JP2014232054A - 非接触電圧測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】検出プローブを電線に取り付ける施工性と電圧の測定精度とを両立することができる非接触電圧測定装置を提供する。【解決手段】可撓性を有する平板状の第1の絶縁部材13内において同一の平面上に配置された第1の電極11と第2の電極12とで静電容量Caを有する補助コンデンサ15を形成し、電線7の外周面に巻き付けられる検出プローブ1と、補助コンデンサ15と回路グランドとの間に直列接続される検出用コンデンサ31と、検出用コンデンサ31の両端電圧Vin,静電容量Cinおよび静電容量Caを用いて、芯線2に印加されている交流電圧Vsを算出する電圧測定回路411とを備え、検出プローブ1は、第1の電極11が電線7の外周面に対向するように電線7に巻き付けられ、絶縁部材13の一部が重なり合うことで第1の電極11と第2の電極12とが対向して補助コンデンサ15を形成する。【選択図】図1
Description
本発明は、非接触電圧測定装置に関するものである。
従来、電線の絶縁被覆上から芯線に印加された交流電圧を測定する非接触電圧測定装置がある(例えば、特許文献1参照)。この非接触電圧測定装置は、図8(a)(b)に示すように、電線102の絶縁被覆121上に検出プローブ101を取り付け、電線102の芯線122に印加された交流電圧Vsを測定するものである。
まず、図8(a)(b)を用いて検出プローブ101の構成を説明する。検出プローブ101は、可撓性を有する薄い平板状の絶縁部材113内において、大面積の第1の電極111と小面積の第2の電極112とが互いに対向するように配置されることで構成されている。第1の電極111と第2の電極112とは所定間隔離間しており、静電容量Caを有する補助コンデンサ115を形成している。また、第2の電極112には測定線114が接続されており、測定線114を介して後述する検出用コンデンサ103に接続されている。
そして、検出プローブ101は、第2の電極112に対して第1の電極111が内側となるように、電線102の絶縁被覆121の外周面に密着して取り付けられる。これにより、芯線122と第1の電極111とが絶縁部材113,絶縁被覆121を介して対向し、芯線122−第1の電極111間に静電容量Csが生成される。ここで、第1の電極111の面積は、第2の電極112の面積に対してはるかに大きいので、静電容量Csは静電容量Caに対してはるかに大きくなる(Cs≫Ca)。
次に、図9に示す等価回路を用いて、交流電圧Vsの測定について説明する。第2の電極112は測定線114を介して検出用コンデンサ103に接続されており、この検出用コンデンサ103の両端電圧(入力電圧Vin)に基づいて交流電圧Vsを測定(算出)する。検出用コンデンサ103の静電容量Cinは、静電容量Caに対して十分大きい値に設定されている(Cin≫Ca)。また、静電容量Csと静電容量Caとを合成した静電容量を、検出プローブ101の合成静電容量Cpとすると、Cp=(Cs・Ca)/(Cs+Ca)で表される。上述したように、静電容量Cs≫Caであるので、合成静電容量Cpは静電容量Caとほぼ等しくなる(Cp≒Ca)。
したがって、入力電圧Vinは、Vin={Cp/(Cp+Cin)}・Vsで表される。ここで、静電容量Cin≫Ca、合成静電容量Cp≒Caより、入力電圧Vin≒(Ca/Cin)・Vsとなるので、交流電圧Vsは、Vs≒(Cin/Ca)・Vinで表される。
このように、検出用コンデンサ103の両端間に発生する入力電圧Vinは、静電容量Caと静電容量Cinとの比でほぼ決定され、静電容量Csにはほとんど依存しない。したがって、電線102の形状や材質等によって静電容量Csが変化したとしても、入力電圧Vinの値に変化がほとんどなく、静電容量Csの変化による交流電圧Vsの測定結果の影響を無視することができる。
