JP2014218248A - 倒立二輪車及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストを低減するためにモータを単一巻とした構成であっても、直進安定性を維持すること。【解決手段】本発明にかかる倒立二輪車は、2つの車輪を回転させる単一巻の第1のモータ及び第2のモータと、第1のモータ及び第2のモータに駆動電流を供給する第1の制御系及び第2の制御系とを備え、第1の制御系において異常が検出された場合に、第1の制御系から第1のモータに対する駆動電流の供給を抑止する。倒立二輪車は、倒立二輪車の旋回動作に応じて変化する物理量を検出するセンサと、第1のモータに対するダイナミックブレーキの有効/無効が切り替えられるダイナミックブレーキユニットと、第1の制御系から第1のモータに対する駆動電流の供給が抑止されているときに、センサによって検出された物理量に基づいて、第2のモータ側を中心として倒立二輪車が旋回動作をしていると判定した場合、ダイナミックブレーキを有効にする制御部を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、倒立二輪車及びその制御方法に関し、特に、制御系を二重化した倒立二輪車を制御する技術に関する。
特許文献1に開示の車両は、モータが複数の余剰巻線を有するようにし、複数のパワーアンプ制御部からモータ駆動を可能としている。また、この車両は、複数のパワーアンプ制御部と、その複数のパワーアンプ制御部にシステムバスを介して接続された複数のプロセッサとを有するようにして、制御系を多重化している。そして、いずれかのプロセッサが故障した場合には、故障したプロセッサ以外のプロセッサの出力に基づいて車両を制御するようにしている。しかしながら、上述したように、モータを多重巻線とすると、コストが増大してしまうという問題がある。
特開2009−187561号公報
本願出願人は、上述したような問題に対して、コストの低減することができる倒立二輪車を検討するにあたり、以下に説明する課題を見出した。なお、以下に説明する内容は、本願出願人が新たに検討した内容であって、従来技術を説明するものではない。
図15は、モータ407、408を単一巻線とし、制御系を1系と2系とで二重化した倒立二輪車400における制御系の構成を示すブロック図である。図16は、モータ407、408を単一巻線とし、制御系を1系と2系とで二重化した場合における倒立二輪車400の概略構成である。
図16に示すように、モータ407、408は、二重化された制御系のうち、そのモータ407、408に対応する制御系のみから制御可能となる。マイコン401、402は、姿勢角センサ411、412からの出力に基づいて、倒立を維持するようにインバータ403、404を介して407、408を制御する。また、マイコン401、402は、回転角センサ409、410からの出力に基づいて、モータ407、408をフィードバック制御する。
この構成において、制御系の1つにおいて故障が発生した場合における倒立二輪車400の動作について、図17に示すフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、1系と2系の制御系のうち、1系の制御系が故障した場合について説明する。
1系のマイコン401は、1系の制御系における故障を検出した場合(S101)、1系のリレー405をOFFにする(S102)。すなわち、1系のインバータ403とモータ407が分離され、モータ407がフリーの状態となる。そして、1系のマイコン401は、1系の制御系が故障したことを通知する情報を2系のマイコン402に出力する。
2系のマイコン402は、1系のマイコン401から通知された情報によって、1系の制御系が故障したことを検知する(S103)。1系の制御系の故障を検知した場合、2系のマイコン402は、倒立二輪車400の車速を落とすように、インバータ404を介してモータ408を制御する。すなわち、残りの制御系から倒立二輪車の倒立制御を行いつつ、倒立二輪車を停止させることができる。しかしながら、この場合、2系の制御系からモータ408のみを駆動して倒立二輪車400の倒立制御を行うことになるため、フリーになっている1系側のモータ407を軸として倒立二輪車400の車体が回転する(S104)。そして、十分に倒立二輪車の車速が落ちたところで、倒立二輪車の搭乗者が降りることができる(S105)。
このように、コストを低減するために、単純にモータ407、408を単一巻線として簡略化した構成とした場合、片方の制御系において故障が発生した場合に、それに応じて倒立二輪車を停止させるときに、倒立二輪車が回転(旋回)動作をしてしまう。すなわち、直進安定性を維持することができなくなり、倒立二輪車を安定走行させて停止状態にもっていくことができなくなってしまうという問題がある。しかしながら、倒立二輪車では、制御の安定性を確保することが必要とされている。
本発明は、上述した知見に基づいてなされたものであって、コストを低減するためにモータを単一巻とした構成であっても、直進安定性を維持することができる倒立二輪車及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様にかかる倒立二輪車は、2つの車輪のそれぞれを回転させる単一巻の第1のモータ及び第2のモータと、前記第1のモータ及び前記第2のモータのそれぞれに駆動電流を供給する第1の制御系及び第2の制御系とを備え、前記第1の制御系において異常が検出された場合に、前記第1の制御系から前記第1のモータに対する駆動電流の供給を抑止する倒立二輪車であって、前記倒立二輪車の旋回動作に応じて変化する物理量を検出するセンサと、前記第1のモータに対するダイナミックブレーキの有効/無効が切り替えられるダイナミックブレーキユニットと、前記第1の制御系から前記第1のモータに対する駆動電流の供給が抑止されているときに、前記センサによって検出された物理量に基づいて、前記第2のモータ側を中心として前記倒立二輪車が旋回動作をしていると判定した場合、前記ダイナミックブレーキユニットにおけるダイナミックブレーキを有効にする制御部と、を備えたものである。
本発明の第2の態様にかかる倒立二輪車は、2つの車輪のそれぞれを回転させる単一巻の第1のモータ及び第2のモータと、前記第1のモータ及び前記第2のモータのそれぞれに駆動電流を供給する第1の制御系及び第2の制御系とを備え、前記第1の制御系において異常が検出された場合に、前記第1の制御系から前記第1のモータに対する駆動電流の供給を抑止する倒立二輪車であって、前記第2の制御系からの駆動電流を前記第2のモータとともに前記第1のモータにも供給するか否かが切り替えられるリレーと、前記第1の制御系から前記第1のモータに対する駆動電流の供給が抑止された場合、前記第2の制御系からの駆動電流を前記第1のモータにも供給するように、前記リレーを切り替える制御部と、を備えたものである。
本発明の第3の態様にかかる倒立二輪車は、2つの車輪のそれぞれを回転させる単一巻の第1のモータ及び第2のモータと、前記第1のモータ及び前記第2のモータのそれぞれに駆動電流を供給する第1の制御系及び第2の制御系とを備え、前記第1の制御系において異常が検出された場合に、前記第1の制御系から前記第1のモータに対する駆動電流の供給を抑止する倒立二輪車であって、前記第1のモータの出力軸と、前記第2のモータの出力軸とを連結する差動抑制装置を備えたものである。
