JP2014204177A - 衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法 - Google Patents

衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大容量データ中継が可能で、データ回収頻度を高めることができ、システム性能・機能の拡張性が高く、変調方式に依存しないデータ中継が可能で、使用者の需要にあった送信方式に柔軟に対応することができる、衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法を提供する。
【解決手段】地上送信局11が、送信用の元データを任意の変調方式や符号化方式で、変調処理や符号化処理した後、送信データとして中継用衛星12に送信する。中継用衛星12が、送信データを受信してデジタル波形に変換する受信データ処理部21と、デジタル波形に変換されたデータを保存する記録部22とを有し、記録部22に保存されたデータを地上受信局13にダウンリンクする。地上受信局13が、ダウンリンクされたデータを受信して解析局14に配信する。解析局14が、配信されたデータを受信して、復調処理や復号処理を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法に関する。
近年、地球上の生態系や環境状態を観測するために、地球上および地球大気圏内に分散的に多数のセンサ基地を配置し、そのデータを取得することが行われている。これら多数のセンサ基地からのデータ回収手段としては、地上の有線または無線通信ネットワークを利用するものが一般的であるが、人工衛星を使用したものもある。このような人工衛星を利用したデータ回収・中継技術は、ストア・アンド・フォアワード(S&F)技術と呼ばれており、全地球規模で効率的なデータ回収を実現することができる。S&F技術として、現在、全世界で唯一、アルゴスシステムが運用されている(例えば、特許文献1または非特許文献1参照)。アルゴスシステムは、CNES、NASA、NOAAが主体となり、1978年から運用されており、他の世界的研究計画等の構成要素としての地位を確立している。
特開2000−25688号公報
"NOAA Satellite InformationSystem"、[online]、インターネット〈URL: http://www.noaasis.noaa.gov/ARGOS/〉
しかしながら、アルゴスシステムでは、データ転送量は決して大きくなく、第三世代のシステムで最大4800bpsとなっており、大容量データの転送は難しいという課題があった。また、アルゴスシステムでは大型衛星技術を利用しており、衛星の基数が小さいため、高頻度でのデータ回収が難しいという課題もあった。また、大型衛星には大規模な開発費用がかかるため、システムの性能改善、機能拡張を頻繁に実施することができないという課題もあった。さらに、アルゴスシステムでは、送受信装置間の変調・符号化方式が固定されているため、使用者の需要に合ったデータ送信方式を採用することができず、使用者独自の送信端末も使用できないという課題もあった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、大容量データ中継が可能で、データ回収頻度を高めることができ、システム性能・機能の拡張性が高く、変調方式に依存しないデータ中継が可能で、使用者の需要にあった送信方式に柔軟に対応することができる、衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムは、地上送信局からの送信データを中継用衛星で中継して地上受信局に送り、その地上受信局から解析局に配信する、衛星を利用したデータ中継システムであって、前記地上送信局は、送信用の元データを任意の変調方式および/または符号化方式で、変調処理および/または符号化処理した後、送信データとして前記中継用衛星に送信するよう構成され、前記中継用衛星は、前記地上送信局から送信された前記送信データを受信してデジタル波形に変換する受信データ処理部と、前記受信データ処理部でデジタル波形に変換されたデータを保存する記録部とを有し、前記記録部に保存されたデータを、前記地上受信局にダウンリンクするよう構成され、前記地上受信局は、前記中継用衛星からダウンリンクされたデータを受信して前記解析局に配信するよう構成され、前記解析局は、前記地上受信局から配信されたデータを受信して、前記変調方式に対応する復調方式、および/または、前記符号化方式に対応する復号方式で、復調処理および/または復号処理を行うよう構成されていることを特徴とする。
本発明に係る衛星を利用したデータ中継方法は、地上送信局からの送信データを中継用衛星で中継して地上受信局に送り、その地上受信局から解析局に配信する、衛星を利用したデータ中継方法であって、前記地上送信局は、送信用の元データを任意の変調方式および/または符号化方式で、変調処理および/または符号化処理した後、送信データとして前記中継用衛星に送信し、前記中継用衛星は、前記地上送信局から送信された前記送信データを受信してデジタル波形に変換し、前記デジタル波形に変換されたデータを記録部に保存し、前記記録部に保存されたデータを、前記地上受信局にダウンリンクし、前記地上受信局は、前記中継用衛星からダウンリンクされたデータを受信して前記解析局に配信し、前記解析局は、前記地上受信局から配信されたデータを受信して、前記変調方式に対応する復調方式、および/または、前記符号化方式に対応する復号方式で、復調処理および/または復号処理を行うことを特徴とする。
