JP2014214142A - トリアゾロピリミジン誘導体化合物 - Google Patents

トリアゾロピリミジン誘導体化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】脂溶性が低く、かつ、FABP4に特異的に結合しうるFABP4プローブを提供する。
【解決手段】本発明は、フッ素原子を含む、トリアゾロピリミジン誘導体化合物又はその塩、これを含む医薬組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明はトリアゾロピリミジン誘導体化合物に関する。
脂肪酸結合タンパク4(Fatty acid
binding protein-4,FABP4)は脂質代謝やインスリン感受性に関与する細胞内タンパク質であり、近年マクロファージにおける炎症活性促進機構が明らかとなっている。FABP4は動脈硬化病変に認められる資質の蓄積と炎症反応の二つの事象を結びつける新たなマーカーとして注目されており、インビボにおいて[3−[2−(3,4‐ジフェニル‐5‐エチル‐1H‐ピラゾール‐1‐イル)フェニル]フェノキシ酢酸(BMS309403)をはじめとしたFABP4選択的阻害剤により動脈硬化形成が抑制されることも報告されている。したがって、FABP4発現を非侵襲的に画像化できれば動脈硬化の病態解明や不安定性評価に有効であると期待される。
非特許文献1には、FABP4を標的とした新規核医学分子イメージングプローブの開発を計画し、プローブの母核にFABP4への高い親和性が報告されているトリアゾロピリミジン誘導体を選択し、放射性ヨウ素を導入した[123I]TAP1を設計・合成したことが記載されている。そして、非特許文献1においては、[125I]TAP1が、FABP4に対する解離係数が54.2nMであり、FABP3,5と比較してFABP4に高い結合性及び選択性を示すこと、[125I]TAP1のlogP値が2.7であること、[125I]TAP1のTHP‐1細胞への放射能集積はBMS309403により濃度依存的に阻害され、[125I]TAP1が細胞内FABP4に特異的に結合していることが示唆されること、体内放射能分布実験の結果、胃、甲状線への放射能集積は低く、生体内脱ヨウ素反応に対する安定性が示され、また、動脈硬化イメージングの際にバックグラウンドとなる正常大動脈への放射能集積も低いことから、[123I]TAP1は、FABP4イメージングプローブとしての基本的性質を有するとされている。
なお、放射性TAP1は、特許文献1にも記載されている。
特願2013−086848
日本分子イメージング学会機関誌、vol.5、No2.103頁、発行所:日本分子イメージング学会、発行日:2012年5月24日
しかしながら、本発明者らが、動脈硬化の動物モデルであるWHHLMIウサギに[123I]TAP1を投与したところ、[123I]TAP1は、生体内における病変部(大動脈)の放射能集積の特異性について、未だ改善の余地があることが明らかとなった。これは、[123I]TAP1は脂溶性が高いゆえに、正常組織に非特異的に集積したり、バックグラウンドが増加したり、ウォッシュアウトが遅くなったりすること等が理由として推察された。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、[123I]TAP1よりも脂溶性が低く、かつ、FABP4に特異的に結合しうるFABP4プローブを提供することにある。
本発明によれば、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩が提供される。
上記式(1)中、Xはフッ素原子であり、nは1以上3以下の整数である。
また、本発明によれば、上記式(1)記載の化合物を含む、医薬組成物が提供される。
また、本発明によれば、下記一般式(2)で表される化合物又はその塩が提供される。
上記式(2)中、Rは、ハロゲン原子、アルキルスルホン酸エステル基、ハロゲン化アルキルスルホン酸エステル基、若しくは、置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸エステル基であり、nは1以上3以下の整数である。
また、本発明によれば、上記式(2)で表される化合物又はその塩と、放射性フッ化物イオンとを反応させ、上記式(1)(ただし、式中、Xが放射性フッ素原子である。)で表される化合物又はその塩を合成する工程を含む、放射性フッ素標識有機化合物の製造方法が提供される。
本発明によれば、脂溶性が低く、かつ、FABP4に特異的に結合しうるFABP4プローブを提供することができる。
本発明に係る化合物の非標識体の合成スキームを示す図である。 本発明に係る化合物のFABP4に対する8‐アニリノ‐1‐ナフタレン‐スルホン酸(1,8‐ANS)阻害を示す図である。 本発明に係る化合物の[125I]TAP1に対する結合阻害活性を示す図である。 本発明に係る化合物の標識前駆体の合成スキームを示す図である。 本発明に係る化合物の放射性フッ素標識体の合成スキームを示す図である。 FABP4結合選択性の評価結果を示す図である。 18F]FTAP‐PEG1の正常マウス体内分布を示す図である。 18F]FTAP‐PEG1のマウス腫瘍モデルの体内分布を示す図である。 18F]FTAP‐PEG1のマウス腫瘍モデルにおける[18F]FTAP‐PEG1とFABP4との分布の一致性を示す図である。(a)、(c)が摘出腫瘍の薄切凍結切片のオートラジオグラフィーであり、(b)、(d)が隣接凍結切片((a)、(c)の切片の隣の切片)のFABP4免疫染色である。 18F]FTAP‐PEG1の生体内における安定性を評価した図である。(a)が投与前の[18F]FTAP−PEG1の分析結果を示し、(b)が腫瘍内の[18F]FTAP−PEG1の分析結果を示す。 培養状態のC6細胞のウェスタンブロッティングの結果を示す。 C6腫瘍細胞移植マウスから摘出した腫瘍のウェスタンブロッティングの結果を示す。
(トリアゾロピリミジン誘導体化合物)
本発明に係る化合物は、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
・5‐((3‐(2‐フルオロエトキシ)フェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン〔上記一般式(1)中、Xがフッ素原子であり、nが1の整数である化合物である。以下、「FTAP‐PEG1」と略記することもある。〕。
・5‐((3‐(2−(2‐フルオロエトキシ)エトキシ)フェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン〔上記一般式(1)中、Xがフッ素原子であり、nが2の整数である化合物である。以下、「FTAP‐PEG2」と略記することもある。〕。
・5‐((3‐(2−(2−(2‐フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン〔上記一般式(1)中、Xがフッ素原子であり、nが3の整数である化合物である。以下、「FTAP‐PEG3」と略記することもある。〕。
これら本発明に係る化合物は、塩を形成していてもよく、かかる塩が製薬学的に許容される塩において本発明に包含される。
本発明において「塩」には、無機若しくは有機の酸、又は、無機若しくは有機の塩基から誘導されるものが挙げられる。具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸、硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、マロン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アミン塩及びアンモニウム塩等が挙げられるが、これらに限定はされない。
前述のとおり、上記一般式(1)中、nは1以上3以下の整数であるが、好ましくは、nは1又は2の整数であり、より好ましくは、nは1の整数である。
本発明に係る化合物は、例えば、下記スキーム1に示す合成経路により合成することができる。
まず、m−ヒドロキシフェノールのm位のヒドロキシ基のみをベンジルなどの保護基(P)で保護した化合物(m−ヒドロキシフェノール保護体)を用意する。保護基(P)、及び、その導入方法は、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis,P17−245(Wiley−Interscience;4版)に記載のものを種々採用することができる。
また、一方の末端のヒドロキシ基がフルオロ基に置換され、他方の末端のヒドロキシ基が脱離基(L)に置換された、繰り返し数(n)が1〜3のエチレングリコール誘導体を用意する。FTAP‐PEG1を合成する場合においては、繰り返し数(n)が1のエチレングリコール誘導体を用い、FTAP‐PEG2を合成する場合においては、繰り返し数(n)が2のエチレングリコール誘導体を用い、FTAP‐PEG3を合成する場合においては、繰り返し数(n)が3のエチレングリコール誘導体を用いる。脱離基(L)としては、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;メタンスルホン酸エステル基などのアルキルスルホン酸エステル基;トリフルオロメタンスルホン酸エステル基などのハロゲン化アルキルスルホン酸エステル基;ベンゼンスルホン酸エステル基、4−メチルベンゼンスルホン酸エステル基、又は、4−ニトロベンゼンスルホン酸エステル基などの置換基を有してもよい芳香族スルホン酸エステル基等を用いることができる。
そして、用意したエチレングリコール誘導体と、m−ヒドロキシフェノール保護体とのSn2反応を、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基存在下に実行する(step1)。
次いで、step1で得られた化合物について、ヒドロキシ基の脱保護を行う(step2)。脱保護の方法としては、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis,P17−245(Wiley−Interscience;4版)に記載のものを種々採用することができる。