本発明の第4の態様にかかる制御方法は、2つの車輪のそれぞれを回転させる単一巻の第1のモータ及び第2のモータと、前記第1のモータ及び前記第2のモータのそれぞれに駆動電流を供給する第1の制御系及び第2の制御系とを備えた倒立二輪車の制御方法であって、前記第1の制御系において異常が検出された場合に、前記第1の制御系から前記第1のモータに対する駆動電流の供給を抑止するステップと、前記倒立二輪車の旋回動作に応じて変化する物理量を検出するステップと、前記検出された物理量に基づいて、前記第2のモータ側を中心として前記倒立二輪車が旋回動作をしているか否かを判定するステップと、前記第2のモータ側を中心として前記倒立二輪車が旋回動作をしていると判定した場合、前記第1のモータに対してダイナミックブレーキをかけるステップと、を備えたものである。
本発明の第5の態様にかかる制御方法は、2つの車輪のそれぞれを回転させる単一巻の第1のモータ及び第2のモータと、前記第1のモータ及び前記第2のモータのそれぞれに駆動電流を供給する第1の制御系及び第2の制御系とを備えた倒立二輪車の制御方法であって、前記第1の制御系において異常が検出された場合に、前記第1の制御系から前記第1のモータに対する駆動電流の供給を抑止するステップと、前記第2の制御系からの駆動電流が前記第2のモータとともに前記第1のモータにも供給されるように、前記第2の制御系と前記第1のモータとの接続状態を切り替えるステップと、を備えたものである。
上述した本発明の各態様によれば、コストを低減するためにモータを単一巻とした構成であっても、直進安定性を維持することができる倒立二輪車及びその制御方法を提供することができる。
実施の形態1にかかる倒立二輪車を概要構成に示す図である。 実施の形態1にかかる制御装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1にかかる倒立二輪車内部の概略構造を示す図である。 実施の形態1にかかるリレー及びダイナミックブレーキ機構の構成図である。 実施の形態1にかかる倒立二輪車の制御処理を示すフローチャートである。 実施の形態1にかかる倒立二輪車の直進制御処理を示すフローチャートである。 実施の形態2にかかる制御装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態2にかかるリレー及び安全制御リレーの構成図である。 実施の形態2にかかる倒立二輪車の制御処理を示すフローチャートである 実施の形態2にかかる制御装置の他の構成を示すブロック図である。 実施の形態3にかかる制御装置の構成を示すブロック図である 実施の形態3にかかる倒立二輪車内部の概略構造を示す図である 通常時における回転差及びトルク伝達状況を示す図である。 異常発生時における回転差及びトルク伝達状況を示す図である。 実施の形態3にかかる倒立二輪車の制御処理を示すフローチャートである。 単一巻線のモータの倒立二輪車の制御系の構成を示すブロック図である。 単一巻線のモータの倒立二輪車の概略構成を示す図である。 単一巻線のモータの倒立二輪車の動作を示すフローチャートである。
<発明の実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1について説明する。図1を参照して、本発明の実施の形態1にかかる倒立二輪車1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる倒立二輪車1を概要構成に示す図である。
倒立二輪車1は、ステッププレート3に搭乗した搭乗者が、倒立二輪車1の前後方向に荷重を作用させた際における、前後方向への倒立二輪車1の姿勢角をセンサで検出し、この検出結果に基づいて、倒立二輪車1の倒立状態を維持するように左右の車輪2を駆動するモータを制御する。すなわち、倒立二輪車1は、ステッププレート3に搭乗した搭乗者が前方に荷重を作用させて倒立二輪車1を前方に傾斜させると、倒立二輪車1の倒立状態を維持するように前方に加速し、搭乗者が後方に荷重を作用させて倒立二輪車1を後方に傾斜させると、倒立二輪車1の倒立状態を維持するように後方に加速するように、左右の車輪2を駆動するモータを制御する。倒立二輪車1は、制御の安定性を確保するために、モータを制御する制御系が2重化されている。
なお、これらのモータの制御は、倒立二輪車1に搭載された制御装置10によって行われる。制御装置10については、図2を参照して後述する。
続いて、図2を参照して、本発明の実施の形態1にかかる制御装置10の構成について説明する。図2を参照して、本発明の実施の形態1にかかる制御装置10の構成を示すブロック図である。
制御装置10は、マイクロコントローラ11、12(以下、「マイコン」とも呼ぶ)、DCDCコンバータ(以下、「DCDC」とも呼ぶ)13、14、バッテリ15、16、インバータ17、18、リレー19、20、モータ21、22、回転角センサ23、24、姿勢角センサ25、26、ヨーレートセンサ27、28、及びダイナミックブレーキ機構29、30を有する。
制御装置10は、倒立二輪車1の制御の安定性を確保するために、1系の制御系と2系の制御系とに二重化させた二重系システムとなっている。1系の制御系は、マイコン11、DCDCコンバータ13、バッテリ15、インバータ17、リレー19、回転角センサ23、姿勢角センサ25、ヨーレートセンサ27、及びダイナミックブレーキ機構29を含む。1系の制御系は、モータ21の駆動を制御する。2系の制御系は、マイコン12、DCDCコンバータ14、バッテリ16、インバータ18、リレー20、回転角センサ24、姿勢角センサ26、ヨーレートセンサ28、及びダイナミックブレーキ機構30を含む。2系の制御系は、モータ22の駆動を制御する。
マイコン11、12のそれぞれは、姿勢角センサ25、26から出力される姿勢角信号に基づいて、上述したように、倒立状態を維持するようにモータ21、22を制御するECU(Engine Control Unit)である。マイコン11、12のそれぞれは、CPU(Central Processing Unit)及び記憶部を有し、記憶部に格納されたプログラムを実行することによって、本実施の形態におけるマイコン11、12のそれぞれとしての処理を実行する。すなわち、マイコン11、12のそれぞれの記憶部に格納されるプログラムは、本実施の形態におけるマイコン11、12のそれぞれにおける処理を、CPUに実行させるためのコードを含む。なお、記憶部は、例えば、このプログラムや、CPUにおける処理に利用される各種情報を格納することができる任意の記憶装置を含んで構成される。記憶装置は、例えば、メモリ又はハードディスク等である。
マイコン11は、モータ21を制御する指令値をインバータ17に出力する。また、マイコン11は、ダイナミックブレーキ機構29によるモータ22に対するダイナミックブレーキの有効/無効を切り替える。具体的には、マイコン11は、モータ22に対するダイナミックブレーキのOFF/ONの切り替えを指示する切替指示信号をダイナミックブレーキ機構29に出力する。
