本発明の実施形態に係る電動機制御装置及びそのパラメータ設定方法は、電動機を繰り返し動作させる毎に電動機動作に関する情報量を取得する。取得した情報量は、任意の情報量に対して、電動機動作においてより有効となる順に並ぶように順位付けを実施する。これにより、順位付けされた情報量に従って制御パラメータも同時に並べられ、自動調整によって得た適正な制御パラメータ以外、つまり、第1位を含む第2位以降の制御パラメータを容易に確認、設定することを可能とする。
すなわち、自動調整法により設定された第1位の適正な制御パラメータだけでなく、第2位以降の制御パラメータとなる情報量を作業者に提供することにより、作業者にとってより適正な制御パラメータとなりうる制御パラメータが提供されることになる。
具体的には、自動調整によって得た適正な制御パラメータ以外の運転波形データ、運転特性データ、制御パラメータに対し、任意の情報量順に配置された情報を提供することができる。
また、作業者が新たに設定した適正な制御パラメータを用いて、電動機を繰り返し動作した際に設定した基本動作パターンを電動機制御装置内部で生成し、電動機を動作させることで、ユーザが新たに設定した適正な制御パラメータでの電動機動作を、簡単に確認することができる。
以下、より詳細な実施例を図面を用いて説明する。具体的には、制御パラメータの自動調整機能により電動機制御装置の制御パラメータを自動調整する際に電動機動作時の特徴となる情報量を取得し、調整結果管理装置を用いて、作業者が重視する情報量に対して順位付けを行う実施例を示す。
ここで、本実施例で示す電動機動作時の特徴となる情報量とは、運転波形データ、運転特性データ、制御パラメータである。なお、運転波形データは電動機動作に関する位置データ、速度データ、電流データである。
また、運転特性データとは電動機動作の特徴となる情報量に関するデータである。本実施例では、運転特性データを後述する位置決め整定時間、後述するオーバーシュート量、後述する電動機停止時振動量を運転特性データの例として用いるが、これに限ったことではない。例えば、電動機駆動終了後、電動機停止中の振動量も運転特性データとなる。もちろん、これに限らず、電動機動作に関するデータを運転特性データとする。
まず初めに、電動機制御装置を用いて制御パラメータを自動調整する一例を示す。図1は本発明の実施形態による電動機制御装置の自動調整法を示す制御ブロック図である。
図1において、1は電動機、2は電動機1により駆動される駆動対象負荷、3は電動機1と駆動対象負荷2を連結する連結軸、4は電動機1を駆動する電力変換器である。5は電動機1に取り付けられ、電動機1の位置検出値θMを出力する位置検出器、6は位置指令値θM *と電動機1の位置検出値θMとの位置偏差θeに応じて速度指令値ωM *を出力する位置制御器である。
7は位置検出器5の出力する位置検出値θMを入力して、電動機1の速度検出値ωMを出力する速度演算器である。8は速度指令値ωM *と電動機1の速度検出値ωMとの速度偏差ωeに応じてトルク電流指令値Iq *を出力する速度制御器である。
9は電動機1に供給されるトルク電流検出値Iqを検出する電流検出器、10はトルク電流指令値Iqと電動機1に供給されるトルク電流検出値Iqに応じて電力変換器4の出力電流を調整する電流制御器である。11は位置検出値θM、速度検出値ωM、トルク電流検出値Iqを測定するデータ測定部である。
12は位置指令θM *を生成し、位置制御器6および速度制御器8に関する制御パラメータを自動調整するパラメータチューニング部である。このパラメータチューニング部は位置指令値θM *と電動機1の位置検出値θMとの位置偏差θeを入力値とし、位置制御器6、及び、速度制御器8に設定する制御パラメータを出力する。
13は、電動機動作時の運転波形データ、及び、運転特性データ、及び、制御パラメータを保存する調整結果管理装置である。
これらの構成を具備することで、駆動対象負荷を所望の位置まで様々な条件で駆動させ、また、駆動状態を動作毎に把握し、保存することが可能となっている。
図2は、図1が示すパラメータチューニング部12のブロック図である。121は、予めユーザが登録した複数の位置指令パターンを順次、位置指令θM *として生成する位置指令生成部である。122は、位置偏差θeを入力として、自動で制御パラメータを最適な制御パラメータに調整する制御パラメータ調整部である。
本実施例における電動機の自動調整は、位置指令生成部121から複数の位置指令パターン1〜Nの全てに対して、実際に電動機を動作させ、全ての位置指令パターンに関して後述するオーバーシュート量p_ovshが許容値を越えない範囲を満たし、且つ、後述する位置決め整定時間time_inpを短縮するよう制御パラメータを自動調整することを目的とする。なお、自動調整のフローチャートは図4を用いて後述する。
図3は位置指令生成部121から出力される位置指令パターン1を位置指令波形とした場合の電動機動作時の位置検出波形、位置指令波形と位置検出波形の偏差である位置偏差波形、電動機停止信号、及び、電動機動作の特徴となる運転特性データである。
波形200は、位置指令波形であり、図2の位置指令生成部121から出力される位置指令値posrefにより生成された位置指令パターン1〜Nの代表例である。例えば、位置指令パターン1の位置指令波形が波形200であったとする。
波形201は、波形200に示す位置指令波形により電動機を動作させた際、実際の電動機の位置データとして位置検出器5が出力する位置検出値posfbである。
波形202は位置指令値posrefと位置検出値posfbの偏差値となる位置偏差値posref - posfbである。
波形203は、位置偏差値posref - posfbの絶対値である位置偏差絶対値|posref - posfb|が位置決め幅p_inpの範囲内かを判定する電動機停止信号PINPである。位置偏差絶対値|posref - posfb|が位置決め幅p_inpより大きいとき、位置偏差絶対値は位置決め幅の範囲外であるため電動機停止信号PINP=OFFを出力する信号である。また、位置偏差絶対値|posref - posfb|が位置決め幅p_inp以下のとき、位置偏差絶対値が位置決め幅の範囲内であるため、電動機停止信号PINP=ONを出力する信号である。
位置決め整定時間time_inpは、位置指令値posrefが電動機停止の目標位置に到達してから、電動機停止信号PINP=ONを安定して出力するまでの時間である。位置決め整定時間time_inpは電動機が停止するまでの時間に対する指標であり、位置決め整定時間が短いほど、電動機が動作を開始してから停止するまでの時間が短くなる。一般的に、電動機動作では、位置決め整定時間は短いほうが良いとされている。
オーバーシュート量p_ovshは、電動機停止の目標地点からどれだけ行き過ぎているかを表す値である。一般的に、オーバーシュート量p_ovshは0より大きい値を出力した場合、電動機は停止の目標位置より行き過ぎたことを表しており、できるだけ小さな値であることが望ましいとされている。
電動機停止時振動量p_udovshは、電動機停止時の振動検出量であり、電動機動作時→電動機停止時のオーバーシュート量、アンダーシュート量の和により算出される。一般的に電動機停止振動量p_udovshは、小さな値であることが望ましいとされている。
本実施例で示す電動機制御装置における制御パラメータの自動調整では、オーバーシュート量が予めユーザが設定する許容値の範囲内であり、且つ、位置決め整定時間が短くなるよう自動調整されるが、これに限ったことではない。
例えば、電動機を繰り返し動作させる毎に、予め電動機制御装置に設定された複数の制御パラメータの組合せにより制御パラメータを調整し、位置決め整定時間を短縮するよう自動調整を実施してもよい。
図4は、図1、図2に示す電動機制御装置の自動調整法を用いて、電動機の自動調整手順を示すフローチャートである。本実施例で用いる位置指令波形は、図3に示した波形200とし位置指令生成部121から出力される。位置指令生成部121から波形200を出力することで実際に電動機を動作させ、制御パラメータの自動調整を実施する。
