JP2014228472A - 構造物劣化診断システム - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1では、定量的な劣化診断を可能にしてはいるものの、あくまでも、検査員による定期検査を基本としている。さらに、劣化診断対象の構造物に対して、蛍光色素をあらかじめ混入させておく必要があった。
本発明は、劣化診断対象である構造物に取り付けられたセンサから得られる加速度情報に基づいて、構造物の傾きあるいは固有振動数に関する特徴量の確率密度分布を求め、正常時における確率密度分布と劣化診断時における確率密度分布との間に有意差がある場合には、取付状態に何らかの劣化が発生していると判断することを技術的特徴としている。
図1は、本発明の実施の形態1における構造物劣化診断システムの構成図である。本実施の形態1における構造物劣化診断システムは、センサコントローラ10、およびN個(Nは、2以上の整数)のセンサヘッド20(1)〜20(N)を備えて構成されている。
レベル1:「定期点検等で詳細に点検する必要有り(確認レベル)」
レベル2:「現場を確認し、今後の改良計画等を検討する必要あり(計画レベル)」
レベル3:「速やかに改善を必要とする事態で、至急現場へ急行する必要有り(改善レベル)」
レベル4:「崩落を含む緊急事態(緊急レベル)」
とレベル分けし、レベル1、2は、各制御装置の盤面で簡単に表示するだけとし、レベル3、4の段階になって、詳細な警報表示や警報音鳴動等を行うようにしてもよい。
図2は、本発明の実施の形態1における第1の劣化診断部11による劣化診断処理の流れを示すフローチャートである。この図2のフローチャートに基づいて、傾き情報に基づいた第1の劣化診断部11による具体的な劣化診断処理について説明する。
[特徴1]加速度情報の低周波成分を抽出することで、傾き情報を取得する。
[特徴2]傾き情報のサンプリングレートは、情報が欠損しない程度に遅くでき、例えば、5秒間隔でデータ収集を行うことができる。
[特徴3]取り付け方向の修正がなされた傾きデータをデシベル化することで、記憶容量を削減した上で、効率的な量子化を行っている。
[特徴4]所定のデシベル単位に基づいて、学習時および劣化診断時の確率密度分布を算出し、3軸の確率密度比のユークリッド距離としてベクトル長を求め、劣化診断のための評価値としている。
[特徴5]基準値を超える評価値がある場合には、センサヘッド20が設置された部分で、構造物の傾きが許容できないレベルに達していると判断し、劣化状態を定量的に判断する。
次に、第2の劣化診断部12による具体的な処理内容を説明する。
図6は、本発明の実施の形態1における第2の劣化診断部12による劣化診断処理の流れを示すフローチャートである。この図6のフローチャートに基づいて、固有振動数情報に基づいた第2の劣化診断部12による具体的な劣化診断処理について説明する。
[特徴1]加速度情報に関して、いずれかの軸で基準レベルを越えた加速度データが得られた時点を含む一定数の加速度データを抽出することで、固有振動数情報を取得する。
[特徴2]固有振動数情報は、その後の周波数解析に用いられるため、センサヘッド20からの出力レートをダウンサンプリングすることは、適切でない。そこで、いずれかの軸で基準レベルを越えた加速度データが得られた時点をイベントトリガとして、過去データと未来データからなる一定数の加速度データを抽出して固有振動数情報を記憶させることで、記憶容量の低減を図っている。
[特徴3]取り付け方向の修正がなされた固有振動数情報について周波数解析を行ってパワースペクトルを算出し、パワースペクトルから低周波成分を取り除いた残りのスペクトルの中から、最大の極大値および第2の極大値を求めることで、各軸の第1固有振動数、第2固有振動数を算出する。
[特徴4]イベントトリガごとに算出された第1固有振動数、第2固有振動数による2次元の直交座標として作成した各軸の累積度数分布から、学習時および劣化診断時の2次元の確率密度分布を算出し、3軸の確率密度比を、劣化診断のための評価値とする。
[特徴5]基準値を超える評価値がある場合には、センサヘッド20が設置された部分で、構造物の振動が許容できないレベルに達していると判断し、劣化状態を定量的に判断する。
