緒になって、ArとArが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。mおよびnは、それぞれ独立に、0または1を表す。
アリーレン基の例としては、フェニレン基等が挙げられる。2価の複素環基の例としては、ピリジンジイル基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよい。
アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。1価の複素環基の例としては、ピリジル基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよい。
1価の複素環基の例としては、チエニル基、フリル基、ピリジル基等が挙げられる。
アリーレン基、アリール基、2価の複素環基、1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、高分子化合物の溶解性の観点からは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、炭素原子数が1〜10の基が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜10の基が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
また置換基は、架橋性基を有していてもよい。架橋性基の例としては、ビニル基、エチニル基、ブテニル基、アクリル構造を有する基、アクリレート構造を有する基、アクリルアミド構造を有する基、メタクリル構造を有する基、メタクリレート構造を有する基、メタクリルアミド構造を有する基、ビニルエーテル構造を有する基、ビニルアミノ基、シラノール構造を有する基、小員環(例えばシクロプロパン、シクロブタン、エポキシド、オキセタン、ジケテン、エピスルフィド等)を有する基等が挙げられる。
Ar、Ar、ArおよびArは、アリーレン基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましい。Ar、ArおよびArはアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
さらにAr中の炭素原子とAr中の炭素原子とが直接結合するか、または−O−で表される基、−S−で表される基等の2価の基を介して結合していてもよい。
モノマーの合成の行いやすさの観点からは、mおよびnが0であることが好ましい。
式(2)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式で表される繰り返し単位等が挙げられる。
Figure 2014232632
正孔輸送機能を有する有機化合物が架橋性基を有しない場合には、架橋性基を有する材料として架橋剤がさらに用いられる。架橋剤の例としては、ビニル基、アセチル基、ブテニル基、アクリル基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、シラノール基、シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基、ラクトン基、及びラクタム基からなる群から選ばれる重合可能な置換基を有する化合物を挙げることができる。架橋剤としては、例えば多官能アクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、トリスペンタエリスリトールオクタアクリレート(TPEA)などが挙げられる。
このように架橋性基を有する材料を用いるか、または架橋剤を用いることにより、下層(正孔輸送層)上にさらに別の機能層(上層)を塗布法により形成したとしても下層の上層形成用の溶媒等による溶解を効果的に抑制することができる。
正孔輸送層を形成する方法に制限はないが、正孔輸送機能を有する有機化合物が低分子である場合は、高分子バインダーとの混合溶液を用いる成膜による方法が挙げられる。また、正孔輸送機能を有する有機化合物が高分子である場合は、溶液を用いる成膜による方法が挙げられる。
溶液を用いる成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。溶媒の例としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩化物溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル溶媒が挙げられる。
溶液を用いる成膜方法としては、既に説明した塗布法が挙げられる。
上記混合溶液に用いられる高分子バインダーとしては、電荷輸送を過度に阻害しないバインダーが好ましく、また可視光に対する吸収が小さいバインダーが好適に用いられる。高分子バインダーの例としては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が挙げられる。
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率とが適度な値となるように選択すればよい。正孔輸送層は、少なくともピンホールが発生しない程度の厚さが必要であり、あまり厚いと、有機EL素子の駆動電圧が高くなるおそれがある。正孔輸送層の厚さは、例えば、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光および/またはりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとを含む。ドーパントは、例えば発光効率を向上させたり、発光波長を変化させたりするために加えられる。なお有機物としては、溶解性の観点からは高分子化合物であることが好ましい。発光層は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば下記の色素材料、金属錯体材料、高分子材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素材料)
色素材料としては、例えばシクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体材料)
金属錯体材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Pt、Irなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子材料)
高分子材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素材料、金属錯体材料を高分子化した材料などを挙げることができる。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。