なお、位置指令生成部121から位置指令パターン1〜Nを出力する場合についても同様である。この場合、位置指令パターン1に対し処理403を実施後、位置指令パターン2に対し処理403を連続して実施する。以降、位置指令パターンNまで処理403を連続して実施すればよい。
自動調整機能及び装置の調整手順は、まず電動機の自動調整法を実施するため、処理400で制御パラメータの自動調整法を開始し、処理401へ移動する。
処理401では、電動機を動作させるための位置指令パターンを位置指令生成部121から出力させるため、位置指令パターン1を設定し、処理402へ移動する。処理402では、パラメータの自動調整回数を示す制御パラメータ調整回数ParamSetCountを初期化し、処理403へ移動する。
処理403では、位置指令生成部121から出力された位置指令パターンによって実際に電動機を動作させ、電動機動作中、及び、電動機停止中の位置指令波形、位置検出波形、位置偏差波形、電動機停止信号PINPを運転波形データとして測定する。また、位置決め整定時間time_inp、オーバーシュート量Povsh、電動機停止時振動量p_vib、電動機振動振幅量p_udovshを運転特性データとして測定する。運転波形データ、及び、運転特性データを測定し、処理404へ移動する。
処理404では実際に制御パラメータの自動調整回数をカウントするため、制御パラメータ調整回数ParamSetCountをカウントアップし、処理405へ移動する。
処理405では、処理403にて電動機を動作させた際の各情報量をデータテーブルTable[][]へ保存する。
つまり、電動機動作により得られた情報量1は、後述するデータテーブルTable[1][ParamSetCount]に、情報量2は後述するデータテーブルTable[2][ParamSetCount]に保存する。以降、情報量3、情報量4、…と実施し、情報量Mの場合はデータテーブルTable[M][ParamSetCount]に保存する。
処理405にて、情報量1から情報量Mまでの情報量をデータテーブルTable[m][ParamSetCount]に保存後、処理406へ移動する。処理406では、自動調整機能により、次に処理403で電動機を動作させる際の制御パラメータを設定し、処理407へ移動する。
処理407では電動機の自動調整機能を終了するかを判定する。処理407にて自動調整終了と判定しなかった場合、処理403へ移動し、制御パラメータの自動調整を続ける。
処理407にて自動調整終了と判定した場合、処理408に移動する。処理408では自動調整法により制御パラメータを調整した中から、自動調整機能が適正とする制御パラメータを電動機制御装置に設定する。適正な制御パラメータを設定後、処理409へ移動し、電動機の制御パラメータ自動調整を終了する。
ここで、処理407での電動機の自動調整終了判定方法は、位置決め整定時間time_inpが規定値以内であったため終了としても良い。例えば、所望の位置まで要する時間が、予め作業者が設定する許容値t_in秒以内であるとき、適正な制御パラメータであると認識し、制御パラメータの自動調整を終了するという場合がある。
ただし、電動機の自動調整手順は図4のフローチャートが示す手順に限ったことではない。例えば、電動機の運転回数がある規定値を越えたため終了でもよく、自動調整法の終了条件は問わない。
以上のパラメータ設定において蓄積される情報について説明する。
図5(a)は電動機動作の特徴となる情報量の数がm個、制御パラメータ自動調整回数がn回の場合に、制御パラメータ自動調整時の情報量を保存するデータテーブルTable[m][n]である。
500は、データテーブルラベル番号LblNoであり、データテーブル列の番号を表す。本実施例によれば、データテーブルラベル番号LblNoは、制御パラメータ調整回数なる。制御パラメータ調整回数1回目の場合、データテーブルラベル番号LblNo=1となり、制御パラメータ調整回数n回目の場合、データテーブルラベル番号LblNo=nとなる。
501は、情報量1データテーブル列 Table[1][m]である。本実施例によれば、制御パラメータ調整回数1回目の電動機動作時に得た情報量1のデータはTable[1][1]に保存され、制御パラメータ調整回数2回目の電動機動作時に得た情報量1のデータはTable[1][2]に保存される。
502も501と同様に情報量2のデータをデータテーブルTable[2][1]、データテーブルTable[2][2]…へ順番に保存する。
503は、情報量Mデータテーブル列Table[M][n]である。本実施例によれば、制御パラメータ調整回数1回目の電動機動作時に得た情報量MのデータはTable[M][1]に保存され、制御パラメータ調整回数2回目の電動機動作時に得た情報量MのデータはTable[M][2]に保存される。
本実施例では、情報量1は位置決め整定時間time_inp、情報量2はオーバーシュート量p_ovsh、情報量3は電動機停止時振動量p_udovsh、情報量4は運転波形データ、情報量5は制御パラメータとする。
つまり、本実施例では、位置決め整定時間time_inpは位置決め整定時間保存データTable[1][]、オーバーシュート量p_ovshはオーバーシュート量保存データTable[2][]、電動機停止時振動量p_udovshは電動機停止時振動量保存データTable[3][]、運転波形データは運転データ保存データTable[4][]、制御パラメータは制御パラメータ保存データTable[5][]とする。
次に図5(a)で示したデータテーブルTable[][]を、図5(b)の調整結果管理装置での処理について示す。
画面550はデータテーブルTable[][]を調整結果管理装置で表示する画面の例である。
グラフ551は、データテーブルTable[][]に保存された情報量を調整結果管理装置に表示したグラフである。横軸は制御パラメータ調整回数とし、縦軸は情報量1で表示したグラフである。本実施例では、横軸は左側から制御パラメータ調整回数の順に並べており、縦軸各々に対応した位置決め整定時間time_inpがグラフ551にプロットされる。つまり、制御パラメータ調整回数が1の場合、位置決め整定時間保存データ Table[1][1]の値がプロットされる。制御パラメータ調整回数が2の場合、位置決め整定時間保存データ Table[1][2]の値が、グラフ551にプロットされている。
また、グラフ551は後述する情報量選定処理により、横軸を情報量優先順位に従って表示し、縦軸を作業者が重視する情報量に従って表示する。作業者が重視する情報量についてはボタン552で選択する。
ボタン552は作業者が重視する情報量を選択するボタンである。後述する情報量選定処理は、制御パラメータ調整時に取得した1種類以上の情報量の中から特定した情報量に対し実施するため、特定の情報量として作業者が重視する情報量を選択する必要がある。図5に示す画面例では、作業者が重視する情報量は位置決め整定時間time_inp(Table[1]の情報量)とする。
設定553は、情報量判定範囲設定DataMin-Datamaxであり、作業者が重視する情報量の判定範囲を設定する。例えば、位置決め整定時間time_inpの順位付け範囲の最小値を5とした場合、後述する情報判定量最小値DataMin=5が設定される。また、順位付け範囲の最大値を10とした場合、後述する情報判定量最大値Datamax=10が設定され、ボタン552と合わせて、位置決め整定時間time_inpが5から10の範囲で順位付けを実施する。
ボタン554では、情報量選定処理開始ボタンである。情報量選定処理開始ボタンが作業者により選択されると、ボタン554は後述する情報量選定処理を開始し、作業者が重視する情報量に対し、順位付けを開始する。
