JP2014214127A - 燐光性有機金属イリジウム錯体の合成方法 - Google Patents

燐光性有機金属イリジウム錯体の合成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燐光性有機金属イリジウム錯体の合成において、オルトメタル化の際に未反応であった原料化合物を回収し、再度オルトメタル化に用いることができる合成方法を提供する。
【解決手段】オルトメタル化の反応温度よりも融点が低く、オルトメタル化の反応温度(常圧下)における重量減少率が低く、また、オルトメタル化の際に分解しにくい分子量を有する含窒素複素芳香族化合物と、トリス(β−ジケトナート)イリジウムとをオルトメタル化させることにより燐光性有機金属イリジウム錯体を合成し、該オルトメタル化の際に未反応であった含窒素複素芳香族化合物を反応前と同じ構造のまま回収し、再度、トリス(β−ジケトナート)イリジウムとオルトメタル化させることにより、燐光性有機金属イリジウム錯体を合成する。
【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、オルトメタル化を用いた燐光性有機金属イリジウム錯体の合成方法に関する。
一対の電極間に発光物質である有機化合物を含む発光層を設けた構造を有する発光素子は、薄型軽量・高速応答・直流低電圧駆動などの特性から、次世代のフラットパネルディスプレイ素子として注目されている。また、この発光素子を用いたディスプレイは、コントラストや画質に優れ、視野角が広いという特徴も有している。
ところで、発光層に用いることができる有機化合物の中には励起状態から燐光を放出することが可能な物質がある。燐光とは多重度の異なるエネルギー間の遷移によって生じる発光のことであり、通常の有機化合物では三重項励起状態から一重項基底状態へ戻る際に生じる発光のことをさす(これに対し、一重項励起状態から一重項基底状態へ戻る際の発光は、蛍光と呼ばれる)。このような燐光発光を放出できる化合物、すなわち三重項励起エネルギーを発光に変換できる化合物(以下、燐光性化合物と称す)を発光物質として発光層に用いることで、内部量子効率を高めることができるため、高効率な発光素子が得られる。
燐光性化合物としては、イリジウム等を中心金属とする有機金属錯体が注目され、様々な有機金属錯体が新たに合成されているが(例えば特許文献1参照)、有機金属錯体の合成において原材料が高価であることから、より効率良く合成するための合成方法が望まれている。
特開2007−137872号公報
本発明の一態様では、燐光性有機金属イリジウム錯体の合成において、オルトメタル化の際に未反応であった原料化合物を回収し、再度オルトメタル化に用いることができる合成方法を提供する。
本発明の一態様は、オルトメタル化の反応温度よりも融点が低く、オルトメタル化の反応温度(常圧下)における重量減少率が低く、また、オルトメタル化の際に分解しにくい分子量を有する含窒素複素芳香族化合物(化合物X)と、トリス(β−ジケトナート)イリジウム(化合物Y)とをオルトメタル化させることにより燐光性有機金属イリジウム錯体を合成し、該オルトメタル化の際に未反応であった含窒素複素芳香族化合物(化合物X’)を反応前と同じ構造のまま回収し、再度、化合物Yとオルトメタル化させることにより、燐光性有機金属イリジウム錯体を合成することを特徴とする合成方法である。
なお、上記構成における化合物Xは、融点が300℃以下で、かつ常圧下、250℃における示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)の重量減少率が5%以内であり、分子量が300以上700以下である含窒素複素芳香族化合物であることを特徴とする。
また、上記化合物Xは、下記一般式(G0)で表される含窒素複素芳香族化合物である。
(但し、一般式(G0)中、Ph〜Phは、それぞれ独立に置換もしくは無置換のフェニル基を表し、A〜Aは、それぞれ独立に炭素または窒素を表す。なお、A〜Aの全てが酸素、または全てが窒素の場合を除く。また、l、m、nは、それぞれ独立に0または1であり、その和は、2または3である。)
本発明の一態様である合成方法を用いることにより、燐光性有機金属イリジウム錯体を合成するオルトメタル化後、その原料である含窒素複素芳香族化合物のうちの未反応分を回収し、再度オルトメタル化に用いることができるため、燐光性有機金属イリジウム錯体合成収率を高めると共に、コストダウンを図ることができる。
合成方法についてのフローチャート。 発光素子の構造について説明する図。 合成方法についてのフローチャート。 Hmpptz−dmp(略称)のH−NMRチャート。 混合物EのH−NMRチャート。 混合物E’のH−NMRチャート。 発光素子について説明する図。 発光素子1の電流密度−輝度特性を示す図。 発光素子1の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子1の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子1の電圧−電流特性を示す図。 発光素子1の発光スペクトルを示す図。 発光素子1の信頼性を示す図。 Hmpptz−dmp(略称)の示差熱−熱重量同時測定結果を示す図。
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である燐光性有機金属イリジウム錯体の合成方法について、図1のフローチャートを基に説明する。
