JP2014228364A - ボア変形量測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
内燃機関のシリンダブロックに形成されるシリンダボアの変形量を計測するボア変形量測定装置であって、
シリンダ壁面に、指向性を有する光を照射する光源と、該光源から照射されシリンダ壁面の計測点で正反射する光を受光する受光面を備えた受光部とを配設し、
前記受光部の受光面で検出した受光位置と正反射光の受光基準位置とのずれを求める演算機構を備えたボア変形量測定装置である。
図1〜図3に、本発明の実施形態1を示す。本実施形態は、内燃機関のシリンダブロック81に形成されるシリンダボアの変形量を計測するボア変形量測定装置1であって、シリンダ壁面Wに、指向性を有する光を照射する光源2と、この光源2から照射されシリンダ壁面Wの計測点Pで正反射する光を受光する受光部3とを配設し、受光部3の受光面30で検出した受光位置と、予め記録されている正反射光の受光基準位置とのずれを求める演算機構4を備えている。
本発明のボア変形量測定装置が計測対象とするシリンダボアを形成する内燃機関は、特に限定するものではなく、内燃機関の本体としては、図1に示すように、シリンダブロック81と、シリンダヘッド82と、ピストン83とを備えている。ピストン83は、シリンダブロック81に形成されるシリンダ84内に往復自在に設けられている。ピストン83は、コネクティングロッドを介して、クランクシャフトに連結されている(図示省略)。クランクシャフトは、シリンダブロック81に回転自在に支持されおり、シリンダ84内においてシリンダ84の軸方向にピストン83が往復運動すると、コネクティングロッドがピストン83の往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換する。
光源2は、指向性を有する光を計測点Pに向けて照射することができるものであれば、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、レーザ発振器20と、レーザ発振器20と光ファイバ等の光伝路22によって接続される照射口21とから構成されている。レーザ発振器20は、照射するレーザの周波数、強度を調節する調節機構を備えるものが好ましく、燃焼室F内のガス雰囲気に応じてレーザの周波数、強度を調節する。照射するレーザ光は、計測点P及び受光面30でその強度がもっとも強くなるレーザウエスト部分となるようにレーザ波長を調節することが好ましい。レーザ発振器20から発振されるレーザを計測点Pに向けて照射する照射口21は、燃焼室Fの内壁面に形成される取付口に配設される。取付口は内燃機関の外部に配設するレーザ発振器と照射口とを接続するために、燃焼室Fと外部とを連通する挿通孔である。照射口21は、照射するレーザがシリンダ長手方向の中心軸Lと直交するように取り付ける。なお、照射するレーザの照射角度がシリンダ長手方向の中心軸Lと直交する角度(この角度を0°のレーザ照射角度とする。以下同じ。)から所定角度をもって計測点Pに向けて照射するように照射口21を配設することもできる。この場合、正反射光となる計測点Pからの反射光(反射レーザ)を受光する受光部3の取付位置をレーザ照射角度に応じて中心軸Lと平行方向に移動させる。通常、中心軸Lと直交し、計測点Pを含む平面内に光源2及び受光部3を配設することが好ましいが、シリンダブロック81の形状、冷却水路の位置等によってレーザ照射角度を0°とできない場合には、レーザ照射角度を任意の値として照射することができる。
受光部3は、光源2から照射され、計測点Pにおいて正反射する光(レーザ)の受光面30での受光位置を検出する。そして、受光面30の受光素子と電気的に接続した演算機構4によって、内燃機関を駆動する前の計測点Pの位置(以下、「基準計測点位置」という。)からの正反射光の受光位置(以下、「基準受光位置」という。)と内燃機関駆動時の計測点Pからの正反射光の受光位置とを比較し、基準受光位置からのずれを求める。基準受光位置のからのずれは、計測点Pの基準計測点からのずれに換算でき、計測点Pのボア変形量を求めることができる。具体的には、図2(b)に示すように、計測点Pが基準計測点位置からP’までΔLだけ外側に移動した場合、正反射する照射光ろ正反射光との対称軸に対する照射角度θとすると、基準受光位置からのずれΔxは、
