JP2014215181A - 電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 二次電池の劣化状態を規定するパラメータの推定精度を確保する。【解決手段】 電池システムは、二次電池の電流を検出する電流センサと、パラメータを推定するコントローラと、を有する。コントローラ、二次電池の開放電圧が第1開放電圧から第2開放電圧に変化するまでの間で、電流センサによる検出電流を積算した第1電流積算値を算出し、第1開放電圧に対応する第1充電率と、第2開放電圧に対応する第2充電率との差から第2電流積算値を算出する。第1電流積算値および第2電流積算値の差が所定値以下となるように、パラメータの少なくとも1つを同定し、開放電圧が第1開放電圧から第2開放電圧に変化するまでの間の平均電流値、第1開放電圧および第2開放電圧における開放電圧特性上の変化率、および第1電流積算値の少なくとも1つが小さくなるほど、推定するパラメータに対して、同定したパラメータの重み付けを小さくする。【選択図】 図1

Description

本発明は、二次電池の劣化状態を規定するパラメータを推定する電池システムに関する。
特許文献1では、電流センサの検出結果に基づいて算出された電流積算値(実測値)と、電池モデル式上で算出される電流積算値(推定値)とを比較することにより、二次電池の劣化状態を規定するパラメータを同定している。このパラメータとしては、正極における単極容量の維持率、負極における単極容量の維持率、正極活物質内の平均充電率と負極活物質内の平均充電率との対応関係が初期状態からずれることに伴う二次電池の電池容量の変動量とがある。
特開2010−060384号公報
特許文献1において、電流積算値(実測値)を算出するときには、電流積算値(実測値)に電流センサの検出誤差が含まれてしまうことがある。電流積算値(実測値)に電流センサの検出誤差が含まれると、パラメータを同定するときの精度を確保しにくくなってしまうことがある。
本発明の電池システムは、二次電池の電流を検出する電流センサと、二次電池の劣化状態を規定するパラメータを推定するコントローラとを有する。このパラメータには、二次電池の正極および負極における単極容量の維持率と、正極および負極の活物質における充電率の対応関係の変化に伴う電池容量の変動量とが含まれる。
コントローラは、二次電池の開放電圧が第1開放電圧から第2開放電圧に変化するまでの間で、電流センサによる検出電流を積算した第1電流積算値を算出する。また、コントローラは、充電率の変化に対する開放電圧の変化を示す開放電圧特性を用いて、第1開放電圧に対応する第1充電率と、第2開放電圧に対応する第2充電率とを算出し、第1充電率および第2充電率の差から、開放電圧が第1開放電圧から第2開放電圧に変化するまでの間における電流積算値である第2電流積算値を算出する。
コントローラは、第1電流積算値および第2電流積算値の差が所定値以下となるように、パラメータの少なくとも1つを同定し、パラメータを同定した上で、パラメータを推定する。ここで、開放電圧が第1開放電圧から第2開放電圧に変化するまでの間の平均電流値、第1開放電圧および第2開放電圧における開放電圧特性上の変化率、および第1電流積算値の少なくとも1つが小さくなるほど、推定するパラメータに対して、同定したパラメータの重み付けを小さくしている。
二次電池の劣化が進行すると、単極開放電位(正極開放電位や負極開放電位)や、単極開放電位の差である開放電圧が変化する。単極開放電位の変化は、単極容量の維持率および電池容量の変動量によって規定することができる。そこで、上述したように、パラメータを同定することにより、現在の二次電池の劣化状態を反映した単極開放電位や開放電圧を算出(推定)することができる。
第1電流積算値および第2電流積算値を比較することにより、パラメータが同定されるが、第1電流積算値は、電流センサによる検出電流を積算した値となるため、電流センサの検出誤差が発生しているとき、第1電流積算値には、電流センサの検出誤差が含まれてしまう。二次電池の電流値にかかわらず、電流センサの検出誤差は略一定であるため、電流値が小さくなるほど、検出誤差の影響が大きくなってしまう。
検出誤差の影響が大きい状態で算出された第1電流積算値を用いてパラメータを同定したときには、同定されたパラメータの精度が低下しやすくなってしまう。精度が低下したパラメータをそのまま用いてしまうと、二次電池の劣化状態を反映した単極開放電位や開放電圧を精度良く算出することができない。
そこで、本発明では、パラメータを推定する上で、平均電流値が小さくなるほど、同定したパラメータの重み付けを小さくしている。言い換えれば、平均電流値が大きくなるほど、同定したパラメータの重み付けを大きくしている。これにより、同定したパラメータの精度を考慮した上で、パラメータを推定することができ、パラメータの推定精度を確保することができる。二次電池の開放電圧値を第1開放電圧から第2開放電圧に変化させるとき、二次電池の電流値が変化することがあるため、本発明のように、平均電流値を考慮することにより、パラメータの重み付けを決定しやすくなる。
一方、開放電圧特性上の変化率が小さくなるほど、開放電圧のずれに対して、平均充電率のずれが大きくなってしまう。この場合には、第1充電率や第2充電率を精度良く算出することができず、第2電流積算値の算出精度も低下してしまう。第2電流積算値の算出精度が低下すれば、同定されたパラメータの精度も低下しやすくなってしまう。
そこで、本発明では、パラメータを推定する上で、開放電圧特性上の変化率が小さくなるほど、同定したパラメータの重み付けを小さくしている。言い換えれば、開放電圧特性上の変化率が大きくなるほど、同定したパラメータの重み付けを大きくしている。これにより、同定したパラメータの精度を考慮した上で、パラメータを推定することができ、パラメータの推定精度を確保することができる。
二次電池の開放電圧特性は、一般的に、充電率が高くなるほど、開放電圧が変化しやすくなるとともに、充電率が低くなるほど、開放電圧が変化しやすくなる。このような開放電圧特性を考慮すると、第1電流積算値が大きくなるほど、第1開放電圧や第2開放電圧における開放電圧特性上の変化率が大きくなりやすい。言い換えれば、第1電流積算値が小さくなるほど、第1開放電圧や第2開放電圧における開放電圧特性上の変化率が小さくなりやすい。
そこで、本発明では、開放電圧特性上の変化率に応じて、同定したパラメータの重み付けを決定する場合と同様に、パラメータを推定する上で、第1電流積算値が小さくなるほど、同定したパラメータの重み付けを小さくしている。言い換えれば、第1電流積算値が大きくなるほど、同定したパラメータの重み付けを大きくしている。これにより、同定したパラメータの精度を考慮した上で、パラメータを推定することができ、パラメータの推定精度を確保することができる。
下記式(I)に基づいて、パラメータを推定することができる。下記式(I)を用いれば、パラメータを推定するときに、同定したパラメータの重み付けを行うことができる。
上記式(I)において、Pは、第1電流積算値および第2電流積算値の差が所定値以下となるように同定されたパラメータである。Pf[n]は、今回の推定されるパラメータであり、Pf[n−1]は、前回の推定されたパラメータである。前回の推定されたパラメータとは、過去のパラメータであり、例えば、今回に対して直近のパラメータを用いることができる。
τは、平均電流値、変化率および第1電流積算値の少なくとも1つに応じて変化する定数である。ここで、平均電流値、変化率および第1電流積算値の少なくとも1つが小さくなるほど、定数τを小さくすることができる。上述したように、平均電流値、変化率および第1電流積算値の少なくとも1つが小さくなるほど、同定したパラメータの精度が低下しやすい。そこで、平均電流値などが小さくなるほど、定数τを小さくすることにより、推定されるパラメータに対して、同定されたパラメータの反映を小さくすることができる。
本発明の電池システムには、二次電池の電圧を検出する電圧センサを設けることができる。ここで、電圧センサによる検出電圧を用いて、二次電池の開放電圧を算出することができる。具体的には、電圧センサによる検出電圧と、二次電池の抵抗と、二次電池に流れた電流値とから、二次電池の開放電圧を算出することができる。
電圧センサによる検出誤差が発生していると、算出される二次電池の開放電圧にも、電圧センサによる検出誤差が含まれてしまい、開放電圧(算出値)は、実際の開放電圧(真値)からずれてしまう。開放電圧(算出値)が開放電圧(真値)からずれてしまうと、開放電圧(算出値)から算出される充電率(第1充電率や第2充電率)が、開放電圧(真値)から算出される充電率(第1充電率や第2充電率)からずれてしまう。これに伴い、第1充電率および第2充電率の差から算出される第2電流積算値もずれてしまい、同定されるパラメータの精度が低下してしまう。
上述したように、開放電圧特性上の変化率が小さいほど、開放電圧のずれに対して、充電率のずれが大きくなってしまう。そこで、本発明のように、開放電圧特性上の変化率が小さくなるほど、同定したパラメータの重み付けを小さくすることにより、推定されるパラメータに対して、同定したパラメータを反映させにくくしている。これにより、推定されるパラメータの精度が低下することを抑制できる。
パラメータには、正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量が含まれるが、これらの一部(1つ又は2つ)だけを同定して推定することができる。この場合には、正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量の対応関係を用いることにより、同定していないパラメータ(2つ又は1つ)を算出することができる。この対応関係は、実験などによって予め求めておくことができる。
上述したようにパラメータを推定すれば、このパラメータを用いて、正極および負極における開放電位を算出(推定)することができる。正極および負極の開放電位を算出すれば、二次電池の開放電圧を算出(推定)することができる。パラメータの推定精度を確保すれば、開放電位や開放電圧の推定精度を確保することができる。すなわち、二次電池の劣化状態を反映した開放電位や開放電圧を得ることができる。ここで、第1充電率および第2充電率を算出するときには、二次電池の劣化状態を反映した開放電圧特性を用いることができる。
二次電池の開放電圧特性を予め求めておき、この開放電圧特性を用いて、第1充電率および第2充電率を算出することもできる。ただし、二次電池の劣化状態を反映した開放電圧特性を用いれば、第1充電率および第2充電率を精度良く算出することができる。第1充電率および第2充電率を精度良く算出すれば、第2電流積算値を精度良く算出することができ、これに伴い、パラメータを同定するときの精度を向上させることができる。
二次電池の満充電容量を算出するときには、まず、二次電池のSOCが100%であるときの充電率と、二次電池のSOCが0%であるときの充電率とを算出する。これらの充電率の差を算出すれば、二次電池のSOCが100%から0%に変化するまでの間における電流積算値を特定でき、二次電池の満充電容量を算出することができる。
正極および負極の間において、反応関与物質が移動することによって、二次電池の充放電が行われる。反応関与物質とは、二次電池の充放電反応に関与する物質である。例えば、二次電池がリチウムイオン二次電池であるときには、反応関与物質がリチウムイオンとなる。ここで、充電率は、活物質内における反応関与物質の最大濃度と、現在の活物質内における反応関与物質の平均濃度との比(平均充電率)で表すことができる。活物質の内部では、反応関与物質の拡散などの影響を受けて、反応関与物質の濃度分布(濃度バラツキ)が発生することがある。この濃度分布を考慮して、反応関与物質の平均濃度を用いることが好ましい。
二次電池としては、二相共存型の正極活物質を備えた二次電池を用いることができる。二相共存型の正極活物質を備えた二次電池の開放電圧特性では、充電率の変化に対して開放電圧が変化しにくい領域(フラット領域という)が発生しやすい。フラット領域では、開放電圧特性上の変化率が小さくなりやすい。このため、二相共存型の正極活物質を備えた二次電池に対して、本発明を好適に用いることができる。
電池システムの構成を示す図である。 二次電池の構成を示す概略図である。 局所的SOCの変化に対する開放電圧の変化特性を示す図である。 単極容量の減少に伴う単極開放電位の変化を示す図である。 正極および負極の間における組成の対応ずれを説明する図である。 劣化による組成の対応ずれを説明する図である。 正極開放電位および、劣化後の負極開放電位の関係を示す図である。 劣化パラメータの探索処理を示すフローチャートである。 劣化パラメータの探索処理を示すフローチャートである。 平均電流値および定数の関係を示す図である。 OCVのずれに伴う平均充電率のずれを説明する図である。 開放電圧特性上における推定電流積算値の範囲を説明する図である。
