JP2014228614A - 光透過性組成物及びそれを用いた光機能部材並びに光透過性組成物の製造方法 - Google Patents

光透過性組成物及びそれを用いた光機能部材並びに光透過性組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い光透過率及び優れた光拡散機能を有する光透過性組成物及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の光透過性組成物は、1次粒子径が30nm以上600nm以下のナノ中空シリカ粒子とボイドとが光透過性材料に分散されており、全体積に対する該ナノ中空シリカ粒子の体積比率は10体積%以上70体積%未満であり、全体積に対する該ボイドの体積比率は5体積%以上50体積%未満である。また、この光透過性組成物の製造方法は、1次粒子径が30nm以上600nm以下のナノ中空シリカ粒子を用意する準備工程と、該ナノ中空シリカ粒子と、光透過性材料と、溶媒とを混合してシリカ分散液とする分散液調製工程と、該シリカ分散液中の溶媒を除去してボイドを有する光透過性樹脂組成物とするボイド形成工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は光透過性組成物及びそれを用いた光機能部材並びに光透過性組成物の製造方法に関する。
光透過性組成物は光デバイスの光源等の部材を形成するために用いられる。光源からの光がなるべく減衰しないようにするためには、透光性部材における光透過率を高くする必要がある。一方、光源等の輝度ムラを解消するための光拡散板等に利用しようとする場合には、光拡散機能に優れていることが要求される。
従来より、透光性部材に高い光透過率及び高い光拡散機能を確保すべく種々の検討がなされてきた(特許文献1)。本発明者らも、光透過性のマトリックスにナノ中空シリカ粒子を分散させた透光性組成物について、高い光透過率を有し、且つ、優れた光散乱効果を有する条件を見出し、特許を出願している(特許文献2)。
特開2006−257299号公報 特開2012−57003号公報
光源用の部材に用いられる透光性部材には、さらに高い光透過率及び優れた光拡散機能が要求される。本発明は、こうした要求に応えるべく、高い光透過率及び優れた光拡散機能を有する光透過性組成物及びその製造方法を提供することを課題としている。
本発明者らは、上記光透過性のマトリックスにナノ中空シリカ粒子を分散させた透光性組成物について、光透過性及び光拡散機能を高めるための最適条件を見出すべく、ナノ中空シリカ粒子の形状(粒子の大きさ、壁厚、空間率)や含有量を種々変えて、その光特性を調べる実験を行った。ところが、研究を進めるにしたがい、光透過性組成物の光透過性及び光拡散機能は、ナノ中空シリカ粒子の形状(粒子の大きさ、壁厚、空間率)や含有量のみによって決まるものではないという予想外の結果が得られた。そして、さらにその原因について鋭意研究を行った結果、光透過性材料中に形成された微細なボイドが光透過性及び光拡散機能に大きな影響を与えていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の光透過性組成物は、1次粒子径が30nm以上600nm以下のナノ中空シリカ粒子とボイドとが光透過性材料に分散されており、全体積に対する該ナノ中空シリカ粒子の体積比率は10体積%以上70体積%未満であり、全体積に対する該ボイドの体積比率は5体積%以上50体積%未満である。
本発明の光透過性組成物中に存在するナノ中空シリカ粒子中の中空部やボイド(本明細書において、ボイドとは光透過性組成物中存在する中空部以外の空隙をいう)は、シリカ中や光透明性材料中よりも光透過性に優れているため、光透過性が高くなる。また、ナノ中空シリカ粒子の中空部やボイドの存在により、中空部(あるいはボイド)とシリカとの境界や、ボイド(あるいはシリカ)と光透過性材料との境界で屈折率が大きく変わり、光が屈折されやすくなり、その結果光拡散機能が高められる。しかも、ナノ中空シリカ粒子の1次粒子径は30nm以上600nm以下と極めて細かいため、中空部とシリカとの境界や、シリカと光透過性材料との境界の面積は極めて大きくなり、その結果光拡散機能も高いものとなる。
