JP2014228196A - 伝熱管の使用温度推定方法および伝熱管の保守方法 - Google Patents

伝熱管の使用温度推定方法および伝熱管の保守方法 Download PDF

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【課題】簡便で確実な伝熱管の使用温度推定方法を提供する。【解決手段】使用前の伝熱管2に温度推定管1を固定して伝熱管2を使用し、点検時毎に温度推定管1を取り外して、温度推定管1の運転後の析出物の単位面積中に占める面積率、個数密度あるいは平均サイズを計測し、予め求めている析出物の面積率、個数密度、あるいは平均サイズと運転時間と使用温度の関係から、温度推定管1を固定していた伝熱管2の使用温度を推定する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばボイラ装置用熱交換器などに用いる伝熱管の使用温度推定方法に係り、特に伝熱管のメタル温度を簡便にかつ確実に推定できる有効な使用温度推定方法に関するものである。
近年、火力発電用ボイラ装置においては、経済性の向上および温室ガス排出抑制の観点から、発電プラントの効率を向上させるために蒸気条件が高温、高圧化する傾向にあり、高温・高圧の条件下でオーステナイト系鋼材からなる伝熱管が多数使用されている。
例えば火炉上部に設置されている過熱器は、その過熱器の外側を約1200℃の高温の燃焼排ガスが流れており、過熱器(伝熱管)の内部には温度が約650℃、圧力が約25MPaの高温・高圧の過熱蒸気が流通している。
このような高温耐圧部に使用される部材は、高温運転中に腐食やクリープ損傷を受けて、材質が劣化することが知られている。このような材料の損傷と劣化は、実機使用中に受けた応力、使用温度および時間によって支配されるものである。一般に伝熱管の場合、ボイラ装置の運転記録から応力と使用時間は求められるが、温度に関しては運転状況によって変動があるため、設計温度に対する偏差が生じる場合があり、精度が低い。
従って、過熱器や再熱器などに使用している伝熱管の余寿命診断を高精度に行うためには、特に伝熱管の温度履歴を高精度に評価する必要があった。しかしながら、前述のように高温環境下での使用となるため、現状では稼働中のボイラ炉内で多数の伝熱管のメタル温度を簡単に計測することが非常に困難であった。
従来、特開2006−300601号公報(特許文献1)には、火力発電プラントで用いられるボイラ装置の伝熱管など、高温で使用される機器に用いられる鋼材の使用温度を推定する方法として、一定時間に使用した鋼材の評価部位に析出した析出物について、使用時間の経過に伴い含有率が増加する増加型元素(例えばCr、Ni、Ti、Mo、W、C、N、NbおよびVなど)の含有率を測定して、評価部位の使用温度を推定する方法が記載されている。
また、汎用性かつ簡便な温度推定手法としては、使用後の伝熱管材の硬さ変化を利用する方法もあり、例えば特開2003−344261号公報(特許文献2)には、材料の時効硬化による硬さの変化に基づいて、鋼材の使用温度を推定する方法が記載されている。
さらに、鋼材の材質劣化診断方法として、例えば特開昭63−281043号公報(特許文献3)や特開2004−309259号公報(特許文献4)などを挙げることができる。
特開2006−300601号公報 特開2003−344261号公報 特開昭63−281043号公報 特開2004−309259号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載されている鋼材の使用温度を推定する方法では、実際に用いられているボイラ伝熱管材のオーステナイト系鋼材では、主要析出物は炭化物であり、析出および成長が早く、ボイラ装置の通常点検期間である2年または3年より前で析出量は飽和状態に達する。このため炭化物の析出が飽和した後では、炭化物の析出量の変化は殆どないため、析出量の変化から鋼材の使用温度の推定は行えない。