以下、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例1である電池システムについて、図1を用いて説明する。図1は、電池システムの構成を示す図である。本実施例の電池システムは、例えば、車両に搭載することができる。
本実施例の電池システムは、組電池10を有する。組電池10は、直列に接続された複数の単電池11を有する。単電池11としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。単電池11は、発電要素を電池ケースに収容したものである。発電要素は、充放電を行う要素であり、正極と、負極と、正極および負極の間に配置されるセパレータとで構成することができる。セパレータは、電解液を含んでいる。ここで、セパレータの代わりに、固体電解質を用いることもできる。
組電池10を構成する単電池11の数は、組電池10の要求出力などに基づいて、適宜設定することができる。本実施例では、組電池10を構成する、すべての単電池11が直列に接続されているが、並列に接続された複数の単電池11が、組電池10に含まれていてもよい。
監視ユニット21は、組電池10の電圧値を検出したり、各単電池11の電圧値Vbを検出したりする。監視ユニット21は、検出結果をコントローラ30に出力する。電流センサ22は、組電池10に流れる電流値Ibを検出し、検出結果をコントローラ30に出力する。本実施例では、組電池10を放電しているときの電流値Ibとして、正の値が用いられ、組電池10を充電しているときの電流値Ibとして、負の値が用いられる。
本実施例では、組電池10の正極端子と接続された正極ラインPLに、電流センサ22が設けられているが、これに限るものではない。すなわち、電流センサ22は、組電池10に流れる電流値Ibを検出することができればよい。例えば、組電池10の負極端子と接続された負極ラインNLに、電流センサ22を設けることができる。また、複数の電流センサ22を用いることもできる。
温度センサ23は、組電池10(単電池11)の温度Tbを検出し、検出結果をコントローラ30に出力する。温度センサ23の数は、適宜設定することができる。複数の温度センサ23を用いれば、互いに異なる位置に配置された単電池11の温度Tbを精度良く検出することができる。コントローラ30は、メモリ30aを有しており、メモリ30aは、コントローラ30が所定処理を行うための各種の情報を格納している。本実施例では、メモリ30aが、コントローラ30に内蔵されているが、コントローラ30の外部にメモリ30aを設けることもできる。
正極ラインPLには、システムメインリレーSMR−Bが設けられており、システムメインリレーSMR−Bは、コントローラ30からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。負極ラインNLには、システムメインリレーSMR−Gが設けられており、システムメインリレーSMR−Gは、コントローラ30からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Gに対しては、システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗24が並列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗24は、直列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、コントローラ30からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。電流制限抵抗24は、組電池10をインバータ31と接続するときに、突入電流が流れることを抑制するために用いられる。
組電池10をインバータ31と接続するとき、コントローラ30は、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、組電池10の放電電流を電流制限抵抗24に流すことができる。
次に、コントローラ30は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池10およびインバータ31の接続が完了し、図1に示す電池システムは、起動状態(Ready-On)となる。一方、組電池10およびインバータ31の接続を遮断するとき、コントローラ30は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える。これにより、図1に示す電池システムは、停止状態(Ready-Off)となる。
コントローラ30には、車両のイグニッションスイッチのオン/オフに関する情報が入力される。ここで、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったとき、コントローラ30は、図1に示す電池システムを停止状態から起動状態に切り替える。また、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったとき、コントローラ30は、図1に示す電池システムを起動状態から停止状態に切り替える。
インバータ31は、組電池10からの直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ32に出力する。モータ・ジェネレータ32としては、例えば、三相交流モータを用いることができる。モータ・ジェネレータ32は、インバータ31からの交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータ32によって生成された運動エネルギを車輪に伝達することにより、車両を走行させることができる。
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ32は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。インバータ31は、モータ・ジェネレータ32が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池10に出力する。これにより、組電池10は、回生電力を蓄えることができる。
本実施例では、組電池10をインバータ31に接続しているが、これに限るものではない。具体的には、組電池10およびインバータ31の間の電流経路において、昇圧回路を設けることができる。昇圧回路は、組電池10の出力電圧を昇圧したり、インバータ31から組電池10への出力電圧を降圧したりすることができる。
本実施例では、二次電池(単電池)11の劣化に伴って変化する二次電池11の開放電圧や満充電容量を推定する。まず、開放電圧や満充電容量の推定処理で用いられる電池モデルについて、以下に説明する。この電池モデルを用いると、二次電池11の内部状態を推定することができる。以下の説明では、二次電池11として、リチウムイオン二次電池を用いる。
図2は、電池モデルによって表現される二次電池11の内部構成の概略を説明する図である。図2において、二次電池11は、正極121と、負極122と、セパレータ123とを有する。セパレータ123は、正極121および負極122の間に設けられ、例えば、樹脂で形成することができる。セパレータ123には、電解液が浸透している。
正極121は、集電板121aと、球状の正極活物質121bの集合体とを有する。集電板121aは、例えば、アルミニウムで形成することができる。負極122は、集電板122aと、球状の負極活物質122bの集合体とを有する。集電板122aは、例えば、銅で形成することができる。
図2に示すように、二次電池11の放電時において、負極活物質122bの界面上では、リチウムイオン(反応関与物質に相当する)Li+および電子e-を放出する化学反応が行われる。一方、正極活物質121bの界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を吸収する化学反応が行われる。なお、二次電池11の充電時において、負極活物質122bおよび正極活物質121bの界面上では、上述した放電時の化学反応と逆の反応が行われる。このように、二次電池11の充電状態は、正極活物質121bや負極活物質122bの内部におけるリチウム濃度分布に依存する。
本実施例では、二次電池11として、リチウムイオン二次電池を用いた場合について説明するが、これに限るものではない。例えば、二次電池11として、ニッケル水素電池を用いたときには、反応関与物質として、プロトンが用いられる。反応関与物質とは、二次電池11の充放電を行わせる化学反応に関与する物質である。
二次電池11をマクロに見た場合の直流抵抗(直流抵抗Rという)には、純抵抗Rおよび反応抵抗Rが含まれる。純抵抗Rは、負極122および正極121において、電子e-の移動に対する純電気的な抵抗であり、反応抵抗Rは、活物質121b,122bの界面において、反応電流が発生したときに等価的に電気抵抗として作用する電荷移動抵抗である。また、活物質121b,122bの内部におけるリチウムの拡散は、拡散係数Dに支配される。
本実施例では、常温時における電気二重層キャパシタの影響が小さいことを考慮して、この影響を無視した電池モデルを構築している。ここで、電池モデルは、電極(正極121や負極122)の単位極板面積あたりのモデルとして定義されるものとする。電極の単位極板面積あたりのモデルを用いることで、このモデルを設計容量に対して一般化させることができる。
二次電池11の電圧Vは、下記式(1)で表される。
上記式(1)において、電池電流Iは、単位極板面積あたりの電流値を示す。すなわち、電池電流Iは、電流センサ22によって検出された電流値Ibを、電極(正極121や負極122)の極板面積Sで除算した値(Ib/S)となる。以下、電池モデルで用いられる「電流」および「推定電流」については、特に説明のない限り、単位極板面積当たりの電流とする。
開放電圧OCVは、正極開放電位U1および負極開放電位U2の電位差として表わされる。正極開放電位Uは、電池温度Tおよび正極活物質121bの局所的SOCθに依存する。局所的SOCとは、活物質121b,122bの表面(界面)における局所的なリチウム濃度分布であり、θとして表す。ここで、正極121に関する値を添え字「1」として表し、負極122に関する値を添え字「2」として表す。開放電圧OCVおよび局所的SOCθの対応関係を示す二次電池11の特性を開放電圧特性という。
負極開放電位Uは、電池温度Tおよび負極活物質122bの局所的SOCθに依存する。局所的SOCθとは、負極活物質122bの表面(界面)における局所的なリチウム濃度分布である。本実施例の電池モデルでは、正極121における正極活物質121bの集合体を、1つの球状の正極活物質121bとして見なし、負極122における負極活物質122bの集合体を、1つの球状の負極活物質122bと見なしている。
二次電池11が初期状態にあるときに、正極開放電位U、局所的SOCθおよび電池温度Tの対応関係を実験などによって予め求めておくことができる。この対応関係は、マップ又は関数として表すことができ、この対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。図3には、特定の電池温度Tにおける正極開放電位Uおよび局所的SOCθの対応関係(マップ)を示す。図3に示す正極開放電位Uおよび局所的SOCθの対応関係は、電池温度T毎に設けられている。ここで、正極開放電位Uおよび局所的SOCθの対応関係を示す正極121の特性を開放電位特性という。
局所的SOCθおよび電池温度Tを特定すれば、上述した対応関係を用いることにより、正極開放電位Uを算出することができる。電池温度Tとしては、温度センサ23によって検出された二次電池11の温度Tbが用いられる。なお、初期状態とは、二次電池11が劣化していない状態であり、例えば、二次電池11を製造した直後の状態とすることができる。
また、負極開放電位U、局所的SOCθおよび電池温度Tの対応関係(マップ又は関数)を実験などによって予め求めておけば、局所的SOCθおよび電池温度Tを特定することにより、負極開放電位Uを算出することができる。図3には、特定の電池温度Tにおける負極開放電位Uおよび局所的SOCθの対応関係(マップ)を示す。図3に示す負極開放電位Uおよび局所的SOCθの対応関係は、電池温度T毎に設けられている。ここで、負極開放電位Uおよび局所的SOCθの対応関係を示す負極122の特性を開放電位特性という。
ここで、電池温度Tとしては、温度センサ23によって検出された二次電池11の温度Tbが用いられる。また、負極開放電位U、局所的SOCθおよび電池温度Tの対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。
