JP2014226611A - 重金属の吸着層用母材、重金属の吸着層用資材、および、これらを用いた吸着層工法 - Google Patents

重金属の吸着層用母材、重金属の吸着層用資材、および、これらを用いた吸着層工法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、多量に発生する重金属を含む被処理物の処理に適し、しかも処理コストが低い吸着層工法等を提供する。
【解決手段】本発明は、SiOの含有率が70〜90質量%、およびAlの含有率が5〜15質量%である頁岩からなる重金属の吸着層用母材と、前記重金属の吸着層用母材1mあたり重金属吸着材を10〜200kg含む重金属の吸着層用資材と、重金属の吸着層用母材、または重金属の吸着層用資材を敷設してなる重金属吸着層の上に、重金属を含む被処理物を載置する工程を含む吸着層工法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸着層工法に用いる重金属の吸着層用母材、該母材と重金属吸着材を含む重金属の吸着層用資材、および吸着層工法に関する。なお、本発明でいう重金属は、重金属のほかにフッ素およびホウ素を含む概念である。
のり面掘削やトンネル掘削等で発生する土壌や岩砕(ずり)は、自然由来の重金属を多く含む場合がある。かかる土壌等からは、往々にして重金属が環境基準を超えて溶出しやすい。
従来、自然由来の重金属は、土壌汚染対策法の規制の対象外であったが、平成22年度の法改正により規制対象になった。そのため、重金属を多く含む土壌等(被処理物)が多量に発生する工事では、重金属の処理費がかさみ、総工事費が増大する一因になっている。
ところで、重金属の処理(拡散抑制)方法は、おもに不溶化工法と吸着層工法が用いられてきた。
これらのうち、不溶化工法は、重金属を含む土壌等に天然鉱物等の重金属吸着材を混合して、重金属の溶出を抑制する工法である。
また、吸着層工法は、後掲の図1に示すように、重金属吸着材と砂等の母材の混合物を敷設して構成した重金属吸着層の上に、重金属を含む土壌等を盛土し、さらに該盛土の上を、覆土やアスファルト舗装で覆う工法である。吸着層工法は、降雨等により盛土内に浸透した水に盛土中の重金属が溶出しても、下方の重金属吸着層が該重金属を吸着して重金属の拡散を防止でき、不溶化工法と比べ低コストである。
そこで、吸着層工法を用いた土壌中の重金属の拡散抑制方法が、いくつか提案されている。
例えば、特許文献1には、汚染物質吸着マットを用いた、掘り起こし残土に含まれる汚染物質の処理方法が提案されている。そして、該吸着マットは、汚染物質を吸着する吸着剤を含む吸着資材層と、前記吸着資材層の上方に配置される第1シートと、前記吸着資材層の下方に配置される第2シートとを備え、前記第1シート、前記吸着資材層、および前記第2シートを縫製することにより、全体にわたって厚みの不均一性を抑制し、一定以上の厚さが維持できるとされている。
また、特許文献2には、汚染物質吸着資材を用いた、掘り起こし残土の処理方法が提案されている。そして、該吸着資材は、保水性を有する無機資材に、汚染物質を吸着するスラリー状の吸着剤を含浸させてなるものである。
さらに、特許文献3には、特別に作製した不溶化剤を、汚染されていない土壌と混合して敷土とし、その上部に重金属による汚染土壌を盛土として構成する重金属汚染土壌の不溶化処理方法が提案されている。そして、前記不溶化剤は、珪藻土を含有する鉱物粒子の存在下で、オキシ塩化ジルコニウム、消石灰、および水を添加して生成する水酸化ジルコニウムと該鉱物粒子の複合体である。
しかし、特許文献1の汚染物質吸着マットは縫製して製造するための手間がかかり、特許文献2の汚染物質吸着資材は、無機資材にスラリー状の吸着剤を含浸して製造するための手間がかかる。また、特許文献3の不溶化剤は製造の手間のほか、レアメタルであるジルコニウム化合物を用いるため材料コストが格段に高い。
したがって、前記文献の方法は、多量に発生する土壌等の処理に用いる場合、実用性が高いとは言えない。