上述したように、静電容量Cs≫Caであるので、合成静電容量Cp≒Caとみなして交流電圧Vsを測定(算出)している。そのため、静電容量Caが静電容量Csに対して小さいほど、交流電圧Vsの測定結果の誤差が小さくなる。この静電容量Caは、絶縁部材113の誘電率をε、第2の電極112の面積をS、第1の電極111−第2の電極112間の距離をdとすると、静電容量Ca=ε・(S/d)で表される。したがって、静電容量Caを小さくするために、第1の電極111−第2の電極112間の距離dを大きくすることが考えられる。しかし、従来の非接触電圧測定装置は、第1の電極111と第2の電極112とを予め対向させた状態で絶縁部材113内に配置している。そのため、第1の電極111−第2の電極112間の距離dを大きく設定すると、絶縁部材113の厚みが増してしまう。絶縁部材113の厚みが増すことによって絶縁部材113の可撓性が低下し、検出プローブ101を電線102に取り付ける施工性が低下するという問題が発生する。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出プローブを電線に取り付ける施工性と電圧の測定精度とを両立することができる非接触電圧測定装置を提供することにある。
本発明の非接触電圧測定装置は、可撓性を有する平板状の第1の絶縁部材内において同一の平面上に配置された第1の電極と第2の電極とで第1の静電容量を有する補助コンデンサを形成し、芯線が絶縁被覆で覆われた電線の外周面に巻き付けられる検出プローブと、前記補助コンデンサと基準電圧点との間に直列接続され、第2の静電容量を有する検出用コンデンサと、前記検出用コンデンサの両端電圧および、前記第2の静電容量および、前記第1の静電容量を用いて、前記芯線に印加されている電圧を算出する電圧測定回路とを備え、前記検出プローブは、前記第1の電極が前記電線の外周面に対向するように前記電線に巻き付けられ、前記第1の絶縁部材の一部が重なり合うことで前記第1の電極と前記第2の電極とが対向して前記補助コンデンサを形成することを特徴とする。
この非接触電圧測定装置において、前記第1の絶縁部材は、前記電線に巻き付けられた際に外側となる一面から前記第1の電極および前記第2の電極までの距離が、前記電線に巻き付けられた際に内側となる他面から前記第1の電極および前記第2の電極までの距離よりも長いことが好ましい。
この非接触電圧測定装置において、前記第1の絶縁部材は、前記電線に巻き付けられる際に外側となる一面または内側となる他面に凸部が形成され、前記電線に巻き付けられることで前記第1の電極と前記第2の電極とが前記凸部を介して対向することが好ましい。
この非接触電圧測定装置において、前記第1の絶縁部材と同材料である第2の絶縁部材内に配置された第3の静電容量を有する補正用コンデンサを具備する補正プローブと、前記第3の静電容量を測定する静電容量測定回路と、前記静電容量測定回路の測定結果に基づいて、前記第3の静電容量の変動率を算出する変動率算出回路と、前記変動率算出回路が算出した前記変動率に基づいて、前記第1の静電容量の値を補正する補正回路とを備え、前記電圧測定回路は、前記検出用コンデンサの両端電圧および、前記第2の静電容量および、前記補正回路によって補正された前記第1の静電容量の値を用いて、前記芯線に印加されている電圧を算出することが好ましい。
以上説明したように、本発明では、第1の電極と第2の電極とを同一の平面上に配置し、検出プローブを電線に巻き付けることで第1の電極と第2の電極とを対向させるので、絶縁部材を薄型化すると共に、第1の電極と第2の電極との間隔を確保することができるので、検出プローブを電線に取り付ける施工性と電圧の測定精度とを両立することができるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
本実施形態の非接触電圧測定装置は、図1(a)(b)に示すように、電線7の絶縁被覆71上に検出プローブ1を巻き付けて、電線7の芯線72に印加された交流電圧Vsを測定するものである。
本実施形態の非接触電圧測定装置は、図1(a)(b)に示すように、電線7の絶縁被覆71上に検出プローブ1を巻き付けて、電線7の芯線72に印加された交流電圧Vsを測定するものである。