Δx=(ΔL/tanθ)
で表される。
計測点Pは、対となる光源2及び受光部3を複数配設し、複数の箇所とすることが好ましい。ボア変形を高精度の計測するためには定点計測ではなく複数点計測を行うことが好ましいからである。
本実施形態のボア変形量測定装置は、実際に駆動している内燃機関のボア変形量をリアルタイムで計測することができる。この結果、種々の内燃機関の運転条件に対応したボアの変形量を知ることができる。
本実施形態のボア変形量測定装置は、光源2の照射口21と受光部3の受光面30とを所定間隔をもって配設した例を示したが、光源2の照射口21と受光部3の受光面30とを一体に構成することもできる。この場合、一体で取り付けたときに、隣接する照射口21と受光面30とが計測点Pに対して直交する向きとなるように構成する。
図4に、本発明の実施形態2を示す。本実施形態のボア変形量計測装置は、シリンダ壁面Wの油膜がボア変形量計測に与える影響を較正するための手段を付加した点が実施形態1とは異なる。実施形態1と共通する部分についての説明は省略する。
計測対象となるシリンダ壁面Wにはエンジンオイルが油膜として存在する。シリンダの中心軸Lと直交する同一平面内で計測する場合、光源2から照射する光は、油膜による屈折の影響を、照射口21を覆う油膜を通過する際、計測点を覆う油膜に入射する際と反射する際、受光面30を覆う油膜に入射する際のそれぞれで受けることとなる。油膜による光の屈折は、油膜の厚さによって変化する。そのため、予め静的な実験系で実際に使用する蛍光剤を加えたエンジンオイルをシリンダ壁面Wと同一素材の表面に所定の厚みで塗布し、実際に使用するレーザ光を照射して、屈折による正反射光の受光位置のずれを測定する。油膜厚さと屈折の関係は比例関係にあることから、この実験系から油膜厚さと屈折の関係を求め、計測中に測定した光源2、受光部3及び計測点Pの油膜の厚さに応じて、受光部3の受光位置のずれを較正する。
Io×(1−exp(−ECt))×(1+r)
Io:入射レーザの強度
E:油中における光の吸収係数
C:蛍光剤濃度
t:油膜厚さ
r:シリンダ壁面の反射率
で表される。
ここで、ECtが十分に小さい場合、(1−exp(−ECt))≒ECtとおける
従って、全光量は、
Io×(−ECt)×(1+r)
で表される。
この光によって誘起される全蛍光強度は、蛍光物質の発光効率をFqとした場合、
Fq×Io×(ECt)×(1+r)
となり、集光レンズ60と波長をカットするフィルタ61を介して光電子増倍管62に導いたとき、フィルタ61の透過率をFf、集光レンズ60の透過率をFl、集光レンズ60が油膜発光部を見込む立体角をSrとした場合、実際に光電子増倍管62が計測する発光強度は、
(Sr/4π)×Fl×Ff×Fq×Io×(1+r)×(ECt)
となり、光電子増倍管62の出力Sと油膜厚さtとの関係は、
S=Kt・・・(式1)
K=(Sr/4π)×Fl×Ff×Fq×Io×(1+r)×ECGa・・・(式2)
Ga:光電子増倍管62のゲイン
Kがこの計測システム全体のゲインとなる。そして、式2の右辺の各因子のうち、蛍光物質の発光効率Fq以外は光学系及び測定系を固定すれば一定となるから、既知である厚さの油膜を計測してKを求めた上で、式1を用いて、光電子増倍管62の出力から油膜厚さtを求めるものである。
本実施形態のボア変形量測定装置は、光源2、受光部3及び計測点Pを覆う油膜の影響によって生じる屈折を較正し、ボア変形量の計測を高精度に行うことができる。
本実施形態のボア変形量計測装置は、シリンダ壁面Wの傷がボア変形量計測に与える影響を較正するための手段を付加した点が実施形態1とは異なる。実施形態1〜2と共通する部分についての説明は省略する。
シリンダ壁面Wの表面には、ピストン83に取り付けられているピストンリング等によって細かい傷がつき表面粗さが一定とならない場合(表面粗さが大きくなる)がある。計測点Pの表面粗さが一定でない場合、1本のレーザ光の照射だけでは、ボア変形による計測点Pが移動したのか、表面粗さの影響によって計測点Pが移動したのかの違いを知ることができない。そのため、本実施形態における、ボア変形量測定装置は、光源2が、計測点Pに対して、計測点Pの近傍に複数の光を照射するように構成する。