上記式(1)に示す直流抵抗Rは、局所的SOCθ1,θ2および電池温度Tに依存する。このため、二次電池11が初期状態にあるときに、直流抵抗R、局所的SOCθ,θおよび電池温度Tの対応関係(マップ又は関数)を実験などによって予め求めておくことができる。この対応関係を用いれば、局所的SOCθ,θおよび電池温度Tを特定することにより、直流抵抗Rを算出することができる。電池温度Tとしては、温度センサ23によって検出された二次電池11の温度Tbが用いられる。直流抵抗R、局所的SOCθ,θおよび電池温度Tの対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。
上述した局所的SOCθi(i=1,2)は、下記式(2)で定義される。
上記式(2)において、cse,iは、活物質121b,122bの界面におけるリチウム平均濃度であり、cs,i,maxは、活物質121b,122bにおける限界リチウム濃度である。球状モデルとして取り扱われる活物質121b,122bにおいて、リチウム濃度cs,iは、活物質121b,122bの半径方向に分布を有する。すなわち、活物質121b,122bの内部におけるリチウム濃度分布は、下記式(3)に示す極座標系の拡散方程式により規定される。
上記式(3)において、Ds,iは、活物質121b,122bにおけるリチウムの拡散係数である。拡散係数Ds,iは、電池温度Tに依存するため、初期状態にある二次電池11を用いた実験などにより、拡散係数Ds,iおよび電池温度Tの対応関係(マップ又は関数)を予め求めておくことができる。この対応関係は、拡散係数Ds,1,Ds,2のそれぞれで求められ、この対応関係を用いれば、電池温度Tを特定することにより、拡散係数Ds,1,Ds,2をそれぞれ算出することができる。
電池温度Tとしては、温度センサ23によって検出された二次電池11の温度Tbが用いられる。拡散係数Ds,iおよび電池温度Tの対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶することができる。一般的に、電池温度Tが高くなるほど、拡散係数Ds,iが大きくなりやすい。言い換えれば、電池温度Tが低くなるほど、拡散係数Ds,iが小さくなりやすい。
上記式(3)に示す拡散方程式の境界条件は、下記式(4),(5)のように設定される。
上記式(4)は、球状の活物質121b,122bの中心における濃度勾配が0であることを示している。上記式(5)は、活物質121b,122bの界面において、リチウムが出入りすることに応じて、活物質121b,122bの界面でのリチウム濃度が変化することを示している。
上記式(5)において、rs,iは、活物質121b,122bの半径であり、εs,iは、活物質121b,122bの体積分率であり、as,iは、電極121,122の単位体積当りにおける活物質121b,122bの表面積である。これらの値rs,i,εs,i,as,iは、各種電気化学測定法により測定した結果より決定される。また、Fはファラデー定数である。
上記式(5)に示すjLiは、単位体積・時間当りのリチウム生成量である。簡単化のために、電極121,122の厚さ方向における反応が均一であると仮定すると、リチウム生成量jLiは、下記式(6)に基づいて算出することができる。下記式(6)において、L,Lは、電極121,122の厚さであり、Iは、電池電流である。電極厚さL,Lは、予め求めておくことができる。
二次電池11の電圧値Vbを入力値として、上記式(1)〜(6)を連立させて解くことにより、推定電流を算出しながら、二次電池11の内部状態を推定することができる。例えば、推定電流を算出しながら、二次電池11のSOC(State of Charge)を推定することができる。SOCとは、満充電容量に対する、現在の充電容量の割合である。
二次電池11のSOCを推定する処理は、所定の周期で繰り返して行われ、コントローラ30によって実行される。コントローラ30は、前回の演算時におけるリチウム濃度分布cse,iに基づき、活物質121b,122bの局所的SOCθi(θ1およびθ2)を算出する。局所的SOCθを算出し、電池温度Tbを検出すれば、例えば、図3に示すマップを用いることにより、コントローラ30は、電池温度Tbおよび局所的SOCθに対応する正極開放電位Uおよび負極開放電位Uを算出することができる。そして、コントローラ30は、正極開放電位Uおよび負極開放電位Uの電位差として、二次電池11の開放電圧OCVを算出することができる。
一方、局所的SOCθを算出し、電池温度Tbを検出すれば、コントローラ30は、局所的SOCθ、電池温度Tおよび直流抵抗Rの対応関係を用いて、直流抵抗Rを算出することができる。コントローラ30は、上述したように算出した開放電圧OCVおよび直流抵抗Rと、監視ユニット21によって検出された二次電池11の電圧値Vbとを下記式(7)に代入すれば、二次電池11の推定電流Iteを算出することができる。下記式(7)は、上記式(1)を変形した式である。
コントローラ30は、上記式(7)から算出された推定電流Iteを、上記式(6)に示す電池電流Iに代入することにより、リチウム生成量jLiを算出する。コントローラ30は、このリチウム生成量jLiを上記式(5)の境界条件に用いて、上記式(3)の拡散方程式を解くことにより、活物質121b,122bの内部におけるリチウム濃度分布を算出することができる。ここで、拡散方程式で用いられる拡散係数Ds,iとしては、拡散係数Ds,iおよび電池温度Tの対応関係を用いることにより、温度センサ23によって検出された温度Tbに対応する拡散係数Ds,iが用いられる。
上記式(3)の拡散方程式を解くときには、時間および位置により離散化した拡散方程式を用いて、活物質121b,122bの内部におけるリチウム濃度分布cs,i,k(t+Δt)を更新する。ここで、Δtは、演算周期であり、kは、活物質121b,122bを径方向に離散化したときの位置である。なお、拡散方程式を時間および位置により離散化する方法は公知であるため、詳細な説明は省略する。
活物質121b,122bの内部におけるリチウム濃度分布cs,kを算出すれば、活物質121b,122bの内部における平均リチウム濃度csaveを算出することができる。平均リチウム濃度csaveとは、活物質121b,122bの内部におけるリチウム濃度cs,kの平均値である。具体的には、下記式(8)に基づいて、平均リチウム濃度csaveを算出することができる。下記式(8)において、Nは、活物質121b,122bを半径方向に離散化したときの分割数である。
平均リチウム濃度csaveおよび二次電池11のSOCの対応関係(マップ又は関数)を予め求めておけば、平均リチウム濃度csaveに対応するSOCを算出(推定)することができる。ここで、平均リチウム濃度csaveおよびSOCの対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。
二次電池11の開放電圧特性や満充電容量は、二次電池11の劣化に応じて変化する。このため、二次電池11の開放電圧特性や満充電容量を推定するときには、二次電池11の劣化を考慮する必要がある。本実施例では、二次電池11の劣化に伴う開放電圧特性や満充電容量の変化を、二次電池11の内部で起きると考えられる2つの現象としてモデル化している。
第1の現象は、正極121および負極122における単極容量の減少であり、第2の現象は、正極121および負極122の間における組成の対応ずれである。ここで、組成の対応ずれとは、正極活物質121bおよび負極活物質122bの内部における平均リチウム濃度csaveの対応がずれることを意味する。また、各活物質121b,122bにおいて、限界リチウム濃度cs,i,maxに対する平均リチウム濃度csaveの比を平均充電率としたとき、組成の対応ずれとは、正極121および負極122の間において、平均充電率の対応がずれることを意味する。
ここで、正極121および負極122の各々の組成に対する単極開放電位の関係は、二次電池11が劣化しても変化しないものとする。すなわち、二次電池11が劣化しても、図3に示した局所的SOCθiおよび開放電位Uの関係が保たれるものとする。
図4は、単極容量の減少に伴う単極開放電位の変化を示した模式図である。図4において、正極単極容量軸におけるQ_L1およびQ_H11は、二次電池11の初期状態において、図3に示す局所的SOCθL1,θH1にそれぞれ対応する容量を表す。同様に、負極単極容量軸におけるQ_L2,Q_H21は、二次電池11の初期状態において、図3に示す局所的SOCθL2,θH2にそれぞれ対応する容量を表す。
「単極容量の減少」とは、正極121および負極122のそれぞれにおける、リチウムの受入れ能力の減少を表す。これは各電極内において充放電に有効に機能する活物質の減少等の現象を表す。正極121では、リチウムの受入れ能力の低下により、局所的SOCθH1に対応する容量がQ_H11からQ_H12に低下する。同様に、負極122においても、リチウムの受入れ能力の低下により、局所的SOCθH2に対応する容量がQ_H21からQ_H22に低下する。
一方、二次電池11が劣化しても、局所的SOCθ1および正極開放電位U1の関係は変化しない。このため、局所的SOCθ1および正極開放電位Uの関係を、正極容量および正極開放電位の関係に変換した場合、図4に示すように、正極容量および正極開放電位の関係を示した曲線は、二次電池11の劣化に伴って縮んだ状態になる。図4に示す実線は、二次電池11が初期状態にあるときにおいて、正極容量に対する正極開放電位U11の変化を示す。また、図4に示す一点鎖線は、二次電池11が劣化状態にあるときにおいて、正極容量に対する正極開放電位U12の変化を示す。
同様に、局所的SOCθ2および負極開放電位U2の関係を、負極単極容量および負極開放電位の関係に変換した場合についても、負極容量および負極開放電位の関係を示した曲線は、二次電池11の劣化に伴って縮んだ状態になる。図4に示す実線は、二次電池11が初期状態にあるときにおいて、負極容量に対する負極開放電位U21の変化を示す。また、図4に示す一点鎖線は、二次電池11が劣化状態にあるときにおいて、負極容量に対する負極開放電位U22の変化を示す
図5は、正負極間の組成対応のずれを示した模式図である。「組成対応のずれ」とは、本発明における電池容量の変動量に相当し、正極121および負極122の組が二次電池11として使用されるときに、正極の組成および負極の組成における組み合わせが、二次電池11の初期状態からずれていることを表す。ここで、正極の組成とは、正極活物質121bの内部における平均充電率であり、負極の組成とは、負極活物質122bの内部における平均充電率である。
組成(活物質内部の平均充電率)θiおよび開放電位Uiの関係を示す曲線については、図3に示した曲線と同様である。ここで、二次電池11の劣化が進行すると、負極組成軸は、正極組成の小さくなる方向にΔθ2だけシフトする。これによって、負極組成θ2および負極開放電位U2の関係を示す曲線も正極組成θ1の小さくなる方向にΔθ2だけシフトする。ここで、図5に示す実線は、二次電池11が初期状態にあるときにおいて、負極組成θ2に対する負極開放電位U21の変化を示す。また、図5に示す一点鎖線は、二次電池11が劣化状態にあるときにおいて、負極組成θ2に対する負極開放電位U22の変化を示す。
正極121の組成θ1fixに対応する負極122の組成は、二次電池11の初期状態ではθ2fix_iniであるが、二次電池11の劣化後にはθ2fixとなる。このような組成の対応ずれが起きる原因の一例としては、例えば、充電時において正極121から放出されたリチウムイオンが副生成物等になるために負極122に取り込まれないような場合が考えられる。なお、図5では負極組成θL2を0としているが、これは、負極122のリチウムがすべて抜けた状態を意味する。
本実施例では、「正極容量維持率」、「負極容量維持率」および「正負極組成対応ずれ容量」の3つのパラメータ(劣化パラメータという)を電池モデルに導入することにより、上述した2つの現象をモデル化している。具体的には、3つの劣化パラメータを推定して、推定した劣化パラメータを用いて電池モデルを補正することにより、電池モデル上の開放電圧特性を劣化後の二次電池11の開放電圧特性に適応させたり、劣化後の二次電池11における満充電容量を推定したりすることができる。
まず、上述した2つの現象をモデル化する方法について、具体的に説明する。
単極(正極121や負極122)の容量維持率は、劣化状態の単極容量を初期状態の単極容量で除算することによって表される。ここで、二次電池11の劣化が進行することにより、劣化後の単極容量が、初期状態の単極容量よりも所定量だけ減少したとする。このとき、正極容量維持率k1は、下記式(9)によって表される。
同様に、負極容量維持率k2は、下記式(10)によって表される。
上記式(9),(10)において、Q1_iniおよびQ2_iniは、初期状態における正極容量および負極容量であり、実験などによって予め求めておくことができる。ΔQおよびΔQは、正極121および負極122における単極容量の減少量である。
一方、正極組成軸および負極組成軸の相対的なずれ量(図5に示したΔθ)に対応する正負極組成対応ずれ容量をΔQとする。