画面555は、ボタン554により後述する情報量選定処理が実施された結果を表示する画面である。本実施例では、位置決め整定時間に対し後述する情報量選定処理を実施し順位付けする。順位付けした結果、作業者にとって最も有効であるとされたデータは、第1位データとして画面555に表示される。すなわち、SortResultDataNo_1は位置決め整定時間の最も短いデータであり、以降、位置決め整定時間が短い順にSortResultDataNo_2、SortResultDataNo_3、…と並べられ表示される。
ボタン556は、制御パラメータの自動調整時に予め設定した位置指令パターン1〜Nを位置指令生成処理121で生成し、電動機を駆動する電動機駆動ボタンである。
画面557は、グラフ551でプロットされたデータをポインティング中の運転回数に対応した制御パラメータを表示する制御パラメータ表示画面である。
ボタン558は、画面557で表示された制御パラメータを、電動機の制御パラメータとして書き込むボタンである。
本実施例によると、ボタン558が作業者により選択されると、画面557で表示されている制御パラメータを制御パラメータ保存データTable[5][5]より取得し、電動機制御装置に制御パラメータを書き込む。なお、情報量選定処理実施後にボタン558が作業者により選択された場合、後述するソート保存制御パラメータデータSortData[5][5]から制御パラメータを取得し、電動機制御装置に制御パラメータを書き込む。
図5(b)に示す調整結果管理装置を具備することで、駆動対象負荷を所望の位置まで様々な条件で駆動させた際の情報量を保存し、順位付けする。これにより、作業者に対し電動機にとってより有効な順位付けされた情報量を提供することが可能となる。なお、本実施例では位置指令パターン1について説明しているが、位置指令パターン2〜Nについても同様である。
次に、ボタン554が作業者によって選択されることにより開始する情報量選定処理を実施し、情報量選定処理により順位付けされた情報量を作業者に提供するまでの処理について図6〜図14を用いて説明する。
情報量選定処理は、作業者が重視する情報量に対し順位付けした情報量を提供するため、後述するフィルタリング処理を実施することにより、データテーブルTable[][]に保存された、作業者が重視する情報量に対し情報量判定範囲設定DataMin-Datamaxの判定値範囲内であるか選定する。本実施例の場合、作業者が重視する情報量は位置決め整定時間time_inpのことである。その後、フィルタリング処理により選定されたデータテーブルに対し順位付けを実施するため、後述するソート処理を実施することにより、作業者が重視する情報量の順位付けが可能となる。
まず、情報量選定処理によりデータテーブルTable[][]をフィルタリングし、順位付けするまでのデータの流れを図6(a)のフローチャートと図6(b)のデータ遷移説明図を用いて説明する。
図6(a)に示すように、情報量選定処は処理600で情報量選定処理を開始する。
初めに、データテーブルTable[][]に対しフィルタリング処理を実施するため処理601へ移動する。処理601では、位置決め整定時間time_inpが情報量判定範囲設定DataMin-Datamaxであるかを判定し、位置決め整定時間time_inpが情報量判定範囲設定DataMin-Datamaxの範囲内であれば、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]にデータを保存する。また、位置決め整定時間time_inpが情報量判定範囲設定DataMin-Datamaxの範囲外であればフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]にデータを保存しない。
処理601にてフィルタリング処理を実施後、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]に対し、一般的に電動機動作において有効であるとされる順に並び替えを実施するため、処理603へ移動しソート処理を実施する。
ソート処理では、フィルタリング保存データテーブルFilt[][]を並び替える。位置決め整定時間time_inpの場合、値は小さい方が電動機動作において有効な値であるとされるため、位置決め整定時間time_inpが小さい順にFiltData[][]を並び替える。
処理603にてソート処理終了後、情報量選定処理を終了するため処理604へ移動する。
次に、図7を用いて情報量選定処理の順位付けを実施するまでのデータ移動の一例を用いて説明する。
構造体配列650は電動機を複数回動作した際に保存するデータテーブルTable[][]である。
構造体配列651は後述するデータ653〜データ657に各々保存された位置決め整定時間time_inpが、情報量判定範囲設定DataMin-Datamax内であるデータを保存したフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]である。
構造体配列652はフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]に保存された位置決め整定時間time_inpの順位付けを実施し、順位どおりに並べ替えたソート保存データテーブルSortData[][]である。
データ653〜データ657はデータテーブル[][]に保存された各々の情報量である。データ660〜データ662はフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]に保存された各々の情報量であり、データ666〜データ668はソート保存データテーブルSortData[][]に保存された各々の情報量である。
処理658〜処理660は、データテーブルTable[][]に保存された位置決め整定時間time_inpが、情報量判定範囲設定DataMin-Datamax範囲内であるため、データ653、データ655、データ656に保存された各々の情報量がフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]に保存されることを示している。
一方、データ654、データ657は、情報量判定範囲設定DataMin-Datamax範囲外であるため、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]に保存されない。
処理664〜処理666は、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]に保存された位置決め整定時間time_inpの順位付けを実施し、各々対応したソート保存データテーブルSortData[][]に保存する際のデータフローである。
ここでは、データ661、データ662、データ663を比較した場合、データ662の位置決め整定時間time_inpが最も小さく、次にデータ661の位置決め整定時間time_inpが小さく、データ663の位置決め整定時間time_inpが最も大きい値であったとする。
この場合、データ662を第1位のデータとしてデータ667に保存し、データ661を第2位のデータとしてデータ668に保存し、データ663を第3位のデータとしてデータ669に保存する。
以上に示すデータフローにより、構造体652に保存されたデータ667、データ668、データ669が位置決め整定時間time_inpの小さい順に並べることができる。
次に、図6(a)、図(b)の処理658〜処理660にあたるフィルタリング処理について図7のフローチャート、及び、図8のデータフロー説明図を用いて詳しく説明する。
まず、図7を用いてフィルタリング処理のフローチャートについて説明する。