全体積に対するナノ中空シリカ粒子の体積比率は10体積%以上70体積%未満を要件とし、好ましいのは20体積%以上40体積%未満であり、さらに好ましいのは25体積%以上35体積%未満である。また、全体積に対するボイドの体積比率は5体積%以上50体積%未満を要件とし、好ましいのは7体積%以上30体積%未満であり、さらに好ましいのは10体積%以上20体積%未満である。
ボイドの径は500nm以下であることが好ましい。こうであれば、全体積に対するボイドの体積比率が同じであっても、ボイドとシリカ、あるいはボイドと光透過性材料の境界の面積が大きくなり、より高い光拡散性を発揮することができる。さらに好ましいのは、200nm以下である。
また、前記ナノ中空シリカ粒子の壁厚は30nm以下であり、空隙率が40体積%以上であることが好ましい。ここで、ナノ中空シリカ粒子の空隙率とは、ナノ中空シリカ粒子全体の体積に対する中空部分の体積%をいう。ナノ中空シリカ粒子の1次粒子の壁厚が30nm以下であれば、ナノ中空シリカ粒子の粒子径及び壁厚が可視光や赤外線の波長と同程度以下であり、可視光や赤外線に対する透明性が失われ難い。さらに、このナノ中空シリカ粒子の空隙率が40体積%以上であれば、高い光透過率を有することとなる。
さらに、ナノ中空シリカ粒子の表面シラノール基はアルキル基で修飾されていることが好ましい。ナノ中空シリカ粒子の表面シラノール基がアルキル基で修飾されていれば、疎水性である光透過性樹脂中に容易に分散させることができるため、製造が容易となる。また、アルキル基は化学的に不活性であり、光透過性樹脂等の光透過性材料と化学反応を起こすことがないため、ナノ中空シリカ粒子と光透過性材料とが強固に接着することはなく、その結果、ナノ中空シリカ粒子は光透過性樹脂中で容易に分散しつつも、光透過性樹脂との境界で剥離しやすくなる。このため、本発明の光透過性組成物の製造方法で得られた光透過性組成物中に、微細なボイドを多数形成することが容易となる。
また、ナノ中空シリカ粒子の表面シラノール基をアルキル基で修飾する場合のアルキル基は、メチル基であることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、アルキル基がメチル基であれば、光透過性樹脂にナノ中空シリカ粒子を確実に分散させることができるとともに、ボイドを数多く確実に形成することができる。
光が透過する又は反射する等の様々な基材の表面に、本発明の光透過性組成物からなる光透過層を形成することによって、優れた光拡散性及び光透過性を有する様々な光機能部材とすることができる。基材としては、例えば、拡散シート、プリズムシート、拡散シート、導光板、反射板、電球カバー、光センサー等が挙げられる。
また、拡散シート、プリズムシート、拡散シート、導光板、反射板、電球カバー、光センサー等の基材そのものを光透過性組成物によって制作してもよい。
本発明の光透過性組成物は次の方法によって製造することができる。
すなわち、本発明の光透過性組成物の製造方法は、1次粒子径が30nm以上600nm以下のナノ中空シリカ粒子を用意する準備工程と、該ナノ中空シリカ粒子と、光透過性材料と、溶媒とを混合してシリカ分散液とする分散液調製工程と、該シリカ分散液中の溶媒を除去してボイドを有する光透過性組成物とするボイド形成工程と、を有する。
本発明の光透過性組成物の製造方法では、まず準備工程として、1次粒子径が30nm以上600nm以下のナノ中空シリカ粒子を用意する。そして、次に分散液調製工程として、ナノ中空シリカ粒子と光透過性材料と溶媒とを混合してシリカ分散液とする。さらに、ボイド形成工程として、該シリカ分散液中の溶媒を除去してボイドを有する光透過性組成物とする。このボイド形成工程では、ナノ中空シリカ粒子の粒子間の隙間から溶媒が除去され、微細なボイドが形成される。