本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法では、変調処理および/または符号化処理、ならびに、復調処理および/または復号処理を、それぞれ地上送信局および地上の解析局で行うため、中継用衛星では、変調方式や符号化方式に依存することなく、データ中継を行うことができる。このため、任意の通信方式に対応可能で、使用者の需要にあった送信方式に柔軟に対応することができる。また、変調方式や符号化方式ごとに異なる衛星を導入する必要がなく、低コストで導入可能であり、拡張性にも優れている。
本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法では、中継用衛星が、受信した地上送信局からの送信データをデジタル波形に変換して保存し、ダウンリンクするだけであり、復調処理や復号処理を行わないため、中継用衛星に搭載するシステムを簡素化して、小型化、軽量化、低消費電力化を図ることができる。これにより、中継用衛星として、重量が100kg〜1000kgの小型人工衛星や、100kg以下の超小型人工衛星を使用することができ、中継用衛星の基数を容易に増やすことができる。これにより、地上送信局の上空をいずれかの衛星が通過する頻度を高めることができ、データ回収頻度やリアルタイム性などを高めることができる。また、中継用衛星として小型人工衛星や超小型人工衛星を使用することにより、大型衛星と比べて、システムの性能改善や機能拡張を安価かつ頻繁に行うことができるため、システム性能・機能の拡張性が高い。
本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法では、地上送信局から中継用衛星へのデータ伝送速度の上限は、基本的に中継用衛星でのデジタル波形への変換速度、および記録部への保存速度に依存する。また、正味のデータ伝送速度は、中継用衛星の記録部の容量や、中継用衛星から地上受信局へのデータ伝送速度にも影響を受ける。本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法は、システム性能改善や機能拡張を頻繁に行うことができるため、近年のAD変換技術の向上や、保存メモリ技術の小型化・軽量化・低消費電力化・高速化にも迅速に対応することができ、データ伝送速度を各段に向上することができる。また、衛星から地上へのダウンリンク技術の小型化・軽量化・低消費電力化による、小型人工衛星や超小型人工衛星による高速通信技術の進歩に伴い、データ伝送速度のさらなる向上が期待できる。
本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法は、任意の通信方式に対応可能であるため、大容量データ通信用の変調方式や符号化方式を使用することにより、大容量データ中継を行うことができる。また、今後の変調方式や符号化方式の技術の向上にも容易かつ迅速に対応することができ、より大容量のデータ中継も可能になる。
本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法で、中継用衛星は、送信電力が小さい地上送信局からのデータも受信できるよう、地表から比較的近い距離を周回する低軌道衛星から成ることが好ましい。特に、低軌道の中でも極軌道と呼ばれる、極域を通過する軌道を周回する衛星から成ることが好ましい。この場合、地球の自転との組み合わせにより、ほぼ全地球の上空を定期的に通過することができるため、全地球規模で配置された地上送信局からのデータを効率良く回収することができる。また、中継用衛星は、地上送信局からの送信データを効率良く中継するよう、記録部に保存されたデータを地上受信局にダウンリンクした後、記録部からそのデータを消去し、記録部の容量を解放することが好ましい。
本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法で、前記地上送信局は、前記送信データの前に、前記送信データの送信を知らせるためのパイロット信号を付加したものを送信するよう構成され、前記中継用衛星は、前記パイロット信号を受信した後、前記送信データの受信を開始するよう構成されていることが好ましい。特に、前記パイロット信号は、1または複数のパルス信号から成ることが好ましい。この場合、パイロット信号を受信することにより、中継用衛星での送信データの受信のタイミングを図ることができる。例えば、パイロット信号の受信時から所定の時間経過後に送信データの受信処理を開始、および終了するよう設定することなどにより、受信の失敗を効果的に防ぐことができる。また、パイロット信号がパルス信号から成る場合には、パルス信号のパルス部を比較的高出力で送信することによって、中継用衛星が信号を検出しやすくすることができる。パルス信号を利用することにより、送信データの検知が容易になることから、送信データの送信時の電力を、その通信回路が成立する必要送信電力の範囲内において比較的低く抑えることができるため、正味の消費電力を削減することができる。