その後、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基存在下に、step2で得られた化合物と、5位のメチル基に脱離基(L)を備えた5‐メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン誘導体とのSn2反応を行う(step3)。脱離基(L)としては、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;メタンスルホニル基などのアルキルスルホニル基;トリフルオロメタンスルホニル基などのハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニル基、4−メチルベンゼンスルホニル基、又は、4−ニトロベンゼンスルホニル基などの置換基を有してもよい芳香族スルホニル基等を用いることができる。これにより、本発明に係る化合物を得ることができる。
(放射性フッ素標識トリアゾロピリミジン誘導体化合物)
上記一般式(1)中、Xはフッ素原子であるが、好ましい態様において、Xは放射性フッ素原子であり、具体的には、F‐18であることがより好ましい。F‐18で標識された化合物を投与することで、ポジトロン断層法(PET)により、非侵襲的にFABP4を検出することができる。
より具体的には、本発明の化合物は、以下に示す放射性フッ素標識化合物であることが好ましい。
・5‐((3‐(2‐[18F]フルオロエトキシ)フェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン〔上記一般式(1)中、Xが放射性フッ素原子(18F)であり、nが1の整数である化合物である。以下、「[18F]FTAP‐PEG1」と略記することもある。〕。
・5‐((3‐(2−(2‐[18F]フルオロエトキシ)エトキシ)フェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン〔上記一般式(1)中、Xが放射性フッ素原子(18F)であり、nが2の整数である化合物である。以下、「[18F]FTAP‐PEG2」と略記することもある。〕。
・5‐((3‐(2−(2−(2‐[18F]フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン〔上記一般式(1)中、Xが放射性フッ素原子(18F)であり、nが3の整数である化合物である。以下、「[18F]FTAP‐PEG3」と略記することもある。〕。
本発明に係る化合物として、上記一般式(1)中、Xが放射性フッ素原子である放射性化合物を採用する場合は、上記一般式(2)で表される化合物又はその塩を標識前駆体として用いることができる。塩としては、上記例示した塩を採用することができる。
上記式(2)中、Rとしては、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン原子;メタンスルホン酸エステル基などのアルキルスルホン酸エステル基;トリフルオロメタンスルホン酸エステル基などのハロゲン化アルキルスルホン酸エステル基;若しくは、ベンゼンスルホニルオキシ基、4‐メチルベンゼンスルホン酸エステル基、4‐ニトロベンゼンスルホニルオキシなどの、置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸エステル基が挙げられる。好ましくは、アルキルスルホン酸エステル基、ハロゲン化アルキルスルホン酸エステル基、又は、置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸エステル基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸エステル基であり、4‐メチルベンゼンスルホン酸エステル基が更に好ましい。
前述のとおり、上記式(2)中、nは1以上3以下の整数である。上記式(2)中nが1の化合物は、[18F]FTAP‐PEG1の標識前駆体、上記式(2)中nが2の化合物は、[18F]FTAP‐PEG2の標識前駆体、上記式(2)中nが3の化合物は、[18F]FTAP‐PEG3の標識前駆体として用いることができる。
これら標識前駆体は、例えば、下記スキーム2の合成経路に従って合成することができる。
まず、m−ヒドロキシフェノールのm位のヒドロキシ基のみをベンジルなどの保護基(P)で保護した化合物(m−ヒドロキシフェノール保護体)を用意する。保護基(P)、及び、その導入方法は、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis,pp.16−298(Wiley−Interscience;4版)に記載のものを種々採用することができる。
また、一方の末端のヒドロキシ基が脱離基(L)に置換された、繰り返し数(n)が1〜3のエチレングリコール誘導体を用意する。FTAP‐PEG1を合成する場合においては、繰り返し数(n)が1のエチレングリコール誘導体を用い、FTAP‐PEG2を合成する場合においては、繰り返し数(n)が2のエチレングリコール誘導体を用い、FTAP‐PEG3を合成する場合においては、繰り返し数(n)が3のエチレングリコール誘導体を用いる。脱離基(L)としては、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;メタンスルホン酸エステル基などのアルキルスルホン酸エステル基;トリフルオロメタンスルホニン酸エステル基などのハロゲン化アルキルスルホン酸エステル基;ベンゼンスルホン酸エステル基、4−メチルベンゼンスルホン酸エステル基、又は、4−ニトロベンゼンスルホン酸エステル基などの置換基を有してもよい芳香族スルホン酸エステル基等を用いることができる。
そして、用意したエチレングリコール誘導体と、m−ヒドロキシフェノール保護体とのSn2反応を、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基存在下に実行する(step1)。
次いで、step1で得られた化合物について、末端ヒドロキシ基に保護基(P)を導入する(step2)。保護基(P)、及び、その導入方法は、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis,pp.16−298(Wiley−Interscience;4版)に記載のものを種々採用することができる。
次いで、step2で得られた化合物について、フェノール性ヒドロキシ基(P)の脱保護を行う(step3)。脱保護の方法としては、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis,pp.16−298(Wiley−Interscience;4版)に記載のものを種々採用することができる。
その後、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基存在下に、step3で得られた化合物と、5位のメチル基に脱離基(L)を備えた5‐メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オンとのSn2反応を行う(step4)。脱離基(L)としては、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;メタンスルホン酸エステル基などのアルキルスルホン酸エステル基;トリフルオロメタンスルホン酸エステル基などのハロゲン化アルキルスルホニン酸エステル基;ベンゼンスルホン酸エステル基、4−メチルベンゼンスルホン酸エステル基、又は、4−ニトロベンゼンスルホン酸エステル基などの置換基を有してもよい芳香族スルホン酸エステル基等を用いることができる。
次いで、step4で得られた化合物について、ヒドロキシ基(P)の脱保護を行う(step5)。脱保護の方法としては、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis,pp.16−298(Wiley−Interscience;4版)に記載のものを種々採用することができる。
そして、ヒドロキシ基(P)に、求核置換反応によって放射性フッ素を導入する際の脱離基(R)を導入する。脱離基(R)としては、前述で例示したものを種々採用することができる。脱離基(R)としてハロゲンを採用する場合は、step5で脱保護したヒドロキシ基に、塩化チオニルや三臭化リンを作用することで、式(2)中Rがハロゲン原子である化合物を合成することができる。また、脱離基(R)としてスルホン酸エステルを採用する場合、step5で脱保護したヒドロキシ基に、ピリジン等の塩基存在下に、スルホン酸無水物、又は、スルホン酸ハロゲン化物を作用することで、式(2)中Rがスルホン酸エステル基である化合物を合成することができる。
(本発明に係る放射性フッ素標識トリアゾロピリミジン誘導体化合物の合成)
本発明に係る放射性フッ素標識トリアゾロピリミジン誘導体化合物は、その標識前駆体である、一般式(2)で表される化合物又はその塩に対し、放射性フッ化物イオンを反応させることで、合成することができる。放射性フッ化物イオンとしては[18F]フッ化物イオンが好ましい。[18F]フッ化物イオンは、[18O]水にサイクロトロンで加速した陽子を照射して18O(p,n)18Fの核反応を発生させることにより、製造することができる。製造した[18F]フッ化物イオンは、[18F]フッ素イオンを含むターゲット水を陰イオン交換樹脂に吸着させ、樹脂に吸着させた[18F]フッ素イオンを炭酸カリウム水溶液で脱離させることによって[18F]フッ素カリウムとして調製されることが好ましい。また、一般式(2)で表される化合物又はその塩の放射性フッ素標識反応は、上記調製した[18F]フッ素カリウムを用い、クリプトフィックス222(商品名)などの相間移動触媒、及び、炭酸カリウムなどの塩基存在下で実行することが好ましい。
(本発明に係るトリアゾロピリミジン誘導体化合物の使用方法)
本発明に係るトリアゾロピリミジン誘導体化合物は、FABP4に対して高い選択性及び高い親和性を有する。そのため、本発明に係る化合物のうち、F−18で標識された放射性化合物は、生体内の不安定プラーク(アテローム性プラーク)を検出及び可視化するための画像化剤として使用することができる。
(医薬組成物)
本発明において、「医薬組成物」とは、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を生体内への投与に適した形態で含む処方物と定義することができる。この医薬組成物には、本発明に係る化合物を有効成分とし、薬理学的に許容される担体、希釈剤、エマルジョン、賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、着色剤、安定化剤等の追加成分を含んでいても良い。本発明の医薬組成物は、経口投与又は非経口投与の投与方法に使用することができる。
