JP2014215126A - 大気拡散物質発生源探査装置、大気拡散物質発生源探査システムおよび大気拡散物質発生源探査方法 - Google Patents

大気拡散物質発生源探査装置、大気拡散物質発生源探査システムおよび大気拡散物質発生源探査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大気拡散物質の発生源及び発生源強度をより迅速に探査する装置等を提供する。【解決手段】大気拡散物質発生源探査装置20は、ある特定の位置から大気中に拡散している物質の空間濃度分布について現場での濃度測定情報に基づいて発生源を探査する装置であり、濃度測定情報に基づく濃度測定位置を起点とし、濃度測定情報に基づく現場測定された濃度値または時間変化する濃度のピーク値を時間変化のない一定の発生源強度として、物質拡散挙動をラグランジュモデル粒子の大気中での時間挙動追跡によりシミュレーションする粒子運動方程式を時間反転させ、粒子の発生源方向への逆追跡のシミュレーションを行って各粒子による濃度を求める粒子逆追跡計算部25と、各粒子に対して求められる濃度を積算して得られる空間濃度分布を探査すべき物質の位置の確率分布に変換する発生源推定計算部27を具備する。【選択図】 図2

Description

本発明は、大気拡散物質発生源探査装置、大気拡散物質発生源探査システムおよび大気拡散物質発生源探査方法に関する。
工業プラントの予期せぬ機器故障、または、人的な過失等によって、ある地域の大気中に人体に有害な物質が放出されてしまった場合、大気中に放出された物質は大気中を拡散する。このような大気中に拡散された物質による人的被害を回避または低減するためには、当該物質の発生源(放出源)を速やかに把握し、発生源(放出源)を断つとともに、拡散分布領域を予測して地域住民の避難等を行うことが重要である。大気中に拡散する物質(大気拡散物質)の拡散分布を予測する技術としては、例えば、特許第4404220号公報(特許文献1)に記載される技術がある。
特許第4404220号公報 特願2012−50922号明細書
特許文献1に記載される技術は、既知の発生源からどのように物質が拡散するかを予測する技術であり、発生源が不明な場合に発生源を特定することはできない。また、発生源が特定されない状況下では、どのように物質が拡散するかを予測することができない。そのため、上述した従来技術では、放出された有害物質が目視できず、かつ、その発生源が不明な場合、発生源を特定するまでには時間を要すため、現場の捜査員並びに地域住民の被災リスクが高くなるという課題がある。
また、特許文献2に記載されている技術は、発生源からの放出速度が一定でない場合、粒子逆追跡シミュレーションの開始時刻が各測定位置の測定時刻に依存して全て異なるため、発生源を絞り込むための作業が複雑になり、発生源を特定するまでに時間を要する課題がある。
発生源を絞り込むための作業が複雑になることを具体的に説明すると、例えば特許文献2に記載された方法を使用して発生源を推定する場合、粒子逆追跡シミュレーションで得られる濃度分布も時間で変化するものになるため、複数の測定濃度観測点情報からシミュレーションした粒子逆追跡シミュレーションから得られる発生源推定位置の確率分布も時間で変化するものになる。従って、前記方法をそのまま使用して発生源を推定する場合、発生源位置を絞り込むための計算も前記の複数得られる発生源推定位置の確率分布を絶対時刻を合わせて実施する必要がある。
このように、発生源からの放出速度が一定でない場合、発生源での放出速度が一定の場合の発生源推定位置絞り込み作業に比較して、時刻も合わせるための要素が加わることで作業が複雑化するとともに作業に要する時間も増加することになる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大気拡散物質の発生源および発生源強度をより迅速に探査することで、大気中に有害物質が拡散した際に、拡散する有害物質に対する防護措置や住民退避のための有効な情報発信に要する時間の短縮を図り、現場で対応に当たる捜査員や有害物質が放出された地域の住民の被災リスクを低減することを目的とする。
本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置は、上述した課題を解決するため、ある特定の位置から大気中に拡散している物質の空間濃度分布について、現場で取得した濃度測定情報に基づいて発生源を探査する装置であり、前記濃度測定情報に基づく濃度測定位置を起点とし、前記濃度測定情報に基づく現場測定された濃度の時間ピーク値を使用して時間変化のない一定の発生源強度として、物質拡散挙動をラグランジュモデル粒子の大気中での時間挙動追跡によりシミュレーションする粒子運動方程式を時間反転させ、粒子の発生源方向への逆追跡シミュレーションを行う粒子逆追跡計算部と、前記粒子逆追跡計算部が逆追跡シミュレーションを行って求めた各粒子の濃度を前記粒子の各々について積算して得られる空間濃度分布を探査すべき物質の位置の確率分布に変換する発生源推定計算部と、を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査システムは、上述した課題を解決するため、前記大気拡散物質発生源探査装置と、前記濃度測定情報を前記現場から前記大気拡散物質発生源探査装置へ情報伝送可能に接続される現場データ取得装置と、を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査方法は、上述した課題を解決するため、コンピュータを用いて、ある特定の位置から大気中に拡散している物質の空間濃度分布から前記物質の位置の確率分布を得て前記物質の発生源を探査する方法であり、粒子逆追跡計算部が、前記濃度測定情報に基づく濃度測定位置を起点とし、前記濃度測定情報に基づく現場測定された濃度の時間ピーク値を使用して時間変化のない一定の発生源強度として、物質拡散挙動をラグランジュモデル粒子の大気中での時間挙動追跡によりシミュレーションする粒子運動方程式を時間反転させ、粒子の発生源方向への逆追跡シミュレーションを行うステップと、発生源推定計算部が、前記逆追跡シミュレーションを行って求めた各粒子の濃度を前記粒子の各々について積算して得られる空間濃度分布を探査すべき物質の位置の確率分布に変換するステップとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、大気拡散物質の発生源および発生源強度をより迅速に探査することができる。
本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査システムのシステム構成例を示した概略図。 本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査システムにおける大気拡散物質発生源探査装置の構成を示す概略図。 本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置が行う粒子逆追跡シミュレーションによる空間濃度分布の一例を示す説明図。 大気拡散物質発生源探査装置が行う粒子逆追跡シミュレーションによる大気拡散物質の発生源推定分布の一例を示す説明図。 本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置が得た複数の大気拡散物質の発生源推定分布から発生源を絞り込む手法を説明する説明図。 本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査システムにおける現場データ取得装置の構成を示す概略図。 本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置が行う第1の発生源推定分布計算手順を説明する処理フロー図。 本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置が行う第2の発生源推定分布計算手順を説明する処理フロー図。 発生源からパルス状に放出された物質Mが距離とともに空間的に拡がっていく様子を示す説明図。 複数の観測点A,B,Cについて発生源からの距離を説明する説明図。 本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置等における発生源での放出速度の時間幅を推定する方法を説明する説明図。 本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置が行う第3の発生源推定分布計算手順を説明する処理フロー図。 本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置が行う発生源推定分布DB作成手順を説明する処理フロー図。
以下、本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置、この大気拡散物質発生源探査装置を用いた大気拡散物質発生源探査システムおよび大気拡散物質発生源探査方法について、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査システムの一例である大気拡散物質発生源探査システム10のシステム構成例を示した概略図である。