こうして得られる本発明の光透過性組成物に存在するナノ中空シリカ粒子中の中空部やボイドは、シリカや光透過性材料中よりも光が減衰し難いため、光透過性が高くなる。また、ナノ中空シリカ粒子の中空部やボイドの存在により、中空部(あるいはボイド)とシリカとの境界や、ボイド(あるいはシリカ)と光透過性材料との境界で屈折率が大きく変わり、光が屈折されやすくなり、その結果光拡散機能が高められる。しかも、ナノ中空シリカ粒子の1次粒子径は30nm以上600nm以下と極めて細かいため、中空部とシリカとの境界や、シリカと光透過性材料との境界の面積は極めて大きくなり、その結果光拡散機能も高いものとなる。
実施例1の光機能部材の破断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1の光機能部材の破断面の走査型電子顕微鏡写真である。 図1右側の写真を画像解析ソフト(ルーゼックスAP)を用いて「粒子」を白色、「それ以外の部分」を黒色で2値化した結果を示す写真である。 図1右側の写真を画像解析ソフト(ルーゼックスAP)を用いて粒子及び樹脂部分」を白色、「ボイド部」を黒色で2値化した結果を示す写真である。 導光板の分解斜視図である。 分解されたLED電球の各パーツの写真である。 内側に光透過層を形成した電球カバーの断面図である。 LED電球における各アングルでの照度のグラフである。 LED電球の表面の照度分布を測定した写真である。 LED20の模式断面図である。 光透過性組成物からなる反射層をガラス上に形成させた場合の光の反射及び透過を示す模式断面図である。 光透過性組成物からなる反射層をガラス上に形成させた板の反射光及び透過光の測定した結果を示す写真である。
<光透過性材料>
本発明の光透過性組成物に用いられる光透過性材料としては、光を透過する材料であれば特に限定はない。例えば光透過性樹脂や、ガラス等が挙げられる。光透過性樹脂としては、光を透過する材料であれば特に限定はない。例えば、透明樹脂や無機ガラス等が用いられる。透明樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
なお、本明細書において光とは可視光の他、赤外線や紫外線をも含む。
<ナノ中空シリカ粒子>
本発明の光透過性組成物に用いるナノ中空シリカ粒子は、1次粒子径が30nm以上600nm以下である。好ましくは100nm以上450nm以下である。
このような中空ナノ粒子は、例えば、特開2005−263550号公報に記載の方法によって製造することができる。すなわち、炭酸カルシウムを調製する第1工程、炭酸カルシウムにシリカをコーティングする第2工程、及び炭酸カルシウムを溶解させる第3工程により、シリカの殻からなる中空粒子を製造する方法において、
(1)第1工程において、透過型電子顕微鏡法による一次粒子径が20nm〜600nmの炭酸カルシウムを水系にて調製し、熟成させた後、脱水して含水ケーキの状態とし、
(2)第2工程において、(1)の含水ケーキをアルコール中に分散させ、アンモニア水、水、シリコンアルコキシドを、シリコンアルコキシド/アルコールの体積比を0.002〜0.1、アンモニア水に含有されるNH3を、シリコンアルコキシド1モルに対して、4〜15モル、水をシリコンアルコキシド1モルに対して、25〜200モルとなるように添加することにより、シリカでコーティングされた炭酸カルシウムを調製した後、アルコール及び水による洗浄を行い、再び含水ケーキとし、
(3)第3工程において、(2)の含水ケーキを水に分散させ、酸を添加して、液の酸濃度を0.1〜3モル/Lとすることにより炭酸カルシウムを溶解させることにより、緻密なシリカ殻からなる高分散の中空状粒子とする方法である。
この方法によれば、透過型電子顕微鏡法による一次粒子径が30〜300nm、壁厚5〜30nm、水銀圧入法により測定される細孔分布において2〜20nmの細孔が検出されない高分散シリカナノ中空粒子を製造することができる。また、上記第1工程において調製される炭酸カルシウムの結晶はカルサイトであり六方晶系であるが、合成条件を制御することにより、あたかも立方晶系であるかのような形状、即ち「立方体状」に成長させることができる。ここで、「立方体状」とは、立方体に限らず面で囲まれた立方体に似た形状も含む意味である。