本発明において「放射性医薬組成物」とは、上記定義される「医薬組成物」のうち、上記一般式(1)中Xが18Fである化合物又はその塩を有効成分として含有するものと定義することができる。この放射性医薬組成物の剤形は、非経口投与の投与方法に使用できるものが好ましく、静脈内投与、動脈内投与、局所投与、腹腔又は胸腔への投与、皮下投与、筋肉内投与、舌下投与、経皮投与又は直腸内投与等に使用できる注射剤がより好ましい。このような注射剤は、本発明に係る放射性トリアゾロピリミジン誘導体化合物を水、生理食塩液、又は、リンゲル液等に溶解させることで調製することができる。
本発明の放射性医薬組成物中の放射性トリアゾロピリミジン誘導体化合物の濃度は、放射性分解に対する安定性を確保できる濃度であればよい。
本発明の放射性医薬組成物は、ヒトを始めとする哺乳類動物に投与し、PET装置を用いて撮像することで、不安定プラーク(アテロームプラーク)を非侵襲的に画像化することができる。したがって、急性冠症候群(ACS)の診断及び予防に有用である。
以下、実施例及び比較例を記載して本発明をさらに詳しく説明する。
なお、説明の便宜のため、実施例及び比較例で用いる各化合物の名称を以下の様に定義する。
FTAP‐PEG1:5‐((3‐(2‐フルオロエトキシ)フェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン〔上記一般式(1)中、Xがフッ素原子であり、nが1の整数である化合物〕。
FTAP‐PEG3:5‐((3‐(2−(2−(2‐フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン〔上記一般式(1)中、Xがフッ素原子であり、nが3の整数である化合物〕。
TAP1:5‐((3‐ヨードフェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン
以下の実施例及び比較例に記載した各化合物の合成例において、化合物合成における各ステップは、必要に応じて複数回繰り返し行い、他の合成において中間体等として用いる際に必要な量を確保した。また、以下の各実施例は好適な例について記載したものであり、本発明の範囲を限定する意図ではない。
なお、本実施例においては特に断りのない限り、以下の装置を用いて分析・測定を行った。
NMR装置:JNM‐ECS400 日本電子株式会社製
LC‐MS装置:LCMS‐2010EV 島津製作所製
(実施例1) 非放射性FTAP‐PEG1の合成
非放射性FTAP‐PEG1は、以下のステップにて合成した(図1)。
[ステップ1−1]
ジメチルホルムアミド(27mL)に3‐ベンジロキシフェノール(0.92g、4.6mmol)と炭酸カリウム(1.27g、9.2mmol)を加え、10分室温で攪拌後、ここにジメチルホルムアミド(5mL)中の2‐フルオロエチル‐4−メチルベンゼンスルホネート(1g、4.6mmol)を加えた。105℃で一晩攪拌し後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣をを中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:8(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、1‐ベンジロキシ‐3‐(2‐フルオロエトキシ)ベンゼン(化合物1:0.9g、3.66mmol、収率79.6%)を得た。
化合物1のH−NMR(400MHz、重クロロホルム):7.44−7.31(m、5H)、7.21−7.17(t、8.472Hz、1H)、6.63−6.53(m、3H)、5.05(s、2H)、4.81−4.67(td、4.351、47.17Hz、2H)、4.24−4.15(td、4.351、27.478Hz、2H)。
[ステップ1−2]
化合物1(0.9g、3.7mmol)をメタノール(30mL)に加え、水酸化パラジウム/炭素(0.09g、0.64mmol)を添加した。水素気流下室温で1時間攪拌した。反応後セライト濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3(体積比)を溶出溶媒とする。)により精製し、定量的に3‐(2‐フルオロエトキシ)フェノール(化合物2)を得た。
引き続きジメチルホルムアミド(35mL)に化合物2(0.67g、4.3mmol)を加え、ここに炭酸カリウム(1.2g、8.7mmol)を加え、化合物2溶液を作製した。一方、ジメチルホルムアミド(10mL)に5‐(クロロメチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(0.76g、2.9mmol)を加え、攪拌後、上記作製した化合物2溶液に加えた。85℃で一晩攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、非放射性FTAP‐PEG1(0.12g、0.32mmol、化合物2に対する収率11.0%)を得た。
FTAP‐PEG1のLC‐MS(APCI):m/z 381(pos)、379(neg)。
FTAP‐PEG1のH‐NMR(400MHz、ジメチルスルホキシド−d6):8.11(d、8.243Hz、2H)、7.55−7.53(m、3H)、7.27−7.22(t、8.014Hz、1H)、6.69−6.62(m、3H)、6.12(s、1H)、5.11(s、2H)、4.81−4.19(m、4H)。
(実施例2) 非放射性FTAP‐PEG3の合成
非放射性FTAP‐PEG3は、以下のステップにて合成した(図1)。
[ステップ2−1]
ジメチルホルムアミド(15mL)に3‐ベンジロキシフェノール(0.65g、3.3mmol)と炭酸カリウム(0.91g、6.6mmol)を加え、10分室温で攪拌後、ここにジメチルホルムアミド(5mL)中の2‐[2‐(2−フルオロエトキシ)エトキシ]エチル‐4−メチルベンゼンスルホネート(1g、3.3mmol)を加えた。105℃で一晩攪拌し後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、1‐ベンジロキシ‐3‐(2‐(2‐(2−フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシベンゼン(化合物3:0.87g、2.6mmol、収率78.5%)を得た。
化合物3のH‐NMR(400MHz、重クロロホルム):7.44−7.32(m、5H)、7.19−7.15(t、8.014Hz、1H)、6.59−6.51(m、3H)、5.04(s、2H)、4.63−4.49(m、2H)、4.12−4.10(t、4.280Hz、2H)、3.89−3.84(t、5.037Hz、2H)、3.80−3.70(m、6H)。
[ステップ2−2]
化合物3(0.87g、2.6mmol)をメタノール(30mL)に加え、水酸化パラジウム/炭素(0.08g、0.57mmol)を添加した。水素気流下室温で1時間攪拌した。反応後セライト濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、3‐(2‐(2‐(2−フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェノール(化合物4:0.61g、2.5mmol、収率96.2%)を得た。
化合物4のH−NMR(400MHz、重クロロホルム):7.11−7.07(t、8.243Hz、1H)、6.48−6.41(m、3H)、5.57(s、aH)、4.62−4.48(m、2H)、4.10−4.08(t、4.809Hz、2H)、3.86−3.83(t、4.809Hz、2H)、3.80−3.70(m、6H)。
[ステップ2−3]
ジメチルホルムアミド(20mL)に化合物4(0.54g、2.2mmol)を加え、ここに炭酸カリウム(0.62g、4.5mmol)を加え、化合物4のジメチルホルムアミド溶液を作製した。一方、ジメチルホルムアミド(10mL)に5‐クロロメチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(0.39g、1.5mmol)を加え、攪拌後、上記作製した化合物4溶液に加えた。85℃で一晩攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、非放射性FTAP‐PEG3(0.18g、0.38mmol、収率25.3%)を得た。
FTAP‐PEG3のLC−MS(APCI):m/z 469(pos)、467(neg)。
FTAP‐PEG3のH−NMR(400MHz、ジメチルスルホキシド‐d6):8.14−8.12(d、7.327Hz、2H)、7.55−7.53(m、3H)、7.25−7.21(t、8.014Hz、1H)、6.66−6.59(m、3H)、6.11(s、1H)、5.10(s、2H)、4.57−4.44(m、2H)、4.10−4.08(t、4.351Hz、2H)、3.75−3.58(m、8H)。
(実施例3)FABP4に対する1,8‐ANS阻害実験
実施例1で得られた非放射性FTAP‐PEG1、及び、実施例2で得られた非放射性FTAP‐PEG3が、FABP4に対して特異的な結合親和性を有するか否か確認するため、蛍光性を持つFABP4結合性化合物の8‐アニリノ‐1‐ナフタレン‐スルホン酸(1,8‐ANS)を競合リガンドとした競合阻害実験を行った。10mmol/Lリン酸緩衝液pH7.4(以下、「PB」と略記することもある。)(0.12mL)と、FABP4(Cayman社;0.5mmol/L(PB溶液)、0.075mL)と、1,8−ANS(東京化成工業株式会社;6mmol/L、0.2体積%エタノール含有PB溶液)、0.075mL)と、段階的に希釈し0.25、0.061、0.015、0.0038、0.00095、0.000228、0.000057、0.000015mg/mLの濃度に調整した、各々の非放射性FTAP‐PEG1のジメチルスルホキシド溶液(0.03mL)とを加え、それぞれ、室温で5分間インキュベートした。その後0.09mLの各サンプルを96wellプレートにアプライし、蛍光強度をTECAN Infinite M200 PROを用いて測定した(励起波長:370nm、蛍光波長:475nm)。