大気拡散物質発生源探査システム10は、例えば、指令側のコンピュータ11と現場側での測定に使用される現場端末12とを、無線通信ネットワーク等の情報を相互伝送可能な手段で相互に接続して構成される。大気拡散物質発生源探査システム10では、コンピュータ11を、本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置の一例である大気拡散物質発生源探査装置20として機能させる。
コンピュータ11には、コンピュータを大気拡散物質発生源探査装置20として機能させるプログラム(以下、「PG」と省略する。)である大気拡散物質発生源探査PG14がインストールされており、コンピュータ11は大気拡散物質発生源探査装置20として機能する。大気拡散物質発生源探査装置20として機能するコンピュータ11は、後述する発生源推定分布計算手順、および発生源推定分布データベース(以下、データベースを「DB」と省略する。)作成手順を実行することができる。
また、コンピュータ11は、アクセス可能な記憶領域内に、少なくとも、解析対象となり得る場所(解析対象領域)の地図情報を格納した地図情報DB16と、解析対象領域の風速、風向および乱流エネルギの情報を含む風速場の情報を格納した風速場情報DB17とを有しており、各DBに格納される情報を読み出して利用することができる。
なお、風速場情報DB17に格納される風速場の情報には風速変動の標準偏差等の情報が含まれる場合もある。また、コンピュータ11のアクセス可能な記憶領域内に、第3の発生源推定分布計算手順を実行する際に必要となる発生源推定分布DB18を保持させておいても良い。発生源推定分布DB18は、事前に解析対象領域の格子点に対して単位発生源強度の粒子逆追跡シミュレーションを実施して得た発生源推定分布を格納したデータベースである。
また、図1に示される大気拡散物質発生源探査システム10は、指令側のコンピュータ11が1台の例であるが、コンピュータ11は複数台であっても良い。すなわち、大気拡散物質発生源探査装置20として必要な機能を実現するための計算処理を複数のコンピュータ11に分散して実行させて、複数台のコンピュータ11全体として大気拡散物質発生源探査装置20の機能を実現するようにしても良い。
現場端末12は、例えば、持ち運び可能なコンピュータで構成され、濃度等の測定データを送信する現場データ取得装置40として機能する。現場端末12は、少なくとも、現場で測定して取得した測定データおよび測定場所の情報を送信する機能を有し、現場で取得した測定データを情報伝送可能に接続されるコンピュータ11へ送信する。
また、現場端末12は、必要に応じて、例えば、コンピュータ11から送信される発生源推定分布を表示する機能および発生源の絞り込みに有効な観測点の候補地点を地図情報とともに表示する機能等のコンピュータ11から送信される情報を受信してディスプレイに表示する機能と、全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)や無線LAN(Local Area Network)の電波等を利用して現在地の情報を受信し、受信した現在地の情報をコンピュータ11へ送信する機能を有する。
また、現場端末12は、必要に応じて、例えば、記憶装置、表示装置または測定センサ等の外部機器と接続するインターフェイス(以下、「I/F」と省略する。)を有し、I/Fを介して接続される外部機器と情報を受け渡しすることができる。例えば、現場端末12は、I/Fを介して接続される記憶装置から情報をリード(読み出し)およびライト(書き込み)したり、I/Fを介して接続される表示装置に情報を表示させたり、または、I/Fを介して測定センサで検知された物理量を測定データとして取得することができる。
このように構成される大気拡散物質発生源探査システム10では、まず、現場データ取得装置40としての現場端末12から測定現場の位置情報および当該測定現場で測定された濃度(空間濃度値)の情報が大気拡散物質発生源探査装置20としてのコンピュータ11に送られる。
続いて、現場端末12(現場データ取得装置40)から送信された情報に基づくコンピュータ11(大気拡散物質発生源探査装置20)では、大気拡散物質の拡散挙動をラグランジュモデル粒子の大気中での時間挙動追跡によりシミュレーションするための粒子運動方程式を用いて、現場データ取得装置40(現場端末12)から送信された情報に基づく濃度測定位置を起点とし、この起点での強度として現場測定された空間濃度値を用いて、粒子運動方程式を時間反転させ、粒子の発生源方向への逆追跡のシミュレーション(粒子逆追跡シミュレーション)を実行し、現場測定された空間濃度値を与える発生源推定分布を得る。
また、粒子逆追跡シミュレーションを実行したコンピュータ11(大気拡散物質発生源探査装置20)は、得られた発生源推定分布で分布数値をもつ全ての点から選択された一つの点を発生源として仮定した場合における発生源強度または発生源強度に比例する物理量を計算する。
ここで、粒子逆追跡シミュレーションで用いるラグランジュモデル粒子の粒子追跡の基礎式(粒子運動方程式)について説明する。
ラグランジュモデルによって粒子を追跡する場合、拡散物質を複数の粒子で模擬し、大気流体計算から得られる風速場の情報(流速分布情報と乱流エネルギ分布情報)を用いて空間内における各粒子の移動場所を計算し、その位置を追跡する。拡散物質を模擬する粒子の中心位置の座標xi(i=1〜3、ここではi=3が鉛直方向)はラグランジュ粒子追跡法によって次の式(1)から求めることができる。
Figure 2014215126
ここで、粒子移動速度Uについては、乱流変動速度成分u´によるランダムな挙動を考慮し、次の式(2)を用いて算出することができる。
Figure 2014215126
また、粒子移動速度Uを算出する際に重力沈降を考慮する場合には、上記式(2)の右辺に重力沈降を考慮した項(−δi3V)を加算した次の式(3)を用いて算出する。なお、重力沈降速度Vについては、Stokes則を用いて、次の式(4)より求めることができる。
Figure 2014215126
Figure 2014215126
上述した式(1)〜(8)に基づいて、得られた粒子の空間内における分布および各粒子周りの濃度分布情報を用いて各粒子からの影響を積算することで、評価対象とする地点の濃度を計算することができる。各粒子を追跡することにより得られた各粒子の位置座標情報(x,y,z)を用いて評価対象とする地点(X,Y,Z)の濃度χ(X,Y,Z)[g/m]は次の式(9)を用いて算出することができる。
Figure 2014215126
なお、上述した現場端末12は、一例として持ち運び可能なコンピュータで構成される例であるが、必ずしも、持ち運び可能なコンピュータで構成される必要はない。現場端末12は、解析対象領域の格子点となる箇所から測定結果を得られ、得られた測定結果をコンピュータ11へ送信することができる限りにおいて任意に構成することができる。例えば、解析対象領域の格子点となる箇所に、濃度を検知する測定センサを備え、測定センサが取得した測定結果をコンピュータ11へ送信する固定式の現場端末12としても良い。この場合、コンピュータ11が計算に必要な観測点(現場端末12)を選択して測定結果を取得することになる。
次に、本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置について説明する。
図2は、大気拡散物質発生源探査システム10における大気拡散物質発生源探査装置20(指令側)の構成を示す概略図である。
大気拡散物質発生源探査装置20は、入力部21と、表示部22と、地図・風速場情報処理部23と、通信部24と、粒子逆追跡計算部25と、濃度計算部26と、発生源推定計算部27と、表示処理部28と、発生源絞り込み処理部29と、発生源推定分布抽出処理部30と、記憶部31と発生源強度校正処理部33と、制御部34と、を備える。記憶部31には、少なくとも、地図情報DB16および風速場情報DB17が読み出し可能に保持される。
入力部21は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される入力装置またはコンピュータ自身が備えるキーボードやマウス等の入力手段によって実現される。入力部21は、情報の入力を受け付け、受け付けた情報を制御部34に与える。
表示部22は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される表示装置またはコンピュータ自身が備えるディスプレイ等の表示手段によって実現される。表示部22は、表示要求を受け取ると、当該表示要求に応じた内容を画面表示する。
地図・風速場情報処理部23は、位置情報を検索キーとして地図情報DB16から位置情報に基づく位置を含む所定範囲の地図情報を抽出し取得する機能と、風速場情報DB17から解析対象領域の風速、風向および乱流エネルギを含む風速場の情報を抽出し取得する機能とを有する。上記検索キーは、ユーザが入力部21に入力することで与えることができる。
