JP2014206052A - ウォータージャケット用スペーサ - Google Patents

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白井 浩史
Hiroshi Shirai
浩史 白井
吉則 宮崎
Yoshinori Miyazaki
吉則 宮崎
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Abstract

【課題】冷却性能の向上を図る。
【解決手段】ウォータージャケット用スペーサ10は、軸線を上下方向に向けて並列配置された複数のシリンダボア52を包囲するように形成したウォータージャケット50内に収容され、ウォータージャケット50内においてシリンダボア52のボア壁54に接触しながら周方向に流動する冷却水Fの流量を調整するためのものである。スペーサ10の上端面には、冷却水Fの流動方向に間隔を空けて配置された複数の突起13(第1板状部14,第2板状部15)が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ウォータージャケット用スペーサに関するものである。
特許文献1には、水冷式エンジンのシリンダブロックに形成したウォータージャケット内に、冷却水の流量を調整するためのスペーサを収容する技術が記載されている。ウォータージャケットは、軸線を上下に向けて並列配置された複数のシリンダボアを包囲するように形成されており、ウォータージャケット内に流入した冷却水は、ボア壁の外周面に接触することによってシリンダボア内の熱を奪っていきながら周方向に流れ、ウォータージャケット外へ流出する。
特開2008−128133号公報
シリンダボアは上端部が最も高温になるため、スペーサは、ウォータージャケット内における下端側領域に配置される。この配置により、スペーサよりも上方における冷却水の流量が、スペーサの高さ範囲内における冷却水の流量よりも多くなる。ところが、ウォータージャケット内におけるスペーサよりも上方の領域では、障害物が存在しないので、冷却水が層流状に流れる。そのため、ウォータージャケット内の冷却水の温度分布は、全周に亘り、ボア壁に近いほど高温が高く、ボア壁から遠いほど温度が低いという温度差の大きい状態となる。このような温度分布では、ボア壁から遠い領域を流れる冷却水は、シリンダボアの熱を十分に奪うことなくウォータージャケット外へ流出することになる。したがって、従来のスペーサは、冷却性能が低い。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、冷却性能の向上を図ることを目的とする。
本発明のウォータージャケット用スペーサは、
軸線を上下方向に向けて並列配置された複数のシリンダボアを包囲するように形成したウォータージャケット内に収容され、前記ウォータージャケット内において前記シリンダボアのボア壁に接触しながら周方向に流動する冷却水の流量を調整するためのものであって、
上端面に形成され、冷却水の流動方向に間隔を空けて配置された複数の突起を備えているところに特徴を有する。
この構成によれば、ウォータージャケット内を流動する冷却水は、突起に衝突することにより、ボア壁に対して接近又は離間するように流動方向をランダムに変えるので、乱流状態のまま全体として周方向に移動する。冷却水が乱流状に移動する過程では、比較的低温の冷却水がボア壁に接近してシリンダボアから熱を奪うとともに、シリンダボアの熱を奪って高温になった冷却水がボア壁から遠ざかるので、ボア壁に近い領域とボア壁から遠い領域との間での温度差が小さくなる。したがって、本発明によれば、冷却水の全体を吸熱手段として有効活用できるので、冷却性能に優れている。
実施例1においてウォータージャケットにスペーサを収容した状態をあらわす断面図 スペーサの平面図 図2のXa−Xa線断面図 実施例2のスペーサの平面図 図4のXb−Xb線断面図 実施例2のスペーサの平面図 図6のXc−Xc線断面図 実施例2のスペーサの平面図 図8のXd−Xd線断面図
(1)本発明のウォータージャケット用スペーサは、
前記突起が、冷却水の周方向への流動方向と交差する向きの板状をなしていてもよい。
この構成によれば、突起に衝突したときに冷却水が受ける抵抗が大きいので、冷却水を、より効果的に乱流状にすることができる。
(2)本発明のウォータージャケット用スペーサは、
