JP2014216237A - 固体酸化物型燃料電池 - Google Patents
固体酸化物型燃料電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014216237A JP2014216237A JP2013093812A JP2013093812A JP2014216237A JP 2014216237 A JP2014216237 A JP 2014216237A JP 2013093812 A JP2013093812 A JP 2013093812A JP 2013093812 A JP2013093812 A JP 2013093812A JP 2014216237 A JP2014216237 A JP 2014216237A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fuel electrode
- ysz
- tetragonal
- side region
- solid electrolyte
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Landscapes
- Conductive Materials (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Abstract
【課題】固体電解質層の強度を向上可能な固体酸化物型燃料電池を提供する。【解決手段】固体電解質層30は、燃料極20との界面30Sから4μm以内の燃料極側領域30aを有する。ラマン分光法によって取得される燃料極側領域30aのラマンスペクトルを、立方晶系YSZと正方晶系YSZそれぞれに固有のラマンスペクトルを参照して解析した場合、立方晶系YSZのラマンスペクトル強度に対する正方晶系YSZのラマンスペクトル強度の比は、0より大きく0.1以下である。【選択図】図2
Description
本発明は、固体酸化物型燃料電池に関する。
従来、燃料極と、空気極と、燃料極と空気極との間に配置される固体電解質層と、を備える固体酸化物型燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、固体電解質層の材料として、8YSZ(8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア)が用いられている。
しかしながら、8YSZ粒子は3YSZ粒子などに比べて大きいため、固体電解質層の強度が低いという問題がある。
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、固体電解質層の強度を向上可能な固体酸化物型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る固体酸化物型燃料電池は、燃料極と、空気極と、燃料極と空気極との間に配置される固体電解質層と、を備える。固体電解質層は、立方晶系イットリア安定化ジルコニアと正方晶系イットリア安定化ジルコニアを含有する。固体電解質層は、燃料極との界面から4μm以内の燃料極側領域を有する。ラマン分光法によって取得される燃料極側領域のラマンスペクトルを、立方晶系イットリア安定化ジルコニアと正方晶系イットリア安定化ジルコニアそれぞれに固有のラマンスペクトルを参照して解析した場合、立方晶系イットリア安定化ジルコニアのラマンスペクトル強度に対する、正方晶系イットリア安定化ジルコニアのラマンスペクトル強度の比は、0より大きく0.1以下である。
本発明によれば、固体電解質層の強度を向上可能な固体酸化物型燃料電池を提供することができる。
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(固体酸化物型燃料電池10の構成)
固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)10の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、固体酸化物型燃料電池10の構成を示す拡大断面図である。
固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)10の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、固体酸化物型燃料電池10の構成を示す拡大断面図である。
固体酸化物型燃料電池10は、縦縞型、横縞型、燃料極支持型、電解質平板型、或いは円筒型の燃料電池である。固体酸化物型燃料電池10は、図1に示すように、燃料極20、固体電解質層30、バリア層40および空気極50を備える。
燃料極20は、固体酸化物型燃料電池10のアノードとして機能する。燃料極20は、多孔質の板状焼成体である。燃料極20の厚みは、0.2mm〜5.0mmとすることができる。本実施形態では、還元処理された燃料極20が想定されている。燃料極20は、図1に示すように、燃料極集電層21と燃料極活性層22を有する。
