JP2014232093A - 電気量測定装置、電気量測定方法および三相回路測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても高精度な電気量の測定を可能とすること。
【解決手段】データ収集サンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中からデータ収集サンプリング周波数よりも小さく且つ交流電圧の周波数以上となるゲージサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データの隣接2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうち中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値を中間時刻における差分電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として算出し、中間時刻における第1の差分電圧瞬時値の2乗値から中間時刻よりも進み側の第2の差分電圧瞬時値と中間時刻よりも遅れ側の第3の差分電圧瞬時値との積を引いた値の平方根をゲージ差分電圧として算出し、周波数係数とゲージ差分電圧とを用いて交流電圧振幅を算出する。
【選択図】図21
【解決手段】データ収集サンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中からデータ収集サンプリング周波数よりも小さく且つ交流電圧の周波数以上となるゲージサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データの隣接2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうち中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値を中間時刻における差分電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として算出し、中間時刻における第1の差分電圧瞬時値の2乗値から中間時刻よりも進み側の第2の差分電圧瞬時値と中間時刻よりも遅れ側の第3の差分電圧瞬時値との積を引いた値の平方根をゲージ差分電圧として算出し、周波数係数とゲージ差分電圧とを用いて交流電圧振幅を算出する。
【選択図】図21
Description
本発明は、電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した三相回路測定装置に関する。
近年、電力系統内の潮流が複雑化するにつれ、信頼性および品質の高い電力の供給が要求されるようになっており、特に、電力系統の電気量(交流電気量)を測定する電気量測定装置の性能向上の必要性は、ますます高くなっている。
従来、この種の電気量測定装置としては、例えば下記特許文献1,2に示されたものがある。特許文献1(広域保護制御計測システム)および特許文献2(保護制御計測システム)では、位相角の変化成分(微分成分)を定格周波数(50Hzまたは60Hz)からの変化分として実系統の周波数を求める手法を開示している。
これらの文献では、実系統の周波数を求める計算式として、次式を開示しているが、これらの計算式は、下記非特許文献1が提示する計算式でもある。
2πΔf=dφ/dt
f(Hz)=60+Δf
f(Hz)=60+Δf
なお、下記特許文献3は、本願発明者による先願特許発明であり、この発明の内容については後述する。
"IEEE Standard for Synchrophasors for Power Systems" page 30,IEEE Std C37.118−2005.
上記のように、特許文献1,2および非特許文献1に示される手法は、位相角の変化成分を微分計算によって求める手法である。しかしながら、実系統の周波数瞬時値の変化は頻繁かつ複雑であり、微分計算は非常に不安定である。このため、例えば周波数測定に関し、充分な計算精度が得られないという課題があった。
また、これらの手法は、定格周波数(50Hzまたは60Hz)を初期値として計算するため、計算の開始時において、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合には、測定誤差が生じることになり、系統定格周波数からの外れ度合いが大きい場合には、測定誤差が非常に大きくなるという課題があった。
一方、本願発明者は、交流電圧/交流電流の対称性を発見し、対称性理論の群論を交流システムに導入する提案を行い、日本国にて特許登録がなされている(上記特許文献3)。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても、高精度な電気量の測定を可能とする電気量測定装置および電気量測定方法を提供すると共に、これらの装置および方法を利用した三相回路測定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、測定対象となる三相の電力系統における電気量を算出する第1の算出部を備えた電気量測定装置であって、前記第1の算出部は、前記各相の交流電圧を第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうち、中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値を中間時刻における差分電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として各相毎に算出し、前記中間時刻における第1の差分電圧瞬時値の2乗値から、前記中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値と前記中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果を減算した値の平方根をゲージ差分電圧として前記各相毎に算出し、前記周波数係数と前記ゲージ差分電圧とを用いて前記各相における交流電圧振幅を算出することを特徴とする。
この発明によれば、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても高精度な電気量の測定が可能になるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した三相回路測定装置について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(用語の意味)
まず、本実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した三相回路測定装置を説明するにあたり、本願明細書で使用する用語について説明する。
まず、本実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した三相回路測定装置を説明するにあたり、本願明細書で使用する用語について説明する。
・複素数:実数a,bと虚数単位jを用いてa+jbの形で表される数である。電気工学ではiが電流符号であるため、虚数単位はj=√(−1)で表す。本願では複素数を用いて、回転ベクトルを表現する。
・複素平面:複素数を2次元平面上の点とし、実部(Re)を横軸に、虚部(Im)を縦軸にとった直角座標で複素数を表す平面である。
・回転ベクトル:電力系統の電気量(電圧あるいは電流)に関する複素平面上で反時計回りに回転するベクトルである。回転ベクトルの実数部は瞬時値である。
・差分回転ベクトル:サンプリング周波数1サイクル前後2点の回転ベクトルの差分ベクトルである。差分回転ベクトルの実数部はサンプリング周波数1サイクル前後2点の瞬時値の差分である。
・対称群:複素平面上で回転している対称性を有するグループである。
・不変量:対称群が回転した前後において、変化しないパラメータである。本願における不変量には、回転位相角、周波数係数、ゲージ電圧、ゲージ差分電圧、ゲージ有効双電圧、ゲージ無効双電圧、などがある。なお、不変量が分かれば、対称群の特性も分かる。
・ベクトル群表:対称群における所定のメンバー(ベクトル変数)同士の積(掛け算)で表される表(テーブル)である。対称群の不変量を調べるためのロードマップになる。
・実数群表:対称群における所定のメンバー(実数変数)同士の積(掛け算)で表される表(テーブル)である。
・リアルタイム周波数:電力系統における現実の周波数である。この実周波数は、電力系統が安定であっても、定格周波数の近傍で微妙に変動している。本願において、リアルタイム周波数はfで表現する。リアルタイム周波数fの単位はヘルツ(Hz)である。また、電気回路等における角周波数ωは、ω=2πfで表され、その単位は(rad/s)である。
・データ収集サンプリング周波数:データ収集時のサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)であり、記号f1で表す。このデータ収集サンプリング周波数f1は、高いほうが精度がよい。なお、下述のゲージサンプリング周期Tと同様にデータ収集サンプリング周期T1は、データ収集サンプリング周波数f1の逆数として、T1=1/f1で表される。
・ゲージサンプリング周波数:ゲージ対称群の計算に使用されるサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)であり、記号fSで表す。よって、ゲージサンプリング周期Tは、ゲージサンプリング周波数fSの逆数として、T=1/fSで表される。なお、T,T1の間には、T>T1の関係がある。
・系統周波数:基本的には、電力系統における定格周波数を意味し、50Hz、60Hzの2種類がある。
・回転位相角:電圧回転ベクトル(単に「電圧ベクトル」と称する場合もある)あるいは電流回転ベクトル(単に「電流ベクトル」と称する場合もある)がゲージサンプリング周波数1サイクルの間に複素平面上で回転した位相角であり、αで表す。なお、回転位相角αは周波数依存量であり、後述のように、αが正数の場合には、α=2π(f/fS)で計算し、αが負数の場合には、α=2π{(f/fS)−1}で計算する。また、αが零の場合、ゲージサンプリング周波数fSとリアルタイム周波数fとの間には、f=fS/2の関係がある。
・周波数係数:回転位相角αの余弦関数値であり、fCで表す。本願の全てのゲージ対称群にはそれぞれの周波数係数の計算式がある。なお、周波数係数fCを対称性指標として利用すれば、交流であるかどうかの判別が可能となる。
・移動平均処理:所定数の直近データを用いて行う単純な平均処理である。なお、移動平均処理を行うことにより、測定誤差および相加性ガウス雑音の影響を小さくすることができる。
・ゲージ電圧群:時系列的に連続した3つの電圧ベクトルにより構成される対称群である。なお、電圧以外の電流、電力(有効電力、無効電力)についても同様な対称群の概念が定義可能である。
・ゲージ電圧:ゲージ電圧群により計算される電圧不変量である。
・ゲージ差分電圧群:時系列的に連続した3つの差分電圧ベクトルにより構成される対称群である。
・ゲージ差分電圧:ゲージ差分電圧群により計算される差分電圧不変量である。
・ゲージ双電圧群:第1の端子(端子A)における時系列的に連続した3つの電圧回転ベクトルと第2の端子(端子B)における時系列的に連続した3つの電圧回転ベクトルにより構成される対称群である。
・ゲージ差分双電圧群:端子Aにおける時系列的に連続した3つの差分電圧回転ベクトルと端子Bにおける時系列的に連続した3つの差分電圧回転ベクトルにより構成される対称群である。
・回転双電圧群:端子Aにおける時系列的に連続した2つの電圧回転ベクトルと端子Bにおける時系列的に連続した2つの電圧回転ベクトルとにより構成される対称群である。
・回転差分双電圧群:端子Aにおける時系列的に連続した2つの差分電圧回転ベクトルと端子Bにおける時系列的に連続した2つの差分電圧回転ベクトルとにより構成される対称群である。
・ゲージ有効双電圧:ゲージ双電圧群により計算される不変量の1つである。
・ゲージ無効双電圧:ゲージ双電圧群により計算される不変量の1つである。
・双電圧間位相角:同じ角速度(周波数)で回転している2つの電圧ベクトル間の位相差である。
・対称性の破れ:入力波形が純粋な正弦波から崩れること。振幅急変、位相急変、あるいは周波数急変により、入力波形の対称性が破れる。この対称性の破れを判定(検出)するための指標が対称性指標である。
・複素平面:複素数を2次元平面上の点とし、実部(Re)を横軸に、虚部(Im)を縦軸にとった直角座標で複素数を表す平面である。
・回転ベクトル:電力系統の電気量(電圧あるいは電流)に関する複素平面上で反時計回りに回転するベクトルである。回転ベクトルの実数部は瞬時値である。
・差分回転ベクトル:サンプリング周波数1サイクル前後2点の回転ベクトルの差分ベクトルである。差分回転ベクトルの実数部はサンプリング周波数1サイクル前後2点の瞬時値の差分である。
・対称群:複素平面上で回転している対称性を有するグループである。
・不変量:対称群が回転した前後において、変化しないパラメータである。本願における不変量には、回転位相角、周波数係数、ゲージ電圧、ゲージ差分電圧、ゲージ有効双電圧、ゲージ無効双電圧、などがある。なお、不変量が分かれば、対称群の特性も分かる。
・ベクトル群表:対称群における所定のメンバー(ベクトル変数)同士の積(掛け算)で表される表(テーブル)である。対称群の不変量を調べるためのロードマップになる。
・実数群表:対称群における所定のメンバー(実数変数)同士の積(掛け算)で表される表(テーブル)である。
・リアルタイム周波数:電力系統における現実の周波数である。この実周波数は、電力系統が安定であっても、定格周波数の近傍で微妙に変動している。本願において、リアルタイム周波数はfで表現する。リアルタイム周波数fの単位はヘルツ(Hz)である。また、電気回路等における角周波数ωは、ω=2πfで表され、その単位は(rad/s)である。
・データ収集サンプリング周波数:データ収集時のサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)であり、記号f1で表す。このデータ収集サンプリング周波数f1は、高いほうが精度がよい。なお、下述のゲージサンプリング周期Tと同様にデータ収集サンプリング周期T1は、データ収集サンプリング周波数f1の逆数として、T1=1/f1で表される。
・ゲージサンプリング周波数:ゲージ対称群の計算に使用されるサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)であり、記号fSで表す。よって、ゲージサンプリング周期Tは、ゲージサンプリング周波数fSの逆数として、T=1/fSで表される。なお、T,T1の間には、T>T1の関係がある。
・系統周波数:基本的には、電力系統における定格周波数を意味し、50Hz、60Hzの2種類がある。
・回転位相角:電圧回転ベクトル(単に「電圧ベクトル」と称する場合もある)あるいは電流回転ベクトル(単に「電流ベクトル」と称する場合もある)がゲージサンプリング周波数1サイクルの間に複素平面上で回転した位相角であり、αで表す。なお、回転位相角αは周波数依存量であり、後述のように、αが正数の場合には、α=2π(f/fS)で計算し、αが負数の場合には、α=2π{(f/fS)−1}で計算する。また、αが零の場合、ゲージサンプリング周波数fSとリアルタイム周波数fとの間には、f=fS/2の関係がある。
・周波数係数:回転位相角αの余弦関数値であり、fCで表す。本願の全てのゲージ対称群にはそれぞれの周波数係数の計算式がある。なお、周波数係数fCを対称性指標として利用すれば、交流であるかどうかの判別が可能となる。
・移動平均処理:所定数の直近データを用いて行う単純な平均処理である。なお、移動平均処理を行うことにより、測定誤差および相加性ガウス雑音の影響を小さくすることができる。
・ゲージ電圧群:時系列的に連続した3つの電圧ベクトルにより構成される対称群である。なお、電圧以外の電流、電力(有効電力、無効電力)についても同様な対称群の概念が定義可能である。
・ゲージ電圧:ゲージ電圧群により計算される電圧不変量である。