図7では処理700でフィルタリング処理を開始し、初期化処理701に移動する。初期化処理701では、フィルタリング保存データFiltdata[][]に保存した回数を示すフィルタリングデータ保存回数DataStore、及び、データテーブルTable[][]に保存された位置決め選定時間time_inpに対し、フィルタリングを実施した回数を示す情報判定回数DataNoを1で初期化し、処理702へ移動する。なお、フィルタリングデータ保存回数DataStoreはフィルタリング判定中のデータテーブル行番号であり、情報判定回数DataNoはフィルタリング判定を実施した回数である。
処理702では、データテーブルTable[][]に対しフィルタリング処理を実施するかどうかを判定する。情報判定回数DataNoがデータテーブル列の最大値である制御パラメータ調整回数ParamSetCountより大きければ、位置決め整定時間time_inpに対するフィルタリング処理を全て終了したと判定し、処理708へ移動する。処理708へ移動後、処理602に移動し、フィルタリング処理を終了する。
また、情報判定回数DataNoが、データテーブル列の最大値である制御パラメータ調整回数ParamSetCount以下であれば、フィルタリング処理が終了していないため、処理703に移動し、フィルタリング処理を実施する。
処理703では、位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo]が情報量判定値最大値DataMax以下であるかを判定する。位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo]が情報量判定値最大値DataMaxより大きい場合、作業者の所望する判定値範囲外のため、データテーブルTable[1][]は、フィルタリングデータテーブルFiltData[][]に保存することなく処理704へ移動する。
処理704では次のデータテーブル列に保存されている位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo+1]について判定するため、情報判定回数DataNoをカウントアップし、処理702へ移動する。
また、処理703で位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo]が情報量判定値最大値DataMax以下の場合、作業者の所望する判定値範囲内の可能性がある。この場合、位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo]が情報量判定値最小値DataMin以上であるかを判定するため、処理705へ移動する。
処理705では、位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo]が情報量判定値最小値DataMin以上であるかを判定する。位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo]が情報量判定値最小値DataMinより小さい場合、作業者の所望する判定値範囲外のため、フィルタリングデータFiltData[][]として保存することなく処理704へ移動する。
また、処理705で、位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo]が情報量判定値最小値DataMin以上の場合、処理703の処理と合わせ、フィルタリング処理実施中の位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo]は、作業者にとって所望の範囲内のデータであると判定され、処理706へ移動する。
処理706では、処理703、及び、処理705が作業者の所望するデータであると判定した位置決め整定時間保存データTable[1][DataNo]を、フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataStore]に保存する。
なお、オーバーシュート量、電動機停止時振動量、運転波形データ、制御パラメータも、各々対応したフィルタリング保存データテーブルFiltData[][n]に保存され、処理707へ移動する。
処理707は、データテーブルTable[][]をフィルタリングデータテーブルFiltData[][p]に保存した回数をカウントするため、フィルタリングデータ保存回数DataStoreをカウントアップする。フィルタリングデータ保存回数DataStoreをカウントアップ終了後、処理704へ移動する。
位置決め整定時間に対し、全てフィルタリング処理を実施した場合、処理702から処理708へ移動する。処理708へ移動後、フィルタリング処理を終了し処理602へ移動する。
次に、図8を用いてフィルタリング処理のデータフローについて説明する。
処理800は、図7の処理703、及び、処理705により、位置決め整定時間保存データTable[1][1]が情報判定量最大値DataMax以下、且つ、情報判定量最小値DataMin以上であった場合の処理である。
この場合、位置決め整定時間保存データTable[1][1]は作業者の所望する判定値範囲内であったため、データテーブルTable[][1]にそれぞれ保存された各々の情報量をフィルタリング保存データテーブルFiltData[][1]にそれぞれ保存する。
処理801は、図7の処理703、及び、処理705により、位置決め整定時間保存データTable[1][2]が情報判定量最大値DataMax以上、または、情報判定量最小値DataMin以下であった場合の処理である。
この場合、位置決め整定時間保存データTable[1][2]は作業者の所望する判定値範囲外であったため、データテーブルTable[][2]にそれぞれ保存された情報量はフィルタリング保存データテーブルFiltData[][2]に保存しない。
処理800、または、処理801を実施し、データテーブルラベル番号LblNo=1列目からデータテーブルラベル番号LblNo=n列目までに保存された位置決め整定時間データTable[1][n]に対しフィルタリング処理を実施する。
図7、及び図8に示す処理により、フィルタリング処理は位置決め整定時間time_inpが作業者の所望の判定値範囲内である情報量を保存したフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]を作成する。つまり、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]に保存された位置決め整定時間time_inpは全て情報量判定範囲設定DataMin-Datamaxである。
図6(a)においてフィルタリング処理終了後、処理603でソート処理を実施する。本実施例でのソート処理は、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]に保存されたフィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][]の値を小さい順に並び替えることとする。
次に、図6(a)、図6(b)の処理664〜処理666にあたるソート処理について図9〜図11のフローチャート、及び、図12〜図13のデータフロー説明図を用いて詳しく説明する。
図9〜図11は、フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][]が小さい順に並ぶよう、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]を並び替えるソート処理のフローチャートである。
ソート処理において、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]をソート保存データテーブルSortData[][]に保存するのは、フィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[1][p]とソート保存位置決め整定時間SortData[1][q]が一致する場合、または、フィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[1][]がソート保存位置決め整定時間SortData[1][]より小さい場合である。それぞれの条件において保存する場合のフローチャートが図10、図11となる。