通信部24は、大気拡散物質発生源探査装置20と現場データ取得装置40との間で、データを送受信する機能を有する。通信部24は、制御部34から受け取ったデータを現場データ取得装置40へ送信する一方、現場データ取得装置40から送られたデータを制御部34へ与える。
粒子逆追跡計算部25は、通常の粒子追跡シミュレーションで用いる数式情報を有しており、時間を追って粒子の時間挙動を追跡する通常の粒子追跡とは逆、すなわち、時間を遡って粒子の時間挙動を追跡する逆追跡をシミュレートする粒子逆追跡シミュレーションを実行する機能を有する。
ここで、大気拡散物質発生源探査装置20において実行される粒子逆追跡シミュレーションとは、通常の粒子追跡シミュレーションで用いる上述の式(1)〜(10b)におけるΔtを負の値にすることで、時間反転で粒子の挙動を追跡するシミュレーションである。但し、上述した式(6)、(10a)および(10b)の右辺のΔtについては、負の値ではなく絶対値を使用する。
また、粒子逆追跡シミュレーションの実行時においては、形式として上述した式(9)の右辺の発生源強度Qに、現場で測定した濃度[g/m]の数値を、逆追跡を開始する時点における粒子の位置(以下、「逆追跡発生点」と称する。)における強度[g/s]として使用する。
なお、発生源からの放出速度が時間変化する場合には現場で測定される濃度も時間変化することになる。この場合には、測定される濃度の測定値(瞬時値)をそのまま使用すると、前述のように、位置だけでなく時刻も合わせることが必要となり計算負荷が非常に膨大となるため、濃度の測定値(瞬時値)をそのまま使用する手法(以下、「第1の手法」と称する。)とは別の手法(以下、「第2の手法」と称する。)で計算を行う。
第2の手法では、時間に対する濃度のグラフにおいて出現する特徴点(例えば、ピーク値等。以下、特徴点がピーク値の場合を説明する。)を抽出し、抽出した濃度値を時間変化のない一定の発生源強度として使用して前記第1の手法による計算を行うことで、先ずは発生源の位置を推定する。その後、特定した発生源からの物質の放出を仮想して、当該物質の拡散シミュレーション(通常の粒子追跡シミュレーション)を実行することで、時間変化する物質の放出速度を推定する。
このような第2の手法による計算では、発生源からの放出速度が時間変化する場合であっても、放出速度の時間変化に依存しない(時間対して所定の一定値となる)濃度情報を発生源強度として使用することで、測定される濃度の瞬時値をそのまま使用して計算を行う場合よりも発生源の場所および放出速度を含む発生源情報の特定に要する全体の計算量を大幅に抑えることができ、計算負荷を軽減することができる。
第2の手法による計算では時間の概念(時刻を合わせるための要素)を無視して計算を行うため、発生源を推定する精度の低下が危惧されるかもしれないが、そのようなことはない。
なぜならば、後述するように、濃度は物質が拡散する過程(図9)で発生源からの距離に応じて低下していくことから、濃度のピーク値は単に濃度の情報だけでなく発生源からの距離の情報も含んでいるといえるためである。すなわち、第2の手法による計算のように、時間の概念を無視したとしても、濃度情報から推定される観測点から発生源までの距離を遡ることによって精度を低下させることなく発生源の場所を推定できる。
なお、第2の手法についての詳細については、後述する第2の発生源推定分布計算手順(図8〜11)において説明する。
濃度計算部26は、評価対象領域の濃度分布を計算するのに必要な数式情報として上述した式(9)、(10a)および(10b)の情報を有しており、この式(9)、(10a)および(10b)の情報、風速場情報DB17から得られた評価対象領域の流速分布情報並びに粒子逆追跡計算部25から得られた各粒子の位置情報並びに各粒子周りの濃度の広がりの情報に基づいて、各粒子からの寄与を積算し、濃度分布を計算する機能を有する。
濃度計算部26は、濃度分布を計算する機能を用いて、各粒子に対して、粒子逆追跡計算部25が粒子逆追跡シミュレーションを実行して得た上述の式(9)の左辺の濃度[g/m]の数値を計算し、各粒子について求められる濃度を積算することによって、例えば、後述する図3に示されるような空間濃度分布を得る。濃度計算部26が得る空間濃度分布は、探査すべき物質(大気拡散物質)の位置の確率分布である発生源推定分布を得る際に用いられる。
発生源推定計算部27は、発生源推定分布を得て発生源となる位置を推定する位置推定計算部27aを備え、さらに、第2の手法を採用するための処理部として、例えば、濃度情報決定部27bと、時間幅推定計算部27cと、ピーク値推定計算部27dと、を備える。
位置推定計算部27aは、評価対象領域における大気拡散物質の発生源推定分布を計算するのに必要な数式情報として後述する式(11)の情報を有しており、式(11)の情報と濃度計算部26が得た濃度分布とに基づいて発生源推定分布を得る機能を有する。位置推定計算部27aが得ることができる発生源推定分布は、1つの濃度観測点に対して1つなので、発生源の絞り込みを行いたい場合には、複数の濃度観測点に対して、それぞれ得られる発生源推定分布が必要となる。
発生源推定計算部27(位置推定計算部27a)が得る発生源推定分布は、濃度測定を行った現場において測定された濃度(例えば、濃度χ)を生ぜしめる発生源位置としては、当該発生源推定分布で分布数値をもつ全ての点で可能性があることを意味する。
すなわち、現場で測定した濃度をχとし、濃度計算部26が得た解析対象領域内における任意の点(X,Y,Z)における濃度をχとした場合、濃度χから発生源推定強度[g/s]の数値をχ(χ/χ)として対応させることができため、点(X,Y,Z)における発生源強度G[g/s]または発生強度に比例する物理量は、次の式(11)で求めることができる。ここで、式(11)右辺のCは比例定数であり発生源の絞り込み処理においては一定値である。通常、Cは1として問題ない。
Figure 2014215126
また、位置推定計算部27aは、得られた発生源推定分布において分布数値をもつ全ての点から一つの点を発生源として仮定した場合に現場で測定された濃度(空間濃度値)、すなわち、粒子逆追跡シミュレーション実行時に設定される粒子逆追跡発生点の濃度と、上記式(11)に基づいて、仮定した発生源における発生源強度または発生源強度に比例する物理量を計算する機能(発生源強度等計算機能)を有する。位置推定計算部27aは、発生源強度等計算機能を用いて、得られた発生源推定分布において分布数値をもつ各点について、その点が発生源となる場合の発生源強度または発生源強度に比例する物理量を計算することができる。
一方、発生源推定計算部27は、発生源での物質放出速度が時間変化したものと推定される場合に有効な第2の手法を用いて推定計算するための機能として、第2の手法を用いる際に必要となる時間に依存しない濃度情報を決定する濃度情報決定機能と、第2の手法を用いて発生源での物質放出の放出時間幅および放出速度のピーク値の推定する計算を実行する機能を有する。
これらの機能うち、濃度情報決定機能は、濃度情報決定部27bによって、発生源での物質放出の放出時間幅を推定する計算を実行する機能は、時間幅推定計算部27cによって、発生源での物質放出の速度ピーク値を推定する計算を実行する機能は、ピーク値推定計算部27dによって提供される。
ここで、発生源での物質放出速度が時間変化したものと推定される場合の例としては、例えば、一つの山なりの時間波形を示している場合等のように、測定される濃度値が気流の揺らぎ等による短時間の変動とは明らかに区別できる大きな時間変化を示している場合である。
濃度情報決定部27b、時間幅推定計算部27c、およびピーク値推定計算部27dは、濃度情報決定機能と、発生源での物質放出の放出時間幅および放出速度のピーク値の推定計算実行機能とを用いて、粒子逆追跡計算部25が粒子逆追跡シミュレーションを実行する際に使用する濃度情報を決定し、当該濃度情報を用いた粒子逆追跡計算、濃度計算、および発生源推定計算を行い推定される発生源での物質放出の放出時間幅および放出速度のピーク値を推定する。これにより、発生源での物質放出が時間変化する場合においても、どのくらいの時間および速度で物質が放出されているかを推定することができる。
なお、濃度情報決定機能は、第2の手法を用いた粒子逆追跡シミュレーションを実行する際に使用する時間に依存しない(時間に対して変化しない)濃度情報をユーザの手入力によって与える場合には省略することもできる。
また、時間幅推定計算部27cおよびピーク値推定計算部27dによる発生源での物質放出の放出時間幅および放出速度のピーク値の推定手法は、後述する第2の発生源推定分布計算手順(図8)の中でより具体的に説明する。
表示処理部28は、情報を表示部22等の表示手段に表示するための表示情報を生成する機能を有する。表示処理部28は、例えば、地図・風速場情報処理部23が取得した所定範囲の地図情報に基づく当該所定範囲の地図と、濃度計算部26が得た濃度分布または発生源推定計算部27が得た発生源推定分布とを重ね合わせた表示内容等を表示するための表示情報を生成し、生成した表示情報を制御部34へ与える。