また、この場合、前記パイロット信号は、複数のパルス信号から成り、あらかじめ決められた各パルス信号の設定に基づいて、前記送信データの受信条件を送信可能であり、前記中継用衛星は、受信した前記パイロット信号から得られる前記受信条件に基づいて、前記送信データの受信を行ってもよい。この場合、パルス信号のパターンや信号の時間間隔、パルス信号の有無などの設定により、中継用衛星に受信の際の各種設定条件を、短時間で送信することができる。送信データの受信条件は、例えば、送信データのサンプリング周波数、送信データのサンプリング時間などである。
さらに、この場合、前記パイロット信号は、複数の周波数帯域ごとに複数のパルス信号を有し、前記複数の周波数帯域のうち所定の周波数帯域の各パルス信号を、あらかじめ決められた検出用のパターンに従って並べ、他の周波数帯域の各パルス信号を、あらかじめ決められた前記送信データの受信条件のパターンに従って並べて成り、前記中継用衛星は、受信した前記パイロット信号のうち、前記所定の周波数帯域で前記検出用のパターンを検出した後、前記送信データの受信を開始するとともに、前記他の周波数帯域の各パルス信号から前記受信条件を抽出し、抽出された前記受信条件に基づいて前記送信データの受信を行ってもよい。この場合、所定の周波数帯域による検出用のパターンにより、パイロット信号の検出精度を高めることができる。また、他の周波数帯域でのパルスを利用することにより、パイロット信号で伝達できる時間当たりの情報量を向上させることができる。また、所定の周波数帯域を送信データの中心周波数帯域にすることにより、検出用のパターンの検出に基づいて、送信データの中心周波数を高感度で推定することができる。これにより、中継用衛星の高速移動によるドップラーシフトの影響を効果的に除去することができる。
本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法で、前記中継用衛星は、受信した前記送信データを中間周波数(IF)信号に変換した後、その中間周波数信号をデジタル波形に変換することが好ましい。この場合、送信データをIF信号に変換することにより、デジタル波形に変換する際にサンプリングしやすくすることができる。また、サンプリング後のデータを小さくすることができる。
本発明に係る衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法で、前記中継用衛星は、複数から成り、少なくとも1台が前記地上送信局からの前記送信データを受信可能にそれぞれ配置されており、前記地上送信局は、前記複数の中継用衛星のうち、送信可能な任意の中継用衛星に前記送信データを送信するよう構成され、各中継用衛星は、前記地上受信局にダウンリンク可能になったとき、前記記録部に保存されたデータを、前記地上受信局にダウンリンクするよう構成されていることが好ましい。この場合、地理的および時間的カバー範囲の向上のため、複数の中継用衛星を導入し、それぞれの軌道および軌道上の配置を工夫することにより、少なくとも1台が地上送信局からの送信データを受信できるようにすることができる。また、複数の中継用衛星により全地球をカバーすることができ、地上送信局から任意のタイミングで送信データを送信することができる。また、各中継用衛星から地上受信局に、確実にダウンリンクすることができる。
本発明によれば、大容量データ中継が可能で、データ回収頻度を高めることができ、システム性能・機能の拡張性が高く、変調方式に依存しないデータ中継が可能で、使用者の需要にあった送信方式に柔軟に対応することができる、衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法を提供することができる。
本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法を示す斜視図である。 本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法を示す全体構成図である。 本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法を示すブロック構成図である 本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法の、地上送信局から中継用衛星に送信されるデータパケットの構成図である。 本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法の、地上送信局から中継用衛星に送信される送信データを示す、設定条件ごとの信号波形である。 本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法の、地上送信局から中継用衛星に送信されるデータパケットに含まれるパイロット信号の解析工程を示すフロー図である。 本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法の、地上送信局から中継用衛星に送信されるデータパケットに含まれるパイロット信号の構成を示す説明図である。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図7は、本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法を示している。
