JP2014210855A - 熱可塑性樹脂、およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂、およびその成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性が良好で、天然物由来度が高く、得られる成形品の外観に優れる熱可塑性樹脂、およびその成形品を提供する。【解決手段】イタコン酸ジエステル、およびN−置換イタコンイミドの少なくとも一方と、芳香族ビニルとをラジカル重合した熱可塑性樹脂であって、前記芳香族ビニルが桂皮酸もしくはその誘導体を脱炭酸したものである熱可塑性樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂、およびその成形品に関する。
近年、脱化石燃料やカーボンニュートラル等の観点から、植物や動物などの天然物由来の原料から得られる天然物由来樹脂(バイオベース樹脂)が注目されている。例えば乳酸を原料とするポリ乳酸、アミノ酸を原料とするポリアミド、コハク酸系の脂肪族ポリエステル、ソルビトールから生成するイソソルビドをジオール成分とするポリカーボネートなど、多くの天然物由来樹脂の開発が行なわれている。
しかし、これら天然物由来樹脂の多くは主鎖にエステル結合やアミド結合を有するものであり、加水分解に弱いという欠点があった。
一方、ビニル系モノマーのラジカル重合により生成する樹脂は、主鎖にエステル結合やアミド結合を有していないことから加水分解に強く、また生産性に優れることから各種分野で幅広く利用されている。
ビニル系モノマーであり、かつ天然物由来の原料として生成可能なモノマーとしては、イタコン酸や桂皮酸が知られている。特に、イタコン酸は糸状菌のバイオマスによる工業レベルでの生産も一部されており、コスト的にも優れ、多量に入手可能な天然物由来のビニル系モノマーとして注目されている。
ところが、イタコン酸は立体障害が大きいことから、重合速度が遅く、得られる重合体の収率が低いため、工業的に単独重合体を生産することは困難であった。
この生産性を改良する手法として、(メタ)アクリレートや芳香族ビニル(例えばスチレン等)などの石油由来のビニル系モノマーと、イタコン酸とを共重合させる方法が知られている。例えば、特許文献1には、イタコン酸エステルと、スチレンまたは(メタ)アクリル酸メチルとが共重合した共重合体が開示されている。特許文献1によれば、イタコン酸エステルの単体重合体は55%程度の収率でしか得られないが、イタコン酸エステルをスチレンまたはメタクリル酸メチルと共重合すれば90%前後の収率で共重合体が得られるとしている。
このように、イタコン酸エステルと、スチレンまたは(メタ)アクリル酸メチルとを共重合させる方法であれば、重合速度が速くなり、天然物由来樹脂が高収率で得られる。
特開平10−279528号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、石油由来のビニルモノマーを用いることから、得られる天然物由来樹脂の天然物由来度が低くなる欠点があった。
また、イタコン酸や桂皮酸は分子内にカルボキシ基を有している。このため、これらを重合した樹脂は、樹脂分子中に多くのカルボキシ基を有することとなる。このカルボキシ基を多く有する樹脂は、溶融混練時や成形時の熱により架橋反応が進行しやすく、得られる成形体の光沢などの成形外観を悪化させる欠点があった。
本発明は、生産性が良好で、天然物由来度が高く、得られる成形品の外観に優れる熱可塑性樹脂、およびその成形品を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] イタコン酸ジエステル、およびN−置換イタコンイミドの少なくとも一方と、芳香族ビニルとをラジカル重合した熱可塑性樹脂であって、前記芳香族ビニルが桂皮酸もしくはその誘導体を脱炭酸したものである、熱可塑性樹脂。
[2] [1]に記載の熱可塑性樹脂を用いた、成形品。
本発明の熱可塑性樹脂は、生産性が良好で、天然物由来度が高く、得られる成形品の外観に優れる。
また、本発明の成形品は、外観に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下の説明において「成形品」とは、本発明の熱可塑性樹、または本発明の熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
「熱可塑性樹脂」
本発明の熱可塑性樹脂は、少なくとも下記(A)成分と(B)成分とをラジカル重合した共重合体である。
<(A)成分>
(A)成分は、イタコン酸ジエステル、およびN−置換イタコンイミドの少なくとも一方である。
(イタコン酸ジエステル)
イタコン酸ジエステルは、バイオマスで得ることが可能なイタコン酸のカルボキシ基をエステル化したものであり、具体的には下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2014210855
式(1)中、RおよびRは各々独立して、アルキル基、脂環式基、およびアリール基からなる群より選ばれる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基などが挙げられる。
脂環式基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロナフチル基、アダマンチル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