図9は、オーステナイト系鋼の伝熱管における炭化物からなる析出物の時間と析出量との関係を示す特性図である。この図から明らかなように、炭化物の析出量はボイラ装置の点検時期(通常は2年または3年)には飽和状態(S1)に達しており、点検時期を過ぎての変化を捉えることが困難であることが分かる。なお、この図9において析出量は、析出物の面積率から算出している。
また、前記特許文献2に記載されている鋼材の使用温度を推定する方法では、オーステナイト系鋼の時効硬化も主に炭化物の析出によるもので、前述した炭化物の析出飽和と同様に硬さも短時間で飽和状態に達すため、時効初期以降には硬さからの温度推定は行えない。
図10は、オーステナイト系鋼の伝熱管における時間と硬さとの関係を示す特性図である。この図から明らかなように、伝熱管材の硬さはボイラ装置の点検時期(通常は2年または3年)時には上限(HV1)に達しており、点検時期を過ぎての硬さの変化を捉えることが困難であることが分かる。なお、この図10において、硬さはビッカース硬さ(HV)である。
前述のようにボイラ装置の伝熱管材としてオーステナイト系鋼材などが用いられているが、高温でしかも腐食環境下での使用となるため、ボイラ装置運転中の伝熱管のメタル温度を簡便にかつ確実に推定できる有効な手段はないのが現状である。
本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、汎用性のある簡便でかつ確実な伝熱管の使用温度推定方法および伝熱管の保守方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、
オーステナイト系鋼材からなる伝熱管の使用前にその伝熱管にNi基合金あるいはFe−Ni基合金からなる温度推定部材(後述する温度推定管あるいは外付け温度推定部材)を取り付けてから前記伝熱管を使用し、
前記伝熱管の点検で使用停止時毎に前記温度推定部材を前記伝熱管から取り外し、その取り外した前記温度推定部材と同材質の新たな温度推定部材を前記伝熱管に取り付けてから前記伝熱管を使用し、
取り外した前記温度推定部材の運転後の析出物の単位面積中に占める面積率、あるいは析出物の単位面積中に占める個数密度、あるいは析出物の平均サイズを電子顕微鏡で計測し、予め求めておいた析出物の面積率、あるいは個数密度、あるいは平均サイズと運転時間と使用温度の関係を示す情報から各運転時間での温度推定部材の熱履歴を求めて、前記温度推定部材を取り付けた前記伝熱管の使用温度を推定することを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記Ni基合金あるいはFe−Ni基合金がチタン(Ti)およびアルミニウム(Al)、あるいはタングステン(W)を含有し、前記析出物がγ´相あるいはLaves相であることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、
前記Ni基合金あるいはFe−Ni基合金が予め固溶化熱処理されていることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第1ないし第3の手段のいずれかの手段において、
前記伝熱管の一部を切除して、その切除部に前記伝熱管と同じ形状をした管状の前記温度推定部材を挿入して取り付けてから前記伝熱管を使用し、
前記伝熱管の点検で使用停止時毎に前記温度推定部材を前記伝熱管から切除し、その抜管した前記温度推定部材と同材質、同形状の新たな温度推定部材を前記伝熱管に取り付けてから前記伝熱管を使用することを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第1ないし第3の手段のいずれかの手段において、
前記伝熱管の表面の一部に前記温度推定部材を取り付けてから前記伝熱管を使用し、