・ゲージ差分電圧群:時系列的に連続した3つの差分電圧ベクトルにより構成される対称群である。
・ゲージ差分電圧:ゲージ差分電圧群により計算される差分電圧不変量である。
・ゲージ双電圧群:第1の端子(端子A)における時系列的に連続した3つの電圧回転ベクトルと第2の端子(端子B)における時系列的に連続した3つの電圧回転ベクトルにより構成される対称群である。
・ゲージ差分双電圧群:端子Aにおける時系列的に連続した3つの差分電圧回転ベクトルと端子Bにおける時系列的に連続した3つの差分電圧回転ベクトルにより構成される対称群である。
・回転双電圧群:端子Aにおける時系列的に連続した2つの電圧回転ベクトルと端子Bにおける時系列的に連続した2つの電圧回転ベクトルとにより構成される対称群である。
・回転差分双電圧群:端子Aにおける時系列的に連続した2つの差分電圧回転ベクトルと端子Bにおける時系列的に連続した2つの差分電圧回転ベクトルとにより構成される対称群である。
・ゲージ有効双電圧:ゲージ双電圧群により計算される不変量の1つである。
・ゲージ無効双電圧:ゲージ双電圧群により計算される不変量の1つである。
・双電圧間位相角:同じ角速度(周波数)で回転している2つの電圧ベクトル間の位相差である。
・対称性の破れ:入力波形が純粋な正弦波から崩れること。振幅急変、位相急変、あるいは周波数急変により、入力波形の対称性が破れる。この対称性の破れを判定(検出)するための指標が対称性指標である。
(本発明の要旨)
本発明は、スマートグリッドの基本技術となる電気量測定装置に関する発明であり、その要旨の1つは、回転位相角を通じて周波数領域と瞬時値領域とを同時に扱うことにあり、より具体的には、交流電圧および交流電流ならびに、これらの交流電圧および交流電流に含まれる直流成分(直流電圧および直流電流)の構造を対称性の群でモデル化する点にある。従来理論では、周波数領域と時間領域で別々で解析を行っていたが、本発明では、上記で定義した複素平面上の各種対称群(ベクトル対称群)を用いて、周波数依存量(回転位相角、振幅、電圧電流間位相角、位相角差)と時間依存量(電圧電流瞬時値)の解析を同時に行う。
本発明は、スマートグリッドの基本技術となる電気量測定装置に関する発明であり、その要旨の1つは、回転位相角を通じて周波数領域と瞬時値領域とを同時に扱うことにあり、より具体的には、交流電圧および交流電流ならびに、これらの交流電圧および交流電流に含まれる直流成分(直流電圧および直流電流)の構造を対称性の群でモデル化する点にある。従来理論では、周波数領域と時間領域で別々で解析を行っていたが、本発明では、上記で定義した複素平面上の各種対称群(ベクトル対称群)を用いて、周波数依存量(回転位相角、振幅、電圧電流間位相角、位相角差)と時間依存量(電圧電流瞬時値)の解析を同時に行う。
本発明の最上位の概念は、回転位相角とリアルタイム周波数との対称性である(図1参照)。本発明によれば、負値をとる回転位相角(以下「負数回転位相角」と称する)を導入することにより、ゲージサンプリング周波数に対応する全領域の周波数を測定することができる(従来手法では、サンプリング周波数(本発明ではゲージサンプリング周波数)の1/2以下の周波数のみを確定することができる)。つまり、本発明の対称群測定理論によれば、従来よりも測定範囲を2倍に拡大したことになる。
また、本発明の第2の要旨は、対称群のベクトル群表を生成し、ベクトル乗積空間で対称群の構造を調べ、それから同じ対称群の実数群表を生成し、具体的な不変量の計算式を導くことにある。ベクトル群表は対称群の不変量を調べるロードマップである。本願発明者は、これまでの出願において、ゲージ差分電圧群における周波数係数、ゲージ電圧などの各種不変量を見つけてきた。しかしながら、対称群の不変量は何個あるか、また、それぞれの不変量の計算式はどのような構造になっているのかなど、一般的な答えを見いだせていなかった。
一方、本発明では、2種類の群表を提案することにより、これまでの不変量の上位の概念に相当する新たな不変量(新たに定義される不変量)を見いだすことができた。なお、本発明を具体的なアプリケーションに適用する場合には、リストされた不変量の中で実用的な不変量を選択すればよい。
また、本発明の第3の要旨は、ゲージサンプリング周波数とデータ収集サンプリング周波数とを分離させる手法を提案することにある。この手法を用いれば、高速かつ高精度な測定が可能となる。
つぎに、本実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法を説明する。この説明にあたり、まず、本実施の形態の要旨を成す電気量測定手法の概念(アルゴリズム)について説明し、その後、この手法の適用装置である本実施の形態に係る電気量測定装置の構成および動作ならびに、これらの装置および手法を適用したアプリケーションとして、三相回路測定装置について説明する。なお、以下の説明において、アルファベットの小文字表記のうち、括弧付のもの(例えば“v(t)”)は、ベクトルを表し、括弧無しのもの(例えば“v2”)は、瞬時値を表すものとする。また、アルファベットの大文字表記(例えば“Vg”)は、実効値もしくは振幅値を表すものとする。
(回転位相角とリアルタイム周波数の対称性)
図1は、回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性を説明するための図である。例えば、上記特許文献3などにおいては、次の関係式に基づいた計算手法を展開している。
図1は、回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性を説明するための図である。例えば、上記特許文献3などにおいては、次の関係式に基づいた計算手法を展開している。
上式において、fはリアルタイム周波数、fSはゲージサンプリング周波数、αは回転位相角である。また、回転位相角αは零からπまでの正数であり、測定範囲もサンプリング定理の限界と同じであるゲージサンプリング周波数の1/2以下である。その後、本願発明者は、マイナスπから零までの負数回転位相角を導入すれば、次の関係式が真であることを知見した。
上記2式より、図1に示すように、ゲージサンプリング周波数をミラーとし、回転位相角とリアルタイム周波数との間に1対1の対称関係を樹立させることができ、その結果として、サンプリング定理の計測範囲を倍増することが可能となる。このように、本願手法は、回転位相角を介し、周波数領域だけでなく瞬時値領域にも計算範囲を拡大している。これに対し、サンプリング定理は、フーリエ変換をベースにした周波数領域のみのアルゴリズムであると言うことができる。
上記2式を纏めると、リアルタイム周波数を用いた回転位相角の表現式は以下の通りになる。
上式により、正数の回転位相角(第1式)と負数の回転位相角(第2式)とが零に対して対称性を有していることがわかる。この式からも分かるように、本願の至るところの数式に対称性が存在している。対称性は、本願の指針である。
また、同様に、回転位相角を用いたリアルタイム周波数の表現式は以下の通りになる。
上記2式から明らかなように、回転位相角が分かれば、リアルタイム周波数も分かる。さらに、リアルタイム周波数が分かれば、対称群の計算により周波数補正機能を有する高精度の他の電気量測定も可能となる。なお、リアルタイム周波数情報が得られていない場合、上記(3)式において、電力系統の定格周波数(50Hzまたは60Hz)を暫定的に使用して回転位相角の近似値を求めるようにしてもよい。
以下に、幾つかの対称群を生成し、回転位相角と対称群の他の不変量を求め、各種電気量を測定する手法を提案する。
(複素平面上のゲージ双電圧群)
図2は、複素平面上のゲージ双電圧群を示す図である。図2において、第1の端子である端子Aにおける複素平面上の3個の電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
図2は、複素平面上のゲージ双電圧群を示す図である。図2において、第1の端子である端子Aにおける複素平面上の3個の電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
上式において、VAは端子Aの交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波数の時間刻み幅、αはTにおける回転位相角(値域は−180度から+180度の間、前述(3)式参照)、φは後述する双電圧間位相角である。
上式は、端子Aのゲージ電圧群である。
同様に、第2の端子である端子Bにおける複素平面上の3個の電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
上式は、端子Bのゲージ電圧群である。
上式において、VBは端子Bの交流電圧振幅であり、他の記号は端子Aにおけるものと同一である。
図2において、端子Aに関する両側2個の電圧回転ベクトルvA1(t),vA1(t-2T)は、中間の電圧回転ベクトルv A1 (t-T)に対し、対称性を有している。同様に、端子Bに関する両側2個の電圧回転ベクトルvB1(t),v B1(t-2T)も、中間の電圧回転ベクトルv B1(t-T)に対し、対称性を有している。さらに、端子Aに関する3個の電圧回転ベクトルのそれぞれと端子Bに関する3個の電圧回転ベクトルのそれぞれとの間にも同一の双電圧間位相角φを有するという対称性が存在する。さらに、別の時間において、6個の電圧回転ベクトルが回転して別の場所にあっても、この構造体における双電圧間位相角φおよび回転位相角αは変化しないため、この構造体の形は変化しない。これら6個の電圧回転ベクトルにより構成される集合体(構造体)をケージ双電圧群と定義する。
(ゲージ双電圧群のベクトル群表)
ゲージ双電圧群の不変量を調べるために、下記表1に示すようなゲージ双電圧群のベクトル群表を構築する。
ゲージ双電圧群の不変量を調べるために、下記表1に示すようなゲージ双電圧群のベクトル群表を構築する。
上記のベクトル群表に示される電圧回転ベクトルは、複素数状態変数である。上表の“×”記号は表側の要素と表頭の要素との乗算を行うことを意味する。このとき、ゲージ双電圧群のベクトル群表の各乗積要素は次式のように表すことができる。
上式に基づく各要素を複素平面上に表した図が図3である。ここで、2つのベクトルの乗積演算により生成した空間をベクトル乗積空間と呼ぶ。このベクトル乗積空間において、各ベクトル乗積要素は、2ωの角速度で反時計周りに回転する。以下に5つの対称性を選んで説明を行う。
対称性を有する第1の組は、各回転ベクトルの中間軸に位置するvA1(t-2T)vB1(t)、vA1(t-T)vB1(t-T)およびvA1(t)vB1(t-2T)の組であり、下式のように、3者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
後述の計算式にて明らかになるが、ゲージ有効双電圧は、この組により構成される。
対称性を有する第2の組は、中間軸の左側に位置するvA1(t-T)vB1(t)とvA1(t)vB1(t-T)の組であり、下式のように、両者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
後述の計算式にて明らかになるが、ゲージ無効双電圧は、この組により構成される。
対称性を有する第3の組は、中間軸の右側に位置するvA1(t-2T)vB1(t-T)とvA1(t-T)vB1(t-2T)の組であり、下式のように、両者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
後述の計算式にて明らかになるが、この組により、ゲージ無効双電圧を計算する別の対称群を構成することができる。
対称性を有する第4の組は、中間軸の両側に位置するvA1(t-T)vB1(t)およびvA1(t)vB1(t-2T)と、vA1(t-2T)vB1(t-T)およびvA1(t-T)vB1(t-2T)の組であり、両者(それぞれ2つのベクトルを有している)は中間軸に対して位相差αを有している。後述の計算式にて明らかになるが、これらの組により、周波数係数を計算する別の対称群を構成することができる。
対称性を有する第5の組は、中間軸の両側に位置するvA1(t)vB1(t)とvA1(t-2T)vB1(t-2T)の組であり、両者は中間軸に対して位相差αを有している。後述の計算式により、この組と中間の回転ベクトルvA1(t-T)vB1(t-T)の3者により、別のゲージ有効双電圧を計算する別の対称群を構成することができる。
このように、ゲージ双電圧群のベクトル群表を用いて作成したベクトル乗積空間図を利用すれば、ゲージ双電圧群の対称性を直観的に調べることができる。
(ゲージ双電圧群の実数群表)
ゲージ双電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表2に示すようなゲージ双電圧群の実数群表を構築する。なお、下記実数群表中の各電圧瞬時値としては、電圧回転ベクトルの実数部を用いているが、虚数部を用いてもよい。
ゲージ双電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表2に示すようなゲージ双電圧群の実数群表を構築する。なお、下記実数群表中の各電圧瞬時値としては、電圧回転ベクトルの実数部を用いているが、虚数部を用いてもよい。
つぎに、ゲージ双電圧群の実数群表について説明する。まず、表2の組の構成要素である端子Aの電圧回転ベクトルおよび端子Bの電圧回転ベクトルの各瞬時値要素は次式および次々式で表すことができる。
上記各式において、“Re”は複素数の実数部を示す。また、上記2式により、表2に示される各乗積要素は次式のように表すことができる。
つぎに、これらゲージ双電圧群の実数群表における各乗積要素を利用し、ゲージ双電圧群による各種不変量の計算式を説明する。
(ゲージ双電圧群による周波数係数の計算式)
以下に、ゲージ双電圧群による周波数係数の計算式について説明する。
以下に、ゲージ双電圧群による周波数係数の計算式について説明する。
本願発明者は、図2に示したゲージ双電圧群の空間ベクトル図を参照し、上記特許文献3などにおいて提案した周波数係数の計算式を導き出すべく、まず次式を計算した。
一方、乗積要素vA12vB12と回転位相角余弦値cosαとの積の4倍値は次式で表すことができる。
上記2式により、ゲージ双電圧群による周波数係数fCは次式を用いて計算することができる。
なお、上記では、電圧瞬時値として、電圧回転ベクトルの実数部を用いて式変形を行ったが、電圧回転ベクトルの虚数部を用いて式変形を行っても同じ結果が得られる。
また、ゲージ双電圧群の他の不変量および本願発明における他の対称群の不変量も同様であり、回転ベクトルの実数部を用いても虚数部を用いても同じ計算結果が導かれる。よって、これ以後、実数瞬時値を用いる場合についてのみ説明し、虚数瞬時値を用いる説明については省略する。
なお、上式で計算される周波数係数は、次式のようにゲージ双電圧群の対称性指標に利用することができる。
(ゲージ双電圧群の対称性指標(第1の計算式))
ゲージ双電圧群の対称性指標として次式を提案する。
ゲージ双電圧群の対称性指標として次式を提案する。
ここで、上式を満足する場合、vA1(t),vA1(t-T),vA1(t-2T),vB1(t),vB1(t-T),vB1(t-2T)により構築したゲージ双電圧群の対称性が破れる。このため、ゲージ双電圧群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、対称性は破れていないと判定し、対称群による計算を継続する。
(ゲージ双電圧群による回転位相角)
上記の計算式から、回転位相角は次式を用いて計算することができる。
上記の計算式から、回転位相角は次式を用いて計算することができる。
(回転位相角の移動平均)
回転位相角を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
回転位相角を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期(詳細は後述)、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
(ゲージ双電圧群によるリアルタイム周波数)
上記の計算式から、リアルタイム周波数は次式を用いて計算することができる。