発生源絞り込み処理部29は、任意の構成要素であり、発生源推定計算部27が得た発生源推定分布が複数存在する場合、すなわち、観測点が複数存在する場合、各発生源推定分布において発生源位置としての確度が等値または同程度となる領域を抽出する(絞り込む)機能を有する。発生源絞り込み処理部29が抽出する領域は、各観測点で測定される濃度を与える領域であり、大気拡散物質の発生源となり得る領域である。
発生源推定分布抽出処理部30は、任意の構成要素であり、現場で測定された気象条件および現場の観測点の位置を検索キーとして、後述する第3の発生源推定分布計算手順を実行する際に参照する発生源推定分布DB18に格納される気象条件および観測点位置に合致するまたは気象条件が近接する発生源推定分布を抽出する機能を有する。
なお、発生源推定分布DB18は、例えば、後述する図11に示されるように、発生源強度が例えば単位強度等の所定の強度の場合において、解析対象領域内の各格子点および各気象条件について発生源推定計算部27が得た複数個の発生源推定分布をデータベース化したものである。このデータベース化の作業は、大気拡散物質発生源探査装置20の外部で行っても良いし、例えば、発生源推定分布抽出処理部30に発生源推定分布DB18の作成機能を持たせる等して大気拡散物質発生源探査装置20の内部で行っても良い。
記憶部31は、データの読み出し(リード)および書き込み(ライト)が可能な記憶領域を有し、当該記憶領域にデータを保持する機能を有する。記憶部31には、地図・風速場情報処理部23、粒子逆追跡計算部25、濃度計算部26、発生源推定計算部27、表示処理部28、発生源絞り込み処理部29、発生源推定分布抽出処理部30、発生源強度校正処理部33、および制御部34がアクセスしてデータの読み出しおよび書き込みを行う。
発生源強度校正処理部33は、任意の構成要素であり、後述する第3の発生源推定分布計算手順を実行する際に、得られた発生源推定分布に対して必要な強度校正を行う。より詳細には、発生源推定分布から推定される発生源強度(発生源推定強度)は現場観測点(粒子逆追跡発生点)の濃度の2乗に比例することを考慮した強度校正を行う。例えば、発生源推定分布DB18を作成する際に解析対象領域の格子点に対して設定した発生源強度が単位強度である場合、実際に現場で測定された濃度の2乗を掛ける演算処理を行う。
制御部34は、大気拡散物質発生源探査装置20の全体の処理を制御する手段であり、入力部21、表示部22、地図・風速場情報処理部23、通信部24、粒子逆追跡計算部25、濃度計算部26、発生源推定計算部27、表示処理部28、発生源絞り込み処理部29、発生源推定分布抽出処理部30、記憶部31、および発生源強度校正処理部33と、相互にデータを授受し、これらを制御する機能を有する。
制御部34は、入力部21から情報を受け取ると、入力部21が受け付けた情報の種類に応じて、表示部22、地図・風速場情報処理部23、通信部24、粒子逆追跡計算部25、濃度計算部26、発生源推定計算部27、表示処理部28、発生源絞り込み処理部29、発生源推定分布抽出処理部30、記憶部31、および発生源強度校正処理部33の何れかに、入力を受け付けた情報に基づいて要求を与える。
また、制御部34は、表示処理部28が生成した表示情報を受け取ると、受け取った表示情報を表示要求とともに表示部22に与える。表示部22では、与えられた表示情報に基づく表示内容が表示される。
続いて、大気拡散物質発生源探査装置20が得る濃度分布および発生源推定分布について説明する。
図3は、大気拡散物質発生源探査装置20で行う粒子逆追跡シミュレーションによる空間濃度分の一例である。
粒子逆追跡シミュレーションによる濃度分布は、濃度計算部26が、現場で測定した濃度[g/m]の時間ピーク値を粒子逆追跡シミュレーション開始位置での強度[g/s]として濃度計算を行うことによって、例えば、図3に示されるような濃度分布が得られる。図3に示される濃度分布は、粒子逆追跡発生点P1で測定した濃度がχであり、χを粒子逆追跡シミュレーション開始位置での強度として濃度計算を行って得られる濃度分布である。
ここで、濃度分布に現れる粒子逆追跡発生点を囲う閉曲線は、濃度の等値線35(35a,35b,35c)である。一例として図3に示される濃度分布に現れる濃度の等値線35a,35b,35cは、それぞれ、濃度χ,χ,χの等値線である。つまり、濃度の等値線35a,35b,35cの各線上の点は、それぞれ同じ濃度χ,χ,χである。
図4は、大気拡散物質発生源探査装置20で行う粒子逆追跡シミュレーションによる大気拡散物質の発生源推定分布の一例である。
粒子逆追跡シミュレーションによる発生源推定分布は、発生源推定計算部27が、上述した式(11)を用いて濃度を発生源推定強度に変換する計算をすることによって、得られた濃度分布を変換することによって得られる。例えば、図4に示される発生源推定分布は図3に示される濃度分布を変換することにより得られる。
ここで、発生源推定分布に現れる濃度観測点を囲う閉曲線は、発生源推定強度の等値線36(36a,36b,36c)である。一例として図4に示される発生源推定分布に現れる発生源推定強度の等値線36a,36b,36cは、それぞれ、濃度χ,χ,χから得られる発生源推定強度χ(χ/χ),χ(χ/χ),χ(χ/χ)の等値線である。
つまり、発生源推定強度の等値線36a,36b,36cは、現場観測点P2で観測した濃度の時間ピーク値χ[g/m]を与える大気拡散物質の発生源が当該等値線の位置にある場合に、それぞれ同じ発生源推定強度χ(χ/χ),χ(χ/χ),χ(χ/χ)となることを示す。
続いて、大気拡散物質発生源探査装置20が行う発生源の絞り込み手法および有効観測点候補の選定手法について説明する。
図5は、大気拡散物質発生源探査装置20が得た複数の大気拡散物質の発生源推定分布から発生源を絞り込む手法を説明する説明図である。
大気拡散物質発生源探査装置20が得る発生源推定分布は、当該発生源推定分布で分布数値をもつ全ての点が発生源となる可能性があるため、1つの発生源推定分布のみからでは、発生源を特定することはできない。しかしながら、測定位置(観測点)が異なる複数の測定データがある場合、それぞれの測定位置を起点とする粒子逆追跡の結果も違ってくるため、同じ評価対象地域に対して複数の異なる発生源推定分布を得ることができる。
各発生源推定分布において強度が同じになる領域は、現場の各観測点の情報(位置および濃度)と整合する発生源であるため、強度が同じにならない領域よりも、発生源としての確度が高いと判断できる。すなわち、発生源の推定強度毎に発生源位置が絞り込まれたことになる。大気拡散物質発生源探査装置20では、発生源絞り込み処理部29が、各発生源推定分布において強度が同じになる領域を抽出することで、発生源の位置を絞り込むことができる。
図5に示される例で大気拡散物質の発生源を絞り込む手法を説明すれば、解析メッシュ37上には、現場観測点P3から得られた第1の発生源推定分布(図5において示される実線)と現場観測点P4から得られた第3の発生源推定分布(図5において示される破線)との二つの発生源推定分布がある。
図5において示される白星印の領域Xは、第1の発生源推定分布においても、第3の発生源推定分布においても発生源推定強度の等値線36a,36bの間にある強度が同じになる領域である。このことは、発生源強度が発生源推定強度の等値線36a,36bの間にある強度と推定される場合、第1の発生源推定分布の等値線36a,36bと第3の発生源推定分布の等値線36a,36bに囲まれる白星印の領域X内に発生源が絞り込まれることを意味する。
同様に、図5において示される第1の発生源推定分布の等値線36b,36cと第3の発生源推定分布の等値線36b,36cに囲まれる黒星印の領域Xでは、発生源の強度が発生源推定強度の等値線36b,36cの間にある強度と推定される場合、この黒星印の領域X内に発生源が絞り込まれることになる。
なお、実際の数値処理においては、対象地域を図5に例示するような格子点に分割し、この格子点毎に発生源推定強度毎の分布重なりの度合いを評価することが考えられる。また、発生源推定強度も連続値で扱うのではなく、強度を何段階かにグループ分け(離散化)して、図5で例示されているように強度グループ毎に分布の重なり具合を評価することが考えられる。
さらに、発生源位置としての確度が高い位置(領域)の表示方法としては、発生源位置としての確度の高さ(発生源推定分布の重なりが多いこと)に応じて、色分けをしたり、確度の等値線分布で表示したりすることが考えられる。このような表示方法などによって、発生源位置としての確度が高い位置(領域)を評価対象地域(解析対象領域)の地図上に表示することで探査作業を効率化することができる。
このように構成される大気拡散物質発生源探査装置20によれば、濃度測定位置を逆追跡発生点として設定し、現場測定された濃度値を発生源強度として設定して逆追跡シミュレーションを行い、逆追跡シミュレーションの結果得られた空間濃度分布位置を探査すべき大気拡散物質の位置の確率分布である発生源推定分布を得ることができるので、大気拡散物質の発生源をより迅速に探査することができる。
また、逆追跡シミュレーションの結果得られた空間濃度から探査すべき大気拡散物質の発生源強度に比例する量を評価し発生源を推定することができるので、大気拡散物質の発生源強度をより迅速に探査することができる。
