JP2014200177A - 優れた低温感受性を示す新規納豆菌および二次発酵が顕著に抑制された納豆 - Google Patents

優れた低温感受性を示す新規納豆菌および二次発酵が顕著に抑制された納豆 Download PDF

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Abstract

【課題】常温以下の温度帯(低温温度帯)での納豆の二次発酵を顕著に抑制し、保管流通時における納豆の品質劣化を顕著に防止する技術を開発する。【解決手段】以下(1)〜(3)に示す菌学的性質を有するBacillus subtilisに属する納豆菌。(1):煮大豆等に植菌し豆の品温を37〜53℃のいずれかの温度に維持した際に好適に発酵して、風味及び糸引きが良好な納豆を製造。(2):10%(w/v)フィトンペプトンを含有する3〜4%(w/v)のいずれかの濃度の寒天培地(pH7.0)に植菌し、気相温度20℃で48時間培養試験において、K-2菌株(NITE BP-1577)を植菌して培養したコロニーの最大幅が2〜4mmである場合に、当該納豆菌を植菌して培養したコロニーの最大幅が1mm以下である性質。(3):16SrDNAを構成する塩基配列が配列番号1に記載の塩基配列と99%以上の同一性を示す塩基配列。【選択図】図3

Description

本発明は、優れた低温感受性を示す新規納豆菌に関する。また、本発明は製造後の保管流通時での二次発酵が顕著に抑制された納豆に関する。
大豆を納豆菌で発酵させた糸引き納豆(いわゆる納豆)は、日本古来の発酵食品であり、大豆タンパク質を豊富に含み栄養価が高い。また、栄養価に加えて、納豆はそれ自体の嗜好性が高いことから、日本人の日常食品の一つとなっている。
さらに、近年、納豆にはプロバイオティック作用、抗菌作用、機能性成分等による各種健康増進効果があることが報告されており、益々需要が期待されている食品である。
従来の通常の納豆を製造する方法においては、一般的に、蒸煮した大豆に納豆菌の胞子を噴霧し、これを適用な容器に盛り込み、納豆菌の発酵適温(37〜53℃程度)で十分に生育と発酵を行った後、10℃以下の温度で熟成させることにより製造している。このようにして製造した通常の納豆では、40〜90%は胞子となっているが、残りの10〜60%の細胞は栄養細胞として存在するため、10℃未満(冷蔵条件下)にて流通販売しなければならない。その理由は、通常の納豆を10℃以上に置いた場合、残りの栄養細胞が繁殖し始めて二次発酵が開始されてしまうからである。即ち、二次発酵における代謝により、納豆臭やアンモニア臭が強まり、風味が弱まり、糸引きが弱まることにより、納豆の品質が急速に劣化する。
そのため、従来の納豆では、二次発酵を抑制するために厳格な温度管理が必要となる。また、流通販売過程, 消費者の温度管理の不備, 夏季の高温などの季節要因により二次発酵がおきやすく品質の劣化が生じている。
また、従来の納豆では、発酵後に低温での十分な熟成を行わない場合、保管流通時に低温を維持したとしても二次発酵が起こってしまう問題がある。当該熟成には数日間を要するため、生産上の律速要因となっている。
このように、納豆の保管流通時における二次発酵を防止する技術の開発は、納豆製造業者にとって重要な課題となっている。なお、常温以下の温度帯(低温温度帯)での生育性及び発酵性が抑制されている納豆菌株の開発が試みられていたが(例えば、特許文献1 参照)、実際の納豆生産の実用に耐える納豆菌は未だ報告されていない。
特開平1-191655号公報
本発明は、上記課題を解決し、常温以下の温度帯(低温温度帯)での納豆の二次発酵を顕著に抑制し、保管流通時における納豆の品質劣化を顕著に防止する技術を開発することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、極めて優れた低温感受性(常温以下の温度帯での生育及び発酵が抑制された性質)を有する新規納豆菌株を見出した。また、本発明者は、これらの納豆菌株を植菌し常法により発酵して製造した納豆は、保管流通時における二次発酵が顕著に抑制されたものとなることを見出した。特に、当該製造納豆は、常温における二次発酵が著しく抑制されたものとなった。また、熟成工程を行わずに製造した納豆でも二次発酵抑制能は発揮されていた。
なお、当該製造納豆の風味及び糸引き性は、極めて良好であった。
本発明は、当該知見に基づいてなされたものである。
[請求項1]に係る発明は、以下(1)〜(3)に示す菌学的性質を有することを特徴とする、Bacillus subtilisに属する納豆菌に関するものである。(1):以下(1-1)に記載の発酵性に係る性質。(1-1):煮大豆又は蒸煮大豆に植菌し豆の品温を37〜53℃のいずれかの温度に維持した際に好適に発酵して、風味及び糸引きが良好な納豆を製造できる性質。(2):以下(2-1)に記載の低温生育抑制性に係る性質。(2-1):10%(w/v)フィトンペプトンを含有する3〜4%(w/v)のいずれかの濃度の寒天培地(pH7.0)に植菌し、気相温度20℃で48時間培養した際のコロニーの最大幅を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を植菌して培養したコロニーの最大幅が2〜4mmである場合に、当該納豆菌を植菌して培養したコロニーの最大幅が1mm以下である性質。(3):16SrDNAを構成する塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列である、又は、配列番号1に記載の塩基配列と99%以上の同一性を示す塩基配列である性質。
[請求項2]に係る発明は、さらに、以下(2-2)に記載の低温発酵抑制性に係る性質を有する、請求項1に記載の納豆菌に関するものである。(2-2):当該納豆菌を用いて納豆を製造して、当該納豆を気相温度15℃で96時間静置した後、当該納豆30gを2.5L容器内に20℃常圧にて30分間静置して、当該容器内に揮発したアンモニア濃度を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が80〜120ppmである場合に、当該納豆菌を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が60ppm以下である性質。
[請求項3]に係る発明は、前記(2-2)に記載の性質における当該納豆菌を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が、10ppm以下である、請求項2に記載の納豆菌に関するものである。