まず、図1の反応1(101)として、原料となる含窒素複素芳香族化合物(化合物X)と、トリス(β−ジケトナート)イリジウム(化合物Y)をオルトメタル化反応させることにより反応物Aを得る。さらに、反応物Aを固体Bと液体Cに分離した後、固体Bを再結晶させ、所望の燐光性有機金属イリジウム錯体である目的物Dを得る。
次に、図1の反応1(101)において分離した液体Cを精製して、反応1(101)において原料として用いたが未反応であった、含窒素複素芳香族化合物(化合物X’)を回収する。
次に、図1の反応2(102)として、上記回収された含窒素複素芳香族化合物(化合物X’)と新たに追加したトリス(β−ジケトナート)イリジウム(化合物Y)をオルトメタル化反応させることにより反応物A’を得る。そして、反応1(101)と同様に、反応物A’を固体B’と液体C’に分離した後、固体B’を再結晶させ、所望の燐光性有機金属イリジウム錯体である目的物D’を得る。
次に、反応2(102)において分離した液体C’を精製して、反応2(102)において原料として用いたが未反応であった、含窒素複素芳香族化合物を回収し、反応2(102)と同様に反応3(103)におけるオルトメタル化の原料として用いる。
なお、図1では、これ以降の詳細な説明について省略するが、未反応の原料である含窒素複素芳香族化合物が、精製により回収できる限り、同様の操作を繰り替えることにより、原料の含窒素複素芳香族化合物を無駄にすることなく、オルトメタル化の原料として用いることができ、これにより得られる燐光性有機金属イリジウム錯体の合成収率を高めることができる。
なお、上記合成方法の原料である含窒素複素芳香族化合物(化合物X)の一般式(G0)、およびトリス(β−ジケトナート)イリジウム(化合物Y)の一般式(GT)は、下記に示すとおりである。
(但し、一般式(G0)中、Ph〜Phは、それぞれ独立に置換もしくは無置換のフェニル基を表し、A〜Aは、それぞれ独立に炭素または窒素を表す。なお、A〜Aの全てが酸素、または全てが窒素の場合を除く。また、l、m、nは、それぞれ独立に0または1であり、その和は、2または3である。また、一般式(GT)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキル基である。)
ここで、R〜Rにおける炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ネオヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基等が挙げられる。また、錯体の立体構造や合成収率の観点からメチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また、これらの原料を用いたオルトメタル化の反応は、下記の合成スキーム(A−1)に示す通りである。
(但し、一般式(G0)中、Ph〜Phは、それぞれ独立に置換もしくは無置換のフェニル基を表し、A〜Aは、それぞれ独立に炭素または窒素を表す。なお、A〜Aの全てが酸素、または全てが窒素の場合を除く。また、l、m、nは、それぞれ独立に0または1であり、その和は、2または3である。また、一般式(GT)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキル基である。)
すなわち、合成スキーム(A−1)において、一般式(G0)で表される含窒素複素芳香族化合物(化合物X)と、一般式(GT)で表されるトリス(β−ジケトナート)イリジウム(化合物Y)とを混合した後、200℃〜300℃で加熱することにより、一般式(G1)で表される構造を有する燐光性有機金属イリジウム錯体(目的物D)を得ることができる。
加熱手段としては特に限定はないが、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロックを加熱手段として用いてもよい。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
なお、合成スキーム(A−1)に示すオルトメタル化において、一般式(G0)で表される含窒素複素芳香族化合物(化合物X)は、オルトメタル化の反応温度よりも融点が低く(具体的には、300℃以下)、オルトメタル化の反応温度(常圧下)における重量減少率が低く(具体的には、常圧下、250℃における示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)の重量減少率が5%以内)、また、オルトメタル化の際に分解しにくい分子量(具体的には、分子量が300以上700以下)を有するため、未反応分については、反応前と同じ構造のまま回収することができる。
したがって、回収された含窒素複素芳香族化合物(化合物X’)も下記の合成スキーム(A−2)に示すようにオルトメタル化に用いることができる。なお、ここで得られる目的物D’は、合成スキーム(A−1)で得られる目的物Dと同じ構造を有する。
次に、上述した含窒素複素芳香族化合物(化合物Xまたは、化合物X’)と、トリス(β−ジケトナート)イリジウム(化合物Y)とをオルトメタル化することにより得られる燐光性有機金属イリジウム錯体(目的物Dまたは目的物D’)の具体的な構造式を示す。(下記構造式(100)〜(117)。)ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
なお、上述した本発明の一態様である合成方法により得られる燐光性有機金属イリジウム錯体は、燐光を発光することが可能であるため、発光材料や発光素子の発光物質として利用することができる。