前記複数の突起が、周方向に対して斜めをなし冷却水を前記ボア壁に接近させる方向へ誘導する複数の第1板状部と、周方向に対して斜めをなし冷却水を前記ボア壁から遠ざかる方向へ誘導する複数の第2板状部とを、周方向に交互に並べて構成されていてもよい。
この構成によれば、比較的低温の冷却水をボア壁に接近させてシリンダボアから熱を奪う流れと、シリンダボアの熱を奪って高温になった冷却水をボア壁から遠ざける流れを効果的に生成できるので、冷却性能に優れている。
(3)本発明のウォータージャケット用スペーサは、
前記複数の突起が、冷却水を前記ボア壁に接近させる方向へ誘導するように周方向に対して斜めをなし、周方向に並ぶように配置されていてもよい。
この構成によれば、周方向に流動する冷却水は、常に、突起によってボア壁に接近する方向へ誘導される。誘導されてボア壁に接近した冷却水は、その後、ボア壁から遠ざかるのであるが、このとき、ボア壁に接近する方向へ誘導された冷却水と衝突して乱流となる。本発明によれば、冷却水を、より効果的に乱流状にすることができる。
(4)本発明のウォータージャケット用スペーサは、
前記突起を貫通するように形成された貫通孔を有していてもよい。
この構成によれば、突起に向かった冷却水の一部は貫通孔を通過し、突起に向かった冷却水のうち貫通孔を通過しなかったものは、突起に衝突して流れの向きを変える。突起によって冷却水を複数の流れに分流するので、冷却水を、より効果的に乱流状にすることができる。
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1〜図3を参照して説明する。
<ウォータージャケット50>
本実施例1のウォータージャケット用スペーサ10(以下、単に「スペーサ10」という)の取付け対象は、自動車の内燃機関である4気筒エンジンである。スペーサ10が取り付けられるシリンダブロック51内には、軸線を上下方向に向けた4つ(便宜上、図5に示すのは1つだけである)のシリンダボア52が一列に水平に並んで形成されている。図1に示すように、シリンダボア52内にはピストン53が昇降可能に収容されている。エンジン駆動中は、ピストン53が上死点に達すると燃料が燃焼するため、シリンダボア52内の温度は上端部で最も高くなる。
この高温になるシリンダボア52を冷却する手段として、シリンダブロック51には、4つのシリンダボア52を一括して包囲するとともに、4つのシリンダボア52のボア壁54に沿った形状のウォータージャケット50が形成されている。図2に示すように、ウォータージャケット50は、複数の円弧状溝部55を連ねて構成され、全周に亘って連なった形態である。シリンダブロック51は、シリンダボア52に臨むボア壁54と、シリンダブロック51の外面を構成する外壁部56とを備える。このボア壁54と外壁部56との間の空間がウォータージャケット50となっている。
外壁部56のうち最も端(図2における左端)に位置する円弧状溝部55と対応する領域には、冷却水F(図1を参照)をウォータージャケット50に流入させるための流入口57と、冷却水Fをウォータージャケット50外へ流出させるための流出口58とが形成されている。図2に示すように、シリンダボア52の軸線と平行な平面視において、流入口57は、流出口58よりも反時計回り方向(図2における右方)にずれた位置に配置されている。また、シリンダボア52の軸線と直角な側面視において、流入口57はウォータージャケット50の下端部と対応する位置に配置され、流出口58は、ウォータージャケット50の上端部と対応する位置に配置されている。
<スペーサ10の概要>
ウォータージャケット50内には、ウォータージャケット50内における冷却水Fの流量(体積)を少なくするめためのスペーサ10(請求項に記載のウォータージャケット用スペーサ10)が収容されている。スペーサ10の材料としては、中実の材料(合成樹脂等)や、内部に気泡を有する多孔質材料等を用いることができる。多孔質材料としては、発泡プラスチック、発泡セラミックス、発泡ゴム、発泡金属等を用いることができる。
図2に示すように、スペーサ10の平面視形状は、ウォータージャケット50と同様、複数の円弧状壁部をシリンダボア52(ボア壁54及び外壁部56)に沿うように全周に亘って連ねた形状の壁状本体部11を有する。壁状本体部11の上端部には、径方向(シリンダボア52の軸線と直角であり、円弧状壁部の中心を起点とする放射方向)の幅寸法を拡大した水平板状の支持部12が、全周に亘って連続して形成されている。
