JP2014220293A - 太陽電池ならびに太陽電池のアルミニウム電極形成用ペースト組成物 - Google Patents

太陽電池ならびに太陽電池のアルミニウム電極形成用ペースト組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電気特性を実現し得るアルミニウム電極を形成するためのペースト組成物を提供する。
【解決手段】そのペースト組成物は、アルミニウム粉末とガラスフリットと有機ビヒクルとを含んでいる。そして、上記ガラスフリットは、以下の条件:(1)酸化物換算のモル比で、SiO 5〜40mol%、B 5〜40mol%、ZnO 10〜50mol%、Bi 5〜45mol%、アルカリ土類金属酸化物 0〜25mol%、から実質的に構成される;(2)ガラスフリット全体を100mol%としたときに、Biのモル含有率MBiに対するZnOのモル含有率MZnの比(MZn/MBi)が、0.8以上2.5以下である;を具備している。好適な一態様では、上記ガラスフリットの軟化点が420℃以上620℃以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池(セル)とこれに用いるペースト組成物に関する。詳しくは、太陽電池の受光面の裏面側にアルミニウム電極を形成するためのペースト組成物に関する。
太陽の光エネルギーを電力に変換する太陽電池の典型例として、結晶性シリコン(単結晶または多結晶)を基板として利用する太陽電池、いわゆる結晶シリコン系太陽電池が知られている。かかる結晶シリコン系太陽電池としては、例えば図1に示すような、片面受光タイプの太陽電池10が知られている。
この太陽電池10は、p型シリコン基板(Siウエハ)11の一方の表面(受光面側)にn−Si層16を備え、該n−Si層の表面には反射防止膜14と受光面電極(表面電極)12とを備えている。また、シリコン基板11の他方の表面(裏面側)には、p層24を備え、該p層の表面にはアルミニウム電極20と外部接続用電極22とを備えている。
アルミニウム電極20の形成は、典型的には、シリコン基板11上にアルミニウム粉末を含むペースト状(インク状、スラリー状と表現される場合を包含する。以下、同様。)組成物を付与(塗布)し、焼成することによって行われる。この焼成時に、p型シリコン基板11とアルミニウム電極20の界面にAl−Si合金層(図示せず)が形成され、アルミニウムがp型シリコン基板11(p−Si層18)中に拡散することで、p層24が形成される。このp層24、すなわちBSF(Back Surface Field)層によって、光生成されたキャリアの再結合を防止することができ、電気特性(例えば光変換効率)を向上させることができる(いわゆるBSF効果)。
これに関連する従来技術として、特許文献1〜4には、種々のアルミニウム電極形成用ペースト組成物が開示されている。例えば、特許文献1には、Bi主体のガラスを用いたペースト組成物が記載されている。
特開2010−222238号公報 特開2008−159917号公報 特開2013−504199号公報 特開2007−81059号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、従来技術に係るペースト組成物を使用した場合に、焼成時(BSF層の形成時)にシリコン基板とアルミニウムとの反応が進行し難かったり、あるいは、局所的に該反応が過剰に生じてAl−Si合金層が厚くなり、ブリスタやAlの凝集を生じたりすることがあった。その結果、BSF層が不均質なものとなり、電気特性や耐久性(例えば耐水性)が不十分となることがあった。
本発明はかかる点に鑑みて創出されたものであり、その目的は、優れた電気特性を長期間発揮し得るアルミニウム電極を形成するためのペースト組成物を提供することである。関連する他の目的は、かかるペースト組成物を用いて形成されたアルミニウム電極を備えた太陽電池を提供することである。
本発明によって提供されるペースト組成物(すなわち、ペースト状に調製されている組成物)は、太陽電池のアルミニウム電極を形成するためのものである。かかるペースト組成物は、アルミニウム粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含んでいる。そして、上記ガラスフリットは、以下の条件(1),(2)を具備することを特徴とする。
(1)酸化物換算のモル比で、以下の組成:
SiO 5〜40mol%、
5〜40mol%、
ZnO 10〜50mol%、
Bi 5〜45mol%、
MgO、CaO、SrO及びBaOのうちの少なくとも1種 0〜25mol%、
から実質的に構成される。
(2)上記ガラスフリット全体を100mol%としたときに、上記Biのモル含有率MBiに対する上記ZnOのモル含有率MZnの比(MZn/MBi)が0.8以上2.5以下である。