燃料極集電層21は、多孔質の板状焼成体である。燃料極集電層21を構成する材料としては、従来SOFCの燃料極集電層に用いられてきた材料を用いることができ、例えばNiO(酸化ニッケル)-8YSZ(8mol%のイットリアで安定化されたジルコニア)やNiO‐Y2O3が挙げられる。燃料極集電層21の厚みは、0.2mm〜5.0mmとすることができる。
燃料極活性層22は、燃料極集電層21上に配置される。燃料極活性層22は、多孔質の板状焼成体である。燃料極活性層22を構成する材料としては、従来SOFCの燃料極集電層に用いられてきた材料を用いることができ、例えばNiO‐8YSZが挙げられる。燃料極活性層22の厚みは5.0μm〜30μmとすることができる。
固体電解質層30は、燃料極20とバリア層40との間に配置される。固体電解質層30は、緻密質の焼成体である。固体電解質層30は、空気極50で生成される酸素イオンを透過させる機能を有する。固体電解質層30の厚みは、3μm〜30μmとすることができる。
固体電解質層30は、立方晶系イットリア安定化ジルコニア(以下、「立方晶系YSZ」と略称する。)を主成分として含有する。立方晶系YSZとは、結晶相が主として立方晶の相からなるYSZであり、例えば8mol%以上のイットリアで安定化されたジルコニアが挙げられる。立方晶系YSZ粒子の平均円相当径は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。平均円相当径とは、固体電解質層30の断面を観察した場合に、立方晶系YSZ粒子の断面積に相当する面積を有する円の直径の算術平均値である。
固体電解質層30は、燃料極20との界面30Sから4μm以内の燃料極側領域30aにおいて、正方晶系イットリア安定化ジルコニア(以下、「正方晶系YSZ」と略称する。)を含有する。正方晶系YSZとは、結晶相が主として正方晶の相からなるYSZであり、例えば3mol%以下のイットリアで安定化されたジルコニアが挙げられる。燃料極側領域30aにおいて、正方晶系YSZの含有率は、立方晶系YSZの含有率よりも小さいことがより好ましい。正方晶系YSZの平均円相当径は、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
正方晶系YSZの含有率と立方晶系YSZの含有率は、燃料極側領域30aのラマンスペクトルをラマン分光法で取得することによって比較できる。具体的には、正方晶系YSZと立方晶系YSZそれぞれに固有のラマンスペクトル(既知のスペクトルデータ)を参照して、燃料極側領域30aのラマンスペクトルにおける正方晶系YSZと立方晶系YSZそれぞれに由来するラマンスペクトル強度の割合を算出すればよい。
ラマンスペクトルの取得には、堀場製作所製の顕微レーザラマン分光装置(型式:LabRAM ARAMIS)を用いることができる。このように、取得したラマンスペクトルを既知のスペクトルデータに基づいて解析する手法は“モデリング解析”として知られている。モデリング解析については、LabRAM ARAMISの解析ソフトであるLacSpec 5のユーザーマニュアル(“LabSpec 5 manual”、[online]、[平成25年4月24日検索]、インターネット〈URL:http://kitchingroup.cheme.cmu.edu/research/facilities-1/raman/LabSpec%205%20manual%20-%20HORIBA%20Scientific%20-%20v2.02.pdf〉)に詳細が記載されている。
本実施形態において、立方晶系YSZのラマンスペクトル強度に対する正方晶系YSZのラマンスペクトル強度の比(以下、「スペクトル強度比」と適宜略称する。)は、0より大きく0.1以下である。スペクトル強度比は、固体電解質層30の原材料における正方晶系YSZと立方晶系YSZの含有率を調整することによって制御可能である。
また、燃料極側領域30aにおいて、立方晶系YSZ及び/又は正方晶系YSZには、NiOが固溶されていてもよい。この場合、燃料極側領域30aにおける酸化ニッケルの含有率は、3.5mol%以下であることが好ましい。
なお、固体電解質層30の厚みが4μm以下である場合には、固体電解質層30の全体が燃料極側領域30aとなる。この場合には、固体電解質層30の全体においてスペクトル強度比を0より大きく0.1以下とすればよい。
また、固体電解質層30は、空気極側領域30bにおいても、正方晶系YSZを含有していてもよい。この場合、空気極側領域30bにおいて、正方晶系YSZの含有率は、立方晶系YSZの含有率よりも小さいことが好ましい。具体的に、空気極側領域30bにおけるスペクトル強度比(正方晶系YSZ/立方晶系YSZ)は、0.1以下であることが好ましく、0であってもよい。