発明者らは、この方法に順じ、適宜薬剤濃度や撹拌方法や温度やアルカリの種類等を調整することにより、以下に示す様々な1次粒子径、壁厚、及び空隙率のナノ中空シリカ粒子を製造できることを確認している。
<光透過性組成物の製造方法>
本発明の光透過性組成物は、上述した光透過性樹脂及びナノ中空シリカ粒子を原料として以下のようにして製造することができる。
(準備工程)
上述した方法によって得た30nm以上600nm以下のナノ中空シリカ粒子をトリメチルクロロシランのメタノール溶液中に入れて撹拌した後、ろ別し、水洗、乾燥を経てメチル基修飾ナノ中空シリカを得る。なお、トリメチルクロロシランの替りに他のアルキル基が結合したトリアルキルクロロシランを用いることにより、アルキル基を種々のものに変えることができる。
(分散液調製工程)
次に、光透過性樹脂を有機溶媒に溶かした樹脂溶液とメチル基修飾ナノ中空シリカとを所定の割合(好ましくは100:5〜100:40、さらに好ましくは100:10〜100:20(質量比))で混合した後、攪拌することによって、ナノ中空シリカ粒子としてのナノバルーンおよび光拡散粒子がアクリル樹脂溶液中に均一に分散したシリカ分散液を得る。なお、光拡散効果を調節するため、ナノ中空シリカ粒子以外に中実の光拡散粒子を添加しても良い。
ナノ中空シリカ粒子と、光透過性材料と、溶媒の配合比は粘度等を考慮して適宜調整すればよいが、通常5:100〜40:100の範囲が好ましく、さらに好ましいのは10:100〜20:100の範囲である。
(ボイド形成工程)
分散液調製工程で得られたシリカ分散液中の溶媒を除去してボイドを有する光透過性樹脂組成物とする。溶媒の除去方法としては特に限定はされないが、例えば自然乾燥、加熱乾燥、減圧除去等の方法を用いることができる。シリカに対する溶媒の量を適宜調節することにより、全体積に対するボイドの体積比率を調整することができる。
また、光透過性材料としてガラスを用いる場合には、ガラス前駆体となるアルコラート等にナノ中空シリカ粒子を混合し、加水分解し、加熱することによって製造することができる。
(実施例1)
実施例1では、以下の組成からなるシリカ分散液を調製し、透明アクリル板の一面側にドット印刷を行い、LEDパネル用の導光板を作製した。
株式会社セイコーアドバンス製メジウムスクリーン印刷用インキCAV透明800メジューム(固形分30%)333重量部にナノ中空粒子としてグランデックス株式会社製のナノバルーンXP-200(メチル)(一次粒子径90〜110nm、壁厚8〜10nm、空隙率50〜60%、比表面積130〜150nm2/g、粒子密度0.6〜0.7、かさ密度0.06〜0.09g/ml)10重量部を混合した。そして、遊星式撹拌・脱泡装置として倉敷紡績株式会社製マルゼスターを用いて分散を行い、ナノ中空シリカとしてナノバルーンがアクリル樹脂溶液に均一に分散したシリカ分散液を得た。
所定形状の透明アクリル板を用意し、その一面側に上記シリカ分散液を12g/m2の目付量(乾燥時)となるように印刷した。その後、乾燥させて実施例1の光機能部材とした。
(比較例1)
比較例1では、ナノ中空粒子の替りに中実シリカ粒子(一次粒子径200nm、株式会社アドマテックス製、商品名:SO-C1)を用いてシリカ分散液を得た。それ以外については実施例1の光機能部材と同様であり、説明を省略する。
<評 価>
上記実施例1及び比較例1の光機能部材について、波長550nmでの透過率と反射率を測定し、その測定値から拡散反射%を求めた。また、電界放射型電子銃を有する走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて断面の写真撮影を行った(図1及び図2参照)。また、図1右側の写真を画像解析ソフト(商品名:ルーゼックス(登録商標)AP、(株)ニレコ製)を用いて「粒子」を白色、「それ以外の部分」を黒色で2値化し(図3参照)、さらには、「粒子及び樹脂部分」を白色、「ボイド部」を黒色で2値化し(図4参照)、それらの面積比から、全体積に対するナノ中空シリカ粒子の体積比率、及び全体積に対するボイドの体積比率を計算により求めた。画像解析ソフトによる解析結果を表2に示す。