上記の計算式から、リアルタイム周波数は次式を用いて計算することができる。
上式において、fはリアルタイム周波数、fSはゲージサンプリング周波数(詳細は後述)である。
(リアルタイム周波数の移動平均処理)
リアルタイム周波数を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
リアルタイム周波数を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
(データ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数の分離)
ところで、上記特許文献3などもそうであるように、計測の精度を高める場合には、サンプリング周期をより小さく(サンプリング周波数を高く)してデータ数を増やし、増加させた連続するデータを用いて、周波数係数を初めとする各種の交流電気量を算出するというのが基本的な考えであった。しかしながら、データ数を単純に増加させる手法では、データ数の増加に伴って回転位相角も小さくなってしまい、高調波ノイズが大きい場合には、計算結果が高調波ノイズの影響を受けてばらつき、計算精度が高められないことも予想される。そこで、計算に必要なデータを増加させた場合でも、回転位相角の値が小さくならないように、好ましい回転位相角の値を維持しつつ、高調波ノイズの影響を低減することができるように、ゲージサンプリング周期T(ゲージサンプリング周波数fS)とデータ収集サンプリング周期T1(データ収集サンプリング周波数f1)という概念を導入したのが、本発明である。
ところで、上記特許文献3などもそうであるように、計測の精度を高める場合には、サンプリング周期をより小さく(サンプリング周波数を高く)してデータ数を増やし、増加させた連続するデータを用いて、周波数係数を初めとする各種の交流電気量を算出するというのが基本的な考えであった。しかしながら、データ数を単純に増加させる手法では、データ数の増加に伴って回転位相角も小さくなってしまい、高調波ノイズが大きい場合には、計算結果が高調波ノイズの影響を受けてばらつき、計算精度が高められないことも予想される。そこで、計算に必要なデータを増加させた場合でも、回転位相角の値が小さくならないように、好ましい回転位相角の値を維持しつつ、高調波ノイズの影響を低減することができるように、ゲージサンプリング周期T(ゲージサンプリング周波数fS)とデータ収集サンプリング周期T1(データ収集サンプリング周波数f1)という概念を導入したのが、本発明である。
図4は、ゲージサンプリング周期Tとデータ収集サンプリング周期T1との関係を説明する図である。図4において、ゲージサンプリング周波数fS(ゲージサンプリング周期T)と、データ収集サンプリング周波数f1(データ収集サンプリング周期T1)との間には、次式に示す関係がある。
上式において、nは正の整数であり、図4の例ではn=4の場合を例示している。
図4において、現時点(時刻t)におけるゲージ電圧群(ゲージ電圧群1)のメンバーは以下の通りである。
また、現時刻よりもT1時刻前(時刻t−T1)のゲージ電圧群(ゲージ電圧群2)のメンバーは以下の通りである。
図4から理解できるように、ゲージ電圧群同士の間隔(ゲージ電圧群1とゲージ電圧群2の間隔)はデータ収集サンプリング周期T1であるのに対し、各ゲージ電圧群を構成するメンバー同士の間隔はゲージサンプリング周期Tになっている。即ち、ゲージサンプリング周期T(ゲージサンプリング周波数fS)とデータ収集サンプリング周期T1(データ収集サンプリング周波数f1)という概念を導入することにより、好適な回転位相角αを維持しつつ、計算に必要なデータを増加させて高調波ノイズの影響を抑制することが可能となる。
また、この概念に加え本願にて提案した負数回転位相角の概念を併用すれば、データ収集サンプリング周波数f1をさらに2倍に増やした場合と同等の効果が得られる。なお、現実には、システムの要請により適宜かつ適切なデータ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数とが選定されることは言うまでもない。
なお、コストパフォーマンスを考慮したハードウェアの選定により、データ収集サンプリング周波数を可能な限り高く設定することができれば(例えば、国際的かつ標準的な保護リレー装置では、4kHzが推奨されている)、計算結果の出力を高速に行うことができると共に、出力結果に対する移動平均処理を併用することで、高調波ノイズの影響を大幅に低減することができる。
このように、データ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数とを区別した処理の概念を導入することにより、電力系統に常時に存する擾乱(小さな擾乱)を抑制することが可能となる。
(ゲージ有効双電圧の定義と計算式)
本願発明者は、図3に示した「ゲージ双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ有効双電圧を表す計算式として次式を知見し、当該計算式に実数群表の関連乗積を代入して式変形を行った。
本願発明者は、図3に示した「ゲージ双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ有効双電圧を表す計算式として次式を知見し、当該計算式に実数群表の関連乗積を代入して式変形を行った。
上式により、ゲージ有効双電圧は次式を用いて計算することができる。
なお、上式により、次式も成立する。
上式において、VAg,VBgは、それぞれ端子Aのゲージ電圧および端子Bのゲージ電圧である。
また、上式により、次式も成立する。
(ゲージ無効双電圧の定義と計算式)
ゲージ無効双電圧もゲージ有効双電圧と同様に、図3に示した「ゲージ双電圧群のベクトル乗積空間図」により知見した次式の式変形に基づいて導くことができる。
ゲージ無効双電圧もゲージ有効双電圧と同様に、図3に示した「ゲージ双電圧群のベクトル乗積空間図」により知見した次式の式変形に基づいて導くことができる。
上式により、ゲージ無効双電圧は次式を用いて計算することができる。
(ゲージ有効双電圧およびゲージ無効双電圧の移動平均処理)
ゲージ有効双電圧およびゲージ無効双電圧を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
ゲージ有効双電圧およびゲージ無効双電圧を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
上式において、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
また、上記2式において、総和符号中におけるゲージ有効双電圧およびゲージ無効双電圧の計算式は、それぞれ次式および次々式で表される。
上記2式において、T1はデータ収集サンプリング周期である。
(ゲージ双電圧群による双電圧間位相角の余弦関数値および正弦関数値の計算式)
上記(16−2)および(18)式により、双電圧間位相角φの余弦関数値および正弦関数値は次式のように表すことができる。
上記(16−2)および(18)式により、双電圧間位相角φの余弦関数値および正弦関数値は次式のように表すことができる。
なお、実際の計算において、上式の計算式を直接的に使用する場合(例えば、不平衡三相回路における対称成分の計算)がある。
(ゲージ双電圧群による双電圧間位相角の計算式(第1の計算式))
上記(17)式により、双電圧間位相角φは次式のように表すことができる。
上記(17)式により、双電圧間位相角φは次式のように表すことができる。
なお、双電圧間位相角φは、−180度から+180度の範囲で変化する。
(ゲージ双電圧群による双電圧間位相角の計算式(第2の計算式))
上記(23)式により、双電圧間位相角φは次式のように表すこともできる。
上記(23)式により、双電圧間位相角φは次式のように表すこともできる。
上式により、双電圧間位相角φは、次式を用いて計算することができる。
ここで求めた双電圧間位相角も、−180度から+180度の範囲で変化する。
なお、双電圧間位相角を求める第1の計算式と第2の計算式とを比較すると、第2の計算式ではゲージ無効双電圧の符号判定を必要としない点で、第1の計算式よりも好ましい。よって、第2の計算式の方を推奨する。
(ゲージ双電圧群による双電圧間差分ベクトルの計算式)
図5は、複素平面上における双電圧差分ベクトルを示す図である。図5に示される幾何学的な関係により、双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部は、次式のように表される。
図5は、複素平面上における双電圧差分ベクトルを示す図である。図5に示される幾何学的な関係により、双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部は、次式のように表される。
上式において、αは回転位相角、VA,VBはそれぞれ端子Aおよび端子Bの交流電圧振幅、VPgはゲージ有効双電圧、VQgはゲージ無効双電圧である。
上式により、双電圧差分ベクトルの位相角(双電圧差分ベクトル位相角)φABは、次式のように表される。
また、三角関数の余弦定理により、双電圧間差分ベクトルの振幅(双電圧間差分ベクトル振幅)VABは、次式のように表される。
上式において、fCは周波数係数である。
(ゲージ有効双電圧およびゲージ無効双電圧に関する上記特許文献3(以後「先願発明」と称する)との比較)
まず、ゲージ有効双電圧に関し、本願発明においては、次式で示されるゲージ双電圧群の不変量を提案する。
まず、ゲージ有効双電圧に関し、本願発明においては、次式で示されるゲージ双電圧群の不変量を提案する。
また、本願発明においては、上式とは異なるゲージ双電圧群の不変量を提案する。
上記2つの計算式により、次の関係式が成立する。
一方、先願発明においては、ゲージ有効双電圧は次式の通り定義されている。
したがって、先願発明は本願発明の一部であると言える。さらに、本願発明の式はsinφの項がないため、計算式が簡素化されている。
上記は、ゲージ有効双電圧に関する検討であったが、ゲージ無効双電圧についても同様に検討する。本願発明においては、次式で示されるゲージ双電圧群の不変量を提案する。
結論から言えば、本願発明と先願発明のゲージ無効双電圧を表す式は同一である。ただし、本願発明では4つの乗積要素を使用しているのに対し、先願発明では2つの乗積要素を使用している。したがって、多くのデータを利用可能な本願発明の計算式では、計算結果の平滑効果に優れるという利点があり、本願発明の計算式を推奨する。
(ゲージ有効双電圧を計算する他の計算式(第2の計算式))
本願発明者は、図3に示した「ゲージ双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ有効双電圧を表す他の計算式として次式を知見し、当該計算式に実数群表の関連乗積を代入して式変形を行った。
本願発明者は、図3に示した「ゲージ双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ有効双電圧を表す他の計算式として次式を知見し、当該計算式に実数群表の関連乗積を代入して式変形を行った。
上記の式変形から明らかなように、次のゲージ有効双電圧の計算式が成立する。
なお、上式における乗積要素の添字に着目すれば理解できるように、各乗積要素における添字の並びが端子Aのベクトル成分と端子Bのベクトル成分とで同一である。よって、コンピュータデータ処理を行う際に、先願発明のものよりも有利な面がある。
また、必要であれば、次式に示すような移動平均処理を行うことが好ましい。
上式において、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
また、上式の総和符号中におけるゲージ有効双電圧の計算式は、次式で表される。
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期である。
また、これまでに説明した2つのゲージ有効双電圧の計算式を連立して解いて行けば、次の計算式が成立する。
上式により、周波数係数fCを表す他の計算式として次式を定義することができる。
ただし、上式による周波数測定範囲はゲージサンプリング周波数fsの1/4以下である(回転位相角αは90度以下)。
(ゲージ双電圧群の対称性指標(第2の計算式))
上記(39)式、すなわちゲージ双電圧群による周波数係数fCの2乗計算値は、次式のようにゲージ双電圧群の対称性指標として用いることができる。
上記(39)式、すなわちゲージ双電圧群による周波数係数fCの2乗計算値は、次式のようにゲージ双電圧群の対称性指標として用いることができる。
ここで、上式を満足する場合、vA1(t),vA1(t-T),vA1(t-2T),vB1(t),vB1(t-T),vB1(t-2T)により構築したゲージ双電圧群の対称性が破れる。このため、ゲージ双電圧群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、対称性は破れていないと判定し、対称群による計算を継続する。
(ゲージ無効双電圧を計算する他の計算式(第2の計算式))
ゲージ有効双電圧と同様にゲージ無効双電圧についても他の計算式として次式を提案する。
ゲージ有効双電圧と同様にゲージ無効双電圧についても他の計算式として次式を提案する。
上式の不変量も双電圧間位相角の計算に利用することができる。
以上のように、ゲージ双電圧群の群表、ゲージ双電圧群に対する四則演算操作により、種々の不変量を見つけることができた。
図6は、ゲージ双電圧群を用いて求められる不変量に関する特性図である。なお、図6では、有効双電圧VP=VAVBcosφ、無効双電圧VQ=VAVBsinφとして定義し、上記で求めたゲージ有効双電圧VPgおよびゲージ無効双電圧VQgと、ここで定義した有効双電圧VPおよび無効双電圧VQとの間の関係を図示している。図6に示されるように、ゲージ有効双電圧VPg、ゲージ無効双電圧VQg、有効双電圧VPおよび無効双電圧VQとの間には、回転位相角α、双電圧間位相角φを介した幾何的な関係がある。この関係から理解できるように、本願発明では、ゲージ有効双電圧VPgおよびゲージ無効双電圧VQgを用いて、時系列瞬時値データによる周波数自動補正機能を有している双電圧間位相角φの計算を実現したことになる。
ここからは、ゲージ双電圧群の構成メンバーである電圧回転ベクトルの数をそれぞれ1つ減らして、より高速に計算出力できる対称双電圧群を提案する。なお、ここでいう対称双電圧群、すなわち電圧回転ベクトルの数をそれぞれ1つ減らした2個の電圧回転ベクトルからなる対称双電圧群を回転双電圧群と呼称する。
(複素平面上の回転双電圧群)
図7は、複素平面上の回転双電圧群を示す図である。図7において、回転双電圧群を構成する端子Aの2個の電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
図7は、複素平面上の回転双電圧群を示す図である。図7において、回転双電圧群を構成する端子Aの2個の電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
上式において、VAは交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波数の時間刻み幅、αはTにおける回転位相角(値域は−180度から+180度)、φは双電圧間位相角である。
また、図7において、回転双電圧群を構成する端子Bの2個の電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
上式において、VBは交流電圧振幅であり、他の記号は端子Aにおけるものと同一である。
図7において、端子Aの2個の電圧回転ベクトルvA(t),vA(t-T)同士および端子Bの2個の電圧回転ベクトルvB(t),vB(t-T)同士は、それぞれが互いに対称性を有している。また、端子Aの2個の電圧回転ベクトルvA(t),vA(t-T)のそれぞれと、端子Bの2個の電圧回転ベクトルvB(t),vB(t-T)のそれぞれとの間にも、同じ双電圧間位相角を有するという対称性がある。さらに、これら4個の電圧回転ベクトルは、別の時間においても、また、別の場所にあっても、回転位相角αおよび双電圧間位相角φは変化しない。すなわち、これら4個の電圧回転ベクトルで構成した回転双電圧群も上述したケージ双電圧群と同様に回転不変性という性質を有する構造体である。
