JP2014201300A - 車両接近通報装置及び車両接近通報方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の周囲の人に車両の接近を認知させる音でありながら不快感を与えず、高級感を損なうことのない報知音を発する。【解決手段】車両接近通報装置2は、車両の接近を通知するために再生する報知音について、心理音響評価指標のシャープネス、トナリティ、ラフネス、変動強度が、それぞれ、1acum≧(シャープネス)≧0.45acum、0.5≧(トナリティ)≧0.25、0.2asper≧(ラフネス)≧0asper、0.15vacil≧(変動強度)≧0vacilの条件を満たす報知音を生成する報知音制御装置3と、生成された報知音を発生させる発音体4とを備える。【選択図】図4
Description
本発明は車両接近通報装置及び車両接近通報方法に関し、特に、走行音が静粛な車両、例えば電気自動車およびハイブリッド電気自動車等の電動機による走行を行う車両について、車両が接近することを周囲の人に通知する報知音を発生させるための車両接近通報装置及び車両接近通報方法に関するものである。
走行音が静粛な車両、例えば電気自動車およびハイブリッド電気自動車等の電動機による走行を行う車両は、車両が接近することを周囲の人に対して通知するために報知音を発する装置が必要な場合がある。
車両の接近を通知するための従来の方法として、例えば特許文献1のように、車外周辺の人が走行警報音を聞き取りやすくなるよう、各等ラウドネスレベル曲線の音圧レベルが最小となる近辺の周波数範囲で、且つ、運転者には聞こえないように、走行警報音が車外から車室内へ進入し難い周波数範囲になるよう、走行警報音の周波数を定める方法がある。
また、車両走行中に再生する警報音の音質を変更する方法が従来とられており、車両の車速情報を伝達する方法として、例えば特許文献2のように、車速情報に応じで警報音の周波数を変更する方法や、特許文献3のように、アクセルの踏み込み量(アクセル情報)に応じて、再生する疑似エンジン音成分の波形パターンを変更する方法がある。
しかしながら、特許文献1では、警報音の聞き取りやすさのみに言及しており、その警報音を発するものが車両であることを認識させられるかが明らかでないため、車外周囲の人に車両の接近を認知させる警報音の役割をなし得ない。また、その警報音が周囲の人に対して不快にさせないことまで考慮されておらず、車両の走行という日常的な行為において、周囲の人に不快感を与えてしまうこともあり得るといった問題点があった。さらに、自動車の走行音に求められる高級感といった付加価値的な性質まで言及されていない。
また、特許文献2および特許文献3のように再生音質を走行状態によって変化させる場合、音質が変化することで上記と同様に、車両であることを認識しづらい音、車外周囲の人に対して不快にさせる音に変化することもあり得るという問題点があった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、車両の周囲の人に車両の接近を認知させる音でありながら不快感を与えず、高級感を損なうことのない報知音を発する車両接近通報装置及び車両接近通報方法を提供することを目的とする。
本発明は、車両に搭載され、前記車両が接近することを周囲の人に通知する報知音を発生させるための車両接近通報装置であって、音素データから報知音の音声信号を生成する報知音制御装置と、前記報知音の音声信号に基づいて、報知音を発生させる発音体とを備え、前記報知音制御装置は、心理音響評価指標のうち、シャープネス、トナリティ、ラフネス、および、変動強度の4つのパラメータを用い、各パラメータの値が条件(a)を満たし、かつ、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)により算出される評価点Z1、Z2、Z3、Z4が、Z1≦10、Z2≧3、Z3≧3、Z4≧3の条件を満たす音声信号を、前記報知音の音声信号として生成し、前記条件(a)は、1acum≧(シャープネス)≧0.45acum、0.5≧(トナリティ)≧0.25、0.2asper≧(ラフネス)≧0asper、0.15vacil≧(変動強度)≧0vacilであり、前記式(b)は、Z1=B1×(トナリティ)+D1×(変動強度)+E1であり、ここで、B1、D1、E1は、それぞれ、−4.45≧B1≧−8.68、−1.71≧D1≧−9.44、13.4≧E1≧12.3を満たし、前記式(c)は、Z2=A2×(シャープネス)+B2×(トナリティ)+D2×(変動強度)+E2であり、ここで、A2、B2、D2、E2は、それぞれ、−3.25≧A2≧−3.98、−1.22≧B2≧−2.96、2.58≧D2≧−0.316、6.55≧E2≧5.58を満たし、前記式(d)は、Z3=A3×(シャープネス)+B3×(トナリティ)+C3×(ラフネス)+E3であり、ここで、A3、B3、C3、E3は、それぞれ、−2.41≧A3≧−3.27、−3.59≧B3≧−5.81、1.77≧C3≧−0.0287、5.65≧E3≧4.4を満たし、前記式(e)は、Z4=A4×(シャープネス)+B4×(トナリティ)+C4×(ラフネス)+D4×(変動強度)+E4であり、ここで、A4、B4、C4、D4は、それぞれ、−2.18≧A4≧−2.66、−1.96≧B4≧−3.21、−0.634≧C4≧−1.63、2.3≧D4≧0.411、5.92≧E4≧5.24を満たす、車両接近通報装置である。