また、本発明の一態様である燐光性有機金属イリジウム錯体を用いることで、発光効率の高い発光素子、発光装置、電子機器、または照明装置を実現することができる。また、消費電力が低い発光素子、発光装置、電子機器、または照明装置を実現することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である合成方法により得られた燐光性有機金属イリジウム錯体を発光層に用いた発光素子について図2を用いて説明する。
本実施の形態に示す発光素子は、図2に示すように一対の電極(第1の電極(陽極)201と第2の電極(陰極)203)間に発光層213を含むEL層202が挟まれており、EL層202は、発光層213の他に、正孔(または、ホール)注入層211、正孔(または、ホール)輸送層212、電子輸送層214、電子注入層215、電荷発生層(E)116などを含んで形成される。
このような発光素子に対して電圧を印加することにより、第1の電極201側から注入された正孔と第2の電極203側から注入された電子とが、発光層213において再結合し、燐光性有機金属イリジウム錯体を励起状態にする。そして、励起状態の燐光性有機金属イリジウム錯体が基底状態に戻る際に発光する。このように、本発明の一態様において燐光性有機金属イリジウム錯体は、発光素子における発光物質として機能する。
なお、EL層202における正孔注入層211は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む層であり、アクセプター性物質によって正孔輸送性の高い物質から電子が引き抜かれることにより正孔(ホール)が発生する。従って、正孔注入層211から正孔輸送層212を介して発光層213に正孔が注入される。
また、電荷発生層(E)216は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む層である。アクセプター性物質によって正孔輸送性の高い物質から電子が引き抜かれるため、引き抜かれた電子が、電子注入性を有する電子注入層215から電子輸送層214を介して発光層213に注入される。
以下に本実施の形態に示す発光素子を作製する上での具体例について説明する。
第1の電極(陽極)201および第2の電極(陰極)203には、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、酸化インジウム−酸化スズ(Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)の他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、マグネシウム(Mg)、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金、その他グラフェン等を用いることができる。なお、第1の電極(陽極)201および第2の電極(陰極)203は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
正孔注入層211、正孔輸送層212、および電荷発生層(E)216に用いる正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等が挙げられる。その他、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)等のカルバゾール誘導体、等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
さらに、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。
また、正孔注入層211および電荷発生層(E)216に用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。
発光層213は、実施の形態1で示した合成方法により得られる燐光性有機金属イリジウム錯体を発光物質となるゲスト材料として含み、この燐光性有機金属イリジウム錯体よりも三重項励起エネルギーの大きい物質をホスト材料として用いて形成される層である。
また、上記燐光性有機金属イリジウム錯体を分散状態にするために用いる物質(すなわちホスト材料)としては、例えば、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)のような芳香族アミンの他、CBP、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル(略称:CDBP)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)等のカルバゾール誘導体や、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、亜鉛、アルミニウム等の金属錯体が好ましい。また、PVK、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリ(スピロフルオレン)誘導体のような高分子化合物やデンドリマーを用いることもできる。
なお、発光層213において、上述した燐光性有機金属イリジウム錯体(ゲスト材料)とホスト材料とを含んで形成することにより、発光層213からは、発光効率の高い燐光発光を得ることができる。