[請求項4]に係る発明は、さらに、以下(2-3)に記載の低温発酵抑制性に係る性質を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の納豆菌に関するものである。(2-3):当該納豆菌を用いて納豆を製造して、当該納豆を気相温度15℃で48時間静置した際の品温を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆の最大品温が17.5〜19.5℃である場合に、当該納豆菌を用いて製造した納豆の最大品温が17℃以下である性質。
[請求項5]に係る発明は、前記(2-3)に記載の性質における当該納豆菌を用いて製造した納豆の最大品温が、15.5℃以下である、請求項4に記載の納豆菌に関するものである。
[請求項6]に係る発明は、さらに、以下(1-2)に記載の生育性に係る性質を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の納豆菌に関するものである。(1-2):LB液体培地に植菌し液相温度37℃にて24時間振盪培養して得られた培養液を分光光度計にて波長660nmを測定する試験において、;当該納豆菌を植菌して得た培養液の測定値が、K-2菌株(NITE BP-1577)を植菌して得た培養液の測定値と±20%の範囲内にある性質。
[請求項7]に係る発明は、Bacillus subtilis T-058株(NITE BP-1576)である納豆菌に関するものである。
[請求項8]に係る発明は、請求項7に記載のT-058株に由来する納豆菌、前記T-058株を突然変異させて作出した納豆菌、又は、前記T-058株に遺伝子導入し形質転換して作出した納豆菌であって、請求項1〜7のいずれかに記載の上記(1)〜(3)に示す菌学的性質を有する納豆菌に関するものである。
[請求項9]に係る発明は、納豆を製造するにあたり、蒸煮大豆又は煮大豆に請求項1〜8のいずれかに記載の納豆菌を植菌して発酵を行うことを特徴とする、納豆の製造方法に関するものである。
[請求項10]に係る発明は、請求項9に記載の方法により製造された納豆に関するものである。
[請求項11]に係る発明は、以下(A)及び(B)に示す性質を有することを特徴とする、請求項10に記載の納豆に関するものである。(A):気相温度15℃で96時間静置した後、当該納豆30gを2.5L容器内に20℃常圧にて30分間静置して、当該容器内に揮発したアンモニア濃度を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が80〜120ppmである場合に、当該納豆菌を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が60ppm以下である性質。(B):気相温度15℃で48時間静置した際の品温を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆の最大品温が17.5〜19.5℃である場合に、当該納豆の最大品温が17℃以下である性質。
本発明によれば、常温以下の温度帯(低温温度帯)での納豆の二次発酵を顕著に抑制することを可能とする。これにより、納豆の保管流通時における品質劣化を顕著に防止することが可能となる。本発明によれば、納豆の保管, 流通, 販売時における冷蔵状態を必ずしも厳格に行わない場合でも、商品の品質を保持することが可能となる。
さらに、本発明では、納豆発酵後の熟成工程を省略して納豆を製造した場合でも、低温での二次発酵抑制を発揮させることが可能であるため、製造時間の大幅な短縮が可能となる。
また、本発明の納豆菌を用いて製造した納豆は、風味及び糸引き性が極めて良好なものとなる。
従って、本発明によれば、高品質であり且つ保存性に優れた納豆を効率よく提供することが可能となる。
実施例2における低温生育性試験において、10%(w/v)フィトンペプトンを含有する3%(w/v)寒天培地(pH7.0)に植菌し20℃48時間静置後のコロニーを上面視にて撮影した写真像図である。 実施例3における製造納豆の低温保管試験において、納豆の品温を経時測定した結果図である。 実施例3における製造納豆の低温保管試験において、発生した発酵熱の最大温度を算出した結果図である。 実施例4における製造納豆の低温保管試験において、保管後納豆から発生した揮発アンモニア濃度を測定した結果図である。
以下、具体的な実施形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明は、優れた低温感受性を示す新規納豆菌に関する。また、本発明は保管流通時での二次発酵が顕著に抑制された納豆に関する。
[新規納豆菌の菌学的性質]
本発明の新規納豆菌は、優れた低温感受性を示す納豆菌である。ここで納豆菌とは、枯草菌バチルス・サチリス(Bacillus subtilis)の変種(B. subtilis var.natto、B. subtilis (natto))に分類される細菌である。分類体系によっては、枯草菌の近縁種バチルス・ナットウ(B. natto)として分類される場合もある。
本発明の納豆菌は、16SrRNA遺伝子である16SrDNAを構成する塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列と99%以上, 好ましくは99.5%以上, より好ましくは99.8%以上の同一性を示す塩基配列をゲノム中に有する納豆菌である。最も好ましくは配列番号1に記載の塩基配列と完全一致する16SrDNAの塩基配列をゲノム中に有する納豆菌である。
・形態的特徴
当該新規納豆菌の栄養細胞は、大きさ2〜3μm程度の桿菌であり運動性を有する。また、グラム染色性を有する。胞子形成能を有し、胞子の形状は楕円形である。胞子の大きさは1.12〜1.28μm程度である。
・培養的性質
当該新規納豆菌の寒天平板培地上でのコロニーの形状は環状である。当該コロニーは、表面に皺があり、光沢が無く、色調が不透明〜乳白色であり、中央部の隆起がない特徴を有する。
当該新規納豆菌を液体培地で培養すると、培養後の培地表面に菌膜が形成される。また、培養液は混濁する。
・炭素源資化性
当該新規納豆菌は、グルコース, シュクロースに対する資化性を有する。一方、ラクトース, アラビノースに対する資化性を有さない。
・生理学的性質
当該新規納豆菌は、好気性細菌であり、ビオチン要求性を示し、最少培地での生育が可能である。また、プロテアーゼ活性を有する。また、クエン酸塩を利用して生育が可能である。
・温度特性
当該新規納豆菌は、通常の納豆菌の生育温度帯である37〜40℃付近で好適な生育能を有し、通常の納豆菌と同等の増殖速度により増殖する。