バリア層40は、固体電解質層30と空気極50の間に配置される。バリア層40は、緻密質の焼成体である。バリア層40は、固体電解質層30と空気極50の間に高抵抗層が形成されることを抑制する。バリア層40の材料としては、セリア(CeO2)及びCeO2に固溶した希土類金属酸化物を含むセリア系材料が挙げられる。このようなセリア系材料としては、GDCやSDC等が挙げられる。バリア層40の厚みは、3μm〜20μmとすることができる。
空気極50は、バリア層40上に配置される。空気極50は、固体酸化物型燃料電池10のカノードとして機能する。空気極50は、多孔質の焼成体である。空気極50の厚みは、5μm〜50μmとすることができる。
空気極50は、一般式ABO3で表され、AサイトにLa及びSrの少なくとも一方を含むペロブスカイト型複合酸化物を主成分として含有する。このようなペロブスカイト型複合酸化物としては、LSCFつまり(La,Sr)(Co,Fe)O3、LSFつまり(La,Sr)FeO3、LSCつまり(La,Sr)CoO3、LSMつまりLaSrMnO3等の材料が挙げられる。
(固体酸化物型燃料電池10の製造方法)
次に、固体酸化物型燃料電池10の製造方法の一例について説明する。
次に、固体酸化物型燃料電池10の製造方法の一例について説明する。
まず、NiO粉末、セラミックス粉末、造孔剤(例えばPMMA)、バインダー(例えばPVA)をポットミルで混合することによってスラリーを作製する。
次に、スラリーを窒素雰囲気下で乾燥させることによって、混合粉末を作製する。
次に、混合粉末を一軸プレス(成形圧:50MPa)することで板状の燃料極20の成形体を作製する。
次に、正方晶系YSZと立方晶系YSZを含む固体電解質層用粉末にテルピネオールとバインダーを混合してスラリーを作製する。この際、焼成及び還元後の燃料極側領域30aにおけるスペクトル強度比が0より大きく0.1以下となるように、固体電解質層用粉末における正方晶系YSZと立方晶系YSZの含有率を調整する。
次に、スクリーン印刷法などを用いて、作製したスラリーを燃料極20の成形体上に塗布することによって、燃料極側領域30aの成形体を形成する。
次に、固体電解質層用粉末にテルピネオールとバインダーを混合してスラリーを作製する。この際、固体電解質層用粉末は立方晶系YSZを主成分として含んでいればよい。
次に、スクリーン印刷法などを用いて、作製したスラリーを燃料極側領域30aの成形体上に塗布することによって、空気極側領域30bの成形体を形成する。
次に、バリア層用粉末にテルピネオールとバインダーを混合してスラリーを作製する。そして、スクリーン印刷法などによってスラリーを空気極側領域30bの成形体上に塗布することによって、バリア層40の成形体を形成する。
以上により作製された各成形体の積層体を1300〜1600℃で2〜20時間共焼結することによって、燃料極20、緻密な固体電解質層30および緻密なバリア層40の共焼成体を形成する。
次に、空気極用粉末にテルピネオールとバインダーを混合してスラリーを作製する。そして、スクリーン印刷法などを用いてスラリーをバリア層40上に塗布することによって、空気極活性層52の成形体を形成する。
次に、空気極50の成形体を1000〜1100℃で1〜10時間焼結することによって、固体酸化物型燃料電池が完成する。
(作用及び効果)
(1)固体電解質層30は、燃料極20との界面30Sから4μm以内の燃料極側領域30aを有する。ラマン分光法によって取得される燃料極側領域30aのラマンスペクトルにおけるスペクトル強度比(正方晶系YSZのラマンスペクトル強度/立方晶系YSZのラマンスペクトル強度)は、0より大きく0.1以下である。
(1)固体電解質層30は、燃料極20との界面30Sから4μm以内の燃料極側領域30aを有する。ラマン分光法によって取得される燃料極側領域30aのラマンスペクトルにおけるスペクトル強度比(正方晶系YSZのラマンスペクトル強度/立方晶系YSZのラマンスペクトル強度)は、0より大きく0.1以下である。
ここで、図2は、燃料極側領域30aの微構造を説明するための模式図である。図3は、燃料極側領域30aに正方晶系YSZ粒子が存在しない状態を示す模式図である。図2に示すように、燃料極側領域30aでは、粒径の大きい立方晶系YSZ粒子間に粒径の小さい正方晶系YSZが介在している。
これにより、還元時に発生する応力によってクラックが生じたとしても、クラックが進展することを抑制できる。また、立方晶系YSZ粒子どうしが正方晶系YSZを介して強固に連結されることによって、燃料極側領域30aの骨格構造を強化できる。その結果、図3に示すように正方晶系YSZ粒子が存在しない場合に比べて、固体電解質層30の強度を向上させることができる。さらに、燃料極側領域30aは、固体電解質層30のうち燃料極20側の領域であるため、還元時における燃料極30の体積変化の影響が固体電解質層30全体に及ぶことを効果的に抑えることができる。