まず、図1(a)(b)を用いて検出プローブ1の構成を説明する。検出プローブ1は、可撓性を有する絶縁部材13(第1の絶縁部材)内に、薄膜状の第1の電極11,第2の電極12が配置されることで構成されている。図1(a)に示すように、絶縁部材13は、平板状の絶縁フィルム131,132が重ね合わされることで構成されている。なお、絶縁フィルム131,132は、同一のもので構成されている。第1の電極11と第2の電極12とは、絶縁部材13の長さ方向(図1(a)における左右方向)に離間して並べた状態で、絶縁フィルム131と絶縁フィルム132とで挟み込まれている。具体的には、第1の電極11は、絶縁部材13の長さ方向の一端側(図1(a)における左端側)に配置され、第2の電極12は、絶縁部材13の長さ方向の他端側(図1(a)における右端側)に配置されている。このように、第1の電極11と第2の電極12とは、絶縁部材13内において同一の平面上に配置されている。また、第1の電極11の面積は、第2の電極12の面積に対してはるかに大きく形成されている。また、第2の電極12には、測定線14が接続されている。測定線14は、絶縁部材13外に引き出され、後述する検出用コンデンサ31に接続されている。
そして、図1(b)に示すように、検出プローブ1は、絶縁フィルム131が電線7の絶縁被覆71の外周面に密着するように巻き付けられる。ここで、絶縁部材13の長さL1(図1(a)における左右方向の長さ)が、電線7の外周の長さよりも長く形成されている。したがって、検出プローブ1が電線7に巻き付けられることによって絶縁部材13の一部(一端側と他端側)が重なり合い、第1の電極11と第2の電極12とが絶縁部材13(絶縁フィルム131,132)を介して対向する。このとき、検出プローブ1は、第2の電極12に対して第1の電極11が内側となるように電線7に取り付けられる。そして、検出プローブ1が電線7に巻き付けられることによって、互いに対向した第1の電極11と第2の電極12とで補助コンデンサ15が形成される。この補助コンデンサ15の静電容量Ca(第1の静電容量)は、第2の電極12の面積S,第1の電極11−第2の電極12間の距離d,絶縁部材13の誘電率εによって決定され、下記式(1)で表される。
また、検出プローブ1が電線7に巻き付けられることによって、電線7の芯線72と検出プローブ1の第1の電極11とが絶縁部材13(絶縁フィルム131),絶縁被覆71を介して対向し、芯線72−第1の電極11間に静電容量Csが生成される。上述したように第1の電極11の面積は、第2の電極12の面積に対してはるかに大きい。したがって、芯線72−第1の電極11間に生成される静電容量Csは、第1の電極11−第2の電極12間に生成される静電容量Caに対してはるかに大きくなる(Cs≫Ca)。
次に、図2を用いて非接触電圧測定装置の構成について説明する。なお、図2において、検出プローブ1は等価回路で示している。
検出プローブ1から導出された測定線14は、装置本体2内に設けられた検出用コンデンサ31を介して回路グランド(基準電圧点)に接続されている。すなわち、検出用コンデンサ31は、補助コンデンサ15と回路グランドとの間に直列接続されている。この検出用コンデンサ31の静電容量Cin(第2の静電容量)は、補助コンデンサ15の静電容量Caに対して十分大きい値に設定されている(Cin≫Ca)。
また、装置本体2内には、検出用コンデンサ31の両端電圧(入力電圧Vin)を検出することで、電線7の芯線72に印加された交流電圧Vsを算出するマイクロコンピュータ4(以降、マイコン4と略称する)が設けられている。マイコン4は、演算部41と、A/D変換回路42とを備えている。A/D変換回路42は、入力電圧Vinが入力され、入力電圧Vinの値をA/D変換して演算部41に出力する。演算部41は、入力電圧Vinに基づいて交流電圧Vsを算出する電圧測定回路411を備えている。以下に、交流電圧Vsの算出について説明する。