当該新規納豆菌の生育能は、培養液のO.D.660の測定結果を指標として判定することができる。具体的には、液体培地(例えばLB液体培地)に植菌し液相温度37℃にて24時間振盪培養して得られた培養液を分光光度計にて波長660nmを測定する試験を行った場合において、;その測定値が、K-2菌株(NITE BP-1577)を同様にして植菌して得た培養液の測定値の±20%の範囲内、好ましくは±15%の範囲内、±10%の範囲内にあるか、;を指標として生育能を判定することができる。
当該新規納豆菌は、通常の納豆発酵温度帯である37〜53℃(好ましくは40〜50℃)のいずれかの温度で好適な納豆発酵能を有する。即ち、煮大豆又は蒸煮大豆に植菌を行い、豆の品温が当該温度帯になるように所定時間維持することで、風味が良好であり、糸引きが十分であり(ネバ量が多く)、白みがかった色調を有し(菌膜量が多く)、食感が柔らかい(硬度が低く)、嗜好性の良好な納豆を製造することが可能となる。
53℃より高温〜55℃未満の場合、当該納豆菌の生育自体は可能であるが発酵活動は完全に停止する。また、55〜100℃の場合、栄養細胞は生育できずに死滅するが、耐熱性を有する胞子の状態で生存が可能である。
37℃未満の場合、生育能及び発酵能が全般的に低下する。特に、当該新規納豆菌の有する性質としては特筆すべき点は、低温温度帯(常温以下)での生育能及び発酵能が通常菌と比べて著しく低い点である。
[低温感受性の詳細]
本発明の新規納豆菌は、優れた低温感受性を有する納豆菌である。ここで、低温感受性とは、納豆発酵温度帯(37〜53℃)のいずれかの温度での発酵能は通常の納豆菌と同等であるが、低温温度帯(常温以下)での生育能及び発酵能が著しく低く抑制されている性質を指す。ここで、低温温度帯とは、納豆の発酵温度帯から見て低温である常温以下の温度帯を指す。具体的には25℃以下、好ましくは24℃以下、より好ましくは23℃以下、さらに好ましくは22℃以下、特に好ましくは21℃以下、さらに特に好ましくは20℃以下を指す。また、当該温度帯の下限温度としては、例えば3℃以上を挙げることができる。
当該新規納豆菌の低温生育抑制及び発酵抑制の度合いは、公知の低温感受性菌(例えば、K-2株等)と比べても顕著に高いものである。
本発明の新規納豆菌を通常の納豆菌と比較した場合、特に特筆すべき特徴としては、上記低温温度帯(常温以下の温度帯)のうち、通常の納豆菌が活発に二次発酵する6℃以上、好ましくは8℃以上、より好ましくは10℃以上での生育能及び発酵能が著しく低く抑制されている点を挙げることができる。
・低温温度帯での生育抑制
当該低温感受性菌が示す低温温度帯での生育抑制度合いは、当該納豆菌を所定の寒天培地に植菌し低温で所定時間培養した際のコロニーの最大幅を指標にして判定することができる。
具体的には、10%(w/v)フィトンペプトンを含有する3〜4%(w/v)のいずれかの濃度の寒天培地(pH7.0)に植菌し、気相温度20℃で48時間培養した際のコロニーの最大幅を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を植菌して培養したコロニーの最大幅が2〜4mm、好ましくは2〜3mmである場合に、;当該納豆菌を植菌して培養したコロニーの最大幅が1mm以下、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下、特に好ましくは0.1mm以下、最も好ましくは0mm(目視ではコロニーが確認できない大きさ)であるか、;を指標として判定することができる。
なお、ここでフィトンペプトン(Phytone Peptone)とは、大豆粉砕物をパパイン消化した消化物を指す。
また、ここで「%(w/v)」とは、容量100mLに対する含有質量(g)を%で表した値である。
また、コロニーの最大幅とは、コロニー乳白色部分の最大幅の値を指す。
また、ここでK-2株とは、公知の低温感受性菌である(特許文献1 参照)。本発明の低温感受性菌との比較実験を担保するため、本願出願人は当該菌株を独立行政法人製品評価技術基盤機構(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託申請した。当該菌株は、受託番号 NITE BP-1577としてBacillus subtilis K-2の名称で2013年3月19日付で国際寄託が認められている。
・低温温度帯の発酵抑制
当該低温感受性菌が示す低温温度帯での発酵抑制度合いは、当該納豆菌を用いて製造した納豆を低温に維持した際の品温変化(発生した発酵熱)を指標として判定することができる。
具体的には、当該納豆菌を用いて納豆を製造して当該納豆を気相温度15℃で48時間静置した際の品温を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆の最大品温が17.5〜19.5℃、好ましくは18〜19℃である場合に、;当該納豆菌を用いて製造した納豆の最大品温が17℃以下(最大発酵熱2℃以下)、好ましくは16.5℃以下(最大発酵熱1.5℃以下)、より好ましくは16℃以下(最大発酵熱1℃以下)、さらに好ましくは15.7℃以下(最大発酵熱0.7℃以下)、特に好ましくは15.5℃以下(最大発酵熱0.5℃以下)、さらに特に好ましくは15.4℃以下(最大発酵熱0.4℃以下)であるか、;を指標として判定することができる。
また、当該低温感受性菌が示す低温温度帯での発酵抑制度合いは、当該納豆菌を用いて製造した納豆を低温に維持した際に発生する揮発アンモニア量を指標として判定することができる。
具体的には、当該納豆菌を用いて納豆を製造して、当該納豆を気相温度15℃で96時間静置した後、当該納豆30gを2.5L容器内に20℃常圧にて30分間静置して、当該容器内に揮発したアンモニア濃度を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が80〜120ppm、好ましくは90〜110ppmである場合に、;当該納豆菌を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が60ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは40ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下、特に好ましくは20ppm以下、さらに特に好ましくは10ppm以下であるか、;を指標として判定することができる。
[選抜菌株]
本発明の低温感受性納豆菌を選抜する方法としては、例えば後述する実施例1に記載の方法を挙げることができるが、次の手順に従った方法を採用することができる。