電子輸送層214は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層214には、Alq、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、BAlq、Zn(BOX)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などの金属錯体を用いることができる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層214として用いてもよい。
また、電子輸送層214は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
電子注入層215は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層215には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、マグネシウム(Mg)、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層214を構成する物質を用いることもできる。
あるいは、電子注入層215に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、上述した電子輸送層214を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)等を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属等が好ましい。具体的には、リチウム、セシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウムの他、マグネシウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した正孔注入層211、正孔輸送層212、発光層213、電子輸送層214、電子注入層215、電荷発生層(E)216は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
上述した発光素子は、第1の電極201および第2の電極203との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層202において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そして、この発光は、第1の電極201および第2の電極203のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極201および第2の電極203のいずれか一方、または両方が透光性を有する電極となる。
以上により説明した発光素子は、燐光性有機金属イリジウム錯体に基づく燐光発光が得られることから、蛍光性化合物を用いた発光素子に比べて、高効率な発光素子を実現することができる。
なお、本実施の形態で示した発光素子は、本発明の一態様である合成方法により得られる燐光性有機金属イリジウム錯体を適用して作製される発光素子の一例である。また、上記発光素子を備えた発光装置の構成としては、パッシブマトリクス型の発光装置やアクティブマトリクス型の発光装置の他、上記とは別の構造を有する発光素子を備えたマイクロキャビティー構造の発光装置などを作製することができ、これらは、いずれも本発明に含まれるものとする。
なお、アクティブマトリクス型の発光装置の場合において、TFTの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型や逆スタガ型のTFTを適宜用いることができる。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、N型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方のみからなるものであってもよい。また、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜を用いることができる。また、半導体材料としては、IV族(ケイ素)、ガリウム等)半導体、化合物半導体(酸化物半導体を含む)の他、有機半導体等を用いることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
≪合成例1≫
本実施例では、本発明の一態様である合成方法として、燐光性有機金属イリジウム錯体のトリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)を合成する方法について説明する。なお、本実施例の合成方法について、図3のフローチャートを基に説明する。また、[Ir(mpptz−dmp)](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1;[Ir(mpptz−dmp)](略称)の合成(1回目)>
3−フェニル−4−(2,6−ジメチルフェニル)−5−(2−メチルフェニル)−1,2,4−4H−トリアゾール(略称;Hmpptz−dmp)77.2g(227mmol)を3つのバッチ(バッチ1〜3)に分け、3つのバッチそれぞれを同様の条件で反応させた。一例としてバッチ1の合成例を示す。なお、ステップ1の合成スキームを下記(a−1)に示す。
<バッチ1>