図6は、劣化による正負極組成の対応ずれを説明する模式図である。二次電池11の劣化後において、負極組成θが1であるときの容量は、初期状態の負極容量(Q2_ini)から負極容量の減少量(ΔQ)を減算した値となる。また、正負極組成対応ずれ容量ΔQは、正極組成軸に対する負極組成軸のずれ量Δθに対応する容量である。これにより、下記式(11)の関係が成立する。
上記式(11)は、下記式(12)に変換することができる。
初期状態の正極組成θ1fix_iniに対応する初期状態の負極組成をθ2fix_iniとする。また、二次電池11の劣化による組成ずれが生じたとき、正極組成θ1fixに対応する負極組成をθ2fixとする。ここで、初期状態の正極組成θ1fix_iniをずれの基準とする。すなわち、正極組成θ1fix_iniおよび正極組成θ1fixは互いに等しいものとする。
二次電池11の劣化により正負極間に相対的な組成対応ずれが生じた場合に、正極組成θ1fixおよび負極組成θ2fixは、下記式(13),(14)で表される。
上記式(14)の意味について説明する。
二次電池11の劣化後において、正極組成θが1からθ1fixまで変化(減少)したときに正極121から放出されるリチウムの量は、正極組成の変化分(1−θ1fix)に、正極121の単極容量(k×Q1_ini)を乗じた値として表わされる。正極121から放出されたリチウムが負極122にすべて吸蔵されるとすると、負極122の単極容量(劣化後)は「k×Q2_ini」であるため、負極組成θ2fixは、下記式(15)で表される。
ここで、二次電池11が劣化したときには、正負極間の相対的な組成対応ずれ(Δθ)が存在するため、劣化後の負極組成θ2fixは、上記式(15)に示す負極組成θ2fixからずれ量Δθを減じた値になる。上記式(11),(12)によれば、ずれ量Δθを、正負極組成対応ずれ容量ΔQを用いて表わすことができる。したがって、劣化後の負極組成θ2fixは、上記式(14)で表わすことができる。
本実施例の電池モデルでは、単極容量の減少を下記式(16)〜(19)に示すように、電極厚みLおよび活物質の体積分率εs,iに反映させる。
上記式(16),(17)において、L10およびL20は、初期状態にある正極121および負極122の厚みであり、実験などによって予め求めておくことができる。上記式(18),(19)において、εs0,1およびεs0,2は、二次電池11が初期状態にあるときの正極活物質121bおよび負極活物質122bの体積分率であり、実験などによって予め求めておくことができる。
単極の容量減少および正負極間の相対的な組成対応のずれが生じた場合の開放電圧OCVは、下記式(20)から算出される。
ここで、二次電池11が通電状態にあるとき、又は、通電状態から非通電状態に切り替わった直後にあるときには、活物質121b,122bの内部において、リチウムの濃度分布が存在するため、活物質121b,122bの界面におけるリチウム濃度と、活物質121b,122bの内部(界面を除く)における平均リチウム濃度とは一致しない。
一方、開放電圧OCVを算出するときには、二次電池11が十分に緩和した状態となっており、活物質121b,122bの内部において、リチウムの濃度分布が発生していない。すなわち、活物質121b,122bの界面におけるリチウム濃度は、活物質121b,122bの内部(界面を除く)における平均リチウム濃度と等しくなる。
ここで、下記式(21)に示すように、平均充電率θ1ave,θ2aveを定義すると、開放電圧OCVは、上記式(20)で表される。下記式(21)において、csave,iは、活物質121b,122bの内部における平均リチウム濃度である。
上記式(20)に示すように、開放電圧OCVは、正極活物質121bの内部における平均充電率θ1aveから特定される正極開放電位Uと、負極活物質122bの内部における平均充電率θ2aveから特定される負極開放電位Uとの電位差として表される。ここで、上述したように、正極開放電位Uは、平均充電率θ1aveだけでなく、電池温度Tも考慮して特定される。同様に、負極開放電位Uは、平均充電率θ2aveだけでなく、電池温度Tも考慮して特定される。
平均充電率θ1ave,θ2aveの間には、下記式(22)に示す関係が成り立つ。
上記式(22)に示すλは、下記式(23)により定義される。
図7は、正極活物質121bの内部における平均充電率θ1aveおよび負極活物質122bの内部における平均充電率θ2aveの間に成り立つ関係式を説明するための図である。図7において、正極組成θ1fixおよび負極組成θ2fixが対応しているものとする。また、負極122から放出されたリチウムのすべてを正極121が吸蔵することにより、負極組成がθ2fixからθ2aveに変化するとともに、正極組成がθ1fixからθ1aveに変化するものとする。
正極121におけるリチウムの変化量と、負極122におけるリチウムの変化量とは等しいため、上記式(16)〜(19),(21)から、下記式(24)が成立する。
上記式(24)を解くことによって、上記式(22),(23)が成立する。
上述したように、平均充電率θ1ave,θ2aveを算出するとともに、電池温度Tbを検出することにより、単極容量の減少および正負極間の組成対応のずれが生じた場合の開放電圧OCVを算出することができる。すなわち、平均充電率θ1ave,θ2aveを算出すれば、図3に示す関係に基づいて、平均充電率θ1ave,θ2aveに対応する開放電位U,Uを算出できる。そして、開放電位U,Uの電位差を算出すれば、開放電圧OCVの変化(開放電圧特性)を算出することができる。
平均充電率θ1ave,θ2aveは、上記式(22)に示すように、正極組成θ1fixおよび負極組成θ2fixと対応付けられる。上記式(14)に示すように、負極組成θ2fixは、正極容量維持率k、負極容量維持率kおよび正負極組成対応ずれ容量ΔQを含む。したがって、正極容量維持率k、負極容量維持率kおよび正負極組成対応ずれ容量ΔQを推定することによって、平均充電率θ1ave,θ2aveを推定できる。平均充電率θ1ave,θ2aveを推定すれば、上述したように開放電圧OCVを推定することができる。
次に、単極容量の減少および正負極間の組成対応のずれが生じた場合における二次電池11の満充電容量を算出する方法について説明する。
上記式(20)を用いて、SOCが100%であるときの正極組成θ1_100、およびSOCが0%であるときの正極組成θ1_0を算出する。具体的には、まず、SOCが100%であるときの開放電圧をV100とし、SOCが0%であるときの開放電圧をVとする。ここで、開放電圧OCV(θ,θ)がV100を満たす正極組成θが正極組成θ1_100となり、開放電圧OCV(θ,θ)がV0を満たす正極組成θが正極組成θ1_0となる。
上述したように、正極容量維持率k、負極容量維持率kおよび正負極組成対応ずれ容量ΔQを推定することにより、上記式(20)に示す開放電圧OCVが推定される。このため、正極組成θ1_100,θ1_0は、正極容量維持率k、負極容量維持率kおよび正負極組成対応ずれ容量ΔQに依存する。
劣化後における単位極板面積あたりの満充電容量Qは、下記式(25)により算出される。
上記式(25)に示す電極厚みLおよび体積分率εs,1は、上記式(16),(18)に示すように、正極容量維持率kに依存する。したがって、満充電容量Qも正極容量維持率kに依存する。
劣化後の満充電容量Qd_allは、下記式(26)に基づいて算出される。下記式(26)において、Sは、極板面積である。
次に、正極容量維持率k、負極容量維持率kおよび正負極組成対応ずれ容量ΔQを推定する方法について説明する。本実施例では、二次電池11の開放電圧OCVを所定値だけ変化させたときにおいて、この間における実測電流積算値(第1電流積算値に相当する)ΔAh_iおよび推定電流積算値(第2電流積算値に相当する)ΔAh_mを比較することにより、正極容量維持率k、負極容量維持率kおよび正負極組成対応ずれ容量ΔQを推定する。
図8および図9は、正極容量維持率k、負極容量維持率kおよび正負極組成対応ずれ容量ΔQを推定する処理を示すフローチャートである。図8および図9に示す処理は、コントローラ30によって、所定の周期で実行される。
ステップS101において、コントローラ30は、温度センサ23の出力に基づいて、二次電池11の温度Tb_aを検出する。また、コントローラ30は、開放電圧(第1開放電圧に相当する)OCV_aを推定する。ここで、開放電圧OCV_aは、下記式(27)に基づいて算出される。下記式(27)は、上記式(1)を変形したものである。
上記式(27)において、Vbは、監視ユニット21によって検出された二次電池11の電圧値であり、Iは推定電流であり、Raは直流抵抗である。推定電流Iおよび直流抵抗Raは、上述した電池モデルを用いて算出される。具体的には、推定電流Iは、上記式(6)に基づいて算出される。また、局所的SOCθ,θを算出し、温度センサ23を用いて電池温度Tbを検出すれば、局所的SOCθ,θ、電池温度Tおよび直流抵抗Rの対応関係を用いることにより、直流抵抗Rを算出することができる。
なお、二次電池11が緩和状態にあることを確認した上で、二次電池11の開放電圧OCV_aを算出することができる。ここで、二次電池11が緩和状態にあることの判別条件としては、例えば、活物質内のリチウム濃度分布における最大濃度差が予め定められた濃度差以下であり、電流値(絶対値)Ibが所定値以下であるという条件を設定することができる。
ステップS102において、コントローラ30は、電流センサ22の出力に基づいて、二次電池11に流れる電流値Ibを検出する。ステップS103において、コントローラ30は、ステップS102の処理で検出された電流値Ibに基づいて、実測電流積算値ΔAh_iを算出する。すなわち、電流値Ibを積算することにより、実測値としての電流積算値ΔAh_iが算出される。
ステップS104において、コントローラ30は、劣化パラメータを推定するための電流積算を終了させるか否かを判別する。電流積算を終了させるか否かの判別は、例えば、電流積算を開始したときの二次電池11のSOC(SOC_s)と、電流積算を終了するときの二次電池11のSOC(SOC_e)とが互いに異なっているかを判別することによって行うことができる。すなわち、SOC_sおよびSOC_eが互いに異なっているときには、劣化パラメータを推定するための電流積算を終了させると判別することができる。
なお、電流積算を終了させると判別するときには、二次電池11が緩和状態にあることを確認することができる。二次電池11が緩和状態にあることの判別条件としては、例えば、活物質内のリチウム濃度分布における最大濃度差が予め定められた濃度差以下であり、電流値(絶対値)Ibが所定値以下であるという条件を設定することができる。
ここで、推定されるSOC(SOC_s,SOC_e)には、推定誤差が含まれるため、推定誤差を含めたSOCの範囲が互いに異なるときに、電流積算を終了させると判別することができる。電流積算を終了させると判別したとき、コントローラ30は、ステップS105の処理を行う。一方、電流積算を終了させないと判別したとき、コントローラ30は、ステップS102の処理に戻る。
ステップS105において、コントローラ30は、上記式(27)に基づいて、二次電池11の開放電圧(第2開放電圧に相当する)OCV_bを推定する。開放電圧OCV_bは、開放電圧OCV_aとは異なる値であり、二次電池11の充電および放電の少なくとも一方によって、二次電池11の開放電圧OCVを開放電圧OCV_aから開放電圧OCV_bに変化させることができる。開放電圧OCV_bを算出する方法は、開放電圧OCV_aを算出する方法と同様である。
また、ステップS105において、コントローラ30は、温度センサ23の出力に基づいて、二次電池11の温度Tb_bを検出する。ここで、電池温度Tb_bは、ステップS101の処理で検出された電池温度Tb_aと異なることがある。例えば、二次電池11の通電によって、二次電池11の温度Tbが上昇したり、二次電池11の環境温度によって、二次電池11の温度Tbが変化したりすることがある。この場合には、電池温度Tb_a,Tb_bが互いに異なることがある。
ステップS106において、コントローラ30は、劣化パラメータの最適解を算出するための探索処理(同定処理)を行う。劣化パラメータの探索処理について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。図9に示す処理では、探索処理によって、劣化パラメータとしての正負極組成対応ずれ容量ΔQの最適解を算出(同定)している。
ステップS201において、コントローラ30は、正負極組成対応ずれ容量ΔQの上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lを設定する。上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lは、正負極組成対応ずれ容量ΔQの探索範囲となる。初回の探索処理では、上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lは、予め定められた値とする。