(2)燃料極側領域30aにおいて、立方晶系YSZの平均円相当径は、1μm以上5μm以下であり、正方晶系YSZの平均円相当径は、0.05μm以上0.5μm以下である。
このように、立方晶系YSZと正方晶系YSZそれぞれのサイズを適切な範囲に制御することによって、還元時に発生する応力によって生じうるクラックをより効果的に抑制することができる。
このように、立方晶系YSZと正方晶系YSZそれぞれのサイズを適切な範囲に制御することによって、還元時に発生する応力によって生じうるクラックをより効果的に抑制することができる。
(3)還元前の燃料極側領域30aにおいて、立方晶系YSZ及び/又は正方晶系YSZに固溶する酸化ニッケルの含有率は、3.5mol%以下である。
これによって、固体電解質層30の酸素イオン伝導度を維持できるため、固体電解質層30の内部抵抗(IR抵抗)を適切な値(例えば、0.3Ωcm2以下)に抑えることができる。
これによって、固体電解質層30の酸素イオン伝導度を維持できるため、固体電解質層30の内部抵抗(IR抵抗)を適切な値(例えば、0.3Ωcm2以下)に抑えることができる。
(他の実施形態)
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
(A)上記実施形態では特に触れていないが、固体酸化物型燃料電池10は、バリア層40と空気極50の間において、セリア系材料によって構成される多孔質のバリア層を備えていてもよい。
(B)上記実施形態では、固体酸化物型燃料電池10は、バリア層40を備えることとしたが、バリア層40を備えていなくてもよい。
(サンプルNo.1〜No.17の作製)
以下のようにして、サンプルNo.1〜No.17を作製した。
以下のようにして、サンプルNo.1〜No.17を作製した。
まず、NiO粉末とY2O3粉末と造孔材(PMMA)の調合粉末とIPAを混合することによってスラリーを作製した。
次に、スラリーを窒素雰囲気下で乾燥させることによって、混合粉末を作製した。
次に、混合粉末を一軸プレス(成形圧50MPa)することで縦30mm×横30mm、厚み3mmの板を成形し、その板をCIP(成形圧:100MPa)でさらに圧密することによって燃料極の成形体を作製した。
次に、正方晶系YSZ粉末と立方晶系YSZ粉末の調合粉末とIPAを混合することによってスラリーを作製した。この際、正方晶系YSZ粉末と立方晶系YSZ粉末の調合量を調整することによって、表1に示すように、焼成及び還元された燃料極側領域のラマンスペクトルにおけるスペクトル強度比(正方晶系/立方晶系)を制御した。なお、各サンプルにおける正方晶系YSZ粉末と立方晶系YSZ粉末の種類は表1に示すとおりである。
次に、作製したスラリーを燃料極の成形体上にスクリーン印刷法で塗布することによって、固体電解質層のうち燃料極側領域の成形体を作製した。
次に、8YSZ粉末とIPAを混合することによって作製したスラリーを燃料極側領域の成形体上にスクリーン印刷法で塗布することによって、固体電解質層のうち空気極側領域の成形体を作製した。
次に、GDCスラリーを作製し、スクリーン印刷法によって空気極側領域の成形体上にスラリーを塗布することによって、バリア層の成形体を作製した。
次に、燃料極、バリア層及び固体電解質層の成形体を、1400℃で2時間共焼成した。燃料極集電層の厚みは500μm、燃料極活性層の厚みは20μm、固体電解質層の厚みは6μm、バリア層の厚みは5μmであった。
次に、LSCFスラリーを作製し、スクリーン印刷法によって焼成体上にスラリーを塗布することによって、空気極の成形体を作製した。
次に、空気極の成形体を、1100℃で1時間焼成した。空気極の厚みは30μmであった。
(ラマン分光法による結晶相解析)
サンプルNo.1〜No.17について、燃料極側領域の断面において、ラマン分光法によって結晶相を解析した。具体的には、正方晶系YSZと立方晶系YSZそれぞれに固有のラマンスペクトルを参照して、燃料極側領域の1ポイントにおけるラマンスペクトルを解析した。そして、正方晶系YSZと立方晶系YSZそれぞれに由来するスペクトル強度の割合とスペクトル強度比(正方晶系YSZ/立方晶系YSZ)を算出した。
サンプルNo.1〜No.17について、燃料極側領域の断面において、ラマン分光法によって結晶相を解析した。具体的には、正方晶系YSZと立方晶系YSZそれぞれに固有のラマンスペクトルを参照して、燃料極側領域の1ポイントにおけるラマンスペクトルを解析した。そして、正方晶系YSZと立方晶系YSZそれぞれに由来するスペクトル強度の割合とスペクトル強度比(正方晶系YSZ/立方晶系YSZ)を算出した。