原料である、Hmpptz−dmp(略称)40.0g(118mmol)および[Ir(acac)](略称)11.6g(23.6mmol)を、三方コックを付けた200mLナスフラスコに入れ、270℃にて50時間加熱し、オルトメタル化(1回目)させた。得られた反応物Aにジクロロメタンを加えて超音波を照射し、吸引ろ過により固体Bを得た。ここでろ液のジクロロメタン溶液を液体Cとする。得られた固体Bはトルエンで再結晶し、目的物Dである[Ir(mpptz−dmp)](略称)の黄色固体を9.0g、収率32%で得た。
<ステップ2;[Ir(mpptz−dmp)](略称)の合成(2回目)>
次に、上記ステップ1で、ろ液として得た液体Cを、バッチ1〜3の3バッチからそれぞれ回収し、あわせて濃縮乾固した。得られた残渣を酢酸エチルで再結晶し、黄色固体62.9gを得た。なお、この黄色固体は、[Ir(acac)](略称)と、Hmpptz−dmp(略称)を含む混合物(混合物E)であることを、Hmpptz−dmp(略称)の核磁気共鳴法(H−NMR)による測定結果との比較により確認した。なお、Hmpptz−dmp(略称)を核磁気共鳴法(H−NMR)により測定したH−NMRチャートを図4、混合物Eを核磁気共鳴法(H−NMR)により測定したH−NMRチャートを図5にそれぞれ示す。図5の結果から、混合物Eに含まれるHmpptz−dmp(略称)と[Ir(acac)](略称)のモル比は1:0.33であることがわかった。さらに、このH−NMRチャートより回収したHmpptz−dmp(略称)に構造変化や分解が無いことがわかる。
そこで、混合物E62.9gに[Ir(acac)](略称)11.6g(23.6mmol)を加え、三方コックを付けた200mLナスフラスコに入れ、270℃にて52時間加熱し、オルトメタル化(2回目)させた。次に、得られた反応物A’にジクロロメタンを加えて超音波を照射し、吸引ろ過により固体B’を得た。ここで、ろ液のジクロロメタン溶液を液体C’とする。得られた固体B’をヘキサンで洗浄し、黄色固体を23.6g得た。この黄色固体(固体B’)を2回に分けて昇華精製した。先に固体B’のうちの3.1gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。圧力2.1Pa、アルゴン流量10mL/minの条件で、340℃で32時間加熱して行った。昇華精製後、目的物D’である[Ir(mpptz−dmp)](略称)の黄色固体2.2gを回収した。
次に、固体B’のうちの20.5gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。圧力2.1Pa、アルゴン流量15mL/minの条件で、340℃で17時間加熱して行った。昇華精製後、目的物D’である[Ir(mpptz−dmp)](略称)の黄色固体12.1gを回収した。
すなわち、ステップ1のバッチ1〜バッチ3でオルトメタル化の際に未反応であったHmpptz−dmp(略称)を回収し、原料として用いたステッフ゜2において、合計で、14.3gの[Ir(mpptz−dmp)](略称)(目的物D’)が得られた。
<ステップ3;[Ir(mpptz−dmp)](略称)の合成(3回目)>
次に、上記ステップ2で、ろ液として得た液体C’を回収し、濃縮乾固した。得られた残渣を酢酸エチルで再結晶し、黄色固体38.6gを得た。なお、この黄色固体は、[Ir(acac)](略称)と、Hmpptz−dmp(略称)を含む混合物(混合物E’)であることを、図4に示したHmpptz−dmp(略称)の核磁気共鳴法(H−NMR)による測定結果との比較により確認した。混合物E’を核磁気共鳴法(H−NMR)により測定したH−NMRチャートを図6に示す。図6の結果から、混合物E’に含まれるHmpptz−dmp(略称)と[Ir(acac)](略称)のモル比は1:0.36であることがわかった。さらに、このH−NMRチャートより回収したHmpptz−dmp(略称)に構造変化や分解が無いことがわかる。
そこで、混合物E’38.6gに[Ir(acac)](略称)8.7g(17.7mmol)を加え、三方コックを付けた200mLナスフラスコに入れ、270℃にて25時間加熱した。次に、得られた反応物A’’にジクロロメタンを加えて超音波を照射し、吸引ろ過により固体B’’を得た。ここで、ろ液のジクロロメタン溶液を液体C’’とする。得られた固体B’’をヘキサンで洗浄し、黄色固体を21.4g得た。この黄色固体(固体B’’)をトレインサブリメーション法により昇華精製した。圧力3.4Pa、アルゴン流量15mL/minの条件で、340℃で40時間加熱して行った。昇華精製後、目的物D’’である[Ir(mpptz−dmp)](略称)の黄色固体12.1gを得た。
すなわち、ステップ2のオルトメタル化の際に未反応であったHmpptz−dmp(略称)を回収し、原料として用いたステッフ゜3において、合計で、12.1gの[Ir(mpptz−dmp)](略称)(目的物D’’)が得られた。
以上より、本実施例において示す燐光性有機金属イリジウム錯体、[Ir(mpptz−dmp)](略称)の合成では、原料として用いた含窒素複素芳香族化合物、Hmpptz−dmp(略称)のうち、未反応であったものは、その構造を変えることなく回収できるため、再度オルトメタル化の原料として利用できることが示された。
なお、原料として用いた含窒素複素芳香族化合物、Hmpptz−dmp(略称)について、示差熱−熱重量同時測定を行うことにより、その重量減少率測定した。測定には、高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2410SA)を用いた。