図10は、フィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[1][p]とソート保存位置決め整定時間SortData[1][]が一致する場合にフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]を、ソート保存データテーブルSortData[][]に保存するフローチャートである。
また、図11は、フィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[1][]がソート保存位置決め整定時間SortData[1][]より小さい場合にフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]を、ソート保存データテーブルSortData[][]に保存するフローチャートである。
まず、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
ソート処理は処理900で開始し、処理901に移動する。処理901では、ソート判定回数DataSortNoはソート判定中のデータテーブル行番号であるソート判定回数DataSortNoに1を設定し、処理902へ移動する。なお、ソート判定回数DataSortNoはソート判定中のデータテーブル番号である。
処理902では、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]をソート保存データテーブルSortData[][]に保存する毎に、ソート保存データテーブルSortData[][]の列番号を初期化する必要があるため、ソート保存データテーブルSortData[][]の列番号であるソート列番号SortNoに1を設定し、処理903へ移動する。
処理903ではソート処理実施判定を行う。ソート処理実施判定の判定回数は、ソート処理を実施した回数を示すソート判定回数DataSortNoが、ソート処理実施判定回数の最大値となるフィルタリングデータ保存回数DataStoreより大きければ、フィルタリング保存データテーブルFiltdata[][]全ての位置決め整定時間time_inpに対しソート処理を終了したと判定し、処理912に移動する。処理912ではソート処理を終了し、処理603に移動する。
ソート判定回数DataSortNoがフィルタリングデータ保存回数DataStore以下の場合、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]全ての位置決め整定時間に対し、ソート処理が終了していないため、処理904に移動し、ソート処理を実施する。
処理904ではフィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]が、ソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo]以下か判定する。フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]がソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo]より大きい場合、フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]は次のソート列番号SortNoに保存されたソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo+1]に対し処理904を実施することとなる。この場合、ソート列番号SortNoするため、処理905へ移動する。
処理905ではソート列番号SortNoをカウントアップする。カウントアップされたソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo+1]は、処理904にてフィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]とソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo+1]の比較処理を実施する。
処理904で、フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]がソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo]以下の場合、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][]は、ソート保存データテーブルSortData[][]へ保存されうる。この場合、処理906へ移動する。
処理906ではフィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]とソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo]が、同値であるかを判定する。フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]とソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo]が同値である場合、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]とソート保存データテーブルSortData[][SortNo]は、電動機動作にとってどちらがより有効な制御パラメータであるかの判定が困難となる。
この場合、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]は位置決め整定時間以外の運転特性データを保存しているため、位置決め整定時間以外の運転特性データを比較し、電動機にとってより有効であるか判定が可能である。よって、位置決め整定時間以外の運転特性データに対する情報量の比較処理を実施するため、処理907へ移動する。処理907へ移動後、図10の処理1000へ移動する。
図10は、先述のとおりソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo]とフィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]が同値であった場合、位置決め整定時間time_inp以外に電動機の特徴となる情報量に対して選定処理を実施する第2情報量選定処理のフローチャートである。本実施例では、第2情報量をオーバーシュート量とする。
処理1000は第2情報量選定処理を開始し、処理1001へ移動する。処理1001では、各々のデータテーブルに保存している第2情報量を設定するため、データ選定の行番号となるデータ選定行番号SortChk=2を設定する。処理1001でデータ選定行番号SortChk=2を設定後、処理1002へ移動する。
処理1002では、フィルタリング保存オーバーシュート量データFiltData[2][DataSortNo]がソート保存オーバーシュート量データSortData[2][SortNo]以下かを判定する。
フィルタリング保存オーバーシュート量データFiltData[2][DataSortNo]がソート保存オーバーシュート量データSortData[2][SortNo]より小さい場合、電動機動作では一般的にオーバーシュート量は小さいほうが良いとされているため、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]はソート保存データテーブルSortData[][SortNo]より電動機動作において有効な制御パラメータを有したデータテーブルであると判定することができる。この場合、処理1003へ移動する。