また、図1に示すように、スペーサ10の高さは、ウォータージャケット50の全高寸法よりも小さく、スペーサ10は、ウォータージャケット50の底面に当接した状態で配置される。ウォータージャケット50のうちスペーサ10の外面と外壁部56の内面との間の領域(支持部12よりも下方の領域)は、スペーサ10によって溝幅が狭められた下部流動空間59となっている。また、ウォータージャケット50のうちスペーサ10(支持部12)よりも上方の領域は、上部流動空間60となっている。上部流動空間60は、下部流動空間59に比べて溝幅が広く、容積が大きい。上記した流入口57は、下部流動空間59においてスペーサ10の外周面と対向するように開口し、流出口58は、上部流動空間60においてボア壁54の外面と対向するように開口する。
エンジン駆動中は、図2に矢線Aで示すように流入口57からウォータージャケット50内に流入した冷却水Fが、図2に矢線Bで示すように平面視において反時計回り方向に流動し、ウォータージャケット50内をほぼ一周した後、図2に矢線Cで示すように、流出口58からウォータージャケット50外へ流出するようになっている。尚、以下の説明では、冷却水Fの流動方向に関して、平面視における反時計回り方向を下流方向又は下流側と定義し、平面視における時計回り方向を上流方向又は上流側と定義する。
冷却水Fは、ウォータージャケット50内を流動する間に、ボア壁54に接触しながらシリンダボア52内の熱を奪って徐々に温度上昇していく。このとき、冷却水Fが層流状態で周方向に流動した場合、ボア壁54に沿うように流れる冷却水Fが速やかに温度上昇するのに対し、外壁部56に沿うように流れる冷却水Fの温度上昇は、ボア壁54に沿って流れる冷却水Fに比べて緩やかとなる。つまり、ウォータージャケット50内の冷却水Fの温度分布は、全周に亘り、ボア壁54に近いほど高温が高く、ボア壁54から遠いほど温度が低いという温度差の大きい状態となる。このような温度分布では、ボア壁54から遠い領域を流れる冷却水Fは、シリンダボア52の熱を十分に奪うことなく流出口58からウォータージャケット50外へ流出してしまうことになる。
<冷却性能向上の手段>
本実施例のスペーサ10には、冷却水Fの冷却性能を向上させる手段として、支持部12の上面から上方(上部流動空間60)へ突出する複数の突起13が設けられている。複数の突起13は、方形平板状をなす複数の第1板状部14と、方形平板状であって第1板状部14と同数の第2板状部15とで構成されている。複数の第1板状部14と複数の第2板状部15は、周方向(ウォータージャケット50内における冷却水Fの流動方向)に所定のピッチで交互に配置されいている。これらの板状部14,15は、いずれも、板面を冷却水Fの流動方向(周方向)と交差するように向けている。
第1板状部14は、冷却水Fをボア壁54に接近させる方向へ誘導する向きとなるように、周方向に対して斜めに配置されている。第2板状部15は、第1板状部14とは逆に、冷却水Fをボア壁54から外壁部56側へ遠ざかる方向へ誘導する向きとなるように、周方向に対して斜めに配置されている。さらに、各板状部には、夫々、その板面と直角に貫通した形態であって、開口形状が円形をなす貫通孔16が形成されている。
上部流動空間60内を流動する冷却水Fの大部分は、第1板状部14の上流側の板面に衝突することにより、ボア壁54に接近するように流れの向きを変え、ボア壁54に接触することによってシリンダボア52の熱を奪う。このボア壁54に接触した冷却水Fの大部分は、第1板状部14とボア壁54の狭い隙間を通過しながらボア壁54から更に熱を奪う。第1板状部14とボア壁54の隙間を通過した冷却水Fの大部分は、第2板状部15の上流側の板面に衝突することにより、ボア壁54から遠ざかる方向へ流れの向きを変える。また、第1板状部14とボア壁54の隙間を通過した冷却水Fの一部は、第2板状部15とボア壁54の狭い隙間を通過しながらボア壁54から更に熱を奪う。
第2板状部15に衝突することによってボア壁54から遠ざかる方向へ流れの向きを変えた冷却水Fは、第1板状部14の下流側の板面に沿ってボア壁54に接近するように流れる冷却水Fと合流し、双方の冷却水Fが乱流を生成しながら熱交換を行う。熱交換した冷却水Fの大部分は、第2板状部15と外壁部56の狭い隙間を通過した後、第2板状部15とボア壁54の隙間を通過した高温の冷却水Fと合流し、乱流を生成しながら熱交換する。この熱交換した冷却水Fの大部分は、上記と同様に、第1板状部14の上流側の板面に衝突してボア壁54に接近するように流れの向きを変え、ボア壁54から熱を奪う。