図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムは、地上送信局11と中継用衛星12と地上受信局13と解析局14とを有している。
図1乃至図3に示すように、地上送信局11は、複数から成り、地理的に分散するよう、地球上や地球大気圏内に配置されている。地上送信局11は、例えば、地球上の生態系や環境状態などを観測するために、動植物やブイなどの移動体に取り付けられたり、地上に設置されたりしており、各種のセンサと、そのセンサからのデータを送信するための送信機能とを有するものから成っている。地上送信局11は、送信用の元データを任意の変調方式および/または符号化方式で、変調処理および/または符号化処理した後、送信データとして中継用衛星12に送信するよう構成されている。使用される変調方式は、任意のものでよく、例えば、FSK(Frequency Shift Keying)やBPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)などである。
図4に示すように、地上送信局11は、送信データの前に、複数のパルス信号から成るパイロット信号を付加したものをデータパケットとして送信するよう構成されている。パイロット信号は、送信データの送信を知らせるとともに、あらかじめ決められた各パルス信号の設定に基づいて、送信データのサンプリング周波数、送信データのサンプリング時間などの受信条件を送信可能になっている。図4に示す一例では、先頭のデータパケット検出パルスパターンでデータパケットの受信を検出するとともに、データパケット検出パルスパターンの直後にサンプリング条件設定パルス列を設けて、サンプリング周波数やサンプリング時間などの設定を指定可能になっている。パイロット信号は、地上送信局11の識別IDを送信するようになっていてもよい。
図1に示すように、中継用衛星12は、複数の小型人工衛星または超小型人工衛星から成り、送信電力が小さい地上送信局11からのデータも受信できるよう、地表から比較的近い距離の低軌道を周回している。各中継用衛星12は、任意の地上送信局11からの送信データを、少なくとも1台が受信可能に、全地球をカバーするよう配置されていることが好ましい。
図3に示すように、中継用衛星12は、受信データ処理部21と記録部22と送信機23とを有している。なお、図3には、受信データ処理部21の具体的な実装方法の一例を示している。受信データ処理部21は、地上送信局11から送信されたデータパケットを受信する受信アンテナ31と、受信したデータパケットを増幅する高周波増幅器32と、増幅されたデータパケットの信号と局部発振器33からの局発信号とを混合する周波数混合器34と、この混合した信号から中間周波数(IF)信号を抽出する中間周波数フィルタ35と、この中間周波数信号を増幅する中間周波数増幅器36と、増幅された中間周波数信号からパイロット信号の検出を行うパイロット信号検出器37と、増幅された中間周波数信号を量子化するための適切な帯域のみを通過させるようにフィルタをかける帯域フィルタ38と、帯域フィルタ後の信号をデジタル波形に変換する高速AD変換器39とを有している。パイロット信号検出器37は、パイロット信号の検出時に、中間周波数の周波数を検出し、中間周波数フィルタ35の設定を調整するとともに、記録部22のメモリコントローラ41へのデータ保存開始および終了のタイミング指令を行うようになっている。中間周波数信号は、あらかじめとりきめられた所定の帯域幅(例えば、15kHzなど)を有する。
記録部22は、受信データ処理部21でデジタル波形に変換されたデータを保存する大容量メモリ40と、大容量メモリ40に対するデータの出し入れを制御するためのメモリコントローラ41とを有している。送信機23は、記録部22に保存されたデータを、送信アンテナ42から地上受信局13にダウンリンクするよう構成されている。地上受信局13は地理的に分散するよう、地球上に複数存在することが望ましい。これにより中継用衛星12からのデータ伝送量を向上することができる。なお、アナログ信号から所望のデジタル波形を抽出する過程においては、近年のデジタル信号処理技術を適用することにより、図3のブロック図においてより上流の段階、例えば高周波増幅器の直後でAD変換を実施し、その後の処理を全てデジタル信号処理で実施するよう構成することも可能である。
中継用衛星12は、パイロット信号を受信した後、地上送信局11からの送信データの受信を開始するよう構成されている。また、中継用衛星12は、受信したパイロット信号の周波数を解析して得られる中間周波数帯域に関する情報、およびパイロット信号の設定から得られる、送信データのサンプリング周波数、送信データのサンプリング時間などの受信条件に基づいて、送信データの受信を行い、受信したデータを記録部22に保存するよう構成されている。また、中継用衛星12は、地上受信局13にダウンリンク可能になったとき、記録部22に保存されたデータを地上受信局13にダウンリンクし、その後、記録部22からそのデータを消去し、以後の受信データの記録のために記録部22の容量を解放するよう構成されている。中継用衛星12は、高速のダウンリンク回線を使用してダウンリンクを行うようになっている。