当該選抜方法としては、まず、(1) 親株に対して変異処理を行うことが好ましい。ここで、変異処理としては、例えばニトロソグアニジン(NTG)処理、エチルメタンスルホン酸(EMS)処理、紫外線処理などを採用することができる。また、親株としては、如何なる納豆菌も採用することができる。例えば、一般的な市販菌である宮城野菌、高橋菌、成瀬菌等を用いることができるが、特定の性質を有する突然変異株, 遺伝子組み換え株などの各種菌株を利用することもできる。なお、後述する実施例で例示した21541株は、通常の温度感受性を有する菌株であり、出願人が自社開発した菌株である。
次に、(2) 上記(1)の変異処理した株に対して、通常納豆菌が好適に生育する温度帯では通常菌と同等の生育能を有し、且つ、低温温度帯(常温以下の温度帯)での生育能が顕著に抑制された菌株を選抜することが必要である。例えば、フィトンペプトン寒天培地を用いて、当該培地上にて37〜40℃の温度にて良好に生育し、且つ、10〜25℃(好ましくは10〜20℃)にて生育が顕著に抑制された菌株を選抜する方法を採用することができる。また、必要に応じて、当該選抜工程を繰り返して行い、さらに良好な菌株を選抜することが可能である。
(3) 上記(2)の選抜により菌株の数が絞られた後、実際に納豆を製造し、納豆の品質により選抜することが必要である。なお、必要に応じて上記(2)の選抜を再度行って、良好な性質を有する低温感受性菌を絞り込むことが可能である。
(4) (3)で製造した納豆について、二次発酵抑制性を評価して、さらに良好な菌株を選抜することが可能である。
本発明の低温感受性納豆菌として具体的な菌株としては、T-072株, T-058株, T-101株を挙げることができる。これらの菌株は、後述する実施例1に記載の方法により、2万1千以上の株の中から5段階の選抜工程を経て選抜された納豆菌株である。当該選抜株は、極めて優れた低温感受性を有し且つ納豆の品質特性が優れた性質の新規納豆菌株である。
当該選抜株のうち、特にT-058株は総合的に最も優れた性質を有する菌株であったため、本願出願人は、当該菌株を独立行政法人製品評価技術基盤機構(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託申請した。当該菌株は、受託番号 NITE BP-1576としてBacillus subtilis T-058の名称で2013年3月19日付で国際寄託が認められている。
また、本発明の低温感受性納豆菌としては、前記選抜菌に由来する納豆菌、又は、前記選抜菌を突然変異させて作出した納豆菌、又は、前記選抜菌に遺伝子導入し形質転換して作出した納豆菌であって、;生育性、発酵性、低温感受性、及び16SrDNAに関する性質が上記性質を有する納豆菌であれば、;本発明の低温感受性菌に該当する。
[納豆の製造]
本発明では、上記低温感受性納豆菌を用いて納豆を製造することによって、保管流通時での二次発酵が顕著に抑制された納豆を製造することが可能となる。
ここで、納豆の製造方法としては、納豆菌として上記低温感受性納豆菌を用いることを除いては、常法に従って納豆を製造することができる。
・原料大豆
本発明の納豆の製造方法では、通常の納豆の製造に用いることができる如何なる原料をも用いることができる。例えば、丸大豆、半割大豆、割砕大豆(引き割り納豆の原料)、脱脂大豆などを使用できる。特に高品質の納豆製造時に使用される中粒や大粒のものが好適である。これらの大豆は、生のまま用いることもできるが、乾燥処理を行ったもの(乾燥品)を用いることが一般的である。
本発明では、原料の大豆を常法により蒸煮大豆又は煮大豆にして用いる。成分の流亡を防ぐ意味では、蒸煮大豆が好適である。なお、蒸煮や煮る操作を行う前には、原料大豆を水に浸漬し、膨潤させて用いることが望ましい。
ここで、蒸煮大豆の具体的な調製手順としては、大豆を水中に6〜24時間程度浸漬した後、水切りして、100〜135℃の蒸気で10〜30分の蒸煮処理する方法を採用することができる。また、0.12〜0.22Mpaの高圧条件にて、加圧蒸煮する方法を採用することもできる。
また、煮大豆の具体的な調製手順としては、大豆を水中に6〜24時間程度浸漬した後、90〜100℃の湯で20〜50分間煮込む方法を採用することができる。
・植菌
納豆菌の接種に用いる際の納豆菌の状態としては、即座に増殖発酵可能な栄養増殖状態のものを用いることも可能であるが、胞子状態のものを用いることが通常であり好適である。胞子状態の納豆菌は、安定保存が可能で取扱いが容易だからである。また、胞子状態の納豆菌は、熱い煮豆等への接種の際にも死滅しないため、豆の雑菌汚染を防げる点で利点がある。また、胞子状態の納豆菌は、熱によるヒートショックにより、大豆への接種後速やかに発芽させることが可能となる。
大豆等への納豆菌の植菌は、発酵を均一に行うため、大豆等と納豆菌が均一になるように添加(又は、接種, 散布など)した後、混合等を行うことが望ましい。好ましくは、納豆菌液(納豆菌を液体に懸濁した状態)を調製し、液体状態にて添加して用いることが好適である。
ここで納豆菌液としては、(i) 市販の納豆菌胞子液の他、各種納豆菌の胞子形成培養液を用いることができる。また、(ii) グルタミン酸やグルコースを主原料とした合成培地, 大豆煮汁, 豆乳, 酵母エキスなどを含む液体培地にて納豆菌を培養した培養液も用いることができる。また、(iii) 納豆菌の固体培養物、例えば大豆(大豆粉や脱脂加工大豆も含む)に、納豆菌を植菌し培養したもの(納豆そのもの)から納豆菌を集菌し、溶液に懸濁して用いることができる。また、当該固形培養物の粉砕物等をそのまま溶液に懸濁して、用いることも可能である。
植菌する納豆菌の数としては、常法に準じた菌濃度で特に限定はないが、蒸煮大豆1gあたり10〜10個、好ましくは10〜10個、最も好ましくは10〜10個であることが望ましい。
上記納豆菌を植菌した大豆は、1〜数食分用の個容器に充填した後、個容器内にて後述する発酵を行うことが好適である。また、伝統的な方法として、煮沸した藁苞に充填して行うことも可能である。
また、数リットル体積容の容器等にて発酵を行うことも可能であるが、表面積に対する体積の値が大きくなると、中央部の豆に温度変化が伝わりにくくなることを考慮すると、大きめの容器を用いることは望ましくない。
ここで個容器としては、豆の充填が可能なものであれば、どんな容器を用いることもできる。一般的には納豆で一般に用いられるようなPET、PE、PP、PSP等を用いた合成樹脂性の容器や、カップ状の紙製の容器を用いることができる。
また、容器の形状として、当該容器を用いて直接、喫食のための掻き混ぜ(攪拌)ができるような形状のものが好適である。
また、発酵後は、蓋やシーリングによる封を行うことができる態様のものが好適である。
・発酵
納豆の発酵は、豆の品温を実質的に37〜53℃(好ましくは40〜50℃)である通常の納豆発酵温度帯に維持することで行うことが可能である。
