JP2014215500A - ズームレンズ及びそれを有する撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】広画角、高ズーム比であり、全ズーム領域で高い光学性能を有する小型のズームレンズを得る。【解決手段】物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4より構成され、ズーミングに際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化するように各レンズ群が移動するズームレンズであって、広角端から望遠端へのズーミングにおける第4レンズ群の移動量M4、望遠端における空気換算値のバックフォーカスsktとするとき、1.20<M4/skt<50.00、なる条件式を満足する。【選択図】図1

Description

本発明は、ズームレンズに関し、例えばデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、TVカメラ、あるいは監視カメラ等のように、撮像素子を用いた撮像装置に好適なものである。
近年、撮像素子を用いた撮像装置に用いる撮影光学系は、レンズ全長が短く、広画角で、高ズーム比で所定のバックフォーカスを有したズームレンズであることが要求されている。全系が小型で広画角かつ、所定の長さのバックフォーカスを有するズームレンズとして、最も物体側に負の屈折力のレンズ群を有するネガティブリード型のズームレンズが知られている。
ネガティブリード型のズームレンズとして、物体側から像側へ順に、負、正、負、正の屈折力の第1レンズ群乃至第4レンズ群からなり、隣り合うレンズ群の間隔を変化させてズーミングを行う4群ズームレンズが知られている(特許文献1,2)。またこのズームタイプの4群ズームレンズにおいて、小型軽量の第3レンズ群でフォーカシングを行う4群ズームレンズが知られている(特許文献3,4)。
特開平3−92808号公報 特開2011−95488号公報 特開2003−131130号公報 特開2001−343584号公報
ネガティブリード型のズームレンズは、広画角化を図りつつレンズ系全体の小型化を図るのが比較的容易である。しかし前述した4群ズームレンズにおいて、所定の長さのバックフォーカスを有し、レンズ全長を短くして全系の小型化を図り、更に高ズーム比化を図るには各レンズ群の屈折力及びズーミングにおけるレンズ群の移動量等を適切に設定することが重要となる。これらの構成等を適切に設定しないと、所定の長さのバックフォーカスを有し全系の小型化を図りつつ、広画角で全ズーム範囲にわたり高い光学性能を得るのが困難になってくる。
本発明は、高ズーム比であり、全ズーム領域で高い光学性能を有する小型のズームレンズを提供することを目的とする。
本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、ズーミングに際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化するように各レンズ群が移動するズームレンズであって、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第4レンズ群の移動量をM4、望遠端における空気換算値のバックフォーカスをsktとするとき、
1.20<M4/skt<50.00
なる条件式を満足することを特徴としている。
本発明によれば、高ズーム比であり、全ズーム領域で高い光学性能を有する小型のズームレンズが得られる。
実施例1のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図 (A),(B),(C) 実施例1のズームレンズの広角端,中間のズーム位置,望遠端における収差図 実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図 (A),(B),(C) 実施例2のズームレンズの広角端,中間のズーム位置,望遠端における収差図 実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図 (A),(B),(C) 実施例3のズームレンズの広角端,中間のズーム位置,望遠端における収差図 本発明の撮像装置の要部概略図
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明のズームレンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成されている。ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するように各レンズ群が移動する。無限遠から近距離へのフォーカシングに際して第3レンズ群が像側へ移動する。