(回転双電圧群のベクトル群表)
回転双電圧群の不変量を調べるために、下記表3に示すような回転双電圧群のベクトル群表を構築する。
回転双電圧群の不変量を調べるために、下記表3に示すような回転双電圧群のベクトル群表を構築する。
上記のベクトル群表に示される電圧回転ベクトルは、複素数状態変数である。上表の“×”記号は表側の要素と表頭の要素との乗算を行うことを意味する。このとき、回転双電圧群のベクトル群表の各乗積要素は次式のように表すことができる。
上式に基づくベクトル乗積要素を複素平面上に表した図が図8である。ここで、2つのベクトルの乗積演算により生成した空間をベクトル乗積空間と呼ぶ。ベクトル乗積空間において、各ベクトル乗積要素は、2ωの角速度で反時計周りに回転する。
図8に示すように、vA1(t)vB1(t-T)およびvA1(t-T)vB1(t)は構造体の中間軸となり、両者のベクトル乗積結果は次式のように同じである。
なお、詳細は後述するが、これらvA1(t)vB1(t-T)およびvA1(t-T)vB1(t)の組で双電圧間位相角φの正弦関数値を直接的に計算することができる。
また、vA1(t)vB1(t)およびvA1(t-T)vB1(t-T)の組は中間軸に対して位相差αを有している。詳細は後述するが、これらvA1(t)vB1(t)およびvA1(t-T)vB1(t-T)の組ならびに周波数係数fcを利用して、双電圧間位相角φの余弦関数値を計算することができる。
(回転双電圧群の実数群表)
回転双電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表4に示すような回転双電圧群の実数群表を構築する。なお、上述したように実数群表中の電圧瞬時値としては、電圧回転ベクトルの実数部を用いてもよいし虚数部を用いてもよい。
回転双電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表4に示すような回転双電圧群の実数群表を構築する。なお、上述したように実数群表中の電圧瞬時値としては、電圧回転ベクトルの実数部を用いてもよいし虚数部を用いてもよい。
つぎに、回転双電圧群の実数群表について説明する。まず、実数群表の構成要素である端子Aおよび端子Bの電圧回転ベクトルの各瞬時値要素は、それぞれ次式および次々式で表すことができる。
上式により、表4に示される各乗積要素は次式のように表すことができる。
つぎに、この回転双電圧群の実数群表の各乗積要素を利用し、回転双電圧群に関係する各種不変量の計算式を説明する。
(回転双電圧群による双電圧間位相角の正弦関数値および余弦関数値の計算式)
まず、次式が成立する。
まず、次式が成立する。
上式より、双電圧間位相角φの正弦関数値は次式で表される。
また、次式が成立する。
さらに、次式も成立する。
回転位相角αの余弦関数値を上記(53)式の両辺に掛けると、次式のように表される。
上記(52)式と(54)式とを連立方程式として解けば、双電圧間位相角φの余弦関数値は次式で表すことができる。
(回転双電圧群による双電圧間位相角の計算式)
上式(51)式および(55)式より、双電圧間位相角の正接関数値は、次式で表される。
上式(51)式および(55)式より、双電圧間位相角の正接関数値は、次式で表される。
上式より、双電圧間位相角φは次式で表される。
(回転双電圧群による双電圧間差分ベクトルの計算式)
双電圧差分ベクトルについては、すでに図6に示した通りである。図6に示される幾何的な関係により、双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部は、次式のように表される。
双電圧差分ベクトルについては、すでに図6に示した通りである。図6に示される幾何的な関係により、双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部は、次式のように表される。
上式において、αは回転位相角、VA、VBは、それぞれ端子Aおよび端子Bの交流電圧振幅である。
上式により、双電圧差分ベクトル位相角φABは、次式を用いて求められる。
また、三角関数の余弦定理を用いれば、双電圧間差分ベクトル振幅VABは、次式を用いて求められる。
上式において、fCは周波数係数である。
なお、回転双電圧群の各端子、すなわち端子A,Bにおける電圧回転ベクトルメンバーにより、それぞれ回転電圧群を構築し、回転電圧群の対称性指標を利用して判別を行うことができる。ここで、端子A,Bの回転電圧群の双方に対称性がある場合、回転双電圧群には対称性があると判別し、それ以外の場合、すなわち端子A,Bの回転電圧群の少なくとも一方の対称性が破れた場合、回転双電圧群の対称性が破れたと判定することができる。対称性が破れたと判定された場合には、対称性が破れる前の計算値をラッチし、対称性が破れていないと判定された場合には、現在の対称群による計算を継続すればよい。
(複素平面上のケージ差分双電圧群)
図9は、複素平面上のケージ差分双電圧群を示す図である。図9において、端子Aにおける複素平面上の3個差分電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
図9は、複素平面上のケージ差分双電圧群を示す図である。図9において、端子Aにおける複素平面上の3個差分電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
上式において、VAは端子Aの交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波数の時間刻み幅、αはTにおける回転位相角(値域は−180度から+180度の間、前述(3)式参照)、φは後述する双電圧間位相角である。
上式は、端子Aのゲージ差分電圧群である。
同様に、端子Bにおける複素平面上の3個の差分電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
上式は、端子Bのゲージ差分電圧群である。
上式において、VBは端子Bの交流電圧振幅であり、他の記号は端子Aにおけるものと同一である。
図9において、端子Aに関する両側2個の差分電圧回転ベクトルvA2(t),vA2(t-2T)は、中間の差分電圧回転ベクトルv A2 (t-T)に対し、対称性を有している。同様に、端子Bに関する両側2個の差分電圧回転ベクトルvB2(t),v B2(t-2T)も、中間の電圧回転ベクトルv B2(t-T)に対し、対称性を有している。さらに、端子Aに関する3個の差分電圧回転ベクトルのそれぞれと端子Bに関する3個の差分電圧回転ベクトルのそれぞれとの間にも同一の双電圧間位相角φを有するという対称性が存在する。さらに、別の時間において、6個の差分電圧回転ベクトルが回転して別の場所にあっても、この構造体における双電圧間位相角φおよび回転位相角αは変化しないため、この構造体の形は変化しない。これら6個の差分電圧回転ベクトルにより構成される集合体(構造体)をケージ差分双電圧群と定義する。
(ゲージ差分双電圧群のベクトル群表)
ゲージ差分双電圧群の不変量を調べるために、下記表5に示すようなゲージ双電圧群のベクトル群表を構築する。
ゲージ差分双電圧群の不変量を調べるために、下記表5に示すようなゲージ双電圧群のベクトル群表を構築する。
上記のベクトル群表に示される差分電圧回転ベクトルは、複素数状態変数である。上表の“×”記号は表側の要素と表頭の要素との乗算を行うことを意味する。このとき、ゲージ差分双電圧群のベクトル群表の各乗積要素は次式のように表すことができる。
上式の右辺の計算をさらに進めれば、次式のように表すことができる。
上式に基づく各要素を複素平面上に表した図が図10である。ここで、2つの差分ベクトルの乗積演算により生成した空間をベクトル乗積空間と呼ぶ。このベクトル乗積空間において、各ベクトル乗積要素は、2ωの角速度で反時計周りに回転する。以下に5つの対称性を選んで説明を行う。
対称性を有する第1の組は、各回転ベクトルの中間軸に位置するvA2(t-2T)vB2(t)、vA2(t-T)vB2(t-T)およびvA2(t)vB2(t-2T)の組であり、下式のように、3者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
後述の計算式にて明らかになるが、ゲージ差分有効双電圧は、この組により構成される。
対称性を有する第2の組は、中間軸の左側に位置するvA2(t-T)vB2(t)とvA2(t)vB2(t-T)の組であり、下式のように、両者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
後述の計算式にて明らかになるが、ゲージ無効双電圧は、この組により構成される。
対称性を有する第3の組は、中間軸の右側に位置するvA2(t-2T)vB2(t-T)とvA2(t-T)vB2(t-2T)の組であり、下式のように、両者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
後述の計算式にて明らかになるが、この組により、ゲージ差分双電圧を計算する別の対称群を構成することができる。
対称性を有する第4の組は、中間軸の両側に位置するvA2(t-T)vB2(t)およびvA2(t)vB2(t-2T)と、vA2(t-2T)vB2(t-T)およびvA2(t-T)vB2(t-2T)の組であり、両者(それぞれ2つのベクトルを有している)は中間軸に対して位相差αを有している。後述の計算式にて明らかになるが、これらの組により、周波数係数を計算する別の対称群を構成することができる。
対称性を有する第5の組は、中間軸の両側に位置するvA2(t)vB2(t)とvA2(t-2T)vB2(t-2T)の組であり、両者は中間軸に対して位相差αを有している。後述の計算式により、この組と中間の回転ベクトルvA2(t-T)vB2(t-T)の3者により、別のゲージ差分有効双電圧を計算する別の対称群を構成することができる。
このように、ゲージ差分双電圧群のベクトル群表を用いて作成したベクトル乗積空間図を利用すれば、ゲージ差分双電圧群の対称性を直観的に調べることができる。
(ゲージ差分双電圧群の実数群表)
ゲージ差分双電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表6に示すようなゲージ差分双電圧群の実数群表を構築する。なお、下記実数群表中の各電圧瞬時値としては、差分電圧回転ベクトルの実数部を用いているが、虚数部を用いてもよい。
ゲージ差分双電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表6に示すようなゲージ差分双電圧群の実数群表を構築する。なお、下記実数群表中の各電圧瞬時値としては、差分電圧回転ベクトルの実数部を用いているが、虚数部を用いてもよい。
つぎに、ゲージ差分双電圧群の実数群表について説明する。まず、表6の組の構成要素である端子Aの差分電圧回転ベクトルおよび端子Bの差分電圧回転ベクトルの各瞬時値要素は次式および次々式で表すことができる。
上記各式において、“Re”は複素数の実数部を示す。また、上記2式により、表6に示される各乗積要素は次式のように表すことができる。
つぎに、これらゲージ双電圧群の実数群表における各乗積要素を利用し、ゲージ双電圧群による各種不変量の計算式を説明する。
(ゲージ差分双電圧群による周波数係数の計算式)
以下に、ゲージ双電圧群による周波数係数の計算式について説明する。
以下に、ゲージ双電圧群による周波数係数の計算式について説明する。
本願発明者は、図9に示したゲージ差分双電圧群の空間ベクトル図を参照し、上記特許文献3などにおいて提案した周波数係数の計算式を導き出すべく、まず次式を計算した。
一方、乗積要素vA22vB22と回転位相角余弦値cosαとの積の4倍値は次式で表すことができる。
上記2式により、ゲージ差分双電圧群による周波数係数fCは次式を用いて計算することができる。
なお、上記では、差分電圧瞬時値として、差分電圧回転ベクトルの実数部を用いて式変形を行ったが、差分電圧回転ベクトルの虚数部を用いて式変形を行っても同じ結果が得られる。
また、ゲージ差分双電圧群の他の不変量および本願発明における他の対称群の不変量も同様であり、差分回転ベクトルの実数部を用いても虚数部を用いても同じ計算結果が導かれる。よって、これ以後、実数瞬時値を用いる場合についてのみ説明し、虚数瞬時値を用いる説明については省略する。
なお、上式で計算される周波数係数は、次式のようにゲージ差分双電圧群の対称性指標に利用することができる。
(ゲージ差分双電圧群の対称性指標(第1の計算式))
ゲージ差分双電圧群の対称性指標として次式を提案する。
ゲージ差分双電圧群の対称性指標として次式を提案する。
ここで、上式を満足する場合、vA2(t),vA(t-T),vA2(t-2T),vB2(t),vB2(t-T),vB2(t-2T)により構築したゲージ差分双電圧群の対称性が破れる。このため、ゲージ差分双電圧群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、対称性は破れていないと判定し、対称群による計算を継続する。
(ゲージ差分双電圧群による回転位相角およびリアルタイム周波数の計算)
ゲージ差分双電圧群を用いても回転位相角およびリアルタイム周波数を計算することが可能である。なお、回転位相角およびリアルタイム周波数の計算式は、ゲージ双電圧群を用いた場合と同様な式構造であり、詳細は省略する。
ゲージ差分双電圧群を用いても回転位相角およびリアルタイム周波数を計算することが可能である。なお、回転位相角およびリアルタイム周波数の計算式は、ゲージ双電圧群を用いた場合と同様な式構造であり、詳細は省略する。
(ゲージ差分有効双電圧の定義と計算式)
本願発明者は、図10に示した「ゲージ差分双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ差分有効双電圧を表す計算式として次式を知見した。
本願発明者は、図10に示した「ゲージ差分双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ差分有効双電圧を表す計算式として次式を知見した。
上式に電圧瞬時値の実数部を代入して式の展開を行うと、次式のように表すことができる。
上式により、ゲージ差分有効双電圧は次式を用いて計算することができる。
なお、上式により、次式も成立する。
上式において、VAgd,VBgdは、それぞれ端子Aのゲージ差分電圧および端子Bのゲージ差分電圧である。
また、上式により、次式も成立する。
(ゲージ差分無効双電圧の定義と計算式)
ゲージ差分無効双電圧もゲージ差分有効双電圧と同様に、図10に示した「ゲージ差分双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ差分無効双電圧を表す計算式として次式を知見した。
ゲージ差分無効双電圧もゲージ差分有効双電圧と同様に、図10に示した「ゲージ差分双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ差分無効双電圧を表す計算式として次式を知見した。
上式に電圧瞬時値の実数部を代入して式の展開を行うと、次式のように表すことができる。
上式により、ゲージ差分無効双電圧は次式を用いて計算することができる。
(ゲージ差分有効双電圧およびゲージ差分無効双電圧の移動平均処理)
ゲージ差分有効双電圧およびゲージ差分無効双電圧を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
ゲージ差分有効双電圧およびゲージ差分無効双電圧を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
上式において、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
また、上記2式において、総和符号中におけるゲージ差分有効双電圧およびゲージ差分無効双電圧の計算式は、それぞれ次式および次々式で表される。
上記2式において、T1はデータ収集サンプリング周期である。
(ゲージ差分双電圧群による双電圧間位相角の余弦関数値および正弦関数値の計算式)