特開2013−059724号公報 特開2012−254432号公報 特開2012−110852号公報
よって、本発明の課題は、重金属の吸着除去効果が高く、かつ、多量に発生する土壌等の処理に用いても処理コストが低い、重金属の吸着層用母材、該母材と重金属吸着材を含む重金属の吸着層用資材、および、これらを用いた吸着層工法を提供することである。
そこで、本発明者らは、以下の予想のもとに検討をおこなった。
(1)重金属吸着層において構成比率が最も高く、したがって、占有体積が最も大きな母材自体による重金属の吸着性能は、母材の材料設計上、重要な因子になると予想し、母材単独での重金属の吸着性能を検討した。次に、
(2)重金属含有水が重金属吸着層に滞留する時間が長いほど、重金属の吸着除去量は増加すると予想した。そして、該滞留時間の長い重金属吸着層の材料設計に重要な因子を見い出すため、重金属吸着層の透水性能を、重金属吸着材の添加量、母材の粗粒率、母材の粒度分布指数、および重金属吸着層の締固め度等の観点から種々検討した。さらに、
(3)前記検討により見い出した各因子をもとに、重金属吸着層を構成し、実環境を模した透水試験を実施して、該重金属吸着層は重金属の溶出抑制効果が高いことを確認した。
なお、これらの検討内容とその結果の詳細は、後記の実施例において説明する。
以上の結果から、下記の構成を有する重金属の吸着層用母材等は、前記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
[1]SiOの含有率が70〜90質量%、およびAlの含有率が5〜15質量%である頁岩からなる、重金属の吸着層用母材。
[2]前記頁岩の粗粒率が2.0〜6.0である、前記[1]に記載の重金属の吸着層用母材。
[3]前記頁岩の粒度分布指数が1.20〜1.60である、前記[1]または[2]に記載の重金属の吸着層用母材。
[4]前記重金属の吸着層用母材1mあたり重金属吸着材を10〜200kg含む、重金属の吸着層用資材。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の重金属の吸着層用母材、または重金属の吸着層用資材を敷設してなる重金属吸着層の上に、重金属を含む被処理物を載置する工程を含む、吸着層工法。
なお、前記重金属を含む被処理物は、のり面掘削やトンネル掘削等で発生する、重金属を含有する土壌や岩砕を含む概念である。
[6]前記重金属吸着層の締固め度が80%以上である、前記[5]に記載の吸着層工法。
[7]前記重金属吸着層の簡易透水係数が1.0×10−3m/s以下である、前記[5]または[6]に記載の吸着層工法。
なお、前記簡易透水係数は、JIS A 1218「土の透水試験方法」に規定されている透水係数とは異なり、後記の実施例等に記載された簡易な透水試験により測定して得た値と下記(3)式を用いて求めた、土の透水性を評価する指標である。
本発明の重金属の吸着層用母材は、母材単独でも重金属の吸着除去効果が高く、本発明の重金属の吸着層用資材は、さら重金属の吸着除去効果が高い。
また、本発明の吸着層工法は、多量に発生する重金属を含む被処理物の処理に適し、しかも処理コストが低い。
吸着層工法の概要を示す図である(図は北海道環境保全協会が発行した吸着層工法設計マニュアルから引用)。
以下に、本発明の重金属の吸着層用母材、重金属の吸着層用資材、および吸着層工法について説明する。
1.重金属の吸着層用母材
該母材は、SiOの含有率が70〜90質量%、およびAlの含有率が5〜15質量%である頁岩である。SiOおよびAlの含有率が前記範囲内にあれば、後掲の表3と表7に示すように、重金属の吸着除去効果が高い。前記頁岩のSiOの含有率は、好ましくは75〜90質量%、より好ましくは75〜85質量%であり、前記頁岩のAlの含有率は、好ましくは7〜13質量%、より好ましくは9〜12質量%である。