本発明は、車両に搭載され、前記車両が接近することを周囲の人に通知する報知音を発生させるための車両接近通報装置であって、音素データから報知音の音声信号を生成する報知音制御装置と、前記報知音の音声信号に基づいて、報知音を発生させる発音体とを備え、前記報知音制御装置は、心理音響評価指標のうち、シャープネス、トナリティ、ラフネス、および、変動強度の4つのパラメータを用い、各パラメータの値が条件(a)を満たし、かつ、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)により算出される評価点Z1、Z2、Z3、Z4が、Z1≦10、Z2≧3、Z3≧3、Z4≧3の条件を満たす音声信号を、前記報知音の音声信号として生成し、前記条件(a)は、1acum≧(シャープネス)≧0.45acum、0.5≧(トナリティ)≧0.25、0.2asper≧(ラフネス)≧0asper、0.15vacil≧(変動強度)≧0vacilであり、前記式(b)は、Z1=B1×(トナリティ)+D1×(変動強度)+E1であり、ここで、B1、D1、E1は、それぞれ、−4.45≧B1≧−8.68、−1.71≧D1≧−9.44、13.4≧E1≧12.3を満たし、前記式(c)は、Z2=A2×(シャープネス)+B2×(トナリティ)+D2×(変動強度)+E2であり、ここで、A2、B2、D2、E2は、それぞれ、−3.25≧A2≧−3.98、−1.22≧B2≧−2.96、2.58≧D2≧−0.316、6.55≧E2≧5.58を満たし、前記式(d)は、Z3=A3×(シャープネス)+B3×(トナリティ)+C3×(ラフネス)+E3であり、ここで、A3、B3、C3、E3は、それぞれ、−2.41≧A3≧−3.27、−3.59≧B3≧−5.81、1.77≧C3≧−0.0287、5.65≧E3≧4.4を満たし、前記式(e)は、Z4=A4×(シャープネス)+B4×(トナリティ)+C4×(ラフネス)+D4×(変動強度)+E4であり、ここで、A4、B4、C4、D4は、それぞれ、−2.18≧A4≧−2.66、−1.96≧B4≧−3.21、−0.634≧C4≧−1.63、2.3≧D4≧0.411、5.92≧E4≧5.24を満たす、車両接近通報装置であるので、認知性、快音性、自動車認識性、高級感のそれぞれの評価点Z1、Z2、Z3、Z4が、上記の条件を満たしているため、車両の周囲の人に車両の接近を認知させる音でありながら不快感を与えず、高級感を損なうことのない報知音を発することができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の取り付け図である。本実施の形態1においては、電気自動車およびハイブリッド電気自動車等、駆動力の一部あるいは全部を電動機により電気的に発生させる電動移動体1(車両)に、車両接近通報装置2が搭載されている。車両接近通報装置2は、報知音を生成する報知音制御装置3と、スピーカ等から構成されて当該報知音を電動移動体1の外部に放射するための発音体4とから構成されている。車両接近通報装置2は、このように、電動移動体1に搭載され、電動移動体1が接近することを、歩行中の周囲の人に通知する報知音を発生させるための装置である。
図1は、本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の取り付け図である。本実施の形態1においては、電気自動車およびハイブリッド電気自動車等、駆動力の一部あるいは全部を電動機により電気的に発生させる電動移動体1(車両)に、車両接近通報装置2が搭載されている。車両接近通報装置2は、報知音を生成する報知音制御装置3と、スピーカ等から構成されて当該報知音を電動移動体1の外部に放射するための発音体4とから構成されている。車両接近通報装置2は、このように、電動移動体1に搭載され、電動移動体1が接近することを、歩行中の周囲の人に通知する報知音を発生させるための装置である。
図2は、車両接近通報装置2の構成図である。報知音制御装置3は、報知音の信号を発音体4に出力する報知音発生部5と、電動移動体1の速度領域を判定する車両状態判定部6とで構成される。電動移動体1から車両信号7が車両状態判定部6に入力されて、当該車両信号7に基づき、車両状態判定部6が、電動移動体1の車両状態を判定する。なお、車両信号7を例えば車速信号とした場合には、車両状態判定部6は、電動移動体1の速度を判定する。
図3は、車両状態判定部6の動作を示した流れ図である。図3では、車両信号7として車速信号が用いられている場合を例に挙げている。まず、電動移動体1が走行するにあたり、車両状態判定部6は、車速Vが予め設定した報知音発生閾値速度Vs(例えば、タイヤと路面の接触による音が増加する速度領域境界のVs=20km/h)以下であるか否かの判定を行い(ステップST1)、車速Vが報知音発生閾値速度Vs以下の場合は、報知音発生部5に発音指令を出して、発音体4から報知音を発生させる(ステップST2)。
なお、図3では車両信号7に車速信号を用いた場合を示しているが、その場合に限らず、車両信号7として、例えば、ハンドルの回転角度など、電動移動体1の何らかの車両状態を示す他の車両信号を用いてもよく、その場合には、車両状態判定部6によるステップST1とステップST2は、入力する車両信号の種別に応じた内容に設定する。
図4は、報知音発生部5の構成を示した図である。報知音発生部5は、動作制御部8と、音質調整部9と、音質評価部15とから構成されている。また、音質調整部9は、音素記録部10と、ピッチ変換部11と、ボリューム変換部12と、振幅変調部(AM)13と、イコライザ(EQ)14とから構成されている。
動作制御部8は、車両状態判定部6で判定した条件に応じて、音質調整部9の各構成の動作を制御する。
音質調整部9は、動作制御部8の制御により、報知音を生成する。音質調整部9の音素記録部10は、報知音の音素を記憶している。また、音質調整部9のピッチ変換部11は、報知音の音素のピッチを調整する。音質調整部9のボリューム変換部12は、報知音の音素のボリュームの調整を行う。音質調整部9の振幅変調部13は、報知音の音素に振幅変調を付加する。音質調整部9のイコライザ14は、報知音の音素の周波数成分の調整を行う。
音質評価部15は、音質調整部9により生成された報知音の評価を行い、評価結果を動作制御部8にフィードバックする。
音質調整部9は、動作制御部8の制御により、報知音を生成する。音質調整部9の音素記録部10は、報知音の音素を記憶している。また、音質調整部9のピッチ変換部11は、報知音の音素のピッチを調整する。音質調整部9のボリューム変換部12は、報知音の音素のボリュームの調整を行う。音質調整部9の振幅変調部13は、報知音の音素に振幅変調を付加する。音質調整部9のイコライザ14は、報知音の音素の周波数成分の調整を行う。