測定結果は、図14に示すとおりであり、昇温速度を10℃/minに設定し、常圧下で昇温させたところ、250℃でのHmpptz−dmp(略称)の重量減少率は、2%であった。
ここで、比較例として、原料の含窒素複素芳香族化合物に下記構造式(201)で示される1−メチル−5−フェニル−3−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール(略称:HnPrptz1−Me)を用いて、トリス(β−ジケトナート)イリジウムとオルトメタル化させ、トリス[2−(1−メチル−3−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル−κN4)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(nPrptz1−Me)])を合成させた例を示す。
以下に合成例を示す。
<ステップ1;[Ir(nPrptz1−Me)]の合成>
1−メチル−5−フェニル−3−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾール(略称:HnPrptz1−Me)0.50g、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)0.24gを、三方コックを付けた反応容器に入れ、反応容器内をアルゴン置換した。その後、250℃にて40時間加熱し、反応させた。反応物をジクロロメタンに溶解し、この溶液をろ過した。しかし、ろ取物は有機溶媒に不溶の褐色固体であり、目的物ではなかった。ろ液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分取し、目的物と配位子の回収を試みた。展開溶媒には、酢酸エチルを用いた。このろ液を分取したフラクションはそれぞれ、目的のイリジウム錯体、目的のイリジウム錯体と原料錯体であるトリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)の混合物、および分解したと考えられる配位子であり、元の原料である配位子HnPrptz1−Me(略称)は回収することが出来なかった。なお、ステップ1の合成スキームを(b−1)に示す。
上記ステップ1で得られたフラクションをそれぞれサーモフィッシャーサイエンティフィック社製 ITQ1100イオントラップGC−MSにより、直接試料導入法で分析し、目的のイリジウム錯体では主成分としてm/z=793に分子イオンを確認し、分解したと考えられる配位子では主成分としてm/z=173に分子イオンを確認した。このm/z=173が元の配位子HnPrptz1−Me(略称)m/z=201と異なっていることから、配位子の分解物を回収したと考えられる。つまり、本比較配位子は、錯体合成の際に配位子のトリアゾール環が開環し、分解している可能性がある。ゆえに、HnPrptz1−Me(略称)を本配位子回収法に適用しようとしても、再利用は不可能であることが分かった。
本実施例では、本発明の一態様である合成方法により合成された燐光性有機金属イリジウム錯体、トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz−dmp)])(構造式(101))を発光層に用いた発光素子1について説明する。なお、本実施例における発光素子1の説明には、図7を用いることとする。なお、本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
≪発光素子1の作製≫
まず、ガラス製の基板700上に酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により成膜し、陽極として機能する第1の電極701を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、基板700上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板700を30分程度放冷した。
次に、第1の電極701が形成された面が下方となるように、基板700を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。本実施例では、真空蒸着法により、EL層702を構成する正孔注入層711、正孔輸送層712、発光層713、電子輸送層714、電子注入層715が順次形成される場合について説明する。
真空装置内を10−4Paに減圧した後、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)とを、DBT3P−II(略称):酸化モリブデン=4:2(質量比)となるように共蒸着することにより、第1の電極701上に正孔注入層711を形成した。膜厚は60nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
次に、9−フェニル−9H−3−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)カルバゾール(略称:PCCP)を20nm蒸着することにより、正孔輸送層712を形成した。