なお、本発明において吸着対象である重金属は、カドミウム(Cd2+)、鉛(Pb2+)、およびニッケル(Ni2+)等の陽イオン種、セレン(SeO 2−、SeO 2−)、フッ素(F)、六価クロム(CrO 2−、Cr 2−)、ヒ素(AsO 3−、AsO 3−)、ホウ素(B 2−)、モリブデン(MoO 2−)、アンチモン(SbO )、シアン(CN)等の陰イオン種、並びに、水銀およびアルキル水銀等の中性種が挙げられる。
該頁岩の粒径は特に制限されないが、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下、とくに好ましくは20mm以下である。該粒径が50mmを超えると重金属吸着材と均一に混合することが難しくなる。
また、前記頁岩の粗粒率は、好ましくは2.0〜6.0である。粗粒率が前記範囲内であれば、表9に示すように、簡易透水係数が小さく、重金属含有水が母材と接する時間が長くなり、重金属の吸着除去効果が向上する。前記頁岩の粗粒率は、より好ましくは2.5〜5.5、さらに好ましくは3.0〜5.5、特に好ましくは3.5〜5.0である。
また、前記頁岩の粒度分布指数は、好ましくは1.20〜1.60である。粒度分布指数が前記範囲内にあれば、表2と表7に示すように、重金属の吸着除去効果が向上する。前記粒度分布指数は、より好ましくは1.25〜1.55、さらに好ましくは1.30〜1.50、特に好ましくは1.35〜1.45である。
前記粒度分布指数とは、下記(1)式で表されるロジン・ラムラー式を用いて得られる、粒度分布の特性に関するパラメータである。
R(d)=100exp(−k・d) …(1)
ただし、式中、R(d)は母材の篩残分率(%)、dは母材の粒径、kは粒度特性係数、nは粒度分布指数を表す。
なお、本発明の重金属の吸着層用母材は、重金属の吸着除去効果が害されない範囲で、頁岩以外の岩種を母材の一部として含んでもよい。
2.重金属の吸着層用資材
該吸着層用資材は、軽焼マグネシアおよび/または軽焼マグネシア部分水和物を必須成分として含む重金属吸着材と、前記母材の混合物であり、前記母材1mあたり重金属吸着材を10〜200kg含む資材である。前記重金属吸着材の含有量が10kg未満では重金属の吸着除去効果の向上が小さく、200kgを超えると材料コストが増大する。また、重金属吸着材の含有量は、好ましくは母材1mあたり20〜160kg、より好ましくは30〜120kgである。
(1)軽焼マグネシア等
次に、前記重金属吸着材の必須成分である軽焼マグネシアおよび/または軽焼マグネシア部分水和物について説明する。
前記軽焼マグネシアは、例えば、炭酸マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む固形物を、650〜1300℃で焼成して得ることができる。なお、本発明でいう軽焼マグネシアとは、前記焼成して得た焼成物、および該焼成物の粉砕物のいずれも含む。
前記固形物中の炭酸マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムの含有率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。該含有率が80質量%未満では、軽焼マグネシア中の酸化マグネシウム成分が少なく、重金属の吸着除去効果が低下する傾向がある。
前記固形物としては、マグネサイト、ドロマイト、ブルーサイト、または、海水中のマグネシウム成分を消石灰等のアルカリで沈殿させて得た水酸化マグネシウム等の、塊状物または粉粒状物が挙げられる。
前記固形物の焼成温度は650〜1300℃である。該温度が650℃未満では軽焼マグネシアが生成し難く、1300℃を超えると重金属の吸着除去効果が低下するおそれがある。前記焼成温度は、好ましくは750〜950℃、より好ましくは800〜900℃である。
また、前記固形物の焼成時間は、固形物の仕込み量や粒径等にもよるが、通常、30分〜5時間である。