前記伝熱管の点検で使用停止時毎に前記温度推定部材を前記伝熱管から取り外し、その取り外した前記温度推定部材と同材質の新たな温度推定部材を前記伝熱管の表面の一部に取り付けてから前記伝熱管を使用することを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第1ないし第3の手段のいずれかの手段において、
前記多数本の伝熱管を互いに平行に配置して伝熱管列を構成して、その伝熱管列の燃焼排ガスの流れ方向最上流側の伝熱管に前記温度推定部材を取り付けたことを特徴とするものである。
本発明の第7の手段は前記第1、第4、第5のいずれかの手段において、
前記温度推定部材を前記伝熱管に溶接で取り付けて、前記伝熱管の使用後に前記温度推定部材を前記伝熱管から取り外す際に、溶接部が伝熱管に残らないように溶接部を除去することを特徴とするものである。
本発明の第8の手段は伝熱管の保守方法において、
前記第1ないし第7の手段のいずれかの手段の伝熱管の使用温度推定方法により前記伝熱管の使用温度を推定して、推定された使用温度が予め設定されている伝熱管の許容値を超えている場合に、前記伝熱管の保守(例えば伝熱管の交換や保護など)を行うことを特徴とするものである。
本発明は前述のような構成になっており、汎用性のある簡便でかつ確実な伝熱管の使用温度推定方法および伝熱管の保守方法を提供することができる。
本発明の実施例1に係る伝熱管の使用温度推定方法を説明するための構造図である。 本発明の実施例1において、ボイラ装置の点検時に抜管した温度推定管の断面を電子顕微鏡で観察した組織を2値化画像処理して示した模式図である。 使用温度の推定のために用いる線図の一例であり、図3(1)は析出物の面積率とボイラ運転時間と温度の関係を示した線図、図3(2)は析出物の個数密度とボイラ運転時間と温度の関係を示した線図、図3(3)は析出物の平均サイズとボイラ運転時間と温度の関係を示した線図である。 本発明の実施例1に係る温度推定手順の一例を示す説明図である。 本発明の実施例2に係る外付け温度推定部材を固定した伝熱管の一部拡大正面図である。 図5X−X線上の断面図である。 本発明の実施例3に係る外付け温度推定部材を固定した伝熱管の一部拡大正面図 である。 図7Y−Y線上の断面図である。 オーステナイト系鋼の伝熱管における炭化物からなる析出物の時間と析出量との関係を示す特性図である。 オーステナイト系鋼の伝熱管における時間と硬さとの関係を示す特性図である。
次に本発明の各実施例を図面と共に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る伝熱管(列)の使用温度推定方法を説明するための構造図である。
図1(1)に示すように、多数本の伝熱管2を互いに平行に配置して、超々臨界圧プラントに用いる過熱器の伝熱管列4を構成している。この伝熱管列4の外側を約1200℃の高温の燃焼排ガスGが流れ、過熱器(伝熱管2)の内部には温度が約650℃、圧力が約25MPaの高温・高圧の過熱蒸気が流通することになる。
この伝熱管列4における燃焼排ガスGの流れ方向最上流側の伝熱管2を所定の長さに切断して、切除部10を形成する。この切除部10の長さは、後述する理由から100mm以上が好ましい。図1(1)は、伝熱管2の一部を切断して、切除部10を形成した状態を示している。
前記切除部10に温度推定管1を挿入する。この温度推定管1は、伝熱管2と同一の内径ならびに外径を有している。前記伝熱管2は、高強度のオーステナイト系鋼材で構成されている。
前記温度推定管1としては、伝熱管2の使用中において組織中に析出物として金属間化合物が析出するが、その金属間化合物が例えば2年あるいは3年間の定期点検期間内に飽和状態に達しない、例えばLaves相(FeW)やγ´相(NiAl、NiTi)等の金属間化合物を有するNi基合金あるいはFe−Ni基合金、または、前記Ni基合金あるいはFe−Ni基合金を固溶化熱処理したものを使用する。
なお、温度推定管として、Ni基合金あるいはFe−Ni基合金を固溶化熱処理したものを使用してもよいとしたのは、未使用の材料でも製造過程での加工や熱処理により組織にばらつきがあることが考えられるから、固溶化熱処理を行うことで組織が微細化及び均一化され、信頼性の高い温度推定を行うことができるという理由からである。