上記構成のペースト組成物(アルミニウムペースト)を用いることによって、アルミニウムとシリコンの界面反応を均一且つ好適に生じさせることができる。このため、ブリスタやAlの凝集等の発生を大幅に抑制することができ、シリコン基板の裏面側に均質なBSF層を形成することができる。したがって、太陽電池の電気特性(例えば光変換効率や開放電圧、曲線因子)を大幅に向上させることができる。加えて、上記アルミニウム電極は、接着強度や耐久性(例えば耐水性)にも優れるため、例えばセル内部に水分が侵入した場合であっても電気特性を良好な範囲で維持することができ、長期に渡り安定的に使用することができる。このように、上記構成のペースト組成物を用いることで、電気特性と耐久性(例えば耐水性)とを高いレベルで両立可能なアルミニウム電極を実現することができる。
なお、ペースト組成物を構成するガラスフリットに関して「実質的に構成される」とは、上記主酸化物成分のみからなるものと、該主酸化物成分以外の副次的成分を酸化物換算のモル比でガラス全体の7mol%以下(好ましくは5mol%以下、特に好ましくは4mol%以下)の含有率で含むものとを包含する用語である。
好ましい一態様では、上記ガラスフリットは、酸化物換算のモル比で以下の組成:
SiO 10〜35mol%、
10〜30mol%、
ZnO 20〜40mol%、
Bi 10〜40mol%、
MgO、CaO、SrO及びBaOのうちの少なくとも1種 0.1〜20mol%、
から実質的に構成される。
このような組成のガラスフリットを採用することによって、当該ペースト組成物から形成されたアルミニウム電極の特性(例えば、上述のような電気特性、接着強度、耐久性)をより一層向上させることができ、より高い信頼性を実現することができる。
好ましい一態様では、上記ガラスフリットは、Pbおよびアルカリ成分を含まない。すなわち、上記ガラスフリットには、当該成分を少なくとも意図的には添加しない(例えば不可避的な不純物として持ち込まれることは許容され得る)。Pbフリーのガラスフリットを用いることで、ブリスタやAlの凝集を一層低減することができ、より均質なアルミニウム電極を形成することができる。また、無アルカリのガラスフリットを用いることで、耐水性や耐薬品性(例えば耐アルカリ性)を向上させることができる。これに加えて、熱膨張係数をより低く抑えることができる。このことは、シリコン基板との熱膨張係数の整合の観点からも好ましい。
好ましい一態様では、上記ガラスフリットの軟化点(軟化開始点)は420℃以上620℃以下である。このような温度域に軟化点を有するガラスフリットの使用により、アルミニウムとシリコンの界面反応を促進させることができる。このため、均質なBSF層を安定的に形成することができ、電気特性(例えば光変換効率や開放電圧、曲線因子)に優れたアルミニウム電極を形成することができる。なお、ガラスフリットの軟化点は、一般的な示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA;Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)によって測定することができる。
好ましい一態様では、ペースト組成物全体を100質量%としたとき、上記ガラスフリットの含有率が0.01質量%〜1質量%である。上述のようなBSF効果を十分に享受することのできる範囲でガラスフリットの含有量を従来に比べ低減することで、ブリスタの発生や耐水性の低下をより一層抑制することができる。また、ガラスフリットは絶縁性を示すため、これを減少させることで、アルミニウム電極の導電性を向上させることもできる。
好ましい一態様では、上記有機ビヒクルは、有機バインダとして、分解温度(分解終点温度)が400℃以下の樹脂(例えば、アクリル樹脂)を含んでいる。このようなバインダは、脱バインダ特性が良好な(すなわち、焼成時に燃え抜けやすい)ため、燃え抜け時の吸熱の影響によって、シリコンとアルミニウムの局所的な過剰反応を防止することができる。したがって、上述のようなガラスフリットと、かかるバインダと、を含んだペースト組成物を使用することで、より均質なBSF層を形成することができ、一層優れた(例えば、電気特性、耐久性、接着強度のうち少なくとも1つの性能が向上した)アルミニウム電極を好適に実現することができる。なお、有機バインダの分解温度は、一般的な示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)によって測定することができる。
上述のとおり、ここで開示されるいずれかのペースト組成物(アルミニウムペースト)を用いることにより、電気特性や耐久性に優れたアルミニウム電極を形成することができる。したがって、本発明によると、ここで開示されるアルミニウム電極を備えた太陽電池が提供される。かかる太陽電池は、例えば光変換効率や曲線因子が大きく、電気特性や耐久性、信頼性に優れたものであり得る。