マイコン12は、モータ22を制御する指令値をインバータ18に出力する。また、マイコン12は、ダイナミックブレーキ機構30によるモータ21に対するダイナミックブレーキの有効/無効を切り替える。具体的には、マイコン12は、モータ21に対するダイナミックブレーキのOFF/ONの切り替えを指示する切替指示信号をダイナミックブレーキ機構30に出力する。
ここで、マイコン11は、回転角センサ23から出力される、モータ21の回転角を示す回転角信号に基づいて、モータ21をフィードバック制御するように、インバータ17に対する指令値を生成する。マイコン12は、回転角センサ24から出力される、モータ22の回転角を示す回転角信号に基づいて、モータ22をフィードバック制御するように、インバータ18に対する指令値を生成する。
なお、マイコン11は、DCDC13から供給される電力に基づいて動作する。また、マイコン12は、DCDC14から供給される電力に基づいて動作する。
DCDC13は、バッテリ15から供給される電力における電圧を、マイコン11への供給に適した電圧に変圧して、その電力をマイコン11に供給する。DCDC14は、バッテリ16から供給される電力における電圧を、マイコン12への供給に適した電圧に変圧して、その電力をマイコン12に供給する。
バッテリ15、16のそれぞれは、制御装置10に対して、その動作に必要な電力を供給する。具体的には、バッテリ15は、マイコン11の動作に必要な電力をDCDC13に供給する。また、バッテリ16は、マイコン12の動作に必要な電力をDCDC14に供給する。
インバータ17は、マイコン11から出力された指令値に基づいて、PWM(Pulse Width Modulation)制御を行うことで、バッテリ15から供給される電力から、モータ21を駆動する駆動電流を生成し、リレー19を介してモータ21に供給する。インバータ18は、マイコン12から出力された指令値に基づいて、PWM制御を行うことで、バッテリ15から供給される電力から、モータ22を駆動する駆動電流を生成し、リレー20を介してモータ22に供給する。
リレー19は、マイコン11によって1系の制御系における異常が検出された場合に行われる、マイコン11からの制御に応じて、インバータ17とモータ21とを分離する。リレー20は、マイコン12によって2系の制御系における異常が検出された場合に行われる、マイコン12からの制御に応じて、インバータ18とモータ22とを分離する。このように、異常が発生した制御系をモータ21、22から分離することによって、誤制御を防止し、制御における安全性を担保する。制御系における異常とは、任意の異常を定めることができる。制御系における異常は、例えば、制御系における構成部品の故障、又は、マイコン11、12のソフトウェアエラー等、制御系がモータ21、22を正常に制御できなくなる異常である。
モータ21、22のそれぞれは、単一巻線のモータである。モータ21は、インバータ17からリレー19を介して供給される駆動電流に基づいて駆動される。モータ21を駆動することによって、モータ21から左側の車輪2に対してトルクが与えられ、左側の車輪2が回転する。モータ22は、インバータ18からリレー20を介して供給される駆動電流に基づいて駆動される。モータ22を駆動することによって、モータ22から右側の車輪2に対してトルクが与えられ、右側の車輪2が回転する。
回転角センサ23は、モータ21の回転角を検出し、検出した回転角を示す回転角信号を生成してマイコン11に出力する。回転角センサ24は、モータ22の回転角を検出し、検出した回転角を示す回転角信号を生成してマイコン11に出力する。
姿勢角センサ25、26のそれぞれは、搭乗者がステッププレート3に対して、倒立二輪車1の前後方向に荷重を作用させた際における、倒立二輪車1の前後方向に対する姿勢角を検出し、検出した姿勢角を示す姿勢角信号をマイコン11、12のそれぞれに出力する。姿勢角センサ25、26のそれぞれは、例えば、加速度センサ及びジャイロセンサによって、倒立二輪車1の姿勢角を検出するように構成される。
ヨーレートセンサ27、28のそれぞれは、倒立二輪車1のヨーレートを検出し、検出したヨーレートを示すヨーレート信号をマイコン11、12のそれぞれに出力する。ヨーレートセンサ27、28のそれぞれは、例えば、ジャイロセンサによって、倒立二輪車1のヨーレート(角速度)を検出するように構成される。
ダイナミックブレーキ機構29は、ダイナミックブレーキのONの切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて、モータ22に対してダイナミックブレーキをかける。また、ダイナミックブレーキ機構29は、ダイナミックブレーキのOFFの切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて、モータ22に対するダイナミックブレーキを解除する。
ダイナミックブレーキ機構30は、ダイナミックブレーキのONの切り替えを指示する切替指示信号のマイコン12からの出力に応じて、モータ21に対してダイナミックブレーキをかける。また、ダイナミックブレーキ機構30は、ダイナミックブレーキのOFFの切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて、モータ21に対するダイナミックブレーキを解除する。
本実施の形態1は、上述した構成により、異常が発生した制御系から分離されることで、駆動電流が供給されなくなりフリーとなったモータ21又は22に対して、ダイナミックブレーキ機構29又は30によってダイナミックブレーキをかけることで、倒立二輪車1の直進性を維持するように倒立二輪車1を制御する。これによれば、倒立二輪車1の直進安定性を維持しつつ、倒立二輪車1を安定走行させて停止状態にもっていくことができる。
続いて、図3を参照して、本発明の実施の形態1にかかる倒立二輪車1内部の概略構造について説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかる倒立二輪車1内部の概略構造を示す図である。
モータ21、22のそれぞれは、上述したように、単一巻となっている。具体的には、モータ21は、単一巻のコイル210を含み、モータ22は、単一巻のコイル220を含む。モータ21は、マイコン11によってコイル210に対して供給される駆動電流によって駆動される。モータ22は、マイコン12によってコイル220に対して供給される駆動電流によって駆動される。このように、本実施の形態にかかるモータ21、22は、単一巻線(1重巻線)となっているため、多重巻線のモータを使用する場合と比較して、倒立二輪車1のコストを低減することができる。
続いて、図4を参照して、本発明の実施の形態1にかかるリレー19、20及びダイナミックブレーキ機構29、30の構成について説明する。図4は、発明の実施の形態1にかかるリレー19、20及びダイナミックブレーキ機構29、30の構成図である。
リレー19は、リレースイッチ101a〜101c及びリレードライバ103を有する。以下、リレースイッチ101a〜101cを、総じてリレースイッチ101とも呼ぶ。