また、第1板状部14に向かって流れる冷却水Fの一部は、第1板状部14に衝突する冷却水Fから分流して、第1板状部14の貫通孔16を通過する。貫通孔16を通過した冷却水Fは、第1板状部14と外壁部56との隙間を通過した冷却水Fと合流して、乱流を生成する。同様に、第2板状部15に向かって流れる冷却水Fの一部は、第2板状部15に衝突する冷却水Fから分流して、第2板状部15の貫通孔16を通過する。貫通孔16を通過した冷却水Fは、第2板状部15と外壁部56の隙間を通過した冷却水Fと合流して、乱流を生成する。
上述したように、冷却水Fがウォータージャケット50内を周方向へ移動する過程では、第1板状部14や第2板状部15に衝突した冷却水Fが流れの向きを変える現象、流れの向きが異なる冷却水F同士が合流する現象、狭い隙間を通過する際に冷却水Fの流速や流れの向きが変化する現象、貫通孔16を通過する際に冷却水Fの流速や流れの向きが変化する現象等を伴う。そして、これらの現象により、冷却水Fが、ボア壁54に対して接近又は離間するように流動方向をランダムに変えて乱流を生成しながら周方向に移動していく。
冷却水Fが乱流状に移動する過程では、比較的低温の冷却水Fがボア壁54に接近してシリンダボア52から熱を奪う現象と、シリンダボア52の熱を奪って高温になった冷却水Fがボア壁54から遠ざかる現象が、ランダム且つ頻繁に生じる。したがって、ウォータージャケット50内においては、ボア壁54に近い領域とボア壁54から遠い領域との間での温度差が拡大することはない。したがって、本実施例によれば、冷却水Fの全体を吸熱手段として有効活用できるので、冷却性能に優れている。
また、第1板状部14と第2板状部15は、冷却水Fの周方向への流動方向と交差する向きの板状をなしている。この構成によれば、これらの板状部14,15に衝突したときに冷却水Fが受ける抵抗が大きくなるので、冷却水Fを、より効果的に乱流状にすることができる。
また、周方向に対する傾き方が異なる2種類の板状部14,15を、周方向に交互に配置した。この構成によれば、比較的低温の冷却水Fをボア壁54に接近させてシリンダボア52から熱を奪う流れと、シリンダボア52の熱を奪って高温になった冷却水Fをボア壁54から遠ざける流れを効果的に生成できるので、冷却性能に優れている。
また、板状部14,15に貫通孔16を形成したことより、板状部14,15に向かった冷却水Fの一部が貫通孔16を通過し、板状部14,15に向かった冷却水Fのうち貫通孔16を通過しなかったものは、板状部14,15に衝突して流れの向きを変えるようにした。この構成によれば、板状部によって冷却水Fを複数の流れに分流させることができるので、冷却水Fを、より効果的に乱流状にすることができる。
<実施例2>
以下、本発明を具体化した実施例2を図4〜図5を参照して説明する。本実施例2のスペーサ2(請求項に記載のウォータージャケット用スペーサ)は、実施例1のスペーサ10の第1板状部14及び第2板状部15と同じ形態で同じ配置とされた2種類の第1板状部24及び第2板状部25を有している。この第1板状部24と第2板状部25には、実施例1の板状部14,15に形成されていた貫通孔16は、形成されていない。それ以外の構成は、実施例1のスペーサ10と同じである。また、貫通孔16に起因する作用及び効果を除き、本実施例2のスペーサ20の作用及び効果は、実施例1のスペーサ10と同様である。
<実施例3>
以下、本発明を具体化した実施例3を図6〜図7を参照して説明する。本実施例3のスペーサ30(請求項に記載のウォータージャケット用スペーサ)は、実施例1のスペーサ10と同様、壁状本体部11の上端部に板状の支持部12を形成したものである。本実施例3のスペーサ30の支持部12の上面に形成された複数の突起33は、実施例1の板状部14,15と同様、方形の板状をなすが、周方向に対する向きが、実施例1の板状部14,15と異なっている。即ち、周方向に並ぶ複数の突起33の板面は、全て、冷却水Fの周方向への流動方向Aに対して斜めに交差する向きとなっている。さらに、全ての突起33の板面は、冷却水Fをボア壁54に接近させる方向へ誘導するような向きとなっている。また、全ての突起33には、実施例1と同様の円形に開口する貫通孔16が形成されている。