処理1003では、処理1002により、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]はソート保存データテーブルSortData[][SortNo]より電動機動作にとって有効であると判定されたため、フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]に保存された値をソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo]に保存する。
同様にフィルタリング保存オーバーシュート量データFiltData [2][DataSortNo]、フィルタリング保存電動機停止時振動量データFiltData [3][DataSortNo]、フィルタリング保存運転波形データFiltData[4][DataSortNo]、フィルタリング保存制御パラメータデータFiltData [5][DataSortNo]も各々対応したソート保存データテーブル[][]に保存する。
この結果、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]はソート保存データテーブルSortData[SortNo]に上書き保存される。処理1003にて上書き保存処理実施後、処理1007へ移動し、第2情報量選定処理を終了する。第2情報量選定終了後、図9の処理908へ移動する。
処理1002で、フィルタリング保存オーバーシュート量データFiltData[2][DataSortNo]がソート保存オーバーシュート量データSortData[2][SortNo]以上の場合、フィルタリング保存データテーブルFiltData [][DataSortNo]はソート保存データテーブルSortData [][DataSortNo]より電動機動作において有効な制御パラメータを有したデータテーブルとは限らない。この場合、処理1004へ移動する。
処理1004ではフィルタリング保存オーバーシュート量データFiltData[2][DataSortNo]とソート保存オーバーシュート量データSortData[2][SortNo]が同値であるか判定する。
フィルタリング保存オーバーシュート量データFiltData[2][DataSortNo]とソート保存オーバーシュート量データSortData[2][SortNo]が同値でない場合、処理1002での比較処理と合わせて、フィルタリング保存オーバーシュート量データFiltData[2][DataSortNo]がソート保存オーバーシュート量データSortData[2][SortNo]より大きいことが決定する。この場合、フィルタリング保存データテーブルFiltData[2][SortNo]よりソート保存データテーブルSortData[2][DataSortNo]の方が電動機動作においてより有効な制御パラメータを有したデータテーブルとなる。
この場合、フィルタリング保存データテーブルをソート保存データテーブルに保存することなく、処理1007へ移動する。
処理1004で、フィルタリング保存オーバーシュート量データFiltData[2][DataSortNo]とソート保存オーバーシュート量データSortData[2][SortNo]が同値である場合、位置決め整定時間time_inpとオーバーシュート量p_ovshが共に同値であるため、電動機動作にとってより有効な制御パラメータを有するデータテーブルの判定は困難である。この場合、第3情報量選定処理を実施するため、処理1005へ移動する。
処理1005では、まだ判定処理のデータとして用いていない運転特性データに対し判定処理を実行するため、データ選定行番号SortChkをカウントアップし、処理1006へ移動する。
処理1006では、データテーブル列がSortChk列目のソート保存データテーブルSortData[SortChk][SortNo]が運転特性データであるかを判定し、判定処理に用いることが可能な運転特性データであった場合、処理1002へ移動し、第2情報量以降の運転特性データに対する選定処理を開始する。
SortData[SortChk][SortNo]が判定処理に用いることが可能な運転特性データでない場合、選定中のフィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]、及び、ソート保存データテーブルSort[][SortNo]は、電動機動作はほとんど差異のない特性を持つ制御パラメータを有するデータテーブルとなる。この場合、ソート保存データテーブルのデータテーブルを更新することなく、処理1007へ移動する。
処理1007へ移動後、第2情報量判定処理を終了したとして、図9の処理908へ移動する。
処理908へ移動後、処理911へ移動する。処理911では、ソート判定を実施した回数をカウントするため、ソート判定回数DataSortNoをカウントアップする。また、フィルタリングデータ1列目のフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]とソート保存データテーブルSortData[][]に対し判定処理を実施するため、ソート列番号SortNo=1を設定し、処理902へ移動し、次のソート判定処理を実施する。
処理906で、フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]と、ソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo]が不一致の場合、処理904の処理と合わせて、フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][DataSortNo]はソート保存位置決め整定時間データSortData[1][SortNo]より小さいことが確定する。
この場合、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]はソート保存データテーブルSortData[][SortNo]に保存する必要がある。しかし、ソート保存データテーブルSortData[][SortNo]にはすでにフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]から移動したデータが存在する場合、ソート保存データテーブルSortData[][SortNo]を保存可能領域とするため、データ列の配置を変更する必要がある。
よってデータ列配置を変更するため、処理909へ移動し、ソート保存移動処理を実施する。処理909へ移動後、図11の処理1100へ移動する。
図11は、先述のとおりフィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[1][]がソート保存位置決め整定時間SortData[1][]より小さい場合にフィルタリング保存データテーブルFiltData[][]を、ソート保存データテーブルSortData[][]に保存するソート保存移動処理のフローチャートである。
ソート保存移動処理は、ソート保存データテーブルSortData[][SortNo]のデータ列を保存可能な領域とするため、現在、ソート保存データテーブルSortData[][]に保存されているデータの配置を変更後、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]をソート保存データテーブルSortData[][]に保存する処理である。
ソート保存移動処理について図11のフローチャートを用いて説明する。