ここで、芯線72−第1の電極11間の静電容量Csと、補助コンデンサ15(第1の電極11−第2の電極12間)の静電容量Caとを合成した静電容量を、検出プローブ1の合成静電容量Cpとする。この合成静電容量Cpは、Cp=(Cs・Ca)/(Cs+Ca)で表される。ここで、上述したように静電容量Cs≫Caであるので、合成静電容量Cpは静電容量Caとほぼ等しくなる(Cp≒Ca)。
したがって、入力電圧Vinは、Vin={Cp/(Cp+Cin)}・Vsで表される。ここで、上述したように、静電容量Cin≫Ca、合成静電容量Cp≒Caより、入力電圧Vin≒(Ca/Cin)・Vsとなる。したがって、電圧測定回路411は、下記式(2)を用いて交流電圧Vsの値を算出する。
そして、マイコン4は、電圧測定回路411の算出結果(交流電圧Vsの測定値)を、ディスプレイ等の表示部6を用いてユーザーに表示する。また、図示しない通信部を用いて、外部装置に交流電圧Vsの測定値を送信するように構成してもよい。
このように、検出用コンデンサ31の両端間に発生する入力電圧Vinは、補助コンデンサ15の静電容量Caと検出用コンデンサ31の静電容量Cinとの比でほぼ決定され、芯線72−第1の電極11間の静電容量Csにはほとんど依存しない。したがって、電線7の形状や材質等によって静電容量Csが変化したとしても、入力電圧Vinの値に変化がほとんどなく、静電容量Csの変化による交流電圧Vsの測定結果の影響を無視することができる。
ここで、本実施形態の検出プローブ1は、2枚の絶縁フィルム131,132で第1の電極11,第2の電極12を挟み込むことで構成されており、第1の電極11と第2の電極12とが同一の平面上にある(図1(a)参照)。そして、検出プローブ1を電線7に巻き付けることによって、第1の電極11と第2の電極12とが絶縁フィルム131,132を介して対向し補助コンデンサ15が形成される(図1(b)参照)。一方、従来の検出プローブ101は、第1の電極111と第2の電極112とを予め対向させた状態で絶縁部材113内に配置している。そのため、絶縁部材113を3枚の絶縁フィルムで構成した場合、絶縁フィルム−第1の電極111−絶縁フィルム−第2の電極112−絶縁フィルムの順に積層する必要がある。すなわち、本実施形態の検出プローブ1は、従来の検出プローブ101に対して絶縁フィルムの枚数を削減することができる。これにより、絶縁部材13の厚みが従来よりも薄くなり可撓性が向上するので、電線7に巻き付けやすくなる。さらに、絶縁フィルムの枚数削減によって材料費も削減され、絶縁フィルムを積層する工数が減り加工も容易となるので、非接触電圧測定装置のコストを削減することができる。
また、上述したように、静電容量Cs≫Caであるので、合成静電容量Cp≒Caとみなして交流電圧Vsを測定(算出)している。そのため、静電容量Caが静電容量Csに対して小さいほど、交流電圧Vsの測定結果の誤差が小さくなる。上記式(1)に示すように、静電容量Caは、第1の電極11−第2の電極12間の距離dが大きくなるにつれて小さくなる。本実施形態では、検出プローブ1を電線7に巻き付けた際に、第1の電極11と第2の電極12とが2枚の絶縁フィルム131,132を介して対向している。そのため、第1の電極11と第2の電極12との間隔を確保することができ、交流電圧Vsの測定結果の誤差を小さくすることができる。
このように、検出プローブ1は、可撓性を有する平板状の絶縁部材13内において同一の平面上に配置された第1の電極11と第2の電極とで静電容量Caを有する補助コンデンサ15を形成し、芯線72が絶縁被覆71で覆われた電線7の外周面に巻き付けられる。また、検出用コンデンサ31は、補助コンデンサ15と回路グランドとの間に直列接続され、静電容量Cinを有する。また、電圧測定回路411は、検出用コンデンサ31の両端電圧(入力電圧Vin)および、静電容量Cinおよび、静電容量Caを用いて、芯線72に印加されている交流電圧Vsを算出する。そして、検出プローブ1は、第1の電極11が電線7の外周面に対向するように電線7に巻き付けられ、絶縁部材13の一部が重なり合うことで第1の電極11と第2の電極12とが対向して補助コンデンサ15を形成する。