リレースイッチ101a〜101cは、インバータ17とモータ21とを接続して、インバータ17から出力される駆動電流を、モータ21のW相、V相、及びU相のそれぞれに通電可能とする接続状態と、インバータ17とモータとを非接続として、インバータ17から出力される駆動電流を、モータ21のW相、V相、及びU相のそれぞれに通電しないようにする非接続状態とに切り替え可能なスイッチである。
リレードライバ103は、マイコン11からのリレー19の切り替えを指示する切替指示信号に応じて、リレースイッチ101a〜101cを切り替える。具体的には、マイコン11は、モータ21へ駆動電流を供給する前に、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレードライバ103に出力する。リレードライバ103は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて、リレースイッチ101a〜101cを接続状態に切り替える。また、マイコン11は、マイコン11が属する1系の制御系における異常を検出した場合、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレードライバ103に出力する。リレードライバ103は、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて、リレースイッチ101a〜101cを非接続状態に切り替える。これによって、1系のインバータ17とモータ21とが分離されて、モータ21は駆動電流が通電されないフリーの状態となる。
リレー20は、リレースイッチ102a〜102c及びリレードライバ104を有する。以下、リレースイッチ102a〜102cを、総じてリレースイッチ102とも呼ぶ。
リレースイッチ102a〜102cは、インバータ18とモータ22とを接続して、インバータ18から出力される駆動電流を、モータ22のW相、V相、及びU相のそれぞれに通電可能とする接続状態と、インバータ18とモータとを非接続として、インバータ18から出力される駆動電流を、モータ22のW相、V相、及びU相のそれぞれに通電しないようにする非接続状態とに切り替え可能なスイッチである。
リレードライバ104は、マイコン12からのリレー20の切り替えを指示する切替指示信号に応じて、リレースイッチ102a〜102cを切り替える。具体的には、マイコン12は、モータ22へ駆動電流を供給する前に、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレードライバ104に出力する。リレードライバ104は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン12からの出力に応じて、リレースイッチ102a〜102cを接続状態に切り替える。また、マイコン12は、マイコン12が属する2系の制御系における異常を検出した場合、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレードライバ104に出力する。リレードライバ104は、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン12からの出力に応じて、リレースイッチ102a〜102cを非接続状態に切り替える。これによって、2系のインバータ18とモータ22とが分離されて、モータ22は駆動電流が通電されないフリーの状態となる。
ダイナミックブレーキ機構29は、リレー105及びダイナミックブレーキ抵抗107a〜107cを有する。以下、ダイナミックブレーキ抵抗107a〜107cを、総じてダイナミックブレーキ抵抗107とも呼ぶ。
リレー105は、マイコン11からのリレー105の切り替えを指示する切替指示信号に応じて、モータ22とダイナミックブレーキ抵抗107a〜107cとを接続した接続状態と、モータ22とダイナミックブレーキ抵抗107a〜107cとを非接続とした非接続状態とに切り替わる。
具体的に、マイコン11は、モータ22に対してダイナミックブレーキをかける場合、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレー105に出力する。リレー105は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて接続状態に切り替わる。ここで、リレー105は、リレースイッチ102a〜102cが非接続状態に切り替えられている側との接続/非接続が切り替えられる。すなわち、リレースイッチ102a〜102cが非接続状態に切り替えられているときに、リレー105を接続状態に切り替えることで、モータ22とダイナミックブレーキ抵抗107a〜107cとが接続され、モータ22にダイナミックブレーキがかかる。また、マイコン11は、モータ22に対してかけているダイナミックブレーキを解除する場合、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレー105に出力する。リレー105は、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて非接続状態に切り替わる。
ダイナミックブレーキ機構30は、リレー106及びダイナミックブレーキ抵抗108a〜108cを有する。以下、ダイナミックブレーキ抵抗108a〜108cを、総じてダイナミックブレーキ抵抗108とも呼ぶ。
リレー106は、マイコン12からのリレー106の切り替えを指示する切替指示信号に応じて、モータ21とダイナミックブレーキ抵抗108a〜108cとを接続した接続状態と、モータ21とダイナミックブレーキ抵抗108a〜108cとを非接続とした非接続状態とに切り替わる。
具体的に、マイコン12は、モータ21に対してダイナミックブレーキをかける場合、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレー106に出力する。リレー106は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン12からの出力に応じて接続状態に切り替わる。ここで、リレー106は、リレースイッチ101a〜101cが非接続状態に切り替えられている側との接続/非接続が切り替えられる。すなわち、リレースイッチ101a〜101cが非接続状態に切り替えられているときに、リレー106を接続状態に切り替えることで、モータ21とダイナミックブレーキ抵抗108a〜108cとが接続され、モータ21にダイナミックブレーキがかかる。また、マイコン12は、モータ21に対してかけているダイナミックブレーキを解除する場合、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレー106に出力する。リレー106は、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン12からの出力に応じて非接続状態に切り替わる。