また、FTAP‐PEG3については、上記非放射性FTAP‐PEG1のジメチルスルホキシド溶液(0.03mL)に代えて、0.30、0.075、0.019、0.0047、0.0012、0.00028、0.000072、0.0000187mg/mLの濃度に調整した非放射性FTAP‐PEG3のジメチルスルホキシド溶液(0.03mL)を、各々を用いて同様な操作を行った。
結果を図2に示す。検討の結果、1,8‐ANSとの競合阻害実験より算出された阻害定数(Ki)は、FTAP‐PEG1でKi=68.0nM、FTAP‐PEG3はKi=485nMであった。
(参考例1)[125I]TAP1の合成
125I]TAP1の合成は、以下のステップに沿って合成した。
[ステップ3−1]
ピリジン(112mL)に重炭酸アミノグアニジン(11.6g、85.4mmol)を氷冷下で加え、ここに塩化ベンゾイル(10g、71.1mmol)を少しずつ添加した。混合溶液を室温で20時間攪拌後、溶媒を減圧留去し、残渣に水(58mL)と2mol/L水酸化ナトリウム(46mL)を加え、室温で24時間攪拌した。反応終了後、得られた析出物を吸引濾過により回収し、N‐ベンズアミドグアニジン(4.76g、26.7mmol、収率37.6%)を得た。
N‐ベンズアミドグアニジンのH−NMR(400MHz、ジメチルスルホキシド‐d6):10.25(br、s、1H)、7.93−7.91(m、2H)、7.26−7.25(m、3H)、6.82(br、s、2H)、6.69(br、s、2H)。
[ステップ3−2]
ステップ3−1で得られたN‐ベンズアミドグアニジン(4.76g、26.7mmol)を水40mLに加え、110℃で6時間加熱還流した。反応終了後、反応溶液を減圧留去し、3‐フェニル‐1H‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐アミン(3.0g,18.7mmol、収率70.1%)を得た。
3‐フェニル‐1H‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐アミンのH−NMR(400MHz、ジメチルスルホキシド‐d6):12.11(br、s、1H)、7.88−7.86(d、2H、J=8.78Hz)、7.40−7.36(m、2H)、7.33−7.29(m、1H)、6.05(br、s、2H)。
[ステップ3−3]
ステップ3−2で得られた3‐フェニル‐1H‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐アミン(0.95g、5.93mmol)を酢酸15mLに溶解し、4−クロロアセト酢酸エチル(1.07g、6.52mmol)を加え、80℃で一晩攪拌した。反応終了後、析出物を吸引濾過し、5‐塩化メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(1.0g,3.86mmol;収率65.1%)を得た。
5−塩化メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オンのH−NMR(400MHz、ジメチルスルホキシド‐d6):8.12(s、2H)、8.12−8.10(m、2H)、7.55−7.53(m、3H)、6.20(s、1H)、4.68(s、2H)。
[ステップ3−4]
ジメチルホルムアミド(7mL)に3‐ブロモフェノール(0.34g、1.53mmol)と炭酸カリウム(0.21g、1.53mmol)を加え、3‐ブロモフェノール溶液を作製した。ステップ3−3で得られた5‐塩化メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(0.20g、0.767mmol)をジメチルホルムアミド(3mL)に溶解し、上記作製した3‐ブロモフェノール溶液に加え、85℃で19時間攪拌した。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した。抽出した酢酸エチルに無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、5‐((3‐ブロモフェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(0.12g、0.314mmol、収率40.9%)を得た。
5‐((3‐ブロモフェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オンのLC−MS(ESI):m/z 397(pos)、395(neg)。
[ステップ3−5]
ステップ3−4で得られた5‐((3‐ブロモフェノキシ)メチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(0.05g、0.113mmol)をジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、トリエチルアミン(2.5mL)を加えた後ビストリブチルスズ(0.13g、0.226mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.013g、0.0113mmol)を加え、100℃で4時間加熱還流した。反応後溶媒を減圧留去後、残渣にクロロホルムを加え溶解し、中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製した後、更に薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1(体積比)を展開溶媒とした。)で精製を行い、2‐フェニル‐5‐((3‐トリブチルスタニルフェノキシ)メチル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(0.016g,0.026mmol;収率23.1%)を得た。
2‐フェニル‐5‐((3‐トリブチルスタニルフェノキシ)メチル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オンのLC−MS(ESI):m/z 607(neg)。
[ステップ3−6]
ステップ3−5で得られた2‐フェニル‐5‐((3‐トリブチルスタニルフェノキシ)メチル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(1mg、0.0016mmol)に1体積%酢酸含有メタノール(0.4mL)、N‐クロロスクシンイミド(2.4mg)、及び、メタノール(4.8mL)を加え、TAP1標識前駆体溶液を調製した。次いで、調製したTAP1標識前駆体溶液(0.163mL)に、N−クロロスクシンイミドのメタノール溶液(0.5mg/mL、0.044mL)、及び、[125I]ヨウ化ナトリウム水溶液(37MBq、0.02mL)を添加し、室温で30分攪拌した。反応液に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(0.01mL)を添加して反応を終了させ、溶媒を留去後、酢酸エチル(0.5mL)、水(0.5mL)を添加し分液操作を行った。酢酸エチル相を回収後、硫酸ナトリウム(2.5g)を加え脱水後、溶媒を減圧留去した後、メタノール(0.15mL)を添加し、メタノール溶液とした。得られたメタノール溶液をHPLC(島津製作所製総液ユニットLC20−A,カラム5C18‐AR‐II 移動相0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル:0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液=63:37(体積比)、流速1.5ml/分)にかけ、保持時間36.08分のピークを目的とする[125I]TAP1の画分として同定し、分取した。分取溶液に酢酸エチル(0.5mL)を加え分液操作を行い、酢酸エチル相を回収後、硫酸ナトリウム2.5gを加えて脱水後、溶媒を減圧留去し、メタノール(0.2mL)を加えメタノール溶液として[125I]TAP1溶液を作製した。
なお、[125I]TAP1の標識収率は放射化学的収率24%であり、放射化学的純度は99%以上であった。[125I]TAP1の放射化学的純度は、下記に示す条件下HPLCにて分析した。また、後述する方法(ステップ4)で合成した非放射性TAP1と保持時間が同じであることを確認した。
HPLC分析条件:
カラム COSMOSIL(登録商標、ナカライテスク株式会社)(5C18−ARII 10×250mm I.D.)
カラム温度 室温
移動相 0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液:0.1%(v/v)トリフルオロ酸含有アセトニトリル=37/63
流速 1.5mL/分
検出 RI DETECTOR US−3000T(ユニバーサル技研)
注入量 200μL
保持時間 17.8分
(参考例2)非放射性TAP1の合成
[ステップ4]
ジメチルホルムアミド(7mL)に3‐ヨウ化フェノール(0.34g、1.53mmol)と炭酸カリウム(0.21g、1.53mmol)を加え、3−ヨウ化フェノール溶液を作製した。ジメチルホルムアミド3mLに上記ステップ3−3で得られた5−塩化メチル−2−フェニル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7(4H)−オン(0.20g、0.767mmol)を加え攪拌し溶解した後、上記作製した3−ヨウ化フェノール溶液に加え、85℃で19時間攪拌した。反応後溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルで抽出し、抽出した酢酸エチルに無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、非放射性TAP1(0.11g,0.25mmol;収率31.9%)を得た。
非放射性TAP1のH‐NMR(400MHz、ジメチルスルホキシド‐d6):8.12−8.10(m、2H)、7.54−7.46(m、3H)、7.43−7.42(t、1H、J=1.832Hz)、7.36−7.33(dt、1.374、7.327Hz、1H)、7.13−7.06(m、2H)、5.96(s、1H)、5.05(s、2H)。
非放射性TAP1のLC‐MS(ESI):m/z445(pos)、443(neg)。
(実施例4)[125I]TAP1に対する結合阻害活性の確認
FABP4を固相化して、参考例1で合成した[125I]TAP1の飽和実験を行った。まず、本実施例で使用する2種の緩衝液を以下の組成で調製した。
・プロテイン結合バッファー(Protein binding buffer):