本実施形態の非接触電圧測定装置は、上記構成を備えることによって、絶縁部材13を薄型化すると共に、第1の電極11と第2の電極12との間隔を確保することができるので、検出プローブ1を電線7に巻き付ける施工性と、交流電圧Vsの測定精度とを両立することができる。
また、図1(a)(b)に示す例では、絶縁フィルム131,132は互いに同じ厚みに構成されているが、図3(a)(b)に示すように、絶縁フィルム131,132が互いに異なる厚みとなるように構成してもよい。電線7に巻き付けた際に外側に位置する絶縁フィルム132の厚みを、内側に位置する絶縁フィルム131よりも厚く構成する。すなわち、絶縁部材13は、電線7に巻き付けられた際に外側となる一面から第1の電極11,第2の電極までの距離が、電線7に巻き付けられた際に内側となる他面から第1の電極11,第2の電極12までの距離よりも長くなるように形成されている。図3(b)に示すように、第1の電極11−第2の電極12間の距離dは、絶縁フィルム131の厚みと絶縁フィルム132の厚みとの合計によって決定される。したがって、絶縁フィルム132を厚くすることによって、第1の電極11−第2の電極12間の距離dが大きくなる。また、外側に位置する絶縁フィルム132のみを厚く構成することによって、芯線72−第1の電極11間の間隔は大きくならないので、静電容量Csが小さくなることはない。したがって、絶縁フィルム132のみを厚くすることによって、静電容量Caが静電容量Csに対してより小さくなり、交流電圧Vsの測定結果の誤差が低減して測定精度を向上させることができる。
また、図3(a)(b)に示す例では、絶縁フィルム132全体が厚くなるように構成しているが、図4(a)(b)に示すように、絶縁フィルム132の一部分のみが厚くなるように、絶縁フィルム132に凸部1321を形成してもよい。凸部1321は、検出プローブ1を電線7に巻き付けた際に、絶縁フィルム132上において第1の電極11と第2の電極12とが対向する位置に形成される。すなわち、絶縁部材13は、電線7に巻き付けられる際に外側となる一面に凸部1321が形成され、電線7に巻き付けられることで第1の電極11と第2の電極12とが凸部1321を介して対向する。このように、絶縁フィルム132の一部分のみが厚くなるように構成することによって、絶縁フィルム132全体が厚くなるように構成する場合(図3(a)(b)参照)に比べて、可撓性が高くなり検出プローブ1を電線7に巻き付ける施工性を向上させることができる。
また、図4(a)(b)に示す例では、絶縁フィルム132に凸部1321を形成しているが、図5(a)(b)に示すように、絶縁フィルム131に凸部1311を形成して絶縁フィルム131の一部分のみが厚くなるように構成してもよい。図4(a)(b)に示す例では、外側の絶縁フィルム132に凸部1321を形成しているため、この凸部1321を介して第1の電極11と第2の電極12を対向させるためには、電線7の太さに制限があった。そこで、図5(a)(b)に示すように、内側の絶縁フィルム131において、第2の電極12と対向する位置に凸部1311を形成する。すなわち、絶縁部材13は、電線7に巻き付けられる際に内側となる他面に凸部1311が形成され、電線7に巻き付けられることで第1の電極11と第2の電極12とが凸部1311を介して対向する。このように、内側の絶縁フィルム131に凸部1311を形成することによって、電線7の太さに関わらず、凸部1311を介して第1の電極11と第2の電極12とを対向させることができる。
また、図6(b)(b)に示すように、外側の絶縁フィルム132全体が厚くなるように構成し、かつ内側の絶縁フィルム131に凸部1311を形成してもよい。このように構成することによって、第1の電極11−第2の電極12間の距離dがより大きくなるので、静電容量Caが静電容量Csに対してより小さくなり、交流電圧Vsの測定結果の誤差が低減して測定精度をより向上させることができる。