音質評価部15は、音質調整部9により生成された報知音の評価を行い、評価結果を動作制御部8にフィードバックする。
以下、動作について説明する。報知音発生部5では、車両状態判定部6で判定した条件に応じて、動作制御部8による報知音発生の制御を行う。すなわち、車両状態判定部6が、図3の流れ図に従って、車両状態を判定し、報知音を発生すべきと判定した場合に、発音指令を入力してくるので、当該指令を受信したときに、報知音発生部5が、動作制御部8の制御を開始する。動作制御部8は、当該発音指令に従って、まず、音質調整部9の音素記録部10に記録された報知音の音素を読み込み、ピッチ変換部11でピッチの調整、ボリューム変換部12でボリュームの調整、振幅変調部13で振幅変調の付加、イコライザ14で周波数成分の調整を行って、生成した報知音を、発音体4から発する。それと同時に、当該報知音の音信号を音質評価部15にも入力する。
例えば、電動移動体1(車両)の速度に応じて音質を変化させて、車両の周囲にいる人に速度変化を認識させる場合、作成した音信号について、音質評価部15で、心理音響評価指標の分析を行う。分析した心理音響評価指標であるシャープネス、トナリティ、ラフネス、および、変動強度の各パラメータ値が、予め設定した範囲内に含まれているか、音質評価部15で判定を行い、範囲外になるようであれば、範囲内になるように音質の調整を行うように、動作制御部8にフィードバックを行う。
なお、ここでは、動作制御部8が生成した音信号を音質評価部15が評価する例を挙げたが、その場合に限らず、事前試験により、速度に対応する心理音響評価指標のパラメータ値を計算しておき、それを記憶しておいて、動作制御部8が当該パラメータ値を速度に応じて読み込んで、報知音の音信号を生成するようにしてもよい。図5にその構成を示す。図5に示す報知音発生部5Aと、図4に示す報知音発生部5との違いは、図5では、音質評価部15が設けられておらず、動作制御部8と音質調整部9との間にパラメータテーブル16が接続されている点である。パラメータテーブル16には、事前試験により得た、心理音響評価指標のシャープネス、トナリティ、ラフネス、および、変動強度の各パラメータ値が、予め記憶されている。図5の構成の場合、動作制御部8は、パラメータテーブル16に記憶されたパラメータ値から速度に応じたパラメータ値を読み出し、当該パラメータ値に応じて、ピッチ変換部11、ボリューム変換部12、振幅変調部13、および、イコライザ14の制御を行い、音質調整部9で生成する報知音の音信号の、シャープネス、トナリティ、ラフネス、および、変動強度の各パラメータ値が、予め設定された範囲内になるように制御する。なお、図5は、本実施の形態に係る報知音発生部5の変形例であり、以下の説明では、報知音発生部5が図4の構成である場合を例にして説明するが、同じ動作が図5の構成にも適用可能であることは言うまでもない。
以下に、シャープネス、トナリティ、ラフネス、変動強度の設定方法について説明する。
まず、心理音響評価指標について説明すると、心理音響評価指標は人間の聴感に際して論じられる音の大きさを表すラウドネスにより定められる。ラウドネスの算出方法はISO532Bで規格化されている。
シャープネスは音の高周波成分を表す尺度である(岩宮眞一郎, 音響サイエンスシリーズ1 音色の感性学, コロナ社, 2010, pp.105-106)。高い周波数成分を多く含むほど、シャープネスが大きくなる。
トナリティは、音の純音成分や狭帯域成分の印象の強さに対応する指標であり、対象となる成分のスペクトル上でのマスキング量からのレベル超過量、周波数、狭帯域の成分であればその帯域幅に依存する(von W. Aures, Berechnungsverfahren fur den sensorischen Wohlkang beliebiger Schallsignale, Acoustica, 59, 1985, pp.130-141)。
ラフネスは音の粗さの間隔に対応する尺度である(岩宮眞一郎, 音響サイエンスシリーズ1 音色の感性学, コロナ社, 2010, pp.106-109)。粗さの感覚は、音の振幅の包絡線の変動や周波数の変動によって生じる。一般的には、粗さの感覚を生じる変調周波数はおよそ15Hzから300Hzであり、70Hz付近で粗さが最大となる。
変動強度は音の変動感の強さを表す尺度である(岩宮眞一郎, 音響サイエンスシリーズ1 音色の感性学, コロナ社, 2010, pp.109-111)。ラフネスと同様に、変動感は音の振幅の包絡線の変動や周波数の変動によって生じる。変動強度の強さを感じる変調周波数はおよそ20Hz以下の範囲で、4Hz付近で変動感が最大となる。
音質評価部15の音質評価における心理音響評価指標のパラメータ値の範囲を決定するために、異なる心理音響評価指標をもつ複数の音に対して官能評価を行い、心理音響評価指標と官能評価結果に対して重回帰分析を行い、パラメータの範囲を決定する方法が挙げられる。
実験参加者はヘッドホンで再生する評価音を聴取して、官能評価項目に回答する。検討する官能評価は、快音性、高級感、自動車認識性を問うものと、認知性を問うものの2種類に分かれる。
実験参加者はヘッドホンで再生する評価音を聴取して、官能評価項目に回答する。検討する官能評価は、快音性、高級感、自動車認識性を問うものと、認知性を問うものの2種類に分かれる。
まず、快音性、高級感、自動車認識性の評価方法を説明する。聴取した評価音に対して、「不快な・心地よい」「安っぽい・高級感のある」「自動車らしくない・自動車らしい」という形容詞対で、1点から7点まで評価点をつける評定尺度法で行う。肯定的な評価の方が高い点数である。
次に認知性の評価方法を説明する。認知性は、背景騒音に紛れた中での評価音の聞こえやすさを表すもので、一定音量のピンクノイズ中で評価音を2dBずつ大きくしていき、聞こえた段階のdB数を評価点とする極限法で行う。すなわち、評価点が低いほど認知性が高いことを表す。
複数の実験参加者の評価点を平均化して、最終的な評価点とする。