図1は本発明の実施例1のズームレンズの広角端(短焦点距離端)におけるレンズ断面図である。図2(A),(B),(C)はそれぞれ実施例1のズームレンズの広角端,中間のズーム位置,望遠端(長焦点距離端)における収差図である。実施例1はズーム比4.94、Fナンバー1.89〜5.87のズームレンズである。
図3は本発明の実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。図4(A),(B),(C)はそれぞれ実施例2のズームレンズの広角端,中間のズーム位置,望遠端における収差図である。実施例2はズーム比4.71、Fナンバー1.85〜5.87のズームレンズである。
図5は本発明の実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。図6(A),(B),(C)はそれぞれ実施例3のズームレンズの広角端,中間のズーム位置,望遠端における収差図である。実施例3はズーム比4.50、Fナンバー1.88〜5.87のズームレンズである。
図7は、本発明のズームレンズを備えるカメラ(撮像装置)の要部概略図である。各実施例のズームレンズはビデオカメラやデジタルカメラ、銀塩フィルムカメラ、TVカメラなどの撮像装置に用いられる撮影レンズ系である。
レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。また、レンズ断面図において、iを物体側からのレンズ群の順番とすると、Liは第iレンズ群を示す。SPは開口絞りである。FSはフレアーカット絞りである。IPは像面である。像面IPは、デジタルカメラやビデオカメラ、監視カメラの撮影光学系としてズームレンズを使用する際には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面に相当する。また、銀塩フィルムカメラの撮影光学系としてズームレンズを使用する際には、フィルム面に相当する。
矢印は広角端から望遠端へのズーミングに際して、各レンズ群の移動軌跡を示している。またフォーカスに関する矢印は無限遠から近距離へフォーカシングするときのレンズ群の移動方向を示している。広角端から望遠端へのズーミングに際して第1レンズ群L1は像側に凸状の軌跡で移動し、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3は物体側へ移動し、第4レンズ群L4は像側へ移動する。
各実施例では第3レンズ群L3でフォーカシングを行うリアフォーカス方式を採用している。レンズ断面図の第3レンズ群L3に関する実線3aと点線3bは各々無限遠と近距離にフォーカスしているときの広角端から望遠端へのズーミングに伴う移動軌跡を示している。また望遠端において無限遠から近距離へフォーカシングを行う場合には、レンズ断面図の矢印3cに示すように第3レンズ群L3を像側に繰り込むことで行っている。
球面収差図において、実線はd線、二点鎖線はg線を示している。非点収差図において点線のΔMはメリディオナル像面、実線のΔSはサジタル像面である。倍率色収差はg線によって表している。ωは半画角(度)、FnoはFナンバーである。なお、各実施例において広角端と望遠端は変倍用のレンズ群が機構上、光軸上を移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
各実施例のズームレンズは、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1と、正の屈折力の第2レンズ群L2と、負の屈折力の第3レンズ群L3と、正の屈折力の第4レンズ群L4より構成される。ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するように各レンズ群が移動する。これにより、各レンズ群で変倍を分担することにより、十分な変倍比を確保しつつ、レンズ全長の短縮化及び前玉有効径の小型化を図っている。
広角端から望遠端へのズーミングに際して開口絞りSPは物体側へ移動している。また、広角端から望遠端へのズーミングに際しては、第4レンズ群L4を像側へ適切な量だけ移動させている。そして望遠端におけるバックフォーカスを適切な範囲に設定することで、ズーム全域にわたりレンズ全長を短縮している。具体的には、広角端から望遠端へのズーミングにおける第4レンズ群L4の移動量をM4、望遠端におけるバックフォーカスをsktとする。
このとき、
1.20<M4/skt<50.00 ・・・(1)
なる条件式を満足している。ここで広角端から望遠端へのズーミングにおける移動量とは、広角端におけるレンズ群の光軸上の位置と、望遠端におけるレンズ群の光軸上の位置との差をいう。移動量の符号はレンズ群が広角端に比べて望遠端において像側に位置するときを正とし、物体側に位置するときを負とする。