ソート保存移動処理は処理1100で開始し、処理1101へ移動する。処理1101では、処理1103にてソート保存データテーブルSortData[][Data_chk2]のデータ列の配置を変更するため、ソート列変更番号Data_chk2にソート保存データテーブル列の最大値であるフィルタリングデータ保存回数DataStoreを設定し、処理1102へ移動する。
処理1102にて、ソート列変更番号Data_chk2とソート列番号SortNoの比較処理を実施する。ソート列変更番号Data_chk2がソート列番号SortNoより大きい場合、処理1103で実施されるソート保存データテーブルSortData[][q]のデータ列配置変更が終了していないことを示している。この場合、処理1103へ移動し、ソート保存移動処理を実施する。
処理1103では、ソート保存データテーブルSortData[][]のデータ列配置変更を実施する。ソート保存位置決め整定時間データSortData[1][Data_chk2 - 1]に保存しているデータをソート保存位置決め整定時間データSortData[1][Data_chk2]に保存する。同様に、ソート保存オーバーシュート量データSortData[2][Data_chk2 - 1]、ソート保存電動機停止時振動量データSortData[3][Data_chk2 - 1]、ソート保存運転波形データSortData[4][Data_chk2 - 1]、ソート保存制御パラメータデータSortData[5][Data_chk2 - 1]に保存されているデータを、各々対応したソート保存データテーブルSortData[][Data_chk2]に保存する。
処理1103にてソート保存データテーブルSortData[][]のソート保存移動処理実施後、処理1104へ移動する。処理1104では、次のソート保存データテーブルSortData[][]に対しソート保存移動処理を実施するため、ソート列変更番号Data_chk2をカウントダウンし、処理1102へ移動する。
処理1102で、ソート列変更番号Data_chk2がソート列番号SortNo以下の場合、ソート保存データテーブルSortData[][]のソート保存移動処理を終了し、処理1105へ移動する。
処理1105では、処理1103にて保存可能となった領域であるソート保存データテーブルSortData[][SortNo]に、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]の情報量を保存する。
処理1105でフィルタリング保存データテーブルFiltData[][DataSortNo]をソート保存データテーブルSortData[][SortNo]に保存後、処理1106へ移動する。処理1106へ移動後、ソート保存移動処理を終了したとして、処理910へ移動する。
処理910へ移動後、処理908と同様に処理911へ移動する。処理911では、ソート判定を実施した回数をカウントするため、ソート判定回数DataSortNoをカウントアップする。またソート保存データテーブルSortData[][]に対し、判定処理を実施するため、ソート列番号SortNoを初期化し、処理902へ移動し、次のソート判定処理を実施する。
ソート判定処理を実施後、処理912でソート処理を終了するまで、ソート処理を実行する。
図12は、図10のフローチャートで示した判定中のフィルタリング保存位置決め整定時間データFiltdata[1][]とソート保存位置決め整定時間SortData[1][]が一致した場合の、第2情報量判定処理について説明するデータフローである。
本実施例で示す第2情報量選定処理の例は、図12の処理1200に示すように、フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][2]とソート保存位置決め整定時間SortDataデータ[1][1]を比較することとする。
初めに、比較処理1201を実施する。処理1201では、フィルタリング保存位置決め整定時間データFiltData[1][2]とソート保存位置決め整定時間SortDataデータ[1][1]が同値の場合、第2の情報量を比較するため、比較処理1202を実施する。
本実施例では、第2情報量であるフィルタリング保存オーバーシュート量FiltData[2][2]とソート保存オーバーシュート量SortData[2][1]の比較を実施する。
処理1202にて、フィルタリング保存オーバーシュート量FiltData[2][2]がソート保存オーバーシュート量SortData[2][1]より小さい場合、処理1204に示すように、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][2]をソート保存オーバーシュート量SortData[][1]へ保存する。このとき、ソート保存データテーブルSortData[][2]に保存されていたデータはソート保存データテーブルSortSata[][]から破棄される。
また、処理1202にてフィルタリング保存オーバーシュート量FiltData[2][2]がソート保存オーバーシュート量SortData[2][1]より大きい場合、処理1204は実施しない。つまり、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][2]を保存せず、第2情報量判定処理を終了する。
また、処理1202にてソート保存オーバーシュート量SortData[2][1]とフィルタリング保存オーバーシュート量FiltData[2][2]が同値の場合、処理1203で別の運転特性データを比較する。
ただし、第2情報量判定処理を実施する際、処理1202、処理1203の情報量が判定値として用いることが可能な運転特性データでない場合、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][2]とソート保存データテーブルSrotData[][1]は電動機動作においてほとんど差異のない制御パラメータであると判定し、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][2]をソート保存データテーブルSrotData[][1]に保存せず、第2情報量判定処理を終了する。
図13は、図9の処理904によりフィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[][]がソート保存位置決め整定時間SortData[][]より大きい場合、及び、図9の処理904、処理906によりフィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[][]がソート保存位置決め整定時間SortData[][]より小さいと判定した場合のソート保存処理説明図である。
処理1300は、図9の処理904によりフィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[1][p]がソート保存位置決め整定時間SortData[1][1]より大きいと判定された場合の処理である。フィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[1][p]がソート保存位置決め整定時間SortData[1][1]より大きいため、ソート保存データテーブルSortData[][1]に保存せず、次の行のソート保存位置決め整定時間SortData[1][2]と比較処理、つまり処理1301を実施する。
処理1301は、図9の処理904、及び、処理906により、フィルタリング保存位置決め整定時間FiltData[1][p]がソート保存位置決め整定時間SortData[1][2]より小さいと判定された場合の処理である。この場合、フィルタリング保存データテーブルFiltData[][p]はソート保存データテーブルSortData[][2]に保存する必要がある。
この時点では、ソート保存データテーブルSortData[][2]にデータが存在するため、ソート保存データテーブルSortData[][2]にあるデータの配置を変更し、データテーブル列をデータ保存可能状態とする必要がある。そのため、ソート保存データテーブル移動処理1302〜1304を実施する。