官能評価のために異なる心理音響評価指標を持つ複数の評価音を用意する。図6は、22種類の評価音の心理音響評価指標のパラメータ値の一覧である。図6の表から分かるように、これらの22種類の評価音は、シャープネス、トナリティ、ラフネス、変動強度の各パラメータのパラメータ値が互いに異なる値に設定されている。これらの評価音の快音性、高級感、自動車認識性および認知性について官能評価を行い、図7が、その得られた評価点平均値の一覧である。
官能評価のために異なる心理音響評価指標を持つ複数の評価音を用意する。図6は、22種類の評価音の心理音響評価指標のパラメータ値の一覧である。図6の表から分かるように、これらの22種類の評価音は、シャープネス、トナリティ、ラフネス、変動強度の各パラメータのパラメータ値が互いに異なる値に設定されている。これらの評価音の快音性、高級感、自動車認識性および認知性について官能評価を行い、図7が、その得られた評価点平均値の一覧である。
図6と図7の結果から重回帰分析を行い、評価点の予測式を作成する。予測式はシャープネス(単位:acum)、トナリティ(単位:無し(無次元))、ラフネス(単位:asper)、および、変動強度(単位:vacil)の各パラメータ値と、それらのパラメータに対して予め設定された係数(A,B,C,D)との積和と切片とから評価点Zを表す式である。すなわち、式(1)を表す。
Z=A×(シャープネス)+B×(トナリティ)+C×(ラフネス)
+D×(変動強度)+定数項E (1)
+D×(変動強度)+定数項E (1)
評価点Zを求めるのに使用する心理音響評価指標とその係数を決定するため、統計モデルのあてはまりの良さを評価するための指標であるAICを用いる。AICは一般的な統計処理ソフトウェアで計算できる場合が多い。
図8は、AICを用いて選択した心理音響評価指標の係数と標準誤差、自由度修正済みの決定係数に加えて、係数の平均値と標準誤差から計算できる、係数の信頼水準95%の信頼区間の上限および下限である。
自由度修正済みの決定係数は1に近いほど予測式で説明できる変動が小さいことを表す。
係数の信頼水準95%の信頼区間の上限および下限は式(2)で計算できる。
係数の信頼水準95%の信頼区間の上限および下限は式(2)で計算できる。
信頼区間の上限および下限=平均値±t×標準誤差 (2)
評価音のサンプル数は22であるため、自由度はサンプル数から1を引いた21となる。一般的に知られるt分布表より自由度21の時の両側確率95%のt値は2.08である。
図8より、認知性はトナリティおよび変動強度を用いて評価点を説明でき、快音性はシャープネス、トナリティおよび変動強度を用いて評価点を説明でき、自動車認識性はシャープネス、トナリティおよびラフネスを用いて評価点を説明でき、高級感はシャープネス、トナリティ、ラフネスおよび変動強度を用いて評価点を説明できることを表す。
図8の係数および95%信頼区間の上限及び下限と、図6の官能評価に用いた音の心理音響評価指標のパラメータ値の一覧の値とを、式(1)に代入することで、予測値とその上下の範囲とが示される。図9は、計算した予測値と、その上限値および下限値と、図7に示した官能評価の結果得られた評価点平均値(実測値)とを示すグラフである。
認知性については、評価点が低いほど評価が良く、快音性、自動車認知性、高級感については評価点が高いほど評価が良い。従って、過剰によい予測となるのを避けるようにするには、認知性については、平均値から95%信頼区間の上限側の範囲の係数をとり、快音性、自動車認知性、高級感は、平均値から95%信頼区間の下限側の範囲をとるようにする。すなわち、シャープネス、トナリティ、ラフネス、変動強度に対する各係数(A,B,C,D)を、下記の式(3)から式(6)までの組み合わせのいずれかとする。
Z1=B1×(トナリティ)+D1×(変動強度)+定数項E1・・・(3)
−4.45≧B1≧−8.68
−1.71≧D1≧−9.44
13.4≧E1≧12.3
−4.45≧B1≧−8.68
−1.71≧D1≧−9.44
13.4≧E1≧12.3
Z2=A2×(シャープネス)+B2×(トナリティ)+D2×(変動強度)
+定数項E2 ・・・(4)
−3.25≧A2≧−3.98
−1.22≧B2≧−2.96
2.58≧D2≧−0.316
6.55≧E2≧5.58
+定数項E2 ・・・(4)
−3.25≧A2≧−3.98
−1.22≧B2≧−2.96
2.58≧D2≧−0.316
6.55≧E2≧5.58
Z3=A3×(シャープネス)+B3×(トナリティ)+C3×(ラフネス)
+定数項E3 ・・・(5)
−2.41≧A3≧−3.27
−3.59≧B3≧−5.81
1.77≧C3≧−0.0287
5.65≧E3≧4.4
+定数項E3 ・・・(5)
−2.41≧A3≧−3.27
−3.59≧B3≧−5.81
1.77≧C3≧−0.0287
5.65≧E3≧4.4
Z4=A4×(シャープネス)+B4×(トナリティ)+C4×(ラフネス)
+D4×(変動強度)+定数項E4 ・・・(6)
−2.18≧A4≧−2.66
−1.96≧B4≧−3.21
−0.634≧C4≧−1.63
2.3≧D4≧0.411
5.92≧E4≧5.24
+D4×(変動強度)+定数項E4 ・・・(6)
−2.18≧A4≧−2.66
−1.96≧B4≧−3.21
−0.634≧C4≧−1.63
2.3≧D4≧0.411
5.92≧E4≧5.24
式(1)による評価点Zについて、認知性、快音性、自動車認識性、高級感のそれぞれをZ1、Z2、Z3、Z4とすると、式(7)の範囲が評価点の良い部類になる。
Z1≦10
Z2≧3 (7)
Z3≧3
Z4≧3
Z2≧3 (7)
Z3≧3
Z4≧3
図8より、快音性、自動車認識性、高級感については、シャープネスに関する係数がマイナスであるため、シャープネスが低い方が良い評価と予測できる。シャープネスが大きい音は甲高い音に感じる一方、シャープネスが小さい音は、落ち着いた音に感じる傾向にある。従って、シャープネスを1acum以下にすることで、落ち着いた音質として快音性、高級感を持たせ、車両が接近することを周囲の人に知らせることができる。
ただし、シャープネスが低すぎる場合、低い周波数の音を出す必要があるために、周囲の人に聞こえやすい音量まで再生するのに高出力が必要になり、スピーカの出力効率のためには形状の大型化をする必要がある。そこで、シャープネスを0.45acumから1acumの範囲内に設定することで、この問題を回避する。