ここで、リレー105、106は、厳密には、リレー19、20と同様に、モータ21、22の各相と各ダイナミックブレーキ抵抗108a〜108cとを接続/非接続とする3つのリレースイッチと、それらのリレースイッチを切り替えるリレードライバを有する。そして、リレードライバが、マイコン11、12からの切替指示信号に応じてリレースイッチを切り替えることで、モータ21、22とダイナミックブレーキ抵抗107、108との接続/非接続を切り替えることになるが、その動作はリレー19、20における動作と同様となるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態1は、上述した構成により、制御系の異常の検出に応じてフリーとなったモータの回転数が多くなってしまい、生きているモータ側を中心として倒立二輪車1が回転してしまう場合に、フリーのモータに対してダイナミックブレーキをかけることで、倒立二輪車1の回転(旋回)動作を抑止することができる。これによれば、コストを低減するためにモータを単一巻とした構成において、制御系に異常が発生して縮退した場合であっても、倒立二輪車1の直進安定性を維持して、倒立二輪車1を安定走行させて停止状態にもっていくことができる。
続いて、図5を参照して、本発明の実施の形態1にかかる倒立二輪車1の制御処理について説明する。図5は、本発明の実施の形態1にかかる倒立二輪車1の制御処理を示すフローチャートである。
マイコン11は、1系の制御系における異常を検出した場合(S1)、1系のリレー19をOFFにする(S2)。具体的には、マイコン11は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレー19に出力する。リレー19は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて非接続状態になる。すなわち、リレー19は、インバータ17とモータ21とが分離される。これによって、モータ21がフリーとなる。
マイコン11は、1系の制御系において異常を検出したことを通知する通知情報をマイコン12に出力する。マイコン12は、マイコン11からの通知情報によって、1系の制御系に異常が発生したことを検知する(S3)。
マイコン12は、1系の制御系の異常の検知に応じて、1系のモータ21に対して、ダイナミックブレーキをかける(S4)。具体的には、マイコン12は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をダイナミックブレーキ機構30に出力する。ダイナミックブレーキ機構30は、マイコン12からの切替指示信号の出力に応じて、モータ21に対してダイナミックブレーキをかける。
以降、マイコン12は、ダイナミックブレーキのON/OFFを制御して、倒立二輪車1の回転量(旋回量)と倒立の維持を制御しながら、倒立二輪車1の車速を落とす制御を行う(S5)。ここでの、より詳細な処理内容については、図6を参照して後述する。これによって、倒立二輪車1の車速が十分に落ちたところで、搭乗者が降車可能となる(S6)。
続いて、図6を参照して、本発明の実施の形態1にかかる倒立二輪車1の異常発生時における直進制御処理について説明する。図6は、本発明の実施の形態1にかかる倒立二輪車1の異常発生時における直進制御処理を示すフローチャートである。この処理は、上述したように、ステップS5に相当する。なお、ここでは、上述と同様に、1系の制御系において異常が検出されているものとして説明する。
マイコン12は、ヨーレートセンサ28から出力されるヨーレート信号が示すヨーレートが一定値(所定の閾値)よりも高いか否かを判定する(S10)。ここでの一定値(閾値)は、任意の値を予め定めるようにしてよい。
ヨーレートが一定値以下であると判定した場合(S10:No)マイコン12は、モータ21に対するダイナミックブレーキをOFFにする(S11)。具体的には、マイコン12は、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をダイナミックブレーキ機構30に出力する。ダイナミックブレーキ機構30は、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン12からの出力に応じて、モータ21とダイナミックブレーキ抵抗108とを非接続として、モータ21に対するダイナミックブレーキを解除する。
ヨーレートが一定値よりも高いと判定した場合(S10:Yes)、マイコン12は、どちらのモータ側を中心に倒立二輪車1が回転しているかを判定する(S12)。
フリーにしたモータ21側を中心に倒立二輪車1が回転していると判定した場合(S12:フリーにしたモータ側)、マイコン12は、フリーにしていない、生きているモータ22の出力を下げる(S13)。具体的には、マイコン12は、モータ22の回転数を下げるように指令値を生成し、インバータ18に出力する。インバータ18は、マイコン12から出力された指令値に基づいて、モータ22の回転数を下げるように駆動電流を生成し、リレー20を介してモータ22に供給する。
すなわち、フリーにしたモータ21側を中心に倒立二輪車1が回転している場合、フリーにしたモータ21の回転数が、生きているモータ22の回転数よりも低いことになる。それに対して、ステップS13によれば、モータ21の回転数に合わせて、モータ22の回転数を下げることができるため、倒立二輪車1の直進安定性が維持される。
一方、生きているモータ22側を中心に倒立二輪車1が回転していると判定した場合(S12:生きているモータ側)、マイコン12は、フリーにしたモータ21に対するダイナミックブレーキをONにする(S14)。具体的には、マイコン12は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をダイナミックブレーキ機構30に出力する。ダイナミックブレーキ機構30は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン12からの出力に応じて、モータ21とダイナミックブレーキ抵抗108とを接続して、モータ21に対してダイナミックブレーキをかける。
すなわち、生きているモータ22側を中心に倒立二輪車1が回転している場合、生きているモータ22の回転数が、フリーにしたモータ21の回転数よりも低いことになる。それに対して、ステップS14によれば、モータ22の回転数に合わせて、モータ21の回転数をダイナミックブレーキによって下げることができるため、倒立二輪車1の直進安定性を維持することができる。
なお、上述した処理では、1系の制御系において異常が検出された場合について例示したが、2系の制御系において異常が検出された場合は、マイコン11とマイコン12の立場が逆転した状態で同様の処理が行われることは自明であるため、その説明は省略する。
以上に説明したように、本実施の形態1では、モータ21、22を単一巻線としているため、コストを低減することができる。また、削減した巻線に対応する構成要素(インバータ、リレー、回転角センサ等)も削減することができるため、その点でもコストを低減することができる。