条件式(1)は、ズーミングにおける第4レンズ群L4の移動量と、望遠端におけるバックフォーカスの比を適切に設定するものである。条件式(1)の上限を上回って、第4レンズ群L4の像側への移動量が大きくなりすぎると、広角端におけるレンズ全長が長くなり、ズーミングに際して倍率色収差等の変動が大きくなってくる。
条件式(1)の下限を下回って、第4レンズ群L4の移動量が少なくなると、第2レンズ群L2の変倍負担が増えて望遠端におけるレンズ全長が長くなる。更に望遠端におけるバックフォーカスを十分に短くすることが困難となり、望遠端における倍率色収差の補正が困難になる。さらに好ましくは、条件式(1)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
1.25<M4/skt<10.00 ・・・(1a)
以上のように各実施例によれば、高ズーム比であり、全ズーム領域で高い光学性能を有する小型のズームレンズが得られる。
各実施例において更に好ましくは次の条件式のうち1つ以上を満足することがより好ましい。第1レンズ群L1の最も物体側のレンズ面と、第1レンズ群の最も像側のレンズ面との光軸上の間隔をD1、望遠端における第2レンズ群L2の最も物体側のレンズ面と、第4レンズ群の最も像側のレンズ面との光軸上の間隔をD24tとする。
広角端における第1レンズ群L1の最も物体側のレンズ面と、第2レンズ群L2の最も像側のレンズ面との光軸上の間隔をD12wとする。広角端における第3レンズ群L3の最も物体側のレンズ面と、第4レンズ群L4の最も像側のレンズ面との光軸上の間隔をD34wとする。第1レンズ群L1の焦点距離をf1とする。第2レンズ群L2の焦点距離をf2とする。第3レンズ群L3の焦点距離をf3とする。第4レンズ群L4の焦点距離をf4とする。望遠端における全系の焦点距離をftとする。望遠端におけるレンズ全長をLtとする。
広角端から望遠端へのズーミングにおける第2レンズ群L2の変倍比をβ2z、広角端から望遠端へのズーミングにおける第3レンズ群L3と、第4レンズ群L4の合成の変倍比をβ34zとする。このとき次の条件式のうち1以上を満足するのが良い。
0.001<D1/D24t<0.300 ・・・(2)
3.00<D12w/D34w<30.00 ・・・(3)
0.10<f2/f4<0.70 ・・・(4)
0.10<f2/|f3|<0.60 ・・・(5)
1.00<|f3|/f4<2.00 ・・・(6)
0.20<|f1|/f4<0.80 ・・・(7)
0.30<|f1|/ft<0.60 ・・・(8)
0.03<M4/Lt<0.40 ・・・(9)
0.25<β34z/β2z<0.50 ・・・(10)
次に前述の各条件式の技術的意味について説明する。条件式(2)は、第1レンズ群L1の厚み(光軸方向の厚み、以下同じ)に対する望遠端における第2レンズ群L2から第4レンズ群L4までの厚みの好ましい比率を規定している。条件式(2)の上限を上回って、第1レンズ群L1の厚みが厚くなりすぎると、前玉有効径が大きくなってくる。条件式(2)の下限を下回ると、望遠端におけるレンズ全長が長くなってくる。
条件式(3)は、広角端における第1レンズ群L1から第2レンズ群L2までの厚みに対する第3レンズ群L3から第4レンズ群L4までの厚みの、好ましい比率を規定している。条件式(3)の上限を上回って、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2がそれぞれ厚くなりすぎると、全系が大型化してしまうか、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が広くなりすぎて前玉有効径が大型化してくる。
条件式(3)の下限を下回って、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4がそれぞれ厚くなりすぎると、全系が大型化したり、第1レンズ群L1や第2レンズ群L2が移動して変倍を行うのに十分なスペースを確保するのが困難になる。
条件式(4)は、第2レンズ群L2の焦点距離と第4レンズ群L4の焦点距離の、好ましい比率を規定している。条件式(4)の上限を上回って、第4レンズ群L4の焦点距離が短くなりすぎると、望遠端において倍率色収差が補正過剰となったり、第2レンズ群L2の焦点距離が長くなりすぎて、望遠端におけるレンズ全長が増大する。条件式(4)の下限を下回って、第2レンズ群L2の焦点距離が短くなりすぎると、ズーミングに際して球面収差やコマ収差等の変動が大きくなってくる。
条件式(5)は、第2レンズ群L2の焦点距離と第3レンズ群L3の焦点距離の、好ましい比率を規定している。条件式(5)の上限を上回って、第3レンズ群L3の焦点距離が短くなりすぎると、像面湾曲が補正不足となったり、第2レンズ群L2の焦点距離が長くなりすぎると、望遠端におけるレンズ全長が増大する。また条件式(5)の下限を下回って、第2レンズ群L2の焦点距離が短くなりすぎると、ズーミングに際して球面収差やコマ収差等の変動が大きくなってくる。