ここで、図4は、ラマンスペクトルの強度割合の一例を示すグラフである。図4に示すように、燃料極側領域におけるラマンスペクトルは、厚み方向において略一様である。従って、正方晶系YSZの立方晶系YSZに対する強度比は、燃料極側領域の1ポイントのみで測定すればよいことが分かる。ただし、燃料極側領域の複数ポイントで取得したラマンスペクトルの平均値からスペクトル強度比を算出することによって、あるいは、複数ポイントで算出したスペクトル強度比の平均値を算出することによって、より精度良くスペクトル強度比を把握することができる。今回の解析では、厚み方向において均等に設定した10ポイントでラマンスペクトルを取得し、その平均値を用いてスペクトル強度比を算出した。スペクトル強度の割合とスペクトル強度比を表1にまとめて示す。
(熱サイクル試験とクラックの有無)
大気雰囲気の赤外線ランプ式電気炉にサンプルNo.1〜No.17を投入し、700℃まで5分の条件で昇温した後に炉冷によって20分で冷却するサイクルを100回繰り返した。
その後、各サンプルの固体電解質層内部のクラックの有無を、目視及び顕微鏡観察により確認した。クラックの確認結果を表1にまとめて示す。
大気雰囲気の赤外線ランプ式電気炉にサンプルNo.1〜No.17を投入し、700℃まで5分の条件で昇温した後に炉冷によって20分で冷却するサイクルを100回繰り返した。
その後、各サンプルの固体電解質層内部のクラックの有無を、目視及び顕微鏡観察により確認した。クラックの確認結果を表1にまとめて示す。
(発電試験とIR抵抗の測定)
サンプルNo.11〜No.17を750℃で還元した後、各サンプルのIR抵抗を交流インピーダンス法によって測定した。測定結果を表2にまとめて示す。
サンプルNo.11〜No.17を750℃で還元した後、各サンプルのIR抵抗を交流インピーダンス法によって測定した。測定結果を表2にまとめて示す。
(NiOの含有率)
サンプルNo.11〜No.17について、SEM−EDSを用いた定量分析によって、燃料極側領域におけるNiOの含有率を測定した。測定結果を表2にまとめて示す。
サンプルNo.11〜No.17について、SEM−EDSを用いた定量分析によって、燃料極側領域におけるNiOの含有率を測定した。測定結果を表2にまとめて示す。
表1に示すように、スペクトル強度比が0より大きく0.1以下であるサンプルNo.2〜8,10では、固体電解質層の特性に影響を与えうるクラックの発生を抑制することができた。これは、粒径の大きい立方晶系YSZ粒子間に粒径の小さい正方晶系YSZが存在することによって、クラックの進展が抑制されるとともに、立方晶系YSZ粒子どうしが強固に連結されたためである。
また、表1に示すように、立方晶系YSZの平均円相当径が1μm以上5μm以下であり、正方晶系YSZの平均円相当径が0.05μm以上0.5μm以下であるサンプルNo.3〜7,10では、軽微なクラックの発生も抑制することができた。
また、表2に示すように、NiO固溶量が3.5mol%以下であるサンプルNo.11〜16では、固体電解質層30の内部抵抗(IR抵抗)を0.3Ωcm2以下に抑えることができた。これは、NiO固溶量を制限することによって、固体電解質層の酸素イオン伝導度を維持できたためである。
10 固体酸化物型燃料電池
20 燃料極
30 固体電解質層
30a 燃料極側領域
30b 空気極側領域
40 バリア層
50 空気極
20 燃料極
30 固体電解質層
30a 燃料極側領域
30b 空気極側領域
40 バリア層
50 空気極
Claims (3)
- 燃料極と、
空気極と、
前記燃料極と前記空気極との間に配置され、立方晶系イットリア安定化ジルコニアと正方晶系イットリア安定化ジルコニアを含有する固体電解質層と、
を備え、
前記固体電解質層は、前記燃料極との界面から4μm以内の燃料極側領域を有し、
ラマン分光法によって取得される前記燃料極側領域のラマンスペクトルを、立方晶系イットリア安定化ジルコニアと正方晶系イットリア安定化ジルコニアそれぞれに固有のラマンスペクトルを参照して解析した場合、立方晶系イットリア安定化ジルコニアのラマンスペクトル強度に対する正方晶系イットリア安定化ジルコニアのラマンスペクトル強度の比は、0より大きく0.1以下である、
固体酸化物型燃料電池。 - 立方晶系イットリア安定化ジルコニアの平均円相当径は、1μm以上5μm以下であり、
正方晶系イットリア安定化ジルコニアの平均円相当径は、0.05μm以上0.5μm以下である、
請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。 - 還元前の前記燃料極側領域において、立方晶系イットリア安定化ジルコニア及び/又は正方晶系イットリア安定化ジルコニアには酸化ニッケルが固溶されており、
前記燃料極側領域における酸化ニッケルの含有率は、3.5mol%以下である、