ただし、シャープネスが低すぎる場合、低い周波数の音を出す必要があるために、周囲の人に聞こえやすい音量まで再生するのに高出力が必要になり、スピーカの出力効率のためには形状の大型化をする必要がある。そこで、シャープネスを0.45acumから1acumの範囲内に設定することで、この問題を回避する。
図8より、認知性、快音性、自動車認識性、高級感はトナリティに関する係数がマイナスであるため、快音性、自動車認識性、高級感はトナリティが低い方が良い評価であり、認知性はトナリティが高い方が良い評価と予測できる。
トナリティが高い音は突出した周波数成分を含むために、広帯域の周波数成分を含むノイズに対して聞こえやすい。しかし、ノイズと同じ周波数帯域に重なった場合や、特定の周波数帯域が聞こえにくい難聴の人に対しては、他の周波数帯域の成分を含まないために聞こえにくくなる可能性あることが問題となる。また、特定の周波数成分のみの音では単調な音になりやすく、快音性、自動車認識性、高級感が劣るといった問題がある。そこで、トナリティを0.25から0.5の範囲内に設定することで、この問題を回避する。
トナリティが高い音は突出した周波数成分を含むために、広帯域の周波数成分を含むノイズに対して聞こえやすい。しかし、ノイズと同じ周波数帯域に重なった場合や、特定の周波数帯域が聞こえにくい難聴の人に対しては、他の周波数帯域の成分を含まないために聞こえにくくなる可能性あることが問題となる。また、特定の周波数成分のみの音では単調な音になりやすく、快音性、自動車認識性、高級感が劣るといった問題がある。そこで、トナリティを0.25から0.5の範囲内に設定することで、この問題を回避する。
図8より、快音性、高級感はラフネスに関する係数がマイナスであるため、ラフネスが低い方が良い評価と予測でき、自動車認識性はラフネスに関する係数がプラスであるためラフネスが高い方が良い評価と予測できる。
ラフネスが高い方が強い粗さ感となるため、快音性、高級感が劣ると考えられる。また、自動車のエンジンの構造に起因する回転のばらつきからラフネスが発生するため、ラフネスにより自動車認識性の評価が高くなると考えられる。そこで、ラフネスを0asperから0.2asperの範囲内に設定する。
ラフネスが高い方が強い粗さ感となるため、快音性、高級感が劣ると考えられる。また、自動車のエンジンの構造に起因する回転のばらつきからラフネスが発生するため、ラフネスにより自動車認識性の評価が高くなると考えられる。そこで、ラフネスを0asperから0.2asperの範囲内に設定する。
図8より、認知性は変動強度に関する係数がマイナスであり、快音性、高級感は変動強度に関する係数がプラスであるため、変動強度が高い方が良い評価と予測できる。そこで、変動強度を0vacilから0.15vacilの範囲内に設定する。
下記の式(8)は心理音響評価指標のパラメータの条件のまとめである。シャープネス、ラフネス、変動強度の単位は、それぞれ、acum,asper,vacilである。
1≧(シャープネス)≧0.45
0.5≧(トナリティ)≧0.25 (8)
0.2≧(ラフネス)≧0
0.15≧(変動強度)≧0
0.5≧(トナリティ)≧0.25 (8)
0.2≧(ラフネス)≧0
0.15≧(変動強度)≧0
式(8)の心理音響評価指標のパラメータの範囲の組み合わせは、従来のガソリンエンジンを使用した自動車の音の範囲と異なる。図10は、従来のガソリンエンジンを使用した自動車の運転音の心理音響評価指標の例である。シャープネスが1以上あり、トナリティが0.25以下である。エンジン音は10kHzを超える高い周波数帯域まで周波数成分を持っているため、シャープネスが高い。また、単一で突出した周波数成分を持たないため、トナリティが低くなる。また、エンジン音は200Hz以下の低い周波数成分も大きいため、同様の音をスピーカで効率よく再生するためにはスピーカを大型化する必要があり、サイズの増加やコストアップの問題がある。
続いて、心理音響評価指標のパラメータの変更方法を説明する。
シャープネスを増加させる場合には、全体の音程を高くする、高い周波数の音を付与する、または、低い周波数成分の音を除去する方法があり、シャープネスを減少させる場合にはその逆を行えばよい。すなわち、図4及び図5のピッチ変換部11やイコライザ14により調整が可能である。
トナリティを増加させる場合には、ピーク周波数成分をそれ以外の周波数成分に比べて相対的に増加させればよい。ピーク周波数成分を増加させた分だけ音が大きくなるが、それ以外の周波数成分を小さくすることで相殺できる。すなわち、図4および図5のピッチ変換部11やイコライザ14により調整が可能である。
ラフネスを増加させる場合には、15Hzから300Hzの振幅変調を付加させればよく、変調振幅を大きくするほど増加量が大きくなる。すなわち、図4および図5の振幅変調部13により調整が可能である。
変動強度を増加させる場合には、20Hz以下の振幅変調を付加させればよく、変調振幅を大きくするほど増加量が大きくなる。すなわち、図4および図5の振幅変調部13により調整が可能である。
例として、同一の音に対して音程を変化、ピーク周波数を強調、振幅変調を付与した場合のシャープネス、トナリティ、ラフネス、変動強度の変化量を示す。
図11は例示音の周波数特性を表す図である。例示音に対して、それぞれ5半音、10半音、20半音上げた場合によってシャープネスの変化を示す。また、最大ピークの周波数成分を他の周波数成分と比べて相対的にそれぞれ5dB、10dB、15dB増加させてピーク強調した場合によってトナリティの変化を示す。100Hzの振幅変調で変調する振幅をそれぞれ±4dB、±8dB、±12dBを付与した場合によってラフネスの変化を示す。0.5Hzの振幅変調で変調する振幅をそれぞれ±4dB、±5dB、±12dBを付与した場合によって変動強度の変化を示す。