その結果、拡散反射%については、上記比較例1の光機能部材では5.19%であるのに対し、実施例1の光機能部材では16.43%となり、比較例1に比べて極めて高いことが分かった。また、断面のFE-SEM写真撮影を行ったところ、図1及び図2に示すように、実施例1の光機能部材では光透過性樹脂中に500nm(0.5μm)以下の細かいボイドが14.0体積%の割合で形成されている(図1参照)のに対し、比較例1の光機能部材ではそのようなボイドはほとんど認められなかった(図2参照)。
以上の結果は、次のように説明される。すなわち、実施例1の光機能部材では、屈折率の異なるもの同士が接する界面として、次の1)〜4)が存在する。
1)ナノ中空シリカ粒子内壁(屈折率=1.49)とナノ中空シリカ粒子の中空部(屈折率=1)との界面
2)ナノ中空シリカ粒子外壁(屈折率=1.49)と光透過性樹脂(例えばエポキシでは屈折率=1.48)との界面
3)ナノ中空シリカ粒子外壁(屈折率=1.49)とボイド(屈折率=1)との界面
4)光透過性樹脂(例えばエポキシでは屈折率=1.48)とボイド(屈折率=1)との界面
これら界面のうち、散乱の原因となる光の反射が起こりやすいのは、屈折率の差が大きな1)、3)、4)である。
これに対して、中実シリカ粒子を分散させた比較例1の光機能部材では、屈折率の異なるものどうしが接する界面として、ほぼ中実シリカ粒子表面(屈折率=1.49)と光透過性樹脂(例えばエポキシでは屈折率=1.48)との界面のみである。
このため、実施例1の光機能部材に照射された光は、光機能部材の表面に形成された光透過層中でランダム方向に多くの反射が行われ、優れた光拡散機能を有することとなる。また、実施例1の光機能部材中には、光エネルギーが減衰されにくいボイドや中空部が存在するため、光透過性も高くなる。
本発明の光透過性組成物の利用形態としては、バルク材料として用いられる他、部材表面(例えばLEDパネルの透光板)の表面に付着するコーティング層や、ドットによる印刷層であってもよい。以下に、本発明の光透過性組成物の応用例について述べる。
<導光板への応用>
LEDパネルや液晶表示に用いられる導光板は、アクリル板等からなる導光板本体に拡散シートやプリズムシートが積層されており、これらの拡散シートや反射シートやプリズムシートによってLED等の光源からの光が反射されたり、拡散されたりすることにより、均一な平面光源が確保されることとなる。図5にその具体的な構成例を示す。ここで、1が導光板本体、2a、2bが拡散シート、3が反射シート、4がプリズムシートである。
ここで、導光板本体1の表面にシリカ分散液を塗布し、乾燥させれば導光板本体1の表面に本発明の光透過性組成物からなる光透過層が形成される。こうして得られた導光板では、LED等の光源から導光板本体1に入射された光が、優れた光拡散機能と高い光透過率とを有する光透過層によって高度に反射を繰り返され、光強度が均質で輝度の高い面発光を具現化できる。
また、同様にして拡散シート2a、2bの表面に本発明の光透過性組成物からなる光透過層を形成すれば、導光板本体1の表面から放出される光が拡散シート2a、2bの表面に形成された優れた光拡散機能と高い光透過率とを有する光透過層によって高度に散乱され、光強度が均質で輝度の高い面発光を具現化できる。
さらに、同様にして反射シート3の表面に本発明の光透過性組成物からなる光透過層を形成すれば、導光板本体1の表面から放出される光が反射シート3に形成された優れた光拡散機能と高い光透過率とを有する光透過層によって高度に散乱され、光強度の減衰も少なく、高い反射率で反射される。さらには、反射シート3における光透過層の高い透過率を利用し、光透過層の厚みを薄くしたり、ナノ中空シリカ粒子の含有量等を適宜調整することにより、反射シートとしてではなく、両面発光体用の拡散シートとして機能させることも可能である。