Claims (5)
- 固定面に取り付けられ、劣化診断対象である構造物に設置されたセンサヘッドから出力される前記構造物の加速度情報に基づいて、前記構造物の取付状態が正常か否かを診断するセンサコントローラを備えた構造物劣化診断システムにおいて、前記センサコントローラにより実行される構造物劣化診断システムであって、
前記センサヘッドから取得した前記加速度情報に基づく特徴量として、前記構造物の傾き情報および固有振動数情報の少なくとも一方の情報を抽出する特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段により抽出された前記特徴量に関して、正常状態における基準用確率密度分布と、劣化診断時における診断用確率密度分布を算出する確率密度分布算出手段と、
前記確率密度分布算出手段で算出された前記基準用確率密度分布と前記診断用確率密度分布との間に所定量以上の有意差を有する分布が存在する場合には、前記構造物の取付状態に異常が発生していると判定する判定手段と
を備えた構造物劣化診断システム。 - 請求項1に記載の構造物劣化診断システムにおいて、
前記センサヘッドからは、3軸の加速度情報が出力され、
前記特徴量抽出手段は、3軸分の傾き情報および3軸分の固有振動数情報の少なくとも一方の情報を抽出する
構造物劣化診断システム。 - 請求項2に記載の構造物劣化診断システムにおいて、
前記センサコントローラにおいて、前記傾き情報を前記特徴量として抽出することで劣化診断を行う場合には、
前記特徴量抽出手段は、前記センサヘッドから取得した前記3軸の加速度情報のそれぞれについて低周波成分を抽出することで、3軸に対する前記傾き情報を取得し、
前記確率密度分布算出手段は、前記特徴量抽出手段で取得されたそれぞれの軸の前記傾き情報をデシベル化し、所定のデシベル単位に基づいて、学習時および劣化診断時の確率密度分布を算出し、
前記判定手段は、3軸のそれぞれについて、劣化診断時の確率密度分布を学習時の確率密度分布で割ることで確率密度比を算出し、算出した3軸の前記確率密度比のユークリッド距離としてベクトル長を求め、劣化診断のための評価値とし、前記評価値が許容傾き基準値を超える場合には、前記構造物の傾きが許容できないレベルに達していると判断する
構造物劣化診断システム。 - 請求項2に記載の構造物劣化診断システムにおいて、
前記センサコントローラにおいて、前記固有振動数情報を前記特徴量として抽出することで劣化診断を行う場合には、
前記特徴量抽出手段は、前記センサヘッドから取得した前記3軸の加速度情報に関して、いずれかの軸で基準レベルを越えた加速度データが得られた時点を含む一定数の加速度データを抽出することで、固有振動数情報を取得し、
前記確率密度分布算出手段は、前記特徴量抽出手段で取得された前記固有振動数情報について周波数解析を行ってパワースペクトルを算出し、前記パワースペクトルが最も大きい周波数に相当する第1固有振動数と、前記パワースペクトルが2番目に大きい周波数に相当する第2固有振動数を算出し、前記第1固有振動数および前記第2固有振動数による2次元の直交座標として各軸の学習時および劣化診断時の2次元の確率密度分布を算出し、
前記判定手段は、3軸のそれぞれについて、劣化診断時の2次元の確率密度分布を学習時の2次元の確率密度分布で割ることで2次元の確率密度比を算出し、劣化診断のための評価値とし、3軸のうちの少なくともいずれか1つの軸において、前記評価値が許容振動基準値を超える場合には、前記構造物の振動が許容できないレベルに達していると判断する
構造物劣化診断システム。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の構造物劣化診断システムにおいて、
前記特徴量抽出手段により抽出された前記特徴量に対して、前記センサヘッドの取り付け方向を修正するキャリブレーション処理を行う誤差修正手段
をさらに備え、
前記確率密度分布算出手段は、前記誤差修正手段により前記キャリブレーション処理が施された後の特徴量に関して、前記基準用確率密度分布および診断用確率密度分布を算出する
構造物劣化診断システム。
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