ウォータージャケット50内を流動する冷却水Fの大部分は、突起33の上流側の板面に衝突することにより、ボア壁54に接近するように流れの向きを変え、ボア壁54に接触することによってシリンダボア52の熱を奪う。このボア壁54に接触した冷却水Fの一部は、突起33とボア壁54の狭い隙間を通過しながらボア壁54から更に熱を奪う。突起33とボア壁54の隙間に進入しなかった冷却水Fは、ボア壁54から遠ざかる方向へ流れながら、突起33に衝突するとともに、この突起33によってボア壁54側へ誘導される冷却水Fと合流し、乱流を生成して、熱交換を行う。
また、突起33に衝突しなかった冷却水Fの大部分は、突起33と外壁部56との狭い隙間を通過した後、突起33の上流側の板面に衝突して、ボア壁54に接近するように流れの向きを変える。このボア壁54に向かう冷却水Fは、突起33とボア壁54の隙間を通過した冷却水Fと合流し、乱流を生成しながら熱交換を行う。また、突起33と外壁部56の隙間を通過した冷却水Fの一部は、それよりも下流側の突起33と外壁部56の隙間を通過し、低温のままで下流側へ移動した後、高温の冷却水Fと合流して熱交換する。
冷却水Fがウォータージャケット50内を周方向へ移動する過程では、突起33に衝突した冷却水Fが流れの向きを変える現象、流れの向きが異なる冷却水F同士が合流する現象、狭い隙間を通過する際に冷却水Fの流速や流れの向きが変化する現象、貫通孔16を通過する際に冷却水Fの流速や流れの向きが変化する現象等を伴う。そして、これらの現象により、冷却水Fが、ボア壁54に対して接近又は離間するように流動方向をランダムに変えて乱流を生成しながら周方向に移動していく。これにより、冷却水Fの全体が吸熱手段として有効活用されるので、冷却性能に優れている。
特に、本実施例3のスペーサ30は、周方向に並ぶ全ての突起33が、冷却水Fをボア壁54に接近させる方向へ誘導するように周方向に対して斜めをなしているので、周方向に流動する冷却水Fが、常に、突起33によってボア壁54に接近する方向へ誘導される。そして、誘導されてボア壁54に接近した冷却水Fは、その後、ボア壁54から遠ざかるのであるが、このとき、ボア壁54に接近する方向へ誘導された冷却水Fと衝突して乱流となる。したがって、冷却水Fを、より効果的に乱流状にすることができる。
<実施例4>
以下、本発明を具体化した実施例4を図8〜図9を参照して説明する。本実施例4のスペーサ40(請求項に記載のウォータージャケット用スペーサ40)は、実施例1のスペーサ10と同様、壁状本体部11の上端部に板状の支持部12を形成したものである。本実施例4のスペーサ40の支持部12の上面に形成された複数の突起43は、実施例1の板状部14,15と同様、方形の板状をなすが、周方向に対する向きが、実施例1の板状部14,15と異なっている。即ち、周方向に並ぶ複数の突起43の板面は、全て、冷却水Fの周方向への流動方向に対してほぼ直角となる向きに設定されている。また、全ての突起43には、実施例1と同様の円形に開口する貫通孔16が形成されている。
ウォータージャケット50内を流動する冷却水Fの大部分は、突起43の上流側の板面に衝突することにより、ボア壁54に接近する方向と、ボア壁54から遠ざかる方向(外壁部56に接近する方向)とに分流する。ボア壁54に接近した冷却水Fは、ボア壁54に接触することによってシリンダボア52の熱を奪う。このボア壁54に接触した冷却水Fの一部は、突起43とボア壁54の狭い隙間を通過しながらボア壁54から更に熱を奪う。突起43とボア壁54の隙間に進入しなかった冷却水Fは、突起43に衝突することによってボア壁54から遠ざかる方向へ流れ、その一部が突起43と外壁部56の狭い隙間を通過する。
突起43とボア壁54の隙間を通過した冷却水Fは、それよりも下流側の突起43に衝突し、上記と同様に、ボア壁54に接近する方向と、ボア壁54から遠ざかる方向とに分流する。また、突起43と外壁部56の隙間を通過した冷却水Fも、下流側の突起43に衝突して、ボア壁54に接近する方向と、ボア壁54から遠ざかる方向とに分流する。ボア壁54に接近した冷却水Fは、ボア壁54から熱を奪い、ボア壁54から遠ざかった冷却水Fは、突起43と外壁部56との隙間を通過する。