また、前記軽焼マグネシア部分水和物は、軽焼マグネシア(粉砕物)に水を添加して撹拌して混合するか、または、該粉砕物を相対湿度80%以上の雰囲気下に1週間以上保持することにより得られる。
前記軽焼マグネシア部分水和物は、好ましくは、酸化マグネシウムを65〜96.5質量%および水酸化マグネシウムを3.5〜30質量%含有するものである。該値が前記範囲内であれば、重金属の吸着除去効果がより高い。なお、前記軽焼マグネシア部分水和物は、より好ましくは、酸化マグネシウムを70〜95質量%および水酸化マグネシウムを5〜20質量%、さらに好ましくは、酸化マグネシウムを75〜90質量%および水酸化マグネシウムを7〜17質量%含有するものである。
また、前記軽焼マグネシアまたは軽焼マグネシア部分水和物のブレーン比表面積は、好ましくは、3000〜7000cm/gである。該値が前記範囲内であれば、重金属の吸着除去効果がより高い。なお、前記ブレーン比表面積は、より好ましくは4000〜6800cm/gである。
(2)炭酸カルシウム粉末
前記重金属吸着材は、必須成分の軽焼マグネシアおよび/または軽焼マグネシア部分水和物のほかに、任意成分として炭酸カルシウム粉末を、軽焼マグネシアおよび/または軽焼マグネシア部分水和物100質量部に対し0.1〜50質量部含有することができる。該含有量が0.1〜50質量部であれば、重金属の吸着除去効果が向上する。
前記炭酸カルシウム粉末のブレーン比表面積は、好ましくは3000〜7000cm/gである。該値が3000cm/g未満では重金属の吸着除去効果が向上し難く、7000cm/gを超えると粉砕に手間がかかり粉砕コストが高くなる。なお、前記ブレーン比表面積は、より好ましくは4000〜6000cm/gである。
(3)重金属の吸着層用資材の製造方法
該製造方法として、例えば、重金属吸着材と母材を乾燥状態で混合する方法や、前記重金属吸着材に水を加えてスラリーにした後に、該スラリーと母材を混合する方法等が挙げられる。当該スラリーの水/重金属吸着材の質量比は、重金属吸着材と母材の粒径等にもよるが均一に混合するためには、好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2である。
3.吸着層工法
該吸着層工法は、前記重金属の吸着層用母材、または前記重金属の吸着層用資材を敷設してなる重金属吸着層の上に、重金属を含む被処理物を載置する工程を含む工法である。
前記重金属吸着層の締固め度は、好ましくは80%以上である。該締固め度が80%以上であれば、表10と表13に示すように、簡易透水係数が小さく重金属含有水が重金属吸着層に滞留する時間が長くなり、重金属の吸着除去効果が向上する。前記締固め度は、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%、特に好ましくは95%以上である。前記締固め度(Dc、単位は%)は下記(2)式を用いて算出することができる。
締固め度(Dc)=100×現場で観測された締固め土の乾燥密度(ρ)/突固め試験から得られた最大乾燥密度(ρmax) …(2)
なお、(2)式中の突固め試験とは、JIS A 1210「突固めによる土の締固め試験方法」をいう。
また、これを前記重金属吸着層の簡易透水係数で表わせば、該簡易透水係数は、好ましくは1.0×10−3m/s以下である。該簡易透水係数が1.0×10−3m/s以下であれば、重金属含有水が重金属吸着層に滞留する時間が長く、重金属の吸着除去効果が高い。該簡易透水係数は、より好ましくは5.0×10−4m/s以下、さらに好ましくは1.0×10−4m/s以下、とくに好ましくは5.0×10−5m/s以下である。また、簡易透水係数の下限は特に制限されないが、好ましくは1.0×10−7m/sである。1.0×10−7m/s未満では、浸透水が重金属吸着層を通過せずに盛土側面から漏出する場合がある。なお、前記簡易透水係数(m/s)は、ダルシーの法則に基づき下記(3)式を用いて算出することができる。
簡易透水係数=(重金属吸着層の厚さ×通過水量)/(カラムの断面積×通過時間×水位差) …(3)