また、本発明においては、室温を30〜50℃(好ましくは35〜45℃)の温度帯に維持することによって、発酵中の豆の品温を上記温度帯に維持することが可能となる。発酵熱によって豆の品温が上昇し、上記温度帯に維持されるためである。
豆の品温を、当該発酵温度帯に維持する所定時間(発酵時間)としては、特に制限はないが、12〜24時間、好ましくは16〜20時間を挙げることができる。
当該温度帯で発酵が進行することによって、納豆らしい風味の付与、柔らかい納豆らしい食感の付与、菌膜形成により白みがかった色調の付与、糸引き性の付与(ネバの付与)などが促進される。
なお、当該発酵において「実質的に温度帯に維持する」とは、完全に当該温度帯を外れないことを意味するものではなく、例えば、若干の温度範囲(例えば、2℃以内, 好ましくは1℃以内)で、若干の時間(例えば、10分以内, 好ましくは5分以内)であれば、当該温度帯を外れた品温となった場合も、当該発酵条件を満たすことを意味する。
・熟成
本発明においては、通常の納豆の製法では必須である熟成工程を行わない場合であっても、二次発酵が顕著に抑制された納豆を製造することができる。従って、本発明における納豆の製造においては、上記加熱処理温度帯での維持が終了した納豆の品温が5℃以下になった時点で、製造が完了したとみなすことができる。
なお、熟成工程を行う場合、3℃以上10℃未満、好ましくは3℃以上8℃未満、より好ましくは3℃以上6℃未満の低温になるようにして6時間〜3日間、好ましくは8時間〜2日間程度の熟成を行うことが好適である。
[製造された納豆の性質]
・二次発酵抑制性
二次発酵とは、製造した納豆中に生存する納豆菌栄養細胞の活動により保管流通時に二次的に発酵する現象を指し、納豆の品質を大きく劣化させる要因となる。具体的には、アンモニアや納豆臭の原因物質の過剰生成、糸引き成分及び風味成分の分解、などを引き起こす反応をいう。
本発明において製造した納豆は、低温感受性菌の温度特性により二次発酵が顕著に抑制された性質の納豆となる。即ち、保管流通時の品質劣化が顕著に防止された納豆となる。特に、常温における二次発酵が著しく抑制されたものとなる。
なお、ここで、‘保管流通時’とは、製造業者が製造後の商品(納豆)を保管・貯蔵する時、メーカーや流通業者が商品(納豆)を運搬や配達する時、販売業者によって商品(納豆)として保管・陳列されている時、消費者が購入した商品(納豆)を自宅に保管している時、等の商品が物流している時の全体を意味する。
当該製造納豆の二次発酵の抑制度合いは、当該製造納豆を低温に維持した際の品温(発酵熱)を指標として判定することができる。
具体的には、当該納豆を気相温度15℃で48時間静置した際の品温を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆の最大品温が17.5〜19.5℃、好ましくは18〜19℃である場合に、;当該納豆の最大品温が17℃以下(最大発酵熱2℃以下)、好ましくは16.5℃以下(最大発酵熱1.5℃以下)、より好ましくは16℃以下(最大発酵熱1℃以下)、さらに好ましくは15.7℃以下(最大発酵熱0.7℃以下)、特に好ましくは15.5℃以下(最大発酵熱0.5℃以下)、さらに特に好ましくは15.4℃以下(最大発酵熱0.4℃以下)であるか、;を指標として判定することができる。
当該製造納豆の二次発酵の抑制度合いは、当該製造納豆を低温に維持した際に納豆から発生する揮発アンモニア量を指標として判定することができる。
具体的には、当該納豆菌を用いて納豆を製造して、当該納豆を気相温度15℃で96時間静置した後、当該納豆30gを2.5L容器内に20℃常圧にて30分間静置して、当該容器内に揮発したアンモニア濃度を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が80〜120ppm、好ましくは90〜110ppmである場合に、;当該納豆菌を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が60ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは40ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下、特に好ましくは20ppm以下、さらに特に好ましくは10ppm以下であるか、;を指標として判定することができる。
・納豆の品質
当該製造納豆は、納豆らしい良好な風味が付与され、納豆らしい柔らかい食感が付与され、且つ十分な糸引き性(ネバ)を有する納豆となる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
[調製例1]『培地組成』
以下に示す組成の培地を調製した。なお、特に記載のない限り、121℃で15分オートクレーブ滅菌を行った。また、寒天培地(プレート)の寒天濃度は1.5%(w/v)とした。
<酵母エキス培地>
酵母エキス(ミーストP2G, アサヒフード アンド ヘルスケア(株)): 20g/L
NaCl: 5g/L
pH: 7.1
<LB培地>
Tryptone: 10g/L
Yeast Extract: 5g/L
NaCl: 5g/L
pH: 7.0
<フィトンペプトン培地>
フィトンペプトン (BBL Phytone Peptone, 211906, BD) : 100g/L
イオン交換水: 900g/L
pH: 7.0
(なお、フィトンペプトン培地については、寒天濃度を3%(w/v)とし、121℃で60分のオートクレーブ滅菌を行った。)
[実施例1]『低温感受性納豆菌の選抜』
顕著な低温感受性を有し且つ高品質の納豆製造が可能な納豆菌を選抜した。本実施例における選抜経過を示す結果を表1に示した。
(1)「NTG変異処理」
納豆菌‘21541株’をLB液体培地(試験管)5mLに植菌し37℃, 150rpmで前培養した。得られた前培養液1mLをLB液体培地(坂口フラスコ)100mLに植菌し、37℃, 150rpmで定常期まで培養した。当該培養液20mLをLB液体培地(坂口フラスコ)80mLに植え次ぎ、同条件にて対数増殖期まで培養した。
得られた培養液は遠心分離により集菌し、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)で洗浄した。約10 cfu/mLの濃度の洗浄菌体に、終濃度160μg/mLとなるようにN-メチルN'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(ニトロソグアニジン:NTG)を添加し、60分間振盪して変異処理を行った。この時の生存率は1.1%であった。