さらに、大気拡散物質発生源探査装置20によれば、異なる観測点から得られる各発生源推定分布において強度が同じになる領域を抽出することで、発生源の位置を絞り込むことができる。すなわち、より迅速に大気拡散物質の発生源を探査することができる。
さらにまた、発生源推定分布DB18を用いて発生源推定分布を得る大気拡散物質発生源探査装置20によれば、逆追跡シミュレーションをその都度実行して発生源推定分布を得る大気拡散物質発生源探査装置20よりも計算負荷を軽減することができる。計算負荷の軽減は、単独のコンピュータ11(スタンドアローン)で計算処理を行わなければならない場合に有効である。
なお、発生源推定分布が完全に一致していなくても、測定場所および気象条件が一致し、かつ、濃度が近接した値を採る発生源推定分布を発生源推定分布DB18から抽出し強度校正をすることで発生源推定分布を得ることができるため、計算負荷を軽減することができる。
次に、本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査システムの現場側に適用される装置について説明する。
図6は、大気拡散物質発生源探査システム10における現場データ取得装置40(現場側)の構成を示す概略図である。
なお、以下の説明では、測定したい濃度を与える大気拡散物質を検知する測定センサ54がI/F部53に接続されており、測定センサ54が濃度等の測定対象として検知した物理量を測定データとして取得する機能と、現場で測定して取得した測定データおよび測定場所の情報を送信する機能と、大気拡散物質発生源探査装置20から送信される情報を受信してディスプレイに表示する機能と、現在地の情報を受信する機能と、受信した現在地の情報を大気拡散物質発生源探査装置20へ送信する機能と、を有する現場データ取得装置40の例について説明する。
現場データ取得装置40は、入力部41と、表示部42と、通信部43と、地図情報処理部45と、位置情報取得部46と、位置情報通知部47と、表示処理部49と、記憶部51と、測定制御部52と、I/F部53と、制御部55とを備える。なお、記憶部51には、少なくとも、地図情報DB16が読み出し可能に保持される。
入力部41は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される入力装置またはコンピュータ自身が備えるキーボードやマウス等の入力手段によって実現される。入力部41は、情報の入力を受け付け、受け付けた情報を制御部55に与える。
表示部42は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される表示装置またはコンピュータ自身が備えるディスプレイ等の表示手段によって実現される。表示部42は、表示要求を受け取ると、当該表示要求に応じた内容を画面表示する。
通信部43は、現場データ取得装置40と大気拡散物質発生源探査装置20との間で、データを送受信する機能を有する。通信部43は、制御部55から受け取ったデータを大気拡散物質発生源探査装置20へ送信する一方、大気拡散物質発生源探査装置20から送られたデータを制御部55へ与える。
地図情報処理部45は、例えば、記憶部51等の読み出し可能な記憶領域に格納される地図情報DB16から位置情報を検索キーとして位置情報に基づく位置を含む所定範囲の地図情報を抽出し取得する機能を有する。上記検索キーは、ユーザが入力部41に入力することで与えることができる。
位置情報取得部46は、GPSや無線LANの電波等を利用して現在地の情報を受信する機能を有する。また、位置情報通知部と47は、位置情報取得部46が受信した現在地の情報を指令側のコンピュータ11である大気拡散物質発生源探査装置20へ通知する機能を有する。
表示処理部49は、情報を表示部42等の表示手段に表示するための表示情報を生成する機能を有する。表示処理部49は、例えば、大気拡散物質発生源探査装置20から受信した情報等を表示するための表示情報を生成し、生成した情報を制御部55へ与える。
記憶部51は、データの読み出し(リード)および書き込み(ライト)が可能な記憶領域を有し、当該記憶領域にデータを保持する機能を有する。記憶部51には、地図情報処理部45、位置情報取得部46、位置情報通知部と47、表示処理部49、測定制御部52および制御部55がアクセスしてデータの読み出しおよび書き込みを行う。
測定制御部52は、任意の構成要素であり、I/F部53を介して接続される測定センサ54を制御する機能を有し、少なくとも、測定センサ54が濃度等の測定対象とする物理量を検知すると、検知した物理量を測定データとして取得することができる。測定制御部52が有する測定センサ54の制御機能は、予め測定センサ54の制御機能を実現するプログラムを現場データ取得装置40にインストールしておくことで現場データ取得装置40に持たせることができる。
測定制御部52は、制御部55によって制御され、測定制御部52が取得した測定データは、まず、制御部55に与えられ、続いて、制御部55から通信部43へ与えられ、通信部43から大気拡散物質発生源探査装置20へ送られる。
I/F部53は、任意の構成要素であり、例えば、測定センサ54等の外部機器との接続インターフェイスである。I/F部53に測定センサ54を接続することによって、測定センサ54で検知された物理量を測定データとして取得できる。
制御部55は、現場データ取得装置40の全体の処理を制御する手段であり、入力部41、表示部42、通信部43、地図情報処理部45、位置情報取得部46、位置情報通知部47、表示処理部49、記憶部51、測定制御部52およびI/F部53と相互にデータを授受し、これらを制御する機能を有する。
制御部55は、入力部41から情報を受け取ると、入力部41が受け付けた情報の種類に応じて、表示部42、通信部43、地図情報処理部45、位置情報取得部46、位置情報通知部47、表示処理部49、記憶部51、測定制御部52およびI/F部53の何れかに、入力を受け付けた情報に基づいて要求を与える。
また、制御部55は、表示処理部49が生成した表示情報を受け取ると、受け取った表示情報を表示要求とともに表示部42に与える。表示部42では、与えられた表示情報に基づく表示内容が表示される。
なお、図6に示される現場データ取得装置40は、一例であり、図6に示される形態に限定されない。図6に示される現場データ取得装置40から任意の機能を追加または省略した形態を採用することもできる。
例えば、測定結果を手入力して送信するのであれば、図6に示される現場データ取得装置40から測定制御部52およびI/F部53を省略した現場データ取得装置40を構成することもできるし、現在地の情報を手入力して送信するのであれば、図6に示される現場データ取得装置40から位置情報取得部46および位置情報通知部47を省略した現場データ取得装置40を構成することもできる。
次に、本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査方法について説明する。
本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査方法は、例えば、大気拡散物質発生源探査装置20が大気拡散物質発生源推定分布計算手順を実行することによって、大気拡散物質発生源推定分布を得て、得られた大気拡散物質発生源推定分布から大気拡散物質の発生源を迅速に探査する方法である。
本発明の実施形態では、状況に応じて幾つかの異なる手法を採用した大気拡散物質発生源推定分布計算手順(第1〜3の大気拡散物質発生源推定分布計算手順)を実行することができる。以下、各大気拡散物質発生源推定分布計算手順の内容について説明する。
[第1の発生源推定分布計算手順]
図7は大気拡散物質発生源探査装置20が行う大気拡散物質の発生源推定分布計算手順の一例である第1の発生源推定分布計算手順を説明する処理フロー図である。
第1の発生源推定分布計算手順では、まず、入力部21から解析対象領域を入力して設定する(ステップS1)。入力された解析対象領域の情報は、入力部21から制御部34を介して地図・風速場情報処理部23に与えられ、地図・風速場情報処理部23が地図情報DB16から解析対象領域の地図情報を抽出し取得する。また、入力された解析対象領域の情報は、粒子逆追跡シミュレーションを実行する粒子逆追跡計算部25にも与えられる。
続いて、設定した解析対象領域について、地図・風速場情報処理部23が風速場情報DB17から解析対象領域の風速、風向および乱流エネルギを含む風速場の情報を抽出し取得する(ステップS2)。
続いて、粒子逆追跡計算部25は、現場データ取得装置40から送信される現場の観測点の位置情報に基づく現場の観測点の位置を粒子逆追跡シミュレーションの逆追跡発生点に設定し(ステップS3)、現場データ取得装置40から送信される現場の観測点での濃度測定値(現場測定濃度値)を、粒子逆追跡シミュレーション開始位置での強度[g/s]として設定する(ステップS4)。
続いて、粒子逆追跡計算部25は、粒子逆追跡シミュレーションを実行して、粒子の発生および風速場での挙動を追跡する(ステップS5)。すなわち、上述した式(1)〜(8)までの計算を行う。