Ni基合金あるいはFe−Ni基合金の固溶化熱処理は、処理温度が約1150〜1250℃で、処理時間が約1〜5時間である。
前記温度推定管1として使用できるのは、前記Ni基合金あるいはFe−Ni基合金の高温強度が高い材料のうち、さらに長期間(例えば約2〜3年間)に亘って金属間化合物の析出が飽和状態に達しない安定した組織を有したものである。
下記の表1は本実施例で使用されるFe−Ni基合金製温度推定管1の組成の一例を示す表、表2は本実施例で使用されるオーステナイト系鋼からなる伝熱管2の組成の一例を示す表である。
前記表1に示されている温度推定部材の場合は、タングステン(W)を6.0〜9.0重量%含有しており、合金の組織内にLaves相(FeW)が析出する。その他に温度推定部材としてチタン(Ti)およびアルミニウム(Al)を含有したNi基合金あるいはFe−Ni基合金を用いることも可能である。この場合、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)を含有率は、チタン(Ti)が0.1〜5.0重量%、アルミニウム(Al)が0.1〜5.0重量%であり、合金の組織内にγ´相(NiAl、NiTi)が析出する。チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)を含有した温度推定部材の組成例を下記の表3に示す。
図1(2)は、前記切除部10に温度推定管1を挿入して、温度推定管1と伝熱管2の接合部を溶接した状態を示している。図中の符号3は溶接部を示している。このように温度推定管1と伝熱管2を連結した状態でボイラ装置の運転を開始する。
次に図1(3)に示すように、時間t経過後の伝熱管点検による運転停止時に前記伝熱管2と溶接部3の所で切断し、溶接部3付きの温度推定管1を切り出して抜管する。この温度推定管1の抜管時に溶接部3が伝熱管2側に残らないように、溶接部3を完全に除去する。溶接部3の一部が伝熱管2側に残ったままで再びボイラ装置を運転すると、伝熱管2に欠陥が生じる原因となるから、溶接部3は完全に除去する必要がある。
そして、前記温度推定管1の運転後の析出物の単位面積中に占める面積率、または析出物の個数密度、または析出物の平均サイズ(平均長さ)を温度推定管1の切断面を電子顕微鏡組織観察で計測する。
さらに、予め求めておいた析出物の面積率、析出物の個数密度、または析出物サイズと運転時間と使用温度の関係を表す線図(図3(1)、(2)、(3)参照)から、各運転時間での温度推定管1の熱履歴を求めることにより、前記温度推定管1を挿入した伝熱管2または該伝熱管2と同列にある他の伝熱管2の使用温度を推定することができる。
図1(2)に示すように、伝熱管列4における燃焼排ガスGの流れ方向最上流側の伝熱管2に温度推定管1を取り付けた理由は、最上流側の伝熱管2よりも燃焼排ガス流れ方向後方の伝熱管2に温度推定管1を取り付けると、前方の伝熱管2の存在により温度推定管1に対する燃焼排ガスGの当たり具合が異なり、適正な温度推定ができないことと、最上流側の伝熱管2に温度推定管1を取り付けることにより、伝熱管列4の中で最も高い温度を推定することができるからである。
前記温度推定管1の抜管部11(図1(3)参照)には図1(4)に示すように、前記温度推定管1と同材質で、同一形状の未使用の新温度推定管5を溶接6で取付ける。
挿入される新温度推定管5の長さとしては、抜管した前記温度推定管1と必ずしも同一長さにする必要は無いが、同一長さとした場合は新温度推定管5を抜管部11に取り付けるのにほぼそのまま置き換えが可能となる。なお、温度推定管の最低限の長さとしては、抜管後の組織観察および現地取り付け溶接のことを考慮し、100mm以上が好ましい。
図2は、前述のようにして約3年ボイラ装置を運転した後に抜管した温度推定管の断面を電子顕微鏡で観察した組織を2値化画像処理して示した模式図である。