図1乃至図3に示すように、地上受信局13は、各中継用衛星12からダウンリンクされたデータを受信して、解析局14に配信するよう構成されている。地上受信局13は、受信したデータを送信した地上送信局11に関連付けられた解析局14に、そのデータを配信するよう構成されている。なお、地上受信局13は、ダウンリンクされたデータに含まれるパイロット信号や、そのデータに付加されたIDなどにより、配信先の地上受信局13を識別可能になっている。なお、地上受信局13が解析局14を兼ねることもある。
解析局14は、地上受信局13から配信されたデータを受信して、そのデータを送信した地上送信局11での変調方式に対応する復調方式、および/または、符号化方式に対応する復号方式で、復調処理および/または復号処理を行うよう構成されている。解析局14は、それらの処理後、各種のデータ解析が可能になっている。なお、解析局14は、所有者が同じなど、配信されたデータを送信した地上送信局11と関連付けられており、その地上送信局11との間で、変調方式や符号化方式をあらかじめ設定しておくなど、変調方式や符号化方式の情報を共有できるようになっている。
本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムは、本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継方法により、好適に実施することができる。図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継方法では、まず、地上送信局11が、送信用の元データを任意の変調方式および/または符号化方式で、変調処理および/または符号化処理した後、送信データとして中継用衛星12に送信する。このとき、地上送信局11は、送信データの前に、複数のパルス信号から成るパイロット信号を付加したものをデータパケットとして送信する。複数の中継用衛星12が全地球をカバーしている場合には、地上送信局11は、送信可能な任意の中継用衛星12に、任意のタイミングで送信データを送信することができる。
地上送信局11から送信データを送られた中継用衛星12は、地上送信局11から送信された送信データを、受信データ処理部21で受信してデジタル波形に変換し、デジタル波形に変換されたデータを記録部22に保存する。このとき、中継用衛星12は、まずパイロット信号を受信し、そのパイロット信号を受信した後、送信データの受信を開始する。これにより、送信データの受信のタイミングを図ることができ、受信の失敗を防ぐことができる。また、中継用衛星12は、受信したパイロット信号から得られる、送信データのサンプリング周波数、送信データのサンプリング時間などの受信条件に基づいて、送信データの受信を行うことができる。また、中継用衛星12は、周波数混合器34で送信データをIF信号に変換するため、デジタル波形に変換する際にサンプリングしやすくすることができる。また、サンプリング後のデータを小さくすることができる。
中継用衛星12は、地上受信局13にダウンリンク可能になったとき、記録部22に保存されたデータを、その地上受信局13にダウンリンクする。中継用衛星12からデータをダウンリングされた地上受信局13は、そのデータを送信した地上送信局11に関連付けられた解析局14に、そのデータを配信する。解析局14は、地上受信局13から配信されたデータを受信して、そのデータを送信した地上送信局11での変調方式に対応する復調方式、および/または、符号化方式に対応する復号方式で、復調処理および/または復号処理を行う。その処理後、解析局14は、各種のデータ解析を行うことができる。解析局14は、受信したデジタル波形データに対して、例えばソフトウェア的に復号処理、および/または復調処理を施すことが可能である。
本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法では、図2に示すように、変調処理および/または符号化処理、ならびに、復調処理および/または復号処理を、それぞれ地上送信局11および地上の解析局14で行うため、中継用衛星12や地上受信局13では、変調方式や符号化方式に依存することなく、データ中継を行うことができる。このため、任意の通信方式に対応可能で、使用者の需要にあった送信方式に柔軟に対応することができる。また、変調方式や符号化方式ごとに異なる衛星を導入する必要がなく、低コストで導入可能であり、拡張性にも優れている。