また、本実施の形態1では、1系の制御系からモータ21に対する駆動電流の供給が抑止されているときに、ヨーレートセンサ27によって検出された物理量(ヨーレート)に基づいて、生きているモータ22側を中心として倒立二輪車1が旋回動作をしていると判定した場合、マイコン12は、ダイナミックブレーキ機構30におけるダイナミックブレーキを有効にするようにしている。これによれば、コストを低減するためにモータ21、22を単一巻として、いずれかの制御系からしか駆動できない構成とした場合であっても、モータ22の回転数に合わせて、モータ21の回転数をダイナミックブレーキによって下げることができるため、倒立二輪車1の直進安定性を維持することができる。また、低コストであるダイナミックブレーキによって実現することができるため、その点でもコストを増大させることもない。
<発明の実施の形態2>
続いて、本発明の実施の形態2について説明する。なお、本実施の形態2にかかる倒立二輪車1の概略構成は、図1を参照して説明した実施の形態1にかかる倒立二輪車1の概略構成と同様であるため、説明を省略する。
続いて、図7を参照して、本発明の実施の形態2にかかる制御装置10の構成について説明する。図7を参照して、本発明の実施の形態2にかかる制御装置10の構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と同様の内容については、適宜、その説明を省略する。
本実施の形態2では、制御装置10は、ダイナミックブレーキ機構29、30に代えて、安全制御リレー31、32を有する。
安全制御リレー31は、1系の制御系における異常が検出された場合に行われる、2系のマイコン12からの制御に応じて、インバータ17から出力される駆動電流をモータ22にも出力するように切り替えられる。安全制御リレー32は、2系の制御系における異常が検出された場合に行われる、1系のマイコン11からの制御に応じて、インバータ18から出力される駆動電流をモータ21にも出力するように切り替えられる。
本実施の形態2は、上述した構成により、異常が発生した制御系から分離されることで、駆動電流が供給されなくなったモータ21又は22に対しても、安全制御リレー31又は32によって、他方の制御系から駆動電流を供給することで、倒立二輪車1の直進性を維持するように倒立二輪車1を制御する。これによれば、モータ21、22が同一の駆動電流によって同一の回転数で駆動されることになるため、倒立二輪車1の直進安定性を維持しつつ、倒立二輪車1を安定走行させて停止状態にもっていくことができる。
なお、本実施の形態2では、倒立二輪車1の直進安定性が維持されるため、制御装置10は、図7に示すように、ダイナミックブレーキの要否の判断に用いるヨーレートセンサ27、28も有さないようにしてもよい。
なお、本実施の形態2にかかる倒立二輪車1内部の概略構造は、図3を参照して説明した実施の形態1にかかる倒立二輪車1内部の概略構造と同様であるため、説明を省略する。
続いて、図8を参照して、本発明の実施の形態2にかかるリレー19、20及び安全制御リレー31、32の構成について説明する。図8は、発明の実施の形態2にかかるリレー19、20及び安全制御リレー31、32の構成図である。なお、リレー19、20については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
安全制御リレー31は、マイコン11からの安全制御リレー31の切り替えを指示する切替指示信号に応じて、モータ22とインバータ17とを接続した接続状態と、モータ22とインバータ17とを非接続とした非接続状態とに切り替えられる。具体的に、マイコン11は、2系の制御系における異常を検出した場合、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号を安全制御リレー31に出力する。安全制御リレー31は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて接続状態に切り替わる。これによって、インバータ17から出力される駆動電流がモータ22にも供給されるようになる。また、マイコン11は、1系のインバータ17によるモータ22の駆動を解除する場合、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号を安全制御リレー31に出力する。安全制御リレー31は、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて非接続状態に切り替わる。これによって、インバータ17から出力される駆動電流は、モータ22には供給されなくなる。
安全制御リレー32は、マイコン12からの安全制御リレー32の切り替えを指示する切替指示信号に応じて、モータ21とインバータ18とを接続した接続状態と、モータ21とインバータ18とを非接続とした非接続状態とに切り替えられる。具体的に、マイコン12は、1系の制御系における異常を検出した場合、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号を安全制御リレー32に出力する。安全制御リレー32は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン12からの出力に応じて接続状態に切り替わる。これによって、インバータ18から出力される駆動電流がモータ21にも供給されるようになる。また、マイコン12は、インバータ18によるモータ21の駆動を解除する場合、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号を安全制御リレー32に出力する。安全制御リレー32は、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン12からの出力に応じて非接続状態に切り替わる。これによって、インバータ18から出力される駆動電流は、モータ21には供給されなくなる。
ここで、安全制御リレー31、32は、厳密には、リレー19、20と同様に、モータ21、22の各相とインバータ17、18の各相に対する駆動電流の出力端子とを接続/非接続とする3つのリレースイッチと、それらのリレースイッチを切り替えるリレードライバを有する。そして、リレ−ドライバが、マイコン11、12からの切替指示信号に応じてリレースイッチを切り替えることで、モータ21、22とインバータ17、18との接続/非接続を切り替えることになるが、その動作はリレー19、20における動作と同様となるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態2は、上述した構成により、異常が検出された制御系から分離されたモータ21又は22を、異常が検出されていない正常な制御系と安全制御リレー31、32によって接続することで、正常な制御系に対応するモータ21又は22と同様に駆動することを可能としている。これによれば、全てのモータ21、22が、同一の駆動電流が供給されて駆動されることになるため、左右の車輪2の回転数が同一となり、倒立二輪車1の回転(旋回)動作を抑止することができる。すなわち、倒立二輪車1において故障が発生した場合に、コストを低減した構成であっても、倒立二輪車1の直進安定性を低下させることなく、倒立二輪車1を安定走行させて停止状態にもっていくことができる。