前記温度推定材が高温に曝されて時間が経過すると、金属間化合物として、例えばLaves相やγ´相などがNi基合金あるいはFe−Ni基合金の組織内に強化相として析出してくる。図2では析出物を黒色で示している。
これらの析出物の状態を計測して前記面積率、個数密度または析出物サイズなどで定量化することにより、析出特性が精度よく求められる。
前述のように、温度推定管としてNi基合金あるいはFe−Ni基合金のうち、金属間化合物として強化相の析出物(Laves相やγ´相)を析出するものを使用する。さらにNi基合金あるいはFe−Ni基合金の固溶化熱処理材を使用すれば、組織を微細化および均一化することができるので温度推定の精度が向上する。
これらの合金では、析出物(Laves相やγ´相)は新材の状態およびボイラ装置での使用初期段階には析出せず、高温使用での数ヶ月後から析出し始め、法律で定められた2年または3年の定期点検時期に最も急な立ち上がりの勾配になり、その後は勾配が低くなり、10年後後にほぼ勾配がゼロに近づいていく(図3(1)など参照)。
例えば、代表的な材料例であるFe−Ni基合金(Ni23wt%、Cr7wt%、W)の場合(前記表1に示している合金とは異なる)、700℃の析出物であるLaves相の析出飽和時間は9万時間以上である。
図3は使用温度の推定のために用いる線図の一例であり、図3(1)は析出物の面積率(縦軸)とボイラ運転時間(横軸)と温度T1,T2,T3(図中)の関係を示した線図、図3(2)は析出物の個数密度(縦軸)とボイラ運転時間(横軸)と温度T4,T5,T6(図中)の関係を示した線図、図3(3)は析出物の平均サイズ(縦軸)とボイラ運転時間(横軸)と温度T7,T8,T9(図中)の関係を示した線図である。
この図3に示すように、析出物の面積率、個数密度、サイズと温度との間には相関関係があり、析出物の面積率、個数密度、サイズなどを計測することによって、伝熱管の使用温度を推測することが可能である。
図3に示すように、通常の実機点検期間t1において実機での使用時間と析出物に対する温度の析出特性曲線(図中の温度T1〜T9曲線参照)の勾配が最も大きい範囲にあるため、実機より抜管した温度推定管の析出物特性を計測すれば、予め当該部材のラボ試験で作成した図3の実機での使用時間と析出物に対する使用温度の析出特性曲線の関係線図から容易に高精度の使用温度の推定することができる。
図3で示した実機での使用時間と析出物に対する温度の析出特性曲線は、実験室的な時効試験やクリープ試験を多数行って図3の曲線を得ることが望ましいが、複数の温度条件の実験データに基づき、解析や理論式・経験式を使用して任意の温度における析出特性曲線を求めても良い。
本実施例では析出特性曲線を記した線図を用いて、その線図から使用温度を推測したが、析出特性曲線を記した線図を用いないで、析出物の面積率−ボイラ運転時間−各温度の関係データ、析出物の個数密度−ボイラ運転時間−各温度の関係データ、析出物の平均サイズ−ボイラ運転時間−各温度の関係データを数多くパソコン内に蓄積しておき、計測した面積率、個数密度、平均サイズを入力して、前記関係データに基づいて使用温度をパソコンから出力することも可能である。
図4は、本発明の実施例1に係る温度推定手順の一例を示す説明図である。
この例では、点検時期t1で温度推定管1aを抜管し、点検時期t2で温度推定管1bを抜管し、点検時期t3で温度推定管1cを抜管した例を示しており、従って前記温度推定管1aは期間t1の使用温度を推定するために、前記温度推定管1bは期間(t2−t1)の使用温度を推定するために、前記温度推定管1cは期間(t3−t2)の使用温度を推定するために使用される。
点検毎に抜管された温度推定管1a〜1cの実機運転後の析出物の単位面積中に占める面積率を電子顕微鏡組織観察で計測し、予めラボ試験および解析で求めた析出物の面積率と使用温度の関係を表す線図から各時期での温度推定管1の熱履歴を求め、同列にある伝熱管2(図1参照)の同時期における実機使用温度を推定することができる。