(2)「一次選抜:低温感受性菌のスクリーニング」
NTG変異処理した菌をLB寒天培地に塗抹培養(37℃一晩)し、生じたコロニー(21,571株)をフィトンペプトン寒天培地2枚にレプリカした。レプリカは1コロニー当たり3点行った。
レプリカした2枚の寒天培地のうち、一方の寒天培地は37℃(高温条件)で一晩培養した。他方、もう1枚の寒天培地については20℃(低温)で48時間培養した。
そして、37℃培養において親株である‘21541株’と同等の生育を示し、20℃培養において生育しない又は著しく生育の悪い279株を選抜した。なお、当該選抜は、レプリカ3点において一致するもののみを選抜した。
ここで、選択した低温感受性菌は、再びフィトンペプトン寒天培地にストリークし37℃一晩培養した。生じたコロニーの中から単一コロニーを選択し、LB寒天培地にレプリカした。当該レプリカしたLB寒天培地は、以降の実験におけるマスタープレートとした。
(3)「二次選抜:納豆生産性の確認」
上記279株の胞子液を添加して納豆の製造が可能かを確認した。乾燥大豆を水に16時間浸漬し、水切りした後、1.65kg/cm2で30分間加圧蒸煮した。蒸煮した大豆100gに1,000倍希釈した納豆菌液(蒸煮大豆1gあたり納豆菌胞子数5×10個になる量)を添加し、軽く均一化した。その後、50gずつをPSP製納豆容器に入れて蓋をし、プログラムインキュベーター内に静置し、43℃ 8時間、45℃ 3.5時間、46℃ 5.5時間、15℃ 1時間の温度条件にて静置した。静置した後、発酵により納豆が製造されているかを確認した。
その結果、低温感受性を有し且つ実際に納豆生産が可能であることが可能な83株を選抜した。
(4)「三次選抜:納豆の品質の確認」
上記選抜した83株の納豆菌液を用いて納豆を製造し、製造した納豆の品質を評価した。納豆の製造は上記(3)に記載の方法と同様にして行った。
その結果、いずれの菌株を用いた場合でも、納豆の菌膜形成能、糸引き性(ネバ)、風味については、親株である‘21541株’を用いた場合と差異はなかった。一方、納豆の硬度については、菌株間で差異が見られた。
そこで、親株である‘21541株’を用いた場合の納豆と同等またはそれ以上に柔らかい納豆を製造可能な菌株であることを指標として選抜し、41株を選抜した。
(5)「四次選抜:二次発酵抑制能でのスクリーニング」
上記選抜した41株の納豆菌液を用いて納豆を製造し、製造した納豆の二次発酵抑制能を評価した。
上記(4)に記載の方法と同様にして製造した納豆(PSP製トレー容器内の納豆50g)を気相温度4℃に設定した恒温室内に静置し、品温が5℃に達した後、15トレー(3列×5段)を密接して積んだ状態にしてダンボールケースに入れた。その後、気相温度を15℃に設定された恒温室内で48時間静置し、中央の納豆の品温を経時的に測定した。当該試験では、気相温度と当該品温の温度差が2℃以下の場合には、発酵熱の発生が抑制されていると判定でき、二次発酵が抑制されていると判定することができる。
その結果、48時間保存中の最高品温が17℃以下(設定温度との温度差が2℃以下)であった14株(T-030, T-032, T-057, T-058, T-060, T-063, T-072, T-079, T-080, T-087, T-096, T-101, T-108, T-124)を選抜した。
(6)「五次選抜:総合評価」
上記選抜した14株について総合的な評価を行い、優れた納豆生産性を有し且つ顕著な低温感受性(二次発酵抑制能)を有する3株(T-072, T-058, T-101)を選抜した。これらの中でも特にT-058株の性質が優れていた。
[実施例2]『低温生育抑制性を調べる試験』
上記選抜した優れた低温感受性納豆菌である3菌株について、低温生育抑制性の程度を評価する試験を行った。
(1)「低温生育性試験」
表2に記載した各納豆菌を培養した寒天培地上のコロニーから、滅菌爪楊枝の先端で菌をピッキングし、10%(w/v)フィトンペプトンを含有する3%(w/v)寒天培地(pH7.0)の3〜4ヶ所にレプリカ(植菌)した。当該プレートを気相温度20℃のインキュベータ内に静置し、48時間培養した後のコロニー形成の有無を観察し、コロニー乳白色部分の最大幅を測定した。結果を表2に示した。また、一部の納豆菌については、コロニーを上面視にて撮影した写真像図を図1に示した。
(2)「結果及び考察」
その結果、10%(w/v)フィトンペプトン含有寒天培地上にて20℃(低温)で48時間培養したところ、上記選抜したT-072, T-058, T-101のいずれの菌株についてもコロニーが形成されなかった(図1(A),(B) 参照)。即ち、コロニーの大きさは0mmであった。
一方、比較として公知の低温感受性の納豆菌であるK-2株(NITE BP-1577)について試験したところ、やや小さめのコロニーが形成された。当該K-2株のコロニー(菌体が増殖した白色部分)の最大幅を測定したところ、2〜3mmであった(図1(B)参照)。
また、対照として通常の温度感受性の納豆菌(21541株、宮城野菌、成瀬菌、OUV23481株)について試験したところ、いずれの菌も大きなコロニーを形成した。これらのコロニー(菌体が増殖した乳白色部分)の最大幅を測定したところ、7〜9mmという大きさであった(図1(A),(B) 参照)。
これらの結果から、上記選抜した菌株(T-072株, T-058株, T-101株)は、20℃(低温)での生育が著しく抑制された納豆菌であり、K-2株よりも著しく優れた低温感受性を示す納豆菌であることが示された。即ち、これらの選抜菌株を用いて製造した納豆は、優れた二次発酵抑制能を有するものになることが示された。
なお、上記実験は、寒天濃度3%の10%(w/v)フィトンペプトン培地を用いた場合の結果であるが、寒天濃度4%(w/v)の10%(w/v)フィトンペプトン培地を採用した場合でも表2と同じ結果が得られた。
[実施例3]『製造納豆の二次発酵抑制性の評価』
上記選抜した優れた低温感受性納豆菌を用いて納豆を製造し、当該納豆を低温保管した際の品温を測定することにより二次発酵抑制性を評価した。
(1)「製造納豆を低温保管した際の品温経時測定」
表3に記載の納豆菌の納豆菌液を植菌して実施例1(3)に記載の方法と同様にして納豆を製造した。当該製造した納豆(PSP製トレー容器内の納豆45g)を気相温度4℃に設定した恒温室内に静置し、品温が5℃に達した後、15トレー(3列×5段)を密接して積んだ状態にしてダンボールケースに入れた。その後、気相温度を15℃(低温)に設定された恒温室内で48時間静置し、中央の納豆の品温を経時的に測定した。結果を表3, 図2, 3に示した。