続いて、濃度計算部26は、上述の式(9)の左辺の濃度[g/m]の数値を計算し、各粒子について求められる濃度を積算することで、評価対象とする地点の濃度を計算する(ステップS6)。すなわち、上述の式(9)、(10a)および(10b)を用いて粒子の分布から濃度分布を計算する。
続いて、発生源推定計算部27は、上述の式(11)を用いて、濃度計算部26が得た濃度分布を発生源推定強度に変換する計算を行い、発生源推定分布を得る(ステップS7)。ステップS7が完了すると、第1の発生源推定分布計算手順の全処理ステップ(ステップS1〜S7)を終了する。
このような第1の発生源推定分布計算手順によれば、濃度測定位置を逆追跡発生点として設定し、現場測定された濃度値を発生源強度として設定して逆追跡シミュレーションを行い、逆追跡シミュレーションの結果得られた空間濃度分布位置を探査すべき大気拡散物質の位置の確率分布である発生源推定分布を得ることができる。また、逆追跡シミュレーションの結果得られた空間濃度から探査すべき大気拡散物質の発生源強度に比例する量を評価し発生源を推定することができる。従って、大気拡散物質の発生源および発生源強度をより迅速に探査することができる。
また、異なる複数の観測点に対して、第1の発生源推定分布計算手順を実行し、異なる複数の観測点から得られる各発生源推定分布において強度が同じになる領域を抽出することで、発生源の位置を絞り込むことができる。すなわち、より迅速に大気拡散物質の発生源を探査することができる。
[第2の発生源推定分布計算手順]
図8は大気拡散物質発生源探査装置20が行う大気拡散物質の発生源推定分布計算手順の一例である第2の発生源推定分布計算手順を説明する処理フロー図である。
また、図9,10,11は、第2の発生源推定分布計算手順において用いる第2の計算手法を説明する説明図であり、図9は発生源からパルス状に放出された物質Mが距離とともに空間的に拡がっていく様子を示す説明図、図10は複数の観測点A,B,Cについて発生源からの距離を説明する説明図、図11は本発明の実施形態に係る大気拡散物質発生源探査装置等における発生源での放出速度の時間幅を推定する方法を説明する説明図、である。
第2の発生源推定分布計算手順は、第2の計算手法を用いて発生源推定分布計算を行う処理手順であり、発生源での物質放出速度が時間変化していると推測されるような状況において行う。例えば、一つの山なりの時間波形を示している場合等、測定された濃度値が気流の揺らぎ等による短時間の変動とは明らかに区別できる大きな時間変化を示している場合等では発生源での物質放出速度が時間変化していると推測される。
第2の発生源推定分布計算手順は、探査すべき物質の位置の確率分布を得ることで探査すべき物質の発生源となる場所を推定する発生場所推定工程(ステップS11,ステップS12)と、発生源と推定した場所から放出される物質の放出速度の時間幅およびピーク値を推定する放出速度推定工程(ステップS13〜ステップS17)とを備える。
発生場所推定工程では、まず、発生源推定計算部27(濃度情報決定部27b、時間幅推定計算部27c、およびピーク値推定計算部27d)が発生源推定分布計算手順(図7,12)を行うために必要となる濃度情報を決定する濃度情報決定ステップ(ステップS11)を行う。
濃度情報の決定は、例えば、発生源推定計算部27が、ユーザによって入力部21から与えられる過去の濃度の測定値から抽出した時間ピーク値における濃度測定値を濃度情報として取り扱う、または濃度情報決定部27b自身が、予め設定された条件に従って過去の濃度の測定値から時間ピーク値を抽出し、抽出した時間ピーク値(濃度測定値)を濃度情報として取り扱うことにより行われる。
その後、濃度情報決定ステップ(ステップS11)で決定した濃度情報を発生源強度として用いた発生源推定分布計算手順(S1〜S7(図7)またはステップS21〜ステップS23(図12))を行い、発生源場所を推定する(ステップS12)。発生源場所が推定されると、発生場所推定工程を終了し、続いて、放出速度推定工程が行われる。
放出速度推定工程は、発生源から放出される物質の放出時間幅を推定する放出時間幅推定ステップ(ステップS13)と、発生源から放出される物質の放出速度のピーク値を推定する放出速度ピーク値推定ステップ(ステップS14〜ステップS17)とを備える。
放出時間幅推定ステップ(ステップS14)では、発生源推定計算部27(より詳しくは時間幅推定計算部27c)が、発生場所推定工程で推定された発生源となる場所を推定する際に使用した濃度情報を与える観測点と推定される発生源との距離、および当該観測点で観測される濃度の変化時間幅とに基づいて発生源から放出される物質の放出時間幅を推定する。
一般に発生源位置で時間的にパルス状に放出された物質は、図9に示されるように、拡散により発生源からの距離が大きくなる(放出源から離れる)ほど空間的に拡がっていくため、発生源からの距離が大きくなる位置ほど測定される濃度の時間波形も拡がる。
従って、発生源位置を推定し多段階で、複数の濃度測定情報に関して、測定した濃度値の時間変化幅を縦軸に、推定発生源位置と各観測点位置間の距離を横軸にプロットすると、プロットして得られる点列は、例えば、観測点が図10に示される観測点A,B,C(発生源からの距離は、それぞれd,d,d)である場合、図11に示されるように、発生源からの距離に正の相関を持って拡大する傾向を示す。この点列を、距離0(縦軸の位置)まで外挿しと交差した位置(切片Lに相当する時間幅)が発生源(距離0)での物質放出速度の時間幅と推定できる。
発生源での物質放出速度の時間幅を推定する際に用いられる時間変化幅の例としては、例えば山なり(上に凸型の形状)の時間波形の場合にはピーク値に対してその半分の値になるピーク両側の点間の時間幅(いわゆる半値幅)等がある。
このような発生源での物質放出速度の時間幅の推定計算を発生源推定計算部27(時間幅推定計算部27c)が行い、発生源での物質放出速度の時間幅の推定値が算出されると、発生源推定計算部27は放出時間幅推定ステップ(ステップS13)を完了し、続いて、放出速度ピーク値推定ステップを行う。
放出速度ピーク値推定ステップ(ステップS14〜ステップS17)では、発生源推定計算部27(より詳しくはピーク値推定計算部27d)が、放出時間変化波形を仮設定し(ステップS14)、仮設定した放出時間変化波形に従った物質(粒子)放出を粒子追跡シミュレーション等の計算により濃度分布を評価し、実際に濃度を測定した位置での濃度のピーク値と比較し(ステップS15)、その整合性を判断する(ステップS16)。そして、実際に濃度を測定した位置での濃度のピーク値が計算による評価結果と整合するように、仮設定した放出時間変化波形の放出速度のピーク値を調整する(ステップS17)。
放出時間変化波形の仮設定は、放出時間幅および放出速度のピーク値を設定することで行う。設定する放出時間幅および放出速度のピーク値のうち、放出時間幅については、放出時間幅推定ステップ(ステップS13)で決定した放出時間幅を設定する。放出速度のピーク値については、所望の値を仮設定する。
続いて、放出時間幅の設定、および放出速度のピーク値の仮設定が完了すると、仮設定した放出時間変化波形に従った物質放出を、例えば粒子追跡シミュレーションを行って濃度分布を評価し、実際に濃度を測定した位置での濃度のピーク値と比較する(ステップS15)。なお、粒子追跡シミュレーションについては、粒子逆追跡計算部25を用いて、時間反転(Δtを負の値にすること)をせずに通常の時間(Δtを正の値)とすることで対応(実行)できる。
そして、発生源推定計算部27は、ステップS15で得られた濃度分布の評価結果と実際に濃度を測定した位置での濃度のピーク値との比較結果から、その整合性を判断する(ステップS16)。整合がとれている場合(ステップS16でYESの場合)、発生源推定計算部27(ピーク値推定計算部27d)は、放出速度ピーク値推定ステップを完了する。放出速度ピーク値推定ステップが完了すると、放出速度推定工程を完了し、第2の発生源推定分布計算手順は終了する。
一方、整合がとれていない場合(ステップS16でNOの場合)、第2の発生源推定分布計算手順の処理フローは、ステップS16に進み、整合がとれるように発生源推定計算部27による放出速度のピーク値を増減させた新たな値で仮設定が再度行われる(ステップS17)。放出速度のピーク値の再仮設定が完了すると、第2の発生源推定分布計算手順の処理フローは、ステップS17からステップS15に戻り、ステップS15以降の処理ステップが実行される。
このような第2の発生源推定分布計算手順によれば、現場測定された時間変化する濃度値を発生源強度として物質拡散挙動をラグランジュモデル粒子の大気中での時間挙動追跡によりシミュレーションする粒子運動方程式を時間反転させ、粒子の発生源方向への逆追跡のシミュレーションを行う代わりに、現場測定された時間変化する濃度値のピーク濃度値を使用し、これを時間一定の発生源強度として粒子逆追跡シミュレーションを行うことで、発生源を絞り込むための作業の複雑化させることなく、さらに、発生源の絞り込み精度を低下させることなく、発生源の場所および放出速度を含む発生源情報の特定に要する全体の計算量を大幅に抑えて計算負荷を軽減することができる。
特に、発生源の放出速度が時間変化する場合においては、後述する第3の発生源推定分布計算手順(図12)と組み合わせることによって、発生源探査に要する作業負荷の軽減および時間短縮の効果を増強することができる。