およびRとしては、得られる熱可塑性樹脂の天然物由来度が高くなることから、アルキル基が好ましく、中でもメチル基が特に好ましい。
イタコン酸ジエステルの製造方法としては特に制限はなく、公知の方法を採用できる。例えば、イタコン酸から得られる無水イタコン酸1当量に対して、RおよびRに対応するアルコール2当量を加え、硫酸やp−トルエンスルホン酸等の酸触媒の存在下で加熱することで、RおよびRが同じであるイタコン酸ジエステルが得られる。また、無水イタコン酸1当量に対して、Rに対応するアルコール1当量を加え、酸触媒の存在下で加熱し反応させた後、Rに対応するアルコール1当量を加えてさらに反応させることで、RおよびRが異なるイタコン酸ジエステルが得られる。
ラジカル重合時のイタコン酸ジエステルの割合は0〜90質量%(ただし、イタコン酸ジエステルと、N−置換イタコンイミドと、芳香族ビニルの合計を100質量%とする。)が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。イタコン酸ジエステルの割合が90質量%を超えると、得られる熱可塑性樹脂の生産性が劣る傾向にある。
(N−置換イタコンイミド)
N−置換イタコンイミドは、バイオマスで得ることが可能なイタコン酸のカルボキシ基を環状イミド化したものであり、具体的には下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2014210855
式(2)中、Rは、アルキル基、脂環式基、およびアリール基からなる群より選ばれる。
アルキル基、脂環式基、アリール基としては、上記一般式(1)中のRおよびRの説明において先に例示したアルキル基、脂環式基、アリール基が挙げられる。
N−置換イタコンイミドの製造方法はとしては特に制限はなく、公知の方法を採用できる。例えば、イタコン酸から得られる無水イタコン酸1当量に対して、Rに対応するアミン化合物1当量を加え、p−トルエンスルホン酸の存在下で、生成する水を除去しながら加熱することで、N−置換イタコンイミドが得られる。
ラジカル重合時のN−置換イタコンイミドの割合は0〜90質量%(ただし、イタコン酸ジエステルと、N−置換イタコンイミドと、芳香族ビニルの合計を100質量%とする。)が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。N−置換イタコンイミドの割合が90質量%を超えると、得られる熱可塑性樹脂の生産性が劣る傾向にある。
<(B)成分>
(B)成分は、芳香族ビニルである。
本発明においては、芳香族ビニルとして桂皮酸もしくはその誘導体を脱炭酸したものを用いる。
桂皮酸の誘導体は、桂皮酸より誘導可能な、桂皮酸と類似の化学構造をもつ化合物のことであり、例えばクマル酸、コーヒー酸、フェラル酸、シナピン酸などが挙げられる。
これら桂皮酸の誘導体、および桂皮酸は、リグニン分解生成物や天然精油から分離することで得られることから、天然物由来の物質である。
桂皮酸もしくはその誘導体を脱炭酸したものは、具体的には下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2014210855
式(3)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシ基をエステル化したもの、アルキル基、脂環式基、アリール基、およびアルキルエーテル基からなる群より選ばれる。
アルキル基、脂環式基、アリール基としては、上記一般式(1)中のRおよびRの説明において先に例示したアルキル基、脂環式基、アリール基が挙げられる。
ヒドロキシ基をエステル化したものとしては、ヒドロキシ基をアセトキシ化したもの、具体的にはアセトキシ基などが挙げられる。
アルキルエーテル基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
芳香族ビニルは、桂皮酸もしくはその誘導体を脱炭酸することで得られる。また、脱炭酸した後に、芳香環や水酸基を化学修飾してもよい。
桂皮酸もしくはその誘導体を脱炭酸する方法としては特に限定されない。例えば、有機溶媒中で桂皮酸もしくはその誘導体に水酸化ナトリウムやトリエチルアミン等の強塩基を加え加熱することで、桂皮酸もしくはその誘導体を脱炭酸したものが得られる。
ラジカル重合時の芳香族ビニルの割合は10質量%以上(ただし、イタコン酸ジエステルと、N−置換イタコンイミドと、芳香族ビニルの合計を100質量%とする。)が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。芳香族ビニルの割合が10質量%未満であると、得られる熱可塑性樹脂の生産性が劣る傾向にある。
<他の成分>
本発明の熱可塑性樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上述した(A)成分および(B)成分と、これらと共重合可能な他のビニル化合物とをラジカル重合した共重合体であってもよい。
他のビニル化合物としては、(A)成分および(B)成分と共重合可能であれば特に制限されないが、カルボキシ基などの二量化反応や架橋反応をする官能基を有さないものが好ましい。このような化合物としては、例えばスチレン;α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;無水マレイン酸等のマレイン酸類;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド類などが挙げられる。これら他のビニル化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合時の他のビニル化合物の割合は、イタコン酸ジエステルと、N−置換イタコンイミドと、芳香族ビニルの合計100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。他のビニル化合物の割合が20質量を超えると、得られる熱可塑性樹脂の天然物由来度が低下する傾向にある。