本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法では、中継用衛星12が、受信した地上送信局11からの送信データをデジタル波形に変換して保存し、ダウンリンクするだけであり、復調処理や復号処理を行わないため、中継用衛星12に搭載するシステムを簡素化して、小型化、軽量化、低消費電力化を図ることができる。また、中継用衛星12が、小型人工衛星や超小型人工衛星から成るため、その基数を容易に増やすことができる。これにより、地上送信局11の上空をいずれかの衛星が通過する頻度を高めることができ、データ回収頻度やリアルタイム性などを高めることができる。また、大型衛星と比べて、システムの性能改善や機能拡張を安価かつ頻繁に行うことができるため、システム性能・機能の拡張性が高い。
本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法は、システム性能改善や機能拡張を頻繁に行うことができるため、近年のAD変換技術の向上や、保存メモリ技術の小型化・軽量化・低消費電力化・高速化にも迅速に対応することができ、データ伝送速度を各段に向上することができる。また、衛星から地上へのダウンリンク技術の小型化・軽量化・低消費電力化による、小型人工衛星や超小型人工衛星による高速通信技術の進歩に伴い、データ伝送速度のさらなる向上が期待できる。
本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法は、任意の通信方式に対応可能であるため、大容量データ通信用の変調方式や符号化方式を使用することにより、中継用衛星12のシステムを変更することなく、大容量データ中継を行うことができる。また、今後の変調方式や符号化方式の技術の向上にも容易かつ迅速に対応することができ、より大容量のデータ中継も可能になる。
図1に示すように、一般的な、静止軌道衛星1を利用したリアルタイムのデータ中継では、地上の大型送信局2から送信された信号を静止軌道衛星1で受信後、地上の他の地上受信局13へ転送するようになっている。しかし、この場合、地表から静止軌道までの距離は約36000kmと遠く、地上の大型送信局2の必要送信電力が大きくなる。また、一台の衛星でカバーできる地表面が限られ、固定である。これに対し、本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法では、中継用衛星12が、低軌道を周回しているため、地球上や地球大気圏内に分散的に配置された、送信電力が小さい地上送信局11からのデータも確実に受信することができる。特に、中継用衛星12として、ほぼ全地球の上空を定期的に通過する極軌道を周回するものを利用することにより、全地球規模で配置された地上送信局11からのデータを効率良く回収することができる。
本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法は、パイロット信号として複数のパルス信号を使用するため、パルス信号のパルス部を比較的高出力で送信することにより、中継用衛星12が信号を検出しやすくすることができる。パルス信号を利用することにより、送信データの送信時の電力を比較的低く抑えることができるため、正味の消費電力を削減することができる。また、複数のパルス信号により、送信データのサンプリング周波数や、送信データのサンプリング時間などの受信条件を、短時間で送信することができる。
図5に示すように、例えば、送信データの送信シンボルレートが低く、送信時間が短い場合には(小量のデータ送信)、サンプリング周期は長く、サンプリング時間は短くて済むため、保存するのに必要となるデータ量は小さく、必要送信電力も小さくなる。一方、送信データの送信シンボルレートが高く、送信時間が長い場合には(大量のデータ送信)、サンプリング周期は短く、サンプリング時間は長くなり、保存するデータ量および必要送信電力も大きくなる。本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法によれば、このような柔軟な設定を行うことができるため、地上送信局11は送信したいデータ量に従って送信電力を最適化することができるとともに、1パケットあたりの送信時間も短く維持することができるようになる。また、1パケットあたりの送信時間を短くすることにより、ある1つの中継用衛星12に複数の地上送信局11から送信データを送信したときでも、その中継用衛星12で受信のタイミングが重複するのを防ぐことができる。
なお、図4に示すように、地上送信局11は、その識別IDを送信データの先頭に、既知の変調・符号化方式で付加して送信するよう構成されていてもよい。この部分に付加することにより、消費電力および通信時間が増大するのを防止することができる。また、この場合、中継用衛星12から地上受信局13がデータを受信後、地上受信局13で、この送信データの先頭部分だけを既知の復調・復号方式で解読し、解読した識別IDに基づいて解析局14に配信するよう構成されていてもよい。送信データの残りの部分は、任意の変調・符号化方式でよいため、データの機密性を確保することができる。
また、図6および図7に示すように、パイロット信号が、複数の周波数帯域ごとに複数のパルス信号を有していてもよい。この場合、複数の周波数帯域のうち、ある所定の周波数帯域の各パルス信号を、あらかじめ決められた検出用のパターンに従って並べ、他の周波数帯域の各パルス信号を、あらかじめ決められた受信条件のパターンに従って並べておき、中継用衛星12が、受信したパイロット信号のうち、所定の周波数帯域で検出用のパターンを検出した後、送信データの受信を開始するとともに、他の周波数帯域の各パルス信号から受信条件を抽出し、抽出された受信条件に基づいて送信データの受信を行うようになっていることが好ましい。