本実施形態のボア変形量測定装置は、計測点Pの近傍に複数の光を照射し、それぞれの正反射光の受光位置でのずれを平均化することでボア変形量の計測を高精度に行うことができる。
本実施形態のボア変形量計測装置は、シリンダ内部で発生する燃焼ガス成分を検出するガス成分検出器をさらに備えるようにしている。実施形態1〜3と共通する部分についての説明は省略する。
光源2から照射する光を、計測点Pに対して直交するように照射するとともに、計測点Pからの反射が錯乱光となる光を選択する。そして、この錯乱光を、受光部3を構成する集光レンズと受光素子によって受光する。これにより、受光素子上の計測点の変化を光源2から受光素子までの距離及び内燃機関駆動前の光源2から計測点Pまでの距離(通常ボア径)から三角測量の原理により計測することができる。なお、この場合、上述した油膜対策を備えて計測することが好ましい。
2 光源
20 レーザ発振器
21 照射口
22 光伝路
3 受光部
30 受光面
31 光ファイバ
32 光検出器
4 演算機構
5 レーザ照射器
50 レーザ発振器
51 レーザ照射口
6 蛍光強度測定器
60 集光レンズ
60A 集光範囲
61 フィルタ
62 光電子増倍管
P 計測点
W シリンダ壁面
Claims (12)
- 内燃機関のシリンダブロックに形成されるシリンダボアの変形量を計測するボア変形量測定装置であって、
シリンダ壁面に、指向性を有する光を照射する光源と、該光源から照射されシリンダ壁面の計測点で正反射する光を受光する受光面を備えた受光部とを配設し、
前記受光部の受光面で検出した受光位置と正反射光の受光基準位置とのずれを求める演算機構を備えたボア変形量測定装置。 - 前記受光部の受光面が、イメージセンサである請求項1記載のボア変形量測定装置。
- 前記受光部が、複数の光ファイバの断面を束ねた受光面と各光ファイバに対応した光検出器とから構成される請求項1記載のボア変形量測定装置。
- 前記対となる光源及び受光部を複数配設し、
複数箇所の計測点を計測するようにした請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボア変形量測定装置。 - 前記光源が照射角度調整機構を備え、
予め定められた複数の照射角度に対応する位置に前記受光部を配設して、
複数箇所の計測点を計測するようにした請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボア変形量測定装置。 - 前記複数の計測点の範囲を、中心角が100°以上170°以下の円弧範囲内とした請求項4又は5記載のボア変形量測定装置。
- 前記光源及び受光部が、シリンダ壁面に埋設されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のボア変形量測定装置。
- 前記燃焼室に供給するエンジンオイルに蛍光物質を加え、レーザを照射するレーザ発振器及びレーザ照射口を備えたレーザ照射器と、集光レンズ、フィルタ及び光電子増倍管を備えた蛍光強度測定器とによってレーザ誘起蛍光法を用いてシリンダ内壁面に形成されるエンジンオイルの油膜の厚さを計測する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のボア変形量測定装置。
- 前記計測点、光源及び受光部の位置を覆う油膜の厚さを測定する請求項8記載のボア変形量測定装置。
- 前記光源は、計測点に対して、該計測点の近傍に複数の平行光を照射する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のボア変形量測定装置。
- 前記光源は1の入力光を複数の平行な出力光に分岐させる分光レンズを備えた請求項10記載のボア変形量測定装置。
- 前記ボア内に、シリンダ内部で発生する燃焼ガス成分を検出するガス成分検出器を配設し、ガス成分に応じて検出する受光位置の値を較正する請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のボア変形量測定装置。
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