つまり、ソート保存データテーブル移動処理1302はソート保存データテーブルSortData[][q-1]をソート保存データテーブルSortData[][q]に保存し、次にソート保存データテーブル移動処理1303を実施する。ソート保存データテーブル移動処理1303はソート保存データテーブルSortData[][q-2]をソート保存データテーブルSortData[][q-1]に保存する。
以降、ソート保存データテーブル移動処理1302、1303に示すように、ソート保存データテーブルSortData[][]保存箇所を1つずつ下の行にずらす処理を実行し、処理1302、処理1303に示す処理を処理1304まで実施する。
ソート保存データテーブルSortData[][2]は、ソート保存データテーブル移動処理1304によりソート保存データテーブルSortData[][3]に保存されるため、ソート保存データテーブルSortData[][2]が保存可能なデータテーブル列となり、処理1301によりフィルタリング保存データテーブルFiltData[][p]がソート保存データテーブルSortData[][2]に保存可能となる。
図14では、処理605にて情報量選定処理終了後、位置決め整定時間time_inpに対して順位付けを実施したソート保存位置決め整定時間[1][q]をグラフ551へ表示する処理の説明図である。
グラフ1400は、情報量選定処理後のグラフ551である。横軸は情報量順位付けに従って表示し、縦軸はソート保存位置決め整定時間データSortData[1][q]を表示する。
処理1401はソートデータテーブルラベル番号SLblNo=1の値をグラフ1400横軸の値とし、ソート保存位置決め整定時間データSortData[1][1]の値をグラフ1400縦軸の値としたプロット点をグラフ551に表示する。
ソート保存位置決め整定時間データSortData[1][q]の表示処理はソートデータテーブルラベル番号SLblNo=1からSLblNo=qまで実施する。つまり、処理1402まで処理1401と同様の処理を実施し、グラフ1400へのデータ表示処理を行う。
ここで、表示する値は作業者が希望する順位まで表示可能である。つまり、位置決め整定時間のデータを10位まで表示する場合q=10となる。また、位置決め整定時間についてグラフ1400に表示後、縦軸データをオーバーシュート量に変更することも可能である。もちろん、情報量選定処理の対象となる情報量がオーバーシュート量である場合、オーバーシュート量について表示される。また、ソート保存位置決め整定時間はSLblNo=1から順に、小さい順に並べられているが、大きい順に表示する場合、SLblNo=qからSLblNo=q-1と順に、作業者が希望する順位まで表示すればよい。
図6〜図14のフローチャート、及び、説明図に示す手順により、作業者が重視する情報量に対し、作業者が所望の範囲内で順位付けを実施した情報量を提供することが可能となる。
図15は、グラフ551に表示された位置決め整定時間と制御パラメータの表示処理、及び、表示されている制御パラメータの書き込み処理の説明図である。
画面1500は、画面550と同様である。また、グラフ1501はグラフ551と同様であり、情報量選定処理後である場合、グラフ1501はグラフ1400と同様となる。
まず、グラフ1501にプロットされた点をポインティングした時に制御パラメータ表示部1505に制御パラメータを表示する処理である、制御パラメータ表示処理について説明する。
例えば、グラフ1501にて、運転回数3、及び、ソート保存位置決め整定時間データSortData[1][3]で構成されたポイントが選択された場合、処理1502を実行する。
処理1502は制御パラメータデータTable[5][3]、または、ソート保存制御パラメータデータSortData[5][3]をテーブル1503から取得する。ここで、テーブル1503は、情報量ソート保存前である場合、データテーブルTable[5][3]であり、情報量ソート保存後である場合、ソート保存データテーブルSortData[5][3]である。
テーブル1503より、制御パラメータ取得後、処理1504を実行する。処理1504はテーブル1503の制御パラメータを、制御パラメータ表示部1505に制御パラメータを表示する。
次に、制御パラメータ表示部1505に表示された制御パラメータを電動機制御装置に書き込み処理である、表示制御パラメータ書き込み処理について説明する。
表示制御パラメータ書込み処理は、初めに、ボタン1506が作業者により選択され、処理1507を実施する。処理1507は、制御パラメータ表示部1505に表示されている制御パラメータを取得し、処理1508を実行する。処理1508は、制御パラメータ表示部に表示されている制御パラメータをテーブル1503から取得し、処理1509を実行する。
処理1509は、テーブル1503から取得した制御パラメータを、電動機制御装置1510に書き込む処理を実施する。これにより、制御パラメータ表示部1505に表示中の制御パラメータを電動機制御装置へ書き込み処理を行う。
また、ソート保存データテーブルSortData[][]に運転波形データが保存されている場合、グラフ1501のプロット点を選択すると、運転波形データを表示することも可能である。
なお、順位付けを実施した情報量の範囲内から、再度、別の情報量に対して情報量選定処理を実施することも可能である。
例えば、情報量選定処理によって位置決め整定時間を1位〜10位まで順位付けしたとする。この場合、1位〜10位まで順位付けされた位置決め整定時間に対し、オーバーシュート量が作業者の重視するデータとして、再度、ボタン554から情報量選定処理を実施することで、位置決め整定時間1位〜10位の範囲内にあるデータをオーバーシュート量1位〜10位の並び順に変更することも可能である。
図16は、本実施例における本発明を採用できる電動機制御装置の全体のシステム構成図である。図16において、1601はボールネジユニット、1602は電動機、1603は電動機1602の位置検出器、1603は負荷1604を搭載するスライダー、1600はサーボアンプ、1606は電動機1602の位置検出信号をサーボアンプ1600に伝送するケーブルである。また、1607は、サーボアンプ1600から電動機1602に駆動電力を供給するケーブル、1608は、サーボアンプに電源を供給するケーブルである。1609は、自動調整機能、及び、調整結果管理装置を搭載するパソコン、1610はパソコン1609からの調整条件、及び、121位置指令生成部で生成される位置指令により電動機を動作させる際の電動機動作時運転波形データを、サーボアンプ1600に伝送する為の通信ケーブルである。
なお、本実施例は電動機制御対象として、回転系の電動機、直動系の電動機に共通する実施例である。
また、本実施例は電動機制御装置の自動調整時、電動機を複数回動作させる際、電動機内部に備えた位置指令生成部121から出力された位置指令パターン1〜Nを位置指令値として記載しているが、電動機を複数回動作させる手段は問わない。つまり、電動機制御装置に外部から入力される位置指令生成装置を取り付け、位置指令パターンを入力してもよい。
また、電動機を複数回動作させる際、電動機制御装置の制御パラメータ調整方法は自動調整、手動調整を問わない。つまり、電動機制御装置の制御パラメータを、電動機を動作させる毎に、作業者によって制御パラメータを手動で調整してもよい。
また、調整管理機能で再設定した制御パラメータの動作を確認するため、ボタン556を選択すると、電動機制御装置の自動調整時に設定した位置指令パターンを生成することが可能である。つまり、よってボタン556により、再設定後の制御パラメータでの電動機動作を確認することができる。
また、電動機動作の特徴となる情報量を保存する装置は電動機制御装置でも良い。