また、プリズムシート4の表面に本発明の光透過性組成物からなる光透過層を形成すれば、導光板本体1の表面から放出される光がプリズムシート4の表面に形成された優れた光拡散機能と高い光透過率とを有する光透過層によって高度に光拡散され、光強度が均質で輝度の高い面発光を具現化できる。ここで、プリズムシート4に替えて、マイクロレンズシート表面に本発明の光透過性組成物からなる光透過層を形成することもできる。こうであれば、マイクロレンズシートを用いても、高い光透過率及び優れた光拡散機能を発揮することができることから、複雑で成型の難しいプリズムシートの替わりに、成型の容易なマイクロレンズシートを用いることも可能となる。さらには、プリズムシートやマイクロレンズシートそのものを光透過性組成物で作製したり、プリズムシートやマイクロレンズシートに光透過性組成物を含有させたりしてもよい。
<LED電球への応用>
分解されたLED電球の各パーツの写真を図6に示す。図6の写真中央のパーツがLED素子を搭載した発光部であり、右側のパーツが電球カバーであり、左側のパーツが口金部である。
(電球カバーへの適用)
図7に示すように、電球カバー10の内側に、本発明の光透過性組成物からなる光透過層11を形成すれば、LED素子から照射された光が光透過層11によって、高度に光拡散される。このような光透過層11の形成方法としては、ポリカーボネート等の平板に光透過層を形成してから半球状にプレス成型してもよいし、ポリカーボネート等の平板を半球状に成形してから光透過層を形成させてもよい。しかも、この光透過層11は高い光透過率を有しているため、同じ出力のLEDを使用しても照度を高くすることができ、光の指向性が緩和されて輝度の均一化に優れた電球とすることができる。また、電球カバーそのものを光透過性組成物で作製したり、電球カバーに光透過性組成物を含有させたりしてもよい。
実施例1において調製したシリカ分散液を実際の電球カバー裏面に塗布し、乾燥させて光透過層11を形成させたLED電球を作製した(電球カバーの外側に塗布してもよい)。また、比較のために、塗布しなかった場合のLED電球も用意した。これらのLED電球の、各アングルでの照度を示したグラフを図8に示す。ここで、図8右側のグラフの横軸は、図8左側に示すLED電球の中心軸からの角度を示している。このグラフから、シリカ分散液を実際の電球カバー裏面に塗布して光透過層11を形成した場合には、塗布しなかった場合に比べて、0度における照度が下がり、大きな角度では照度が下がり、照度が広い角度範囲まで平均化されることが分かる。
また、各LED電球の表面の照度を測定したところ、図9に示すように、光透過層11が形成されていない場合には、3つのLED素子の位置が明確に分かり(図9右上の写真)、横から見た場合に素子の位置のみが明るくてそれ以外は暗い(図9右下の写真)のに対し、光透過層11を形成させた場合には、3つのLED素子の位置は不明確であり(図9左上の写真、T字状の照度が高い部分は、シリカ分散液を塗布部分がひび割れていることによるものである)、横から見た場合に電球全体が明るく光っている(図9左下の写真)ことが分かる。
<LEDへの応用>
図10はLED20の模式断面図である。このLED20はマザーボード21上に凹部22aを有するリフレクター22を備えており、凹部22aにPKG基板23が取り付けられ、その中央にLED素子24が載置されている。LED素子24はシリコーン樹脂等からなる封止材25によって封止されており、その周囲がシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等からなるレンズ26によって埋められている。
(LED封止材への適用)
上記のLED20において、本発明の光透過性組成物によって封止材25を構成すれば、LED素子24からの光が、優れた光拡散機能を有する封止材25中において高度に拡散される。しかも、優れた光透過性により、光強度の減衰も少なくなる。その結果、同じ出力のLEDを使用しても照度を高くすることができ、封止材25に添加される蛍光体の量も少なくすることができる。また、光の指向性が緩和されて輝度の均一化に優れたLEDとなる。