<熱可塑性樹脂の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂は、(A)成分と、(B)成分と、必要に応じて他の成分とをラジカル重合開始剤や連鎖移動剤等を用いて、ラジカル重合することで得られる。
ラジカル重合開始剤としては特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物;t−ブチルクミルペルオキシド、t−ブチルパーオキシ-2−エチルヘキサネート等のペルオキシ構造または過カルボン酸構造を有する有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉祥酸)等のアゾ系開始剤;ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン等の光重合開始剤などが挙げられる。
連鎖移動剤としては特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、メルカプタン類、テルペン油類、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
ラジカル重合の方法としては特に制限されず、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などの公知の方法を採用できる。
このようにして得られる熱可塑性樹脂の質量平均分子量は、2000〜500000であることが好ましく、10000〜300000であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の質量平均分子量が上記下限値未満であると成形品の強度が低くなる傾向にあり、上記上限値を超えると熱可塑性樹脂の成形性が劣る傾向にある。
熱可塑性樹脂の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定し、標準ポリスチレンで換算した値である。
熱可塑性樹脂の質量平均分子量は、ラジカル重合開始剤や連鎖移動剤の添加量などを調整することによって、任意の質量平均分子量に制御することができる。
<作用効果>
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂は、少なくとも(A)成分と(B)成分との共重合体であるため、生産性が良好である。該共重合体は、主鎖にエステル結合やアミド結合を有していないことから加水分解に強く、また結晶性も有さないことから、成形サイクルも短くできる。
また、(A)成分および(B)成分は天然物由来であるため、本発明の熱可塑性樹脂は天然物由来度が高い。しかも、(A)成分および(B)成分はカルボキシ基を有していないので、本発明の熱可塑性樹脂を用いれば外観に優れる成形品が得られる。
「熱可塑性樹脂組成物」
熱可塑性樹脂組成物は、上述した本発明の熱可塑性樹脂を含有する。該熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、本発明の熱可塑性樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂や添加剤を含有していてもよい。
<その他の熱可塑性樹>
その他の熱可塑性樹脂としては、例えばスチレン−アクリロニトリル重合体(AS樹脂)、ゴム強化スチレン−アクリロニトリル重合体(ABS樹脂、ASA樹脂、SAS樹脂、AES樹脂)、スチレン−無水マレイン酸重合体、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエン(SBR)、水素添加SBS、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のスチレン系エラストマー、各種オレフィン系エラストマー、各種ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン、メタクリル酸メチル−スチレン重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル重合体、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、エチレン−酢酸ビニル重合体、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、ポリ乳酸(PLA)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物がその他の熱可塑性樹脂を含む場合、その他の熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の熱可塑性樹脂とその他の熱可塑性樹脂の合計を100質量%としたときに、0.01〜30質量%が好ましい。
<添加剤>
添加剤としては、例えば滑材、顔料、染料、充填剤(カーボンブラック、酸化チタン等)、耐熱剤、酸化劣化防止剤、耐候剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤などが挙げられる。
添加剤の含有量は、本発明の熱可塑性樹脂100質量部(熱可塑性樹脂組成物がその他の熱可塑性樹脂を含む場合は、本発明の熱可塑性樹脂とその他の熱可塑性樹脂の合計100質量部)に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂と、必要に応じて添加剤等とを混合することで得られる。
具体的には、本発明の熱可塑性樹脂と、必要に応じて添加剤等とを混合し、混合物を例えば押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を用いて溶融混練し、ペレット化することで、熱可塑性樹脂組成物が得られる。
混合には回分式、連続式のいずれを採用してもよい。
また、熱可塑性樹脂や添加剤等の混合順序などにも特に制限はなく、全ての成分が均一に混合されればよい。
<作用効果>
熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂を含有するので、生産性が良好で、天然物由来度が高く、得られる成形品の外観に優れる。
「成形品」
本発明の成形品は、上述した本発明の熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものであり、外観に優れる。
成形方法としては、例えば射出成形法、射出圧縮成形法、押出法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。これらの中でも、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができるため、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましい。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
「製造例1:N−フェニルイタコンイミドの製造」
ディーン・スターク装置を備えた三口の反応容器に、トルエン365gと硫酸銅0.53gとを入れ、85℃に昇温した後、p−トルエンスルホン酸を11.3g加え、110℃で30分の間、還流させた。反応液の温度を90℃に低下させた後、無水イタコン酸171.4gとジメチルホルムアミド13.4gとを加え、115℃で10分の間、還流させた。引き続き、還流させながらアニリン129.4gを4時間かけて滴下した後、さらに90分間反応させた。
次いで、反応液を冷却した後、濃縮および再結晶することで、N−フェニルイタコンイミドを得た。
得られたN−フェニルイタコンイミドは、上記一般式(2)で表されるN−置換イタコンイミドに該当し、上記一般式(2)中のRがフェニル基である。
「製造例2:2−メトキシ−4−ビニルフェノールの製造」
三口の反応容器に、トルエン600gとフェルラ酸120gとトリエチルアミン100gとを加え、115℃で還流させながら5時間反応させた。反応液を冷却した後、5質量%硫酸水溶液を加えて有機相を抽出した。この有機相に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて有機相を抽出し、この有機相に硫酸マグネシウムを加えた。有機相をろ過した後、蒸留することで、2−メトキシ−4−ビニルフェノールを得た。
得られた2−メトキシ−4−ビニルフェノールは、上記一般式(3)で表される芳香族ビニル(フェルラ酸を脱炭酸したもの)に該当し、上記一般式(3)中のR、R、Rが水素原子であり、Rがヒドロキシ基であり、Rがメトキシ基である。
「製造例3:4−アセトキシ−3−メトキシスチレンの製造」
三口の反応容器に、トルエン600gとフェルラ酸120gとトリエチルアミン100gとを加え、115℃で還流させながら5時間反応させた。次いで、反応液に無水酢酸150gを加え、110℃で5時間反応させた。反応液を冷却した後、水を加えて有機相を抽出した。この有機相に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて有機相を抽出し、この有機相に硫酸マグネシウムを加えた。有機相をろ過した後、蒸留することで、4−アセトキシ−3−メトキシスチレンを得た。
得られた4−アセトキシ−3−メトキシスチレンは、上記一般式(3)で表される芳香族ビニル(フェルラ酸を脱炭酸したもの)に該当し、上記一般式(3)中のR、R、Rが水素原子であり、Rがメトキシ基であり、Rがアセトキシ基である。
「実施例1」
<熱可塑性樹脂の製造>
蒸留水170質量部とアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数:12)2.0質量部との混合物を内温75℃に保ち、これにピロリン酸ナトリウム0.2質量部と過硫酸カリウム0.25質量部とを加えた。次いで、イタコン酸ジメチル50質量部、2−メトキシ−4−ビニルフェノール50質量部とt−ドデシルメルカプタン0.1質量部とを240分かけて同時に滴下して重合を行なった。この間、内温75℃で一定に制御した。滴下終了後、さらに60分間75℃のまま保持した後に冷却して重合を終了した。反応生成物のラテックスを塩化カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して熱可塑性樹脂を97%の収率で得た。
得られた熱可塑性樹脂についてGPCにより分子量を測定したところ、質量平均分子量は23000であった。
<測定・評価>
(生産性の評価)
熱可塑性樹脂の収率を生産性の指標とした。結果を表1に示す。収率が高いほど熱可塑性樹脂を効率的に得られることから、生産性に優れることを意味する。
(天然物由来度の測定)