一実施形態に係る太陽電池の構造の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、ペーストの調製方法、本発明を特徴付けない太陽電池(セル)の一般的な製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪ペースト組成物≫
先ず、本発明によって提供されるアルミニウム電極形成用ペースト組成物について詳細に説明する。ここで開示されるアルミニウム電極形成用ペースト組成物は、太陽電池におけるアルミニウム電極を形成する用途に用いられるアルミニウムペーストであり、少なくともアルミニウム粉末とガラスフリットと有機ビヒクルとを含み、ペースト状に調製された電極形成用材料である。本発明の目的を実現し得る限りにおいて、その他の構成成分に関しては特に制限はない。
<アルミニウム粉末>
本明細書において「アルミニウム粉末」とは、アルミニウム(Al)を主体とする粒子の集合体をいい、典型的にはAl単体から成る粒子の集合体であるが、Al以外の不純物やAl主体の合金を微量含むものであっても、全体としてアルミニウム主体の粒子の集合体である限り、ここでいう「アルミニウム粉末」に包含され得る。なお、アルミニウム粉末自体は、従来公知の製造方法によって製造されたものでよく、特別な製造手段を要求するものではない。使用するアルミニウム粉末を構成する粒子は、典型的には球状であるが、いわゆる真球状のものに限定されず、例えばフレーク形状や不規則形状の粒子を含むものであってもよい。
使用するアルミニウム粉末の性状は特に限定されないが、微細な電極パターンを形成する観点から、平均粒径D50は、通常10μm以下が適当であり、典型的には平均粒径が2μm〜8μm(例えば4μm〜6μm)程度のものを好ましく用いることができる。なお、本明細書において「粒径」とは、レーザー回折法に基づく粒度分布測定装置によって測定された値をいい、D50とは粒度分布における累積体積50%時の粒径(いわゆるメジアン径)をいう。また、アルミニウム粉末の粒度分布は、比較的狭い(粒径が揃っている)ことが好ましい。かかる指標としては、レーザー回折法に基づく粒度分布における累積体積10%時の粒径(D10)と累積体積90%時の粒径(D90)との比(D10/D90)を採用することができる。粉末を構成する粒径がほぼ等しい場合は、D10/D90=1となり、逆に粒度分布が広くなる程、D10/D90は0に近づくことになる。ここでは、D10/D90が凡そ0.2と比較的粒径の揃ったアルミニウム粉末を好適に使用することができる。
ペースト組成物全体に占めるアルミニウム粉末の割合は特に限定されないが、通常凡そ55質量%〜85質量%であり、例えば60質量%〜80質量%とすることができる。上記範囲とすることで、アルミニウム電極に十分な導電性を付与することができる。また、シリコンとの反応を好適に生じさせることができ、BSF層を好適に形成することができる。このため、高い電気特性(特には光変換効率)を実現することができる。
<ガラスフリット>
ガラスフリット(ガラス粉末)は、アルミニウム電極の接着強度(剥離強度)を向上させる無機添加材である。ここで開示されるペースト組成物(アルミニウムペースト)に含まれるガラスフリット(ガラス組成物)は、必須構成成分として、SiOと、Bと、ZnOと、Biと、を含んでいる。換言すれば、SiとBとZnとBiの酸化物を基本構成要素とする(すなわち、SiO−B−ZnO−Bi系を基本とする)ガラスフリットである。かかるガラスフリットは、酸化物換算のモル比で、以下の組成:
SiO 5〜40mol%、
5〜40mol%、
ZnO 10〜50mol%、
Bi 5〜45mol%、
MgO、CaO、SrO及びBaOのうちの少なくとも1種 0〜25mol%、
から実質的に構成されている。
さらに、より好ましい組成のガラスフリットは、酸化物換算のモル比で、以下の組成:
SiO 10〜35mol%、
10〜30mol%、
ZnO 20〜40mol%、
Bi 10〜40mol%、
MgO、CaO、SrO及びBaOのうちの少なくとも1種 0.1〜20mol%、
から実質的に構成されている。
なかでも、ガラスフリットは、酸化物換算のモル比で、以下の組成:
SiO 10〜35mol%、
10〜30mol%、
ZnO 20〜30mol%、
Bi 10〜20mol%、
BaO 10〜20mol%、
MgO、CaO及びSrOのうちの少なくとも1種 0.1〜2mol%、
から実質的に構成されていることが、特に好ましい。
以下、各構成成分について順に説明する。
酸化ケイ素(SiO)は、ガラスの骨格を構成する成分である。ガラス全体に占めるSiOの割合は、酸化物換算のモル比で、凡そ5mol%以上とすることが適当であり、10mol%以上とすることが好ましい。これにより、耐水性、耐薬品性、耐熱衝撃性のうちの少なくとも1つを向上させることができる。また、上限値は、凡そ40mol%以下とすることが適当であり、35mol%以下とすることが好ましい。これにより、ガラスフリットの軟化点が高くなりすぎることを防止することができ、比較的低い焼成温度でアルミニウム電極を形成することができる。