条件式(6)は、第3レンズ群L3の焦点距離と第4レンズ群L4の焦点距離の、好ましい比率を規定している。条件式(6)の上限を上回って、第4レンズ群L4の焦点距離が短くなりすぎると、望遠端において倍率色収差が補正過剰となったり、第3レンズ群L3の焦点距離が長くなりすぎると、望遠端におけるレンズ全長が増大する。条件式(6)の下限を下回って、第3レンズ群L3の焦点距離が短くなりすぎると、像面湾曲が補正不足となってくる。
条件式(7)は、第1レンズ群L1の焦点距離と第4レンズ群L4の焦点距離の、好ましい比率を規定している。条件式(7)の上限を上回って、第4レンズ群L4の焦点距離が短くなりすぎると、望遠端において倍率色収差が補正過剰となったり、第1レンズ群L1の焦点距離が長くなりすぎると、レンズ全長が増大する。条件式(7)の下限を下回って、第1レンズ群L1の焦点距離が短くなりすぎると、広角端において樽型のディストーションが大きくなってくる。
条件式(8)は、第1レンズ群L1の焦点距離に対する望遠端における全系の焦点距離の好ましい比率の範囲を規定している。条件式(8)の上限を上回って、第1レンズ群L1の焦点距離が長くなりすぎると、レンズ全長が増大する。条件式(8)の下限を下回って、第1レンズ群L1の焦点距離が短くなりすぎると、広角端において樽型のディストーションが大きくなってくる。
条件式(9)は、第4レンズ群L4のズーミングにおける移動量と、望遠端におけるレンズ全長の好ましい比率を規定している。条件式(9)の下限を下回って、第4レンズ群L4の移動量が少なすぎると、変倍比を十分にとれず、その結果、第1レンズ群L1のズーミングに際しての移動量が増えるので望遠端におけるレンズ全長が増大する。条件式(9)の上限を上回って、第4レンズ群L4の移動量が望遠端におけるレンズ全長に占める割合が大きくなりすぎると、他のレンズ群に十分な枚数のレンズを配置したり、ズーミングにおける他のレンズ群の移動する空間を十分確保するのが困難になる。
条件式(10)は、第2レンズ群L2の変倍比に対する、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の合成の変倍比の好ましい範囲を規定している。条件式(10)の上限を上回って、第2レンズ群L2の変倍負担が少なくなりすぎると、全系で十分な変倍比を確保するのが困難になる。条件式(10)の下限を下回って、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の変倍負担が少なくなりすぎると、第2レンズ群L2の変倍負担を多くするためにズーミングにおける第2レンズ群L2の移動量を増やす事が必要となる。この結果、望遠端においてレンズ全長が増大する。
なお、好ましくは、条件式(2)乃至条件式(10)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
0.05<D1/D24t<0.15 ・・・(2a)
4.50<D12w/D34w<7.00 ・・・(3a)
0.30<f2/f4<0.55 ・・・(4a)
0.15<f2/|f3|<0.45 ・・・(5a)
1.20<|f3|/f4<1.80 ・・・(6a)
0.30<|f1|/f4<0.70 ・・・(7a)
0.43<|f1|/ft<0.50 ・・・(8a)
0.05<M4/Lt<0.15 ・・・(9a)
0.30<β34z/β2z<0.45 ・・・(10a)
各実施例では以上のように各要素を特定することにより、高ズーム比であり、全ズーム領域で高い光学性能を有する小型のズームレンズを得ている。
次に、各実施例のレンズ構成について説明する。各実施例において、第1レンズ群L1は1以上の負レンズと、1以上の正レンズと、1以上の非球面形状のレンズ面を有する。具体的には負の屈折力の第1レンズ群L1は、最も物体側に負レンズ、最も像側に正レンズを有している。また、第1レンズ群L1中の負レンズは非球面を有している。このレンズ構成により、最小のレンズ枚数で倍率色収差や、像面湾曲を良好に補正している。また、第1レンズ群L1は広角端から望遠端へのズーミングに際して像側に凸状の軌跡で移動することで、前玉有効径の小型化を図っている。
各実施例において、第2レンズ群L2は物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けた正レンズ、物体側に凸面を向けた正レンズと像面側に凹面を向けた負レンズとを接合した接合レンズ、正レンズとで構成している。最も物体側に配置された正レンズの少なくとも1つのレンズ面を、非球面形状とすることにより球面収差とコマ収差を良好に補正している。このレンズ構成により、球面収差やコマ収差を良好に補正し、大口径化に対応している。