発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。発光層は、上記のような発光材料を含むインキを用いる塗布法により形成することができる。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知の材料を使用できる。電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の形成方法には特に制限はない。低分子の電子輸送材料を用いる場合には、電子輸送層の形成方法の例としては、粉末を用いる真空蒸着法、溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料を用いる場合には、溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態からの成膜を実施する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、求められる特性および成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定される。電子輸送層の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料は、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択される。電子注入層を構成する材料の例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などの所定の公知の方法によって形成することができる。電子注入層の厚さは、1nm〜1μm程度が好ましい。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取り出す有機EL素子では、発光層から放射される光を陰極で陽極側に反射することが発光効率を向上するためには好ましく、そのため、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表第13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などからなる透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
陰極の厚さは、電気伝導度、耐久性を考慮して適宜設定される。陰極の厚さは、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。陰極の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
以上説明した本実施形態の有機EL素子は、曲面状または平面状の照明装置、例えばスキャナの光源として用いられる面状光源、および表示装置に好適に用いることができる。
<有機光電変換素子>
本実施形態にかかる有機光電変換素子の概略について説明する。
有機光電変換素子は、活性層(有機半導体層という場合がある。)の構成から、バルクへテロ接合型またはヘテロ接合型の2種類に分けられる。本発明の電子デバイスの製造方法はいずれの種類の有機光電変換素子にも適用することができる。
有機光電変換素子は、基本的な構成として、少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極と、これら一対の電極間に配置される、バルクヘテロ接合型の場合には有機薄膜からなる1層の活性層、またはヘテロ接合型の場合には有機薄膜からなる2層の活性層を含む積層構造とを備えている。
以下、有機光電変換素子を構成する、基板、電極、活性層、および必要に応じて形成される他の構成要素について説明する。
<基板>
有機光電変換素子は、通常、リジッド基板および可撓性基板を含む基板上に上記各層が積層された構成を有する。この基板は、電極を形成でき、有機薄膜を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、上記有機EL素子に用いられ得る基板と同様の基板を用いることができる。
<電極>
一対の電極(陽極および陰極)のうちの少なくとも一方は、透明または半透明の電極材料により構成される。不透明な基板側とは反対側の電極(即ち不透明な基板から遠い方の電極)が透明または半透明である。透明または半透明の電極材料の例としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。透明または半透明の電極材料の例としては、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、IZO、NESA等の導電性材料を用いて作製された膜、金、白金、銀、銅等が用いられる膜が挙げられる。なかでも、ITO、IZO、酸化スズの膜が好ましい。
一対の電極のうちのいずれか一方が透明または半透明である場合、他方は不透明な電極であってもよい。不透明な電極の材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができる。不透明な電極の材料の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、または、1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステンおよび錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体が挙げられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
これらの電極の作製方法の例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、電極材料として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。透明または半透明の電極は、陽極であっても陰極であってもよい。
<活性層>
有機光電変換素子に含まれる活性層は、バルクヘテロ接合型の場合には電子供与性化合物および電子受容性化合物を含み、ヘテロ接合型の場合には電子供与性化合物を含む層と電子受容性化合物を含む層とが接合されている。
電子供与性化合物は、特に限定されない。電子供与性化合物としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェンおよびその誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、チオフェンを部分骨格として有する高分子化合物、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体が挙げられる。