上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lを設定するときには、二次電池11の劣化状態を想定した上で、上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lを設定することができる。例えば、時間の経過に応じて、二次電池11の劣化が進行しやすいため、経過時間および劣化状態の対応関係を実験などによって予め求めておけば、現在の時間に対応した劣化状態を推定することができる。経過時間としては、二次電池11を初めて使用したときからの時間とすることができ、タイマを用いて経過時間を測定することができる。二次電池11の劣化状態を推定すれば、この劣化状態に基づいて、上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lを設定することができる。
ステップS202において、コントローラ30は、設定された上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lの範囲内(探索範囲内)において、正負極組成対応ずれ容量ΔQの候補値ΔQs_eを算出する。例えば、コントローラ30は、上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lの中間値を候補値ΔQs_eとして算出することができる。
ステップS203において、コントローラ30は、ステップS202の処理で算出された候補値ΔQs_eから、正極容量維持率kおよび負極容量維持率kを算出する。ここで、正負極組成対応ずれ容量ΔQおよび正極容量維持率kの対応関係(マップ又は関数)や、正負極組成対応ずれ容量ΔQおよび負極容量維持率kの対応関係(マップ又は関数)は、実験などにより予め求めておくことができる。これらの対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。これらの対応関係を用いれば、正負極組成対応ずれ容量ΔQを特定することにより、正極容量維持率kや負極容量維持率kを算出することができる。
ステップS204において、コントローラ30は、ステップS202,S203の処理で算出された劣化パラメータΔQ,k,kを用いて、開放電圧特性を算出する。ここで、単極容量維持率k,kを特定すれば、上記式(16),(17)に基づいて、電極厚みL,Lを算出することができるとともに、上記式(18),(19)に基づいて、活物質121b,122bの体積分率εs,1,εs,2を算出することができる。電極厚みL,Lおよび活物質体積分率εs,1,εs,2を算出すれば、上記式(23)に示すλを算出することができる。
また、劣化パラメータΔQ,k,kを特定すれば、上記式(13),(14)に基づいて、正極組成θ1fixおよび負極組成θ2fixを算出することができる。上記式(23)に示すλを算出するとともに、正極組成θ1fixおよび負極組成θ2fixを算出すれば、上記式(22)に基づいて、平均充電率θ1ave,θ2aveを推定することができる。平均充電率θ1ave,θ2aveを推定すれば、上述したように、二次電池11の開放電圧特性を算出することができる。
二次電池11の開放電圧OCVは、二次電池11の温度Tbに依存するため、開放電圧特性を算出するときには、二次電池11の温度Tbを考慮することができる。具体的には、劣化パラメータk,k,ΔQに基づいて、開放電位特性を算出するとき、二次電池11の温度Tbに応じた開放電位特性を用いることができる。
ステップS205において、コントローラ30は、ステップS204の処理で算出した開放電圧特性を用いて、開放電圧OCV_aに対応する平均充電率(第1充電率に相当する)θ1_aを算出する。開放電圧OCV_aは、図8に示すステップS101の処理で算出された値である。開放電圧特性は、開放電圧OCVおよび平均充電率θの対応関係を示すため、開放電圧OCV_aに対応する平均充電率θ1_aを算出することができる。
ステップS206において、コントローラ30は、ステップS204の処理で算出した開放電圧特性を用いて、開放電圧OCV_bに対応する平均充電率(第2充電率に相当する)θ1_bを算出する。開放電圧OCV_bは、図8に示すステップS105の処理で算出された値である。開放電圧特性は、開放電圧OCVおよび平均充電率θの対応関係を示すため、開放電圧OCV_bに対応する平均充電率θ1_bを算出することができる。
ステップS207において、コントローラ30は、ステップS205の処理で算出した平均充電率θ1_aと、ステップS206の処理で算出した平均充電率θ1_bとに基づいて、推定電流積算値ΔAh_mを算出する。推定電流積算値ΔAh_mは、二次電池11の開放電圧OCVがOCV_aからOCV_bに変化する間において、電池モデル上で算出された電流積算値(推定値)である。コントローラ30は、下記式(28)に基づいて、推定電流積算値ΔAh_mを算出することができる。
上記式(28)において、Sは電極面積であり、Fはファラデー定数である。電極厚みLとしては、正極容量維持率kに依存する上記式(16)から算出され、正極活物質121bの体積分率εs,1は、正極容量維持率kに依存する上記式(18)から算出される。
ステップS208において、コントローラ30は、ステップS208の処理で算出された推定電流積算値ΔAh_mと、図8に示すステップS103の処理で算出された実測電流積算値ΔAh_iとを比較する。実測電流積算値ΔAh_iは、二次電池11の開放電圧OCVがOCV_aからOCV_bに変化するまでの間において、電流センサ22による検出電流値を積算した値である。
具体的には、コントローラ30は、実測電流積算値ΔAh_iが推定電流積算値ΔAh_mよりも大きいか否かを判別する。ここで、実測電流積算値ΔAh_iが推定電流積算値ΔAh_mよりも大きいとき、コントローラ30は、ステップS209の処理を行い、実測電流積算値ΔAh_iが推定電流積算値ΔAh_mよりも小さいとき、コントローラ30は、ステップS210の処理を行う。
ステップS209において、コントローラ30は、次回の探索処理における正負極組成対応ずれ容量ΔQの上限値ΔQs_hとして、ステップS202の処理で算出された候補値ΔQs_eを設定する。これにより、次回の探索処理では、探索範囲が上限値ΔQs_eおよび下限値ΔQs_lの範囲に狭められる。
ステップS210において、コントローラ30は、次回の探索処理における正負極組成対応ずれ容量ΔQの下限値ΔQs_lとして、ステップS202の処理で算出された候補値ΔQs_eを設定する。これにより、次回の探索処理では、探索範囲が上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_eの範囲に狭められる。
ステップS212において、コントローラ30は、上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lの差(ΔQs_h−ΔQs_l)が閾値ΔQs_minよりも小さいか否かを判別する。閾値ΔQs_minの値は、適宜設定することができ、閾値ΔQs_minに関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lが互いに近づくほど、探索範囲が狭まり、正負極組成対応ずれ容量ΔQが特定されやすくなる。このため、正負極組成対応ずれ容量ΔQを特定しやすくなるように、閾値ΔQs_minを適宜設定することができる。
上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lの差が閾値ΔQs_minよりも小さいとき、コントローラ30は、図9に示す処理を終了する。このとき、ステップS202の処理で算出された候補値ΔQs_eが、現在の二次電池11における正負極組成対応ずれ容量ΔQとして確定される。また、候補値ΔQs_eに対応する単極容量維持率k,kが、現在の二次電池11における単極容量維持率k,kとして確定される。
上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lの差が閾値ΔQs_minよりも大きいとき、コントローラ30は、ステップS202の処理に戻る。ステップS202の処理では、狭められた探索範囲(上限値ΔQs_hおよび下限値ΔQs_lの範囲)において、候補値ΔQs_eが算出される。
図9に示す処理を行うことにより、推定電流積算値ΔAh_mおよび実測電流積算値ΔAh_iの差が所定値以下となるときの正負極組成対応ずれ容量ΔQが探索(同定)され、実際の二次電池11の内部状態を反映した正負極組成対応ずれ容量ΔQを推定することができる。ここで、所定値とは、上述した閾値ΔQs_minに相当する。このように、正負極組成対応ずれ容量ΔQを推定すれば、正負極組成対応ずれ容量ΔQの推定精度を向上させることができる。正負極組成対応ずれ容量ΔQの推定精度を向上させれば、単極容量維持率k,kの推定精度も向上させることができる。
図9に示す処理では、正負極組成対応ずれ容量(最適解)ΔQを探索し、探索して正負極組成対応ずれ容量ΔQから正極容量維持率k1および負極容量維持率k2を算出しているが、これに限るものではない。すなわち、正負極組成対応ずれ容量ΔQ、正極容量維持率kおよび負極容量維持率kの少なくとも1つに関して、探索処理を行うことができる。
例えば、探索処理において、正負極組成対応ずれ容量(候補値)ΔQs_eを設定する代わりに、正極容量維持率kおよび負極容量維持率kの一方について、候補値を設定することができる。この場合には、図9に示す処理と同様に、推定電流積算値ΔAh_mおよび実測電流積算値ΔAh_iの差が最小となるまで、正極容量維持率kおよび負極容量維持率kの一方を探索すればよい。
正極容量維持率(最適解)kを探索したときには、正極容量維持率kおよび正負極組成対応ずれ容量ΔQの対応関係(マップ又は関数)を実験などによって予め求めておくことにより、正極容量維持率(最適解)kに対応する正負極組成対応ずれ容量ΔQを算出することができる。また、負極容量維持率kおよび正負極組成対応ずれ容量ΔQの対応関係(マップ又は関数)を実験などによって予め求めておくことにより、算出した正負極組成対応ずれ容量ΔQに対応する負極容量維持率kを算出することができる。
本実施例では、図9に示す処理で説明したように、劣化パラメータk,k,ΔQを探索しているが、これに限るものではない。すなわち、推定電流積算値ΔAh_mおよび実測電流積算値ΔAh_iの差が所定値以下となるように、劣化パラメータk,k,ΔQを同定することができればよい。
例えば、二次電池11の開放電圧OCVを開放電圧OCV_aから開放電圧OCV_bに変化させるまでの間において、二次電池11のSOCを推定するとともに、各SOC(推定値)において、実測電流積算値および推定電流積算値の差を算出する。実測電流積算値は、電流センサ22によって検出された電流値(具体的には、電流値Ibを極板面積Sで除算した値)を積算することによって得られる。推定電流積算値は、上記式(7)から算出される推定電流Iteを積算することによって得られる。
これにより、SOC(推定値)の変化に対する、電流積算値の差の変化を把握することができる。ここで、SOC(推定値)に関わらず、電流積算値の差が所定値以下であればよい。言い換えれば、SOC(推定値)に対する電流積算値の差の変化率が所定値以下となればよい。変化率は、SOC(推定値)の変化量に対する、電流積算値の差の変化量の比で表され、SOC(推定値)の変化に対する、電流積算値の差の変化を把握すれば、変化率を算出することができる。この変化率が所定値以下となるように、劣化パラメータk,k,ΔQを同定することができる。
一方、二次電池11の開放電圧OCVを開放電圧OCV_aから開放電圧OCV_bに変化させるまでの間において、二次電池11のSOCを推定するとともに、各SOC(推定値)において、電池電圧(実測値)および電池電圧(推定値)の差を算出する。ここで、電池電圧(実測値)は、監視ユニット21によって検出された電圧値Vbである。また、電池電圧(推定値)は、二次電池11の開放電圧と、電流センサ22によって検出された電流値と、二次電池11の抵抗とに基づいて算出することができる。
これにより、SOC(推定値)の変化に対する、電圧値(実測値および推定値)の差の変化を把握することができる。ここで、SOC(推定値)に関わらず、電圧値の差が所定値以下であればよい。言い換えれば、SOC(推定値)に対する電圧値の差の変化率が所定値以下となればよい。変化率は、SOC(推定値)の変化量に対する、電圧値の差の変化量の比で表され、SOC(推定値)の変化に対する、電圧値の差の変化を把握すれば、変化率を算出することができる。この変化率が所定値以下となるように、劣化パラメータk,k,ΔQを同定することができる。