また、突起43に衝突しなかった冷却水Fは、貫通孔16を通過し、その後、下流側の突起43に衝突して、ボア壁54に接近する方向と、ボア壁54から遠ざかる方向とに分流する。突起43への衝突によってボア壁54に接近する方向に誘導された冷却水Fと、突起43への衝突によってボア壁54から遠ざかる方向に誘導された冷却水Fと、貫通孔16を通過した冷却水Fは、上流側の突起43と下流側の突起43との間において、合流して乱流を生成しながら熱交換を行う。
このように、冷却水Fがウォータージャケット50内を周方向へ移動する過程では、突起43に衝突した冷却水Fが流れの向きを変える現象、流れの向きが異なる冷却水F同士が合流する現象、狭い隙間を通過する際に冷却水Fの流速や流れの向きが変化する現象、貫通孔16を通過する際に冷却水Fの流速や流れの向きが変化する現象等を伴う。そして、これらの現象により、冷却水Fが、ボア壁54に対して接近又は離間するように流動方向をランダムに変えて乱流を生成しながら周方向に移動していく。これにより、冷却水Fの全体が吸熱手段として有効活用されるので、冷却性能に優れている。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1〜4では、突起を平板状としたが、突起は、湾曲した板状の形態、屈曲した板状の形態、円柱状の形態等、種々の形態のものを用いることができる。
(2)上記実施例1〜4では、形状と寸法が共通である同一種類の突起のみを設けたが、形状又は寸法が異なる複数種類の突起を混在させてもよい。
(3)上記実施例1,3,4では、1つの突起に形成する貫通孔の数を1つとしたが、1つの突起に複数の貫通孔を形成してもよい。
(4)上記実施例1,3,4では、全ての突起に貫通孔を形成したが、貫通孔が形成された突起と、貫通孔が形成されていない突起を混在させてもよい。
(5)上記実施例1,3,4では、貫通孔の開口形状を円形としたが、貫通孔の開口形状は、非円形であってもよい。
(6)上記実施例3,4において、貫通孔を形成しない形態としてもよい。
10…スペーサ(ウォータージャケット用スペーサ)
13…突起
14…第1板状部(突起)
15…第2板状部(突起)
16…貫通孔
20,30,40…スペーサ(ウォータージャケット用スペーサ)
24…第1板状部(突起)
25…第2板状部(突起)
33,43…突起
50…ウォータージャケット
52…シリンダボア
54…ボア壁
F…冷却水

Claims (5)

  1. 軸線を上下方向に向けて並列配置された複数のシリンダボアを包囲するように形成したウォータージャケット内に収容され、前記ウォータージャケット内において前記シリンダボアのボア壁に接触しながら周方向に流動する冷却水の流量を調整するためのものであって、
    上端面に形成され、冷却水の流動方向に間隔を空けて配置された複数の突起を備えていることを特徴とするウォータージャケット用スペーサ。
  2. 前記突起が、冷却水の周方向への流動方向と交差する向きの板状をなしていることを特徴とする請求項1記載のウォータージャケット用スペーサ。
  3. 前記複数の突起が、周方向に対して斜めをなし冷却水を前記ボア壁に接近させる方向へ誘導する複数の第1板状部と、周方向に対して斜めをなし冷却水を前記ボア壁から遠ざかる方向へ誘導する複数の第2板状部とを、周方向に交互に並べて構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のウォータージャケット用スペーサ。
  4. 前記複数の突起が、冷却水を前記ボア壁に接近させる方向へ誘導するように周方向に対して斜めをなし、周方向に並ぶように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のウォータージャケット用スペーサ。
  5. 前記突起を貫通するように形成された貫通孔を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のウォータージャケット用スペーサ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106321272A (zh) * 2016-11-08 2017-01-11 广西玉柴机器股份有限公司 多缸柴油机的气缸体
CN107587950A (zh) * 2017-09-22 2018-01-16 力帆实业(集团)股份有限公司 摩托车水冷发动机气缸体结构

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