酸化ホウ素(B)は、ガラスフリットの熱的安定性を向上させる(熱膨張係数を調整する)とともに、ガラスフリットの軟化点を低下させる効果が高い成分である。このような効果を好適に発揮させるためには、ガラス全体に占めるBの割合は、酸化物換算のモル比で、凡そ5mol%以上とすることが適当であり、10mol%以上とすることが好ましい。これにより、アルミニウムとシリコンとの反応をより均一に生じさせることができ、均質なBSF層を形成することができる。また、上限値は、凡そ40mol%以下とすることが適当であり、30mol%以下とすることが好ましい。これにより、ガラスフリットの熱的安定性を高めることができ、アルミニウム電極の耐久性(例えば、機械的強度や耐水性)を向上させることができる。
酸化亜鉛(ZnO)は、他の成分に比べて熱膨張係数がシリコンに近く、ガラスフリットの熱的安定性を向上させる(熱膨張係数を調整する)効果が高い成分である。また、熱衝撃性が高く水に侵され難い等、化学的に安定した性質および耐久性を実現し得る成分である。このような効果を好適に発揮させるためには、ガラス全体に占めるZnOの割合は、酸化物換算のモル比で、凡そ10mol%以上とすることが適当であり、20mol%以上とすることが好ましい。また、上限値は、凡そ50mol%以下とすることが適当であり、40mol%以下とすることが好ましい。
酸化ビスマス(Bi)は、ガラスフリットの熱的安定性を向上させる(熱膨張係数を調整する)とともに、ガラスフリットの軟化点を低下させる効果が高い成分である。このような効果を好適に発揮させるためには、ガラス全体に占めるBiの割合は、酸化物換算のモル比で、凡そ5mol%以上とすることが適当であり、10mol%以上とすることが好ましい。また、上限値は、凡そ45mol%以下とすることが適当であり、40mol%以下とすることが好ましい。
また、ここで開示されるペースト組成物に含まれるガラスフリットでは、Biのモル含有率MBiに対するZnOのモル含有率MZnの比(MZn/MBi)が0.8以上2.5以下(ただし、MBiとMZnは上記比率の範囲を逸脱しない。)である。このようなガラスフリットをペースト組成物中に含むことで、均質なBSF層を形成することができ、電気特性と耐久性(例えば耐水性)とを高いレベルで両立可能なアルミニウム電極を実現することができる。
なお、ガラスフリットには、上述した4種の必須構成成分の他、任意の成分を含ませることができる。好適な一態様では、ガラスフリットの構成成分として、さらに少なくとも一種のアルカリ土類金属酸化物、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)、を含んでいる。これにより、熱膨張係数を調整することができるとともに、ガラス組成の多様化(構成金属元素の多種類化)によってガラスの安定性を高めることができる。このような観点から、ガラス全体に占めるアルカリ土類金属酸化物の割合は、酸化物換算のモル比で、凡そ0.01mol%以上とすることが好ましく、0.1mol%以上とすることがより好ましい。また、上限値は、凡そ25mol%以下とすることが好ましく、20mol%以下とすることがより好ましい。加えて、MgOはガラスフリット溶融時の粘度調整を行うことができる成分でもあり、CaOはガラスフリットの硬度を上げて耐摩耗性を向上させ得る成分でもある。したがって、なかでもマグネシウム成分および/またはカルシウム成分を含むことが好ましく、両方を含むことが特に好ましい。
好適な他の一態様では、ガラスフリットの構成成分として、さらにAlを含んでいる。酸化アルミニウム(Al)は、ガラスフリット溶融時の流動性を制御してアルミニウム電極形成時の付着安定性に関与する成分である。ガラスフリット全体に占めるAlの割合は、酸化物換算のモル比で、凡そ10mol%以下とすることができ、例えば0.01mol%〜5mol%程度とすることがより好ましい。Al含有率が上記範囲よりもあまりに高いと、ガラスの耐薬品性が低下する虞がある。
その他、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、TiO、ZrO、V、Nb、FeO、Fe、Fe、CuO、CuO、SnO、SnO、P、La、CeO等の酸化物成分を種々の目的に応じて含ませることもできる。これら構成成分の割合は、ガラス組成物全体の3mol%以下(典型的には2mol%以下、例えば1mol%以下)とすることが好ましい。
好適な一態様では、ここで開示されるペースト組成物は、アルカリ成分としてのアルカリ金属酸化物(例えば、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO))を含まない。具体的には、ガラスフリット全体に占めるアルカリ金属酸化物の割合を、凡そ1mol%以下とすることができ、1mol%未満とすることが好ましく、0.5mol%以下とすることがより好ましく、0.1mol%以下とすることが特に好ましい。これにより、耐水性や耐薬品性を向上させることができる。また、熱膨張係数が過剰に高くなりすぎることを防止することができる。