図12は算出したシャープネス、トナリティ、ラフネス、変動強度の一覧である。例示音の原音のシャープネス0.966に対して、20半音増加させるとシャープネスが2.027まで増加する。また、原音のトナリティが0.211に対して、ピーク周波数を15dB増加させた場合、トナリティが0.66まで増加する。原音のラフネスが0.279に対して、100Hzの振幅変調で変調する振幅を±12dBを付与した場合、ラフネスが2.544まで増加する。原音の変動強度が0.062に対して、0.5Hzの振幅変調で変調する振幅を±12dBを付与した場合、変動強度が0.975まで増加する。
この様にして心理音響評価指標のパラメータ調整を行うことができる。
式(1)と図8の係数の平均値を用い、さらに式(7)を満足する評価音の例を図13に示す。このようにして、官能評価の結果がよいと考えられる音を予測して設計することができる。
式(1)と図8の係数の平均値を用い、さらに式(7)を満足する評価音の例を図13に示す。このようにして、官能評価の結果がよいと考えられる音を予測して設計することができる。
以上のように、本実施の形態に係る車両接近通報装置は、心理音響評価指標のうち、シャープネス、トナリティ、ラフネスおよび変動強度の4つのパラメータを用い、各パラメータの値が上記の式(8)の条件を満たす範囲内で、かつ、上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)により算出される認知性、快音性、自動車認識性、高級感のそれぞれの評価点Z1、Z2、Z3、Z4が、式(7)に示される、Z1≦10、Z2≧3、Z3≧3、Z4≧3の条件を満たす範囲の音を生成して報知音として再生する構成にした。この様な構成によれば、音質評価部15またはパラメータテーブル16が報知音の音質を調整し、認知性、快音性、車両想起性、高級感を損なわない範囲で報知音の再生周波数や音量の時間変動量を調整することで、周囲の雑音中でも認知性がよい音となり、周囲の人を不快にすることなく高級感をもった音によって車両が接近することを知らせることができる。また、再生音質を走行状態によって変化させる場合、音質が変化することで車両であることを認識しづらい音、および、車外周囲の人に対して不快にさせる音に変化することを回避するといった従来にない顕著な効果を奏するものである。
実施の形態2.
図14は、本発明の実施の形態2に係る車両接近通報装置2の構成を示した図である。図14に示すように、実施の形態2に係る車両接近通報装置2は、報知音制御装置3Bと、発音体4とから構成される。発音体4の構成は、実施の形態1と同じである。本実施の形態においては、報知音制御装置3Bが、実施の形態1の報知音制御装置3と異なり、図14に示すように、報知音発生部5B、車両状態判定部6、手動制御装置17、および、評価点出力装置18とから構成されている。車両状態判定部6は、実施の形態1と同じである。なお、以下では、実施の形態1と主に異なる点についてのみ説明し、実施の形態1と同じ構成および動作については、ここでは、説明を省略し、実施の形態1の説明を参照することとする。
図14は、本発明の実施の形態2に係る車両接近通報装置2の構成を示した図である。図14に示すように、実施の形態2に係る車両接近通報装置2は、報知音制御装置3Bと、発音体4とから構成される。発音体4の構成は、実施の形態1と同じである。本実施の形態においては、報知音制御装置3Bが、実施の形態1の報知音制御装置3と異なり、図14に示すように、報知音発生部5B、車両状態判定部6、手動制御装置17、および、評価点出力装置18とから構成されている。車両状態判定部6は、実施の形態1と同じである。なお、以下では、実施の形態1と主に異なる点についてのみ説明し、実施の形態1と同じ構成および動作については、ここでは、説明を省略し、実施の形態1の説明を参照することとする。
本実施の形態においては、報知音発生部5Bの構成自体は、図4の報知音発生部5と同じであるが、本実施の形態においては、報知音発生部5Bに手動制御装置17と評価点出力装置が接続されている点が、図4と異なる。
本実施の形態においては、図14に示すように、報知音発生部5Bのピッチ変換部11、ボリューム変換部12、振幅変調部13、および、イコライザ14に、手動制御装置17が取り付けられている。手動制御装置17は、例えばモニタ画面から、オペレータが手動で、ピッチ変換部11、ボリューム変換部12、振幅変調部13、および、イコライザ14に、パラメータ値をそれぞれ選択入力することで、ピッチ変換部11、ボリューム変換部12、振幅変調部13、および、イコライザ14の動作を制御する。なお、パラメータ値が入力されない場合に備えて、事前試験により求めたパラメータ値を、デフォルト値(初期値)として予め設定しておいてもよい。なお、当該パラメータ値は、図5に示したパラメータテーブル16に記憶されているパラメータ値と同様の方法により演算して求めればよい。
また、本実施の形態においては、図14に示すように、報知音発生部5Bの音質評価部15に評価点出力装置18が設けられている。上述のようにしてオペレータの手動により入力されたパラメータ値により報知音を生成した際に、音質評価部15で、認知性、快音性、自動車認識性、高級感のそれぞれの評価点Z1、Z2、Z3、Z4を計算し、評価点出力装置18に出力する。評価点出力装置18は、例えばモニタ画面から構成されており、当該モニタ画面により、オペレータへ当該評価点を提示する。なお、音質評価部15の評価点演算の動作は、実施の形態1と同じである。
以上のように、本実施の形態2によれば、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態3においては、ピッチ変換部11、ボリューム変換部12、振幅変調部13、および、イコライザ14に、オペレータが手動で、パラメータ値をそれぞれ入力するための手動制御装置17を備えるようにしたので、オペレータが設定したピッチや周波数成分の調整または振幅変調の付加設定に基づき、報知音を生成することができる。また、生成した報知音に対し、音質評価部15で、心理音響評価指標を用いて評価点を出力し、それを、評価点出力装置18でオペレータに表示するようにしたので、発生させる報知音を、オペレータの好みにより修正することができ、修正後の報知音の評価をオペレータが確認することができる。
実施の形態3.