50mmol/L リン酸二水素一ナトリウム水溶液
300mmol/L 塩化ナトリウム水溶液
10mmol/L イミダゾール水溶液
pH=8
・インタラクションバッファー(Interaction buffer)
50mmol/Lリン酸二水素一ナトリウム水溶液
300mmol/L塩化ナトリウム水溶液
10mmol/Lイミダゾール水溶液
0.005体積%ポリソルベート(商品名:Tween80)水溶液
pH=8
また、参考例1に示す方法で合成した非放射性TAP1をインタラクションバッファーで、0.045、0.009、0.0018、0.00036mg/mLの濃度に調整した。
また、実施例1に示す方法で合成した非放射性FTAP‐PEG1は、インタラクションバッファーで、0.096、0.038、0.0077、0.0015、0.00031mg/mLの濃度に調整した。
また、実施例2に示す方法で合成した非放射性FTAP‐PEG3は、インタラクションバッファーで、0.118、0.047,0.0095,0.0019、0.00038mg/mLの濃度に調整した。
反応槽(エッペンドルフチューブ)に、プロテイン結合バッファー(0.5mL)、Ni−NTAビーズ(QIAGEN社製、Ni‐NTA Magnetic Agarose Beads、20μL)、及び、FABP4水溶液(Cayman社、0.75mg/mL、2μL)を添加し、室温1時間にてインキュベートを行い、上清除去後1重量%BSA(牛血清アルブミン)緩衝液(Cayman社、1重量%BSA含有プロテイン結合バッファー)を添加して室温30分にてインキュベートを行った。上清除去後、上記調製した非放射性TAP1(0.045、0.009、0.0018、0.00036mg/mL)、非放射性FTAP‐PEG1(0.096、0.038、0.0077、0.0015、0.00031mg/mL)、又は、非放射性FTAP‐PEG3(0.118、0.047,0.0095,0.0019、0.00038mg/ml)の各々と、[125I]TAP1(13.2kBq)とを混合した各々の溶液(0.05mL)、及び、インタラクションバッファー(0.4mL)を添加し、室温1時間にてインキュベートを行った。非特異的結合群は、非放射性TAP1(0.09mg/mL、10体積%ジメチルスルホキシド含有インタラクションバッファー、0.05mL)を同時に添加した。上清除去後、5体積%エタノール緩衝液(5体積%エタノール含有プロテイン結合バッファー)で洗浄操作を行った後、反応槽の放射能測定をオートウェルガンマカウンタ(Auto Well Gamma System、ARC−380CL、ARC−2000、ALOKA社製)を用いて行った。
結果を表1、図3に示す。[125I]TAP1との競合阻害実験より算出された50%阻害濃度(IC50)は、TAP1の0.3μmol/Lに対し、FTAP‐PEG1は0.45μmol/L、FTAP‐PEG3は5.0μmol/Lであった。
(実施例5)FTAP‐PEG1及びFTAP‐PEG3の細胞膜透過性の確認
FTAP‐PEG1及びFTAP‐PEG3が、細胞内のFABP4に対しアクセス可能か否か、細胞膜透過性を評価することにより確認した。細胞膜透過性の評価は、BD GentestTMプレコートPAMPAプレートシステム(BD Biosciences社製)を用いて実施した。
まず、実施例1に示す方法で合成した非放射性FTAP‐PEG1を2.5体積%ジメチルスルホキシド含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS(−)緩衝液)にて、0.038、0.076mg/mLの濃度に調製した。
また、実施例2に示す方法で合成した非放射性FTAP‐PEG3を2.5体積%ジメチルスルホキシド含有PBS(−)緩衝液にて、0.047、0.094mg/mLの濃度に調整した。
BD GentestTMプレコートPAMPAプレートシステムのレシーバープレート(ドナープレート)に、上記調製した、非放射性FTAP‐PEG1(0.038、0.076mg/mL)、及び、非放射性FTAP‐PEG3(0.047、0.094mg/mL)の溶液(0.2mL)を注入した。2.5体積%ジメチルスルホキシド含有リン酸緩衝生理食塩水(0.3mL)をフィルタープレート(アクセプタープレート)に注入し、両プレートをセットした後、室温にて4時間インキュベーションを行った。その後、元の溶液に加え、両プレートの吸光度(280nm)を測定し、下記式(1)に示す細胞膜透過性算出式より細胞膜透過性(Pe)を求めた。
その結果、FTAP‐PEG1はPe=1.5×10−6cm/sであり、FTAP‐PEG3はPe=0.9×10−6cm/sであった。
(実施例6)FTAP‐PEG1標識前駆体の合成
放射性FTAP‐PEG1([18F]FTAP‐PEG1)標識前駆体は、以下のステップにて合成した(図4)。
[ステップ5−1]
ジメチルホルムアミド(60mL)に3‐ベンジロキシフェノール(2.0g、10mmol)と炭酸カリウム(4.0g、30mmol)を加え、10分室温で攪拌後、ここにジメチルホルムアミド(10mL)中の2‐ブロモエタノール(3.8g、30mmol)を加えた。105℃で一晩攪拌し後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:8(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、2‐(3‐ベンジロキシ)フェノキシエタノール(化合物5、1.8g、7.4mmol、収率74.0%)を得た。
化合物5のH‐NMR(400MHz、重クロロホルム):7.44−7.33(m、5H)、7.21−7.17(t、8.472Hz、1H)、6.62−5.05(m、3H)、4.07−4.05(m、2H)、3.97−3.93(m、2H)であった。
[ステップ5−2]
ジクロロメタン(20mL)に化合物5(1.8g、7.4mmol)を加え、ここにtert‐ブチルジメチルクロロシラン(1.8g、11.8mmol)、イミダゾール(1.0g、14.8mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧留去後、残渣にクロロホルムを加え、中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:8(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、2‐(3‐ベンジルオキシ)フェノキシエチル‐tert‐ブチルジメチルシリルエーテル(化合物6、2.0g、5.6mmol、収率75.7%)を得た。
化合物6のH‐NMR(400MHz、重クロロホルム):7.44−7.32(m、5H)、7.19−7.14(t、8.243Hz、1H)、6.59−6.51(m、3H)、5.04(s、2H)、4.02−4.00(t、4.809Hz、2H)、3.97−3.94(t、4.580Hz、2H)、0.91(s、9H)、0.10(s、6H)。
[ステップ5−3]
化合物6(2.0g、5.6mmol)をメタノール(40mL)に加え、水酸化パラジウム/炭素(0.2g)を添加した。水素気流下室温で3時間攪拌した。反応後セライト濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:8(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、3‐(2‐tert‐ブチルジメチルシロキシエトキシ)フェノール(化合物7、1.4g、5.2mmol、収率93.2%)を得た。
化合物7のH‐NMR(400MHz、重クロロホルム):7.13−7.09(t、8.472Hz、1H)、6.50−6.41(m、3H)、4.02−3.94(m、4H)、0.91(s、9H)、0.10(s、6H)。
[ステップ5−4]
ジメチルホルムアミド(40mL)に化合物7(0.96g、3.6mmol)を加え、ここに炭酸カリウム(0.99g、7.2mmol)を加えて、化合物7溶液を作製した。一方、ジメチルホルムアミド(10mL)に5‐(クロロメチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(0.63g、2.4mmol)を加え、攪拌後、上記作製した化合物7溶液に加えた。85℃で一晩攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1を溶出溶媒とした。)により精製し、5‐(3‐(2‐tert‐ブチルジメチルシロキシエトキシ)フェノキシ)メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(化合物8、0.52g、1.0mmol、収率41.7%)を得た。
化合物8のLC‐MS(APCI):m/z 493(pos)、491(neg)。
[ステップ5−5]
テトラヒドロフラン(10mL)に化合物8(0.25g、0.51mmol)を加え、ここにテトラ‐n‐ブチルアンモニウムフロリド(0.16g、0.61mmol)を氷上で少しずつ加えた。室温で一晩攪拌後、溶媒を減圧留去後、残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1を溶出溶媒とした。)により精製し、5‐(3‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェノキシ)メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(化合物9、0.22g、0.57mmol、収率100%)を得た。
化合物9のH‐NMR(400MHz、ジメチルスルホキシド‐d6):8.13−8.11(dd、8.243、1.374Hz、2H)、7.54−7.48(m、3H)、7.22−7.18(t、8.701Hz、1H)、6.62−6.55(m、3H)、5.96(s、1H)、5.02(s、2H)、3.98−3.96(t、4.809Hz、2H)、3.18−3.14(m、2H)。
[ステップ5−6]
ジクロロメタン(10mL)に化合物9(0.22g、0.57mmol)を加え、ここにp‐トルエンスルホニルクロリド(0.16g、0.86mmol)、トリエチルアミン(0.12g、1.14mmol)、N,N‐ジメチル‐4‐アミノピリジン(0.007g、0.057mmol)を氷上で少しずつ加えた。室温で一晩攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、5‐(3‐(2‐(p‐トルエンスルホニルオキシ)エトキシ)フェノキシ)メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(FTAP‐PEG1標識前駆体、0.13g、0.23mmol、収率41.2%)を得た。