電子受容性化合物としては、ベンゾチアジアゾール構造を含む化合物、繰り返し単位にベンゾチアジアゾール構造を含む高分子化合物、キノキサリン構造を含む化合物、繰り返し単位にキノキサリン構造を含む高分子化合物、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体が好ましくい。
なお、活性層は、種々の機能を発現させるために、上記以外の成分を含有していてよい。上記以外の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、紫外線からの安定性を増すための光安定剤が挙げられる。
また活性層は、機械的特性を高めるため、電子供与性化合物および電子受容性化合物以外の高分子化合物を高分子バインダーとして含んでいてもよい。高分子バインダーとしては、電子輸送性または正孔輸送性を過度に阻害しないバインダー、および可視光に対する吸収が小さいバインダーが好ましく用いられる。
高分子バインダーの例としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が挙げられる。
上述した構成を有する活性層は、例えば、バルクへテロ接合型の場合、電子供与性化合物、電子受容性化合物、および必要に応じて配合される他の成分を含む溶液を用いた成膜を行うことによって形成することができる。例えば、この溶液を陽極または陰極上に塗布することで、活性層を形成することができる。
溶液を用いた成膜に用いられる溶媒は、上述の電子供与性化合物および電子受容性化合物を溶解させる溶媒であればよく、複数の溶媒を混合してもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒等が挙げられる。活性層を構成する材料は、例えば、上記の溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
活性層の成膜には、既に説明した塗布法を用いることができる。
<その他の層>
有機光電変換素子は、上述した基板、電極(陽極および陰極)および活性層の他に、光電変換効率を向上させるために、活性層以外の付加的な中間層(バッファ層、電荷輸送層等)を含んでいてもよい。このような中間層は、例えば、陽極と活性層との間、或いは、陰極と活性層との間に設けることができる。
中間層に用いられる材料の例としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物または酸化物等が挙げられる。また、中間層の材料には、酸化チタン等の無機半導体の微粒子、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))とPSS(ポリ(4−スチレンスルホネート))との混合物(PEDOT:PSS)等を用いてもよい。
本実施形態では、上層が塗布法で形成される層(たとえば活性層)を上述の実施形態の塗布法を用いて形成する。たとえば架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、前記有機薄膜を形成する工程とによりたとえば活性層を形成する。そのさいに、架橋性基を有する材料としては、前述の架橋性基を置換基としてを有する材料や、前述の架橋剤を用いることができる。
<有機薄膜トランジスタ>
本実施形態にかかる有機薄膜トランジスタの概略について説明する。
有機薄膜トランジスタの例としては、ソース電極およびドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するトランジスタが挙げられる。このような構成を有する有機薄膜トランジスタの例としては、電界効果型有機薄膜トランジスタ、静電誘導型有機薄膜トランジスタ等が挙げられる。
電界効果型有機薄膜トランジスタは、通常、ソース電極およびドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極と、活性層とゲート電極との間に配置される絶縁層とを有する。
静電誘導型有機薄膜トランジスタは、通常、ソース電極およびドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを有し、該ゲート電極が活性層中に設けられている。
ゲート電極は、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成でき、かつ、ゲート電極に印加した電圧で該電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、その態様としては、例えば、くし型電極が挙げられる。
電界効果型有機薄膜トランジスタは、公知の方法、例えば特開平5−110069号公報に記載の方法により製造することができる。また静電誘導型有機薄膜トランジスタは、特開2004−006476号公報に記載の方法等の公知の方法により製造することができる。
<基板>
有機薄膜トランジスタは、通常、リジッド基板および可撓性基板を含む基板上に形成される。基板の材料は、有機薄膜トランジスタの特性を阻害しない材料であれば特に限定されない。基板の材料としては、上記有機EL素子に用いられ得る基板と同様の基板を用いることができる。
<絶縁層>
絶縁層の材料は、電気的な絶縁性が高い材料であればよく、SiO、SiN、Ta、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、有機ガラス、フォトレジスト等を用いることができるが、動作電圧をより低くできるので、誘電率の高い材料を用いることが好ましい。
<ゲート電極>
ゲート電極には、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、低抵抗ポリシリコン、低抵抗アモルファスシリコン等の金属、錫酸化物、酸化インジウム、ITO等の材料を用いることができる。これらの材料は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、ゲート電極としては、高濃度に不純物がドープされたシリコン基板を用いてもよい。
<ソース電極およびドレイン電極>
ソース電極およびドレイン電極は、低抵抗の材料から構成されることが好ましく、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン等から構成されることが特に好ましい。これらの材料は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<その他の層>
有機薄膜トランジスタにおいて、ソース電極およびドレイン電極と、活性層2との間には、更に他の化合物から構成された層が介在していてもよい。このような層としては、電子輸送性を有する低分子化合物、正孔輸送性を有する低分子化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、これらの金属と有機化合物との錯体、ヨウ素、臭素、塩素、塩化ヨウ素等のハロゲン、硫酸、無水硫酸、二酸化硫黄、硫酸塩等の酸化硫黄化合物、硝酸、二酸化窒素、硝酸塩等の酸化窒素化合物、過塩素酸、次亜塩素酸等のハロゲン化化合物、アルキルチオール化合物、芳香族チオール類、フッ素化アルキル芳香族チオール類等の芳香族チオール化合物等からなる層が挙げられる。