ところで、上記式(2)を用いて交流電圧Vsの値を算出する際、静電容量Cinの値は、予め設定された定数値として扱われる。また、静電容量Caの値は、上記式(1)で示すように、第2の電極12の面積S,第1の電極11−第2の電極12間の距離d,絶縁部材13の誘電率εで決定される。第2の電極12の面積Sは、予め設定された定数値である。第1の電極11−第2の電極12間の距離dは、絶縁フィルム131の厚みと絶縁フィルム132の厚みとの合計によって決定されるので定数値として扱うことができる。また、誘電率εは、絶縁部材13(絶縁フィルム131,132)の材質によって決定される。したがって、従来では、静電容量Caの値を定数値として扱っていた。しかし、絶縁部材13の誘電率εは、周囲環境(例えば、周囲温度や周囲湿度)によって変動するおそれがある。例えば、検出プローブ1が湿度の高い状態にあると絶縁部材13が吸湿し、水分の影響により誘電率εが変動するおそれがある。また、検出プローブ1が温度の高い状態または低い状態にあると、温度の影響により誘電率εが変動するおそれがある。誘電率εが変動すると静電容量Caも変動するので、交流電圧Vsの測定値に誤差が生じることとなる。
そこで、本実施形態では、検出プローブ1の絶縁部材13と同材料の絶縁部材53を有する補正プローブ5を備え、絶縁部材51の誘電率の変動率αに基づいて、周囲環境によて変動した静電容量Caの値を推定する。
図7に示すように、補正プローブ5は、絶縁部材53内に薄膜状の電極51,52が配置されることで構成されている。電極51と電極52とは、所定距離離間して互いに対向するように配置されることで補正用コンデンサ55を形成している。この補正用コンデンサ55は、静電容量Cb(第3の静電容量)を有している。また、絶縁部材53は、検出プローブ1の絶縁部材13と同材料で構成されており、絶縁部材53の誘電率および周囲環境に対する誘電率の変動特性は、絶縁部材13と同一である。したがって、静電容量Cbを測定し、静電容量Cbの変動率αを算出することで、周囲環境による静電容量Caの変動を推定することができる。
電極51,52それぞれに測定線54が接続されており、この測定線54は絶縁部材53外に引き出されている。そして、図2に示すように、電極51−電極52間に測定線54を介して交流電源32,抵抗33の直列回路が接続されている。交流電源32は、所定の交流電圧Vhを生成して、補正用コンデンサ55(電極51−電極52間)に印加する。抵抗33は、補正用コンデンサ55に流れる電流Ibを検出する電流検出抵抗として機能する。マイコン4は、A/D変換回路43を備えており、A/D変換回路43は抵抗33の両端電圧(入力電圧Vb)の値をA/D変換して演算部41に出力する。演算部41は、入力電圧Vbに基づいて静電容量Cbを算出(測定)する静電容量測定回路412を備えている。以下に、静電容量Cbの算出について説明する。
交流電源32が生成する交流電圧Vhの最大値をVp、角周波数をω1とすると、交流電圧Vh=Vp・sin(ω1・t)で表され、補正用コンデンサ55に流れる電流Ibは、Ib=Vh・ω1・Cbとなる。なお、補正用コンデンサ55のインピーダンスおよびA/D変換回路43の入力インピーダンスは、抵抗33のインピーダンスに対して十分に大きい値に設定されており、ここでは抵抗33の抵抗値Rb≒0Ωとみなしている。また、交流電圧Vhの角周波数ω1は、測定対象の交流電圧Vsの角周波数ω2とは関係なく定めてもよいし、角周波数ω1=ω2または、角周波数ω1≒ω2であってもよい。そして、抵抗33の両端電圧(入力電圧Vb)は、Vb=Ib・Rb=Vh・ω1・Cb・Rbで表される。したがって、演算部41の静電容量測定回路412は、下記式(3)を用いて静電容量Cbを算出する。
また、マイコン4の演算部41は、周囲環境による静電容量Cbの変動率αを算出する変動率算出回路413と、静電容量Caの値を補正する補正回路414とを備えている。