請求項1又は2に記載の固体酸化物型燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013093812A JP5584796B1 (ja) | 2013-04-26 | 2013-04-26 | 固体酸化物型燃料電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013093812A JP5584796B1 (ja) | 2013-04-26 | 2013-04-26 | 固体酸化物型燃料電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP5584796B1 JP5584796B1 (ja) | 2014-09-03 |
JP2014216237A true JP2014216237A (ja) | 2014-11-17 |
Family
ID=51617833
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013093812A Active JP5584796B1 (ja) | 2013-04-26 | 2013-04-26 | 固体酸化物型燃料電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5584796B1 (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6001805B1 (ja) * | 2015-07-07 | 2016-10-05 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池スタック |
JP6046851B1 (ja) * | 2015-07-07 | 2016-12-21 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池 |
JP2018026336A (ja) * | 2016-07-27 | 2018-02-15 | 日本碍子株式会社 | 電気化学セルスタック |
JP2018026333A (ja) * | 2016-07-27 | 2018-02-15 | 日本碍子株式会社 | 電気化学セルスタック |
JP6349446B1 (ja) * | 2017-07-26 | 2018-06-27 | 日本碍子株式会社 | 電気化学セルスタック |
WO2020208861A1 (ja) * | 2019-04-11 | 2020-10-15 | 森村Sofcテクノロジー株式会社 | 電気化学反応セルスタック |
WO2021005810A1 (ja) * | 2019-07-05 | 2021-01-14 | 森村Sofcテクノロジー株式会社 | 電気化学反応セルスタック |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI750185B (zh) * | 2016-06-17 | 2021-12-21 | 丹麥商托普索公司 | 具有加熱能力的soec系統 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007013567A1 (ja) * | 2005-07-27 | 2007-02-01 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | 固体電解質シートの製造方法および固体電解質シート |
-
2013
- 2013-04-26 JP JP2013093812A patent/JP5584796B1/ja active Active
Cited By (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6046851B1 (ja) * | 2015-07-07 | 2016-12-21 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池 |
WO2017006945A1 (ja) * | 2015-07-07 | 2017-01-12 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池スタック |
WO2017006944A1 (ja) * | 2015-07-07 | 2017-01-12 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池 |
CN107710488A (zh) * | 2015-07-07 | 2018-02-16 | 日本碍子株式会社 | 燃料电池堆 |
US9947954B2 (en) | 2015-07-07 | 2018-04-17 | Ngk Insulators, Ltd. | Fuel cell stack |
JP6001805B1 (ja) * | 2015-07-07 | 2016-10-05 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池スタック |