<保護膜>
有機薄膜トランジスタ上には、有機薄膜トランジスタを保護するため、保護膜を形成することが好ましい。これにより、有機薄膜トランジスタが大気から遮断され、有機薄膜トランジスタの電気的特性の低下を抑制することができる。また、有機薄膜トランジスタ上にさらに別の電子デバイスを形成する場合、その形成工程における有機薄膜トランジスタへの影響も該保護膜により低減することができる。保護膜を形成する方法としては、有機薄膜トランジスタを、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂、SiONを材料とする膜で覆う方法等が挙げられる。
半導体層や絶縁層を含む所定の層は、架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させ、前記有機薄膜を形成する工程とにより形成することができる。そのさいに使用する架橋性基を有する材料として、前述の架橋性基を置換基としてを有する材料や、前述の架橋剤を用いることができる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
以下の実施例および比較例においては、残膜率が95%程度となるように熱風照射条件、加熱条件を設定した。
(合成例)
高分子化合物1の合成
不活性ガスで内部を置換した反応器に、下記式(3)で表される2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(C8BE)を18gと、下記式(4)で表されるビス(4−ブロモフェニル)−4−sec−ブチルフェニルアミン(TFBR)を13gと、下記式(5)で表される3,4−シクロブテノ−N,N−ビス(4−ブロモフェニル)アニリン(BCTR)を2gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336,アルドリッチ製)を3gと、トルエンを200gとを量り取って仕込んだ。反応容器を100℃に加熱し、酢酸パラジウム(II)を7.4mgと、トリ(o−トリル)ホスフィンを70mgと、約18質量%の炭酸ナトリウム水溶液を64g加え、3時間以上加熱撹拌を続けた。その後、フェニルボロン酸を400mg添加し、さらに5時間加熱撹拌を続けた。1900gのトルエンで反応液を希釈し、3質量%の酢酸水溶液60gで2回洗浄し、さらにイオン交換水60gで1回水洗した後、取り出した有機相にDDC(ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物)を1.5g加え、4時間撹拌した。得られた溶液を、アルミナとシリカゲルとの等量混合物を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール中に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し乾燥させることにより、下記式(6)で表される繰り返し単位からなる高分子化合物1を得た。なお式(6)において、各繰り返し単位に付された数字は高分子化合物1における各繰り返し単位の組成比を表している。
得られた高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は8.9×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は4.2×105であった。
Figure 2014232632
(3)
Figure 2014232632
(4)
Figure 2014232632
(5)
Figure 2014232632
(6)
(実施例1)
下記の構成を有する有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO層(厚さ50nm)/PEDOTを含む層(厚さ65nm)/高分子化合物1を含む層(厚さ20nm)/高分子化合物2を含む層(厚さ80nm)/NaF層(厚さ4nm)/Al層(厚さ100nm)」
ここでPEDOTを含む層は正孔注入層に相当し、高分子化合物1を含む層は正孔輸送層に相当し、高分子化合物2を含む層は発光層に相当する。
まずポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:Bayer社製、商品名「BaytronP AI4083」)の懸濁液を0.2μmメンブランフィルターで濾過した。スパッタ法により厚さ50nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、この濾過液をスピンコート法により塗布した。その後、200℃で20分間加熱処理することによって厚さが65nmの正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成は大気雰囲気中において行った。
次に、上記合成例により得られた高分子化合物1をキシレンに溶解させたキシレン溶液を用意した。このキシレン溶液における高分子化合物1の濃度は0.5重量%とした。次に大気雰囲気中において、得られたキシレン溶液をスピンコート法によりガラス基板に塗布し、厚さが20nmの正孔輸送層用の塗布膜を成膜した。
次いで、フィルテック製卓上型ヒートビーム装置HB−DTSSの金属ステージに、正孔輸送層用の塗布膜が形成されたガラス基板をセットし、以下の条件で熱風を照射した。
ヒータ温度:1000℃
吹き出し温度:950℃
送風口のスリット幅:70mm×2mm
流量:100L/min
照射ガス:窒素
送風口と基板との距離:8mm
基板搬送速度:0.5m/min
なお、本実施例1では金属ステージに20℃の冷却水を供給することによって基板の冷却を行いながら、熱風を照射した。これによって正孔輸送層を得た。熱風照射時の基板の定点での温度プロファイルを図1に示す。最高到達温度が320℃であり、200℃以上に加熱されている時間は5sec程度であった。
次に、キシレンに発光材料である高分子化合物2を溶解させたキシレン溶液を用意した。このキシレン溶液における高分子化合物2の濃度は1.3重量%とした。大気雰囲気中において、得られたキシレン溶液をスピンコート法によりガラス基板に塗布し、厚さが80nmの発光層用の塗布膜を成膜した。さらに酸素濃度および水分濃度がそれぞれ体積比で10ppm以下に制御された窒素ガス雰囲気中において、130℃で10分間保持して塗布膜を乾燥させることで、発光層を得た。
次に、真空下、陰極としてフッ化ナトリウム(NaF)を厚さ約4nmで蒸着し、さらにアルミニウム(Al)を厚さ約100nmで蒸着して積層した。陰極の形成後、封止基板であるガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