変動率算出回路413は、静電容量測定回路412の算出結果(静電容量Cbの測定値Cb1とする)に基づいて、静電容量Cbの基準値Cb0に対する測定値Cb1の変動率αを算出する。ここで、静電容量Cbの基準値Cb0とは、絶縁部材53の誘電率が標準値であるとみなし、電極51−電極52間の距離および、電極51,52の面積から算出した静電容量Cbの値である。この基準値Cb0は、予め算出され、マイコン4の記憶部44に格納されている。そして、変動率算出回路413は、静電容量Cbの測定値Cb1から基準値Cb0を減算した変動量ΔCb(=Cb1−Cb0)を算出し、さらに下記式(4)を用いて静電容量Cbの変動率αを算出する。
補正プローブ5の絶縁部材53と検出プローブ1の絶縁部材13とは同材料で構成されているため、静電容量Cbの変動率αに基づいて、周囲環境によって変動した静電容量Caの値を推定することができる。そこで、補正回路414は、静電容量Cbの変動率αに基づいて、静電容量Caの値を補正する。具体的には、補正回路414は、静電容量Caの基準値Ca0に変動率αを乗算することで、周囲環境によって変動した静電容量Caの値を推定する。ここで、静電容量Caの基準値Ca0とは、絶縁部材13の誘電率εが標準値であるとみなし、第1の電極11−第2の電極12間の距離dおよび、第2の電極12の面積Sから算出した静電容量Caの値である(式(1)参照)。この基準値Ca0は、予め算出され、マイコン4の記憶部44に格納されている。
そして、電圧測定回路411は、補正回路414によって補正された静電容量Caの値(Ca0・α)を用いて交流電圧Vsの値を算出する(下記式(5))。
このように、補正プローブ5は、検出プローブ1の絶縁部材13と同材料である絶縁部材53内に配置された静電容量Cbを有する補正用コンデンサ55を具備する。また、静電容量測定回路412は、静電容量Cbを測定する。また、変動率算出回路413は、静電容量測定回路412の測定結果(測定値Cb1)に基づいて、静電容量Cbの変動率αを算出する。また、補正回路414は、変動率算出回路413が算出した変動率αに基づいて、静電容量Caの値を補正する。そして、電圧測定回路411は、検出用コンデンサ31の両端電圧(入力電圧Vin)および、静電容量Cinおよび、補正回路414によって補正された静電容量の値(Ca・α)を用いて、芯線72に印加されている交流電圧Vsを算出する。
本実施形態の非接触電圧測定装置は、上記構成を備えることによって、周囲環境によって変動した静電容量Caの値を推定することができ、周囲環境による交流電圧Vsの測定結果の誤差を低減することができる。
また、検出プローブ1と補正プローブ5とは、周囲環境(周囲温度,周囲湿度)が同じまたは、可能な限り近い位置に配置することが好ましい。そこで、本実施形態では、補正プローブ5を収納している装置本体2を検出プローブ1の近くに配置している。さらに、図7に示すように、装置本体2に開口21を設け、この開口21近傍に固定用部材22を用いて補正プローブ5を配置している。このように、検出プローブ1と補正プローブ5とで、周囲環境を近づけることで、静電容量Caの補正精度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、静電容量Cbの基準値Cb0を予め算出して記憶部44に格納しているが、静電容量測定回路412の算出結果を基準値Cb0として用いてもよい。この場合、相対的に温度・湿度が高い状態または低い状態でなく、絶縁部材53の誘電率が標準値であるとみなせる状態において、静電容量測定回路412の算出結果を基準値Cb0に用いることが好ましい。このような状態において静電容量Cbを測定し、この測定結果を基準値Cb0として記憶部44に格納しておいて、交流電圧Vsの測定時に変動率αを算出して、静電容量Caの変動を推定してもよい。
1 検出プローブ
11 第1の電極
12 第2の電極
13 絶縁部材(第1の絶縁部材)
131,132 絶縁フィルム
14 測定線
15 補助コンデンサ
7 電線
71 絶縁被覆
72 芯線
11 第1の電極
12 第2の電極
13 絶縁部材(第1の絶縁部材)
131,132 絶縁フィルム
14 測定線
15 補助コンデンサ
7 電線
71 絶縁被覆
72 芯線
Claims (4)
- 可撓性を有する平板状の第1の絶縁部材内において同一の平面上に配置された第1の電極と第2の電極とで第1の静電容量を有する補助コンデンサを形成し、芯線が絶縁被覆で覆われた電線の外周面に巻き付けられる検出プローブと、