本実施例では、劣化パラメータk,k,ΔQを用いて、開放電圧特性や満充電容量Qを算出するとき、図9に示す処理によって探索された正負極組成対応ずれ容量ΔQをそのまま用いるのではなく、正負極組成対応ずれ容量(探索値)ΔQを補正した値(補正値)が用いられる。この補正値が、開放電圧特性や満充電容量Qを算出する上で推定される値となる。
正負極組成対応ずれ容量(探索値)ΔQを補正する処理について、以下に説明する。なお、正負極組成対応ずれ容量(探索値)ΔQの補正処理は、コントローラ30によって実行される。
正負極組成対応ずれ容量(探索値)ΔQについては、下記式(29)に基づいて、なまし処理(補正処理)が行われる。なお、なまし処理は、下記式(29)に基づく処理に限るものではなく、公知の処理を適宜採用することができる。
上記式(29)において、ΔQは、図9に示す処理によって探索された正負極組成対応ずれ容量である。ΔQf[n]は、なまし処理が行われた後の今回の正負極組成対応ずれ容量であり、この正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]を用いて、開放電圧特性や満充電容量Qが算出される。ΔQf[n−1]は、なまし処理が行われた前回の正負極組成対応ずれ容量である。ここで、初期値としての正負極組成対応ずれ容量ΔQf[0]は、例えば、図9に示す処理によって探索された値を用いることができる。
上記式(29)に示すτは、なまし処理で用いられる定数であり、探索された正負極組成対応ずれ容量ΔQに対する重み付けの係数となる。定数τは、平均電流値Iaveに応じて設定される。平均電流値Iaveとは、図8に示す処理において、実測電流積算値ΔAh_iを算出したときの電流値Ibの平均値である。実測電流積算値ΔAh_iは、電流センサ22によって検出された電流値Ibを積算することによって得られるが、平均電流値Iaveは、電流センサ22によって検出された電流値Ibを平均化することによって得られる。
定数τを特定するときには、定数τおよび平均電流値Iaveの対応関係が用いられる。具体的には、定数τおよび平均電流値Iaveの対応関係(マップ又は関数)を実験などによって予め求めておき、この対応関係を用いて、平均電流値Iaveに対応する定数τが算出される。定数τおよび平均電流値Iaveの対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。
実測電流積算値ΔAh_iは、電流センサ22によって検出された電流値Ibを積算することによって得られるが、この電流値Ibには、電流センサ22の検出誤差(オフセット誤差)が含まれることがある。ここで、電流値Ibにかかわらず、電流センサ22の検出誤差は一定であるため、電流値Ibが小さくなるほど、電流値Ibに占める検出誤差の割合が大きくなってしまう。電流値Ibに占める検出誤差の割合が大きくなるほど、測定値としての実測電流積算値ΔAh_iは、真の電流積算値ΔAhからずれやすくなってしまう。真の電流積算値ΔAhとは、二次電池11の開放電圧OCVがOCV_aからOCV_bに変化するまでの間において、実際に二次電池11に流れた電流の積算値である。
実測電流積算値ΔAh_iが真の電流積算値ΔAhからずれやすくなると、図9に示す処理によって探索された正負極組成対応ずれ容量ΔQが真値としての正負極組成対応ずれ容量ΔQからずれやすくなってしまう。このように、正負極組成対応ずれ容量(探索値)ΔQが正負極組成対応ずれ容量(真値)ΔQからずれてしまうと、劣化パラメータΔQ,k,kを用いて開放電圧特性や満充電容量Qを推定するときに、推定精度を確保しにくくなってしまう。
そこで、本実施例では、上述した点を考慮して、正負極組成対応ずれ容量(探索値)ΔQを補正するようにしている。すなわち、上記式(29)を用いたなまし処理(補正処理)を行うとき、平均電流値Iaveに応じた定数τを用いている。平均電流値Iaveを把握すれば、電流センサ22の検出誤差による影響を把握することができるため、平均電流値Iaveを考慮して、定数τを設定することができる。
上述したように、電流値Ibが小さくなるほど、電流値Ibに占める検出誤差の割合が大きくなってしまうため、平均電流値Iaveが小さくなるほど、定数τを小さくすることができる。例えば、図10に示すように、平均電流値Iaveおよび定数τの対応関係(マップ)を設定することができる。図10に示す例では、定数τを「0」および「1」の間で変化させており、平均電流値Iaveが大きくなるほど、定数τを大きくしている。言い換えれば、平均電流値Iaveが小さくなるほど、定数τを小さくしている。
ここで、平均電流値Iaveが所定値(上限値)よりも大きいときには、定数τを固定することができる。例えば、定数τを「0」および「1」の間で変化させるときにおいて、平均電流値Iaveが所定値(上限値)よりも大きいときには、平均電流値Iaveの値に関わらず、定数τを「1」に設定することができる。ここで、所定値(上限値)は、電流センサ22の検出誤差を考慮して、適宜設定することができる。
また、平均電流値Iaveが所定値(下限値)よりも小さく、電流センサ22の検出誤差による影響を受けやすいときには、定数τを「0」に設定することができる。ここで、所定値(下限値)は、電流センサ22の検出誤差を考慮して、適宜設定することができる。定数τが「0」に設定されているときには、上記式(29)から分かるように、今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]として、前回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n−1]が用いられる。すなわち、図9に示す処理によって探索した今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQは、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]には反映されない。
実測電流積算値ΔAh_iを算出する間は、電流値Ibが変動することがある。このため、定数τを特定するときには、電流値Ibを用いるのではなく、平均電流値Iaveを用いることが好ましい。なお、実測電流積算値ΔAh_iを算出する間の電流値Ibが一定であれば、電流値Ibに基づいて定数τを算出することもできる。この場合には、電流値Ibおよび定数τの対応関係(マップ又は関数)を実験などによって予め求めておけばよく、この対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。
コントローラ30は、上記式(29)に基づいて、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]を算出するたびに、この正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]に関する情報をメモリ30aに記憶する。ここで、コントローラ30は、今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]を算出するときには、メモリ30aに記憶された前回(直近)の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n−1]をメモリ30aから読み出す。また、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]をメモリ30aに記憶するたびに、メモリ30aに記憶された正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n−1]は、メモリ30aから消去することができる。これにより、メモリ30aの記憶容量を確保することができる。
上述したように正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]を算出したとき、この正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]に基づいて、正極容量維持率kおよび負極容量維持率kを算出することができる。具体的には、正負極組成対応ずれ容量ΔQおよび正極容量維持率kの対応関係(マップ又は関数)を用いて、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]に対応する正極容量維持率kf[n]を算出することができる。また、正負極組成対応ずれ容量ΔQおよび負極容量維持率kの対応関係(マップ又は関数)を用いて、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]に対応する負極容量維持率kf[n]を算出することができる。
開放電圧特性や満充電容量Qを算出するときには、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]、正極容量維持率kf[n]および負極容量維持率kf[n]が用いられる。具体的には、劣化パラメータΔQf[n],kf[n],kf[n]に基づいて、単極(正極121や負極122)の開放電位特性を算出することができ、この開放電位特性に基づいて、二次電池11の開放電圧特性を算出することができる。二次電池11の開放電圧特性を算出すれば、上記式(25)に基づいて、二次電池11の満充電容量Qを算出することができる。
本実施例では、図9に示す処理によって、正負極組成対応ずれ容量ΔQを探索しているため、上記式(29)に基づいて、正負極組成対応ずれ容量ΔQのなまし処理(補正処理)を行っているが、これに限るものではない。具体的には、正極容量維持率kを探索したときには、下記式(30)に基づいて、正極容量維持率kのなまし処理(補正処理)を行うことができる。また、負極容量維持率kを探索したときには、下記式(31)に基づいて、負極容量維持率kのなまし処理(補正処理)を行うことができる。
上記式(30)において、kは、探索された正極容量維持率である。kf[n]は、なまし処理が行われた今回の正極容量維持率であり、kf[n−1]は、なまし処理が行われた前回の正極容量維持率である。定数τは、上述した場合と同様に、平均電流値Iaveに基づいて算出することができる。正極容量維持率kだけを探索したときには、予め求められた対応関係(マップ又は関数)を用いることにより、正極容量維持率kf[n]に対応する負極容量維持率kf[n]を算出したり、正極容量維持率kf[n]に対応する正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]を算出したりすることができる。
上記式(31)において、kは、探索された負極容量維持率である。kf[n]は、なまし処理が行われた今回の負極容量維持率であり、kf[n−1]は、なまし処理が行われた前回の負極容量維持率である。定数τは、上述した場合と同様に、平均電流値Iaveに基づいて算出することができる。負極容量維持率kだけを探索したときには、予め求められた対応関係(マップ又は関数)を用いることにより、負極容量維持率kf[n]に対応する正極容量維持率kf[n]を算出したり、負極容量維持率kf[n]に対応する正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]を算出したりすることができる。
一方、劣化パラメータk,k,ΔQのすべてを探索したときには、探索した各劣化パラメータk,k,ΔQに対してなまし処理(補正処理)を行うことができる。具体的には、上記式(29)〜(31)に基づいて、補正後の劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]を算出することができる。同様に、劣化パラメータk,k,ΔQの2つを探索したときには、上記式(29)〜(31)に基づいて、探索した各劣化パラメータに対してなまし処理(補正処理)を行うことができる。探索していない劣化パラメータについては、劣化パラメータの対応関係(マップ又は関数)を用いることにより、なまし処理が行われた劣化パラメータに対応する値を算出することができる。
本実施例によれば、電流センサ22の検出誤差による影響が大きくなるほど、探索された劣化パラメータk,k,ΔQを、開放電圧特性などの算出に用いられる劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]に反映させにくくしている。言い換えれば、電流センサ22の検出誤差による影響が小さくなるほど、探索された劣化パラメータk,k,ΔQを、開放電圧特性などの算出に用いられる劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]に反映させやすくしている。
これにより、電流センサ22の検出誤差によって、劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]の推定精度が低下してしまうことを抑制できる。劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]の推定精度を確保できれば、開放電圧特性や満充電容量Qの推定精度も確保することができる。