続いて、図9を参照して、本発明の実施の形態2にかかる倒立二輪車1の制御処理について説明する。図9は、本発明の実施の形態2にかかる倒立二輪車1の制御処理を示すフローチャートである。なお、図5を参照して説明した実施の形態1における制御処理の処理ステップと同様の処理ステップについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、ここでは、マイコン11が、1系の制御系における異常を検出した場合について説明する。マイコン12は、1系の制御系における異常を検知すると(S1〜S3)、1系の制御系に対応するモータ21に対して、2系のインバータ18からの出力を伝達できるようにするために、安全制御リレー32を切り替える(S7)。具体的には、マイコン12は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号を安全制御リレー32に出力する。安全制御リレー32は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号のマイコン11からの出力に応じて接続状態に切り替わる。これによって、2系のインバータ18から出力される駆動電流がモータ22とともにモータ21にも出力されるようになる。
マイコン12は、モータ21、22に対して、倒立二輪車1の倒立の維持しながら、倒立二輪車1の車速を落とす制御を行う(S8)。このとき、マイコン12からの指令値に応じてインバータ18が、同一の駆動電流をモータ21、22に供給することで倒立二輪車1の倒立制御が行われることになる。そのため、モータ21、22は、同一の回転数となるように駆動されることになる。よって、モータ21、22によって回転される左右の車輪2の回転数が同一となり、倒立二輪車1の直進安定性が維持される。これによって、倒立二輪車1の車速が十分に落ちたところで、搭乗者が降車可能となる(S6)。
ここで、上記の構成では、1系の制御系の異常として、1系のマイコン11の故障が発生してしまった場合は、マイコン11からマイコン12へ1系の制御系の異常を通知できなくなってしまう。この場合、マイコン12は、1系の制御系の異常の検知(S3)に応じた安全制御リレー32の切り替えが行えなくなってしまう。
そこで、このような事態を回避するために、制御装置10の安全制御リレー31、32に関する構成を、図10に示すような構成としてもよい。すなわち、制御装置10に監視装置109を有するようにする。
監視装置109は、ウォッチドッグタイマとして機能し、マイコン11、12の異常を検出する回路である。監視装置109は、マイコン11又は12の異常を検出した場合、異常が検出された制御系をモータ21又は22から分離するように、その制御系のリレー19又は20を切り替える。また、監視装置109は、マイコン11又は12の異常を検出した場合、異常が検出されていないマイコン11又は12が属する制御系のインバータ17又は18の出力がモータ21、22の両方に伝達されるように、安全制御リレー31又は32を切り替える。
具体的には、マイコン11、12は、所定の一定時間間隔毎に、生存を通知する信号を監視装置109に出力する。監視装置109は、マイコン11、12から信号の出力が継続されているか否かを監視する。そして、監視装置109は、例えば、所定の時間の間(上記の一定時間間隔よりも大きな時間)、マイコン11から信号の出力がされておらず、マイコン11から信号の出力が継続されていないと判断した場合、そのマイコン11に異常が発生していると判断する。
その場合、監視装置109は、そのマイコン11が属する制御系のリレー19に、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号を出力する。リレー19は、この切替指示信号に応じて、非接続状態に切り替わる。また、監視装置109は、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号を安全制御リレー32に出力する。安全制御リレー32は、この切替指示信号に応じて、接続状態に切り替わる。
これによって、2系のインバータ18から出力される駆動電流がモータ22とともにモータ21にも出力されるようになる。なお、監視装置109は、マイコン12の異常を検出した場合には、非接続状態への切り替えを指示する切替指示信号をリレー20に出力し、接続状態への切り替えを指示する切替指示信号を安全制御リレー31に出力することになる。
上述したように、このような構成とすることで、1系のマイコン11に動作不能となる異常が発生してしまった場合であっても、安全制御リレー32の切り替えを切り替えて、2系のマイコン12から1系側のモータ21も駆動して、倒立二輪車1の直進安定性を維持しながら、倒立二輪車1の車速を落とすことが可能となる。
なお、以上の説明では、1系の制御系において異常が検出された場合について例示したが、2系の制御系において異常が検出された場合は、マイコン11とマイコン12の立場が逆転した状態で同様の処理が行われることは自明であるため、その説明は省略する。
以上に説明したように、本実施の形態2では、1系の制御系からモータ21に対する駆動電流の供給が抑止された場合、2系の制御系からの駆動電流をモータ21にも供給するように、安全制御リレー32を切り替えるようにしている。これによれば、コストを低減するためにモータ21、22を単一巻として、いずれかの制御系からしか駆動できない構成とした場合であっても、異常が発生した制御系を縮退した場合に、正常な制御系の駆動電流を両方のモータ21、22に供給して同一の回転数で駆動することができるため、倒立二輪車1の直進安定性を維持することができる。また、低コストであるリレーによって実現することができるため、その点でも、コストを増大させることもない。
<発明の実施の形態3>
続いて、本発明の実施の形態3について説明する。なお、本実施の形態3にかかる倒立二輪車1の概略構成は、図1を参照して説明した実施の形態1にかかる倒立二輪車1の概略構成と同様であるため、説明を省略する。
続いて、図11を参照して、本発明の実施の形態3にかかる制御装置10の構成について説明する。図11を参照して、本発明の実施の形態3にかかる制御装置10の構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と同様の内容については、適宜、その説明を省略する。
本実施の形態3では、後述するように、差動抑制装置を用いることによって、倒立二輪車1の直進安定性を維持する。そのため、本実施の形態3にかかる制御装置10は、図11に示すように、実施の形態1にかかる制御装置10と比較して、ダイナミックブレーキ機構29、30及びダイナミックブレーキの要否の判断に用いるヨーレートセンサ27、28も有さないようにすることができる。また、本実施の形態3にかかる制御装置10は、図11に示すように、実施の形態2にかかる制御装置10と比較して、安全制御リレー31、32を有さないようにすることができる。
続いて、図12を参照して、本発明の実施の形態3にかかる倒立二輪車1内部の概略構造について説明する。図12は、本発明の実施の形態3にかかる倒立二輪車1内部の概略構造を示す図である。
本実施の形態3では、図12に示すように、モータ21の出力軸と、モータ22の出力軸とを、差動抑制装置(「差動制限装置」又は「LSD(Limited Slip Differential)」とも呼ばれる)40によって連結している。差動抑制装置40は、左右のモータ21、22(左右の車輪2)の回転差(回転数の差)が大きくなる程、より大きなトルクを伝達する。