(実施例2)
実施例2では正孔輸送層の形成にあたり、下記の熱風の照射条件を変更した以外は実施例1と同様にして有機EL素子を形成した。本実施例2での熱風の照射条件を以下に示す。
ヒータ温度:1100℃
吹き出し温度:1050℃
送風口のスリット幅:70mm×2mm
流量:100L/min
照射ガス:窒素
送風口と基板との距離:8mm
基板搬送速度:0.8m/min
その時の基板の温度プロファイルを図1に示す。最高到達温度が370℃であり、200℃以上に加熱されている時間は3.5sec程度であった。
(実施例3)
実施例3では正孔輸送層の形成にあたり、下記の熱風の照射条件を変更した以外は実施例1と同様にして有機EL素子を形成した。本実施例3での熱風の照射条件を以下に示す。
ヒータ温度:1200℃
吹き出し温度:1150℃
送風口のスリット幅:70mm×2mm
流量:100L/min
照射ガス:窒素
送風口と基板との距離:8mm
基板搬送速度:1.0m/min
その時の基板の温度プロファイルを図1に示す。最高到達温度が400℃であり、200℃以上に加熱されている時間は4.5sec程度であった。
(比較例1)
比較例1では、高分子化合物1を含む層の形成にあたり、熱風の代わりにホットプレートを用いた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を形成した。具体的には、大気雰囲気中において、高分子化合物1をキシレンに溶解させたキシレン溶液をスピンコート法によりガラス基板に塗布し、厚さが20nmである正孔輸送層用の塗布膜を成膜した。得られた塗布膜を、大気雰囲気中おいて200℃で60分間保持することによって固化された薄膜とすることにより、正孔輸送層を得た。
作製された有機EL素子の電流効率を測定した。結果として、輝度が70%まで低下する時時間が52時間であった。
(素子特性の測定)
実施例1〜3および比較例1において作製した有機EL素子の電流効率および寿命(LT70)をそれぞれ測定した。なお本実施例では、LT70は、初期輝度を1000cd/mとして定電流駆動したときに、輝度が初期輝度の70%となるまでの時間を意味する。測定結果を表1に示す。
(残膜率の測定)
上記実施例1、2、3および比較例1において残膜率を下記のように測定した。
キシレンに高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を用意した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.5重量%とした。次に大気雰囲気中において、キシレン溶液1をスピンコート法によりガラス基板に塗布して、高分子化合物1の塗布膜を得た。次に、実施例1、2、3および比較例1のそれぞれにおいて、正孔輸送層を形成するときの条件と同じ条件で、得られた塗布膜を硬化した。このようにして硬化した膜の上にキシレンを滴下し、スピンコート法によりキシレンを塗布した。キシレンを塗布した後に、残存した塗布膜の厚さを測定し、この測定値を膜厚1とした。なお膜厚1は触針式膜厚計テンコール製 P16を用いて測定した。
次に、基準となる膜を形成した。すなわちまずキシレンに高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を用意した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.5重量%とした。次に大気雰囲気中において、キシレン溶液1をスピンコート法によりガラス基板に塗布し、高分子化合物1の塗布膜を得た。得られた加熱処理の施されていない塗布膜の厚さを触針式膜厚計テンコール製 P16を用いて測定し、測定値を膜厚2とした。得られた膜厚1、2の測定値に下記式を適用して実施例1〜3および比較例1のそれぞれに対応する残膜率を算出した。
残膜率=(膜厚1/膜厚2)×100
上記の実施例1〜3および比較例1に用いられた使用機器、熱風の照射条件、残膜率(%)、最高電流効率(cd/A)および寿命(時間)の測定値を下記表1に示す。
Figure 2014232632
表1から明らかな通り、既に説明した本発明の電子デバイスの製造方法および該電子デバイスに用いられる薄膜の製造方法によれば、従来のホットプレートを用いる加熱処理と比較して、極めて短時間で少なくとも同程度の残膜率および寿命を達成し得る薄膜および有機EL素子を実現できた。そのためこのような製造方法は特にロールツーロール法に好適に適用することができる。
またいずれの実施例においても比較例1と同等の残膜率が達成された。このような本発明の製造方法によれば、上層としてさらに別の機能層を塗布法により形成したとしても上層形成用の溶媒等による下層の薄膜の溶解を効果的に抑制できることが確認された。

Claims (7)

  1. 2以上の電極と、前記2以上の電極間に設けられる有機薄膜とを有し、基板上に作製される電子デバイスの製造方法であって、
    架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、
    500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、前記有機薄膜を形成する工程とを含む、電子デバイスの製造方法。
  2. 前記有機薄膜を形成する工程では、前記基板を冷却しつつ、前記熱風を照射する、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
  3. 前記有機薄膜を形成する工程における前記基板の温度は400℃以下である、請求項1または2に記載の電子デバイスの製造方法。
  4. 前記有機薄膜を形成する工程における前記基板の温度は350℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
  5. 前記電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機光電変換素子、または有機薄膜トランジスタである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
  6. 前記有機薄膜を形成する工程は、巻き出しロールに巻き取られた可撓性の前記基板から送り出された前記基板が、巻き取りロールに巻き取られる過程中において行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
  7. 架橋性基を有する材料を含む塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、
    500℃以上の熱風を前記塗布膜に照射し、前記架橋性基を架橋させることにより、有機薄膜を形成する工程とを含む、薄膜の製造方法。
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