本発明の実施例2について説明する。本実施例において、実施例1で説明した構成要素と同じ構成要素については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1と異なる点について、主に説明する。
実施例1では、電流センサ22の検出誤差を考慮することにより、探索された劣化パラメータk,k,ΔQに対して、なまし処理(補正処理)を行っている。本実施例では、監視ユニット21の検出誤差を考慮することにより、探索された劣化パラメータk,k,ΔQに対して、なまし処理(補正処理)を行う。
図8に示す処理では、互いに異なる開放電圧OCV_a,OCV_bを算出している。図8に示す処理で説明したように、開放電圧OCV_a,OCV_bは、上記式(27)に基づいて算出されるが、上記式(27)には、監視ユニット21によって検出される電圧値Vbが含まれる。ここで、電圧値Vbには、監視ユニット21による検出誤差が含まれることがある。
電圧値Vbに監視ユニット21の検出誤差が含まれると、上記式(27)から算出される開放電圧OCV_eが真の開放電圧OCV_rからずれてしまうことがある。真の開放電圧OCV_rとは、監視ユニット21の検出誤差が含まれていない実際の二次電池11の開放電圧である。図9に示す処理では、開放電圧OCV_aに対応する平均充電率θ1_aと、開放電圧OCV_bに対応する平均充電率θ1_bとに基づいて、推定電流積算値ΔAh_mを算出している。
開放電圧(算出値)OCV_eが開放電圧(真値)OCV_rからずれてしまうと、開放電圧(算出値)OCV_a,OCV_bから算出される平均充電率θ1_a,θ1_bも、開放電圧(真値)OCV_a,OCV_bから算出される平均充電率θ1_a,θ1_bからずれてしまう。このように、平均充電率θ1_a,θ1_bが真値からずれてしまうと、推定電流積算値ΔAh_mの推定精度も低下してしまう。
図11は、開放電圧OCVのずれに伴う平均充電率θのずれを説明する図である。二次電池11の開放電圧特性において、平均充電率θの変化量(dθ)に対する開放電圧OCVの変化量(dV)の値(変化率dV/dθ)が比較的大きい領域では、開放電圧OCV_eが開放電圧OCV_rからずれたとしても、平均充電率θはずれにくい。一方、変化率dV/dθが比較的小さい領域では、開放電圧OCV_eが開放電圧OCV_rからずれると、平均充電率θがずれやすくなる。変化率dV/dθは、任意の開放電圧における開放電圧特性上の傾きに相当する。
図11において、開放電圧OCV_e1が開放電圧OCV_r1からずれたとき、開放電圧OCV_e1に対応する平均充電率θ1_e1と、開放電圧OCV_r1に対応する平均充電率θ1_r1との差(ずれ量)は、Δθ1_1となる。一方、開放電圧OCV_e2が開放電圧OCV_r2からずれたとき、開放電圧OCV_e2に対応する平均充電率θ1_e2と、開放電圧OCV_r2に対応する平均充電率θ1_r2との差(ずれ量)は、Δθ1_2となる。
開放電圧OCV_e1,OCV_r1の差ΔOCV1と、開放電圧OCV_e2,OCV_r2の差ΔOCV2とが等しくても、ずれ量Δθ1_2は、ずれ量Δθ1_1よりも大きくなる。すなわち、開放電圧特性を示す曲線に応じて、開放電圧OCVのずれに伴う平均充電率θのずれ量が変化する。ここで、開放電圧OCVがOCV_e2,OCV_r2であるときの変化率dV/dθは、開放電圧OCVがOCV_e1,OCV_r1であるときの変化率dV/dθよりも小さくなる。言い換えれば、開放電圧OCVがOCV_e1,OCV_r1であるときの変化率dV/dθは、開放電圧OCVがOCV_e2,OCV_r2であるときの変化率dV/dθよりも大きくなる。
図11から分かるように、開放電圧特性において、開放電圧OCVが変化しにくい領域が存在するほど、平均充電率θのずれ量Δθが発生しやすくなる。すなわち、変化率dV/dθが小さくなるほど、ずれ量Δθが大きくなる。ここで、例えば、正極活物質121bとして、二相共存型の正極活物質121bを用いた二次電池11の開放電圧特性では、開放電圧OCVが変化しにくい領域が発生しやすい。
二相共存型の正極活物質121bとは、2つの相(第一相および第二相)が安定して共存することができる活物質である。第一相は、正極活物質121bにリチウムイオンが挿入された状態であり、第二相は、正極活物質121bからリチウムイオンを放出させた状態である。二相共存型の正極活物質121bは、リチウムを含む化合物であり、この正極活物質121bとしては、例えば、NiやMnを含むスピネル型化合物や、Feを含むオリビン型化合物(LiFePOなど)を用いることができる。
二次電池11を完全に放電したとき、正極活物質121bの全体が第一相となり、二次電池11が満充電状態であるとき、正極活物質121bの全体が第二相となる。ここで、二次電池11を充電したときには、正極活物質121bの表面(界面)からリチウムイオンが放出され、正極活物質121bは、第一相から第二相に徐々に変化する。二次電池11を充電したときには、まず、正極活物質121bの表面層が第一相から第二相に変化し、充電が進むにつれて、正極活物質121bの中心層に向かって、第一相から第二相への変化が発生する。
一方、二次電池11を放電したときには、正極活物質121bの表面にリチウムイオンが挿入され、正極活物質121bは、第二相から第一相に変化する。すなわち、二次電池11を放電したときには、まず、正極活物質121bの表面層から第二相から第一相に変化し、放電が進むにつれて、正極活物質121bの中心層に向かって、第二相から第一相への変化が発生する。
ずれ量Δθが発生すると、ずれ量Δθが推定電流積算値ΔAh_mに反映されてしまう。そして、図11に示すずれ量Δθ1_2のように、ずれ量Δθが大きくなるほど、推定電流積算値ΔAh_mに含まれるずれ量Δθの割合が大きくなり、推定電流積算値ΔAh_mの推定精度が低下してしまう。
推定電流積算値ΔAh_mの推定精度が低下すると、図9に示す処理(探索処理)において、正負極組成対応ずれ容量ΔQを推定するときの推定精度が低下してしまう。正負極組成対応ずれ容量ΔQは、二次電池11の開放電圧特性や満充電容量Qを算出(推定)するときに用いられるが、正負極組成対応ずれ容量ΔQの推定精度が低下することにより、開放電圧特性や満充電容量Qの推定精度も低下してしまう。
そこで、本実施例では、各開放電圧OCV_a,OCV_bにおける開放電圧特性上の変化率dV/dθを考慮して、正負極組成対応ずれ容量(探索値)ΔQを補正するようにしている。具体的には、下記式(32)に基づいて、正負極組成対応ずれ容量(探索値)ΔQのなまし処理(補正処理)が行われる。なお、なまし処理は、下記式(32)に基づく処理に限るものではなく、公知の処理を適宜採用することができる。また、なまし処理は、コントローラ30によって実行される。
上記式(32)に示すΔQ,ΔQf[n],ΔQf[n−1]は、上記式(29)で説明した場合と同様である。また、上記式(32)に示すτ,τは、なまし処理で用いられる定数である。ここで、定数τは、開放電圧OCV_aに対応する変化率dV/dθに基づいて設定され、定数τは、開放電圧OCV_bに対応する変化率dV/dθに基づいて設定される。
開放電圧特性を特定すれば、開放電圧OCV_a,OCV_bに対応する変化率dV/dθを算出することができる。ここで、開放電圧特性は、実験などによって予め求めておくことができ、この開放電圧特性を用いて、変化率dV/dθを算出することができる。一方、実施例1で説明したように、二次電池11の劣化に応じて、開放電圧特性が変化してしまう。そこで、変化率dV/dθを算出するときには、二次電池11の劣化状態を反映した開放電圧特性を用いることができる。具体的には、前回の処理において、劣化パラメータΔQ,k,kから算出される開放電圧特性を用いて、変化率dV/dθを算出することができる。
実験などによって、定数τおよび変化率dV/dθの対応関係(マップ又は関数)を予め求めておけば、開放電圧OCV_aでの変化率dV/dθに対応する定数τを算出したり、開放電圧OCV_bでの変化率dV/dθに対応する定数τを算出したりすることができる。ここで、定数τおよび変化率dV/dθの対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。
上述したように、変化率dV/dθが小さくなるほど、平均充電率θのずれ量Δθが大きくなるため、変化率dV/dθが小さくなるほど、定数τ,τを小さくすることができる。言い換えれば、変化率dV/dθが大きくなるほど、定数τ,τを大きくすることができる。
例えば、変化率dV/dθ1が所定値(下限値)よりも小さいときには、定数τ,τを「0」に設定することができる。所定値(下限値)は、ずれ量Δθが推定電流積算値ΔAh_mに与える影響を考慮して適宜設定することができる。この場合には、上記式(32)から分かるように、今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]として、前回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n−1]が用いられる。すなわち、図9に示す処理によって探索した今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQは、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]には反映されない。
一方、例えば、変化率dV/dθが所定値(上限値)よりも大きいときには、定数τ,τを「1」に設定することができる。所定値(上限値)は、ずれ量Δθが推定電流積算値ΔAh_mに与える影響を考慮して適宜設定することができる。この場合には、今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]として、図9に示す処理によって探索した今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQが用いられる。すなわち、前回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n−1]は、今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]には反映されない。
実施例1と同様に、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]を算出したときには、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]に対応する正極容量維持率kや負極容量維持率kを算出することができる。一方、正極容量維持率kを探索したときには、下記式(33)に基づいて、正極容量維持率kのなまし処理(補正処理)を行うことができ、負極容量維持率kを探索したときには、下記式(34)に基づいて、負極容量維持率kのなまし処理(補正処理)を行うことができる。
上記式(33)に示すk、kf[n]、kf[n−1]は、上記式(30)で説明した場合と同様である。また、上記式(34)に示すk、kf[n]、kf[n−1]は、上記式(31)で説明した場合と同様である。上記式(33),(34)に示す定数τ,τは、上記式(32)で説明した場合と同様であり、変化率dV/dθに応じて変化する。
本実施例によれば、監視ユニット21の検出誤差による影響が大きくなるほど、探索された劣化パラメータk,k,ΔQを、開放電圧特性などの算出に用いられる劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]に反映させにくくしている。具体的には、開放電圧OCV_a,OCV_bでの変化率dV/dθ1が小さくなるほど、探索された劣化パラメータk,k,ΔQを、開放電圧特性などの算出に用いられる劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]に反映させにくくしている。
これにより、監視ユニット21の検出誤差によって、劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]の推定精度が低下してしまうことを抑制できる。劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]の推定精度を確保できれば、開放電圧特性や満充電容量Qの推定精度も確保することができる。
本発明の実施例3について説明する。本実施例において、実施例1で説明した構成要素と同じ構成要素については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1,2と異なる点について、主に説明する。