[第3の発生源推定分布計算手順]
図12は大気拡散物質発生源探査装置20が行う大気拡散物質の発生源推定分布計算手順の一例である第3の発生源推定分布計算手順を説明する処理フロー図である。
第3の発生源推定分布計算手順は、第1の発生源推定分布計算手順のように現場での濃度測定を行う都度、粒子逆追跡シミュレーションを行うのではなく、想定し得る条件下で予め発生源推定分布を得ておき、それをデータベース化した発生源推定分布DB18を整備しておき、発生源探査の際には、発生源推定分布抽出処理部30が発生源推定分布DB18から現場で測定された測定結果(条件)と合致するまたは最も近い発生源推定分布を抽出することで、発生源推定分布を得るものである。
第3の発生源推定分布計算手順では、まず、現場データ取得装置40から送信される現場で測定された気象条件、現場の観測点の位置および濃度の情報を大気拡散物質発生源探査装置20が取得する(ステップS21)。ここで、気象条件には、風向および風速の情報が含まれる。風向および風速の情報は、離散的に設定した数値パラメータとして与えられる。大気拡散物質発生源探査装置20が取得した気象条件、現場の観測点の位置および濃度の情報は、発生源推定分布抽出処理部30に与えられる。
続いて、発生源推定分布抽出処理部30は、与えられた気象条件および現場の観測点の位置の情報を検索キーとして、当該検索キーと合致する条件下で得られた発生源推定分布を発生源推定分布DB18から抽出する。このとき、当該検索キーと発生源推定分布を得る際における粒子逆追跡シミュレーションの条件とが必ずしも完全一致するとは限らないので、最も近い条件での発生源推定分布を抽出する(ステップS22)。
続いて、発生源推定分布抽出処理部30が発生源推定分布を抽出すると、制御部34により制御される発生源強度校正処理部33が、実際に現場で測定された空間濃度値を使って発生源強度の校正を行う(ステップS23)。より詳細には、発生源強度が濃度の2乗に比例することを考慮し、実際に現場で測定された濃度が抽出される発生源推定分布を作成する際に設定した逆追跡発生点の濃度の何倍かを求め、それを2乗することで発生源推定分布を得ることができる。
このことは、発生源推定分布DB18を作成する際の逆追跡発生点の濃度がχ=1の場合(単位強度となる場合)に、現場で測定された濃度がR1であれば、上述した式(11)において、χ=R1とすることに相当する。ステップS23が完了すると、第3の発生源推定分布計算手順の全処理ステップ(ステップS21〜S23)を終了する。
このような第3の発生源推定分布計算手順によれば、取得した現場の観測点の気象条件および位置の情報を検索キーとして発生源推定分布DB18に格納される発生源推定分布から条件が合致する発生源推定分布を抽出するため、第1の発生源推定分布計算手順よりも計算負荷を軽減することができる。また、完全に合致する発生源推定分布が存在しないとしても、最も近接した値をとる発生源推定分布を発生源推定分布DB18から抽出し強度校正をすることで発生源推定分布を得ることができるため、第1の発生源推定分布計算手順よりも計算負荷を軽減することができる。
さらに、第3の発生源推定分布計算手順では、大気拡散物質発生源探査装置20での計算負荷が第1の発生源推定分布計算手順よりも軽減されるため、より短時間で演算処理結果である発生源推定分布を得ることができる。すなわち、より迅速に大気拡散物質の発生源および発生源強度を探査することができる。
図13は大気拡散物質発生源探査装置20が第3の発生源推定分布計算手順を行う際に参照する発生源推定分布DB18を作成する手順(以下、「発生源推定分布DB作成手順」と称する。)を説明する処理フロー図である。
発生源推定分布DB作成手順は、発生源強度を単位強度として、解析対象領域内の各格子点および各気象条件にについて第1の発生源推定分布計算手順を実行して得ることができる。より詳細には、まず、解析対象領域を設定し(ステップS31)、設定した解析対象領域で予想される気象条件(境界条件)毎に風速場の情報を取得する(ステップS32)。ステップS31およびステップS32は、第1の発生源推定分布計算手順のステップS1およびステップS2と同様にして行われる。
続いて、粒子逆追跡計算部25は、設定した解析対象領域内の格子点を粒子逆追跡シミュレーションの逆追跡発生点に設定し(ステップS33)、設定した各格子点について単位強度の粒子逆追跡シミュレーションを実施する(ステップS34)。すなわち、上述した式(1)〜(8)までの計算を行う。
続いて、濃度計算部26が、上述の式(9)、(10a)および(10b)を用いて粒子の分布から濃度分布を計算し、さらに、発生源推定計算部27が、上述の式(11)を用いて、濃度計算部26が得た濃度分布を発生源推定強度に変換する計算を行い、発生源推定分布を得る(ステップS35)。ここで得られた発生源推定分布は、粒子逆追跡シミュレーション実施時の気象条件および格子点と関連付けられ、発生源推定分布DB18として保存される(ステップS36)。
ここで、設定した解析対象領域内の全格子点について単位強度の粒子逆追跡シミュレーションを実施しており(ステップS37でYESの場合)、全ての気象条件について単位強度の粒子逆追跡シミュレーションを実施している場合には(ステップS38でYESの場合)、ステップS38を完了し、発生源推定分布DB作成手順の全処理ステップ(ステップS31〜S38)を終了する。
一方、設定した解析対象領域内に、単位強度の粒子逆追跡シミュレーションを実施していない格子点が残っている場合(ステップS37でNOの場合)、発生源推定分布DB作成手順は、ステップS33に進み、ステップS33以降の処理ステップが実行される。
また、設定した解析対象領域内の全格子点について単位強度の粒子逆追跡シミュレーションを実施している(ステップS37でYESの場合)が、単位強度の粒子逆追跡シミュレーションを実施していない気象条件が残っている場合には(ステップS38でNOの場合)、発生源推定分布DB作成手順は、ステップS32に進み、ステップS32以降の処理ステップが実行される。
なお、上述の発生源推定分布DB作成手順において、粒子逆追跡シミュレーションを実施する際の発生源強度を単位強度とした例を説明しているが、発生源強度は必ずしも単位強度でなくても良い。但し、発生源強度を単位強度とすると、第3の発生源推定分布計算手順において実行される発生源強度の校正処理ステップ(ステップS23)での計算が簡易になる利点がある。
以上、大気拡散物質発生源探査装置20、大気拡散物質発生源探査装置20を用いた大気拡散物質発生源探査システム10および大気拡散物質発生源探査方法によれば、濃度測定位置を逆追跡発生点として設定し、現場測定された濃度値を発生源強度として設定して逆追跡シミュレーションを行い、逆追跡シミュレーションの結果得られた空間濃度分布位置を探査すべき大気拡散物質の位置の確率分布である発生源推定分布を得ることができるので、大気拡散物質の発生源をより迅速に探査することができる。
また、大気拡散物質発生源探査装置20、大気拡散物質発生源探査装置20を用いた大気拡散物質発生源探査システム10および大気拡散物質発生源探査方法によれば、逆追跡シミュレーションの結果得られた空間濃度から探査すべき大気拡散物質の発生源強度に比例する量を評価し発生源を推定することができるので、大気拡散物質の発生源強度をより迅速に探査することができる。
さらに、大気拡散物質発生源探査装置20、大気拡散物質発生源探査装置20を用いた大気拡散物質発生源探査システム10および大気拡散物質発生源探査方法によれば、異なる観測点から得られる各発生源推定分布において強度が同じになる領域を抽出することで、発生源の位置を絞り込むことができる。すなわち、より迅速に大気拡散物質の発生源を探査することができる。
さらにまた、大気拡散物質発生源探査装置20、大気拡散物質発生源探査装置20を用いた大気拡散物質発生源探査システム10および大気拡散物質発生源探査方法によれば、異なる複数の発生源推定分布計算処理手順が用意されているので、ユーザのより柔軟な対応(状況に応じた使い分け)を可能にする。
例えば、現場測定された濃度値が時間変化していると推定される場合に、使用可能な発生源推定分布計算手順が第1の発生源推定分布計算手順のみだとすると、発生源を絞り込むための作業が複雑になり、計算負荷および時間が増大してしまう。
しかしながら、上述した大気拡散物質発生源探査装置20、大気拡散物質発生源探査装置20を用いた大気拡散物質発生源探査システム10および大気拡散物質発生源探査方法では、第2の発生源推定分布計算手順(ステップS11〜ステップS16)が用意されているため、第2の発生源推定分布計算手順を用いることで、発生源を絞り込むための作業の複雑化させることなく、さらに、発生源の絞り込み精度を低下させることなく、発生源の場所および放出速度を含む発生源情報の特定に要する全体の計算量を大幅に抑えて計算負荷を軽減することができる。
このとき、発生源推定分布DB18を既に作成しているのであれば、発生場所推定工程を実行する際に、第3の発生源推定分布計算手順(ステップS21〜ステップS23)を実行することで、より迅速に発生源場所を推定することができる。