また、ここで開示されるペースト組成物は、鉛規制の観点等から、ガラスフリットの構成成分としてPbOを含まないことが好ましい。具体的には、ガラスフリット全体に占めるPbOの割合を、凡そ0.1mol%以下とすることが好ましく、0.01mol%以下とすることが特に好ましい。これにより、ブリスタやAlの凝集を一層低減することができ、均質なBSF層を形成することができる。Pbフリーとすることは、環境への配慮や作業性の観点からも好ましい。
使用するガラスフリットの性状は特に限定されないが、シリコン基板上に安定的にアルミニウム電極を固着させる(焼き付ける)ためには、平均粒径D50は、通常20μm以下が適当であり、典型的には平均粒径が0.01μm〜10μm(例えば0.1μm〜5μm)程度のものを好ましく用いることができる。
好適な一態様では、上記ガラスフリットの軟化点が420℃以上(典型的には430℃以上)であって、620℃以下(典型的には600℃以下)である。このような温度域に軟化点を有するガラスフリットの使用により、アルミニウムとシリコンの界面反応を促進させることができる。
ペースト組成物全体に占めるガラスフリットの割合は特に限定されないが、通常凡そ5質量%以下であり、典型的には0.01質量%〜5質量%、例えば0.01質量%〜3質量%とすることができる。特に好適な一態様では、ペースト組成物全体に占めるガラスフリットの割合が0.01質量%〜1質量%である。上記範囲とすることで、BSF層を好適に形成することができる。また、このようにガラスフリットの含有量を減少させることで、シリコン基板の反り量を低減することができる。さらには、導電性を向上させることができ、アルミニウム電極の電気特性を一層向上することができる。
<有機ビヒクル>
有機ビヒクルは、上述のような固形分(すなわち、アルミニウム粉末やガラスフリット)を分散させるための液状媒体であり、典型的には、有機溶媒と有機バインダとを含んでいる。
有機溶媒としては、アルミニウム粉末やガラスフリットを良好に分散させ得るものであればよく、従来のこの種のペースト組成物に用いられているものを特に制限なく使用することができる。具体的には、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体(グリコールエーテル系溶剤)、ブチルカルビトール、ブチルジグリコールアセテート、ターピネオール等の高沸点有機溶媒を1種類または複数種組み合わせて使用することができる。
有機バインダとしては、ここで開示されるペースト組成物に良好な粘性および塗膜形成能(シリコン基板に対する付着性)を付与し得るものであればよく、従来のこの種のペースト組成物に用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ロジン樹脂等を主体とするものが挙げられる。好適な一態様では、分解温度が400℃以下の樹脂を含んでいる。このようなバインダを用いることで、ブリスタやAlの凝集を防止することができ、より均質なBSF層を形成することができる。このような観点から、特にアクリル樹脂を好適に用いることができる。
有機ビヒクルとしての有機溶媒と有機バインダとの割合は、目的とするペースト組成物の粘性や塗布性等を考慮して、任意に設定することができる。おおよその目安として、ペースト組成物中における固形分材料(アルミニウム粉末およびガラスフリット)の総量を100質量%としたとき、有機バインダが1質量%以上5質量%以下(より好ましくは2質量%以上4質量%以下)の割合で含まれるように設定すること等が例示される。
また、特に限定されるものではないが、ペースト組成物全体に占める有機ビヒクル割合は、通常凡そ10質量%〜30質量%であり、15質量%〜25質量%とすることが好ましい。
このようなペースト組成物は、従来の太陽電池用アルミニウムペーストと同様に、上記の材料(典型的にはアルミニウム粉末、ガラスフリット(ガラス粉末)、および適当な有機ビヒクル)を混合することによって容易に調製することができる。ペースト組成物の調製は、例えば、一般的な混練機を用いて、アルミニウム粉末およびガラスフリットを有機ビヒクルとともに所定の配合比で混合・撹拌することで行うことができる。
ここで開示されるペースト組成物は、シリコン基板上に裏面電極としてのアルミニウム電極(ひいてはp層、すなわちBSF層)を形成するのに従来用いられてきたアルミニウムペーストと同様に取り扱うことができ、従来公知の方法を特に制限なく採用することができる。具体的には、以下のように、アルミニウム電極の形成に供することができる。