熱可塑性樹脂中のイタコン酸骨格と桂皮酸もしくはその誘導体骨格の割合の合計を天然物由来度とした。結果を表1に示す。
(外観の評価)
熱可塑性樹脂100質量部とカーボンブラック0.5質量部とを30mm二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX−30α」)を用いて230℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して100×100mm(厚み2mm)の成形品を作製した。
デジタル変角光沢計(スガ試験機株式会社製、「UGV−5D」)を使用して、入射角60°、反射角60°における成形品の表面の反射率(%)を測定した。結果を表1に示す。反射率が高いほど表面光沢性に優れることを意味する。
「実施例2」
2−メトキシ−4−ビニルフェノールの代わりに、4−アセトキシ−3−メトキシスチレンを用いた以外は実施例1と同様にして、質量平均分子量が143000の熱可塑性樹脂を得た。収率は96%であった。
得られた熱可塑性樹脂について、実施例1と同様にして測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例3」
イタコン酸ジメチルの代わりに、イタコン酸ジブチルを用いた以外は実施例1と同様にして、質量平均分子量が21000の熱可塑性樹脂を得た。収率は97%であった。
得られた熱可塑性樹脂について、実施例1と同様にして測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例4」
耐圧反応容器に蒸留水150質量部と、イタコン酸ジメチル50質量部および4−アセトキシ−3−メトキシスチレン50質量部の混合物と、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2質量部と、t−ドデシルメルカプタン0.1質量部と、カルシウムハイドロオキシアパタイト0.47質量部と、アルケニルコハク酸カリウム0.003質量部とを仕込み、内温を75℃まで昇温し、4時間反応を行った。その後、90℃まで昇温し、60分間保持することで反応を完結させた。内容物を遠心脱水機で洗浄、脱水を繰り返し、乾燥させて熱可塑性樹脂を98%の収率で得た。
得られた熱可塑性樹脂についてGPCにより分子量を測定したところ、質量平均分子量は156000であった。
得られた熱可塑性樹脂について、実施例1と同様にして測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例5」
イタコン酸ジメチル50質量部、N−フェニルイタコンイミド10質量部、および4−アセトキシ−3−メトキシスチレン40質量部の混合物を用いた以外は、実施例4と同様にして、質量平均分子量が148000の熱可塑性樹脂を得た。収率は97%であった。
得られた熱可塑性樹脂について、実施例1と同様にして測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「比較例1」
イタコン酸ジメチルの配合量を100質量部に変更し、2−メトキシ−4−ビニルフェノールを用いなかった以外は実施例1と同様にして、質量平均分子量が124000の熱可塑性樹脂を得た。収率は42%であった。
得られた熱可塑性樹脂について、実施例1と同様にして測定・評価を行った。結果を表2に示す。
「比較例2」
イタコン酸ジメチル50質量部の代わりに、イタコン酸ジブチル100質量部を用い、2−メトキシ−4−ビニルフェノールを用いなかった以外は実施例1と同様にして、質量平均分子量が98000の熱可塑性樹脂を得た。収率は28%であった。
得られた熱可塑性樹脂について、実施例1と同様にして測定・評価を行った。結果を表2に示す。
「比較例3」
2−メトキシ−4−ビニルフェノールの代わりに、スチレンを用いた以外は実施例1と同様にして、質量平均分子量が142000の熱可塑性樹脂を得た。収率は98%であった。
得られた熱可塑性樹脂について、実施例1と同様にして測定・評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2014210855
Figure 2014210855
表1、2中の略号は以下の通りである。
A1−1:イタコン酸ジメチル、
A1−2:イタコン酸ジブチル、
A2−1:N−フェニルイタコンイミド、
B−1:2−メトキシ−4−ビニルフェノール、
B−2:4−アセトキシ−3−メトキシスチレン、
B−3:スチレン。
表1から明らかなように、各実施例で得られた熱可塑性樹脂は、生産性が良好で、天然物由来度が高かった。また、各実施例で得られた熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、外観に優れていた。
一方、表2から明らかなように、芳香族ビニルとして桂皮酸もしくはその誘導体を脱炭酸したものを用いていない比較例1、2の熱可塑性樹脂は、収率が低く、生産性に劣っていた。
芳香族ビニルとして石油由来であるスチレンを用いた比較例3の熱可塑性樹脂は、天然物由来度が低かった。

Claims (2)

  1. イタコン酸ジエステル、およびN−置換イタコンイミドの少なくとも一方と、芳香族ビニルとをラジカル重合した熱可塑性樹脂であって、
    前記芳香族ビニルが桂皮酸もしくはその誘導体を脱炭酸したものである、熱可塑性樹脂。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂を用いた、成形品。
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