以上の構成を有する本発明の吸着層工法は、多量に発生する重金属を含む被処理物の処理に適し、しかも処理コストが低い。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.使用した主な材料
(1)母材
母材として、表1〜表4に示す特性を有する石灰石、頁岩A、および頁岩B1〜B3を用いた。なお、頁岩B1〜B3は頁岩Bの粉砕物であり、表2に示す粗粒率(FM)とロジン・ラムラー式を用いて求めた粒度分布指数(n)を有する。
また、表5は前記石灰石、頁岩A、および頁岩B中の重金属の水中への溶出量を示す。
Figure 2014226611
Figure 2014226611
Figure 2014226611
Figure 2014226611
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(2)重金属吸着材(軽焼マグネシア)の調製
炭酸マグネシウムを97質量%含むマグネサイトを、850℃で30分間、電気炉(中外エンジニアリング社製、型式;KSL−2)で焼成して軽焼マグネシアを得た。次に、該軽焼マグネシアを粉砕して、ブレーン比表面積6500cm/gの軽焼マグネシアの粉砕物を調製した。
2.母材単独による重金属の吸着試験
粗粒率がいずれも4程度で粒度分布が同程度にそろった、表2に示す石灰石、頁岩A、および頁岩B2を母材に用いて、母材単独での重金属の吸着性能を試験した。
具体的には、ポリエチレン製の容器に、前記母材のそれぞれと、表6に示す試薬を用いて調製した表6に示す濃度の模擬廃液を、母材/模擬廃液=1/100(質量比)の比率で入れた後、該容器を、20℃、200rpmで4時間振盪した。
振盪後、模擬廃液を0.45μmのメンブランフィルターを用いて濾過し、実際の管理において主要管理項目となることが多い、ろ液中のAs(III)の濃度を、JIS K 0102:2088「IPC質量分析法」に準拠して測定した。そして、測定した濃度と試験開始時の濃度の差から、母材に吸着したAs(III)の量を求めた。その結果を表7に示す。
表7に示すように、頁岩はいずれも、石灰石に比べ、As(III)を2〜5倍も多く吸着し、高い吸着性能を有する。特に、As(III)が低濃度である程、該吸着性能の違いは顕著になる。
Figure 2014226611
Figure 2014226611
2.重金属吸着層の透水試験(各因子の検討試験)
(1)重金属吸着材の添加量の観点からの検討
表2に示す石灰石、頁岩A、および頁岩B2の含水比を9%に調整した後、該石灰石、頁岩A、および頁岩B2を、それぞれ母材として用いて、各母材1mあたり、前記重金属吸着材を、それぞれ35kg、70kg、および105kg添加してヘンシェルミキサーで混合し、重金属吸着材の添加量が異なる3種類の重金属の吸着層用資材を調製した。
さらに、前記母材単独と前記重金属の吸着層用資材を、それぞれ、内径50mm、高さ220mmのアクリル樹脂製カラムに詰め、1.5kgランマ―を用いて、前記(2)式に示す締固め度が約90%になるように締固めて、重金属吸着層を形成した。
次に、前記模擬廃液を前記カラムに通して通過水量と通過時間を測定し、前記(3)式を用いて、簡易透水係数を算出した。その結果を表8に示す。
表8に示すように、重金属吸着材の添加量の増加に伴い吸着係数は低くなる。
Figure 2014226611
(2)母材の粗粒率の観点からの検討
母材の粗粒率は、前記のように、2.0〜6.0の範囲が好適であり、また、粒度分布指数で表せば1.20〜1.60が好適である。そこで、さらに、母材の粗粒率と透水性能の関係を詳細に調べるため、以下の検討をおこなった。
具体的には、表2に示す頁岩B1〜B3の含水比を9%に調整した後に、該頁岩B1〜B3を、それぞれ母材として用い、各母材1mあたり、前記重金属吸着材を70kg添加してヘンシェルミキサーで混合し、重金属吸着材の添加量が異なる3種類の重金属の吸着層用資材を調製した。