また第2レンズ群L2は、第2レンズ群L2の中で隣り合うレンズ間の各距離のうち、最も広い空気間隔を境に、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第2aレンズ群と正の屈折力の第2bレンズ群より構成されている。そして第2bレンズ群を光軸に対して垂直方向の成分を持つように移動させて、結像位置を光軸に対して垂直方向に移動させている。即ち像ぶれ補正を行っている。
具体的には第2レンズ群L2の最も像側に配置した第2bレンズ群である単一の正レンズを光軸に対して垂直方向の成分を持つように移動させて、結像位置を光軸に対して垂直方向に変移させることにより、像ぶれ補正(防振)を行っても良い。これによれば、比較的大型の撮像素子に対応したズームレンズにおいても、軽量なレンズの駆動によって防振機能を容易に実現することができる。広角端から望遠端へのズーミングに際して第2レンズ群L2は物体側に移動している。
各実施例においては、第3レンズ群L3は、単一の負レンズで構成している。これにより、レンズ全系の薄型化を実現すると共に、軽量な第3レンズ群L3を光軸方向に移動してフォーカシングを行っている。具体的には、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して第3レンズ群L3は像側へ移動している。これにより、比較的大型の撮像素子に対応したズームレンズにおいても、軽量なレンズの駆動によって高速なフォーカシングを容易に実現している。
後述する各数値実施例の数値は、無限遠にフォーカシングしたときのものである。広角端から望遠端へのズーミングに際して第3レンズ群L3は物体側に移動している。各実施例においては、第4レンズ群L4は、1枚の正レンズで構成しており、広角端から望遠端へのズーミングに際して像側に移動する。これによって変倍を行い、第1レンズ群L1のズーミングに際しての移動量を軽減している。各レンズ群には、軸外光線の収差をより良好に抑制するため、1以上の非球面レンズを有するのが良い。
Fナンバー決定絞りである開口絞りSPは、ズーミングに際して開口面積が可変又は不変であっても良い。開口面積を不変とする場合でも、ズーミングに際して適切に移動させれば、広角端以外のズーム位置でも所望のFナンバーを得ることが容易となる。
以下、実施例1〜3に対応する数値実施例1〜3の具体的数値データを示す。各数値実施例において、iは物体側から数えた面の番号を示す。riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径である。diは第i面と第(i+1)面との軸上間隔である。ndi、νdiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材料の屈折率、アッベ数である。BFはバックフォーカスであり、最も像側のレンズ面から像面までの距離の空気換算値である。レンズ全長は、最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離に、空気換算長のバックフォーカスを加えたものである。
非球面形状は、光の進行方向を正、xを光軸方向の面頂点からの変位量として、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、rを近軸曲率半径、Kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、A12を非球面係数とするとき、
x=(h/r)/[1+{1−(1+K)×(h/r)1/2]+A4×h+A6×h+A8×h+A10×h10+A12×h12
なる式で表される。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。また、前述の各条件式と数値実施例との関係を(表1)に示す。
[数値実施例1]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1* -91.240 0.80 1.85135 40.1
2* 14.452 4.13
3 23.742 2.30 1.95906 17.5
4 48.492 (可変)
5(絞り) ∞ (可変)
6* 12.379 3.50 1.69350 53.2
7* 36.238 0.20
8 10.198 3.45 1.48749 70.2
9 17.933 1.00 1.85478 24.8
10 7.606 2.71
11* 12.462 2.50 1.55332 71.7
12* -66086.623 (可変)
13 33.612 0.40 1.49700 81.5
14 20.522 0.61
15 ∞ (可変)
16 75.395 1.90 1.69680 55.5
17 -97.756 (可変)
18 ∞ 0.50 1.51633 64.1
19 ∞ 0.5
像面 ∞
非球面データ
第1面
K =-1.11872e+002 A 4=-2.44571e-005 A 6= 2.69860e-007
A 8=-1.12897e-009 A10= 1.79096e-012