なお当該試験では、気相温度と当該品温の温度差が2℃以内の場合には、発酵熱の発生が抑制されていると判定でき、二次発酵が抑制されていると判定することができる。
(2)「結果及び考察」
その結果、上記選抜株を用いて製造した納豆では、48時間保存中の最大発酵熱は1.2℃以下であり、二次発酵が顕著に抑制されていることが示された。特に、T-058, T-072株を用いた場合、最大発酵熱が0.4℃以下であり二次発酵がほぼ完璧に抑制されていることが示された。
一方、公知の低温感受性の納豆菌であるK-2株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆では、最大発酵熱は3.5℃であり、二次発酵が起こっていることが確認された。また、通常の温度感受性の納豆菌(21541株、宮城野菌)を用いて製造した納豆では、最大発酵熱は3.8〜8.1℃であり、活発に二次発酵が起こっていることが確認された。
これらの結果から、上記選抜した菌株(T-072株, T-058株, T-101株)を用いて製造した納豆では、二次発酵が顕著に抑制されたものになることが示された。特に、T-058, T-072株を用いて製造した納豆では、二次発酵をほぼ完全に抑制できることが示された。
[実施例4]『製造納豆の二次発酵抑制性の評価』
上記選抜した優れた低温感受性納豆菌を用いて納豆を製造し、当該納豆を低温保管した際に発生する揮発アンモニア濃度を測定することにより二次発酵抑制性を評価した。
(1)「製造納豆の低温保管と揮発アンモニア濃度の測定」
表4に記載の納豆菌の納豆菌液を植菌して実施例1(3)に記載の方法と同様にして納豆を製造した。当該製造した納豆(PSP製トレー容器内の納豆45g)を気相温度4℃に設定した恒温室内に静置し、品温が5℃に達した後、15トレー(3列×5段)を密接して積んだ状態にしてダンボールケースに入れた。その後、気相温度を15℃(低温)に設定された恒温室内で96時間静置した。
低温保管後の納豆30gをシャーレに取り、直径18cm, 厚さ4mmの円盤状のすりガラス板上に置いた。納豆を置いたガラスの上に2.5L容のベルジャー(上方に2本の通気管を有する鈴型の容器)を置いた。その際、ガラス板とベルジャーの接触面にはワセリンを塗布し、気密性を保持した。そのまま室温(20℃)にて30分放置し、納豆に含まれるアンモニアを十分に揮発させた。その後、ベルジャー上部の管に取り付けた吸引キューブを通じて吸引し、ベルジャー内の揮発アンモニア濃度をアンモニア検知管(ガステック社製)にて測定した。測定結果を表4に示した。
(2)「結果及び考察」
その結果、上記選抜株を用いて製造した納豆は、15℃96時間保管した後であっても、アンモニア発生量が大幅に少なくなることが示された。具体的には、上記測定条件にて検出された揮発アンモニア濃度は60ppm以下であった。特に、T-058, T-072株を用いた場合、揮発アンモニアが全く検出されなかったことから、二次発酵がほぼ完璧に抑制されていることが示された。
一方、公知の低温感受性の納豆菌であるK-2株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆では、上記測定条件にて100ppmの揮発アンモニアが検出され、二次発酵が起こっていることが確認された。また、通常の温度感受性の納豆菌(21541株、宮城野菌、OUV23481株)を用いて製造した納豆からの揮発アンモニア濃度は125〜130ppmであり、活発に二次発酵が起こっていることが確認された。
これらの結果から、上記選抜した菌株(T-072株, T-058株, T-101株)を用いて製造した納豆では、二次発酵が顕著に抑制されたものになることが示された。特に、T-058, T-072株を用いて製造した納豆では、二次発酵をほぼ完全に抑制できることが示された。
[実施例5]『発酵温度帯での生育性の評価』
上記選抜した優れた低温感受性納豆菌である3菌株について、発酵温度帯での生育性を評価する試験を行った。
(1)「37℃生育性試験」
表5に記載した各納豆菌を培養した寒天培地上のコロニーから、滅菌爪楊枝の先端で菌をピッキングし、LB液体培地(試験管)5mLに植菌し37℃, 150rpmで前培養した。
培養懸濁液を分光光度計にて波長660nmを測定し、LB液体培地でO.D.660の値が0.19になるように調整した後、37℃, 150rpmで24時間培養した。
得られた培養懸濁液のO.D.660の値を分光光度計にて測定した。結果を表5に示した。
(2)「結果及び考察」
その結果、公知の低温感受性の納豆菌であるK-2株(NITE BP-1577)や、通常の温度感受性の納豆菌(21541株、宮城野菌、OUV23481株)の培養懸濁液のO.D.660の値は、1.95〜2.10であった。この時、上記選抜株(T-072株, T-058株, T-101株)の培養懸濁液のO.D.660の値は、2〜2.04であり、K-2株や通常菌の値とほぼ同じ値を示した。
このことから、上記選抜株(T-072株, T-058株, T-101株)は、発酵温度帯においてはK-2株や通常の納豆菌(宮城野菌等)と同レベルの高い生育性を有することが示された。
[実施例6]『選抜株の菌学的性質』
上記選抜したT-072株, T-058株, T-101株の菌学的性質を特定したところ、次の通りであった。
(1)「形態」
顕微鏡下において栄養細胞の微視的観察を行ったところ、次のような形態であった。
<栄養細胞>
形状 : 稈菌
大きさ : 2〜3μm
運動性 : 有
胞子形成能 : 有
グラム染色性 : 有
顕微鏡下において胞子の微視的観察を行ったところ、次のような形態であった。
<胞子>
形状 : 楕円形
大きさ : 1.12〜1.28μm
(2)「培養的性質」
LB寒天平板培地において37℃で培養後のコロニーの形態を観察したところ、次のような形態であった。
<寒天平板培養>
形状 : 環状
表面 : 皺がある
隆起状態: 隆起なし
色調 : 不透明、乳白色
光沢 : 無
周辺部 : ひだ状
LB液体培地において37℃で培養後の細胞形態を観察したところ、次のような形態であった。
<液体培養>
表面の生育: 菌膜形成
混濁 : 有
(3)「生理学的性質」
各種生理学的性質を調べたところ次のような性質であった。なお、以下の結果において、「+」は資化性あり、「−」は資化性なし、を示す。
<生理学的性質>
クエン酸塩の利用 : +
酸素の要求性 : +
プロテアーゼ活性 : +
最少培地での生育 : +
ビオチン要求性 : +
各種炭素源の資化性を調べたところ次のような性質であった。なお、以下の結果において、「+」は資化性あり、「−」は資化性なし、を示す。
<炭素源の資化性>
グルコース : +
ラクトース : −
アラビノース : −
シュクロース : +