図15は、本発明の実施の形態3に係る車両接近通報装置2の構成を示した図である。図15に示すように、実施の形態3に係る車両接近通報装置2は、報知音制御装置3Cと、発音体4とから構成される。発音体4の構成は、実施の形態1と同じである。本実施の形態においては、報知音制御装置3Cが、実施の形態1の報知音制御装置3と異なり、図15に示すように、報知音発生部5C、車両状態判定部6、および、音素入力装置19から構成されている。車両状態判定部6は、実施の形態1と同じである。なお、以下では、実施の形態1と主に異なる点についてのみ説明し、実施の形態1と同じ構成および動作については、ここでは、説明を省略し、実施の形態1の説明を参照することとする。
図15は、本発明の実施の形態3に係る車両接近通報装置2の構成を示した図である。図15に示すように、実施の形態3に係る車両接近通報装置2は、報知音制御装置3Cと、発音体4とから構成される。発音体4の構成は、実施の形態1と同じである。本実施の形態においては、報知音制御装置3Cが、実施の形態1の報知音制御装置3と異なり、図15に示すように、報知音発生部5C、車両状態判定部6、および、音素入力装置19から構成されている。車両状態判定部6は、実施の形態1と同じである。なお、以下では、実施の形態1と主に異なる点についてのみ説明し、実施の形態1と同じ構成および動作については、ここでは、説明を省略し、実施の形態1の説明を参照することとする。
本実施の形態においては、報知音発生部5Cの構成自体は、図4の報知音発生部5と同じであるが、本実施の形態においては、報知音発生部5Cに音素入力装置19が接続されている点が、図4と異なる。
本実施の形態においては、図15に示すように、報知音発生部5Cの音素記録部10に、音素入力装置19が設けられている。音素入力装置19は、例えばモニタ画面から、オペレータが手動で、報知音の音素データを選択または入力して、音素記録部10に記憶されている音素データに対して、音素データの追加または音素データの書き換えを行い、再生する報知音の音素を変更するためのものである。
本実施の形態によれば、音素入力装置19によりオペレータが任意に入力した音素から、音質評価部15が評価点Z1、Z2、Z3、Z4を算出し、それらの評価点に基づいて、動作制御部8が自動的にピッチや周波数成分の調整または振幅変調の付加設定の最適化を行うことができる。
以上のように、本実施の形態3によれば、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態3においては、音素記録部10に、オペレータが手動で、音素データを入力するための音素入力装置19を備えるようにしたので、オペレータの好みにより音素を選択することができ、入力した音素について認知性、快音性、車両想起性、高級感がより優れた報知音に修正することができる。
実施の形態4.
図16は、本発明の実施の形態4に係る車両接近通報装置2の構成を示した図である。図16に示すように、実施の形態4に係る車両接近通報装置2は、報知音制御装置3Dと、発音体4とから構成される。発音体4の構成は、実施の形態1と同じである。本実施の形態においては、報知音制御装置3Dが、実施の形態1の報知音制御装置3と異なり、図16に示すように、報知音発生部5D、車両状態判定部6、および、騒音測定部20から構成されている。車両状態判定部6は、実施の形態1と同じである。なお、以下では、実施の形態1と主に異なる点についてのみ説明し、実施の形態1と同じ構成および動作については、ここでは、説明を省略し、実施の形態1の説明を参照することとする。
図16は、本発明の実施の形態4に係る車両接近通報装置2の構成を示した図である。図16に示すように、実施の形態4に係る車両接近通報装置2は、報知音制御装置3Dと、発音体4とから構成される。発音体4の構成は、実施の形態1と同じである。本実施の形態においては、報知音制御装置3Dが、実施の形態1の報知音制御装置3と異なり、図16に示すように、報知音発生部5D、車両状態判定部6、および、騒音測定部20から構成されている。車両状態判定部6は、実施の形態1と同じである。なお、以下では、実施の形態1と主に異なる点についてのみ説明し、実施の形態1と同じ構成および動作については、ここでは、説明を省略し、実施の形態1の説明を参照することとする。
本実施の形態においては、報知音発生部5Dの構成自体は、図4の報知音発生部5と同じであるが、本実施の形態においては、報知音発生部5Dに騒音測定部20が接続されている点が、図4と異なる。
騒音測定部20は、例えばマイクロフォンから構成され、電動移動体1(車両)の外部に取り付けられて、電動移動体1の周囲の環境騒音を測定するものである。騒音測定部20の測定結果は、音質評価部15に入力される。
本実施の形態においては、騒音測定部20で測定した環境騒音に基づいて、音質評価部15が周波数分析を行い、分析結果に基づいて動作制御部8を制御して、ピッチ変換部11でピッチの調整、イコライザ14で周波数成分の調整を行う際に、周囲の雑音(環境騒音)の周波数帯域と異なる帯域になるように、報知音の周波数帯域を変更する。
以上のように、本実施の形態4によれば、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態4においては、電動移動体1(車両)の外部の環境騒音を測定する騒音測定部20を設けるようにしたので、周囲の雑音により阻害されにくい周波数帯域を選択して報知音を再生することができ、認知性がよい音となる。
1 電動移動体、2 車両接近通報装置、3 報知音制御装置、4 発音体、5 報知音発生部、6 車両状態判定部、7 車両信号、8 動作制御部、9 音質調整部、10 音素記録部、11 ピッチ変換部、12 ボリューム変換部、13 振幅変調部、14 イコライザ、15 音質評価部、16 パラメータテーブル、17 手動制御装置、18 評価点出力装置、19 音素入力装置、20 騒音測定部。
Claims (5)