本実施例では、実施例2と同様に、監視ユニット21の検出誤差を考慮することにより、探索された劣化パラメータk,k,ΔQに対して、なまし処理(補正処理)を行う。ここで、実施例2では、変化率dV/dθに応じて、なまし処理の定数τ(τ,τ)を変更しているが、本実施例では、実測電流積算値ΔAh_iに応じて、なまし処理の定数τを変更している。以下、具体的に説明する。
まず、図12に示すように、一般的な二次電池11の開放電圧特性では、平均充電率θが低くなるほど、また、平均充電率θが高くなるほど、変化率dV/dθが大きくなりやすい。ここで、実測電流積算値ΔAh_iが大きくなるほど、実測電流積算値ΔAh_iに対応する平均充電率θの幅Δθが広くなる。
図12に示すように、平均充電率θの幅Δθは、下限値としての平均充電率θ1_Lと、上限値としての平均充電率θ1_Hとで規定される。平均充電率θ1_Lは、開放電圧特性上において、開放電圧OCV_aに対応する平均充電率θであり、平均充電率θ1_Hは、開放電圧特性上において、開放電圧OCV_bに対応する平均充電率θである。図12に示す例では、開放電圧OCV_bが開放電圧OCV_aよりも高い場合である。ここで、開放電圧OCV_bが開放電圧OCV_aよりも低いときには、平均充電率θ1_Lが開放電圧OCV_bに対応し、平均充電率θ1_Hが開放電圧OCV_aに対応する。
平均充電率θの幅Δθが広くなるほど、開放電圧OCV_a,OCV_bにおける開放電圧特性上の変化率dV/dθが大きくなりやすい。このため、実測電流積算値ΔAh_iを考慮して、なまし処理の定数τを変更することができる。
本実施例では、上記式(29)と同様に、正負極組成対応ずれ容量ΔQのなまし処理(補正処理)を行うことができる。ここで、上記式(29)に示す定数τは、実測電流積算値ΔAh_iに応じて変更される。具体的には、定数τおよび実測電流積算値ΔAh_iの対応関係(マップ又は関数)を実験などによって予め求めておけば、実測電流積算値ΔAh_iに対応する定数τを設定することができる。なお、定数τおよび実測電流積算値ΔAh_iの対応関係に関する情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。
上記式(29)に基づいて、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]を算出したときには、実施例1と同様に、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]に対応する単極容量維持率kf[n],kf[n]を算出することができる。そして、劣化パラメータΔQf[n],kf[n],kf[n]に基づいて、二次電池11の開放電圧特性や満充電容量Qを算出することができる。
上述したように、実測電流積算値ΔAh_iが大きくなるほど、平均充電率θの幅Δθが広くなり、開放電圧OCV_a,OCV_bでの変化率dV/dθが大きくなりやすい。このため、実測電流積算値ΔAh_iが大きくなるほど、定数τを大きくすることができる。一方、実測電流積算値ΔAh_iが小さくなるほど、平均充電率θの幅Δθが狭くなり、開放電圧OCV_a,OCV_bでの変化率dV/dθが小さくなりやすい。このため、実測電流積算値ΔAh_iが小さくなるほど、定数τを小さくすることができる。
実施例1と同様に、定数τは、例えば、「1」および「0」の間で変化させることができる。定数τを「1」に設定すれば、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]として、図9に示す処理によって探索された正負極組成対応ずれ容量ΔQが用いられる。この場合において、今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]には、前回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n−1]が反映されない。
また、定数τを「0」に設定すれば、正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]として、前回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n−1]が用いられる。この場合において、今回の正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]には、図9に示す処理によって探索された正負極組成対応ずれ容量ΔQが反映されない。
一方、単極容量維持率k,kを探索したときには、上記式(30),(31)に基づいて、単極容量維持率k,kに対してなまし処理(補正処理)を行うことができる。ここで、上記式(30),(31)で用いられる定数τは、上述したように、実測電流積算値ΔAh_iに応じて設定される。上記式(30),(31)に基づいて、単極容量維持率kf[n],kf[n]を算出したときには、実施例1と同様に、単極容量維持率kf[n],kf[n]に対応する正負極組成対応ずれ容量ΔQf[n]を算出することができる。
本実施例によれば、監視ユニット21の検出誤差による影響が大きくなるほど、探索された劣化パラメータk,k,ΔQを、開放電圧特性などの算出に用いられる劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]に反映させにくくしている。具体的には、実測電流積算値ΔAh_iが小さくなるほど、探索された劣化パラメータk,k,ΔQを、開放電圧特性などの算出に用いられる劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]に反映させにくくしている。言い換えれば、実測電流積算値ΔAh_iが大きくなるほど、探索された劣化パラメータk,k,ΔQを、開放電圧特性などの算出に用いられる劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]に反映させやすくしている。
これにより、監視ユニット21の検出誤差によって、劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]の推定精度が低下してしまうことを抑制できる。劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]の推定精度を確保できれば、開放電圧特性や満充電容量Qの推定精度も確保することができる。
一方、劣化パラメータΔQ,k,kの探索処理を行うときには、実測電流積算値ΔAh_iおよび推定電流積算値ΔAh_mの差が閾値ΔAh_min以下となったときに、探索処理が終了する。ここで、実測電流積算値ΔAh_iが小さくなるほど、実測電流積算値ΔAh_iおよび推定電流積算値ΔAh_mの差が小さくなりやすいとともに、この差が閾値ΔAh_min以下となりやすい。この場合には、探索処理を十分に行うことなく、探索処理が終了してしまうことがある。
十分な探索処理を行わなければ、劣化パラメータΔQ,k,kの推定精度を確保しにくくなる。このため、劣化パラメータΔQ,k,kの推定精度を確保する上では、実測電流積算値ΔAh_iが大きいことが好ましい。ここで、実測電流積算値ΔAh_iが小さくなるほど、劣化パラメータΔQ,k,kの推定精度を確保しにくくなるため、上述したように、探索された劣化パラメータΔQ,k,kを劣化パラメータkf[n],kf[n],ΔQf[n]に反映させにくくすることが好ましい。
上述した実施例1〜3では、平均電流値Iave、変化率dV/dθおよび実測電流積算値ΔAh_iのそれぞれに基づいて、なまし処理(補正処理)の定数τを設定しているが、これに限るものではない。すなわち、平均電流値Iave、変化率dV/dθおよび実測電流積算値ΔAh_iの少なくとも1つに基づいて、定数τを設定することができる。具体的には、定数τを設定するとき、平均電流値Iave、変化率dV/dθおよび実測電流積算値ΔAh_iのうち、少なくとも2つを考慮することができる。この場合には、平均電流値Iave、変化率dV/dθおよび実測電流積算値ΔAh_iのうち、少なくとも2つと、定数τとの関係を予め定めておけばよい。
10:組電池、11:単電池(二次電池)、121:正極、121a:集電体、
121b:正極活物質、122:負極、122a:集電体、122b:負極活物質、
123:セパレータ、21:監視ユニット、22:電流センサ、23:温度センサ、
24:電流制限抵抗、30:コントローラ、30a:メモリ、31:インバータ、
32:モータ・ジェネレータ、PL:正極ライン、NL:負極ライン、
SMR−B,SMR−G,SMR−P:システムメインリレー

Claims (10)

  1. 二次電池の電流を検出する電流センサと、
    前記二次電池の正極および負極における単極容量の維持率と、前記正極および前記負極の活物質における充電率の対応関係の変化に伴う電池容量の変動量とを含むパラメータを推定するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    前記二次電池の開放電圧が第1開放電圧から第2開放電圧に変化するまでの間で、前記電流センサによる検出電流を積算した第1電流積算値を算出し、
    前記充電率の変化に対する前記開放電圧の変化を示す開放電圧特性を用いて、前記第1開放電圧に対応する第1充電率と、前記第2開放電圧に対応する第2充電率とを算出し、
    前記第1充電率および前記第2充電率の差から、前記開放電圧が前記第1開放電圧から前記第2開放電圧に変化するまでの間における電流積算値である第2電流積算値を算出し、
    前記第1電流積算値および前記第2電流積算値の差が所定値以下となるように、前記パラメータの少なくとも1つを同定し、
    前記開放電圧が前記第1開放電圧から前記第2開放電圧に変化するまでの間の平均電流値、前記第1開放電圧および前記第2開放電圧における前記開放電圧特性上の変化率、および前記第1電流積算値の少なくとも1つが小さくなるほど、推定する前記パラメータに対して、同定した前記パラメータの重み付けを小さくすることを特徴とする電池システム。
  2. 前記コントローラは、下記式(I)に基づいて、前記パラメータを推定する、

    上記式(I)において、Pは同定された前記パラメータであり、Pf[n]は今回の推定後の前記パラメータであり、Pf[n−1]は前回の推定後の前記パラメータであり、τは、前記平均電流値、前記変化率および前記第1電流積算値の少なくとも1つに応じて変化する定数である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
  3. 前記平均電流値、前記変化率および前記第1電流積算値の少なくとも1つが小さくなるほど、前記定数τが小さくなることを特徴とする請求項2に記載の電池システム。
  4. 前記二次電池の電圧を検出する電圧センサを有しており、
    前記コントローラは、前記電圧センサによる検出電圧を用いて、前記二次電池の開放電圧を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電池システム。
  5. 前記コントローラは、前記パラメータの一部を同定して推定したとき、前記パラメータの対応関係を用いて、同定していない前記パラメータを算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の電池システム。
  6. 前記コントローラは、推定した前記パラメータを用いて、前記正極および前記負極における開放電位を算出するとともに、この開放電位を用いて、前記二次電池の開放電圧を算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の電池システム。
  7. 前記コントローラは、前記第1充電率および前記第2充電率を算出するとき、推定した前記パラメータを用いて算出された前記開放電圧特性を用いることを特徴とする請求項6に記載の電池システム。
  8. 前記充電率は、前記単極容量の維持率および前記電池容量の変動量に応じて変化し、
    前記コントローラは、前記二次電池のSOCが100%であるときの前記充電率と、前記二次電池のSOCが0%であるときの前記充電率との差を用いて、前記二次電池の満充電容量を算出することを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の電池システム。
  9. 前記二次電池は、前記正極および前記負極の間における反応関与物質の移動に応じて充放電を行い、
    前記充電率は、前記活物質内における前記反応関与物質の最大濃度と、現在の前記活物質内における前記反応関与物質の平均濃度との比で表されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の電池システム。
  10. 前記二次電池は、二相共存型の正極活物質を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の電池システム。
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