先ず、スクリーン印刷法、ディスペンサー塗布法、ディップ塗布法等の手法によって、所望する膜厚や塗膜パターンとなるように、ペースト組成物をシリコン基板上に付与(塗布)する。アルミニウム電極の塗膜厚みは100μm以下とすることが好ましく、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、例えば30μm±10μmとすることが特に好ましい。このような膜厚でアルミニウム電極を形成することで、裏面電極におけるBSF効果を効果的に発現させることができる。
次いで、任意の乾燥手段を用いて、ペースト塗布物を適当な温度(例えば、100℃〜300℃程度)で乾燥させる。乾燥後、適当な焼成炉(典型的には高速焼成炉)中で適当な加熱条件(例えば600℃〜900℃、好ましくは700℃〜800℃)で所定時間加熱することによって、乾燥塗膜の焼成を行う。これによって、上記ペースト塗布物がシリコン基板上に焼き付けられ、後述する図1に示すようなアルミニウム電極20およびp層(BSF層)24を形成することができる。すなわち、焼成によって、p型シリコン基板11上に(裏面電極となる)アルミニウム電極20が形成されるとともに、アルミニウム原子が該基板中に拡散することでアルミニウムを不純物として含むp層24が形成される。
ここで開示されるペースト組成物は、上述のようにSiO−B−ZnO−Bi系を基本とする所定のガラスフリットを含んでいる。これにより、均質なBSF層を形成することができ、優れた電気特性を実現することができる。また、アルミニウム電極の接着強度や耐久性(例えば耐水性)をも向上することができる。このため、結着材としてだけでなく、アルミニウム電極の耐久性を高める目的で含有され得るガラスフリットの含有量を従来に比べ減少することができる。その結果、このペースト組成物を用いて得られる太陽電池において、シリコン基板とガラス成分との熱膨張率の差から生じ得る基板の変形(反り等)を効果的に抑制、防止することができる。また、かかるペースト組成物を用いてなるアルミニウム電極では絶縁性であるガラス成分の含有量が低減され、良好な導通を発揮することができる。
なお、太陽電池製造のための材料やプロセスは、ここで開示されるペースト組成物を使用してアルミニウム電極を形成すること以外、従来と同様でよい。例えば、従来と同様にシリコン基板上にn層や反射防止膜を形成した後に、従来と同様の銀ペーストを用いて、裏面側の所望の領域にスクリーン印刷・乾燥し、受光面側にもパターン状に銀ペーストを印刷・乾燥する。その後、裏面側の銀ペースト形成領域の一部に重なるように、ここで開示されるペースト組成物を印刷・乾燥し、焼成を行う。このようにして、当該ペースト組成物を用いてなる裏面電極を備えた太陽電池(典型的には結晶シリコン系太陽電池)を製造することができる。
≪太陽電池≫
かかる結晶シリコン系太陽電池の構成の一典型例としては、図1に示される構成が挙げられる。本実施形態の太陽電池10は、大まかに言って、シリコン基板(Siウエハ)11と、基板11の一方の面側(表面側)に形成される受光面電極12と、基板11の他方の面側(裏面側)に形成されるアルミニウム電極20とから構成されている。
本実施形態のシリコン基板11は、結晶シリコン、アモルファスシリコンのようなシリコンから構成されている。シリコン基板11の性状は特に限定されないが、例えば厚みは、所望する太陽電池のサイズや該基板の強度(例えば破壊強度)等を考慮して設定することができ、通常5μm〜300μm程度とすることが好ましく、例えば5μm〜200μm程度とすることがより好ましい。
本実施形態の構成では、基板11のp−Si層(p型結晶シリコン)18の受光面側には、pn接合形成により形成されたn−Si層16が位置している。そして、n−Si層16の表面には、一般的な化学蒸着法(CVD)等によって形成された酸化チタンや窒化シリコンから成る反射防止膜14が位置している。加えて、反射防止膜14の表面には、典型的には銀ペーストをスクリーン印刷し焼成することによって形成されるAgから成る受光面電極(表面電極)12が設けられている。
また、p−Si層18の裏面側には、外部接続用電極22とともに、ここで開示されるアルミニウム電極形成用ペースト組成物を用いて形成されたアルミニウム電極20が形成されている。本実施形態では、p−Si層18の裏面側に外部接続用電極22が線状に形成されており、当該外部接続用電極22が形成された領域以外の略全面に裏面電界効果を奏するアルミニウム電極20が形成されている。また、本実施形態の構成では、アルミニウム電極20は、外部接続用電極22の一部(具体的には、線状構造の両縁部)を覆うとともに、外部接続用電極22を露出する開口部23を有するように形成されている。
以下、本発明に関する幾つかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
ここでは、アルミニウム電極形成用ペースト組成物の固形成分であるガラスフリットの組成(構成成分およびその比率)を相互に異ならせた場合の差異を検討した。