LC‐MS(APCI):m/z 533(pos)、531(neg)。
FTAP‐PEG1標識前駆体のH‐NMR(400MHz、ジメチルスルホキシド‐d6):8.14−8.11(d、10.076、2H)、7.81−7.79(d、8.246Hz、2H)、7.55−7.47(m、5H)、7.23−7.19(t、7.785Hz、1H)、6.67−6.49(m、3H)、6.11(s、1H)、5.09(s、2H)、4.34−4.32(m、2H)、4.17−4.15(m、2H)、2.41(s、3H)
(実施例7)放射性FTAP‐PEG3標識前駆体の合成
放射性FTAP−PEG3([18F]FTAP‐PEG3)の標識前駆体は以下のステップにて合成した(図4)。
[ステップ6−1]
ジメチルホルムアミド(60mL)に3‐ベンジロキシフェノール(2.0g、10mmol)と炭酸カリウム(4.0g、30mmol)を加え、10分室温で攪拌後、ここにジメチルホルムアミド(10mL)中の2‐[2‐(2‐クロロエトキシ)エトキシ]エタノール(5.1g、30mmol)を加えた。80℃で一晩攪拌し後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1を溶出溶媒とした。)により精製し、2‐(2‐(2‐(3‐ベンジロキシ)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール(化合物10、2.5g、7.5mmol、収率75.0%)を得た。
化合物10のH−NMR(400MHz、重クロロホルム):7.43−7.30(m、5H)、7.19−7.15(t、8.243Hz、qH)、6.60−6.52(m、3H)、5.04(s、2H)、4.13−4.10(t、5.266Hz、2H)、3.86−3.84(t、5.266Hz、2H)、3.74−3.70(m、6H)、3.62−3.61(t、4.58Hz、2H)。
[ステップ6−2]
ジクロロメタン(20mL)に化合物10(2.5g、7.5mmol)を加え、ここにtert‐ブチルジメチルクロロシラン(1.8g、11.8mmol)、イミダゾール(1.0g、14.8mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧留去後、残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3を溶出溶媒とした。)により精製し、2‐(2‐(2‐(3‐ベンジロキシ)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチル‐tert‐ブチルジメチルシリルエーテル(化合物11、3.2g、7.2mmol、収率96.0%)を得た。
引き続き、化合物11(3.2g、7.2mmol)をメタノール(50mL)に加え、水酸化パラジウム/炭素(0.3g、)を添加した。水素気流下室温で2時間攪拌した。反応後セライト濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3(体積比)を溶出溶媒とした。)により精製し、3‐(2‐(2‐(2‐(tert‐ブチルジメチルシロキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェノール(化合物12、1.3g、3.7mmol、収率50.7%)を得た。
化合物12のH−NMR(400MHz、重クロロホルム):7.05−7.01(t、7.556Hz、1H)、6.41−6.34(m、3H)、4.04−4.02(t、4.630Hz、2H)、3.77−3.75(t、4.579Hz、2H)、3.72−3.70(t、5.266Hz、2H)、3.65−3.49(m、6H)、0.82(s、9H)、−0.00229(s、6H)。
[ステップ6−3]
ジメチルホルムアミド(50mL)に化合物12(1.3g、3.6mmol)を加え、ここに炭酸カリウム(0.99g、7.2mmol)を加え、化合物12溶液を作製した。一方、ジメチルホルムアミド(10mL)に5‐(クロロメチル)‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(0.63g、2.4mmol)を加え、攪拌後、上記作製した化合物12溶液に加えた。85℃で一晩攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1を溶出溶媒とした。)により精製し、(3‐(2‐(2‐(2‐(tert‐ブチルジメチルシロキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェノキシ)メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(化合物13、0.51g、0.88mmol、化合物12に対して収率36.5%)を得た。
化合物12のLC‐MS(APCI):m/z 581(pos)、579(neg)。
化合物12のH‐NMR(400MHz、重クロロホルム):8.28−8.26(d、9.159Hz、2H)、7.46−7.44(m、3H)、7.19−7.15(t、8.014Hz、1H)、6.59−6.43(m、1H)、6.06(s、1H)、5.01(s、2H)、4.10−4.08(t、4.580Hz、2H)、3.87−3.84(t、4.580Hz、2H)、3.80−3.77(t、5.953Hz、2H)、3.73−3.58(m、6H)、0.88(s、9H)、0.05(s、6H)。
[ステップ6−4]
テトラヒドロフラン(5mL)に化合物13(0.10g、0.17mmol)を加え、ここにテトラ‐n‐ブチルアンモニウムフロリド(0.05g、0.21mmol)を氷上で少しずつ加えた。室温で一晩攪拌後、溶媒を減圧留去後、残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1を溶出溶媒とした。)により精製し、(3‐(2‐(2‐(2‐ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェノキシ)メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(化合物14、0.08g、0.17mmol、収率100%)を得た。
化合物14のH‐NMR(400MHz、ジメチルスルホキシド‐d6):8.13−8.11(d、6.869Hz、2H)、7.51−7.46(m、3H)、7.21−7.17(t、8.701Hz、1H)、6.62−6.55(m、3H)、5.89(s、1H)、4.99(s、2H)、4.08−4.07(t、4.58Hz、2H)、3.74−3.72(t、4.58Hz、2H)、3.59−3.43(m、8H)。
[ステップ6−5]
ジクロロメタン10mLに化合物14(0.08g、0.17mmol)を加え、ここにp‐トルエンスルホニルクロリド(0.03g、0.16mmol)、トリエチルアミン(0.03g、0.34mmol)、N,N‐ジメチル‐4‐アミノピリジン(0.0002g、0.017mmol)を氷上で少しずつ加えた。室温で一晩攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水後、溶媒を減圧留去した。残渣を中圧分取クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1を溶出溶媒とした。)により精製し、(3‐(2‐(2‐(2‐(p‐トルエンスルホニルオキシ)エトキシ)エトキシ)フェノキシ)メチル‐2‐フェニル‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリミジン‐7(4H)‐オン(FTAP‐PEG3標識前駆体、0.02g、0.03mmol、収率20.0%)を得た。
FTAP−PEG3標識前駆体のLC−MS(APCI):m/z 621(pos)、619(neg)。
FTAP−PEG3標識前駆体のH−NMR(400MHz、重クロロホルム):8.25−8.23(d、8.243Hz、2H)、7.79−7.78(d、6.411Hz、sH)、7.46−7.28(m、5H)、7.23−7.19(t、8.701Hz、1H)、6.62−6.53(m、3H)、6.06(s、1H)、5.06(s、2H)、4.18−4.11(m、4H)、3.85−3.82(t、4.351Hz、2H)、3.74−3.66(m、6H)、2.41(s、3H)。
(実施例8)放射性FTAP‐PEG1の標識合成
放射性FTAP‐PEG1([18F]FTAP‐PEG1)の標識合成は以下のステップにて行った(図5)。
まず、4,7,13,16,21,24‐ヘキサオキサ‐1,10‐ジアゾビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(15mg)に[18F]フッ化カリウム(2000MBq、0.1mL)水溶液、66mmol/L炭酸カリウム(0.1mL)水溶液を加え、ボルテックス後、アセトニトリル(0.3mL)を加え、窒素ガス気流下120℃で加熱を3回繰り返した。その後ジメチルスルホキシド(0.25mL)中、実施例6で合成したFTAP‐PEG1の標識前駆体(2mg)を加え、130℃で10分加熱した。その後、ウォーターズ社製Sep‐Pak(登録商標)C18を用いて溶媒をアセトニトリルに置換した。得られた[18F]FTAP‐PEG1のアセトニトリル溶液をHPLC(装置:LC−20A、株式会社島津製作所製;カラム:5C18‐AR‐II、10×250mm;溶離液:アセトニトリル(0.1体積%TFA含有)/水(0.1体積%TFA含有)(体積比)=50/50(0分)から70/30(40分)へグラジエント)により分取精製し、目的の[18F]FTAP‐PEG1の分画を得て、水を留去した後、酢酸エチルを加え、分液操作を行い、有機相を回収後、硫酸ナトリウムに通じ、酢酸エチルを留去後、アセトニトリルを加え、目的物をアセトニトリル溶液(174MBq)として得た。得られた[18F]FTAP‐PEG1の純度を確認するために、以下の条件でHPLCの分析を行った。
HPLC分析条件:
カラム COSMOSIL(登録商標)、5C18‐ARII、10×250mm I.D.、ナカライテスク株式会社製
カラム温度 室温