該重金属の吸着層用資材を用いて形成した重金属吸着層の透水試験は、前記「(1)重金属吸着材の添加量の観点からの検討」と同様に行い、簡易透水係数を求めた。その結果を表9に示す。
一般に、母材の粗粒率は低い程、すなわち粒度分布が広い程、簡易透水係数は全体として小さくなり、表9に示す簡易透水係数は十分な滞留時間を確保できる値である。
Figure 2014226611
(3)重金属吸着層の締固め度の観点からの検討
表2に示す頁岩Aの含水比を9%に調整した後に、該頁岩Aを母材として用いて、該母材1mあたり、前記重金属吸着材を70kg添加してヘンシェルミキサーで混合し重金属の吸着層用資材を調製した。
次に、該重金属の吸着層用資材を前記カラムに詰め、表10に示す締固め度になるように、前記と同様にして締固めて、重金属吸着層を形成した。該重金属吸着層の透水試験は、前記「(1)重金属吸着材の添加量の観点からの検討」と同様に行い、簡易透水係数を求めた。その結果を表10に示す。
表10から、締固め度が高い程、簡易透水係数が小さいことが分かる。
Figure 2014226611
3.重金属吸着層の重金属の吸着試験
表11に示す、標準的な吸着層工法の吸着層や盛土の設計条件を基にして、これをスケールダウンした表12に示す条件で、重金属吸着層を形成したカラムを用いて、重金属の吸着試験を行った。
具体的には、前記重金属吸着層を形成する重金属の吸着層用資材は、表2に示す頁岩Aを母材として、該母材1mあたり前記重金属吸着材70kgを混合して調製した。重金属吸着層の簡易透水係数や、重金属吸着層内の模擬廃液の滞留時間は、締固め度により調節した。ちなみに、表12の締固め度水準1は、簡易透水係数が6.4×10−4m/s、滞留時間は140秒、また、締固め度水準2は、簡易透水係数が2.5×10−5m/s、滞留時間は20000秒であった。また、表11中の降水量は、札幌の年間降水量を参考にした。
Figure 2014226611
Figure 2014226611
模擬廃液は、表6に示すAs(III)濃度が0.1mg/L(正確には0.094mg/L)等の水溶液を用いた。As(III)濃度の測定は、カラムを通過した模擬廃液の通水量が434mLになるごとに、該時点での通水の一部をサンプリングして0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、該ろ液中のAs(III)濃度をJIS K 0102:2008「IPC質量分析法」に準拠して測定した。その結果を表13に示す。なお、表13中の数値はAs(III)濃度で、その単位はmg/Lである。
表13に示すように、As(III)濃度が、締固め度水準1の重金属吸着層では初期濃度の1/4程度まで低下し、締固め度水準2の重金属吸着層では初期濃度の1/100程度まで低下した。
Figure 2014226611

Claims (7)

  1. SiOの含有率が70〜90質量%、およびAlの含有率が5〜15質量%である頁岩からなる、重金属の吸着層用母材。
  2. 前記頁岩の粗粒率が2.0〜6.0である、請求項1に記載の重金属の吸着層用母材。
  3. 前記頁岩の粒度分布指数が1.20〜1.60である、請求項1または2に記載の重金属の吸着層用母材。
  4. 前記重金属の吸着層用母材1mあたり重金属吸着材を10〜200kg含む、重金属の吸着層用資材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の重金属の吸着層用母材、または重金属の吸着層用資材を敷設してなる重金属吸着層の上に、重金属を含む被処理物を載置する工程を含む、吸着層工法。
  6. 前記重金属吸着層の締固め度が80%以上である、請求項5に記載の吸着層工法。
  7. 前記重金属吸着層の簡易透水係数が1.0×10−3m/s以下である、請求項5または6に記載の吸着層工法。
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