第2面
K =-8.27975e-002 A 4=-2.90749e-005 A 6=-1.80346e-008
A 8= 1.30611e-009 A10=-8.85200e-012

第6面
K =-1.11612e-001 A 4=-4.99459e-005 A 6=-1.01222e-007
A 8=-4.68545e-010

第7面
K = 0.00000e+000 A 4=-5.82312e-005 A 6= 2.34295e-007
A 8=-5.54313e-012

第11面
K =-2.03784e-001 A 4=-8.61835e-005 A 6=-2.50098e-007
A 8= 1.13877e-008

第12面
K =-2.41845e+010 A 4= 5.19515e-006 A 6=-1.48762e-007
A 8=-3.37190e-009

各種データ
ズーム比 4.94
広角 中間 望遠
焦点距離 10.79 29.40 53.30
Fナンバー 1.89 4.26 5.87
半画角(度) 35.77 17.46 9.85
像高 7.77 9.25 9.25
レンズ全長 76.48 68.35 78.85
BF 10.45 5.95 1.45

d 4 28.05 3.65 1.94
d 5 5.97 4.89 -0.24
d12 0.25 7.63 15.00
d15 8.26 22.74 37.21
d17 9.62 5.12 0.62

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -23.62
2 6 20.43
3 13 -107.11
4 16 61.36
[数値実施例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 -390.127 0.60 1.83481 42.7
2 14.720 3.44
3* -97.470 0.60 1.80610 40.7
4* 53.138 0.30
5 17.762 2.60 1.92286 18.9
6 40.071 (可変)
7(絞り) ∞ (可変)
8* 10.431 3.10 1.69350 53.2
9* 39.681 0.30
10 10.076 2.50 1.48749 70.2
11 20.682 0.85 1.80518 25.4
12 7.247 3.69
13* 11.238 2.30 1.55332 71.7
14* -618.954 (可変)
15 25.736 0.40 1.49700 81.5
16 11.291 1.02
17 ∞ (可変)
18 132.270 2.60 1.69680 55.5
19 -27.148 (可変)
20 ∞ 0.50 1.51633 64.1
21 ∞ 0.5
像面 ∞
非球面データ
第3面
K =-1.40377e+002 A 4= 6.97472e-005 A 6= 7.53787e-007
A 8=-7.27084e-009 A10= 9.17058e-011 A12=-3.70370e-013

第4面
K = 1.58416e+001 A 4= 9.82974e-005 A 6= 1.49146e-007
A 8=-2.20250e-009 A10= 8.53987e-011 A12=-4.50355e-013

第8面
K =-1.42681e-001 A 4=-8.11529e-005 A 6=-2.94696e-007
A 8= 1.74968e-009

第9面
K = 7.96766e-001 A 4=-9.52038e-005 A 6= 7.71523e-007
A 8=-1.28121e-010

第13面
K =-4.00160e-001 A 4=-1.61356e-004 A 6=-2.63346e-007
A 8= 2.06423e-008

第14面
K =-1.16387e+005 A 4=-7.06461e-005 A 6= 1.17561e-006
A 8=-9.86479e-009

各種データ
ズーム比 4.71
広角 中間 望遠
焦点距離 9.14 23.53 43.04
Fナンバー 1.85 4.26 5.87
半画角(度) 36.24 18.63 10.44
像高 6.70 7.93 7.93
レンズ全長 68.37 60.74 67.68
BF 9.43 6.67 3.92

d 6 24.97 3.95 1.65
d 7 3.62 3.83 -0.10
d14 1.79 9.96 18.13
d17 4.25 12.01 19.77
d19 8.60 5.84 3.09

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -19.26
2 8 17.28
3 15 -40.85
4 18 32.54

[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1* -82.851 0.70 1.85135 40.1
2* 12.421 2.80
3 19.194 2.20 1.95906 17.5
4 39.627 (可変)
5(絞り) ∞ (可変)
6* 10.376 3.27 1.67790 55.3
7* 38.804 0.30
8 9.880 2.49 1.48749 70.2
9 20.568 0.85 1.80518 25.4
10 7.175 3.69
11* 11.045 2.59 1.55332 71.7
12* 2078.525 (可変)
13 18.155 0.40 1.49700 81.5
14 10.121 1.52
15 ∞ (可変)
16* 59.727 3.57 1.53110 55.9
17* -24.854 (可変)
18 ∞ 0.50 1.51633 64.1
19 ∞ 0.5
像面 ∞
非球面データ
第1面
K =-7.26909e+001 A 4=-4.10951e-005 A 6= 8.19865e-007
A 8=-4.93406e-009 A10= 1.42698e-011 A12=-4.75590e-015

第2面
K =-3.73662e-002 A 4=-5.00884e-005 A 6=-2.42051e-007
A 8= 5.67921e-009 A10=-2.79208e-012 A12=-7.90196e-014

第6面
K =-1.40721e-001 A 4=-8.23601e-005 A 6=-1.79314e-007
A 8= 3.44747e-009 A10= 2.70354e-013

第7面
K = 1.11228e+000 A 4=-9.39585e-005 A 6= 7.50428e-007
A 8= 3.33232e-009 A10= 4.94322e-013