本試験においては以下の表1に示すような組成(mol%)、軟化点(℃)を有する計6種類のガラスサンプル(サンプル1〜6)を使用した。
Figure 2014220293
表1に示す各ガラスフリット(サンプル1〜6)を用いて、計6種類のアルミニウムペースト(試験例1〜6)を作製した。各試験例に係るアルミニウムペーストは、上記のようにガラスフリットの性状が異なるだけであり、その他の成分(アルミニウム粉末、有機ビヒクル)や配合比は同一とした。
各試験例のアルミニウムペーストの内容は以下のとおりである。
(1)アルミニウム粉末:平均粒径4.5μmのアルミニウム粉末をペースト全体の75質量%となる量だけ配合して使用した。
(2)ガラスフリット:上記サンプル1〜6の何れかの性状のガラスフリットを、ペースト全体の0.01〜1.00質量%の任意の添加量で配合して使用した。
(3)有機ビヒクル:有機溶媒としてブチルカルビトールアセテートをペースト全体の約22質量%となる量だけ配合して使用した。また、有機バインダとして、アクリル系樹脂をペースト全体の約2質量%となる量だけ配合して使用した。
次に、上記調製した試験例1〜6のアルミニウムペーストを用いて、シリコン基板の一面(裏面)にアルミニウム電極を形成した。
具体的には、市販の125mm四方の大きさの太陽電池用p型単結晶シリコン基板(板厚200μm)を用意し、その表面を水酸化ナトリウム水溶液でアルカリエッチング処理した。次いで、上記エッチング処理で微細な凹凸構造(テクスチャ構造)が形成されたシリコン基板の受光面にリン含有溶液を塗布し、熱処理を行なうことによって当該シリコン基板の受光面に厚さが約0.5μmであるn−Si層(n層)を形成した。
次いで、n−Si層上にプラズマCVD(PECVD)法によって厚みが50nm以上100nm以下程度の反射防止膜(窒化シリコン膜)を形成した。さらに、所定の表面電極(Ag電極)形成用銀ペーストを用いて反射防止膜上にスクリーン印刷法によって表面電極(Ag電極)となる塗膜(厚さ20μm以上50μm以下)を形成したのち、同様に、裏面電極(Ag電極)となる塗膜をパターン状に(約5mm幅で線状に)形成し、乾燥させた。
シリコン基板の裏面側には、Ag電極の一部に重なるように、スクリーン印刷(ステンレス製スクリーンメッシュSUS#250を使用した。)によって上記試験例1〜6のいずれかのペースト組成物を印刷(塗布)して、膜厚が約30μmの塗布膜を形成した。この基板を、高速焼成炉を用いて、大気雰囲気中で凡そ700℃〜800℃の焼成温度で1分間焼成して、アルミニウム電極を形成した。これにより、試験例1〜6に係る太陽電池を得た。
〔外観の確認〕
焼成後のアルミニウム電極を観察し、ブリスタやアルミニウムの凝集等の外観不良が発生していないか確認した。結果を、表2の「外観」の欄に示す。なお、当該欄において、「○」は不具合が5箇所以下であったことを、「△」は5〜20箇所であったことを、「×」は20箇所以上であったことを、それぞれ表している。
Figure 2014220293
表2に示すように、ZnOを含有しないガラスフリットを用いた試験例2、および、MZn/MBi≦0.6の(すなわち、Biに対するZnOの含有率が少ない)ガラスフリットを用いた試験例3では、多くの外観不良(典型的にはブリスタ)が確認された。この理由としては、バインダが燃え抜ける際にアルミニウムとシリコンが局所的に過剰反応したことが考えられた。これに対し、ZnOを主体とするガラスフリットを用いた試験例1、および、MZn/MBi≧0.8(MZn/MBi≧1.0)のガラスフリットを用いた試験例3〜5では、外観不良が少なく、均質なBSF層が形成されていることが認められた。
〔耐水性評価〕
上記得られた試験評価用セル(太陽電池)を用いて、アルミニウム電極の耐熱水性を評価した。具体的には、80℃の温度に保った熱水を用意し、アルミニウム電極が熱水に十分に接触するように各試験評価用セルを熱水中に浸漬させた。そして、アルミニウム電極から気泡が発生するまで(すなわち、アルミニウムが水分と反応して水素を発生するまで)の時間を計測した。なお、上限は10分とした。結果を、耐水時間として、表2の「耐水性」の欄に示す。
表2に示すように、外観の確認において不具合の多かった試験例2,3では、アルミニウム電極が10分以内に劣化し、相対的に耐水熱性が低かった。これに対し、試験例1および3〜5では、相対的に高い耐水熱性を示すことが認められた。
〔電気特性評価〕
上記得られた試験評価用セル(太陽電池)を用いて、JIS C8913(1998)にしたがって電気特性を評価した。表2に、光変換効率(Eff)、開放電圧(VOC)、短絡電流(ISC)、曲線因子(FF)、直列抵抗(R)、並列抵抗(RSh)を示す。なお、表2中では、試験例1に係る結果を100として相対評価で表している。