上記(77)および(82)式により、双電圧間位相角φの余弦関数値および正弦関数値は次式のように表すことができる。
上記(77)および(82)式により、双電圧間位相角φの余弦関数値および正弦関数値は次式のように表すことができる。
なお、実際の計算において、上式の計算式を直接的に使用する場合(例えば、不平衡三相回路における対称成分の計算)がある。
(ゲージ差分双電圧群による双電圧間位相角の計算式(第1の計算式))
上記(79)式により、双電圧間位相角φは次式のように表すことができる。
上記(79)式により、双電圧間位相角φは次式のように表すことができる。
なお、双電圧間位相角φは、−180度から+180度の範囲で変化する。
(ゲージ双電圧群による双電圧間位相角の計算式(第2の計算式))
上記(86)式により、双電圧間位相角φは次式のように表すこともできる。
上記(86)式により、双電圧間位相角φは次式のように表すこともできる。
上式により、双電圧間位相角φは、次式を用いて計算することができる。
ここで求めた双電圧間位相角も、−180度から+180度の範囲で変化する。
なお、双電圧間位相角を求める第1の計算式と第2の計算式とを比較すると、第2の計算式ではゲージ差分無効双電圧の符号判定を必要としない点で、第1の計算式よりも好ましい。よって、第2の計算式の方を推奨する。
(ゲージ差分双電圧群による双電圧間差分ベクトルの計算式)
複素平面上における双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部に関する幾何学的な関係は、既に図5に示した通りである。(27)式では、双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部について、ゲージ有効双電圧VPgおよびゲージ無効双電圧VQgを用いて示しているが、次式のようにゲージ差分有効双電圧VPgdおよびゲージ差分無効双電圧VQgdを用いて示すことが可能である。
複素平面上における双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部に関する幾何学的な関係は、既に図5に示した通りである。(27)式では、双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部について、ゲージ有効双電圧VPgおよびゲージ無効双電圧VQgを用いて示しているが、次式のようにゲージ差分有効双電圧VPgdおよびゲージ差分無効双電圧VQgdを用いて示すことが可能である。
上式において、αは回転位相角、VA,VBはそれぞれ端子Aおよび端子Bの交流電圧振幅である。
上式により、双電圧差分ベクトル位相角φABは、次式のように表される。
上式において、fCは周波数係数である。
(ゲージ差分有効双電圧およびゲージ差分無効双電圧に関する先願発明との比較)
まず、ゲージ差分有効双電圧に関し、本願発明においては、次式で示されるゲージ差分双電圧群の不変量を提案する。
まず、ゲージ差分有効双電圧に関し、本願発明においては、次式で示されるゲージ差分双電圧群の不変量を提案する。
また、本願発明においては、上式とは異なるゲージ差分双電圧群の不変量を提案する。
上記2つの計算式により、次の関係式が成立する。
一方、先願発明においては、ゲージ差分有効双電圧は次式の通り定義されている。
したがって、先願発明は本願発明の一部であると言える。さらに、本願発明の式はsinφの項がないため、計算式が簡素化されている。
上記は、ゲージ差分有効双電圧に関する検討であったが、ゲージ差分無効双電圧についても同様に検討する。本願発明においては、次式で示されるゲージ差分双電圧群の不変量を提案する。
結論から言えば、本願発明と先願発明のゲージ差分無効双電圧を表す式は同一である。ただし、本願発明では4つの乗積要素を使用しているのに対し、先願発明では2つの乗積要素を使用している。したがって、多くのデータを利用可能な本願発明の計算式では、計算結果の平滑効果に優れるという利点があり、本願発明の計算式を推奨する。
(ゲージ差分有効双電圧を計算する他の計算式(第2の計算式))
本願発明者は、図10に示した「ゲージ差分双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ差分有効双電圧を表す他の計算式として次式を知見し、当該計算式に実数群表の関連乗積を代入して式変形を行った。
本願発明者は、図10に示した「ゲージ差分双電圧群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ差分有効双電圧を表す他の計算式として次式を知見し、当該計算式に実数群表の関連乗積を代入して式変形を行った。
上記の式変形から明らかなように、次のゲージ差分有効双電圧の計算式が成立する。
なお、上式における乗積要素の添字に着目すれば理解できるように、各乗積要素における添字の並びが端子Aのベクトル成分と端子Bのベクトル成分とで同一である。よって、コンピュータデータ処理を行う際に、先願発明のものよりも有利な面がある。
また、必要であれば、次式に示すような移動平均処理を行うことが好ましい。
上式において、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
また、上式の総和符号中におけるゲージ差分有効双電圧の計算式は、次式で表される。
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期である。
また、これまでに説明した2つのゲージ有効双電圧の計算式を連立して解いて行けば、次の計算式が成立する。
上式により、周波数係数fCを表す他の計算式として次式を定義することができる。
ただし、上式による周波数測定範囲はゲージサンプリング周波数fsの1/4以下である(回転位相角αは90度以下)。
(ゲージ双電圧群の対称性指標(第2の計算式))
上記(102)式、すなわちゲージ差分双電圧群による周波数係数fCの2乗計算値は、次式のようにゲージ差分双電圧群の対称性指標として用いることができる。
上記(102)式、すなわちゲージ差分双電圧群による周波数係数fCの2乗計算値は、次式のようにゲージ差分双電圧群の対称性指標として用いることができる。
ここで、上式を満足する場合、vA2(t),vA2(t-T),vA2(t-2T),vB2(t),vB2(t-T),vB2(t-2T)により構築したゲージ差分双電圧群の対称性が破れる。このため、ゲージ差分双電圧群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、対称性は破れていないと判定し、対称群による計算を継続する。
このように、ゲージ差分双電圧群の実数群表を利用すれば、種々の不変量を見つけることができ、必要があるとき利用できると考える。なお、ゲージ差分双電圧群により求められる諸量は、瞬時値の差分値により計算されるため、直流成分の影響が小さくなるというメリットがある。
ここからは、ゲージ差分双電圧群の構成メンバーである差分電圧回転ベクトルの数をそれぞれ1つ減らして、より高速に計算出力できる双電圧群、すなわち回転差分双電圧群を提案する。
(複素平面上の回転差分双電圧群)
図11は、複素平面上の回転差分双電圧群を示す図である。図11において、回転差分双電圧群を構成する端子Aの2個の差分電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
図11は、複素平面上の回転差分双電圧群を示す図である。図11において、回転差分双電圧群を構成する端子Aの2個の差分電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
上式において、VAは交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波数の時間刻み幅、αはTにおける回転位相角(値域は−180度から+180度)、φは双電圧間位相角である。
また、図11において、回転双電圧群を構成する端子Bの2個の電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
上式において、VBは交流電圧振幅であり、他の記号は端子Aにおけるものと同一である。
図11において、端子Aの2個の差分電圧回転ベクトルvA2(t),vA2(t-T)同士および端子Bの2個の差分電圧回転ベクトルvB2(t),vB2(t-T)同士は、それぞれが互いに対称性を有している。また、端子Aの2個の差分電圧回転ベクトルvA2(t),vA2(t-T)のそれぞれと、端子Bの2個の差分電圧回転ベクトルvB2(t),vB2(t-T)のそれぞれとの間にも、同じ双電圧間位相角を有するという対称性がある。さらに、これら4個の差分電圧回転ベクトルは、別の時間においても、また、別の場所にあっても、回転位相角αおよび双電圧間位相角φは変化しない。すなわち、これら4個の差分電圧回転ベクトルで構成した回転差分双電圧群も上述したケージ差分双電圧群と同様に回転不変性という性質を有する構造体である。
(回転差分双電圧群のベクトル群表)
回転差分双電圧群の不変量を調べるために、下記表7に示すような回転差分双電圧群のベクトル群表を構築する。
回転差分双電圧群の不変量を調べるために、下記表7に示すような回転差分双電圧群のベクトル群表を構築する。
上記のベクトル群表に示される差分電圧回転ベクトルは、複素数状態変数である。上表の“×”記号は表側の要素と表頭の要素との乗算を行うことを意味する。このとき、回転差分双電圧群のベクトル群表の各乗積要素は次式のように表すことができる。
上式の右辺の計算をさらに進めれば、次式のように表すことができる。
上式に基づくベクトル乗積要素を複素平面上に表した図が図12である。ここで、2つのベクトルの乗積演算により生成した空間をベクトル乗積空間と呼ぶ。ベクトル乗積空間において、各ベクトル乗積要素は、2ωの角速度で反時計周りに回転する。
図12に示すように、vA2(t)vB2(t-T)およびvA2(t-T)vB2(t)は構造体の中間軸となり、両者のベクトル乗積結果は次式のように同じである。
なお、詳細は後述するが、これらvA1(t)vB1(t-T)およびvA1(t)vB1(t-T)の組で双電圧間位相角φの正弦関数値を直接的に計算することができる。
また、vA2(t)vB2(t)およびvA2(t-T)vB2(t-T)の組は中間軸に対して位相差αを有している。詳細は後述するが、これらvA2(t)vB2(t)およびvA2(t-T)vB2(t-T)の組ならびに周波数係数fcを利用して、双電圧間位相角φの余弦関数値を計算することができる。
(回転差分双電圧群の実数群表)
回転差分双電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表8に示すような回転差分双電圧群の実数群表を構築する。なお、上述したように実数群表中の電圧瞬時値としては、差分電圧回転ベクトルの実数部を用いてもよいし虚数部を用いてもよい。
回転差分双電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表8に示すような回転差分双電圧群の実数群表を構築する。なお、上述したように実数群表中の電圧瞬時値としては、差分電圧回転ベクトルの実数部を用いてもよいし虚数部を用いてもよい。
つぎに、回転差分双電圧群の実数群表について説明する。まず、実数群表の構成要素である端子Aおよび端子Bの差分電圧回転ベクトルの各瞬時値要素は、それぞれ次式および次々式で表すことができる。
上式により、表8に示される各乗積要素は次式のように表すことができる。
つぎに、この回転双電圧群の実数群表の各乗積要素を利用し、回転双電圧群に関係する各種不変量の計算式を説明する。
(回転差分双電圧群による双電圧間位相角の正弦関数値および余弦関数値の計算式)
まず、次式が成立する。
まず、次式が成立する。
上式より、双電圧間位相角φの正弦関数値は次式で表される。
また、次式が成立する。
さらに、次式も成立する。
回転位相角αの余弦関数値を上記(116)式の両辺に掛けると、次式のように表される。
上記(115)式と(117)式とを連立方程式として解けば、双電圧間位相角φの余弦関数値は次式で表すことができる。
(回転差分双電圧群による双電圧間位相角の計算式)
上式(114)式および(118)式より、双電圧間位相角の正接関数値は、次式で表される。
上式(114)式および(118)式より、双電圧間位相角の正接関数値は、次式で表される。
上式より、双電圧間位相角φは次式で表される。
(回転差分双電圧群による双電圧間差分ベクトルの計算式)
双電圧差分ベクトルについては、すでに図6に示した通りである。図6に示される幾何的な関係により、双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部は、次式のように表される。
双電圧差分ベクトルについては、すでに図6に示した通りである。図6に示される幾何的な関係により、双電圧差分ベクトルの実数部および虚数部は、次式のように表される。
上式において、αは回転位相角、VA、VBは、それぞれ端子Aおよび端子Bの交流電圧振幅である。
上式により、双電圧差分ベクトル位相角φABは、次式を用いて求められる。
また、三角関数の余弦定理を用いれば、双電圧間差分ベクトル振幅VABは、次式を用いて求められる。
上式において、fCは周波数係数である。
なお、回転差分双電圧群の各端子、すなわち端子A,Bにおける差分電圧回転ベクトルメンバーにより、それぞれ回転差分電圧群を構築し、回転差分電圧群の対称性指標を利用して判別を行うことができる。ここで、端子A,Bの回転差分電圧群の双方に対称性がある場合、回転差分双電圧群には対称性があると判別し、それ以外の場合、すなわち端子A,Bの回転差分電圧群の少なくとも一方の対称性が破れた場合、回転差分双電圧群の対称性が破れたと判定することができる。対称性が破れたと判定された場合には、対称性が破れる前の計算値をラッチし、対称性が破れていないと判定された場合には、現在の対称群による計算を継続すればよい。
(複数の対称群を用いた回転位相角およびリアルタイム周波数の計算式)
ここでは、ゲージ双電圧群およびゲージ差分双電圧群を用いた回転位相角およびリアルタイム周波数の計算式について説明する。
ここでは、ゲージ双電圧群およびゲージ差分双電圧群を用いた回転位相角およびリアルタイム周波数の計算式について説明する。
まず、ゲージ有効双電圧、ゲージ差分有効双電圧および回転位相角の間には、次式の関係がある。
上式により、回転位相角は、次式のように得られる。
よって、回転位相角の定義式により、リアルタイム周波数は次式を用いて求められる。
また、ゲージ無効双電圧およびゲージ差分無効双電圧を用いても、同様な式を導くことができる。
まず、ゲージ無効双電圧、ゲージ差分無効双電圧および回転位相角の間には、次式の関係がある。
上式により、回転位相角は、次式のように得られる。
よって、回転位相角の定義式により、リアルタイム周波数は次式を用いて求められる。
なお、リアルタイム周波数が電力系統周波数から大きく外れた場合、上記(126)式または(128)式を利用することにより、基本波波形の対称性の破れを判定することが可能である。なお、式展開は省略するが、回転位相角が負数の場合も同様な判定が可能であることは言うまでもない。
つぎに、図13に示すシミュレーション結果に基づいて、本願手法に係る周波数ゲイン特性について考察する。図13は、ゲージサンプリング周波数200Hzにおける双電圧間位相角の周波数ゲイン特性図である。
図13に示すシミュレーションの条件は、以下の通りである。
・ゲージサンプリング周波数:200Hz
・入力波形:正弦波
・入力波形の周波数:0〜200Hzまで可変
・交流電圧振幅(端子A):1.0V
・交流電圧振幅(端子B):0.8V
・交流電圧初期位相角(端子A):30度
・交流電圧初期位相角(端子B):49度
・ゲージサンプリング周波数:200Hz
・入力波形:正弦波
・入力波形の周波数:0〜200Hzまで可変
・交流電圧振幅(端子A):1.0V
・交流電圧振幅(端子B):0.8V
・交流電圧初期位相角(端子A):30度
・交流電圧初期位相角(端子B):49度