この場合、送受信するパルス信号において時間軸方向と周波数軸方向とに情報を付加することができる。まず、中継用衛星12で、例えば、図6に示すように、受信したデータパケットをIF信号に変換したものに対し、周波数軸方向に関して複数の狭帯域フィルタ(中心周波数:f〜f)を適用して、複数の周波数帯域幅ごとの信号(Σ〜Σ)に分離する。これにより、それぞれの周波数帯域の信号に対して、個別な時間軸方向の信号処理ができ、時間当たりの情報量を向上することができる。
分離された信号のうち、所定の周波数帯域の信号に対して、例えば、検出用のパターンとの相関を逐次計算して、これらの一致を確認することにより、データパケットの受信を検知することができる。検出用のパターンとしては、使用するパルス数に応じた疑似乱数系列のもの、またはそれに準ずるものを使用するのが好ましい。この場合、データパケットの検出時には検出用のパターンの自己相関が最大になり、それ以外では常に小さな値になることを利用して、パケット検出の感度を高めることができる。
また、他の周波数帯域の信号を処理することにより、受信条件を抽出することができ、その受信条件に基づいて送信データの受信を行うことができる。さらに、信号処理の結果を周波数軸方向にも解析することにより、2次元的信号解析が可能となり、さらなる情報量の向上を図ることができる。また、狭帯域フィルタで分離された信号のうち、検出用のパターンが検出された周波数を送信データの中心周波数にすることができ、検出用のパターンの検出に基づいて、送信データの中心周波数を高感度で推定することができる。これにより、中継用衛星12の高速移動によるドップラーシフトの影響を効果的に除去することができる。
この場合の具体的な一例を図7に示す。図7に示すように、分割された周波数帯域(中心周波数:f〜f)ごとに、任意のパルス列のパターンを送信することができる。また、パルス波形を共通にし、周波数帯域ごとのパルス波形送信の有無によって、地上送信局11の種別等の情報を伝達することも可能となる。この場合、中心周波数(f)上で送信されるパケット検出用のパルス列(主検出パルス)のパターンに対し、周辺周波数帯域(中心周波数:f〜f)上で送信されるパルス列(副検出パルス)の時間軸上の位置にオフセットをかけることにより、異なる周波数帯域間のパルスの影響の相関を最小とすることができ、検出用のパターンの検出感度への影響を抑制することができる。また、検出用のパターンの検出に基づく、送信データの中心周波数推定を同時に実施することもできる。
一般に、衛星通信では、地上局に対し衛星が高速で移動することによるドップラーシフトの影響、電波伝搬距離が長いことによる受信強度の微弱化、および都市部通過時の妨害波によるシグナル/ノイズ比の悪化等の問題が内在している。パイロット信号を利用した通信においてこれらを克服する手段として、パイロット信号のパルス強度の強化や、パルスあたりの時間幅の拡張などが考えられるが、これらは必要送信電力および送信時間の増加を招くため望ましくない。これに対し、図6および図7に示す構成によれば、これらの問題を克服することができ、高感度かつ短時間でパイロット信号の検出を行うことができる。
また、本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法では、地上送信局11が受信機能を備えていてもよい。この場合、地上送信局11が中継用衛星12からのコマンドを受信することができる。これにより、地上送信局11からの送信データが中継用衛星12において正常に受信されたか否か等の情報、地上送信局11からのデータの送信の可否や送信の時間的タイミングの指令に関する情報、及び地上送信局11における各種設定の変更に関する情報等を、地上送信局11に伝達することが可能となり、より効率的なデータ中継が可能となる。
また、本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法では、地上送信局11から送信するデータパケットの周波数帯はいかなる周波数帯であってもよく、波長の長い周波数帯を使用してもよい。波長の長い周波数帯を使用する場合には、無指向性が高まり、地上送信局11のアンテナを衛星方向に指向する必要が小さくなるため、地上送信局11を簡易化することができる。
また、本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法では、同一時刻に、地上送信局11から複数の中継用衛星12が受信可能距離内に存在する場合、パイロット信号に追加する情報によって、各中継用衛星12において送信データのデジタル波形処理、およびその保存を実施するか否かを選択的に指定するよう構成されていてもよい。
本発明の実施の形態の衛星を利用したデータ中継システムおよびデータ中継方法は、環境調査、環境保護、生態系の研究、災害時対応、生活安全など、幅広い分野で利用することができる。
1 静止軌道衛星
2 大型送信局
11 地上送信局
12 中継用衛星
21 受信データ処理部
31 受信アンテナ
32 高周波増幅器