第11面
K =-3.46747e-001 A 4=-1.60402e-004 A 6=-2.95101e-007
A 8= 6.24506e-009 A10=-1.97287e-010

第12面
K = 4.75319e+004 A 4=-5.95823e-005 A 6= 3.23954e-007
A 8=-1.03671e-008 A10= 1.12896e-010

第16面
K =-7.84670e+001 A 4=-4.78464e-005 A 6=-3.13841e-007
A 8=-1.38943e-009 A10=-1.83353e-011

第17面
K = 1.17348e+000 A 4=-6.43004e-005 A 6=-2.44768e-007
A 8=-1.30488e-009 A10=-2.83312e-011

各種データ
ズーム比 4.50
広角 中間 望遠
焦点距離 9.60 24.31 43.22
Fナンバー 1.88 4.26 5.87
半画角(度) 34.92 18.07 10.40
像高 6.70 7.93 7.93
レンズ全長 68.03 58.79 64.98
BF 7.99 5.74 3.49

d 4 27.96 6.80 1.75
d 5 1.56 0.85 -0.55
d12 1.20 8.84 16.48
d15 4.92 12.17 19.42
d17 7.16 4.91 2.66

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -20.83
2 6 17.55
3 13 -46.80
4 16 33.54

次に実施例1乃至3のズームレンズを撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)の実施例を図7を用いて説明する。
図7において、10は撮像装置の本体である。11は本発明のズームレンズによって構成された撮像光学系、12は撮像光学系11によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子(光電変換素子)である。13は撮像素子12が受光した被写体像を記録する記録手段、14は不図示の表示素子に表示された被写体像を観察するためのファインダーである。上記表示素子は液晶パネル等によって構成され、撮像素子12上に形成された披写体像が表示される。
L1 第1レンズ群 L2 第2レンズ群 L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群 SP 開口絞り FS フレアカット絞り

Claims (16)

  1. 物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、
    ズーミングに際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化するように各レンズ群が移動するズームレンズであって、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第4レンズ群の移動量をM4、望遠端における空気換算値のバックフォーカスをsktとするとき、
    1.20<M4/skt<50.00
    なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
  2. 前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面と前記第1レンズ群の最も像側のレンズ面との光軸上の間隔をD1、望遠端における前記第2レンズ群の最も物体側のレンズ面と前記第4レンズ群の最も像側のレンズ面との光軸上の間隔をD24tとするとき、
    0.001<D1/D24t<0.300
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
  3. 広角端における前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面と前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面との光軸上の間隔をD12w、広角端における前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面と前記第4レンズ群の最も像側のレンズ面との光軸上の間隔をD34wとするとき、
    3.00<D12w/D34w<30.00
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
  4. 前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とするとき、
    0.10<f2/f4<0.70
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  5. 前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とするとき、
    0.10<f2/|f3|<0.60
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  6. 前記第3レンズ群の焦点距離をf3、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とするとき、
    1.00<|f3|/f4<2.00
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  7. 前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とするとき、
    0.20<|f1|/f4<0.80
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  8. 前記第1レンズ群の焦点距離をf1、望遠端における全系の焦点距離をftとするとき、
    0.30<|f1|/ft<0.6 0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  9. 望遠端におけるレンズ全長をLtとするとき、
    0.03<M4/Lt<0.40
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  10. 広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第2レンズ群の変倍比をβ2z、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第3レンズ群と、前記第4レンズ群の合成の変倍比をβ34zとするとき、
    0.25<β34z/β2z<0.50
    なる条件式を満足することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  11. 前記3レンズ群は単一の負レンズからなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  12. 無限遠から近距離へのフォーカシングに際して前記第3レンズ群は像側へ移動することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  13. 前記第1レンズ群は1以上の負レンズと、1以上の正レンズと、1以上の非球面形状のレンズ面を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  14. 前記第2レンズ群の中で隣り合うレンズ間の各距離のうち、最も広い空気間隔を境に、前記第2レンズ群は、物体側から像側へ順に、第2aレンズ群と第2bレンズ群より構成され、像ぶれ補正に関して前記第2bレンズ群は光軸に対して垂直方向の成分を持つように移動することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  15. 前記第2bレンズ群は、単一の正レンズからなることを特徴とする請求項14に記載のズームレンズ。
  16. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載のズームレンズと、該ズームレンズによって形成される像を受光する固体撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
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