図13に示すように、双電圧間位相角の理論値(理論双電圧間位相角)に対する双電圧間位相角の測定値(双電圧間位相角測定値)、すなわち双電圧間位相角における周波数ゲイン値は“1”であり、理論値に一致していることが分かる。
つぎに、正相、逆相および零相に関する電気量を測定する三相回路測定装置について説明するが、ここではまず、三相回路測定装置に係る測定手法について説明する。
(不平衡三相電圧)
電力系統における不平衡三相電圧は、次式で表すことを想定する。
電力系統における不平衡三相電圧は、次式で表すことを想定する。
上式において、VA,VB,VCはそれぞれA相、B相、C相電圧の振幅である。また、φAB,φACは、それぞれAB相間、BC相間の位相角である。なお、A相電圧の初期位相角は零を想定する。
電力系統の三相が平衡状態となるとき、次式および次々式に示される条件が成立する。
上記条件を不平衡三相電圧方程式(上記(130)式)に代入すると、次式が得られる。
(正相電圧の計算)
図14は、複素平面上の不平衡三相電圧と正相電圧との関係を示す図である。正相電圧の定義と図14に示す関係とにより、正相電圧は、次式のように表される。
図14は、複素平面上の不平衡三相電圧と正相電圧との関係を示す図である。正相電圧の定義と図14に示す関係とにより、正相電圧は、次式のように表される。
上式において、V1は正相電圧振幅、φ1は正相電圧初期位相角である。この上式に各相電圧を代入すると、次式が得られる。
また、上式の両側からejwtを除算すると、次式が得られる。
上式より、正相電圧の実数部および虚数部は、次式のように表される。
よって、正相電圧振幅は、次式を用いて求めることができる。
また、正相電圧位相角初期値は、次式を用いて求めることができる。
(複素平面上の平衡三相電圧と正相電圧との関係)
図15は、複素平面上の平衡三相電圧と正相電圧との関係を示す図である。正相電圧振幅を表す上記(138)式に、平衡三相状態となるときの条件式である(131)式および(132)式を代入すれば、次式が得られる。
図15は、複素平面上の平衡三相電圧と正相電圧との関係を示す図である。正相電圧振幅を表す上記(138)式に、平衡三相状態となるときの条件式である(131)式および(132)式を代入すれば、次式が得られる。
また、正相電圧位相角初期値を表す上記(139)式に、平衡三相状態となるときの条件式である(131)式および(132)式を代入すれば、次式が得られる。
上記2式から理解できるように、平衡三相回路において、正相電圧とA相電圧とは等しくなる。
(正相電流の計算)
正相電流も、正相電圧と同様な式展開になる。具体的には、A相、B相、C相電流振幅および正相電流振幅をそれぞれIA,IB,IC,I1とするときに、上記VA,VB,VC,V1をそれぞれIA,IB,IC,I1に置き換えると共に、初期位相角については同じ記号用いて式展開を行えばよい。このため、式展開に関する詳細な説明は省略する。
正相電流も、正相電圧と同様な式展開になる。具体的には、A相、B相、C相電流振幅および正相電流振幅をそれぞれIA,IB,IC,I1とするときに、上記VA,VB,VC,V1をそれぞれIA,IB,IC,I1に置き換えると共に、初期位相角については同じ記号用いて式展開を行えばよい。このため、式展開に関する詳細な説明は省略する。
(正相電力の計算)
正相電力の定義により、正相電力は次式のように表すことができる。
正相電力の定義により、正相電力は次式のように表すことができる。
上式において、V1,I1は、それぞれ正相電圧、正相電流の振幅であり、φv1,φi1は、それぞれ正相電圧、正相電流の初期位相角である。よって、この(141−2)式から、正相有効電力P1と正相無効電力Q1は、次式を用いて求めることができる。
(逆相電圧の計算)
図16は、複素平面上の不平衡三相電圧と逆相電圧との関係を示す図である。逆相電圧の定義と図16に示す関係とにより、逆相電圧は、次式のように表される。
図16は、複素平面上の不平衡三相電圧と逆相電圧との関係を示す図である。逆相電圧の定義と図16に示す関係とにより、逆相電圧は、次式のように表される。
上式において、V2は逆相電圧振幅、φ2は逆相電圧初期位相角である。この上式に各相電圧を代入すると、次式が得られる。
上式より、逆相電圧の実数部および虚数部は、次式のように表される。
よって、逆相電圧振幅は、次式を用いて求めることができる。
また、逆相電圧位相角初期値は、次式を用いて求めることができる。
(複素平面上の平衡三相電圧と逆相電圧との関係)
図17は、複素平面上の平衡三相電圧と逆相電圧との関係を示す図である。逆相電圧振幅を表す上記(146)式に、平衡三相状態となるときの条件式である(131)式および(132)式を代入すれば、次式が得られる。
図17は、複素平面上の平衡三相電圧と逆相電圧との関係を示す図である。逆相電圧振幅を表す上記(146)式に、平衡三相状態となるときの条件式である(131)式および(132)式を代入すれば、次式が得られる。
また、逆相電圧位相角初期値を表す上記(147)式に、平衡三相状態となるときの条件式である(131)式および(132)式を代入すれば、次式が得られる。
上記2式から理解できるように、平衡三相回路において、逆相電圧は零である。
(逆相電流の計算)
逆相電圧と逆相電流の関係は、正相電圧と正相電流の関係と同様である。よって、正相電流のときと同様な式展開にて、逆相電流を求めることができるため、ここでの説明を省略する。
逆相電圧と逆相電流の関係は、正相電圧と正相電流の関係と同様である。よって、正相電流のときと同様な式展開にて、逆相電流を求めることができるため、ここでの説明を省略する。
(逆相電力の計算)
逆相電力の定義により、逆相電力は次式のように表すことができる。
逆相電力の定義により、逆相電力は次式のように表すことができる。
上式において、V2,I2は、それぞれ逆相電圧、逆相電流の振幅であり、φV2,φI2は、それぞれ逆相電圧、逆相電流の初期位相角である。よって、この(149−2)式から、逆相有効電力P2と逆相無効電力Q2は、次式を用いて求めることができる。
(零相電圧の計算)
図18は、複素平面上の不平衡三相電圧と零相電圧との関係を示す図である。零相電圧の定義と図18に示す関係とにより、零相電圧は、次式のように表される。
図18は、複素平面上の不平衡三相電圧と零相電圧との関係を示す図である。零相電圧の定義と図18に示す関係とにより、零相電圧は、次式のように表される。
上式において、V0は零相電圧振幅、φ0は零相電圧初期位相角である。この上式に各相電圧を代入すると、次式が得られる。
上式より、零相電圧の実数部および虚数部は、次式のように表される。
よって、零相電圧振幅は、次式を用いて求めることができる。
また、零相電圧位相角初期値は、次式を用いて求めることができる。
(複素平面上の平衡三相電圧と零相電圧との関係)
図19は、複素平面上の平衡三相電圧と零相電圧との関係を示す図である。零相電圧振幅を表す上記(154)式に、平衡三相状態となるときの条件式である(131)式および(132)式を代入すれば、次式が得られる。
図19は、複素平面上の平衡三相電圧と零相電圧との関係を示す図である。零相電圧振幅を表す上記(154)式に、平衡三相状態となるときの条件式である(131)式および(132)式を代入すれば、次式が得られる。
また、零相電圧位相角初期値を表す上記(155)式に、平衡三相状態となるときの条件式である(131)式および(132)式を代入すれば、次式が得られる。
上記2式から理解できるように、平衡三相回路において、零相電圧は零である。
(零相電流の計算)
零相電圧と零相電流の関係は、正相電圧(逆相電圧)と正相電流(逆相電流)の関係と同様である。よって、正相電流(逆相電流)のときと同様な式展開にて、零相電流を求めることができるため、ここでの説明を省略する。
零相電圧と零相電流の関係は、正相電圧(逆相電圧)と正相電流(逆相電流)の関係と同様である。よって、正相電流(逆相電流)のときと同様な式展開にて、零相電流を求めることができるため、ここでの説明を省略する。
(零相電力の計算)
零相電力の定義により、零相電力は次式のように表すことができる。
零相電力の定義により、零相電力は次式のように表すことができる。
上式において、V0,I0は、それぞれ零相電圧、零相電流の振幅であり、φv0,φi0は、それぞれ零相電圧、零相電流の初期位相角である。よって、この(157−2)式から、零相有効電力P0と零相無効電力Q0は、次式を用いて求めることができる。
つぎに、上述した電気量測定装置および電気量測定方法に係る応用例について説明する。図20は、電気量測定装置および電気量測定方法に係る応用例としての三相回路測定装置の機能構成を示す図であり、図21〜図24は、この三相回路測定装置における処理の流れを示すフローチャートである。なお、図21〜図24までの4つのフローチャートのうち、図21は、A相瞬時値データを読み出してA相電圧振幅を算出し、移動平均処理を行うまでのフローチャートであり、図22は、AB相瞬時値データを読み出してAB相電圧間位相角を算出し、移動平均処理を行うまでのフローチャートであり、図23は、図22のフローチャートによって生成されたAB相、AC相電圧間位相角(図22ではAB相に関する場合を例示)を読み出して正相電圧、逆相電圧および零相電圧を生成するまでのフローチャートであり、図24は、図23のフローチャートによって生成された対称成分(正相、逆相および零相)の電圧・電流算出結果を読み出して正相電力、逆相電力および零相電力を生成するまでのフローチャートである。
図20に示すように、本実施の形態に係る三相回路測定装置E101は、交流電圧電流瞬時値データ入力部E102、A相B相C相差分電圧群算出部E103、A相B相C相差分電流群算出部E104、AB相差分双電圧群算出部E105、AC相差分双電圧群算出部E106、正相電圧算出部E107、逆相電圧算出部E108、零相電圧算出部E109、AB相差分双電流群算出部E110、AC相差分双電流群算出部E111、正相電流算出部E112、逆相電流算出部E113、零相電流算出部E114、正相電力算出部E115、逆相電力算出部E116、零相電力算出部E117、インターフェースE118および、記憶部E119を備えて構成される。ここで、インターフェースE118は、演算結果等を表示装置や外部装置に出力する処理を行い、記憶部E119は、計測データや演算結果などを記憶する処理を行う。なお、A相B相C相差分電圧群算出部E103は第1の算出部として動作し、A相B相C相差分電流群算出部E104は第2の算出部として動作する。また、AB相差分双電圧群算出部E105、AC相差分双電圧群算出部E106、正相電圧算出部E107、逆相電圧算出部E108、零相電圧算出部E109、AB相差分双電流群算出部E110、AC相差分双電流群算出部E111、正相電流算出部E112、逆相電流算出部E113、零相電流算出部E114、正相電力算出部E115、逆相電力算出部E116および零相電力算出部E117は、第3の算出部として動作する。
また、図20では、説明の簡略化のため、周波数係数や回転位相角を算出する算出部、これらの算出値の移動平均処理を行う処理部、対称性破れを判別する処理部は、A相B相C相差分電圧群算出部E103、A相B相C相差分電流群算出部E104、AB相差分双電圧群算出部E105、AC相差分双電圧群算出部E106、AB相差分双電流群算出部E110、AC相差分双電流群算出部E111などの内部に設けられていることを想定し、これらの図示を省略している。
つぎに、図21〜図24に示すフローチャートの処理について説明する。なお、以下では、A相およびAB相を一例として説明するが、B相、C相およびAC相についても同様な処理が行われることは言うまでもない。
(ステップSE101)
上記の構成において、交流電圧電流瞬時値データ入力部E102は、電力系統に設けられた計器用変圧器(PT)からの電圧瞬時値および変流器(CT)からの電流瞬時値を読み出す処理を行う。なお、読み出された電圧瞬時値および電流瞬時値のデータは、記憶部E119格納される。交流電圧電流瞬時値データ入力部E102は、記憶部E119に格納されたデータからA相瞬時値データを読み出す。
上記の構成において、交流電圧電流瞬時値データ入力部E102は、電力系統に設けられた計器用変圧器(PT)からの電圧瞬時値および変流器(CT)からの電流瞬時値を読み出す処理を行う。なお、読み出された電圧瞬時値および電流瞬時値のデータは、記憶部E119格納される。交流電圧電流瞬時値データ入力部E102は、記憶部E119に格納されたデータからA相瞬時値データを読み出す。
(ステップSE102)
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、読み出したA相瞬時値データを用い、且つ、次式を用いてA相ゲージ差分電圧群周波数係数を算出する。このA相ゲージ差分電圧群周波数係数の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、A相B相C相差分電圧群算出部E103は、例えばA相の交流電圧をデータ収集サンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、データ収集サンプリング周波数よりも小さく、且つ交流電圧の周波数以上となるゲージサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうち、中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値を中間時刻における差分電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として各相毎に算出する処理を行う。
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、読み出したA相瞬時値データを用い、且つ、次式を用いてA相ゲージ差分電圧群周波数係数を算出する。このA相ゲージ差分電圧群周波数係数の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、A相B相C相差分電圧群算出部E103は、例えばA相の交流電圧をデータ収集サンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、データ収集サンプリング周波数よりも小さく、且つ交流電圧の周波数以上となるゲージサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうち、中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値を中間時刻における差分電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として各相毎に算出する処理を行う。
上式において、vA21,vA22,vA23はA相差分電圧瞬時値である。
(ステップSE103)
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、次式に示す対称性指標の判定式を用いて対称性の破れ(交流であるか否か)を判別する。
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、次式に示す対称性指標の判定式を用いて対称性の破れ(交流であるか否か)を判別する。
ここで、上式が成立する場合(ステップSE103,Yes)、対称性が破れている(交流ではない)と判定し、ステップSE104に移行する。
一方、上式が成立しない場合(ステップSE103,No)、対称性は破れていない(交流である)と判定し、ステップSE105に移行する。
(ステップSE104)
ステップSE104では、次式を用いてA相ゲージ差分電圧群での周波数係数の値をラッチして用いる。
ステップSE104では、次式を用いてA相ゲージ差分電圧群での周波数係数の値をラッチして用いる。
(ステップSE105)
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、次式を用いてA相ゲージ差分電圧群の周波数係数に対する移動平均処理を行う。
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、次式を用いてA相ゲージ差分電圧群の周波数係数に対する移動平均処理を行う。
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期であり、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
(ステップSE106)
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、次式を用いてA相ゲージ差分電圧を算出する。このA相ゲージ差分電圧の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、A相B相C相差分電圧群算出部E103は、中間時刻における第1の差分電圧瞬時値の2乗値から、中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値と中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果を減算した値の平方根をゲージ差分電圧として各相毎に算出する処理を行う。
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、次式を用いてA相ゲージ差分電圧を算出する。このA相ゲージ差分電圧の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、A相B相C相差分電圧群算出部E103は、中間時刻における第1の差分電圧瞬時値の2乗値から、中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値と中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果を減算した値の平方根をゲージ差分電圧として各相毎に算出する処理を行う。
(ステップSE107)
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてA相ゲージ差分電圧に対する移動平均処理を行う。
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてA相ゲージ差分電圧に対する移動平均処理を行う。
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期であり、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
(ステップSE108)
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、次式を用いてA相電圧振幅を算出する。
A相B相C相差分電圧群算出部E103は、次式を用いてA相電圧振幅を算出する。
(ステップSE109)
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてA相電圧振幅に対する移動平均処理を行う。
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてA相電圧振幅に対する移動平均処理を行う。
(ステップSE110)
三相回路測定装置E101は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSE110,No)、ステップSE101に戻り、処理が終了であれば(ステップSE110,Yes)、このフローを抜け出る。
三相回路測定装置E101は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSE110,No)、ステップSE101に戻り、処理が終了であれば(ステップSE110,Yes)、このフローを抜け出る。
なお、上記では、A相B相C相差分電圧群算出部E103の処理について説明したが、A相B相C相差分電流群算出部E104も同様な処理を行って、A相、B相およびC相に関する電流振幅の算出処理、移動平均処理などを行う。
例えば、A相ゲージ差分電流群周波数係数の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、A相B相C相差分電流群算出部E104は、各相の交流電流をデータ収集サンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)でサンプリングした電流瞬時値データの中から、ゲージサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)で抽出した連続する電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す差分電流瞬時値データのうち、周波数係数を算出する際に用いた第1乃至第3の差分電流瞬時値データにそれぞれ対応する第1乃至第3の差分電流瞬時値データを抽出し、第1の差分電流瞬時値の2乗値から、第2の差分電流瞬時値と第3の差分電流瞬時値との積を引いた値の平方根をゲージ差分電流として各相毎に算出すると共に、ここで算出したゲージ差分電流と周波数係数とを用いて各相における交流電流振幅を算出する処理を行う。
つぎに、図22のフローチャートについて説明する。
(ステップSE201)
AB相差分双電圧群算出部E105は、記憶部E119に格納されたデータからAB相瞬時値データを読み出す。
AB相差分双電圧群算出部E105は、記憶部E119に格納されたデータからAB相瞬時値データを読み出す。
(ステップSE202)
AB相差分双電圧群算出部E105は、読み出したAB相瞬時値データを用い、且つ、次式を用いてAB相ゲージ差分電圧群周波数係数を算出する。このAB相ゲージ差分電圧群周波数係数の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、AB相ゲージ差分電圧群周波数係数は、例えば電力系統におけるAB相の交流電圧のそれぞれをデータ収集サンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、データ収集サンプリング周波数よりも小さく、且つ交流電圧の周波数以上となるゲージサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す各3点の差分電圧瞬時値を算出すると共に、AB相における各3点の差分電圧瞬時値のうち、A相の中間時刻における第1の差分電圧瞬時値とB相における中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値との乗積結果である第1の乗積値と、第1の差分電圧瞬時値とB相における中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果である第2の乗積値と、B相の中間時刻における第4の差分電圧瞬時値とA相における中間時刻よりも進み側にある第5の差分電圧瞬時値との乗積結果である第3の乗積値と、第4の差分電圧瞬時値とA相における中間時刻よりも遅れ側にある第6の差分電圧瞬時値との乗積結果である第4の乗積値とを計算し、第1乃至第4の乗積値の加算平均値を第1の差分電圧瞬時値と第4の差分電圧瞬時値との乗積結果である第5の乗積値で正規化した値を周波数係数として各相毎に算出する処理を行う。
AB相差分双電圧群算出部E105は、読み出したAB相瞬時値データを用い、且つ、次式を用いてAB相ゲージ差分電圧群周波数係数を算出する。このAB相ゲージ差分電圧群周波数係数の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、AB相ゲージ差分電圧群周波数係数は、例えば電力系統におけるAB相の交流電圧のそれぞれをデータ収集サンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、データ収集サンプリング周波数よりも小さく、且つ交流電圧の周波数以上となるゲージサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す各3点の差分電圧瞬時値を算出すると共に、AB相における各3点の差分電圧瞬時値のうち、A相の中間時刻における第1の差分電圧瞬時値とB相における中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値との乗積結果である第1の乗積値と、第1の差分電圧瞬時値とB相における中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果である第2の乗積値と、B相の中間時刻における第4の差分電圧瞬時値とA相における中間時刻よりも進み側にある第5の差分電圧瞬時値との乗積結果である第3の乗積値と、第4の差分電圧瞬時値とA相における中間時刻よりも遅れ側にある第6の差分電圧瞬時値との乗積結果である第4の乗積値とを計算し、第1乃至第4の乗積値の加算平均値を第1の差分電圧瞬時値と第4の差分電圧瞬時値との乗積結果である第5の乗積値で正規化した値を周波数係数として各相毎に算出する処理を行う。
上式において、vA21,vA22,vA23はA相差分電圧瞬時値であり、vB21,vB22,vB23はB相差分電圧瞬時値である。
(ステップSE203)
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式に示す対称性指標の判定式を用いて対称性の破れ(交流であるか否か)を判別する。
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式に示す対称性指標の判定式を用いて対称性の破れ(交流であるか否か)を判別する。
ここで、上式が成立する場合(ステップSE203,Yes)、対称性が破れている(交流ではない)と判定し、ステップSE204に移行する。
一方、上式が成立しない場合(ステップSE203,No)、対称性は破れていない(交流である)と判定し、ステップSE205に移行する。
(ステップSE204)
ステップSE204では、次式を用いてAB相ゲージ差分電圧群での周波数係数の値をラッチして用いる。
ステップSE204では、次式を用いてAB相ゲージ差分電圧群での周波数係数の値をラッチして用いる。
(ステップSE205)
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式を用いてAB相ゲージ差分電圧群の周波数係数に対する移動平均処理を行う。
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式を用いてAB相ゲージ差分電圧群の周波数係数に対する移動平均処理を行う。
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期であり、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
(ステップSE206)
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式を用いてAB相ゲージ差分有効双電圧を算出する。このAB相ゲージ差分有効双電圧の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、AB相差分双電圧群算出部E105は、上述した第3の差分電圧瞬時値と第5の差分電圧瞬時値との乗積結果である第6の乗積値と、第2の差分電圧瞬時値と第6の差分電圧瞬時値との乗積結果である第7の乗積値とを計算し、第5の乗積値から、第6の乗積値と第7の乗積値との加算平均値を減算した値をゲージ差分有効双電圧として算出する処理を行う。
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式を用いてAB相ゲージ差分有効双電圧を算出する。このAB相ゲージ差分有効双電圧の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、AB相差分双電圧群算出部E105は、上述した第3の差分電圧瞬時値と第5の差分電圧瞬時値との乗積結果である第6の乗積値と、第2の差分電圧瞬時値と第6の差分電圧瞬時値との乗積結果である第7の乗積値とを計算し、第5の乗積値から、第6の乗積値と第7の乗積値との加算平均値を減算した値をゲージ差分有効双電圧として算出する処理を行う。
(ステップSE207)
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてAB相ゲージ差分有効双電圧に対する移動平均処理を行う。
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてAB相ゲージ差分有効双電圧に対する移動平均処理を行う。
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期であり、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
(ステップSE208)
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式を用いてAB相ゲージ差分無効双電圧を算出する。このAB相ゲージ差分無効双電圧の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、AB相差分双電圧群算出部E105は、上述した第3の乗積値から第1の乗積値を減算した値と、第2の乗積値から第4の乗積値を減算した値との加算平均値をゲージ差分無効双電圧として算出する処理を行う。
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式を用いてAB相ゲージ差分無効双電圧を算出する。このAB相ゲージ差分無効双電圧の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、AB相差分双電圧群算出部E105は、上述した第3の乗積値から第1の乗積値を減算した値と、第2の乗積値から第4の乗積値を減算した値との加算平均値をゲージ差分無効双電圧として算出する処理を行う。
(ステップSE209)
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてAB相ゲージ差分無効双電圧に対する移動平均処理を行う。
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてAB相ゲージ差分無効双電圧に対する移動平均処理を行う。
(ステップSE210)
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式を用いてAB相電圧間位相角を算出する。このAB相電圧間位相角の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、AB相差分双電圧群算出部E105は、周波数係数の逆余弦値を回転位相角として算出し、ゲージ差分無効双電圧の符号反転値と回転位相角の正弦値との積をゲージ差分有効双電圧で除した値の逆正接値を双電圧間位相角として算出する処理を行う。
AB相差分双電圧群算出部E105は、次式を用いてAB相電圧間位相角を算出する。このAB相電圧間位相角の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、AB相差分双電圧群算出部E105は、周波数係数の逆余弦値を回転位相角として算出し、ゲージ差分無効双電圧の符号反転値と回転位相角の正弦値との積をゲージ差分有効双電圧で除した値の逆正接値を双電圧間位相角として算出する処理を行う。
(ステップSE211)
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてAB相電圧間位相角に対する移動平均処理を行う。
図示しない移動平均処理部は、次式を用いてAB相電圧間位相角に対する移動平均処理を行う。
(ステップSE212)
三相回路測定装置E101は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSE212,No)、ステップSE201に戻り、処理が終了であれば(ステップSE212,Yes)、このフローを抜け出る。
三相回路測定装置E101は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSE212,No)、ステップSE201に戻り、処理が終了であれば(ステップSE212,Yes)、このフローを抜け出る。
なお、上記では、AB相差分双電圧群算出部E105の処理について説明したが、AC相差分双電圧群算出部E106も同様な処理を行って、AC相ゲージ差分有効双電圧、AC相ゲージ差分無効双電圧、AC相電圧間位相角などの算出処理を行う。AB相差分双電流群算出部E110も同様な処理を行って、AB相ゲージ差分有効双電流、AB相ゲージ差分無効双電流、AB相電流間位相角などの算出処理を行う。AC相差分双電流群算出部E111も同様な処理を行って、AC相ゲージ差分有効双電流、AC相ゲージ差分無効双電流、AC相電流間位相角などの算出処理を行う。
つぎに、図23のフローチャートについて説明する。
(ステップSE301)
正相電圧算出部E107、逆相電圧算出部E108および零相電圧算出部E109は、記憶部E119に格納されたデータからAB相、AC相電圧間位相角の計算結果を読み出す。
正相電圧算出部E107、逆相電圧算出部E108および零相電圧算出部E109は、記憶部E119に格納されたデータからAB相、AC相電圧間位相角の計算結果を読み出す。
(ステップSE302)
正相電圧算出部E107は、読み出したAB相、AC相電圧間位相角の計算結果を用い、且つ、上述した正相電圧の計算式を用いて正相電圧を算出する。
正相電圧算出部E107は、読み出したAB相、AC相電圧間位相角の計算結果を用い、且つ、上述した正相電圧の計算式を用いて正相電圧を算出する。
(ステップSE303)
逆相電圧算出部E108は、読み出したAB相、AC相電圧間位相角の計算結果を用い、且つ、上述した逆相電圧の計算式を用いて逆相電圧を算出する。
逆相電圧算出部E108は、読み出したAB相、AC相電圧間位相角の計算結果を用い、且つ、上述した逆相電圧の計算式を用いて逆相電圧を算出する。
(ステップSE304)
零相電圧算出部E109は、読み出したAB相、AC相電圧間位相角の計算結果を用い、且つ、上述した零相電圧の計算式を用いて零相電圧を算出する。
零相電圧算出部E109は、読み出したAB相、AC相電圧間位相角の計算結果を用い、且つ、上述した零相電圧の計算式を用いて零相電圧を算出する。
(ステップSE305)
三相回路測定装置E101は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSE305,No)、ステップSE301に戻り、処理が終了であれば(ステップSE305,Yes)、このフローを抜け出る。
三相回路測定装置E101は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSE305,No)、ステップSE301に戻り、処理が終了であれば(ステップSE305,Yes)、このフローを抜け出る。
つぎに、図24のフローチャートについて説明する。
(ステップSE401)
正相電力算出部E115、逆相電力算出部E116および零相電力算出部E117は、記憶部E119に格納されたデータから対称成分電圧電流に関する計算結果を読み出す。
正相電力算出部E115、逆相電力算出部E116および零相電力算出部E117は、記憶部E119に格納されたデータから対称成分電圧電流に関する計算結果を読み出す。
(ステップSE402)
正相電力算出部E115は、読み出した対称成分電圧電流に関する計算結果を用い、且つ、上述した正相電力の計算式を用いて正相電力を算出する。
正相電力算出部E115は、読み出した対称成分電圧電流に関する計算結果を用い、且つ、上述した正相電力の計算式を用いて正相電力を算出する。
(ステップSE403)
逆相電力算出部E116は、読み出した対称成分電圧電流に関する計算結果を用い、且つ、上述した逆相電力の計算式を用いて逆相電力を算出する。
逆相電力算出部E116は、読み出した対称成分電圧電流に関する計算結果を用い、且つ、上述した逆相電力の計算式を用いて逆相電力を算出する。
(ステップSE404)
零相電力算出部E117は、読み出した対称成分電圧電流に関する計算結果を用い、且つ、上述した零相電力の計算式を用いて零相電力を算出する。
零相電力算出部E117は、読み出した対称成分電圧電流に関する計算結果を用い、且つ、上述した零相電力の計算式を用いて零相電力を算出する。
(ステップSE405)
三相回路測定装置E101は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSE405,No)、ステップSE401に戻り、処理が終了であれば(ステップSE405,Yes)、このフローを抜け出る。
三相回路測定装置E101は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSE405,No)、ステップSE401に戻り、処理が終了であれば(ステップSE405,Yes)、このフローを抜け出る。
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
以上のように、本発明は、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても高精度な電気量の測定を可能とする電気量測定装置として有用である。
E101 三相回路測定装置、E102 交流電圧電流瞬時値データ入力部、E103 A相B相C相差分電圧群算出部(第1の算出部)、E104 A相B相C相差分電流群算出部(第2の算出部)、E105 AB相差分双電圧群算出部(第3の算出部)、E106 AC相差分双電圧群算出部(第3の算出部)、E107 正相電圧算出部(第3の算出部)、E108 逆相電圧算出部(第3の算出部)、E109 零相電圧算出部(第3の算出部)、E110 AB相差分双電流群算出部(第3の算出部)、E111 AC相差分双電流群算出部(第3の算出部)、E112 正相電流算出部(第3の算出部)、E113 逆相電流算出部(第3の算出部)、E114 零相電流算出部(第3の算出部)、E115 正相電力算出部(第3の算出部)、E116 逆相電力算出部(第3の算出部)、E117 零相電力算出部(第3の算出部)、E118 インターフェース、E119 記憶部。
Claims (12)
- 測定対象となる電力系統における電気量を算出する第1の算出部を備えた電気量測定装置であって、
前記第1の算出部は、
前記各相の交流電圧を第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうち、中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値を中間時刻における差分電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として各相毎に算出し、
前記中間時刻における第1の差分電圧瞬時値の2乗値から、前記中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値と前記中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果を減算した値の平方根をゲージ差分電圧として前記各相毎に算出し、
前記周波数係数と前記ゲージ差分電圧とを用いて前記各相における交流電圧振幅を算出する
ことを特徴とする電気量測定装置。 - 前記交流電圧波形の対称性の破れを判定する判定指標として前記周波数係数を用いることを特徴とする請求項1に記載の電気量測定装置。
- 前記第1の算出部は、前記周波数係数および前記ゲージ差分電圧に対して前記第1のサンプリング周波数の逆数の周期で移動平均処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の電気量測定装置。
- 前記各相の交流電流を前記第1のサンプリング周波数でサンプリングした電流瞬時値データの中から、前記第2のサンプリング周波数で抽出した連続する電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す差分電流瞬時値データのうち、前記周波数係数を算出する際に用いた前記第1乃至第3の差分電流瞬時値データにそれぞれ対応する第1乃至第3の差分電流瞬時値データを抽出し、前記第1の差分電流瞬時値の2乗値から、前記第2の差分電流瞬時値と第3の差分電流瞬時値との積を引いた値の平方根をゲージ差分電流として前記各相毎に算出する第2の算出部を備え、
前記第2の算出部は、前記周波数係数と前記ゲージ差分電流とを用いて前記各相における交流電流振幅を算出することを特徴とする請求項1に記載の電気量測定装置。 - 前記第2の算出部は、前記ゲージ差分電流に対して前記第1のサンプリング周波数の逆数の周期で移動平均処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の電気量測定装置。
- 測定対象となる電力系統における電気量を算出する第3の算出部を備えた電気量測定装置であって、
前記第3の算出部は、
前記電力系統における第1および第2の相の交流電圧のそれぞれを第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す各3点の差分電圧瞬時値を算出すると共に、前記第1および第2の相における各3点の差分電圧瞬時値のうち、前記第1の相の中間時刻における第1の差分電圧瞬時値と前記第2の相における前記中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値との乗積結果である第1の乗積値と、前記第1の差分電圧瞬時値と前記第2の相における前記中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果である第2の乗積値と、前記第2の相の中間時刻における第4の差分電圧瞬時値と前記第1の相における前記中間時刻よりも進み側にある第5の差分電圧瞬時値との乗積結果である第3の乗積値と、前記第4の差分電圧瞬時値と前記第1の相における前記中間時刻よりも遅れ側にある第6の差分電圧瞬時値との乗積結果である第4の乗積値とを計算し、前記第1乃至第4の乗積値の加算平均値を前記第1の差分電圧瞬時値と前記第4の差分電圧瞬時値との乗積結果である第5の乗積値で正規化した値を周波数係数として各相毎に算出し、
前記中間時刻における第1の差分電圧瞬時値の2乗値から、前記中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値と前記中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果を減算した値の平方根をゲージ差分電圧として前記各相毎に算出し、
前記周波数係数と前記ゲージ差分電圧とを用いて前記各相における交流電圧振幅を算出する
ことを特徴とする電気量測定装置。 - 前記第3の算出部は、
前記第3の差分電圧瞬時値と前記第5の差分電圧瞬時値との乗積結果である第6の乗積値と、前記第2の差分電圧瞬時値と前記第6の差分電圧瞬時値との乗積結果である第7の乗積値とを計算し、前記第5の乗積値から、前記第6の乗積値と前記第7の乗積値との加算平均値を減算した値をゲージ差分有効双電圧として算出し、
前記第3の乗積値から前記第1の乗積値を減算した値と、前記第2の乗積値から前記第4の乗積値を減算した値との加算平均値をゲージ差分無効双電圧として算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の電気量測定装置。 - 前記第3の算出部は、前記周波数係数の逆余弦値を回転位相角として算出し、前記ゲージ差分無効双電圧の符号反転値と前記回転位相角の正弦値との積を前記ゲージ差分有効双電圧で除した値の逆正接値を双電圧間位相角として算出することを特徴とする請求項7に記載の電気量測定装置。
- 請求項8に記載の電気量測定装置を備え、正相、逆相および零相に関する電気量を測定する三相回路測定装置であって、
前記第3の算出部は、
前記電力系統の各相における前記交流電圧振幅および前記双電圧間位相角に基づいて前記電力系統における正相電圧、逆相電圧および零相電圧を算出することを特徴とする三相回路測定装置。 - 前記第3の算出部は、
前記各相の交流電流を前記第1のサンプリング周波数でサンプリングした電流瞬時値データの中から、前記第2のサンプリング周波数で抽出した連続する電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す差分電流瞬時値データのうち、前記周波数係数を算出する際に用いた前記第1乃至第3の差分電流瞬時値データにそれぞれ対応する第1乃至第3の差分電流瞬時値データを抽出し、前記第1の差分電流瞬時値の2乗値から、前記第2の差分電流瞬時値と第3の差分電流瞬時値との積を引いた値の平方根をゲージ差分電流として前記各相毎に算出すると共に、前記周波数係数と前記ゲージ差分電流とを用いて前記各相における交流電流振幅を算出し、
前記電力系統の各相における前記交流電流振幅および前記双電圧間位相角に基づいて前記電力系統における正相電流、逆相電流および零相電流を算出し、
前記正相電圧、前記逆相電圧および前記零相電圧ならびに前記正相電流、前記逆相電流および前記零相電流を用いて正相電力、逆相電力および零相電力を算出する
ことを特徴とする請求項9に記載の三相回路測定装置 - 測定対象となる三相の電力系統における電気量を算出する電気量測定方法であって、
前記各相の交流電圧を第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうち、中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値を中間時刻における差分電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として各相毎に算出するステップと、
前記中間時刻における第1の差分電圧瞬時値の2乗値から、前記中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値と前記中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果を減算した値の平方根をゲージ差分電圧として前記各相毎に算出するステップと、
前記周波数係数と前記ゲージ差分電圧とを用いて前記各相における交流電圧振幅を算出するステップと、
を含むことを特徴とする電気量測定方法。 - 測定対象となる三相の電力系統における電気量を算出する電気量測定方法であって、
前記電力系統における第1および第2の相の交流電圧のそれぞれを第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す各3点の差分電圧瞬時値を算出すると共に、前記第1および第2の相における各3点の差分電圧瞬時値のうち、前記第1の端子の中間時刻における第1の差分電圧瞬時値と前記第2の端子における前記中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値との乗積結果である第1の乗積値と、前記第1の差分電圧瞬時値と前記第2の端子における前記中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果である第2の乗積値と、前記第2の端子の中間時刻における第4の差分電圧瞬時値と前記第1の端子における前記中間時刻よりも進み側にある第5の差分電圧瞬時値との乗積結果である第3の乗積値と、前記第4の差分電圧瞬時値と前記第1の端子における前記中間時刻よりも遅れ側にある第6の差分電圧瞬時値との乗積結果である第4の乗積値とを計算し、前記第1乃至第4の乗積値の加算平均値を前記第1の差分電圧瞬時値と前記第4の差分電圧瞬時値との乗積結果である第5の乗積値で正規化した値を周波数係数として各相毎に算出するステップと、
前記中間時刻における第1の差分電圧瞬時値の2乗値から、前記中間時刻よりも進み側にある第2の差分電圧瞬時値と前記中間時刻よりも遅れ側にある第3の差分電圧瞬時値との乗積結果を減算した値の平方根をゲージ差分電圧として前記各相毎に算出するステップと、
前記周波数係数と前記ゲージ差分電圧とを用いて前記各相における交流電圧振幅を算出するステップと、
を含むことを特徴とする電気量測定方法。
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