図4の例では、時期t1で抜管した温度推定管1aの析出物の面積率はS1であったから、同列にある伝熱管2の同時期における実機使用温度はT1であったと推定され、同様に、時期t2で抜管した温度推定管1bの析出物の面積率はS2であったから、同列にある伝熱管2の同時期における実機使用温度はT2であったと推定され、さらに時期t3で抜管した温度推定管1cの析出物の面積率はS3であったから、同列にある伝熱管2の同時期における実機使用温度はT3であったと推定される。
この実施例では実機運転後の析出物の単位面積中に占める面積率を計測したが、他に析出物の個数密度や平均サイズを計測して、使用温度との関係線図を使っても同様に使用温度の推定ができる。
なお、伝熱管2の材質としてNi基合金を使用した場合、温度推定用管1の材質もNi基合金を用い、伝熱管2の材質としてFe−Ni基合金を使用した場合、温度推定用管1の材質もFe−Ni基合金を用いた方が、熱膨張、熱収縮などの特性が近似するため好ましい。このことは後述する実施例2、3においても同様のことである。
前記実施例1は、伝熱管2と同一形状の温度推定用管1を伝熱管2に挿入、溶接して使用温度を推定する方法であるが、図5ならびに図6に示す実施例2では、伝熱管2と同一形状の温度推定管1は用いず、伝熱管2の外表面に板状の外付け温度推定部材7を溶接により固定する。溶接部8は、外付け温度推定部材7の全周に施される。
図5は外付け温度推定部材7を固定した伝熱管2の一部拡大正面図、図6は図5X−X線上の断面図である。外付け温度推定部材7の大きさは、現場の溶接施工・取り付けや抜管後の組織観察が可能な程度の面積があれば十分で、例えば50mm×50mm×5mmでよい。
伝熱管2の点検で使用停止時に前記溶接部8を切削除去して外付け温度推定部材7を前記伝熱管2から取り外し、その取り外した前記外付け温度推定部材7と同材質の新たな外付け温度推定部材7を前記伝熱管2に取り付けてから伝熱管2を使用する。前記溶接部8を切削除去する際には、溶接部8が伝熱管2上に残らないように完全に除去される。
そして取り外した外付け温度推定部材7を適当な大きさに切断して、運転後の析出物の単位面積中に占める面積率、析出物の個数密度、または析出物の平均サイズ(平均長さ)を計測するため、外付け温度推定部材7の切断面を電子顕微鏡で組織観察する。
図7ならびに図8は本発明の実施例3を説明するための図で、図7は外付け温度推定部材7を固定した伝熱管2の一部拡大正面図、図8は図7Y−Y線上の断面図である。
この実施例3では、例えば締結バンド9とボルト12からなる着脱可能な固定金具を用いて、伝熱管2の外表面に外付け温度推定部材7を固定する。
この実施例3では、外付け温度推定部材7の取り付け、取り外しが容易である。また、外付け温度推定部材7を伝熱管列4の複数個所に取り付けることも可能である。長方形の外付け温度推定部材7自体を締結バンド9として用い、それをボルト12で伝熱管2の外表面に固定することも可能である。
前記実施例では温度推定部材の運転後の析出物の面積率、個数密度、平均サイズの何れか1つを計測して伝熱管の使用温度を推測したが、複数の、例えば面積率と個数密度、面積率と平均サイズ、個数密度と平均サイズあるいは面積率と個数密度と平均サイズを計測して伝熱管の使用温度をより高精度で推測することも可能である。
本発明によって伝熱管の使用温度を推定して、推定された使用温度が予め設定されている許容値を超えている場合には、その伝熱管(熱交換器)の保守を行う。伝熱管(熱交換器)の保守として具体的には、例えばボイラ装置の運転条件の変更、温度上昇防止策としてのプロテクタなどによる伝熱管(熱交換器)の保護、伝熱管(熱交換器)自体の交換、あるいは伝熱管の内部に生成・堆積しているスケールの酸洗い除去などが実施される。
また、伝熱管の使用温度を推定して、その伝熱管(熱交換器)の余寿命診断を行うこともできる。
1:温度推定管、
2:伝熱管、