33 局部発振器
34 周波数混合器
35 中間周波数フィルタ
36 中間周波数増幅器
37 パイロット信号検出器
38 帯域フィルタ
39 高速AD変換器
22 記録部
40 大容量メモリ
41 メモリコントローラ
23 送信機
42 送信アンテナ
13 地上受信局
14 解析局

Claims (8)

  1. 地上送信局からの送信データを中継用衛星で中継して地上受信局に送り、その地上受信局から解析局に配信する、衛星を利用したデータ中継システムであって、
    前記地上送信局は、送信用の元データを任意の変調方式および/または符号化方式で、変調処理および/または符号化処理した後、送信データとして前記中継用衛星に送信するよう構成され、
    前記中継用衛星は、前記地上送信局から送信された前記送信データを受信してデジタル波形に変換する受信データ処理部と、前記受信データ処理部でデジタル波形に変換されたデータを保存する記録部とを有し、前記記録部に保存されたデータを、前記地上受信局にダウンリンクするよう構成され、
    前記地上受信局は、前記中継用衛星からダウンリンクされたデータを受信して前記解析局に配信するよう構成され、
    前記解析局は、前記地上受信局から配信されたデータを受信して、前記変調方式に対応する復調方式、および/または、前記符号化方式に対応する復号方式で、復調処理および/または復号処理を行うよう構成されていることを
    特徴とする衛星を利用したデータ中継システム。
  2. 前記地上送信局は、前記送信データの前に、前記送信データの送信を知らせるためのパイロット信号を付加したものを送信するよう構成され、
    前記中継用衛星は、前記パイロット信号を受信した後、前記送信データの受信を開始するよう構成されていることを
    特徴とする請求項1記載の衛星を利用したデータ中継システム。
  3. 前記パイロット信号は、1または複数のパルス信号から成ることを特徴とする請求項2記載の衛星を利用したデータ中継システム。
  4. 前記パイロット信号は、複数のパルス信号から成り、あらかじめ決められた各パルス信号の設定に基づいて、前記送信データの受信条件を送信可能であり、
    前記中継用衛星は、受信した前記パイロット信号から得られる前記受信条件に基づいて、前記送信データの受信を行うことを
    特徴とする請求項2記載の衛星を利用したデータ中継システム。
  5. 前記パイロット信号は、複数の周波数帯域ごとに複数のパルス信号を有し、前記複数の周波数帯域のうち所定の周波数帯域の各パルス信号を、あらかじめ決められた検出用のパターンに従って並べ、他の周波数帯域の各パルス信号を、あらかじめ決められた前記送信データの受信条件のパターンに従って並べて成り、
    前記中継用衛星は、受信した前記パイロット信号のうち、前記所定の周波数帯域で前記検出用のパターンを検出した後、前記送信データの受信を開始するとともに、前記他の周波数帯域の各パルス信号から前記受信条件を抽出し、抽出された前記受信条件に基づいて前記送信データの受信を行うことを
    特徴とする請求項2記載の衛星を利用したデータ中継システム。
  6. 前記中継用衛星は、受信した前記送信データを中間周波数(IF)信号に変換した後、その中間周波数信号をデジタル波形に変換することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の衛星を利用したデータ中継システム。
  7. 前記中継用衛星は、複数から成り、少なくとも1台が前記地上送信局からの前記送信データを受信可能にそれぞれ配置されており、
    前記地上送信局は、前記複数の中継用衛星のうち、送信可能な任意の中継用衛星に前記送信データを送信するよう構成され、
    各中継用衛星は、前記地上受信局にダウンリンク可能になったとき、前記記録部に保存されたデータを、前記地上受信局にダウンリンクするよう構成されていることを
    特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の衛星を利用したデータ中継システム。
  8. 地上送信局からの送信データを中継用衛星で中継して地上受信局に送り、その地上受信局から解析局に配信する、衛星を利用したデータ中継方法であって、
    前記地上送信局は、送信用の元データを任意の変調方式および/または符号化方式で、変調処理および/または符号化処理した後、送信データとして前記中継用衛星に送信し、
    前記中継用衛星は、前記地上送信局から送信された前記送信データを受信してデジタル波形に変換し、前記デジタル波形に変換されたデータを記録部に保存し、前記記録部に保存されたデータを、前記地上受信局にダウンリンクし、
    前記地上受信局は、前記中継用衛星からダウンリンクされたデータを受信して前記解析局に配信し、
    前記解析局は、前記地上受信局から配信されたデータを受信して、前記変調方式に対応する復調方式、および/または、前記符号化方式に対応する復号方式で、復調処理および/または復号処理を行うことを
    特徴とする衛星を利用したデータ中継方法。
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