表2に示すように、Biのモル含有率MBiに対するZnOのモル含有率MZnの比(MZn/MBi)が0.8〜2.5(特には1〜2)を満たす試験例4〜6では、開放電圧(Voc)の向上による光変換効率(Eff)の大幅な向上がみられ、優れた電気特性を示すことがわかった。なかでも、試験例4,5では、上記Vocに加えて曲線因子(FF)の向上に起因するEffの向上もみられ、より一層優れた電気特性を示すことがわかった。
〔剥離強度評価〕
上記得られた試験評価用セル(太陽電池)を用いて、アルミニウム電極の剥離強度(テーププル強度)を測定した。具体的には、各試験評価用セルのアルミニウム電極の形成された部位に住友3M製スコッチテープを指で押し付けてからテープを剥がし、剥離したテープ面に付着する電極の様子を目視により観察した。結果を表2の「剥離」の欄に示す。当該欄において、「○」は、押しつけたテープに電極が付着しなかったことを示している。一方、押しつけたテープに電極が付着した場合を「×」で示している。
表2に示すように、試験例1では、接着強度が低かった。この理由としては、焼成時にアルミニウムとシリコンの界面反応が抑制されたことが考えられる。これに対し、試験例2〜6では、相対的に高い接着強度を示すことがわかった。
上述のような実施形態や試験例の記載から明らかなように、ここで開示されるペースト組成物を用いてなるアルミニウム電極は、BSF層が均質に形成されたものであり、導電性や接着強度、耐水性に優れる。このため、かかる電極を備えた太陽電池では、電気特性(例えば光変換効率や開放電圧、曲線因子)を大幅に向上させることができ、さらには、かかる高性能を長期に渡り安定的に発揮することができる。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、さらに別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加えうるものである。
10 太陽電池
11 P型シリコン基板(Siウェハ)
12 受光面電極(表面電極)
14 反射防止膜
16 n−Si層(n層)
18 p−Si層
20 アルミニウム電極(裏面電極)
22 外部接続用電極
23 開口部
24 p層(BSF層)

Claims (8)

  1. 太陽電池のアルミニウム電極を形成するためのペースト組成物であって、
    アルミニウム粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含み、
    前記ガラスフリットは、以下の条件:
    (1)酸化物換算のモル比で以下の組成:
    SiO 5〜40mol%、
    5〜40mol%、
    ZnO 10〜50mol%、
    Bi 5〜45mol%、
    MgO、CaO、SrO及びBaOのうちの少なくとも1種 0〜25mol%、
    から実質的に構成される;
    (2)前記ガラスフリット全体を100mol%としたときに、前記Biのモル含有率MBiに対する前記ZnOのモル含有率MZnの比(MZn/MBi)が0.8以上2.5以下である;
    を具備する、アルミニウム電極形成用ペースト組成物。
  2. 前記ガラスフリットは、酸化物換算のモル比で以下の組成:
    SiO 10〜35mol%、
    10〜30mol%、
    ZnO 20〜40mol%、
    Bi 10〜40mol%、
    MgO、CaO、SrO及びBaOのうちの少なくとも1種 0.1〜20mol%、
    から実質的に構成される、請求項1に記載のペースト組成物。
  3. 前記ガラスフリットの示差熱−熱重量同時測定に基づく軟化点は420℃以上620℃以下である、請求項1または2に記載のペースト組成物。
  4. ペースト組成物全体を100質量%としたとき、前記ガラスフリットの含有率が0.01〜1質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペースト組成物。
  5. 前記ガラスフリットは、Pbおよびアルカリ成分を含まない、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペースト組成物。
  6. 前記有機ビヒクルは、有機バインダとして、示差熱−熱重量同時測定に基づく分解温度が400℃以下の樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペースト組成物。
  7. 前記有機ビヒクルは、有機バインダとしてアクリル樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペースト組成物。
  8. シリコン基板と、
    該基板の一方の面である受光面側に形成される受光面電極と、
    該基板の他方の面である裏面側に形成されるアルミニウム電極であって、請求項1〜7のいずれかに記載のペースト組成物を焼成してなる前記アルミニウム電極と、
    を備えた太陽電池。
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