次に、正孔輸送層712上に発光層713を形成した。まず、PCCP(略称)、3,5−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz−dmp)])を、PCCP(略称):35DCzPPy(略称):[Ir(mpptz−dmp)](略称)=1:0.3:0.06(質量比)となるように共蒸着した。なお、膜厚は、30nmとした。次に、35DCzPPy(略称)、[Ir(mpptz−dmp)](略称)を、35DCzPPy(略称):[Ir(mpptz−dmp)](略称)=1:0.06(質量比)となるように共蒸着し、膜厚を10nmとした。以上により、積層構造を有する発光層713を形成した。
次に、発光層713上に、35DCzPPy(略称)を10nm蒸着した後、バソフェナントロリン(略称:Bphen)を15nm蒸着することにより、積層構造を有する電子輸送層714を形成した。さらに電子輸送層714上にフッ化リチウムを1nm蒸着することにより、電子注入層715を形成した。
最後に、電子注入層715上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着し、陰極となる第2の電極703を形成し、発光素子1を得た。なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子1の素子構造を表1に示す。
また、作製した発光素子1は、大気に曝されないように窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時に80℃にて1時間熱処理)。
≪発光素子1の動作特性≫
作製した発光素子1の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
まず、発光素子1の電流密度−輝度特性を図8に示す。なお、図8において、縦軸は、輝度(cd/m)、横軸は電流密度(mA/cm)を示す。また、発光素子1の電圧−輝度特性を図9に示す。なお、図9において、縦軸は、輝度(cd/m)、横軸は、電圧(V)を示す。また、発光素子1の輝度−電流効率特性を図10に示す。なお、図10において、縦軸は、電流効率(cd/A)、横軸は、輝度(cd/m)を示す。さらに、発光素子1の電圧−電流特性を図11に示す。なお、図11において、縦軸は、電流(mA)、横軸は、電圧(V)を示す。
図10より、本発明の一態様である燐光性有機金属イリジウム錯体[Ir(mpptz−dmp)](略称)を発光層の一部に用いた発光素子1は、高効率な素子であることがわかった。また、800cd/m付近における発光素子1の主な初期特性値を以下の表2に示す。
上記結果から、本実施例で作製した発光素子1は、高輝度であり、高い電流効率を示していることが分かる。
また、発光素子1に0.1mA/cmの電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図12に示す。図12に示す通り、発光素子1の発光スペクトルは第1ピークとして480nm付近、第2ピークとして500nm付近にそれぞれピークを有しており、燐光性有機金属イリジウム錯体[Ir(mpptz−dmp)](略称)の発光に由来していることが示唆される。
また、発光素子1についての信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図13に示す。図13において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。なお、信頼性試験は、初期輝度を1000cd/mに設定し、電流密度一定の条件で発光素子1を駆動させた。その結果、発光素子1の100時間後の輝度は、初期輝度のおよそ80%を保っていた。
したがって、発光素子1は、高い信頼性を示すことがわかった。また、本発明の一態様である合成方法を用いて合成された燐光性有機金属イリジウム錯体を発光素子に用いることにより、長寿命の発光素子が得られることがわかった。
以上より、本発明の一態様である合成方法により得られた燐光性有機金属イリジウム錯体は、発光素子の特性に悪影響を及ぼすことなく適用できることがわかった。
101 反応1
102 反応2
103 反応3
201 第1の電極
202 EL層
203 第2の電極
211 正孔注入層
212 正孔輸送層
213 発光層
214 電子輸送層
215 電子注入層
216 電荷発生層
700 基板
701 第1の電極
702 EL層
703 第2の電極
711 正孔注入層
712 正孔輸送層
713 発光層
714 電子輸送層
715 電子注入層

Claims (2)

  1. 融点が250℃以下で、かつ常圧下、250℃における示差熱−熱重量同時測定の重量減少率が5%以内であり、分子量が300以上700以下である含窒素複素芳香族化合物と、トリス(β−ジケトナート)イリジウムとをオルトメタル化させてオルトメタル化イリジウム化合物を合成した後、未反応の前記含窒素複素芳香族化合物を回収し、再度オルトメタル化させることを特徴とする燐光性有機金属イリジウム錯体の合成方法。
  2. 請求項1において、
    前記含窒素複素芳香族化合物は、下記一般式(G0)で表されることを特徴とする燐光性有機金属イリジウム錯体の合成方法。

    (但し、一般式(G0)中、Ph〜Phは、それぞれ独立に置換もしくは無置換のフェニル基を表し、A〜Aは、それぞれ独立に炭素または窒素を表す。なお、A〜Aの全てが酸素、または全てが窒素の場合を除く。また、l、m、nは、それぞれ独立に0または1であり、その和は、2または3である。)
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