- 車両に搭載され、前記車両が接近することを周囲の人に通知する報知音を発生させるための車両接近通報装置であって、
音素データから報知音の音声信号を生成する報知音制御装置と、
前記報知音の音声信号に基づいて、報知音を発生させる発音体と
を備え、
前記報知音制御装置は、
心理音響評価指標のうち、シャープネス、トナリティ、ラフネス、および、変動強度の4つのパラメータを用い、各パラメータの値が条件(a)を満たし、かつ、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)により算出される評価点Z1、Z2、Z3、Z4が、Z1≦10、Z2≧3、Z3≧3、Z4≧3の条件を満たす音声信号を、前記報知音の音声信号として生成し、
前記条件(a)は、
1acum≧(シャープネス)≧0.45acum、
0.5≧(トナリティ)≧0.25、
0.2asper≧(ラフネス)≧0asper、
0.15vacil≧(変動強度)≧0vacil
であり、
前記式(b)は、
Z1=B1×(トナリティ)+D1×(変動強度)+E1であり、ここで、B1、D1、E1は、それぞれ、−4.45≧B1≧−8.68、−1.71≧D1≧−9.44、13.4≧E1≧12.3を満たし、
前記式(c)は、
Z2=A2×(シャープネス)+B2×(トナリティ)+D2×(変動強度)+E2であり、ここで、A2、B2、D2、E2は、それぞれ、−3.25≧A2≧−3.98、−1.22≧B2≧−2.96、2.58≧D2≧−0.316、6.55≧E2≧5.58を満たし、
前記式(d)は、
Z3=A3×(シャープネス)+B3×(トナリティ)+C3×(ラフネス)+E3であり、ここで、A3、B3、C3、E3は、それぞれ、−2.41≧A3≧−3.27、−3.59≧B3≧−5.81、1.77≧C3≧−0.0287、5.65≧E3≧4.4を満たし、
前記式(e)は、
Z4=A4×(シャープネス)+B4×(トナリティ)+C4×(ラフネス)+D4×(変動強度)+E4であり、ここで、A4、B4、C4、D4は、それぞれ、−2.18≧A4≧−2.66、−1.96≧B4≧−3.21、−0.634≧C4≧−1.63、2.3≧D4≧0.411、5.92≧E4≧5.24を満たす、
車両接近通報装置。 - 前記報知音制御装置は、
音素データに対して、ピッチの調整、ボリュームの調整、振幅変調の付加、および、周波数成分の調整のうちの少なくとも1つを行う音質調整部と、
前記ピッチの調整、ボリュームの調整、振幅変調の付加、および、周波数成分の調整のうちの少なくとも1つを行うためのパラメータ値の入力を受け付ける手動制御装置と、
前記手動制御装置に入力された前記パラメータ値に基づいて、前記音素データのピッチの調整、ボリュームの調整、振幅変調の付加、および、周波数成分の調整のうちの少なくとも1つが前記音質調整部で行われたときに、前記評価点Z1、Z2、Z3、Z4を算出する音質評価部と、
前記音質評価部の算出した前記評価点Z1、Z2、Z3、Z4を表示する評価点出力装置と
を備えている
請求項1記載の車両接近通報装置。 - 前記報知音制御装置は、
前記音素データを記憶する音素記録部と、
音素データの入力を受け付け、前記音素記録部に記憶する前記音素データの追加および変更を行う音素入力装置と
を備えている
請求項1または2に記載の車両接近通報装置。 - 前記報知音制御装置は、
環境騒音を取得する騒音測定部を備え、
前記騒音測定部により測定した前記環境騒音の周波数特性に応じて、前記発音体から発生させる前記報知音の周波数帯域を変更する
請求項1から3までのいずれか1項に記載の車両接近通報装置。 - 車両が接近することを周囲の人に通知する報知音を発生させるための車両接近通報方法であって、
音素データから報知音の音声信号を生成する報知音制御ステップと、
前記報知音の音声信号に基づいて、報知音を発生させる報知音発生ステップと
を備え、
前記報知音制御装ステップは、
心理音響評価指標のうち、シャープネス、トナリティ、ラフネス、および、変動強度の4つのパラメータのそれぞれの値が条件(a)を満たし、かつ、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)により算出される評価点Z1、Z2、Z3、Z4が、Z1≦10、Z2≧3、Z3≧3、Z4≧3の条件を満たす音声信号を、前記報知音の音声信号として生成し、
前記条件(a)は、
1acum≧(シャープネス)≧0.45acum、
0.5≧(トナリティ)≧0.25、
0.2asper≧(ラフネス)≧0asper、
0.15vacil≧(変動強度)≧0vacil
であり、
前記式(b)は、
Z1=B1×(トナリティ)+D1×(変動強度)+E1であり、ここで、B1、D1、E1は、それぞれ、−4.45≧B1≧−8.68、−1.71≧D1≧−9.44、13.4≧E1≧12.3を満たし、
前記式(c)は、
Z2=A2×(シャープネス)+B2×(トナリティ)+D2×(変動強度)+E2であり、ここで、A2、B2、D2、E2は、それぞれ、−3.25≧A2≧−3.98、−1.22≧B2≧−2.96、2.58≧D2≧−0.316、6.55≧E2≧5.58を満たし、
前記式(d)は、
Z3=A3×(シャープネス)+B3×(トナリティ)+C3×(ラフネス)+E3であり、ここで、A3、B3、C3、E3は、それぞれ、−2.41≧A3≧−3.27、−3.59≧B3≧−5.81、1.77≧C3≧−0.0287、5.65≧E3≧4.4を満たし、
前記式(e)は、
Z4=A4×(シャープネス)+B4×(トナリティ)+C4×(ラフネス)+D4×(変動強度)+E4であり、ここで、A4、B4、C4、D4は、それぞれ、−2.18≧A4≧−2.66、−1.96≧B4≧−3.21、−0.634≧C4≧−1.63、2.3≧D4≧0.411、5.92≧E4≧5.24を満たす、
車両接近通報方法。
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