(4)「温度特性」
各温度における生育性及び発酵性を調べた。
<温度特性>
好適発酵温度帯 : 37〜53℃
20℃以下での生育及び発酵能 : 無(顕著な低温感受性)
(5)「16SrDNA塩基配列の決定」
LB液体培地にて振盪培養した後、回収した菌体からのDNA抽出を行い、16SrDNA領域のユニバーサルプライマーセットを用いてPCRを行った。その後、PCR産物をダイレクトシーケンスして、16SrDNAの塩基配列を決定した。
その結果、決定した3菌株からの16SrDNAを構成する塩基配列は、完全に一致する配列(配列番号1)であった。また、GenBank/DDBJ/EMBLのデーターベースに対するBLASTサーチを行ったところ、Bacillus subtilisの16SrDNA領域と100%一致することが示された。
これらの選抜株であるT-072株, T-058株, T-101株は、Bacillus subtilisに属する新規の納豆菌株であると判断された。特にT-058株は、低温感受性及び納豆の品質特性の全てが総合的に優れた菌株であると認められた。
そこで、本願出願人は、T-058株を、2013年3月19日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に国際寄託申請した(受託番号:NITE BP-1576)。
本発明によれば、納豆の保管及び流通時における品質劣化を、顕著に防止することが可能となる。従って、本発明によれば、高品質であり且つ保存性に優れた性質を有する納豆を提供することが可能となり、納豆製造業者にとって有用に利用可能が技術となることが期待される。
NITE BP−1576
NITE BP−1577

Claims (11)

  1. 以下(1)〜(3)に示す菌学的性質を有することを特徴とする、Bacillus subtilisに属する納豆菌。
    (1):以下(1-1)に記載の発酵性に係る性質。
    (1-1):煮大豆又は蒸煮大豆に植菌し豆の品温を37〜53℃のいずれかの温度に維持した際に好適に発酵して、風味及び糸引きが良好な納豆を製造できる性質。
    (2):以下(2-1)に記載の低温生育抑制性に係る性質。
    (2-1):10%(w/v)フィトンペプトンを含有する3〜4%(w/v)のいずれかの濃度の寒天培地(pH7.0)に植菌し、気相温度20℃で48時間培養した際のコロニーの最大幅を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を植菌して培養したコロニーの最大幅が2〜4mmである場合に、当該納豆菌を植菌して培養したコロニーの最大幅が1mm以下である性質。
    (3):16SrDNAを構成する塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列である、又は、配列番号1に記載の塩基配列と99%以上の同一性を示す塩基配列である性質。
  2. さらに、以下(2-2)に記載の低温発酵抑制性に係る性質を有する、請求項1に記載の納豆菌。
    (2-2):当該納豆菌を用いて納豆を製造して、当該納豆を気相温度15℃で96時間静置した後、当該納豆30gを2.5L容器内に20℃常圧にて30分間静置して、当該容器内に揮発したアンモニア濃度を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が80〜120ppmである場合に、当該納豆菌を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が60ppm以下である性質。
  3. 前記(2-2)に記載の性質における当該納豆菌を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が、10ppm以下である、請求項2に記載の納豆菌。
  4. さらに、以下(2-3)に記載の低温発酵抑制性に係る性質を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の納豆菌。
    (2-3):当該納豆菌を用いて納豆を製造して、当該納豆を気相温度15℃で48時間静置した際の品温を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆の最大品温が17.5〜19.5℃である場合に、当該納豆菌を用いて製造した納豆の最大品温が17℃以下である性質。
  5. 前記(2-3)に記載の性質における当該納豆菌を用いて製造した納豆の最大品温が、15.5℃以下である、請求項4に記載の納豆菌。
  6. さらに、以下(1-2)に記載の生育性に係る性質を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の納豆菌。
    (1-2):LB液体培地に植菌し液相温度37℃にて24時間振盪培養して得られた培養液を分光光度計にて波長660nmを測定する試験において、;当該納豆菌を植菌して得た培養液の測定値が、K-2菌株(NITE BP-1577)を植菌して得た培養液の測定値と±20%の範囲内にある性質。
  7. Bacillus subtilis T-058株(NITE BP-1576)である納豆菌。
  8. 請求項7に記載のT-058株に由来する納豆菌、前記T-058株を突然変異させて作出した納豆菌、又は、前記T-058株に遺伝子導入し形質転換して作出した納豆菌であって、請求項1〜7のいずれかに記載の上記(1)〜(3)に示す菌学的性質を有する納豆菌。
  9. 納豆を製造するにあたり、蒸煮大豆又は煮大豆に請求項1〜8のいずれかに記載の納豆菌を植菌して発酵を行うことを特徴とする、納豆の製造方法。
  10. 請求項9に記載の方法により製造された納豆。
  11. 以下(A)及び(B)に示す性質を有することを特徴とする、請求項10に記載の納豆。
    (A):気相温度15℃で96時間静置した後、当該納豆30gを2.5L容器内に20℃常圧にて30分間静置して、当該容器内に揮発したアンモニア濃度を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が80〜120ppmである場合に、当該納豆菌を用いて製造した納豆30gからの揮発アンモニア濃度が60ppm以下である性質。
    (B):気相温度15℃で48時間静置した際の品温を測定する試験において、;K-2菌株(NITE BP-1577)を用いて製造した納豆の最大品温が17.5〜19.5℃である場合に、当該納豆の最大品温が17℃以下である性質。
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