溶離液 A液:0.1%(v/v)トリフルオロメタンスルホン酸含有水、B液:0.1%(v/v)トリフルオロメタンスルホン酸含有アセトニトリル
移動相 A/B:50/50(体積比)からA/B:30/70(体積比)へ40分かけてグラジエント
流速 1.5mL/分
検出 RI DETECTOR US−3000T(ユニバーサル技研)
注入量 200μL
保持時間21分
その結果、上記方法にて得られた[18F]FTAP‐PEG1は、放射化学的収率が17.3%であり、放射化学的純度は98%以上であった。[18F]FTAP‐PEG1の同定は、上記HPLC条件下にて、実施例1で合成した非放射性FTAP‐PEG1と保持時間が同じであることを確認することにより行った。得られた[18F]FTAP‐PEG1は、濃縮してアセトニトリルを除去した後、0.1体積%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(商品名tween80)入り生理食塩水溶液に溶解して、以下の実施例で使用した。
(実施例9)放射性FTAP‐PEG3の標識合成
放射性FTAP‐PEG1([18F]FTAP‐PEG1)の標識合成は以下のステップにて行った(図5)。
まず4,7,13,16,21,24‐ヘキサオキサ‐1,10‐ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(15mg)に[18F]フッ化カリウム水溶液(966MBq、0.1mL)、66mmol/L炭酸カリウム水溶液(0.1mL)を加え、ボルテックス後、アセトニトリル(0.3mL)を加え、窒素ガス気流下120℃で加熱を3回繰り返した。その後ジメチルスルホキシド(0.25mL)中、実施例7で合成したFTAP−PEG3の標識前駆体(2mg)を加え、130℃で10分加熱した。その後、ウォーターズ社製Sep−Pak(登録商標)C18を用いて溶媒をアセトニトリルに置換した。得られた[18F]FTAP‐PEG3のアセトニトリル溶液をHPLC(装置:LC−20A、株式会社島津製作所製;カラム:5C18‐AR‐II、10×250mm;移動相:アセトニトリル(0.1体積%TFA含有)/水(0.1体積%TFA含有)(体積比)=50/50(0分)から70/30(40分)へグラジエント)により分取精製し、目的の[18F]FTAP‐PEG3の分画を得て、水を留去した後、酢酸エチルを加え、分液操作を行い、有機相を回収後、硫酸ナトリウムに通じ、酢酸エチルを留去後、アセトニトリルを加え、目的物をアセトニトリル溶液(2.7MBq)として得た。得られた[18F]FTAP‐PEG3の純度を確認するために、HPLCの分析を行った。
HPLC分析条件:
カラム COSMOSIL(登録商標)、5C18−ARII 10×250mm I.D.、ナカライテスク株式会社
カラム温度 室温
溶離液 A液:0.1%(v/v)トリフルオロメタンスルホン酸含有水、B液:0.1%(v/v)トリフルオロメタンスルホン酸含有アセトニトリル
移動相 A/B:50/50(体積比)からA/B:30/70(体積比)へ40分かけてグラジエント
流速 1.5mL/分
検出 RI DETECTOR US−3000T(ユニバーサル技研)
注入量 200μL
保持時間21分
その結果、上記方法にて得られた[18F]FTAP‐PEG3は、放射化学的収率が23.5%であり、放射化学的純度は98%以上であった。[18F]FTAP‐PEG3の同定は、上記HPLC条件下にて、実施例2で合成した非放射性FTAP‐PEG1と保持時間が同じであることを確認することにより行った。得られた[18F]FTAP‐PEG3は、濃縮してアセトニトリルを除去した後、0.1体積%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(商品名tween80)入り生理食塩水溶液に溶解して、以下の実施例で使用した。
(実施例10)[18F]FTAP‐PEG1及び[18F]FTAP‐PEG3のlogP値測定
18F]FTAP‐PEG1及び[18F]FTAP‐PEG3の体内動態等に大きく影響を与える疎水性について評価するため、logP値の測定を行った。
リン酸緩衝生理食塩水(PBS(−))(3.0mL)及びオクタノール(3.0mL)の混合液に、実施例8に示す方法で得られた[18F]FTAP‐PEG1のtween80入り生理食塩水溶液(0.004MBq、20μL)、又は、実施例9に示す方法で得られた[18F]FTAP‐PEG3のtween80入り生理食塩水溶液(0.004MBq、20μL)を加え、ボルテックス後、遠心分離(1000g、5分)し、オクタノール相及び水相のそれぞれから、0.5mLずつ3本のチューブに回収した。更に残りのオクタノール相(1mL)に、オクタノール(2mL)及びPBS(−)(3mL)を加え、ボルテックス後、遠心分離(1000g、5分)し、再びオクタノール相、水相それぞれから、0.5mLずつ3本のチューブに回収した。それぞれのチューブをガンマカウンタ(1480 Automatic Gamma Counter Wizard 3、Perkin Elmer社製)で測定し、オクタノール相の放射能の平均を水相の放射能の平均で除した値の対数をとる事によりLogP値を求めた。また、[18F]FTAP‐PEG1又は[18F]FTAP‐PEG3に代えて、参考例1で合成した[125I]TAP1を用いて同様な操作を行い、[125I]TAP1のLogP値も求めた。
結果を表2に示す。表2には、参考のため、AcDLabs 6.0で求めたcLogPの結果も合わせて示した。表2に示すとおり、[18F]FTAP‐PEG1のlogP値は1.66、[18F]FTAP‐PEG3のlogP値は1.14であり、[125I]TAP1のlogP値2.74よりも低く、親水性が高いことが示された。
(実施例11)[18F]FTAP‐PEG1の固相化FABP4結合選択性評価
18F]FTAP‐PEG1のFABP4に対する結合選択性評価を、FABP4サブタイプであるFABP3、5に対する結合性を比較することで行った。
まず、実施例4と同様な組成で、プロテイン結合バッファー、及び、インタラクションバッファーを調製した。反応槽(エッペンドルフチューブ)にプロテイン結合バッファー(0.5mL)、Ni‐NTAビーズ(Ni‐NTA Magnetic Agarose Beads、QIAGEN社製)(20μL)、及び、FABP4溶液(0.75mg/mL、50mmol/Lリン酸バッファー、pH=7.2、20体積%グリセロール、100mmol/L塩化ナトリウム含有、Cayman社)、及び、FABP3、5の溶液(それぞれ0.50、0.70mg/mL、50mmol/Lリン酸バッファー、pH=7.2、20体積%グリセロール、100mmol/L塩化ナトリウム含有、Cayman社)2μLを添加し、室温1時間にてインキュベートを行い、上清除去後1重量%BSA(ウシ血清アルブミン)緩衝液(1重量%BSA含有プロテイン結合バッファー)を添加して室温30分にてインキュベートを行った。上清除去後、実施例8に示す方法で得られた[18F]FTAP‐PEG1のtween80入り生理食塩水溶液(0.081MBq、0.1mL)とインタラクションバッファー(0.4mL)を添加し、室温2時間にてインキュベートを行った。非特異的結合群は、実施例1に示す方法で合成した非放射性FTAP‐PEG1の10体積%ジメチルスルホキシド/インタラクションバッファー溶液(0.0043mg/mL)、10体積%ジメチルスルホキシド/インタラクションバッファー(0.05mL)を同時に添加した。上清除去後、5体積%エタノール緩衝液(5体積%エタノール含有プロテイン結合バッファー)で洗浄操作を行った後、反応槽の放射能測定をオートウェルガンマカウンタ(Auto Well Gamma System、ARC‐380CL、ARC−2000、アロカ社製)を用いて行った。
結果を図6に示す。その結果、FABP3,5と比較してFABP4に高い結合性を示し、[18F]FTAP‐PEG1のFABP4選択性が示された。
(実施例12)正常マウス体内分布実験
正常マウスにおける体内放射能分布を臓器摘出法により求めた。正常マウス(ddy、雄5週齢)に、実施例8に示す方法で得られた[18F]FTAP‐PEG1のtween80入り生理食塩水溶液(0.074MBq、0.1mL)を尾静脈投与した。5、15、30、60、120分の各時間点(n=3−4)にて麻酔下において屠殺し、臓器の摘出、臓器重量及び臓器放射能量の測定を行った。放射能測定はガンマカウンタ(1480 Automatic Gamma Counter Wizard 3、Perkin Elmer社製)を用いて実施した。投与放射能量に対する各臓器の放射能分布率を計算し求め、[18F]FTAP‐PEG1の体内放射能分布を求めた。
結果を図7に示す。図7の縦軸は、胃のみ%doseを示し、その他は%dose/gを示す。図7に示すとおり、[18F]FTAP‐PEG1の骨への放射能集積は低く、生体内脱フッ素反応に対する安定性が示された。また、動脈硬化イメージングの際にバックグラウンドとなる正常大動脈への放射能集積も低かった。
(実施例13)マウス腫瘍モデルを用いた[18F]FTAP‐PEG1の生体内FABP4結合性の確認
ラットグリオーマ細胞C6(ヒューマン サイエンス研究資源バンクから入手)を移植されたマウスを用いて、[18F]FTAP‐PEG1が生体内でもFABP4結合性を有するかの確認を、実施例12と同様の臓器摘出法により求めた。正常マウス(ddy、雄5週齢)にラットグリオーマ細胞C6(ヒューマン サイエンス研究資源バンクから入手)を2.0×10個マウス右下肢部位の皮下に注入し、2週間後に実験に供した。実施例8に示す方法で得られた[18F]FTAP‐PEG1のtween80入り生理食塩水溶液(0.12MBq、0.1mL)を尾静脈投与した5、30、60、120、180分の各時間点(n=3−4)にて麻酔下において屠殺し、臓器の摘出、臓器重量及び臓器放射能量の測定を行った。放射能測定はガンマカウンタ(1480 Automatic Gamma Counter Wizard 3、Perkin Elmer社製)を用いて実施した。投与放射能量に対する各臓器の放射能分布率を計算し求め、[18F]FTAP‐PEG1の体内放射能分布を求めた。
結果を図8及び表3に示す。図8の縦軸は、胃のみ%doseを示し、その他は%dose/gを示す。体内放射能分布実験の結果、[18F]FTAP‐PEG1は、FABP4が発現するマクロファージが浸潤するC6腫瘍への集積量は経時的に上昇した。また対筋肉及び血液に対する集積比も上昇傾向がみられ、FABP4への結合性が生体内でも有することが示された。