前記補助コンデンサと基準電圧点との間に直列接続され、第2の静電容量を有する検出用コンデンサと、
前記検出用コンデンサの両端電圧および、前記第2の静電容量および、前記第1の静電容量を用いて、前記芯線に印加されている電圧を算出する電圧測定回路とを備え、
前記検出プローブは、前記第1の電極が前記電線の外周面に対向するように前記電線に巻き付けられ、前記第1の絶縁部材の一部が重なり合うことで前記第1の電極と前記第2の電極とが対向して前記補助コンデンサを形成する
ことを特徴とする非接触電圧測定装置。 - 前記第1の絶縁部材は、前記電線に巻き付けられた際に外側となる一面から前記第1の電極および前記第2の電極までの距離が、前記電線に巻き付けられた際に内側となる他面から前記第1の電極および前記第2の電極までの距離よりも長い
ことを特徴とする請求項1記載の非接触電圧測定装置。 - 前記第1の絶縁部材は、前記電線に巻き付けられる際に外側となる一面または内側となる他面に凸部が形成され、前記電線に巻き付けられることで前記第1の電極と前記第2の電極とが前記凸部を介して対向する
ことを特徴とする請求項1または2記載の非接触電圧測定装置。 - 前記第1の絶縁部材と同材料である第2の絶縁部材内に配置された第3の静電容量を有する補正用コンデンサを具備する補正プローブと、
前記第3の静電容量を測定する静電容量測定回路と、
前記静電容量測定回路の測定結果に基づいて、前記第3の静電容量の変動率を算出する変動率算出回路と、
前記変動率算出回路が算出した前記変動率に基づいて、前記第1の静電容量の値を補正する補正回路とを備え、
前記電圧測定回路は、前記検出用コンデンサの両端電圧および、前記第2の静電容量および、前記補正回路によって補正された前記第1の静電容量の値を用いて、前記芯線に印加されている電圧を算出する
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の非接触電圧測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013113404A JP2014232054A (ja) | 2013-05-29 | 2013-05-29 | 非接触電圧測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013113404A JP2014232054A (ja) | 2013-05-29 | 2013-05-29 | 非接触電圧測定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014232054A true JP2014232054A (ja) | 2014-12-11 |
Family
ID=52125523
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2013113404A Pending JP2014232054A (ja) | 2013-05-29 | 2013-05-29 | 非接触電圧測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014232054A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016130737A (ja) * | 2015-01-13 | 2016-07-21 | フルークコーポレイションFluke Corporation | 電気導体試験装置 |
JP7470003B2 (ja) | 2020-09-25 | 2024-04-17 | 株式会社日立製作所 | 漏れ電圧検出システムおよび漏れ電圧検出方法 |
-
2013
- 2013-05-29 JP JP2013113404A patent/JP2014232054A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20150225 |