3:温度推定管と伝熱管の溶接部、
4:伝熱管列、
5:新温度推定管、
6:新温度推定管と伝熱管の溶接部、
7:外付け温度推定部材、
8:外付け温度推定部材と伝熱管の溶接部、
9:締結バンド、
10:切除部、
11:抜管部、
12:ボルト、
G:燃焼排ガス。

Claims (8)

  1. オーステナイト系鋼材からなる伝熱管の使用前にその伝熱管にNi基合金あるいはFe−Ni基合金からなる温度推定部材を取り付けてから前記伝熱管を使用し、
    前記伝熱管の点検で使用停止時毎に前記温度推定部材を前記伝熱管から取り外し、その取り外した前記温度推定部材と同材質の新たな温度推定部材を前記伝熱管に取り付けてから前記伝熱管を使用し、
    取り外した前記温度推定部材の運転後の析出物の単位面積中に占める面積率、あるいは析出物の単位面積中に占める個数密度、あるいは析出物の平均サイズを電子顕微鏡で計測し、予め求めておいた析出物の面積率、あるいは個数密度、あるいは平均サイズと運転時間と使用温度の関係を示す情報から各運転時間での温度推定部材の熱履歴を求めて、前記温度推定部材を取り付けた前記伝熱管の使用温度を推定することを特徴とする伝熱管の使用温度推定方法。
  2. 請求項1に記載の伝熱管の使用温度推定方法において、
    前記Ni基合金あるいはFe−Ni基合金がチタン(Ti)およびアルミニウム(Al)、あるいはタングステン(W)を含有し、前記析出物がγ´相あるいはLaves相であることを特徴とする伝熱管の使用温度推定方法。
  3. 請求項1または2に記載の伝熱管の使用温度推定方法において、
    前記Ni基合金あるいはFe−Ni基合金は固溶化熱処理されていることを特徴とする伝熱管の使用温度推定方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の伝熱管の使用温度推定方法において、
    前記伝熱管の一部を切除して、その切除部に前記伝熱管と同じ形状をした管状の前記温度推定部材を挿入して取り付けてから前記伝熱管を使用し、
    前記伝熱管の点検で使用停止時毎に前記温度推定部材を前記伝熱管から切除し、その抜管した前記温度推定部材と同材質、同形状の新たな温度推定部材を前記伝熱管に取り付けてから前記伝熱管を使用することを特徴とする伝熱管の使用温度推定方法。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の伝熱管の使用温度推定方法において、
    前記伝熱管の表面の一部に前記温度推定部材を取り付けてから前記伝熱管を使用し、
    前記伝熱管の点検で使用停止時毎に前記温度推定部材を前記伝熱管から取り外し、その取り外した前記温度推定部材と同材質の新たな温度推定部材を前記伝熱管の表面の一部に取り付けてから前記伝熱管を使用することを特徴とする伝熱管の使用温度推定方法。
  6. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の伝熱管の使用温度推定方法において、
    前記多数本の伝熱管を互いに平行に配置して伝熱管列を構成して、その伝熱管列の燃焼排ガスの流れ方向最上流側の伝熱管に前記温度推定部材を取り付けたことを特徴とする伝熱管の使用温度推定方法。
  7. 請求項1、4、5のいずれか1項に記載の伝熱管の使用温度推定方法において、
    前記温度推定部材を前記伝熱管に溶接で取り付けて、前記伝熱管の使用後に前記温度推定部材を前記伝熱管から取り外す際に、溶接部が伝熱管に残らないように溶接部を除去することを特徴とする伝熱管の使用温度推定方法。
  8. 前記第1ないし7のいずれか1項に記載の伝熱管の使用温度推定方法により前記伝熱管の使用温度を推定して、推定された使用温度が予め設定されている伝熱管の許容値を超えている場合に前記伝熱管の保守を行うことを特徴とする伝熱管の保守方法。
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