(実施例14)[18F]FTAP‐PEG1とFABP4との分布の一致性の確認
実施例13で作製したC6腫瘍細胞移植マウスを用いて、[18F]FTAP‐PEG1の腫瘍内分布がFABP4の分布を反映することを確認するために、FABP4の免疫染色と、[18F]FTAP‐PEG1のオートラジオグラフィ(ARG)と比較検討した。実施例8に示す方法で得られた[18F]FTAP‐PEG1のtween80入り生食水溶液(92.5MBq、0.1mL)をC6腫瘍細胞移植マウスの尾静脈より投与した。[18F]FTAP‐PEG1の投与180分後に麻酔下において屠殺し腫瘍を摘出し、液体窒素(もしくはドライアイス・アセトン)にて急速冷凍した。その冷凍腫瘍組織を10μm厚にてスライスし、凍結切片を作成した。連続切片を用いて、ARG及び免疫染色に供した。ARGは富士フイルム株式会社製イメージングプレート(BAS‐MS)に2.5時間感光させた後、富士フイルム株式会社製画像解析装置(BAS2500)にて画像化及び解析を行った。免疫染色は、一次抗体として抗ヒトFABP4に対するポリクローナル抗体AF3150(R&D Systems社製)を、二次抗体としてシンプルステインMAX PRO(G)(ニチレイ社製)を用いた。
結果を図9に示す。図9(a)、(c)が摘出腫瘍の凍結切片のARGであり、図9(b)、(d)が隣接凍結切片のFABP4免疫染色である。図9(a)中、a、bが放射能集積の高い部位であり、同一部位が図9(b)でも好染部位である。図9(c)中、c、dが放射能集積の高い部位であり、同一部位が図9(d)でも好染部位である。[18F]FTAP−PEG1は、ARGとFABP4免疫染色の局在が一致していることが示され、[18F]FTAP‐PEG1はFABP4の分布を反映することが可能な化合物であることが確認された。
(実施例15)[18F]FTAP‐PEG1の生体内集積特異性の確認
実施例13で作製したC6腫瘍細胞移植マウスを用いて、経心腔的灌流の有無による、FABP4発現組織内の[18F]FTAP‐PEG1の血液放射能の影響有無について確認した。実施例8に示す方法で得られた[18F]FTAP‐PEG1のtween80入り生食水溶液(3.7MBq、0.1mL)をC6腫瘍細胞移植マウスの尾静脈より投与した。投与180分後にて麻酔下において断頭失血死、又は生理食塩液による経心腔的灌流を3分間行った後、腫瘍組織を含む各臓器を摘出し、臓器重量及び放射能量をガンマカウンタを用いて測定した。
結果を表4に示す。その結果、腫瘍放射能集積量に大きな変化はなく、腫瘍集積に血中放射能の寄与は小さいものと考えられる。
(実施例16)[18F]FTAP‐PEG1の生体内安定性の確認
実施例13で作製したC6腫瘍細胞移植マウスを用いて、腫瘍集積がFABP4結合性を反映していることを、[18F]FTAP‐PEG1が集積する腫瘍組織内の生体内安定性を評価することで確認した。実施例8に示す方法で得られた[18F]FTAP‐PEG1のtween80入り生食水溶液(185MBq、0.1mL)をC6腫瘍細胞移植マウスの尾静脈より投与した。投与180分後に麻酔下において屠殺し腫瘍を摘出し、Passive lysis buffer(Promega社製)(×5):プロテアーゼ阻害剤(製品名:Protease inhibitor Cocktail for use with mammalian and、tissue extracts、Sigma社製):PBS(−)(りん酸緩衝生理食塩水)=20:1:79の混合溶液(1mL)内に移したのち、氷冷下にてホモジネート及び超音波処理した。メタノール(3mL)を加えてボルテックスした後、超遠心(10,000×g、5分)を行った後、上澄みをメンブランフィルター(0.45μm)濾過後、実施例8記載の分析条件にてHPLC分析を行い、投与前の[18F]FTAP‐PEG1の分析結果との比較を行った。
結果を図10に示す。図10(a)がマウス投与前の[18F]FTAP‐PEG1の分析結果を示し、図10(b)が腫瘍内の[18F]FTAP‐PEG1の分析結果を示す。図示するように、腫瘍内の放射能のHPLCチャートは、投与前の[18F]FTAP‐PEG1のそれとほぼ同等であり、新たなピークの検出も見られないことから、[18F]FTAP‐PEG1は、生体内の、少なくとも腫瘍内では安定に存在しており、FABP4に結合性を示す状態にあることが示唆された。
(実施例17)FABP4の発現の確認
実施例13で用いたC6細胞を培養状態、又は、実施例13で作製したC6腫瘍細胞移植マウスより摘出した腫瘍のFABP4ウェスタンブロッティングを行う事で、FABP4の発現を確認した。ポジティブコントロールとしてFABP4多発現細胞であるRT4細胞を用いた。
培養細胞のウェスタンブロッティング用サンプル調整は以下のように行った。ディッシュ上で培養中のラットグリオーマ細胞C6(ヒューマン
サイエンス研究資源バンクから入手)、及び、ヒト膀胱癌由来培養細胞RT4(American Type Culture Collectionから入手)をスクレイパーで回収後、PBS(−)(10mL)を加え、遠心分離(1000g、5分)し、上清除去後、Passive lysis buffer(Promega社製)(×5):プロテアーゼ阻害剤(製品名:Protease inhibitor Cocktail for use with mammalian and、tissue extracts、Sigma社製):PBS(−)(りん酸緩衝生理食塩水)=20:1:79(体積比)の混合溶液(以下溶液A)(1mL)を加えた。超音波破砕後、13200rpm、30分遠心分離し、上清を回収した。タンパク定量後、溶液Aを加えて、2.5、1.25mg/mLに調整した。この溶液に5×サンプルバッファー(還元)(0.25mmol/L Tris‐HCl(pH6.8)25mL、SDS2g、スクロース5g、精製水25mL)を加えて、2、1mg/mLに希釈した。
摘出した移植腫瘍のウェスタンブロッティング用サンプル調整は以下のように行った。実施例13の方法で摘出した移植腫瘍、溶液A(0.5mL)を加え、超音波破砕後、13200rpm、30分遠心分離し、上清を回収した。タンパク定量後、溶液Aを加えて、1.25mg/mLに調整した。この溶液に5×サンプルバッファー(還元)を加えて、1mg/mLに希釈した。腫瘍は2サンプル使用した。ポジティブコントロールとして、実施例13の方法で腫瘍とともに摘出した脂肪、ネガティブコントロールとして実施例13の方法で腫瘍とともに摘出した筋肉も同様に調整した。
ウェスタンブロッティングは上記で作成したサンプルを100℃5分加熱後、PAGELゲル(E−T520L、アトー社)を用いて電気泳動した(90分、400V、40mA)。泳動後、トランスファーにゲルをセットし、PVDF膜(ミリポア社製,イモビロントランスファーメンブレン(Immobilon Transfer Membranes))に転写した(45分、20V、500mA)。転写後、PVDF膜を0.05体積%Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)入りPBS(−)(以下TPBS)で30分洗浄後、Block One(ナカライテスク社製)を加えて30分間室温でインキュベートする事でブロッキングを行った。このPVDF膜に一次抗体として抗マウスFABP4ウサギモノクローナル抗体(D25B3、Cell Signaling社)を5体積%BSA含有TPBSで1000倍希釈した溶液を1mL加え、一晩冷蔵でインキュベートした。一方、βアクチン用一次抗体として、抗βアクチンマウスモノクローナル抗体(A5441、SIGMA社)を同じく1000倍希釈して用いた。TPBSで洗浄後、二次抗体としてHRP標識抗ウサギIgG(#7074、Cell Signaling社)もしくはHRP標識抗マウスIgG1(STAR81P、Serotec社)を用いた。45分、室温でインキュベート後、TPBSで洗浄した。発色試薬としてChemi−Lumi One Super(ナカライテスク社製)を用い、ゲル撮像装置(ChemDoc、Bio−Rad社)で撮像した。
結果を図11、12に示す。図11は、培養状態のC6細胞のウェスタンブロッティングの結果を示す。また、図12は、C6腫瘍細胞移植マウスから摘出した腫瘍のウェスタンブロッティングの結果を示す。図12中、a、bが腫瘍であり、cが筋肉であり、dが脂肪である。この結果、培養状態のC6細胞にはFABP4には発現せず、移植腫瘍には発現していることが明らかになった。マクロファージはFABP4を発現することから、移植腫瘍中に発現しているFABP4は腫瘍内に浸潤したマクロファージに由来するものと考えられる。
本発明に係る化合物は、診断薬、特に画像診断剤の技術分野において、利用することができる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。
    〔式中、Xはフッ素原子であり、nは1以上3以下の整数である。〕
  2. 前記一般式(1)中、Xが放射性フッ素原子である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 下記一般式(1)で表される化合物を含む、医薬組成物。
    〔式中、Xはフッ素原子であり、nは1以上3以下の整数である。〕
  4. 前記一般式(1)中、Xが放射性フッ素原子である、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 不安定プラークを画像化するために用いられる、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 下記一般式(2)で表される化合物又はその塩。
    〔式中、Rは、ハロゲン原子、アルキルスルホン酸エステル基、ハロゲン化アルキルスルン酸エステル基、若しくは、置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸エステル基であり、nは1以上3以下の整数である。〕
  7. 請求項6に記載された化合物又はその塩と、放射性フッ化物イオンとを反応させ、下記式(1)で表される化合物又はその塩を合成する工程を含む、放射性フッ素標識有機化合物の製造方法。
    〔式中、Xは放射性フッ素原子であり、nは1以上3以下の整数である。〕
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