US10020528B2 (en) | 2015-07-07 | 2018-07-10 | Ngk Insulators, Ltd. | Fuel cell |
CN107710488B (zh) * | 2015-07-07 | 2020-09-22 | 日本碍子株式会社 | 燃料电池堆 |
US10847828B2 (en) | 2016-07-27 | 2020-11-24 | Ngk Insulators, Ltd. | Electrochemical cell stack |
JP2018026336A (ja) * | 2016-07-27 | 2018-02-15 | 日本碍子株式会社 | 電気化学セルスタック |
JP2018026333A (ja) * | 2016-07-27 | 2018-02-15 | 日本碍子株式会社 | 電気化学セルスタック |
US10854905B2 (en) | 2016-07-27 | 2020-12-01 | Ngk Insulators, Ltd. | Electrochemical cell stack |
JP6349446B1 (ja) * | 2017-07-26 | 2018-06-27 | 日本碍子株式会社 | 電気化学セルスタック |
WO2019021844A1 (ja) * | 2017-07-26 | 2019-01-31 | 日本碍子株式会社 | 電気化学セルスタック |
US11101484B2 (en) | 2017-07-26 | 2021-08-24 | Ngk Insulators, Ltd. | Electrochemical cell stack |
JP2020173976A (ja) * | 2019-04-11 | 2020-10-22 | 森村Sofcテクノロジー株式会社 | 電気化学反応セルスタック |
WO2020208861A1 (ja) * | 2019-04-11 | 2020-10-15 | 森村Sofcテクノロジー株式会社 | 電気化学反応セルスタック |
WO2021005810A1 (ja) * | 2019-07-05 | 2021-01-14 | 森村Sofcテクノロジー株式会社 | 電気化学反応セルスタック |
JP2021012805A (ja) * | 2019-07-05 | 2021-02-04 | 森村Sofcテクノロジー株式会社 | 電気化学反応セルスタック |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5584796B1 (ja) | 2014-09-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5584796B1 (ja) | 固体酸化物型燃料電池 | |
JP5560381B1 (ja) | 燃料電池セル | |
JP5895108B1 (ja) | 燃料電池 | |
JP5522870B1 (ja) | 燃料電池セル | |
JP5981065B1 (ja) | 燃料電池 | |
JP2008004422A (ja) | 固体酸化物形燃料電池用電極及び固体酸化物形燃料電池並びにその製造方法 | |
JP6001805B1 (ja) | 燃料電池スタック | |
JP5981066B1 (ja) | 燃料電池 | |
JP5486748B2 (ja) | 燃料電池セル | |
JP6051328B1 (ja) | 燃料電池 | |
JP5841210B1 (ja) | 燃料電池セル | |
JP6144811B1 (ja) | 燃料電池 | |
JP5636520B1 (ja) | 燃料電池セル | |
JP2014199807A (ja) | 固体酸化物型燃料電池 | |
JP5638687B1 (ja) | 空気極材料 | |
JP5395295B1 (ja) | 燃料電池セル | |
JP5957057B2 (ja) | 空気極材料 | |
JP5663694B1 (ja) | 空気極材料及び固体酸化物型燃料電池 | |
JP5596882B1 (ja) | 燃料電池セル | |
JP2020123567A (ja) | 電気化学セル | |
McCoppin | Fabrication and Analysis of Compositionally Graded Functional Layers for Solid Oxide Fuel Cells |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140624 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140718 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5584796 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |