JP2014222569A - シリコン触媒正極の二次電池及びその製造方法 - Google Patents

シリコン触媒正極の二次電池及びその製造方法 Download PDF

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和武 今仁
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Abstract

【課題】従来のリチウムイオン2次電池に使用しているリチウムは、資源が偏在しており、火災及び腐蝕を惹起する問題があり、さらにエネルギー密度を倍増する必要があり、これらを解決をすることを課題とする。
【解決手段】グラファイトを含む正電極と、金属電極からなる負電極と、電解質層とこれらの間のセパレータ、及び集電極を有する二次電池に於いて、グラファイト等の炭素微粒子とシリコン微粒子からなる正電極内部は、チタン又は二酸化マンガン等の正電極触媒及び安定剤としてアルギン酸又はボロン等の補助剤で構成するとともに、電解質として塩化物を主成分とした水溶液又は有機溶媒液を用い、亜鉛又はマグネシウム等の第2族元素を含む負電極内部は微粒子状にして表面積を増加することを特徴とする、シリコン触媒の金属空気電池及び密閉シリコン触媒正電極二次電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、正電極及び負電極の電極間に電解質を採用した二次電池において、特に正電極の材料と構成、さらに負電極及び電解質の構造と材料を改良してエネルギー密度を向上したポストリチウム二次電池に関するものである。
現行のリチウムイオン電池の3倍程度のエネルギー密度を持つ二次電池を「次世代二次電池」と捉え、それをさらに凌駕する可能性をもつような電池を「次々世代二次電池・蓄電デバイス技術」と定義する。これは、金属空気二次電池、全固体型リチウム二次電池、sブロック金属二次電池、多価カチオン二次電池、その他の「新型・新概念」による二次電池・及びキャパシター等の蓄電デバイスも含むものと考えられる。最近、パーソナルコンピューター及び携帯電話等のポータブル機器、及び自動車やスマートグリッドの普及に伴い、当該機器の電源である二次電池の需要が急速に増大していて、このような二次電池の典型例はリチウム(Li)を負極として、フッ化炭素等を正極とするリチウム電池であり、正極と負極との間に非水電解質を介在させることによって、金属リチウムの析出を防止することが可能となったことから、リチウム電池は広範に普及しているが、リチウムは希少高価であり、廃棄した場合にはリチウムが流出し環境上好ましくない。
電気自動車をはじめ、スマートハウス、ロボットや種々の携帯機器の進展により、蓄電デバイスの高容量化が強く望まれ、革新的な電源への要求が極めて高まっている。エネルギーの大量消費に伴う地球温暖化問題や自然エネルギーの平準化などからも高容量な蓄電デバイスへの要求が高く、金属空気電池開発への期待が高まっている。金属空気電池としては、すでに亜鉛空気電池が実用化されている。しかし、これらの空気電池はいずれも1次電池であり、繰り返し充放電に関しては課題がある。
空気電池は正極活物質が空気なので、原理的に半電池で機能できることに加え、金属というエネルギー密度が極めて大きな活物質を用いることから、軽くて高容量で、安価な電池となる可能性があり、二次電池化が実現できると、ポストリチウムイオン二次電池として極めて有望である。金属・空気電池は二次電池として開発も行われてきたが、デンドライト(金属樹)生成の抑制や空気中の水蒸気や炭酸ガスとの反応といった課題があり、まだ実現していない。
近年、メソポーラス材料や負極金属の形状制御、電解質の固体化などにナノテク技術に立脚した大きな進展があり、二次電池化にとっての要素技術が整いつつある。リチウム電池の場合現状では250Wh/Kgが限界だと言われるが、さらに負極をシリコン系にして300Wh/Kgを狙っているのが現状である。図2のように、マグネシウムは還元力が強く、標準水素電極基準に対する電位でいうと、リチウムがマイナス3V程度であるのに対して、マグネシウムはマイナス2.37V程度の電圧が得られる。また、コストが安く、毒性が低い。注目すべきは、体積当たりのエネルギー密度がリチウムの2倍で、電池は閉ざされた空間の中にどれだけ酸化剤と還元剤を詰め込むかが勝負であるから、体積密度が非常に重要であり、この点で優れる。さらに、マグネシウムの金属の融点が摂氏600度以上であるから、これは非常に安全な電池になる。融点が摂氏160度程度のリチウムに比べて安全な電池設計が可能であるということがもう一つのメリットである。
特開2012−89266号公報 特開2012−89328号公報 特開2012−64314号公報 特開2013−12491号公報 PCT/JP2012/005223号公報 WO2006−011430号公報
特許文献1は、金属空気電池において放電電圧を高めるために、負極と、酸素の酸化還元触媒を有する正極と、フラーレン誘導体塩を含む非水電解液とを備えている非水電解液空気電池に関するものである。本発明の非水電解液空気電池は、酸素の酸化還元触媒を有する正極と、負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在し、非金属多価カチオン塩を含む非水電解液と、を備えたものである。非水電解液空気電池において、非水電解液は、非金属多価カチオン塩を含むものである。このような非水電解液空気電池では、放電電圧をより高めることができる。空気電池において、放電時には、正極上に酸素ラジカルが生成する。例えば、カチオンとしてリチウムイオンだけが含まれている場合には、生成した酸素ラジカルとリチウムイオンとの反応は1電子反応であると考えられる。これに対して、カチオンとして多価カチオンが含まれている場合には、酸素ラジカルとリチウムイオンとの反応が、1電子反応だけでなく2電子反応や4電子反応を含むものとなると考えられる。
特許文献2は、金属空気電池において負電極において析出したデンドライトを負極に回収するために、少なくとも空気極と、負極と、当該空気極と当該負極との間に介在する電解液層を備える金属空気電池を備える密閉型の金属空気電池システムであって、前記空気極と前記電解液層との間に、前記電解液層中の電解液が透過する性質を有するセパレータがさらに介在し、少なくとも充電開始後に、前記電解液層中において、前記空気極側から前記負極側の方向に向かって前記セパレータを移動させ、前記セパレータを前記負極に押し付ける押圧手段を備えることを特徴とする、金属空気電池システムである。デンドライトは金属工学の分野、特に金属組織、結晶成長などと関連した用語で、金属融液を凝固させた際に典型的に観察される組織で、樹枝状結晶とも呼ばれる。
特許文献3は、金属空気電池において活性酸素種が電解質間を移動することで充電および放電が行われるので、活性酸素種を輸送するキャリアとして、非水系の有機分子を用いることを主要な特徴としている。負極活物質を含有する負極活物質層を有する負極層、および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、空気極触媒を含有する空気極層、および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、前記負極、および前記空気極の間で、O2−、O22−、O−、HO−、のいずれかの活性酸素種の輸送を行うキャリアを含有する電解質キャリア層を有する電解質とを有する空気電池であって前記電解質キャリア層の数は1層以上であり、前記キャリアは、非水系の有機分子であることを特徴とする空気電池を提供する。
特許文献4は、、結着性および粉落ち性に優れると共に、電気的特性に優れる蓄電デバイス用電極が作製可能な蓄電デバイス電極用スラリーを提供する。本発明に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、(A)重合体粒子と、(B)活物質粒子と、(C)水と、を含有し、前記(A)重合体粒子の平均粒子径(Da)と前記(B)活物質粒子の平均粒子径(Db)との比(Da/Db)が20〜100の範囲にあり、かつ曳糸性が30〜80%の範囲にあり、前記(B)活物質粒子としてシリコン系活物質を含有するることを特徴とする。
特許文献5においては、密閉電池の放電容量を大きくするためには電池ケースの胴体部の厚みを薄くして内容積を増やす必要であり、深放電後に二酸化マンガンの膨張によって電池ケースの外径が過剰に膨張することが課題である。さらに、黒鉛の添加率を増加したり、二酸化マンガンの充填密度を低減させることなく、高容量を維持したまま電池ケースの膨張を抑制する手法について検討した。JIS規格で定められた電池の最大外径(14.5mm)に近い寸法(例えば、14.3mm)の単3形密閉電池を試作し、これを使用機器の電池収納部に装着して、一定の負荷の下で電池が所定の電圧(例えば、0.6V)に達するまで放電を行ったところ、放電後の電池を電池収納部から脱着する際、スムーズに脱着できない電池があった。この原因を調べたところ、電池ケースの胴体部の厚さを薄くした電池において、放電後の電池の外径が放電前の外径よりも増大している。二酸化マンガンを活物質とする正極は、放電反応により膨張することが知られているが、正極の側面は電池ケースで押さえられている一方、正極の上面(封口部側)は開放されているため、正極は図中の上の方向、すなわち封口部側に膨張する。しかしながら、電池ケース1の胴体部の厚さが薄くなると、正極の側面を押さえる力が弱くなるため、正極は電池の径方向にも膨張することになる。これにより、電池ケースの胴体部の厚さを薄くした電池において、放電後の電池の外径が増大したものと考えられる。放電容量を向上させるために電池ケースの胴体部の厚さを薄くし密閉電池において、放電後の電池の外径の増大を抑制し、機器の電池収納部から脱着が容易な高性能かつ利便性の高い密閉電池を提供することにある。上記の目的を達成するために、該発明は、有底円筒形の電池ケース内に、セパレータを介して二酸化マンガンからなる正極と負極とが収納され、電池ケースの開口部がガスケットを介して封口されてなる密閉電池において、電池ケースの胴体部の厚さは、0.1〜0.17mmの範囲にあり、二酸化マンガンの粉末X線回折測定による110面の半値幅は、2.30〜2.70度の範囲にあることを特徴とする。
特許文献6は、「アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法」であり、該文献によると、出力特性が良好で、且つ自己放電特性及びサイクル寿命特性が良好なアルカリ蓄電池用正極活物質、アルカリ蓄電池用正極、及びアルカリ蓄電池を提供する。該発明のアルカリ蓄電池用正極活物質は、少なくともマグネシウムを固溶状態で含む水酸化ニッケル粒子と、この水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するコバルト化合物層とを有している。このうち、コバルト化合物層は、自身に含まれるコバルトの平均価数が2.6以上3.0以下であり、自身の全重量に対し0.10重量%より少ない割合でナトリウムを含んでいる。さらに、該発明のアルカリ蓄電池用正極活物質を39.2MPaで加圧した状態での導電率は、1.0×10-5S/cmより小さい。
以下詳細に説明する通り、本発明は上記先行文献とはその構成に於いて異なっており、リチウムを用いることなく高性能を発揮し、且つ安全であって、さらにコスト的にも有利な電池モジュール、及び製造方法を提供するものである。
従来のリチウムイオン2次電池に使用しているリチウムは資源が偏在しており、また火災及び腐蝕をする危険性があった。さらにエネルギー密度を倍増するという産業上の要請がある。本発明は、特に正電極の材料と構成、さらに負電極及び電解質の構造と材料を改良してエネルギー密度を100乃至500mWh/gに向上したポストリチウム二次電池に関するもので、これらを解決をする二次電池、及び製造方法を提供する。
グラファイト6を含む正電極2と、金属電極からなる負電極10と、電解質層7とこれらの間に介在されたセパレータ8、及び集電極1、11を有する二次電池に於いて、グラファイト等の炭素微粒子6とシリコン(ケイ素)微粒子4からなる正電極内部をチタン又は二酸化マンガン等の正電極触媒5、及びシリコン微粒子の安定剤としてアルギン酸又はボロン等の補助剤3で構成するとともに、負電極として、粒子状にして表面積を増加した亜鉛又はマグネシウム等の第2族元素を含むものを用いた二次電池を提供する。ここで、本発明のシリコン触媒正極の二次電池は、正電極外部を小穴付きの集電極とする空気電池の形態及び/又は電解質に金属塩化物或いはアルカリ水酸化物を追加する形態において使用することが出来る。
標準電極電位は、そのイオンが1mol/Lで存在する溶液につけたとき、単体と溶液の間に生じる起電力である。マグネシウム空気電池において、その最大出力電位は−2.76ボルトである。 ここで、本発明に係る電池の一例の放電の反応式は下記で表される。
正極: O2+H2O+4e− → 4OH− (E0=0.4V)
負極: 2Mg+3OH− → 2Mg2O+4e− (E0=ー2.36V)
リチウムイオン2次電池に使用しているリチウムは資源が偏在しており、また火災及び腐蝕をする危険性があった。さらにエネルギー密度を倍増するという産業上の要請がある。本発明はこれらを解決をする二次電池モジュール、及びその製造方法を提供する。空気中の酸素を酸化還元する炭素グラファイト6を含む正電極2と、金属電極からなる負電極10と、電解質層7とこれらの間に介在されたセパレータ8、及び集電極1、11を有する二次電池に於いて、グラファイト等の炭素微粒子6とシリコン(ケイ素)微粒子4からなる正電極内部をチタン又は二酸化マンガン等の正電極触媒5、及びシリコン微粒子の安定剤としてアルギン酸又はボロン等の補助剤3で構成するとともに、負電極を微粒子状にして表面積を増加した亜鉛又はマグネシウム等の第2族元素を含むものを用い、電解質には金属塩化物を主成分としシロキサン等の電解質添加物を含める。二次電池を組み立てるために、正極及び負極を製造した後、各電極に電解質を塗布して張り合わせることにより、当該の単位電池を迅速に組み立て製造できる。単位電池を直列に積層してから、加圧可能なボルトで締めて接合して気密を維持でき、エネルギー密度を500mWh/g程度まで向上させると共に、高温や衝撃にも耐えうる二次電池を提供することが出来た。
図1は本発明に係るシリコン触媒正極の二次電池の構成を示した概念図である。(実施例1) 図2は金属材料の標準酸化還元電位データ、金属空気電池の開放電圧と理論エネルギー密度を纏めた説明図である。 図3は本発明に係るシリコン触媒二次電池に関して、亜鉛空気電池、Mg空気電池、密閉亜鉛電池及び密閉Mg電池の構成と特性を示す図である。 図4は本発明に係るシリコン触媒二次電池を積層してケースに収納した構成を示す概念図である。 図5は本発明に係るシリコン触媒二次電池に於いて、負極に亜鉛を用いた場合の充放電特性を示すグラフである。 図5は本発明に係るシリコン触媒二次電池に於いて、負極にマグネシウムを用いた空気電池の充放電特性を示すグラフである。 図7は本発明に係る、シリコン触媒正電極と、第2族元素を含む電極からなる負電極と、電解質層及びこれらの間に介在されたセパレータを有する亜鉛密閉電池モジュールの構成を示す概念図である。 図8は亜鉛正電極と二酸化マンガンで構成した市販のアルカリKOHマンガン一次電池の放電特性を示すグラフである。 図9は本発明に係る、シリコン触媒正電極と、亜鉛電極からなる負電極と、電解質層及びこれらの間に介在されたセパレータを有する密閉亜鉛電池の充放電電圧の特性を示すグラフである。 図10は本発明に係る、シリコン触媒正電極と、マグネシウム電極からなる負電極と、電解質層及びこれらの間に介在されたセパレータを有するマグネシウム電池の充放電時のエネルギー密度特性を示すグラフである。 図11は本発明に係る、シリコン触媒正電極とマグネシウム負電極の密封二次電池の充放電時のエネルギー密度特性を示すグラフである。
図1は本発明に係るシリコン触媒二次電池の構成の一例を示した概念図である。グラファイト等の炭素微粒子6を含む正電極2と、金属電極からなる負電極10と、電解質層7とこれらの間に介在されたセパレータ8、及び集電極1、11を有する二次電池に於いて、グラファイト等の炭素微粒子6とシリコン(ケイ素)微粒子4からなる正電極内部は、チタン又は二酸化マンガン等の正電極触媒5、及びシリコン微粒子の安定剤としてアルギン酸、クエン酸或いはボロン等の補助剤3で構成するとともに、正電極外部は集電極1、11と電極と水分を透過しないイソプレン等の表面処理膜12からなり、電解質7には亜鉛、アルミニウム、マグネシウム或いはカリウム等の塩化物を主成分とした水溶液又は有機溶媒(アセトニトリルやプロピレンカーボネート等)液、さらに電解液として2−MeTHF等のエーテル系溶媒に臭化金属を入れた金属エトキシド添加剤を添加するするとともに、負電極として、微粒子状にして表面積を増加した亜鉛又はマグネシウム等の第2族元素を含むものを用いたことを特徴とするシリコン触媒二次電池を作成した。
図2は、金属材料の標準酸化還元電位データ、金属空気電池の開放電圧と理論エネルギー密度を纏めた説明図である。
標準電極電位は、そのイオンが1mol/Lで存在する溶液につけたとき、単体と溶液の間に生じる起電力である。マグネシウム空気電池において、最大出力電位はー2.76ボルトである。
ここで、本発明に係る電池の一例の放電の反応式は下記で表される。
正極: O2+H2O+4e− → 4OH− (E0=0.4V)
負極: 2Mg+3OH− → 2Mg2O+4e− (E0=ー2.36V)
本実施例に於いては、負電極として亜鉛を含む材料を用いた。典型的にはトタン等が挙げられ、本実施例に於いてはZAM鋼板(日新製鋼社製)を用いた。トタンは鉄に亜鉛を鍍金したもので、鋼板には亜鉛系、アルミニウム系、亜鉛・アルミニウム系の鍍金が主に用いられている。亜鉛91%ーアルミニウム6%ーマグネシウム3%の鍍金層を持つZAM鋼板(日新製鋼社製)は、耐食性が従来の溶融亜鉛めっき鋼板に比べ10〜20倍優れており、厳しい腐食環境下でも優れた耐食性を示すことから、溶かした亜鉛に鋼材を漬けてめっきを施す溶融亜鉛めっきや、電気亜鉛めっきを施した後にクロムを含む溶液に漬けて耐食性向上や外観(装飾性)向上を図るクロメート処理を代替することが可能である。さらに、めっき層が硬いため優れた耐傷付き性を有するとともに様々な加工にも対応できる。本実施例で作成した二次電池に対し、0.2アンペアの電流密度となるような定電流電源で充電を行ったところ、充電電圧を2.1Vから2.7Vの範囲にて約30分で充電することができた。
本実施例に於いては、電池の構成は正電極外部を小穴付きの集電極とする空気電池の形態といた。もちろん、本発明に係るリコン触媒正極の二次電池は、正電極外部を小穴付きの集電極とする空気電池の形態、密閉された状態で使用する二次電池の形態の何れでも好適に使用出来、さらに使用する電解質は電解質に金属塩化物及び/又はアルカリ水酸化物を追加する形態の何れに於いても好適に使用することが出来る。
図3は、試作したシリコン触媒二次電池に関して、亜鉛空気電池、マグネシウム空気電池、亜鉛密閉電池及びマグネシウム密閉電池の構成と特性を示す。これらは、いずれも現行のリチウムイオン電池を凌ぐ良好な特性を有していることがわかる。また、何れの形態に於いても電解質は電解質に金属塩化物を加えたものでも好適に使用出来た。
図4は本発明に係るシリコン触媒二次電池を積層してケースに収納した構成を示す概念図である。シリコン触媒正電極と、金属電極からなる負電極と、電解質層とこれらの間に介在されたセパレータを有する空気電池モジュールとして、金属空気単電池を二対製作して、これらの四個の単電池を並列にして空気供給の正電極メッシュを共用してから、さらに一対の単電池を直列にして金属空気組電池として、空気入口13と空気出口14にまとめて空気を自然循環させ、電極のリード15及び16を結線してから、ケース17に格納した。
図5は本発明に係るシリコン触媒二次電池に於いて、負極に亜鉛を用いた場合の充放電特性を示すグラフである。本実施例で作成した二次電池に対し、0.2アンペアの電流密度となるような定電流電源で充電を行ったところ、充電電圧を2.1Vから2.7Vの範囲にて約30分で充電することができた。
正電極2と、金属電極からなる負電極10と、電解質層とこれらの間に介在されたセパレータを有する空気電池に於いて、正電極2内部は二酸化マンガン及びシリコン微粒子からなる正電極触媒、当該外面は酸素透過膜及びチタンメッシュで構成すると共に、マグネシウムからなる負電極1の内面は凹凸の多い負電極表面処理膜からなり、電解質にはマグネシウム塩化物を主成分とし、電解質添加物を含むことを特徴とする金属空気単電池を一対製作した。これらの2個の単電池を並列にして空気供給の正電極メッシュを共用してから、マグネシウム空気組電池として、放電電流0.3Aのモーターを約1時間運転することが出来た。エネルギー密度は120mWh/gに向上することが確認された。
図6に、試作したシリコン触媒二次電池に関して、マグネシウムを負極とした空気電池の充放電時の電圧変化を示す。マグネシウムからなる負電極の内面は凹凸の多い負電極表面処理膜からなり、電解質はマグネシウムの塩化物を主成分とし、電極を接合して単位セルを作成して、充電電圧を2.1Vから2.7Vの範囲にて約1時間で充電したところ、放電電圧2.1Vから1.6Vの範囲にて約1時間放電することができた。
マグネシウム合金は、マグネシウムを主成分として50重量%Mg−Al以上含有する合金のことである。マグネシウム合金としては、Mg−Al系、Mg−Mn系、Mg−Zn系、Mg−Al−Zn系、Mg−Zn−Zr系などが知られているが、本発明に係るシリコン触媒二次電池に於いてはアルミニウム及びカルシウムを含有するマグネシウム合金を用いることが有効である。マグネシウム合金中のアルミニウムの含有量は特に制限されるものではないが、マグネシウム合金全体に対して3重量%以上9重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5重量%以上7重量%以下であり、最も好ましくは6重量%である。マグネシウム合金中のカルシウムの含有量はマグネシウム合金全体に対して1重量%以上3重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5量%以上2.5重量%以下であり、最も好ましくは2重量%である。
本実施例に於いては、シリコン触媒正電極と、第2族元素電極からなる負電極と、電解質層とこれらの間に介在されたセパレータを有する亜鉛密閉電池を構成した。図7に本実施例に係る亜鉛密閉電池を単位とする亜鉛密閉電池モジュールの構成を示す。
図8に亜鉛正電極と二酸化マンガンで構成した市販のアルカリKOHマンガン一次電池の放電特性を、図9に本実施例に係るシリコン触媒正電極と、亜鉛電極からなる負電極と、電解質層とこれらの間に介在されたセパレータを有する亜鉛密閉電池の充放電電圧の特性を示す。グラフからわかるように、本発明に係るシリコン触媒二次電池は、現行の電池に較べて格段に優れた特性を有する。
本実施例に於いては、シリコン触媒正電極と、マグネシウム負電極と、電解質層とこれらの間に介在されたセパレータを有するマグネシウム密閉電池を試作した。シリコン触媒正電極は主成分として二酸化マンガンを含み、カーボン、シリコン微粒子とチタン触媒を追加している。
図10は、本発明に係るシリコン触媒正電極とマグネシウム負電極のマグネシウム密閉電池の充放電電圧の特性を示すグラフである。放電電圧は約2Vでエネルギー密度を460mWh/gに向上することが出来た。
本実施例に於いては、シリコン触媒正電極と、第2族元素電極からなる負電極と、電解質層とこれらの間に介在されたセパレータを有する亜鉛電池を試作した。シリコン触媒正電極の3分の2は二酸化マンガンであり、カーボン、シリコン微粒子とチタン触媒を追加している。密封電極での化学反応式は下記の通りである。
Zn+2OH→ZnO+H2O+2e
2MnO2+H2O+2e→Mn23+22OH
図9は、シリコン触媒正電極と亜鉛電極からなる負電極の密封亜鉛電池の充放電電圧の特性を示し、放電電圧は約1.5Vである。
本実施例に於いては、シリコン触媒正電極と、マグネシウム負電極と、電解質層とこれらの間に介在されたセパレータを有するマグネシウム電池を試作した。シリコン触媒正電極の2/3は二酸化マンガンであり、カーボン、シリコン微粒子とチタン触媒を追加している。密封電極での化学反応式は下記の通りである。
Mg+2OH→MgO+H2O+2e
2MnO2+H2O+2e→Mn23+22OH
図11は、シリコン触媒正電極とマグネシウム負電極の密封二次電池充放電電圧特性を示す。放電電圧は約2Vで、エネルギー密度を400mWh/gに向上することが出来た。
なお、前記の何れの電池構成に於いても、負電極にカルシウムを添加することも有効である。
リチウムイオン2次電池に使用しているリチウムは資源が偏在しており、また火災及び腐蝕をする危険性があった。さらにエネルギー密度を倍増するという産業上の要請がある。本発明はこれらを解決をする電池モジュール、及びその製造方法を提供する。本発明に係るシリコンを用いた二次電池は、リチウムを用いることなくエネルギー密度を500mWh程度以上に改善出来、さらに強い振動や衝撃にも耐えうる電池モジュールを構成することが出来る。本発明のシリコン触媒電池は低廉なコストでもって安全性が高く、性能に優れた二次電池であり、以て産業上の利用可能性は非常に大きいといえる。
1 正集電極金属メッシュ
2 正電極
3 シリコンへの添加物
4 シリコン微粒子
5 補助剤
6 グラファイト
7 電解質
8 セパレータ
9 負電極電解質
10 負電極
11 酸素透過膜
12 酸素透過膜
13 空気入口
14 空気出口
15 正リード線
16 負リード線
17 ケース
18 負電極微粒子
19 バインダー
20 セルクッション
21 モジュールクッション
22 カバー

Claims (30)

  1. グラファイト等の炭素微粒子6を含む正電極2と、金属電極からなる負電極10と、電解質層7と、これらの間に介在されたセパレータ8、及び集電極を有する二次電池に於いて、
    正電極はグラファイト等の炭素微粒子6、シリコン微粒子4、チタン又は二酸化マンガン等の正電極触媒5、及びシリコン微粒子の安定剤としてアルギン酸、クエン酸及び/又はボロンを含む補助剤3、及び担体で構成され、
    負電極は第2族元素を含み、且つ該第2族元素或いは第2族元素の合金を含む負極材料は微粒子状で含有される金属電極からなることを特徴とする
    シリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  2. 該シリコン触媒正電極の二次電池の構成は、電池の構成は正電極外部は空気が自然循環するように小穴付きの集電極1と電極と水分を透過しない表面処理膜12から構成される空気電池であることを特徴とする、
    請求項1記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  3. 該シリコン触媒正電極の二次電池の構成は、シリコン触媒正電極と、第2族元素を含む負電極と、電解質層とこれらの間に介在されたセパレータを有する、密閉されたセル構成の二次電池であることを特徴とする、
    請求項1記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  4. 該シリコン触媒正電極の二次電池の負電極は、亜鉛を含むことを特徴とする、
    請求項1乃至3記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  5. 該シリコン触媒正電極の二次電池の負電極は、マグネシウムを含むことを特徴とする、
    請求項1乃至3記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  6. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極内部のシリコン微粒子の直径は0.5μm乃至50μmであることを特徴とする、
    請求項1乃至5記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  7. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極内部のシリコン微粒子は、微粒子内部にアルギン酸、クエン酸及び/又はボロンを含む補助剤を包含してなることを特徴とする、
    請求項6記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  8. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極は、担体を加えて作成されることを特徴とする、
    請求項6又は7記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  9. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極は、担体を加えて、加熱下で加圧することにより作成されることを特徴とする、
    請求項8記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  10. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極に用いる担体は、合成樹脂であることを特徴とする、
    請求項8又は9記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  11. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極に用いる担体は、PTFEであることを特徴とする、
    請求項10記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  12. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極外部は、金属メッシュ11で構成することを特徴とする、
    請求項1乃至11記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  13. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極外部は、グラファイト等の集電体で構成することを特徴とする、
    請求項1乃至11記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  14. 該シリコン触媒正電極の二次電池の負電極は、さらにカルシウムを含んでなることを特徴とする、
    請求項1乃至13記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  15. 該シリコン触媒正電極の二次電池の負電極の内面は、機械的又は酸化等による凹凸の多い負電極表面処理、又は当該合金を微粒子にして表面積を増加することを特徴とする
    請求項1乃至14記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  16. 該シリコン触媒正電極の二次電池に用いる電解質は、金属塩化物を主成分として含むことを特徴とする
    請求項1乃至15記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  17. 該シリコン触媒正電極の二次電池に用いる電解質は、アルミニウム、マグネシウム又はカリウムの塩化物を主成分として含むことを特徴とする
    請求項16記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  18. 該シリコン触媒正電極の二次電池に用いる電解質は、金属水酸化物を主成分として含むことを特徴とする
    請求項1乃至15記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  19. 該シリコン触媒正電極の二次電池に用いる電解質は、アルミニウム、マグネシウム又はカリウムの水酸化物を主成分として含むことを特徴とする
    請求項18記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  20. 該シリコン触媒正電極の二次電池に用いる電解質は、さらに電解質添加物を含んでなることを特徴とする
    請求項16乃至19記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  21. 該電解質添加物は、クエン酸、酒石酸又はリンゴ酸であることを特徴とする
    請求項20記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  22. 該シリコン触媒正電極の二次電池に用いる電解質は、中性溶媒に溶解されてなることを特徴とする
    請求項16乃至21記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  23. 該中性溶媒は、水又はアセトニトリルであることを特徴とする
    請求項22記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  24. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極は、遷移金属酸化物を含むことを特徴とする
    請求項1記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  25. 該遷移金属酸化物は、正電極中で10重量パーセント以上含有されることを特徴とする
    請求項24記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  26. 該遷移金属酸化物は、正電極中で30重量パーセント以上含有されることを特徴とする
    請求項25記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  27. 該遷移金属酸化物は、正電極中で50重量パーセント以上含有されることを特徴とする
    請求項26記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  28. 該遷移金属酸化物は、正電極中で60重量パーセント以上含有されることを特徴とする
    請求項27記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  29. 該遷移金属酸化物は、二酸化マンガンであることを特徴とする
    請求項24乃至28記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
  30. 該シリコン触媒正電極の二次電池の正電極は、電極材料を真空加熱処理して形成することを特徴とする
    請求項1記載のシリコン触媒正電極の二次電池及びその製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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