(レンズへの適用)
上記のLEDにおいて、本発明の光透過性組成物によってレンズ26を構成すれば、LED素子24からの光がレンズ26中において優れた光拡散機能によって高度に拡散される。しかも、優れた光透過性により、光強度の減衰も少なくなる。その結果、同じ出力のLEDを使用しても照度を高くすることができる。また、光の指向性が緩和されて輝度の均一化に優れたLEDとなる。
(リフレクターへの適用)
上記のLEDにおいて、本発明の光透過性組成物によってリフレクター22を構成したり、リフレクター22の凹部22aの表面に本発明の光透過性組成物からなる反射層を形成すれば、LED素子24からリフレクター22に照射された光が反射し、照度が向上する。さらには、光の指向性が緩和されて輝度の均一化に優れたLEDとなる。
<光センサーへの応用>
図11に示すように、ガラス板31上に実施例1の光透過性組成物からなる反射層32を形成させた場合、鋭角に光が入射しても反射層32で入射された光が高度に散乱され、様々な方向に乱反射される。また、反射層32は光透過性に優れているため、鋭角に光が入射しても裏側に光が透過する。このため、光センサーにおいて、受光素子33を反射層32に近接して配置したり、裏側に近接して配置したりすることができる。このため、光センサーの高感度化及び薄型化を実現することができる。また、受光素子33を反射層32の真上に配置したり、反射層32に対して垂直方向となる裏側に配置したりすることもできる。以上のように、受光素子33の配置位置を自由に選択できことから、センサーを設置する上での設計上の自由度も高くなる。
以上のことを実証するため、ガラス板31上に実施例1の光透過性組成物からなる反射層32を形成させた反射板を作製し、反射光及び透過光を測定した。その結果、図12に示すように、反射光、透過光ともに広い範囲で拡散光が確認され、優れた光拡散性が確認された。
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
1…導光板本体、2a、2b…拡散シート、3…反射シート、4…プリズムシート
11…光透過層、20…LED、22…リフレクター、23…PKG基板、
24…LED素子、25…封止材、26…レンズ

Claims (7)

  1. 1次粒子径が30nm以上600nm以下のナノ中空シリカ粒子とボイドとが光透過性材料に分散されており、
    全体積に対する該ナノ中空シリカ粒子の体積比率は10体積%以上70体積%未満であり、
    全体積に対する該ボイドの体積比率は5体積以上50体積%未満である光透過性組成物。
  2. 前記ボイドの径は500nm以下である請求項1記載の光透過性組成物。
  3. 前記ナノ中空シリカ粒子の壁厚は30nm以下であり、空隙率が40%体積以上である請求項1又は2記載の光透過性組成物。
  4. 前記ナノ中空シリカ粒子の表面シラノール基はアルキル基で修飾されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光透過性組成物。
  5. 前記アルキル基はメチル基である請求項4に記載の光透過性組成物。
  6. 基材の表面に請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光透過性組成物からなる光透過層が形成されている光機能部材。
  7. 1次粒子径が30nm以上600nm以下のナノ中空シリカ粒子を用意する準備工程と、
    該ナノ中空シリカ粒子と、光透過性材料と、溶媒とを混合してシリカ分散液とする分散液調製工程と、
    該シリカ分散液中の溶媒を除去してボイドを有する光透過性組成物とするボイド形成工程と、を有する請求項1に記載の光透過性組成物の製造方法。
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