差動抑制装置40として、例えば、ビスカスカップリング又は遠心クラッチ等を利用してよい。すなわち、差動抑制装置40として、ビスカスカップリングを用いた場合は、左右のモータ21、22の回転差が大きくなると、ビスカスカップリングにおける粘性流体の粘性抵抗によって、回転数の大きいモータの出力軸から、そのモータより回転数の小さいモータの出力軸に対してトルクが伝達される。また、差動抑制装置40として、遠心クラッチを用いた場合は、片方のモータ21又は22の回転数が大きくなると、それによる遠心力によって遠心クラッチがつながる。これによって、回転数の大きいモータの出力軸から、そのモータより回転数の小さいモータの出力軸に対してトルクが伝達される。
倒立二輪車1の倒立維持の特性によれば、通常は、図13Aに示すように、左右のモータ21、22の出力軸の間で、あまり回転差が発生することはない。しかしながら、制御系に異常が発生して、その制御系に対応するモータ21又22がフリーとされた場合には、そのモータ21又22が駆動されなくなるため、左右のモータ21、22の出力軸の間で回転差が発生することになる。この場合に、上述の本実施の形態3にかかる構成によれば、図13Bに示すように、フリーとされたモータ21又は22における不足トルクを差動抑制装置40によって伝達して、回転差を低減することができる。すなわち、左右の車輪2の回転差を無くして、倒立二輪車1の直進安定性を維持することができる。
また、上述した構成によれば、モータ21又は22自体が故障して駆動できなくなった場合であっても、正常なモータ21又は22の出力軸から、故障したモータ22又は21の出力軸に対してトルクを伝達して、回転差を低減することができる。そのため、倒立二輪車1の直進安定性を維持して、倒立二輪車1を安定走行させて停止状態にもっていくことができる。
続いて、図14を参照して、本発明の実施の形態3にかかる倒立二輪車1の制御処理について説明する。図14は、本発明の実施の形態3にかかる倒立二輪車1の制御処理を示すフローチャートである。なお、図5及び図9を参照して説明した実施の形態1、2における制御処理の処理ステップと同様の処理ステップについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態3では、上述したように、差動抑制装置40によって左右のモータ21、22の出力軸の回転差が吸収される。そのため、1系又は2系の制御系において異常が発生した場合であっても、マイコン11又は12は、図14に示すように、それを意識することなく、他方の制御系の異常の検知(S3)に応じて、モータ21又は22を駆動して倒立の維持を制御しながら、車速を落とすことで(S8)、倒立二輪車1の直進安定性を維持しつつ、倒立二輪車1を安定走行させて停止状態にもっていくことができる(S6)。すなわち、実施の形態1におけるステップS5や、実施の形態2におけるステップS7に示すような処理は不要である。
以上に説明したように、本実施の形態3では、1系の制御系によって駆動されるモータ21の出力軸と、2系の制御系によって駆動されるモータの出力軸とを差動抑制装置によって連結するようにしている。これによれば、コストを低減するためにモータ21、22を単一巻として、いずれかの制御系からしか駆動できない構成とした場合であっても、左右の車輪2を回転させるモータ21、22の出力軸の回転差を吸収することができるため、左右の車輪2の回転差を無くして、倒立二輪車1の直進安定性を維持することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施の形態1では、各制御系に対応するように2つのヨーレートセンサ27、28を有するようにしているが、ヨーレートセンサ数は、これに限られない。例えば、ヨーレートセンサを1つだけ有するようにして、マイコン11、12の両方が、そのヨーレートセンサからのヨーレート信号に基づいて、倒立二輪車1のヨーレートを判断するようにしてもよい。しかしながら、好ましくは、上述したように、各制御系に対応するように2つのヨーレートセンサ27、28を有するようにすることで、ヨーレートセンサ27、28のいずれかが故障した場合における対故障性を向上することができる。
また、上記実施の形態1では、倒立二輪車1が回転(旋回)動作をしているか否かの判断をヨーレートによって検出するようにしているが、判断材料は、倒立二輪車1の回転(旋回)動作に応じて変化する物理量であれば、ヨーレートに限られない。例えば、マイコン11、12のそれぞれが、回転角センサ23、24の両方からの回転角信号を取得するようにして、回転角センサ23,24によって検出されたモータ21、22の両方の回転角に基づいて、倒立二輪車1が回転(旋回)動作をしているか否かを判断するようにしてもよい。
また、上記実施の形態1、2では、マイコン11又は12が、そのマイコン11又は12が属する制御系の異常を検出して、他方の制御系のマイコン12又は11に通知するようにしているが、これに限られない。マイコン11、12が、他方の制御系の異常を直接検出するようにして、ダイナミックブレーキ機構29、30又は安全制御リレー31、32を制御するようにしてもよい。例えば、マイコン11とマイコン12との間で定期的に信号を送受信するようにして、他方のマイコン11又は12からの信号が途絶えた場合に、他方のマイコン11又は12(制御系)に異常が発生したと判断するようにしてもよい。
1 倒立二輪車
2 車輪
3 ステッププレート
10 制御装置
11、12 マイコン
13、14 DCDCコンバータ
15、16 バッテリ
17、18 インバータ
19、20 リレー
21、22 モータ
23、24 回転角センサ
25、26 姿勢角センサ
27、28 ヨーレートセンサ
29、30 ダイナミックブレーキ機構
13、32 安全制御リレー
40 差動抑制装置
101、101a、101b、101c、102、102a、102b、102c リレースイッチ
103、104 リレードライバ
105、106 リレー
107、107a、107b、107c、108、108a、108b、108c ダイナミックブレーキ抵抗
109 監視装置
210、220 コイル
400 倒立二輪車
401、402 マイコン
403、404 インバータ
405、406 リレー
407、408 モータ
409、410 回転角センサ
411、412 姿勢角センサ

Claims (1)

  1. 2つの車輪のそれぞれを回転させる単一巻の第1のモータ及び第2のモータと、前記第1のモータ及び前記第2のモータのそれぞれに駆動電流を供給する第1の制御系及び第2の制御系とを備え、前記第1の制御系において異常が検出された場合に、前記第1の制御系から前記第1のモータに対する駆動電流の供給を抑止する倒立二輪車であって、
    前記第1のモータの出力軸と、前記第2のモータの出力軸とを連結する差動抑制装置を備え、
    前記差動抑制装置は、ビスカスカップリング又は遠心クラッチである、
    倒立二輪車。
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