一方、大気拡散物質発生源探査装置20、大気拡散物質発生源探査装置20を用いた大気拡散物質発生源探査システム10および大気拡散物質発生源探査方法において、用意されている発生源推定分布計算手順が現場測定された濃度値が時間変化していると推定される場合においても対応可能な第2の発生源推定分布計算手順のみだとすると、現場測定された濃度値が一定値と推定される場合には、第1の発生源推定分布計算手順(ステップS1〜ステップS7)や第3の発生源推定分布計算手順に対して過剰な計算ステップが生じることになるため、無用な計算負荷の増大につながるが、第1の発生源推定分布計算手順や第3の発生源推定分布計算手順を選択可能とすることで、無用な計算負荷の増大を避かることができる。
また、第3の発生源推定分布計算手順を行って発生源推定分布を得る大気拡散物質発生源探査装置20、当該大気拡散物質発生源探査装置20を用いた大気拡散物質発生源探査システム10、および大気拡散物質発生源探査方法では、発生源推定分布が完全に一致していなくても、最も近接した値をとる発生源推定分布を発生源推定分布DB18から抽出し強度校正をする(実際に現場で測定された濃度の2乗を掛ける)ことで発生源推定分布を得ることができるため、計算負荷を軽減することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…大気拡散物質発生源探査システム、11…コンピュータ、12…現場端末、14…大気拡散物質発生源探査PG、16…地図情報DB、17…風速場情報DB、18…発生源推定分布DB、20…大気拡散物質発生源探査装置、21…入力部、22…表示部、23…地図・風速場情報処理部、24…通信部、25…粒子逆追跡計算部、26…濃度計算部、27…発生源推定計算部(27a…位置推定計算部、27b…濃度情報決定部、27c…時間幅推定計算部、27d…ピーク値推定計算部)、28…表示処理部、29…発生源絞り込み処理部、30…発生源推定分布抽出処理部、31…記憶部、33…発生源強度校正処理部、34…制御部、35a…濃度χの等値線、35b…濃度χの等値線、35c…濃度χの等値線、36a…発生源推定強度χ(χ/χ)の等値線、36b…発生源推定強度χ(χ/χ)の等値線、36c…発生源推定強度χ(χ/χ)の等値線、37…解析メッシュ、40…現場データ取得装置、41…入力部、42…表示部、43…通信部、45…地図情報処理部、46…位置情報取得部、47…位置情報通知部、49…表示処理部、51…記憶部、52…測定制御部、53…I/F部、54…測定センサ、55…制御部、P1…粒子逆追跡発生点、P2,P3,P4…現場観測点、X,X…発生源として絞り込まれた領域、M…発生源から放出された物質、d,d,d…発生源から観測点A,B,Cまでの距離、L…切片(発生源での物質放出速度の時間幅)。

Claims (11)

  1. ある特定の位置から大気中に拡散している物質の空間濃度分布について、現場で取得した濃度測定情報に基づいて発生源を探査する装置であり、
    前記濃度測定情報に基づく濃度測定位置を起点とし、前記濃度測定情報に基づく現場測定された濃度の時間ピーク値を使用して時間変化のない一定の発生源強度として、物質拡散挙動をラグランジュモデル粒子の大気中での時間挙動追跡によりシミュレーションする粒子運動方程式を時間反転させ、粒子の発生源方向への逆追跡シミュレーションを行う粒子逆追跡計算部と、
    前記粒子逆追跡計算部が逆追跡シミュレーションを行って求めた各粒子の濃度を前記粒子の各々について積算して得られる空間濃度分布を探査すべき物質の位置の確率分布に変換する発生源推定計算部と、を具備することを特徴とする大気拡散物質発生源探査装置。
  2. 前記発生源推定計算部は、前記探査すべき物質の位置の確率分布から推定される前記発生源の位置情報と、複数の前記濃度測定位置で測定される前記濃度測定情報から特定される測定濃度の時間変化幅の情報とに基づき、前記発生源での物質の放出時間変化幅を推定することを特徴とする請求項1に記載の大気拡散物質発生源探査装置。
  3. 前記発生源推定計算部は、前記発生源での物質の放出時間変化幅を推定する一方、前記発生源での物質の放出速度のピーク値を仮設定することで特定される前記発生源から放出される物質の放出時間変化波形を使用したシミュレーション計算を実行して得られる濃度分布に基づく濃度のピーク値と、前記現場で取得した濃度測定情報での濃度のピーク値とを比較し、前記シミュレーション計算を実行して得られる濃度分布に基づく濃度のピーク値が前記現場で取得した濃度測定情報での濃度のピーク値と整合するように、前記発生源での物質の放出速度のピーク値を調整することで、前記発生源での物質の放出速度のピーク値を推定することを特徴とする請求項2に記載の大気拡散物質発生源探査装置。
  4. 前記発生源推定計算部が得た探査すべき物質の位置の確率分布が複数存在する場合、各確率分布において発生源位置としての確度が等値となる領域および同程度となる領域の一方を抽出する発生源絞り込み処理部をさらに具備する請求項1から3の何れか1項に記載の大気拡散物質発生源探査装置。
  5. 入力部から入力される前記現場の場所および気象条件と、アクセス可能な記憶領域に保持され、前記粒子逆追跡シミュレーションの発生点を解析対象領域内の場所に対応する格子点の各々について各気象条件で前記粒子逆追跡シミュレーションを行って得られた前記確率分布の各々を前記粒子逆追跡シミュレーション実行の際に設定した格子点および気象条件と関連付けた発生源推定分布データベースとを用いて、前記現場の場所および気象条件に最も近い一つの前記確率分布を抽出する発生源推定分布抽出処理部をさらに具備することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の大気拡散物質発生源探査装置。
  6. 前記発生源推定計算部は、前記空間濃度分布から前記探査すべき物質の発生源強度に比例する量を評価して前記探査すべき物質の発生源を推定することを特徴とすることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の大気拡散物質発生源探査装置。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の大気拡散物質発生源探査装置と、前記濃度測定情報を前記現場から前記大気拡散物質発生源探査装置へ情報伝送可能に接続される現場データ取得装置と、を具備することを特徴とする大気拡散物質発生源探査システム。
  8. 前記現場データ取得装置は、前記現場で測定した濃度の測定データを前記大気拡散物質発生源探査装置へ送信する通信部と、現在地の情報を外部から受信し、受信した前記現在地の情報を前記大気拡散物質発生源探査装置へ送信する位置情報通知部とを備えることを特徴とする請求項7に記載の大気拡散物質発生源探査システム。
  9. コンピュータを用いて、ある特定の位置から大気中に拡散している物質の空間濃度分布から前記物質の位置の確率分布を得て前記物質の発生源を探査する方法であり、
    粒子逆追跡計算部が、前記濃度測定情報に基づく濃度測定位置を起点とし、前記濃度測定情報に基づく現場測定された濃度の時間ピーク値を使用して時間変化のない一定の発生源強度として、物質拡散挙動をラグランジュモデル粒子の大気中での時間挙動追跡によりシミュレーションする粒子運動方程式を時間反転させ、粒子の発生源方向への逆追跡シミュレーションを行うステップと、
    発生源推定計算部が、前記逆追跡シミュレーションを行って求めた各粒子の濃度を前記粒子の各々について積算して得られる空間濃度分布を探査すべき物質の位置の確率分布に変換するステップと、を備えることを特徴とする大気拡散物質発生源探査方法。
  10. 前記発生源推定計算部が、前記探査すべき物質の位置の確率分布に変換するステップで前記探査すべき物質の位置の確率分布から推定される前記発生源の位置情報と、複数の前記濃度測定位置で測定される前記濃度測定情報から特定される測定濃度の時間変化幅の情報とに基づいて前記発生源での物質の放出時間変化幅を推定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の大気拡散物質発生源探査方法。
  11. 前記発生源推定計算部が、前記発生源での物質の放出時間変化幅を推定するステップで前記発生源での物質の放出時間変化幅を推定する一方、前記発生源での物質の放出速度のピーク値を仮設定することで特定される前記発生源から放出される物質の放出時間変化波形を使用したシミュレーション計算を実行して得られる濃度分布に基づく濃度のピーク値と、前記現場で取得した濃度測定情報での濃度のピーク値とを比較し、前記シミュレーション計算を実行して得られる濃度分布に基づく濃度のピーク値が前記現場で取得した濃度測定情報での濃度のピーク値と整合するように、前記発生源での物質の放出速度のピーク値を調整することで前記発生源での物質の放出速度のピーク値を推定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の大気拡散物質発生源探査方法。
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